説明

半導体装置の製造方法

【課題】層間絶縁膜上のハードマスク膜に配線溝パターンを段差のない状態で形成可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板11上の層間絶縁膜12上にハードマスク膜13を形成し、ハードマスク膜13の配線溝パターンを除く領域に表面処理を行うことで変質層21を形成する工程と、ハードマスク膜13上にレジストを塗布し、接続孔14を形成するためのレジストパターンR2を形成する工程と、レジストパターンR2をマスクとしたエッチングにより、ハードマスク膜13を貫通する状態で、層間絶縁膜12に接続孔14を形成する工程と、変質層21をマスクとしてハードマスク膜13の配線溝パターン領域を選択的にエッチング除去することで、ハードマスク膜13をパターンニングする工程と、このハードマスク膜13をマスクに用いて、層間絶縁膜12に接続孔14に連通する配線溝を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、さらに詳しくは、層間絶縁膜に酸化シリコンよりも誘電率の低い材料を含む積層膜を用いて多層配線構造を形成するのに好適な半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置(LSI)の高集積化に伴い、LSIの高速動作に関して配線プロセス技術が益々重要視されてきている。これは半導体素子の微細化により、配線遅延時間の増大が顕著になってきたためである。この配線遅延時間の増大を抑制するためには、配線抵抗および配線間容量の低減が必要である。
【0003】
配線抵抗の低減については、従来用いられてきたアルミニウム合金配線と比較して、低抵抗である銅(Cu)配線が検討されている。また、配線間容量の低減については、層間絶縁膜として従来用いられてきた酸化シリコンと比較して、誘電率の低い絶縁膜(低誘電率膜)が検討されており、Cu配線と低誘電率膜を用いた多層配線技術の導入が重要であると考えられている。
【0004】
この多層配線技術としては、一般にCuのドライエッチングが容易でないことから、シングルダマシン法、デュアルダマシン法などのいわゆる溝配線法が有望視されている。その中でも、特に、デュアルダマシン法は、層間絶縁膜に配線溝とこの配線溝に連通した接続孔を形成し、配線溝と接続孔とをCu等の導電膜で埋め込むことにより、配線とヴィアとを同一工程で形成するものであり、有望視されている。
【0005】
上記のデュアルダマシン法は層間絶縁膜上に接続孔(ヴィアホール)形成のためのマスクパターン(接続孔パターン)を形成した後、配線溝(トレンチ)形成用のマスクパターン(配線溝パターン)を形成する先ヴィア方式と、配線溝パターンを形成した後、接続孔パターンを形成する先トレンチ方式とに分別される。
【0006】
そして、層間絶縁膜に上述したような無機膜(無機材料膜)と有機膜(有機材料膜)の積層による低誘電率膜を用いた場合には、一般的に先トレンチ方式のデュアルダマシン法により配線溝と接続孔が形成されている。これは、先ヴィア方式では、層間絶縁膜上のハードマスク膜に接続孔パターンを形成し、このハードマスク膜をマスクとして層間絶縁膜に接続孔を形成した後、ハードマスク膜上にレジストを塗布して、配線溝パターン形成用のレジストパターンを形成する。このため、内壁に低誘電率膜が露出された接続孔にレジストが入り込み、この低誘電率膜が有機膜を含む場合には、有機膜とレジストの材質が似ているため、レジストパターンを除去する際に、その有機膜が損傷を受け易い等の理由によるものである。
【0007】
ここで、先トレンチ方式のデュアルダマシン法によりCu配線構造を製造した一例について、図6を用いて説明する。
【0008】
まず、図6(a)に示すように、基板11上に、低誘電率膜を含む積層膜からなる層間絶縁膜12を基板11上に形成する。この層間絶縁膜12上にハードマスク膜13を形成し、ハードマスク膜13上に設けられたレジストパターン(図示省略)をマスクに用いたエッチングにより、ハードマスク膜13をパターンニングして、ハードマスク膜13に配線溝パターンを形成する。その後、レジストパターンを除去する。
【0009】
次に、図6(b)に示すように、配線溝パターンが設けられたハードマスク膜13を覆う状態で層間絶縁膜12上にレジストを塗布し、通常のリソグラフィ技術により、レジストパターンRを形成する。続いて、図6(c)に示すように、このレジストパターンR(前記図6(b)参照)を用いたエッチングにより、層間絶縁膜12に基板11に達する状態の接続孔14を形成する。続いて、レジストパターンRを除去する。
【0010】
