説明

内燃機関の制御装置

【課題】 複数のアクチュエータへの電圧供給用としてコンデンサを有する昇圧回路を用いて、複数のアクチュエータによる内燃機関の適切な制御を実行できるとともに、製造コストを抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 車両Vに搭載された内燃機関2を、電源VBから供給された電圧により駆動される複数のアクチュエータ4〜6によって制御する内燃機関の制御装置1であって、検出された車両Vの運転状態に応じて、複数のアクチュエータ4〜6の優先順位を決定し、決定した優先順位に応じて、複数のアクチュエータ4〜6への電圧供給用としてコンデンサC2を有する昇圧回路15により昇圧された電圧を、複数のアクチュエータ4〜6のうちの少なくとも1つに供給し、複数のアクチュエータ4〜6の少なくとも1つを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から昇圧回路を介して供給される電圧でアクチュエータを駆動することによって、内燃機関を制御する内燃機関の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、内燃機関を駆動するために、例えばインジェクタ、減圧弁および高圧ポンプなどの複数のアクチュエータが搭載されており、また、これらのアクチュエータを駆動して内燃機関の運転状態を制御するための電子制御装置(以下「ECU」という)が搭載されている。ECUには、上記の複数のアクチュエータを駆動するために、コンデンサを有する昇圧回路が設けられており、ECUは、電源から供給される電圧によって昇圧回路のコンデンサを充電する一方、車両の運転状態に応じて、充電したコンデンサから駆動すべきアクチュエータに放電させることによりアクチュエータを駆動することによって、内燃機関が制御される。
【0003】
また、従来の内燃機関の制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この制御装置は、エンジンの気筒に配設された電磁弁(インジェクタ)を制御するためのものであり、ECUと、ECUで決定された噴射信号に応じて電磁弁を駆動する駆動ユニットを備えている。駆動ユニットは、バッテリに接続されたコンデンサを有する昇圧部を備えており、ECUからの噴射信号に応じて、バッテリの電圧を昇圧して電磁弁に供給する。コンデンサは、電磁弁制御部による制御により、バッテリから充電されてバッテリよりも高い電圧を生成する一方、噴射信号に応じて電磁弁に放電することによって、電磁弁を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−291778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来の内燃機関の制御装置では、例えば複数のアクチュエータを同時に駆動した直後など、コンデンサに充電された電荷量が大きく減少したときに、他のアクチュエータの駆動要求がさらにあった場合、駆動すべき他のアクチュエータに十分な電圧を供給できず、内燃機関を適切な運転状態に制御できないおそれがある。これを回避するためには、容量のより大きなコンデンサを用ることが考えられるが、基板上でのコンデンサの専有面積がより大きくなってしまうので、小型化の妨げになり、製造コストが増大してしまう。また、上述した特許文献に係る制御装置のように、インジェクタの駆動用に専用のコンデンサを設けるなど、アクチュエータごとに個別のコンデンサを設けることも考えられるが、その場合は、アクチュエータへの電圧供給用に多数のコンデンサを用いることになり、容量の大きなコンデンサを用いる場合と同様の問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、複数のアクチュエータへの電圧供給用としてコンデンサを有する昇圧回路を用いて、複数のアクチュエータによる内燃機関の適切な制御を実行できるとともに、製造コストを抑制することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載の請求項1に係る内燃機関の制御装置は、車両Vに搭載された内燃機関2を、電源VBから供給された電圧により駆動される複数のアクチュエータ(実施形態における(以下、本項において同じ)インジェクタ4、高圧ポンプ5および減圧弁6)によって制御する内燃機関の制御装置1であって、電源VBから充電される一方、複数のアクチュエータへの放電を行うコンデンサ(チャージコンデンサC2)を有し、電源VBの電圧を昇圧して複数のアクチュエータに供給するための昇圧回路15と、車両Vの運転状態を検出する運転状態検出手段(ECU10、クランク角センサ21、圧力センサ22、水温センサ23、アクセル開度センサ24、車速センサ25、燃料温度センサ26)と、検出された運転状態に応じて、複数のアクチュエータのうちの駆動すべきアクチュエータの優先順位を決定する優先順位決定手段(ECU10)と、決定された優先順位に応じて、昇圧回路15により昇圧された電圧を複数のアクチュエータのちの少なくとも1つに供給することによって、複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを駆動する駆動手段(ECU10、図3のステップ2)と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この内燃機関の制御装置によれば、昇圧回路のコンデンサに電源から電圧が供給され、電源からコンデンサへの充電およびコンデンサから複数のアクチュエータへの放電が行われる。それにより、昇圧された電源の電圧が、内燃機関の複数のアクチュエータに供給され、各アクチュエータが駆動されることによって、内燃機関が制御される。その際、複数のアクチュエータは、運転状態判別手段によって判別された車両の運転状態に応じ、優先順位決定手段によって決定された優先順位に応じて、駆動手段により駆動される。
【0009】
以上のように、複数のアクチュエータのうち、駆動すべきアクチュエータの優先順位を決定することによって、優先して駆動すべきアクチュエータを駆動可能な適切な容量のコンデンサを用いることができ、より小さな容量のコンデンサを採用できる結果、昇圧回路のサイズをより低減することができる。同じ理由により、昇圧回路の製造コストを低減でき、ひいては内燃機関の制御装置の製造コストを低減することができる。また、駆動すべきアクチュエータの優先順位の決定は、車両の運転状態に応じて行われるので、車両の運転への影響を抑制しながら、上記の効果を得ることができる。
【0010】
請求項2に係る内燃機関の制御装置は、請求項1に記載の電子制御装置において、複数のアクチュエータの駆動に伴って消費されるコンデンサから供給された電荷量を、予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVとして複数のアクチュエータごとに算出する予測電荷消費量算出手段(ECU10、図3のステップ5)と、算出される予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVを、複数のアクチュエータの経年変化に応じて補正するための学習補正値(第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3)を設定する学習補正値設定手段(ECU10、図5のステップ38)と、をさらに備え、駆動手段は、予測電荷消費量算出手段によって算出された複数のアクチュエータごとの予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVに基づいて、複数のアクチュエータを駆動することを特徴とする。
【0011】
