説明

半導体ウェハの欠陥検出装置

【課題】 半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を精度よく検出することができるウェハの欠陥検出方法および装置を提供する。
【解決手段】 中心軸線29からウェハの周縁部まで延びる周縁直線40が、中心軸線29まわりを角変位する場合の、周縁直線の距離変化に基づいて、ウェハの切欠き部分の幅Wと、深さHとを算出する。注目する切欠き部分の幅と深さとの少なくとも1つが、ノッチ22またはオリフラ24に対して設定される幅と深さとの規定範囲外である場合に、その注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出する。このように切欠き部分の幅と深さとの両方に基づいて、切欠き部分が欠陥であるかを判断する。これによって、ウェハ21に発生する欠陥切欠き部分をノッチ22またはオリフラ24と誤検出することを防ぎ、欠陥切欠き部分を精度よく検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノッチまたはオリフラと称される切欠きが形成される円板状半導体ウェハの周縁部に発生する欠陥を検出するウェハの欠陥検出方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、特許文献1に、オリエンテーションフラット(以下、オリフラと称する)を検出するウェハの位置検出装置が開示される。この位置検出装置は、ウェハをその軸線まわりに所定の角度毎に角変位するようにステップ送りさせて、ウェハの周縁部の形状をラインセンサによって検出する。
【0003】
位置検出装置は、ウェハの角変位量と、イメージセンサ出力とに基づいて、オリフラが形成される位置を算出する。具体的には、ウェハの回転中心から周縁部までの距離が最も短くなる部分θm+4の角度位置を検出し、その角度位置に基づいてオリフラの角度位置を検出している。
【0004】
また第2の従来技術として、特許文献2に、オリフラを検出する機能を有する基板処理装置が開示される。この基板処理装置は、オリフラのうち、周方向両側部分P,Qの角度位置を検出し、それらの両側部分P,Qの角度位置に基づいてオリフラの中心角度位置を検出する。
【0005】
【特許文献1】特公平7−13998号公報
【特許文献2】特開平10−270404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1の従来技術では、ウェハの周縁部に生じる欠陥切欠き部分の深さが、オリフラが形成されるオリフラ部分の深さよりも小さいことを前提としているので、オリフラ部分の深さよりも欠陥切欠き部分の深さが同じ場合には、オリフラ部分と欠陥切欠き部分とを区別することができない。さらにオリフラ部分の深さよりも欠陥切欠き部分の深さが大きい場合には、欠陥切欠き部分をオリフラ部分と誤検出するおそれがある。したがってウェハの欠陥切欠き部分を正確に検出することができない。
【0007】
第2の従来技術についても、ウェハの欠陥切欠き部分を検出する構成については開示されておらず、欠陥切欠き部分を検出することができない。また第1の従来技術と同様に、オリフラ部分と欠陥切欠き部分とを区別することができず、欠陥切欠き部分とオリフラ部分とを誤検出するおそれがある。
【0008】
なお、従来技術として、ウェハにオリフラ部分が形成される場合について説明した。これに限らず、ノッチがウェハに形成される場合であっても上述した問題が生じる。ノッチが形成されるノッチ部分は、オリフラ部分よりもその深さおよび幅が小さい。上述した従来技術を適用してノッチ部分を検出しようとした場合には、欠陥切欠き部分とノッチ部分とを誤検出する可能性が大きくなる。
【0009】
したがって本発明の目的は、半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を精度よく検出することができるウェハの欠陥検出方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、周縁部に予め定める規定切欠き部分が形成される円板状の半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を検出するウェハの欠陥検出方法であって、
ウェハに予め設定される軸線からウェハの周縁まで延びる周縁直線が、軸線まわりを角変位する場合の、前記周縁直線の距離変化を測定し、
前記測定結果に基づいて、切欠き部分を周縁直線が通過する角変位量を表わす幅と、前記切欠き部分で周縁直線の距離が最も小さくなる周縁直線に関連する深さとを、注目する切欠き部分毎に算出し、
注目する切欠き部分の幅と深さとの少なくとも1つが、規定切欠き部分に設定される規定範囲外である場合に、その注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出することを特徴とするウェハの欠陥検出方法である。
【0011】
また本発明は、前記測定結果に基づいて、欠陥切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、注目する切欠き部分の幅と深さとが、規定切欠き部分に設定される規定範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出し、規定切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、注目する切欠き部分の幅と深さとが、規定切欠き部分に設定される規定範囲内である場合に、その注目する切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす曲線式を算出し、
前記注目する切欠き部分について算出した曲線式が、規定切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす規定曲線式に対して、予め定める類似範囲内であると、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出し、規定切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、複数の注目する切欠き部分について算出した曲線式が、前記規定曲線式に対して予め定める類似範囲内である場合に、最も前記規定曲線式に近い曲線式となる切欠き部分を規定切欠き部分として検出することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、周縁直線の距離変化において、周縁直線が軸線を一周する周期と等しい周波数成分を除去した演算結果に基づいて、切欠き部分の幅と深さとを求めることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、注目する切欠き部分の幅と深さとが、予め定める許容範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を無視することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記規定切欠き部分は、ノッチおよびオリエンテーションフラットのいずれか一方が形成される部分とすることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、周縁部に予め定める規定切欠き部分が形成される円板状の半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を検出するウェハの欠陥検出方法であって、
ウェハに予め設定される軸線からウェハの周縁まで延びる周縁直線が、任意の基準位置から軸線まわりを角変位する場合の、前記周縁直線の距離変化を測定し、
周縁直線の距離変化を表わす曲線式を、注目する切欠き部分毎に算出し、
注目する切欠き部分について算出した曲線式が、規定切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす規定曲線式に対して、予め定める近似範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出することを特徴とするウェハの欠陥検出方法である。
【0019】
また本発明は、周縁部に予め定める規定切欠き部分が形成される円板状の半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を検出するウェハの欠陥検出装置であって、