その後、図6(d)に示すように、配線溝パターンが設けられたハードマスク膜13(前記図6(c)参照)をマスクに用いたエッチングにより、層間絶縁膜12に接続孔14の上部に連通する配線溝15を形成する。その後、ハードマスク膜13を除去する。続いて、この配線溝15と接続孔14との内壁を覆う状態で、層間絶縁膜12上にバリア膜(図示省略)を形成した後、配線溝15と接続孔14を埋め込む状態で、バリア膜上にCuからなる導電性膜(図示省略)を形成する。その後、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing(CMP))法により、層間絶縁膜12の表面が露出するまで、上記導電性膜と上記バリア膜を除去することで、接続孔14内にヴィア16を形成するとともに、配線溝15内に配線17を形成する。
【0011】
また、図6(b)を用いて説明した工程において、レジストを塗布する前に、配線溝パターンが設けられたシリコン窒化膜からなるハードマスク膜13を覆う状態で、層間絶縁膜12上に有機SOGからなる平坦化膜を塗布形成し、平坦化膜上にレジストを塗布して、接続孔(コンタクトホール)を形成するためのレジストパターンを形成する例が報告されている。
【特許文献1】特開2002−222860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、図6を用いて説明したような配線の形成方法では、図6(b)を用いて説明した工程において、配線溝パターンが設けられたハードマスク膜13を覆う状態で層間絶縁膜12上にレジストを塗布することから、ハードマスク膜13とハードマスク膜13から露出された層間絶縁膜12との段差のある状態でレジストが塗布される。これにより、レジストが下層の段差に倣う状態で設けられるため、平坦性が得られず、その後の露光時のフォーカス範囲が狭くなり、プロセスマージンが小さくなる。このため、接続孔を形成するためのレジストパターンが精度よく形成され難く、接続孔を精度よく形成することが難しいという問題がある。
【0013】
また、上述した特許文献1に記載された配線の形成方法のように、レジストを塗布する前に、配線溝パターンが設けられたハードマスク膜13を覆う状態で層間絶縁膜12上に平坦化膜を塗布形成したとしても、ウエハ面内で配線溝パターンには粗密があることから、塗布形成された平坦化膜では十分な平坦性は得られない。このため、平坦化膜上に塗布されるレジストも平坦性を有した状態で形成することは困難であり、その後の露光時のフォーカス範囲が狭くなり、プロセスマージンが小さくなる。したがって、接続孔を形成するためのレジストパターンが精度よく形成され難い。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の第1の製造方法は、基板上に設けられた絶縁膜に、第1の凹部と、当該第1の凹部の上部に連通するとともに、当該第1の凹部よりも広い幅を有する第2の凹部とを形成する半導体装置の製造方法であって、次のような工程を順次行うことを特徴としている。まず、基板上に設けられた絶縁膜上にハードマスク膜を形成し、このハードマスク膜の第2の凹部のパターンを除く領域に表面処理を行うことで変質層を形成する工程を行う。次に、ハードマスク膜上にレジストを塗布し、第1の凹部を形成するためのレジストパターンを形成する工程を行う。次いで、レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、ハードマスク膜を貫通する状態で、絶縁膜に第1の凹部を形成する工程を行う。続いて、変質層をマスクとしてハードマスク膜の第2の凹部のパターンとなる領域を選択的にエッチング除去することで、ハードマスク膜をパターンニングする工程を行う。その後、パターンニングされたハードマスク膜をマスクに用いて、絶縁膜に第1の凹部に連通する第2の凹部を形成する工程を有することを特徴としている。
【0015】
このような半導体装置の第1の製造方法によれば、ハードマスク膜の第2の凹部のパターンを除く領域に表面処理を行うことで変質層を形成するため、ハードマスク膜に段差のない状態で、変質層からなる第2の凹部のマスクパターンが形成される。このため、段差のない状態のハードマスク膜上に、レジストが塗布されることから、レジストが平坦性よく形成される。これにより、このレジストに露光を行う際に、下層の段差によるフォーカスへの影響が防止され、プロセスマージンをとることができる。したがって、ハードマスク膜上に、第1の凹部を形成するためのレジストパターンを精度よく形成することが可能となり、第1の凹部を精度よく形成することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置の第2の製造方法は、基板上に設けられた絶縁膜に、第1の凹部と、当該第1の凹部の上部に連通するとともに、当該第1の凹部よりも広い幅を有する第2の凹部とを形成する半導体装置の製造方法であって、次のような工程を順次行うことを特徴としている。