説明

半導体素子

【課題】チャネル長Lが短く微細化が可能な、酸化物半導体を用いたトップゲート型の半
導体素子を提供することを課題とする。また、該半導体素子の作製方法を提供することを
課題とする。
【解決手段】絶縁表面上に酸化物半導体層と、酸化物半導体層上にソース電極層及びドレ
イン電極層と、酸化物半導体層、前記ソース電極層、及び前記ドレイン電極層上にゲート
絶縁層と、ゲート絶縁層上にゲート電極層とを有し、ソース電極層及びドレイン電極層は
側壁を有し、側壁は前記酸化物半導体層の上面と接する半導体素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
酸化物半導体を用いた半導体素子、及び当該半導体素子を用いた半導体装置に関する。例
えば、半導体集積回路を部品として搭載した電子機器に関する。また、それらの作製方法
に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置
全般を指し、電気光学装置、半導体回路、電子部品、及び電子機器は全て半導体装置であ
る。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体装置の開発が進められ、LSIやCPUやメモリとして用いられている。C
PUは、半導体ウェハから切り離された半導体集積回路(少なくともトランジスタ及びメ
モリ)を有し、接続端子である電極が形成された半導体素子の集合体である。
【0004】
LSIやCPUやメモリなどの半導体回路(ICチップ)は、回路基板、例えばプリント
配線板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
【0005】
また、データの送受信が可能な半導体装置の開発が進められており、このような半導体装
置は、無線タグ、RFIDタグなどと呼ばれる。実用化されているものは、アンテナと半
導体基板を用いて形成された半導体回路(ICチップ)とを有しているものが多い。
【0006】
また、トランジスタに適用可能な半導体としてシリコン系半導体材料が公知であるが、そ
の他の材料として酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体の材料としては、酸化亜
鉛又は酸化亜鉛を成分とするものが知られている。そして、電子キャリア濃度が1018
/cm未満である非晶質酸化物(酸化物半導体)なるもので形成されたトランジスタが
開示されている(特許文献1乃至3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−165527号公報
【特許文献2】特開2006−165528号公報
【特許文献3】特開2006−165529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酸化物半導体を用いた半導体素子で作製する半導体集積回路において、回路の動作速度を
高速化し、消費電力の低減を図るために、半導体素子のチャネル長Lを短くし、半導体素
子を微細化する方法がある。
【0009】
酸化物半導体を用いたトップゲート型の半導体素子において、チャネル長Lを短くして微
細化するためには、酸化物半導体層上に形成されたソース電極層とドレイン電極層の間隙
を狭くする必要がある。しかし、フォトプロセスにより、ソース電極層とドレイン電極層
の間隙を狭くすることには限界があるため、微細な半導体素子を作製することは難しい。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、チャネル長Lが短く微細化が可能な、酸化物半導体を用いた
トップゲート型の半導体素子を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、該
半導体素子の作製方法を提供することを課題とする。
【0011】
また、チャネル長Lが短い微細な半導体素子を、LSIやCPUやメモリなどの半導体集
積回路に用いることによって、回路の動作速度を高速化し、さらには消費電力の低減を図
ることも課題の一とする。
【0012】
また、ゲート絶縁層による、ソース電極層及びドレイン電極層のカバレッジを向上させ、
ゲート電極層と、ソース電極層又はドレイン電極層の間のショートを防止することによっ
て、信頼性の高い半導体素子、及び該半導体素子を用いた半導体装置を提供することを課
題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
酸化物半導体を用いたトップゲート型の半導体素子において、ソース電極層及びドレイン
電極層に側壁を設けることによって、チャネル長Lの短い微細な半導体素子を作製できる
。また、チャネル長Lの短い微細な半導体素子を、LSIやCPUやメモリなどの半導体
集積回路に用いることによって、回路の動作速度を高速化し、さらには消費電力を低減さ
せることができる。
【0014】
また、酸化物半導体を用いたトップゲート型の半導体素子において、ソース電極層及びド
レイン電極層に側壁を設けることにより、ソース電極層及びドレイン電極層の側面にテー
パがつけられるので、ゲート絶縁層のカバレッジが向上し、ゲート電極層と、ソース電極
層又はドレイン電極層のショートを防ぐことができ、信頼性の高い半導体素子を作製でき
る。
【0015】
エネルギーギャップが大きく、水素や水分などの不純物を除去することにより水素濃度が
十分に低減されて高純度化された酸化物半導体層を用いることで、オフ電流が少なく、ノ
ーマリーオフの半導体素子を作製できる。該半導体素子を用いることで、リーク電流によ
る消費電力の少ない半導体装置を実現できる。
【0016】
本発明の一態様は、絶縁表面上に酸化物半導体層と、酸化物半導体層上にソース電極層及
びドレイン電極層と、酸化物半導体層、ソース電極層、及びドレイン電極層上にゲート絶
縁層と、ゲート絶縁層上にゲート電極層とを有し、ソース電極層及びドレイン電極層は側
壁を有し、側壁は酸化物半導体層の上面と接する半導体素子である。
【0017】
また、本発明の一態様は、絶縁表面上に酸化物半導体層を有し、酸化物半導体層上にソー
ス電極層及びドレイン電極層を有し、ソース電極層は、第1のソース電極層と、第1のソ
ース電極層上の第2のソース電極層からなり、ドレイン電極層は、第1のドレイン電極層
と、第1のドレイン電極層上の第2のドレイン電極層からなり、第2のソース電極層に設
ける側壁は、第1のソース電極層の上面と接し、第2のドレイン電極層に設ける側壁は、
第1のドレイン電極層の上面と接し、酸化物半導体層、ソース電極層、ドレイン電極層、
及び側壁上にゲート絶縁層を有し、ゲート絶縁層上にゲート電極層を有し、第1のソース
電極層は、第2のソース電極層の端部から延在し、第1のドレイン電極層は、第2のドレ
イン電極層の端部から延在する半導体素子である。
【0018】
上記各構成は、上記課題の少なくとも一つを解決する。
【0019】
また、上記酸化物半導体層の下方に導電層を形成してもよく、他の発明の構成の一つは、
上記各構成において、絶縁表面上に導電層と、導電層を覆う第1の絶縁層を有し、導電層
は、第1の絶縁層を介して酸化物半導体層と重なる半導体素子である。
【0020】
また、寄生容量を低減するため、他の発明の構成の一つは、上記各構成において、ゲート
電極層と、ソース電極層又はドレイン電極層との間にゲート絶縁層及び第2の絶縁層を有
する半導体素子である。言い換えると、ソース電極層又はドレイン電極層は、ゲート絶縁
層及び第2の絶縁層を介してゲート電極層の一部と重なる半導体素子である。ゲート電極
層と、ソース電極層又はドレイン電極層との間に、ゲート絶縁層及び第2の絶縁層を設け
ることによって、ゲート電極層とソース電極層との間、又はゲート電極層とドレイン電極
層との間の間隙が広がり、寄生容量を小さくすることができる。
【0021】
一方、該絶縁層を設けると、ソース電極層及びドレイン電極層にテーパをつけるためには
、絶縁層と、ソース電極層及びドレイン電極層の選択比等のエッチング条件を調整する必
要があり、エッチングによる加工が困難となる。ソース電極層及びドレイン電極層はテー
パ加工しないと、上に積層するゲート絶縁層のカバレッジが低下するという問題が生じる
。しかし、本発明の一態様の半導体素子は、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を設
けることにより、ソース電極層及びドレイン電極層の側面にテーパがつけられるので、ソ
ース電極層及びドレイン電極層の端部をテーパ加工する必要が無く、半導体素子の作製が
容易となる。
【0022】
また、上記各構成において、酸化物半導体層のキャリア濃度は1×1012/cm未満
であることが好ましい。また、上記各構成において、半導体素子のオフ電流値は、1×1
−13A未満であることが好ましい。
【0023】
また、本発明の一態様は、上記各構成の半導体素子を有する半導体装置である。
【0024】
また、水素濃度が十分に低減された酸化物半導体層を用いた半導体素子を複数組み合わせ
て半導体回路を作製することができる。半導体回路としては、例えばEDMOS回路を形
成することもでき、その構成は、絶縁表面上に第1の酸化物半導体層を有する第1の半導
体素子と、第2の酸化物半導体層を有する第2の半導体素子とを有するEDMOS回路を
有し、第1の酸化物半導体層及び第2の酸化物半導体層は、キャリア濃度が1×1012
/cm未満である半導体装置である。
【0025】
ここで、EDMOS回路とは、エンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トラ
ンジスタを組み合わせて構成したインバータ回路を指す。
【0026】
また、LSIやCPUやメモリの他に、電源回路、送受信回路、又は音声処理回路のアン
プ、表示部の駆動回路、コントローラ、又は音声処理回路のコンバータなどを上記各構成
の半導体素子を用いて作製することもできる。
【0027】
また、複数の半導体集積回路を一つのパッケージに搭載し半導体装置の集積を高めたもの
、所謂MCP(Multi Chip Package)としてもよい。
【0028】
また、回路基板に半導体集積回路を実装する場合には、フェイスアップ形態であってもよ
いし、フリップチップ形態(フェイスダウン形態)としてもよい。
【0029】
また、本発明の一態様は、絶縁表面上に酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層上にソ
ース電極層及びドレイン電極層を形成し、酸化物半導体層、ソース電極層、及びドレイン
電極層上に側壁となる膜を形成し、さらに、側壁となる膜をエッチングすることにより、
酸化物半導体層の上面に接しているソース電極層及びドレイン電極層の側壁を形成し、酸
化物半導体層、ソース電極層、ドレイン電極層、及び側壁上にゲート絶縁層を形成し、ゲ
ート絶縁層上にゲート電極層を形成する半導体素子の作製方法である。
【0030】
また、本発明の一態様は、絶縁表面上に酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層上に第
1の導電膜及び第2の導電膜を形成し、第2の導電膜をエッチングすることにより、第2
のソース電極層及び第2のドレイン電極層を形成し、第1の導電膜、第2のソース電極層
及び第2のドレイン電極層上に側壁となる膜を形成し、側壁となる膜をエッチングするこ
とにより、第2のソース電極層及び第2のドレイン電極層の側壁を形成し、側壁をマスク
に用いて第1の導電膜をエッチングすることにより、第1のソース電極層、及び第1のド
レイン電極層を形成し、酸化物半導体層、第1のソース電極層、第2のソース電極層、第
1のドレイン電極層、第2のドレイン電極層、及び側壁上にゲート絶縁層を形成し、ゲー
ト絶縁層上にゲート電極層を形成する、第1のソース電極層が、第2のソース電極層の端
部から延在し、第1のドレイン電極層が、第2のドレイン電極層の端部から延在し、側壁
が、第1のソース電極層又は第1のドレイン電極層の上面と接する半導体素子の作製方法
である。
【0031】
また、本発明の一態様は、上記各構成において、絶縁表面上に導電層を形成し、導電層を
覆う絶縁層を形成し、絶縁層を介して導電層に重ねて酸化物半導体層を形成する半導体素
子の作製方法である。
【0032】
なお、本明細書中において、チャネル長Lとは、ゲート電極層の下端部と酸化物半導体層
が重なる領域において、ソース電極層とドレイン電極層を結ぶ方向の長さを指す。
【0033】
また、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」又は
「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極層
」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極層との間に他の構成要素を含むものを除外
しない。また、「上」「下」の用語は説明の便宜のために用いる表現に過ぎず、特に言及
する場合を除き、その上下を入れ替えたものも含む。
【0034】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限
定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、
その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配
線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0035】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や
、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため
、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることがで
きるものとする。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一態様は、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を設けることにより、チャネ
ル長Lが短く微細化が可能な、酸化物半導体層を用いたトップゲート型の半導体素子を提
供することができる。また、本発明の一態様は、該半導体素子の作製方法を提供すること
ができる。
【0037】
また、本発明の一態様のチャネル長Lが短い微細な半導体素子をLSIやCPUやメモリ
などの半導体集積回路に用いることによって、回路の動作速度を高速化し、さらには消費
電力を低減させることができる。
【0038】
また、本発明の一態様の半導体素子は、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を設ける
ことにより、ソース電極層及びドレイン電極層の側面にテーパがつけられるので、ゲート
絶縁層のカバレッジが向上し、ゲート電極層と、ソース電極層又はドレイン電極層のショ
ートを防ぐことができ、信頼性の高い半導体素子を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一態様を示す上面図及び断面図。
【図2】本発明の一態様の作製方法を示す断面図。
【図3】本発明の一態様の作製方法を示す断面図。
【図4】本発明の一態様を示す等価回路図。
【図5】本発明の一態様を示す断面図。
【図6】本発明の一態様を示す上面図及び断面図。
【図7】酸化物半導体を用いたトップゲート型のトランジスタの断面図。
【図8】図7に示すA−A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)。
【図9】図7に示すB−B’間におけるエネルギーバンド図。
【図10】真空準位と金属の仕事関数(φM)、酸化物半導体の電子親和力(χ)の関係を示す図。
【図11】シリコン(Si)において、ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す図。
【図12】In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体(IGZO)において、ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す図。
【図13】炭化シリコン(4H−SiC)において、ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す図。
【図14】短チャネル効果に関する計算(デバイスシミュレーション)の結果を示す図。
【図15】短チャネル効果に関する計算(デバイスシミュレーション)の結果を示す図。
【図16】C−V特性を示す図。
【図17】Vと(1/C)との関係を示す図。
【図18】本発明の一態様を示すブロック図。
【図19】半導体装置を説明する図。
【図20】半導体装置を説明する図。
【図21】半導体装置を説明する図。
【図22】半導体装置を説明する図。
【図23】半導体装置を説明する図。
【図24】本発明の一態様を示す等価回路図。
【図25】本発明の一態様を示す等価回路図。
【図26】本発明の一態様を示す等価回路図。
【図27】電子機器の一例を示す図。
【図28】本発明の一態様を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば
容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈され
るものではない。
【0041】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実
際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必
ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0042】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同
を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0043】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体素子の断面構造の一例について説明する。
【0044】
本実施の形態の半導体素子を、図1、及び図28を用いて説明する。図1(A)に本発明
の一態様の半導体素子の上面図を示す。図1(B)は図1(A)におけるA1−B1間の
断面図を示している。図1(C)、(D)は図1(B)における破線部199の拡大図を
示している。また、図28(A)、(B)に本発明の一態様の半導体素子の断面構造の一
例を示す。図1に示すトランジスタ200と、図28(A)、(B)にそれぞれ示すトラ
ンジスタ201、300は、トップゲート型のトランジスタの一つである。
【0045】
図1(A)、(B)に示すトランジスタ200は、絶縁表面を有する基板101上に、第
1の絶縁層103、第2の絶縁層105、酸化物半導体層107、ソース電極層109a
、ドレイン電極層109b、側壁121、ゲート絶縁層117、及びゲート電極層119
を含む。
【0046】
トランジスタ200は、ソース電極層109a及びドレイン電極層109bの側壁121
を有している。側壁121の下端部は、酸化物半導体層107の上面に接する。フォトプ
ロセスによって、ソース電極層109aとドレイン電極層109bの間隙を狭くすること
には限界があるが、異方性エッチングを用いてその間隙に側壁121を設けることで、ソ
ース電極層109aとドレイン電極層109bの間に挟まれるゲート電極層119の幅を
狭くすることができるので、チャネル長Lの短い微細なトランジスタを作製することがで
きる。チャネル長Lを短くすることで、短チャネル効果が起こる可能性がある。酸化物半
導体を用いたトランジスタにおける短チャネル効果については、本実施の形態の中で後述
する。
【0047】
なお、本明細書中において、チャネル長Lとは、ゲート電極層の下端部と酸化物半導体層
が重なる領域において、ソース電極層とドレイン電極層を結ぶ方向の長さを指す(図1(
C))。
【0048】
また、トランジスタ200は、側壁によって、ソース電極層及びドレイン電極層の側面に
テーパがつけられるので、ゲート絶縁層のカバレッジが向上し、ゲート電極層と、ソース
電極層又はドレイン電極層の間のショートを防ぐことができ、信頼性の高いトランジスタ
とすることができる。
【0049】
また、側壁121は、絶縁材料を用いて形成すると、図1(C)に示すようにオフセット
領域Loffが設けられる。この場合、オフセット領域Loffは、チャネル長Lと、ソ
ース電極層又はドレイン電極層の端部が酸化物半導体層と重なる領域Aの間の領域である
。オフセット領域Loffを設けることによって、ゲート電極層と、ソース電極層又はド
レイン電極層の間の距離が広がり、互いの電極間でショートが発生する現象をさらに防止
することができる。また、ゲート電極層と、ソース電極層又はドレイン電極層の間の寄生
容量を低減することができる。
【0050】
一方、導電性を有する材料を用いて側壁121を形成する場合、側壁121は、ソース電
極層又はドレイン電極層の一部としての働きをするため、オフセット領域Loffを小さ
くすることができる(図1(D))。この場合、オフセット領域Loffは、チャネル長
Lと、側壁121の下端部と酸化物半導体層が重なる領域Bの間の距離である。よって、
高いオン電流や、高い移動度を実現することができる。
【0051】
つまり、側壁121に用いる材料を変えることによって、オフセット領域Loffを大き
くすることも小さくすることも可能である。
【0052】
また、トランジスタ200は、チャネル領域として高純度化された酸化物半導体層107
を有する。エネルギーギャップが大きく高純度化された酸化物半導体を用いたトランジス
タ200は、オフ電流が少なく、ノーマリーオフ(つまり、ゲート電圧が0Vのときに、
ソース電極とドレイン電極の間に電流が流れない)の電気特性を有し、さらにトランジス
タ特性の温度依存性が小さい。例えば、ドレイン電圧Vdが+1V又は+10Vの場合、
ゲート電圧Vgが正の領域では、ドレイン電流Idが十分大きく、ゲート電圧Vgが−5
Vから−20Vの範囲において1×10−13A以下とすることができる。
【0053】
なお、水素濃度が十分に低減され、高純度化された酸化物半導体層107のキャリア濃度
は、1×1012/cm未満、望ましくは、1×1011/cm以下、さらに望まし
くは1.45×1010/cm以下をとる。キャリア濃度の求め方については、本実施
の形態の中で後述する。
【0054】
また、酸化物半導体層107のエネルギーギャップは、2.0eV以上、望ましくは2.
