説明

半導体デバイスで使用する金属−絶縁体−金属キャパシタの製造方法

【課題】下部金属層、中間誘電体層、および上部金属層を含む層のスタックを、半導体基板上に形成する方法に関し、特に、金属−絶縁体−金属キャパシタ構造の形成方法を提供する。
【解決手段】下部金属層は、Ru層の制御された酸化により得られたルテニウム酸化層により覆われたルテニウム層である。誘電体層は、酸化剤として水を用いた原子層成長による、薄いTiO保護層の最初の堆積と、これに続くOを酸化剤として用いたALDによる第2誘電体の堆積とにより得られる。好適には、第2誘電体は、ルチル相のTiO層である。薄い保護層は、OによるエッチングからRuを保護し、ルチル相TiOの形成を容易にする。Ru層の粗さが変化しないように、Ru層を酸化する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスで使用する金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMCAP)構造の製造に関する。主な応用は、DRAMデバイスのようなランダムアクセスメモリでのMIMCAPの使用である。
【背景技術】
【0002】
DRAM金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMCAP)の将来の小型化のために、Al(〜9)および/またはZAZ(ZrO/Al/ZrO)(〜40)で与えられるk値より高いk値を有する誘電体が必要とされる。第2の必要は、上面の酸化により、金属電極が等価酸化膜厚(EOT)に寄与しないことである。それゆえに、従来のMIMCAPのTiNを置き換える有望な金属の1つはルテニウム(Ru)である。たとえ上面でこれが更に酸化されても、RuOは金属のような導電性の挙動を示し、これによりEOTには寄与しない。
【0003】
high−k層および金属層の双方は、好ましくは原子層堆積(ALD)または化学気相堆積(CVD)で堆積され、高アスペクト比の構造でも良好なステップカバレジを確実にする。high−k誘電体層のALDでは、しばしばオゾン(O)を酸化剤に用いる。high−k誘電体のk値は、しばしば金属の結晶構造に依存する。アナターゼ(anatase)相中では約40であるのに、ルチル(rutile)型のTiOでは、約80のk値を有することが報告されている。しかしながら、ALDによりルチル型のTiOを成長することは容易ではない。アナターゼTiOを形成することが好ましい。高温アニール後においてのみ、ルチル型のTiOに変わる。MIMCAP応用では、上部および下部の電極の感受性により、最高で650〜700℃のアニール温度が適用される。一般には、ルチルは750℃より高温でのみ得られる。
【0004】
ALDにより成長させたTiOは、アナターゼ相のアモルファスまたは結晶である。相は、少なくとも700℃まで維持される。類似のプロセス条件(温度)において、酸化剤としてHOの代わりにOが用いられた場合、Oはより強い酸化剤であるため、堆積中の結晶相の形成が好まれる。この理由により、Oは酸化剤として好まれる。下部電極としてRuを使用する場合、250℃のALDのTiOプロセスで酸化剤としてOを用いて、ルリルTiOがRu上に得られたことが報告されている。例えば、文献"High dielectric constant TiO2 thin films on a Ru electrode grown at 250℃ by atomic-layer deposition", Kim et al, Appl. Phys. Lett., 85, 4112 (2004) 参照。
【0005】
ルチル相TiOは、ルチル正方晶TiO(格子パラメータ:a=b=4.59Å、c=2.96Å)と、正方晶RuO(格子パラメータ:a=b=4.50Å、c=3.10Å)との間の結晶構造の良好な整合のために、結晶テンプレートアプローチを用いて得ることができる。これは、Froflich et al. により、文献 "Epitaxial growth of high-k TiO2 rutile films on RuO2 electrodes", Electrochem. Solid-State Lett., 11, G19 (2008) で報告されている。
