説明

内燃機関の排気浄化装置

【課題】排気通路の集合部に設けられた後段触媒の熱劣化を抑制しつつ分岐部のそれぞれに設けられた前段触媒を再生処理することができる内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】排気通路2の分岐部3A、3Bのそれぞれに設けられた前段触媒6A、6Bと、排気通路2の集合部5に設けられた後段触媒7と、前段触媒6A、6Bに対して燃料を添加する燃料添加弁8A、8Bとを備えた排気浄化装置において、前段触媒6A、6Bの再生処理の要否を判定し、再生処理が必要と判定された場合には、一方の前段触媒6Bを再生処理の対象から除外しかつ他方の前段触媒6Aに対して再生処理を実行し、その後、再生処理の対象から除外する前段触媒を切り替えて同様の処理サイクルを繰り返すことにより全ての前段触媒6A、6Bを再生処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気通路の分岐部のそれぞれに再生式の排気浄化手段が設けられた内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気通路に設けられた互いに並列な2本の分岐部のそれぞれに、酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタを排気浄化手段として設けた構成の排気浄化装置において、パティキュレートフィルタに堆積した堆積した粒子状物質(PM)を燃焼させ、あるいは触媒に蓄積した硫黄酸化物を還元してパティキュレートフィルタの排気浄化性能を回復させる再生処理を行う必要が生じた場合に、複数の分岐部のそれぞれに設けられた還元剤添加弁から還元剤としての燃料を同時に噴射して全てのパティキュレートフィルタを同時に昇温させる排気浄化装置が知られている(例えば特許文献1参照)。排気通路に設けられた2本の分岐部のそれぞれに酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタを第1排気浄化手段として配置し、かつ分岐部の合流箇所から下流に延びる集合部に選択還元式触媒を第2排気浄化手段として配置した構成の排気浄化装置において、各パティキュレートフィルタへの排気導入を選択的に切り替える切替弁を分岐部の入口に配置し、一方のパティキュレートフィルタに排気を導入して排気を浄化している間に、他方のパティキュレートフィルタを再生処理するようにした排気浄化装置も知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−97254号公報
【特許文献2】特開2004−162600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排気通路の分岐部のそれぞれに再生式の排気浄化手段が配置され、それらの下流の集合部に別の排気浄化手段が設けられた排気浄化装置において、特許文献1に記載の排気浄化装置のように分岐部の全ての排気浄化手段を同時に再生処理した場合には、集合部に導入される排気の熱でその集合部の排気浄化手段が必要以上に加熱されて熱劣化を起こすおそれがある。
【0004】
特許文献2に記載の排気浄化装置では、一対の排気浄化手段のうち、いずれか一方の排気浄化手段のみで実質的に全量の排気を浄化処理しているので、各排気浄化手段が排気の略全量を処理し得る容量を備えている必要があり、排気浄化手段が大型化する。
【0005】
そこで、本発明は分岐部の下流の集合部に設けられた排気浄化手段の熱劣化を抑制しつつ分岐部のそれぞれに設けられた排気浄化手段を再生処理することができ、しかも、分岐部の排気浄化手段の容量の削減にも有利な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内燃機関の排気浄化装置は、排気通路の互いに並列な複数の分岐部のそれぞれに設けられた再生式の第1排気浄化手段と、前記複数の分岐部の合流箇所から下流に延びる排気通路の集合部に設けられた第2排気浄化手段と、前記複数の分岐部のそれぞれの第1排気浄化手段を個別に昇温してこれらの第1排気浄化手段に対して再生処理を実行可能な再生実行手段と、前記第1排気浄化手段の再生処理の要否を判定する判定手段と、前記判定手段により再生処理が必要と判定された場合には前記第1排気浄化手段に対する再生処理が実行され、前記再生処理が不要と判定された場合には全ての第1排気浄化手段に対する再生処理が禁止されるように前記再生実行手段を制御する再生制御手段と、を具備し、前記再生制御手段は、前記再生処理が必要と判定された場合、少なくとも一つの分岐部の第1排気浄化手段を再生処理の対象から除外しかつ他の分岐部の排気浄化手段に対して再生処理を実行する処理サイクルが、前記再生処理の対象から除外する第1排気浄化手段を順次切り替えつつ繰り返されることにより、全ての第1排気浄化手段が再生処理されるように前記再生実行手段を制御する、ことにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0007】
