説明

半導体デバイス、半導体基板、半導体基板の製造方法および半導体デバイスの製造方法

【課題】単一基板上にソース・ドレインを同一工程で同時形成したIII−V族半導体のnMISFETおよびIV族半導体のpMISFETのソース・ドレイン領域抵抗または接触抵抗を小さくする。
【解決手段】Ge基板上に形成されたPチャネル型MISFETの第1ソースおよび第1ドレインが、Ge原子とニッケル原子との化合物、Ge原子とコバルト原子との化合物またはGe原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなり、III−V族化合物半導体からなる半導体結晶層に形成されたNチャネル型MISFETの第2ソースおよび第2ドレインが、III族原子およびV族原子とニッケル原子との化合物、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物、または、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる半導体デバイスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、半導体基板、半導体基板の製造方法および半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaAs、InGaAs等のIII−V族化合物半導体は、高い電子移動度を有し、Ge、SiGe等のIV族半導体は、高い正孔移動度を有する。よって、III−V族化合物半導体でNチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を構成し、IV族半導体でPチャネル型のMOSFETを構成すれば、高い性能を備えたCMOSFET(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)が実現できる。非特許文献1には、III−V族化合物半導体をチャネルとするNチャネル型MOSFETとGeをチャネルとするPチャネル型MOSFETが、単一基板に形成されたCMOSFET構造が開示されている。
非特許文献1 S. Takagi, et al., SSE, vol. 51, pp. 526-536, 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
III−V族化合物半導体をチャネルとするNチャネル型MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)(以下単に「nMISFET」という。)と、IV族半導体をチャネルとするPチャネル型MISFET(以下単に「pMISFET」という。)とを、一つの基板上に形成するには、nMISFET用のIII−V族化合物半導体と、pMISFET用のIV族半導体を同一基板上に形成する技術が必要になる。
【0004】
また、nMISFETとpMISFETとで構成されるCMISFET(Complementary Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)を、LSIとして安価に効率よく製造するには、nMISFETおよびpMISFETが同時に形成される製造プロセスを採用することが好ましい。特に、nMISFETのソース・ドレインとpMISFETのソース・ドレインが同時に形成できれば、工程を簡略化することができ、コスト削減とともに素子の微細化にも容易に対応できるようになる。
【0005】
たとえばnMISFETのソース・ドレイン形成領域とpMISFETのソース・ドレイン形成領域とに、ソースおよびドレインとなる材料を薄膜として形成し、さらにフォトリソグラフィ等によりパターニングして形成することで、nMISFETのソース・ドレインとpMISFETのソース・ドレインとを同時に形成できる。しかし、nMISFETが形成されるIII−V族化合物半導体結晶層と、pMISFETが形成されるIV族半導体結晶層とでは、構成される材料が異なる。このため、nMISFETまたはpMISFETの一方または両方のソース・ドレイン領域の抵抗が大きくなり、あるいは、nMISFETまたはpMISFETの一方または両方のソース・ドレイン領域とソース・ドレイン電極との接触抵抗が大きくなる。従って、nMISFETおよびpMISFETの両方のソース・ドレイン領域の抵抗あるいはソース・ドレイン電極との接触抵抗を小さくすることが難しい。
【0006】
本発明の目的は、チャネルがIII−V族化合物半導体であるnMISFETと、チャネルがIV族半導体であるpMISFETと、で構成されるCMISFETを、一つの基板上に形成する場合において、nMISFETおよびpMISFETの各ソースおよび各ドレインを同時に形成し、かつ、ソース・ドレイン領域の抵抗またはソース・ドレイン電極との接触抵抗が小さくなるような半導体デバイスおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、Ge結晶からなるベース基板と、ベース基板表面の一部の上方に位置し、III−V族化合物半導体からなる半導体結晶層と、半導体結晶層が上方に位置しない領域のベース基板の一部をチャネルとし、第1ソースおよび第1ドレインを有するPチャネル型MISFETと、半導体結晶層の一部をチャネルとし、第2ソースおよび第2ドレインを有するNチャネル型MISFETと、を有し、第1ソースおよび第1ドレインが、Ge原子とニッケル原子との化合物、Ge原子とコバルト原子との化合物、または、Ge原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなり、第2ソースおよび第2ドレインが、III族原子およびV族原子とニッケル原子との化合物、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物、または、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる半導体デバイスを提供する。
【0008】
