説明

半導体装置の製造方法

【課題】機械的強度が十分に強く、しかも、比誘電率が極めて低い絶縁膜を有する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板上に多孔質の第1の絶縁膜38を形成する工程と、第1の絶縁膜上に、第1の絶縁膜より密度の高い第2の絶縁膜40を形成する工程と、第1の絶縁膜上に第2の絶縁膜が存在している状態で、電子線、紫外線又はプラズマを照射し、第1の絶縁膜を硬化させる工程とを有している。緻密性の高い第2の絶縁膜を介して第1の絶縁膜に電子線等を照射するため、第1の絶縁膜に大きなダメージが加わるのを防止しつつ、第1の絶縁膜を硬化させることができる。第1の絶縁膜にダメージが加わるのを防止することができるため、吸湿性の増大や密度の増大を防止することができ、ひいては、比誘電率の増大を防止することができる。従って、比誘電率が低く、しかも機械的強度の高い絶縁膜を有する半導体装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、比誘電率の低い絶縁膜を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時では、半導体装置の高集積化に伴って、配線幅や配線間隔が非常に狭く設定されるようになってきている。そして、配線間隔を0.1μm以下にまで狭めることが検討されている。配線間の寄生容量は配線間隔に反比例する。このため、配線間隔を狭めるに伴って、配線間の寄生容量が増大してしまうこととなる。配線間の寄生容量の増大は、信号の伝搬速度の遅延を招いてしまうため、半導体装置の動作速度の向上における阻害要因となる。配線間の寄生容量を低減するためには、層間絶縁膜の材料として比誘電率の低い材料を用いることが有効である。
【0003】
従来より、層間絶縁膜の材料としては、二酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、燐珪酸ガラス(PSG)等の無機膜が用いられてきた。また、ポリイミド等の有機膜等も層間絶縁膜の材料として用いられてきた。例えば、CVD法により形成したSiO膜の比誘電率は、4程度である。
【0004】
SiO膜より比誘電率の低い絶縁膜として、SiOF膜が提案されている。SiOF膜の比誘電率は、3.3〜3.5程度であり、SiO膜よりは比誘電率が低い。しかし、配線間の寄生容量を十分に低減するためには、更に比誘電率の低い絶縁膜を用いることが必要である。
【0005】
近時、比誘電率が極めて低い絶縁膜として、多孔質の絶縁膜が注目されている。多孔質の絶縁膜は、絶縁膜中に多数の空孔が形成されている膜である。層間絶縁膜の材料として多孔質の絶縁膜を用いれば、配線間の寄生容量を低減することが可能となる。
【特許文献1】特開2002−26121号公報
【特許文献2】特開2003−68850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、多孔質の絶縁膜には、多数の空孔が形成されているため、機械的強度が十分に高いとはいえなかった。このため、絶縁膜中にクラックが生じたり、ボンディングの際に絶縁膜が破壊されてしまう場合があった。
【0007】
本発明の目的は、機械的強度が十分に強く、しかも、比誘電率が極めて低い絶縁膜を有する半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点によれば、半導体基板上に多孔質の第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に、前記第1の絶縁膜より密度の高い第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に前記第2の絶縁膜が存在している状態で、電子線、紫外線又はプラズマを照射し、前記第1の絶縁膜を硬化させる工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多孔質の層間絶縁膜を形成した後、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成し、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜に電子線、紫外線又はプラズマを照射する。本発明によれば、電子線等を用いて多孔質の層間絶縁膜を硬化させるため、極めて機械的強度の高い多孔質の層間絶縁膜を形成することができる。このため、本発明によれば、層間絶縁膜にクラックが生じたり、ボンディング等の際に層間絶縁膜が破壊されるのを防止することができる。しかも、本発明によれば、緻密性の高い絶縁膜を介して電子線等を照射するため、多孔質の層間絶縁膜にダメージが加わるのを防止することができる。このため、本発明によれば、多孔質の層間絶縁膜の吸湿性の増大を防止することができ、また、多孔質の層間絶縁膜の密度の増大を防止することができる。このため、本発明によれば、多孔質の層間絶縁膜の比誘電率が上昇してしまうのを防止することができる。従って、本発明によれば、比誘電率が低く、しかも機械的強度の高い層間絶縁膜を形成することができる。比誘電率が低く、機械的強度の高い層間絶縁膜を形成することができるため、本発明によれば、動作速度が速く、しかも信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上述したように、多孔質の絶縁膜は、機械的強度が十分に高いとはいえなかった。
【0011】
電子線等を多孔質の絶縁膜に照射すれば、多孔質の絶縁膜の膜質が改質され、多孔質の絶縁膜の機械的強度の上昇を図ることが可能となる。
【0012】
しかし、多孔質の絶縁膜に単に電子線等を照射した場合には、多孔質の絶縁膜にダメージが加わってしまう。多孔質の絶縁膜にダメージが加わると、多孔質の絶縁膜の吸湿性が高くなる。そして、多孔質の絶縁膜が水分を吸収すると、比誘電率が増大してしまうこととなる。また、多孔質の絶縁膜にダメージが加わると、多孔質の絶縁膜が過度に収縮してしまい、このことも比誘電率が増大する要因となる。
【0013】
本願発明者らは、鋭意検討した結果、多孔質の絶縁膜にダメージが加わるのを防止しつつ、多孔質の絶縁膜に電子線等が照射されるよう、多孔質の絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成した状態で、緻密性の絶縁膜を介して多孔質の絶縁膜に電子線等を照射することに想到した。本発明によれば、多孔質の絶縁膜にダメージが加わるのを防止しつつ、多孔質の絶縁膜に電子線等が照射されるため、多孔質の絶縁膜の吸湿性の増大や多孔質の絶縁膜の収縮を防止しつつ、多孔質の絶縁膜を十分に硬化(キュア)させることができる。このため、本発明によれば、多孔質の機械的強度が十分に高く、しかも、比誘電率の低い絶縁膜を形成することが可能となる。
【0014】
[一実施形態]
本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を図1乃至図8を用いて説明する。図1乃至図8は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0015】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板10に、例えばLOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法により素子分離膜12を形成する。素子分離膜12により、素子領域14が画定される。半導体基板10としては、例えばシリコン基板を用いる。
【0016】
次に、素子領域14上に、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極18を形成する。次に、ゲート電極18の側面に、サイドウォール絶縁膜20を形成する。次に、サイドウォール絶縁膜20及びゲート電極18をマスクとして半導体基板10内にドーパント不純物を導入することにより、ゲート電極18の両側の半導体基板10内にソース/ドレイン拡散層22を形成する。こうして、ゲート電極18とソース/ドレイン拡散層22とを有するトランジスタ24が形成される。
【0017】
次に、全面に、例えばCVD法により、シリコン酸化膜より成る層間絶縁膜26を形成する。
【0018】
次に、層間絶縁膜26上に、例えば膜厚50nmのストッパ膜28を形成する。ストッパ膜28の材料としては、例えばプラズマCVD法により形成したSiN膜、水素化SiC膜(SiC:H膜)、水素化酸化SiC膜(SiC:O:H膜)、窒化SiC膜(SiC:N膜)等を用いる。なお、SiC:H膜とは、SiC膜中にH(水素)を存在させて成る膜である。SiC:O:H膜とは、SiC膜中にO(酸素)とH(水素)とを存在させて成る膜のことである。SiC:N膜とは、SiC膜中にN(窒素)を存在させて成る膜である。ストッパ膜28は、後述する工程においてCMP法によりタングステン膜34等を研磨する際にストッパとして機能する。また、ストッパ膜28は、後述する工程において層間絶縁膜38等に溝46を形成する際に、エッチングストッパとしても機能する。
【0019】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ソース/ドレイン拡散層22に達するコンタクトホール30を形成する(図1(b)参照)。
【0020】
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚50nmのTiN膜より成る密着層32を形成する。密着層32は、後述する導体プラグの下地に対する密着性を確保するためのものである。
【0021】
次に、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚1μmのタングステン膜34を形成する。
【0022】
次に、例えばCMP法により、ストッパ膜28の表面が露出するまで、密着層32及びタングステン膜34を研磨する。こうして、コンタクトホール内に、タングステンより成る導体プラグ34が埋め込まれる(図1(c)参照)。
【0023】
次に、全面に、気相成長法、より具体的にはプラズマCVD法により、水素化酸化SiC膜(SiC:O:H膜)より成る絶縁膜36を形成する。SiC:O:H膜とは、上述したように、SiC膜中にO(酸素)とH(水素)とを存在させて成る膜のことである。SiC膜は電気的には半導体であるが、SiC:O:H膜は電気的には絶縁体である。絶縁膜36は、緻密性が高い絶縁膜である。絶縁膜36の密度は、後述する多孔質の絶縁膜38の密度より高い。絶縁膜36は、水分等の拡散を防止するバリア膜として機能するものである。絶縁膜36により、多孔質の絶縁膜38に水分等が達するのを防止することができ、多孔質の絶縁膜38の比誘電率が上昇するのを防止することが可能となる。
【0024】
SiC:O:H膜より成る絶縁膜36は、例えば以下のようにして形成することができる。
【0025】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に、半導体基板10を導入する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0026】
次に、基板温度を300〜400℃に加熱する。
【0027】
次に、アルキル基を有するシロキサンモノマを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、不活性ガスをキャリアとして、反応性ガスをチャンバ内に導入する。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生し、SiC:O:H膜より成る絶縁膜36が形成される。
【0028】
こうして、SiC:O:Hより成る絶縁膜36が形成される。
【0029】
次に、図2(a)に示すように、全面に、多孔質の層間絶縁膜(第1の絶縁膜)38を形成する。多孔質の層間絶縁膜38の膜厚は、例えば膜厚160nmとする。多孔質の層間絶縁膜38は、例えば以下のようにして形成することができる。
【0030】
まず、クラスタ状の珪素化合物(シリカ)を含む絶縁膜材料(シリカクラスタ前駆体)を用意する。
【0031】
クラスタ状のシリカを含む絶縁膜材料は、例えば以下のようにして形成することができる。まず、テトラエトキシシラン20.8g(0.1mol)、メチルトリエトキシシラン17.8g(0.1mol)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23.6g(0.1mol)、及び、メチルイソブチルケトン39.6gを、200mlの反応容器内に入れ、1%のテトラブチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液16.2gを10分間で滴下する。滴下終了後、熟成反応を2時間行う。次に、硫酸マグネシウム5gを添加し、過剰の水分を除去する。次に、ロータリーエバポレータを用い、熟成反応の際に生成されたエタノールを、反応溶液が50mlになるまで除去する。こうして得られた反応溶液に、メチルイソブチルケトンを20ml添加すると、クラスタ状のシリカを含む絶縁膜材料(シリカクラスタ前駆体)が形成される。
【0032】
このような絶縁膜材料としては、例えば、触媒化成工業株式会社製のナノクラスタリングシリカ(NCS)(型番:セラメートNCS)を用いることができる。かかる絶縁膜材料は、4級アルキルアミンを触媒として用いて、クラスタ状のシリカが形成されている。
【0033】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、絶縁膜材料を塗布する。塗布条件は、例えば、3000回転/分、30秒とする。これにより、半導体基板10上に層間絶縁膜38が形成される。
【0034】
次に、熱処理(ソフトベーク)を行う。熱処理を行う際には、例えばホットプレートを用いる。熱処理温度は、例えば200℃とする。熱処理時間は、例えば150秒とする。これにより、絶縁膜材料中の溶媒が蒸発し、多孔質の層間絶縁膜38が形成される。クラスタ状のシリカを含む絶縁膜材料を用いて層間絶縁膜38を形成するため、空孔が非常に小さい多孔質の層間絶縁膜38が形成される。具体的には、空孔の直径は、例えば2nm以下となる。また、クラスタ状のシリカを含む絶縁膜材料を用いて層間絶縁膜38を形成するため、空孔の分布が非常に均一となる。クラスタ状のシリカを含む絶縁膜材料を用いて層間絶縁膜38を形成すれば、極めて良質な多孔質の層間絶縁膜38を形成することが可能となる。なお、空孔のサイズは、例えば、X線小角散乱法により測定することができる。
【0035】
層間絶縁膜38に対して熱処理(ソフトベーク)を行う際には、層間絶縁膜38における架橋率Xが10%以上となるように、熱処理を行うことが望ましい。即ち、層間絶縁膜38に対して熱処理を行うと、層間絶縁膜38において架橋反応が進行していく。図16は、層間絶縁膜における架橋反応を示す概念図である。図16に示すように、層間絶縁膜38中のシラノール基80が脱水縮合され、主骨格であるシロキサン結合82が形成されていく。図16(a)は、シラノール基が脱水縮合される前の状態を示している。図16(a)において点線で囲んだ部分は脱水縮合の際に脱離する水素及び酸素を示している。図16(b)は、シラノール基が脱水縮合した際の状態を示している。層間絶縁膜38における架橋結合には、二次元的な架橋結合と三次元的な架橋結合とがあり、いずれもシラノール基の脱水縮合により形成される。層間絶縁膜38に対して熱処理を行うと、まず、二次元的な架橋が進行していき、二次元的な架橋がある程度進行した段階で、二次元的な架橋結合どうしが架橋して、三次元的な架橋結合が形成されていく。層間絶縁膜38における架橋率Xは、フーリエ変換赤外分光光度計により得られる赤外吸収スペクトルにより、以下のようにして求めることができる。フーリエ変換赤外分光光度計としては、例えば日本電子株式会社製のフーリエ変換赤外分光光度計(型番:JIR−100)等を用いることができる。赤外吸収スペクトルにおいては、三次元的なシロキサン結合に対応するスペクトル成分は1050cm−1付近に現れ、二次元的なシロキサン結合に対応するスペクトル成分は1140cm−1付近に現れる。三次元的なシロキサン結合に対応するスペクトル成分のピーク強度をA、二次元的なシロキサン結合に対応するスペクトル成分のピーク強度をBとすると、層間絶縁膜38における架橋率Xは、
X=A/(A+B)
により求められる。
【0036】
層間絶縁膜38における架橋率Xが10%〜90%となるように熱処理(ソフトベーク)を行うのは、以下のような理由によるものである。即ち、層間絶縁膜38における架橋率Xが10%未満となるように熱処理を行った場合には、層間絶縁膜38中に大量の溶媒が残存した状態となってしまう。層間絶縁膜38中に溶剤が大量に残存していると、層間絶縁膜38の下に存在している絶縁膜36等が溶媒により溶解されてしまう虞がある。このため、層間絶縁膜38における架橋率Xが10%未満の場合には、十分な信頼性を確保することが困難である。一方、熱処理(ソフトベーク)のみによって架橋率Xを90%より大きくすることは、事実上困難である。架橋率Xが90%以上になるように熱処理した場合には、層間絶縁膜38に過度のダメージが加わる虞がある。このような理由により、層間絶縁膜38における架橋率Xが10%〜90%以上となるように、熱処理(ソフトベーク)を行うことが望ましい。
【0037】
こうして、多孔質の層間絶縁膜38が形成される。
【0038】
なお、ここでは、クラスタ状の化合物として珪素化合物を含む絶縁膜材料を塗布する場合を例に説明したが、クラスタ状の化合物は珪素化合物に限定されるものではない。他のあらゆる材料より成るクラスタ状の化合物を含む絶縁膜材料を塗布してもよい。
【0039】
また、多孔質の層間絶縁膜38の材料や形成方法等は、上記に限定されるものではない。
【0040】
例えば、以下に示すように、多孔質シリカより成る層間絶縁膜(多孔質シリカ膜)38を形成してもよい。
【0041】
まず、多孔質の層間絶縁膜38を形成するための絶縁膜材料を用意する。具体的には、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、アリルトリアルコキシシラン、グリシジルトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、ジエチルジアルコキシシラン、ジプロピルジアルコキシシラン、ジフェニルジアルコキシシラン、ジビニルジアルコキシシラン、ジアリルジアルコキシシラン、ジグリシジルジアルコキシシラン、フェニルメチルジアルコキシシラン、フェニルエチルジアルコキシシラン、フェニルプロピルトリアルコキシシラン、フェニルビニルジアルコキシシラン、フェニルアリルジアルコキシシラン、フェニルグリシジルジアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、エチルビニルジアルコキシシラン、プロピルビニルジアルコキシシラン等を原料として用いて加水分解反応や縮重合反応を起こさせて成るポリマに、熱分解性化合物を添加して成る、液状の絶縁膜材料を用意する。熱分解性化合物としては、例えばアクリル樹脂等を用いる。
【0042】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、絶縁膜材料を塗布する。塗布条件は、例えば3000回転/分、30秒とする。これにより、絶縁膜材料より成る層間絶縁膜38が形成される。
【0043】
次に、熱処理(ソフトベーク)を行う。熱処理を行う際には、例えばホットプレートを用いる。これにより、熱分解性化合物が熱分解され、層間絶縁膜38中に空孔(細孔)が形成される。空孔の直径は、例えば10〜20nm程度となる。熱処理温度は、200〜350℃に設定する。熱処理温度を200〜350℃に設定するのは、以下のような理由によるものである。熱処理温度を200℃より低く設定した場合には、熱分解性化合物が十分に熱分解されず、空孔が十分に形成されないこととなる。また、熱処理温度を200℃より低く設定した場合には、熱分解性化合物が熱分解される速度が極めて遅く、空孔を形成するのに長時間を要してしまうこととなる。一方、熱処理温度を350℃より高く設定した場合には、絶縁膜材料の硬化が急速に進行してしまい、空孔の形成が阻害されてしまうこととなる。このような理由により、熱処理温度は、200〜350℃に設定することが好ましい。ここでは、熱処理温度を例えば200℃とする。
【0044】
こうして、多孔質シリカより成る層間絶縁膜(多孔質シリカ膜)38が形成される。
【0045】
このように、熱分解性化合物を含む絶縁膜材料を塗布した後、熱処理を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜(多孔質シリカ膜)38を形成してもよい。
【0046】
また、以下に示すように、気相成長法により、多孔質の層間絶縁膜(Carbon Doped SiO2膜)38を形成してもよい。
【0047】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に、半導体基板10を導入する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0048】