本発明の排気浄化装置によれば、再生制御手段が処理サイクルを繰り返すことにより、全ての分岐部の第1排気浄化手段が再生処理される。一回の処理サイクルでは、少なくとも一つの分岐部の第1排気浄化手段が再生処理の対象から除外され、かつ他の分岐部の第1排気浄化手段に対して再生処理が実行されるため、分岐部の全ての第1排気浄化手段を同時に再生処理する場合と比較して、集合部の第2排気浄化手段に流入する排気の温度が低下し、その結果、第2排気浄化手段の熱劣化が抑制される。また、分岐部の第1排気浄化手段に対する再生処理の要否を判定手段にて判定し、再生が必要と判定された場合に処理サイクルを繰り返す一方で、再生不要と判定された場合は全ての第1排気浄化手段に対する再生処理を禁止しているので、再生処理を要しない期間では全ての第1排気浄化手段を排気浄化に利用することができる。これにより、第1排気浄化手段に必要な容量を削減することができる。
【0008】
本発明の一形態において、排気浄化装置は、前記第2排気浄化手段の温度を検出するための温度検出手段と、前記分岐部のそれぞれに導かれる排気流量を調整する排気流量調整手段と、をさらに具備し、前記第2排気浄化手段は、再生に適した温度域よりも低温の活性温度域で浄化性能を発揮する触媒を含み、前記再生制御手段は、前記再生処理の実行中、前記温度検出手段にて検出される前記第2排気浄化手段の温度が前記活性温度域に維持されるように前記排気流量調整手段を介して前記複数の分岐部のそれぞれを通過する排気流量を制御してもよい(請求項2)。
【0009】
この形態によれば、再生処理中の分岐部から集合部に導かれる高温の排気の流量と、再生処理の対象から除外されている分岐部から集合部に導かれる低温の排気の流量との比率を排気流量調整手段にて調整することにより、集合部の第2排気浄化手段に導入される排気の温度を変化させることができる。そして、その第2排気浄化手段に導入される温度が第2排気浄化手段に含まれる触媒の活性温度域に維持されるように排気流量調整手段を制御することにより、再生処理中でも集合部の第2排気浄化手段の浄化性能を十分に発揮させ、排気エミッションの悪化を抑えることができる。
【0010】
本発明の一形態において、排気浄化装置は、前記第2排気浄化手段に流入する排気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記分岐部のそれぞれに導かれる排気流量を調整する排気流量調整手段と、をさらに具備し、前記再生実行手段は、前記複数の分岐部のそれぞれの第1排気浄化手段に個別に燃料を添加する燃料添加弁を有し、前記第2排気浄化手段は所定の空燃比範囲で浄化性能を発揮する触媒を含み、前記再生制御手段は、前記再生処理の実行中、前記空燃比検出手段にて検出される空燃比が前記所定の空燃比範囲に維持されるように前記排気流量調整手段を介して前記複数の分岐部のそれぞれを通過する排気流量を制御してもよい(請求項3)。
【0011】
この形態によれば、再生処理中の分岐部から集合部に導かれる燃料量の多い排気の流量と、再生処理の対象から除外されている分岐部から集合部に導かれる燃料量の少ない排気の流量との比率を排気流量調整手段にて調整することにより、集合部の第2排気浄化手段に導入される排気の空燃比を変化させることができる。そして、その第2排気浄化手段に導入される排気の空燃比を、第2排気浄化手段に含まれる触媒が浄化性能を発揮する空燃比範囲に制御することにより、再生処理中でも集合部の第2排気浄化手段の浄化性能を十分に発揮させ、排気エミッションの悪化を抑えることができる。
【0012】
本発明の一形態において、排気浄化装置は、前記第2排気浄化手段の温度を検出するための温度検出手段と、前記第2排気浄化手段に流入する排気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記分岐部のそれぞれに導かれる排気流量を調整する排気流量調整手段と、をさらに具備し、前記複数の分岐部のそれぞれの第1排気浄化手段に個別に燃料を添加する燃料添加弁を有し、前記第2排気浄化手段は、再生に適した温度域よりも低温の活性温度域かつ所定の空燃比範囲で浄化性能を発揮する触媒を含み、前記再生制御手段は、前記再生処理の実行中、前記温度検出手段にて検出される温度が前記活性温度域に維持され、かつ、前記空燃比検出手段にて検出される空燃比が前記所定の空燃比範囲に維持されるように前記排気流量調整手段を介して前記複数の分岐部のそれぞれを通過する排気流量を制御してもよい(請求項4)。
【0013】
この形態によれば、再生処理中の分岐部から集合部に導かれる高温かつ燃料量の多い排気の流量と、再生処理の対象から除外されている分岐部から集合部に導かれる低温かつ燃料量の少ない排気の流量との比率を排気流量調整手段にて調整することにより、第2排気浄化手段に導入される排気の温度及び空燃比を、第2排気浄化手段に含まれる触媒が浄化性能を発揮する活性温度域かつ空燃比範囲に制御することができる。これにより、再生処理中でも集合部の第2排気浄化手段の浄化性能を十分に発揮させ、排気エミッションの悪化を抑えることができる。
【0014】
排気流量調整手段を利用して第2排気浄化手段に導入される排気の空燃比を制御する形態においては、さらに、前記第1排気浄化手段が吸蔵還元型NOx触媒を含み、前記第2排気浄化手段が、前記所定の空燃比範囲として、理論空燃比よりも空気量が多いリーン域でサルフェートに対する浄化性能を発揮する触媒を含んでいてもよい(請求項5)。
