説明

半導体装置の製造方法、半導体装置及び半導体装置の製造装置

【課題】製造工程数を増加させることなく配線上にキャップメタル膜を選択的に形成することにより、配線間リーク電流の増大及び配線間ショートを抑制する。
【解決手段】絶縁膜に埋め込まれた配線を有する半導体装置の製造方法において、基板上に形成された絶縁膜に溝を形成する工程と、前記溝に導電膜を埋め込む工程と、それぞれに電解液が注入された複数の貫通孔を有する基体を前記導電膜の表面に接触させながら、前記電解液と電気的に接続されたアノードと前記基体表面に露出したカソードとの間に電位差を付与することで、前記導電膜が埋め込まれた前記絶縁膜を表面処理する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップメタル膜を有する半導体装置及びキャップメタル膜を有する半導体装置の製造方法並びに半導体装置の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化にともなって、低抵抗な配線を形成する技術が必要になっている。Cuは低抵抗な配線材料として注目されているがCuのハロゲン化合物の蒸気圧が低いためCu膜を形成してからドライエッチングによりパターンニングして配線を形成することが困難である。そこで基板上に形成した絶縁膜上に配線用の溝をあらかじめ形成して、該溝にCuで埋め込んで、その後絶縁膜上の余分なCuをCMP(Chemical Mechanical Polishing)で除去するダマシン配線が早くから試みられていた。
【0003】
一方、Cuは酸化シリコン系の絶縁膜中を拡散するので、Cuのダマシン配線の表面をバリア層で覆い、絶縁膜中へのCuの拡散を阻止する必要がある。現状のダマシン配線は、上記絶縁膜に形成された配線溝の内側にあらかじめバリアメタル膜を形成し、その後Cuを埋め込み、最後にキャップ絶縁膜で蓋をしてCu表面を保護している。しかしCuとキャップ絶縁膜との界面には十分な密着強度が得られず、通電中に当該界面にボイドが発生し信頼性を低下させる場合がある。
【0004】
特許文献1にはダマシン配線上にコバルト−タングステン−リン(CoWP)膜等のキャップメタル膜を成長させ、ダマシン配線の信頼性を向上するプロセスが提案されている。
【0005】
以下、図10を参照しながら、特許文献1に開示されたキャップメタル膜を形成したダマシン配線を備える半導体装置の製造方法について説明する。
【0006】
まず、トランジスタ等の半導体素子が形成された半導体基板(図示せず)上に図10(A)に示すように絶縁膜612を形成するとともに、当該絶縁膜612に、リソグラフィー法及びドライエッチング法により凹部613を形成する。また凹部613を形成した絶縁膜612上に、メタルからなるバリア層610を形成する。さらに、図10(B)に示すようにバリア層610上にスパッタリング法等によりCuからなるシード層614を形成する。次にこのシード層614上に図10(C)に示すCuめっき層615を形成する。次に図10(D)で示すように前記のCuめっき層615の凹部613以外の部分、シード層614、及びバリア層610を、CMP法により除去することで、Cuが凹部613に充填されたCu配線609を形成する。
【0007】
次に、図10(E)に示すように無電解めっき法により、Cu配線609の表面にCoWPからなるキャップメタル膜611を形成する。その際、Pdを触媒として1種類の還元剤を用いて無電解還元をすることによって、Cu配線表面にキャップメタル膜611を形成する。
【0008】
しかし、上記の無電解めっき法でキャップメタル膜611を形成するとCu配線609上だけではなく、配線間の層間絶縁膜612上にもメタル617が異常成長し、層間絶縁膜612上に残留するので、配線ショート、信頼性劣化などの不具合が生じる。
【0009】
この問題を解決するために特許文献2には、Cu配線表面が露出する開口を備えたマスク上に、無電解めっき法によりキャップメタル膜を形成した後、マスクを除去する技術が開示されている。特許文献3には、2種類の還元剤を用いて触媒金属を還元することによって、無電解めっき法によりキャップメタル膜を形成する技術が開示されている。特許文献4には、絶縁膜の開口に形成された導電性材料膜に掘り込み部(リセス)を形成して、触媒金属を形成した後、絶縁膜上の触媒金属を除去し、導電性材料膜上の触媒金属を還元することで、無電解めっき法によりキャップメタル膜を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特表2003−505882号公報
【特許文献2】特開2004−179589号公報
【特許文献3】特開2004−200273号公報
【特許文献4】特開2006−120664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記いずれのキャップメタル膜形成技術にも次の問題がある。特許文献2の技術では、マスクを除去する際に配線上に存在するキャップメタル膜も同時に除去されてしまい、キャップメタル膜が不均一に形成されてしまう。さらに、マスクを形成する工程が増えるため、全体の工程数が増加する。特許文献3の技術では、2種類の還元剤を用いることによる工程数の増加と、それに対するコストが増加する。特許文献4の技術では、工程数の増加、コストの増加、リセスの加工による加工ばらつきが生じる。
【0011】
上記の課題を鑑み、本発明の目的は製造工程数を増加させることなく、配線上にキャップメタル膜を均一に形成することにより、配線間リーク電流の増大及び配線間ショートを抑制する半導体装置の製造方法、半導体装置の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明は以下の手順を採用している。まず本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁膜に埋め込まれた配線を有する半導体装置の製造方法を前提としている。
【0013】
