説明

包装機における物品供給装置

【課題】ロボットを用いて物品を高速で搬送する包装機における物品供給装置を提供する。
【解決手段】定速回転する回転体12に所定の角度間隔で支持されるアーム20を有していて、回転体12が回転中において前記アーム20を回動させて、物品を吸着した吸着具25を、前記支持位置より前記回転体12の中心に近づけてから、該吸着具25を第2コンベヤ2の搬送方向に向けて移動させて物品を載置した後、該物品を載置したときの前記回転体の中心と支持位置16とを結ぶ線分に対するアームの角度より大きく広がるようにアーム20を回動させて、前記物品保持領域物品の物品を吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ロボットを用いて物品を高速で搬送する包装機における物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDカメラ等の撮像手段で撮像した情報に基づき、コンベヤ上のランダムに搬送される物品をアームで吸着して下流に配置されたコンベヤに載置する物品供給装置が知られている。
先行技術文献(特開2006−160416号公報)には、CCDカメラ等の撮像手段で撮像した情報に基づき、1つのアームを回動させて、搬送方向における左右前後に不規則な間隔で搬送される物品の中から、特定の物品を吸着して、物品が同じ方向を向くように第2コンベヤに移すことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−160416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記公報に開示のロボットは、処理速度が遅く、吸着保持した物品を高速で処理する包装機の処理能力に対応することができず、回収コンベヤへの回収が煩雑に発生するだけであって、物品の効率的な受け渡しができない。
物品の効率的な受け渡しを行うためには、最高処理能力を備えた水平多関節ロボットなどを使用しても、包装機の処理能力が、例えば、200包/分以上の高速仕様の場合、確実に物品を包装機に載置することは困難である。
そこで、本願発明は、搬送方向における左右前後に不規則な間隔で搬送される第1コンベヤ上の物品を、高速で、確実に下流に設置の第2コンベヤに載置し得る包装機における物品供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の請求項1の包装機における物品給装置は、前後左右に不規則な間隔で搬送される第1コンベヤ上の物品の状態を物品検出手段を介して得た情報に基づいて、ロボットのアームに配設された吸着具を昇降させて、左右に広がった第1コンベヤ上の物品保持領域における物品を吸着保持して第2コンベヤに所定の間隔で載置して搬送する。また、前記ロボットは、鉛直軸周りに一定方向に定速回転する回転体と、その回転体に所定の角度間隔で支持されるアームとサーボモータを有していて、前記それぞれのアームは、前記回転体の中心から同じ距離だけ離れた各支持位置で、サーボモータによって独立して水平方向に所定角度の回動が可能である。
回転体が回転中において前記アームが各支持位置より前記回転体の中心に近くなる位置になる角度に回動した吸着具を、第2コンベヤの搬送方向に沿って移動させて物品を載置すると共に、物品を載置したときの角度より大きくアームを回動させて、前記物品保持領域の物品を吸着保持する。
【0006】
また、請求項2の包装機における物品供給装置は、前記物品を載置したときのアームの角度を前記所定角度の最小角度とし、前記各アームを、該最小角度から隣のアームに干渉することがない範囲だけ定方向に回動させて、前記物品保持領域の物品を吸着保持する。
【0007】
また、請求項3の包装機における物品供給装置は、それぞれのアームの支持位置で前記物品を載置したときのアームの角度より大きな角度にアームを回動させて、前記物品保持領域内の複数の物品の内、アームの回動軌跡において隣り合う物品と接触することがなく、且つ、回転体の回転方向で最も遠い物品から順次、吸着具で吸着保持する。
【0008】
また、請求項4の包装機における物品供給装置は、前記吸着具が物品保持領域内に進入する前に、アームが進入後の角度に変更されている。
【0009】
また、請求項5の包装機における物品供給装置は、前記回転体の中心からアームの支持位置より遠い位置で前記物品保持領域の物品を前記吸着具で吸着保持する際に、回転体の回転方向とは逆方向にアームを回動させて物品に対する吸着具の相対速度を小さくする。
【0010】
