説明

再生弾性ローラの製造方法

【課題】電子写真プロセスを利用する画像形成装置の各種弾性ローラとして再利用可能な再生弾性ローラの製造方法を提供する。
【解決手段】軸芯体、及び表面層としての弾性層を有している弾性ローラの表面に固着しているワックスを含有したトナーを含む固着物を除去する工程を含む再生弾性ローラの製造方法であって、前記工程は、(1)該弾性ローラを加熱して、該固着物の表面にワックスを移行するように該固着物を軟化させる工程と、(2)該工程(1)によって表面にワックスが移行した該固着物の外表面にプラズマを照射する工程と、(3)該弾性層の表面に、該工程(2)によってプラズマを照射した該固着物を被覆するように液状粘着剤を塗布することにより液状粘着剤層を形成し、該液状粘着剤層を乾燥固化させて、該固着物と一体化した剥離層を形成する工程と、(4)該剥離層を該弾性層から剥離して該弾性層表面から該固着物を除去する工程と、を有することを特徴とする再生弾性ローラの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に用いられる再生弾性ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置等の電子写真方式を利用した画像形成装置には、現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ、定着ローラ、クリーニングローラ等の表面層として弾性層を備えた弾性ローラ(以降、「弾性ローラ」と称す。)が用いられている。このような弾性ローラの外周面には、使用に伴い、現像剤を構成しているトナーや外添剤等が付着し、徐々に堆積していく。画像形成装置内において、これら弾性ローラの表面は、種々のクリーニング手段によってクリーニングされている場合もある(特許文献1、2)。しかし、長期の使用により、当該クリーニング手段によっては除去できなかった上記トナーや外添剤等の現像剤の成分が、弾性ローラの表面に固着してしまう場合がある。特に、現像ローラは、表面にトナーが押し潰されて固着される固着物(以降、「トナー由来の固着物」或いは単に「固着物」という)が形成される傾向が顕著である。このような固着物は、上記特許文献1、2に開示されているクリーニング手段で除去することは困難である。しかし、環境負荷の軽減の観点から、固着物が表面に形成された弾性ローラを再び高品位な電子写真画像の形成に供することができるように再生するための技術開発の必要性が高まっている。特許文献3は、使用後の現像ローラ上の固着物を除去し、使用後の現像ローラを再生する技術を開示している。即ち、特許文献3に記載される方法は、使用後の現像ローラの表面をテープ研磨材、ウォータージェット又は砥石で表面処理して、使用済みの現像ローラを再生する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−101659号公報
【特許文献2】特開平04−336582号公報
【特許文献3】特開平08−328375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、本発明者等が上記特許文献3に係る発明に係る方法を弾性ローラに適用したところ、弾性層の表面を損傷してしまうことがあった。帯電ローラや現像ローラの表面に不規則な傷等があると、帯電ムラや現像ムラを生じさせ、画像品位に影響を及ぼすことがある。そこで、本発明の課題は、電子写真プロセスを利用する画像形成装置の各種弾性ローラを、弾性層の表面を損傷することなく、再利用可能な再生弾性ローラとして製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る再生弾性ローラの製造方法は、軸芯体、及び表面層としての弾性層を有している弾性ローラの表面に固着しているワックスを含有したトナーを含む固着物を除去する工程を含む再生弾性ローラの製造方法であって、前記工程は、
(1)該弾性ローラを加熱して、該固着物の表面にワックスを移行するように該固着物を軟化させる工程と、
(2)該工程(1)によって表面にワックスが移行した該固着物の表面にプラズマを照射する工程と、
(3)該弾性層の表面に、該工程(2)によってプラズマを照射した該固着物を被覆するように液状粘着剤を塗布することにより液状粘着剤層を形成し、該液状粘着剤層を乾燥固化させて、該固着物と一体化した剥離層を形成する工程と、
(4)該剥離層を該弾性層から剥離して該弾性層表面から該固着物を除去する工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表面の固着物を除去する際の、弾性ローラへの物理的なダメージの発生を抑え、電子写真プロセスを利用する画像形成装置の各種弾性ローラとして再び使用可能な再生弾性ローラが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る弾性ローラの断面図である。
【図2】弾性ローラの電気抵抗を測定する装置の概略図である。
【図3】本発明に係る再生弾性ローラの製造に用い得るプラズマ処理装置の説明図である。
【図4】本発明に係る再生弾性ローラの製造に用い得るコート装置の説明図である。
【図5】本発明に係る再生弾性ローラの製造に用い得るコート装置の説明図である。
【図6】本発明に係る再生弾性ローラの製造に用い得るコート装置の説明図である。
【図7】本発明に係る再生弾性ローラの製造に用い得る剥離装置の説明図である。
【図8】本発明に係る再生弾性ローラの製造に用い得る剥離装置の説明図である。
【図9】本発明に係る電子写真画像形成装置の成図である。
【図10】弾性ローラ表面の研磨装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明の再生弾性ローラの製造方法は、軸芯体、及び表面層としての弾性層を有する弾性ローラの表面に固着しているワックスを含有したトナーを含む固着物を除去する工程を有する。そして、該工程は下記(1)から(4)の工程を含む。
(1)該弾性ローラを加熱して、該固着物の表面にワックスを移行するように該固着物を軟化させる工程。
(2)該工程(1)によって表面にワックスが移行した該固着物の外表面にプラズマを照射する工程。
(3)該弾性層の表面に、該工程(2)によってプラズマを照射した該固着物を被覆するように液状粘着剤を塗布することにより液状粘着剤層を形成し、該液状粘着剤層を乾燥固化させて、該固着物と一体化した剥離層を形成する工程。
(4)該剥離層を該弾性層から剥離して該弾性層表面から該固着物を除去する工程。
【0009】
本発明者らは、電子写真プロセスを反復して、ワックスを含有したトナーを含む固着物が表面に付着した弾性ローラを、次の工程を行なうことで弾性ローラを損傷せずに固着物を除去できることを見出した。すなわち、該固着物が付着した弾性ローラを加熱した後、固着物の表面にプラズマを照射し、固着物を被覆するように液状粘着剤からなる剥離層を形成し、この剥離層を剥離することにより固着物を除去する。
【0010】
弾性ローラが現像ローラの場合、トナーの搬送性を考慮してローラ表面に凹凸形状を有しており、帯電ローラの場合にも、放電均一性を高めるためにローラ表面は粗面化されている。このため、弾性ローラ表面に形成されたワックスを含有したトナーを含む固着物の多くは、電子写真感光体等に圧接されて弾性ローラ表面の微小な凹凸に入り込み、最終的に層状の固着物となり、弾性ローラの表面に強固に密着する。このような固着状態の場合、表面を研磨するのみでは、ローラ表面の凸部の固着物は除去できるが、凹部の固着物は完全には除去できない。
【0011】
