説明

分配装置及び録画装置

【課題】本発明は、入力端子に入力された信号を増幅して複数の出力端子に分配する状態と、入力端子に短絡した一の出力端子に出力する状態とを、一の出力端子から出力される信号が途切れないよう切替える分配装置及び当該分配装置を備えた録画装置を提供する。
【解決手段】MCU201は、分配回路から短絡回路に切替える場合、FET202をオン状態にして入力端子21を第3出力端子24に短絡する短絡回路を接続し、所定時間経過後にダイオードD1、D2をオフ状態にして増幅器AMP、分配器203及び減衰器ATT等からなる分配回路から入力端子21及び第3出力端子24を開放する。MCU201は、短絡回路から分配回路に切替える場合、ダイオードD1、D2をオン状態にして分配回路に入力端子21及び第3出力端子24を接続し、所定時間経過後にFET202をオフ状態にして短絡回路を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力端子に入力された信号を増幅して複数の出力端子に分配する状態と、入力端子に短絡した一の出力端子に出力する状態とを、一の出力端子から出力される信号が途切れないよう切替可能にする分配装置及び当該分配装置を備えた録画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ又は放送ケーブルにより伝送されて受信した放送信号を複数の選局回路夫々により選局して複数の映像音声を録画可能にすると共に、外部出力端子に接続された受像機に放送信号を出力可能にした録画装置が広く用いられている。このような録画装置には、受信した放送信号を各選局回路及び外部出力端子に増幅して分配する分配装置が内蔵されている。ユーザは、録画装置により放送信号の映像音声を録画すると共に、外部出力端子に接続された受像機に表示された放送信号の映像音声を視聴することが可能である。録画装置の電源がオフにされて分配装置に供給される電源が停止した場合であっても、外部出力端子に接続された受像機により映像音声を視聴可能にすべく、分配装置は入力端子を外部出力端子に短絡する短絡回路を備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の分配装置は、短絡回路を接続すると共に、分配回路を入力端子及び外部出力端子から切り離して、分配回路から短絡回路への切替を行う。また、短絡回路を開放すると共に、分配回路を入力端子及び外部出力端子に接続することにより短絡回路から分配回路への切替を行う。外部出力端子に接続された受像機に表示される映像音声が途切れることを防止するために、分配回路及び短絡回路の切替時に外部出力端子から信号が出力されない期間が発生しないことを必要とする。また、切替時における外部出力端子から出力される信号の信号強度の変化に対して、受像機の入力段に備えられているAGC(Auto Gain Control)回路による信号強度の調整が間に合わずに映像音声が途切れる虞がないように、切替前後において信号強度が変化しないことが好ましい。
【特許文献1】特表2002−511225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の分配装置は、分配回路及び短絡回路の切替時に外部出力端子から信号が出力されない期間が発生するという問題があった。また、特許文献に記載の分配装置は、増幅器を備えた分配回路及び短絡回路の切替時に外部出力端子から出力される信号の信号強度が大きく変化するという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、短絡回路の接続並びに入力端子及び出力端子の分配回路への接続夫々のタイミングを制御する制御部を備えることにより、外部出力端子に信号が出力されない期間が発生することなく、分配回路及び短絡回路の切替が可能となる分配装置及び当該分配装置を備えた録画装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、増幅された信号を減衰させるべく分配回路に介挿された減衰器を備えることにより、分配回路又は短絡回路を経て外部出力端子に出力される信号の信号強度を略同一にし、外部出力端子から出力される信号の信号強度が変化することなく短絡回路及び分配回路の切替が可能となる分配装置及び当該分配装置を備えた録画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る分配装置は、入力端子に入力された信号を増幅して複数の出力端子に分配する分配回路と、前記複数の出力端子のうち、一つの出力端子を前記入力端子に接続する短絡回路と、前記分配回路及び前記入力端子間、並びに前記分配回路及び前記一つの出力