5eV以上、より望ましくは3.0eV以上である。他のエネルギーギャップの大きい材
料との比較は後述する。また、高純度化されキャリア濃度が小さい酸化物半導体を用いた
トランジスタは、ホットキャリア劣化耐性が高い。こちらも、詳細は後述する。
【0055】
このように、エネルギーギャップが大きく、水素濃度が十分に低減されて高純度化された
酸化物半導体層107を適用し、オフ電流が少なく、ノーマリーオフのトランジスタ20
0を作製することにより、新たな構成の半導体装置を実現することができる。
【0056】
図28(A)に示すトランジスタ201は、絶縁表面を有する基板101上に、電極層1
02、第1の絶縁層103、第2の絶縁層105、酸化物半導体層107、ソース電極層
109a、ドレイン電極層109b、側壁121、ゲート絶縁層117、及びゲート電極
層119を含む。
【0057】
つまり、トランジスタ201は、トランジスタ200に電極層102を追加した構成であ
る。
【0058】
トランジスタ201の酸化物半導体層107の下方に設けられている電極層102はバッ
クゲートとして機能させることができる。バックゲートの電位は、固定電位、例えば0V
や、接地電位とすることができ、実施者が適宜決定すればよい。また、酸化物半導体層の
上下にゲート電極を設けることによって、トランジスタの信頼性を調べるためのバイアス
−熱ストレス試験(以下、BT試験という)において、BT試験前後におけるトランジス
タのしきい値電圧の変化量を低減することができる。即ち、酸化物半導体層の上下にゲー
ト電極を設けることによって、信頼性を向上することができる。
【0059】
また、電極層102に加えるゲート電圧を制御することによって、しきい値電圧を制御す
ることができる。しきい値電圧を正とすることで、エンハンスメント型トランジスタとし
て機能させることができる。また、しきい値電圧を負とすることで、デプレッション型ト
ランジスタとして機能させることもできる。
【0060】
例えば、エンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トランジスタを組み合わせ
てインバータ回路(EDMOS型のインバータ回路、以下、単にEDMOS回路という)
を構成し、駆動回路に用いることができる。駆動回路は、論理回路部と、スイッチ部又は
バッファ部を少なくとも有する。論理回路部は上記EDMOS回路を含む回路構成とする
。また、スイッチ部又はバッファ部は、オン電流を多く流すことができるトランジスタを
用いることが好ましく、デプレッション型トランジスタ、又は酸化物半導体層の上下にゲ
ート電極を有するトランジスタを用いる。
【0061】
また、大幅に工程数を増やすことなく、同一基板上に異なる構造のトランジスタを作製す
ることもできる。例えば、高速駆動させる集積回路には、図28に示すような酸化物半導
体層の上下にゲート電極を有するトランジスタを用いてEDMOS回路を構成し、図1に
示すような酸化物半導体層の上にのみゲート電極を有するトランジスタを他の領域に形成
することもできる。
【0062】
なお、nチャネル型トランジスタのしきい値電圧が正の場合は、エンハンスメント型トラ
ンジスタと定義し、nチャネル型トランジスタのしきい値電圧が負の場合は、デプレッシ
ョン型トランジスタと定義し、本明細書を通してこの定義に従うものとする。
【0063】
図28(B)に示すトランジスタ300は、絶縁表面を有する基板301上に、第1の絶
縁層303、第2の絶縁層305、酸化物半導体層307、ソース電極層(第1のソース
電極層309a、第2のソース電極層311a)、ドレイン電極層(第1のドレイン電極
層309b、第2のドレイン電極層311b)、第3の絶縁層315、側壁321、ゲー
ト絶縁層317、及びゲート電極層319を含む。
【0064】
トランジスタ300は、第2のソース電極層311a及び第2のドレイン電極層311b
の側壁321を有している。側壁321の下端部は、第1のソース電極層309a又は第
1のドレイン電極層309bの上面と接する。側壁321を有することで、チャネル長L
が短い微細なトランジスタを作製することができる。チャネル長Lを短くすることで、短
チャネル効果が起こる可能性がある。酸化物半導体を用いたトランジスタにおける短チャ
ネル効果については、本実施の形態の中で後述する。
【0065】
トランジスタ300は、第3の絶縁層315を有している。第3の絶縁層315を設ける
ことで、ゲート電極層319と第2のソース電極層311aとの間、又はゲート電極層3
19と第2のドレイン電極層311bとの間の寄生容量を小さくすることができる。一方
、第3の絶縁層315を設けることで、第2のソース電極層311a及び第2のドレイン
電極層311bにテーパをつけるためには、第3の絶縁層315と、第2のソース電極層
311a及び第2のドレイン電極層311bの選択比等のエッチング条件を調整する必要
があり、エッチングによる加工が困難となる。第2のソース電極層311a及び第2のド
レイン電極層311bはテーパ加工しないと、上に積層するゲート絶縁層317のカバレ
ッジが低下するという問題が生じる。しかし、本発明の一態様のトランジスタは、側壁3
21によって第2のソース電極層311a及び第2のドレイン電極層311bの側面にテ
ーパがつけられるので、第2のソース電極層311a及び第2のドレイン電極層311b
の端部をテーパ加工する必要が無く、トランジスタの作製が容易となる。
【0066】
トランジスタ300は、トランジスタ200、201と異なり、オフセット領域Loff
が側壁の材料によらず、オフセット領域Loffはゲート絶縁層の膜厚で決定される。
【0067】
ところで、前述したとおり、本実施の形態のトランジスタは、酸化物半導体中でキャリア
の供与体(ドナー又はアクセプタ)となり得る不純物を極めて少ないレベルにまで除去す
ることで、真性又は実質的に真性な半導体とした酸化物半導体を用いている。
【0068】
以下、酸化物半導体を高純度化、真性化(i型化)することの意義、酸化物半導体を用い
て半導体装置を構成することのメリット、などについて簡単に説明する。
【0069】
<酸化物半導体の真性化>
酸化物半導体において、DOS(density of state)等の物性研究は多
くなされているが、これらの研究は、局在準位そのものを十分に減らすという思想を含ま
ない。開示する発明の一態様では、局在準位の原因たり得る水や水素を酸化物半導体中か
ら除去することで、高純度化した酸化物半導体を作製する。これは、局在準位そのものを
十分に減らすという思想に立脚するものである。そして、これによって極めて優れた工業
製品の製造を可能とするものである。
【0070】
なお、水素や水などを除去する際には、同時に酸素が除去されてしまうことがある。この
ため、酸素欠乏により発生する金属の未結合手に対して酸素を供給し、酸素欠陥による局
在準位を減少させることにより、酸化物半導体をさらに高純度化(i型化)するのは好適
である。たとえば、チャネル形成領域に密接して酸素過剰の酸化膜を形成し、200℃〜
400℃、代表的には250℃程度の温度条件での熱処理を行うことで、当該酸化膜から
酸素を供給して、酸素欠陥による局在準位を減少させることができる。また、後述する第
2の加熱処理中に、不活性ガスを、酸素を含むガスに切り替えても良い。第2の加熱処理
に続けて、酸素雰囲気、又は水素や水を十分に除去した雰囲気における降温過程を経るこ
とで、酸化物半導体中に酸素を供給することもできる。
【0071】
酸化物半導体の特性を悪化させる要因は、過剰な水素による伝導帯下0.1〜0.2eV
の準位や、酸素欠損による深い準位、などに起因するものと考えられる。これらの欠陥を
無くすために、水素を徹底的に除去し、酸素を十分に供給するという技術思想は正しいも
のであろう。
【0072】
なお、酸化物半導体は一般にn型とされているが、開示する発明の一態様では、水や水素
などの不純物を除去すると共に、酸化物半導体の構成元素である酸素を供給することでi
型化を実現する。この点、シリコンなどのように不純物を添加してのi型化ではなく、従
来にない技術思想を含むものといえる。
【0073】
また、酸化物半導体をi型化することにより、トランジスタの温度特性が良好であり、代
表的には、−25℃から150℃までの温度範囲において、トランジスタの電流電圧特性
において、オン電流、オフ電流、電界効果移動度、S値、及びしきい値電圧の変動がほと
んどなく、温度による電流電圧特性の劣化がほとんどない。
【0074】
本実施の形態の技術思想は、酸化物半導体中に、何らかの不純物をさらに加えることをせ
ずに、逆に不本意に存在する水、水素という不純物を意図的に除去することにより、酸化
物半導体自体を高純度化することである。すなわち、ドナー準位を構成する水または水素
を除去し、さらに酸素欠損を低減し、酸化物半導体を構成する主成分材料の酸素を十分に
供給することにより、酸化物半導体を高純度化することである。
【0075】
酸化物半導体成膜時点では1020/cmのレベルの水素が酸化物半導体中に存在する
ことが二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Sp
ectrometry)で測定される。このドナー準位の原因となる水または水素を意図
的に除去し、さらに水または水素の除去に伴い同時に減少してしまう酸素(酸化物半導体
の成分の一つ)を酸化物半導体に加えることにより、酸化物半導体を高純度化し、電気的
にi型(真性)半導体とする。
【0076】
また、本実施の形態においては、酸化物半導体中の水、水素の量は少なければ少ないほど
好ましく、キャリアも少なければ少ないほど良い。すなわち、キャリア濃度は1×10
/cm未満、さらに好ましくは1.45×1010/cm未満が求められる。更に
は、本実施の形態の技術思想的には、ゼロに近いまたはゼロが理想である。特に、酸化物
半導体を、酸素、窒素、または超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1
ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気で、450℃以上850℃以下、
好ましくは550℃以上750℃以下の加熱処理をすることにより、n型不純物となる水
、または水素を除去し、高純度化することができる。また、水、または水素等の不純物を
除去することにより、酸化物半導体を高純度化することで、キャリア濃度を1×1012
/cm未満、さらに好ましくは1.45×1010/cm未満とすることができる。
酸化物半導体のキャリアを低減し、好ましくは無くしてしまうことで、トランジスタにお
いて酸化物半導体はキャリアを通過させる通路(パス)として機能する。
【0077】
このように、酸化物半導体膜の主成分以外の不純物、代表的には水素、水、水酸基または
水素化物などが極力含まれないように高純度化することにより、トランジスタの動作を良
好なものとすることができる。また、BT試験前後におけるトランジスタのしきい値電圧
の変化量を抑制することができ、高い信頼性を実現することができる。また、電気特性の
温度依存性を抑制することができる。
【0078】
<他の半導体材料との比較>
酸化物半導体との比較対象たり得る半導体材料としては、炭化珪素(例えば、4H−Si
C)がある。酸化物半導体と4H−SiCはいくつかの共通点を有している。キャリア濃
度はその一例である。常温でのフェルミ・ディラック分布を用いると、酸化物半導体の少
数キャリアは10−7/cm程度と見積もられるが、これは、4H−SiCにおける6
.7×10−11/cmと同様、極めて低い値である。シリコンの真性キャリア濃度(
1.45×1010/cm程度)と比較すれば、その程度が並はずれていることが良く
理解できる。
【0079】
また、酸化物半導体のエネルギーバンドギャップは3.0〜3.5eVであり、4H−S
iCのエネルギーバンドギャップは3.26eVであるから、ワイドギャップ半導体とい
う点においても、酸化物半導体と炭化珪素とは共通している。
【0080】
一方で、酸化物半導体と炭化珪素との間には極めて大きな相違点が存在する。それは、プ
ロセス温度である。炭化珪素は一般に1500℃〜2000℃の熱処理を必要とするから
、他の半導体材料を用いた半導体素子との積層構造は困難である。このような高い温度で
は、半導体基板や半導体素子などが破壊されてしまうためである。他方、酸化物半導体は
、300〜800℃の熱処理で作製することができ、他の半導体材料を用いて集積回路を
形成した上で、酸化物半導体による半導体素子を形成することができる。
【0081】
また、炭化珪素の場合と異なり、酸化物半導体は、ガラス基板など、耐熱性の低い基板を
用いることが可能であるという利点を有する。さらに、高温での熱処理が不要という点で
、炭化珪素と比較してエネルギーコストを十分に低くすることができるという利点を有す
る。さらに、炭化珪素は結晶欠陥や意図せずに混入した微量の不純物がキャリアを発生さ
せる要因となる。このため、理論的には、炭化珪素で、本発明の一態様の酸化物半導体と
同等な低キャリア濃度が得られるが、現実には、上記のような理由により1012/cm
以下のキャリア濃度を得ることは難しい。上記のことは、同じくワイドギャップ半導体
として知られている窒化ガリウムと酸化物半導体との比較に関しても言える。
【0082】
<酸化物半導体を用いたトランジスタの電導機構>
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタの電導機構につき、図7乃至図10を用いて
説明する。なお、以下の説明では、理解の容易のため理想的な状況を仮定しており、その
すべてが現実の様子を反映しているとは限らない。また、以下の説明はあくまでも一考察
に過ぎず、発明の有効性に影響を与えるものではないことを付記する。
【0083】
図7は、酸化物半導体を用いた逆スタガ型のトランジスタ(薄膜トランジスタ)の断面図
を示す。酸化物半導体層(OS)上にソース電極層(S)及びドレイン電極層(D)が設
けられ、その上にゲート絶縁層(GI)を介してゲート電極層(GE)が設けられている

【0084】
図8には、図7のA−A’断面におけるエネルギーバンド図(模式図)を示す。また、図
8において、黒丸(●)は電子を示し、白丸(○)は正孔を示し、それぞれは電荷(−q
、+q)を有している。ドレインに正の電圧(V>0)を印加した上で、ゲートに電圧
を印加しない場合(V=0)を破線で示し、ゲートに正の電圧(V>0)を印加した
場合を実線で示す。ゲートに電圧を印加しない場合は、高いポテンシャル障壁のために、
電極から酸化物半導体側へキャリア(電子)が注入されず、電流を流さないオフ状態を示
す。一方、ゲートに正の電圧を印加すると、ポテンシャル障壁が低下し、電流を流すオン
状態を示す。
【0085】
このとき電子は、図9(A)で示すようにゲート絶縁層と高純度化された酸化物半導体と
の界面付近(酸化物半導体のエネルギー的に安定な最低部)を移動する。
【0086】
また、図9(B)に示すように、ゲート電極(GE)に負の電位が与えられると、少数キ
ャリアであるホールは実質的にゼロであるため、電流は限りなくゼロに近い値となる。
【0087】
このように酸化物半導体の主成分以外の元素(不純物元素)が極力含まれないように高純
度化することにより、真性(i型)又は実質的に真性となるため、ゲート絶縁層との界面
特性が顕在化する。そのため、ゲート絶縁層には、酸化物半導体と良好な界面を形成でき
るものが要求される。具体的には、例えば、VHF帯〜マイクロ波帯の電源周波数で生成
される高密度プラズマを用いたCVD法で作製される絶縁層や、スパッタリング法で作製
される絶縁層などを用いることが好ましい。
【0088】
酸化物半導体を高純度化しつつ、酸化物半導体とゲート絶縁層との界面を良好なものとす
ることにより、例えば、トランジスタのチャネル幅Wが1×10μm、チャネル長Lが
3μmの場合には、常温で、10−13A以下のオフ電流、0.1V/dec.のサブス
レッショルドスイング値(S値)(ゲート絶縁層の厚さ:100nm)が実現され得る。
【0089】
このように、酸化物半導体の主成分以外の元素(不純物元素)が極力含まれないように高
純度化することにより、トランジスタの動作を良好なものとすることができる。
【0090】
<酸化物半導体を用いたトランジスタのホットキャリア劣化耐性>
次に、酸化物半導体を用いたトランジスタのホットキャリア劣化耐性につき、図11乃至
図13を用いて説明する。なお、以下の説明では、理解の容易のため理想的な状況を仮定
しており、そのすべてが現実の様子を反映しているとは限らない。また、以下の説明はあ
くまでも一考察に過ぎないことを付記する。
【0091】
ホットキャリア劣化の主要因としては、チャネルホットエレクトロン注入(CHE注入)
とドレインアバランシェホットキャリア注入(DAHC注入)がある。なお、以下では簡
単のため、電子のみを考慮する。
【0092】
CHE注入とは、半導体層中においてゲート絶縁層との障壁以上のエネルギーを有するよ
うになった電子が、ゲート絶縁層などに注入される現象をいう。電子へのエネルギーの授
与は、低電界で加速されることによって行われる。
【0093】
DAHC注入とは、高電界により加速された電子の衝突によって生じる新たな電子がゲー
ト絶縁層などに注入される現象を言う。DAHC注入とCHE注入との相違は、衝突イオ
ン化によるアバランシェ降伏を伴うか否かにある。なお、DAHC注入では、半導体のバ
ンドギャップ以上の運動エネルギーを持つ電子が必要となる。
【0094】
図11及び図12に、シリコン(Si)とIn−Ga−Zn−O系の酸化物半導体(IG
ZO)のバンド構造から見積もった各種ホットキャリア注入に要するエネルギーを示す。
図11及び図12においては、左がCHE注入、右がDAHC注入を表す。
【0095】
シリコンでは、CHE注入よりもDAHC注入による劣化が深刻となる。これは、シリコ
ン中において衝突せずに加速されるキャリア(例えば電子)はごく僅かであるものの、シ
リコンはバンドギャップが小さく、アバランシェ降伏が生じやすいことに起因している。
アバランシェ降伏によりゲート絶縁層の障壁を越えられる電子の数は増加し、アバランシ
ェ降伏を伴わない場合に比較して、ホットエレクトロンの発生確率が大きくなるのである

【0096】
In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体では、CHE注入に必要なエネルギーはシリコン
の場合と大きく異ならず、シリコンと同様にその確率は低いものである。しかしながら、
DAHC注入に必要なエネルギーは、バンドギャップの広さからCHE注入に必要なエネ
ルギーと同程度となり、シリコンの場合よりも大きいので、そもそもDAHC注入が起こ
りにくい。
【0097】