【0015】
分岐部の第1排気浄化手段がNOx吸蔵還元型触媒を含む場合、その硫黄被毒を解消するための再生処理を実行するには触媒を活性温度域よりも高温に加熱し、かつ触媒に導入される排気の空燃比を理論空燃比よりも燃料量が多いリッチ域に制御する必要がある。しかし、全ての第1排気浄化手段を同時に再生処理する場合、あるいは分岐部を設けることなく単一の第1排気浄化手段を第2排気浄化手段の上流に配置する場合には、第1排気浄化手段に導入される排気の空燃比を深いリッチ状態、つまり燃料量の比率が理論空燃比よりもリッチ側に大きく偏った状態に制御すると、後段(下流)の排気浄化手段に導入される排気の空燃比もリッチ側に偏り、前段(上流)の排気浄化手段の硫黄被毒再生処理で発生したサルフェートを後段の排気浄化手段で浄化することができず、サルフェート白煙、あるいは悪臭が生じる。このような不都合を解消する一手段として、前段の排気浄化手段の再生処理中の空燃比を比較的浅いリッチ状態、つまり理論空燃比に近いリッチ状態に制限することが考えられるが、空燃比が浅いリッチ状態に制御された環境では硫黄被毒の解消が緩やかに進行するため、再生に必要な時間が長時間化する。再生処理が長くなれば再生処中の排気浄化手段の熱劣化のリスクが増大し、あるいは還元剤として供給する燃料量が増えて燃費悪化を招く、といった不都合が生じる。
【0016】
これに対して、本発明の上記形態によれば、少なくとも一つの分岐部の第1排気浄化手段を再生処理の対象から除外し、かつ、再生処理中の分岐部の排気流量と再生対象外の分岐部の排気流量との比率を排気流量調整弁で調整しているので、再生処理中であっても、集合部の第2排気浄化手段に導かれる排気の空燃比をサルフェート浄化に必要なリーン域へと制御することができる。このため、再生処理の対象の第1排気浄化手段に流入する排気の空燃比を比較的深いリッチ状態に制御することができ、これにより、硫黄被毒の再生を短時間で完了し、第1排気浄化手段の熱劣化を防止し、あるいは再生で添加する燃料量を削減して燃費を向上させることができる。さらに、再生中に第1排気浄化手段に流入する排気の空燃比を浅いリッチ状態に制限する必要がなくなるので、再生時の目標空燃比の幅が拡大し、再生処理に関する制御の安定性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、少なくとも一つの分岐部の第1排気浄化手段を再生処理の対象から除外し、かつ他の分岐部の第1排気浄化手段に対して再生処理を実行する処理サイクルを繰り返して全ての分岐部の第1排気浄化手段を再生するようにしたので、分岐部の全ての第1排気浄化手段を同時に再生処理する場合と比較して、集合部の第2排気浄化手段に流入する排気の温度を低下させ、それにより第2排気浄化手段の熱劣化を抑制することができる。しかも、分岐部の第1排気浄化手段に対する再生が必要と判定された場合に処理サイクルを繰り返す一方で、再生不要と判定された場合は全ての第1排気浄化手段に対する再生処理を禁止するようにしたので、再生処理を要しない期間では全ての第1排気浄化手段を排気浄化に利用することができる。これにより、第1排気浄化手段に必要な容量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は本発明の一形態に係る排気浄化装置とこれが適用される内燃機関の概略を示している。内燃機関1は、車両の走行用の動力源として使用される4気筒直列式のディーゼルエンジンとして構成されている。以下では内燃機関1をエンジン1と略称する。エンジン1の排気通路2には、互いに並列な一対の分岐部3A、3Bと、それらの分岐部3A、3Bの合流箇所4から下流に延びる集合部5とが設けられている。分岐部3A、3Bは排気マニホールド2aの直下に設けられている。分岐部3A、3Bのそれぞれには第1排気浄化手段として前段触媒装置6A、6Bが設けられ、集合部5には第2排気浄化手段として後段触媒装置7が設けられている。前段触媒装置6A、6Bは、いずれもディーゼルエンジンの排気中に含まれる粒子状物質を捕捉する機能を備えたパティキュレートフィルタに、酸化機能を有する触媒を担持させた構成を備えている。酸化機能を有する触媒としては、吸蔵還元型NOx触媒、選択還元式NOx触媒等が存在するが、以下では、前段触媒装置6A、6Bに吸蔵還元型NOx触媒が使用されているものとして説明を続ける。一方、後段触媒装置7は前段触媒装置6A、6Bで処理し切れない排気エミッションを処理するためのものでスイーパ触媒と呼ばれることがある。後段触媒装置7は、サルフェートを浄化可能な触媒を含む。
【0019】
前段触媒装置6A、6Bは排気マニホールド2aの直下に配置されるいわゆるマニバータ方式の触媒装置である。一方、後段触媒装置7は一例として車両の床下に設置される。前段触媒装置6A、6Bのそれぞれの容量は、排気通路2に分岐部3A、3Bを設けることなく、これらの前段触媒装置6A、6Bを単一の前段触媒装置に置き換え、その単一の前段触媒装置と後段触媒装置7とによって排気を浄化すると仮定し、その単一の前段触媒装置に要求される容量を要求容量と定義した場合、その要求容量の1/2よりも大きくかつ要求容量よりも小さい範囲に設定される。後段触媒装置7の容量は各前段触媒装置6A、6Bのそれよりも大きく設定される。