次に、基板温度を例えば300〜400℃に設定する。
【0049】
次に、アルキル基を有するシロキサンモノマを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、キャリアガスを用いて、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的速く設定すれば、多孔質の層間絶縁膜38を形成することができる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、多孔質の層間絶縁膜38を形成することが可能である。反応性ガスとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサンを用いる。反応性ガスの供給量は、例えば3mg/minとする。キャリアガスとしては、COを用いる。キャリアガスの流量は、例えば6000sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(500W)及び100kHz(500W)とする。こうして、カーボンを含むシリコン酸化膜より成る多孔質の層間絶縁膜38が形成される。
【0050】
このように、気相成長法により、多孔質の層間絶縁膜(Carbon Doped SiO2膜)38を形成してもよい。
【0051】
また、以下に示すように、熱分解性の原子団(熱分解性化合物)又は酸化分解性の原子団(酸化分解性化合物)を含む原料を用いて、熱分解性又は酸化分解性の原子団をプラズマにより分解させながら、気相成長法により多孔質の層間絶縁膜(Porous Carbon Doped SiO2膜)38を形成してもよい。
【0052】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を導入する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0053】
次に、基板温度を例えば250〜350℃に設定する。
【0054】
次に、アルキル基を有するシロキサンモノマを気化装置により気化し、第1の反応性ガスを生成する。また、フェニル基を有するシラン化合物を気化装置により気化し、第2の反応性ガスを生成する。なお、フェニル基は、加熱した状態で酸化反応を起こさせると分解する原子団(熱分解性及び酸化分解性原子団)である。そして、COガスをキャリアガスとして用いて、これらの反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、COガスがプラズマ(酸素プラズマ)となり、フェニル基が分解される。フェニル基を分解しながら、層間絶縁膜38を堆積するため、多孔質の層間絶縁膜38が形成されることとなる。成膜条件は、例えば以下のように設定する。第1の反応性ガスとしては、より具体的には、例えばヘキサメチルジシロキサンを用いる。第1の反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。第2の反応性ガスとしては、より具体的には、例えばジフェニルメチルシランを用いる。第2の反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスの流量は、例えば3000sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(300W)及び100kHz(300W)とする。こうして、カーボンを含むシリコン酸化膜より成る多孔質の層間絶縁膜38が形成される。
【0055】
なお、ここでは、熱を加えながら酸化を行うと分解する熱分解性及び酸化分解性の原子団を含む材料を用いる場合を例に説明したが、酸化を行うことなく熱分解し得る熱分解性の原子団を含む原料、又は、熱を加えることなく酸化分解し得る酸化分解性の原子団を含む原料を用いて、気相成長法により多孔質の層間絶縁膜38を形成してもよい。
【0056】
このように、熱分解性又は酸化分解性の原子団(熱分解性化合物、酸化分解性化合物)を含む原料を用い、熱分解性又は酸化分解性の原子団をプラズマを用いて分解させながら、気相成長法により、多孔質の層間絶縁膜(Porous Carbon Doped SiO2膜)38を形成してもよい。
【0057】
また、以下に示すように、熱分解性の有機化合物を含む絶縁膜材料を塗布した後、熱分解性の原子団を熱分解することにより、多孔質の層間絶縁膜(有機多孔質膜)38を形成してもよい。
【0058】
まず、熱分解性有機化合物を含むポリアリールエーテルポリマを溶媒により希釈することにより、絶縁膜材料を形成する。熱分解性有機化合物としては、例えば200〜300℃で熱分解する有機化合物を用いる。このような有機化合物としては、例えばアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリルオリゴマ、エチレンオリゴマ、プロピレンオリゴマ等を用いる。溶媒としては、例えばシクロヘキサノンを用いる。
【0059】
次に、半導体基板10上の全面に、スピンコート法により、絶縁膜材料を塗布する。これにより、半導体基板10上に絶縁膜材料より成る層間絶縁膜38が形成される。
【0060】
次に、ホットプレートを用いて熱処理を行う。熱処理温度は、例えば100〜400℃とする。これにより、層間絶縁膜38中の溶媒が蒸発し、乾燥した層間絶縁膜38が形成される。
【0061】
次に、キュア装置内に半導体基板10を導入し、熱処理を行う。熱処理温度は、例えば300〜400℃とする。これにより、熱分解性の有機化合物が熱分解し、層間絶縁膜38中に空孔が形成される。こうして、多孔質の層間絶縁膜38が形成される。
【0062】
このように、熱分解性の有機化合物を含む絶縁膜材料を塗布した後、熱分解性の有機化合物を熱分解することにより、多孔質の層間絶縁膜(有機多孔質膜)38を形成してもよい。
【0063】
次に、図2(b)に示すように、多孔質の層間絶縁膜38が形成された半導体基板10上の全面に、緻密性の高い絶縁膜(第2の絶縁膜)40を形成する。例えば、気相成長法、より具体的にはプラズマCVD法により、シリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成する。絶縁膜40は、多孔質の層間絶縁膜38より密度の高い膜である。絶縁膜40は、後述する工程において電子線等を照射しながら多孔質の層間絶縁膜38を硬化(キュア)させる際に、多孔質の層間絶縁膜38が電子線等により大きなダメージを受けるのを防止しつつ、多孔質の層間絶縁膜38に適度な量の電子線等が到達するようにするためのものである。
【0064】
なお、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成することなく、電子線を照射する際の加速電圧を低く設定することにより、電子線によるダメージを抑制することも考えられる。しかし、多孔質の層間絶縁膜38に直接電子線を照射すると、多孔質絶縁膜38の表面に凹凸が生じてしまう場合がある。また、加速電圧を低く設定すると、電子線を安定して均一に照射することができないため、層間絶縁膜38を均一に硬化させることができない。従って、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成することなく、電子線を照射する際の加速電圧を低く設定することにより、良質な層間絶縁膜38を形成することは、非常に困難である。
【0065】
絶縁膜38の密度は、1〜3g/cmとすることが望ましい。絶縁膜40の密度を1〜3g/cmとするのは、以下のような理由によるものである。絶縁膜40の密度を1g/cmより小さく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40を容易に透過してしまい、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わってしまう。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が収縮し、比誘電率の増大を招いてしまう。一方、絶縁膜40の密度を3g/cmより大きく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40により遮断されてしまい、多孔質の層間絶縁膜38を十分に硬化させることが困難となる。このような理由により、絶縁膜40の密度は1〜3g/cmに設定することが望ましい。但し、絶縁膜40の密度を2.5g/cmより大きく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40によりかなり遮断され、電子線等が多孔質の絶縁膜38に十分に到達し得ない場合がある。従って、絶縁膜40の密度を1〜2.5g/cmに設定することが更に望ましい。
【0066】
また、絶縁膜40の膜厚は、例えば5〜70nmとすることが望ましい。絶縁膜40の膜厚を5〜70nmに設定するのは、以下のような理由によるものである。絶縁膜40の膜厚を5nmより小さく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40を容易に透過してしまい、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わってしまう。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が収縮し、これらにより比誘電率の増大を招いてしまう。一方、絶縁膜40の膜厚を70nmより大きく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40により遮断されてしまい、多孔質の層間絶縁膜38を十分に硬化させることが困難となる。このため、絶縁膜40の膜厚は、5〜70nmに設定することが望ましい。但し、絶縁膜40の膜厚を50nmより大きく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40にかなり遮断され、電子線等が多孔質の絶縁膜38に十分に到達し得ない場合がある。また、絶縁膜40の膜厚を10nmより小さく設定した場合には、後述する電子線等を照射する工程において電子線等が絶縁膜40を比較的容易に透過してしまい、多孔質の層間絶縁膜38にある程度のダメージが加わってしまう場合がある。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が収縮し、これらにより比誘電率が増大してしまうこととなる。従って、絶縁膜40の膜厚は、10〜50nm程度とすることが更に望ましい。
【0067】
緻密性の高いシリコン酸化膜より成る絶縁膜40は、以下のようにして形成することができる。
【0068】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を載置する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0069】
次に、基板温度を、例えば400℃に設定する。
【0070】
次に、トリメチルシランを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、不活性ガスをキャリアとして、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的遅く設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能となる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能である。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスとしては、例えばCOを用いる。キャリアガスの流量は、例えば100sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(200W)及び100kHz(200W)とする。平板電極間に高周波電力を印加してプラズマを発生させる時間は、例えば5秒間とする。
【0071】
このような条件でシリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成すると、絶縁膜40の密度は例えば2g/cm程度となる。なお、ここでは、絶縁膜40の膜厚を例えば30nmとする。こうして、緻密性の高い絶縁膜40が、多孔質の層間絶縁膜38上に形成される。
【0072】
なお、緻密性の高い絶縁膜40の材料や成膜方法は上記に限定されるものではない。
【0073】
例えば、以下に示すように、カーボンがドープされたシリコン酸化膜より成る緻密性の高い絶縁膜(Carbon Doped SiO2膜)40を、気相成長法により形成してもよい。
【0074】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を載置する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0075】
次に、基板温度を例えば400℃に設定する。
【0076】
次に、ヘキサメチルジシロキサンを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、不活性ガスをキャリアとして、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的遅く設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することができる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能である。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスの流量は、例えば500sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(200W)及び100kHz(200W)とする。平板電極間に高周波電力を印加してプラズマを発生させる時間は、例えば5秒間とする。
【0077】
このように、カーボンがドープされたシリコン酸化膜より成る緻密性の高い絶縁膜(Carbon Doped SiO2膜)40を、気相成長法により形成してもよい。
【0078】
また、以下に示すように、水素化SiC膜(SiC:H膜)より成る緻密性の高い絶縁膜40を、気相成長法により形成してもよい。SiC:H膜とは、上述したように、SiC膜中にH(水素)を存在させて成る膜である。
【0079】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を載置する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0080】
次に、基板温度を例えば400℃に設定する。
【0081】
次に、トリメチルシランを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、キャリアガスを用いて、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的遅く設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することができる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能である。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスとしては、例えば窒素を用いる。キャリアガスの流量は、例えば1000sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(200W)及び100kHz(200W)とする。平板電極間に高周波電力を印加してプラズマを発生させる時間は、例えば5秒間とする。
【0082】
このように、SiC:H膜より成る緻密性の高い絶縁膜40を、気相成長法により形成してもよい。
【0083】
また、以下に示すように、窒化SiC膜(SiC:N膜)より成る緻密性の高い絶縁膜40を、気相成長法により形成してもよい。SiC:N膜とは、上述したように、SiC膜中にN(窒素)を存在させて成る膜である。
【0084】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を載置する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0085】
次に、基板温度を例えば400℃に設定する。
【0086】
次に、トリメチルシランを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、キャリアガスを用いて、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的遅く設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することができる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能である。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスとしては、例えばアンモニアを用いる。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(200W)及び100kHz(200W)とする。平板電極間に高周波電力を印加してプラズマを発生させる時間は、例えば5秒間とする。
【0087】
このように、SiC:N膜より成る緻密性の高い絶縁膜40を、気相成長法により形成してもよい。
【0088】
また、以下に示すように、水素化酸化SiC膜(SiC:O:H膜)より成る緻密性の高い絶縁膜40を、気相成長法により形成してもよい。SiC:O:H膜とは、上述したように、SiC膜中にO(酸素)とH(水素)とを存在させて成る膜である。
【0089】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を導入する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0090】
次に、基板温度を例えば400℃に設定する。
【0091】
次に、トリメチルシランを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、キャリアガスを用いて、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的遅く設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することができる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能である。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスとしては、例えばCOを用いる。キャリアガスの流量は、例えば100sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(200W)及び100kHz(200W)とする。平板電極間に高周波電力を印加してプラズマを発生させる時間は、例えば5秒間とする。
【0092】
このように、SiC:O:H膜より成る緻密性の高い絶縁膜40を、気相成長法により形成してもよい。
【0093】
また、以下に示すように、有機SOG膜を塗布することにより、緻密性の高い絶縁膜40を形成してもよい。
【0094】
まず、有機SOG膜を形成するための絶縁膜材料を用意する。このような絶縁膜材料としては、例えば、テトラエトキシシランとメチルトリエトキシシランとを原料として用い、加水分解反応及び縮合反応を起こさせて成るポリマを用いる。
【0095】
次に、全面に、スピンコート法により、絶縁膜材料を塗布する。塗布条件は、例えば3000回転/分、30秒とする。これにより、多孔質の層間絶縁膜38上に絶縁膜40が形成される。
【0096】
次に、熱処理(ソフトベーク)を行う。熱処理を行う際には、例えばホットプレートを用いる。熱処理温度は、例えば200℃とする。熱処理時間は、例えば150秒とする。
【0097】
このように、有機SOG膜を塗布することにより、絶縁膜40を形成してもよい。
【0098】
また、以下に示すように、無機SOG膜を塗布することにより、緻密性の高い絶縁膜40を形成してもよい。
【0099】
まず、無機SOG膜を形成するための絶縁膜材料を用意する。このような絶縁膜材料としては、例えば、テトラエトキシシランを原料として用い、加水分解反応及び縮合反応を起こさせて成るポリマを用いる。
【0100】
次に、全面に、スピンコート法により、絶縁膜材料を塗布する。塗布条件は、例えば3000回転/分、30秒とする。これにより、多孔質の層間絶縁膜38上に絶縁膜40が形成される。
【0101】
