説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】バリア層と配線溝や接続孔からなる凹部を埋め込む銅層との間にチタンアルミニウム合金層を形成することで、SIV耐性の向上、界面密着性の向上等による配線信頼性の向上を可能とする。
【解決手段】絶縁膜11に形成された凹部12に埋め込まれた導電層16を有する半導体装置1であって、前記導電層16は、前記凹部12の内面に形成されたバリア層13と、前記バリア層13表面に形成されたチタンアルミニウム合金層14と、前記凹部12を埋め込むアルミニウムが固溶された銅層15とからなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な溝配線およびコンタクトの形成が容易な半導体装置および半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に配線回路を形成するための金属材料として、従来アルミニウムもしくはアルミニウム合金が用いられてきたが、近年、銅を用いる方向に転換しつつある。この理由としては、銅の電気抵抗率が1.72μΩcmとアルミニウムの電気抵抗率に比べ約40%低いこと、エレクトロマイグレ−ション耐性がアルミニウムに比べて遥かに高いこと、さらに、アルミニウムの場合よりも多層溝配線プロセス(例えばデュアルダマシンプロセス)を採用しやすいので複雑で微細な多層配線構造が相対的に安価に加工できること、等がある。上記デュアルダマシン法によって銅を埋めこむ方法としては、スパッタリングによりめっきシード層となる銅もしくは銅合金を形成し、鍍金法により銅を埋め込むのが代表的である。シ−ド層の主たる目的はシ−ド層の表面を電気的カソ−ドとして液中金属イオンを還元し金属固体として析出するのに十分な電流を供給することにある。
【0003】
半導体デバイスの微細化による配線の微細化に伴い、埋め込むべき配線の溝(トレンチ)やコンタクト、接続孔(ビアホ−ル)のアスペクト比が高くなるに従い、従来のスパッタリング法による凹部(トレンチ、ホ−ル)における連続した十分な下地シ−ド層の形成が困難になってきている。現状、このような凹部における膜の被覆性(カバレッジ)確保のために、従来のスパッタリング法と比較して、指向性を向上させた遠距離スパッタ法、コリメ−ションスパッタ法、イオン化スパッタ法などが開発され広く普及している。
【0004】
一方、銅配線の信頼性を向上させるために、銅中に微量の不純物(Al、Ag、Zr、Mg、Bなど)を添加することが検討されている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0005】
しかしながら、今後の更なる半導体の微細化、65nm、45nm、および45nm以下のデバイスル−ルにおいては、上記に挙げた指向性スパッタリング法によっても凹部において十分なシ−ド層のカバレッジが得られず、次工程のめっきにおける埋め込みが未達成となる。また、十分なカバリッジを得ようとすると、凹部の開口部をシード層によって狭められ、もしくは塞がれ、めっきによって凹部を埋め込むことが困難になる。また、信頼性向上を目的としてCu配線に不純物を添加する方法としては、不純物を添加したCu合金スパッタタ−ゲットを用意し、スパッタにより成膜したCuシ−ド層中に不純物を添加するのが最も容易であり一般的であるが、今後、従来のスパッタリングによるシ−ド形成が困難であれば、Cuへの不純物添加の方法も他の方法を考えざるを得なくなる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−54458号公報
【特許文献2】特開平11−102909号公報
【特許文献3】特開2000−252278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、65nm、45nm、および45nm以下のデバイスル−ルの凹部(例えば、溝配線や接続孔)に対して十分なカバリッジが得られるシード層を形成することが困難な点であり、また、銅配線の信頼性の向上を目的とした銅シード層中に不純物を添加することも従来の成膜方法では困難になるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置は、絶縁膜に形成された凹部に埋め込まれた導電層を有する半導体装置であって、前記導電層は、前記凹部の内面に形成されたバリア層と、前記バリア層表面に形成されたチタンアルミニウム合金層と、前記凹部を埋め込むものでアルミニウムが固溶された銅層とからなることを最も主要な特徴とする。