つまり、CHE注入とDAHC注入の確率はいずれも低く、シリコンと比較してホットキ
ャリア劣化の耐性は高い。
【0098】
ところで、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体のバンドギャップは高耐圧材料として
注目される炭化シリコン(SiC)と同程度である。図13に、4H−SiCについての
各種ホットキャリア注入に必要なエネルギーを示す。CHE注入に関しては、In−Ga
−Zn−O系の酸化物半導体の方が若干そのしきいが高く、有利といえる。
【0099】
以上、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体はシリコンと比較してホットキャリア劣化
への耐性やソース−ドレイン破壊への耐性が非常に高いということが分かる。また、炭化
シリコンと比較しても遜色のない耐圧が得られるといえる。
【0100】
<酸化物半導体を用いたトランジスタにおける短チャネル効果>
次に、酸化物半導体を用いたトランジスタにおける短チャネル効果に関し、図14及び図
15を用いて説明する。なお、以下の説明では、理解の容易のため理想的な状況を仮定し
ており、そのすべてが現実の様子を反映しているとは限らない。また、以下の説明はあく
までも一考察に過ぎないことを付記する。
【0101】
短チャネル効果とは、トランジスタの微細化(チャネル長(L)の縮小)に伴って顕在化
する電気特性の劣化をいう。短チャネル効果は、ドレイン近傍の電界分布の影響がソース
にまでおよぶことに起因するものである。短チャネル効果の具体例としては、しきい値電
圧の低下、S値の増大、漏れ電流の増大などがある。
【0102】
ここでは、計算結果(デバイスシミュレーション)を用い、短チャネル効果を抑制するこ
とができる構造に関して検証した。具体的には、キャリア濃度及び酸化物半導体層の厚さ
が異なる4種類のモデルを用意して、チャネル長(L)としきい値電圧(Vth)の関係
を確認した。モデルとしては、ボトムゲート構造のトランジスタを採用し、キャリア濃度
を1.7×10−8/cm、又は1.0×1015/cmのいずれかとし、酸化物半
導体層の厚さを1μm、又は30nmのいずれかとした。なお、酸化物半導体としてIn
−Ga−Zn−O系の酸化物半導体を、ゲート絶縁層として100nmの厚さの酸化窒化
珪素膜を採用した。酸化物半導体のバンドギャップを3.15eV、電子親和力を4.3
eV、比誘電率を15、電子移動度を10cm/Vsと仮定した。酸化窒化珪素膜の比
誘電率を4.0と仮定した。計算にはシルバコ社製デバイスシミュレーションソフト「A
tlas」を使用した。
【0103】
なお、トップゲート構造とボトムゲート構造では、計算結果に大きな相違はない。
【0104】
計算結果を図14及び図15に示す。図14は、キャリア濃度が1.7×10−8/cm
の場合、図15は、キャリア濃度が1.0×1015/cmの場合である。図14及
び図15には、チャネル長(L)が10μmのトランジスタを基準とし、チャネル長(L
)を10μmから1μmまで変化させたときのしきい値電圧(Vth)の変化量(ΔVt
h)を示している。図14に示すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.7×10
/cmであり、酸化物半導体層の厚さが1μmの場合は、しきい値電圧の変化量(Δ
Vth)はΔVth=−3.6Vであった。また、図14に示すとおり、酸化物半導体の
キャリア濃度が1.7×10−8/cmであり、酸化物半導体層の厚さが30nmの場
合は、しきい値電圧の変化量(ΔVth)はΔVth=―0.2Vであった。図15に示
すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.0×1015/cmであり、酸化物半導
体層の厚さが1μmの場合は、しきい値電圧の変化量(ΔVth)はΔVth=−3.6
Vであった。また、図15に示すとおり、酸化物半導体のキャリア濃度が1.0×10
/cmであり、酸化物半導体層の厚さが30nmの場合は、しきい値電圧の変化量(
ΔVth)はΔVth=−0.2Vであった。当該結果は、酸化物半導体を用いたトラン
ジスタにおいて、酸化物半導体層の膜厚を小さくすることで、短チャネル効果を抑制でき
ることを示すものといえる。例えば、チャネル長が1μm程度の場合、キャリア濃度が十
分に小さい酸化物半導体層であっても、その厚さを30nm程度とすれば、短チャネル効
果を十分に抑制することができることが理解される。
【0105】
<キャリア濃度について>
開示する発明に係る技術思想は、酸化物半導体層におけるキャリア濃度を十分に小さくし
、できるだけ真性(i型)に近づけようとするものである。以下、キャリア濃度の求め方
、及び、実際に測定したキャリア濃度に関し、図16及び図17を参照して説明する。
【0106】
まず、キャリア濃度の求め方について簡単に説明する。キャリア濃度は、MOSキャパシ
タを作製し、MOSキャパシタのCV測定(Capacitance Voltage
Measurement)の結果(CV特性)を評価することで求めることができる。
【0107】
より具体的には、MOSキャパシタのゲート電圧Vgと容量Cとの関係をプロットしたC
−V特性を取得し、当該C−V特性からゲート電圧Vgと(1/C)との関係を表すグ
ラフを取得し、当該グラフにおいて弱反転領域での(1/C)の微分値を求め、当該微
分値を式(1)に代入することによりキャリア濃度Nの大きさが求められる。なお、式
(1)において、qは電気素量、εは真空の誘電率、εは酸化物半導体の比誘電率であ
る。
【0108】
【数1】

【0109】
次に、上記の方法を用いて実際に測定したキャリア濃度について説明する。測定には、ガ
ラス基板上にチタン膜を300nmの厚さで形成し、チタン膜上に窒化チタン膜を100
nmの厚さで形成し、窒化チタン膜上に、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体を用い
た酸化物半導体層を2μmの厚さで形成し、酸化物半導体層上に銀膜を300nmの厚さ
で形成した試料(MOSキャパシタ)を用いた。なお、酸化物半導体層は、In、Ga、
及びZnを含む酸化物半導体成膜用ターゲット(組成比として、In2O3:Ga2O3
:Ga2O3:ZnO=1:1:1[mol数比]、又はIn:Ga:Zn
O=1:1:2[mol数比]、又はIn:Ga:ZnO=1:1:4[m
ol数比]を有するターゲット)などを用いたスパッタリング法により形成した。また、
酸化物半導体層の形成雰囲気は、アルゴンと酸素の混合雰囲気(流量比は、Ar:O
30(sccm):15(sccm))とした。
【0110】
図16にはC−V特性を、図17にはVgと(1/C)との関係を、それぞれ示す。図
17の弱反転領域における(1/C)の微分値から式(1)を用いて得られたキャリア
濃度は、6.0×1010/cmであった。
【0111】
このように、エネルギーギャップが大きく、i型化又は実質的にi型化された酸化物半導
体(例えば、キャリア濃度が1×1012/cm未満、望ましくは、1.45×10
/cm未満)を用いることで、極めて優れたオフ電流特性で、ノーマリーオフのトラ
ンジスタを得ることができる。
【0112】
以上のことから、本発明の一態様の半導体素子は、酸化物半導体中で電子供与体(ドナー
)となる不純物を除去することで、真性又は実質的に真性な半導体であって、シリコン半
導体よりもエネルギーギャップが大きい酸化物半導体でチャネル領域が形成されることが
望ましい。エネルギーギャップが大きく、水素濃度が十分に低減されて高純度化された酸
化物半導体を用いた半導体素子を作製することで、オフ電流が少なく、トランジスタ特性
の温度依存性が小さいノーマリーオフの半導体装置を実現できる。また、該半導体素子を
用いることで、リーク電流による消費電力の少ない半導体装置を実現できる。
【0113】
本発明の一態様の半導体素子は、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を設けることに
より、チャネル長Lが短く微細化が可能な、酸化物半導体層を用いたトップゲート型の半
導体素子を実現することができる。
【0114】
また、本発明の一態様の半導体素子は、チャネル長Lが短く微細化が可能なため、LSI
やCPUやメモリなどの半導体集積回路に用いることによって、回路の動作速度を高速化
し、さらには消費電力を低減させることができる。
【0115】
また、本発明の一態様の半導体素子は、側壁によってソース電極層及びドレイン電極層の
側面にテーパがつけられるので、ゲート絶縁層のカバレッジが向上し、ゲート電極層と、
ソース電極層又はドレイン電極層のショートを防ぐことができ、信頼性の高い半導体素子
、及び該半導体素子を用いた信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0116】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0117】
(実施の形態2)
本実施の形態では、半導体素子の作製方法の一例について説明する。本実施の形態の半導
体素子の作製方法の一形態を、図2を用いて説明する。
【0118】
以下、図2を用い、絶縁表面を有する基板101上に実施の形態1で示したトランジスタ
200及び201を作製する工程を説明する。
【0119】
絶縁表面を有する基板101に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なく
とも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、ア
ルミノシリケートガラス、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどの
ガラス基板を用いることができる。
【0120】
また、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラス基板などを用いることができる。
また、表面に絶縁層を有する半導体基板や、プラスチック基板等も適宜用いることができ
る。
【0121】
まず、絶縁表面を有する基板101上に第1の絶縁層103を形成する。第1の絶縁層1
03は、プラズマCVD法又はスパッタ法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層
、酸化窒化シリコン層又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して形成する。
【0122】
なお、実施の形態1で示したトランジスタ201を作製する場合は、絶縁表面を有する基
板101上に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程により、電極層102を形成
し、その後、電極層102を覆う第1の絶縁層103を形成する。電極層102の材料は
、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、又は上述した元素を成分
とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金等を用いることができる。本実施の形態
では、電極層102は窒化タングステン層と、タングステン層の積層構造とする。
【0123】
次いで、第1の絶縁層103上に第2の絶縁層105を形成する。酸化物半導体層と接す
る第2の絶縁層105は、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、
又は酸化窒化アルミニウム層などの酸化物絶縁層を用いると好ましい。第2の絶縁層10
5の形成方法としては、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いることができる
が、第2の絶縁層105中に水素が多量に含まれないようにするためには、スパッタリン
グ法で第2の絶縁層105を成膜することが好ましい。
【0124】
本実施の形態では、第2の絶縁層105として、スパッタリング法により酸化シリコン層
を形成する。基板101を処理室へ搬送し、水素及び水分が除去された高純度酸素を含む
スパッタガスを導入しシリコンターゲットを用いて、基板101に第2の絶縁層105と
して、酸化シリコン層を成膜する。また基板101は室温でもよいし、加熱されていても
よい。
【0125】
例えば、石英(好ましくは合成石英)を用い、基板温度108℃、基板とターゲットの間
との距離(T−S間距離)を60mm、圧力0.4Pa、高周波電源電力1.5kW、酸
素及びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm=1:1)雰囲気下
でRFスパッタリング法により酸化シリコン層を成膜する。膜厚は100nmとする。な
お、石英(好ましくは合成石英)に代えてシリコンターゲットを、酸化シリコン層を成膜
するためのターゲットとして用いることができる。なお、スパッタガスとして酸素又は、
酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0126】
この場合において、処理室内の残留水分を除去しつつ第2の絶縁層105を成膜すること
が好ましい。第2の絶縁層105に水素、水酸基又は水分が含まれないようにするためで
ある。
【0127】
処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。
例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが
好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであ
ってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば、水素原子や、水(H
O)など水素原子を含む化合物等が排気されるため、当該処理室で成膜し第2の絶縁層1
05に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0128】
また、第2の絶縁層105は積層構造でもよく、例えば、基板101側から窒化シリコン
層、窒化酸化シリコン層、又は窒化アルミニウム層などの窒化物絶縁層と、上記酸化物絶
縁層との積層構造としてもよい。
【0129】
例えば、酸化シリコン層と基板との間に水素及び水分が除去された高純度窒素を含むスパ
ッタガスを導入しシリコンターゲットを用いて窒化シリコン層を成膜する。この場合にお
いても、酸化シリコン層と同様に、処理室内の残留水分を除去しつつ窒化シリコン層を成
膜することが好ましい。
【0130】
窒化シリコン層を形成する場合も、成膜時に基板を加熱してもよい。
【0131】
第2の絶縁層105として窒化シリコン層と酸化シリコン層とを積層する場合、窒化シリ
コン層と酸化シリコン層を同じ処理室において、共通のシリコンターゲットを用いて成膜
することができる。先に窒素を含むスパッタガスを導入して、処理室内に装着されたシリ
コンターゲットを用いて窒化シリコン層を形成し、次にスパッタガスを、酸素を含むスパ
ッタガスに切り替えて同じシリコンターゲットを用いて酸化シリコン層を成膜する。窒化
シリコン層と酸化シリコン層とを大気に曝露せずに連続して形成することができるため、
窒化シリコン層表面に水素や水分などの不純物が吸着することを防止することができる。
【0132】
次いで、第2の絶縁層105上に、膜厚3nm以上50nm以下の酸化物半導体膜を形成
する。短チャネル効果を十分に抑制するために、特に膜厚3nm以上20nm以下の酸化
物半導体膜を形成することが好ましい。
【0133】
酸化物半導体膜としては、エネルギーギャップが大きく、酸化物半導体中で電子供与体(
ドナー)となる水素などの不純物を十分に除去することで、高純度化された酸化物半導体
を用いる。
【0134】
また、キャリア濃度は、ホール効果(Hall effect)測定により測定すること
ができる。ホール効果測定により測定される酸化物半導体のキャリア濃度は、シリコンの
真性キャリア濃度1.45×1010/cmと同等、もしくはそれ以下である。なお、
常温でのフェルミ・ディラック分布を用いると、シリコンの真性キャリア濃度は1010
/cmであるのに対し、エネルギーギャップが3eV以上ある酸化物半導体の真性キャ
リア濃度は10−7/cmである。即ち、酸化物半導体の真性キャリア濃度は、限りな
くゼロに近い。
【0135】
本実施の形態で用いる酸化物半導体層107のキャリア濃度は、1×1012/cm
満、好ましくは1×1011/cm未満であり、キャリア濃度を限りなくゼロに近くす
ることができる。
【0136】
また、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、
成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で第2の絶縁層105が形成され
た基板101を予備加熱し、基板101に吸着した水素、水分などの不純物を脱離し排気
することが好ましい。なお、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。
なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。
【0137】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前に、アルゴンガスを導入して
プラズマを発生させる逆スパッタを行い、第2の絶縁層105の表面に付着しているゴミ
を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴ
ン雰囲気下で基板側に高周波電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して
表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを
用いてもよい。
【0138】
酸化物半導体膜はスパッタリング法により成膜する。酸化物半導体膜としては、四元系金
属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O膜や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−
Zn−O膜、In−Sn−Zn−O膜、In−Al−Zn−O膜、Sn−Ga−Zn−O
膜、Al−Ga−Zn−O膜、Sn−Al−Zn−O膜や、二元系金属酸化物であるIn
−Zn−O膜、Sn−Zn−O膜、Al−Zn−O膜、Zn−Mg−O膜、Sn−Mg−
O膜、In−Mg−O膜や、一元系金属酸化物であるIn−O膜、Sn−O膜、Zn−O