基部と、
ウェハを保持する保持部と、
基部に設定される中心軸線まわりに保持部を回転駆動する回転駆動手段と、
保持部の角変位量を測定する角度測定手段と、
保持部に保持されるウェハの周縁部の周方向一部に対向し、ウェハの周縁部のウェハ半径方向位置を測定する周縁位置測定手段と、
角度測定手段と周縁位置測定手段との測定結果に基づいて、欠陥切欠き部分を検出する欠陥検出手段とを有し、
欠陥検出手段は、
ウェハを角変位させてウェハ周縁部のウェハ半径方向の位置変化が予め定めるしきい値よりも大きくなるときに、周縁位置測定手段に対向するウェハの周縁部に切欠き部分が形成されていることを検出し、
切欠き部分が周縁位置測定手段を通過する間のウェハの角変位量を表わす幅と、前記切欠き部分で前記中心軸線からウェハ周縁部までの距離が最も小さくなる周縁直線の距離に関連する深さとを、注目する切欠き毎に算出し、
注目する切欠き部分の幅と深さとの少なくとも1つが、規定切欠き部分に設定される規定範囲外である場合に、その注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出することを特徴とするウェハの欠陥検出装置である。
【0020】
また本発明は、欠陥検出手段は、注目する切欠き部分の幅と深さとが、規定切欠き部分に設定される規定範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出し、規定各切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、切欠き部分の幅と深さとを求める。切欠き部分について、規定切欠き部分の幅と深さとの少なくともいずれか一方が、規定切欠き部分に設定される規定範囲外である場合に、その切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出する。これによってウェハに発生する欠陥切欠き部分を規定切欠き部分として誤検出することなく、欠陥切欠き部分を精度よく検出することができる。
【0022】
また規定切欠き部分と欠陥切欠き部分との両方がウェハに形成される場合であっても、規定切欠き部分と欠陥切欠き部分とをそれぞれ区別して検出することができる。これによって欠陥切欠き部分が形成されるウェハを取除くことができる。
【0023】
また本発明によれば、ウェハに設定される任意の基準位置に対して欠陥切欠き部分の角変位位置を求めることで、欠陥切欠き部分の発生位置を把握することができる。これによってウェハのうちで欠陥切欠き部分を除く部分にパターン形成処理を施することができる。
【0024】
また本発明によれば、規定切欠き部分の検出と同時に欠陥切欠き部分を検出することができる。これによって欠陥切欠き部分を検出する工程と規定切欠き部分を検出する工程とを別工程にする必要がないので、欠陥切欠き部分の検出に費やす時間を短くすることができる。言い換えると、規定切欠き部分の検出を行う装置のタクトタイムに影響を与えることなく、欠陥切欠き部分の検出を行うことができる。
【0025】
また本発明によれば、切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす曲線式を算出し、その曲線式に基づいて、切欠き部分が、規定切欠き部分と欠陥切欠き部分とのいずれであるかを判断する。これによって、万が一、規定切欠き部分の幅と深さとの規定範囲内となるような欠陥切欠き部分が発生しても、欠陥切欠き部分として検出することができ、規定切欠き部分の誤検出を防ぐことができる。
【0026】
また本発明によれば、複数の注目する切欠き部分について、算出した曲線式が、前記規定曲線式に対して予め定める類似範囲内である場合に、最も前記規定曲線式に近い曲線式となる切欠き部分を規定切欠き部分として検出する。これによって複数の切欠き部分から、1つの規定切欠き部分と、その他の欠陥切欠き部分とを精度よく区別して検出することができる。
【0027】
また本発明によれば、ウェハに予め設定される軸線が、ウェハの中心位置から偏心していた場合、周縁直線の距離変化は、ウェハが角変位する一周期と等しい周期を有する周波数成分が含まれる。この周波数成分を除去することによって、ウェハの偏心が周縁直線の距離変化に影響をおよぼすことを防ぐことができる。これによって切欠き部分の幅と深さを正確に求めることができ、よって規定切欠き部分と欠陥切欠き部分とをさらに精度よく検出することができる。
【0028】
またウェハが偏心した状態であっても規定切欠き部分を精度よく検出できるので、周縁距離変化の測定を容易に行うことができる。またこの周波数成分に基づいて、ウェハに予め設定される軸線に対してウェハの中心位置が偏心する偏心量と偏心方向とを求めることもできる。
【0029】
また本発明によれば、注目する切欠きの深さと幅とが許容範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を無視する。これによって注目する欠陥切欠き部分を正確に検出することができる。たとえば切欠き部分として深さおよび幅がウェハ品質として問題のない小さなものまで、欠陥として誤検出することを防ぐことができる。また、ウェハの製造過程で発生するような凹凸の深さと幅とを許容範囲として登録しておくことで、製造過程で生じる凹凸部分を欠陥として検出しないようにすることもできる。
【0030】
また本発明によれば、規定切欠き部分がノッチおよびオリエンテーションフラットのいずれか一方が形成される部分とする。これによって、欠陥切欠き部分とノッチ部分またはオリエンテーションフラット部分とを区別して検出することができる。またウェハについて、ノッチが形成されるノッチウェハであるか、オリエンテーションフラットが形成されるオリフラウェハであるかを判別することができる。
【0031】
さらに規定切欠き部分としてノッチ部分およびオリエンテーションフラット部分の両方を規定切欠き部分として設定していてもよい。この場合、ノッチ部分およびオリフラ部分の判定基準値を独立して設定することによって、ウェハに形成される規定切欠き部分が、ノッチ部分かオリフラ部分かにかかわらず、本検出装置を使用することが可能となり、利便性を向上することができる。
【0032】
また本発明によれば、切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす曲線式を算出し、その曲線式に基づいて、切欠き部分が、規定切欠き部分および欠陥切欠き部分のいずれであるかを検出する。これによって、欠陥切欠き部分を精度よく検出することができる。
【0033】
また本発明によれば、保持部にウェハを保持させた状態で、回転駆動手段によって保持部とともにウェハを回転させる。ウェハが回転することによって、角度測定手段に対向するウェハの周縁部が移り変わる。ウェハの周縁部に切欠き部分がある場合には、ウェハが角変位すると、周縁位置測定手段によって測定される測定結果が変化する。
【0034】
欠陥検出手段は、角度測定手段と周縁位置測定手段による測定結果に基づいて、切欠き部分の幅と深さとを求める。そして注目する切欠き部分の幅と深さとが、予め定められる規定切欠き部分に設定される幅と深さとの規定範囲内であると規定切欠き部分として検出し、規定範囲外であると欠陥切欠き部分として検出する。このように切欠き部分の幅と深さとに基づいて、注目する切欠き部分が欠陥であるか否かを判定することによって、精度よく欠陥を検出することができる。
【0035】
また本発明によれば、規定切欠き部分の、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることで、規定切欠き部分に基づいてウェハの配置位置を整えるいわゆるアライナ装置と兼用することができる。すなわち、アライナ装置の演算プログラムを変更することによって、ウェハの配置位置の調整とともにウェハの欠陥を検出することができる。したがって新たな物理的構成を追加する必要がなく、ウェハの欠陥検出装置を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、本発明の実施の一形態であるウェハ形状検出装置20の構成を示すブロック図である。ウェハ形状検出装置20は、ウェハ21の角変位位置を調整するいわゆるアライナ装置と、ウェハ21の欠陥を検出するウェハの欠陥検出装置とを兼用する。
【0037】