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁膜に形成された凹部に導電層を埋め込む工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記導電層を形成する工程は、前記凹部の内面にバリア層を形成する工程と、前記バリア層表面にアルミニウムからなるめっきシード層を形成する工程と、前記凹部を銅で埋め込む工程と、前記絶縁膜上の余剰な銅、アルミニウムおよびバリア層を除去する工程とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁膜に形成された凹部に導電層を埋め込む工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記導電層を形成する工程は、前記凹部の内面にバリア層を形成する工程と、前記バリア層表面にチタン層を形成する工程と、前記チタン層表面にアルミニウムからなるめっきシード層を形成する工程と、前記凹部を銅で埋め込む工程と、前記絶縁膜上の余剰な銅、アルミニウムおよびバリア層を除去する工程とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置は、バリア層と銅層との間にチタンアルミニウム合金層を形成したため、銅層とバリア層との界面密着性を向上させることができるので、SIV(Stress-Induced Voiding)耐性を向上させることができ、配線等の信頼性の向上が得られるという利点がある。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、バリア層表面にアルミニウムを用いてめっきシード層を形成するため、成膜方法にCVD法やALD法を採用することができる。このため、めっきシード層を凹部の内面に対してカバリッジの良くコンフォーマルに成膜することができるので、その後の凹部への銅の埋め込み時にボイドの発生による埋め込み不良等を防止できるという利点がある。さらに、バリア層と銅層との間にめっきシード層のアルミニウムとバリア層とのアルミニウム合金層が形成されるため、銅とバリア層との界面密着性を向上させることができるので、SIV(Stress-Induced voiding)耐性を向上させることができ、配線等の信頼性の向上が得られるという利点がある。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法は、バリア層表面にアルミニウムを用いてめっきシード層を形成するため、成膜方法にCVD法やALD法を採用することができる。このため、めっきシード層を凹部の内面に対してカバリッジの良くコンフォーマルに成膜することができるので、その後の凹部への銅の埋め込み時にボイドの発生による埋め込み不良等を防止できるという利点がある。また、アルミニウムからなるめっきシード層を形成する前に下地となるチタン層を形成したため、チタン層によってアルミニウムの銅中への拡散を制御して、銅中に過剰なアルミニウムが拡散しないようにすることができるので、銅の電気抵抗の上昇を抑制できるという利点がある。さらに、バリア層と銅層との間にチタンアルミニウム合金層が形成されるため、銅とバリア層との界面密着性を向上させることができるので、SIV(Stress-Induced voiding)耐性を向上させることができ、配線等の信頼性の向上が得られるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
SIV耐性の向上、界面密着性の向上等による信頼性の向上という目的を、めっきシード層にアルミニウムを用いることで、さらにバリア層とめっきシード層との間にチタン層を設けることで、特殊なプロセスを用いることをせずに実現した。
【実施例1】
【0015】
本発明の半導体装置に係る第1実施例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0016】
図1に示すように、図示はしない基板(例えば半導体基板、絶縁基板等)上に、例えば半導体素子、配線等が形成され、それらを覆う絶縁膜11が形成されている。この絶縁膜11には凹部(例えば配線溝もしくは接続孔)12が形成されている。この凹部12は図示はしないが、いわゆるデュアルダマシン法により形成される配線溝とこの配線溝に形成された接続孔であってもよい。上記凹部12の内面にはバリア層13が形成されている。このバリア層13は、例えば、タンタル、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化珪化タングステンもしくは窒化チタンからなる。または上記2種以上の膜を組み合わせた積層膜としても良い。
【0017】
上記バリア層13の表面には、チタンアルミニウム合金層14が形成されている。さらに、上記凹部12を埋め込むように銅層15が形成されている。このように、凹部12内部には、バリア層13、チタンアルミニウム合金層14を介した銅層15からなる導電層16が形成されている。さらに、銅層15表面に銅の酸化を防止するとともに銅の拡散を防止する保護膜(図示せず)が形成されていてもよい。
【0018】
