説明

半導体装置の製造方法

【課題】CMPのスループットを上昇させることや、メンテナンスコストの上昇を抑えることが可能な半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】層間絶縁膜にコンタクトホール32を形成する工程と、キャップSiO膜16にバリアメタル層21およびタングステン層22を堆積する工程と、バリアメタル層21およびタングステン層22の残膜値RTが所定値以上となるように、タングステン層22の上層部をウェットエッチングにより除去する工程と、キャップSiO膜16の表面に残存するタングステン層22をタングステンCMPにより除去する工程とを備える。CMPに先立ってウェットエッチングを行うことにより、CMPでの必要研磨量を減少させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、CMPのスループットを上昇させることや、メンテナンスコストの上昇を抑えることを可能とする発明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビット線コンタクトプラグの形成工程では、層間絶縁膜にコンタクトホールが形成され、バリアメタル層とタングステン層が堆積された後に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)が行われる。これによりコンタクトプラグが形成される。
【0003】
尚、上記の関連技術として特許文献1ないし4が開示されている。
【特許文献1】特開2000−208766号公報
【特許文献2】特開平7−307385号公報
【特許文献3】特開平10−242279号公報
【特許文献4】特開平11−220023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CMPでは、研磨ヘッドの交換部材や研磨パッドなどの消耗部材は、所定量消耗すると、所望の研磨特性を得るために交換する必要がある。この消耗部材の交換中はCMPを行う事ができず、また交換には時間がかかる。よって、交換サイクルが短くなるとCMP工程のスループットが低下するため問題である。また交換サイクルが短くなると、消耗部材を多く必要とするため、メンテナンスコストが上昇するため問題である。
【0005】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、CMPのスループットを上昇させることや、メンテナンスコストの上昇を抑えることが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するためになされた本発明に係る半導体装置の製造方法は、絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、絶縁膜上にタングステン層を堆積する工程と、タングステン層の残膜値が所定値以上となるように該タングステン層の上層部をウェットエッチングにより除去する工程と、絶縁膜の表面に残存するタングステン層をCMPにより除去する工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
タングステン層の上層部は、残膜値が所定値以上となるように、ウェットエッチングにより除去される。そして絶縁膜の表面に残存するタングステン層は、CMPにより除去される。このようにCMPに先立ってウェットエッチングを行うことにより、CMPのみでタングステン層を除去する場合に比して、CMPでの必要研磨量を減少させることができる。これにより、消耗部材(研磨ヘッド、研磨パッドなど)の、ウェハー当たりの消耗量を減らすことができるため、消耗部材の交換サイクルを長くすることができる。その結果、CMPのスループットを上昇させることや、メンテナンスコストの上昇を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、CMPのスループットを上昇させることや、メンテナンスコストの上昇を抑えることが可能な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、タングステン層のウェットエッチングで用いられるエッチング溶液について説明する。本実施形態に係るエッチング溶液は、主要な構成成分として、酸化剤および有機酸を含む。
【0010】
エッチング溶液に含まれる酸化剤としては、例えば、過酸化水素や硝酸鉄が挙げられる。これらは単独で用いることも可能であり、また混合して用いることも可能である。過酸化水素は、下式(1)に示す反応により、単独でタングステンを溶解することができる。
W+3H→WO
2WO+5H→W11+5HO …式(1)
【0011】
また硝酸鉄は溶液中では酸化性の酸としてふるまう。そして硝酸鉄水溶液は、下式(2)に示す反応により、タングステンを溶解することができる。
W→WO→WxOy …式(2)
例えば図1に示すタングステンのプールベ線図では、斜線で示す領域R1において、W12396−が生成されることにより、タングステンは溶解する。
【0012】
なおタングステン層の酸化剤としては、他に、硝酸、硝酸とフッ酸のような酸化剤を含む混酸、加熱した王水などが挙げられる。これらの酸化剤は1種類単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いてもよいことは言うまでもない。