上記した半導体デバイスは、ベース基板と半導体結晶層との間に位置し、ベース基板と半導体結晶層とを電気的に分離する分離層を有してもよい。ベース基板と分離層とが接しする場合、ベース基板の分離層と接する領域が導電性であってよく、ベース基板の分離層と接する領域に印加した電圧が、Nチャネル型MISFETへのバックゲート電圧として作用してもよい。ベース基板と半導体結晶層とが接合面で接する場合、ベース基板の接合面の近傍に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有し、半導体結晶層の接合面の近傍に、ベース基板に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子を含有してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様においては、第1の態様の半導体デバイスに用いる半導体基板であって、ベース基板と、半導体結晶層と、を有し、半導体結晶層が、ベース基板表面の一部の上方に位置する半導体基板を提供する。
【0010】
ベース基板と半導体結晶層との間に位置し、ベース基板と半導体結晶層とを電気的に分離する分離層をさらに有してもよい。この場合、分離層として、非晶質絶縁体からなるものが挙げられる。あるいは、分離層として、半導体結晶層を構成する半導体結晶の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する半導体結晶からなるものが挙げられる。ベース基板と半導体結晶層とが接合面で接する場合、ベース基板の接合面の近傍に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有し、半導体結晶層の接合面の近傍に、ベース基板に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子を含有してもよい。半導体結晶層を複数有してもよく、複数の半導体結晶層のそれぞれが、ベース基板の上面と平行な面内で規則的に配列されてもよい。
【0011】
本発明の第3の態様においては、第2の態様の半導体基板を製造する方法であって、半導体結晶層形成基板上に半導体結晶層をエピタキシャル結晶成長法により形成するエピタキシャル成長ステップと、半導体結晶層をベース基板表面の一部の領域またはその上方の領域に貼り合わせる貼り合わせステップと、を有する半導体基板の製造方法を提供する。あるいは上記した半導体基板を製造する方法であって、ベース基板表面の一部の上方に、半導体結晶層を構成する半導体結晶の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する半導体結晶からなる分離層をエピタキシャル成長法により形成するステップと、分離層の上に半導体結晶層をエピタキシャル成長法により形成するステップと、を有する半導体基板の製造方法を提供する。あるいは、上記した半導体基板を製造する方法であって、ベース基板の表面近傍に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有し、ベース基板表面の一部の上方に、半導体結晶層をエピタキシャル成長法により形成するステップを有し、半導体結晶層をエピタキシャル成長法により形成するステップにおいて、ベース基板に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子で、ベース基板をドープする半導体基板の製造方法を提供する。
【0012】
半導体結晶層形成基板の表面に、エピタキシャル結晶成長法により形成された結晶性犠牲層を有してもよく、この場合、結晶性犠牲層を除去することで、半導体結晶層形成基板上にエピタキシャル成長された半導体結晶層と半導体結晶層形成基板とを分離するものであってもよい。半導体結晶層をエピタキシャル成長させた後に半導体結晶層を規則的な配列にパターニングするステップ、または半導体結晶層を予め規則的な配列に選択的にエピタキシャル成長させるステップ、のいずれかのステップを有してもよい。
【0013】
本発明の第4の態様においては、第3の態様の半導体基板の製造方法を用いて、半導体結晶層を有する半導体基板を製造するステップと、半導体結晶層が上方に位置しない領域のベース基板の上、および半導体結晶層の上に、ゲート絶縁層を介してゲート電極を形成するステップと、ベース基板のソース電極形成領域上、ベース基板のドレイン電極形成領域上、半導体結晶層のソース電極形成領域上、および半導体結晶層のドレイン電極形成領域上に、ニッケル膜、コバルト膜およびニッケル−コバルト合金膜からなる群から選ばれた金属膜を形成するステップと、金属膜を加熱して、ベース基板に、Ge原子とニッケル原子との化合物、Ge原子とコバルト原子との化合物、または、Ge原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる第1ソースおよび第1ドレインを形成し、半導体結晶層に、III族原子およびV族原子とニッケル原子との化合物、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物、または、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる第2ソースおよび第2ドレインを形成するステップと、未反応の金属膜を除去するステップと、を有する半導体デバイスの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】半導体デバイス100の断面を示す。
【図2】半導体デバイス100の製造過程における断面を示す。
【図3】半導体デバイス100の製造過程における断面を示す。
【図4】半導体デバイス100の製造過程における断面を示す。
【図5】半導体デバイス100の製造過程における断面を示す。
【図6】半導体デバイス100の製造過程における断面を示す。
【図7】他の半導体デバイスの製造過程における断面を示す。
【図8】他の半導体デバイスの製造過程における断面を示す。
【図9】半導体デバイス200の断面を示す。
【図10】InGaAs層上のTaゲート部分の断面を観察したTEM写真である。
