化合物半導体装置
【課題】閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を提供する。
【解決手段】キャリア走行層21とキャリア供給層22を有し、二次元キャリアガス層211が形成される化合物半導体層2と、化合物半導体層2上に互いに離間して配置され、二次元キャリアガス層211とオーミック接続する第1の主電極3及び第2の主電極4と、第1の主電極3と第2の主電極4間で、化合物半導体層2上に配置された金属酸化物半導体膜8と、金属酸化物半導体膜8上に配置された、金属酸化物半導体膜8に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極5とを備える。
【解決手段】キャリア走行層21とキャリア供給層22を有し、二次元キャリアガス層211が形成される化合物半導体層2と、化合物半導体層2上に互いに離間して配置され、二次元キャリアガス層211とオーミック接続する第1の主電極3及び第2の主電極4と、第1の主電極3と第2の主電極4間で、化合物半導体層2上に配置された金属酸化物半導体膜8と、金属酸化物半導体膜8上に配置された、金属酸化物半導体膜8に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体装置に係り、特に二次元キャリアガス層を有する化合物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体からなるキャリア走行層及びキャリア供給層を積層して、高電子移動度トランジスタ(HEMT)は形成される。HEMTでは、キャリア走行層とキャリア供給層との間のヘテロ接合面の近傍付近のキャリア走行層に二次元キャリアガス層が形成される。この二次元キャリアガス層がソース電極とドレイン電極間の電流通路(チャネル)として機能し、チャネルを流れる電流はゲート電極に印加されるゲート制御電圧によって制御される。
【0003】
一般的に、HEMTは、ゲート電極にゲート制御電圧が印加されていない状態(ノーマリ状態)でソース電極とドレイン電極間に電流が流れる特性、即ちノーマリオン特性を有する。したがって、HEMTをオフ状態にするためには、ゲート電極を負電位にする必要がある。つまり、ゲート電極に印加する負電圧を供給する電源が必要であり、電気回路が高価になる。
【0004】
このため、ノーマリ状態でソース電極とドレイン電極間に電流が流れない特性、即ちノーマリオフ特性を有するHEMTを実現するために、種々の方法が提案されている。例えば、ゲート構造をリセス型にする方法や、Ni/Au/Ti構造のゲート電極と二次元キャリアガス層との間に金属酸化物半導体膜を配置する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−76845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気回路を構成するパワー半導体としてHEMTを用いる場合、外来ノイズ等によるHEMTの誤動作を防止するため、より高い閾値電圧が求められる。
【0007】
上記要求に応えるために、本発明は、閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、(イ)キャリア走行層とキャリア供給層を有し、二次元キャリアガス層が形成される化合物半導体層と、(ロ)化合物半導体層上に互いに離間して配置され、二次元キャリアガス層とオーミック接続する第1及び第2の主電極と、(ハ)第1の主電極と第2の主電極間で、化合物半導体層上に配置された金属酸化物半導体膜と、(ニ)金属酸化物半導体膜上に配置された、金属酸化物半導体膜に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極とを備える化合物半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の化合物半導体層の構成例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の特性を説明するためのエネルギーバンド図である。
【図4】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の特性を説明するためのVds−Ig特性である。
【図5】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の他の構成を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。
【図7】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。
【図8】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その3)。
【図9】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その4)。
【図10】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の他の構成を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の特性を示す実験に用いたゲート電極構造の模式的な断面図である。
【図12】図11に示したゲート電極構造を用いた化合物半導体装置のVgs−Ids特性である。
【図13】図11に示したゲート電極構造を用いた化合物半導体装置のVgs−Ig特性である。
【図14】本発明の実施形態の変形例に係る化合物半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
本発明の実施形態に係る化合物半導体装置1は、図1に示すように、キャリア走行層21とキャリア供給層22を有し、二次元キャリアガス層211が形成される化合物半導体層2と、化合物半導体層2上に互いに離間して配置され、二次元キャリアガス層211とオーミック接続する第1の主電極3及び第2の主電極4と、第1の主電極3と第2の主電極4間で、化合物半導体層2上に配置された金属酸化物半導体膜8と、金属酸化物半導体膜8上に配置された、金属酸化物半導体膜8に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極5とを備える。
【0014】
以下では、第1の主電極3がソース電極、第2の主電極4がドレイン電極、制御電極5がゲート電極である化合物半導体装置1について説明する。
【0015】
図1に示す基板10には、シリコン(Si)基板、シリコンカーバイト(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板等の半導体基板や、サファイア基板、セラミック基板等の絶縁体基板を採用可能である。例えば、基板10に大口径化が容易なシリコン基板を採用することにより、化合物半導体装置1の製造コストを低減できる。
【0016】
バッファ層11は、周知の有機金属気相成長(MOCVD)法等のエピタキシャル成長法で形成できる。図1では、バッファ層11を1つの層として図示しているが、バッファ層11を複数の層で形成してもよい。例えば、バッファ層11を窒化アルミニウム(AlN)からなる第1のサブレイヤー(第1の副層)と窒化ガリウム(GaN)からなる第2のサブレイヤー(第2の副層)とを交互に積層した多層構造バッファとしてもよい。また、化合物半導体装置1がHEMTとして動作する場合、バッファ層11はHEMTの動作に直接には関係しないため、バッファ層11を省いてもよい。また、バッファ層11の材料として、AlN、GaN以外の窒化物半導体、又はIII−V族化合物半導体を採用してもよい。基板10とバッファ層11とを組み合わせた構造を基板とみなすこともできる。バッファ層11の構造、配置は、基板10の材料等に応じて決定される。
【0017】
化合物半導体層2は、それぞれが窒化物系化合物半導体からなるキャリア走行層21及びキャリア供給層22がこの順に積層された構造である。図1に示すように、キャリア走行層21とキャリア供給層22間のヘテロ接合面近傍のキャリア走行層21に、電流通路(チャネル)としての二次元キャリアガス層211が形成される。
【0018】
以下では、キャリア供給層22がキャリア走行層21に供給するキャリアが電子である場合について例示的に説明する。つまり、二次元キャリアガス層211は二次元電子ガス(2DEG)層であり、化合物半導体装置1がオンしたときにソース電極3から2DEG層211を介してドレイン電極4に電子が供給される。
【0019】
バッファ層11上に配置されたキャリア走行層21は、例えば不純物が添加されていないアンドープGaNを0.3〜10μm程度の厚みに、MOCVD法等によりエピタキシャル成長させて形成する。
【0020】
キャリア走行層21上に配置されたキャリア供給層22は、キャリア走行層21よりもバンドギャップが大きく、且つキャリア走行層21と格子定数の異なる窒化物半導体からなる。キャリア供給層22は、例えばAlxMyGa1-x-yN(0≦x<1、0≦y<1、0≦x+y≦1、Mはインジウム(In)或いはボロン(B)等)で表される窒化物半導体、或いは他の化合物半導体である。キャリア供給層22がAlxMyGa1-x-yNである場合、組成比xは0.1〜0.4が好ましく、より好ましくは0.3である。また、キャリア供給層22としてアンドープのAlxGa1-xNも採用可能である。更に、n型不純物を添加したAlxGa1-xNからなる窒化物半導体もキャリア供給層22に採用可能である。