【0013】
またエッチング溶液に含まれる有機酸としては、マロン酸、りんご酸、ニコチン酸、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、琥珀酸、酢酸、蓚酸、アジピン酸、酪酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、グルタル酸、グリコール酸、蟻酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、プロピオン酸、ピルビン酸などが挙げられる。これらの有機酸は1種類単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いてもよいことは言うまでもない。
【0014】
酸化剤として用いられる過酸化水素は、自然分解する性質がある。そして、後述するようにエッチング溶液は加熱されるため、過酸化水素の分解が促進される。そこでエッチング溶液に有機酸を加えることにより、有機酸のカルボキシル基(COOH)と過酸化水素(H)とが水素結合することで、過酸化水素の分解を抑制することができる。このように有機酸は、過酸化水素を安定させる分解抑制剤として使用される。
【0015】
実施例を説明する。本実施例では、エッチング溶液として、過酸化水素と、タングステンCMP用のスラリー原液を純水で希釈した溶液との混合溶液を用いる場合を説明する。このエッチング溶液の組成は、タングステンCMPで用いられる研磨液の組成と同じである。スラリー原液には、SS−W2000(Cabot社)が用いられる。SS−W2000の原液と純水との混合比は、1:1である。またエッチング溶液中における過酸化水素の濃度は2(体積%)である。SS−W2000には、硝酸鉄およびマロン酸が含まれている。よってエッチング溶液には、エッチング用酸化剤として過酸化水素と硝酸鉄が含まれ、エッチング用有機酸としてマロン酸が含まれることになる。
【0016】
そして、エッチング溶液と研磨液との組成が同一であることから、エッチングからCMPへ工程を移行する際に、エッチング溶液によりCMP装置が汚染されるおそれがない。よって、エッチング後の洗浄工程を簡略化することができる。また、CMP装置内でエッチング溶液を取り扱うことができるため、CMP装置内でエッチングとCMPとの連続処理を行う事も可能となる。
【0017】
なお、ウェットエッチングを行う装置は、バッチ単位でのウェット処理が可能な一般的な装置でよいため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0018】
また、エッチング溶液の温度について説明する。図2に、エッチング溶液温度とタングステンのエッチング量との相関図を示す。エッチング量は、タングステン膜を5分間エッチング溶液中に浸した時の値である。図2から、エッチング溶液の温度上昇に従って、タングステンのエッチングレートも上昇することが分かる。よってエッチングレートを上昇させるには、エッチング溶液を高温にすることがよい。しかし、エッチング溶液が100(℃)を越えると、水の沸点を超えるため純水を希釈液として用いることができなくなるため、エッチング溶液の温度は100(℃)以下が好ましい。また、エッチング溶液を高温にするに従い、過酸化水素の分解やエッチング溶液の蒸発が促進され、酸化剤の濃度が変動しやすくなる結果、エッチングレートが変動しやすくなる。よってエッチングレートの安定性の観点から、エッチング溶液の温度は80(℃)以下がより好ましい。
【0019】
また、エッチング溶液のpHについて説明する。エッチング溶液のpHは酸性領域内である必要がある。これは、アルカリのエッチング溶液にウェハーを浸けることにより、ウェハーエッジ部分やウェハー裏面に存在する酸化膜がエッチングされてしまうことを防止するためである。またpHは5以下であることがより好ましい。これはpHが5より大きいと、金属の腐食作用が少なく、十分な溶解速度が得られないためである。またpHは2以上であることがより好ましい。これはpHが2より小さいと、タングステンの溶解速度が大きくなり過ぎるおそれがあり、ピットが発生するなどの問題を生じるためである。
【0020】
また、さらに好ましくは、pHは2近傍であることがよい。これは、図1に示すプールベ線図より、pH=2近傍において、タングステンからW12396−が生成されるためである。
【0021】
また、酸化剤について、硝酸鉄と過酸化水素とを比較して説明する。図3に、エッチング溶液1とエッチング溶液2との、タングステンのエッチング量の比較を示す。エッチング溶液1は、酸化剤として硝酸鉄を用いた溶液である。また、エッチング溶液2は、酸化剤として硝酸鉄と2(体積%)の過酸化水素を用いた溶液である。またエッチング量は、タングステン膜を5(分)エッチング溶液中に浸した時の値である。またエッチング溶液の温度は常温(22(℃))である。タングステン膜には、成膜条件1から成膜条件3までの異なる3種類の条件で堆積された膜を使用している。
【0022】