次に、熱処理(ソフトベーク)を行う。熱処理を行う際には、例えばホットプレートを用いる。熱処理温度は、例えば200℃とする。熱処理時間は、例えば150秒とする。
【0102】
このように、無機SOG膜を塗布することにより、緻密性の高い絶縁膜40を形成してもよい。
【0103】
次に、図2(c)に示すように、多孔質の絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の絶縁膜38に電子線を照射する。電子線の照射は、以下のようにして行う。
【0104】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体装置10を載置する。
【0105】
次に、チャンバ内の気体を排気し、チャンバ内を真空状態にする。この際、チャンバ内の圧力を調整するため、又は、絶縁膜40等の改質のために、チャンバ内にガスを導入してもよい。チャンバ内に導入するガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、メタンガス、又はエタンガス等を用いる。
【0106】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に電子線を照射する(電子線キュア)。多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射するのは、多孔質の層間絶縁膜38に大きいエネルギーを加えることにより架橋反応を更に進行させ、多孔質の層間絶縁膜38を硬化(キュア)させるためである。上述したように、多孔質の層間絶縁膜38にダメージが加わると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が過度に収縮し、これらにより比誘電率の上昇を招いてしまう。このため、本実施形態では、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に電子線を照射する。
【0107】
図17は、多孔質の層間絶縁膜における空孔のサイズを示す概念図である。多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射する前の段階、即ち、多孔質の層間絶縁膜38における架橋反応が不十分な段階では、図17(a)に示すように、空孔84のサイズにはある程度のバラツキがある。多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射する前の段階において空孔84のサイズにある程度のバラツキがあるのは、多孔質の層間絶縁膜38のうちの架橋反応が十分に進行していない部分において、空孔84のサイズが大きくなりきっていないためである。多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射すると、上述したように多孔質の層間絶縁膜38において架橋反応が更に進行するため、かかる架橋反応に伴って多孔質の層間絶縁膜38中から水分が脱離する。多孔質の層間絶縁膜38からの水分の離脱に伴い、多孔質の層間絶縁膜38における空孔84のサイズは大きくなる。多孔質の層間絶縁膜38に適度に電子線を照射すれば、多孔質の層間絶縁膜38における架橋反応が十分に進行するため、空孔84のサイズがいずれも十分に大きくなり、図17(b)に示すように、多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズのバラツキが極めて小さくなる。多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズのバラツキが極めて小さくなれば、多孔質の層間絶縁膜38に埋め込まれる配線間の寄生容量のバラツキが小さくなり、また、多孔質の層間絶縁膜38等に意図しないストレスが加わるのを防止することができる。
【0108】
多孔質の層間絶縁膜38に絶縁膜40を介して電子線を照射する際には、熱処理を行いながら、電子線を照射することが好ましい。熱処理温度は、例えば200〜500℃とする。熱処理を行いながら電子線を照射すると、多孔質の層間絶縁膜38の硬化(キュア)が促進され、多孔質の層間絶縁膜38の機械的強度を向上させることができるためである。
【0109】
電子線を照射する際の熱処理温度を500℃以下に設定するのは、500℃を超える温度で熱処理を行いながら電子線を照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜38等に大きなダメージが加わってしまう虞があるためである。電子線を照射する際の熱処理温度を500℃以下に設定することにより、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わるのを防止しつつ、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることが可能となる。電子線を照射する際の熱処理温度を200℃以上とするのは、熱処理温度を低く設定すると、多孔質の層間絶縁膜38の硬化に長時間を要するためである。電子線を照射する際の熱処理温度を200℃以上に設定することにより、多孔質の層間絶縁膜38を短時間で硬化させることが可能となる。
【0110】
なお、電子線を照射する際の熱処理温度は、200〜500℃に限定されるものではない。200℃未満で熱処理を行いながら電子線を照射した行った場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることは可能である。但し、短時間で多孔質の層間絶縁膜38を硬化させる観点からは、電子線を照射する際の熱処理温度を200℃以上に設定することが好ましい。
【0111】
また、多孔質の層間絶縁膜38にダメージが加わるのを防止する観点からは、電子線を照射する際に敢えて熱処理を行わない方が好ましい。一方、熱処理を行うことなく、即ち、基板を加熱せずに、電子線を照射した場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることは可能であり、ある程度の機械的強度を得ることも可能である。従って、基板を加熱せずに、多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射することにより、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させるようにしてもよい。
【0112】
電子線を照射する際の加速電圧は、例えば10keV〜20keVとする。加速電圧を10keVより小さくした場合には、多孔質の層間絶縁膜38を硬化(キュア)するために長時間を要してしまうことになる。一方、加速電圧を20keVより大きく設定した場合には、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わる。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が収縮し、これらにより比誘電率が増大する可能性がある。従って、電子線を照射する際における加速電圧は、10keV〜20keV程度とすることが好ましい。
【0113】
なお、電子線を照射する際における加速電圧は、10keV〜20keVに限定されるものではない。多孔質の層間絶縁膜38を硬化する際にある程度の時間を要してもよい場合には、加速電圧を10keVより小さく設定してもよい。また、多孔質の層間絶縁膜38上に形成する緻密性の高い絶縁膜40の膜厚を薄めに設定すれば、加速電圧が比較的低い場合であっても、電子線を十分に多孔質の層間絶縁膜38中に導入することが可能である。また、加速電圧を20keVより大きく設定した場合であっても、電子線の照射時間を短めに設定すれば、多孔質の層間絶縁膜38に過剰なダメージが加わるのを防止することが可能である。従って、加速電圧を20keVより大きく設定した場合であっても、電子線の照射時間を短めに設定すれば、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性の増大を防止し、また、多孔質の層間絶縁膜38の収縮を防止することが可能である。また、多孔質の層間絶縁膜38上に形成する緻密性の高い絶縁膜40の膜厚を厚めに設定すれば、加速電圧が比較的高い場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38に過剰なダメージが加わるのを防止することが可能である。従って、多孔質の層間絶縁膜38上に形成する緻密性の高い絶縁膜40の膜厚を厚めに設定すれば、加速電圧が比較的高い場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性の増大を防止し、また、多孔質の層間絶縁膜38の収縮を防止することが可能である。
【0114】
こうして、比誘電率が低く、しかも機械的強度の高い、多孔質の層間絶縁膜38が形成される。
【0115】
なお、ここでは、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射する場合を例に説明したが、以下に示すように、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射するようにしてもよい。
【0116】
まず、紫外線ランプが設けられたチャンバ内に、半導体基板10を載置する。紫外線ランプとしては、例えば高圧水銀ランプを用いる。なお、紫外線ランプは、高圧水銀ランプに限定されるものではなく、キセノンエキシマランプ、低圧水銀ランプ等、他のあらゆる紫外線ランプを適宜用いてもよい。
【0117】
次に、チャンバ内の気体を排気し、チャンバ内を真空状態にする。この際、チャンバ内の圧力を調整するため、又は、絶縁膜40等の改質のために、チャンバ内にガスを導入してもよい。チャンバ内に導入するガスとしては、例えば、窒素ガスや不活性ガス等を用いる。不活性ガスとしては、例えばアルゴンガスを用いる。
【0118】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射する(紫外線キュア)。多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射した場合にも、多孔質の層間絶縁膜38に大きいエネルギーが加わるため、多孔質の層間絶縁膜38において架橋反応が進行し、多孔質の層間絶縁膜38を硬化(キュア)させることができる。多孔質の層間絶縁膜38に単に紫外線を照射すると、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わる。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が収縮するため、比誘電率の上昇を招いてしまう場合がある。多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わるのを防止するため、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射する。
【0119】
多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射する前の段階、即ち、多孔質の層間絶縁膜38における架橋反応が不十分な段階では、図17(a)を用いて上述したように、空孔84のサイズにはある程度のバラツキがある。多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射する前の段階において空孔84のサイズにある程度のバラツキがあるのは、多孔質の層間絶縁膜38のうちの架橋反応が十分に進行していない部分において、空孔84のサイズが大きくなりきっていないためである。多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射すると、上述したように多孔質の層間絶縁膜38において架橋反応が更に進行するため、かかる架橋反応に伴って多孔質の層間絶縁膜38中から水分が脱離する。多孔質の層間絶縁膜38からの水分の離脱に伴い、多孔質の層間絶縁膜38における空孔84のサイズは大きくなる。多孔質の層間絶縁膜38に適度に紫外線を照射すれば、多孔質の層間絶縁膜38における架橋反応が十分に進行するため、空孔84のサイズがいずれも十分に大きくなり、図17(b)に示すように、多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズのバラツキが極めて小さくなる。多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズのバラツキが極めて小さくなれば、多孔質の層間絶縁膜38に埋め込まれる配線間の寄生容量のバラツキが小さくなり、また、多孔質の層間絶縁膜38等に意図しないストレスが加わるのを防止することができる。
【0120】
なお、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成することなく、紫外線の照射時間等を短く設定することにより、紫外線によるダメージを抑制することも考えられる。しかし、多孔質の層間絶縁膜38の表面が露出している状態で紫外線を照射すると、チャンバ内に存在する微量酸素がオゾンに変化してしまう。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の表面の疎水性の有機基がオゾンにより酸化分解され、多孔質の層間絶縁膜38が水分を吸収しやすくなってしまう。多孔質の層間絶縁膜38が水分を吸収すると、多孔質の層間絶縁膜38の比誘電率が上昇してしまうこととなる。従って、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成することなく、紫外線の照射時間等を短く設定することにより、良質な層間絶縁膜38を形成することは、極めて困難である。
【0121】
絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射する際には、熱処理を行いながら、紫外線を照射することが好ましい。熱処理温度は、例えば200〜500℃とする。熱処理を行いながら紫外線を照射すると、多孔質の層間絶縁膜38の硬化(キュア)が促進され、多孔質の層間絶縁膜38の機械的強度を向上させることができるためである。
【0122】
紫外線を照射する際の熱処理温度を500℃以下に設定するのは、500℃を超える温度で熱処理を行いながら紫外線を照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜38等に大きなダメージが加わってしまう虞があるためである。紫外線を照射する際の熱処理温度を500℃以下に設定することにより、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わるのを防止しつつ、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることが可能となる。紫外線を照射する際の熱処理温度を200℃以上とするのは、熱処理温度を低く設定すると、多孔質の層間絶縁膜38の硬化に長時間を要するためである。紫外線を照射する際の熱処理温度を200℃以上に設定することにより、多孔質の層間絶縁膜38を短時間で硬化させることが可能となる。
【0123】
なお、紫外線を照射する際の熱処理温度は、200〜500℃に限定されるものではない。200℃未満で熱処理を行った場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることは可能である。但し、短時間で多孔質の層間絶縁膜38を硬化させる観点からは、熱処理温度を200℃以上に設定することが好ましい。
【0124】
また、熱処理を行うことなく、即ち、半導体基板を加熱することなく、紫外線を照射した場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることは可能であり、ある程度の機械的強度を得ることも可能である。一方、多孔質の層間絶縁膜38にダメージが加わるのを防止する観点からは、紫外線を照射する際に敢えて熱処理を行わない方が好ましい。従って、熱処理を行うことなく、即ち、基板を加熱することなく、多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射することにより、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させるようにしてもよい。
【0125】
このように、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38に紫外線を照射するようにしてもよい。
【0126】
なお、ここでは、真空状態で紫外線を照射する場合を例に説明したが、紫外線を照射する際における圧力は真空に限定されるものではない。例えば、常圧で紫外線を照射するようにしてもよい。
【0127】
また、上記では、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38に電子線や紫外線を照射する場合を例に説明したが、以下に示すように、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射するようにしてもよい。
【0128】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を載置する。プラズマCVD装置としては、例えば、平行平板型のプラズマCVD装置や、高密度プラズマCVD装置等を用いる。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、酸素ガス、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、アンモニア、ヘリウムガス、二酸化炭素等を用いる。酸素ガス又は水素ガスを反応性ガスとして用いることが好ましい。
【0129】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する(プラズマキュア)。多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射した場合にも、多孔質の層間絶縁膜38に大きいエネルギーが加わるため、多孔質の層間絶縁膜38において架橋反応が進行し、多孔質の層間絶縁膜38を硬化(キュア)させることができる。多孔質の層間絶縁膜38に単にプラズマを照射すると、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わる。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の吸湿性が増大し、また、多孔質の層間絶縁膜38が収縮し、これらにより比誘電率の上昇を招いてしまうこととなる。多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わるのを防止するため、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する。
【0130】
多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射する前の段階、即ち、多孔質の層間絶縁膜38における架橋反応が不十分な段階では、図17(a)を用いて上述したように、空孔84のサイズにはある程度のバラツキがある。多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射する前の段階において空孔84のサイズにある程度のバラツキがあるのは、多孔質の層間絶縁膜38のうちの架橋反応が十分に進行していない部分において、空孔84のサイズが大きくなりきっていないためである。多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射すると、上述したように多孔質の層間絶縁膜38において架橋反応が更に進行するため、かかる架橋反応に伴って多孔質の層間絶縁膜38中から水分が脱離する。多孔質の層間絶縁膜38からの水分の離脱に伴い、多孔質の層間絶縁膜38における空孔84のサイズは大きくなる。多孔質の層間絶縁膜38に適度にプラズマを照射すれば、多孔質の層間絶縁膜38における架橋反応が十分に進行するため、空孔84のサイズがいずれも十分に大きくなり、図17(b)に示すように、多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズのバラツキが極めて小さくなる。多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズのバラツキが極めて小さくなれば、多孔質の層間絶縁膜38に埋め込まれる配線間の寄生容量のバラツキが小さくなり、また、多孔質の層間絶縁膜38等に意図しないストレスが加わるのを防止することができる。
【0131】