本発明者らは、上記の方法によって、ワックスを含有したトナーを含む固着物を弾性ローラの表面から効率よく除去することができ、その結果として高品位な再生弾性ローラを得られるものである。そして、その理由を以下のように考えている。
【0012】
理由のひとつとしては、弾性ローラ表面の固着物上に液状粘着剤を塗布して剥離層を形成し、この剥離層を剥離することにより固着物を除去することが挙げられる。このように液状粘着剤を用いることにより弾性ローラ表面の微小な凹凸へも粘着剤が入り込んで剥離層を形成し、この剥離層を剥離することにより効率よく凹凸部の固着物を除去できるからである。
【0013】
さらに別の理由としは、弾性ローラを加熱処理し、プラズマ照射することにより、(弾性層と固着物の密着力)<(固着物と剥離層の密着力)を達成できるからである。つまり、たとえ粘着剤が弾性ローラ表面の微小な凹凸へも入り込んだとしても、(弾性ローラと固着物の密着力)>(固着物と剥離層の密着力)となる場合には、単に固着物上に剥離層を形成して剥離しても、固着物を弾性ローラの表面から十分に除去できない。このような課題に対し、本発明のように弾性ローラを加熱処理することにより、軟化温度が低く極性が小さいワックスが固着物の表面に移行する。ここで、固着物の表面とは、固着物の外周部全体のことを指し、固着物と弾性ローラとの界面部分も含む。また、固着物の外表面とは、固着物と弾性ローラとの界面部分を除く、固着物と外界との界面部分にあたる固着物の表面を指す。ワックスが固着物の表面に移行することにより、固着物と弾性ローラとの密着力が低下する。しかし、加熱工程を経ることにより、固着物と剥離層との密着力も低下してしまうため、固着物の外表面にプラズマを照射することにより、固着物外表面に移行しているワックスを除去できる。そうすることで(弾性層と固着物の密着力)<(固着物と剥離層の密着力)を達成でき、剥離層を弾性層から剥離することにより固着物を除去できる。
【0014】
ここで、プラズマ処理することによりワックスが除去できる理由としては、プラズマ中で発生する高エネルギーの荷電粒子が衝突することにより、固着物の外表面のワックスがスパッタリングにより除去されたり、熱エネルギーにより昇華したりする。その結果、固着物外表面のワックスが除去されたものと考える。
【0015】
ここで、工程(1)においては、固着物の表面にワックスを移行させるように弾性ローラを加熱することが必要である。固着物の表面にワックスが移行したか否かを判断する方法としては、固着物を有する弾性ローラ表面のメタノール(メチルアルコール)の接触角により判断する。弾性ローラを加熱する前後のメタノールの接触角を比較し、加熱後の接触角が加熱前の接触角よりも2°以上大きくなっている場合には、固着物の表面にワックスが移行したと判断できる。
【0016】
また、工程(2)においては、固着物の外表面に移行したワックスをプラズマ照射により除去することが重要である。固着物外表面のワックスの除去度合いを判断する方法としては、上記と同様にメタノールの接触角により判断できる。すなわち、プラズマ照射前後のメタノール接触角を比較し、プラズマ照射後の接触角がプラズマ照射前の接触角よりも2°以上小さくなっている場合には、固着物外表面のワックスが除去できたと判断できる。
【0017】
本発明者らの検討によれば、剥離層を形成する工程(3)および剥離層を剥離する工程(4)に先立って、固着物のワックスを固着物表面に移行させる工程(1)およびプラズマ照射する工程(2)を実施することが極めて重要な意義を有することが分かった。
【0018】
[弾性ローラ]
本発明の再生弾性ローラの製造方法における再生の対象となる弾性ローラは、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に備えられている各種弾性ローラである。具体的には、現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ、定着ローラ、クリーニングローラ等が挙げられる。かかる弾性ローラは、軸芯体と表面層としての弾性層を軸芯体の周囲に有する。
【0019】
<軸芯体>
弾性ローラの軸芯体は、その外周に弾性層等を支持し、電子写真プロセスにおける負荷に十分に耐え得る強度を有するものである。円柱状、円筒状いずれの形状のものも用いることができる。軸芯体の材質としては、弾性ローラに導電性が求められる場合には、炭素鋼、合金鋼及び鋳鉄、導電性樹脂等を挙げることができる。合金鋼として、具体的に、ステンレス鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼、クロム鋼、クロムモリブテン鋼、Al、Cr、Mo及びVを添加した窒化用鋼等を挙げることができる。
【0020】
<弾性層>
軸芯体周囲に設けられる弾性層としては、使用される装置において要求される弾性を弾性ローラに付与するために設けられる。具体的な構成としては、中実体、発泡体いずれであってもよく、また、単層であっても、複数の層で構成されていてもよい。例えば、現像ローラとしては、電子写真感光ドラム、現像ブレード、及び現像剤と常に圧接しているため、これらの部材間において相互に与えるダメージを低減し、低硬度、低圧縮永久歪みを満たすために弾性層が設けられる。
【0021】
弾性層の材質としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
上記弾性層には、弾性ローラに要求される機能に応じて導電剤、非導電性充填剤や、その他成型に必要な各種添加剤成分として、架橋剤、触媒、分散促進剤等が含有されていてもよい。
【0023】
弾性層に含有される導電剤としては、各種導電性金属又は合金、導電性金属酸化物、これらで被覆された絶縁性物質の微粉末等の電子導電剤や、イオン導電剤を用いることができる。これらの導電剤を含有させ、弾性層に、例えば、体積抵抗率として1×104〜1×1010Ω・cmを付与することができる。弾性層の体積抵抗率がこの範囲である現像ローラでは、トナーに対して均一な帯電制御性を有する。現像ローラの弾性層における体積抵抗率としてより好ましくは1×104〜1×109Ω・cmである。
【0024】
上記弾性層は、弾性ローラに要求される弾性を付与し、その硬度としては、例えば、アスカーC硬度が10度以上80度以下であることが好ましい。弾性層のアスカーC硬度が10度以上であれば、弾性層を構成するゴム材料からのオイル成分の滲出を抑制することができ、感光ドラムの汚染を抑制できる。また、弾性層のアスカーC硬度が80度以下であれば、トナーの劣化を抑制することができ、出力画像の画質の低下を抑制することができる。
【0025】
ここでアスカーC硬度は、基準規格アスカーC型SRIS(日本ゴム協会規格)0101に従って別途作製した試験片を用いて、アスカーゴム硬度計(高分子計器(株)製)により測定した測定値によって規定することができる。
【0026】
弾性層の厚さとしては、例えば、現像ローラの場合、0.5mm以上50mm以下を挙げることができ、より好ましくは1mm以上10mm以下である。
【0027】
上記弾性層の成形方法としては、例えば、押出成形、プレス成形、射出成形、液状射出成形、注型成形等各種成形法により、適切な温度および時間で加熱硬化させて軸芯体上に成形する方法を挙げることができる。軸芯体を設置した円筒形金型内に未硬化の弾性層材料を注入し、加熱硬化する方法によって、軸芯体周囲に弾性層を精度よく成形することができる。
【0028】
<機能性弾性層>