図3から、成膜条件1ないし成膜条件3の何れの条件で堆積されたタングステン膜においても、エッチング溶液1でのエッチング量に対して、エッチング溶液2でのエッチング量が20倍以上に上昇する事が分かる。すなわち、硝酸鉄に比べて過酸化水素の方が、タングステンの酸化力が強いことが分かる。よって、タングステンのエッチングレートを高くするためには、酸化剤に過酸化水素を用いることが好ましいことが分かる。また、過酸化水素は金属分を含有せず、洗浄用薬液などとして使用実績がある点からも、酸化剤に過酸化水素を用いることがより好ましい。
【0023】
コンタクトホールの製造方法を説明する。図4にプロセスステップを示す。また図5ないし図7に、コンタクトホールでの断面図を示す。図5において、シリコン基板9に埋め込み型のビット線10が形成されている。またビット線10上には、ONO膜11が堆積される。ONO膜11は、電荷トラップ誘電体層であり、一般に、第1の絶縁層(二酸化シリコン等の酸化物誘電体)、電荷トラップ層(窒化珪素等の窒化物誘電体)、第2の絶縁層(二酸化シリコン等の酸化物誘電体)の3つの層が順に堆積されることで構成される。
【0024】
図4のS1において、層間絶縁膜が形成される。具体的には図5に示すように、ワード線12上に、BPSG(boron phosphorus silicate glass)膜13、SiRO膜14、BARC(Bottom Anti-Reflection Coating)膜15、キャップSiO膜16がCVD法により順に成膜される。ここで、SiRO膜14はUVブロック層である。
【0025】
S2において、コンタクトホール32が層間絶縁膜に形成される。具体的には、周知のフォトリソグラフィ技術により、コンタクト形状の開口部を有するレジストマスクが形成され、異方性エッチングが行われる。これにより図5に示すように、コンタクトホール32が形成される。
【0026】
S3においてCVD法によりバリアメタル層21が堆積される。引き続きS4において、タングステン層22が堆積される。バリアメタル層21とタングステン層22との合計膜厚値は4000(オングストローム)とされる。これにより図5に示すように、コンタクトホール32内に、バリアメタル層21およびタングステン層22が埋め込まれる。タングステン層22の埋め込み工程では、コンタクトホール32の底面および側面からタングステン膜は等方的に成長し、側壁から成長した膜がコンタクトホール32の中央部で接合することで埋め込みが終了する。このため、コンタクトホール32の中央部に、線状のシーム33が形成される。
【0027】
S5において、タングステン層22がウェットエッチングされる。ウェットエッチングは、バッチ式の処理装置を用いることで、ウェハーをバッチ単位でエッチング溶液に浸けることで行われる。また、エッチング溶液の温度は74(℃)とされる。これにより図6に示すように、タングステン層22の上層部がエッチングされ、タングステン層22とバリアメタル層21の残膜値RTが2000(オングストローム)とされる。
【0028】
ここで、残膜値RTの決め方について説明する。キャップSiO膜16の表面の上方に位置するシーム33の上端部33aと、キャップSiO膜16の表面との距離を距離Dとする。エッチングは、残膜値RTの値が、距離Dの値以上となるように行われる。これにより、上端部33aがウェットエッチング後のタングステン層22の表面に露出することが防止される。よって酸化剤がシーム33に侵入し、シームが酸化されることでキーホールが発生する事態を防止することができる。
【0029】
また、残膜値RTの制御方法について説明する。本実施例では、エッチング溶液の温度は74(℃)とされるため、エッチングレートは約500(オングストローム/分)となる。また、バリアメタル層21とタングステン層22の合計膜厚値の初期値は4000(オングストローム)とされている。よって、エッチングレートと初期膜厚値からエッチング時間を算出することにより、残膜値RTを制御することができる。
【0030】
なお、シーム33の上端部33aの位置は、コンタクトホール32のアスペクト比、成膜プロセスによるカバレッジなどにより相対的に決まるため、距離Dは様々な値をとる。よって残膜値RTは2000(オングストローム)に限られないことは言うまでもない。
【0031】
また、シーム33の上端部33aがキャップSiO膜16の表面より下方にある場合には、残膜値RTを決めるに際して、上端部33aの位置を考慮する必要はない。この場合、残膜値RTは、ウェットエッチング後にキャップSiO膜16が露出する部分がないように、ウェットエッチングの面内均一性などを考慮して決める必要がある。そして、残膜値RTを小さくすることに応じてCMP時間が短くなるため、残膜値RTは可能な限り小さくすることが好ましい。
【0032】
なお、タングステン層22の残膜値RTの制御は、タングステン層22の膜厚をin−situでモニタすることで行っても良い。膜厚のモニタ方法には、例えば、タングステン層22の抵抗値から膜厚を算出する方法が挙げられる。
【0033】
最後にS6において、キャップSiO膜16の表面に残存するタングステン層22およびバリアメタル層21がCMPにより除去される。CMPは枚葉処理で行われる。研磨液には、純水で希釈されたSS−W2000と、過酸化水素との混合溶液が用いられる。またここでのCMP条件は、一般に用いられる条件でよいため、ここでは詳細な説明は省略する。これにより図7に示すように、キャップSiO膜16の表面に残存するバリアメタル層21およびタングステン層22が除去されることで、タングステンプラグ34が形成される。