【図11】Taゲート部分の断面を観察したTEM写真である。
【図12】Ge基板上のpMOSFETとInGaAs層上のnMOSFETを上方から観察したSEM写真である。
【図13】Ge基板上pMOSFETとInGaAs層上nMOSFETのドレイン電流対ドレイン電圧特性を示す。
【図14】Ge基板上pMOSFETのゲート電圧対ドレイン電流特性を示す。
【図15】InGaAs層上nMOSFETのゲート電圧対ドレイン電流特性を示す。
【図16】Ge基板上pMOSFETのホール移動度を電荷密度Nsとの関係で示す。
【図17】InGaAs層上nMOSFETの電子移動度を電荷密度Nsとの関係で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、半導体デバイス100の断面を示す。半導体デバイス100は、Ge結晶からなるベース基板102と、III−V族化合物半導体からなる半導体結晶層106とを有し、ベース基板102と半導体結晶層106との間に分離層110を有する。本例の半導体デバイス100は、半導体結晶層106の上に絶縁層112を有する。なお、図1に示した実施例からは、ベース基板102と、半導体結晶層106とを構成要件とする半導体基板の発明と、ベース基板102、分離層110および半導体結晶層106を構成要件とする半導体基板の発明との少なくとも2つの発明が把握できる。ベース基板102にはPチャネル型MISFET120が形成され、半導体結晶層106にはNチャネル型MISFET130が形成されている。
【0016】
半導体結晶層106は、ベース基板102表面の一部の上方に位置する。半導体結晶層106の厚さは、20nm以下であることが好ましい。半導体結晶層106の厚さを20nm以下とすることで、極薄膜ボディのNチャネル型MISFET130を構成できる。Nチャネル型MISFET130のボディを極薄膜にすることで、短チャネル効果を抑制し、Nチャネル型MISFET130のリーク電流を減少することができる。
【0017】
半導体デバイス100では、III−V族化合物半導体結晶層をNチャネル型MISFETに使用し、Ge結晶をPチャネル型MISFETに使用する。III−V族化合物半導体結晶として、InGa1−xAs(0<x<1)結晶、GaAs結晶、または、InP結晶が挙げられる。また、III−V族化合物半導体結晶として、GaAsまたはInPに格子整合または擬格子整合するIII−V族化合物半導体の混晶が挙げられる。また、III−V族化合物半導体結晶として、当該混晶とInGa1−xAs(0<x<1)結晶、GaAs結晶またはInP結晶との積層体が挙げられる。なお、III−V族化合物半導体結晶としては、InGa1−xAs(0<x<1)結晶が好適である。III−V族化合物半導体結晶では電子移動度が高く、IV族半導体結晶特にGeでは正孔移動度が高いので、CMISFETの性能を最大化することができる。
【0018】
分離層110は、ベース基板102と半導体結晶層106との間に位置する。分離層110は、ベース基板102と半導体結晶層106とを電気的に分離する。
【0019】
分離層110は、非晶質絶縁体からなるものであってもよい。半導体結晶層106および分離層110が貼り合わせ法により形成された場合、分離層110は、非晶質絶縁体になる。非晶質絶縁体からなる分離層110として、Al、AlN、Ta、ZrO、HfO、La、SiO(例えばSiO)、SiN(例えばSi)およびSiOのうちの少なくとも1からなる層、またはこれらの中から選ばれた少なくとも2層の積層が挙げられる。
【0020】
分離層110は、半導体結晶層106を構成する半導体結晶の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する半導体結晶からなるものであってもよい。このような半導体結晶は、エピタキシャル結晶成長法により形成できる。半導体結晶層106がInGaAs結晶層またはGaAs結晶層である場合、分離層110を構成する半導体結晶として、AlGaAs結晶、AlInGaP結晶、AlGaInAs結晶、または、InP結晶が挙げられる。
【0021】
絶縁層112の一部112aは、Nチャネル型MISFET130のゲート絶縁層として機能する。絶縁層112として、Al、AlN、Ta、ZrO、HfO、La、SiO(例えばSiO)、SiN(例えばSi)およびSiOのうちの少なくとも1からなる層、またはこれらの中から選ばれた少なくとも2層の積層が挙げられる。
【0022】
Pチャネル型MISFET120は、第1ゲート122、第1ソース124および第1ドレイン126を有する。第1ソース124および第1ドレイン126は、ベース基板102に形成される。Pチャネル型MISFET120は、半導体結晶層106が上方に位置しない領域のベース基板102に形成され、第1ソース124および第1ドレイン126に挟まれるベース基板102の一部102aをチャネルとする。第1ゲート122は、当該一部104aの上方に形成される。チャネル領域であるベース基板102の一部102aと第1ゲート122に挟まれた分離層110の一部110aは、Pチャネル型MISFET120のゲート絶縁層として機能してもよい。
【0023】
第1ソース124および第1ドレイン126は、Ge原子とニッケル原子との化合物からなる。あるいは第1ソース124および第1ドレイン126は、Ge原子とコバルト原子との化合物からなる。あるいは第1ソース124および第1ドレイン126は、Ge原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる。これらGeのニッケル化合物あるいはコバルト化合物あるいはニッケル−コバルト化合物は、電気抵抗が低い低抵抗化合物である。
【0024】
Nチャネル型MISFET130は、第2ゲート132、第2ソース134および第2ドレイン136を有する。第2ソース134および第2ドレイン136は、半導体結晶層106に形成される。Nチャネル型MISFET130は、第2ソース134および第2ドレイン136に挟まれる半導体結晶層106の一部106aをチャネルとする。第2ゲート132は、当該一部106aの上方に形成される。チャネル領域である半導体結晶層106の一部106aと第2ゲート132に挟まれた領域には、絶縁層112の一部112aが形成される。当該一部112aは、Nチャネル型MISFET130のゲート絶縁層として機能してもよい。