まず、基板上に設けられた絶縁膜上にハードマスク膜を形成し、ハードマスク膜の第2の凹部のパターンとなる領域に、変質層を形成する工程を行う。次に、ハードマスク膜上にレジストを塗布し、第1の凹部を形成するためのレジストパターンを形成する工程を行う。次いで、レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、変質層を貫通する状態で、絶縁膜に第1の凹部を形成する工程を行う。続いて、ハードマスク膜の変質層からなる第2の凹部のパターン領域を選択的にエッチング除去することで、ハードマスク膜をパターンニングする工程を行う。その後、パターンニングされたハードマスク膜をマスクに用いて、絶縁膜に第1の凹部に連通する第2の凹部を形成する工程を行うことを特徴としている。
【0017】
このような半導体装置の第2の製造方法によれば、ハードマスク膜の第2の凹部のパターン領域に表面処理を行うことで変質層を形成するため、ハードマスク膜に段差のない状態で、変質層を除く領域からなる第2の凹部のマスクパターンが形成される。このため、段差のない状態のハードマスク膜上に、レジストが塗布されることから、レジストが平坦性よく形成される。これにより、第1の製造方法と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本発明の半導体装置の製造方法によれば、第1の凹部を精度よく形成することができるため、第1の凹部が接続孔であり、第2の凹部が配線溝である場合に、この方法により形成された配線構造の配線信頼性を向上させることができる。したがって、高性能なCMOSデバイスが実現可能であり、コンピュータ、ゲーム機、モバイル商品等の性能を著しく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の半導体装置の製造方法に係わる実施の形態の一例を、図1〜図3の製造工程断面図によって説明する。本実施形態では、先トレンチ方式のデュアルダマシン法を用いたCuからなる配線構造の形成方法について説明する。
【0021】
図1(a)に示すように、トランジスタ等の半導体素子が形成された基板11上に、例えば酸化シリコン(SiO2)よりも誘電率の低い有機材料膜からなる低誘電率膜を含み、有機材料膜と無機材料膜との積層膜からなる層間絶縁膜12を形成する。
【0022】
具体的には、まず、基板11上に、例えばSiO2からなる第1の層間絶縁膜12aを約100nmの膜厚で形成する。この第1の層間絶縁膜12aには、後工程で、基板11に達する接続孔が形成されることとする。第1の層間絶縁膜12aの成膜は、例えば反応ガスとして、モノシラン(SiH4)と酸素(O2)を用いたプラズマ化学的気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))法により行われることとする。
【0023】
次に、第1の層間絶縁膜12a上に、例えばポリテトラフルオロエチレン等の有機系の低誘電率膜からなる第2の層間絶縁膜12bを約100nmの膜厚で形成する。第2の層間絶縁膜12bには、後工程で配線溝が形成されることとする。この第2の層間絶縁膜12bは、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを溶媒に溶かしたものを、スピンコーターを用いて第1の層間絶縁膜12a上に塗布する。その後、100℃、常圧の窒素ガス(N2)雰囲気下でベーキング(キュア)を行い、溶媒を蒸発させた後、300℃で熱処理を行うことで、この低誘電率膜を固化して形成されることとする。
【0024】
次に、第2の層間絶縁膜12b上に、例えばSiO2からなる第3の層間絶縁膜12cを約100nmの膜厚で形成する。この第3の層間絶縁膜12cは、後工程で層間絶縁膜12に接続孔と接続孔の上部に連通する配線溝を形成し、これらを導電性膜で埋め込んだ後、CMP法により研磨する際にCMP耐性の低い第2の層間絶縁膜12bの保護膜として形成されるものである。第3の層間絶縁膜12cには配線溝が形成される。この第3の層間絶縁膜12cの成膜は、第1の層間絶縁膜12aと同様に、反応ガスとして、例えばSiH4とO2とを用いたプラズマCVD法により行われることとする。このようにして、基板11上に、第1の層間絶縁膜12a、第2の層間絶縁膜12bおよび第3の層間絶縁膜12cが順次積層された層間絶縁膜12を形成する。
【0025】