まず、基板上に形成された絶縁膜に溝を形成し、前記溝に導電膜を埋め込む。次いで、それぞれに電解液が注入された複数の貫通孔を有する基体を前記導電膜の表面に接触させながら、前記電解液と電気的に接続されたアノードと前記基体表面に露出したカソードとの間に電位差を付与することで前記導電膜が埋め込まれた前記絶縁膜を表面処理するようになっている。この構成において、基体が導電性を有し、基体表面の全てがカソードであることが望ましい。また、前記基体の複数の貫通孔の側壁は、電解液と導電性の基体とを電気的に絶縁する絶縁性の材料で構成されていることが望ましい。
【0014】
上記構成において、前記電解液が金属元素を含み、前記表面処理が、前記絶縁膜に埋め込まれた導電膜の表面に、前記電解液に含まれる金属元素を析出させる電解めっき処理であると電解液に接触していない部分にはメタル膜は形成されないので、電解液に接触した導電膜部分のみに選択的にキャップメタル膜を形成することができる。さらに導電膜以外の部分に形成したメタル膜を除去する工程が不要となる。
【0015】
上記キャップメタル膜形成後、キャップメタル膜の表面を基体により機械的に研磨する工程を有してもよい。この場合、当該基体は研磨パッドとしても機能する。これにより、電解めっきにより形成されたキャップメタル膜表面を平坦化することができる。
【0016】
また、上記構成において、前記電解液が非金属元素のみを含み、前記表面処理が、前記絶縁膜上に形成された金属膜を除去する研磨処理であってもよい。無電解めっき法でキャップメタル膜を形成するとCu配線上だけではなく、配線間の層間絶縁膜上にも金属膜が異常成長し、層間絶縁膜上に残留する。当該金属膜はこの無電解めっきで絶縁膜上に発生した膜である。この場合、凹部に導電膜が埋め込まれた絶縁膜の表面を、導電性基体と電解液との間に電界を発生させた状態で研磨することができる。これにより、キャップメタル膜の膜厚を減少させることなく、絶縁膜上の不要な金属膜を除去することができる。
【0017】
上記の半導体装置の製造装置を使用すると配線上のキャップメタル膜に電解をかけることで電流の流れやすいキャップメタル膜300の密着力は増す。したがって導電性の基体505の機械的研磨によっては、キャップメタル膜は除去されにくい。逆に、絶縁膜112上に析出したメタル310には、電流が流れにくいので機械的研磨によって研磨される。以上により絶縁膜112に析出したメタル310のみを導電性の基体505で機械的に研磨することができる。
【0018】
前記電解めっきにより前記導体膜上にはめっき膜が形成される。前記表面処理後に、当該めっき膜の表面を前記基体により研磨することが望ましい。さらに前記キャップメタル膜の形成と、前記表面処理との間に、前記キャップメタル膜の表面に、電解めっき法により第2のキャップメタル膜を形成することが望ましい。
【0019】
一方、本発明は上記の課題を解決する半導体装置を提供することができる。すなわち、本発明の半導体装置は、絶縁膜に埋め込まれた配線を有する半導体装置を前提とし、半導体基板上に形成された絶縁膜と、前記絶縁膜に形成された溝と、前記溝に埋め込まれた導電膜とを有している。導電膜上には第1のキャップメタル膜が形成され、当該第1のキャップメタル膜上には第2のキャップメタルが形成される。第2のキャップメタルは主成分として前記第1のキャップメタル膜の主成分を含む。
【0020】
第1と第2のキャップメタル膜の主成分を同じにすることで、第1のキャップメタルと第2のキャップメタル全体の不純物濃度が低下する。この不純物は無電解めっきで第1のキャップメタルを形成したときに使用した触媒である。
【0021】
さらに本発明は、上記の課題を解決する半導体装置の製造装置を提供することができる。すなわち本発明の半導体装置の製造装置は、半導体基板の主面、すなわち配線面を処理する半導体装置の製造装置を前提とする。当該製造装置は、定盤と、前記定盤上に設けられたアノード板と、前記アノード板上に設けられた絶縁性基体と、絶縁性基体上に設けられたカソードとして機能する導電性基体とを有する。絶縁性基体は、前記アノード板に通じる複数の貫通孔を有し、導電性基体は、前記絶縁性基体の貫通孔に連通する貫通孔と、貫通孔には、電解液が注入されるとともに絶縁性の側壁を有する。
【0022】
さらに本発明の製造装置は、前記半導体基板を保持するとともに、当該半導体基板を前記導電性基体に押圧する手段と、前記保持された半導体基板の主面に対して前記定盤を相対的に運動させる手段を備える。
【0023】
上記半導体製造装置には、基体上に電解液を供給する機構を備えることが望ましい。本半導体製造装置では、半導体基板表面に露出した導電膜(配線)および電解液を介してカソードとアノードとが電気的に接続される。このため、電解液がめっき液である場合、電解めっきにより導電膜上にキャップメタル膜を形成することが可能となる。また、定盤に設置された導電性の基体を研磨バッドの機能を有する構成とすれば、導電膜が露出した半導体基板表面を電界を印加した状態で研磨することができる。例えば、無電解めっき法により導電膜上にキャップメタル膜を形成した半導体基板に対して当該研磨を実施することで、キャップメタル膜を除去することなく、層間絶縁膜上に形成された余剰なメタル膜のみを除去することができる。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によれば、製造工程数を増加させることなく、配線上にキャップメタル膜を形成することができる。その結果、配線間リーク電流の増大及び配線間ショートの抑制を低コストにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、材料、膜厚、開口径、電解液の種類及び電流値、温度、荷重、回転数などのプロセス条件はあくまで例示であって、以下の材料、膜厚又はプロセス条件に限定されることはない。
