説明

半導体装置の製造方法

【課題】配線抵抗値の異常やショートの抑制。
【解決手段】層間絶縁膜18にレジストパターン19を設けたうえで層間絶縁膜18をドライエッチングする工程の後と、レジストパターン19を除去した状態のストレッサーSiN膜17をさらにドライエッチングする工程の後とのうちのいずれかの時点で、半導体ウェーハ102を窒素プラズマ処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にストレッサーSiN膜が設けられてなる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(b)、図8を参照して、半導体装置のゲートコンタクト部分における従来の製造フローを説明する。まず、半導体基板(半導体ウェーハ)34に、ゲート電極32が形成される。次にゲート電極32にゲート電極絶縁膜31が形成される。次にゲート電極31とゲート電極絶縁膜32との側壁にサイドウォール33が形成される。次にゲート電極部分を覆うようにエッチング停止膜(窒化膜)36が成膜される。エッチング停止膜36の上に層間絶縁膜37が形成される。次に、CMPなどを用いて層間絶縁膜37の上面の平坦化が行われる。次にリソグラフィ法などによってレジスト38がパターニングされる。次にパターニングされたレジスト38をマスクにして層間絶縁膜37がドライエッチングされることで、コンタクトホールが形成される。次にホール底部のエッチング停止膜36がエッチングされる。次にアッシングによりレジスト38が除去される。
【0003】
近年、半導体集積回路装置の高集積化、高機能化及び高速化に伴って、半導体装置の材料として、ストレッサーSiN膜が用いられるようになってきた。高性能なMOSトランジスタは、チャネル領域に歪みを導入してキャリア移動度を向上させており、この歪みを発生させるために、トランジスタの形成領域上に、高い応力を有するストレッサーSiN膜が堆積される。
【0004】
しかしながら各種実験に基づいて本願発明者は、以下のことを見いだした。すなわち、ドライエッチング時に使用するフルオロカーボン系のガスがポリマーとなって半導体ウェーハに付着し、このガスが半導体ウェーハを大気に暴露する際に大気中の水分と反応してフッ酸が生成される。
【0005】
ストレッサーSiN膜ではない従前の窒化膜を備えた半導体集積回路装置の構造では、フッ酸が生成されたとしても、フッ酸が配線抵抗に影響を及ぼすレベルで窒化膜を溶解させることはない。したがって、上記ポリマーを除去する必要もない(たとえば特許文献1参照)。しかしながら、本願発明者は、上記フッ酸生成の知見と同時にストレッサーSiN膜がフッ酸に溶解しやすいことも見いだした。ストレッサーSiN膜がフッ酸によって溶解すると、ドライエッチング時に使用したフルオロカーボン系のガスと配線材料のCuとが反応して、Cuにコロージョン(腐食)が発生して、ゲート周りの配線抵抗にばらつきが生じる。
【0006】
このような不都合を解消する方法として、従来から、ドライエッチング後に半導体ウェーハを大気に暴露する処理の前処理として、半導体ウェーハを窒素プラズマ処理し、これによってコロージョンを防止する方法がある(たとえば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−164427号公報
【特許文献2】特開2005−116801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来の窒素プラズマ処理をドライエッチング後に実施しても十分にフルオロカーボン系のガスによって生成されたポリマーとストレッサーSiN膜が反応するのを防止することができないことがある。また、本願発明者の実験によれば、ストレッサーSiN膜は微量のフッ酸でも溶解する。そのために確実にフルオロカーボン系のガスを除去する、もしくは当該ガスと大気の水分との間に生じる反応を防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、ドライエッチング後にストレッサーSiN膜が露出する場合に窒素プラズマ処理を行う。より確実にフルオロカーボン系のガスによって生成されたポリマーを除去するために、バイアスパワーを高くする。また、フルオロカーボン系のガスによって生成されたポリマーを除去した後にそのフルオロカーボン系のガスが再付着を防止するために、フッ素のチャンバ内の滞在時間を短くする。そのために窒素プラズマ処理を行う際の窒素流量を多くする。また固体表面に吸着するガスの滞在時間は温度に依存するために温度は高めに設定するのが効果的である。更に残留ガスを除去するために窒素プラズマ処理後にCOをチャンバに流入させることで、フッ素をCOFガスに変化せて排気する。更に処理後に窒素雰囲気で半導体ウェーハを保持する。