【0021】
キャリア供給層22は、MOCVD法等によるエピタキシャル成長によってキャリア走行層21上に形成される。キャリア供給層22とキャリア走行層21は格子定数が異なるため、格子歪みによるピエゾ分極が生じる。このピエゾ分極とキャリア供給層22の結晶が有する自発分極によりヘテロ接合付近に高密度のキャリアが生じ、2DEG層211が形成される。キャリア供給層22の膜厚は、キャリア走行層21とキャリア供給層22との間のヘテロ接合により2DEG層211が生じるように設定される。具体的には、キャリア供給層22の膜厚は、キャリア走行層21よりも薄く、10〜50nm程度、例えば25nm程度である。
【0022】
なお、キャリア供給層22としてn型不純物を添加したAlxGa1-xNを採用し、このキャリア供給層22とGaNからなるキャリア走行層21との間にアンドープAlNからなるスペーサ層を配置し、且つソース電極3及びドレイン電極4とキャリア供給層22との間に例えばn型GaNからなるコンタクト層を配置してもよい。図2に例示したスペーサ層23は、キャリア供給層22からキャリア走行層21に不純物や元素が拡散することを抑制する効果がある。これにより、2DEG層211におけるキャリア移動度の低下が抑制される。コンタクト層は、ソース電極3及びドレイン電極4と化合物半導体層2との接触抵抗の低減に寄与する。
【0023】
図1に示すように、キャリア供給層22の上面の一部がエッチングされて、凹部(リセス)7が形成されている。凹部7の深さはキャリア供給層22の厚みより浅く形成されている。このため、凹部7の底面とキャリア走行層21との間に、キャリア供給層22の一部が残存している。したがって、凹部7下方のキャリア供給層22の領域(以下において「残存領域」という。)220の厚みtは、キャリア供給層22の他の領域よりも薄い。残存領域220の厚みtは5〜20nm程度である。
【0024】
ゲート電極5とソース電極3間、及びゲート電極5とドレイン電極4間において、化合物半導体層2の上面に絶縁膜6が配置されている。金属酸化物半導体膜8、ソース電極3及びドレイン電極4は、絶縁膜6にそれぞれ形成された開口部において、化合物半導体層2に接している。
【0025】
絶縁膜6は、300〜700nm程度(例えば500nm)の厚みの酸化シリコン(SiO2)膜、窒化シリコン(SiN)膜、若しくはこれらの膜を積層した構造が採用可能である。絶縁膜6は凹部7の中には配置されておらず、絶縁膜6は凹部7に対応した開口部を有する。絶縁膜6によって化合物半導体層2の表面をパッシベーションコーティングすることにより表面準位(トラップ)が低減され、電流コラプス現象の影響を緩和することができる。
【0026】
なお、絶縁膜6は、プラズマ化学気相成長(p−CVD)法で形成することが好ましい。p−CVD法以外のスパッタ法等によって絶縁膜6を形成することも可能ではある。しかし、化合物半導体層2の表面準位を低減して電流コラプス現象の影響を緩和するためには、化合物半導体層2の表面の結晶ダメージを抑制できるp−CVD法が好適である。
【0027】
金属酸化物半導体膜8は、キャリア供給層22の表面に形成された凹部7の内壁を覆うように配置されている。図1に示した例では、金属酸化物半導体膜8が凹部7の周囲の絶縁膜6も覆って配置されている。金属酸化物半導体膜8が絶縁膜6上に延在しないように、凹部7の内部のみに金属酸化物半導体膜8を配置してもよい。
【0028】
金属酸化物半導体膜8は、キャリア供給層22よりも大きい電気抵抗率を持ち、二次元キャリアガス層211が2DEG層である場合には、p極性を有する金属酸化物半導体材料で形成される。金属酸化物半導体膜8の厚みは、3〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。金属酸化物半導体膜8が3nmより薄い場合は、ノーマリオフ特性が良好に得られない。一方、金属酸化物半導体膜8が1000nmより厚い場合は、ゲート電極5によるターンオン特性が悪くなる。
【0029】
例えば、金属酸化物半導体膜8は、厚み200nmの酸化ニッケル(NiO)により形成される。酸素を含む雰囲気中でNiOをスパッタリングすることによって形成される金属酸化物半導体膜8は、p型不純物が添加されたGaN膜よりも高い正孔濃度を有し、且つ比較的大きな抵抗率を有する。このため、p型の金属酸化物半導体膜8は、ゲート電極5下方の化合物半導体層2のポテンシャルを高く引き上げて、ゲート電極5下方のキャリア走行層21に2DEG層211が形成されることを阻止する。これにより、化合物半導体装置1について、良好なノーマリオフ特性を実現できる。また、金属酸化物半導体膜8は、化合物半導体装置1のHEMT動作時におけるゲートリーク電流(漏れ電流)の低減に寄与する。
【0030】
なお、NiO以外に、酸化鉄(FeOx)、酸化コバルト(CoOx)、酸化マンガン(MnOx)、酸化銅(CuOx)等のいずれかにより、金属酸化物半導体膜8を形成してもよい(x:任意の数値)。また、これらの金属酸化膜を積層して金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。
【0031】
絶縁膜6に形成された開口部において、ソース電極3及びドレイン電極4が化合物半導体層2上に配置されている。ソース電極3及びドレイン電極4は、化合物半導体層2と低抵抗接触(オーミック接触)可能な金属により形成される。例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層体等として、ソース電極3及びドレイン電極4は形成される。
【0032】
化合物半導体層2のキャリア供給層22は極めて薄いため、キャリア供給層22の厚み方向の抵抗は無視できるほど小さい。したがって、ソース電極3及びドレイン電極4は、2DEG層211にオーミック接続している。
【0033】
ゲート電極5は、凹部7の内部で金属酸化物半導体膜8上に配置されている。ゲート電極5は、例えばチタン(Ti)膜とアルミニウム(Al)膜との積層構造からなる。即ち、金属酸化物半導体膜8に接してTi膜が配置され、Ti膜上にAl膜が配置されてゲート電極5が形成される。
【0034】
なお、ゲート電極5の金属酸化物半導体膜8に接する部分は、Ti膜の代わりに、窒化チタン(TiN)膜、酸窒化チタン(TiON)等のTiを含む化合物であってもよい。
【0035】
上記に説明した化合物半導体装置1において、ゲート電極5にゲート制御電圧が印加されていないノーマリ時(ゲート制御電圧が0Vの時)には、たとえドレイン電極4の電位がソース電極3の電位より高くても、ソース電極3とドレイン電極4との間に電流は流れない。つまり、化合物半導体装置1はオフ状態である。以下に、化合物半導体装置1がノーマリオフ特性を有することを説明する。
【0036】
図3(a)〜図3(c)に、二次元キャリアガス層が形成される化合物半導体層とゲート電極とを有するHEMTのエネルギーバンド図の例を示す。図3(a)は、図1に示した化合物半導体装置1と同様の構造を有するHEMTの凹部のエネルギーバンド図である。つまり、図3(a)は、化合物半導体層と凹部内に配置されたゲート電極との間に金属酸化物半導体膜を配置したHEMT(以下において、「HEMT−a」という。)のエネルギーバンド図である。図3(b)は、化合物半導体層上にゲート電極が配置されたショットキー構造のHEMT(以下において、「HEMT−b」という。)のエネルギーバンド図である。図3(c)は、化合物半導体層の表面に形成された凹部内にゲート電極が配置された、ショットキー構造のHEMT(以下において、「HEMT−c」という。)のエネルギーバンド図である。つまり、図3(c)は、化合物半導体装置1から金属酸化物半導体膜8を除いた構造のHEMTのエネルギーバンド図である。
【0037】
図3(a)〜図3(c)において、EFはフェルミ準位を示し、ECは伝導帯と禁止帯との境界レベルを示す。また、Niはゲート電極、NiOは金属酸化物半導体膜、AlGaNは電子供給層、GaNは電子走行層を示す。
【0038】
HEMT−a及びHEMT−cでは、化合物半導体層の表面に凹部が形成されているため、ゲート電極下方の電子供給層が薄い(例えば5nm以下。)。このため、ゲート電極下方の電子供給層に格子緩和が生じ、ピエゾ分極に起因する電荷が減少すると共に、バルクの特性が薄れて自発分極に起因する電荷も減少する。電子供給層におけるこれら電荷の減少により、フェルミレベルは低下する。このため、図3(a)、図3(c)に示すように、ゲート電極下方のポテンシャルが、図3(b)と比較して相対的に上昇する。
【0039】
HEMT−aでは、金属酸化物半導体膜8が配置されているため、ゲート電極下方のポテンシャルが、図3(a)に示すように更に引き上げられる。その結果、ゲート電極下方の電子走行層には2DEG層が形成されず、ノーマリオフ特性を有するHEMTが得られる。換言すれば、化合物半導体装置1のオフ時において、キャリア供給層22の凹部7下方の残存領域220における分極が、金属酸化物半導体膜8によって打ち消され、ゲート電極5下方のキャリア走行層21に2DEG層211が形成されない。つまり、2DEG層211が分断されているために、ソース電極3とドレイン電極4間に電流は流れない。
【0040】