上記半導体装置1は、バリア層13と銅15との間にチタンアルミニウム合金層14を形成したため、銅15とバリア層13との界面密着性を向上させることができるので、SIV(Stress-Induced voiding)耐性を向上させることができ、配線等の信頼性の向上が得られるという利点がある。
【実施例2】
【0019】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を、図2〜図3の製造工程断面図によって説明する。
【0020】
図2(1)に示すように、図示はしない基板(例えば半導体基板、絶縁基板等)上に、例えば半導体素子、配線等が形成され、それらを覆う第1絶縁膜21が形成されている。第1絶縁膜21には配線溝22内にバリア層23を介して第1配線24が形成されている。この第1絶縁膜21上には上記溝配線24を被覆するように保護層25が形成されている。この保護層25は例えば窒化シリコンで形成されている。
【0021】
上記構成の下地上に、すなわち上記保護層25上に第2絶縁膜31を形成する。この第2絶縁膜31は、例えば、酸化シリコンで、0.3μmの厚さに形成される。次いで、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術等によって、上記第2絶縁膜31に凹部(例えば配線溝および接続孔)32を形成する。この凹部32の接続孔の部分は、上記保護層25を貫通して第1配線24に達するように形成される。
【0022】
次に、図2(2)に示すように、凹部32の内面を被覆するように、第2絶縁膜31表面にバリア層33を形成する。このバリア層33は、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法によって、厚さ5nm〜15nm程度の銅の拡散を防止する材料層で形成する。例えば、その材料層としては、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化珪化チタン(TiSiN)、窒化チタン(TiN)などを用いることができる。または上記2種以上の膜を組み合わせた積層膜としても良い。例えば、凹部32の内面側より、窒化チタン層とチタン層とを順に積層したもの、チタン層と窒化チタン層とチタン層とを順に積層したもの、タンタル層とチタン層とを順に積層したもの、窒化タンタル層とチタン層とを順に積層したもの、窒化タンタル層とタンタル層とチタン層とを順に積層したもの、窒化タングステン層とチタン層とを順に積層したもの、窒化珪化タングステン層とチタン層とを順に積層したもの等が挙げられる。このバリア層33の成膜方法は、PVD法の他に、化学的気相成長(CVD)法、原子層蒸着(ALD)法等の使用も可能である。
【0023】
次に、図2(3)に示すように、上記バリア層33を成膜後、大気開放することなく、In−situで、アルミニウムからなるめっきシード層34を形成する。このアルミニウムからなるめっきシード層34は、例えば化学的気相成長(CVD)法、原子層蒸着(ALD)法等の高カバリッジでコンフォーマルに成膜が可能な成膜方法により行うことが好ましい。このバリア層33は、例えば5nm以上でかつ凹部32を埋め込まない膜厚に形成される。
【0024】
上記めっきシード層34を化学的気相成長法で行う場合には、反応ガスに、MPA(メチルピロリダインアラン)を使用する。もしくは、反応ガスとして、DMAH(ジメチルアルミニウムハイドライド)、TMA(トリメチルアルミニウム)、DMEAA(ジメチルエチルアミンアラン)等を使用することも可能である。そして、成膜条件は、例えば、成膜雰囲気の圧力を30Pa、基板温度を90℃〜120℃に設定し、例えば5nm以上でかつ凹部32を埋め込まない膜厚に形成される。
【0025】
次に、図2(4)に示すように、電解メッキ法により、上記凹部32を埋め込むように上記めっきシード層34の全面に銅層35を形成する。この銅層35は、例えば0.8μmの厚さに堆積されて形成される。
【0026】
次に、図3(5)に示すように、上記銅層35を成膜した後、熱処理を行う。この熱処理は、例えば、350℃〜400℃の温度で60分程度実施する。この熱処理によって、めっきシード層34〔前記図2(4)参照〕のアルミニウムの一部は銅層35中に固溶する。また、めっきシード層34〔前記図2(4)参照〕のアルミニウムとバリア層33の一部とで合金層36が形成され、またその合金層36と銅層35との界面では銅とアルミニウムとバリア層の構成元素との3元の合金層(図示せず)が形成される。これらの合金層の形成によって、銅層35とバリア層33との界面における密着性が向上される。
【0027】