端子間に介挿された接続スイッチとを備え、前記信号を増幅して前記複数の出力端子に分配する第1状態と、前記信号を前記入力端子に短絡された前記一つの出力端子に出力する第2状態とを切替える分配装置において、前記短絡回路を接続した時点からの経過時間を計時する第1計時部と、前記第1状態から前記第2状態に切替える場合、前記短絡回路を接続し、前記第1計時部が計時した経過時間が所定時間を超えた時点で前記接続スイッチを開放する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明にあっては、分配回路から短絡回路に切替える場合、短絡回路に介挿されたスイッチを接続して入力端子を複数の出力端子のうち、一つの出力端子、所謂外部出力端子に短絡する。短絡された外部出力端子は、短絡回路を経て入力端子から与えられた信号と、分配回路を経て増幅され、分配された信号とを出力する。短絡回路を接続してから所定時間を経過後に、分配回路と入力端子及び外部出力端子夫々に介挿された2つのスイッチが切断されて、分配回路から入力端子及び外部出力端子が開放される。これにより、分配回路から短絡回路への切替が完了し、外部出力端子は短絡回路を経た信号のみを出力する。
【0008】
本発明に係る分配装置は、前記接続スイッチを接続した時点からの経過時間を計時する第2計時部を備え、前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切替える場合、前記接続スイッチを接続し、前記第2計時部が計時した経過時間が所定時間を超えた時点で前記短絡回路を開放するよう構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、短絡回路から分配回路に切替える場合、分配回路に介挿された2つのスイッチ夫々を接続して、分配回路に入力端子及び外部出力端子が接続される。分配回路に接続された外部出力端子は、分配回路を経て分配された信号と、短絡回路を経て入力端子から与えられた信号とを出力する。分配回路に入力端子及び外部出力端子が接続されてから所定時間を経過後に、短絡回路に介挿されたスイッチが切断されて短絡回路が開放される。これにより、短絡回路から分配回路への切替が完了し、外部出力端子は分配回路を経た信号のみを出力する。
【0010】
本発明に係る分配装置は、前記分配回路に介挿されており、前記一つの出力端子に分配する信号を減衰させる減衰器を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、分配回路を経て増幅され、複数の出力端子に分配される信号のうち、外部出力端子に分配される信号が、短絡回路を経て外部出力端子に出力される信号と略同一の信号強度を有するよう減衰器により減衰される。
【0012】
本発明に係る分配装置は、前記減衰器は、減衰動作を有効又は無効に切替える切替部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、切替部により減衰器の減衰動作が無効に切替えられた場合、分配回路を経て増幅された信号が減衰されずに外部出力端子に分配される。
【0014】
本発明に係る分配装置は、前記入力端子に入力される信号の信号強度が所定値未満であるか否かを判定する判定部を備え、前記切替部は、前記判定部が所定値未満であると判定した場合、減衰動作を無効に切替えるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、所定値未満の信号強度を有する信号が入力された場合、分配回路を経て増幅された信号が減衰されずに外部出力端子に分配される。
【0016】
本発明に係る分配装置は、前記制御部は、前記判定部が所定値未満であると判定した場合、前記短絡回路の接続を禁止するよう構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、所定値未満の信号強度を有する信号が入力された場合、短絡回路の接続が禁止され、分配回路を経て増幅された信号が外部出力端子に分配される。
【0018】
本発明に係る分配装置は、前記第2状態への切替動作の有効又は無効を受け付ける受付部を備え、前記制御部は、前記受付部が前記切替動作の無効を受け付けた場合、前記短絡回路の接続を禁止するよう構成してあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、ユーザによる切替動作の無効を指示する操作を受付部が受け付けた場合、短絡回路への切替が禁止され、外部出力端子からは常に分配回路を経て分配された信号が出力される。
【0020】