上記弾性ローラは、要求される機能性を有するものとするため、弾性層上又は下に1種又は2種以上の機能性弾性層が設けられたものであってもよい。機能性弾性層は弾性ローラ表面を保護し、耐磨耗性を付与し、トナーの付着を抑制する表面層等であってもよい。このような表面層のバインダー樹脂として、例えば、以下のものを例示することができる。エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、珪素樹脂、ポリエステル樹脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル樹脂。フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルウレタン樹脂、水系樹脂。これらは1種又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。これらのうち、ウレタン樹脂、アクリル系ウレタン樹脂等の含窒素樹脂が好ましい。これらの樹脂の表面層を有する現像ローラは、トナーを安定して帯電することができ、低タック性としてトナー等の付着を抑制し、またトナー等の剥離を容易にすることができる。
【0029】
ここで使用するウレタン樹脂はイソシアネート化合物とポリオールとから得られる。
【0030】
弾性層上にウレタン樹脂層をバインダー樹脂として含む表面層を設ける場合、弾性層に紫外線を照射した後に、未硬化の樹脂材料を含む塗工液の塗膜を設けることが好ましい。紫外線の照射により、ウレタン樹脂を構成するイソシアネートと化学結合を形成する水酸基を弾性層に発生させて、ウレタン樹脂層と弾性層との強固な結合を得ることができる。
【0031】
イソシアネート化合物として、具体的には、以下のものを例示することができる。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート。p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート。パラフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
ポリオールとして、具体的には、以下のものを例示することができる。2価のポリオール(ジオール)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール。ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール。1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール。3価以上のポリオールとして、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール。さらに、ジオール、トリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した高分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックグリコール等のポリオール。これらは組み合わせて用いることもでき、その混合割合は適宜決定される。
【0033】
これらのウレタン樹脂として、少なくとも末端に水酸基を有するポリウレタンプレポリマーとブロックイソシアネートとを、NCO当量([NCO]/[OH]の値)が1.1〜1.5の比率で混合、反応させた樹脂を主成分とすることが好ましい。NCO当量が1.1以上であれば、弾性層との密着性を有し、繰り返し再生処理に対し表面層が受ける損傷を抑制することができる。NCO当量が1.5以下であれば、表面層が高硬度になるのを抑制しトナーの固着を抑制することができる。
【0034】
上記表面層は、弾性ローラの電気抵抗を調整するため、導電剤を含有するものであってもよい。含有する導電剤としては、具体的には、上記弾性層に用いる導電剤として例示したものと同様のものを例示することができる。
【0035】
表面層の厚さとしては、1〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。表面層の厚さが1μm以上であれば磨耗等による弾性ローラの劣化を抑制し、耐久性に優れたものとでき、500μm以下であれば弾性ローラ表面が高硬度になるのを抑制し、トナーの劣化を抑制し、トナーの固着を抑制することができる。
【0036】
表面層の成形方法としては、例えば、未硬化の樹脂層材料を含有する塗工液を作成しディッピング法、ロールコート法、リングコート法、又はスプレー法等の塗工法により成形する方法を挙げることができる。
【0037】
<表面粗さ(Ra)>
このような弾性ローラは、その表面粗さRaが0.05μm以上2.5μm以下であることが、固着物の除去を容易にすることから、好ましい。更に、現像ローラの場合、現像剤の搬送を容易にすることができる。表面粗さRaが0.05μm以上であれば現像剤の搬送力を確保して、充分な画像濃度によりゴーストや濃度ムラを抑制し高品質の画像を得ることができる。また、表面粗さRaが2.5μm以下であれば、トナーの固着を抑制できる。弾性ローラにこのような表面粗さを付与するために、体積平均粒子径が1〜20μmの微粒子を分散させることができる。このような微粒子としては、ポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、シリコーンゴム微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリスチレン微粒子、アミノ樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子のプラスチックピグメントを用いることができる。
【0038】
表面粗さRaは、JIS B 0601:1994表面粗さの規格に準じ、接触式表面粗さ計サーフコム480A(東京精密製)を用いて測定した測定値によって規定することができる。具体的な測定条件は、半径2μmの触針を用い、押し付け圧0.7mN、測定速度0.3mm/sec、測定倍率5000倍、カットオフ波長0.8mm、測定長さ2.5mmである。この測定を、軸方向3点のそれぞれの周方向3点の合計9点について行い、それらの平均値を表面粗さRaとして採用する。
【0039】
<硬度>
弾性ローラの硬度としては、アスカーC硬度が20度以上80度以下であることが好ましく、30度以上70度以下であることが、固着物の除去を容易とするため、好ましい。
【0040】
このような弾性ローラとしては、具体的には、図1(a)及び図1(b)に示すものを一例として挙げることができる。図1(a)は弾性ローラの軸方向の断面図、図1(b)は弾性ローラの軸に直交する方向の断面図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、弾性ローラ4は、軸芯体1上に順次弾性層2、表面層3を有する。弾性層、表面層は単層構造のみならず、多層構造を有するものであってもよい。
【0041】
<電気抵抗>
弾性ローラの電気抵抗は、弾性ローラの使用形態により好ましい電気抵抗のものが適宜使用されるが、例えば弾性ローラを現像ローラとして使用する場合には、50Vの直流電圧印加時において104Ω以上106Ω以下の範囲にあることが好ましい。現像剤ローラの抵抗値が104Ω以上であれば、現像ブレードにバイアスを印加した場合でもブレードバイアスリークの発生を抑制することができ、106Ω以下であれば砂地画像の発生を抑制することができる。ここで、上記電気抵抗値は、図2に示す電気抵抗測定装置を用いて測定した測定値を採用することができる。弾性ローラ4を軸芯体の両端にそれぞれ4.9Nの荷重をかけて直径50mmの金属ドラム5に当接させて設置する。金属ドラム5を表面速度50mm/secで回転させ、弾性ローラ4を従動回転させる。金属ドラム5とグランドとの間に弾性ローラの電気抵抗に対して2桁以上電気抵抗が低い既知の電気抵抗を有する抵抗器Rを接続する。高圧電源HVから弾性ローラの軸芯体に+50Vの電圧を印加し、抵抗器Rの両端の電位差をデジタルマルチメーターDMM(例えばFLUKE社製 189TRUE RMS MULTIMETER)を用いて計測する。電位差の計測値と抵抗器Rの電気抵抗から、弾性ローラを介して金属ドラムに流れた電流を計算により求め、その電流と印加電圧50Vから計算することにより弾性ローラの電気抵抗値を求める。デジタルマルチメーターでの測定は、電圧印加2秒後から3秒間サンプリングを行い、その平均値から計算される値を弾性ローラの抵抗値とする。