【0034】
本発明の効果を図8の表に示す。図8は、本発明(ウェットエッチングとCMPとを使用)における、タングステンプラグを形成するための工程時間、消耗部材の交換サイクル、CMP装置の工程能力を示す表である。表の値は、従来手法(CMPのみを使用)での値を100(%)とした場合における比較値である。またウェットエッチング条件は、エッチング処理時間を5(分)に固定し、エッチング溶液の温度を50、60、70、74(℃)に変化させている。
【0035】
例として、エッチング溶液の温度が74(℃)の場合を説明する。まず工程時間について説明する。従来手法によってタングステンプラグを形成する場合には、1バッチ(25枚)のウェハーのCMP研磨時間は、58(分)であった。一方、本発明において、74(℃)のエッチング溶液でエッチングを5(分)行った後の1バッチのウェハーのCMP研磨時間は、23(分)であった。よって本発明では、タングステンプラグを形成するための工程時間は合計28(分)となるため、従来手法の48(%)まで工程時間を短縮できることが分かる。
【0036】
作用を説明する。ウェットエッチングは、バッチ処理であるためタングステンの除去効率が高い。しかし、ウェットエッチングはタングステンの酸化力が強いため、キーホール発生防止のため、処理中にシームをタングステン表面に露出させることはできない。また、ウェットエッチングは等方性エッチングであるため、タングステンプラグの消失を防止するため、キャップSiO膜16が露出するまでタングステン層をエッチングすることはできない。よってウェットエッチングのみによっては、キャップSiO膜16上のタングステン層を完全に除去することはできない。
【0037】
一方、CMPは、枚葉処理であるためタングステンの除去効率が低い。しかし、CMPは機械的研磨を行うことから、ウェットエッチングほどタングステンの酸化力を強くする必要がないため、処理中にシームをタングステン表面に露出させることができる。また、CMPはウェハー表面を加工基準面とする異方性エッチングであるため、キャップSiO膜16が露出するまでタングステン層およびバリアメタル層を研磨することができる。
【0038】
よって本発明では、第1のステップとして、ウェットエッチングにより、シームが露出しない程度までタングステン層の上層部を除去する。これによりタングステン層の上層部を高効率で除去することができる。そして第2のステップとして、CMPにより、キャップSiO膜16の表面に残存するタングステン層およびバリアメタル層を除去する。これによりタングステンプラグを形成することができる。以上より、2つのステップを用いてタングステン層およびバリアメタル層を除去することにより、タングステンプラグ形成工程の全体としての時間を短縮化することができる。
【0039】
次に、消耗部材の交換サイクルについて説明する。ここで消耗部材の例としては、研磨ヘッドの交換部材(リテーナリング、バッキング材)や、研磨パッド、ドレッサー(コンディショナー)などが挙げられる。消耗部材の交換サイクルは、ウェハー1枚当たりのCMP時間が短くなることに応じて長くなる。よって、本発明を適用することによる交換サイクルの延長割合は、下式(3)より求められる。
100+(1−0.48)×100=152(%) …式(3)
よって従来手法の152(%)まで交換サイクルを延長することができることが分かる。
【0040】
また、工程能力について説明する。上述したように、エッチング溶液の温度が74(℃)のときは、工程時間が48(%)に短縮され、交換サイクルが152(%)まで延長される。そしてこれらの値から工程能力を計算すると、従来の200(%)増しとなった。よって工程能力を大幅に上昇させることができることが分かる。
【0041】
また同様の計算により、エッチング溶液の温度を70(℃)、60(℃)、50(℃)と低下させていくと、工程時間が従来手法の58(%)、71(%)、83(%)と長くなっていくことが分かる。これはエッチング溶液の温度の低下に従い、タングステンのエッチングレートが低下するため、タングステン層の残膜値が大きくなっていくためである。そして残膜値が大きくなっていくことに従って、交換サイクルの時間の延長割合および工程能力の増加割合も低下していくことが分かる。よって工程時間の短縮化の観点から、エッチング溶液の温度は70(℃)以上が好ましく、74(℃)近傍がさらに好ましいことが分かる。
【0042】
以上の説明から明らかなように本実施形態によれば、CMPに先立ってウェットエッチングを行うことにより、タングステン層の上層部を高効率で除去することができる。よって、CMPでの必要研磨量を減少させることができるため、消耗部材(研磨ヘッド、研磨パッドなど)のウェハー当たりの消耗量を減らすことができる結果、消耗部材の交換サイクルを長くすることができる。これにより、CMPのスループットを上昇させることや、メンテナンスコストの上昇を抑えることが可能となる。