一方、ドレイン電極4の電位がソース電極3の電位より高い状態で、ゲート電極5とソース電極3との間に閾値電圧より高い正のゲート制御電圧が印加されると、周知のMOSゲート構造におけるチャネル(電流通路)の形成と同様な原理で、ゲート電極5下方のキャリア走行層21にチャネルが形成される。即ち、ゲート電極5に所定のゲート制御電圧が印加されると、金属酸化物半導体膜8に分極が生じ、金属酸化物半導体膜8のキャリア供給層22側に正孔が集まる。このため、キャリア走行層21のキャリア供給層22に接する側に電子が誘起され、チャネルが形成される。これにより、化合物半導体装置1はオン状態になり、ソース電極3、キャリア供給層22、2DEG層211、チャネル、2DEG層211、キャリア供給層22、ドレイン電極4の経路で電子が流れる。
【0041】
図4に、HEMT−a、HEMT−b及びHEMT−cの、ドレイン・ソース間電圧Vdsとゲートリーク電流(漏れ電流)Igの関係を示す。特性線AはHEMT−aのVds−Ig特性、特性線BはHEMT−bのVds−Ig特性、特性線CはHEMT−cのVds−Ig特性を示す。特性線A〜Cにおけるゲートリーク電流Igは、ゲート電極とソース電極とが等電位の場合のゲートリーク電流である。
【0042】
特性線A〜Cの比較から明らかなように、金属酸化物半導体膜8が配置されたHEMT−aのゲートリーク電流Igは、金属酸化物半導体膜8がないHEMT−b及びHEMT−cのゲートリーク電流Igよりも大幅に少ない。
【0043】
以上に説明したように、リセス型のゲート構造を有し、化合物半導体層2とゲート電極5との間に金属酸化物半導体膜8が配置された化合物半導体装置1によれば、閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を実現すると同時に、ゲートリーク電流を低減できる。
【0044】
また、図5に示すように、絶縁膜6上にフィールドプレート9を配置してもよい。フィールドプレート9はゲート電極5と電気的に接続され、且つ、ゲート電極5と連続的に形成されている。図5に示すように、フィールドプレート9は、絶縁膜6及び金属酸化物半導体膜8を挟んで、キャリア供給層22の表面と対向している。
【0045】
凹部7周辺の絶縁膜6の開口部は、壁面が化合物半導体層2の表面に対して50〜60°程度の傾斜を有する。このため、フィールドプレート9とキャリア供給層22との間隔は、凹部7内に配置されたゲート電極5から離れるに従って、徐々に増大する。これにより、ゲート電極5の端部における電界集中を良好に緩和できる。これにより、化合物半導体装置1の耐圧を向上することができる。
【0046】
更に、ドレイン電極4とソース電極3間に逆方向電圧が印加されたときに化合物半導体層2の表面準位にトラップされた電子を、フィールドプレート9を介してゲート電極5に引き抜くことができる。これにより、電流コラプス現象の影響を緩和できる。
【0047】
以下に、図6〜図9を用いて、本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明する。なお、以下に述べる化合物半導体装置の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。以下では、図5に示した化合物半導体装置1を製造する場合を例示的に説明する。
【0048】
(イ)図6に示すように、基板10上に、MOCVD法等によりバッファ層11、キャリア走行層21及びキャリア供給層22をこの順にエピタキシャル成長させる。バッファ層11は、例えばAlN層とGaN層を交互に積層した構造である。キャリア走行層21は、例えばアンドープGaN膜である。キャリア供給層22は、キャリア走行層21よりもバンドギャップが大きく、且つ格子定数の異なる窒化物半導体からなり、例えばアンドープのAlGaN膜が採用可能である。
【0049】
(ロ)キャリア供給層22上に、例えばSiO2膜、SiN膜、又はこれらの膜を積層した絶縁膜6を、プラズマ化学気相成長(p−CVD)法等により形成する。なお、表面電荷をコントロールするためのキャップ層として、キャリア供給層22と絶縁膜6との間に、ノンドープ若しくはn型のGaN膜を形成してもよい。
【0050】
(ハ)フォトリソグラフィ技術を用いて、図7に示すように、絶縁膜6の所定の位置に開口部6s、6dを形成する。具体的には、ソース電極3、ドレイン電極4を配置する位置の絶縁膜6を、フォトレジスト膜200をマスクにしてエッチング除去する。このとき、キャリア走行層21の表面が露出するまで、絶縁膜6の開口部6s、6dのキャリア供給層22をエッチングしてもよい。
【0051】
(ニ)フォトレジスト膜200を除去した後、スパッタ法により、膜厚25nm程度のTi膜と膜厚300nm程度のAl膜の積層膜を、開口部6s、6dを埋め込むようにして絶縁膜6上に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いてTi膜とAl膜の積層膜の一部をエッチング除去する。これにより、Ti膜とAl膜を積層した構造のソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
【0052】
(ホ)ソース電極3及びドレイン電極4が2DEG層211と低抵抗接触するように、オーミックシンターを行なう。
【0053】
(ヘ)フォトリソグラフィ技術を用いて、絶縁膜6及びキャリア供給層22の上部の一部を選択的にエッチング除去し、図8に示すように、凹部7を形成する。このとき、残存領域220の厚みtが5〜20nmになるように、キャリア供給層22のエッチング量を調整する。
【0054】
(ト)スパッタ法により、凹部7の内壁を覆うようにして、キャリア供給層22及び絶縁膜6上に膜厚200nm程度のNiO膜80を形成する。NiO膜80は、p型の金属酸化物半導体膜8の材料である。NiO膜80を形成した後、更に酸素(O2)をNiO膜80にイオン注入してもよい。
【0055】
(チ)NiO膜80上に、膜厚100nm程度のTiN膜51をスパッタ法により形成する。更に、TiN膜上に膜厚200nm程度のAl膜52をスパッタ法により形成する。これにより、図9に示すように、TiN膜51とAl膜52を積層した導電体層50がNiO膜80上に形成される。なお、Al膜の代わりにAlCu膜を使用してもよい。
【0056】
(リ)フォトリソグラフィ技術を用いて、導電体層50及びNiO膜80の一部を除去し、TiN膜51とAl膜52を積層した構造のゲート電極5、フィールドプレート9、及びNiO膜からなる金属酸化物半導体膜8を形成する。
【0057】
(ヌ)図5では図示を省略しているが、絶縁膜6、ソース電極3、ドレイン電極4及びゲート電極5上に、保護膜をCVD法等により形成してもよい。保護膜は、例えばSiO2膜である。以上により、図5に示した化合物半導体装置1が得られる。
【0058】
p型の金属酸化物半導体膜8は、例えばマグネトロンスパッタリングで形成されたNiO膜からなる。具体的には、化合物半導体層2及び絶縁膜6が形成された基板10をマグネトロンスパッタリング装置に格納する。そして、マグネトロンスパッタリング装置内を酸素を含む雰囲気(好ましくはアルゴンと酸素の混合ガスを含む雰囲気)にしてNiOをスパッタリングすることで、金属酸化物半導体膜8が形成される。酸素を含む雰囲気中でNiOをスパッタリングすることにより、正孔濃度の高いp型の金属酸化物半導体膜8を容易に形成することができる。
【0059】
上記では、金属酸化物半導体膜8のパターニングをフィールドプレート9及びゲート電極5のパターニングと同時に行なう例を説明した。しかし、金属酸化物半導体膜8を独立した工程でパターニングしてもよい。また、これらの構造をリフトオフ工程で形成してもよい。
【0060】
既に説明したように、NiO以外に、酸化鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化銅等のいずれかにより、或いはこれらの金属酸化膜を積層して、金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。これらの金属酸化物からなる金属酸化物半導体膜8も、酸素を含む雰囲気中で金属材料をスパッタリングすることによって形成することが好ましい。
【0061】
また、酸素を含む雰囲気中で金属材料をスパッタリングする方法以外に、スパッタリング等で金属膜を形成し、その後に金属膜を酸化して金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。
【0062】
なお、金属酸化物半導体膜8のp型特性を強めるために、金属酸化物半導体膜8に熱処理を施すこと、オゾンアッシング(ozone ashing)処理を施すこと、又は酸素アッシングを施すことができる。
【0063】
図1に示した化合物半導体装置1では、キャリア供給層22の上面に凹部7が形成されている。しかし、凹部7を形成しなくても良好なノーマリオフ特性が得られる場合には、図10に示すように、凹部7を形成せずに平坦なキャリア供給層22の表面に金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。図10に示したリセス型のゲート構造を採用しない化合物半導体装置1においても、ゲート電極5とキャリア供給層22間に金属酸化物半導体膜8が配置されていることにより、閾値電圧を高くできる。凹部7を形成しないことにより、製造プロセスが短縮され、且つ、ゲートリーク電流を更に低減できる。
【0064】