[トナー由来の固着物]
弾性ローラの表面に付着した固着物は、ワックスを含有するトナーに由来する固着物である。トナーに含まれるワックスとしては以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス、ケトンワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体。これらのワックスの数平均分子量は200〜4000の範囲が好ましい。ワックスの融点は、分子量および組成によるが、30℃〜120℃である。また、ワックスのトナー中での含有量は、1質量%〜10質量%含有されているものが一般的であるが、特に限定されずに本発明の方法を適用することができる。
【0042】
また、固着物を構成する成分としては、結着樹脂などの一般的なトナーに含まれるポリマーや金属化合物を挙げることができる。例えば、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂やポリエステル樹脂等を挙げることができる。また、その他の成分としては、着色顔料、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等の金属酸化物を挙げることができる。
【0043】
次に、本発明の再生弾性ローラの製造方法にかかる工程(1)から工程(4)について詳述する。
【0044】
[工程(1)]
本発明の再生弾性ローラの製造方法における工程(1)は、弾性ローラを加熱して、ワックスを含有したトナーを含む固着物の表面にワックスを移行するように該固着物を軟化させる工程である。弾性ローラを加熱することにより、軟化温度が低く極性が小さいワックスが固着物の表面に移行する。ここで、固着物の表面とは、固着物の外周部全体のことを指し、固着物と弾性ローラとの界面部分も含む。ワックスが固着物の表面に移行することにより、固着物と弾性ローラとの密着力が低下する。ここで、弾性ローラを加熱する温度としては、添加されているワックスの融点以上の温度で加熱することが、十分なワックスの移行効果があることから好ましい。固着物に含まれるワックスの分子量および組成にもよるが、好ましくは80℃以上150℃以下である。
【0045】
ここで、弾性ローラを加熱する方法としては特に限定されるものではなく、例えば熱風循環式オーブン等を用いることができる。本発明において、固着物の表面にワックスが移行したか否かを判断する方法としては前述の通り、固着物を有する弾性ローラ表面のメタノール(メチルアルコール)の接触角により判断する。弾性ローラを加熱する前後のメタノールの接触角を比較し、加熱後の接触角が加熱前の接触角よりも大きくなっている場合には、固着物の表面にワックスが移行したと判断できる。
【0046】
[工程(2)]
本発明の再生弾性ローラの製造方法における工程(2)は、工程(1)によって表面にワックスが移行した固着物の外表面にプラズマを照射する工程である。固着物の外表面とは固着物と弾性ローラとの界面部分を除く、固着物と外界との界面部分にあたる固着物の表面を指す。固着物の外表面にプラズマを照射することにより、固着物外表面に移行しているワックスを除去できる。ここで、プラズマ処理することによりワックスが除去できる理由としては、プラズマ中で発生する高エネルギーの荷電粒子が衝突することにより、固着物の外表面のワックスがスパッタリングにより除去されたり、熱エネルギーにより昇華したりする。その結果、固着物外表面のワックスが除去されたものと考える。
【0047】
プラズマ処理としては特に限定されるものではないが、アルゴンプラズマ処理やヘリウムプラズマ処理が、弾性ローラ表面を損傷することなくワックスを効率よく除去できることから好ましい。
【0048】
本発明に係わるプラズマ処理装置について、その概要を図3により説明する。
【0049】
図3はヘリウムプラズマ処理装置の一例を示す概略構成図である。図3において、プラズマ処理装置6は、チャンバー7、プラズマ電極8、高周波電源9、ガス導入口10、ガス排気口11を有する。被処理物である弾性ローラ4は、チャンバー内に設置された支持部12により軸芯体の両端が支持され、電極と平行に所望の間隔を隔てて配置される。さらに、弾性ローラ4の軸芯体は支持部12を介して接地されるとともに、回転駆動部13に接続される。プラズマ電極8と弾性ローラ4の間に電圧を印加してプラズマを発生させるため、プラズマ電極8には所望の周波数の高周波電力を出力する高周波電源9が接続される。チャンバー7内を所望のガス雰囲気にするため、ガス導入口10が不図示のガスボンベにレギュレーターを介して接続され、さらにガス排気口11は不図示の真空ポンプに接続される。また、チャンバー7内をパージするためのパージ口14が設置される。
【0050】
次に、プラズマ処理装置の動作の例について説明する。まず、プラズマ処理を行う弾性ローラ4を所望の位置に設置する。次に、真空ポンプを動作させてガス排気口11からチャンバー7内を真空排気する。所望の真空度になったところで排気を停止し、ガス導入口10からヘリウムガスを供給する。チャンバー7内が所望の圧力になったところでガス供給を停止する。
【0051】
次に、弾性ローラ4を回転駆動させた後、プラズマ電極8に高周波電源9より電力を供給し、弾性ローラ4とプラズマ電極8の間にプラズマを発生させて処理を開始する。所望の時間の処理が完了したら、電力の供給及び回転駆動を停止し、パージ口14よりチャンバー7内をパージして弾性ローラ4を取り出して処理を完了する。
【0052】
プラズマの発生条件は、以下に詳述するように、処理中にプラズマが不安定にならないように適宜選択することができる。安定なプラズマを利用することにより、スパークの発生や弾性ローラの過昇温を防止し、ワックスを効率良く除去でき、また弾性ローラの損傷を防止することができる。
【0053】
プラズマを発生させる際のチャンバー7内の圧力は特に制限を受けないが、プラズマ中の荷電粒子密度を高めてワックスを効率良く除去するためには、プラズマを安定して形成できる範囲で圧力を高くすることが好ましい。具体的には、1330Pa以上、さらに好ましくは92000Pa以上の圧力が、ワックスの除去に寄与する荷電粒子密度を高めることができ好ましい。また、電子写真用部材の損傷を防止し、均一に処理するためには、大気圧よりもあまり高くない圧力が好ましい。具体的には、122000Pa以下、さらに好ましくは111000Pa以下の圧力が、弾性ローラの損傷を防止でき、均一に処理することができ好ましい。
【0054】
プラズマ電極8に供給する高周波電力は、圧力に応じて周波数及び投入電力を適宜選択することが好ましい。具体的には、1kHz〜3GHzの周波数が好ましい。とくに、大気圧近傍下でプラズマを発生させる場合には、プラズマを安定して形成できることから、1kHz〜15MHzが好ましく、さらには5〜100kHzが好ましい。
【0055】
投入電力は、装置構成及びプラズマ発生領域に依存するためとくに限定はされないが、スパークの発生や電子写真用部材の過昇温が起きない範囲で高くしたほうが、ワックスを効率良く除去でき好ましい。また、プラズマを安定化させる目的で、高周波電力に適宜パルス変調をかけることも有効である。