【0025】
第2ソース134および第2ドレイン136は、III族原子およびV族原子とニッケル原子との化合物からなる。あるいは第2ソース134および第2ドレイン136は、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物からなる。あるいは第2ソース134および第2ドレイン136は、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる。これらIII−V族結晶のニッケル化合物あるいはコバルト化合物あるいはニッケル−コバルト化合物は、電気抵抗が低い低抵抗化合物である。
【0026】
以上の通り、Pチャネル型MISFET120のソース・ドレイン(第1ソース124および第1ドレイン126)と、Nチャネル型MISFET130のソース・ドレイン(第2ソース134および第2ドレイン136)が、共通の原子(ニッケル原子、コバルト原子またはその両方の原子)の化合物からなる。これは共通の原子を有する材料膜を用いた当該部位の製造を可能にする構成であり、製造工程の簡略化を可能にする。また、共通の原子としてニッケルまたはコバルトまたはその両方を用いることで、III−V族化合物半導体結晶層に形成したソース・ドレイン、Ge結晶に形成したソース・ドレインの何れであっても、ソース領域およびドレイン領域の電気抵抗を低くできる。この結果、製造工程を簡略化すると共にFETの性能を高くすることができる。
【0027】
なお、第1ソース124および第1ドレイン126にアクセプタ不純物原子をさらに含んでよく、第2ソース134および第2ドレイン136にドナー不純物原子をさらに含んでよい。Nチャネル型MISFET130のソース・ドレイン(第2ソース134および第2ドレイン136)部に添加されるドナー不純物原子として、Si、S、Se、Geが挙げられる。Pチャネル型MISFET120のソース・ドレイン(第1ソース124および第1ドレイン126)部に添加されるアクセプタ不純物原子として、B、Al、Ga、Inが挙げられる。
【0028】
図2から図6は、半導体デバイス100の製造過程における断面を示す。まず、ベース基板102と半導体結晶層形成基板160を用意し、半導体結晶層形成基板160上に半導体結晶層106をエピタキシャル結晶成長法により形成する。また、ベース基板102上に分離層110を形成する。分離層110は、たとえばALD(Atomic Layer Deposition)法、熱酸化法、蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法等の薄膜形成法により形成する。半導体結晶層形成基板160としてInP基板、GaAs基板が選択できる。
【0029】
半導体結晶層106のエピタキシャル結晶成長には、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を利用することができる。III−V族化合物半導体結晶層をMOCVD法で形成する場合、InソースにはTMIn(トリメチルインジウム)を、GaソースにはTMGa(トリメチルガリウム)を、AsソースにはAsH(アルシン)、PソースにはPH(ホスフィン)を用いることができる。キャリアガスには水素を用いることができる。反応温度は、300℃から900℃の範囲で、好ましくは450〜750℃の範囲で適宜選択できる。Pチャネル型MISFET120をベース基板102に形成するに際して、ベース基板となるGe基板表面にさらに結晶性の良いGeエピタキシャル結晶層を形成することもできる。Ge結晶層をCVD法で形成する場合、Geソースには、GeH(ゲルマン)を用いることもできる。キャリアガスには水素を用いることができる。反応温度は、300℃から900℃の範囲で、好ましくは450〜750℃の範囲で適宜選択できる。ソースガス供給量や反応時間を適宜選択することでエピタキシャル成長層の厚さを制御することができる。
【0030】
図2に示すように、半導体結晶層106の表面と分離層110の表面をアルゴンビーム150で活性化する。その後、図3に示すように、半導体結晶層106の表面を分離層110の表面の一部に貼り合わせて接合する。貼り合わせは室温で行うことができる。活性化はアルゴンビーム150である必要はなく、他の希ガス等のビームであっても良い。その後、半導体結晶層形成基板160をHCl溶液等でエッチングし、除去する。これにより、ベース基板102上に分離層110が形成され、分離層110表面の一部の上に半導体結晶層106が形成される。なお、分離層110とベース基板102とを貼り合わせる前に、半導体結晶層106の表面を硫黄原子で終端する硫黄終端処理を行っても良い。
【0031】
図2および図3に示す例では、分離層110をベース基板102の上にのみ形成し、分離層110の表面と半導体結晶層106の表面とを貼り合わせる例を説明したが、半導体結晶層106の上にも分離層110を形成し、ベース基板102上の分離層110の表面と半導体結晶層106上の分離層110の表面とを貼り合わせてもよい。この場合、分離層110の貼り合わせる面を親水化処理することが好ましい。親水化処理した場合は、分離層110どうしを加熱して貼り合わせることが好ましい。あるいは、半導体結晶層106の上にのみ分離層110を形成し、ベース基板102の表面と半導体結晶層106上の分離層110の表面とを貼り合わせてもよい。
【0032】
図2および図3に示す例では、半導体結晶層106をベース基板102上の分離層110に貼り合わせた後に、半導体結晶層106を半導体結晶層形成基板160から分離する例を説明したが、半導体結晶層106を半導体結晶層形成基板160から分離した後に、半導体結晶層106を分離層110に貼り合わせてもよい。この場合、半導体結晶層106を半導体結晶層形成基板160から分離した後、分離層110に貼り合わせるまでの間、適切な転写用基板に半導体結晶層106を保持することが好ましい。