この内燃機関の制御装置によれば、コンデンサから供給され、各アクチュエータの駆動に伴って消費される電荷量が、予測電荷消費量算出手段によって、予測電荷消費量としてアクチュエータごとに算出される。その際、予測電荷消費量は、各アクチュエータの経年変化に応じて設定された学習補正値によって補正される。そして、複数のアクチュエータの優先順位に応じ、算出されたアクチュエータごとの予測電荷消費量に基づいて、各アクチュエータが駆動される。このように、運転状態に応じて決定されたアクチュエータの優先順位に加え、アクチュエータの経年変化を反映させた精度の高い予測電荷消費量に基づいて、各アクチュエータが駆動されるので、各アクチュエータの経年変化により、同じ運転状態のもとで消費される電荷量が変化しても、その変化に追随して複数のアクチュエータを適切に駆動させることができる。
【0012】
請求項3に係る内燃機関の制御装置は、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置において、駆動手段は、複数のアクチュエータのうちの優先順位決定手段によって決定された最も優先して駆動すべき最優先のアクチュエータ以外の他のアクチュエータを駆動しても、最優先のアクチュエータを駆動可能な電荷量がコンデンサに残存するときに、他のアクチュエータを駆動することを特徴とする。
【0013】
この内燃機関の制御装置によれば、優先順位決定手段によって決定された最も優先して駆動すべき最優先のアクチュエータ以外の他のアクチュエータを駆動しても、最優先のアクチュエータを駆動可能な電荷量がコンデンサに残存する場合に、他のアクチュエータが駆動される。すなわち、最優先で駆動させるべきアクチュエータを駆動可能な電荷量が、常時、コンデンサに確保されるように制御され、内燃機関の運転への影響を抑制できるので、低容量のコンデンサを採用しても、車両の運転に支障を来すのを回避することができる。
【0014】
請求項4に係る内燃機関の制御装置は、請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置において、学習補正値設定手段は、複数のアクチュエータを互いに異なる複数の駆動パターンでそれぞれ駆動し、複数の駆動パターンごとにコンデンサから供給された電荷量に基づいて、学習補正値を設定することを特徴とする。
【0015】
この内燃機関の制御装置によれば、各アクチュエータの学習補正値を設定する際、複数の駆動パターンでの駆動をアクチュエータごとに実行し、各アクチュエータの駆動パターンごとに消費した電荷量に基づいて、各アクチュエータの学習補正値が設定される。これにより、アクチュエータの駆動パターンと消費される電荷量との関係が、アクチュエータやその制御回路などの経年変化に応じて変化しても、その変化を反映させた学習補正値が駆動パターンごとに設定される。このように、単一の駆動パターンではなく、複数の駆動パターンでの電荷消費量に基づいて学習補正値が設定されるので、この学習補正値による補正によって、より精度の高い予測電荷消費量を算出することができる。
【0016】
請求項5に係る内燃機関の制御装置は、請求項4に記載の内燃機関の制御装置において、学習補正値設定手段は、複数のアクチュエータを複数の駆動パターンごとに複数回、それぞれ駆動し、複数の駆動パターンごとにコンデンサから供給された電荷量の平均値(第1〜第3平均電荷消費量QAVG1〜QAVG3)に基づいて、学習補正値を設定することを特徴とする。
【0017】
この内燃機関の制御装置によれば、各アクチュエータを、複数の駆動パターンごとに複数回、駆動し、複数の駆動パターンごとの消費電荷量の平均値に基づいて学習補正値が設定される。したがって、運転状態の変動などによる電荷消費量のばらつきの影響が、平均値の算出により低減されるので、この学習補正値による補正によって、より精度の高い予測電荷消費量を算出することができる。
【0018】
請求項6に係る内燃機関の制御装置は、請求項2ないし5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、学習補正値設定手段は、運転状態検出手段によって検出された車両Vの運転状態が、アイドル運転状態、または一定の速度での走行を継続する定速運転状態のときに、学習補正値を設定することを特徴とする。
【0019】
この内燃機関の制御装置によれば、車両がアイドル運転状態または一定の速度で走行中の定速運転状態において、学習補正値が設定される。すなわち、内燃機関が安定した運転状態にあり、アクチュエータでの電荷の消費量の変動が小さいときに学習補正値が設定されるので、運転状態の変化による電荷消費量への影響を回避しながら、より精度の高い学習補正値を設定することができる。
【0020】
請求項7に係る内燃機関の制御装置は、請求項2ないし6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、学習補正値設定手段は、車両Vの総走行距離MILEが大きいほど、学習補正値を設定したときから次回に学習補正値を設定するまでの走行距離(判定用走行距離MILEJUD)を大きくすることを特徴とする。
【0021】
この内燃機関の制御装置によれば、車両の稼働開始時からの総走行距離が大きいほど、学習補正値を設定したときから学習補正値を次回に設定するまでの走行距離が拡大される。一般に、アクチュエータやその制御回路などの一定の走行距離あたりの経年変化の度合いは、総走行距離が少ないほど大きく、総走行距離が大きくなるにしたがって次第に小さくなり、やがてほぼ変化しなくなる。したがって、総走行距離がまだ小さく、経年変化の影響が学習補正値に大きく反映されやすいときには、学習補正値を設定する間隔を小さくし、設定の頻度を高くすることによって、学習補正値の精度を確保することができる。一方、総走行距離が大きく、経年変化の影響が小さいと考えられるときには、設定の間隔を大きくすることによって、学習補正値の精度を確保しながら、設定の際の演算により制御装置に生じる負荷を抑制することができる。
【0022】
請求項8に係る内燃機関の制御装置は、請求項2ないし7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、学習補正値設定手段は、学習補正値を前回、設定した直後に予測電荷消費量算出手段によって算出された予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVに対する予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVの今回値の変化割合が小さいほど、次回に前記学習補正を設定するまでの走行距離を大きくすることを特徴とする。
【0023】
この内燃機関の制御装置によれば、学習補正値を前回設定した直後に算出された予測電荷消費量に対し、予測電荷消費量の今回値の変化割合が小さいほど、学習補正値を次回に設定するまでの走行距離が拡大される。前述したように、アクチュエータなどの経年変化の度合いは、基本的に、総走行距離が少ないほど大きく、総走行距離が大きくなるほど小さくなるので、経年変化を反映した予測電荷消費量の変化割合もまた、総走行距離が少ないほど大きく、総走行距離が大きいほど小さくなる。したがって、予測電荷消費量の変化割合が小さいほど、学習補正値の設定の間隔を大きくすることによって、学習補正値の精度を確保しながら、総走行距離が大きくなるほど、設定の際の負荷を抑制することができる。
【0024】
請求項9に係る内燃機関の制御装置は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置において、内燃機関は、コモンレール3を有するディーゼルエンジンで構成され、複数のアクチュエータとして、コモンレール3内の燃料を噴射するためのインジェクタ4と、コモンレール3に燃料を圧送するための高圧ポンプ5と、コモンレール3内の圧力(レール圧RP)を減圧するための減圧弁6を有し、運転状態検出手段によって検出された運転状態が、内燃機関の冷間始動時のときには、優先順位決定手段は、インジェクタ4、高圧ポンプ5および減圧弁6の順に優先順位を決定することを特徴とする。