半導体ウェハ21は、予め結晶方向が設定されている。半導体ウェハ21は、結晶方向の判別用に、規定切欠き部分がその周縁部に形成される。半導体ウェハ21は、製造装置の予め定める方向にその結晶方向が沿うように、位置合せされた状態で各種半導体処理が施されることがある。この場合、ウェハ21の規定切欠き部分が製造装置の予め定める位置に対向するようにウェハ21が配置される。
【0038】
図2は、ノッチ22を説明するためのウェハ21の一部を拡大して示す図である。半導体ウェハ21は、円板状に形成される。第1の実施形態では、規定切欠き部分は、ノッチ22が形成されるノッチ部分80によって実現される。ノッチ22は、半導体ウェハ21の周縁部23に形成される凹所である。ノッチ部分80は、ウェハ21を厚み方向に垂直な断面で見た場合に、周縁部23に、ウェハ21の中心位置に向かうにつれて先細となる略U字状の切口を形成する。ノッチ22の詳細な寸法は、SEMI(Semiconductor
Equipment and Materials Institute)などによって予め規格化されている。
【0039】
ウェハ形状検出装置20は、ノッチ部分80を検出する。ウェハ形状検出装置20は、ノッチ部分80がウェハ形状検出装置20に設定される基準位置に向くように、ウェハ21を角変位する。これによってウェハ21の結晶方向が予め定める方向に延びるようにウェハ21の位置が調整される。この状態で、ウェハ21は、ロボットハンドなどの移載装置によってウェハ形状検出装置20から移載されて、所定の他の半導体処理装置に、結晶方向を考慮した位置合わせがなされる。
【0040】
またウェハ形状検出装置20は、半導体ウェハ21の周縁部に発生して欠陥となる凹所83が形成される欠陥切欠き部分82を検出する。欠陥切欠き部分82を検出すると、欠陥切欠き部分82の発生を報知することによって、作業者は、ウェハ21に欠陥切欠き部分82が形成されていることを判断する。またウェハ形状検出装置20は、ロボットハンドなどの移載装置に、ウェハ21に欠陥切欠き部分82が生じていることを伝える。この場合、移載装置は、欠陥切欠き部分82が生じているウェハ21を取除き、欠陥が生じているウェハ21が後段の半導体処理装置で処理が施されることを防ぐ。
【0041】
ウェハ形状検出装置20は、基部30と、保持部31と、モータ32と、エンコーダ33と、ラインセンサ34と、センサコントローラ35と、制御部36とを有する。基部30は、保持部31、モータ32、エンコーダ33およびラインセンサ34を支持する。
【0042】
保持部31は、半導体ウェハ21を吸着保持する。保持部31は、基部30に予め設定される中心軸線29まわりに回転可能に基部30に支持される。具体的には、保持部31には、ウェハ21が当接する当接面が形成される。当接面には、空気を吸引する吸引孔が形成される。当接面に半導体ウェハ21を当接させた状態で、吸引孔から空気を吸引することによって、半導体ウェハ21を保持部31に吸着保持させることができる。半導体ウェハ21は、その中心位置28が、基部30の中心軸線29上に可及的に配置されるように保持部31に当接される。
【0043】
モータ32は、基部30に対して保持部31を予め定める中心軸線29まわりに連続的に回転駆動する。モータ32は、その回転出力を、動力伝達機構37を介して保持部31に伝達する。したがってモータ32の出力軸が回転すると、保持部31および保持部31に保持されるウェハ21が中心軸線29まわりに連続的に回転する。モータ32は、たとえば直流モータによって実現され、保持部31を回転駆動する回転駆動手段となる。
【0044】
エンコーダ33は、回転前の状態から出力軸が角変位した角変位量を測定する。すなわちエンコーダ33は、保持部31の角変位量を測定する角度測定手段となる。エンコーダ33は、このようなインクリメンタル形でもよいがアブソリュート形であってもよい。
【0045】
ラインセンサ34は、基部30に固定される。ラインセンサ34は、保持部31に保持されるウェハ22の周縁部23の一部に対向した位置に配置される。ラインセンサ34は、ウェハの周縁について、ウェハ21の半径方向rの位置を測定する。具体的には、ラインセンサ34は、投光部34aと受光部34bとを有する。
【0046】
投光部34aは、ウェハ半径方向rに延び中心軸線29に平行に進む帯状の平行光を投光する。受光部34bは、保持されるウェハ21を挟んで投光部34aに対向して配置される。たとえば投光部34aは、発光ダイオード素子または半導体レーザ素子によって実現される。受光部34bは、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサによって実現される。具体的には受光部34bは、多数の微細なフォトダイオードがウェハ半径方向rに並び、投光部34aから投光された平行光を受光可能に構成される。
【0047】
投光部34aから投光された光の一部は、ウェハ21によって遮光される。また残りの一部は、ウェハ21よりも半径方向外方を通過して受光部34bに入射する。ウェハ21の周縁の位置が中心軸線29に対して半径方向rに近づくと、ウェハ21によって遮光される光が少なくなり、受光部34bに入射する光の光量が大きくなる。またウェハ21の周縁の位置が中心軸線29に対して半径方向rに遠ざかると、ウェハ21によって遮光される光が多くなり、受光部34bに入射する光の光量が小さくなる。受光部34bは、投光部34aから入射する光量によって出力する電気量が変化する。
【0048】
センサコントローラ35は、投光部34aに対して受光部34bに向けて光を投光するように投光指令を与える。またセンサコントローラ35は、受光部34bから出力される電気量に基づいて、ラインセンサ34に対向する部分における周縁の半径方向rの位置を検出する。
【0049】
制御部36は、センサコントローラ35からラインセンサ34に対向する周縁の半径方向rの位置が与えられる。また制御部36は、モータ32に回転指令を与えるとともに、エンコーダ33から半導体ウェハ21の角変位量が与えられる。
【0050】
制御部36は、モータ32によってウェハ21が連続的に回転駆動された状態における、センサコントローラ35とエンコーダ33とから与えられる情報に基づいて、ノッチ部分80の角度位置と、欠陥切欠き部分82を検出する。制御部36は、欠陥切欠き部分82を検出すると、ウェハ21に欠陥切欠き部分82が発生していることを出力する。たとえば、制御部36は、欠陥切欠き部分82の有無を報知する。
【0051】
また、ウェハ21の結晶方向を予め定める方向に向くようするために、制御部36は、予め定める角度位置にノッチ部分80を配置するように、モータ32に制御指令を与える。たとえばノッチ部分80がラインセンサ34を通過してから、予め定める任意の角変位量だけ、角変位した角変位位置でウェハ21が回転を停止するように、モータ32を制御する。
【0052】
制御部36は、演算を行う演算回路と、予め定めるプログラムおよび設定数値が記憶される記憶回路とを含んで構成される。制御部36は、演算回路が記憶回路に記憶されるプログラムを実行することによって、ノッチ部分80および欠陥切欠き部分82を検出する。たとえば演算回路はCPUによって実現される。またたとえば記憶回路は、RAMおよびROMによって実現される。
【0053】
保持部31にウェハ21を保持した状態で、モータ32によって保持部31とともにウェハ21を一周以上連続的に回転させる。このときエンコーダ33は、回転前の状態に対するウェハ21の角変位量をエンコーダ値として検出する。ウェハ21の角変位量が大きくなるにつれてエンコーダ値は大きくなる。
【0054】
またウェハ21を連続的に回転させたとき、ラインセンサ34に対向する周縁部23が移り変わる。ラインセンサ34は、ラインセンサ34に対向する部分における周縁の半径方向rの位置を、センサ値として検出する。
【0055】
なお、ウェハ21の厚み方向に垂直な平面における断面形状が真円に形成され、かつウェハ21の中心位置28と、基部30の中心軸線29とが一致している場合には、センサ値は一定になる。これに対して、ウェハ21に切欠き部分が形成される場合およびウェハ21が偏心している場合には、ウェハ21の角変位とともにセンサ値も変化する。
【0056】
本実施の形態では、センサ値が小さくなればなるほど、ラインセンサ34に対向する部分における周縁が半径方向r内方に位置する。また本実施の形態では、エンコーダ値が大きくなればなるほど、回転前の状態からウェハ21が大きく角変位する。なお、本発明において、ウェハ21の半径85とは、ウェハ21に切欠きがなく真円に形成された場合におけるウェハ21の半径85に相当する。またウェハ21の中心位置28とは、ウェハ21の断面が真円に形成された場合におけるウェハ21の中心位置に相当する。