【0020】
前段触媒装置6A、6Bは、堆積したパティキュレートの酸化、あるいは硫黄被毒の解消のために定期的な再生処理を必要とする再生式の触媒装置である。パティキュレートの酸化を目的としたPM再生処理、あるいは硫黄被毒の解消を目的とした硫黄被毒再生処理では、前段触媒装置6A、6Bを排気浄化、より具体的にはNOxの吸蔵に適した活性温度域よりも高温の再生温度域まで昇温させる必要がある。さらに、硫黄被毒再生処理では、前段触媒装置6A、6Bに流入する排気の空燃比を理論空燃比よりも燃料量が多いリッチ域に制御する必要がある。このような再生処理を実行するため、分岐部3A、3Bのそれぞれの前段触媒装置6A、6Bの上流には、前段触媒装置6A、6Bに流入する排気に燃料を添加する燃料添加弁8A、8Bが設けられている。これらの燃料添加弁8A、8Bは分岐部3A、3Bのそれぞれの前段触媒装置6A、6Bに対して個別に再生処理を実行可能な再生実行手段として機能する。さらに、分岐部3A、3Bには、前段触媒装置6A、6Bの温度を検出する温度センサ9A、9B、及び分岐部3A、3Bのそれぞれに導かれる排気流量を調整するための排気流量調整手段としての流量調整弁10A、10Bが設けられている。一方、集合部5の後段触媒装置7の上流には後段触媒装置7に流入する排気の空燃比を検出する空燃比検出手段としての空燃比センサ11が設けられ、後段触媒装置7の下流には後段触媒装置7の温度を検出する温度検出手段としての温度センサ12が設けられている。
【0021】
燃料添加弁8A、8B及び流量調整弁10A、10Bの動作はエンジンコントロールユニット(ECU)15にて制御される。ECU15はエンジン1の燃料噴射量、吸入空気量、動弁特性等を制御するためのコンピュータユニットとして構成されている。ECU15は、エンジン1の通常運転時において、前段触媒装置6A、6Bに流入する排気の空燃比を理論空燃比よりも空気量の多いリーン域に制御して前段触媒6A、6Bの温度をNOx浄化に適した活性温度域に維持する。また、ECU15は、前段触媒装置6A、6BのNOx吸蔵量が飽和しない周期で燃料添加弁8A、8Bから燃料を短時間噴射して前段触媒装置6A、6Bに流入する排気の空燃比を一時的にリッチ域に変化させるいわゆるリッチスパイク制御をも実行する。これらの制御は公知の排気浄化装置と同様でよい。なお、ECU15は、通常運転中、つまり前段触媒装置6A、6Bに対する再生処理が必要とされていない期間では、分岐部3A、3Bに略等量の排気が導かれるように流量調整弁10A、10Bのそれぞれの開度を調整する。例えば、流量調整弁10A、10Bをそれぞれ全開状態に制御する。リッチスパイク制御の実行時においては、流量調整弁10A、10Bを通常運転中と同様に制御してもよいが、流量調整弁10A、10Bを交互に開閉して分岐部3A、3B毎に交互にリッチスパイク制御を実行してもよい。
【0022】
さらに、ECU15は、図2及び図3に示すPM再生処理ルーチン、並びに図4及び図5に示す硫黄被毒再生ルーチンを実行することにより、前段触媒装置6A、6BのPM再生処理又は移動被毒再生処理を実行する。まず、図2及び図3を参照してPM再生処理ルーチンを説明する。PM再生処理ルーチンはECU15が実行する他の様々な処理と並行して適当な周期で繰り返し実行される。
【0023】
図2のPM再生処理ルーチンにおいて、ECU15はまずステップS11にて前段触媒装置6A、6Bに対するPM再生処理の要否を判定する。PM再生処理の要否は公知の排気浄化装置と同様に行うことができる。例えば、前段触媒装置6A、6Bにおけるパティキュレートの堆積量を前段触媒装置6A、6Bの前後における圧力損失、エンジン1の運転時間、車両の走行距離といったパティキュレートの堆積量に相関する物理量に基づいて推定し、その推定値が所定の許容値を超えたときにPM再生が必要と判定することができる。なお、パティキュレートの堆積量が許容値を超える状況であっても、何らかの理由によりPM再生処理を実行すべきでない場合、つまり、PM再生処理に対する禁止条件が成立しているか否かを併せて判定し、禁止条件が成立する場合をPM再生処理が不要な場合の一態様として判定してもよい。
【0024】
PM再生処理が必要と判定された場合、ECU15はステップS12に進み、前段触媒装置6A、6BのPM再生処理時における目標再生温度Ttrg_M、並びにPM再生処理中における後段触媒装置7の目標温度上限Ttrg_UF_H及び目標温度下限Ttrg_UF_Lをそれぞれ設定する。目標再生温度Ttrg_Mはパティキュレートの燃焼に必要な温度域(一例として600°C程度)に設定され、その温度域は一般に前段触媒装置6A、6BのNOx浄化処理に適した活性温度よりも高温である。一方、後段触媒目標温度上限Ttrg_UF_Hは後段触媒装置7が熱劣化を生じる温度よりも低温に設定され、より好ましくは後段触媒装置7の活性温度域(一例として350°C±α)の上限温度又はこれよりも幾らか低温に設定される。目標温度下限Ttrg_UF_Lは後段触媒装置7の活性温度域の下限温度又はこれよりも幾らか高温に設定される。
【0025】