【0026】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、まず、以降で説明する第2〜第5の実施形態において使用する半導体製造装置について説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る半導体製造装置の要部を示すものである。定盤501上にはアノード板502が設置され、当該アノード板502上には、絶縁体のパッド503を介してカソードとなる導電性の基体505が設置されている。前記基体505の上面からパッド503を貫通して、アノード板502の表面に至る複数の貫通孔504が穿設されるとともに、当該貫通孔504の基体505の内側には絶縁膜507が形成されている。
【0028】
前記、アノード板502の材料は、白金めっきしたチタン(Ti)などの白金めっき系金属、酸化イリジウム、酸化イリジウム系ルテニウム複合材などの、電解中の電解液に金属イオンを溶出しない不溶性アノードであることが好ましい。アノード板502の全てが上記アノードである必要はなく、後述するように、導電性基体505と電解液を介して電気的に導通できれば一部に上記アノードを使用したアノード板502でよい。上記絶縁体のパッド503は、0.5mm以上1.0mm以下の厚みとなっている。
【0029】
上記、基体505は、所定の合成樹脂材料にカーボン等を含ませて導電性を与えるように形成されているとともに、変形量が20〜150μm/kgの一定の弾性を持った材質、例えば、ポリウレタン、ポリエステル樹脂や、ポリアミドクロス、ポリエステル樹脂の不織布等で構成され、多孔質となっている。
【0030】
上記基体505の貫通孔504は、直径100μm以上5000μmの大きさであり、
開口率は、50%〜80%で等ピッチに配列されているのが好ましい。直下の絶縁性のパッド503も貫通しているので、貫通孔504はアノード板で底が塞がれ、基体505の上面に開口していることになる。上記貫通孔504の内側の絶縁膜507も、上記基体505と同じ材質で構成されるが、カーボン等の導電性材料を含まず、絶縁性を有している。
【0031】
図2に示すように、この装置の外部には電解液供給機構530が設けられており、上記貫通孔504に対して電解液を充填できるようになっている。前記のように、基体505は多孔質であるので、供給された電解液506は空孔内をも満たすことになり、上記絶縁体のパッド503と絶縁膜507で絶縁された電解槽とカソード(基体505)が一体になった構成となる。
【0032】
上記半導体製造装置は、更に、円盤状の定盤501を中心を軸心として水平面内で回転させる回転機構540と、被めっき金属(この場合半導体装置の配線面)を下向きにして半導体基板を保持するとともに、基板を基体505に所定の圧力で押圧する基板保持部550を有する。
【0033】
基体保持部550は、保持した半導体基板の中心を回転軸として半導体基板を保持する回転可能な機構であり、かつ定盤501に対して水平面内で揺動可能となる機構である。これにより定盤501は回転機構540により自転し、基板508は基体保持部550の機構により自転、揺動しながら定盤501と基体508が相対的に運動することで、被めっき金属に対して均一なめっき(本件の場合、配線上にキャップメタル膜を均一)を施すことができる。なお、定盤501と基板保持部550とは、どちらか一方が水平面内で上記移動可能であればよい。
【0034】
図3は、図1において、貫通孔504に電解液506を充填し、基体505をカソードアノード板502をアノードとして使用した場合のX−Xの断面図を示している。基体505(カソード)からの電子の流れは基体505上の電解液506、貫通孔504の電解液506を介してアノードに達するようになっている。従って、基体505上に被めっき金属を配置すると、当該被めっき金属が静止している状態で、アノード板502との距離がもっとも近い貫通孔504の開口端に位置する部分にめっきが施されることになる。被めっき金属を定盤に対して相対的に移動すると、めっきは被めっき金属全体に及ぶことになる。
【0035】
また、上記したように上記基体505は、変形量が20〜150μm/kgの一定の弾性を持った材質、例えば、ポリウレタン、ポリエステル樹脂や、ポリアミドクロス、ポリエステル樹脂の不織布等で形成され、多孔質となっている。従って、上記したように電解液全体に浸透させることができるとともに、砥粒が混入した液を充填させることができ、研磨装置としても利用可能である。また、上記したように上記貫通孔504側壁に設置した絶縁性を有する側壁507は、変形量が20〜150μm/kgの一定の弾性を持った材質、例えば、ポリウレタン、ポリエステル樹脂や、ポリアミドクロス、ポリエステル樹脂などの絶縁性物質で形成され、空孔などが存在しない連続された膜で形成されている。絶縁性の膜503も同様の材質で形成されており、変形量が20〜150μm/kgの一定の弾性を持った材質、例えば、ポリウレタン、ポリエステル樹脂や、ポリアミドクロス、ポリエステル樹脂などの絶縁性物質で形成され空孔などが存在しない連続された膜で形成されている。
【0036】
〈半導体製造装置を使用したキャップメタル膜の形成方法)
次にこの半導体製造装置の使用方法について説明する。図4は、図1及び図3で説明した半導体製造装置を用いて、配線表面にキャップメタル膜の一部を形成する際の断面図を示している。半導体基板508には、絶縁膜112上に形成されたバリアメタル膜110を有するCu配線109が形成されている。なお、半導体基板508において、絶縁膜112よりも下層にはトランジスタ等の半導体素子が形成されているが、本発明に直接関係するものではないため、説明及び図示は省略する。
【0037】
電解めっき中は、半導体基板508に形成されたCu配線109とアノード板502が、基体505、電解液506を介して電気的に接続されている。そのため、基体505は、外部から負の電位をかけることで、カソードとしての役割を果たす。
【0038】