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法によると、ストレッサーSiN膜の溶解による配線抵抗の変動のバラツキをなくすことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る半導体製造方法は以下の効果を奏する。
・配線抵抗の面内ばらつきの低減を図ることができる。
・配線抵抗を安定して製造することができる。
【0011】
以上のことから、コンタクトホールの配線抵抗値の異常やショートを防ぎ、半導体装置の歩留低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態)
前述した通り、ゲート周りの配線抵抗のばらつきは、ストレッサーSiN膜が大気中に暴露した際に大気の水分とドライエッチング時に生成したポリマーとが反応してフッ酸が発生し、このフッ酸によってストレッサーSiN膜が溶解することが原因である。本実施の形態では、以下の方法により、この課題を解決している。以下、説明するが、図1(a)に本実施の形態の製造方法における主工程のフローが、図2に各工程における断面図が示される。なお、前述したように、図1(b)には、本実施の形態の対比として従来のフローが示される。
【0013】
本実施形態の製造方法の説明に先立って、本実施形態の製造方法で用いられるコンタクトドライエッチ及び窒素プラズマ処理を行う装置を、図4、図5を参照して説明する。図4は第1の実施形態におけるプラズマ処理装置100の概略図であり、図5は第1の実施形態におけるプラズマ処理装置100の断面図である。なお、半導体ウェーハは、図5に符号102を付して図示される。
【0014】
装置正面にFOUP設置部501があり、FOUP設置部501に大気ローダー502が接続される。大気ローダー502には搬送機構(図示せず)とノッチ合わせ503とが設けられる。大気ローダー502にはロードロック室401が設置される。大気ローダー502とロードロック室401とは連通接続される。さらにロードロック室401にはウェーハ真空搬送チャンバ201が連通接続される。ウェーハ真空搬送チャンバ201には、エッチングチャンバ101が連通接続される。
【0015】
大気ローダー502とウェーハ真空搬送チャンバ201とは、互いに対向した状態でロードロック室401に接続される。大気ローダー502とロードロック室401との間、ウェーハ真空搬送チャンバ201とロードロック室401との間、およびウェーハ真空搬送チャンバ201とエッチングチャンバ101との間には、それぞれ開閉可能なゲートバルブ301A、301B、301Cが設置される。これにより、ロードロック室401は、大気ローダー502やウェーハ真空搬送チャンバ201とそれぞれ隔離できるようになる。
【0016】
この装置では、大気圧状態で半導体ウェーハをロードロック室401に搬入したうえで、ゲートバルブ301Aを閉じ、この状態でドライポンプなどを用いてロードロック室401等を大気圧状態から真空状態に移行させることができる。ウェーハ真空搬送チャンバ201には搬送機構(図示せず)が設置される。またエッチングチャンバ101は、ゲートバルブ301Bによってウェーハ真空搬送チャンバ201から隔離できるようになっており、エッチング処理中は、エッチングチャンバ101内の雰囲気を隔離できるようになる。以下、詳細に説明する。
【0017】