なお、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成することなく、プラズマのパワーを小さく設定することにより、ダメージを抑制することも考えられる。しかし、パワーを小さく設定した場合には、プラズマを安定して均一に照射することは困難である。また、多孔質の層間絶縁膜38の表面がプラズマにより活性化されてしまうため、半導体基板10をチャンバ内から出した際に、多孔質の層間絶縁膜38の表面が空気中の水分と反応してしまう。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38の比誘電率が上昇してしまうこととなる。従って、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成することなく、プラズマのパワーを小さく設定することにより、良質な層間絶縁膜38を形成することは、極めて困難である。
【0132】
プラズマを照射する際におけるプラズマの照射エネルギー、即ち、絶縁膜40に入射されるイオンの入射エネルギーは、1〜100eVとすることが好ましい。プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲に設定するのは、以下のような理由によるものである。
【0133】
プラズマの照射エネルギーを1eVより小さく設定した場合には、層間絶縁膜38における架橋反応があまり進行しない。そうすると、多孔質の層間絶縁膜38における空孔のサイズは、図17(a)に示すように、不均一なままとなってしまう。
【0134】
図18は、プラズマの照射エネルギーと多孔質の層間絶縁膜の下地に対する引っ張り強度との関係を示すグラフである。横軸はプラズマの照射エネルギーを示しており、縦軸は下地に対する多孔質の層間絶縁膜の引っ張り強度との関係を示すグラフである。図から分かるように、プラズマの照射エネルギーが1eVより小さい場合には、多孔質の層間絶縁膜38の下地に対する引っ張り強度が十分に得られない。プラズマの照射エネルギーを1eVより小さく設定すると、多孔質の層間絶縁膜38の下地に対する引っ張り強度が十分に得られないのは、多孔質の層間絶縁膜38が十分に硬化し得ないためと考えられる。
【0135】
図19は、プラズマの照射エネルギーと多孔質の層間絶縁膜の比誘電率との関係を示すグラフである。横軸はプラズマの照射エネルギーを示しており、縦軸は多孔質の層間絶縁膜の比誘電率を示している。図18から分かるように、プラズマの照射エネルギーが100eVより大きくなると、多孔質の層間絶縁膜38の比誘電率は大きくなってしまう。プラズマの照射エネルギーが100eVより大きくなると多孔質の層間絶縁膜38の比誘電率が大きくなってしまうのは、プラズマの照射エネルギーが大きすぎると、多孔質の層間絶縁膜38が過度に収縮してしまうためと考えられる。
【0136】
このような理由により、プラズマを照射する際におけるプラズマの照射エネルギーは、1〜100eVに設定することが望ましい。
【0137】
多孔質の層間絶縁膜38に絶縁膜40を介してプラズマを照射する際には、熱処理を行いながら、プラズマを照射することが好ましい。熱処理温度は、例えば200〜500℃とする。熱処理を行いながらプラズマを照射すると、多孔質の層間絶縁膜38の硬化(キュア)が促進され、多孔質の層間絶縁膜38の機械的強度を向上させることができるためである。
【0138】
プラズマを照射する際の熱処理温度を500℃以下に設定するのは、500℃を超える温度で熱処理を行いながら紫外線を照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜38等に大きなダメージが加わってしまう虞があるためである。プラズマを照射する際の熱処理温度を500℃以下に設定することにより、多孔質の層間絶縁膜38に大きなダメージが加わるのを防止しつつ、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることが可能となる。プラズマを照射する際の熱処理温度を200℃以上とするのは、熱処理温度を低く設定すると、多孔質の層間絶縁膜38の硬化に長時間を要するためである。プラズマを照射する際の熱処理温度を200℃以上に設定することにより、多孔質の層間絶縁膜38を短時間で硬化させることが可能となる。
【0139】
なお、プラズマを照射する際の熱処理温度は、200〜500℃に限定されるものではない。200℃未満で熱処理を行った場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることは可能である。但し、短時間で多孔質の層間絶縁膜38を硬化させる観点からは、熱処理温度を200℃以上に設定することが好ましい。
【0140】
また、熱処理を行うことなく、即ち、基板を加熱することなく、プラズマを照射した場合であっても、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させることは可能であり、ある程度の機械的強度を得ることも可能である。一方、多孔質の層間絶縁膜38にダメージが加わるのを防止する観点からは、プラズマを照射する際に敢えて熱処理を行わない方が好ましい。従って、熱処理を行うことなく、即ち、基板を加熱することなく、多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射することにより、多孔質の層間絶縁膜38を硬化させるようにしてもよい。
【0141】
このように、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の層間絶縁膜38にプラズマを照射するようにしてもよい。
【0142】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜42を形成する。
【0143】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜42に開口部44を形成する(図3(a)参照)。開口部44は、第1層目の配線(第1金属配線層)50を形成するためのものである。例えば、配線幅が100nm、配線間隔が100nmとなるように、開口部44をフォトレジスト膜42に形成する。
【0144】
次に、フォトレジスト膜42をマスクとして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36をエッチングする。エッチングを行う際には、CFガス及びCHFガスを原料としたフッ素プラズマを用いてエッチングを行う。この際、ストッパ膜38が、エッチングストッパとして機能する。こうして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線を埋め込むための溝(トレンチ)46が形成される。導体プラグ34の上面は、溝内46に露出した状態となる。この後、フォトレジスト膜42を剥離する。
【0145】
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚10nmのTaNより成るバリア膜(図示せず)を形成する。バリア膜は、後述する配線中のCuが絶縁膜中に拡散するのを防止するためのものである。次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚10nmのCuより成るシード膜(図示せず)を形成する。シード膜は、電気めっき法によりCuより成る配線を形成する際に、電極として機能するものである。こうして、バリア膜とシード膜とから成る積層膜48が形成される。
【0146】
次に、例えば電気めっき法により、膜厚600nmのCu膜50を形成する。
【0147】
次に、CMP法により、絶縁膜の表面が露出するまで、Cu膜50及び積層膜48を研磨する。こうして、溝内にCuより成る配線50が埋め込まれる。このような配線50の製造プロセスは、シングルダマシン法と称される。
【0148】
次に、全面に、例えばプラズマCVD法により、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜52を形成する。絶縁膜52は、水分の拡散を防止するバリア膜として機能するものである。絶縁膜52により、多孔質の層間絶縁膜38に水分が達するのが防止される。SiC:O:H膜より成る絶縁膜52は、例えば以下のようにして形成することができる。
【0149】
まず、プラズマCVD装置のチャンバ内に半導体基板10を導入する。プラズマCVD装置としては、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いる。
【0150】
次に、基板温度を例えば400℃に設定する。
【0151】
次に、トリメチルシランを気化装置により気化し、反応性ガスを生成する。そして、キャリアガスを用いて、反応性ガスをチャンバ内に導入する。この際、平板電極間に高周波電力を印加すると、反応性ガスのプラズマが発生する。この際、堆積レートを比較的遅く設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することができる。具体的には、例えば、以下のように成膜条件を設定すれば、緻密性の高い絶縁膜40を形成することが可能である。反応性ガスの供給量は、例えば1mg/minとする。キャリアガスとしては、例えばCOを用いる。キャリアガスの流量は、例えば100sccmとする。平板電極間に印加する高周波電力は、例えば、13.56MHz(200W)及び100kHz(200W)とする。平板電極間に高周波電力を印加してプラズマを発生させる時間は、例えば5秒間とする。
【0152】
こうして、バリア膜として機能する絶縁膜52が形成される(図3(b)参照)。
【0153】
次に、図4(a)に示すように、多孔質の層間絶縁膜54を形成する。多孔質の層間絶縁膜54の形成方法は、例えば、上述した多孔質の層間絶縁膜38の形成方法と同様とする。多孔質の層間絶縁膜54の膜厚は、例えば180nmとする。
【0154】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上の全面に、緻密性の高い絶縁膜56を形成する。緻密性の高い絶縁膜56の形成方法は、例えば上述した緻密性の高い絶縁膜40の形成方法と同様とする。緻密性の高い絶縁膜56の材料としては、例えばSiC:O:H膜を用いる。絶縁膜56の膜厚は、例えば30nmとする。
【0155】
次に、図4(b)に示すように、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に電子線を照射する。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に電子線を照射する際の条件は、例えば、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に電子線を照射する際の上述した条件と同様とする。
【0156】
なお、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に紫外線を照射してもよい。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に紫外線を照射する際の条件は、例えば、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射する際の上述した条件と同様とする。
【0157】
また、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射してもよい。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射する際の条件は、例えば、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する際の上述した条件と同様とする。
【0158】
こうして、比誘電率が低く、しかも機械的強度の高い、多孔質の層間絶縁膜54が形成される。
【0159】
次に、図5(a)に示すように、多孔質の層間絶縁膜58を形成する。多孔質の層間絶縁膜58の形成方法は、例えば、上述した多孔質の層間絶縁膜38の形成方法と同様とする。層間絶縁膜58の膜厚は、例えば160nmとする。
【0160】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上の全面に、緻密性の高い絶縁膜60を形成する。緻密性の高い絶縁膜60の形成方法は、例えば上述した絶縁膜40の形成方法と同様とする。緻密性の高い絶縁膜60の材料としては、例えばSiC:O:H膜を用いる。絶縁膜60の膜厚は、例えば30nmとする。
【0161】
次に、図5(b)に示すように、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に電子線を照射する。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に電子線を照射する際の条件は、例えば、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に電子線を照射する際の条件と同様とする。
【0162】
なお、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に紫外線を照射してもよい。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に紫外線を照射する際の条件は、例えば、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射する際の上述した条件と同様とする。
【0163】
また、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射してもよい。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射する際の条件は、例えば、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する際の上述した条件と同様とする。
【0164】
こうして、誘電率が低く、しかも機械的強度が強い、多孔質の層間絶縁膜58が形成される。
【0165】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜62を形成する。
【0166】
次に、図6に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜62に開口部64を形成する。開口部64は、配線50に達するコンタクトホール66を形成するためのものである。
【0167】
次に、フォトレジスト膜62をマスクとして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52をエッチングする。エッチングを行う際には、CFガス及びCHFガスを原料としたフッ素プラズマを用いてエッチングを行う。エッチングガスの組成比やエッチングの際の圧力等を適宜変化させることにより、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52をエッチングすることが可能である。こうして、配線50に達するコンタクトホール66が形成される。この後、フォトレジスト膜62を剥離する。
【0168】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜68を形成する。
【0169】
次に、図7に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜68に開口部70を形成する。この開口部70は、第2層目の配線(第2金属配線層)76aを形成するためのものである。
【0170】
次に、フォトレジスト膜68をマスクとして、絶縁膜60、層間絶縁膜58及び絶縁膜56をエッチングする。エッチングを行う際には、CFガス及びCHFガスを原料としたフッ素プラズマを用いてエッチングを行う。こうして、絶縁膜60、層間絶縁膜58及び絶縁膜56に、配線76aを埋め込むための溝72が形成される。溝72は、コンタクトホール66と繋がった状態となる。
【0171】
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚10nmのTaNより成るバリア膜(図示せず)を形成する。バリア膜は、後述する配線76a及び導体プラグ76b中のCuが拡散するのを防止するためのものである。次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚10nmのCuより成るシード膜(図示せず)を形成する。シード膜は、電気めっき法によりCuより成る配線76a及び導体プラグ76bを形成する際に、電極として機能するものである。こうして、バリア膜とシード膜とから成る積層膜74が形成される。
【0172】
次に、例えば電気めっき法により、膜厚1400nmのCu膜76を形成する。
【0173】
次に、CMP法により、絶縁膜60の表面が露出するまで、Cu膜76及び積層膜74を研磨する。こうして、コンタクトホール66内にCuより成る導体プラグ76bが埋め込まれるとともに、溝72内にCuより成る配線76aが埋め込まれる。導体プラグ76bと配線76aとは一体に形成される。このように導体プラグ76bと配線76aとを一括して形成する製造プロセスは、デュアルダマシン法と称される。
【0174】
次に、全面に、例えばプラズマCVD法により、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜78を形成する。絶縁膜78の形成方法は、例えば、上述した絶縁膜78の形成方法と同様とする。絶縁膜78は、水分の拡散を防止するバリア膜として機能するものである。
【0175】
この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、図示しない第3層目の配線(第3金属配線層)が形成される。
【0176】
こうして本実施形態による半導体装置が製造される。
【0177】
このように本実施形態では、多孔質の層間絶縁膜38、54、58を形成した後、多孔質の層間絶縁膜38、54、58上に緻密性の高い絶縁膜40、56、60を形成し、緻密性の高い絶縁膜40、56、60を介して多孔質の層間絶縁膜38、54、58に電子線、紫外線又はプラズマを照射する。本実施形態によれば、電子線等を用いて多孔質の層間絶縁膜38、54、58を硬化(キュア)させるため、極めて機械的強度の高い多孔質の層間絶縁膜38、54、58を形成することができる。このため、本実施形態によれば、層間絶縁膜38、54、58にクラックが生じたり、ボンディング等の際に層間絶縁膜38、54、58が破壊されるのを防止することができる。しかも、本実施形態によれば、緻密性の高い絶縁膜40、56、60を介して電子線等を照射するため、多孔質の層間絶縁膜38、54、58にダメージが加わるのを防止することができる。このため、本実施形態によれば、多孔質の層間絶縁膜38、54、58の吸湿性の増大を防止することができ、また、多孔質の層間絶縁膜38、54、58の密度の増大を防止することができる。このため、本実施形態によれば、多孔質の層間絶縁膜38、54、58の比誘電率が上昇してしまうのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、比誘電率が低く、しかも機械的強度の高い層間絶縁膜38、54、58を形成することができる。比誘電率が低く、機械的強度の高い層間絶縁膜38、54、58を形成することができるため、本実施形態によれば、動作速度が速く、しかも信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0178】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0179】
例えば、多孔質の層間絶縁膜の形成方法は、上記に限定されるものではない。他のあらゆる形成方法により、多孔質の層間絶縁膜を形成してもよい。また、多孔質の絶縁膜の材料も上記に限定されるものではない。
【0180】
また、緻密性の高い絶縁膜の形成方法は、上記に限定されるものではない。他のあらゆる形成方法により、緻密性の高い絶縁膜を形成してもよい。また、緻密性の高い絶縁膜の材料も上記に限定されるものではない。
【実施例】
【0181】
[実施例1〜6]
まず、以下のようにして、クラスタ状のシリカを含む絶縁膜材料(シリカクラスタ前駆体)を作製した。即ち、テトラエトキシシラン20.8g(0.1mol)、メチルトリエトキシシラン17.8g(0.1mol)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン23.6g(0.1mol)、及び、メチルイソブチルケトン39.6gを、200mlの反応容器内に入れ、1%のテトラブチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液16.2gを10分間で滴下した。滴下終了後、熟成反応を2時間行った。次に、硫酸マグネシウム5gを添加し、過剰の水分を除去した。次に、ロータリーエバポレータを用い、熟成反応の際に生成されたエタノールを、反応溶液が50mlになるまで除去した。こうして得られた反応溶液に、メチルイソブチルケトンを20ml添加し、絶縁膜材料(シリカクラスタ前駆体)を作製した。
【0182】