本発明に係る録画装置は、前述の分配装置を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、分配回路に切替えられた場合、分配回路を経て分配された信号の映像音声が録画可能になると共に、分配回路を経て外部出力端子に分配された信号が外部に出力される。短絡回路に切替えられた場合、短絡回路を経て外部出力端子に分配された信号が外部に出力される。
【発明の効果】
【0022】
本発明にあっては、短絡回路の接続並びに入力端子及び出力端子の分配回路への接続夫々のタイミングを制御する制御部を備えることにより、外部出力端子に信号が出力されない期間が発生することなく、分配回路及び短絡回路の切替が可能となる。また、本発明にあっては、増幅された信号を減衰させるべく分配回路に介挿された減衰器を備えることにより、分配回路又は短絡回路を経て外部出力端子に出力される信号の信号強度を略同一にし、外部出力端子から出力される信号の信号強度が変化することなく短絡回路及び分配回路の切替が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、実施の形態1に係る分配部を備えた録画装置の内部構成を示すブロック図である。図中2は、録画装置に備えられた分配部を示す。録画装置は、外部に接続されたアンテナにより受信された放送信号が入力される放送信号入力部1を備えており、放送信号入力部1から放送信号が分配部2の入力端子21に与えられる。分配部2は、入力端子21に与えられた放送信号を第1出力端子22、第2出力端子23及び第3出力端子24に分配する分配回路(第1状態)と、入力端子21を第3出力端子24に短絡して放送信号を第3出力端子24にのみ出力する短絡回路(第2状態)とを切替可能にしてある。
【0024】
分配部2が分配回路に切り替えた状態で第1出力端子22及び第2出力端子23夫々から出力される放送信号は、第1選局部3a及び第2選局部3bに与えられる。第1選局部3a及び第2選局部3bに与えられた放送信号は、夫々設定された放送チャンネルに選局されて映像音声信号に変換され、録画部5に与えられて映像音声がHD( Hard disk )等に録画される。短絡回路を経て分配部2の第3出力端子24から出力される放送信号は、外部出力端子4に接続された外部の受像機に対して出力される。
【0025】
主電源部7は、第1選局部3a、第2選局部3b及び録画部5を含む録画装置内部の各ハードウェアに電源を供給すると共に、主電源部7のオン・オフ状態を示す主電源信号を分配部2の主電源信号端子26に出力するようにしてある。また、主電源部7のオン・オフ状態は、録画装置が備える図示しない電源スイッチのオン・オフ状態に連動するようにしてある。副電源部8は、主電源部7のオン・オフ状態に関わらず、分配部2の電源端子27に常時電源電圧を出力するようにしてある。省電力スイッチ6は、分配部2が有する後述の通常モード及び省電力モードのユーザによる切替を受け付けるための受付部として機能するスイッチであり、受け付けたモード夫々に対応した識別信号を分配部2の省電力スイッチ端子25に出力するようにしてある。
【0026】
図2は、実施の形態1に係る分配部2の内部回路を示す回路図である。分配部2の入力端子21に入力された放送信号をなす高周波信号は、コンデンサC1を介してダイオードD1のカソードに与えられる。ダイオードD1は、順方向電流が流れた場合にオン状態となるPIN( p-intrinsic-n )ダイオードで構成された高周波信号をスイッチングするための高周波スイッチであり、後述のダイオードD2と共に分配回路に入力端子21及び第3出力端子24とを接続する接続スイッチとして機能する。コンデンサC1は、高周波信号に含まれる直流成分によりダイオードD1に逆方向電位が印加されてダイオードD1がオフ状態となることを防止すべく直流成分を遮断するために設けられている。ダイオードD1がオン状態である場合、ダイオードD1に与えられた高周波信号は、増幅器AMPに与えられ、増幅器AMPに設定されている増幅率Gで増幅される。
【0027】
増幅器AMPにより増幅された高周波信号は、分配器203に与えられ、分配器203により第1出力端子22、第2出力端子23及び減衰器ATTに分配される。減衰器ATTは、減衰動作の有効又は無効を切替え可能に構成してあり、減衰動作が有効に設定された場合、入力された高周波信号を内蔵する減衰器により減衰率Kで減衰させて出力し、減衰動作が無効に設定された場合、減衰させずに出力するようにしてある。減衰器ATTから出力された高周波信号は、ダイオードD2のアノードに与えられる。ダイオードD2は、ダイオードD1と同様にPINダイオードで構成された高周波スイッチである。ダイオードD2がオン状態の場合、ダイオードD2に与えられた高周波信号は、コンデンサC2を介して第3出力端子24に与えられる。