大気ローダー502の搬送機構を用いて半導体ウェーハをFOUP設置部501から取り出したうえで、取り出した半導体ウェーハをノッチ合わせ503に移動させてここで半導体ウェーハのノッチを合わせる。ノッチ合わせが終了すると大気ローダー502とロードロック401との間のゲートバルブ301Aを開いて、半導体ウェーハをロードロック401へ移動させたうえでゲートバルブ301Aを閉じ、この状態でロードロック室401を真空にする。ロードロック室401が真空になった時点で、ウェーハ真空搬送チャンバ201側のゲートバルブ301Bを開き、ウェーハ真空チャンバ201の搬送機構によって半導体ウェーハをロードロック401からウェーハ真空搬送チャンバ201に搬入する。この状態でさらにエッチングチャンバ101とウェーハ真空搬送チャンバ201との間のゲートバルブ301Cを開き、半導体ウェーハをウェーハ真空搬送チャンバ201からエッチングチャンバ101に搬入する。
【0018】
プラズマ処理装置100では、プラズマ処理を行うプロセスチャンバ101と半導体ウェーハ搬送チャンバ201とが半導体ウェーハ搬送経路部303(図5参照)を介して連通接続されており、半導体ウェーハ搬送経路部303を開閉するゲートバルブ301が設けられる。ゲートバルブ301によりプロセスチャンバ101内のプラズマ雰囲気が遮断される。なお、プロセスチャンバ101として、エッチングチャンバ101が共用される。
【0019】
図5に示すように、半導体ウェーハ搬送チャンバ201は、半導体ウェーハ102をプロセスチャンバ101に搬入搬出する搬送機構(図示せず)を備える。ゲートバルブ301は、半導体ウェーハ搬送チャンバ201側に設置される。プロセスチャンバ101には半導体ウェーハ102を設置する半導体ウェーハステージ103が設けられる。半導体ウェーハステージ103には下部電源105が設けられ、チャンバ天部には上部電極110が埋設される。上部電極110は、上部電源104に接続される。これにより、プロセスチャンバ101は、2周波型装置として機能する。
【0020】
プラズマ処理装置100はガス供給系109を有する。ガス供給系109は、ガス源108を備えており、ガス供給系109から供給されるガスはガス噴出し板111に形成された複数の孔から上部電極110内に噴出し、さらにプロセスチャンバ101に噴出する。プラズマ処理装置100は排気系115を有する。排気系115は、半導体ウェーハ搬送経路部303に対向する側壁の下部に排気部107を有する。排気部107は、排気領域112に連通している。排気領域112の底部には排気口113と、排気口113を開閉する排気用ゲートバルブ106と、排気口113に連通するターボ分子ポンプ131と、排気配管132等が設けられる。これによりプロセスチャンバ101内のガスは排気部107、排気領域112、および排気口113を介して外部へ排気される。
【0021】
以下、上述したコンタクトドライエッチ及び窒素プラズマ処理を行う装置を用いた本実施形態の半導体装置の製造方法を説明する。まず、半導体基板(半導体ウェーハ)16の上に、ゲート電極14が形成され、そのゲート電極14の側壁に第1のサイドウォール11が形成される。更に第1のサイドウォール11の外側に第2のサイドウォール12が形成され、更に第2のサイドウォール12の外側に第3のサイドウォール13が形成される(図2(a)参照)。
【0022】
その後にゲート電極部分を覆うようにストレッサーSiN膜17が成膜され(図1(a),(b)の[イ]、図2(b)参照)、更にストレッサーSiN膜17の上に層間絶縁膜18が形成され、更に層間絶縁膜18の上面がCMP法などにより平坦化される(図1(a),(b)の[ロ]、図2(c)参照)。その後、層間絶縁膜18の上面にリソグラフィ工程によりレジストパターン19が形成される(図1(a),(b)の[ハ]、図2(d)参照)。
【0023】
更にレジストパターン19をマスクにしたドライエッチングによりコンタクトホール21が形成される(図1(a),(b)の[ニ]、図2(e)参照)。次にアッシングによりレジストパターン19を除去する(図1(a),(b)の[ホ],[へ]、図2(g)参照)。続いてレジストパターン19が除去された状態でコンタクトホール21の底部に位置するストレッサーSiN膜17をドライエッチングにより除去する(図1(a),(b)の[ト],[リ],[ヌ]、図2(f)参照)。最後に半導体基板16のアッシングと洗浄とを行う(図1(a),(b)の[リ],[ヌ]、図2(g)参照)。このあと、コンタクトホール21にタングステン等からなる埋め込み配線(図示省略)が形成される。