また、請求項6の包装機における物品供給装置は、前記第2コンベヤには仕切り部材が所定間隔ごとに配設されており、吸着具が物品を吸着保持した状態で搬送方向に移動中の仕切り部材を追い越して、該仕切り部材の搬送方向前方に降下した後に、吸着具と物品との吸着を解除して物品を載置する。
【0011】
また、請求項7の包装機における物品供給装置は、該吸着具は傾斜した状態で取着されており、蛇腹状に形成された先端が物品保持領域で回転体の回転方向における前方側が物品に遅れて接触すると共に、第2コンベヤに対して載置される物品の向きが常に同じになるように吸着具を回転させる。
【0012】
また、請求項8の包装機における物品供給装置は、第2コンベヤは横形製袋充填機の供給コンベヤである。
【発明の効果】
【0013】
本願発明は、搬送方向における左右前後に不規則な間隔で搬送される第1コンベヤ上の物品を、高速で、確実に下流に設置の第2コンベヤに載置し得る包装機における物品供給装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は物品供給装置の略体平面図,(b)は第2コンベヤの略体正面図である。
【図2】物品供給装置の略体正面図である。
【図3】第1で搬送される物品の処理順序を示す図である。
【図4】第1コンベヤ上の物品を吸着具で吸着する際のロボットのアームの動きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の包装機は、物品供給装置によって搬送される物品を筒状に成形されたフィルム中に供給するとともに、縦シールと横シール及びフィルム切断を行って包装品を得る横形製袋充填機である。
物品供給装置についての図1(a)の略平面図,図1(b)の第2コンベヤの略正面図、図2の略正面図を参照して説明すると、物品供給装置は、搬送方向における左右前後に不規則な間隔で、例えば、煎餅などの欠けやすい略円盤状の物品や方向性を有した形状の物品など、所定速度で搬送するベルトからなる第1コンベヤ1と、所定間隔ごとに配設されている仕切り部材30の間に1個の物品を載置して筒状のフィルム中に供給する第2コンベヤと、第1コンベヤ上の物品を吸着具25で吸着して第2コンベヤ上に載置するロボット10を備える。
【0016】
ロボット10は、架台(図示略)に対して取り付けてあり、サーボモータ11の駆動により、図1(a)において反時計方向(左回り)に一定速度で回転する回転体12を備える。また、この回転体12には、等間隔に4個の同じ形状の支持部13が設けてある。
前記各支持部13にはサーボモータ15が固定してあり、このサーボモータ15によって、回転体12に設置の軸受け体18で軸支されている回動軸16を回動する。また、この回動軸16には、サーボモータ21で昇降可能なアーム20が取り付けてある。
尚、サーボモータ15によって、アーム20は前記回動軸16を中心に水平方向に回動軸16と共に所定角度を回動し、該回動角は、隣接するアーム20に接触しないように設定してある。
【0017】
また、それぞれのアーム20の自由端側には、ガイド体24がサーボモータ27からの駆動を受け取り、回動可能に取り付けられている。そして、ガイド体24の下端部には、一対の樹脂製板状のバネ材28の間に、先端が弾性を備える蛇腹状の吸着具25が傾いた状態(例えば、1°程度)で取り付けてある。この吸着具25は、真空ライン26に接続してあり、吸着時には負圧であり、吸着された物品を切り離すときには負圧を解除する。
【0018】
以上のように、前記ロボット10は、鉛直軸周りに一定方向に定速回転する回転体12と、その回転体12に所定の角度間隔で支持されるアーム20とサーボモータ15を有していて、それぞれのアーム20は、前記回転体12の中心から同じ距離だけ離れた各支持位置(回動軸16)で、サーボモータ15によって独立して水平方向に所定角度の回動が可能である。また、回転体12が回転中において、前記アーム20が各支持位置より前記回転体12の中心に近くなる位置になる角度に回動した吸着具25を、第2コンベヤ2の搬送方向に沿って移動させて第2コンベヤ2が所定間隔で物品Pを搬送し得るように物品Pを載置すると共に物品Pを載置したときの角度より大きくアーム20を回動させて、前記物品保持領域の物品Pを吸着保持する。
【0019】
各種の機器を運転するに当たって、例えば、ロボットコントローラ(図示略)は、筒状に成形されたフィルム中に供給された物品Pをヒートシールや切断等を制御するコントローラ(図示略)との間で運転前にそれぞれの準備状況などの情報を交信し、また、第2コンベヤ2の位置や速度に関する情報を入力して動作タイミングを調整する。
【0020】