【0006】
しかしながら、OとRuは両立しないことも報告されている。RuがOに露出した場合に、Ruは即座にエッチングされることも報告されている(文献 "Etching technique for ruthenium with a high etch rate and high selectivity using O3 gas", Nakahara et al, Journal of Vacuum Science And Technology B, 19, 2133 (2001) 参照)。一方、RuOは、Oと非常に反応しにくいことが知られている。
【0007】
結論として、保護無しでは、Ru基板は、O系high−k堆積プロセスと両立しない。表面の部分エッチングと粗面化が、high−k堆積の最初の段階で起きる。同様の問題は、Ruより金属で起きやすい。また、金属がOでエッチングされない場合、Oへの露出は金属を酸化させ、金属酸化物が金属のようで無い場合は、ETOへの寄与とより高抵抗化が起きるであろう。
【0008】
文献US2009/013445は、RuのALDまたはCVD堆積により得られた下部電極と、ルチル相のTiO相を含む誘電体とを含むMIMCAP構造に関する。Ru電極とTiO層との間に、酸化剤としてOまたはHOを用いてALDで得られたAl層が形成される。Al層の機能は、下部電極とTiO層との間の界面特性の劣化を防止し、下部電極の酸化を防止することである。TiO層は、反応成分としてOを用いたALDにより得られる。問題は、Al層は、ルチル型のTiOを成長するための最適なテンプレートを形成しないことである。TiO層のALD堆積後に、ルチル型で成長しなかったTiOの部分を変えるために、酸化プラズマ処理または酸素イオンビーム照射が必要となる。また、Alは約9の適度なk値を有し、保護層は受け入れられないEOTへの寄与を与えるであろう。
【0009】
現存の技術の他の問題は、Ru/RuOがRu層の酸化により形成される場合に、Ru層の低い粗さが維持されないことである。O処理やRu層にOアニールを行うことによる酸化のような、Ruの上にRuO層を得るための最新の酸化技術は、基板の粗さを増加させる傾向にある。なぜならば、Oによる望まないエッチングや、RuO結晶の部分的な形成のためである。Ru表面の平坦性を保持するRuの酸化技術は現在無い。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、添付した請求の範囲に記載された方法およびデバイスに関する。特に本発明は、半導体基板上に層のスタック形成する方法に関し、この方法は、
基板を提供する工程と、
基板の上に、第1金属層、または金属の酸化物により覆われた第1金属層を形成する工程と、
原子層堆積により、第1金属層の上、または酸化物の上に、TiOの保護層を堆積する工程であって、ALD堆積中に酸化剤としてHOが使用される工程と、
原子層成長により、TiO層の上に、誘電体材料層を堆積する工程であって、ALD堆積中に酸化剤としてOが使用され、これによりTiO層と第2誘電体層とのスタックを得る工程と、
誘電体材料層の上に、第2金属層を堆積する工程と、を含む。
【0011】
好適な具体例では、第1金属層は、その上面の上の、Ru層または酸化ルテニウムにより覆われたRu層からなり、またはこれを含む。
【0012】
好適な具体例では、第2誘電体層は、ルチル相のTiO層である。
【0013】
保護TiO層は、好適には1nmより小さな膜厚を有する。
【0014】
上述の方法は、更に、基板上に第1金属層を堆積する工程と、その後にTiO保護層の堆積に先立って第1金属層を酸化して、金属層の上に金属酸化層を形成する工程を含み、この酸化工程は、1分と30分との間の酸化時間で、200℃と450℃との間の温度で、0.13Paと1333.22Paとの間のOの全圧または分圧を用いて、OまたはOと1またはそれ以上の不活性ガスとの混合物からなる雰囲気に金属層を露出することにより行われる。上述の分圧、温度、および酸化時間では、金属酸化層の粗さが、第1金属層の粗さと実質的に等しくなる。
【0015】
金属は、好適には、更に、基板上に、1またはそれ以上の金属−絶縁体−金属キャパシタ構造を形成するプロセス工程を含む。