【0057】
図3は、3つの切欠き25,26,27が発生するノッチウェハ21を示す正面図である。図4は、図3に示すノッチウェハ21を角変位させた場合のエンコーダ値eと、そのエンコーダ値eに対応するセンサ値cとを示すグラフである。図3に示すノッチウェハ21は、第1の切欠き27が形成される第1切欠き部分127と、第2の切欠き25が形成される第2切欠き部分125と、第3の切欠き126が形成される第3切欠き部分126とが形成される。
【0058】
なお、図4は、ウェハ21の中心位置28と、基部30の中心軸線29とが一致している状態における測定結果である。センサ値cは、中心軸線29からウェハ21の周縁まで延びる周縁直線40のうち、ラインセンサ34に対向する周縁距離40の距離に相当する。エンコーダ値eは、回転前の状態から、任意のウェハ周縁部23がラインセンサ34に対向するまでの角変位量に相当する。
【0059】
図3に示すノッチウェハ21の場合、角変位前の状態から、ウェハ21を約90°角変位すると、第1切欠き部分127がラインセンサ34に対向する。またウェハ21を角変位前の状態から約175°角変位すると、第2切欠き部分125がラインセンサ34に対向する。またウェハ21を角変位前の状態から約260°角変位すると、第3切欠き部分126がラインセンサ34に対向する。
【0060】
ウェハ21が角変位して、ラインセンサ34に第1切欠き部分127が近接すると、まず第1角変位位置42で、ラインセンサ34に対向する周縁の周縁直線40(以下、ライン上の周縁直線40と称する)の距離がウェハ21の半径85とほぼ等しい状態からウェハ21の半径85よりも小さい状態となる。さらにウェハ21が角変位すると、ライン上の周縁直線40の距離が徐々に短くなる。
【0061】
第1角変位位置42から第2角変位位置44に達した後、さらにウェハ21が角変位すると、ライン上の周縁直線の距離が徐々に長くなる。そして第3角変位位置43に達すると、ライン上の周縁直線の距離がウェハ21の半径85よりも小さい状態からウェハ21の半径85とほぼ等しい状態に戻る。本実施の形態では、ほぼ等しい状態とは、等しい状態も含む。
【0062】
ウェハ21が角変位して、第2切欠き部分125および第3切欠き部分126がラインセンサ34に近接するときも、第1切欠き部分127が近接する場合と同様である。具体的には、ライン上の周縁直線の距離は、第1角変位位置42に達してから徐々に短くなる。そして第2角変位位置44に達したあとは徐々に長くなり、第3角変位位置43に達するとウェハ21の半径85とほぼ等しい状態に戻る。上述した各角変位位置42,43,44は、回転前の角変位位置に対する角変位量に基づいて求められる。
【0063】
制御部36は、ウェハ回転時のセンサ値cおよびエンコーダ値eに基づいて、第1角変位位置42、第2角変位位置44および第3角変位位置43を検出する。制御部36は、各角変位位置42〜44を検出すると、第1角変位位置42と第3角変位位置43との間に、切欠きが形成されていることを判断する。
【0064】
また制御部36は、第1角変位置42から第3角変位位置43までの間の角変位量を切欠き部分の幅W1,W2,W3とする。また第2角変位位置44における周縁直線の距離40をウェハ21の半径85から減算した距離を、切欠き部分の深さH1,H2,H3とする。また切欠き部分の第1角変位位置42と第3角変位位置43との中間の角変位位置を切欠き部分の角変位位置45とする。
【0065】
ノッチ部分80として許容される幅および深さの規定範囲は、予め設定される任意の値である。このようなノッチ22の幅および深さの規定範囲は、予め記憶回路に記憶される。
【0066】
図3に示すノッチウェハ21の場合、第1切欠き部分127は、その幅W1が規定範囲の上限値よりも大きく、その深さH1が規定範囲の上限値よりも大きい。したがって制御部36は、第1の切欠き部分127をノッチ部分80として検出せずに、欠陥切欠き部分82として検出する。
【0067】
また第2切欠き部分125は、その幅W2が、規定範囲の下限値よりも大きく上限値よりも小さい。またその深さH2が、規定範囲の下限値よりも大きく上限値よりも小さい。したがって制御部36は、第2切欠き部分125をノッチ部分80として検出する。
【0068】
また第3切欠き部分126は、その幅W3が規定範囲の下限値よりも小さく、その深さH3が規定範囲の下限値よりも小さい。したがって制御部36は、第3切欠き部分126をノッチ部分80として検出せずに、欠陥切欠き部分82として検出する。このように制御部36は、注目する切欠き部分25〜27の幅Wと深さHとの少なくともいずれか一方が規定範囲内に入らなかった場合には、欠陥切欠き部分82として判断する。
【0069】
図5は、制御部36の第1の切欠き検出動作を示すフローチャートである。制御部36は、センサ値cとエンコーダ値eとから欠陥切欠き部分82およびノッチ部分80を検出する場合には、検出動作を実行可能となるように、データ処理する必要がある。
【0070】
ステップa0では、制御部36は、使用者などから予めノッチ部分80の幅Wおよび深さHの規定範囲が与えられる。制御部36は、与えられた規定範囲を記憶回路に記憶する。このように準備動作が完了した状態で、制御部36は、保持部31によって保持されるウェハ21を連続的に回転させて、ステップa1に進む。
【0071】
ステップa1では、制御部36は、センサコントローラ35からセンサ値cを取得し、エンコーダ33からエンコーダ値eを取得する。制御部36は、同時刻に取得したエンコーダ値eとセンサ値cとを関連づけて記憶回路に記憶する。
【0072】
図6は、ステップa1で取得したセンサ値cをエンコーダ値eの順に並べたグラフである。図6には、縦軸にセンサ値cをとし、横軸にエンコーダ値eをとしたグラフを示す。また、図6に示すグラフは、基部30の中心軸線29と、ウェハ21の中心位置28とが偏心した場合における検出結果である。制御部36は、各エンコーダ値eに関連づけられるセンサ値cをそれぞれ検出データとし、ステップa2に進む。
【0073】
ステップa2では、制御部36は、各検出データcの変化のうち、ウェハ21が一周するときの周期に対応した偏心周波数成分変化を抽出する。具体的には、制御部36は、まず、検出データcのうちから、任意の数の検出データを抽出する。そしてエンコーダ値eの増加に関して、抽出した各検出データcの偏心周波数成分変化を表わす偏心正弦波波形の演算式を求める。
【0074】
本実施の形態では、検出データの抽出は、エンコーダ値が12°変化する毎の検出データcを順に取出する。そして取出した各検出データcのうちで、i番目に取出した検出データciと、その1つ前、すなわちi−1番目に取出した検出データc(i−1)との差が予め定める設定範囲を超えている場合には、i番目に取出した検出データciを取除き、その残りの各検出データを用いて、偏心正弦波波形の演算式を求める。
【0075】
演算式は、抽出した各検出データのうちの3つを用いて、次の(1)式における演算式のYに検出データcを、Xにその検出データcに対応するエンコーダ値eをそれぞれ代入して、各定数α,β,γの値を求める。なお、前記3つの検出データは、できるだけエンコーダ値eが120°間離れたものを用いる。
Y=α・Sin(X+β)+γ …(1)
【0076】
さらに、抽出した各検出データのうちの3つを種々変更した場合における各定数A,B,Cをそれぞれ求め、求めた各定数α,β,γの平均値を(1)式の各係数として、演算式を決定する。すなわち30個の検出データを抽出した場合には10回分の、24個の検出データしか取れなかった場合には8回分の各定数A,B,Cの平均値を使って求められる(1)式を偏心正弦波波形の演算式とする。なお、偏心正弦波波形の演算式を求める方法は、本実施の形態の一例であって、他の導出方法を用いて演算式を求めてもかまわない。
【0077】
図7は、正弦波データdを示すグラフである。制御部36は、偏心正弦波波形の演算式に各エンコーダ値eを代入して、各エンコーダ値eに関連づけられる正弦波データdを演算する。正弦波データdを演算すると、ステップa3に進む。
【0078】
たとえば正弦波波形の演算式が上述の(1)式で表わされる場合、注目するエンコーダ値eiに関連づけられる正弦波データdiは、α・Sin(ei+β)+γで表わされる。
【0079】
ステップa3では、制御部36は、関連づけられるエンコーダ値e毎に、ステップa1に示す検出データcからステップa2に示す正弦波データdを減算(c−d)して、偏心の影響を除去した差分データfをそれぞれ演算する。図8は、差分データfを示すグラフである。