次に、図3(6)に示すように、第2絶縁膜31上の余剰な銅層35、合金層36、バリア層33等〔前記図3(5)参照〕を化学的機械研磨(CMP)によって除去する。この結果、凹部32内部のみに、バリア層33、合金層36を介してアルミニウムが固溶された銅層35からなる溝配線構造の第2配線37が形成される。したがって、第2絶縁膜31表面は平坦化される。次いで、図示はしないが、第2絶縁膜31上に上記第2配線37を被覆する保護層38を形成する。この保護層38は、上記保護層25と同様に、一例として窒化シリコン層を用いることができる。さらに、配線層の多層化を行う場合には、上記図3によって説明した工程を繰り返し行えばよい。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法は、CVD法、ALD法等の成膜方法によって、バリア層33表面にアルミニウムを用いてめっきシード層34を形成したため、めっきシード層34を凹部の内面に対してカバリッジの良くコンフォーマルに成膜することができるので、その後の凹部への銅の埋め込み時にボイドの発生による埋め込み不良等を防止できるという利点がある。さらに、バリア層33と銅層35との間に合金層36が形成されるため、銅層35とバリア層33との界面密着性を向上させることができるので、SIV(Stress-Induced voiding)耐性を向上させることができ、配線等の信頼性の向上が得られるという利点がある。
【実施例3】
【0029】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を、図4〜図5の製造工程断面図によって説明する。
【0030】
図4(1)に示すように、図示はしない基板(例えば半導体基板、絶縁基板等)上に、例えば半導体素子、配線等が形成され、それらを覆う第1絶縁膜21が形成されている。第1絶縁膜21には配線溝22内にバリア層23を介して第1配線24が形成されている。この第1絶縁膜21上には上記第1配線24を被覆するように保護層25が形成されている。この保護層25は例えば窒化シリコン層で形成されている。
【0031】
上記構成の下地上に、すなわち上記保護層25上に第2絶縁膜41を形成する。この第2絶縁膜41は、例えば、酸化シリコンで、0.3μmの厚さに形成される。次いで、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術等によって、上記第2絶縁膜41に凹部(例えば配線溝および接続孔)42を形成する。この凹部42の接続孔の部分は、上記保護層25を貫通して第1配線24に達するように形成される。
【0032】
次に、図4(2)に示すように、凹部42の内面を被覆するように、バリア層43を形成する。このバリア層43は、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法によって、厚さ5nm〜15nm程度の銅の拡散を防止する材料層で形成する。例えば、その材料層としては、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、窒化珪化チタン(TiSiN)、窒化チタン(TiN)などを用いることができる。または上記2種以上の膜を組み合わせた積層膜としても良い。例えば、凹部32の内面側より、窒化チタン層とチタン層とを順に積層したもの、チタン層と窒化チタン層とチタン層とを順に積層したもの、タンタル層とチタン層とを順に積層したもの、窒化タンタル層とチタン層とを順に積層したもの、窒化タンタル層とタンタル層とチタン層とを順に積層したもの、窒化タングステン層とチタン層とを順に積層したもの、窒化珪化タングステン層とチタン層とを順に積層したもの等が挙げられる。このバリア層43の成膜方法は、PVD法の他に、化学的気相成長(CVD)法、原子層蒸着(ALD)法等の使用も可能である。
【0033】
次に、図4(3)に示すように、上記バリア層43を成膜後、大気開放することなく、In−situで、上記バリア層43表面にチタン層44を形成する。このチタン層44は、例えば化学的気相成長(CVD)法、原子層蒸着(ALD)法等の高カバリッジでコンフォーマルに成膜が可能な成膜方法により行うことが好ましい。このチタン層44は、例えば3nm〜10nm程度の膜厚で形成される。後の熱処理によって上記チタン層44は上層のアルミニウムと合金を形成する。チタン層44の膜厚により、銅へ固溶(拡散)するアルミニウムの量を制御することが可能である。銅中のアルミニウム固溶量により銅アルミニウム合金の比抵抗は上昇し、その結果、配線抵抗を上昇させることになるので、銅への過剰なアルミニウムの固溶は好ましくない。そこで、上記説明したようにチタン層にアルミニウムを吸収させることでアルミニウムの銅への固溶を制御している。
【0034】
次に、図4(4)に示すように、上記チタン層44を成膜後、大気開放することなく、In−situで、上記チタン層44表面にアルミニウムからなるめっきシード層45を形成する。このアルミニウムからなるめっきシード層45は、例えば化学的気相成長(CVD)法、原子層蒸着(ALD)法等の高カバリッジでコンフォーマルに成膜が可能な成膜方法により行うことが好ましい。このアルミニウム層は、上記チタン層44を下地とすることで、滑らかな連続膜として、例えば20nm〜30nm程度の膜厚で形成される。