次に、スピンコート法により、シリコンウェハ(半導体基板)上に絶縁膜材料を塗布した。塗布条件は3000回転/分、30秒とした。
【0183】
次に、ホットプレートを用い、200℃の熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。多孔質の層間絶縁膜の膜厚は、表1に示すような膜厚とした。この段階における多孔質の層間絶縁膜の屈折率を測定したところ、表1に示すような値であった。
【0184】
【表1】

【0185】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表1に示すような絶縁膜を形成した。
【0186】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜に電子線を照射した(電子線キュア)。基板温度、加速電圧、電子線の照射時間、及びチャンバ内の雰囲気は、表1に示すように設定した。
【0187】
このようにして電子線キュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表1に示すような結果が得られた。表1から分かるように、実施例1〜6では、電子線を照射する前と後とで、層間絶縁膜の屈折率が殆ど変化していない。このことは、層間絶縁膜が殆ど収縮していないことを意味する。即ち、実施例1〜6では、電子線の照射による層間絶縁膜の収縮が防止され、密度の小さい層間絶縁膜が得られていることが分かる。
【0188】
また、表1から分かるように、実施例1〜6では、十分に高い弾性率及び強度が得られた。また、表1から分かるように、実施例1〜6では、実効的な誘電率が十分に小さかった。これらのことは、実施例1〜6では、機械的強度が優れ、比誘電率の低い層間絶縁膜が得られていることを意味する。
【0189】
[比較例1]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0190】
このようにして形成した多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表1のような結果が得られた。表1から分かるように、比較例1では、弾性率及び硬度が低かった。このことは、機械的強度が弱いことを意味している。
【0191】
[比較例2〜4]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0192】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜に電子線を照射した(電子線キュア)。基板温度、加速電圧、照射時間、及びチャンバ内の雰囲気は、表1に示すように設定した。
【0193】
このようにして電子線キュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表1に示すような結果が得られた。表1から分かるように、比較例2〜4では、屈折率が比較的大きかった。このことは、層間絶縁膜が過度に収縮し、層間絶縁膜の密度が大きくなったことを意味する。また、表1から分かるように、比較例2〜4では、実効的な誘電率が大きかった。
【0194】
[実施例7〜12]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0195】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表2に示すような絶縁膜を形成した。
【0196】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線ランプとしては、高圧水銀ランプを用いた。基板温度及び照射時間は、表2に示すように設定した。
【0197】
【表2】

【0198】
このようにして紫外線キュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表2に示すような結果が得られた。表2から分かるように、実施例7〜12では、紫外線を照射する前と後とで、層間絶縁膜の屈折率が殆ど変化していない。このことは、層間絶縁膜が殆ど収縮していないことを意味する。即ち、実施例7〜12では、紫外線の照射による層間絶縁膜の収縮が防止され、密度の小さい層間絶縁膜が得られていることが分かる。
【0199】
また、表2から分かるように、実施例7〜12では、十分に高い弾性率及び強度が得られた。また、表2から分かるように、実施例7〜12では、実効的な誘電率が十分に小さかった。これらのことは、実施例7〜12では、機械的強度が優れ、比誘電率の低い層間絶縁膜が得られていることを意味する。
【0200】
[比較例5〜7]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0201】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射した(紫外線キュア)。基板温度及び照射時間、表2に示すように設定した。
【0202】
このようにして紫外線キュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表2に示すような結果が得られた。表2から分かるように、比較例5〜7では、屈折率が比較的大きかった。このことは、層間絶縁膜が過度に収縮し、層間絶縁膜の密度が大きくなったことを意味する。また、表2から分かるように、比較例5〜7では、実効的な誘電率が大きかった。
【0203】
[実施例13〜18]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0204】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表3に示すような絶縁膜を形成した。
【0205】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。基板温度及び照射時間は、表3に示すように設定した。
【0206】
【表3】

【0207】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表3に示すような結果が得られた。表3から分かるように、実施例13〜18では、プラズマを照射する前と後とで、層間絶縁膜の屈折率が殆ど変化していない。このことは、層間絶縁膜が殆ど収縮していないことを意味する。即ち、実施例13〜18では、プラズマの照射による層間絶縁膜の収縮が防止され、密度の小さい層間絶縁膜が得られていることが分かる。
【0208】
また、表3から分かるように、実施例13〜18では、十分に高い弾性率及び強度が得られた。また、表3から分かるように、実施例13〜18では、実効的な誘電率が十分に小さかった。これらのことは、実施例13〜18では、機械的強度が優れ、比誘電率の低い層間絶縁膜が得られていることを意味する。
【0209】
[比較例8、9]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0210】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。基板温度及び照射時間、表3に示すように設定した。
【0211】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表3に示すような結果が得られた。表3から分かるように、比較例8、9では、屈折率が比較的大きかった。このことは、層間絶縁膜が過度に収縮し、層間絶縁膜の密度が大きくなったことを意味する。また、表3から分かるように、比較例8、9では、実効的な誘電率が大きかった。
【0212】
[実施例19]
まず、半導体基板10上に、LOCOS法により素子分離膜12を形成した。次に、素子領域14上に、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極18を形成した。次に、ゲート電極18の側面に、サイドウォール絶縁膜20を形成した。次に、サイドウォール絶縁膜20及びゲート電極18をマスクとして半導体基板10内にドーパント不純物を導入することにより、ゲート電極18の両側の半導体基板10内にソース/ドレイン拡散層22を形成した。こうして、ゲート電極18とソース/ドレイン拡散層22とを有するトランジスタ24を形成した(図1(a)参照)。
【0213】
次に、全面に、CVD法により、層間絶縁膜26を形成した。次に、層間絶縁膜26上に、ストッパ膜28を形成した。次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ソース/ドレイン拡散層22に達するコンタクトホール30を形成した(図1(b)参照)。
【0214】
次に、全面に、スパッタ法により、膜厚50nmのTiN膜より成る密着層32を形成した。次に、全面に、CVD法により、タングステン膜34を形成した。次に、例えばCMP法により、ストッパ膜28の表面が露出するまで、密着層32及びタングステン膜34を研磨した。こうして、コンタクトホール30内に、タングステンより成る導体プラグ34を埋め込んだ(図1(c)参照)。
【0215】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜36を形成した。次に、全面に、実施例1〜6と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38を形成した。多孔質の層間絶縁膜38の膜厚は、160nmとした(図2(a)参照)。
【0216】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る緻密性の高い絶縁膜40を形成した。緻密性の高い絶縁膜40の密度は、2g/cmとした(図2(b)参照)。
【0217】
次に、多孔質の絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、緻密性の高い絶縁膜40を介して多孔質の絶縁膜38に電子線を照射した(電子線キュア)(図2(c)参照)。電子線を照射する際の条件は、実施例3と同様とした。
【0218】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜42を形成した。次に、フォトリソグラフィ技術を用い、第1層目の配線50を形成するための開口部44をフォトレジスト膜に形成した。開口部44は、配線幅が100nm、配線間隔が100nmとなるように形成した。次に、フォトレジスト膜42をマスクとして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36をエッチングした。エッチングを行う際には、CFガス及びCHFガスを原料としたフッ素プラズマを用いた。こうして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線50を埋め込むための溝46を形成した。この後、フォトレジスト膜42を剥離した(図3(a)参照)。
【0219】
次に、全面に、スパッタ法により、膜厚10nmのTaNより成るバリア膜を形成した。次に、全面に、スパッタ法により、膜厚10nmのCuより成るシード膜を形成した。こうして、バリア膜とシード膜とから成る積層膜48を形成した。次に、電気めっき法により、膜厚600nmのCu膜50を形成した。次に、CMP法により、絶縁膜40の表面が露出するまで、Cu膜50及び積層膜48を研磨した。こうして、溝46内にCuより成る配線50を埋め込んだ。次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0220】
次に、実施例1〜6と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。層間絶縁膜54の膜厚は、180nmとした。次に、全面に、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0221】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に電子線を照射した(電子線キュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に電子線を照射する際の条件は、実施例3と同様とした(図4(b)参照)。
【0222】
次に、実施例1〜6と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。多孔質の層間絶縁膜58の膜厚は、例えば160nmとした。次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0223】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に電子線を照射した(電子線キュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に電子線を照射する際の条件は、実施例3と同様とした(図5(b)参照)。
【0224】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜62を形成した。次に、フォトリソグラフィ技術を用い、コンタクトホール66を形成するための開口部64をフォトレジスト膜62に形成した。次に、フォトレジスト膜62をマスクとして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52をエッチングした。エッチングを行う際には、CFガス及びCHFガスを原料としたフッ素プラズマを用いた。エッチングガスの組成比やエッチングの際の圧力等を適宜変化させることにより、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52をエッチングした。こうして、配線50に達するコンタクトホール66を形成した(図6参照)。この後、フォトレジスト膜を剥離した。
【0225】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜68を形成した。次に、フォトリソグラフィ技術を用い、第2層目の配線76aを形成するための開口部70をフォトレジスト膜68に形成した。次に、フォトレジスト膜68をマスクとして、絶縁膜60、層間絶縁膜58及び絶縁膜56をエッチングした。エッチングを行う際には、CFガス及びCHFガスを原料としたフッ素プラズマを用いた。こうして、絶縁膜60、層間絶縁膜58及び絶縁膜56に、配線76aを埋め込むための溝72を形成した(図7参照)。
【0226】
次に、全面に、スパッタ法により、膜厚10nmのTaNより成るバリア膜を形成した。次に、全面に、スパッタ法により、膜厚10nmのCuより成るシード膜を形成した。こうして、バリア膜とシード膜とから成る積層膜74を形成した。次に、電気めっき法により、膜厚1400nmのCu膜76を形成した。次に、CMP法により、絶縁膜60の表面が露出するまで、Cu膜76及び積層膜74を研磨した。こうして、コンタクトホール66内にCuより成る導体プラグ76bを埋め込むとともに、溝72内にCuより成る配線76aを埋め込んだ。次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0227】
このようにして形成される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは91%であった。
【0228】
また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.6であった。なお、実効的な比誘電率とは、配線の周囲に、多孔質の層間絶縁膜のみならず、他の絶縁膜も存在している状態において測定される比誘電率のことである。比誘電率の低い多孔質の層間絶縁膜のみならず、比誘電率が比較的高い絶縁膜も配線の周囲に存在している状態で測定されるため、実効的な比誘電率は、多孔質の層間絶縁膜の比誘電率より大きい値となる。
【0229】
また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0230】
[比較例10]
図9乃至図15は、比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0231】
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図9(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図9(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34を埋め込んだ(図9(c)参照)。
【0232】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図10(a)参照)。次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜38に電子線を照射した(電子線キュア)。電子線を照射する際の条件は、比較例4と同様とした(図10(b)参照)。次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成した(図10(c)参照)。
【0233】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図11(a)参照)。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図11(b)参照)。
【0234】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した(図12(a)参照)。
【0235】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の絶縁膜54に電子線を照射した(電子線キュア)。電子線を照射する際の条件は、比較例4と同様とした(図12(b)参照)。
【0236】
次に、全面に、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜56を形成した(図13(a)参照)。
【0237】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した(図13(b)参照)。
【0238】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜58に電子線を照射した(電子線キュア)。電子線を照射する際の条件は、比較例4と同様とした(図14(a)参照)。
【0239】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜60を形成した(図14(b)参照)。
【0240】
次に、実施例19と同様にして、デュアルダマシン法により、層間絶縁膜54、58等に導体プラグ76b及び配線76aを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図15参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0241】
このようにして形成される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは34%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、3.8であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇が確認された。
【0242】
[実施例20]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図1(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図1(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34(図1(c)参照)を埋め込んだ。
【0243】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図2(a)参照)。
【0244】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成した(図2(b)参照)。
【0245】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射した(紫外線キュア)。絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射する際の条件は、実施例9と同様とした。
【0246】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図3(a)参照)。