【0016】
本発明は、同様に、
その表面上の、金属層、または金属の酸化物層により覆われた金属層からなる、またはこれを含む下部電極と、
下部電極の上の、中間TiO層である第1誘電体サブレイアと、第1TiO層の上の第2誘電サブレイアとからなる誘電体層と、
誘電体層の上の上部電極と、を含む金属−絶縁体−金属キャパシタに関する。
【0017】
本発明にかかるMIMCAPでは、金属はルテニウムである。中間TiOサブレイアは、好適には1nmより小さな厚さを有する。
【0018】
本発明は、1分と30分との間の酸化時間で、200℃と450℃との間の温度で、0.13Paと1333.22Paとの間のOの全圧または分圧を用いて、OまたはOと1またはそれ以上の不活性ガスとの混合物からなる雰囲気に金属層を適用することにより、金属層を酸化する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の具体例にかかる方法の多くの工程を示す。
【図2a】本発明にかかる酸化プロセスで、2つの異なる温度において、酸化時間の関数として、最初は5nmの膜厚であるRu層の膜厚と、Ru層の上に形成されたRuO層の膜厚を示す。
【図2b】2つの異なる温度において、酸化時間の関数として、本発明にかかる酸化プロセスにより得られたRuO層のRMS粗さの値を示す。
【図3】図1に示す方法により得られるMIMCAP構造を示す。
【図4】本発明の第2の具体例にかかる方法により得られるMIMCAP構造を示す。
【発明の詳細な説明】
【0020】
図1aから図1fを参照して、第1の好適な具体例にかかる発明の方法についてここで述べる。最初に、例えばビット線とトランジスタ(図示せず)を含むシリコン基板のような基板1が提供される。次に、Ru層2が基板上に堆積される。Ruの堆積は、原子層堆積(ALD)で行われ、あるいはプラズマ誘起ALD(PEALD)やCVDで行うこともできる。TiN層が最初に基板上に堆積され、Ru層がTiN層の上に堆積されてもよい。例えば、10nmのTiN層が堆積された後に、5nmのRuが堆積されても良い。
【0021】
次にRu層2に制御された酸化方法が適用される。ルテニウムの酸化が、クロスフロータイプ(cross-flow-type)ALDリアクタ中で、250℃で行われ、約1〜1.5nmmの酸化ルテニウム薄膜3が形成される。本記載では、酸化ルテニウムは、正方晶の結晶構造を有し、ルチルTiOと2%を越えない不整合を有するRuOとして理解される。これは、xの値が実質的に2に等しいことを意味する。この2の値からの小さな偏差は、上述の不整合が2%の限度以内であれば許容される。以下の記載では、このように記載されたRuの酸化物はRuOと呼ばれる。特定の好適な具体例では、(図1bに示すような)Ru層を含む基板が、Oからなり、またはOと1またはそれ以上のNのような不活性ガスからなる低圧雰囲気に適用される。Oの圧力または分圧は、1mTorrと10Torrの間(即ち、0.13Paと1333.22Paの間)である。酸化中の温度は、200℃と450℃の間である。酸化時間は、1分と30分の間で、より高温では、より短い酸化時間が適用できる。本発明は、それらの酸化条件下では、Ru層の上にRuO層3を得ることができ、RuO層の粗さは、最初のRu層の粗さと実質的に等しいことを明らかにする。
【0022】
図2a、図2bに結果が示され、これらは、全圧力が1Torrで、分圧が0.2TorrのOとNとからなる低圧雰囲気で有効である。図2aは、250℃と370℃で得られたRuO層の膜厚を、酸化時間の関数として示す。温度および酸化時間に依存して、RuO膜厚は1nmと2nmの間となる。線100は、酸化前のRu層の初期膜厚を示す。図2bは、初期Ru粗さ101と比較した、酸化時間の関数としてのRMS粗さの値を示す。測定点102は、250℃と370℃に対して有効である(四角と三角が一致している)。これらの結果から、250℃の温度において、粗さを実質的に同じ値に維持するためには、酸化時間は約10分より短いことが好ましいことが導き出される。370℃において、酸化時間は、約5分より短いことが好ましい。本記載の全てにおいて、Torrの単位は、SI単位であるPaに対して、以下のように計算される:1Torr=133.33Pa。