【0033】
図4に示すように、半導体結晶層106の上に絶縁層112を形成する。絶縁層112は、たとえばALD法、熱酸化法、蒸着法、CVD法、スパッタ法等の薄膜形成法により形成する。さらに、ゲートとなる金属たとえばタンタルの薄膜を蒸着法、CVD法またはスパッタ法により形成し、当該薄膜をフォトリソグラフィを用いてパターニングし、半導体結晶層106が形成されていないベース基板102の上方に第1ゲート122を形成し、半導体結晶層106の上方に第2ゲート132を形成する。
【0034】
図5に示すように、第1ゲート122の両側の分離層110に、ベース基板102に達する開口を形成し、第2ゲート132の両側の絶縁層112に、半導体結晶層106に達する開口を形成する。各ゲートの両側とは、水平方向における、各ゲートの両側を指す。この第1ゲート122両側の開口および第2ゲート132両側の開口のそれぞれは、第1ソース124、第1ドレイン126、第2ソース134および第2ドレイン136のそれぞれが形成される領域に該当する。これら開口の底部に露出したベース基板102、および、半導体結晶層106のそれぞれに接するように、ニッケルからなる金属膜170を形成する。金属膜170は、コバルト膜、またはニッケル−コバルト合金膜であってもよい。
【0035】
図6に示すように、金属膜170を加熱する。加熱により、ベース基板102と金属膜170とが反応し、Ge原子と、金属膜170を構成する原子との化合物が形成され、第1ソース124および第1ドレイン126となる。同時に、半導体結晶層106と金属膜170とが反応し、III族原子およびV族原子と、金属膜170を構成する原子との化合物が形成され、第2ソース134および第2ドレイン136となる。金属膜170がニッケル膜である場合、第1ソース124および第1ドレイン126として、Ge原子とニッケル原子との低抵抗化合物が生成され、第2ソース134および第2ドレイン136として、第2半導体結晶層106を構成するIII族原子およびV族原子とニッケル原子との低抵抗化合物が生成される。なお、金属膜170がコバルト膜である場合、第1ソース124および第1ドレイン126として、Ge原子とコバルト原子との化合物が生成され、第2ソース134および第2ドレイン136として、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物が生成される。金属膜170がニッケル−コバルト合金膜である場合、第1ソース124および第1ドレイン126として、Ge原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物が生成され、第2ソース134および第2ドレイン136として、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物が生成される。最後に未反応の金属膜170を除去し、図1の半導体デバイス100が製造できる。
【0036】
金属膜170の加熱方法は、RTA(rapid thermal annealing)法が好ましい。RTA法を用いる場合、加熱温度としては250℃〜450℃を用いることができる。上記のような方法により、第1ソース124、第1ドレイン126、第2ソース134および第2ドレイン136をセルフアラインで形成できる。
【0037】
以上説明した半導体デバイス100とその製造方法によれば、第1ソース124、第1ドレイン126、第2ソース134および第2ドレイン136が、同一プロセスで同時に形成されるので、製造工程を簡略化できる。その結果、製造コストが低減され、微細化も容易になる。また、第1ソース124、第1ドレイン126、第2ソース134および第2ドレイン136が、ベース基板102 あるいは半導体結晶層106を構成する原子、すなわちGe原子あるいはIII−V族原子とニッケル、コバルトあるいはニッケル・コバルト合金との低抵抗化合物である。またこれらの低抵抗化合物と半導体デバイス100のチャネルを構成するGeおよび半導体結晶層106との接触電位障壁は0.1eV以下と、極めて小さい。また、第1ソース124、第1ドレイン126、第2ソース134および第2ドレイン136の各々と電極金属とのコンタクトがオーミックコンタクトとなり、Pチャネル型MISFET120およびNチャネル型MISFET130の各オン電流を大きくすることができる。また、第1ソース124、第1ドレイン126、第2ソース134および第2ドレイン136の各抵抗が小さくなるから、Pチャネル型MISFET120およびNチャネル型MISFET130のチャネル抵抗を低くする必要がなく、ドーピング不純物原子の濃度を少なくできる。この結果、チャネル層でのキャリアの移動度を大きくすることができる。
【0038】
上記した半導体デバイス100では、ベース基板102と分離層110とが接しており、ベース基板102の分離層110と接する領域が導電性であるならば、ベース基板102の分離層110と接する領域に電圧を印加し、当該電圧を、Nチャネル型MISFET130へのバックゲート電圧として作用させることができる。バックゲート電圧の作用は、Nチャネル型MISFET130のオン電流を大きくし、オフ電流を小さくすることができる。
【0039】
上記した半導体デバイス100において、半導体結晶層106を複数有し、複数の半導体結晶層106のそれぞれが、ベース基板102の上面と平行な面内で規則的に配列されてもよい。このように、半導体結晶層106を規則的に配列することで、半導体デバイス100に使用する半導体基板の生産性を高めることができる。半導体結晶層106の規則的な配列は、半導体結晶層106をエピタキシャル成長させた後に半導体結晶層106を規則的な配列にパターニングする方法、または半導体結晶層106を予め規則的な配列に選択的にエピタキシャル成長させる方法、または半導体結晶層106を、半導体結晶層形成基板160上にエピタキシャル成長させた後、半導体結晶層形成基板160から分離し、所定の形状に整形した後、規則的な配列でベース基板102上に貼り合せる方法、のいずれかの方法により実施でき、また、いずれか複数の方法を組み合わせた方法により実施できる。