【0025】
この内燃機関の制御装置によれば、検出された運転状態が内燃機関の冷間始動時であるときには、優先順位設定手段は、コモンレール内の燃料を噴射するためのインジェクタ、コモンレールに燃料を圧送するための高圧ポンプ、およびコモンレール内の圧力を減圧するための減圧弁の順に、駆動すべきアクチュエータの優先順位を決定する。
【0026】
内燃機関の冷間始動時において、高圧ポンプを減圧弁よりも優先して駆動することにより、コモンレール内の圧力が上昇しやすくなる結果、その内部の燃料の温度が、より早く上昇する。それにより、内燃機関の暖機に要する時間を短縮でき、より効率的な運転状態に早期に移行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置、およびこれを適用した車両の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】内燃機関の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】アクチュエータ駆動制御処理を示すフローチャートである。
【図4】車両の運転状態と駆動すべきアクチュエータの優先順位との対応を示している。
【図5】QREV設定処理を示すフローチャートである。
【図6】QREV設定時期決定処理を示すフローチャートである。
【図7】総走行距離と、アクチュエータで実際に消費される電荷量および予測電化消費量の間の誤差との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明を適用した内燃機関の制御装置(以下、単に「制御装置」という)1および内燃機関(以下「エンジン」という)2などを備える車両Vを模式的に示している。
【0029】
エンジン2は、車両Vのエンジンルーム(図示せず)内に配置された例えば4気筒のディーゼルエンジンである。このエンジン2は、燃料噴射装置の一部として、コモンレール3およびインジェクタ4(アクチュエータ)を有している。また、エンジンルーム内には、エンジン2を制御するためのECU10が設けられている。
【0030】
コモンレール3は管状に形成され、高温・高圧に耐えうるように構成されている。このコモンレール3には燃料タンク7が接続されており、これらの間には高圧ポンプ5(アクチュエータ)が設けられている。高圧ポンプ5は、ECU10からの駆動信号で制御されることによって、燃料タンク7の燃料を昇圧してコモンレール3に供給する。それにより、コモンレール3内には高圧の燃料が貯蔵される。
【0031】
また、コモンレール3には減圧弁6(アクチュエータ)が設けられており、この減圧弁6は燃料タンク7に接続されている。減圧弁6は、ECU10による制御により、コモンレール3内の燃料の圧力(以下、「レール圧」という)RPが過大にならないように適宜、開弁され、それにより、燃料がコモンレール3から燃料タンク7に還流する。上記の高圧ポンプ5および減圧弁6は、エンジン2の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEや負荷に応じて、レール圧RPが所定の目標圧力になるように制御される。
【0032】
また、インジェクタ4は、エンジン2の気筒(図示せず)ごとに設けられており(1つのみ図示)、燃焼室(図示せず)の天壁中央部に配置され、燃焼室に臨んでいる。また、各インジェクタ4は、コモンレール3に接続されている。インジェクタ4による燃料噴射時間は、車両の運転状態に応じてECU10によって算出され、インジェクタ4は、ECU10からの要求により、燃料噴射時間に応じたパルス幅の駆動信号を印加されることによって、コモンレール3内の高圧の燃料を燃焼室内に噴射する。
【0033】
また、エンジン3のクランクシャフトには、マグネットロータが取り付けられており(いずれも図示せず)、このマグネットロータとMREピックアップによって、クランク角センサ21(運転状態検出手段)が構成されている。クランク角センサ21は、クランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU10に出力する。
【0034】
CRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに出力される。ECU10は、このCRK信号に基づき、エンジン回転数NEを求める。TDC信号は、4気筒タイプの本例では、クランク角180゜ごとに出力される。
【0035】
また、コモンレール3には、例えば歪みゲージ型の燃料圧力センサ22(運転状態検出手段)が設けられており、図2に示すように、この燃料圧力センサ22は、レール圧RPを表す検出信号をECU10に出力する。ECU10にはさらに、水温センサ23(運転状態検出手段)からエンジン2のシリンダブロック(図示せず)内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを表す検出信号が、アクセル開度センサ24(運転状態検出手段)から、アクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、車速センサ25(運転状態検出手段)から、車両の速度(以下「車速」という)VPを表す検出信号が、それぞれ出力される。また、コモンレール3には、燃料温度センサ26(運転状態検出手段)が設けられており、この燃料温度センサ26は、コモンレール3内の燃料の温度(以下「燃料温度」という)TRを表す検出信号を、ECU10に出力する。
【0036】
ECU10は、本実施形態において、運転状態検出手段、優先順位決定手段、駆動手段、予測電荷消費量設定手段、および学習補正値設定手段を構成するものであり、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータ(以下、単に「マイコン」という)11を有している。前述した各種センサ21〜26からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。CPUは、これらの入力信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、後述するインジェクタ駆動制御処理やQREV設定処理などのエンジン2の制御を実行する。
【0037】
また、ECU10は、昇圧回路15を有している。この昇圧回路15は、バッテリ(図示せず)に接続された電源VBから供給された電圧を昇圧し、インジェクタ4、高圧ポンプ5および減圧弁6に供給することにより、これらを駆動するためのものであり、各アクチュエータへの電圧供給用として単一のチャージコンデンサC2(コンデンサ)を有している。
【0038】
また、昇圧回路15は、電源VBに一方の電極が接続され、他方の電極が接地された電源電圧安定化用コンデンサC1を有している。また、電源VBとこの昇圧回路15の出力端子15aとの間には、電源VB側から順に、コイルLおよびダイオードDが直列に接続されており、ダイオードDのカソード側が出力端子15aに接続されている。また、コイルLとダイオードDの中間には、トランジスタTrが接続されている。このトランジスタTrは、例えばNチャンネル型のMOSFETで構成されており、そのドレインがコイルL側に接続され、ソースが第1抵抗R1を介して接地されている。また、ダイオードDのカソードには、チャージコンデンサC2の一方の電極が接続されており、他方の電極は、第2抵抗R2を介して接地されている。さらに、ダイオードDのカソードには、コンデンサC2よりも出力端子15a側において、第3および第4抵抗R3、R4が設けられている。第3および第4抵抗R3、R4は、互いに直列に接続されており、第4抵抗R4は接地されている。
【0039】
昇圧回路15には、これを駆動するための駆動回路16が接続されており、この駆動回路16には、上述したトランジスタTrのゲートが接続されている。また、上述した第4抵抗R4に生じる電圧は、チャージコンデンサC2の電圧を監視するための監視電圧VMONとして駆動回路16に入力され、そのレジスタに保持されている。