次いで、第3の層間絶縁膜12c上に、例えば炭化シリコン(SiC)からなるハードマスク膜13を約100nmの膜厚で形成する。ハードマスク膜13は、後工程で、表面処理を行うことで、配線溝形成用の変質層からなるマスクパターンが形成されるものであり、変質層をマスクとしてハードマスク膜13をパターンニングすることから、ハードマスク膜13よりもエッチングレートが低くなるように変質させることが可能な材質で形成されることとする。このハードマスク膜13の成膜は、反応ガスとして、例えばトリメチルシランとO2とを用いたプラズマCVD法により行われることとする。
【0026】
続いて、ハードマスク膜13上にレジストを塗布し、通常のリソグラフィ技術を用いて、ハードマスク膜13に配線溝パターン(配線パターン)を形成するためのレジストパターンR1を形成する。ここで、配線溝は請求項の第2の凹部に相当し、後工程で形成する接続孔よりも広い幅を有して設けられることとする。ここでは、配線溝パターンを除く領域が抜きパターンとなるようにレジストパターンR1を形成することとする。
【0027】
その後、図1(b)に示すように、このレジストパターンR1から露出されたハードマスク膜13に表面処理を行うことで、配線溝パターンを除く領域に変質層21を形成する。これにより、ハードマスク膜13には変質層21からなる配線溝のマスクパターンが段差のない状態で形成され、変質層21はハードマスク膜13よりもエッチングされ難い状態に変質される。ここでは、表面処理としてハードマスク膜13にプラズマ処理を行うことで変質層21を形成することとする。この場合には、例えば一般的な高周波方式のプラズマ発生装置を用い、RF電力を100Wに設定して基板上に印加し、例えばアルゴン(Ar)とO2との混合ガスを用いて、SiCからなるハードマスク膜13の膜厚の中程まで酸化(オキサイド化)して酸炭化シリコン(SiOC)からなる変質層21を形成する。
【0028】
ここで、変質層21は、後工程で、ハードマスク膜13をパターンニングする際のエッチングマスクとして用いられるため、ハードマスク膜13よりもエッチングレートが低くなるように変質されるとともに、残存したハードマスク膜13をエッチングするのに十分な膜厚となるように形成されることとする。この変質層21の膜厚は上述したプラズマ処理の時間またはRF電力で制御される。
【0029】
そして、この変質層21とその下層に残存したハードマスク膜13とからなる積層膜は、後工程で、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bに配線溝を形成する際のエッチングマスクとして用いられることから、変質層21とハードマスク膜13の両方が第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとにエッチング選択比がとれるような材質で形成されていれば、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとに確実に配線溝を形成することができるため、好ましい。ただし、本発明はこれに限定されず、この積層膜で、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bをエッチング可能に構成されていればよい。
【0030】
例えば上層の変質層21をエッチングマスクとして、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとをエッチングしてもよく、この場合には、変質層21は、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとにエッチング選択比がとれる材質で形成され、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bをエッチングするのに十分な膜厚を有していることとする。
【0031】
また、下層のハードマスク膜13をエッチングマスクとして、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとをエッチングしてもよく、この場合には、ハードマスク膜13は、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとエッチング選択比がとれる材質で形成され、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bをエッチングするのに十分な膜厚を有していることとする。
【0032】
なお、ここでは、表面処理としてArとO2とを用いたプラズマ処理を行うことで、ハードマスク膜13をオキサイド化して変質層21を形成することとしたが、表面処理の方法は特に限定されることなく、O2雰囲気下で電子線を照射することで、オキサイド化された変質層21を形成してもよい。また、オキサイド化に限定されず、上述したように、変質層21がハードマスク膜13よりもエッチングレートが低くなるように形成されればよい。