【0040】
上記した半導体デバイス100において、分離層110を、半導体結晶層106を構成する半導体結晶の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する半導体結晶とする場合、ベース基板102上に分離層110および半導体結晶層106を連続してエピタキシャル成長法により形成できる。なお、分離層110がエピタキシャル成長結晶である場合、分離層110および半導体結晶層106をベース基板102上に形成した後、分離層110を酸化して非晶質絶縁体層に転換してもよい。たとえば、分離層110がAlAs、あるいはAlInPである場合、選択酸化技術により、分離層110を絶縁性酸化物とすることができる。
【0041】
上記した半導体デバイス100の製造方法における貼り合わせ工程では、半導体結晶層形成基板をエッチングして除去する例を説明したが、図7に示すように、結晶性犠牲層190を用いて半導体結晶層形成基板を除去することもできる。すなわち、半導体結晶層形成基板140の上に半導体結晶層106を形成する前に、半導体結晶層形成基板140の表面に、結晶性犠牲層190をエピタキシャル結晶成長法により形成する。その後、結晶性犠牲層190の表面に半導体結晶層106をエピタキシャル成長法により形成し、ベース基板102上の分離層110を形成し、半導体結晶層106の表面と分離層110の表面をアルゴンビーム150で活性化する。その後、半導体結晶層106の表面と分離層110の表面を貼り合わせ、図8に示すように、結晶性犠牲層190を除去する。これにより、半導体結晶層形成基板140上の半導体結晶層106と半導体結晶層形成基板140とが分離される。当該方法によれば、半導体結晶層形成基板の再利用が可能になり、製造コストを低くすることができる。
【0042】
図9は、半導体デバイス200の断面を示す。半導体デバイス200は、半導体デバイス100における分離層110を有さず、半導体結晶層106がベース基板102に接して配置されている。なお、半導体デバイス200では、分離層110が無いのでPチャネル型MISFET120のゲート絶縁層として絶縁層112が用いられる。その他は半導体デバイス100と同じ構造を有するので、共通する部材等の説明は省略する。
【0043】
半導体デバイス200は、ベース基板102と半導体結晶層106とが接合面103で接し、ベース基板102の接合面103の近傍に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有し、半導体結晶層106の接合面103の近傍に、ベース基板102に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子を含有する。つまり、半導体デバイス200は、接合面103の近傍にpn接合を有する。分離層110が無い構造であっても、接合面103近傍に形成されるpn接合によって、ベース基板102と半導体結晶層106とを電気的に分離することが可能であり、ベース基板102に形成されるPチャネル型MISFETと半導体結晶層106に形成されるNチャネル型MISFET130とを電気的に分離することができる。
【0044】
なお、半導体デバイス200は、ベース基板102の上に半導体結晶層106をエピタキシャル成長法により形成し、半導体結晶層106の上に絶縁層112を形成する工程以降の工程を半導体デバイス100の場合と同様の工程にすることで製造できる。ただし、pn接合の形成は、ベース基板102の表面近傍に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有させ、半導体結晶層106をエピタキシャル成長法により形成するステップにおいて、ベース基板102に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子で半導体結晶層106をドープすることで実施できる。
【0045】
半導体結晶層106をベース基板102の上に直接形成する構造において、素子分離の必要性が低い場合には分離構造としてのpn接合は必須ではない。つまり、半導体デバイス200は、ベース基板102の接合面103の近傍にp型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有せず、半導体結晶層106の接合面103の近傍にp型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有しない構造であってもよい。
【0046】
半導体結晶層106をベース基板102の上に直接形成する場合、エピタキシャル成長の後、またはエピタキシャル成長の途中において、アニール処理を施してもよい。アニール処理により、半導体結晶層106中の転位が低減する。また、エピタキシャル成長法は、ベース基板102の表面全部に半導体結晶層106を一様に成長する方法、あるいは、SiO等の成長阻害層でベース基板102の表面を細かく分割し、選択的に成長する方法の何れのエピタキシャル成長法であってもよい。
【0047】
(実施例)
ベース基板102としてGe(100)ウェハを用い、半導体結晶層形成基板160としてInP(100)ウェハを用いた。InP(100)ウェハ上にInGaAs層をエピタキシャル成長法により形成し、InGaAs層上にALD法によりAl層を形成した。Ge(100)ウェハ上にALD法によりAl層を形成した。InP(100)ウェハ上のAl層とGe(100)ウェハ上のAl層とを貼り合わせ、アニール後にInP(100)ウェハをHClエッチングにより除去した。InGaAs層のIn比は0.53とし、不純物濃度は1015atoms/cmのオーダーとした。Ge基板の不純物濃度は1〜2×1014atoms/cmとした。このときの抵抗率は7.1〜9.5Ω・cmであった。InGaAs層の厚さが、20nm、50nm、100nmの3種類のデバイスを作成した。
【0048】