続くステップS13において、ECU15は、一方の前段触媒装置6AのみをPM再生処理の対象として、その前段触媒装置6Aが設けられた分岐部3Aの燃料添加弁8Aから燃料を添加して前段触媒装置6Aを昇温させることにより、前段触媒装置6AのPM再生処理を開始する。この場合、温度センサ9Aが検出する前段触媒装置6Aの温度Tb_Maが前段触媒目標再生温度Ttrg_Mに一致するように燃料添加弁8Aからの燃料添加量が制御される。また、他方の前段触媒装置6BはPM再生処理の対象から除外され、その前段触媒装置6Bが設けられた分岐部3Bの燃料添加弁8Bからは燃料が添加されない。
【0026】
続くステップS14において、ECU15は温度センサ12が検出する後段触媒装置7の温度Tb_UFが目標温度下限Ttrg_UF_Lから目標温度上限Ttrg_UF_Hの範囲(以下、これを後段触媒装置7の目標温度範囲と呼ぶ。)にあるか否かを判定する。温度Tb_UFが目標温度上限Ttrg_UF_Hよりも高温、又は目標温度下限Ttrg_UF_Lよりも低温と判定された場合、ECU15はステップS15に進み、後段触媒装置7の温度Tb_UFがその目標温度範囲内に変化するように流量調整弁10A、10Bの開度を調整する。例えば、温度Tb_UFが目標温度上限Ttrg_UF_Hよりも高温側にずれている場合には、PM再生処理の対象とされている前段触媒装置6Aと同一の側の流量調整弁10Aの開度を減少させる操作、及びPM再生処理の対象から除外されている前段触媒装置6Bと同一の側の流量調整弁10Bの開度を増加させる操作の少なくともいずれか一方の操作を実行する。温度Tb_UFが目標温度下限Ttrg_UF_Lよりも低温側にずれている場合には、PM再生処理の対象とされている前段触媒装置6Aと同一の側の流量調整弁10Aの開度を増加させる操作、及びPM再生処理の対象から除外されている前段触媒装置6Bと同一の側の流量調整弁10Bの開度を減少させる操作の少なくともいずれか一方の操作を実行する。なお、この場合の流量調整弁10A、10Bの操作量は、目標温度範囲に対する触媒温度Tb_UFのずれ量に基づいて設定すればよい。ステップS15を実行した後、ECU15はステップS14へ戻る。
【0027】
一方、ステップS14にて後段触媒装置7の温度Tb_UFが目標温度範囲内にあると判断した場合、ECU15はステップS16へ進み、PM再生処理が終了したか否かを判断する。PM再生処理の終了は、例えばPM再生処理の継続時間、PM再生処理中に温度センサ9Aが検出する温度履歴、燃料添加弁8Aからの燃料添加量の積算値といった、パティキュレートの酸化燃焼の進行に相関する物理量に基づいて判別することができる。そして、ECU15は、ステップS16でPM再生処理が終了していないと判定した場合にはステップS14へ戻り、PM再生処理が終了したと判定した場合は図3のステップS17へ進む。
【0028】
ステップS17において、ECU15は、PM再生処理の対象となる前段触媒装置を前段触媒装置6Aから前段触媒装置6Bへと交替させ、その前段触媒装置6Bが設けられた分岐部3Bの燃料添加弁8Bから燃料を添加して前段触媒装置6Bを昇温させることにより、前段触媒装置6BのPM再生処理を開始する。この場合、温度センサ9Bが検出する前段触媒装置6Bの温度Tb_Mbが前段触媒目標再生温度Ttrg_Mに一致するように燃料添加弁8Bからの燃料添加量が制御される。先にPM再生処理を実行した前段触媒装置6AはPM再生処理の対象から除外され、その前段触媒装置6Aが設けられた分岐部3Aの燃料添加弁8Aからは燃料が添加されない。
【0029】
PM再生処理の開始後、ECU15はステップS18に進む。ステップS18〜S20までの処理は、PM再生処理の対象が前段触媒装置6Bに変更され、それに伴って流量調整弁10A、10Bが入れ替えられる点を除いて図2のステップS14〜S16と同様であり、説明を省略する。ECU15は、ステップS20にて前段触媒装置6BのPM再生処理が終了したと判定した場合、ステップS21へ進む。ステップS21において、ECU15は流量調整弁10A、10Bの開度をリセット、すなわちPM再生処理を実行する前の開度に戻し、その後、PM再生処理ルーチンを終了する。また、図2のステップS11にてPM再生処理が不要と判定された場合、ECU15はステップS12以下の処理をスキップしてPM再生処理ルーチンを終える。これにより、PM再生処理が不要な場合には全ての前段触媒装置6A、6Bに対するPM再生処理が禁止される。
【0030】
次に、図4及び図5を参照して硫黄被毒再生処理ルーチンを説明する。硫黄被毒再生処理ルーチンは、ECU15が実行する他の様々な処理と並行して適当な周期で繰り返し実行される。図4の硫黄被毒再生処理ルーチンにおいて、ECU15はまずステップS31にて前段触媒装置6A、6Bに対する硫黄被毒再生処理の要否を判定する。硫黄被毒再生処理の要否は公知の排気浄化装置と同様に行うことができる。例えば、燃料中の硫黄成分が硫黄被毒量と密接に関係することから、ECU15が演算する燃料噴射量の積算値を利用して硫黄被毒量を推定し、その推定値が所定の許容値を超えたときに硫黄被毒再生処理が必要と判定することができる。車両の燃料タンクに蓄えられた燃料中の硫黄成分の濃度をセンサで検出して硫黄被毒量の推定精度を向上させてもよい。なお、硫黄被毒量が許容値を超える状況であっても、何らかの理由により硫黄被毒再生処理を実行すべきでない場合、つまり、硫黄被毒再生処理に対する禁止条件が成立しているか否かを併せて判定し、禁止条件が成立する場合を硫黄被毒再生処理が不要な場合の一態様として判定してもよい。