膜などの酸化物半導体膜を用いることができる。また、上記酸化物半導体膜にSiO
含んでもよい。
【0139】
また、酸化物半導体膜は、InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いる
ことができる。ここで、Mは、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一又は複数の金属
元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、又はGa及びCoな
どがある。
【0140】
本実施の形態では、酸化物半導体膜をIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体成膜用ターゲ
ットを用いてスパッタリング法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(代表
的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(代表的にはアルゴン)及び酸素
混合雰囲気下においてスパッタリング法により形成することができる。また、スパッタリ
ング法を用いる場合、SiOを2重量%以上10重量%以下含むターゲットを用いて成
膜を行ってもよい。
【0141】
In−Ga−Zn−O系酸化物半導体成膜用ターゲットの例としては、In、Ga、及び
Znを含む酸化物半導体成膜用ターゲット(組成比として、In:Ga:Z
nO=1:1:1[mol数比)などを用いることもできる。また、In、Ga、および
Znを含む酸化物半導体成膜用ターゲットとして、In:Ga:ZnO=1
:1:2[mol数比]、又はIn:Ga:ZnO=1:1:4[mol数
比]の組成比を有するターゲットを用いることもできる。酸化物半導体成膜用ターゲット
の充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下である。充填
率の高い酸化物半導体成膜用ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は
緻密な膜となる。
【0142】
減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及
び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて基板101上に酸化
物半導体膜を成膜する。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを
用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーショ
ンポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドト
ラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した処理室は、例えば
、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化
合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の
濃度を低減できる。また、酸化物半導体膜成膜時に基板を加熱してもよい。
【0143】
成膜条件の一例としては、基板温度は室温、基板とターゲットの間との距離を60mm、
圧力0.4Pa、直流(DC)電源電力0.5kW、酸素及びアルゴン(酸素流量15s
ccm:アルゴン流量30sccm)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(
DC)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ゴミともいう)が軽
減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0144】
次いで、酸化物半導体膜を第1のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層1
07に加工する。また、島状の酸化物半導体層107を形成するためのレジストマスクを
インクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフ
ォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0145】
なお、ここでの酸化物半導体膜のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチン
グでもよく、両方を用いてもよい。
【0146】
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例え
ば塩素(Cl)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(
CCl)など)が好ましい。
【0147】
また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(S
)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(H
Br)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガ
スを添加したガス、などを用いることができる。
【0148】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etch
ing)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導
結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。
【0149】
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液など
を用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
【0150】
また、ウェットエッチング後のエッチング液はエッチングされた材料とともに洗浄によっ
て除去される。その除去された材料を含むエッチング液の廃液を精製し、含まれる材料を
再利用してもよい。当該エッチング後の廃液から酸化物半導体層に含まれるインジウム等
の材料を回収して再利用することにより、資源を有効活用し低コスト化することができる

【0151】
所望の加工形状にエッチングできるように、材料に合わせてエッチング条件(エッチング
液、エッチング時間、温度等)を適宜調節する。
【0152】
本実施の形態では、エッチング液として燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液を用いたウェット
エッチング法により、酸化物半導体膜を島状の酸化物半導体層107に加工する。
【0153】
本実施の形態では、酸化物半導体層107に、第1の加熱処理を行う。第1の加熱処理の
温度は、300℃以上800℃以下、好ましくは400℃以上700℃以下とする。ここ
では、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層107に対して
窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸
化物半導体層への水や水素の混入を防ぎ、酸化物半導体層を得る。この第1の加熱処理に
よって酸化物半導体層107の脱水化又は脱水素化を行うことができる。
【0154】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻
射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Ann
eal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライド
ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水
銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置で
ある。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アル
ゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気
体が用いられる。
【0155】
例えば、第1の加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基
板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中
から出すGRTAを行ってもよい。GRTAを用いると短時間での高温加熱処理が可能と
なる。
【0156】
なお、第1の加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに
、水、水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又は
ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ま
しくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは
0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0157】
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物
半導体膜に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱装置から基板を
取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
【0158】
酸化物半導体層に対する脱水化、脱水素化の効果を奏する加熱処理は、酸化物半導体層成
膜後、酸化物半導体層上にソース電極層及びドレイン電極層を積層させた後、ソース電極
層及びドレイン電極層に側壁となる膜を設けた後、ソース電極層及びドレイン電極層上に
ゲート絶縁層を形成した後、などのいずれで行っても良い。
【0159】
ただし、成膜時に水素や水分が十分低減され、高純度化された酸化物半導体層を得ること
ができれば、第1の加熱処理は特に行わなくともよい。成膜時に水素や水分が十分低減さ
れ、高純度化された酸化物半導体層を得る場合は、減圧状態に保持された処理室内に基板
を保持し、基板を室温又は400℃未満の温度に加熱する。そして、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、金属酸化物をターゲット
として基板上に酸化物半導体層を成膜する。クライオポンプを用いて排気した処理室は、
例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を
含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体層に含まれる不
純物の濃度を低減できる。クライオポンプにより処理室内に残留する水分を除去しながら
スパッタ成膜を行うことで、酸化物半導体層を成膜する際の基板温度は室温から400℃
未満とすることができる。
【0160】
次いで、第2の絶縁層105及び酸化物半導体層107上に、導電膜を形成する。導電膜
はスパッタリング法や真空蒸着法で形成すればよい。導電膜の材料としては、Al、Cr
、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か
、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、マンガン、マグネシウム、
ジルコニウム、ベリリウムのいずれか一又は複数から選択された材料を用いてもよい。ま
た、金属導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコン
を含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チ
タン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を
成膜する3層構造などが挙げられる。また、Alに、チタン(Ti)、タンタル(Ta)
、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカ
ンジウム(Sc)から選ばれた元素を単数、又は複数組み合わせた膜、合金膜、もしくは
窒化膜を用いてもよい。本実施の形態では、導電膜としてチタン膜(膜厚10nm以上1
00nm以下)、アルミニウム膜(膜厚20nm以上500nm以下)及びチタン膜(膜
厚10nm以上100nm以下)の積層膜を形成する。
【0161】
次いで、第2のフォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成し、選択
的にエッチングを行って、ソース電極層109a、ドレイン電極層109bを形成する(
図2(A))。
【0162】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層107が除去されて、その下の第2の
絶縁層105が露出しないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。
【0163】
本実施の形態では、酸化物半導体層107にはIn−Ga−Zn−O系酸化物を用いて、
エッチング液としてクエン酸やシュウ酸などの有機酸や、ITO07N(関東化学社製)
などを用いることができる。
【0164】
なお、第2のフォトリソグラフィ工程では、酸化物半導体層107の一部もエッチングさ
れ、溝部(凹部)を有する酸化物半導体層となることもある。また、ソース電極層109
a及びドレイン電極層109bを形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形
成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しな
いため、製造コストを低減できる。
【0165】
第2のフォトリソグラフィ工程でのレジストマスク形成時の露光には、紫外線やKrFレ
ーザ光やArFレーザ光を用いる。
【0166】
次いで、酸化物半導体層107、ソース電極層109a、及びドレイン電極層109b上
に絶縁層120を形成する(図2(B))。
【0167】
絶縁層120としては、スパッタリング法を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、
酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化アルミニウム膜などを形
成することができる。
【0168】
次いで、全面エッチングを用いて、絶縁層120のほとんどを除去して、ソース電極層1
09a及びドレイン電極層109bの側面に、酸化物半導体層107の上面と接する側壁
121を形成する(図2(C))。このとき、絶縁層120は、ソース電極層109a及
びドレイン電極層109bに接している平面部に比べて、酸化物半導体層107に接して
いる下端部の方が厚いため、エッチング条件を適宜選択することで、所望の形状の側壁1
21を残すことができる。エッチング条件としては、反応性イオンが基板に対して垂直に
入射する異方性エッチングが可能な条件を用いる。絶縁層から形成した側壁121は、絶
縁性の側壁となる。
【0169】
また、側壁121は、導電性を有する材料、例えば金属材料を用いて形成しても良い。具
体的には、ソース電極層109a及びドレイン電極層109b上に、絶縁層120の代わ
りに、金属膜を形成する。金属膜はスパッタリング法により、チタン、アルミニウム、タ
ングステン等の金属元素、又は金属元素を成分とする合金か、金属元素を組み合わせた合
金等の金属材料を用いて形成することができる。
【0170】
次いで、エッチングを行って、金属膜のほとんどを除去して、酸化物半導体層107の上
面と接する、ソース電極層109a及びドレイン電極層109bの側壁121を形成する
。導電性を有する材料から形成した側壁121は導電性の側壁となり、ソース電極層10
9a又はドレイン電極層109bの側面と電気的に接続する。また、それぞれの側壁は、
自身の下端部を酸化物半導体層107に接して電気的に接続する。
【0171】
次いで、ソース電極層109a、ドレイン電極層109b、側壁121、及び酸化物半導
体層107上に、ゲート絶縁層117を形成する。
【0172】
ゲート絶縁層117は、スパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリコン層
、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化ハフニウム層、酸化タンタル層、又は
酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成することができる。なお、ゲート絶縁層1
17中に水素が多量に含まれないようにするためには、スパッタリング法でゲート絶縁層
117を成膜することが好ましい。スパッタリング法により酸化シリコン膜を成膜する場
合には、ターゲットとしてシリコンターゲット又は石英ターゲットを用い、スパッタガス
として酸素又は、酸素及びアルゴンの混合ガスを用いて行う。
【0173】
ゲート絶縁層117は、ソース電極層109a及びドレイン電極層109b側から酸化シ
リコン層と窒化シリコン層を積層した構造とすることもできる。例えば、第1のゲート絶
縁層として膜厚5nm以上300nm以下の酸化シリコン層(SiO(x>0))を形
成し、第1のゲート絶縁層上に第2のゲート絶縁層としてスパッタリング法により膜厚5
0nm以上200nm以下の窒化シリコン層(SiN(y>0))を積層して、膜厚1
00nmのゲート絶縁層としてもよい。本実施の形態では、圧力0.4Pa、高周波電源
電力1.5kW、酸素及びアルゴン(酸素流量25sccm:アルゴン流量25sccm
=1:1)雰囲気下でRFスパッタリング法により膜厚100nmの酸化シリコン層を形
成する。
【0174】
次に、ゲート絶縁層117上に導電膜を形成した後、第3のフォトリソグラフィ工程によ
りゲート電極層119を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成して
もよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため
、製造コストを低減できる。
【0175】
また、ゲート電極層119の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングス
テン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とす
る合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0176】
例えば、ゲート電極層119の2層の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン
層が積層された2層の積層構造、又は銅層上にモリブデン層を積層した2層構造、又は銅
層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタルを積層した2層構造、窒化チタン層とモリブデ
ン層とを積層した2層構造とすることが好ましい。3層の積層構造としては、タングステ
ン層又は窒化タングステンと、アルミニウムとシリコンの合金又はアルミニウムとチタン
の合金と、窒化チタン又はチタン層とを積層した3層構造とすることが好ましい。なお、
透光性を有する導電膜を用いてゲート電極層を形成することもできる。透光性を有する導
電膜としては、透光性導電性酸化物等をその例に挙げることができる。
【0177】
本実施の形態ではゲート電極層119としてスパッタリング法により膜厚150nmのタ
ングステン膜を形成する。
【0178】
次いで、不活性ガス雰囲気下、又は酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは20
0℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。本実施の形態では、
窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。また、第2の加熱処理は、ト
ランジスタ200上に保護絶縁層や平坦化絶縁層を形成してから行ってもよい。
【0179】
さらに大気中、100℃以上200℃以下、1時間以上30時間以下での加熱処理を行っ
てもよい。この加熱処理は一定の加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、10
0℃以上200℃以下の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回くり
かえして行ってもよい。また、この加熱処理を、酸化物絶縁層の形成前に、減圧下で行っ
てもよい。減圧下で加熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができる。
【0180】
以上の工程で、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を有する、チャネル長Lが短く微
細化が可能な、酸化物半導体層を用いたトップゲート型のトランジスタ200、201を
形成することができる(図2(D))。具体的に、チャネル長Lは、10nm〜1μmと
することができる。
【0181】
また、トランジスタ200、201上に保護絶縁層や、平坦化のための平坦化絶縁層を設
けてもよい。例えば、保護絶縁層として酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリ
コン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化アルミニウム層を単層で又は積層して形成するこ
とができる。
【0182】
また、平坦化絶縁層としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド
、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他
に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BP
SG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶
縁層を複数積層させることで、平坦化絶縁層を形成してもよい。
【0183】
平坦化絶縁層の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印
刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフ
コーター等を用いることができる。
【0184】
なお、シロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−
Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアル
キル基やアリール基)やフルオロ基を用いてもよい。また、有機基はフルオロ基を有して
いてもよい。
【0185】
また、トランジスタ200、201は、ゲート絶縁層117と第1の絶縁層103との両
方に、窒化シリコン膜を用いると、酸化物半導体層107の上下を窒化シリコン膜で挟む
ことができ、水素や水分が侵入することを効果的にブロックすることができる。このよう
な構成とすることで、酸化物半導体層107に含まれる水や水素を究極にまで濃度を低く
し、再び侵入しないようにすることができる。
【0186】
また、トランジスタ200、201はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明し
たが、必要に応じて、チャネル形成領域を複数有するマルチゲート構造のトランジスタも
形成することができる。
【0187】
以上のように、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を設けることで、チャネル長Lが
短く微細化が可能な、酸化物半導体層を用いたトップゲート型の半導体素子を実現するこ
とができる。また、本発明の一態様の半導体素子はチャネル長Lが短く微細化が可能なた
め、LSIやCPUやメモリなどの半導体集積回路に用いることによって、回路の動作速
度を高速化し、さらには消費電力を低減させることができる。
【0188】
また、本発明の一態様の半導体素子は、側壁によってソース電極層及びドレイン電極層の
側面にテーパがつけられるので、ゲート絶縁層のカバレッジが向上し、ゲート電極層と、
ソース電極層又はドレイン電極層のショートを防ぐことができ、信頼性の高い半導体素子
、及び該半導体素子を用いた信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0189】
また、エネルギーギャップが大きく、水素や水分などの不純物を除去することにより水素
濃度が十分に低減されて高純度化された酸化物半導体層を用いることで、オフ電流が少な
く、ノーマリーオフの半導体素子を作製できる。該半導体素子を用いることで、リーク電
流による消費電力の少ない半導体装置を実現できる。
【0190】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0191】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なるトランジスタの作製方法について図面を用い
て説明する。なお、本実施の形態で示す作製工程(適用できる材料等)は多くの部分で上
記実施の形態2と共通している。したがって、以下においては、重複する部分の説明は省
略し、異なる点について詳細に説明する。
【0192】
図28(B)に示すトランジスタ300は、絶縁表面を有する基板301上に、第1の絶
縁層303、第2の絶縁層305、酸化物半導体層307、第1のソース電極層309a
、第2のソース電極層311a、第1のドレイン電極層309b、第2のドレイン電極層
311b、第3の絶縁層315、側壁321、ゲート絶縁層317、及びゲート電極層3
19を含む。
【0193】
図28(B)に示すトランジスタ300の作製方法の一例に関して、図3を用いて説明す
る。
【0194】
まず、絶縁表面を有する基板301上に第1の絶縁層303を形成する。次いで、第1の
絶縁層303上に第2の絶縁層305を形成する。次いで、第2の絶縁層305上に、膜
厚3nm以上50nm以下、好ましくは膜厚3nm以上30nm以下の酸化物半導体膜を
形成し、第1のフォトリソグラフィ工程により島状の酸化物半導体層307に加工する。
本実施の形態では、酸化物半導体層307に、第1の加熱処理を行う。
【0195】
次いで、第2の絶縁層305及び酸化物半導体層307上に、第1の導電膜306及び第
2の導電膜308を形成する。第1の導電膜306及び第2の導電膜308は、実施の形
態2で示したソース電極層109a、ドレイン電極層109bと同じ材料を用い単層又は
積層で形成することができる。
【0196】
本実施の形態では、第1の導電膜306としてチタン膜(膜厚10nm以上100nm以
下)上にタングステン膜(膜厚10nm以上100nm以下)を積層した積層膜を形成し
、第2の導電膜308として、アルミニウム膜(膜厚20nm以上500nm以下)上に
チタン膜(膜厚10nm以上100nm以下)を積層した積層膜を形成する。第1の導電
膜306に、酸化物半導体を汚染する物質(具体的には水素など)を透過し難い材料を用
いるとバリア膜として機能する。例えば、第1の導電膜306に水素を透過し難いタング
ステン膜を用いると、酸化物半導体層307を汚染しうる成膜法(具体的にはCVD法)
を用いて、第2の導電膜308及び側壁となる絶縁層320を形成できる。
【0197】
次いで、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン層、窒化シリ
コン層、酸化窒化シリコン層、又は窒化酸化シリコン層を単層で又は積層して、第2の導
電膜308上に膜厚200nm以上2000nm以下の絶縁層310を形成する(図3(
A))。絶縁層としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エ
ポキシなどの、耐熱性を有する有機材料を用いることもできる。また上記有機材料の他に
、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPS
G(リンボロンガラス)などを用いても良い。
【0198】
絶縁層の形成方法は、特に限定されず、その材料に応じてスパッタリング法、SOG法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印
刷、オフセット印刷など)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイ
フコーターなどを用いることもできる。
【0199】
次いで、第2のフォトリソグラフィ工程により絶縁層310上にレジストマスクを形成し
、選択的にエッチングを行って、第2のソース電極層311a、第2のドレイン電極層3
11b、第3の絶縁層315を形成する(図3(B))。
【0200】
第3の絶縁層315は、後に形成されるゲート電極層319と、第2のソース電極層31
1a又は第2のドレイン電極層311bとの間に形成される寄生容量を低減するために設
けられている。一方、第3の絶縁層315を設けることで、第2のソース電極層311a
及び第2のドレイン電極層311bにテーパをつけるためには、第3の絶縁層315と、
第2のソース電極層311a及び第2のドレイン電極層311bの選択比等のエッチング
条件を調整する必要があり、エッチングによる加工が困難となる。第2のソース電極層3
11a及び第2のドレイン電極層311bはテーパ加工しないと、上に積層するゲート絶
縁層317のカバレッジが低下するという問題が生じる。しかし、本発明の一態様のトラ
ンジスタは、側壁321によって第2のソース電極層311a及び第2のドレイン電極層
311bの側面にテーパがつけられるので、第2のソース電極層311a及び第2のドレ
イン電極層311bの端部をテーパ加工する必要が無く、トランジスタの作製が容易とな
る。
【0201】
次いで、第1の導電膜306、第2のソース電極層311a、第2のドレイン電極層31
1b、及び第3の絶縁層315上に絶縁層320を形成する(図3(C))。
【0202】
絶縁層320としては、スパッタリング法を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、
酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化アルミニウム膜などを形
成することができる。また、絶縁層320の他に、金属膜を用いても良い。また、第1の
導電膜306に、酸化物半導体を汚染する物質(具体的には水素など)を透過し難い材料
を用いる場合は、CVD法を用いて絶縁層320を形成しても良い。CVD法を用いて側
壁となる絶縁層320を形成すると、絶縁層320が均一な膜厚で成膜できるため、好ま
しい。
【0203】
次いで、全面エッチングを用いて、絶縁層320のほとんどを除去して、第2のソース電
極層311a又は第2のドレイン電極層311bの側面に側壁321を形成する。このと
き、側壁321の下端部は、第1の導電膜306の上面と接する(図3(D))。このと
き、絶縁層320は、第3の絶縁層315に接している平面部に比べて、第1の導電膜3
06に接している下端部の方が厚いため、エッチング条件を適切に選択することで、側壁
321として、所望の形状に残すことができる。エッチング条件としては、反応性イオン
が基板に対して垂直に入射する異方性エッチングが可能な条件を用いる。また、側壁32
1は、さらに第3の絶縁層315の側面に接していても良い。
【0204】
次いで、第3の絶縁層315、及び側壁321をハードマスクとして用い、第1の導電膜
306をエッチングすることにより、第1のソース電極層309a、及び第1のドレイン
電極層309bを形成する(図3(E))。側壁321をマスクに用いてエッチングを行
うことで、チャネル長Lを短くすることができる。
【0205】
次いで、第3の絶縁層315、側壁321、第1のソース電極層309a、第1のドレイ
ン電極層309b、及び酸化物半導体層307上に、ゲート絶縁層317を形成する。次
に、ゲート絶縁層317上に導電膜を形成した後、第3のフォトリソグラフィ工程により
ゲート電極層319を形成する。
【0206】
次いで、不活性ガス雰囲気下、又は酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは20
0℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。以上の工程で、ソー
ス電極層及びドレイン電極層に側壁を有するトランジスタ300を形成することができる
(図3(F))。
【0207】
以上のように、本発明の一態様の半導体素子は、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁
を設けることにより、チャネル長Lが短く微細化が可能な、酸化物半導体層を用いたトッ
プゲート型の半導体素子を実現することができる。
【0208】
また、本発明の一態様の半導体素子は、チャネル長Lが短く微細化が可能なため、LSI
やCPUやメモリなどの半導体集積回路に用いることによって、回路の動作速度を高速化
し、さらには消費電力を低減させることができる。
【0209】
また、本発明の一態様の半導体素子は、側壁によってソース電極層及びドレイン電極層の
側面にテーパがつけられるので、ゲート絶縁層のカバレッジが向上し、ゲート電極層と、
ソース電極層又はドレイン電極層のショートを防ぐことができ、信頼性の高い半導体素子
、及び該半導体素子を用いた信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0210】
また、本発明の一態様の半導体素子は、エネルギーギャップが大きく、水素や水分などの
不純物を除去することにより水素濃度が十分に低減されて高純度化された酸化物半導体層
を用いるため、オフ電流が少なく、ノーマリーオフの半導体素子を作製できる。該半導体
素子を用いることで、リーク電流による消費電力の少ない半導体装置を実現できる。
【0211】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適
宜組み合わせて用いることができる。
【0212】
(実施の形態4)
本実施の形態では、2つのnチャネル型のトランジスタを用いて集積回路のインバータ回
路を構成する例を基に以下に説明する。なお、実施の形態2とトランジスタの作製工程は
ほとんど同一であるため、異なる点のみを詳細に説明することとする。
【0213】
また、集積回路は、インバータ回路、容量、抵抗などを用いて構成するため、インバータ
回路に加えて、同一基板上に容量と、2種類の抵抗も形成する工程も説明する。
【0214】
また、2つのnチャネル型トランジスタを組み合わせてインバータ回路を形成する場合、
エンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トランジスタとを組み合わせて形成
するEDMOS回路と、エンハンスメント型トランジスタ同士で形成するEEMOS回路
がある。
【0215】
本実施の形態では、EDMOS回路の例を示す。EDMOS回路の等価回路を図4に示す
。また、インバータ回路の断面構造を図5(B)に示す。
【0216】
図5(B)に示す回路接続は、図4に相当し、第1のトランジスタ400をエンハンスメ
ント型のnチャネル型トランジスタとし、第2のトランジスタ401をデプレッション型
のnチャネル型トランジスタとする例である。
【0217】
図5(B)において、基板411上には、電極層412b、412c、412d、412
eを有する。電極層412b、412c、412d、412eは実施の形態2の電極層1
02と同じ工程、同じ材料で形成することができる。
【0218】
電極層412bには電圧を印加し、しきい値電圧を負としてデプレッション型のトランジ
スタとして機能させる。また、電極層412cは容量を形成する一方の電極である。また
、電極層412dは第1の抵抗体と接続する一方の電極である。また、電極層412eは
第2の抵抗体と接続する一方の電極である。
【0219】
また、電極層412b、412c、412d、412eを覆う第1の絶縁層413、第2
の絶縁層415が形成される。また、容量部においては、電極層412cと重なる第1の
絶縁層413、及び電極層412cと重なる第2の絶縁層415が誘電体となる。
【0220】
また、第2の酸化物半導体層417bの膜厚を第1の酸化物半導体層417aの膜厚より
も大きい構成としても良い。第2の酸化物半導体層417bの膜厚を第1の酸化物半導体