電解液506は導電性の基体505における貫通孔504及びそれに連通する絶縁性基体503の貫通孔520の内部を満たしており、Cu配線109が電解液506と基体505との双方に接触したときに、当該電解液506とカソードとしての基体505とアノード502が電気的に導通する。図4に記載のカソードとアノードを結ぶ線は、カソードとアノードが電解液と配線を通して電気的に導通していることを模式的に表している。
【0039】
キャップメタル膜としては、コバルト合金またはニッケル合金、金合金などが挙げられる。特に、コバルトニッケルは好ましい合金であるので、Cu配線109上に、電解めっき法を用いてコバルトニッケルを形成する方法について以下で説明する。
【0040】
電解液506としては、例えば、塩化コバルト、酸化ニッケル及びシュウ酸アンモニウムを含む溶液を用いる。その後、Cu配線109表面に導電性の基体505及び電解液506を接触させる。次に、導電性の基体505をカソード(負極)として電流密度が20〜60A/dm2の電流を流す。プロセス温度は50〜90℃程度とする。電解液506とカソードとして機能する導電性の基体505との両者はCu配線109表面と接しており、両者は絶縁性を有する膜507によって電気的に絶縁されている。そのため、Cu配線109表面と電解液506が接触している部分に電流が流れ、Cu配線109表面に、例えば、コバルト70%,ニッケル30%の組成比を有するコバルトニッケル膜を形成することができる。上記の電解めっきをすることで、Cu配線109表面上に、キャップメタル膜510を形成することができる。導電性の基体505は、絶縁膜112に接していることが好ましい。電解液が絶縁膜112上に漏れることを防ぐためである。
【0041】
上記導電性の基体505は、回転させなくてもキャップメタル膜は形成できるが、ウェハ面内を均一にするために、回転させながらキャップメタル膜510を形成する方が好ましい。この場合、導電性の基体505の回転数を30〜60rpmとし、半導体基板508の回転数を30〜60rpmとして、半導体基板508を導電性の基体505に押し付ける、押し付け圧を0.1psi(約689Pa)以上0.5psi(約3447Pa)以下とすることが好ましい。導電性基体505の材質は、不織布なので、押し付け圧を上記の範囲内で制御しながらキャップメタル膜510を形成すると、当該キャップメタル膜510を導電性基体505が研磨するだけの応力を確保できないので、研磨は進行しない。使用の際には半導体基板の配線面を導電性基体505の方に向けて、半導体製造装置に半導体基板をセットすることが好ましい。
【0042】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態において説明した半導体装置の製造装置を使用して、半導体基板上に形成されたCu配線上に電界めっきによりキャップメタル膜を形成する方法について説明する。まず、半導体基板上の配線形成方法について説明する。
【0043】
〈絶縁膜と凹部の形成〉
まず半導体基板(図示せず)上に図6(A)に示すように絶縁膜112を形成し、リソグラフィー法及びドライエッチング法により、絶縁膜112の表面に凹部113を形成する。絶縁膜112は、SiC、SiO2、SiN、SiOC、SiON等のシリコン(Si)と、炭素(C)あるいは酸素(O)あるいは窒素(N)等との化合物からなる。半導体装置の微細化に伴い、絶縁膜の低誘電率化が要求されるため、より誘電率の低いSiOC膜を絶縁膜として用いることが好ましい。
【0044】
〈バリア層の形成〉
その後、絶縁膜112上に形成された上記凹部113に、スパッタリング法を用いて、Taからなる膜厚が20nm程度のバリア層110を形成する。バリア層110はTa膜に限定されることはなく、チタン(Ti)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)などの高融点金属や、これらにN、C、Siがドープされた材質の膜でもよい。また、バリア層110は、これらの積層膜であってもよい。バリア層110の形成方法は、スパッタリング法に限定されることはなく、CVD(Chemical Vapor Deposition)法や、Mnを有する金属を形成後、アニール処理によって自己整合的にバリア層を形成する方法でもよい。
【0045】
〈シード層の形成〉
次に、図6(B)に示すようにバリア層110上に、スパッタリング法を用いてCuからなる膜厚が30nm程度のシード層114を形成する。シード層114としてCu膜に限定されることはなく、Ruや白金(Pt)等、後述するCu導電膜形成時のめっき電極として機能する材質の導電膜を使用することができる。シード層114を構成する導体膜には、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、マンガン(Mn)、Tiなどの金属がドープされていてもよい。シード層114の形成方法は、スパッタリング法に限定されることはなく、CVD法でもよい。
【0046】
〈Cu導電膜の形成〉
次に、図6(C)に示すようにシード層114上に、電解めっき法により、膜厚が1000nm程度のCuめっき層115を形成する。より具体的には、シード層114が形成された半導体基板を硫酸銅溶液に浸漬し、シード層114に電流を流してCuめっき層115を形成する。当該電解めっきにより、凹部113は、Cuめっき層115で充填される。なお、めっき液は硫酸銅を主成分とするめっき液であり、Cu濃度10〜40g/L、硫酸濃度10〜200g/Lである。めっき温度は室温であり、シード層114に供給する電流の電流密度は5〜50mA/mm2程度である。
【0047】
次に、図6(D)に示すように凹部113以外に形成されたCuめっき層115、シード層114、及びバリア層110をCMP法により除去してCu配線109を形成する。CMPの研磨条件は、Cu−CMP、バリア層CMPそれぞれについて、荷重を0.5psi〜2psi(約3447Pa〜約13800Pa)、研磨ヘッド及び定盤回転数が60rpm、スラリー流量が250ml/minである。Cu配線109は、CMP除去後クエン酸や、シュウ酸などの有機酸を主成分とする洗浄薬液を用いて洗浄して形成される。