【0028】
コンデンサC2は、高周波信号に含まれる直流成分によりダイオードD2に逆方向電位が印加されてダイオードD2がオフ状態となることを防止すべく直流成分を遮断するために設けられている。入力端子21に与えられた高周波信号は、コンデンサC1に対して並列接続されたコンデンサC3を介して、FET202のソースにも与えられる。FET202は、ゲート電位が印加されていない場合にオン状態となるディプレッション型FET( Field Effect Transistor )で構成された高周波スイッチである。分配部2は、回路の各部を制御する制御部としてのMCU( Microcontroller )201を備えており、MCU201は、副電源部8から電源端子27を介して電源電圧が常時与えられる入力端子201fを有している。
【0029】
MCU201の出力端子201aからは、H(High)レベル及びL(Low)レベルの制御電圧Vaが出力されるようにしてある。出力端子201aからLレベルの制御電圧Vaが出力された場合、抵抗R4を介してゲートに出力端子201aが接続されたFET202にゲート電位が印加されず、FET202のソース−ドレイン間はオン状態となる。FET202のソースに与えられた高周波信号は、オン状態のソース−ドレイン間を介してコンデンサC4に与えられ、コンデンサC4により直流成分が遮断されて第3出力端子24に与えられる。オン状態のFET202のソース−ドレイン間により、入力端子21を第3出力端子24に短絡する短絡回路が接続される。
【0030】
出力端子201aからHレベルが出力された場合、抵抗R4、順方向となるダイオードD3及び抵抗R3を介して接地端子へ電流が流れる。FET202のゲート電圧として、Hレベルの制御電圧Vaが抵抗R4及び抵抗R3により分圧されて印加され、FET202のソース−ドレイン間がオフ状態となる。オフ状態のFET202のソース−ドレイン間により、短絡回路が開放される。MCU201の出力端子201bからは、制御電圧Vbが出力されるようにしてある。MCU201の出力端子201bから抵抗R7を介してトランジスタTrのベースに対し、Lレベルの制御電圧Vbが出力され、トランジスタTrがオン状態にされた場合、副電源部8から電源端子27、オン状態のトランジスタTrのエミッタ−コレクタ間、抵抗R5、ダイオードD1及び抵抗R1を介し接地端子に電流が流れ、ダイオードD1を流れる順方向電流により、ダイオードD1がオン状態となる。
【0031】
また、副電源部8から電源端子27、オン状態のトランジスタTrのエミッタ−コレクタ間、抵抗R6、ダイオードD2及び抵抗R2を介し接地端子に電流が流れ、ダイオードD2に流れる順方向電流により、ダイオードD2がオン状態となる。オン状態のダイオードD1、D2により、増幅器AMP、分配器203及び減衰器ATT等からなる分配回路が入力端子21及び第3出力端子24に接続される。MCU201の出力端子201bからHレベルの制御電圧Vbが出力されてトランジスタTrがオフ状態にされた場合、ダイオードD1、D2に順方向電流が流れず、ダイオードD1、D2がオフ状態となる。オフ状態のダイオードD1、D2により、分配回路が入力端子21及び第3出力端子24から開放される。
【0032】
また、副電源部8から電源端子27に与えられた電源電圧は、オン状態のトランジスタTrのエミッタ−コレクタ間を介して増幅器AMPの電源端子にも与えられる。これにより、分配回路が入力端子21及び第3出力端子24に接続された場合、増幅器AMPに対して電源の供給が開始され、分配回路が入力端子21及び第3出力端子24から開放された場合、増幅器AMPに対して電源の供給が停止される。減衰器ATTは、MCU201の出力端子201cからLレベルが与えられた場合、分配器203から分配された高周波信号を減衰率Kで減衰させてダイオードD2のアノードに出力するようにしてある。また、MCU201の出力端子201cからHレベルが与えられた場合、高周波信号を減衰させずにダイオードD2のアノードに出力するようにしてある。
【0033】
主電源部7から主電源信号端子26に与えられた主電源信号は、MCU201の入力端子201eに与えられる。MCU201は、入力端子201eに与えられた主電源信号に基づいて主電源部7のオン・オフ状態を取得するようにしてある。また、MCU201は、短絡回路及び分配回路夫々の接続及び開放のタイミングを制御する制御部、減衰器の減衰動作を有効又は無効に切替える切替部、短絡回路を接続した時点からの経過時間を計時する第1計時部及び分配回路に入力端子21及び第3出力端子24を接続した時点からの経過時間を計時する第2計時部として機能するようにしてある。以上のように構成してある分配部2について通常モードにおける動作を説明する。