以下に、化合物半導体装置1の特性上の利点を説明するために、図11(a)〜図11(d)に示した構造のゲート電極をそれぞれ有する、HEMT構造の化合物半導体装置を用いて行なった実験の結果を示す。図11(a)は、金属酸化物半導体膜8上に、Ni/Au/Tiを積層した構造のゲート電極を配置した例(以下において「比較例」という。)である。図11(b)は、金属酸化物半導体膜8上に、Ti膜とAl膜を積層した構造のゲート電極5を配置した例(以下において「実施例1」という。)である。図11(c)は、金属酸化物半導体膜8上に、TiN膜とAl膜を積層した構造のゲート電極5を配置した例(以下において「実施例2」という。)である。図11(d)は、金属酸化物半導体膜8上に、TiON膜とAl膜を積層した構造のゲート電極5を配置した例(以下において「実施例3」という。)である。つまり、実施例1〜3は本発明の実施形態に係る化合物半導体装置1のゲート電極5の構造を有し、ゲート電極5のTi膜、TiN膜、TiON膜がそれぞれ金属酸化物半導体膜8と接することが、比較例と異なる。
【0065】
なお、図11(a)〜図11(d)において、金属酸化物半導体膜8はNiO膜である。また、キャリア供給層22に凹部7は形成されていない。
【0066】
図12に、比較例及び実施例1〜3のVgs−Ids特性を示す。図12において、特性線Rは比較例の特性、特性線S1〜S3は実施例1〜3の特性をそれぞれ示す(以下において同様)。
【0067】
図12から、実施例1〜3のいずれもが、比較例よりも閾値電圧が大きく、比較例の場合よりも高いゲート制御電圧を印加しなければドレイン電極−ソース電極間に電流が流れないことが分かる。つまり、ゲート電極5のTi膜、TiN膜、TiON膜が金属酸化物半導体膜8にそれぞれ接する実施例1〜3は、比較例よりも良好なノーマリオフ特性を有する。
【0068】
図13に、比較例及び実施例1〜3のVgs−Ig特性を示す。図13から、実施例1〜3のいずれもが、比較例と同等なゲートリーク電流値である。つまり、ゲート電極5のTi膜、TiN膜、TiON膜が金属酸化物半導体膜8にそれぞれ接する実施例1〜3は、比較例と同様にゲートリーク電流を抑制できる。
【0069】
したがって、ゲート電極5のTi膜又はTiを含む化合物膜が金属酸化物半導体膜8と接する本発明の実施形態に係る化合物半導体装置は、金属酸化物半導体膜8上にNi/Au/Tiを積層した構造のゲート電極を配置した化合物半導体装置と比べて、ゲートリーク電流を抑制する効果を維持しつつ、閾値電圧がより高い良好なノーマリオフ特性を有することが確認された。
【0070】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る化合物半導体装置1では、p型不純物が添加されたGaN膜よりも高い正孔濃度を有する金属酸化物半導体膜8が形成される。例えば、酸素を含む雰囲気中でのスパッタリングによりp型の金属酸化物半導体膜8が形成される。このため、既に説明したように、金属酸化物半導体膜8を配置することによってゲート電極5下方のポテンシャルが引き上げられる。これにより、化合物半導体装置1においては、ノーマリ時にゲート電極5下方のキャリア走行層21に2DEG層211が形成されることが有効に抑制される。更に、ゲート電極5の金属酸化物半導体膜8に接する部分をTi膜又はTiを含む化合物膜(例えばTiN膜、TiON膜)にすることで、閾値電圧を更に高くできる。
【0071】
したがって、化合物半導体装置1によれば、良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を実現できる。なお、金属酸化物半導体膜8は化学的に安定した物質からなり、且つ酸素を含む雰囲気中で形成されるので、製造が容易である。
【0072】
また、金属酸化物半導体膜8は、比較的高い抵抗率を有し、且つ比較的厚く形成される(例えば10〜500nm)。このため、化合物半導体装置1のゲートリーク電流が低減され、化合物半導体装置1の耐圧が向上する。これにより、化合物半導体装置1の信頼性が高まる。なお、金属酸化物半導体膜8を比較的厚く形成しても、閾値電圧が負側にシフトすることはない。
【0073】
上記のように、化合物半導体装置1のノーマリオフ特性は、リセス型のゲート構造を採用することのみによって得られるのではなく、金属酸化物半導体膜8を配置することと併せて得られる。したがって、ゲート電極5下方の残存領域220の厚みtを、例えば3〜8nm程度に比較的厚くできる。この結果、化合物半導体装置1をオン状態にするゲート制御電圧がゲート電極5に印加されたときに、キャリア走行層21のゲート電極5に対向する領域の電子濃度を比較的高くできる。このため、オン抵抗が低くなり、化合物半導体装置1の最大許容電流値を増大させることができる。
【0074】
また、ソース電極3とゲート電極5間、及びドレイン電極4とゲート電極5間における、キャリア供給層22の厚みを比較的厚く形成できる(例えば、10nm以上)。且つ、キャリア供給層22におけるAlの割合は0.1以上であり、比較的大きい。このため、化合物半導体装置1がノーマリオフ特性を有しているにもかかわらず、2DEG層211の電子濃度は比較的大きく、オン抵抗を低くできる。
【0075】
<変形例>
図14に、本発明の実施形態の変形例に係る化合物半導体装置1Aを示す。化合物半導体装置1Aは、ゲート電極5と同様の構造の補助電極501を有することが図1に示した化合物半導体装置1と異なる。その他の構成については、図1に示す実施形態と同様である。
【0076】
補助電極501は、ゲート電極5と同様に、金属酸化物半導体膜8に接するTi膜、又はTiを含む化合物膜(例えば、TiN膜、TiON膜)を有する構造である。例えば、ゲート電極5と同時に補助電極501を形成できる。図14に示した例では、補助電極501は、ゲート電極5とドレイン電極4間で、キャリア供給層22上に形成された金属酸化物半導体膜8上に配置される。補助電極501に適宜電圧を印加することにより、ゲート電極5とドレイン電極4間における電界集中を良好に緩和できる。また、補助電極501とフィールドプレート9を電気的に接続してもよい。
【0077】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0078】
既に述べた実施形態の説明においては、キャリア供給層22が電子を供給する例を示したが、キャリア供給層22をp型半導体からなる正孔(ホール)供給層に置き換えることができる。この場合、2DEG層211に対応する領域に2次元キャリアガス層として2次元正孔ガス層が生じる。そして、金属酸化物半導体膜8にn型の金属酸化物半導体材料を使用することにより、ゲート電極5下方のキャリア走行層21に2次元キャリアガス層が形成されない。これにより、化合物半導体装置1について良好なノーマリオフ特性が得られる。
【0079】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の化合物半導体装置は、二次元キャリアガス層を有する化合物半導体装置を製造する製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…化合物半導体装置
2…化合物半導体層
3…ソース電極
4…ドレイン電極
5…ゲート電極
6…絶縁膜
6s、6d…開口部
7…凹部
8…金属酸化物半導体膜
9…フィールドプレート
10…基板
11…バッファ層
21…キャリア走行層
22…キャリア供給層
23…スペーサ層
50…導電体層
51…TiN膜
52…Al膜
80…NiO膜
200…フォトレジスト膜
211…2DEG層
220…残存領域
501…補助電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体装置に係り、特に二次元キャリアガス層を有する化合物半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体からなるキャリア走行層及びキャリア供給層を積層して、高電子移動度トランジスタ(HEMT)は形成される。HEMTでは、キャリア走行層とキャリア供給層との間のヘテロ接合面の近傍付近のキャリア走行層に二次元キャリアガス層が形成される。この二次元キャリアガス層がソース電極とドレイン電極間の電流通路(チャネル)として機能し、チャネルを流れる電流はゲート電極に印加されるゲート制御電圧によって制御される。
【0003】
一般的に、HEMTは、ゲート電極にゲート制御電圧が印加されていない状態(ノーマリ状態)でソース電極とドレイン電極間に電流が流れる特性、即ちノーマリオン特性を有する。したがって、HEMTをオフ状態にするためには、ゲート電極を負電位にする必要がある。つまり、ゲート電極に印加する負電圧を供給する電源が必要であり、電気回路が高価になる。
【0004】
このため、ノーマリ状態でソース電極とドレイン電極間に電流が流れない特性、即ちノーマリオフ特性を有するHEMTを実現するために、種々の方法が提案されている。例えば、ゲート構造をリセス型にする方法や、Ni/Au/Ti構造のゲート電極と二次元キャリアガス層との間に金属酸化物半導体膜を配置する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−76845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気回路を構成するパワー半導体としてHEMTを用いる場合、外来ノイズ等によるHEMTの誤動作を防止するため、より高い閾値電圧が求められる。