【0040】
昇圧回路15では、駆動回路16から出力される電圧信号に応じてトランジスタTrがオン/オフされる。それに伴い、コイルLに起電力が生じ、この起電力がダイオードDで整流されてチャージコンデンサC2に充電され、電源VBの電圧よりも高い電圧が生成される。
【0041】
また、ECU10は、インジェクタ制御回路12、高圧ポンプ制御回路13、および減圧弁制御回路14を有しており、これらは、インジェクタ4、高圧ポンプ5および減圧弁6にそれぞれ接続されている。また、これら3者12〜14は、昇圧回路15の出力端子15aおよびマイコン11の双方にそれぞれ接続されており、マイコン11からの制御信号に応じて、昇圧回路15で昇圧された電圧を、コンデンサC2から各アクチュエータに放電させることによって、各アクチュエータをそれぞれ駆動する。
【0042】
また、ECU10には、通信バス17が設けられている。この通信バス17には、インジェクタ制御回路12、高圧ポンプ制御回路13、減圧弁制御回路14、駆動回路16およびマイコン11が接続されており、これらは、通信バス17を介して制御信号や記憶された各種のデータを相互に送受信可能に構成されている。
【0043】
制御装置1は、以上のようなインジェクタ4、高圧ポンプ5、減圧弁6およびECU10で構成されている。
【0044】
図3は、ECU10のマイコン11で実行されるインジェクタ駆動制御処理を示している。本処理は、車両Vの運転状態に応じて設定された、インジェクタ4、高圧ポンプ5および減圧弁6の駆動の優先順位に応じて、インジェクタ4の駆動を制御するものであり、インジェクタ4の駆動要求に応じて実行される。この処理では、まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、インジェクタ4を、高圧ポンプ5および減圧弁6よりも優先して駆動すべきか否かを判別する。アクチュエータの駆動の優先順位は、優先順位決定処理(図示せず)において、以下のように決定する。
【0045】
図4は、車両Vの運転状態と、アクチュエータの駆動の優先順との対応関係を示している。検出された燃料温度TRまたはエンジン水温TWから推定された燃料温度TRが、所定の基準温度よりも低いときには、車両Vが冷間始動時にあると判別する。そして、レール圧RPを上昇させるために、同図に示すように、高圧ポンプ5の駆動を減圧弁6よりも優先させ、インジェクタ4>高圧ポンプ5>減圧弁6の順に優先順位を決定する。また、エンジン2の始動時において、単位時間あたりのアクセル開度APの変化量が、所定の基準変化量よりも大きいときには、停車状態からの急発進を実行する急始動時であると判別する。そして、エンジン2をエンジンストール状態から急速に始動させるために、高圧ポンプ5>インジェクタ4>減圧弁6の順に優先順位を決定する。
【0046】
また、アクセル開度APが値0で、車速VPが値0よりも大きく且つエンジン回転数NEが所定のアイドル回転数以上のときには、下り坂走行時であると判別し、レール圧RPを調整して燃料カットを実行するために、減圧弁6>高圧ポンプ5>インジェクタ4の順に優先順位を決定する。また、レール圧RPが所定の第1の基準圧力よりも高いときには、異常高圧時であると判別し、レール圧RPを減圧するために、減圧弁6>インジェクタ4>高圧ポンプ5の順に優先順位を決定する。
【0047】
また、第1の基準圧力よりも低い所定の第2の基準圧力よりも、レール圧RPが低いときには、異常低圧時であると判別し、レール圧RPを昇圧するために、高圧ポンプ5>インジェクタ4>減圧弁6の順に優先順位を決定する。また、上述した運転状態以外の通常の運転状態のときには、インジェクタ4>減圧弁6>高圧ポンプ5の順に優先順位を決定する。なお、上記の運転状態が重複して発生した場合は、例えば運転状態にさらに優先順位を付けることによって、重複した運転状態のうちのいずれかの状態を選択して、各アクチュエータの優先順位を決定する。
【0048】
前記ステップ1の答がYesで、インジェクタ4の優先順位が第1位に決定されており、高圧ポンプ5および減圧弁6よりもインジェクタ4を優先して駆動すべきときには、ECU10で算出された燃料噴射時間に従ってインジェクタ4を駆動し(ステップ2)、本処理を終了する。
【0049】
一方、上記ステップ1の答がNoで、高圧ポンプ5および減圧弁6の少なくとも一方をインジェクタ4よりも優先して駆動すべきときには、残存電荷量QACTを算出する(ステップ3)。この残存電荷量QACTは、チャージコンデンサC2に残存する電荷量を表すものであり、コンデンサに充電された電荷量Q、コンデンサの静電容量Cおよび電極間の電圧Vの関係を表すQ=CVの関係に基づき、前述した監視電圧VMONに応じて算出される。
【0050】
次いで、補正値QADJを算出する(ステップ4)。この補正値QADJは、後述するQREV設定処理において設定する第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3(学習補正値)に基づいて、後述するように算出される。
【0051】
次いで、予測電荷消費量QINJを、次式(1)によって算出する(ステップ5)。
QINJ=VFIT+QADJ ・・・(1)
【0052】
ここで、予測電荷消費量QINJは、インジェクタ4を駆動したときにインジェクタ4で実際に消費される電荷量の予測値であり、適合値VFITは、インジェクタ4を駆動して燃料を噴射させたときに、インジェクタ4で消費される電荷量を、インジェクタ4に印加される駆動信号のパルス幅に応じて、あらかじめ記憶したものである。また、上記ステップ4で設定された補正値QADJは、適合値VFITを補正してより精度の高い予測電荷消費量QINJを算出するためのものである。
【0053】
次いで、上記ステップ3で算出した残存電荷量QACTが、インジェクタ4の予測電荷消費量QINJと、車両Vの運転状態に応じて決定されたインジェクタ4よりも優先して駆動すべきアクチュエータの予測電荷消費量との合計値以上であるか否かを判別する(ステップ6)。なお、この判別で用いられる高圧ポンプ5および減圧弁6のそれぞれの予測電荷消費量QPMPおよびQPRVは、上述したインジェクタ4の予測電荷消費量QINJと同様の算出方法によって算出される。
【0054】
この答がYesで、インジェクタ4を駆動して予測電荷消費量QINJが消費されたとしても、より優先して駆動すべきアクチュエータ、すなわち高圧ポンプ5および減圧弁6の一方または双方を駆動するのに必要な電荷量がチャージコンデンサC2に残存する場合には、前述したようにステップ2を実行し、本処理を終了する。
【0055】
一方、上記ステップ6の答がNoで、インジェクタ4を駆動して予測電荷消費量QINJが消費されると、インジェクタ4よりも優先して駆動すべきアクチュエータを駆動できなくなる場合には、インジェクタ4の駆動を中止し(ステップ7)、そのまま本処理を終了する。
【0056】
なお、図示しないが、ECU10は、このアクチュエータ駆動制御処理と同様の制御処理を、高圧ポンプ5および減圧弁6についても、実行する。上述した高圧ポンプ5および減圧弁6の予測電荷消費量QPMPおよびQPRVは、高圧ポンプ5および減圧弁6の駆動制御処理において、それぞれ算出される。
【0057】
図5は、QREV設定処理を示している。このQREV設定処理は、上述したインジェクタ駆動制御処理などのステップ4において補正値QADJを算出するために、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を設定するためのものであり、所定の周期で実行される。
【0058】