【0023】
本発明は、このように、初期のRu層のRMS値と実質的に同じ値を有するRuO層を形成できる、酸化時間と温度についてのウインドウを規定する。そのようなRuO層の形成は、RuOとTiOの整合した結晶構造により、続くルチル相TiOの成長に有利である。RuO層の低い粗さは、RuO層の上に堆積される層の表面均一性のために有利である。
【0024】
酸化工程の後に、TiOの第1層4がALDにより堆積される。本発明の方法中で、ALDによりいずれかの酸化層を堆積する工程は、それ自体知られており、クロスフロータイプALDリアクタのようなALDに適した公知の装置で行われる。第1TiO層4のALD堆積は、リアクタチャンバ中で、基板上で行われる多くの堆積サイクルを通して行われ、それぞれのサイクルは、
基板の表面上に、Ti前駆体、例えばTi(OCHを提供する工程と、
例えばNガス流により、リアクタチャンバをパージする工程と、
酸化剤としてHOを気相状態で加える工程と、
例えばNにより再度リアクタチャンバをパージする工程と、
を含む。
【0025】
堆積温度は、好適には約250℃である。圧力は、好適には1Torrと3Torrの間である。4つの工程の時間は、以下の通りである:2秒/4秒/4秒/8秒。そのようなALDパラメータは、1サイクルが約0.04nmの、サイクル当たりの成長になる。
【0026】
第1TiO層4の膜厚は、1nmより薄く、より好適には0.6nmより薄い。
【0027】
第2のALD堆積工程では、第2TiO層5が、以下のサイクル:
基板の表面上に、Ti前駆体、例えばTi(OCHを加える工程と、
例えばNガス流により、リアクタチャンバをパージする工程と、
酸化剤としてOを加える工程と、
例えばNにより再度リアクタチャンバをパージする工程と、
の繰り返しにより堆積される。
【0028】
第2TiO層の堆積では、堆積温度は好適には約250℃であり、圧力は好適には1Torrと3Torrの間である。4つの工程の時間は、以下の通りである:4秒/5秒/4秒/8秒。第2TiO層5の膜厚は、適用により異なる。MIMCAPの形成のために、この層の膜厚は、好適には5nmと20nmの間である。第2ALD工程の間または後に、公知のドーピング方法により、第2TiO層にドーパントが加えられる。ドーパントは、Sr、Ta、Al、Hf、Gd、Zr、Sc、Dyからなるグループから選択されても良い。
【0029】
RuO層3と第1TiO層4との組み合わせは、続くALD/O堆積工程中に、エッチングからRuの保護を強化する。更に、第1TiO層4が1nmより薄いため、RuO結晶構造は薄いTiO層の上に伝わり、RuOとルチルTiO構造の整合のために、Oの下での第2TiO層5の堆積中に、ルチルTiOがより容易に形成される。
【0030】
最後に、第2TiO層4の上に、第2金属層6が堆積される。第2金属層は、Ru層またはTiN層、または他の好適な層である。第1および第2の金属層を形成するための堆積技術は、MIMCAP構造を形成するための公知な技術による。
【0031】
第2の具体例では、Ru層の制御された酸化工程は省略され、第1TiO層の堆積のために上述した方法の工程、即ち、酸化剤としてHOを用いたALDにより、第1TiO層が直接Ru層の上に堆積される。この第1TiO層は、酸化剤としてOを用いた、それに続くALD工程によるRuの酸化から、Ru層を保護する。第2TiO層の堆積のために上述した工程、即ち酸化剤としてOを用いたALDにより、第2TiO層が続いて堆積されても良い。この具体例では、RuO層が無いために、第2TiO層はルチル相ではなく、または全てがルチル相というわけではない。しかしながら、OによるエッチングからRu層を保護するという長所は残っている。
【0032】
本発明の方法では、第1金属層の堆積のために、Ruに代えて他の金属を用いても良く、これは結局はMIMCAPの下部電極を形成する。好適には、酸化物がEOTに寄与しないような金属特性を有する金属が用いられる。そのような金属の例は、モリブデンである。また、Ruの酸化が行われない第2の具体例において特に、第2TiOの代わりに他の誘電体を堆積させて、中間TiO層を、整合した微細構造の層を成長するためのテンプレートではなく、保護層として機能させても良い。例えばAl、チタニウムアルミニウム酸化物、ZrO、HfO、ストロンチウムチタニウム酸化物、または他のhigh−k誘電体が第2誘電体層として用いられ、酸化剤としてのOを用いたALDで堆積させてもよい。