第1コンベヤ1上には、物品保持領域(C)と、その上流側である物品認識領域(E)が設定されていて、物品認識領域(E)の物品Pを検出する物品検出手段(図示略)が第1コンベヤの上部に設置してある。
物品保持領域(C)は、回転体12の回転によりアーム20が移動しながら、アーム20自身が所定角度の範囲で回動して物品Pを吸着保持し得ることと、吸着した物品Pを第2コンベヤ2に載置する準備を完了し得る条件を加味して、物品認識領域(E)より面積が狭く、第1コンベヤ1の左右に広がった物品をいずれも吸着保持し得る領域に設定されている。
物品認識領域(E)においては、前後左右不規則に広がって搬送されてくるそれぞれの物品Pの状態が物品検出手段(図示略)によって検出され、ロボットコントローラに送信される。なお、物品検出手段としては、CCD、ラインセンサ,X線などのいずれかの検出方式を採用することが望ましい。
【0021】
ロボットコントローラは、吸着具25が吸着保持した物品Pを第2コンベヤ2の載置位置(D)で載置した後、吸着具25が配設されたアーム20の回動軸16が反時計方向に進んだ開始位置(A)に到るまでに、物品検出手段からの情報によって、第1コンベヤ1上の複数の物品Pの位置(Xi,Yi)から、次に、開始位置に至る予定の吸着具25が吸着する物品Pの位置を算出する。
尚、物品検出手段で検出された複数の物品Pの処理順序は、高速処理のため、それぞれのアーム20の支持位置より回転体12の中心に近くなる後述する最小角度θ1より大きな角度にアーム20を回動させて、物品保持領域(C)内の複数の物品Pのうち、アーム20の回動軌跡において隣り合う物品Pと接触することがなく、且つ、回転体12の回転方向で最も遠い物品Pから順次、吸着具25で吸着保持するように決定される。
例えば、配列された物品Pが4個の場合、図3(A)(B)(C)に示すように、番号を付した順であり、吸着する物品Pは、回転体12の回転方向において最も遠い物品Pからであり、回転体12が高速回転を継続しても、物品Pを吸着する瞬間や物品Pを上昇させる瞬間に物品同士の衝突を回避し得る。
【0022】
また、物品Pを載置した後、アーム20の支持位置が開始位置(A)に至るまでの間に、アーム20及び吸着具25の次の動きについて、即ち、次に吸着保持する物品の位置(Xk,Yk)と、その位置(Xk,Yk)までの回転体12の中心Qを基点とする開始位置(A)からの角度β、その位置(Xk,Yk)で物品Pを吸着するときのアーム20の角度θと、吸着具25の上昇タイミングや回転する向き等、様々な動きについて決定される。
【0023】
物品Pの位置(Xk,Yk)で、物品Pを吸着保持するための具体的なロボット10の動きついては、回転体12が開始位置(A)から準備完了位置位置(B)に到るまでに、アーム20の回動角θ、吸着具25(及びアーム20)の高さ、吸着具25の向きの変更が完了している。
このとき、吸着具25は、アーム20を回動させた際に、第1コンベア1上の物品Pにぶつからない程度の高さに位置が変更されている。
なお、本例では、回転体12が高速回転しているため、吸着具25が物品Pに接触する際に、物品Pが回転方向に跳び出さないように、アーム20が吸着予定の位置(Xk,Yk)に対応する回動角θより、回転体12の回転方向における前方側に進んだ回動角(θ+α)(例えば、αは5°:図1(a)の準備完了位置(B)参照)に回動され、位置(Xk,Yk)で吸着する前後のタイミングで、図4に示すように、アーム20が回動角(θ+α)から回動角(θ−α)に回動される。このことで、吸着具25と物品の相対速度は、相殺、あるいは低減されることになり、物品Pを安定して吸着保持し得るようになる。
【0024】
このようにアーム20を2α分、回動しながら物品Pを吸着保持する際に、吸着具25は吸着する位置で最も降下した後に上昇する。なお、吸着具25が物品Pに接触するときには、吸着具25は回転体12の回転方向における前方側が遅れて接触するように、毎回、吸着具25の向きが変更される。
このため、吸着具25が物品Pに接触したとき、先端が折れ曲がることなく確実に吸着することができる。さらには、吸着具25の蛇腹状に形成された先端部分が、物品吸着によって縮んだときに、両側のバネ材28が物品Pに当接して物品姿勢を安定させることによって、物品Pが確実に吸着保持される。
【0025】
このように吸着保持された物品Pは、載置位置(D)に向けて、物品Pの高さより高い位置に向けて上昇しながら運ばれる。本実施の形態では、第2コンベヤ2に、物品Pの高さより高い仕切り部材30が配置されているため、物品Pを仕切り部材30にぶつからない高さまで上昇させている。このとき方向性を有する物品の場合には、物品検出手段から得られた情報から載置位置(D)で、載置されるそれぞれの物品の向きが同じ特定方向に向くように、吸着具25の向きが徐々に回転すると共に、アーム20が角度θ1に徐々に変更される。