【0080】
ステップa4では、差分データfを微分した微分データgを演算する。具体的には、微分データgは、差分データfにおける注目するエンコーダ値e毎に、注目するエンコーダ値eiに対応する差分データfiと、注目するエンコーダ値eiの次のエンコーダ値e(i+1)に対応する差分データf(i+1)との差を示すデータであり、エンコーダ値e毎にそれぞれ関連づけられる。微分データgを演算すると、ステップa5に進む。
【0081】
たとえば注目するエンコーダ値eiに対応する差分データをfiとし、注目するエンコーダ値eiの次のエンコーダ値e(i+1)に対応する差分データをf(i+1)とすると、注目するエンコーダ値eiに関連づけられる微分データgは、f(i+1)−fiとなる。
【0082】
図9は、差分データfの一部を拡大して欠陥切欠きを示すグラフである。ステップa5では、制御部36は、差分データfに基づいて、ウェハ21の半径85と等しい円弧が形成される周縁部分を検索して、データの検出を開始する起点を求める。この起点からウェハ21を360°角変位させる間の差分データfを用いる。
【0083】
具体的には、微分データgが小さく、差分データfが予め定める第1しきい値P1を継続した状態で、エンコーダ値eが予め定める第2しきい値P2にわたって増加するエンコーダ値の変化間隔を検出し、そのエンコーダ値eの変化間隔のうちもっとも小さいエンコーダ値を起点エンコーダ値eaとして検出する。なお、起点エンコーダ値eaの角変位位置におけるライン上の周縁直線40の距離は、ウェハ21の半径85とほぼ等しくなる。起点エンコーダ値eaを検出すると、ステップa6に進む。
【0084】
ステップa6では、起点エンコーダ値eaからエンコーダ値eが増加したときに、差分データfが予め定める第3しきい値P3以下となる場合、制御部36は、そのときのエンコーダ値ebを上述した第1角変位位置42とし、第1角変位位置42から切欠き部分が形成されていることを判断する。第1角変位位置42を検出すると、ステップa7に進む。
【0085】
ステップa7では、制御部36は、第1角変位位置42からエンコーダ値eが増加したときに、差分データfが予め定める第4しきい値P4以下で、かつ微分データgが小さく、差分データfが予め定める第5しきい値P5以下を継続した状態で、エンコーダ値eが予め定める第6しきい値P6にわたって増加するエンコーダ値の変化間隔を検出し、そのエンコーダ値eの変化間隔の起点となるエンコーダ値を復帰エンコーダ値ecとして検出する。なお、復帰エンコーダ値ecの角変位位置におけるライン上の周縁直線40の距離は、ウェハ21の半径85とほぼ等しくなる。復帰エンコーダ値ecを検出すると、ステップa8に進む。
【0086】
ステップa8では、制御部36は、復帰エンコーダ値ecからエンコーダ値eが減少したときに、差分データfが予め定める第7しきい値P7以下となる場合、制御部38は、そのときのエンコーダ値edを上述した第3角変位位置43とし、ステップa9に進む。
【0087】
ステップa9では、ステップa6で求めた第1角変位位置42と、ステップa8で求めた第3角変位位置43との間の、エンコーダ値eおよび差分データ値fとに基づいて、切欠きの幅W、深さHおよび切欠きの位置45を求め、ステップa10に進む。
【0088】
ステップa10では、制御部36は、差分データfに基づいて、復帰エンコーダ値ecからエンコーダ値が増加したときに、次の第1角変位位置42が存在するか否かを判断し、次の第1角変位位置42が存在すると判断すると、ステップa7に戻る。そして次の切欠きについて切欠きの幅W、深さHおよび切欠きの位置45を求める。またステップa10において、起点エンコーダ値eaから360°エンコーダ値eが増加しても、次の第1角変位位置42が存在しない場合には、ステップa11に進む。
【0089】
ステップa11では、検出した1または複数の切欠き部分のうち、ノッチ部分80の規定範囲内の幅と深さとを有する1つの切欠き部分を検出し、その切欠き部分をノッチ部分80として判断する。またその他の切欠き部分を欠陥切欠き部分82として検出する。
【0090】
ノッチ部分80の規定範囲内の幅と深さとを有する複数の切欠き部分がある場合には、ノッチ部分80に予め設定される最適幅と最適深さとに最も近い1つの切欠き部分をノッチ部分80として判断してもよい。
【0091】
このようにして制御部36は、1または複数の切欠き部分から1つのノッチ部分80を検出すると、残余の切欠き部分を欠陥切欠き部分82として検出する。そしてステップa12に進み、切欠きの検出動作を終了する。
【0092】
またウェハ形状検出装置20がアライナ装置となる場合には、ノッチ部分80を予め定める角度位置に角変位させる。そしてウェハを移送するハンドロボットがウェハ21を搬送可能な状態とする。またウェハ形状検出装置20は、欠陥切欠き82を検出した場合には、ウェハ21に欠陥があることを報知する。
【0093】
以上のように、ウェハ形状検出装置20が上述した第1の欠陥検出方法を実行することによって、ウェハ形状検出装置20は、切欠き部分の幅と深さとを検出する。切欠き部分の幅と深さとの少なくともいずれか一方が、ノッチ部分80に設定される規定範囲外である場合に、その切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出する。言い換えると、切欠き部分の幅と深さとの両方が規定範囲内である場合についてのみ、その切欠き部分をノッチ部分80として検出する。またウェハ21に傷などの欠陥が形成される場合であっても、正確にノッチ部分80を検出することができる。
【0094】
これによってウェハに形成される欠陥切欠き部分82とノッチ部分80とを誤検出することなく、欠陥切欠き部分82を精度よく検出することができる。欠陥切欠き部分82を精度よく検出することで、欠陥切欠き部分82が形成されるウェハ21を、半導体製造過程で取除くことができる。これによって欠陥が生じているウェハ82を早期に取除くことで、欠陥が生じているウェハに半導体処理が施されることを防ぐことができる。
【0095】
また本実施の形態では、ウェハ形状検出装置20は、ノッチ部分80の検出と同時に欠陥切欠き部分82を検出する。これによって欠陥切欠き部分82を検出する工程を別工程にする必要がないので、検出に費やす時間を短くすることができる。言い換えると、装置のタクトタイムに影響を与えることなく、ウェハ周辺部の欠陥を検出することができる。
【0096】
また本実施の形態では、検出データcから正弦波データdを差分した差分データfに基づいて、切欠き部分の幅と深さとを検出する。したがってウェハ21の中心位置28が回転軸線29に対して偏心していた場合であっても、その偏心の影響をなくして、切欠き部分の幅と深さを検出することができる。これによって切欠き部分の幅と深さを正確に求めることができ、よってノッチ部分80と欠陥切欠き部分82とをさらに精度よく検出することができる。
【0097】
また偏心正弦波波形の演算式を求めることによって、その振幅と位相とからウェハ21の偏心具合を求めることができる。たとえば偏心具合をロボットハンドに伝えることによって、ロボットハンドがウェハの偏心具合を把握することができ、ウェハ形状検出装置20に保持されるウェハ21を正確に保持することができる。また上述したようにウェハ21が偏心した状態で保持部31に保持された場合であっても、ノッチ部分80と欠陥切欠き部分82を正確に検出することができ、ロボットハンドの位置教示動作にかかる手間を少なくすることができる。
【0098】
また本実施の形態によれば、ノッチ部分80に基づいてウェハ21の配置位置を整えるいわゆるアライナ装置の演算プログラムを変更することによって、ウェハ21の配置位置の調整とともにウェハ21の欠陥を検出することができる。したがって新たな物理的構成を追加する必要がなく、ウェハの欠陥検出装置を容易に実現することができる。
【0099】
また本実施の形態では、微分データgに基づいて、切欠き部分が形成されない周縁部23を検出する。これによって差分データfに基づくよりも、切欠き部分が形成されない周縁部23を正確に検出することができ、ノッチ部分80と欠陥切欠き部分82をより正確に検出することができる。また周縁部に切欠きが形成されない起点エンコーダ値eaから、ノッチ部分80および欠陥切欠き部分82の検出を開始する。これによって切欠き部分の途中から切欠き部分の検出を開始することが防がれ、切欠き部分をさらに正確に検出することができる。