【0048】
〈電解めっき法によるキャップメタル膜の形成〉
以上のようにして形成されたCu配線109上に、第1の実施形態に係る半導体製造装置を用いた電解めっき法で、1nm〜20nm程度のキャップメタル膜111を形成する。半導体製造装置のうち説明の便宜上図6(E)では複数の貫通孔504を有する導電性の基体505のみを記載した。
【0049】
前記半導体製造装置を使用すると図6(F)のようにCu配線109表面全面にキャップメタル膜111を形成できる。なお、アノード板502が電界めっきにより消耗することを前提とした場合には、コバルトからなるアノード、もしくは、コバルトをコーティングしたアノードを用いることもできる。
【0050】
〈効果〉
第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、電解めっき法によりCu配線表面上に、キャップメタル膜を形成することが出来る。本実施形態では、絶縁膜上にメタルが析出することがないため、配線間ショートの問題を解決することができる。従って、絶縁膜上に析出したメタルを除去する又はメタルを析出させないための工程数増加の問題もなく、配線間ショートおよび信頼性劣化のない、高歩留まりの配線を低コストに形成することができる。
【0051】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を図7で説明する。第2の実施形態との相違点は、電解めっき法を用いてCu配線109上に1nm〜20nm程度のキャップメタル膜111を形成した後に、当該キャップメタル膜211表面を研磨することである。 〈絶縁膜と凹部の形成〉工程から〈電解めっき法によるキャップメタル膜の形成〉工程を経て図7(A)のキャップメタル膜111が形成される。
【0052】
〈キャップメタル膜の研磨〉
図7(B)に示すCu配線109表面全面に第2の実施形態の〈電解めっき法によるキャップメタル膜の形成〉工程で形成したキャップメタル膜111の表面を図7(C)の第1の実施形態の半導体製造装置を用いて研磨する。その結果図7(D)のようにCu配線109表面全面にキャップメタル膜111を形成できる。ここで、半導体製造装置のうち説明の便宜上、図7(A、C)では複数の貫通孔504を有する導電性の基体505のみを記載した。導電性の基体505は研磨パッドとしても機能する。導電性の基体505の回転数を30〜60rpmとし、半導体基板の回転数を30〜60rpmとして、半導体基板を導電性の基体505に押し付け圧0.5psi以上で押し付けることが好ましい。押し付け圧を上記の値以上にすることで、キャップメタル膜111の表面を確実に研磨することができる。研磨中は、貫通孔504に電解液が含まれていなくてもよい。また、基体505の表面には、適宜、スラリーが供給される。導電性の基体505は、絶縁膜112に接していることが好ましい。電解液が絶縁膜112上に漏れることを防ぐためである。なお、キャップメタル膜表面の研磨は、キャップメタル膜の選択形成と同時に実施されてもよい。この場合は貫通孔504に電解液を注入したまま研磨する。
【0053】
〈効果〉
第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、電解めっきによりCu配線表面にキャップメタル膜を形成した後に、連続的にキャップメタル膜表面を研磨して、Cu配線109表面上に均一なキャップメタル膜を形成することができる。さらにキャップメタル膜の膜厚を制御することができる。第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、配線間ショートおよび信頼性劣化のない、高歩留まりの配線を低コストに形成することができる。
【0054】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を図8で説明する。第2の実施形態との相違点は、まず無電解めっき法を用いてCu配線109上にキャップメタル膜111を1nm〜20nm程度の膜厚で形成する。次にCu配線109上のキャップメタル膜111に電界をかけながら、導電性の基体505を用いて、絶縁膜112表面に余剰に析出したメタル310を電気的機械的に研磨することにある。〈絶縁膜と凹部の形成〉工程から〈Cu導電膜の形成〉工程を経て図8(A)のCu配線109が形成される。
【0055】
〈無電解めっき法によるキャップメタルの形成〉
第2の実施形態の〈Cu導電膜の形成〉工程で形成したCu配線109上に、無電解めっき法で図8(B)に示す1nm〜20nm程度の膜厚のキャップメタル膜300を形成する。無電解めっき法でキャップメタル膜であるCoWP膜を成長させるためには、キャップメタル膜300を成長させる部位に触媒層が必要となるが、Cuは触媒活性度が低いので、キャップメタル膜を形成する触媒層としての機能が十分ではない。そのため、まずパラジウム(Pd)膜等の触媒層をCu配線109の上面に形成する。
【0056】
Cu配線109上にPd膜を形成する方法としては、例えば以下の置換めっき法が使用される。塩化パラジウムと塩酸との溶液中に、Cu配線109が形成された半導体基板を浸漬すると、当該溶液中にCu配線109の表面に存在するCuが溶解する。このとき、Cuの溶解にともなって放出された電子は、Cuイオンよりもイオン化傾向が小さいパラジウムイオンに捕獲されるので、パラジウム原子がCu原子と置換される。以上が置換めっき法である。置換は、Cu配線109の表面だけで起こるので、Cu配線109の表面にPd膜が形成される。
【0057】
このPd膜を触媒層として無電解めっき法を実施し、CoWP膜を形成する。キャップメタル膜は、CoWP膜に限定されることはなく、無電解めっき法で形成するための触媒金属、還元液、プロセス条件を変更することによって、CoWP膜以外の膜を形成することができる。例えば、ニッケル、ニッケルの窒化物、金、銀、クロム、ロジウム、パラジウムなどの物質を含むキャップメタル膜を形成してもよい。なお置換めっき法によりPd膜を形成する際、絶縁膜上の一部にも触媒金属が付着することにより余剰のメタル310が析出するので、以下の工程で当該余剰のメタル310を除去する。