【0007】
上記要求に応えるために、本発明は、閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、(イ)キャリア走行層とキャリア供給層を有し、二次元キャリアガス層が形成される化合物半導体層と、(ロ)化合物半導体層上に互いに離間して配置され、二次元キャリアガス層とオーミック接続する第1及び第2の主電極と、(ハ)第1の主電極と第2の主電極間で、化合物半導体層上に配置された金属酸化物半導体膜と、(ニ)金属酸化物半導体膜上に配置された、金属酸化物半導体膜に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極とを備える化合物半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の化合物半導体層の構成例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の特性を説明するためのエネルギーバンド図である。
【図4】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の特性を説明するためのVds−Ig特性である。
【図5】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の他の構成を示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その1)。
【図7】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その2)。
【図8】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その3)。
【図9】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である(その4)。
【図10】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の他の構成を示す模式的な断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の特性を示す実験に用いたゲート電極構造の模式的な断面図である。
【図12】図11に示したゲート電極構造を用いた化合物半導体装置のVgs−Ids特性である。
【図13】図11に示したゲート電極構造を用いた化合物半導体装置のVgs−Ig特性である。
【図14】本発明の実施形態の変形例に係る化合物半導体装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
又、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
本発明の実施形態に係る化合物半導体装置1は、図1に示すように、キャリア走行層21とキャリア供給層22を有し、二次元キャリアガス層211が形成される化合物半導体層2と、化合物半導体層2上に互いに離間して配置され、二次元キャリアガス層211とオーミック接続する第1の主電極3及び第2の主電極4と、第1の主電極3と第2の主電極4間で、化合物半導体層2上に配置された金属酸化物半導体膜8と、金属酸化物半導体膜8上に配置された、金属酸化物半導体膜8に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極5とを備える。
【0014】
以下では、第1の主電極3がソース電極、第2の主電極4がドレイン電極、制御電極5がゲート電極である化合物半導体装置1について説明する。
【0015】
図1に示す基板10には、シリコン(Si)基板、シリコンカーバイト(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板等の半導体基板や、サファイア基板、セラミック基板等の絶縁体基板を採用可能である。例えば、基板10に大口径化が容易なシリコン基板を採用することにより、化合物半導体装置1の製造コストを低減できる。
【0016】
バッファ層11は、周知の有機金属気相成長(MOCVD)法等のエピタキシャル成長法で形成できる。図1では、バッファ層11を1つの層として図示しているが、バッファ層11を複数の層で形成してもよい。例えば、バッファ層11を窒化アルミニウム(AlN)からなる第1のサブレイヤー(第1の副層)と窒化ガリウム(GaN)からなる第2のサブレイヤー(第2の副層)とを交互に積層した多層構造バッファとしてもよい。また、化合物半導体装置1がHEMTとして動作する場合、バッファ層11はHEMTの動作に直接には関係しないため、バッファ層11を省いてもよい。また、バッファ層11の材料として、AlN、GaN以外の窒化物半導体、又はIII−V族化合物半導体を採用してもよい。基板10とバッファ層11とを組み合わせた構造を基板とみなすこともできる。バッファ層11の構造、配置は、基板10の材料等に応じて決定される。
【0017】
化合物半導体層2は、それぞれが窒化物系化合物半導体からなるキャリア走行層21及びキャリア供給層22がこの順に積層された構造である。図1に示すように、キャリア走行層21とキャリア供給層22間のヘテロ接合面近傍のキャリア走行層21に、電流通路(チャネル)としての二次元キャリアガス層211が形成される。
【0018】
以下では、キャリア供給層22がキャリア走行層21に供給するキャリアが電子である場合について例示的に説明する。つまり、二次元キャリアガス層211は二次元電子ガス(2DEG)層であり、化合物半導体装置1がオンしたときにソース電極3から2DEG層211を介してドレイン電極4に電子が供給される。
【0019】
バッファ層11上に配置されたキャリア走行層21は、例えば不純物が添加されていないアンドープGaNを0.3〜10μm程度の厚みに、MOCVD法等によりエピタキシャル成長させて形成する。
【0020】
キャリア走行層21上に配置されたキャリア供給層22は、キャリア走行層21よりもバンドギャップが大きく、且つキャリア走行層21と格子定数の異なる窒化物半導体からなる。キャリア供給層22は、例えばAlxMyGa1-x-yN(0≦x<1、0≦y<1、0≦x+y≦1、Mはインジウム(In)或いはボロン(B)等)で表される窒化物半導体、或いは他の化合物半導体である。キャリア供給層22がAlxMyGa1-x-yNである場合、組成比xは0.1〜0.4が好ましく、より好ましくは0.3である。また、キャリア供給層22としてアンドープのAlxGa1-xNも採用可能である。更に、n型不純物を添加したAlxGa1-xNからなる窒化物半導体もキャリア供給層22に採用可能である。
【0021】
キャリア供給層22は、MOCVD法等によるエピタキシャル成長によってキャリア走行層21上に形成される。キャリア供給層22とキャリア走行層21は格子定数が異なるため、格子歪みによるピエゾ分極が生じる。このピエゾ分極とキャリア供給層22の結晶が有する自発分極によりヘテロ接合付近に高密度のキャリアが生じ、2DEG層211が形成される。キャリア供給層22の膜厚は、キャリア走行層21とキャリア供給層22との間のヘテロ接合により2DEG層211が生じるように設定される。具体的には、キャリア供給層22の膜厚は、キャリア走行層21よりも薄く、10〜50nm程度、例えば25nm程度である。
【0022】
なお、キャリア供給層22としてn型不純物を添加したAlxGa1-xNを採用し、このキャリア供給層22とGaNからなるキャリア走行層21との間にアンドープAlNからなるスペーサ層を配置し、且つソース電極3及びドレイン電極4とキャリア供給層22との間に例えばn型GaNからなるコンタクト層を配置してもよい。図2に例示したスペーサ層23は、キャリア供給層22からキャリア走行層21に不純物や元素が拡散することを抑制する効果がある。これにより、2DEG層211におけるキャリア移動度の低下が抑制される。コンタクト層は、ソース電極3及びドレイン電極4と化合物半導体層2との接触抵抗の低減に寄与する。
【0023】
図1に示すように、キャリア供給層22の上面の一部がエッチングされて、凹部(リセス)7が形成されている。凹部7の深さはキャリア供給層22の厚みより浅く形成されている。このため、凹部7の底面とキャリア走行層21との間に、キャリア供給層22の一部が残存している。したがって、凹部7下方のキャリア供給層22の領域(以下において「残存領域」という。)220の厚みtは、キャリア供給層22の他の領域よりも薄い。残存領域220の厚みtは5〜20nm程度である。
【0024】
ゲート電極5とソース電極3間、及びゲート電極5とドレイン電極4間において、化合物半導体層2の上面に絶縁膜6が配置されている。金属酸化物半導体膜8、ソース電極3及びドレイン電極4は、絶縁膜6にそれぞれ形成された開口部において、化合物半導体層2に接している。
【0025】
絶縁膜6は、300〜700nm程度(例えば500nm)の厚みの酸化シリコン(SiO2)膜、窒化シリコン(SiN)膜、若しくはこれらの膜を積層した構造が採用可能である。絶縁膜6は凹部7の中には配置されておらず、絶縁膜6は凹部7に対応した開口部を有する。絶縁膜6によって化合物半導体層2の表面をパッシベーションコーティングすることにより表面準位(トラップ)が低減され、電流コラプス現象の影響を緩和することができる。