【0026】
アームの角度θ1は、設定された所定角度の範囲のうちで、アーム20の自由端側の吸着具25が回転体12の中心Qに最も近い角度であり、中心Qから吸着具25までの距離(R2)は、中心Qから回動軸16(支持位置)までの距離より短くなるため、角度θ1における吸着具25の回転速度は遅くなる。
この速度の減速は、第2コンベヤ2が各物品を搬送するタイミングに同期させるためであり、且つ、第2コンベヤ2上の物品Pの載置位置のばらつきを低減させるために重要なことである。
【0027】
アーム20の角度が角度θ1に変更された後に、吸着具25は、図1(b)に示すように、第2コンベヤ2の搬送方向における後方から、移動中の仕切り部材30の上方を移動しながら追い越して降下する。降下し終えると、吸着具25は吸着を解除して物品Pを開放して、前方の仕切り部材30にぶつからないように上昇する。この間、アーム20の角度が、角度θ1より徐々に広がり、図1(b)に示すように、アーム20は2点鎖線のごとく、吸着具25の中心が、第2コンベヤ2の中心を搬送方向に沿うように直線移動する。
その後、吸着具25は、直線移動終了時点のアーム20の角度を維持した状態で、回転体12の回転によって次の物品Pを吸着保持するために、開始位置(A)に移動する。
このように、それぞれの吸着具25によって吸着された物品Pが、第2コンベヤ2の各仕切り部材30の間に連続して載置されることによって、高速処理においても空袋の発生防ぐことができる。
また、吸着具25の中心が第2コンベヤ2の搬送方向に沿って移動しながら、吸着を解除し、物品Pを開放することによって、左右に位置ずれすることなく、物品Pを第2コンベヤ2上に載置することができる。よって、筒状フィルムの開口の大きさに余裕をもたせなくても、筒状フィルムに物品Pを供給して、適切にフィルムを消費しながら高速でフィルム包装することが可能になる。
【0028】
以上のことから、以下の効果を奏する。アーム20を回動させて回転体12の中心Qから吸着具25までの距離を可変にし、アーム20の回動角を最小の回動角θ1にして、吸着具25を第2コンベヤの搬送方向に沿って移動させることで、回転体12が回転することにより物品Pに作用する遠心力が小さくなり、第2コンベヤ2の幅方向への物品の位置ずれを低減することができる。
また、物品Pを載置して開始位置(A)に移動するときのアーム20の角度を基点に、アーム20を該角度より大きく回動させることから、物品保持領域(C)を広く設定することができると共に、基点と物品を吸着保持する位置までの位置関係が求めやすくなるので高速処理が可能になる。
すなわち、本実施の形態は、一定方向に常時、定速回転する回転体12に対して回動可能なアーム20の先端側に配設された吸着具25で物品Pを吸着するロボット10を用いるため、関節を有さないタイプの既存のロボット(アーム20に相当する腕を有さず、回転体12に吸着手段が配設されたロボット)に比べた場合、物品Pを吸着するときは、吸着具25が第1コンベヤ1の広範囲を、比較的、高速で移動して物品Pを吸着し、物品Pを載置するときには、比較的、減速して第2コンベヤ2に物品Pを確実に載置し得ることから、前後左右不規則に搬送される第1コンベヤ1上に載置の物品Pを、高速で吸着して、確実に物品を第2コンベヤ2に載置して包装することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、基点におけるアーム20の角度(物品を載置して、開始位置(A)に移動するときのアーム20の角度)を最小角度として、それぞれのアーム20を該最小角度から隣のアーム20に干渉することがない角度だけ同じ向きに回動させて、物品保持領域(C)の物品Pを吸着保持するように、アーム20が回動する所定角度を規定しているので、最小角度から物品を吸着保持する位置までの位置関係がもとめ易くなるので高速処理が可能になる。また、アーム20同士の衝突を回避できる。
また、本実施の形態では、基点における角度より、大きな角度にアーム20を回動させて、物品保持領域(C)における複数の物品Pのうち、アーム20の回動軌跡において隣り合う物品Pと接触することがなく、且つ、回転体12の回転方向で最も遠い物品Pから順次、吸着具25で吸着保持することから、物品Pを吸着する瞬間や物品Pを上昇させる瞬間に物品同士の衝突を回避することができる。
【0030】