【0033】
続いて公知の製造工程が行われる第1の具体例にかかる方法で得られる金属―絶縁体―金属キャパシタは、図3に示される。これは、少なくともその上面にRu層10aと1nmと2nmの間の膜厚RuO層とを有する下部電極10、最大で1nmの膜厚の第1中間TiO層11aと第2誘電体層11bを含む誘電体層11、および上部電極12を含む。中間TiO層の構造は、下方のRuO層により規定され、この層はルチルTiOの構造に類似し、それゆえに第2堆積工程でルチルTiOを成長するのに適している。第2誘電体がルチル相TiOの場合、第1および第2のTiO層は、最終製品において区別できなくても良い。
【0034】
第2の具体例にかかる方法で得られるMIMCAPが、図4に示される。MIMCAPは、少なくとも上面にRu層を有する下部電極20、膜厚が1nmより薄い第1中間TiO層21aと第2誘電体層21b(例えばルチルTiOまたは他の誘電体)とからなる誘電体層21、および上部電極22を含む。第2誘電体がTiOとは異なる場合、中間層TiOは最終製品において検出することができる。
【0035】
本発明は、また、上述の酸化法により、金属基板または他の材料からなる基板の上に存在する金属層のような、金属層を酸化する方法に関する。この方法では、Oからなる、またはOと1またはそれ以上のNのような不活性ガスとの混合物からなる低圧力雰囲気が、金属層に適用される。Oの圧力または分圧は、1mTorrと10Torrの間(0.13Paと1333.22Paの間)である。酸化中の温度は、200℃と450℃との間である。酸化時間は1分と30分との間であり、より高温ではより短い酸化時間が適用できる。本発明は、それらの酸化条件において、金属酸化層の粗さが最初の金属層の粗さに実質的に等しく、金属層の上に金属酸化層を形成することが可能なことを明らかにする。好適な具体例では、金属層はRu層である。
【0036】
本発明は、また、本発明の方法により得られた層のスタックを含む半導体ウエハ、例えば図1fに示すようなウエハに関する。
【0037】
例−試験結果
試験は、250℃で酸化ルテニウム上にルチルTiO結晶の原子層堆積を得るために行われた。層は、分光偏光解析法(SE)、X線反射率測定(XRR)、X線回折(XRD)、走査電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、飛行時間(TOF)、二次イオン質量分析法(SIMS)、容量−電圧(C−V)、およびお電流密度−電圧(J−V)により特性が示される。1.5nmRuO/4nmRu/10nmTiN/Si(100)ウエハ(直径300mm)上に、250℃で、Ti(OCHとOおよび/またはHOを酸化剤として用いて、クロスフロータイプのALDリアクタ中で膜を成長させた。比較のために、ALDTiO膜が、10nmPVDTiN/20nmSiO/Si(100)基板上に、同様に成長させた。TiOは、HOまたはOを酸化剤に用いた自己制御成長を示し、類似のサイクルあたりの成長(GPC)、即ち約0.04nm/サイクルを示す。一方、開始表面の機能として、HOとOとの間で、微細構造で明らかな違いが観察される。斜入射XRD(GIXRD)測定は、TiN上に成長したTiOは、HO系プロセスを用いた場合はアモルファスであり、またはO系プロセスでは、Oのより強力な酸化ポテンシャルのためにアナターゼあることを示す。
【0038】
基板としてRuを用いた場合、TiOは、HOを用いた成長ではアモルファスであるが、Oを用いた場合はルチルであった。最後に、RuO/Ruの上で、水ベースのプロセスはアナターゼ形成に繋がったが、一方、Oを用いたTiOは同様にルチルを形成した。O系プロセスでの、RuおよびRuOの双方の基板に対するルチルTiOの形成は、最初のOパルス中にすでにRuOが形成されることによる。重要なことは、酸化剤としてOを用いた双方の場合(RuおよびRuO/Ru)において、Ru下部電極の一部が下層のTiNに至るまで大きくエッチングされて、非常に不均一な層になったことである。これを防止するために、HOを用いた約0.3nmTiOのエッチングストップ層が、O系プロセスを用いたTiO層のバルクの残余の前に堆積された。ウエハ偏光解析法マップまたはRu層は、この中間層の有利な効果を明確に示した。プロセスのHO系部分はエッチングを防止する一方、Oは非常に望まれるルチル相を形成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に層のスタックを形成する方法であって、