層417aよりも大きくするためには2回の成膜と2回のパターニングを行う。第2の酸
化物半導体層417bの膜厚を大きくすることでデプレッション型のトランジスタとして
機能させることができ、電極層412bにしきい値電圧を負とするための電圧を印加する
必要がなくなるため、電極層412bを省略することもできる。
【0221】
第3の酸化物半導体層417cは、第1の抵抗体として機能する。また、電極層412d
と重なる第1の絶縁層413、及び第2の絶縁層415には開口が形成され、その開口を
介して第3の酸化物半導体層417cと電極層412dとは電気的に接続される。また、
第4の酸化物半導体層417dは、第2の抵抗体として機能する。また、電極層412e
と重なる第1の絶縁層413、及び第2の絶縁層415には開口が形成され、その開口を
介して第4の酸化物半導体層417dと電極層412eとは電気的に接続される。
【0222】
また、第4の酸化物半導体層417dの膜厚を第3の酸化物半導体層417cの膜厚より
も大きい構成としても良い。第3の酸化物半導体層417cと第4の酸化物半導体層41
7dを異なる厚さとすることで、第1の抵抗体と第2の抵抗体の抵抗値を異なる値とする
ことができる。
【0223】
第1のトランジスタ400は、第1のゲート電極層419aと、ゲート絶縁層427を介
して第1のゲート電極層419aと重なる第1の酸化物半導体層417aとを有し、第1
の酸化物半導体層417aの一部と接する第1の電極層422aは、第1配線429aと
電気的に接続する。第1配線429aは、負の電圧VDLが印加される電源線(負電源線
)である。この電源線は、接地電位の電源線(接地電源線)としてもよい。
【0224】
本実施の形態において、第1の電極層422aは、三層で構成されており、実施の形態2
のソース電極層109a及びドレイン電極層109bと同じ材料で形成されている。本実
施の形態では、導電膜をパターニングした後に、絶縁層を成膜し(図5(A))さらに、
導電層及び絶縁層膜を選択的にエッチングして、第1の電極層422a、第2の電極層4
22b、第3の電極層422c、第3の絶縁層416を形成する。(図5(B))。第3
の絶縁層416は、後に形成される第2のゲート電極層419bと第2の電極層422b
との間に形成される寄生容量を低減するために設けられている。
【0225】
また、容量部においては、第1の電極層422aと同じ工程であり同じ材料で容量電極層
である第4の電極層422dが形成される。第4の電極層422dは、電極層412cと
重なる。
【0226】
また、第1の電極層422aと同じ工程であり同じ材料で第5の電極層422eが第2の
抵抗体である第4の酸化物半導体層417d上に接して形成される。
【0227】
また、第1のトランジスタ400は、第1の電極層422a及び第2の電極層422bの
側壁421を有する。側壁421の下端部は、第1の酸化物半導体層417aの上面と接
する。同様に第2のトランジスタ401は、第2の電極層422b及び第3の電極層42
2cの側壁431を有する。側壁431の下端部は、第2の酸化物半導体層417bの上
面と接する。側壁を設けることで、チャネル長Lが短い微細なトランジスタを作製するこ
とができるため、回路の動作速度を高速化し、さらには消費電力を低減させることができ
る。
【0228】
また、第2のトランジスタ401は、第2配線として機能する第2のゲート電極層419
bと、ゲート絶縁層427を介して第2のゲート電極層419bと重なる第2の酸化物半
導体層417bとを有し、第3配線429bは、正の電圧VDHが印加される電源線(正
電源線)である。
【0229】
また、第2のトランジスタ401は第2の酸化物半導体層417bに一部接して重なる第
2の電極層422b、第3の電極層422cを有する。なお、第2の電極層422b及び
第3の電極層422cは、第1の電極層422aと同じ工程であり同じ材料で形成される

【0230】
また、第3の絶縁層416及びゲート絶縁層427には第2の電極層422bに達する開
口が設けられ、第2の電極層422bは、第2配線として機能する第2のゲート電極層4
19bと電気的に接続して、第1のトランジスタ400と第2のトランジスタ401を接
続し、EDMOS回路を構成する。
【0231】
また、電極層412cと重なる領域の第3の絶縁層416及びゲート絶縁層427に開口
を有し、第4の電極層422dと接続する第4配線429cは容量配線として機能する。
【0232】
また、第5配線429dは、電極層412dと重なる領域の第3の絶縁層416及びゲー
ト絶縁層427に開口を有し、第1の抵抗体として機能する第3の酸化物半導体層417
cと接する。
【0233】
本実施の形態では、実施の形態2のトランジスタを用いて、同一基板上に、EDMOS回
路と、容量部と、第1の抵抗体と、第2の抵抗体とを形成する例を示したが特に限定され
ず、実施の形態3のトランジスタも同一基板上に形成することができる。
【0234】
また、本実施の形態で同一基板上に形成することのできる配線の端子部の断面構造を図6
(A)に示す。図6(A)は図6(B)中のC1−C2線に沿った断面図に相当する。
【0235】
図6(A)において、第3の絶縁層416とゲート絶縁層427の積層上に形成される導
電層439は、入力端子として機能する接続用の端子電極である。また、図6(A)にお
いて、端子部では、電極層412b、412c、412d、412eと同じ材料で形成さ
れる電極層412fが、第1の電極層422aと電気的に接続される端子電極層となる第
6の電極層422fの下方に第1の絶縁層413、及び第2の絶縁層415を介して重な
る。電極層412fは第6の電極層422fとは電気的に接続しておらず、電極層412
fを第6の電極層422fと異なる電位、例えばフローティング、GND、0Vなどに設
定すれば、ノイズ対策のための容量又は静電気対策のための容量を形成することができる
。また、第6の電極層422fは、その上に第3の絶縁層416及びゲート絶縁層427
を介して導電層439と電気的に接続している。
【0236】
また、第6の電極層422fは、第1の電極層422aと同じ材料、同じ工程で形成する
ことができる。また、導電層439は、第1のゲート電極層419a、及び第2のゲート
電極層419bと同じ材料、同じ工程で形成することができる。
【0237】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0238】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4に示すEDMOS回路を用いてCPU(中央演算処理回
路)を作製する例を示す。
【0239】
CPUのブロック図の一例を図18に示す。図18に示されるCPU1001は、タイミ
ングコントロール回路1002、命令解析デコーダ1003、レジスタアレイ1004、
アドレスロジックバッファ回路1005、データバスインターフェイス1006、ALU
1007、命令レジスタ1008などより構成されている。
【0240】
これらの回路は、実施の形態1〜実施の形態4で示したトランジスタ、インバータ回路、
抵抗、容量などを用いて作製する。実施の形態1〜実施の形態4で示したトランジスタは
、エネルギーギャップが大きく、水素濃度が十分に低減された酸化物半導体層を用いてい
るため、オフ電流が極めて小さい値で、ノーマリーオフのトランジスタとすることができ
る。また、実施の形態1〜実施の形態4で示したトランジスタは、ソース電極層及びドレ
イン電極層に側壁を設けているため、チャネル長Lが短く微細化が可能であり、回路の動
作速度を高速化することができる。したがって、CPU1001の少なくとも一部を本発
明の一態様のトランジスタで構成することによって低消費電力を実現できる。
【0241】
ここで、それぞれの回路について簡単に説明する。タイミングコントロール回路1002
は外部からの命令を受け取り、それを内部用の情報に変換し、他のブロックに送り出す。
また、内部の動作に応じて、メモリデータの読み込み、書き込みなどの指示を外部に与え
る。命令解析デコーダ1003は外部の命令を内部用の命令に変換する役割を持つ。レジ
スタアレイ1004はデータを一時的に保管する揮発性メモリである。アドレスロジック
バッファ回路1005は外部メモリのアドレスを指定する回路である。データバスインタ
ーフェイス1006は、外部のメモリ又はプリンタなどの機器にデータを出し入れする回
路である。ALU1007は演算を行う回路である。命令レジスタ1008は命令を一時
的に記憶しておく回路である。このような回路の組み合わせによってCPUは構成されて
いる。
【0242】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0243】
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明す
る。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図
面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形
態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、RFタグ、無線タグ、電子タグ又は無
線チップとも呼ばれる。
【0244】
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図21を参照して説明する。
図21(A)に示す半導体装置は、アンテナ(オンチップアンテナとも記す)が設けられ
た半導体集積回路チップ500と、アンテナ505(ブースターアンテナとも記す)が設
けられた支持基板506とを含んでいる。半導体集積回路チップ500は、支持基板50
6及びアンテナ505上に形成された絶縁層510上に設けられている。絶縁層510に
より支持基板506及びアンテナ505上に半導体集積回路チップ500を固定すること
ができる。また、図21(B)は、図21(A)に示した半導体集積回路チップ500と
支持基板506に形成されたアンテナ505が積層された半導体装置の斜視図に相当する
。そして、図21(C)は、図21(B)の破線X−Yにおける断面図に相当する。
【0245】
なお、半導体集積回路チップ500表面には、静電気放電による静電気破壊(回路の誤動
作や半導体素子の損傷)を防止するために導電性遮蔽体が設けられており、導電性遮蔽体
の抵抗が高く、アンテナ505のパターン間を導通させない場合には、アンテナ505と
半導体集積回路チップ500表面に設けられる導電性遮蔽体とは接して設けられてもよい

【0246】
半導体集積回路チップ500内に設けられる半導体集積回路にはメモリ部やロジック部を
構成する複数のトランジスタ等の素子が設けられる。メモリ部やロジック部を構成するト
ランジスタとして、本発明の一態様のトランジスタを用いる。本実施の形態に係る半導体
装置は、半導体素子として電界効果トランジスタはもちろん、半導体層を用いる記憶素子
なども適用することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体装置を作製し
、提供することができる。
【0247】
図20(A)に、図21(A)に示した半導体集積回路チップ500に含まれるアンテナ
と半導体集積回路の拡大図を示す。図20(A)において、アンテナ501は巻き数が1
である矩形のループアンテナであるが、この構成に限定されない。ループアンテナの形状
は矩形を有することに限定されず、曲線を有する形状、例えば円形を有していても良い。
そして巻き数は1に限定されず、複数であっても良い。ただしアンテナ501の巻き数が
1の場合、半導体集積回路503とアンテナ501の間に生じる寄生容量を低減すること
ができる。
【0248】
また、図20(A)、図21(C)において、アンテナ501は、半導体集積回路503
の周囲を取り囲むように配置されており、破線で示す給電点508に相当する部分以外は
、アンテナ501は半導体集積回路503とは異なる領域に配置されている。また、この
構成に限定されず、図20(B)に示すように、破線で示す給電点508に相当する部分
以外において、アンテナ501が半導体集積回路503と少なくとも一部重なるように配
置されていても良い。ただし、図20(A)、図21(C)に示すように、アンテナ50
1が半導体集積回路503とは異なる領域に配置されていることで、半導体集積回路50
3とアンテナ501の間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0249】
図21(A)において、アンテナ505は、主に破線507で囲まれたループ状の部分に
おいて、アンテナ501と電磁誘導により信号の授受又は電力の供給を行うことができる
。またアンテナ505は、主に、破線507で囲まれた部分以外の領域において、電波に
より質問器と信号の授受又は電力の供給を行うことができる。質問器と半導体装置との間
において、キャリア(搬送波)として用いられる電波の周波数は、30MHz以上5GH
z以下程度が望ましく、例えば950MHz、2.45GHzなどの周波数帯を用いれば
よい。
【0250】
また、アンテナ505は、破線507で囲まれた部分において巻き数1の矩形のループ状
になっているが、この構成に限定されない。ループ状の部分は矩形を有することに限定さ
れず、曲線を有する形状、例えば円形を有していても良い。そして巻き数は1に限定され
ず、複数であっても良い。
【0251】
本実施の形態に示す半導体装置は、電磁誘導方式、電磁結合方式、マイクロ波方式を適用
することもできる。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナ501
、アンテナ505の形状を適宜決めればよい。
【0252】
例えば、半導体装置における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯
(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信
号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナの長さや形状等を適宜設定すればよい
。例えば、アンテナを線状(例えば、ダイポールアンテナ)、平坦な形状(例えば、パッ
チアンテナ又はリボン型の形状)等に形成することができる。また、アンテナの形状は直
線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状又はこれらを組み合わせた形
状で設けてもよい。
【0253】
図22にアンテナ501、アンテナ505をコイル状に設け、電磁誘導方式又は電磁結合
方式を適用する例を示す。
【0254】
図22においては、ブースターアンテナとしてコイル状のアンテナ505が設けられた支
持基板506上に、コイル状のアンテナ501が設けられた半導体集積回路チップ500
が設けられている。
【0255】
次に、半導体集積回路チップ500とブースターアンテナの構造及びその配置について説
明する。図21(C)に示す半導体集積回路チップ500は、本発明の一態様のトランジ
スタを用いた半導体装置を用いることができ、ここでは、個々に分断しチップ状にしたも
のを半導体集積回路チップという。
【0256】
図21(C)に示す半導体集積回路503は、第1の絶縁体512、第2の絶縁体502
で挟持され、その側面も封止されている。本実施の形態では、複数の半導体集積回路を挟
持して第1の絶縁体、第2の絶縁体を貼り合わせた後、個々の半導体集積回路ごとの積層
体に分断する。分断した積層体に導電性遮蔽体を形成し半導体集積回路チップ500を作
製する。分断手段としては物理的に分断することができれば特に限定しないが、本実施の
形態ではレーザ光を照射することによって分断する。
【0257】
図21(C)では、半導体集積回路503が、アンテナ501よりも、よりアンテナ50
5に近い位置に配置されているが、この構成に限定されない。アンテナ501が半導体集
積回路503よりも、よりアンテナ505に近い位置に配置されていてもよい。また、半
導体集積回路503とアンテナ501は、第1の絶縁体512、第2の絶縁体502に直
接固着していても良いし、接着剤として機能する接着層によって固着されていても良い。
【0258】
次に、本実施の形態に係る半導体装置の動作について説明する。図19は、本実施の形態
に係る半導体装置の構成を示すブロック図の一例である。図19に示す半導体装置520
は、ブースターアンテナ522と、半導体集積回路523と、オンチップアンテナ524
とを有している。質問器521から電磁波が送信されると、ブースターアンテナ522が
該電磁波を受信することで、ブースターアンテナ522内に交流の電流が生じ、ブースタ
ーアンテナ522の周囲に磁界が発生する。そして、ブースターアンテナ522が有する
ループ状の部分と、ループ状の形状を有するオンチップアンテナ524とが電磁結合する
ことで、オンチップアンテナ524に誘導起電力が生じる。半導体集積回路523は上記
誘導起電力を用いることで、信号又は電力を質問器521から受け取る。逆に半導体集積
回路523において生成された信号に従って、オンチップアンテナ524に電流を流して
ブースターアンテナ522に誘導起電力を生じさせることで、質問器521から送られて
くる電波の反射波にのせて、質問器521に信号を送信することができる。
【0259】
なお、ブースターアンテナ522は、主にオンチップにアンテナ524との間において電
磁結合するループ状の部分と、主に質問器521からの電波を受信する部分とに分けられ
る。質問器521からの電波を主に受信する部分における、ブースターアンテナ522の
形状は、電波を受信できる形であればよい。例えば、ダイポールアンテナ、折り返しダイ
ポールアンテナ、スロットアンテナ、メアンダラインアンテナ、マイクロストリップアン
テナ等の形状を用いればよい。
【0260】
また、図21では、アンテナを1つだけ有する半導体集積回路の構成について説明したが
、この構成に限定されない。電力を受信するためのアンテナと、信号を受信するためのア
ンテナとの、2つのアンテナを有していても良い。アンテナが2つあると、電力を供給す
る電波の周波数と、信号を送るための電波の周波数とを使い分けることができる。
【0261】
本実施の形態に係る半導体装置では、オンチップアンテナを用いており、なおかつ、ブー
スターアンテナとオンチップアンテナの間における信号又は電力の授受を非接触で行うこ
とができるので、外付けのアンテナを半導体集積回路に接続する場合とは異なり、外力に
よって半導体集積回路とアンテナとの接続が分断されにくく、該接続における初期不良の