【0056】
プラズマ電極8と弾性ローラ4の間隔は、ローラ等の電子写真用部材の長手方向でほぼ均一であればとくに制限はされず、プラズマを安定して形成できるように、使用する電源周波数に応じて適正な範囲を選べばよい。一般的には、スパークの発生を防止しプラズマを均一に形成する観点から1mm以上の間隔が好ましい。また処理効果の低下を防止する観点から100mm以下の間隔が好ましい。このような範囲の間隔にすることにより、ワックスを効率良く除去でき好ましい。
【0057】
さらに、ヘリウムプラズマを発生させるためにプラズマ部の雰囲気をヘリウムガスにする。そのためには、チャンバー7内を一度真空排気した後、ヘリウムガスを供給することで、チャンバー内をヘリウム雰囲気にすることができる。プラズマ処理中は、ヘリウムガスの供給と排気を行いながら、圧力を調整して処理を行っても良い。あるいは、ヘリウムガスの供給と排気を継続的には行わずに、チャンバー内にヘリウムガスを貯め込んでプラズマ処理を行っても良い。後者の場合、雰囲気中の不純物の増加に応じて、定期的に排気とヘリウムガスの供給を適宜行うことが好ましい。また、とくに真空排気は実施せずに、プラズマ部に一定以上の流速でヘリウムガスを供給することで、ヘリウムプラズマを形成することも可能である。プラズマ処理後のヘリウムガスは、適宜フィルターを通して不純物を除去することで、再利用が可能である。
【0058】
弾性ローラの周方向に対するプラズマの発生領域は、弾性ローラにプラズマから荷電粒子が供給されていれば、とくに制限はされない。しかしながら、プラズマ部で発生する熱により弾性ローラが昇温することを抑制するために、図3に示すようにプラズマ30を弾性ローラの周方向の一部に発生させて、弾性ローラを回転駆動して処理することが有効である。とくに大気圧近傍の高圧力下で処理する場合に、弾性ローラが昇温するのを抑えることができる。ここで、固着物外表面のワックスの除去度合いを判断する方法としては前述の通り、メタノールの接触角により判断できる。すなわち、プラズマ照射前後のメタノール接触角を比較し、プラズマ照射後の接触角がプラズマ照射前の接触角よりも小さくなっている場合には、固着物外表面のワックスが除去できたと判断できる。
【0059】
[工程(3)]
本発明の再生弾性ローラの製造方法における工程(3)は、工程(2)によってプラズマを照射した固着物を被覆するように液状粘着剤を塗布することにより液状粘着剤層を形成し、液状粘着剤層を乾燥固化させて固着物と一体化した剥離層を形成する工程である。本発明に使用できる液状粘着剤としては、特に限定されるものではないが、弾性ローラ表面と化学結合を形成しないポリ酢酸ビニルやポリビニルアルコールの水溶液や、アクリル樹脂を各種溶媒に溶解したアクリル樹脂溶液(アクリルラッカー)が好ましい。特にアクリルラッカーは、トナーの結着樹脂として使用されるスチレンアクリル樹脂やポリエステル樹脂との親和力が高いことから好ましい。液状粘着剤を乾燥固化して得られる剥離層は、固着物と一体化するように形成するため、剥離層は固着物より厚く形成されることが好ましい。また、剥離層を剥離する手段により破損等を生じずに効率よく剥離できる程度に厚さを設けることが好ましい。このような点から剥離層の厚さは、10μm〜100μmの範囲で設けることが好ましい。剥離層の厚さは、乾燥固化後に求める厚さとなるように液状粘着剤の粘度を溶媒量を加減して適宜調整することができる。
【0060】
また、液状粘着剤を塗布する工程としても特に限定されるものではなく、公知の塗布方法であるディッピング法、ロールコート、リングコート、スプレーコート、ブラシコート等で塗布することができる。なかでも、弾性ローラ表面を、摺擦部材を用いて摺擦しながら液状粘着剤を塗布するロールコートやブラシコートで塗布する方法が好ましい。摺擦部材で摺擦しながら液状粘着剤を塗布することにより、ワックスの表面移行により弾性ローラとの密着強度が低下している固着物を弾性ローラ表面から剥離しながら液状粘着剤層を形成でき、効率よく固着物を除去できる。
【0061】
特にロールコートにおいて、弾性ローラ表面の固着物に亀裂が生じるように塗工ロールを該弾性ローラに押圧しながら、液状粘着剤を弾性ローラ表面に塗布する方法が好ましい。固着物に亀裂を生じさせることにより、弾性ローラと固着物の密着強度をより低下させることができ、効率的に固着物を除去できる。ここで「亀裂」とは走査型電子顕微鏡(SEM)により弾性ローラの表面の固着物を5000倍の倍率により観察したときに塗工ロールを弾性ローラに押圧する前には認められず、塗工ロールを弾性ローラに押圧した後に認められる当該固着物に生じた亀裂である。上記のような摺擦部材を用いて液状粘着剤を塗布する際に用いる液状粘着剤としては、粒子状物質を含有した液状粘着剤を用いることが、より高い摺擦効果や亀裂発生効果を得ることができることから好ましい。本発明に適用できる粒子状物質としては特に限定されるものではなく、フェノール樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子や、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩を用いることができる。液状粘着剤中に容易に分散でき、弾性ローラと摺擦した際に弾性ローラ表面を損傷し難い樹脂粒子が好ましい。粒子状物質の粒径としては5〜50μmのものが好ましい。ここで、液状粘着剤層を乾燥固化させる方法としても特に限定されるものではなく、液状粘着剤中の各種溶媒を揮発させることができる公知の各種装置を用いることができるが、例えば熱風循環式オーブンを用いることができる。
【0062】
[工程(4)]
本発明の再生弾性ローラの製造方法における工程(4)は、剥離層を該弾性層から剥離して該弾性層表面から該固着物を除去する工程である。剥離層を弾性層から剥離する方法は特に限定されるものではないが、図7および図8に示されるような粘着部材を用いて剥離層を剥離する方法が、確実にかつ容易に剥離層を剥離できることから好ましい。
【0063】
本発明により得られる再生弾性ローラは、電子写真プロセスを利用する画像形成装置用現像ローラ、帯電ローラ、転写ローラ、定着ローラ、クリーニングローラ用として再利用でき、特に現像ローラ用として好適である。
【0064】
本発明により得られる再生弾性ローラを電子写真画像形成装置に適用することができる。
電子写真画像形成装置は、電子写真感光体を帯電する帯電部材と、感光体上の静電潜像を現像する現像部材とを具備する構成とすることができる。本発明の電子写真画像形成装置は、帯電部材及び現像部材の少なくとも一方が上記は異性男性ローラであるものを挙げることができる。
【0065】
上記電子写真画像形成装置の一例を図9に示す。図9の画像形成装置には、現像ローラ28、トナー塗布部材30、トナー29及びブレードバイアスを印加できるような機構を有する現像ブレード27からなる現像装置26を有している。また、感光ドラム24、クリーニング装置31、帯電ローラ23を有している。感光ドラム24は矢印方向に回転し、感光ドラム24を帯電処理するための帯電ローラ23によって一様に帯電され、感光ドラム24に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光25により、その表面に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、感光ドラム24に対して接触配置される現像ローラ28によってトナーを付与されることにより現像され、現像剤像として可視化される。現像は露光部にトナーを形成する所謂反転現像を行っている。可視化された感光ドラム24上のトナーは、中間転写ベルト36上に一次転写ローラ32によって転写される。中間転写ベルト上のトナー像は、記録媒体である紙40上に二次転写ローラ39によって転写される。トナー像を転写された紙40は、定着装置37により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