【0035】
上記アルミニウムの成膜を化学的気相成長法で行う場合には、反応ガスに、MPA(メチルピロリダインアラン)を使用する。もしくは、反応ガスとして、DMAH(ジメチルアルミニウムハイドライド)、TMA(トリメチルアルミニウム)、DMEAA(ジメチルエチルアミンアラン)等を使用することも可能である。そして、成膜条件は、例えば、成膜雰囲気の圧力を30Pa、基板温度を90℃〜120℃に設定し、例えば5nm以上でかつ凹部32を埋め込まない膜厚に形成される。
【0036】
次に、図5(5)に示すように、電解メッキ法により、上記凹部42を埋め込むように上記めっきシード層45の全面に銅層46を形成する。この銅層46は、例えば、厚さ0.8μmに堆積されて形成される。
【0037】
次に、図5(6)に示すように、上記銅層46を成膜した後、熱処理を行う。この熱処理は、例えば、350℃〜400℃の温度で60分程度実施する。この熱処理によって、めっきシード層45の一部のアルミニウムとチタン層44〔前記図4(4)参照〕とが合金化され、アルミニウムチタン合金層47を形成する。まためっきシード層45の一部のアルミニウムは銅層46中に固溶する。また、上記合金層47と銅層46との界面では銅とアルミニウムとチタンとの3元の合金層(図示せず)が形成される。これらの合金層の形成によって、銅層46とバリア層43との界面における密着性が向上される。
【0038】
次に、図5(7)に示すように、第2絶縁膜41上の余剰な銅層46、合金層47、バリア層43等を化学的機械研磨(CMP)によって除去する。この結果、凹部42内部のみに、バリア層43、合金層47等〔前記図5(6)参照〕を介してアルミニウムが固溶された銅層46からなる溝配線構造の第2配線48が形成される。したがって、第2絶縁膜41表面は平坦化される。次いで、図示はしないが、第2絶縁膜41上に上記第2配線48を被覆する保護層49を形成する。この保護層49は、上記保護層49と同様に、一例として窒化シリコンを用いることができる。さらに、配線層の多層化を行う場合には、上記図5によって説明した工程を繰り返し行えばよい。
【0039】
本発明の半導体装置の製造方法は、CVD法、ALD法等の成膜方法によって、チタン層44表面にアルミニウムを用いてめっきシード層45を形成したため、めっきシード層45を凹部の内面に対して、特に、カバリッジが良くコンフォーマルに成膜することができるので、その後の凹部への銅の埋め込み時にボイドの発生による埋め込み不良等を防止できるという利点がある。さらに、アルミニウムからなるめっきシード層45を形成する前に下地となるチタン層44を形成したため、チタン層44によってアルミニウムの銅層46中への拡散を制御して、銅層46中に過剰なアルミニウムが拡散しないようにすることができるので、銅層46の電気抵抗の上昇を抑制できるという利点がある。さらに、バリア層43と銅層46との間にアルミニウムチタン合金層47が形成されるため、銅層46とバリア層43との界面密着性を向上させることができるので、SIV(Stress Induce void)耐性を向上させることができ、配線等の信頼性の向上が得られるという利点がある。また、チタン層44の膜厚を調整することにより、チタンとアルミニウムとの反応(例えば、Ti+3Al→TiAl3)に消費されるアルミニウムの割合を制御して、銅層46中に固溶するアルミニウム量を調整することによって、銅層46の電気抵抗の上昇を抑制できるという利点がある。これによって、信号の高速伝送が可能な微細配線を形成することが可能になる。
【0040】
また、上記各製造方法では、めっきシード層44のアルミニウムの成膜にCVD法、ALD法を用いることが可能であるため、更なる微細配線構造(65nmプロセス、45nmプロセスもしくはそれ以下のプロセス)であっても、アルミニウムのめっきシード層44の形成が可能になるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の半導体装置および半導体装置の製造方法は、溝配線、接続孔に形成されるプラグ等を用いる各種半導体装置の配線、特に多層配線という用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の半導体装置に係る第1実施例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を示した製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1…半導体装置、11…絶縁膜、12…凹部、13…バリア層、14…チタンアルミニウム合金層、15…銅層、16…導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜に形成された凹部に埋め込まれた導電層を有する半導体装置であって、