【0058】
〈半導体製造装置を使用した余剰の金属膜の除去〉
次に、図8(C)に示すCu配線109上のキャップメタル膜に電界をかけながら、絶縁膜112上に析出した余剰のメタル310を導電性基体505により機械的に研磨除去する。ここで、導電性の基体505は研磨パッドとしても機能する。
【0059】
余剰の金属膜の除去は前述の第1の実施形態に係る半導体製造装置を使用する。説明の便宜上図8(C)では複数の貫通孔504を有する導電性の基体505のみを記載した。除去の方法の詳細を図5で示す。複数の貫通孔504内には電解液506が満たされている。複数の貫通孔504の側壁には絶縁性を有する膜507が形成され、電解液506とカソードとして機能する導電性の基体505とを電気的に絶縁する。電解液としては、金属原子を含まない溶液が望ましく、例えば硫酸及びシュウ酸アンモニウム等を含む溶液を用いる。この半導体製造装置を用いてキャップメタル膜300表面に導電性の基体505及び電解液506を接触させる。
【0060】
次に、導電性の基体505をカソード(負極)とし、アノード板502をアノード(正極)として電流密度が20〜60A/dm2の電流を流す。プロセス温度は50〜90℃程度とする。電解液506と、カソードとして機能する導電性の基体505の両者はキャップメタル膜300表面と接しており、両者は絶縁性を有する膜507によって電気的には絶縁されているので、キャップメタル膜300表面と電解液506が接触している部分に電流が流れる。電解液には金属原子は含まれていないため、キャップメタル膜上に金属原子は析出しない。
【0061】
導電性の基体505の回転数を30〜60rpmとし、半導体基板の回転数を30〜60rpmとし、半導体基板を導電性の基体505に押し付ける、押し付け圧を0.1psi(約689Pa)以上0.5psi(約3447Pa)以下とすることが好ましい。キャップメタル膜を形成するときの押し付け圧より増やすことで、確実に、絶縁膜112上に析出しているメタル310を除去することができるからである。導電性の基体505は、絶縁膜112に接していることが好ましい。絶縁膜112上に析出したメタルを確実に研磨除去することができるからである。
【0062】
上記の半導体装置の製造装置を使用すると配線上のキャップメタル膜に電解をかけることで電流の流れやすいキャップメタル膜300の密着力は増す。したがって導電性の基体505の機械的研磨によっては、キャップメタル膜は除去されにくい。逆に、絶縁膜112上に析出したメタル310には、電流が流れにくいので機械的研磨によって研磨される。以上により絶縁膜112に析出したメタル310のみを導電性の基体505で機械的に研磨することができる。この結果図8(D)に示すようにCu配線109表面全面にキャップメタル膜300を形成できる。
【0063】
〈効果〉
キャップメタル膜300表面に電界をかけながら、Cu配線109間の絶縁膜112上に析出したメタルを研磨することで、無電解めっきによりキャップメタル膜を形成する場合でも、Cu配線109表面上に均一なキャップメタル膜を形成することができる。従ってキャップメタル膜の膜厚が極端に薄くなり、キャップ膜としての特性が劣化するのを防止しつつ、絶縁膜112上のメタルをパッドの機械的研磨により除去することができる。さらに従来の無電解めっき法による絶縁膜上の余剰なメタル310による配線間ショートなどの弊害のない配線を形成することができる。第4の実施形態によると、キャップメタル膜を短時間で形成することができる。無電解めっき法は、化学反応によってキャップメタル膜を形成するので、電解めっきより比較的短時間でキャップメタル膜を形成できるからである。第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、配線間ショートおよび信頼性劣化のない、高歩留まりの配線を低コストに形成することができる。
【0064】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を図9で説明する。第2の実施形態との相違点は、無電解めっき法を用いて1nm〜20nm程度の膜厚の第1のキャップメタル膜401をCu配線109上に形成する。次に電解めっき法により第1のキャップメタル膜401の主成分を主成分とする第2のキャップメタル膜402を第1のキャップメタル膜401上に形成する。その後、導電性の基体505を用いて、絶縁膜112表面に余剰に析出したメタル410を機械的に研磨することにある。〈絶縁膜と凹部の形成〉工程から〈無電解めっき法によるキャップメタルの形成〉工程を経て図9(A)のキャップメタル膜300を形成する。
【0065】
〈第2のキャップメタルの形成〉
まず図9(B)に示すように第1の実施形態に係る、半導体製造装置を使用して第2のキャップメタル膜402を第1のキャップメタル膜401上に形成する。第2のキャップメタル膜材料としては、コバルト合金またはニッケル合金、金合金などの第1のキャップメタル膜401の主成分を主成分とする材料が挙げられる。特に、コバルトニッケルは好ましい合金の具体例であるので、Cu配線109上に、電解めっき法を用いてコバルトニッケルを形成する。
【0066】
説明の便宜上図9(B)では複数の貫通孔504を有する導電性の基体505のみを記載した。電解液としては、例えば、塩化コバルト、酸化ニッケル、シュウ酸アンモニウムを含む溶液を用いる。この電解液中には、絶縁膜上の余剰なメタル残渣の除去効率を上げるため、砥粒を0.1%〜1%含めてもよい。
【0067】
上記のように電解液506と、カソードとして機能する導電性の基体505とは第1のキャップメタル膜401表面で接し、両者は絶縁性を有する膜507によって電気的に絶縁されているので、第1のキャップメタル膜401表面と電解液506とが接触している部分に電流が流れる。その結果、たとえば、コバルト70%ニッケル29.5%シリカ砥粒0.5%の組成比を有するコバルトニッケル膜である、第1のキャップメタル膜401の主成分を主成分とする第2のキャップメタル膜402を第1のキャップメタル膜401表面に選択的に形成することができる。