【0034】
MCU201は、省電力スイッチ6が通常モードに切替えられた場合、内蔵するタイマにより、切替時点からの経過時間の計時を開始する。MCU201は、経過時間が時間T0に達するまで省電力スイッチ6が通常モードに切替えられた状態を維持されている場合、通常モードに設定する。時間T0は、後述の所定時間ΔTよりも長い時間を設定し、MCU201が内蔵する記憶部に記憶させておくと良い。MCU201は、出力端子201a及び出力端子201bから夫々Hレベルの制御電圧Va及びLレベルの制御電圧Vbを出力することにより、短絡回路を開放し、分配回路に入力端子21及び第3出力端子24を接続する。また、MCU201は、出力端子201cからHレベルの制御電圧を出力し、減衰器ATTの減衰動作を無効にする。これにより、第1出力端子22、第2出力端子23及び第3出力端子24には、分配回路を経ており、増幅された高周波信号が分配されて出力される。次に、分配部2の省電力モードにおける動作を説明する。
【0035】
図3は、実施の形態1に係る分配回路から短絡回路に切替える場合の制御電圧Va及びVbの対応関係を示すタイミングチャートである。MCU201は、省電力スイッチ6が省電力モードに切替えられた場合、内蔵するタイマにより、切替時点からの経過時間の計時を開始する。MCU201は、経過時間が時間T0に達するまで省電力スイッチ6が省電力モードに切替えられた状態を維持されている場合、省電力モードに設定する。MCU201は、出力端子201cからLレベルの制御電圧を出力して減衰器ATTの減衰動作を有効にする。
【0036】
MCU201は、主電源部7がオン状態である場合、出力端子201a及び出力端子201bから夫々Hレベルの制御電圧Va及びLレベルの制御電圧Vbを出力することにより、短絡回路を開放し、分配回路に入力端子21及び第3出力端子24を接続する。第1出力端子22、第2出力端子23には、増幅された高周波信号が分配されて出力され、第3出力端子24には、分配された高周波信号が増幅分を減衰されて出力される。MCU201は、主電源部7がオフ状態にされた場合、すなわち録画装置に備えられている電源スイッチがオフにされた場合、分配回路から短絡回路に切替える動作を開始する。
【0037】
出力端子201bから出力される電圧VbをHレベルに維持した状態で、出力端子201aから出力する電圧VaをLレベルに変更する。これにより、分配回路に入力端子21及び第3出力端子24が接続された状態が維持されると共に、短絡回路が接続される。第3出力端子24には、入力端子21から短絡回路及び分配回路を経た高周波信号が与えられる。MCU201は、内蔵するタイマにより、制御電圧VaをHレベルからLレベルに変更した時点Taからの経過時間の計時を開始する。MCU201は、経過時間が所定時間ΔTに達した時点Tbにおいて出力端子201bから出力している制御電圧VbをLレベルからHレベルに変更し、分配回路から入力端子21及び第3出力端子24を開放する。
【0038】
第3出力端子24には、分配回路から短絡回路への切替が完了し、入力端子21から短絡回路を経た高周波信号のみが出力される。所定時間ΔTは、例えば、数msecから数十msecの時間を予め設定し、MCU201が内蔵する記憶部に記憶させておくと良い。減衰器ATTの減衰率Kは、入力端子21から分配回路を経て第3出力端子24に与えられる高周波信号の信号強度が、入力端子21から短絡回路を経て第3出力端子24に与えられる高周波信号の信号強度と略同一となるように、夫々の回路における損失の差及び増幅器AMPの増幅率Gに基づいて決定すると良い。
【0039】
図4は、実施の形態1に係る短絡回路から分配回路に切替える場合の制御電圧Va及びVbの対応関係を示すタイミングチャートである。MCU201は、主電源部7がオン状態にされた場合、すなわち録画装置に備えられている電源スイッチがオンにされた場合、短絡回路から分配回路に切替える動作を開始する。出力端子201aから出力される電圧VaをLレベルに維持した状態で、出力端子201bから出力する電圧VbをHレベルからLレベルに変更する。これにより、短絡回路が接続された状態が維持されると共に、分配回路に入力端子21及び第3出力端子24が接続される。第3出力端子24には、入力端子21から短絡回路及び分配回路を経て高周波信号が与えられる。
【0040】
MCU201は、内蔵するタイマにより、制御電圧VbをHレベルからLレベルに変更した時点Tcからの経過時間を計時開始する。MCU201は、経過時間が所定時間ΔTに達した時点Tdにおいて出力端子201aから出力している制御電圧VaをLレベルからHレベルに変更し、短絡回路を開放する。第3出力端子24には、短絡回路から分配回路への切替が完了し、入力端子21から分配回路を経た高周波信号のみが出力される。分配部2が分配回路から短絡回路及び短絡回路から分配回路に切替える場合、短絡回路及び分配回路を夫々経た高周波信号が第3出力端子24に与えられる期間が設けられるため、第3出力端子24から高周波信号が出力されない期間が発生しない。