前記導電層は、
前記凹部の内面に形成されたバリア層と、
前記バリア層表面に形成されたチタンアルミニウム合金層と、
前記凹部を埋め込むものでアルミニウムが固溶された銅層と
からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記凹部は、配線溝、接続孔、もしくは配線溝および該配線溝に連通された接続孔からなる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バリア層は、タンタル、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化珪化タングステンもしくは窒化チタンからなる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
絶縁膜に形成された凹部に導電層を埋め込む工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記導電層を形成する工程は、
前記凹部の内面にバリア層を形成する工程と、
前記バリア層表面にアルミニウムからなるめっきシード層を形成する工程と、
前記凹部を銅で埋め込む工程と、
前記絶縁膜上の余剰な銅、アルミニウムおよびバリア層を除去する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記銅を形成した後、熱処理を施すことによりアルミニウムの一部を前記バリア層の一部と反応させて合金化させる
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記凹部は、配線溝、接続孔、もしくは配線溝および該配線溝に連通された接続孔からなる
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記バリア層は、タンタル、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化珪化タングステンもしくは窒化チタンからなる
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記バリア層は、指向性スパッタ方法もしくは化学的気相成長法もしくは原子層蒸着法により形成される
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記アルミニウムからなるめっきシード層は、化学的気相成長法もしくは原子層蒸着法により形成される
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記各工程の成膜処理は大気開放されることなく連続的に処理される
ことを特徴とする請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
絶縁膜に形成された凹部に導電層を埋め込む工程を有する半導体装置の製造方法であって、
前記導電層を形成する工程は、
前記凹部の内面にバリア層を形成する工程と、
前記バリア層表面にチタン層を形成する工程と、
前記チタン層表面にアルミニウムからなるめっきシード層を形成する工程と、
前記凹部を銅で埋め込む工程と、
前記絶縁膜上の余剰な銅、アルミニウムおよびバリア層を除去する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記銅を形成した後、熱処理を施すことによりアルミニウムの一部をTiと反応させて合金化させる
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記バリア層は、タンタル、タングステン、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化珪化タングステンもしくは窒化チタンからなる
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記バリア層は、指向性スパッタ方法もしくは化学的気相成長法もしくは原子層蒸着法により行う
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記アルミニウムからなるめっきシード層は、化学的気相成長法もしくは原子層蒸着法により形成される
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記各工程の成膜処理は大気開放されることなく連続的に処理される
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−73792(P2006−73792A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255342(P2004−255342)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】