この処理では、まず、ステップ11において、設定許可フラグF_SETOKが「1」であるか否かを判別する。この設定許可フラグF_SETOKは、後述するQREV設定時期決定処理において、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定条件の1つが成立したときに「1」にセットされるものである。この答がNoで、設定条件が成立していないときには、ステップ12において、後述する第1駆動パターン実行フラグF_PAT1、第2駆動パターン実行フラグF_PAT2をそれぞれ「1」にセットするとともに、実行カウンタCOUNTを値0にセットし、本処理を終了する。
【0059】
一方、上記ステップ11の答がYesで、設定条件の1つが成立しているときには、車両Vが安定した運転状態にあるか否かを判別する(ステップ13)。具体的には、アイドル運転状態のとき、すなわち、アクセル開度APがほぼ値0であり、且つエンジン回転数NEが所定のアイドル回転数以下のときに、安定した運転状態にあると判別する。なお、一定の速度での走行が所定時間、継続したときに、車両Vが定速運転状態にあり、この定速運転状態のときに、車両Vが安定した運転状態にあると判別してもよい。
【0060】
このステップ13の答がNoで、車両Vが安定した運転状態にないと判別されたときには、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定条件が成立していないものとして、上記ステップ12を実行し、本処理を終了する。
【0061】
一方、上記ステップ13の答がYesのときには、設定条件が成立しているものとして、第1駆動パターン実行フラグF_PAT1が「1」であるか否かを判別する(ステップ14)。この第1の駆動パターン実行フラグF_PAT1は、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を算出するために実行されるインジェクタ4の複数の駆動パターン(本実施形態においては3つの駆動パターン)のうち、第1の駆動パターンを実行すべきときに「1」にセットされるものである。
【0062】
この答がYesのときには、第1の駆動パターンでインジェクタ4を駆動する(ステップ15)。具体的には、インジェクタ4に印加される駆動信号の所定の第1のパルス幅に応じて、高圧ポンプ5および減圧弁6を制御することによって、アイドル運転状態または定速運転状態において要求される燃料噴射量に対応するレール圧RPに制御する。そして、所定の第1のパルス幅でインジェクタ4を駆動することによって、アイドル運転状態または定速運転状態のときに要求される燃料噴射量どおりの量の燃料が噴射される。
【0063】
次いで、実行カウンタCOUNTをインクリメントし(ステップ16)、この実行カウンタCOUNTが所定値COUNTREF(例えば3)であるか否かを判別する(ステップ17)。この答がNoで、上述したインジェクタ4の第1の駆動パターンによる駆動の実行回数が所定値COUNTREFよりも少ないときには、そのまま本処理を終了する。一方、上記ステップ17の答がYesで、第1の駆動パターンによる駆動回数が所定値COUNTREFに達したときには、第1の駆動パターンの実行中にインジェクタ4で消費された電荷量を所定値COUNTREFで除算することによって、消費された電荷量の平均値を、第1平均電荷消費量QAVG1として算出する(ステップ18)。
【0064】
次いで、第1平均電荷消費量QAVG1が適正であるか否かを判別する(ステップ19)。具体的には、上述した所定の第1のパルス幅でインジェクタ4を駆動した場合の適合値VFITと、第1平均電荷消費量QAVG1とを比較し、その差異が所定の第1の閾値よりも小さいときには、第1平均電荷消費量QAVG1が適正であると判別する。
【0065】
なお、例えば以下のように第1平均電荷消費量QAVG1が適正か否かを判別してもよい。すなわち、QREV設定処理を前回、実行したときに算出された第1平均電荷消費量QAVG1の前回値と、今回、直前のステップ18で算出した第1平均電荷消費量QAVG1の今回値とを比較し、前回値に対する今回値の変化の割合が所定の閾値よりも小さいときに、第1平均電荷消費量QAVG1が適正であると判別してもよい。
【0066】
上記ステップ19の答がYesで、第1平均電荷消費量QAVG1が適正であると判別されたときには、第1平均電荷消費量QAVG1を、第1学習補正値QREV1として設定する(ステップ20)。一方、上記ステップ19の答がNoのときには、第1平均電荷消費量QAVG1が適正な値として算出されていないものとして、第1平均電荷消費量QAVG1の平滑化処理を実行する(ステップ21)。この平滑化処理では、第1平均電荷消費量QAVG1を適合値VFITにより近づけるように例えばなまし処理を行い、なまし処理を施した第1平均電荷消費量QAVG1を、上記ステップ20で第1学習補正値QREV1として設定する。
【0067】
次いで、前述した第1駆動パターン実行フラグF_PAT1をリセットするとともに、実行カウンタCOUNTを値0にセットする(ステップ21)。これにより、本処理の次回以降のループでは、前述したステップ14の答がNoになり、以下に述べるステップ22以降が実行される。
【0068】
このステップ22では、第2駆動パターン実行フラグF_PAT2が「1」であるか否かを判別する。この第2駆動パターン実行フラグF_PAT2は、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を設定するために実行されるインジェクタ4の複数の駆動パターンのうち、第2の駆動パターンを実行すべきときに「1」にセットされるものである。
【0069】
この答がYesのときには、第2の駆動パターンでインジェクタ4を駆動する(ステップ23)。具体的には、インジェクタ4に印加される前述した所定の第1のパルス幅よりも短い所定の第2のパルス幅に応じて、前記ステップ15と同様に、アイドル運転状態または定速運転状態において要求される燃料噴射量に対応するレール圧RPに制御する。これにより、所定の第2のパルス幅でインジェクタ4を駆動することによって、要求された燃料噴射量どおりの量の燃料が噴射される。
【0070】
そして、以上のようなインジェクタ4の第2駆動パターンによる駆動を、前述した第1の駆動パターンの実行時と同様に所定値COUNTREFと同じ回数だけ実行し(ステップ23〜25)、その際にインジェクタ4で消費される電荷量の平均値である第2平均電荷消費量QAVG2を算出し(ステップ26)、この第2平均電荷消費量QAVG2が適正であるか否かを判別し(ステップ27)、この判別結果に応じて平滑化処理(ステップ29)を実行し、第2学習補正値QREV2を設定する(ステップ28)。
【0071】
次いで、第2駆動パターン実行フラグF_PAT2をリセットするとともに実行カウンタCOUNTを値0にセットし(ステップ30)、本処理を終了する。このステップ30の実行により、次回以降のループにおいて、前記ステップ22の答がNoになり、以下に述べるステップ31以降が実行される。
【0072】
このステップ31では、第3の駆動パターンでインジェクタ4を駆動する。具体的には、インジェクタ4に印加される前述した所定の第2のパルス幅よりもさらに短い所定の第3のパルス幅に応じて、前記ステップ15およびステップ23と同様に、アイドル運転状態または定速運転状態において要求される燃料噴射量に対応するレール圧RPに制御する。これにより、所定の第3のパルス幅でインジェクタ4を駆動することによって、要求された燃料噴射量どおりの量の燃料が噴射される。
【0073】
次いで、第1および第2の駆動パターンで駆動したときと同様に、インジェクタ4の第3の駆動パターンによる駆動を所定値COUNTREFに達するまで実行し(ステップ31〜33)、その際に消費される電荷量の平均値である第3平均電荷消費量QAVG3を算出し(ステップ34)、第3平均電荷消費量QAVG3が適正であるか否かの判別(ステップ35)、およびその判別結果に応じて平滑化処理(ステップ37)を実行し、第3学習補正値QREV3を設定する(ステップ36)。