基板(1)を提供する工程と、
基板の上に、第1金属層(2)、または金属の酸化物により覆われた第1金属層を形成する工程と、
原子層堆積により、第1金属層の上、または酸化物の上に、TiOの保護層(3)を堆積する工程であって、ALD堆積中に酸化剤としてHOが使用される工程と、
原子層成長により、TiO層の上に、誘電体材料層を堆積する工程であって、ALD堆積中に酸化剤としてOが使用され、これによりTiO層と第2誘電体層とのスタックを得る工程と、
誘電体材料層の上に、第2金属層を堆積する工程と、を含む方法。
【請求項2】
第1金属層は、その上面の上の、Ru層、または酸化ルテニウムにより覆われたRu層からなり、またはこれを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1またはそれ以上のドーパントが第2誘電体層に加えられ、このドーパントは、Sr、Ta、Al、Hf、Gd、Zr、Sc、Dyからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2誘電体層は、ルチル相のTiO層である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
保護TiO層は、1nmより小さな膜厚を有する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
基板上に第1金属層を堆積する工程と、その後にTiO保護層の堆積に先立って第1金属層を酸化して、金属層の上に金属酸化層を形成する工程を含み、この酸化工程は、1分と30分との間の酸化時間で、200℃と450℃との間の温度で、0.13Paと1333.22Paとの間のOの全圧または分圧を用いて、Oからなる、またはOと1またはそれ以上の不活性ガスとの混合物からなる雰囲気に金属層を適用することにより行われる請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
更に、基板上に、1またはそれ以上の金属−絶縁体−金属キャパシタ構造を形成するプロセス工程を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
表面上に、金属層または金属の酸化物層により覆われた金属層からなり、またはこれを含む下部電極(10、20)と、
下部電極の上の、中間TiO層である第1誘電体サブレイア(11a、21a)と、第1TiO層の上の、第2誘電サブレイア(11b、21b)と、からなる誘電体層(11、21)と、
誘電体層の上の上部電極(12、22)と、を含む金属−絶縁体−金属キャパシタ。
【請求項9】
金属はルテニウムである請求項8に記載の金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMCAP)。
【請求項10】
中間TiOサブレイアは、1nmより小さな膜厚を有する請求項8または9に記載の金属−絶縁体−金属キャパシタ(MIMCAP)。
【請求項11】
1分と30分との間の酸化時間で、200℃と450℃との間の温度で、0.13Paと1333.22Paとの間のOの全圧または分圧を用いて、OまたはOと1またはそれ以上の不活性ガスとの混合物からなる雰囲気に金属層を適用することにより、金属層を酸化する方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−104810(P2012−104810A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−210350(P2011−210350)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】