【0247】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36、層間絶縁膜38及び絶縁膜40に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0248】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0249】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に紫外線を照射した(紫外線キュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に紫外線を照射する際の条件は、実施例9と同様とした。
【0250】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0251】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に紫外線を照射した(紫外線キュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に紫外線を照射する際の条件は、実施例9と同様とした(図5(b)参照)。
【0252】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52に、コンタクトホール66を形成した(図6参照)。
【0253】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56に溝72を形成した(図7参照)。
【0254】
次に、実施例19と同様にして、溝72内に配線76aを埋め込むとともに、コンタクトホール66内に導体プラグ76bを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0255】
このようにして形成される半導体装置に対し、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは87%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.58であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0256】
[比較例11]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図9(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図9(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34を埋め込んだ(図9(c)参照)。
【0257】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図10(a)参照)。
【0258】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の絶縁膜38に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線を照射する際の条件は、比較例7と同様とした(図10(b)参照)。
【0259】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成した(図10(c)参照)。
【0260】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図11(a)参照)。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図11(b)参照)。
【0261】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した(図12(a)参照)。次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜54に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線を照射する際の条件は、比較例7と同様とした(図12(b)参照)。
【0262】
次に、全面に、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜56を形成した(図13(a)参照)。
【0263】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した(図13(b)参照)。
【0264】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜58に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線を照射する際の条件は、比較例7と同様とした(図14(a)参照)。
【0265】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜60を形成した(図14(b)参照)。
【0266】
次に、実施例19と同様にして、デュアルダマシン法により、層間絶縁膜54、58等に導体プラグ76b及び配線76aを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図15参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0267】
このようにして形成される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは64%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、3.6であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇が確認された。
【0268】
[実施例21]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図1(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図1(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34(図1(c)参照)を埋め込んだ。
【0269】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図2(a)参照)。
【0270】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成した(図2(b)参照)。
【0271】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する際の条件は、実施例18と同様とした。
【0272】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図3(a)参照)。
【0273】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36、層間絶縁膜38及び絶縁膜40に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0274】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0275】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射する際の条件は、実施例18と同様とした。
【0276】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0277】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射する際の条件は、実施例18と同様とした(図5(b)参照)。
【0278】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52に、コンタクトホール66を形成した(図6参照)。
【0279】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56に溝72を形成した(図7参照)。
【0280】
次に、実施例19と同様にして、溝72内に配線76aを埋め込むとともに、コンタクトホール66内に導体プラグ76bを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0281】
このようにして形成される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは96%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.58であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0282】
[比較例12]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図9(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図9(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34を埋め込んだ(図9(c)参照)。
【0283】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図10(a)参照)。
【0284】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の絶縁膜38にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを照射する際の条件は、比較例9と同様とした(図10(b)参照)。
【0285】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成した(図10(c)参照)。
【0286】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図11(a)参照)。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図11(b)参照)。
【0287】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した(図12(a)参照)。次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜54にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを照射する際の条件は、比較例9と同様とした(図12(b)参照)。
【0288】
次に、全面に、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜56を形成した(図13(a)参照)。
【0289】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した(図13(b)参照)。
【0290】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜58にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを照射する際の条件は、比較例9と同様とした(図14(a)参照)。
【0291】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜60を形成した(図14(b)参照)。
【0292】
次に、実施例19と同様にして、デュアルダマシン法により、層間絶縁膜54、58等に導体プラグ76b及び配線76aを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図15参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0293】
このようにして製造される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは48%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、3.8であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇が確認された。
【0294】
[実施例22〜27]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0295】
このようにして形成した多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表4のような結果が得られた。
【0296】
【表4】

【0297】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表4に示すような絶縁膜を形成した。
【0298】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線ランプの種類、紫外線のエネルギー、及び基板温度は、表4に示すように設定した。
【0299】
このようにして紫外線キュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表4に示すような結果が得られた。表4から分かるように、実施例22〜27では、紫外線を照射する前と後とで、層間絶縁膜の屈折率が殆ど変化していない。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射する場合には、いずれの種類の紫外線ランプを用いた場合であっても、層間絶縁膜が殆ど収縮せず、密度の小さい層間絶縁膜が得られることを意味する。
【0300】
また、表4から分かるように、実施例22〜27では、十分に高い弾性率及び強度が得られた。また、表4から分かるように、実施例22〜27では、実効的な比誘電率が十分に小さかった。これらのことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射する場合には、いずれの種類の紫外線ランプを用いた場合であっても、機械的強度が優れ、比誘電率の低い層間絶縁膜が得られることを意味する。
【0301】
また、表4から分かるように、実施例22〜27では、空孔のサイズのバラツキが比較的小さい層間絶縁膜が得られた。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射する場合には、いずれの種類の紫外線ランプを用いた場合であっても、空孔のサイズのバラツキを小さくし得ることを意味する。
【0302】
また、表4から分かるように、実施例22〜27では、比較的高い引っ張り強度が得られた。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射する場合には、いずれの種類の紫外線ランプを用いた場合であっても、下地に対する引っ張り強度の高い層間絶縁膜を形成し得ることを意味する。
【0303】
[比較例13〜15]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0304】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線ランプの種類、紫外線のエネルギー、及び基板温度は、表4に示すように設定した。
【0305】
このようにして紫外線キュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表4に示すような結果が得られた。表4から分かるように、比較例13〜15では、屈折率が比較的大きかった。このことは、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜に紫外線を照射した場合には、いずれの紫外線ランプを用いても、層間絶縁膜が過度に収縮し、層間絶縁膜の密度が大きくなったことを意味する。また、表4から分かるように、比較例13〜15では、実効的な比誘電率が大きかった。
【0306】
[実施例28〜34]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0307】
このようにして形成した多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表5のような結果が得られた。
【0308】
【表5】

【0309】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表5に示すような絶縁膜を形成した。
【0310】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、表5に示すように、水素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギーは、表5に示すように、1〜100eVの範囲内で設定した。基板温度は、表5に示すように設定した。
【0311】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表5に示すような結果が得られた。表5から分かるように、実施例28〜34では、プラズマを照射する前と後とで、層間絶縁膜の屈折率が殆ど変化していない。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、層間絶縁膜が過度に収縮しないことを意味する。即ち、実施例28〜34では、層間絶縁膜の過度の収縮を招くことなく、密度の小さい層間絶縁膜が得られていることが分かる。
【0312】
また、表5から分かるように、実施例28〜34では、十分に高い弾性率及び強度が得られた。また、表5から分かるように、実施例28〜34では、実効的な比誘電率が十分に小さかった。これらのことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、機械的強度が優れ、比誘電率の低い層間絶縁膜が得られることを意味する。
【0313】
また、表5から分かるように、実施例28〜34では、空孔のサイズのバラツキが比較的小さい層間絶縁膜が得られた。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、空孔のサイズのバラツキを小さくし得ることを意味する。
【0314】
また、表5から分かるように、実施例28〜34では、比較的高い引っ張り強度が得られた。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、下地に対する引っ張り強度の高い層間絶縁膜を形成し得ることを意味する。
【0315】
[比較例16〜17]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0316】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表5に示すような絶縁膜を形成した。
【0317】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、表5に示すように、水素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギーは、表5に示すように設定した。即ち、比較例16では、プラズマの照射エネルギーを110eVに設定し、比較例17では、プラズマの照射エネルギーを120eVに設定した。基板温度は、表5に示すように設定した。
【0318】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表5に示すような結果が得られた。表5から分かるように、比較例16〜17では、屈折率が比較的大きかった。このことは、プラズマの照射エネルギーが100eVより大きい場合には、多孔質の層間絶縁膜が過度に収縮し、多孔質の層間絶縁膜の密度が大きくなることを意味する。
【0319】
また、表5から分かるように、比較例16〜17では、実効的な比誘電率が大きかった。このことは、プラズマの照射エネルギーが100eVより大きい場合には、層間絶縁膜が過度に収縮し、実効的な比誘電率が大きくなることを意味する。
【0320】
[比較例18]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0321】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表5に示すような絶縁膜を形成した。
【0322】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、表5に示すように、水素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギーは、表5に示すように0.5eVに設定した。基板温度は、表5に示すように設定した。
【0323】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表5に示すような結果が得られた。表5から分かるように、比較例18では、空孔のサイズのばらつきが比較的大きかった。このことは、プラズマの照射エネルギーが1eVより小さい場合には、多孔質の層間絶縁膜における架橋反応が十分に進行せず、サイズが十分に大きくなりきらない空孔が存在することを意味する。