【0033】
上述したように、ハードマスク膜13に変質層21を形成した後、図1(c)に示すように、レジストパターンR1(前記図1(b)参照)を除去する。これにより、ハードマスク膜13の表面は、段差が生じることなく平坦な状態で維持される。
【0034】
次に、図2(d)に示すように、変質層21が設けられたハードマスク膜13上に、レジストを塗布し、通常のリソグラフィ技術により、層間絶縁膜12に接続孔を形成するためのレジストパターンR2を形成する。ここで、接続孔が請求項の第1の凹部に相当する。
【0035】
次いで、図2(e)に示すように、レジストパターンR2(前記図2(d)参照)をマスクに用いて、ハードマスク膜13、第3の層間絶縁膜12c、第2の層間絶縁膜12bおよび第1の層間絶縁膜12aを順次選択的にエッチングすることで、ハードマスク膜13を貫通する状態で、層間絶縁膜12に基板11に達する接続孔(第1の凹部)14を形成する。その後、レジストパターンR2を除去する。
【0036】
ここで、SiCからなるハードマスク膜13とSiO2からなる第3の層間絶縁膜12cのエッチング条件の一例を挙げると、一般的な平行平板方式のドライエッチング装置を用い、エッチングガスにトリフルオロメタン(CHF3)〔流量:25cm3/min〕とテトラフルオロメタン(CF4)〔流量:25cm3/min〕とAr〔流量:500cm3/min〕との混合ガスを用い、RFプラズマ電力を1500W、圧力を6.7Pa、基板温度を室温程度に設定して行うこととする。また、ポリテトラフルオロエチレンからなる第2の層間絶縁膜12bのエッチング条件の一例を挙げると、上述したドライエッチング装置を用いて、エッチングガスにN2〔流量:50cm3/min〕と水素(H2)〔流量:50cm3/min〕との混合ガスを用い、RFプラズマ電力を500W、圧力を6.7Pa、基板温度を室温程度に設定して行うこととする。ここで、各エッチングガスの流量は、標準状態における体積流量を示すものとする。
【0037】
次に、図2(f)に示すように、変質層21をマスクとして、ハードマスク膜13の変質されていない領域を選択的にエッチング除去する。この場合のエッチング条件の一例を挙げると、一般的な平行平板方式のドライエッチング装置を用い、エッチングガスにジフルオロメタン(CH22)〔流量:20cm3/min〕とO2〔流量:20cm3/min〕とAr〔流量:100cm3/min〕との混合ガスを用い、RFプラズマ電力を500W、圧力を6.7Pa、基板温度を室温程度に設定して行うこととする。これにより、ハードマスク膜13がパターンニングされる。
【0038】
次に、図3(g)に示すように、パターンニングされたハードマスク膜13(前記図2(f)参照)をマスクとして、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bをエッチングすることで、接続孔14に達する配線溝(第2の凹部)15を形成する。このときの第3の層間絶縁膜12cのエッチング条件の一例を挙げると、一般的な平行平板方式のドライエッチング装置を用い、エッチングガスにオクタフルオロシクロブタン(C48)〔流量:25cm3/min〕とO2〔流量:5cm3/min〕とAr〔流量:500cm3/min〕との混合ガスを用い、RFプラズマ電力を1500W、圧力を6.7Pa、基板温度を60℃程度に設定して行うこととする。また、ポリテトラフルオロエチレンからなる第2の層間絶縁膜12bのエッチング条件の一例を挙げると、上述したドライエッチング装置を用い、エッチングガスにN2〔流量:50cm3/min〕とH2〔流量:50cm3/min〕との混合ガスを用い、RFプラズマ電力を500W、圧力を6.7Pa、基板温度を室温程度に設定して行うこととする。その後、ハードマスク膜13を除去する。
【0039】
なお、ここでは、基板11に達する状態で層間絶縁膜12に接続孔14が形成されており、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bをエッチングすることで、接続孔14に達する配線溝15を形成する例について説明したが、図2(e)を用いて説明した工程において、接続孔14は基板11に達する状態で形成されなくてもよく、第1の層間絶縁膜12aの内部に達する状態で形成されてもよい。この場合には、図3(g)を用いて説明した配線溝15を形成する工程で、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bをエッチングして配線溝15を形成するとともに、接続孔14の底部に残存した第1の層間絶縁膜12aもエッチングされ、接続孔14が基板11に達する状態で形成されることとする。