【0068】
〈キャップメタル膜の研磨〉
次に、図9(C)に示すように、絶縁膜112の表面に析出したメタルを、同じく導電性の基体505を用いて研磨する。その結果、図9(D)に示すように、キャップメタル膜401及び402をCu配線109表面全面に形成する。ここで、導電性の基体505は研磨パッドとしても機能する。導電性の基体505の回転数を30〜60rpmとし、半導体基板の回転数を30〜60rpmとし、半導体基板を導電性の基体505に押し付ける押し付け圧を0.1psi以上0.5psi以下とすることが好ましい。第2及び第3の実施形態と比較して押し付け圧を増やすことで、確実に絶縁膜112上に析出している余剰のメタル410を除去することができるからである。研磨中は、電解液が貫通孔504に含まれていなくてもよい。導電性の基体505は、絶縁膜112に接していることが好ましい。絶縁膜112上に析出したメタルを確実に研磨除去することができるからである。
【0069】
上記工程では、第2のキャップメタル膜を第1のキャップメタル膜上に形成した後に、Cu配線間の絶縁膜上に析出する余剰のメタルを除去したが、第2のキャップメタル膜の形成と同時に余剰のメタルを除去してもよい。この場合は貫通孔504に電解液を注入したまま除去される。
【0070】
〈第5の実施形態の方法で製造された半導体装置〉
図9(D)は前記第4の実施形態の方法で製造された半導体装置である。半導体基板(図示せず)上に形成された絶縁膜112表面部に形成された凹部109の底部及び側壁には、Taからなる膜厚が20nm程度のバリア層110が形成される。凹部409にはCu膜が埋め込まれて、Cu配線109が形成されている。バリア層110としてTa膜に限定されることはなく、チタン(Ti)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)などの高融点金属や、これらにN、C、Siがドープされた材質の膜でもよく、これらの積層膜であってもよい。
【0071】
Cu配線409の表面には、第1のキャップメタル膜401が形成されており、第1のキャップメタル膜の上には、第2のキャップメタル膜402が形成されている。第1のキャップメタル膜401は、CoWPなどの無電解めっき法により形成される合金膜であることが好ましい。第2のキャップメタル膜402は、CoNiなどの電解めっき法により形成される合金膜であることが好ましい。第1のキャップメタル膜401は、無電解めっき法により形成されるため、Pdなどの触媒金属を含んでおり、Cu配線にもPdなどの触媒金属は含まれる。一方、第2のキャップメタル膜402は、電解めっき法により形成されるため、Pdなどの触媒金属を含んでいない。第1のキャップメタル膜については、第4の実施形態で説明した、無電解めっき法で形成するための触媒金属、還元液、プロセス条件を変更することによって、CoWP膜以外の膜を形成することができる。
【0072】
〈効果〉
第5の実施形態では、無電解めっき法により形成された第1のキャップメタル膜401の上に、第1のキャップメタル膜401の主成分を主成分とする第2のキャップメタル膜402を電解めっき法により形成する。従って第2のキャップメタル膜402は触媒金属を有していないので、不純物である触媒金属が相対的に少ないキャップメタル膜を形成することができる。そのため、層間絶縁膜上の余剰のメタルを研磨する際に、キャップメタル膜の膜厚が極端に薄くなるのをより確実に防止することが出来る。ここで第2のキャップメタル膜がCoNiであり、第1のキャップメタル膜がCoWPであれば、両者に共通する主成分とは、Coである。不純物とは、無電解めっき法を使用する前段階の触媒金属のPdなどが挙げられる。また、第1のキャップメタル膜を無電解めっき法で形成するので、電解めっき法により直接形成するよりも、短い時間でキャップメタル膜を形成することが出来る。無電解めっき後に電解めっきを施した場合、電解めっき中に無電解めっきでめっきされたCoWP膜が溶解する間に、Pdがさらに少なくなることから、層間絶縁膜の抵抗を低くすることができ直上のビアに対して、EM(Electro Migration)耐性を良化することができる。
【0073】
第5の実施形態によると、研磨によるキャップメタル膜の膜厚が極端に薄くなりキャップ膜としての特性が劣化するのを防止しつつ、同時に絶縁膜112上のメタルをパッドの機械的研磨により除去することができる。従って、均一なキャップメタル膜をCu配線109表面上に形成することができ、従来の無電解めっき法による絶縁膜上の余剰なメタル410による配線間ショートなどの弊害は生じない。
【0074】
(その他)
第1〜第5の実施形態において電解めっき法により形成するキャップメタル膜は、コバルトニッケル膜に限定されることはなく、Au(金)、Ag(銀)などバリアとして特性をもつ膜も好ましい。コバルトニッケル膜以外の膜を形成する際には、電解液の種類及びプロセス条件を変更すればよい。第1の実施形態において、基体505全体が導電性であることは必須ではなく、例えば、貫通孔504周囲等の、基体表面の一部にカソードとして機能する導電体が露出する構成であってもよい。第2の実施形態の図6(E)及び第3の実施形態の図7(A)では、貫通孔504の開口径がCu配線109の幅よりも小さく記載したが、貫通孔504の開口径はCu配線109の幅と同等程度であってもよい。貫通孔504の開口径は例えば直径100μm以上5000μm以下であることが好ましい。第4の実施形態の図8(C)及び第5の実施形態の図9(B)及び(C)では、貫通孔504の開口径がCu配線109の幅と同等程度に記載したが、貫通孔504の開口径はCu配線109の幅よりも小さくても構わない。第3の実施形態の図7(C)では、貫通孔504同士の間隔がCu配線109の幅と同等程度に記載されているが、貫通孔504同士の間隔がCu配線109の幅よりも大きくても小さくてもよい。貫通孔504同士の間隔は例えば100μm以上5000μm以下であり、貫通孔の面積が50%以上80%以下であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の半導体製造装置は、単純な構造であり、且つ、めっき技術と研磨技術の融合である。従って、Cuめっき層などを研磨する通常の研磨装置内部に内蔵することが可能である。そうすることで、半導体装置の製造時間、コストを大幅に短縮することが可能である、従って産業上の利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1の実施形態の半導体装置の製造装置を示す摸式図である。