【0324】
また、表5から分かるように、比較例18では、引っ張り強度が低かった。このことは、プラズマの照射エネルギーが1eVより小さい場合には、多孔質の層間絶縁膜を十分に硬化し得ないことを意味する。
【0325】
[比較例19]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0326】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、表5に示すように、水素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギー及び基板温度は、表5に示すように設定した。
【0327】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表5に示すような結果が得られた。表5から分かるように、比較例19では、空孔のサイズの小さかった。このことは、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜が過度に収縮して空孔のサイズが小さくなり、多孔質の層間絶縁膜の密度が大きくなることを意味する。
【0328】
また、表4から分かるように、比較例19では、実効的な比誘電率が大きかった。このことは、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜が過度に収縮し、実効的な比誘電率が大きくなることを意味する。
【0329】
[実施例35〜41]
まず、実施例1〜6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0330】
このようにして形成した多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表6のような結果が得られた。
【0331】
【表6】

【0332】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表6に示すような絶縁膜を形成した。
【0333】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、表6に示すように、酸素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギー及び基板温度は、表6に示すように設定した。
【0334】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表6に示すような結果が得られた。表6から分かるように、実施例35〜41では、プラズマを照射する前と後とで、層間絶縁膜の屈折率が殆ど変化していない。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、層間絶縁膜が過度に収縮しないことを意味する。即ち、実施例35〜41では、層間絶縁膜の過度の収縮を招くことなく、密度の小さい層間絶縁膜が得られていることが分かる。
【0335】
また、表6から分かるように、実施例35〜41では、十分に高い弾性率及び強度が得られた。また、表6から分かるように、実施例35〜41では、実効的な比誘電率が十分に小さかった。これらのことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、機械的強度が優れ、比誘電率の低い層間絶縁膜が得られることを意味する。
【0336】
また、表6から分かるように、実施例35〜41では、空孔のサイズのバラツキが比較的小さい層間絶縁膜が得られた。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、空孔のサイズのバラツキを小さくし得ることを意味する。
【0337】
また、表6から分かるように、実施例35〜41では、比較的高い引っ張り強度が得られた。このことは、緻密性の高い絶縁膜を介して多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射する際に、プラズマの照射エネルギーを1〜100eVの範囲内で設定すれば、下地に対する引っ張り強度の高い層間絶縁膜を形成し得ることを意味する。
【0338】
[比較例20〜21]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0339】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表6に示すような絶縁膜を形成した。
【0340】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、表6に示すように、酸素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギーは表6に示すように設定した。即ち、比較例20では、プラズマの照射エネルギーを110eVに設定し、比較例21では、プラズマの照射エネルギーを120eVに設定した。基板温度は、表6に示すように設定した。
【0341】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表6に示すような結果が得られた。表6から分かるように、比較例20〜21では、屈折率が比較的大きかった。このことは、プラズマの照射エネルギーが100eVより大きい場合には、多孔質の層間絶縁膜が過度に収縮し、多孔質の層間絶縁膜の密度が大きくなることを意味する。
【0342】
また、表6から分かるように、比較例20〜21では、実効的な比誘電率が大きかった。このことは、プラズマの照射エネルギーが100eVより大きい場合には、層間絶縁膜が過度に収縮し、実効的な比誘電率が大きくなることを意味する。
【0343】
[比較例22]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0344】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に、緻密性の高い絶縁膜を形成した。緻密性の高い絶縁膜としては、表6に示すような絶縁膜を形成した。
【0345】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜が形成されている状態で、緻密性の高い絶縁膜を介して、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、図6に示すように、酸素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギー及び基板温度は、表6に示すように設定した。
【0346】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表6に示すような結果が得られた。表5から分かるように、比較例22では、空孔のサイズのばらつきが比較的大きかった。このことは、プラズマの照射エネルギーが1eVより小さい場合には、多孔質の層間絶縁膜における架橋反応が十分に進行せず、サイズが十分に大きくなりきらない空孔が存在することを意味する。
【0347】
また、表6から分かるように、比較例18では、引っ張り強度が低かった。このことは、プラズマの照射エネルギーが1eVより小さい場合には、多孔質の層間絶縁膜を十分に硬化し得ないことを意味する。
【0348】
[比較例23]
まず、実施例1乃至6と同様にして、絶縁膜材料(多孔質シリカ前駆体)を作製し、シリコンウェハ上に絶縁膜材料を塗布し、熱処理(ソフトベーク)を行うことにより、多孔質の層間絶縁膜を形成した。
【0349】
次に、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを生成するための反応性ガスとしては、図6に示すように、酸素ガスを用いた。プラズマの照射エネルギー及び基板温度は、表6に示すように設定した。
【0350】
このようにしてプラズマキュアを行った多孔質の層間絶縁膜に対して測定を行ったところ、表6に示すような結果が得られた。表6から分かるように、比較例23では、空孔のサイズの小さかった。このことは、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜が過度に収縮して空孔のサイズが小さくなり、多孔質の層間絶縁膜の密度が大きくなることを意味する。
【0351】
また、表6から分かるように、比較例23では、実効的な比誘電率が大きかった。このことは、多孔質の層間絶縁膜上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜にプラズマを照射した場合には、多孔質の層間絶縁膜が過度に収縮し、実効的な比誘電率が大きくなることを意味する。
【0352】
[実施例42]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図1(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図1(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34(図1(c)参照)を埋め込んだ。
【0353】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図2(a)参照)。
【0354】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成した(図2(b)参照)。
【0355】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射した(紫外線キュア)。絶縁膜40を介して層間絶縁膜38に紫外線を照射する際の条件は、実施例22と同様とした。
【0356】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図3(a)参照)。
【0357】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36、層間絶縁膜38及び絶縁膜40に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0358】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0359】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に紫外線を照射した(紫外線キュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54に紫外線を照射する際の条件は、実施例22と同様とした。
【0360】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0361】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に紫外線を照射した(紫外線キュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58に紫外線を照射する際の条件は、実施例22と同様とした(図5(b)参照)。
【0362】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52に、コンタクトホール66を形成した(図6参照)。
【0363】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56に溝72を形成した(図7参照)。
【0364】
次に、実施例19と同様にして、溝72内に配線76aを埋め込むとともに、コンタクトホール66内に導体プラグ76bを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0365】
このようにして形成される半導体装置に対し、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは90%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.6であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0366】
[比較例24]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図9(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図9(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34を埋め込んだ(図9(c)参照)。
【0367】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図10(a)参照)。
【0368】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の絶縁膜38に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線を照射する際の条件は、比較例13と同様とした(図10(b)参照)。
【0369】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成した(図10(c)参照)。
【0370】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図11(a)参照)。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図11(b)参照)。
【0371】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した(図12(a)参照)。次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜54に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線を照射する際の条件は、比較例13と同様とした(図12(b)参照)。
【0372】
次に、全面に、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜56を形成した(図13(a)参照)。
【0373】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した(図13(b)参照)。
【0374】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜58に紫外線を照射した(紫外線キュア)。紫外線を照射する際の条件は、比較例13と同様とした(図14(a)参照)。
【0375】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜60を形成した(図14(b)参照)。
【0376】
次に、実施例19と同様にして、デュアルダマシン法により、層間絶縁膜54、58等に導体プラグ76b及び配線76aを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図15参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0377】
このようにして形成される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは34%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、3.8であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇が確認された。
【0378】
[実施例43]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図1(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図1(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34(図1(c)参照)を埋め込んだ。
【0379】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図2(a)参照)。
【0380】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成した(図2(b)参照)。
【0381】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する際の条件は、実施例29と同様とした。
【0382】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図3(a)参照)。
【0383】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36、層間絶縁膜38及び絶縁膜40に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0384】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0385】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射する際の条件は、実施例29と同様とした。
【0386】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0387】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射する際の条件は、実施例29と同様とした(図5(b)参照)。
【0388】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52に、コンタクトホール66を形成した(図6参照)。
【0389】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56に溝72を形成した(図7参照)。
【0390】
次に、実施例19と同様にして、溝72内に配線76aを埋め込むとともに、コンタクトホール66内に導体プラグ76bを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0391】
このようにして形成される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは92%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.57であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0392】
[比較例25]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図1(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図1(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34(図1(c)参照)を埋め込んだ。
【0393】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図2(a)参照)。
【0394】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成した(図2(b)参照)。
【0395】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する際の条件は、比較例16と同様とした。
【0396】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図3(a)参照)。
【0397】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36、層間絶縁膜38及び絶縁膜40に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0398】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0399】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射する際の条件は、比較例16と同様とした。
【0400】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0401】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射する際の条件は、比較例16と同様とした(図5(b)参照)。
【0402】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52に、コンタクトホール66を形成した(図6参照)。