【0041】
また、減衰器ATTにより、分配回路を経て第3出力端子24に与えられる高周波信号の信号強度が、短絡回路を経て与えられる高周波信号の信号強度と略同一となるよう減衰されるため、分配回路から短絡回路に切替える場合の時点Ta、Tb、及び短絡回路から分配回路に切替える場合の時点Tc、Td夫々において、第3出力端子24から出力される高周波信号の信号強度が変化しない。また、省電力スイッチ6が省電力モードに切替えられた状態では、主電源部7がオフ状態となった場合、分配回路から短絡回路に切替えられると共に、増幅器AMPの電源端子に電源の供給が停止されるため、増幅器AMPの増幅動作における消費電力が削減され、分配部2を備える録画装置の消費電力が減少して省電力となる。
【0042】
図5は、実施の形態1に係るモードを設定する処理の手順を示すフローチャートである。MCU201は、省電力スイッチ6のモードが切替えられたか否かを判定する(ステップS11)。MCU201は、モードが切替えられていないと判定した場合(ステップS11でNO)、切替えられていると判定するまで待機する。MCU201は、モードが切替えられていると判定した場合(ステップS11でYES)、内蔵するタイマにより省電力スイッチ6のモードが切替えられた時点からの経過時間の計時を開始する(ステップS12)。MCU201は、省電力スイッチ6のモードが切替えられたか否かを判定する(ステップS13)。
【0043】
MCU201は、モードが切替えられたと判定した場合(ステップS13でYES)、経過時間の計時を開始するステップS12に処理を戻す。MCU201は、モードが切替えられていないと判定した場合(ステップS13でNO)、タイマが計時している経過時間が時間T0を経過しているか否かを判定する(ステップS14)。MCU201は、経過していないと判定した場合(ステップS14でNO)、省電力スイッチ6のモードが切替えられたか否かを判定するステップS13に処理を戻す。MCU201は、経過していると判定した場合(ステップS14でYES)、省電力スイッチ6がいずれのモードに切替えられているかを判定する(ステップS15)。
【0044】
MCU201は、通常モードに切替えられていると判定した場合(ステップS15で“通常モード”)、通常モードに設定する(ステップS16)。MCU201は、減衰器ATTの減衰動作を無効にし(ステップS17)、分配回路を接続して(ステップS18)、モードを設定する処理を終了する。MCU201は、省電力スイッチ6がいずれのモードに切替えられているかを判定するステップS15において、省電力モードに切替えられていると判定した場合(ステップS15で“省電力モード”)、省電力モードに設定する(ステップS19)。MCU201は、減衰器ATTの減衰動作を有効にし(ステップS20)、モードを設定する処理を終了する。
【0045】
図6は、実施の形態1に係る分配回路から短絡回路に切替える処理の手順を示すフローチャートである。MCU201は、短絡回路を接続する(ステップS31)。MCU201は、内蔵するタイマにより短絡回路を接続した時点からの経過時間の計時を開始する(ステップS32)。MCU201は、タイマが計時している経過時間が時間ΔTを経過しているか否かを判定する(ステップS33)。MCU201は、経過していないと判定した場合(ステップS33でNO)、経過するまで待機する。MCU201は、経過していると判定した場合(ステップS33でYES)、分配回路から入力端子21及び第3出力端子24を開放し(ステップS34)、分配回路から短絡回路に切替える処理を終了する。
【0046】
図7は、実施の形態1に係る短絡回路から分配回路に切替える処理の手順を示すフローチャートである。MCU201は、分配回路に入力端子21及び第3出力端子24を接続する(ステップS41)。MCU201は、内蔵するタイマにより分配回路に入力端子21及び第3出力端子24を接続した時点からの経過時間の計時を開始する(ステップS42)。MCU201は、タイマが計時している経過時間が時間ΔTを経過しているか否かを判定する(ステップS43)。MCU201は、経過していないと判定した場合(ステップS43でNO)、経過するまで待機する。MCU201は、経過していると判定した場合(ステップS43でYES)、短絡回路を開放し(ステップS44)、短絡回路から分配回路に切替える処理を終了する。
【0047】