【0026】
なお、絶縁膜6は、プラズマ化学気相成長(p−CVD)法で形成することが好ましい。p−CVD法以外のスパッタ法等によって絶縁膜6を形成することも可能ではある。しかし、化合物半導体層2の表面準位を低減して電流コラプス現象の影響を緩和するためには、化合物半導体層2の表面の結晶ダメージを抑制できるp−CVD法が好適である。
【0027】
金属酸化物半導体膜8は、キャリア供給層22の表面に形成された凹部7の内壁を覆うように配置されている。図1に示した例では、金属酸化物半導体膜8が凹部7の周囲の絶縁膜6も覆って配置されている。金属酸化物半導体膜8が絶縁膜6上に延在しないように、凹部7の内部のみに金属酸化物半導体膜8を配置してもよい。
【0028】
金属酸化物半導体膜8は、キャリア供給層22よりも大きい電気抵抗率を持ち、二次元キャリアガス層211が2DEG層である場合には、p極性を有する金属酸化物半導体材料で形成される。金属酸化物半導体膜8の厚みは、3〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。金属酸化物半導体膜8が3nmより薄い場合は、ノーマリオフ特性が良好に得られない。一方、金属酸化物半導体膜8が1000nmより厚い場合は、ゲート電極5によるターンオン特性が悪くなる。
【0029】
例えば、金属酸化物半導体膜8は、厚み200nmの酸化ニッケル(NiO)により形成される。酸素を含む雰囲気中でNiOをスパッタリングすることによって形成される金属酸化物半導体膜8は、p型不純物が添加されたGaN膜よりも高い正孔濃度を有し、且つ比較的大きな抵抗率を有する。このため、p型の金属酸化物半導体膜8は、ゲート電極5下方の化合物半導体層2のポテンシャルを高く引き上げて、ゲート電極5下方のキャリア走行層21に2DEG層211が形成されることを阻止する。これにより、化合物半導体装置1について、良好なノーマリオフ特性を実現できる。また、金属酸化物半導体膜8は、化合物半導体装置1のHEMT動作時におけるゲートリーク電流(漏れ電流)の低減に寄与する。
【0030】
なお、NiO以外に、酸化鉄(FeOx)、酸化コバルト(CoOx)、酸化マンガン(MnOx)、酸化銅(CuOx)等のいずれかにより、金属酸化物半導体膜8を形成してもよい(x:任意の数値)。また、これらの金属酸化膜を積層して金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。
【0031】
絶縁膜6に形成された開口部において、ソース電極3及びドレイン電極4が化合物半導体層2上に配置されている。ソース電極3及びドレイン電極4は、化合物半導体層2と低抵抗接触(オーミック接触)可能な金属により形成される。例えばチタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層体等として、ソース電極3及びドレイン電極4は形成される。
【0032】
化合物半導体層2のキャリア供給層22は極めて薄いため、キャリア供給層22の厚み方向の抵抗は無視できるほど小さい。したがって、ソース電極3及びドレイン電極4は、2DEG層211にオーミック接続している。
【0033】
ゲート電極5は、凹部7の内部で金属酸化物半導体膜8上に配置されている。ゲート電極5は、例えばチタン(Ti)膜とアルミニウム(Al)膜との積層構造からなる。即ち、金属酸化物半導体膜8に接してTi膜が配置され、Ti膜上にAl膜が配置されてゲート電極5が形成される。
【0034】
なお、ゲート電極5の金属酸化物半導体膜8に接する部分は、Ti膜の代わりに、窒化チタン(TiN)膜、酸窒化チタン(TiON)等のTiを含む化合物であってもよい。
【0035】
上記に説明した化合物半導体装置1において、ゲート電極5にゲート制御電圧が印加されていないノーマリ時(ゲート制御電圧が0Vの時)には、たとえドレイン電極4の電位がソース電極3の電位より高くても、ソース電極3とドレイン電極4との間に電流は流れない。つまり、化合物半導体装置1はオフ状態である。以下に、化合物半導体装置1がノーマリオフ特性を有することを説明する。
【0036】
図3(a)〜図3(c)に、二次元キャリアガス層が形成される化合物半導体層とゲート電極とを有するHEMTのエネルギーバンド図の例を示す。図3(a)は、図1に示した化合物半導体装置1と同様の構造を有するHEMTの凹部のエネルギーバンド図である。つまり、図3(a)は、化合物半導体層と凹部内に配置されたゲート電極との間に金属酸化物半導体膜を配置したHEMT(以下において、「HEMT−a」という。)のエネルギーバンド図である。図3(b)は、化合物半導体層上にゲート電極が配置されたショットキー構造のHEMT(以下において、「HEMT−b」という。)のエネルギーバンド図である。図3(c)は、化合物半導体層の表面に形成された凹部内にゲート電極が配置された、ショットキー構造のHEMT(以下において、「HEMT−c」という。)のエネルギーバンド図である。つまり、図3(c)は、化合物半導体装置1から金属酸化物半導体膜8を除いた構造のHEMTのエネルギーバンド図である。
【0037】
図3(a)〜図3(c)において、EFはフェルミ準位を示し、ECは伝導帯と禁止帯との境界レベルを示す。また、Niはゲート電極、NiOは金属酸化物半導体膜、AlGaNは電子供給層、GaNは電子走行層を示す。
【0038】
HEMT−a及びHEMT−cでは、化合物半導体層の表面に凹部が形成されているため、ゲート電極下方の電子供給層が薄い(例えば5nm以下。)。このため、ゲート電極下方の電子供給層に格子緩和が生じ、ピエゾ分極に起因する電荷が減少すると共に、バルクの特性が薄れて自発分極に起因する電荷も減少する。電子供給層におけるこれら電荷の減少により、フェルミレベルは低下する。このため、図3(a)、図3(c)に示すように、ゲート電極下方のポテンシャルが、図3(b)と比較して相対的に上昇する。
【0039】
HEMT−aでは、金属酸化物半導体膜8が配置されているため、ゲート電極下方のポテンシャルが、図3(a)に示すように更に引き上げられる。その結果、ゲート電極下方の電子走行層には2DEG層が形成されず、ノーマリオフ特性を有するHEMTが得られる。換言すれば、化合物半導体装置1のオフ時において、キャリア供給層22の凹部7下方の残存領域220における分極が、金属酸化物半導体膜8によって打ち消され、ゲート電極5下方のキャリア走行層21に2DEG層211が形成されない。つまり、2DEG層211が分断されているために、ソース電極3とドレイン電極4間に電流は流れない。
【0040】
一方、ドレイン電極4の電位がソース電極3の電位より高い状態で、ゲート電極5とソース電極3との間に閾値電圧より高い正のゲート制御電圧が印加されると、周知のMOSゲート構造におけるチャネル(電流通路)の形成と同様な原理で、ゲート電極5下方のキャリア走行層21にチャネルが形成される。即ち、ゲート電極5に所定のゲート制御電圧が印加されると、金属酸化物半導体膜8に分極が生じ、金属酸化物半導体膜8のキャリア供給層22側に正孔が集まる。このため、キャリア走行層21のキャリア供給層22に接する側に電子が誘起され、チャネルが形成される。これにより、化合物半導体装置1はオン状態になり、ソース電極3、キャリア供給層22、2DEG層211、チャネル、2DEG層211、キャリア供給層22、ドレイン電極4の経路で電子が流れる。
【0041】
図4に、HEMT−a、HEMT−b及びHEMT−cの、ドレイン・ソース間電圧Vdsとゲートリーク電流(漏れ電流)Igの関係を示す。特性線AはHEMT−aのVds−Ig特性、特性線BはHEMT−bのVds−Ig特性、特性線CはHEMT−cのVds−Ig特性を示す。特性線A〜Cにおけるゲートリーク電流Igは、ゲート電極とソース電極とが等電位の場合のゲートリーク電流である。
【0042】
特性線A〜Cの比較から明らかなように、金属酸化物半導体膜8が配置されたHEMT−aのゲートリーク電流Igは、金属酸化物半導体膜8がないHEMT−b及びHEMT−cのゲートリーク電流Igよりも大幅に少ない。
【0043】
以上に説明したように、リセス型のゲート構造を有し、化合物半導体層2とゲート電極5との間に金属酸化物半導体膜8が配置された化合物半導体装置1によれば、閾値電圧の高い良好なノーマリオフ特性を実現すると同時に、ゲートリーク電流を低減できる。
【0044】
また、図5に示すように、絶縁膜6上にフィールドプレート9を配置してもよい。フィールドプレート9はゲート電極5と電気的に接続され、且つ、ゲート電極5と連続的に形成されている。図5に示すように、フィールドプレート9は、絶縁膜6及び金属酸化物半導体膜8を挟んで、キャリア供給層22の表面と対向している。
【0045】
凹部7周辺の絶縁膜6の開口部は、壁面が化合物半導体層2の表面に対して50〜60°程度の傾斜を有する。このため、フィールドプレート9とキャリア供給層22との間隔は、凹部7内に配置されたゲート電極5から離れるに従って、徐々に増大する。これにより、ゲート電極5の端部における電界集中を良好に緩和できる。これにより、化合物半導体装置1の耐圧を向上することができる。
【0046】
更に、ドレイン電極4とソース電極3間に逆方向電圧が印加されたときに化合物半導体層2の表面準位にトラップされた電子を、フィールドプレート9を介してゲート電極5に引き抜くことができる。これにより、電流コラプス現象の影響を緩和できる。
【0047】