【0031】
硫黄被毒再生処理が必要と判定された場合、ECU15はステップS32に進み、前段触媒装置6A、6Bの硫黄被毒再生処理時における目標再生温度Ttrg_M、並びに硫黄被毒再生処理中における後段触媒装置7の目標温度上限Ttrg_UF_H及び目標温度下限Ttrg_UF_Lをそれぞれ設定する。目標再生温度Ttrg_Mは前段触媒装置6Aに堆積した硫黄成分の除去に必要な温度域(一例として650°C程度)に設定され、その温度域は一般に前段触媒装置6A、6BのNOx浄化処理に適した活性温度よりも高温である。後段触媒目標温度上限Ttrg_UF_H及び目標温度下限Ttrg_UF_LはPM再生処理のそれらと同等でよい。
【0032】
続くステップS33において、ECU15は、一方の前段触媒装置6Aのみを硫黄被毒再生処理の対象として、その前段触媒装置6Aが設けられた分岐部3Aの燃料添加弁8Aから燃料を添加して前段触媒装置6Aを昇温させることにより、前段触媒装置6Aの硫黄被毒再生処理を開始する。この場合、温度センサ9Aが検出する前段触媒装置6Aの温度Tb_Maが前段触媒目標再生温度Ttrg_Mに一致し、かつ前段触媒装置6Aに流入する排気の空燃比がリッチ域に設定された目標空燃比に一致するように燃料添加弁8Aからの燃料添加量が制御される。また、他方の前段触媒装置6Bは硫黄被毒再生処理の対象から除外され、その前段触媒装置6Bが設けられた分岐部3Bの燃料添加弁8Bからは燃料が添加されない。空燃比の制御のために流量調整弁10Aの開度がさらに調整されてもよい。
【0033】
続くステップS34において、ECU15は温度センサ12が検出する後段触媒装置7の温度Tb_UFが目標温度下限Ttrg_UF_Lから目標温度上限Ttrg_UF_Hの範囲(以下、これを後段触媒装置7の目標温度範囲と呼ぶ。)にあるか否か、及び、空燃比センサ11が検出する空燃比A/Fが後段触媒装置7における目標空燃比A/Ftrg_UFよりも大きいか否かを判別する。目標空燃比A/Ftrg_UFは理論空燃比よりもリーン域に幾らか偏った値に設定される。つまり、ステップS34では、後段触媒装置7の温度に加えて、後段触媒装置7に流入する排気の空燃比が所定のリーン域に制御されているか否かを判定する点で図2のステップS14と相違する。温度Tb_UFが目標温度上限Ttrg_UF_Hよりも高温、又は目標温度下限Ttrg_UF_Lよりも低温、又は空燃比A/Fが目標空燃比A/Ftrg_UFよりも大きいと判定された場合、ECU15はステップS35に進み、後段触媒装置7の温度Tb_UFがその目標温度範囲内に制御され、かつ空燃比A/Fが目標空燃比A/Ftrg_UF以下、つまりリーン域に制御されるように流量調整弁10A、10Bの開度を調整する。この場合、温度のずれに対する操作は図2のステップS15と同様に流量調整弁10A、10Bを操作すればよい。空燃比A/Fが目標空燃比A/Ftrgよりも大きい場合には、硫黄被毒再生処理の対象とされている前段触媒装置6Aと同一の側の流量調整弁10Aの開度を減少させる操作、及び硫黄被毒再生処理の対象から除外されている前段触媒装置6Bと同一の側の流量調整弁10Bの開度を増加させる操作の少なくともいずれか一方の操作を実行すればよい。ステップS35を実行した後、ECU15はステップS34へ戻る。
【0034】
一方、ステップS34にて後段触媒装置7の温度Tb_UFが目標温度範囲内にあり、かつ空燃比A/Fが目標空燃比A/Ftrg_UF以下であると判定された場合、ECU15はステップS36へ進み、硫黄被毒再生処理が終了したか否かを判断する。硫黄被毒再生処理の終了は、例えば硫黄被毒再生処理の継続時間、硫黄被毒再生処理中に温度センサ9Aが検出する温度履歴、燃料添加弁8Aからの燃料添加量の積算値といった、硫黄成分の除去の進行に相関する物理量に基づいて判別することができる。そして、ECU15は、ステップS36で硫黄被毒再生処理が終了していないと判定した場合にはステップS34へ戻り、硫黄被毒再生処理が終了したと判定した場合は図5のステップS37へ進む。
【0035】
ステップS37において、ECU15は、硫黄被毒再生処理の対象となる前段触媒装置を前段触媒装置6Aから前段触媒装置6Bへと交替させ、その前段触媒装置6Bが設けられた分岐部3Bの燃料添加弁8Bから燃料を添加して前段触媒装置6Bを昇温させることにより、前段触媒装置6Bの硫黄被毒再生処理を開始する。この場合、温度センサ9Bが検出する前段触媒装置6Bの温度Tb_Mbが前段触媒目標再生温度Ttrg_Mに一致し、かつ前段触媒装置6Bに流入する排気の空燃比がリッチ域に設定された目標空燃比に一致するように燃料添加弁8Bからの燃料添加量が制御される。また、先に硫黄被毒再生処理が行われた前段触媒装置6Aは硫黄被毒再生処理の対象から除外され、その前段触媒装置6Aが設けられた分岐部3Aの燃料添加弁8Aからは燃料が添加されない。空燃比の制御のために流量調整弁10Bの開度がさらに調整されてもよい。
【0036】