【0066】
一方、転写されずに感光ドラム上24上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材31により掻き取られ、クリーニングされた感光ドラム24は上述作用を繰り返し行う。現像装置26は、トナー29を収容した現像容器と、現像容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム24と対向設置された現像ローラ28とを備え、感光ドラム24上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0067】
現像装置26における現像プロセスを以下に説明する。回転可能に支持されたトナー塗布部材30により現像ローラ上にトナーが塗布される。現像剤ローラ28上に塗布されたトナーは、現像剤ローラ28の回転により現像ブレード27と摺擦される。ここで、現像ブレード27に印加されたバイアスにより現像剤ローラ上のトナーは現像剤ローラ上に均一にコートされる。現像剤ローラ28は感光ドラム24と回転しながら接触し、感光ドラム24上に形成された静電潜像を現像剤ローラ28上にコートされたトナーにより現像することにより画像が形成される。ここで、現像ブレード28に印加されるバイアスの極性は、現像剤の帯電極性と同極性であり、その電圧としては現像バイアスよりも絶対値で数十Vから数百V高い電圧が一般的である。このように現像ブレードにバイアスを印加する場合は、現像ブレードは導電性であることが好ましく、リン青銅やステンレス等の金属であることがより好ましい。
【実施例】
【0068】
以下に、本発明の再生弾性ローラの製造方法を具体的に詳細に説明する。以下、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0069】
〔実施例1〕
[弾性ローラ(A−1)の調製]
〔弾性層の形成〕
軸芯体1として外径6mmの芯金(SUM22製)にニッケルメッキを施し、さらにプライマ−DY35−051(商品名、東レダウコーニングシリコーン社製)を塗布、焼付けしたものを用いた。ついで、軸芯体2を内径11.5mmの円筒状金型に同心となるように配置し、以下の配合の付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
【0070】
【表1】

【0071】
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを150℃、15分間加硫硬化し、脱型した後、さらに200℃、2時間加熱し硬化反応を完結させ、厚み2.75mmの弾性層2を軸芯体1の外周に設けた。
【0072】
〔ポリオールの合成〕
ポリテトラメチレングリコールPTG1000SN(商品名、保土谷化学社製)100質量部に、イソシアネート化合物ミリオネートMT(商品名、日本ポリウレタン工業社製)20質量部をMEK溶媒中で段階的に混合した。混合溶液を、窒素雰囲気下80℃にて7時間反応させて、水酸基価が20[mgKOH/g]のポリエーテルポリオールを作製した。
【0073】
〔イソシアネートの合成〕
窒素雰囲気下、数平均分子量400のポリプロピレングリコール(商品名エクセノール、旭硝子社製)100質量部に対し、粗製MDI(商品名コスモネートM-200、三井化学ポリウレタン社製)57質量部を90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70%になるように加え、単位固形分当たりに含有されるNCO基の質量比率が5.0質量%のイソシアネート化合物を得た。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを22質量部滴下し、ブロックポリイソシアネートを得た。
【0074】
〔表面層塗料1の作製〕
上記のようにして作製したポリオールに対し、ブロックポリイソシアネートをNCO/OH基比が1.4になるように混合した。この混合物の樹脂固形分100質量部に対し、以下の材料を加え、総固形分が35質量%になるようにMEKに溶解、混合した。
【0075】
【表2】

【0076】
この混合液を、1.5mmの粒径のガラスビースを用いてサンドミルを用いて4時間分散して表面層塗料1を作製した。
【0077】
〔弾性層上への表面層の形成〕
上記のようにして得られた表面層塗料1を、オーバーフロー方式の浸漬塗工装置を用いて前記弾性層上に浸漬塗工し、室温で30分風乾後、140℃の熱風循環オーブンにて2時間加熱処理した。これにより、弾性層表面に厚さ12μmの表面層を有する弾性ローラ(A−1)を得た。得られた弾性ローラの表面粗さ、アスカーC硬度、電気抵抗を前述の方法で測定したところそれぞれ、Ra=1.8、57度、5×104Ωであった。
【0078】
[トナー由来の固着物の形成]
キヤノン製プリンターLBP5050のシアンカートリッジから現像ローラおよびトナーを抜き出した。このカートリッジに、上記のようにして得られた弾性ローラ(A−1)を現像ローラとして組み込み、トナーとして以下に記載のシアントナー1を充填し画像出力試験用カートリッジを得た。これをトナー固着が発生し易い環境である低温低湿環境(温度10℃、湿度10%RH)に24時間放置した。その後、この電子写真プロセスカートリッジを、電子写真画像形成装置の本体に装填し、同環境において印字率が1%の画像を、トナー残量が12gになるまで出力し、現像ローラ表面にトナー由来の固着物を形成させた。次に、この電子写真プロセスカートリッジから現像ローラを取り外して、現像ローラの表面に空気を吹き付けて、現像ローラ表面に付着しているトナーを吹き飛ばした。その後、現像ローラ表面をビデオマイクロスコープで観察したところ、ローラ表面にはトナー由来の固着物が多く固着しているのが確認された。また、現像ローラの電気抵抗を測定したところ1×106Ωであった。
【0079】
<シアントナー1>
まずトナーの原料となるシアントナー粒子を下記の手順によって重合法により作製した。温度60℃に加温したイオン交換水900質量部に、リン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を作製した。また、下記処方をTK式ホモミキサー(商品名、特殊機化工業製)に投入し、温度60℃に加温した後、9,000rpmにて攪拌し、溶解、分散して水系分散媒体を得た。
【0080】
【表3】

【0081】
なお、Tgはガラス転移点を表す。
【0082】
この水系分散媒体に重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート7質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。前述の水系媒体中にこの重合性単量体組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、前記TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで攪拌し、造粒した。その後、プロペラ式攪拌装置に移して攪拌しつつ、温度70℃に昇温し、更に5時間後、温度80℃で5時間反応を行い、重合体粒子を製造した。重合反応終了後、重合体粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してシアントナー粒子を得た。さらに、このシアントナー粒子100質量部に対して、シリカ(アエロジル社製、商品名:R972)1.5質量部と酸化チタン(商品名:P25、日本アエロジル製)0.3質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合してシアントナー1を得た。