発生も抑えることができる。また本実施の形態ではブースターアンテナを用いているので
、オンチップアンテナのみの場合とは異なり、オンチップアンテナの寸法又は形状が半導
体集積回路の面積の制約を受けにくく、受信可能な電波の周波数帯が限定されず、通信距
離を伸ばすことができる、という外付けのアンテナが有するメリットを享受することがで
きる。
【0262】
半導体集積回路は、直接可撓性基板に形成することもできる。また、作製基板(例えばガ
ラス基板)より半導体集積回路を他の基板(例えばプラスチック基板)へ転置してもよい

【0263】
また、作製基板より半導体集積回路を他の基板へ転置する場合は、特に限定されず種々の
方法を用いることができる。例えば作製基板と半導体集積回路との間に剥離層を形成すれ
ばよい。
【0264】
例えば剥離層として、金属酸化膜を形成した場合には、当該金属酸化膜を結晶化により脆
弱化して、被剥離層である半導体集積回路を含む素子層を作製基板から剥離することがで
きる。また、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化した後、さらに剥離層の一部を溶液や
NF、BrF、ClF等のフッ化ハロゲンガスによりエッチングして除去し、脆弱
化した金属酸化膜において剥離してもよい。
【0265】
また剥離層として、窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜、水
素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用い、作製基板として透光性を有する基板を用い
た場合には、作製基板から剥離層にレーザ光を照射して、剥離層内に含有する窒素、酸素
や水素を気化させて、作製基板と剥離層との間で剥離する方法を用いることができる。
【0266】
また剥離層をエッチングにより除去することで、被剥離層を作製基板から剥離しても良い

【0267】
また、作製基板を機械的に研磨し除去する方法や、作製基板をNF、BrF、ClF
等のフッ化ハロゲンガス又はHFによるエッチングで除去する方法等を用いることがで
きる。この場合、剥離層を用いなくともよい。
【0268】
また、レーザ光の照射、ガスや溶液などによるエッチング、又は、鋭いナイフやメスなど
を用いて、剥離層を露出させる溝を形成し、溝をきっかけとして剥離層から被剥離層を作
製基板から剥離することもできる。
【0269】
剥離方法としては、例えば、機械的な力を加えること(人間の手や把治具で引き剥がす処
理や、ローラーを回転させながら分離する処理等)を用いて行えばよい。また、溝に液体
を滴下し、剥離層との界面に液体を浸透させて剥離層から被剥離層を剥離してもよい。ま
た、溝にNF、BrF、ClF等のフッ化ガスを導入し、剥離層をフッ化ガスでエ
ッチングし除去して、作製基板から被剥離層を剥離する方法を用いてもよい。また、剥離
を行う際に水などの液体をかけながら剥離してもよい。
【0270】
その他の剥離方法としては、剥離層をタングステンで形成した場合は、アンモニア水と過
酸化水素水の混合溶液により剥離層をエッチングしながら剥離を行うことができる。
【0271】
以上のように、本発明の一態様のトランジスタを用いて、半導体装置を作製することがで
きる。本発明の一態様のトランジスタは、チャネル長Lが短く微細化が可能なため、回路
の動作速度を高速化し、さらには半導体装置の消費電力を低減させることができる。
【0272】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0273】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上述した実施の形態6のデバイスを用いて形成された非接触でデータ
の入出力が可能である半導体装置の適用例に関して図面を参照して以下に説明する。非接
触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFIDタグ、I
Dタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグ又は無線チップともよば
れる。
【0274】
半導体装置800は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路810、電源回
路820、リセット回路830、クロック発生回路840、データ復調回路850、デー
タ変調回路860、他の回路の制御を行う制御回路870、記憶回路880及びアンテナ
890を有している(図23(A)参照)。高周波回路810はアンテナ890より信号
を受信して、データ変調回路860より受信した信号をアンテナ890から出力する回路
であり、電源回路820は受信信号から電源電位を生成する回路であり、リセット回路8
30はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路840はアンテナ890か
ら入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路であり、データ復調回路8
50は受信信号を復調して制御回路870に出力する回路であり、データ変調回路860
は制御回路870から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路870として
は、例えばコード抽出回路910、コード判定回路920、CRC判定回路930及び出
力ユニット回路940が設けられている。なお、コード抽出回路910は制御回路870
に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定
回路920は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容
を判定する回路であり、CRC判定回路930は判定されたコードに基づいて送信エラー
等の有無を検出する回路である。
【0275】
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ890により
無線信号が受信される。無線信号は高周波回路810を介して電源回路820に送られ、
高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置800が有する各
回路に供給される。また、高周波回路810を介してデータ復調回路850に送られた信
号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路810を介してリセット回路8
30及びクロック発生回路840を通った信号及び復調信号は制御回路870に送られる
。制御回路870に送られた信号は、コード抽出回路910、コード判定回路920及び
CRC判定回路930等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記
憶回路880内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置
の情報は出力ユニット回路940を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装
置800の情報はデータ変調回路860を通って、アンテナ890により無線信号に載せ
て送信される。なお、半導体装置800を構成する複数の回路においては、低電源電位(
以下、VSS)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
【0276】
このように、通信装置から半導体装置800に信号を送り、当該半導体装置800から送
られてきた信号を通信装置で受信することによって、半導体装置のデータを読み取ること
が可能となる。
【0277】
また、半導体装置800は、各回路への電源電圧の供給を、電源(バッテリー)を搭載せ
ず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源
(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
【0278】
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。
表示部3210を含む携帯端末の側面には、通信装置3200が設けられ、品物3220
の側面には半導体装置3230が設けられる(図23(B))。品物3220が含む半導
体装置3230に通信装置3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地
、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が
表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に、通信装置324
0と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を
行うことができる(図23(C))。このように、システムに半導体装置を活用すること
で、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
【0279】
以上の様に、半導体装置の適用範囲は極めて広く、広い分野の電子機器に用いることがで
きる。
【0280】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1〜実施の形態4で示したトランジスタを用いて構成する
ことが可能なメモリ回路の一例を示す。
【0281】
図24(A)は、メモリ回路の一例についてのブロック図を示す。図24(A)に示すメ
モリ回路は、行デコーダと、書き込み回路及びリフレッシュ回路と、列デコーダと、マト
リクス状に配置された記憶素子1100を有し、マトリクス状に配置された記憶素子11
00に接続された信号線は、書き込み回路及びリフレッシュ回路を介して行デコーダに接
続され、マトリクス状に配置された記憶素子1100に接続された走査線は、列デコーダ
に接続されている。行デコーダには、ビット信号が入力される。書き込み回路及びリフレ
ッシュ回路には、リードイネーブル信号/ライトイネーブル信号(RE/WE)と、デー
タ信号(data)が入力され、出力信号(OUT)が出力される。
【0282】
各記憶素子1100は、容量素子とトランジスタを有し、該トランジスタのソース及びド
レインの一方は信号線に接続され、該トランジスタのソース及びドレインの他方は容量素
子の一方の電極に接続され、該容量素子の他方の電極は低電位側(好ましくは、基準電位
Vss)に接続されている。
【0283】
図24(B)は、図24(A)に示す書き込み回路及びリフレッシュ回路に設けられたリ
フレッシュ回路の具体的な一構成例を示す。
【0284】
図24(B)に示す書き込み回路及びリフレッシュ回路は、論理積回路(AND回路)と
センスアンプを有する。第1の論理積回路1101、第2の論理積回路1102及び第3
の論理積回路1103の一方の入力には、行デコーダからの信号が入力される。第1の論
理積回路1101の他方の入力にはPRC信号が入力され、第2の論理積回路1102の
他方の入力にはライトイネーブル信号(WE)が入力され、第3の論理積回路1103の
他方の入力にはリードイネーブル信号(RE)が入力される。第1の論理積回路1101
の出力は、第1のスイッチ1104のオン/オフを制御し、第2の論理積回路1102の
出力は、第2のスイッチ1105のオン/オフを制御し、第3の論理積回路1103の出
力は、第3のスイッチ1106のオン/オフを制御する。プリチャージ信号線Vprcは
第1のスイッチ1104を介して信号線に接続され、データ信号線dataは第2のスイ
ッチ1105を介して信号線に接続されている。
【0285】
第1のスイッチ1104及び第2のスイッチ1105を介して接続された信号線は、第3
のスイッチ1106を介してセンスアンプに接続されている。該センスアンプからは出力
信号線(OUT)に信号が出力される。
【0286】
なお、上記した論理積回路は、一般的な構成のものを用いればよく、単純な構成とするこ
とが好ましい。
【0287】
なお、センスアンプとは、入力された信号を増幅する機能を有する回路をいう。
【0288】
なお、ここで信号としては、例えば電圧、電流、抵抗、又は周波数などを用いたアナログ
信号又はデジタル信号を用いることができる。例えば、電位を少なくとも第1の電位と第
2の電位で設定し、第1の電位としてハイレベル(高電位、Vとも表記する。)の電位
を用い、第2の電位としてローレベル(低電位、Vとも表記する。)の電位を用いるこ
とで、2値のデジタル信号を設定することができる。また、VとVは一定値であるこ
とが好ましいが、ノイズの影響を考慮して、VとVに幅をもたせてもよい。
【0289】
以上、上記実施の形態で説明したトランジスタ及び容量を用いてメモリ回路を作製するこ
とができる。
【0290】
メモリ回路のリフレッシュタイミングは、予め評価された記憶素子のリーク電流に基づい
て、ある固定された時間間隔に設計段階で決められる。即ちチップ完成後のリーク電流の
温度依存性と作製プロセスの変動とを考慮して設定される。
【0291】
本発明の一態様のトランジスタは、ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を有している
ため、チャネル長Lの小さい微細なトランジスタとすることができる。そのトランジスタ
で回路を構成することで、低消費電力を実現し、メモリ回路の動作を安定化させることが
できる。
【0292】
本発明の一態様のトランジスタは、エネルギーギャップが大きく、水素濃度が十分に低減
された酸化物半導体層を用いているため、トランジスタのオフ電流を極めて小さい値とす
ることができ、−30℃から120℃におけるオフ電流の温度特性もほとんど変化せず、
極めて小さい値を維持でき、ノーマリーオフのトランジスタを実現できる。
【0293】
従って、本発明の一態様のトランジスタを用いれば、シリコンを用いたトランジスタに比
べてリフレッシュ間隔を長い時間間隔で設定することができ、スタンバイ時の消費電力を
削減できる。
【0294】
また、オフ電流の温度依存性がほとんどないため、車載の電子機器に本実施の形態のメモ
リ回路は適している。スタンバイ時のリーク電流が極めて小さく、電気自動車においては
、スタンバイ時において一定の充電量あたりの走行距離がほとんど変化しない。
【0295】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0296】
(実施の形態9)
本実施の形態は、上記実施の形態で示したトランジスタを用いて構成することが可能なシ
フトレジスタの一例を示す。
【0297】
図25(A)は、シフトレジスタの一例についてのブロック図を示す。図25(A)に示
すシフトレジスタは、二本のクロック信号線と、これらのクロック信号線のいずれかに電
気的に接続された二段のフリップフロップを有する。なお、クロック信号線は更に設けら
れていてもよいし、フリップフロップがより多段に設けられていてもよい。
【0298】
二本のクロック信号線において、入力されるクロック信号のそれぞれは、一方のクロック
信号線がハイレベル(V)に切り替わるときに、他方をローレベル(V)に切り替え
て動作させる。
【0299】
図25(A)に示すシフトレジスタでは、第1のクロック信号線CLKに電気的に接続さ
れた第1段目のフリップフロップから順に、第2のクロック信号線CLKBに電気的に接
続された第2段目のフリップフロップと続き、第n−1段目のフリップフロップ、及び第
n段目のフリップフロップを有する例について説明する。ただし、これに限定されず、少
なくとも、第1のフリップフロップ及び第2のフリップフロップを有していればよい。
【0300】
クロック信号線CLKは、クロック信号CKが入力される配線である。
【0301】
クロック信号線CLKBは、クロック信号CKBが入力される配線である。
【0302】
クロック信号CKとクロック信号CKBのそれぞれは、例えばNOT回路(インバータ回
路)を用いて生成させることができる。
【0303】
第1のフリップフロップには、スタート信号SPとスタート信号SPBが入力され、クロ
ック信号としてクロック信号CKが入力され、入力された信号SP及び信号SPBの信号
の状態とクロック信号CKの信号の状態に応じて出力信号OUT1を出力する。なお、こ
こで、信号の状態とは、例えば信号の電位、電流、又は周波数などをいう。
【0304】
スタート信号SPとスタート信号SPBのそれぞれは、例えばNOT回路(インバータ回
路)を用いて生成させることができる。
【0305】
また、ここで信号としては、例えば電圧、電流、抵抗、又は周波数などを用いたアナログ
信号又はデジタル信号を用いることができる。例えば、電位を少なくとも第1の電位と第
2の電位で設定し、第1の電位としてハイレベル(高電位、Vとも表記する)の電位を
用い、第2の電位としてローレベル(低電位、Vとも表記する)の電位を用いることで
、2値のデジタル信号を設定することができる。また、VとVは一定値であることが
好ましいが、ノイズの影響を考慮して、VとVに幅をもたせてもよい。
【0306】
第2のフリップフロップは、スタート信号SPとして第1のフリップフロップの出力信号
OUTが入力され、クロック信号としてクロック信号CKBが入力され、入力された出力
信号及びクロック信号CKBの状態に応じて信号OUT2を出力信号として出力する機能
を有する。
【0307】
図25(B)は、図25(A)に示す第1のフリップフロップの具体的な一構成例を示す

【0308】
スタート信号SPは、第1のトランジスタ1111のソース及びドレインの一方と、第4
のトランジスタ1114のソース及びドレインの一方に入力される。
【0309】
スタート信号SPBは、第2のトランジスタ1112のソース及びドレインの一方と、第
3のトランジスタ1113のソース及びドレインの一方に入力される。
【0310】
クロック信号CLは、第1のトランジスタ1111、第2のトランジスタ1112、第3
のトランジスタ1113及び第4のトランジスタ1114のゲートに入力される。
【0311】
第1のトランジスタ1111のソース及びドレインの他方は、第5のトランジスタ111
5のゲートと、第1の容量素子1119の一方の電極に接続されている。
【0312】
第2のトランジスタ1112のソース及びドレインの他方は、第6のトランジスタ111
6のゲートと、第2の容量素子1120の一方の電極に接続されている。
【0313】
第3のトランジスタ1113のソース及びドレインの他方は、第7のトランジスタ111
7のゲートと、第3の容量素子1121の一方の電極に接続されている。
【0314】
第4のトランジスタ1114のソース及びドレインの他方は、第8のトランジスタ111