【0403】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56に溝72を形成した(図7参照)。
【0404】
次に、実施例19と同様にして、溝72内に配線76aを埋め込むとともに、コンタクトホール66内に導体プラグ76bを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0405】
このようにして製造される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは76%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.94であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0406】
[比較例26]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図1(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図1(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34(図1(c)参照)を埋め込んだ。
【0407】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図2(a)参照)。
【0408】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40を形成した(図2(b)参照)。
【0409】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜40が存在している状態で、絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜40を介して層間絶縁膜38にプラズマを照射する際の条件は、比較例18と同様とした。
【0410】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図3(a)参照)。
【0411】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36、層間絶縁膜38及び絶縁膜40に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図3(b)参照)。
【0412】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56を形成した(図4(a)参照)。
【0413】
次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜56が存在している状態で、絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜56を介して層間絶縁膜54にプラズマを照射する際の条件は、比較例18と同様とした。
【0414】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した。次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60を形成した(図5(a)参照)。
【0415】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜60が存在している状態で、絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射した(プラズマキュア)。絶縁膜60を介して層間絶縁膜58にプラズマを照射する際の条件は、比較例18と同様とした(図5(b)参照)。
【0416】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56、層間絶縁膜54及び絶縁膜52に、コンタクトホール66を形成した(図6参照)。
【0417】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜60、層間絶縁膜58、絶縁膜56に溝72を形成した(図7参照)。
【0418】
次に、実施例19と同様にして、溝72内に配線76aを埋め込むとともに、コンタクトホール66内に導体プラグ76bを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図8参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0419】
このようにして製造される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは82%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、2.94であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇は確認されなかった。
【0420】
[比較例27]
まず、実施例19と同様にして、トランジスタ24を形成し(図9(a)参照)、層間絶縁膜26及びストッパ膜28を形成し(図9(b)参照)、この後、コンタクトホール30内に導体プラグ34を埋め込んだ(図9(c)参照)。
【0421】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜36を形成し、この後、多孔質の層間絶縁膜38を形成した(図10(a)参照)。
【0422】
次に、多孔質の層間絶縁膜38上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の絶縁膜38にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを照射する際の条件は、比較例19と同様とした(図10(b)参照)。
【0423】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜40を形成した(図10(c)参照)。
【0424】
次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、多孔質の層間絶縁膜38及び絶縁膜36に溝46を形成した(図11(a)参照)。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜40、層間絶縁膜38及び絶縁膜36に、配線50を埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜52を形成した(図11(b)参照)。
【0425】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜54を形成した(図12(a)参照)。次に、多孔質の層間絶縁膜54上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜54にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを照射する際の条件は、比較例19と同様とした(図12(b)参照)。
【0426】
次に、全面に、膜厚30nmのSiC:O:H膜より成る絶縁膜56を形成した(図13(a)参照)。
【0427】
次に、実施例19と同様にして、多孔質の層間絶縁膜58を形成した(図13(b)参照)。
【0428】
次に、多孔質の層間絶縁膜58上に緻密性の高い絶縁膜を形成することなく、多孔質の層間絶縁膜58にプラズマを照射した(プラズマキュア)。プラズマを照射する際の条件は、比較例19と同様とした(図14(a)参照)。
【0429】
次に、全面に、プラズマCVD法により、膜厚30nmのシリコン酸化膜より成る絶縁膜60を形成した(図14(b)参照)。
【0430】
次に、実施例19と同様にして、デュアルダマシン法により、層間絶縁膜54、58等に導体プラグ76b及び配線76aを埋め込んだ。次に、実施例19と同様にして、絶縁膜78を形成した(図15参照)。この後、上記と同様の工程を適宜繰り返すことにより、第3層目の配線を形成した。
【0431】
このようにして製造される半導体装置について、100万個の導体プラグが電気的に直列に接続されるように配線及び導体プラグを形成し、歩留りを測定したところ、歩留りは42%であった。また、配線間の実効的な比誘電率を算出したところ、3.6であった。また、200℃で3000時間放置した後に配線の抵抗を測定したところ、抵抗の上昇が確認された。
【0432】
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下の通りである。
(付記1)
半導体基板上に多孔質の第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記第1の絶縁膜より密度の高い第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に前記第2の絶縁膜が存在している状態で、電子線、紫外線又はプラズマを照射し、前記第1の絶縁膜を硬化させる工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化させる工程では、電子線、紫外線又はプラズマを照射しながら、熱処理を行うことにより、前記第1の絶縁膜を硬化させる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記3)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化させる工程では、前記半導体基板を加熱せずに、紫外線又はプラズマを照射することにより、前記第1の絶縁膜を硬化させる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化させる工程では、1〜100eVの照射エネルギーでプラズマを照射することにより、前記第1の絶縁膜を硬化させる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の密度は、1〜3g/cmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記6)
付記5記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の密度は、1〜2.5g/cmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の膜厚は、5〜70nmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記8)
付記7記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の膜厚は、10〜50nmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、クラスタ状の化合物を含む絶縁膜材料を塗布する工程と;熱処理を行い、前記絶縁膜材料中の溶媒を蒸発させることにより、多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記10)
付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、熱分解性化合物を含む絶縁膜材料を塗布する工程と;熱処理を行うことにより、前記熱分解性化合物を分解し、前記絶縁膜材料中に空孔を形成することにより、多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記11)
付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程では、気相成長法により多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記12)
付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程では、熱分解性又は酸化分解性の原子団を含む原料を用い、前記原子団を分解させながら、気相成長法により多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13)
付記1乃至12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜を形成する工程では、気相成長法により、シリコン酸化膜、カーボンがドープされたシリコン酸化膜、水素化SiC膜、窒化SiC膜、又は、水素化酸化SiC膜より成る前記第2の絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14)
付記1乃至12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜を形成する工程は、塗布法によりシリコン酸化膜を形成する工程と;前記シリコン酸化膜を熱処理することにより、前記シリコン酸化膜より成る前記第2の絶縁膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15)
付記2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化させる工程における熱処理温度は、200〜500℃である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記16)
付記9記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程における熱処理温度は、200〜350℃である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記17)
付記9記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程では、前記第1の絶縁膜における架橋率が10〜90%となるように、熱処理を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記18)
付記1乃至17のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化する工程の後に、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜に溝を形成する工程と;前記溝内に配線を埋め込む工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0433】
【図1】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図3】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図4】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図5】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図6】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図7】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図8】本発明の一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その8)である。
【図9】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図10】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図11】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図12】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図13】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図14】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図15】比較例による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図16】層間絶縁膜における架橋反応を示す概念図である。
【図17】多孔質の層間絶縁膜における空孔のサイズを示す概念図である。
【図18】プラズマの照射エネルギーと多孔質の層間絶縁膜の下地に対する引っ張り強度との関係を示すグラフである。
【図19】プラズマの照射エネルギーと多孔質の層間絶縁膜の比誘電率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0434】
10…半導体基板
12…素子分離膜
14…素子領域
16…ゲート絶縁膜
18…ゲート電極
20…サイドウォール絶縁膜
22…ソース/ドレイン拡散層
24…トランジスタ
26…層間絶縁膜
28…絶縁膜
30…コンタクトホール
32…密着層
34…導体プラグ
36…絶縁膜
38…多孔質の層間絶縁膜
40…緻密性の高い絶縁膜
42…フォトレジスト膜
44…開口部
46…溝
48…積層膜
50…配線
52…絶縁膜
54…多孔質の層間絶縁膜
56…緻密性の高い絶縁膜
58…多孔質の層間絶縁膜
60…緻密性の高い絶縁膜
62…フォトレジスト膜
64…開口部
66…コンタクトホール
68…フォトレジスト膜
70…開口部
72…溝
74…積層膜
76…Cu膜
76a…配線
76b…導体プラグ
78…絶縁膜
80…シラノール基
82…シロキサン結合
84…空孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に多孔質の第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、前記第1の絶縁膜より密度の高い第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に前記第2の絶縁膜が存在している状態で、電子線、紫外線又はプラズマを照射し、前記第1の絶縁膜を硬化させる工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化させる工程では、電子線、紫外線又はプラズマを照射しながら、熱処理を行うことにより、前記第1の絶縁膜を硬化させる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化させる工程では、1〜100eVの照射エネルギーでプラズマを照射することにより、前記第1の絶縁膜を硬化させる
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の密度は、1〜3g/cmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁膜の膜厚は、5〜70nmである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、クラスタ状の化合物を含む絶縁膜材料を塗布する工程と;熱処理を行い、前記絶縁膜材料中の溶媒を蒸発させることにより、多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程は、熱分解性化合物を含む絶縁膜材料を塗布する工程と;熱処理を行うことにより、前記熱分解性化合物を分解し、前記絶縁膜材料中に空孔を形成することにより、多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する工程とを有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程では、気相成長法により多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を形成する工程では、熱分解性又は酸化分解性の原子団を含む原料を用い、前記原子団を分解させながら、気相成長法により多孔質の前記第1の絶縁膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜を硬化する工程の後に、前記第1の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜に溝を形成する工程と;前記溝内に配線を埋め込む工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−190962(P2006−190962A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235850(P2005−235850)
【出願日】平成17年8月16日(2005.8.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】