[弾性ローラの再生処理]
[工程(1)]
上記のようにしてトナー由来の固着物を表面に形成した弾性ローラ(A−1)を110℃の熱風循環式オーブンで30分間加熱した。加熱前後の弾性ローラ表面のメタノールの接触角を測定したところそれぞれ12°、17°であり、固着物の表面にワックスが移行していると判断できた。
[工程(2)]
上記工程(1)により固着物表面にワックスを移行させた弾性ローラ(A−1)表面に図3で示されるプラズマ照射装置を用いてヘリウムプラズマ照射処理を行った。プラズマ電極にはアルミナ製の誘電体の内部にアルミニウム製の導電部を備えるものを使用した。ヘリウムガスは、チャンバー内を一度真空排気した後に導入して貯め込み、チャンバー内の圧力を大気圧近傍の101000Paとして処理を行った。ここで、弾性ローラを60rpmで回転駆動させ、プラズマ電極と弾性ローラの間隔は3mmとし、高周波電力として周波数を40KHz、投入電力を300Wとし、60秒間処理を行った。プラズマ処理後の、弾性ローラ表面のメタノールの接触角を測定したところ、12°であり、固着物外表面のワックスが除去されていると判断できた。
[工程(3)]
アクリル樹脂(商品名;ダイヤナールBR−101、三菱レイヨン社製)100質量部をMEK900質量部に溶解した。これにさらにフェノール樹脂粒子(商品名;マリリンHF−020、群栄化学社製)30質量部添加したものを1.5mmの粒径のガラスビースを用いてサンドミルを用いて30分間分散して液状粘着剤1を調製した。
【0083】
次いで上記工程(1)および工程(2)を行った弾性ローラ(A−1)の表面に、上記のようにして調製した液状粘着剤1を、図4に示すロールコート装置を用い、塗工ロール15の両端の押圧が20Nの条件で液状粘着剤層を形成した。図4に示すようにロールコート装置では塗工ロール15を用いて液状粘着剤16を弾性ローラ4に塗布する。ここで、同様の条件で液状粘着剤を供給しない状態で塗工ロールによる押圧処理を行った場合、押圧処理前後の弾性ローラ表面を走査型電子顕微鏡(商品名:FE−SEM4700:日立製作所製)を用いて倍率5000倍で観察した。その結果、弾性ローラ表面の固着物には、押圧処理を経る前には認められなかった亀裂が生じていることを確認した。その後、室温で30分間風乾後、50℃の熱風循環式オーブンで5分間処理することにより液状粘着剤層を乾燥固化させて、固着物と一体化した剥離層を形成した。
[工程(4)]
上記のようにして弾性層表面に形成した剥離層を有する弾性ローラ(A−1)を図7に示す粘着部材を用いた剥離装置を用いて剥離層の剥離処理を行い、固着物除去処理済みの再生弾性ローラを得た。粘着部材としては粘着テープ(商品名;クラフトテープNO.500、積水化学工業社製)を用いた。
[目視検査]
上記のようにして得られた再生弾性ローラの表面をビデオマイクロスコープで観察したところ、ローラ表面に固着物は目視上確認されず、キズなどの損傷も確認されなかった。
[電気抵抗測定]
上記のようにして得られた再生弾性ローラの電気抵抗を前述の方法で測定したところ、5×104Ωであり、初期の電気抵抗まで回復していた。ここで、表面にトナー固着が多く形成された弾性ローラでは、トナーは絶縁性であるため電気抵抗が高くなる。従って、トナー固着前の電気抵抗と、再生処理後の電気抵抗を比較することにより固着物の除去の程度の指標として用いることができ、両者の差が小さいもの程固着物が良好に除去できていると判断できる。
[画像形成及び画像評価]
上記のようにしてえられた再生弾性ローラについて、以下のようにして画像形成に供して再生弾性ローラとしての品質の評価を行った。
[画像均一性評価]
キヤノン製プリンターLBP5050のシアンカートリッジから現像ローラおよびトナーを抜き出した。このカートリッジに、上記のようにして得られた再生弾性ローラを現像ローラとして組み込み、トナーとして前記シアントナー1を充填し画像出力試験用カートリッジを得た。この画像出力試験用カートリッジを、温度23℃、湿度55%RHの環境に24時間放置した。その後、この画像出力試験用カートリッジを、キヤノン製プリンターLBP5050本体に装填し、温度23℃、湿度55%RHの環境において、ハーフトーン画像を出力した。出力したハーフトーン画像を目視により確認したところ、均一な良好な画像が得られた。
[かぶり評価]
上記のようにして得られた画像出力試験用カートリッジを、トナー固着が発生し易い環境である低温低湿環境(温度10℃、湿度10%RH)に24時間放置した。その後、この電子写真プロセスカートリッジを、キヤノン製プリンターLBP5050本体に装填し、同環境において印字率が1%の画像を連続3000枚出力後に、ベタ白画像を出力した。出力したベタ白画像のかぶりの程度(かぶり値)を以下の方法で測定したところ、0.5%であった。かぶり値は、反射濃度計(商品名:TC−6DS/A:東京電色技術センター社製)を用いて、画像形成前の転写紙の反射濃度と、ベタ白画像の画像形成を行った後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分を現像ローラのかぶり値とした。反射濃度の測定は、転写紙の画像印刷領域の全域をスキャンして反射濃度を測定し、最小値をその転写紙の反射濃度とした。表面にトナー固着が多く形成された現像ローラを用いてベタ白画像の形成を行った際には、帯電量が不足するトナーが感光体上に移動する。更に、このトナーが転写紙上へ転写されることによってかぶりを生じる。ここで、トナーの固着は、固着物を起点に広がっていくことから、再生処理の程度により耐久後のかぶりに差異が生じる。従って、耐久後のかぶり値を再生処理による表面の固着物の除去の程度の指標として用いることができる。かぶり値について以下の基準により評価を行った。かぶり値は小さいほどローラの表面の固着物が除去されていると考えられる。ここで、下記評価A及びBは、目視では「かぶり」を確認できないレベルである。一方、評価C及びDは、目視で「かぶり」を明らかに確認できるレベルである。
A:1.0より小さい
B:1.0以上かつ3.0より小さい
C:3.0以上かつ5.0より小さい
D:5.0以上。
【0084】
〔実施例2〕
実施例1において、液状粘着剤1を下記液状粘着剤2に変更した以外は実施例1と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0085】
<液状粘着剤2>
液状酢酸ビニル粘着剤(商品名;ビニブラン1108S、日信化学工業社製)100質量部を水150質量部で希釈した。これにさらにフェノール樹脂粒子(商品名;マリリンHF−020、群栄化学社製)12質量部添加したものを1.5mmの粒径のガラスビースを用いてサンドミルを用いて30分間分散して液状粘着剤2を調製した。
【0086】
〔実施例3〕
実施例1において、液状粘着剤1を下記液状粘着剤3に変更した以外は実施例1と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0087】
<液状粘着剤3>