以下に、図6〜図9を用いて、本発明の実施形態に係る化合物半導体装置の製造方法を説明する。なお、以下に述べる化合物半導体装置の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。以下では、図5に示した化合物半導体装置1を製造する場合を例示的に説明する。
【0048】
(イ)図6に示すように、基板10上に、MOCVD法等によりバッファ層11、キャリア走行層21及びキャリア供給層22をこの順にエピタキシャル成長させる。バッファ層11は、例えばAlN層とGaN層を交互に積層した構造である。キャリア走行層21は、例えばアンドープGaN膜である。キャリア供給層22は、キャリア走行層21よりもバンドギャップが大きく、且つ格子定数の異なる窒化物半導体からなり、例えばアンドープのAlGaN膜が採用可能である。
【0049】
(ロ)キャリア供給層22上に、例えばSiO2膜、SiN膜、又はこれらの膜を積層した絶縁膜6を、プラズマ化学気相成長(p−CVD)法等により形成する。なお、表面電荷をコントロールするためのキャップ層として、キャリア供給層22と絶縁膜6との間に、ノンドープ若しくはn型のGaN膜を形成してもよい。
【0050】
(ハ)フォトリソグラフィ技術を用いて、図7に示すように、絶縁膜6の所定の位置に開口部6s、6dを形成する。具体的には、ソース電極3、ドレイン電極4を配置する位置の絶縁膜6を、フォトレジスト膜200をマスクにしてエッチング除去する。このとき、キャリア走行層21の表面が露出するまで、絶縁膜6の開口部6s、6dのキャリア供給層22をエッチングしてもよい。
【0051】
(ニ)フォトレジスト膜200を除去した後、スパッタ法により、膜厚25nm程度のTi膜と膜厚300nm程度のAl膜の積層膜を、開口部6s、6dを埋め込むようにして絶縁膜6上に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術を用いてTi膜とAl膜の積層膜の一部をエッチング除去する。これにより、Ti膜とAl膜を積層した構造のソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
【0052】
(ホ)ソース電極3及びドレイン電極4が2DEG層211と低抵抗接触するように、オーミックシンターを行なう。
【0053】
(ヘ)フォトリソグラフィ技術を用いて、絶縁膜6及びキャリア供給層22の上部の一部を選択的にエッチング除去し、図8に示すように、凹部7を形成する。このとき、残存領域220の厚みtが5〜20nmになるように、キャリア供給層22のエッチング量を調整する。
【0054】
(ト)スパッタ法により、凹部7の内壁を覆うようにして、キャリア供給層22及び絶縁膜6上に膜厚200nm程度のNiO膜80を形成する。NiO膜80は、p型の金属酸化物半導体膜8の材料である。NiO膜80を形成した後、更に酸素(O2)をNiO膜80にイオン注入してもよい。
【0055】
(チ)NiO膜80上に、膜厚100nm程度のTiN膜51をスパッタ法により形成する。更に、TiN膜上に膜厚200nm程度のAl膜52をスパッタ法により形成する。これにより、図9に示すように、TiN膜51とAl膜52を積層した導電体層50がNiO膜80上に形成される。なお、Al膜の代わりにAlCu膜を使用してもよい。
【0056】
(リ)フォトリソグラフィ技術を用いて、導電体層50及びNiO膜80の一部を除去し、TiN膜51とAl膜52を積層した構造のゲート電極5、フィールドプレート9、及びNiO膜からなる金属酸化物半導体膜8を形成する。
【0057】
(ヌ)図5では図示を省略しているが、絶縁膜6、ソース電極3、ドレイン電極4及びゲート電極5上に、保護膜をCVD法等により形成してもよい。保護膜は、例えばSiO2膜である。以上により、図5に示した化合物半導体装置1が得られる。
【0058】
p型の金属酸化物半導体膜8は、例えばマグネトロンスパッタリングで形成されたNiO膜からなる。具体的には、化合物半導体層2及び絶縁膜6が形成された基板10をマグネトロンスパッタリング装置に格納する。そして、マグネトロンスパッタリング装置内を酸素を含む雰囲気(好ましくはアルゴンと酸素の混合ガスを含む雰囲気)にしてNiOをスパッタリングすることで、金属酸化物半導体膜8が形成される。酸素を含む雰囲気中でNiOをスパッタリングすることにより、正孔濃度の高いp型の金属酸化物半導体膜8を容易に形成することができる。
【0059】
上記では、金属酸化物半導体膜8のパターニングをフィールドプレート9及びゲート電極5のパターニングと同時に行なう例を説明した。しかし、金属酸化物半導体膜8を独立した工程でパターニングしてもよい。また、これらの構造をリフトオフ工程で形成してもよい。
【0060】
既に説明したように、NiO以外に、酸化鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化銅等のいずれかにより、或いはこれらの金属酸化膜を積層して、金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。これらの金属酸化物からなる金属酸化物半導体膜8も、酸素を含む雰囲気中で金属材料をスパッタリングすることによって形成することが好ましい。
【0061】
また、酸素を含む雰囲気中で金属材料をスパッタリングする方法以外に、スパッタリング等で金属膜を形成し、その後に金属膜を酸化して金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。
【0062】
なお、金属酸化物半導体膜8のp型特性を強めるために、金属酸化物半導体膜8に熱処理を施すこと、オゾンアッシング(ozone ashing)処理を施すこと、又は酸素アッシングを施すことができる。
【0063】
図1に示した化合物半導体装置1では、キャリア供給層22の上面に凹部7が形成されている。しかし、凹部7を形成しなくても良好なノーマリオフ特性が得られる場合には、図10に示すように、凹部7を形成せずに平坦なキャリア供給層22の表面に金属酸化物半導体膜8を形成してもよい。図10に示したリセス型のゲート構造を採用しない化合物半導体装置1においても、ゲート電極5とキャリア供給層22間に金属酸化物半導体膜8が配置されていることにより、閾値電圧を高くできる。凹部7を形成しないことにより、製造プロセスが短縮され、且つ、ゲートリーク電流を更に低減できる。
【0064】
以下に、化合物半導体装置1の特性上の利点を説明するために、図11(a)〜図11(d)に示した構造のゲート電極をそれぞれ有する、HEMT構造の化合物半導体装置を用いて行なった実験の結果を示す。図11(a)は、金属酸化物半導体膜8上に、Ni/Au/Tiを積層した構造のゲート電極を配置した例(以下において「比較例」という。)である。図11(b)は、金属酸化物半導体膜8上に、Ti膜とAl膜を積層した構造のゲート電極5を配置した例(以下において「実施例1」という。)である。図11(c)は、金属酸化物半導体膜8上に、TiN膜とAl膜を積層した構造のゲート電極5を配置した例(以下において「実施例2」という。)である。図11(d)は、金属酸化物半導体膜8上に、TiON膜とAl膜を積層した構造のゲート電極5を配置した例(以下において「実施例3」という。)である。つまり、実施例1〜3は本発明の実施形態に係る化合物半導体装置1のゲート電極5の構造を有し、ゲート電極5のTi膜、TiN膜、TiON膜がそれぞれ金属酸化物半導体膜8と接することが、比較例と異なる。
【0065】
なお、図11(a)〜図11(d)において、金属酸化物半導体膜8はNiO膜である。また、キャリア供給層22に凹部7は形成されていない。
【0066】
図12に、比較例及び実施例1〜3のVgs−Ids特性を示す。図12において、特性線Rは比較例の特性、特性線S1〜S3は実施例1〜3の特性をそれぞれ示す(以下において同様)。
【0067】
図12から、実施例1〜3のいずれもが、比較例よりも閾値電圧が大きく、比較例の場合よりも高いゲート制御電圧を印加しなければドレイン電極−ソース電極間に電流が流れないことが分かる。つまり、ゲート電極5のTi膜、TiN膜、TiON膜が金属酸化物半導体膜8にそれぞれ接する実施例1〜3は、比較例よりも良好なノーマリオフ特性を有する。
【0068】
図13に、比較例及び実施例1〜3のVgs−Ig特性を示す。図13から、実施例1〜3のいずれもが、比較例と同等なゲートリーク電流値である。つまり、ゲート電極5のTi膜、TiN膜、TiON膜が金属酸化物半導体膜8にそれぞれ接する実施例1〜3は、比較例と同様にゲートリーク電流を抑制できる。
【0069】
したがって、ゲート電極5のTi膜又はTiを含む化合物膜が金属酸化物半導体膜8と接する本発明の実施形態に係る化合物半導体装置は、金属酸化物半導体膜8上にNi/Au/Tiを積層した構造のゲート電極を配置した化合物半導体装置と比べて、ゲートリーク電流を抑制する効果を維持しつつ、閾値電圧がより高い良好なノーマリオフ特性を有することが確認された。
【0070】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る化合物半導体装置1では、p型不純物が添加されたGaN膜よりも高い正孔濃度を有する金属酸化物半導体膜8が形成される。例えば、酸素を含む雰囲気中でのスパッタリングによりp型の金属酸化物半導体膜8が形成される。このため、既に説明したように、金属酸化物半導体膜8を配置することによってゲート電極5下方のポテンシャルが引き上げられる。これにより、化合物半導体装置1においては、ノーマリ時にゲート電極5下方のキャリア走行層21に2DEG層211が形成されることが有効に抑制される。更に、ゲート電極5の金属酸化物半導体膜8に接する部分をTi膜又はTiを含む化合物膜(例えばTiN膜、TiON膜)にすることで、閾値電圧を更に高くできる。