【0043】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。本発明の特徴の1つの側面は、ウェットエッチングを行う第1のステップと、CMPを行う第2のステップとによって絶縁膜上の導電層を除去することより、工程の全体としての時間を短縮化する点にある。よって本発明は、CMPによる配線形成を含む工程であれば何れの工程にも適用可能であることは言うまでもなく、例えばダマシンプロセスによる多層配線工程にも適用できる。また、本実施例では、タングステンを導電層に用いる場合を説明したが、この形態に限られず、銅、アルミ等の各種の導電性の材料が使用可能であることは言うまでもない。
【0044】
また本実施例では、エッチング用酸化剤として過酸化水素と硝酸鉄が含まれる場合を説明したが、この形態に限られず、過酸化水素と硝酸鉄との何れか一方のみを含むとしてもよい。この場合、過酸化水素の方が酸化力が大きいため、過酸化水素のみを含む方がより好ましい。
【0045】
また本実施例では、エッチング溶液はタングステンCMP用のスラリー原液を用いて作成されるとしたが、この形態に限られない。エッチング溶液は酸化剤を含んでいればよいため、エッチング溶液の作成に際しスラリー原液を用いなくてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】タングステンのプールベ線図
【図2】エッチング溶液温度とタングステンのエッチング量との相関図
【図3】タングステンのエッチング量の比較図
【図4】プロセスステップを示すフロー図
【図5】コンタクトホールでの断面図(その1)
【図6】コンタクトホールでの断面図(その2)
【図7】コンタクトホールでの断面図(その3)
【図8】工程時間、交換サイクルおよび工程能力の対比表
【符号の説明】
【0047】
16 キャップSiO
22 タングステン層
32 コンタクトホール
33 シーム
33a 上端部
RT 残膜値
D 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜にコンタクトホールを形成する工程と、
前記絶縁膜上にタングステン層を堆積する工程と、
前記タングステン層の残膜値が所定値以上となるように該タングステン層の上層部をウェットエッチングにより除去する工程と、
前記絶縁膜の表面に残存する前記タングステン層をCMPにより除去する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記所定値は、
前記コンタクトホールに埋め込まれた前記タングステン層に形成されるシームの上端部が前記絶縁膜の表面の上方に位置する場合には、前記上端部と前記絶縁膜の表面との距離よりも大きくされる
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ウェットエッチングで用いられるエッチング溶液は、
エッチング用酸化剤およびエッチング用有機酸を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記エッチング用酸化剤は、前記CMPで用いられるスラリーに含まれる酸化剤の少なくとも何れか1つと同一成分とされ、
前記エッチング用有機酸は、前記スラリーに含まれる有機酸の少なくとも何れか1つと同一成分とされることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記酸化剤は過酸化水素を含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機酸はマロン酸を含むことを特徴とする請求項3ないし請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記酸化剤は硝酸鉄を含むことを特徴とする請求項3ないし請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ウェットエッチングで用いられるエッチング溶液の温度は、70℃から80℃の範囲内とされることを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記所定値は、2000オングストローム以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記ウェットエッチングで用いられるエッチング溶液のpHは、2から6の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記エッチング溶液のpHは、2近傍の値とされることを特徴とする請求項1ないし請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ウェットエッチングは、バッチ処理により行われることを特徴とする請求項1ないし請求項11に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−266984(P2009−266984A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113399(P2008−113399)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(504378124)スパンション エルエルシー (229)
【Fターム(参考)】