【図2】第1の実施形態の半導体装置の製造装置を示す摸式図である。
【図3】第1の実施形態の半導体装置の製造装置の使用方法を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態の半導体装置の製造装置の使用方法を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態の半導体装置の製造装置の使用方法を示す模式図である。
【図6】第2の実施形態の半導体装置の製造工程を示す工程図である。
【図7】第3の実施形態の半導体装置の製造工程を示す工程図である。
【図8】第4の実施形態の半導体装置の製造工程を示す工程図である。
【図9】第5の実施形態の半導体装置の製造工程を示す工程図である。
【図10】従来の半導体装置の製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
【0077】
110 バリア膜
112 絶縁膜
113 凹部
114 シード層
115 Cu層
111、300,401,511 キャップ(バリア)メタル
109 Cu配線
402 キャップ(バリア)メタル
501 定盤
502 アノード
503 絶縁性基体
504 貫通孔
505 導電性基体
506 電解液
508 基板
530 電解供給機構
540 回転機構
550 基板保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜に埋め込まれた配線を有する半導体装置の製造方法において、
基板上に形成された絶縁膜に溝を形成する工程と、
前記溝に導電膜を埋め込む工程と、
それぞれに電解液が注入された複数の貫通孔を有する基体を前記導電膜の表面に接触させながら、前記電解液と電気的に接続されたアノードと前記基体表面に露出したカソードとの間に電位差を付与することで、前記導電膜が埋め込まれた前記絶縁膜を表面処理する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記基体が導電性を有し、基体表面の全てが前記カソードである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記基体の複数の貫通孔が絶縁性の側壁を有する請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記電解液が金属元素を含み、前記表面処理が、前記絶縁膜に埋め込まれた導電膜の表面に、前記電解液に含まれる金属元素を析出させる電解めっき処理である請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記電解液が非金属元素のみを含み、前記表面処理が、前記導電膜埋め込み工程後に、導電膜の表面にキャップメタル膜を形成する無電解めっきに起因して前記絶縁膜上に形成された金属膜を除去する研磨処理である、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記表面処理工程後に、前記電解めっきにより前記導体膜上に形成されためっき膜の表面を前記基体により研磨する工程をさらに有する、請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記キャップメタル膜を形成する工程と前記表面処理工程との間に、前記キャップメタル膜の表面に、電解めっき法により第2のキャップメタル膜を形成する工程をさらに有する、請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
絶縁膜に埋め込まれた配線を有する半導体装置において、
半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜に形成された溝と、
前記溝に埋め込まれた導電膜と、
前記導電膜上に形成された第1のキャップメタル膜と、
前記第1のキャップメタル膜上に形成された、主成分として前記第1のキャップメタル膜の主成分を含む第2のキャップメタル膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
半導体基板の主面を処理する半導体装置の製造装置において、
定盤と、
前記定盤上に設けられたアノード板と、
前記アノード板上に設けられ前記アノード板に通じる複数の貫通孔を有する絶縁性基体と、
前記絶縁性基体上に設けられた、前記絶縁性基体の貫通孔に連通する貫通孔を有し、電解液が注入されるとともに絶縁性の側壁を有する、カソードとして機能する導電性基体と、
前記半導体基板を保持するとともに、当該半導体基板の主面を前記導電性基体に押圧する手段と、
前記保持された半導体基板の主面に対して前記定盤を相対的に運動させる手段と、
を備えた半導体装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−37617(P2010−37617A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203813(P2008−203813)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】