【0074】
次いで、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の前回値を、上記ステップ20、28および36で設定した第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の今回値でそれぞれ更新し(ステップ38)、前述した算出許可フラグF_SETOKをリセットし(ステップ39)、本処理を終了する。
【0075】
上記ステップ38で第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を更新したことにより、前述したインジェクタ駆動制御処理のステップ4では、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の今回値に基づいて、補正値QADJが算出される。例えば、要求された燃料噴射量に応じてインジェクタ4に印加される駆動信号のパルス幅と、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を設定したときの第1〜第3の所定のパルス幅とを比較し、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を用いて補完計算を行うことにより、パルス幅に応じた補正値QADJを算出する。そして、このように算出された補正値QADJは、前述したステップ5において、予測電荷消費量QINJの算出に用いられる。
【0076】
以上のようなQREV設定処理は、前述した各アクチュエータの駆動制御処理と同じく、高圧ポンプ5および減圧弁6についても実行され、インジェクタ4を含めた3者4〜6ごとに第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3が設定され、各アクチュエータの駆動制御処理において、補正値QADJの算出に用いられる。なお、高圧ポンプ5を複数の駆動パターンで駆動する際には、運転状態に応じた所要のレール圧RPが維持されるように、高圧ポンプに印加される駆動信号のパルス幅に応じて、減圧弁6を連動して駆動する。同様に減圧弁6を複数の駆動パターンで駆動する際には、減圧弁6の駆動に連動して高圧ポンプ5を駆動する。
【0077】
図6は、QREV設定時期決定処理を示している。この処理は、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定の可否を判定するためのものであり、所定の間隔で実行される。
【0078】
この処理では、まず、設定許可フラグF_SETOKが「1」であるか否かを判別する(ステップ41)。この答がYesのときには、QREV設定処理の実行中で、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定時期を決定する必要がないものとして、本処理を終了する。
【0079】
一方、上記ステップ41の答がNoのときには、車両Vの総走行距離MILEが、所定の基準走行距離MILEREF(例えば10000km)以下であるか否かを判別する(ステップ42)。基準走行距離MILEREFを車両Vの総走行距離MILEが超えると、燃料噴射量に影響を及ぼすインジェクタ4およびインジェクタ制御制御回路12などの経年変化の度合いが、非常に小さくなるような値に、基準走行距離MILEREFは設定されている。
【0080】
この答がYesで、総走行距離MILEが、まだ基準走行距離MILEREF以下のときには、予測電荷消費量QINJの変化割合が、所定の第1の基準変化割合CHREF1(例えば5%)以上であるか否かを判別する(ステップ43)。具体的には、前述したステップ38において第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を最後に更新した直後に、前述したステップ5において算出した予測電荷消費量QINJを基準値として、この基準値を算出したときと同じ運転状態のもとで直前に算出した予測電荷消費量QINJの今回値と、基準値とを比較する。
【0081】
この答がYesで、基準値に対する直前に算出した予測電荷消費量QINJの変化割合が所定の第1の基準変化割合CHREF1以上のときには、インジェクタ4などの経年変化の度合いが大きく、燃料噴射量の変化に及ぼす影響が大きいものとして、判定用走行距離MILEJUDが第1判定走行距離MILEREF1(例えば500km)以上であるか否かを判別する(ステップ44)。この判定用走行距離MILEJUDは、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定が許可されたとき、すなわち、前回、設定許可フラグF_SETOKが「1」にセットされたときからの走行距離であり、この答がNoのときには、そのまま本処理を終了する一方、Yesのときには、判定用走行距離MILEJUDを値0にセットするとともに、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定条件の1つが成立したものとして、設定許可フラグF_SETOKを「1」にセットし(ステップ45)、本処理を終了する。これにより、前述したステップ11の答がYesになり、ステップ13以降が実行されることによって、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3が設定される。
【0082】
一方、前記ステップ43の答がNoで、予測電荷消費量QINJの基準値に対する今回値の変化割合が、第1の基準変化割合CHREF1よりも小さいときには、総走行距離MILEの増大に伴ってアクチュエータ4などの経年変化の度合いがより小さくなっているものとして、判定用走行距離MILEJUDが、第2判定走行距離MILEREF2(例えば1000km)以上であるか否かを判別する(ステップ46)。この答がNoのときにはそのまま本処理を終了する一方、Yesのときには、前述したステップ45を実行し、本処理を終了する。
【0083】
一方、前記ステップ42の答がNoで、総走行距離MILEが基準走行距離MILEREFを超えているときには、前記ステップ43と同様に、予測電荷消費量QINJの基準値と今回値との比較を行い、前回値に対する今回値の変化割合が、所定の第2の基準変化割合CHREF2(例えば1%)以上であるか否かを判別する(ステップ47)。この第2の基準変化割合CHREF2は、車両Vの総走行距離MILEが基準走行距離MILEREFを超えたことにより、インジェクタ4などの経年変化の度合いが小さくなり、燃料噴射量の変化に及ぼす影響が非常に小さくなることを反映して、第1の基準変化割合CHREF1よりも小さな値に設定されている。
【0084】
この答がYesのときには、判定用走行距離MILEJUDが第3判定走行距離MILEREF3(例えば3000km)以上であるか否かを判別する(ステップ44)。この答がNoのときには、そのまま本処理を終了する一方、Yesのときには、前述したステップ45を実行し、本処理を終了する。
【0085】
一方、前記ステップ47の答がNoで、予測電荷消費量QINJの基準値に対する今回値の変化割合が、第2の基準変化割合CHREF2よりも小さいときには、総走行距離MILEの増大に伴ってアクチュエータ4などの経年変化の度合いがさらに小さくなっているものとして、判定用走行距離MILEJUDが、第4判定走行距離MILEREF4(例えば10000km)以上であるか否かを判別する(ステップ46)。この答がNoのときにはそのまま本処理を終了する一方、Yesのときには、前述したステップ45を実行し、本処理を終了する。なお、このQREV設定時期決定処理もまた、高圧ポンプ5および減圧弁6のそれぞれについて実行される。
【0086】