【0071】
したがって、化合物半導体装置1によれば、良好なノーマリオフ特性を有する化合物半導体装置を実現できる。なお、金属酸化物半導体膜8は化学的に安定した物質からなり、且つ酸素を含む雰囲気中で形成されるので、製造が容易である。
【0072】
また、金属酸化物半導体膜8は、比較的高い抵抗率を有し、且つ比較的厚く形成される(例えば10〜500nm)。このため、化合物半導体装置1のゲートリーク電流が低減され、化合物半導体装置1の耐圧が向上する。これにより、化合物半導体装置1の信頼性が高まる。なお、金属酸化物半導体膜8を比較的厚く形成しても、閾値電圧が負側にシフトすることはない。
【0073】
上記のように、化合物半導体装置1のノーマリオフ特性は、リセス型のゲート構造を採用することのみによって得られるのではなく、金属酸化物半導体膜8を配置することと併せて得られる。したがって、ゲート電極5下方の残存領域220の厚みtを、例えば3〜8nm程度に比較的厚くできる。この結果、化合物半導体装置1をオン状態にするゲート制御電圧がゲート電極5に印加されたときに、キャリア走行層21のゲート電極5に対向する領域の電子濃度を比較的高くできる。このため、オン抵抗が低くなり、化合物半導体装置1の最大許容電流値を増大させることができる。
【0074】
また、ソース電極3とゲート電極5間、及びドレイン電極4とゲート電極5間における、キャリア供給層22の厚みを比較的厚く形成できる(例えば、10nm以上)。且つ、キャリア供給層22におけるAlの割合は0.1以上であり、比較的大きい。このため、化合物半導体装置1がノーマリオフ特性を有しているにもかかわらず、2DEG層211の電子濃度は比較的大きく、オン抵抗を低くできる。
【0075】
<変形例>
図14に、本発明の実施形態の変形例に係る化合物半導体装置1Aを示す。化合物半導体装置1Aは、ゲート電極5と同様の構造の補助電極501を有することが図1に示した化合物半導体装置1と異なる。その他の構成については、図1に示す実施形態と同様である。
【0076】
補助電極501は、ゲート電極5と同様に、金属酸化物半導体膜8に接するTi膜、又はTiを含む化合物膜(例えば、TiN膜、TiON膜)を有する構造である。例えば、ゲート電極5と同時に補助電極501を形成できる。図14に示した例では、補助電極501は、ゲート電極5とドレイン電極4間で、キャリア供給層22上に形成された金属酸化物半導体膜8上に配置される。補助電極501に適宜電圧を印加することにより、ゲート電極5とドレイン電極4間における電界集中を良好に緩和できる。また、補助電極501とフィールドプレート9を電気的に接続してもよい。
【0077】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0078】
既に述べた実施形態の説明においては、キャリア供給層22が電子を供給する例を示したが、キャリア供給層22をp型半導体からなる正孔(ホール)供給層に置き換えることができる。この場合、2DEG層211に対応する領域に2次元キャリアガス層として2次元正孔ガス層が生じる。そして、金属酸化物半導体膜8にn型の金属酸化物半導体材料を使用することにより、ゲート電極5下方のキャリア走行層21に2次元キャリアガス層が形成されない。これにより、化合物半導体装置1について良好なノーマリオフ特性が得られる。
【0079】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の化合物半導体装置は、二次元キャリアガス層を有する化合物半導体装置を製造する製造業を含む電子機器産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1…化合物半導体装置
2…化合物半導体層
3…ソース電極
4…ドレイン電極
5…ゲート電極
6…絶縁膜
6s、6d…開口部
7…凹部
8…金属酸化物半導体膜
9…フィールドプレート
10…基板
11…バッファ層
21…キャリア走行層
22…キャリア供給層
23…スペーサ層
50…導電体層
51…TiN膜
52…Al膜
80…NiO膜
200…フォトレジスト膜
211…2DEG層
220…残存領域
501…補助電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア走行層とキャリア供給層を有し、二次元キャリアガス層が形成される化合物半導体層と、
前記化合物半導体層上に互いに離間して配置され、前記二次元キャリアガス層とオーミック接続する第1及び第2の主電極と、
前記第1の主電極と前記第2の主電極間で、前記化合物半導体層上に配置された金属酸化物半導体膜と、
前記金属酸化物半導体膜上に配置された、前記金属酸化物半導体膜に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極と
を備えることを特徴とする化合物半導体装置。
【請求項2】
前記化合物膜が窒化チタン膜又は酸窒化チタン膜であることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極が、前記キャリア走行層に達しない深さで前記化合物半導体層の上面に形成された凹部の内部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体装置。
【請求項4】
前記制御電極と前記第1及び第2の主電極との間において、前記化合物半導体層の上面に絶縁膜が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項5】
前記制御電極と前記第1及び第2の主電極間の少なくとも一部で前記絶縁膜上に配置されたフィールドプレートを更に備えることを特徴とする請求項4に記載の化合物半導体装置。
【請求項6】
前記キャリア走行層と前記キャリア供給層が、III族窒化物系化合物半導体からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項7】
前記金属酸化物半導体膜が、酸化ニッケル膜、酸化鉄膜、酸化コバルト膜、酸化マンガン膜、酸化銅膜のいずれか、又はこれら酸化膜の積層体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項8】
前記二次元キャリアガス層が電子ガス層であり、前記金属酸化物半導体膜がp型金属酸化物半導体膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項1】
キャリア走行層とキャリア供給層を有し、二次元キャリアガス層が形成される化合物半導体層と、
前記化合物半導体層上に互いに離間して配置され、前記二次元キャリアガス層とオーミック接続する第1及び第2の主電極と、
前記第1の主電極と前記第2の主電極間で、前記化合物半導体層上に配置された金属酸化物半導体膜と、
前記金属酸化物半導体膜上に配置された、前記金属酸化物半導体膜に接するチタン膜又はチタンを含む化合物膜を有する制御電極と
を備えることを特徴とする化合物半導体装置。
【請求項2】
前記化合物膜が窒化チタン膜又は酸窒化チタン膜であることを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極が、前記キャリア走行層に達しない深さで前記化合物半導体層の上面に形成された凹部の内部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体装置。
【請求項4】
前記制御電極と前記第1及び第2の主電極との間において、前記化合物半導体層の上面に絶縁膜が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項5】
前記制御電極と前記第1及び第2の主電極間の少なくとも一部で前記絶縁膜上に配置されたフィールドプレートを更に備えることを特徴とする請求項4に記載の化合物半導体装置。
【請求項6】
前記キャリア走行層と前記キャリア供給層が、III族窒化物系化合物半導体からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項7】
前記金属酸化物半導体膜が、酸化ニッケル膜、酸化鉄膜、酸化コバルト膜、酸化マンガン膜、酸化銅膜のいずれか、又はこれら酸化膜の積層体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【請求項8】
前記二次元キャリアガス層が電子ガス層であり、前記金属酸化物半導体膜がp型金属酸化物半導体膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−204717(P2011−204717A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67678(P2010−67678)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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