【0040】
次に、図3(h)に示すように、例えばスパッタリング法により、接続孔14と配線溝15の内壁を覆う状態で第3の層間絶縁膜12c上にバリア膜(図示省略)を形成し、バリア膜上にCuからなるシード層(図示省略)を成膜する。その後、例えば電解メッキ法により、接続孔14と配線溝15を埋め込む状態で、シード層上にCuからなる導電性膜Mを形成する。その後、図3(j)に示すように、例えばCMP法により、第3の層間絶縁膜12cの中程まで、導電性膜、バリア膜および第3の層間絶縁膜12cを研磨して除去することで、接続孔14および配線溝15にCuからなるヴィア16および配線17をそれぞれ形成する。
【0041】
このような半導体装置の製造方法によれば、図1(b)に示すように、ハードマスク膜13の配線溝15のパターンを除く領域に表面処理を行うことで変質層21を形成するため、ハードマスク膜13に段差のない状態で、変質層21からなる配線溝15のマスクパターンが形成される。このため、図2(d)に示すように、段差のない状態のハードマスク膜13上に、レジストが塗布されることから、レジストが平坦性よく形成される。これにより、このレジストに露光を行う際のフォーカス範囲が広くなり、プロセスマージンをとることができる。このため、接続孔14を形成するためのレジストパターンR2を精度よく形成することが可能となり、接続孔14を精度よく形成することができる。したがって、Cu配線構造の配線信頼性を向上させることができるため、高性能なCMOSデバイスが実現可能であり、コンピュータ、ゲーム機、モバイル商品等の性能を著しく向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、変質層21がハードマスク膜13の中程の深さまで形成されることとするが、変質層21をハードマスク膜13の膜厚と同等の厚さとなるように形成してもよい。この場合には、変質層21のみをマスクとして第3層間絶縁膜12cおよび第2の層間絶縁膜12bをエッチングすることで、配線溝を形成することから、変質層21は第3層間絶縁膜12cおよび第2の層間絶縁膜12bよりもエッチングレートが低くなるように形成されることとする。
【0043】
また、本実施形態では、SiCからなるハードマスク膜13を用いることとしたが、本発明はこれに限定されず、ハードマスク膜13に表面処理を行うことで、エッチングレートが低くなるように変質された変質層21を形成することが可能な材質であればよく、例えば窒化シリコン(SiN)からなるハードマスク膜13を用いてもよい。この場合には、図1(b)を用いて説明した工程で、表面処理としてO2雰囲気下でプラズマ処理を行った場合には、変質層21は酸窒化シリコン(SiON)となる。また、ハードマスク膜13が例えばSiOC、SiONで形成されていてもよく、O2雰囲気下でプラズマ処理を行うことで、SiO2からなる変質層21が形成される。この場合には、変質層21とハードマスク膜13との積層膜をエッチングマスクに用いて、第3の層間絶縁膜12cおよび第2の層間絶縁膜12bに配線溝を形成することから、第3の層間絶縁膜12cおよび第2の層間絶縁膜12bは、SiOC、SiONまたはSiO2とエッチング選択比がとれるような材質で形成されることとする。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図4〜図5の製造工程断面図を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の番号を付して説明することとし、各工程の成膜条件またはエッチング条件等については、同一の部分を省略して記載する。
【0045】
まず、図4(a)に示すように、第1実施形態と同様に、基板11上に、SiO2からなる第1の層間絶縁膜12aと、有機系低誘電率膜からなる第2の層間絶縁膜12bと、SiO2からなる第3の層間絶縁膜12cとが順次積層された層間絶縁膜12を形成する。
【0046】
次に、第3の層間絶縁膜12c上に、SiCからなるハードマスク膜13を形成した後、ハードマスク膜13上にレジストを塗布し、通常のリソグラフィ技術を用いて、ハードマスク膜13に配線溝パターン(配線パターン)を形成するためのレジストパターンR1を形成する。ここで、レジストパターンR1は、配線溝パターンとなる領域が抜きパターンとなるように設けられることとする。この場合には、後工程で、ハードマスク膜13の配線溝パターンとなる領域に変質層を形成し、この変質層を除去して残存したハードマスク膜13を、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bに配線溝を形成するためのエッチングマスクとすることから、ハードマスク膜13は第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとエッチング選択比のとれる材質で形成されることとする。