図7は、車両Vの総走行距離MILEと、インジェクタ4で消費される実際の電荷量および予測電荷消費量QINJの間の誤差(以下、「消費量誤差」という)との関係を示している。同図に示すように、総走行距離MILEがまだ小さいときには、インジェクタ4などの経年変化の度合いが大きく、総走行距離MILEが増大するのに伴い、消費量誤差が急に増大し、予測電荷消費量QINJの基準値に対する今回値の変化割合が早期に所定の第1の基準変化割合CHREF1以上になる(ステップ43:Yes)。そして、判定用走行距離MILEJUDが、第1判定走行距離MILEREF1に達する(ステップ44:Yes)と、前述したQREV設定処理が実行され、更新された第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3を反映した予測電荷消費量QINJが算出され、この予測電荷消費量QINJに基づいたインジェクタ4の制御が行われる。それにより、消費量誤差は、一旦、消失する。
【0087】
総走行距離MILEがさらに増大するのに伴い、QREV設定処理が実行されるごとに消費量誤差は一時的に消失する。そして、インジェクタ4などの経年変化の度合いが低下し始めると、予測電荷消費量QINJの変化割合が所定の第1の基準変化割合CHREF1に達する前(ステップ44:No)に、判定用走行距離MILEJUDが第2判定走行距離MILEREF2に達し(ステップ46:Yes)QREV設定処理により、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3が更新される。
【0088】
総走行距離MILEが基準走行距離MILEREFを超える(ステップ43:No)と、総走行距離MILEの増大に伴う消費量誤差の増大がより緩慢になるので、予測電荷消費量QINJの基準値に対する今回値の変化割合が、より小さな所定の第2の基準変化割合CHREF2と比較され、第2の基準変化割合CHREF2を超える(ステップ47:Yes)とともに、判定用走行距離MILEJUDが第3判定走行距離MILEJUD3に達する(ステップ48:Yes)と、QREV設定処理により、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の更新が行われる。
【0089】
また、総走行距離がMILEがさらに増大し、インジェクタ4などの経年変化の度合いがさらに小さくなると、予測電荷消費量QINJが所定の第2の基準変化割合CHREF2に達する前(ステップ47:No)に、判定用走行距離MILEJUDが第4判定走行距離MILEREF4に達し(ステップ49:Yes)QREV設定処理により、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3が更新される。
【0090】
なお、以上のような総走行距離MILEと消費量誤差の関係は、高圧ポンプ5および減圧弁6についても同様である。
【0091】
以上のように、本実施形態による内燃機関の制御装置1によれば、インジェクタ4、高圧ポンプ5および減圧弁6のうち、駆動すべきアクチュエータの優先順位を、車両Vの運転状態に応じて決定するので、優先して駆動すべきアクチュエータを駆動可能な適切な容量のチャージコンデンサC2を用いることができ、チャージコンデンサC2としてより小さな容量のものを採用できる結果、昇圧回路15のサイズをより低減することができる。同じ理由により、昇圧回路15の製造コストを低減でき、ひいては制御装置1の製造コストを低減することができる。
【0092】
また、インジェクタ4の優先順位が第1位でないとき(ステップ1:No)には、車両Vがアイドル運転状態または定速運転状態のとき(ステップ13:Yes)に、車両Vの補正値QREVの総走行距離MILEに応じて設定された第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3に基づいて、インジェクタ4で消費される予測電荷消費量QINJが算出される(ステップ5)。そして、算出された予測電荷消費量QINJに応じて、インジェクタ4を駆動するか否かが決定される。同様に、高圧ポンプ5および減圧弁6の予測電荷消費量QPMP、QPRVにそれぞれ応じて、高圧ポンプ5および減圧弁6を駆動するか否かが決定される(ステップ6)。このように、車両の総走行距離MILEを反映させたアクチュエータごとの予測電荷消費量QINJ、QPMPおよびQPRVを算出をした上で、優先順位を決定するので、各アクチュエータやその制御回路などの経年変化により、実際の電荷消費量が変化しても、その変化に追随して車両Vの運転状態に応じた優先順位づけを各アクチュエータに行うことができ、車両Vの運転に支障を来すのを確実に回避することができる。
【0093】
また、インジェクタ4の優先順位が1位ではない場合には、インジェクタ4よりも優先して駆動すべきアクチュエータを駆動可能な電荷量がチャージコンデンサC2に残存しているとき(ステップ6:Yes)に、インジェクタ4が駆動される。高圧ポンプ5および減圧弁6もまた、インジェクタ4と同様に、より優先して駆動すべきアクチュエータを駆動可能な電荷量がチャージコンデンサC2に残存していることを条件として、駆動される。したがって、チャージコンデンサC2には、最優先で駆動させるべきアクチュエータを駆動可能な電荷量が確保されるので、低容量のチャージコンデンサC2を採用しても、車両Vの運転に支障を来すのを回避することができる。
【0094】
また、第1〜第3駆動パターンでの駆動をそれぞれ所定値COUNTREFと同じ回数だけ実行し(ステップ15〜17、ステップ23〜25、ステップ31〜33)、駆動パターンごとに消費した電荷量の平均値である第1〜第3平均電荷消費量QAVG1〜QAVG3に応じて設定された第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3に基づいて、予測電荷消費量QINJが算出される(ステップ5)。これにより、インジェクタ4に印加される駆動信号のパルス幅と、インジェクタ4で消費される電荷量の関係が、インジェクタ4やインジェクタ制御回路12などの経年変化に応じて変化しても、その変化に追随して精度の高い予測電荷消費量QINJを算出することができる。同様に、高圧ポンプ5および減圧弁6についても、精度の高い予測電化消費量QPMPおよびPPRVをそれぞれ算出することができる。
【0095】
また、車両Vがアイドル運転状態または定速運転状態のとき(ステップ13:Yes)に、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3が設定される。すなわち、インジェクタ4での電荷の消費量の変動が小さいときに設定が行われるので、運転状態の変動による電荷消費量への影響を回避しながら、より精度の高い予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVの算出を行うことができる。
【0096】
また、車両Vの総走行距離MILEが大きいほど、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定を実行する時期の間隔が拡大される。したがって、総走行距離MILEがまだ小さく(ステップ42:Yes)、経年変化の影響が大きく反映されやすいときには、より高い頻度で設定が行われる(ステップ44、46)ので、予測電荷消費量QINJ、QPMP、QPRVの精度を確保することができる。一方、総走行距離MILEが基準走行距離MILEREFよりも大きく、経年変化の影響が小さいと考えられるとき(ステップ42:No)は、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定の頻度を低くする(ステップ48、ステップ49)ことによって、予測電荷消費量QINJの精度を確保しながら、第1〜第3学習補正値QREV1〜QEV3の設定の際、ECU10に生じる負荷を抑制することができる。
【0097】