【0100】
図10および図11は、本発明の第2のウェハの欠陥検出方法を説明するためのグラフである。図10は、差分データfの一部を拡大してノッチ部分80を示すグラフである。また図11は、差分データfの一部を拡大して欠陥切欠き部分82を示すグラフである。
【0101】
ノッチ部分80では、第1角変位位置42から第2角変位位置44までエンコーダ値eの増加とともに変化する差分データfを、横軸をエンコーダ値eとし、縦軸を差分データfとするグラフ上にプロットする。この場合、プロットされた差分データfは、グラフ上に描かれる規定曲線50にそって並ぶ。この規定曲線50は、予め定める規定曲線式によって表わされる。
【0102】
本実施の形態では、規定曲線50を、A・e+B・e+Cとなる2次曲線式によって表わす。Aは、エンコーダ値eの2乗の係数であって、規定曲線50の形状を表わす形状特定係数Aとなる。BおよびCは、ウェハ21の配置位置によって異なる。なお、上式においてeは、エンコーダ値を表わす。
【0103】
これに対して欠陥切欠き部分82では、プロットされる差分データfは、規定曲線50とは形状が異なる非規定曲線51に沿って並ぶ。また欠陥切欠き部分82では、規定曲線50に対して、プロットされた差分データfが大きくばらつく。またプロットされた差分データfが並ぶ近似曲線式は、最小2乗法などの近似法を用いることで容易に導くことができる。
【0104】
注目する切欠き部分の前記形状特定係数Aが、ノッチ部分80を表わす形状特定係数Aの規定範囲外であると、注目する切欠き部分を欠陥切欠き部部分82として検出することができる。
【0105】
前記形状特定係数Aは、ノッチ部分を表わす規定曲線式に対して、切欠き部分を表わす曲線式が類似しているかどうかを判定するための判定値となる。すなわち近似曲線式のうち切欠き部分の形状を示す係数を抽出し、その係数が規定曲線式のうち規定切欠き部分の形状を示す係数に対する類似度を判断することによって、曲線式が類似しているかどうかを判断する。たとえば類似度は、規定切欠き部分の形状を示す係数と、注目する切欠き部分の形状を示す係数との差によって決定される。
【0106】
図12は、図10のグラフの一部を拡大して示すグラフである。ノッチ部分80での各プロット点は、規定曲線50からの誤差平均値が予め定める規定範囲内となる。誤差平均値は、各プロット点60の差分データfと、各プロット点60に設定されるエンコーダ値eでの規定曲線50の差分データfとの差を全て足し合わせた値である。
【0107】
任意のプロット点60の差分データfをxiとし、その任意のプロット点60に設定されるエンコーダ値eでの差分データfをyiとすると、誤差平均値Vは、以下の式によって表わされる。
【0108】
【数1】

【0109】
ただし、xiは、第1角変位位置43から第2角変位位置44までのn個のプロット点のうち、i番目の差分データを示す。またyiは、i番目のプロット点と同じエンコーダ値eにおける規定曲線50の差分データを示す。
【0110】
注目する切欠き部分での誤差平均値Vが、予め定める規定範囲外であると、注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分82として検出することができる。
【0111】
前記誤差平均値Vもまた、ノッチ部分を表わす規定曲線式に対して、切欠き部分を表わす曲線式が類似しているかどうかを判定するための判定値となる。規定曲線に対する誤差平均値Vが小さければ小さいほど、注目する切欠き部分の形状が、ノッチ部分の形状に類似していることを示す。
【0112】
図13は、制御部36の第2の切欠き検出動作を示すフローチャートである。ステップb0では、制御部36は、ノッチ部分80での形状特定係数Aの規定範囲が与えられる。制御部36は、与えられた規定範囲を記憶回路に記憶する。そして制御部36は、ウェハ21を保持部31に吸着保持させた状態で、ウェハ21を回転させ、ステップb1に進む。
【0113】
制御部36は、ステップb1で、前述した図5に示すステップa1〜ステップa10に相当する動作を行う。ただし、ステップa9で制御部36が切欠き部分の深さと幅とを演算した代わりに、第1角変位位置43と第2角変位位置44との間での、差分データ値fの近似曲線式を演算する。
【0114】
ステップb1で、各切欠きの近似曲線式を求めると、ステップb2に進む。ステップb2では、検出した1または複数の切欠き部分の近似曲線式のうち、その形状特定係数Aが規定範囲内となる1または複数の切欠き部分を検出し、ステップb3に進む。
【0115】
ステップb3では、ステップb2で検出された1または複数の切欠き部分について、規定曲線に対する誤差平均値Vを求め、ステップb4に進む。ステップb4では、ステップb2で検出した1または複数の切欠き部分について、規定曲線に対する誤差平均値が、規定範囲内である切欠きをノッチ部分80として検出する。
【0116】
またステップb4において、誤差平均値Vが規定範囲内となる複数の切欠き部分が存在する場合には、誤差平均値が規定範囲内となる複数の切欠き部分のうちから、最も誤差平均値が小さいものをノッチ部分80として検出する。このようにして制御部36は、1または複数の切欠き部分から1つのノッチ部分80を検出すると、残余の切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出する。そしてステップb5に進み、切欠き部分の検出動作を終了する。
【0117】
以上のように、ウェハ形状検出装置20が上述した第2の欠陥検出方法を実行することによって、ウェハ形状検出装置20は、切欠き部分における曲線式を算出し、その曲線式に基づいて、切欠き部分が、ノッチ部分80と欠陥切欠き部分82とのいずれであるかを判断する。
【0118】
具体的には、切欠き部分での形状特定係数Aおよび誤差平均値Vを検出することで、欠陥切欠き部分の形状に基づいて切欠き部分を判断する。これによってノッチ部分80の幅と深さとの規定範囲内に含まれる欠陥切欠き部分であっても、欠陥切欠き部分82とノッチ部分80とを区別して検出することができ、誤検出を防ぐことができる。また、第1の欠陥検出方法と同様の手順を行う工程については、第1の欠陥検出方法と同様の効果を得ることができる。
【0119】
図14は、制御部36の第3の欠陥検出動作を示すフローチャートである。第3の欠陥検出動作は、切欠き部分の深さ、幅、形状特定係数Aおよび規定曲線との誤差平均値を用いて、ウェハの欠陥切欠き部分およびノッチ部分を検出する。なお、切欠きの幅、深さ、形状特定係数Aおよび規定曲線との誤差平均値Vは、前述と同様の手順によって求めることができるので、その説明を省略する。
【0120】
ステップc0では、制御部36は、欠陥として無視すべき切欠き部分の幅と深さとの許容範囲を記憶する。また制御部36は、検出すべきノッチ部分80の幅と深さと形状特定係数Aの規定範囲を記憶する。このように準備動作が完了した状態で、制御部36は、保持部31によって保持されるウェハ21を回転させ、ステップc1に進む。
【0121】
ステップc1では、制御部36は、第1の欠陥検出動作と同様に、切欠き部分の幅と深さとを取得し、取得するとステップc2に進む。ステップc2では、制御部36は、取得した切欠き部分の幅と深さとが、欠陥として無視すべき許容範囲内であるか否かを判断する。取得した切欠き部分の幅と深さとが許容範囲内でないと判断すると、ステップc3に進む。ステップc3では、ステップc2で取得した切欠き部分の幅と深さとがノッチ部分80として規定される規定範囲内であるかどうかを判断する。取得した切欠き部分の幅と深さとが規定範囲内であると、ステップc4に進む。
【0122】
ステップc4では、取得した切欠き部分の形状が、ノッチ部分80の形状に相当するか否かを判断する。具体的には、上述した切欠き部分の形状特定係数Aと誤差平均値Vとが、規定範囲内に含まれるか否かを判断し、規定範囲内であることを判断するとステップc5に進む。ステップc5では、ノッチ部分80の規定範囲内であると判断した切欠き部分をノッチ部分80としてカウントし、切欠き位置などの情報を記憶してステップc7に進む。
【0123】
ステップc2において、制御部36は、取得した切欠き部分の幅と深さとが、欠陥として無視すべき許容範囲内であると、その切欠き部分をカウントせずにステップc7に進む。またステップc3およびステップc4において、取得した切欠き部分がノッチ部分80の規定範囲から外れると、ステップc6に進む。ステップc6では、制御部36は、ノッチ部分80の規定範囲外であると判断した切欠き部分を欠陥切欠き部分82としてカウントし、切欠き位置などの情報を記憶してステップc7に進む。