ポリビニルアルコール樹脂(商品名;ポバールVF−20、日本酢ビ・ポバール社製)100質量部と水1900質量部を混合し、ディスパーで攪拌しながら95℃まで昇温することによりポリビニルアルコール水溶液を作製した。このポリビニルアルコール水溶液を冷却後、アクリル樹脂粒子(商品名;テクポリマーMBX−30、積水化成品工業社製)30質量部添加したものを1.5mmの粒径のガラスビースを用いてサンドミルを用いて30分間分散して液状粘着剤3を調製した。
【0088】
〔実施例4〕
実施例1において、フェノール樹脂粒子を添加していない液状粘着剤4を使用した以外は実施例1と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
〔実施例5〕
実施例2において、フェノール樹脂粒子を添加していない液状粘着剤5を使用した以外は実施例2と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0089】
〔実施例6〕
実施例3において、アクリル樹脂粒子を添加していない液状粘着剤6を使用した以外は実施例3と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0090】
〔実施例7〕
実施例4において、液状粘着剤4を、図5に示すブラシコート装置を用いた以外は実施例4と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。図5に示すように、ブラシコート装置では塗工ブラシ17を用いて液状粘着剤16を弾性ローラ4に塗布する。
【0091】
〔実施例8〕
実施例5において、液状粘着剤5を、図5に示すブラシコート装置を用いた以外は実施例5と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0092】
〔実施例9〕
実施例6において、液状粘着剤5を、図5に示すブラシコート装置を用いた以外は実施例6と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0093】
〔実施例10〕
実施例4において、液状粘着剤4を、図6に示すディップコート装置を用いた以外は実施例4と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。図6に示すように、ディップコート装置では弾性ローラ4を把持する把持部18が固定された昇降部19が上下に動き、液状粘着剤16を塗布する。
【0094】
〔実施例11〕
実施例5において、液状粘着剤5を、図6に示すディップコート装置を用いた以外は実施例5と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0095】
〔実施例12〕
実施例6において、液状粘着剤5を、図6に示すディップコート装置を用いた以外は実施例6と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0096】
〔実施例13〕
実施例10において、[工程(1)]における弾性ローラの加熱条件を85℃、30分間に変更した以外は実施例10と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0097】
〔実施例14〕
実施例10において、[工程(1)]における弾性ローラの加熱条件を140℃、30分間に変更した以外は実施例10と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0098】
〔実施例15〕
実施例10において、[工程(2)]におけるプラズマ照射時の投入電力を100Wに変更した以外は実施例1と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0099】
〔実施例16〕
実施例10において、[工程(2)]におけるプラズマ照射時の投入電力を400Wに変更した以外は実施例10と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0100】
〔比較例1〕
トナー由来の固着物を形成した弾性ローラ(A−1)を再生処理を施すことなしに、そのまま現像ローラとして組み込み、実施例1と同様に各種評価を行った。
【0101】
〔比較例2〕
実施例10において、[工程(1)]における弾性ローラの加熱を行わなかった以外は実施例10と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0102】
〔比較例3〕
実施例10において、[工程(2)]におけるプラズマ照射を行わなかった以外は実施例10と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0103】
〔比較例4〕
実施例1において、[工程(1)]における弾性ローラの加熱および[工程(2)]におけるプラズマ照射を行わなかった以外は実施例10と同様に再生弾性ローラを作成、各種評価を行った。
【0104】
〔比較例5〕
実施例1において、[工程(1)]から[工程(4)]の再生処理を行わず、図10に示される研磨装置を用いて弾性ローラ表面を研磨することにより再生弾性ローラを作成し、実施例1と同様に各種評価を行った。その結果、目視検査において弾性ローラ表面に無数のキズが確認され、画像均一性評価において弾性ローラ表面のキズ起因の画像不良が確認された。
【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【符号の説明】
【0107】
1 軸芯体
2 弾性層
3 表面層
4 弾性ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体、及び表面層としての弾性層を有している弾性ローラの表面に固着している、ワックスを含有したトナーを含む固着物を除去する工程を含む再生弾性ローラの製造方法であって、前記工程は、
(1)該弾性ローラを加熱して、該固着物の表面にワックスを移行するように該固着物を軟化させる工程と、
(2)該工程(1)によって表面にワックスが移行した該固着物の外表面にプラズマを照射する工程と、
(3)該弾性層の表面に、該工程(2)によってプラズマを照射した該固着物を被覆するように液状粘着剤を塗布することにより液状粘着剤層を形成し、該液状粘着剤層を乾燥固化させて、該固着物と一体化した剥離層を形成する工程と、
(4)該剥離層を該弾性層から剥離して該弾性層表面から該固着物を除去する工程と、
を有することを特徴とする再生弾性ローラの製造方法。
【請求項2】
前記液状粘着剤が、アクリル樹脂溶液である請求項1に記載の再生弾性ローラの製造方法。
【請求項3】
前記液状粘着剤を塗布する方法が、弾性ローラ表面を摺擦部材で摺擦しながら液状粘着剤を塗布する方法である請求項1または2に記載の再生弾性ローラの製造方法。
【請求項4】
前記液状粘着剤を塗布する方法がロールコートを用いる方法であり、該液状粘着剤の塗布の際に弾性ローラ表面の固着物に亀裂が生じるように、塗工ロールを該弾性ローラに押圧する請求項3に記載の再生弾性ローラの製造方法。
【請求項5】
前記液状粘着剤中に粒子状物質を含有する請求項3または請求項4に記載の再生弾性ローラの製造方法。
【請求項6】
前記剥離層を弾性層から剥離する工程が、粘着部材により剥離層を剥離する工程を含む請求項1から5の何れかに記載の再生弾性ローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−47968(P2012−47968A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189861(P2010−189861)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】