【0047】
次に、図4(b)に示すように、このレジストパターンR1から露出されたハードマスク膜13に表面処理を行うことで変質層21を形成する。この場合には、ハードマスク膜13の配線溝パターンとなる領域に変質層21が設けられるため、後工程で、変質層21を除去することから、ハードマスク膜13の厚みの全域が変質層21となるように表面処理を行うこととし、変質層21はハードマスク膜13よりもエッチングレートが高くなるように変質されることとする。ここでは、例えば砒素、リン等の不純物をハードマスク膜13に導入することにより、変質層21を形成する。これにより、ハードマスク膜13には変質層21を除く領域からなる配線溝のマスクパターンが段差のない状態で形成される。
【0048】
なお、ここでは表面処理として、ハードマスク膜13に不純物を導入することで、変質層21を形成することとしたが、ハードマスク膜13よりもエッチングレートが高くなるような材質に変質されればよく、第1実施形態と同様に、プラズマ処理または電子線照射を行ってもよい。
【0049】
その後、図4(c)に示すように、レジストパターンR1(前記図4(b)参照)を除去する。この際、変質層21が設けられたハードマスク膜13の表面は、段差が生じることなく平坦な状態で維持される。
【0050】
次に、図5(d)に示すように、変質層21が設けられたハードマスク膜13上に、レジストを塗布し、通常のリソグラフィ技術により、層間絶縁膜12に接続孔を形成するためのレジストパターンR2を形成する。この際、変質層21がレジストパターンR2から露出された状態となる。
【0051】
次いで、図5(e)に示すように、レジストパターンR2(前記図5(d)参照)をマスクに用いて、変質層21、第3の層間絶縁膜12c、第2の層間絶縁膜12bおよび第1の層間絶縁膜12aを順次選択的にエッチングすることで、変質層21を貫通する状態で、層間絶縁膜12に基板11に達する接続孔14を形成する。その後、レジストパターンR2を除去する。
【0052】
次に、図5(f)に示すように、変質層21(前記図5(e)参照)を選択的にエッチング除去して、ハードマスク膜13をパターンニングすることで、ハードマスク膜13に配線溝パターンを形成する。このときのハードマスク膜13をマスクとして変質層21のエッチング条件の一例を挙げると、一般的な平行平板方式のドライエッチング装置を用い、エッチングガスにC48〔流量:25cm3/min〕とO2〔流量:5cm3/min〕とAr〔流量:500cm3/min〕との混合ガスを用い、RFプラズマ電力を1500W、圧力を6.7Pa、基板温度を60℃程度に設定して行うこととする。
【0053】
この後の工程は、第1実施形態の図3(g)〜図3(j)を用いて説明した工程と同様に行い、パターンニングされたハードマスク膜13とをマスクとして、第3の層間絶縁膜12cと第2の層間絶縁膜12bとをエッチングすることで、接続孔14に達する配線溝15を形成する。次に、ハードマスク膜13を除去した後、接続孔14と配線溝15の内壁を覆う状態でバリア膜(図示省略)を形成し、バリア膜上にCuからなるシード層(図示省略)を成膜する。その後、例えば電解メッキ法により、接続孔14と配線溝15を埋め込む状態で、シード層上にCuからなる導電性膜Mを形成する。その後、CMP法により、第3の層間絶縁膜12cの中程まで、導電性膜、バリア膜、を研磨して除去することで、接続孔14および配線溝15にCuからなるヴィア16および配線17をそれぞれ形成する。
【0054】
このような半導体装置の製造方法であっても、ハードマスク膜13の配線溝15のパターン領域に表面処理を行うことで変質層21を形成するため、ハードマスク膜13に段差のない状態で、変質層21を除く領域からなる配線溝15のマスクパターンが形成される。このため、段差のない状態のハードマスク膜13上に、レジストが塗布されることから、レジストが平坦性よく形成される。これにより、このレジストに露光を行う際のフォーカス範囲が広くなり、プロセスマージンをとることができる。したがって、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0055】