【0124】
ステップc7では、ウェハ一周分のデータを検索したか否かを判断する。ウェハ一周分のデータを検索していない場合には、ステップc1に戻り、他の切欠き部分が存在しないかを検出する。また、ステップc7において、ウェハ一周分のデータを検索したことを判断した場合には、ステップc9に進み、欠陥検出動作を終了する。
【0125】
またステップc1において、制御部36は、第1の欠陥検出動作と同様に、切欠き部分の幅と深さとのデータを取得できないと、ステップc8に進む。ステップc8では、ウェハ一周分のデータを検索したか否かを判断する。ウェハ一周分のデータを検索していない場合には、ステップc1に戻り、他の切欠き部分が存在しないかを検出する。また、ステップc8において、ウェハ一周分のデータを検出したことを判断した場合には、ステップc9に進み、欠陥検出動作を終了する。
【0126】
以上のような第3の欠陥検出方法では、第1の欠陥検出方法と第2の欠陥検出方法との両方の効果を得ることができる。これによって、万が一、ノッチ部分80の幅と深さとの規定範囲内となるような欠陥切欠き部分82が発生しても、欠陥切欠き部分82として検出することができる。これによってノッチ部分80の誤検出を防ぐことができる。
【0127】
またステップc4で、複数の注目する切欠き部分の形状特定係数Aが、規定範囲に含まれる場合であっても、最も前記規定曲線式に近い曲線式となる切欠き部分、すなわち誤差平均値Aが最も小さい切欠き部分をノッチ部分80として検出する。これによって切欠き部分をさらに精度よく検出することができる。
【0128】
また、ステップc2において、注目する切欠きの深さと幅とが許容範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を無視する。これによって注目する欠陥切欠き部分82を正確に検出することができる。たとえば切欠き部分として深さおよび幅がウェハ品質として問題のない小さなものまで、欠陥として誤検出することを防ぐことができる。ウェハの製造過程で発生するような凹凸の深さと幅とを許容範囲として登録しておくことで、製造過程で生じる凹凸部分を欠陥として検出しないようにすることもできる。
【0129】
また形状特定係数Aおよび誤差平均値Vは、幅および深さが規定範囲内となった切欠き部分についてのみ求める。したがって全ての切欠き部分について、形状特定係数Aおよび誤差平均値Vを求める場合に比べて、計算時間を短縮化することができる。
【0130】
なお、上述した本実施の形態として、予め規定される規定切欠きとしてノッチ22が用いられる場合について説明したが、規定切欠きとしてノッチ22以外、たとえばオリエンテーションフラット(以下、オリフラと称する)が用いられても、同様の効果を得ることができる。
【0131】
図15は、オリフラ24が形成される半導体ウェハ21を示す正面図である。他の実施形態では、規定切欠き部分は、オリフラ24が形成されるオリフラ部分73によって実現される。オリフラ24は、半導体ウェハ21の周縁部23に形成される凹所である。オリフラ部分73は、ウェハ21を厚み方向に垂直な断面で見た場合に、ウェハ21の中心位置28から外方に延びる一半径線71に垂直な平面70が形成される。オリフラ24の詳細な寸法は、SEMIなどによって予め規格化されている。
【0132】
図16は、オリフラ24における差分データfの一部を示すグラフである。オリフラ24であっても、ノッチ22と同様にして、その幅W、深さH、近似曲線72が規定される。したがって切欠き部分について、幅W、深さH、近似曲線式の形状特定係数A、誤差平均値Vがオリフラ24に設定される規定範囲内であると、オリフラ24として判断することができる。
【0133】
図17は、オリフラ24における差分データfが最小となる部分を拡大して示すグラフである。ラインセンサ34の検出精度が低い場合には、図17に示すプロット点に示すように差分データfが最も小さくなるエンコーダ値eが予め定める範囲73にわたる。したがって差分データfが最も小さくなるエンコーダ値eに基づいて決定されるオリフラ部分73の角度位置を1つに決定することが困難な場合がある。
【0134】
これに対して、差分データfに基づいて決定される近似曲線72を求めることによって、差分データfが最も小さくなるエンコーダ値eを容易に求めることができ、そのエンコーダ値eをオリフラ部分73の角度位置、言い換えると切欠き角変位位置45として判断することができる。これによってオリフラ部分73の角度位置を精度よく検出することができる。これによってウェハ形状検出装置20は、アライナ装置としての性能を向上することができる。このようなことは上述したノッチ部分80の場合についても同様である。
【0135】
またオリフラ部分73に欠けが形成される場合でも、近似曲線72と差分データfとの差をとることによって、オリフラ部分73に形成される欠陥切欠き部分についても検出することができる。この場合、オリフラ部分73に形成される切欠き部分は、オリフラの近似曲線72からの誤差が大きい差分データfとなる。したがって誤差が大きい差分データfからオリフラ部分73に形成される欠陥切欠き部分を判断することができる。誤差が大きい差分データfを除いて、切欠き部分の近似曲線式を求め直して、オリフラ部分の近似曲線72と比較してもよい。
【0136】
またオリフラ24として、主オリフラと副オリフラとの2つのオリフラが形成される場合がある。このような場合には、主オリフラと副オリフラとのそれぞれの規定範囲を制御部36が記憶することによって、主オリフラ部分と、副オリフラ部分と、欠陥切欠き部分とを区別して検出することができる。
【0137】
また制御部36が記憶する規定範囲は、ノッチ22に設定される規定範囲とオリフラ24に設定される規定範囲との両方を記憶していてもよい。これによって、ウェハ21に形成される規定切欠き部分が、ノッチ部分80かオリフラ部分73かにかかわらず、本検出装置を使用することが可能となり、利便性を向上することができる。たとえばウェハ21の大きさを判断して、ノッチ部分80とオリフラ部分73の規定範囲のいずれを用いて、規定切欠き部分を区別するのかを判断して、その判断した規定範囲に基づいて、規定切欠き部分を検出してもよい。このように規定切欠き部分として規定される規定範囲と、切欠きとして無視される許容範囲とは、任意に数値入力可能であって、複数設定可能であることが好ましい。
【0138】
なお規定範囲は、実際のノッチ部分またはオリフラ部分を測定して規定してもよい。また予め定められる規格に基づいて、決定してもよい。またウェハ形状検出装置20には、制御部36に記憶される規定範囲を、使用者が入力および変更可能となるような設定手段が設けられることが好ましい。たとえば設定手段は、キーボードなどによって実現される。設定手段によって、測定すべき半導体ウェハ毎に規定範囲が変更されることによって、さらに切欠き部分の誤検出を防ぐことができる。
【0139】
また本実施の形態では、切欠き部分の幅と深さとに基づいたが、さらに切り欠き部分によって切り欠かれた領域の面積に基づいて、切欠き部分の検出を行ってもよい。切り欠かれた領域の面積は、たとえば切り欠き部分の幅と深さとを積算することによって求めることができる。
【0140】
なお本実施の形態では、ラインセンサ34に対して、ウェハ21を連続的に回転させた。これに対してウェハ21に対してラインセンサ34を連続的に回転させてもよい。また、ウェハ形状検出装置20の動作の一部または全てを作業者が行ってもよい。
【0141】
この場合、作業者は、ウェハ21に予め設定される軸線からウェハ21の周縁まで延びる周縁直線が、軸線まわりを角変位する場合の、前記周縁直線40の距離変化を測定し、前記測定結果に基づいて、切欠き部分を周縁直線が通過する角変位量を表わす幅と、前記切欠き部分で周縁直線の距離が最も小さくなる周縁直線に関連する深さとを算出し、注目する切欠き部分の幅と深さとの少なくとも1つが、規定切欠き部分に設定される規定範囲外である場合に、その注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出する。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施の一形態であるウェハ形状検出装置20の構成を示すブロック図である。
【図2】ノッチ22を説明するためのウェハ21の一部を拡大して示す図である。