硫黄被毒再生処理の開始後、ECU15はステップS38に進む。ステップS38〜S40までの処理は、硫黄被毒再生処理の対象が前段触媒装置6Bに変更され、それに伴って流量調整弁10A、10Bが入れ替えられる点を除いて図4のステップS34〜S36と同様であり、説明を省略する。ECU15は、ステップS40にて前段触媒装置6Bの硫黄被毒再生処理が終了したと判定した場合、ステップS41へ進んで流量調整弁10A、10Bの開度をリセット、すなわち硫黄被毒再生処理を実行する前の開度に戻し、その後、硫黄被毒再生処理ルーチンを終了する。また、図4のステップS31にて硫黄被毒再生処理が不要と判定された場合、ECU15はステップS32以下の処理をスキップして硫黄被毒再生処理ルーチンを終える。これにより、硫黄被毒再生処理が不要な場合には全ての前段触媒装置6A、6Bに対する硫黄被毒再生処理が禁止される。
【0037】
以上の形態によれば、一対の分岐部3A、3Bに設けられている前段触媒装置6A、6BのPM再生処理、あるいは硫黄被毒再生処理を片側の分岐部ずつ交互に実行しているので、両側の前段触媒装置6A、6Bを同時に昇温させて再生処理を実行する場合と比較して後段触媒装置7に流入する排気の温度を大幅に低下させることができる。その結果、前段触媒装置6A、6Bの再生処理中でも後段触媒装置7の温度を熱劣化が生じる温度よりも低温に抑えることができる。また、再生処理中に流量調整弁10A、10Bの開度を調整して後段触媒装置7の温度を活性温度域に維持し、その排気浄化性能を十分に発揮させて排気エミッションの大気への放出を抑えることができる。
【0038】
さらに、硫黄被毒再生処理においては、流量調整弁10A、10Bの開度制御によって後段触媒装置7に流入する排気の空燃比をリーン域に維持しているので、後段触媒装置7にてサルフェートを浄化することができる。このため、サルフェート白煙、あるいは悪臭防止を目的として硫黄被毒再生処理中における前段触媒装置6A、6Bの空燃比を浅いリッチ状態に制限する必要がなくなり、空燃比を比較的深いリッチ状態に制御して短時間で硫黄被毒再生処理を完了することができる。これにより、硫黄被毒再生処理中の前段触媒装置6A、6Bの熱劣化、あるいは燃費の悪化を抑えることができる。さらに、硫黄被毒再生処理中の空燃比を浅いリッチ状態に制限する必要がなくなるため、硫黄再生被毒中に前段触媒装置6A、6Bに流入する排気の目標空燃比の幅を拡大することができる。再生制御の安定性が向上する。
【0039】
以上の形態においては、ECU15が図2のステップS11及び図4のステップS31を実行することにより本発明の判定手段として機能し、ECU15が図2及び図3のステップS12〜S21、並びに図4及び図5のステップS32〜S41を実行すること、さらにはステップS11及びS31が否定判断された場合にこれらのステップS12〜21、S32〜S41の処理をスキップすることにより本発明の再生制御手段として機能する。また、図2及び図3のPM再生処理ルーチンでは、ステップS13〜S16が一回の処理サイクルに相当し、ステップS17〜S20が他の一回の処理サイクルに相当する。図4及び図5の硫黄被毒再生処理ルーチンでは、ステップS33〜S36が一回の処理サイクルに相当し、ステップS37〜S40が他の一回の処理サイクルに相当する。
【0040】
本発明は以上の形態に限定されることなく、適宜の形態にて実施してよい。例えば、分岐部に配置される第1排気浄化手段は昇温操作を伴う再生処理を必要とするものであればよく、パティキュレートフィルタに吸蔵還元型NOx触媒を担持させた触媒装置に限られない。例えば、パティキュレートフィルタのみ、又はNOx触媒のみを第1排気浄化手段として設けてもよいし、パティキュレートフィルタ及びNOx触媒を排気の流れ方向に直列に配置した構成を第1排気浄化手段として採用してもよい。
【0041】
集合部に配置される第2排気浄化手段も適宜に変更可能である。上記の形態では硫黄被毒再生処理時に発生するサルフェートの浄化のために、第2排気浄化手段における空燃比をリーン域に制御しているが、例えば、第2排気浄化手段が三元触媒のように理論空燃比で浄化性能を発揮する触媒を含む場合には、再生処理中の第2排気浄化手段の空燃比が理論空燃比に制御されるように排気流量調整手段を操作してもよい。第1排気浄化手段が硫黄被毒再生処理を必要としないものであれば、第2排気浄化手段における空燃比を考慮した排気流量調整手段の操作は省略してよい。第2排気浄化手段が排気浄化に適した活性温度域を有する場合には排気流量調整手段を利用した第2排気浄化手段の温度制御を行うことが好ましいが、第2排気浄化手段の排気浄化性能が温度依存性を有しない場合、例えば第2排気浄化手段がパティキュレートフィルタのみで構成されている場合においては、第2排気浄化手段の温度及び空燃比を考慮した排気流量調整手段の制御は省略してよい。
【0042】
分岐部の数は2本に限らず、3本以上でもよい。3本以上の分岐部が設けられる場合、一回の処理サイクルでは少なくとも一つの分岐部における第1排気浄化手段を再生処理の対象から除外し、他の分岐部における第1排気浄化手段を再生処理の対象として再生処理を実行すればよい。再生処理のための昇温は燃料添加弁によって実現する例に限らず、分岐部に設けたヒータ等の加熱手段によって実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一形態に係る排気浄化装置とこれが適用される内燃機関の概略を示す図。