また、本実施の形態では、吸着具25は、物品保持領域(C)に進入する前の準備完了位置(B)までに、アーム20の回動角が変更され吸着準備が完了する。例えば、アーム20が回転体12によって移動するときに、物品保持領域(C)にあるそれぞれの物品Pを吸着具25が吸着し得るアーム20の角度は複数存在する。そこで、物品保持領域(C)の特定位置の物品Pに対して、準備完了位置(B)までにアーム20の角度を設定すると、毎回、同じタイミングで、吸着具25を物品Pに接触させることで、例えば、軽い物品Pなどに吸着具25が接触する瞬間に、物品Pに位置ずれが生じても、ずれる方向が定まるので、位置ずれを起こし難くする対策が取りやすい。
【0031】
また、本実施の形態では、回転体12の中心Qからアーム20の支持位置(回動軸16)より遠い位置で物品保持領域(C)の物品Pを吸着具25で吸着保持する瞬間に、回転体12の回転方向と逆方向にアーム20を回動させて物品Pに対する吸着具25の相対速度を小さくしている。このため、回転体12の中心Qからアーム20の支持位置(回動軸16)より遠い位置では、吸着具25の移動速度が速くなることから、吸着具25が特に軽い物品Pなどに接触する際に、物品Pの位置ずれが生じやすくなるが、物品Pを吸着具25で吸着保持する瞬間に、回転体12の回転方向と逆方向にアーム20を回動させて物品Pに対する吸着具25の相対速度を小さくすることで位置ずれがおき難くなる。
また、本実施の形態では、第2コンベヤ2上に物品Pを載置するにあたって、吸着具25が、物品Pを吸着保持した状態で移動中の仕切り部材30を追い越した後に、仕切り部材30の搬送方向前方に降下することで、吸着具25を第2コンベヤ2の搬送方向に沿って移動させて載置することができ、また、載置するまでの距離を短くすることができるので、特に、欠けやすい物品Pなどに有利であり、載置位置を安定させることができる。
【0032】
さらに、吸着具25を降下させた後に吸着を解除することから、吸着具25が降下しながら物品Pを切り離すより、負圧を早期に解除することができないが、物品Pを安定して載置することができる。
また、本実施の形態では、傾斜した状態で取着されている吸着具25を回動可能とし、吸着具25の先端を、回転体12の回転方向における前方側として物品Pに遅れて接触するように、第2コンベヤ2に載置される物品Pが、常に同じ向きになるように吸着具25を回転させることで確実に物品Pを載置することができる。
【0033】
尚、前記のロボット10は例示であり、アーム20は回転体12に等角度に回転支持されるものであればよく、その数は限定されないし、中心に複数の回転体を設けて、それぞれの回転体にアーム20を回転支持させ、アーム20が等角度間隔に配置されるようにしてもよく、同種のものが好ましい。
また、アーム20の回動角は隣接するアーム20に接触しないように限定しているが、アームの長さ、取り付け位置により、必ずしも限定する必要はなく、アームの回動角度の規制をはずしてもよい。
また、回転体12に回動支持されるそれぞれのアーム20に、更に、別のアームを接続して、別のアームを回動駆動させて物品Pを吸着保持させてもよい。
また、第1コンベヤ1に対して第2コンベヤ2を平行して配設したが、吸着具25の移動軌跡の接線上を支持部材が移動する関係であれば第1コンベヤ1に対して第2コンベヤ2を、例えば、直角などに向けて配置してもよい。
【0034】
また、第2コンベヤ2上には、物品Pを一列に配置しているが、複数列に配置して搬送するように構成してもよいし、第2コンベヤ2に収納箱を載置し、その箱内に物品Pを配列し、収納が終了したら次の収納箱に入れるように構成してもよい。
また、アーム20と吸着具25を一緒に昇降させたが、吸着具25だけを昇降させる昇降手段でもよい。この場合、サーボモータに替えて、エアシリンダなどで吸着具を昇降させてもよい。
第2コンベヤ2の仕切り部材30のピッチを変更する場合は、アーム20の回動角を変更すると共に、吸着具25の移動軌跡の接線上を仕切り部材30が移動する関係にすればよい。
また、物品保持領域(C)で物品Pを吸着する順序は、物品保持領域(C)に置かれた物品Pの中で、障害物がない最も外側から順に吸着すればよく、本例とは逆外側からでもよい。また、搬送方向に物品Pが複数個並ぶ物品保持領域(C)においては、障害物がない最も外側のうち、下流側から吸着すればよい。また、アーム20に支持位置から回転体12の中心までの距離を長くして、隣のアーム20と干渉しないようにすれば、各アーム20の回動する方向を自由に設定してもよい。