8のゲートと、第4の容量素子1122の一方の電極に接続されている。
【0315】
第5のトランジスタ1115のドレインは高電位側(好ましくは電源電位Vdd)に接続
されている。第5のトランジスタ1115のソースは、第1の容量素子1119の他方の
電極と、第6のトランジスタ1116のドレインに接続され、出力信号OUTを出力する
。第2の容量素子1120の他方の電極と、第6のトランジスタ1116のソースは、低
電位側(好ましくは、基準電位Vss)に接続されている。
【0316】
第7のトランジスタ1117のドレインは高電位側(好ましくは電源電位Vdd)に接続
されている。第7のトランジスタ1117のソースは、第3の容量素子1121の他方の
電極と、第8のトランジスタ1118のドレインに接続され、出力信号OUTBを出力す
る。第4の容量素子1122の他方の電極と、第8のトランジスタ1118のソースは、
低電位側(好ましくは、基準電位Vss)に接続されている。
【0317】
第1の容量素子1119、第2の容量素子1120、第3の容量素子1121、及び第4
の容量素子1122は、上記実施の形態で説明した容量を用いてトランジスタと同一基板
上に作製することができる。
【0318】
以上のように、本発明の一態様の高純度化された酸化物半導体層を用いるトランジスタを
用いてフリップフロップ回路を作製することができる。ソース電極層及びドレイン電極層
に側壁を設けた本発明の一態様のトランジスタは、チャネル長Lが短く微細化が可能であ
るため、回路の動作速度を高速化し、消費電力を低減させることができる。
【0319】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0320】
(実施の形態10)
本実施の形態は、上記実施の形態に示したトランジスタを用いて構成することが可能な昇
圧回路(チャージポンプ回路)の一例を示す。
【0321】
図26は、昇圧回路の具体的な構成の一例を示す。図26に示す昇圧回路は、二本のクロ
ック信号線CLKとCLKBを有し、二本のクロック信号線のいずれかに複数の容量素子
1124の一方の電極が接続している。複数の容量素子1124の他方の電極は、順方向
にダイオード接続された複数のトランジスタ1123のひとつのトランジスタのドレイン
電極と、隣り合うトランジスタのソース電極及びゲート電極が接続された配線に接続して
いる。さらに、これら複数のトランジスタの最後尾に一方の電極が接続され、他方の電極
が一定の電位に保持された保持容量素子を有する。
【0322】
なお、クロック信号線は更に設けられていてもよい。
【0323】
出力したい電位に応じて更に多くのトランジスタと容量素子が設けられていてもよい。
【0324】
二本のクロック信号線において、入力されるクロック信号のそれぞれは、一方のクロック
信号線がハイレベル(V)に切り替わるときに、他方をローレベル(V)に切り替え
て動作させる。
【0325】
クロック信号CKとクロック信号CKBのそれぞれは、例えばNOT回路(インバータ回
路)を用いて生成させることができる。NOT回路は実施の形態4に示したEDMOS回
路を用いて作製することができる。
【0326】
図26に示す昇圧回路を用いることで、Vinから入力された電位をVoutまで上昇さ
せることができる。例えば、Vinから電源電位Vddを入力すると、VoutからはV
ddよりも大きい電位を出力することができ、所望の電位まで昇圧させることができる。
このように所望の電位まで昇圧させた電位の信号は、例えば電源線に入力され、昇圧回路
と同一基板に実装されている各回路に利用される。
【0327】
なお、ここで保持容量素子の他方の電極が保持された一定の電位は、例えば電源電位V
又は基準電位Vssとすればよい。
【0328】
また、ここで信号としては、例えば電圧、電流、抵抗、又は周波数などを用いたアナログ
信号又はデジタル信号を用いることができる。例えば、電位を少なくとも第1の電位と第
2の電位で設定し、第1の電位としてハイレベル(高電位、Vとも表記する)の電位を
用い、第2の電位としてローレベル(低電位、Vとも表記する)の電位を用いることで
、2値のデジタル信号を設定することができる。また、VとVは一定値であることが
好ましいが、ノイズの影響を考慮して、VとVに幅をもたせてもよい。
【0329】
以上、上記実施の形態で示したトランジスタを用いて昇圧回路を作製することができる。
ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を設けた本発明の一態様のトランジスタはチャネ
ル長Lが短く微細化が可能なため、回路の動作速度を高速化し、消費電力を低減させるこ
とができる。
【0330】
本実施の形態は他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0331】
(実施の形態11)
本実施の形態では、実施の形態1乃至10のいずれか一で得られる半導体集積回路を搭載
した電子機器の例について図27を用いて説明する。なお半導体集積回路は回路基板など
に実装され、各電子機器の本体内部に搭載されている。
【0332】
マザーボードには、上記実施の形態で示したトランジスタを含む半導体集積回路が実装さ
れている。半導体集積回路は、Logic回路、Flash Memory回路、SRA
M回路、DRAM回路などを実装して作製されたものである。また、上記実施の形態に示
したCPU、やLogic回路も実装可能である。なお、半導体集積回路は、ワイヤボン
ディング法により実装しても構わない。この場合においても、様々な形状の集積回路フィ
ルムを実装できる。
【0333】
また、回路基板にはFPCが装着されており、FPCを介して、例えば表示装置などに接
続される。表示部のドライバー及びコントローラを構成することができる。表示部のドラ
イバーとしては、上記実施の形態に示したシフトレジスタや、EDMOS回路を有してい
る。
【0334】
図27(A)は、少なくとも半導体集積回路を一部品として実装して作製したノート型の
パーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボ
ード3004などによって構成されている。なお、上記実施の形態に示すCPUや、DR
AM回路などをノート型のパーソナルコンピュータは有している。
【0335】
図27(B)は、少なくとも半導体集積回路を一部品として実装して作製した携帯情報端
末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス302
5と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス3
022がある。
【0336】
図27(C)は少なくとも半導体集積回路を一部品として実装して作製した電子ペーパー
である。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いる
ことが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター
、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用
することができる。図27(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2
700は、筐体2701及び筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701
及び筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として
開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うこと
が可能となる。
【0337】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み
込まれている。表示部2705及び表示部2707は、続き画面を表示する構成としても
よいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすること
で、例えば右側の表示部(図27(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表
示部(図27(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0338】
また、図27(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、
筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備
えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一
面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の
裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、又はACアダプタ及びUS
Bケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構
成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成と
してもよい。
【0339】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、
電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすること
も可能である。
【0340】
図27(D)は、少なくとも半導体集積回路を一部品として実装して作製した携帯電話で
あり、筐体2800及び筐体2801の二つの筐体で構成されている。筐体2801には
、表示パネル2802、スピーカー2803、マイクロフォン2804、ポインティング
デバイス2806、カメラ用レンズ2807、外部接続端子2808などを備えている。
また、筐体2801には、携帯型情報端末の充電を行う太陽電池セル2810、外部メモ
リスロット2811などを備えている。また、アンテナは筐体2801内部に内蔵されて
いる。
【0341】
また、表示パネル2802はタッチパネルを備えており、図27(D)には映像表示され
ている複数の操作キー2805を点線で示している。なお、太陽電池セル2810で出力
される電圧を各回路に必要な電圧に昇圧するための昇圧回路(上記実施の形態に示した昇
圧回路)を実装している。
【0342】
また、上記構成に加えて、上記実施の形態に示した非接触ICチップ、小型記録装置など
を内蔵していてもよい。
【0343】
表示パネル2802は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示パネル
2802と同一面上にカメラ用レンズ2807を備えているため、テレビ電話が可能であ
る。スピーカー2803及びマイクロフォン2804は音声通話に限らず、テレビ電話、
録音、再生などが可能である。さらに、筐体2800と筐体2801は、スライドし、図
27(D)のように展開している状態から重なり合った状態とすることができ、携帯に適
した小型化が可能である。
【0344】
外部接続端子2808はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能
であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部
メモリスロット2811に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応でき
る。
【0345】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであっても
よい。
【0346】
図27(E)は少なくとも半導体集積回路を一部品として実装して作製したデジタルカメ
ラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ305
4、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。
【0347】
以上、上記実施の形態で示したトランジスタを用いた半導体装置の適用範囲は極めて広く
、広い分野の電子機器に用いることができる。ソース電極層及びドレイン電極層に側壁を
設けた本発明の一態様のトランジスタはチャネル長Lが短く微細化が可能である。よって
、本発明の一態様のトランジスタを用いることで、回路の動作速度を高速化し、電子機器
の消費電力を低減させることができる。
【0348】
本実施の形態は、実施の形態1乃至10のいずれか一と自由に組み合わせることができる

【符号の説明】
【0349】
101 基板
102 電極層
103 第1の絶縁層
105 第2の絶縁層
107 酸化物半導体層
109a ソース電極層
109b ドレイン電極層
117 ゲート絶縁層
119 ゲート電極層
120 絶縁層
121 側壁
199 破線部
200 トランジスタ
201 トランジスタ
300 トランジスタ
301 基板
303 第1の絶縁層
305 第2の絶縁層
306 導電膜
307 酸化物半導体層
308 導電膜
309a 第1のソース電極層
309b 第1のドレイン電極層
310 絶縁層
311a 第2のソース電極層
311b 第2のドレイン電極層
315 第3の絶縁層
317 ゲート絶縁層
319 ゲート電極層
320 絶縁層
321 側壁
400 第1のトランジスタ
401 第2のトランジスタ
411 基板
412b 電極層
412c 電極層
412d 電極層
412e 電極層
412f 電極層
413 第1の絶縁層
415 第2の絶縁層
416 第3の絶縁層
417a 第1の酸化物半導体層
417b 第2の酸化物半導体層
417c 第3の酸化物半導体層
417d 第4の酸化物半導体層
419a 第1のゲート電極層
419b 第2のゲート電極層
421 側壁
422a 第1の電極層
422b 第2の電極層
422c 第3の電極層
422d 第4の電極層
422e 第5の電極層
422f 第6の電極層
427 ゲート絶縁層
429a 第1配線
429b 第3配線
429c 第4配線
429d 第5配線
431 側壁
439 導電層
500 半導体集積回路チップ
501 アンテナ
502 絶縁体
503 半導体集積回路
505 アンテナ
506 支持基板
507 破線
508 給電点
510 絶縁層
512 絶縁体
520 半導体装置
521 質問器
522 アンテナ
523 半導体集積回路
524 アンテナ
800 半導体装置
810 高周波回路
820 電源回路
830 リセット回路
840 クロック発生回路
850 データ復調回路
860 データ変調回路
870 制御回路
880 記憶回路
890 アンテナ
910 コード抽出回路
920 コード判定回路
930 CRC判定回路
940 出力ユニット回路
1001 CPU
1002 タイミングコントロール回路
1003 命令解析デコーダ
1004 レジスタアレイ
1005 アドレスロジックバッファ回路
1006 データバスインターフェイス
1007 ALU
1008 命令レジスタ
1100 記憶素子
1101 第1の論理積回路
1102 第2の論理積回路
1103 第3の論理積回路
1104 第1のスイッチ
1105 第2のスイッチ
1106 第3のスイッチ
1111 第1のトランジスタ
1112 第2のトランジスタ
1113 第3のトランジスタ
1114 第4のトランジスタ
1115 第5のトランジスタ
1116 第6のトランジスタ
1117 第7のトランジスタ
1118 第8のトランジスタ
1119 第1の容量素子
1120 第2の容量素子
1121 第3の容量素子
1122 第4の容量素子
1123 トランジスタ
1124 容量素子
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカー
2800 筐体
2801 筐体
2802 表示パネル
2803 スピーカー
2804 マイクロフォン
2805 操作キー
2806 ポインティングデバイス
2807 カメラ用レンズ
2808 外部接続端子
2810 太陽電池セル
2811 外部メモリスロット
3001 本体
3002 筐体
3003 表示部
3004 キーボード
3021 本体
3022 スタイラス
3023 表示部
3024 操作ボタン
3025 外部インターフェイス
3051 本体
3053 接眼部
3054 操作スイッチ
3055 表示部(B)
3056 バッテリー
3057 表示部(A)
3200 通信装置
3210 表示部
3220 品物
3230 半導体装置
3240 通信装置
3250 半導体装置
3260 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面上の酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層上のソース電極層及びドレイン電極層と、
前記酸化物半導体層、前記ソース電極層、及び前記ドレイン電極層上のゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上のゲート電極層と、
前記ソース電極層の下端を超えて延在し、前記酸化物半導体層の上面と接する領域を有する金属材料を有する第1の層と、
前記ドレイン電極層の下端を超えて延在し、前記酸化物半導体層の上面と接する領域を有する金属材料を有する第2の層と、を有し、
前記酸化物半導体層は、前記金属材料を有する第1の層と重なる第1の領域を有し、
前記第1の領域は、前記ゲート電極層と重なる領域を有し、
前記酸化物半導体層は、前記金属材料を有する第2の層と重なる第2の領域を有し、
前記第2の領域は、前記ゲート電極層と重なる領域を有することを特徴とする半導体素子。
【請求項2】
請求項1において、
前記金属材料は、チタン、アルミニウム、またはタングステンであることを特徴とする半導体素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−62529(P2013−62529A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−256360(P2012−256360)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2010−268976(P2010−268976)の分割
【原出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】