減衰器ATTの減衰率Kは、短絡回路及び分配回路夫々における損失の差及び増幅器AMPの増幅率Gに基づいて決定される場合を示したが、これに限るものではなく、夫々の回路における損失の差が小さい場合、増幅器AMPの増幅率Gの逆数を設定し、増幅器AMPによる増幅分を減衰させるようにしてもよい。また、減衰器ATTは、減衰動作の有効又は無効を切替可能に構成してある場合を示したが、これに限るものではなく、常時減衰動作を行うよう減衰器ATTを構成し、減衰器ATTの入力端及び出力端を短絡するバイパス回路を設けてもよい。この場合、分配器203の出力をバイパス回路又は減衰器ATTの入力端のいずれかに接続する切替スイッチをさらに設けて、係る切替スイッチをMCU201の出力端子201cから出力される制御電圧で切替制御するよう構成するとよい。
【0048】
FET202によるスイッチが介挿された短絡回路、及びダイオードD1及びD2による高周波スイッチ、増幅器AMP、分配器203及び減衰器ATT等からなる分配回路として示した図2の例は、公知の技術であり、これに限るものではなく、短絡回路の接続及び開放、並びに分配回路の入力端子21及び第3出力端子24への接続及び開放のタイミングをMCU201により夫々制御可能に構成された回路であればよい。
【0049】
実施の形態2
図8は、実施の形態2に係る分配部を備えた録画装置の内部構成を示すブロック図である。本実施の形態2は、実施の形態1に係る分配部2が設定した通常モード及び省電力モードに基づいて減衰器ATTによる減衰動作を有効及び無効に切替えるようにしてあるのに対し、入力される放送信号の信号強度に基づいて切替えるようにしてある。録画装置は、放送信号入力部1に入力された放送信号の信号強度を判定する信号強度検出部9と、分配部10とを備える。信号強度検出部9は、アンテナからの信号の強度( Carrier )と総合雑音電力( Noise )の比を示す受信C/N比を用いて放送信号の信号強度を検出し、分配部10の強度信号端子101に出力するようにしてある。
【0050】
図9は、実施の形態2に係る分配部の内部回路を示す回路図である。MCU301は、強度信号端子101を介して強度信号が入力される入力端子301aを備えている。MCU301は、入力端子301aに入力された強度信号が所定値未満である否かを判定する判定部として機能し、所定値未満である場合、減衰器ATTの減衰動作を無効にすべく出力端子201cからLレベルの制御電圧を出力する。また、MCU301は、省電力モードに設定されている場合、通常モードに変更する。これにより、放送信号入力部1に所定値未満の信号強度を有する放送信号が入力された場合、第3出力端子24には、常時、分配部10の分配回路を経て増幅され、分配された高周波信号が与えられる。
【0051】
信号強度検出部9は、C/N比を用いて信号強度を検出する場合を示したが、復号エラーを用いて検出しても良い。デジタルテレビジョン放送により伝送される放送信号は、MPEG等のデジタル圧縮/伸長アルゴリズムを用いて符号化されており、第1選局部3a及び第2選局部3bが備える復号器で復号される。信号強度の低い放送信号を復号器で復号した場合、復号エラーが多く発生するため、復号エラーの発生頻度を用いて信号強度の検出するよう信号強度検出部9を構成するとよい。MCU301が入力端子301aに入力された強度信号に基づいて判定する判定部として機能する場合を示したが、これに限るものではなく、分配部10の入力端子21に入力された高周波信号の信号強度を検出して所定値未満であるか否かを判定し、判定結果をMCU301に与える判定部を分配部10に設けてもよい。
【0052】
また、省電力モードで信号強度検出部9に対する電源の供給を停止するようにしてもよい。この場合、入力端子301aに入力された強度信号についての判定結果をMCU301が記憶するようにし、録画装置に備えられている電源スイッチがオフにされた場合、記憶してある結果に基づいて減衰器ATTの減衰動作を有効又は無効にすべく出力端子201cから制御電圧を出力するとよい。
【0053】
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態1に係る分配部を備えた録画装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る分配部の内部回路を示す回路図である。
【図3】実施の形態1に係る分配回路から短絡回路に切替える場合の制御電圧Va及びVbの対応関係を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態1に係る短絡回路から分配回路に切替える場合の制御電圧Va及びVbの対応関係を示すタイミングチャートである。