【図3】3つの切欠き25,26,27が発生するノッチウェハ21を示す正面図である。
【図4】図3に示すノッチウェハ21を角変位させた場合のエンコーダ値eと、そのエンコーダ値eに対応するセンサ値cとを示すグラフである。
【図5】制御部36の第1の切欠き検出動作を示すフローチャートである。
【図6】ステップa1で取得したセンサ値cとエンコーダ値eとをエンコーダ値eの順に並べたグラフである。
【図7】正弦波データdを示すグラフである。
【図8】差分データfを示すグラフである。
【図9】差分データfの一部を拡大して欠陥切欠きを示すグラフである。
【図10】差分データfの一部を拡大してノッチ部分80を示すグラフである。
【図11】差分データfの一部を拡大して欠陥切欠き部分82を示すグラフである。
【図12】図10のグラフの一部を拡大して示すグラフである。
【図13】制御部36の第2の欠陥切欠き検出動作を示すフローチャートである。
【図14】制御部36の第3の欠陥検出動作を示すフローチャートである。
【図15】オリフラ24が形成される半導体ウェハ21を示す正面図である。
【図16】オリフラ24における差分データfの一部を示すグラフである。
【図17】オリフラ24における差分データfが最小となる部分を拡大して示すグラフである。
【符号の説明】
【0143】
20 ウェハ形状検出装置
21 半導体ウェハ
22 ノッチ
23 周縁部
24 オリフラ
25,26,27 切欠き
28 中心軸線
29 中心位置
30 基部
31 保持部
32 モータ
33 エンコーダ
34 ラインセンサ
35 センサコントローラ
36 制御部
40 周縁直線
41 基準位置
50 規定近似曲線
W 幅
H 深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に予め定める規定切欠き部分が形成される円板状の半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を検出するウェハの欠陥検出方法であって、
ウェハに予め設定される軸線からウェハの周縁まで延びる周縁直線が、軸線まわりを角変位する場合の、前記周縁直線の距離変化を測定し、
前記測定結果に基づいて、切欠き部分を周縁直線が通過する角変位量を表わす幅と、前記切欠き部分で周縁直線の距離が最も小さくなる周縁直線に関連する深さとを、注目する切欠き部分毎に算出し、
注目する切欠き部分の幅と深さとの少なくとも1つが、規定切欠き部分に設定される規定範囲外である場合に、その注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出することを特徴とするウェハの欠陥検出方法。
【請求項2】
前記測定結果に基づいて、欠陥切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする請求項1記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項3】
注目する切欠き部分の幅と深さとが、規定切欠き部分に設定される規定範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出し、規定切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする請求項1または2記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項4】
注目する切欠き部分の幅と深さとが、規定切欠き部分に設定される規定範囲内である場合に、その注目する切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす曲線式を算出し、
前記注目する切欠き部分について算出した曲線式が、規定切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす規定曲線式に対して、予め定める類似範囲内であると、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出し、規定切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする請求項1または2記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項5】
複数の注目する切欠き部分について算出した曲線式が、前記規定曲線式に対して予め定める類似範囲内である場合に、最も前記規定曲線式に近い曲線式となる切欠き部分を規定切欠き部分として検出することを特徴とする請求項4記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項6】
周縁直線の距離変化において、周縁直線が軸線を一周する周期と等しい周波数成分を除去した演算結果に基づいて、切欠き部分の幅と深さとを求めることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項7】
注目する切欠き部分の幅と深さとが、予め定める許容範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を無視することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項8】
前記規定切欠き部分は、ノッチおよびオリエンテーションフラットのいずれか一方が形成される部分とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のウェハの欠陥検出方法。
【請求項9】
周縁部に予め定める規定切欠き部分が形成される円板状の半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を検出するウェハの欠陥検出方法であって、
ウェハに予め設定される軸線からウェハの周縁まで延びる周縁直線が、任意の基準位置から軸線まわりを角変位する場合の、前記周縁直線の距離変化を測定し、
周縁直線の距離変化を表わす曲線式を、注目する切欠き部分毎に算出し、
注目する切欠き部分について算出した曲線式が、規定切欠き部分における周縁直線の距離変化を表わす規定曲線式に対して、予め定める近似範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出することを特徴とするウェハの欠陥検出方法。
【請求項10】
周縁部に予め定める規定切欠き部分が形成される円板状の半導体ウェハにおいて、その周縁部に発生する欠陥切欠き部分を検出するウェハの欠陥検出装置であって、
基部と、
ウェハを保持する保持部と、
基部に設定される中心軸線まわりに保持部を回転駆動する回転駆動手段と、
保持部の角変位量を測定する角度測定手段と、
保持部に保持されるウェハの周縁部の周方向一部に対向し、ウェハの周縁部のウェハ半径方向位置を測定する周縁位置測定手段と、
角度測定手段と周縁位置測定手段との測定結果に基づいて、欠陥切欠き部分を検出する欠陥検出手段とを有し、
欠陥検出手段は、
ウェハを角変位させてウェハ周縁部のウェハ半径方向の位置変化が予め定めるしきい値よりも大きくなるときに、周縁位置測定手段に対向するウェハの周縁部に切欠き部分が形成されていることを検出し、
切欠き部分が周縁位置測定手段を通過する間のウェハの角変位量を表わす幅と、前記切欠き部分で前記中心軸線からウェハ周縁部までの距離が最も小さくなる周縁直線の距離に関連する深さとを、注目する切欠き毎に算出し、
注目する切欠き部分の幅と深さとの少なくとも1つが、規定切欠き部分に設定される規定範囲外である場合に、その注目する切欠き部分を欠陥切欠き部分として検出することを特徴とするウェハの欠陥検出装置。
【請求項11】
欠陥検出手段は、注目する切欠き部分の幅と深さとが、規定切欠き部分に設定される規定範囲内である場合に、その注目する切欠き部分を規定切欠き部分として検出し、規定各切欠き部分について、ウェハに設定される任意の基準位置に対するウェハの軸線まわりの角変位位置を求めることを特徴とする請求項10記載のウェハの欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−84294(P2006−84294A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268484(P2004−268484)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】