InGaAs層の表面を硫黄化合物で処理し、ALD法によりAl層を堆積した。Al層の一部をエッチングし、さらにInGaAs層の一部をエッチングして、Ge基板上にInGaAs層が無い領域を形成した。Ta膜をスパッタリングし、当該Ta膜をパターニングして、Ge基板上のAl層およびInGaAs層上のAl層の各Al層上にTaからなるゲートを形成した。ゲート形成後に350℃でアニールした。図10は、InGaAs層上のTaゲート部分の断面を観察したTEM写真である。図11は、Ge基板上のTaゲート部分の断面を観察したTEM写真である。図10および図11は、InGaAs層の厚さが50nmの場合である。
【0049】
ゲート両側のAl層に開口を形成し、Ni膜をスパッタリングにより堆積した。250℃、1分の加熱によりNiとGe、およびNiとInGaAsを反応させ、未反応のNiをウェットエッチングにより除去し、InGaAs層およびGe基板の各々にNi化合物からなるソース・ドレインを形成した。図12は、Ge基板上のpMOSFETとInGaAs層上のnMOSFETを上方から観察したSEM写真である。
【0050】
図13は、Ge基板上pMOSFETとInGaAs層上nMOSFETのドレイン電流対ドレイン電圧特性を示す。各FETのゲート幅Wおよびゲート長Lは各々100μmおよび50μmである。InGaAs層の厚さが20nmのものを示した。ゲート電圧を0〜−2V(pMOSFETの場合)、0〜2V(nMOSFETの場合)の範囲で変えた。ゲート電圧で適切に制御された良好なドレイン電流対ドレイン電圧特性が観測された。
【0051】
図14および図15は、ゲート電圧対ドレイン電流特性を示す。ドレイン電流はゲート幅で規格化した絶対値で示す。図14は、Ge基板上pMOSFETの特性を示し、図15は、InGaAs層上nMOSFETの特性を示す。各FETのゲート幅Wおよびゲート長Lは各々100μmおよび20μmである。InGaAs層の厚さは20nmである。各図において、ドレイン電圧が1Vの場合と50mVの場合を示した。図15のnMOSFETについては、シングルゲート(SG)の場合に加えてダブルゲート(DG)の場合も示した。図14および図15より、Ge基板上pMOSFETおよびInGaAs層上nMOSFETの何れのFETも正常に動作していることがわかる。特に、InGaAs層上nMOSFETのダブルゲート動作においては、電流オンオフ比が10程度であり、良好なトランジスタ特性を示す。
【0052】
図16は、Ge基板上pMOSFETのホール移動度を電荷密度Nsとの関係で示す。図17は、InGaAs層上nMOSFETの電子移動度を電荷密度Nsとの関係で示す。図17では、InGaAs層の厚さが20nm、50nm、100nmの各々の場合について示す。図16および図17において、比較としてSiを活性層とする場合の移動度を示す。図16および図17より、Ge基板上pMOSFETのホール移動度、InGaAs層上nMOSFETの電子移動度の何れもが、各々260cm/Vs、1800cm/Vsと高い値を示すことがわかった。これらの値は、Siの場合と比較して、それぞれ2.3倍、3.5倍であった。
【0053】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、第1層が第2層の「上方」にあるとは、第1層が第2層の上面に接して設けられる場合と、第1層の下面および第2層の上面の間に他の層が介在している場合とを含む。また、「上」、「下」等の方向を指す語句は、半導体基板および半導体デバイスにおける相対的な方向を示しており、地面等の外部の基準面に対する絶対的な方向を指すものではない。
【符号の説明】
【0054】
100 半導体デバイス、102 ベース基板、102a ベース基板の一部、103 接合面、106 半導体結晶層、106a 半導体結晶層の一部、110 分離層、110a 分離層の一部、112 絶縁層、112a 絶縁層の一部、120 Pチャネル型MISFET、122 第1ゲート、124 第1ソース、126 第1ドレイン、130 Nチャネル型MISFET、132 第2ゲート、134 第2ソース、136 第2ドレイン、140 半導体結晶層形成基板、150 アルゴンビーム、160 半導体結晶層形成基板、170 金属膜、190 結晶性犠牲層、200 半導体デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ge結晶からなるベース基板と、
前記ベース基板における一部の領域の上方に位置し、III−V族化合物半導体からなる半導体結晶層と、
前記半導体結晶層が上方に位置しない前記ベース基板の領域の一部をチャネルとし、第1ソースおよび第1ドレインを有するPチャネル型MISFETと、
前記半導体結晶層の一部をチャネルとし、第2ソースおよび第2ドレインを有するNチャネル型MISFETと、を有し、
前記第1ソースおよび前記第1ドレインが、Ge原子とニッケル原子との化合物、Ge原子とコバルト原子との化合物、または、Ge原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなり、
前記第2ソースおよび前記第2ドレインが、III族原子およびV族原子とニッケル原子との化合物、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物、または、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる
半導体デバイス。
【請求項2】
前記ベース基板と前記半導体結晶層との間に位置し、前記ベース基板と前記半導体結晶層とを電気的に分離する分離層を有する
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ベース基板と前記分離層とが接し、
前記ベース基板の前記分離層と接する領域が導電性であり、
前記ベース基板の前記分離層と接する領域に印加した電圧が、前記Nチャネル型MISFETへのバックゲート電圧として作用する
請求項2に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ベース基板と前記半導体結晶層とが接合面で接し、
前記接合面の近傍における前記ベース基板の領域に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有し、