また、インジェクタ4などの経年変化の度合いは、総走行距離MILEが小さいほど大きく、大きいほど小さくなるので、経年変化を反映した予測電荷消費量QINJの変化割合もまた、総走行距離MILEが少ないほど大きく、大きいほど小さくなる。したがって、予測電荷消費量QINJの基準値と今回値の変化割合が小さいほど、第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3の設定の間隔を大きくする(ステップ43:No、ステップ47:No)ことによって、より精度の高い予測電荷消費量QINJを算出できるとともに、総走行距離MILEが大きくなるほど、予測電荷消費量QINJの算出によるECU10の負荷を抑制することができる。
【0098】
また、エンジン2の冷間始動時において、高圧ポンプ5を減圧弁6よりも優先して駆動することにより、レール圧RPが上昇しやすくなる結果、燃料温度TRがより早く上昇する。それにより、エンジン2の暖機に要する時間を短縮でき、より効率的な運転状態に早期に移行させることができる。
【0099】
なお、上述した実施形態では、3つの駆動パターンを実行して設定した第1〜第3学習補正値QREV1〜QREV3に基づいて、補正値QADJを設定しているが、これに限定されることなく、より多くの駆動パターンを実行し、より多くの学習補正値に基づいて補正値QADJを設定してもよい。それにより、さらに精度の高い予測電荷消費量を算出することができる。また、所定値COUNTREFとしてより大きな値を設定し、各駆動パターンでの駆動回数をより増大させることにより、予測電荷消費量の精度をさらに向上させてもよい。
【0100】
また、実施形態では、複数のアクチュエータとして、エンジン2の制御に用いられるインジェクタ4、高圧ポンプ5および燃料タンク6を挙げて説明したが、これに限定されることなく、コンデンサを有する昇圧回路から電圧を供給されることにより駆動される他のアクチュエータを用いてもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 制御装置
2 内燃機関
3 コモンレール
4 インジェクタ(アクチュエータ)
5 高圧ポンプ(アクチュエータ)
6 減圧弁(アクチュエータ)
10 ECU(運転状態検出手段、優先順位決定手段、駆動手段、電荷消費量測定手段
、駆動判別手段)
15 昇圧回路
21 クランク角センサ(運転状態検出手段)
22 燃料圧力センサ(運転状態検出手段)
23 水温センサ(運転状態検出手段)
24 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
25 車速センサ(運転状態検出手段)
26 燃料温度センサ(運転状態検出手段)
V 車両
VB 電源
C2 チャージコンデンサ(コンデンサ)
QINJ、QPMP、PPRV 予測電荷消費量
QREV1 第1学習補正値(学習補正値)
QREV2 第2学習補正値(学習補正値)
QREV3 第3学習補正値(学習補正値)
MILE 総走行距離
MILEJUD 判定用走行距離
RP レール圧(コモンレール内の圧力)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された内燃機関を、電源から供給された電圧により駆動される複数のアクチュエータによって制御する内燃機関の制御装置であって、
前記電源から充電される一方、前記複数のアクチュエータへの放電を行うコンデンサを有し、前記電源の電圧を昇圧して前記複数のアクチュエータに供給するための昇圧回路と、
前記車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
当該検出された運転状態に応じて、前記複数のアクチュエータのうちの駆動すべきアクチュエータの優先順位を決定する優先順位決定手段と、
当該決定された優先順位に応じて、前記昇圧回路により昇圧された電圧を前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つに供給することによって、当該複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを駆動する駆動手段と、
を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータの駆動に伴って消費される前記コンデンサから供給された電荷量を、予測電荷消費量として前記複数のアクチュエータごとに算出する予測電荷消費量算出手段と、
当該算出される予測電荷消費量を、前記複数のアクチュエータの経年変化に応じて補正するための学習補正値を設定する学習補正値設定手段と、
をさらに備え、
前記駆動手段は、前記予測電荷消費量算出手段によって算出された前記複数のアクチュエータごとの予測電荷消費量に基づいて、当該複数のアクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記複数のアクチュエータのうちの前記優先順位決定手段によって決定された最も優先して駆動すべき最優先のアクチュエータ以外の他のアクチュエータを駆動しても、前記最優先のアクチュエータを駆動可能な電荷量が前記コンデンサに残存するときに、前記他のアクチュエータを駆動することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記学習補正値設定手段は、前記複数のアクチュエータを互いに異なる複数の駆動パターンでそれぞれ駆動し、当該複数の駆動パターンごとに前記コンデンサから供給された電荷量に基づいて、前記学習補正値を設定することを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記学習補正値設定手段は、前記複数のアクチュエータを前記複数の駆動パターンごとに複数回、それぞれ駆動し、当該複数の駆動パターンごとに前記コンデンサから供給された電荷量の平均値に基づいて、前記学習補正値を設定することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記学習補正値設定手段は、前記運転状態検出手段によって検出された前記車両の運転状態が、アイドル運転状態、または一定の速度での走行を継続する定速運転状態のときに、前記学習補正値を設定することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記学習補正値設定手段は、前記車両の総走行距離が大きいほど、前記学習補正値を設定したときから次回に当該学習補正値を設定するまでの走行距離を大きくすることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記学習補正値設定手段は、前記学習補正値を前回、設定した直後に前記予測電荷消費量算出手段によって算出された予測電荷消費量に対する予測電荷消費量の今回値の変化割合が小さいほど、次回に前記学習補正を設定するまでの走行距離を大きくすることを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記内燃機関は、コモンレールを有するディーゼルエンジンで構成され、前記複数のアクチュエータとして、
前記コモンレール内の燃料を噴射するためのインジェクタと、
前記コモンレールに燃料を圧送するための高圧ポンプと、
前記コモンレール内の圧力を減圧するための減圧弁と、
を有し、
前記運転状態検出手段によって検出された運転状態が、前記内燃機関の冷間始動時のときには、前記優先順位決定手段は、前記インジェクタ、前記高圧ポンプおよび前記減圧弁の順に優先順位を決定することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−11245(P2013−11245A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145552(P2011−145552)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】