なお、第1実施形態および第2実施形態では、ヴィア16および配線17がCuからなる場合について説明したが、本発明は特に限定されず、Cuを含む導電性材料、または、Cu以外の導電性材料であっても本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施形態を説明するための製造工程断面図(その3)である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施形態を説明するための製造工程断面図(その1)である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施形態を説明するための製造工程断面図(その2)である。
【図6】従来の半導体装置の製造方法を説明するための製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0057】
11…基板、12…層間絶縁膜、13…ハードマスク膜、14…接続孔、15…配線溝、21…変質層、R2…レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた絶縁膜に、第1の凹部と、当該第1の凹部の上部に連通するとともに、当該第1の凹部よりも広い幅を有する第2の凹部とを形成する半導体装置の製造方法であって、
基板上に設けられた絶縁膜上にハードマスク膜を形成し、当該ハードマスク膜の前記第2の凹部のパターンを除く領域に表面処理を行うことで変質層を形成する工程と、
前記ハードマスク膜上にレジストを塗布し、前記第1の凹部を形成するためのレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、前記ハードマスク膜を貫通する状態で、前記絶縁膜に前記第1の凹部を形成する工程と、
前記変質層をマスクとして前記ハードマスク膜の前記第2の凹部のパターン領域を選択的にエッチング除去することで、前記ハードマスク膜をパターンニングする工程と、
パターンニングされた前記ハードマスク膜をマスクに用いて、前記絶縁膜に前記第1の凹部に連通する前記第2の凹部を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の凹部が接続孔であるとともに、前記第2の凹部が配線溝である
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁膜には、酸化シリコンよりも誘電率の低い材料からなる低誘電率膜が含まれている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁膜は、有機材料膜と無機材料膜との積層膜で形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板上に設けられた絶縁膜に、第1の凹部と、当該第1の凹部の上部に連通するとともに、当該第1の凹部よりも広い幅を有する第2の凹部とを形成する半導体装置の製造方法であって、
基板上に設けられた絶縁膜上にハードマスク膜を形成し、当該ハードマスク膜の前記第2の凹部のパターン領域に表面処理を行うことで、変質層を形成する工程と、
前記ハードマスク膜上にレジストを塗布し、前記第1の凹部を形成するためのレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとしたエッチングにより、前記変質層を貫通する状態で、前記絶縁膜に前記第1の凹部を形成する工程と、
前記ハードマスク膜の前記変質層からなる前記第2の凹部のパターン領域を選択的にエッチング除去することで、前記ハードマスク膜をパターンニングする工程と、
パターンニングされた前記ハードマスク膜をマスクに用いて、前記絶縁膜に前記第1の凹部に連通する前記第2の凹部を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の凹部が接続孔であるとともに、前記第2の凹部が配線溝である
ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁膜には、酸化シリコンよりも誘電率の低い材料からなる低誘電率膜が含まれている
ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁膜は、有機材料膜と無機材料膜との積層膜で形成されている
ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−108336(P2006−108336A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292069(P2004−292069)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】