前記接合面の近傍における前記半導体結晶層の領域に、前記ベース基板に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子を含有する
請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の半導体デバイスに用いる半導体基板であって、
前記ベース基板と、前記半導体結晶層と、を有し、
前記半導体結晶層が、前記ベース基板表面の一部の上方に位置する
半導体基板。
【請求項6】
前記ベース基板と前記半導体結晶層との間に位置し、前記ベース基板と前記半導体結晶層とを電気的に分離する分離層、をさらに有する
請求項5に記載の半導体基板。
【請求項7】
前記分離層が、非晶質絶縁体からなる
請求項6に記載の半導体基板。
【請求項8】
前記分離層が、前記半導体結晶層を構成する半導体結晶の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する半導体結晶からなる
請求項6に記載の半導体基板。
【請求項9】
前記ベース基板と前記半導体結晶層とが接合面で接し、
前記接合面の近傍における前記ベース基板の領域に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有し、
前記接合面の近傍における前記半導体結晶層の領域に、前記ベース基板に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子を含有する
請求項5に記載の半導体基板。
【請求項10】
前記半導体結晶層を複数有し、
複数の前記半導体結晶層のそれぞれが、前記ベース基板の上面と平行な面内で規則的に配列されている
請求項5から請求項9の何れか一項に記載の半導体基板。
【請求項11】
請求項5、請求項6、請求項7または請求項10に記載の半導体基板を製造する方法であって、
半導体結晶層形成基板上に前記半導体結晶層をエピタキシャル結晶成長法により形成するエピタキシャル成長ステップと、
前記半導体結晶層を前記ベース基板における一部の領域またはその上方の領域に貼り合わせる貼り合わせステップと、
を有する半導体基板の製造方法。
【請求項12】
請求項5、請求項6、請求項9または請求項10に記載の半導体基板を製造する方法であって、
前記ベース基板における一部の領域の上方に、前記半導体結晶層を構成する半導体結晶の禁制帯幅より大きな禁制帯幅を有する半導体結晶からなる分離層をエピタキシャル成長法により形成するステップと、
前記分離層の上に前記半導体結晶層をエピタキシャル成長法により形成するステップと、
を有する半導体基板の製造方法。
【請求項13】
請求項5に記載の半導体基板を製造する方法であって、
前記ベース基板の表面近傍に、p型またはn型の伝導型を示す不純物原子を含有させるステップと、
前記ベース基板表面の一部の上方に、前記半導体結晶層をエピタキシャル成長法により形成するステップとを有し、
前記半導体結晶層をエピタキシャル成長法により形成するステップにおいて、前記ベース基板に含有された不純物原子が示す伝導型とは異なる伝導型を示す不純物原子で、前記ベース基板をドープする
半導体基板の製造方法。
【請求項14】
前記半導体結晶層形成基板の上に半導体結晶層を形成する前に、前記半導体結晶層形成基板の表面に、エピタキシャル結晶成長法により結晶性犠牲層を形成するステップを有し、
前記半導体結晶層を前記ベース基板に貼り合わせた後に前記結晶性犠牲層を除去することで、前記半導体結晶層形成基板上にエピタキシャル成長された半導体結晶層と前記半導体結晶層形成基板とを分離する
請求項11に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項15】
前記半導体結晶層をエピタキシャル成長させた後に前記半導体結晶層を規則的な配列にパターニングするステップ、または前記半導体結晶層を予め規則的な配列に選択的にエピタキシャル成長させるステップ、のいずれかのステップを有する
請求項11から請求項14の何れか一項に記載の半導体基板の製造方法。
【請求項16】
請求項11から請求項15の何れか一項に記載の半導体基板の製造方法を用いて、前記半導体結晶層を有する半導体基板を製造するステップと、
前記半導体結晶層が上方に位置しない領域の前記ベース基板の上、および前記半導体結晶層の上に、ゲート絶縁層を介してゲート電極を形成するステップと、
前記ベース基板のソース電極形成領域上、前記ベース基板のドレイン電極形成領域上、前記半導体結晶層のソース電極形成領域上、および前記半導体結晶層のドレイン電極形成領域上に、ニッケル膜、コバルト膜およびニッケル−コバルト合金膜からなる群から選ばれた金属膜を形成するステップと、
前記金属膜を加熱して、前記ベース基板に、Ge原子とニッケル原子との化合物、Ge原子とコバルト原子との化合物、または、Ge原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる第1ソースおよび第1ドレインを形成し、前記半導体結晶層に、III族原子およびV族原子とニッケル原子との化合物、III族原子およびV族原子とコバルト原子との化合物、または、III族原子およびV族原子とニッケル原子とコバルト原子との化合物からなる第2ソースおよび第2ドレインを形成するステップと、
未反応の前記金属膜を除去するステップと、
を有する半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−16793(P2013−16793A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131892(P2012−131892)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「ナノエレクトロニクス半導体新材料・新構造ナノ電子デバイス技術開発 ―シリコンプラットフォーム上III−V族半導体チャネルトランジスタ技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】