また、包装機は第2コンベヤ2に載置した物品Pを筒状フィルム中に供給して、フィルム包装する横形製袋充填機に限定されるものではなく、例えば、第2コンベヤ2によって搬送される物品Pを箱詰めする箱詰め包装機などでもよい。
本発明の趣旨に反しない範囲で適宜変更可能であり、種々の構成を採用し得ることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 第1コンベヤ
2 第2コンベヤ
10 ロボット
11 サーボモータ
12 回転体
15 サーボモータ
16 回動軸
20 アーム
21 サーボモータ
24 ガイド体
25 吸着具
27 サーボモータ
30 仕切り部材
P 物品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右に不規則な間隔で搬送される第1コンベヤ上の物品の状態を物品検出手段を介して得た情報に基づいて、ロボットのアームに配設された吸着具を昇降させて、左右に広がった第1コンベヤ上の物品保持領域における物品を吸着保持して第2コンベヤに所定の間隔で載置して搬送する包装機における物品供給装置であって、
前記ロボットは、鉛直軸周りに一定方向に定速回転する回転体と、その回転体に所定の角度間隔で支持されるアームとサーボモータを有し、
前記それぞれのアームは、前記回転体の中心から同じ距離だけ離れた各支持位置で、サーボモータによって独立して水平方向に所定角度の回動が可能であり、
回転体が回転中において、前記アームが各支持位置より前記回転体の中心に近くなる位置になる角度に回動した吸着具を、第2コンベヤの搬送方向に沿って移動させて物品を載置すると共に、物品を載置したときの角度より大きくアームを回動させて、前記物品保持領域の物品を吸着保持することを特徴とする包装機における物品供給装置。
【請求項2】
前記物品を載置したときのアームの角度を前記所定角度の最小角度とし、前記各アームを、該最小角度から隣のアームに干渉することがない範囲だけ定方向に回動させて、前記物品保持領域の物品を吸着保持することを特徴とする請求項1の包装機における物品供給装置。
【請求項3】
それぞれのアームの支持位置で前記物品を載置したときのアームの角度より大きな角度にアームを回動させて、前記物品保持領域内の複数の物品の内、アームの回動軌跡において隣り合う物品と接触することがなく、且つ、回転体の回転方向で最も遠い物品から順次、吸着具で吸着保持することを特徴とする請求項1又は請求項2の包装機における物品供給装置。
【請求項4】
前記吸着具が物品保持領域内に進入する前に、アームが進入後の角度に変更されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項の包装機における物品供給装置。
【請求項5】
前記回転体の中心からアームの支持位置より遠い位置で前記物品保持領域の物品を前記吸着具で吸着保持する際に、回転体の回転方向とは逆方向にアームを回動させて物品に対する吸着具の相対速度を小さくすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項の包装機における物品供給装置。
【請求項6】
前記第2コンベヤには仕切り部材が所定間隔ごとに配設されており、吸着具が物品を吸着保持した状態で搬送方向に移動中の仕切り部材を追い越して、該仕切り部材の搬送方向前方に降下した後に、吸着具と物品との吸着を解除して物品を載置することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項の包装機における物品供給装置。
【請求項7】
該吸着具は傾斜した状態で取着されており、蛇腹状に形成された先端が物品保持領域で回転体の回転方向における前方側が物品に遅れて接触すると共に、第2コンベヤに対して載置される物品の向きが常に同じになるように吸着具を回転させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項の包装機における物品供給装置。
【請求項8】
第2コンベヤは横形製袋充填機の供給コンベヤであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項の包装機における物品供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−241027(P2011−241027A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113451(P2010−113451)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】