【図5】実施の形態1に係るモードを設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態1に係る分配回路から短絡回路に切替える処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1に係る短絡回路から分配回路に切替える処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係る分配部を備えた録画装置の内部構成を示すブロック図である。
【図9】実施の形態2に係る分配部の内部回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0055】
1 放送信号入力部
2,10 分配部
3a 第1選局部
3b 第2選局部
4 外部出力端子
5 録画部
6 省電力スイッチ
7 主電源部
8 副電源部
9 信号強度検出部
21 入力端子
22 第1出力端子
23 第2出力端子
24 第3出力端子
25 省電力スイッチ端子
26 主電源信号端子
27 電源端子
101 強度信号端子
201,301 MCU
201a,201b,201c 出力端子
201d,201e,201f,301a 入力端子
202 FET
203 分配器
AMP 増幅器
ATT 減衰器
C1,C2,C3,C4 コンデンサ
D1,D2,D3 ダイオード
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7 抵抗
Tr トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力された信号を増幅して複数の出力端子に分配する分配回路と、前記複数の出力端子のうち、一つの出力端子を前記入力端子に接続する短絡回路と、前記分配回路及び前記入力端子間、並びに前記分配回路及び前記一つの出力端子間に介挿された接続スイッチとを備え、前記信号を増幅して前記複数の出力端子に分配する第1状態と、前記信号を前記入力端子に短絡された前記一つの出力端子に出力する第2状態とを切替える分配装置において、
前記短絡回路を接続した時点からの経過時間を計時する第1計時部と、
前記第1状態から前記第2状態に切替える場合、前記短絡回路を接続し、前記第1計時部が計時した経過時間が所定時間を超えた時点で前記接続スイッチを開放する制御部と
を備えることを特徴とする分配装置。
【請求項2】
前記接続スイッチを接続した時点からの経過時間を計時する第2計時部を備え、
前記制御部は、
前記第2状態から前記第1状態に切替える場合、前記接続スイッチを接続し、前記第2計時部が計時した経過時間が所定時間を超えた時点で前記短絡回路を開放するよう構成してある
ことを特徴とする請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記分配回路に介挿されており、前記一つの出力端子に分配する信号を減衰させる減衰器を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分配装置。
【請求項4】
前記減衰器は、減衰動作を有効又は無効に切替える切替部を備えることを特徴とする請求項3に記載の分配装置。
【請求項5】
前記入力端子に入力される信号の信号強度が所定値未満であるか否かを判定する判定部
を備え、
前記切替部は、前記判定部が所定値未満であると判定した場合、減衰動作を無効に切替えるようにしてある
ことを特徴とする請求項4に記載の分配装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記判定部が所定値未満であると判定した場合、前記短絡回路の接続を禁止するよう構成してある
ことを特徴とする請求項5に記載の分配装置。
【請求項7】
前記第2状態への切替動作の有効又は無効を受け付ける受付部を備え、
前記制御部は、前記受付部が前記切替動作の無効を受け付けた場合、前記短絡回路の接続を禁止するよう構成してある
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の分配装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の分配装置を備えることを特徴とする録画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−302843(P2009−302843A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154320(P2008−154320)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】