【図2】図1のECUにて実行されるPM再生処理ルーチンを示すフローチャート。
【図3】図2に続くフローチャート。
【図4】図1のECUにて実行される硫黄被毒再生処理ルーチンを示すフローチャート。
【図5】図4に続くフローチャート。
【符号の説明】
【0044】
1 内燃機関
2 排気通路
3A、3B 分岐部
4 分岐部の合流箇所
5 集合部
6A、6B 前段触媒装置(第1排気浄化手段)
7 後段触媒装置(第2排気浄化手段)
8A、8B 燃料添加弁(再生実行手段)
9A、9B 温度センサ
10A、10B 流量調整弁
11 空燃比センサ
12 温度センサ
15 エンジンコントロールユニット(判定手段、再生制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路の互いに並列な複数の分岐部のそれぞれに設けられた再生式の第1排気浄化手段と、
前記複数の分岐部の合流箇所から下流に延びる排気通路の集合部に設けられた第2排気浄化手段と、
前記複数の分岐部のそれぞれの第1排気浄化手段を個別に昇温してこれらの第1排気浄化手段に対して再生処理を実行可能な再生実行手段と、
前記第1排気浄化手段の再生処理の要否を判定する判定手段と、
前記判定手段により再生処理が必要と判定された場合には前記第1排気浄化手段に対する再生処理が実行され、前記再生処理が不要と判定された場合には全ての第1排気浄化手段に対する再生処理が禁止されるように前記再生実行手段を制御する再生制御手段と、を具備し、
前記再生制御手段は、前記再生処理が必要と判定された場合、少なくとも一つの分岐部の第1排気浄化手段を再生処理の対象から除外しかつ他の分岐部の排気浄化手段に対して再生処理を実行する処理サイクルが、前記再生処理の対象から除外する第1排気浄化手段を順次切り替えつつ繰り返されることにより、全ての第1排気浄化手段が再生処理されるように前記再生実行手段を制御する、ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記第2排気浄化手段の温度を検出するための温度検出手段と、前記分岐部のそれぞれに導かれる排気流量を調整する排気流量調整手段と、をさらに具備し、前記第2排気浄化手段は、再生に適した温度域よりも低温の活性温度域で浄化性能を発揮する触媒を含み、前記再生制御手段は、前記再生処理の実行中、前記温度検出手段にて検出される前記第2排気浄化手段の温度が前記活性温度域に維持されるように前記排気流量調整手段を介して前記複数の分岐部のそれぞれを通過する排気流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記第2排気浄化手段に流入する排気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記分岐部のそれぞれに導かれる排気流量を調整する排気流量調整手段と、をさらに具備し、前記再生実行手段は、前記複数の分岐部のそれぞれの第1排気浄化手段に個別に燃料を添加する燃料添加弁を有し、前記第2排気浄化手段は所定の空燃比範囲で浄化性能を発揮する触媒を含み、前記再生制御手段は、前記再生処理の実行中、前記空燃比検出手段にて検出される空燃比が前記所定の空燃比範囲に維持されるように前記排気流量調整手段を介して前記複数の分岐部のそれぞれを通過する排気流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記第2排気浄化手段の温度を検出するための温度検出手段と、前記第2排気浄化手段に流入する排気の空燃比を検出する空燃比検出手段と、前記分岐部のそれぞれに導かれる排気流量を調整する排気流量調整手段と、をさらに具備し、前記複数の分岐部のそれぞれの第1排気浄化手段に個別に燃料を添加する燃料添加弁を有し、前記第2排気浄化手段は、再生に適した温度域よりも低温の活性温度域かつ所定の空燃比範囲で浄化性能を発揮する触媒を含み、前記再生制御手段は、前記再生処理の実行中、前記温度検出手段にて検出される温度が前記活性温度域に維持され、かつ、前記空燃比検出手段にて検出される空燃比が前記所定の空燃比範囲に維持されるように前記排気流量調整手段を介して前記複数の分岐部のそれぞれを通過する排気流量を制御することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項5】
前記第1排気浄化手段が吸蔵還元型NOx触媒を含み、前記第2排気浄化手段が、前記所定の空燃比範囲として、理論空燃比よりも空気量が多いリーン域でサルフェートに対する浄化性能を発揮する触媒を含んでいる、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の排気浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−138861(P2007−138861A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335357(P2005−335357)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】