【0024】
以上説明した半導体装置の製造方法の各工程は、基本的に従来例と同様であり、図3に示すようにドライエッチング時((図1の[二]、[ト]参照)に生成されるポリマーと大気中の水分とによってフッ酸が生成されて、このフッ酸によってストレッサーSiN膜17が溶解することがある。ストレッサーSiN膜17が溶解すると、上述した埋め込み配線の配線抵抗が異常な値を示す(変動してばらつく)。
【0025】
この配線抵抗のばらつきを防止するために、本実施の形態では、上述したストレッサーSiN膜17のエッチング除去工程(図1(a)の[ト])とレジストパターンのアッシング除去(図1(a)の[リ])との間に、図1(a)に示す[チ−1],[チ−2],[チ−3]の各工程を実施する。
【0026】
まず、[チ−1]の工程を説明する。ドライエッチングによるストレッサーSiN膜(ライナー膜)12の除去([ト]の処理)を行ったのち、半導体基板16に窒素プラズマ処理を施すことでC−F系のポリマーを除去する。窒素プラズマ処理は、[ト]の処理で実施したドライエッチングと同一チャンバで連続して行われる。
【0027】
通常、C−F系等のポリマーは酸素プラズマを用いて除去されるが、本発明で対象としている半導体装置の構造では、酸素プラズマを用いた除去を行うと、コンタクトホール底部が酸化する可能性があり、この除去法は採用できない。なお、水素を含むガス用いてC−F系のポリマーを除去することも考えられるが、水素がポリマー中のフッ素と反応しフッ酸が生成される可能性があるのでこの方法も採用できない。
【0028】
本実施の形態における[チ−1]の工程では、このことを鑑みて窒素プラズマ処理を実施する。この窒素プラズマ処理では、反応式(1)によりC−F系のポリマーが除去されると考えられる。
CxFy+xN → xCN+yF …(1)
本願発明者が実験を行った結果、下部電極105を介して半導体ウェーハ102に付与する下部RFパワー(バイアスパワー:電圧)を上部電極110に付与する上部RFパワー(電圧)よりも高くすることでトップパワー/バイアスパワーを1以下にすると、コンタクトホール21内に生成されるC−F系のポリマーを確実に除去することができることがわかった。そこで、本実施の形態では、Cu−Nによって確実にフッ素成分を除去するために下部電極105を介して半導体ウェーハ102に付与する下部RFパワーを上部RFパワーより高くしている(上部RFパワー/下部RFパワー<1)。さらには、反応を確実に行うためには十分な窒素と反応させる必要があるため、窒素量を多くしたうえで十分な処理時間を設定している。
【0029】
さらには、窒素プラズマ処理によってフッ素成分を除去している間に、一度除去したフッ素成分が半導体ウェーハに再付着する可能性がある。そこで、本実施の形態では、再付着を防止するために、以下の2つの対策を実施する。
【0030】
(第1の対策)
1つ目の対策は温度に着目している。固体表面上に吸着する分子の滞在時間は、(2)式で表される。
τ=τ0×exp(ε0/kT) …(2)
τ0は定数、
Tは固体表面温度、
ε0は分子1個の脱離の活性化エネルギー(kJ/molecules)、
kはボルツマン定数
(2)式により明らかであるが、固体表面温度が高くなるほど固体表面上における分子の滞在時間が短くなる。このことは、固体表面温度を高くすれば、半導体ウェーハ102に吸着していて乖離したフッ素が半導体ウェーハ102に最吸着しにくくなることを示している。したがって、半導体ウェーハ102の表面温度は高い方がよい。本実施の形態の[チ−1]の工程では半導体ウェーハ102の表面温度は30℃以上にした。あまり温度が高くなると今度はESCに半導体ウェーハ102が吸着しにくくなるなどの弊害が出てくるので上限は60℃あたりになる。
【0031】
(第2の対策)
また、半導体ウェーハ102から脱離したフッ素成分が再付着したしにくくするためには、より速く排気すると効果的である。このことに着目したのが第2の対策である。チャンバ内に浮遊するガスの滞在時間は、(3)式で表わされる。
τ=P×V÷Q
τは反応室におけるガスの滞在時間、
Pはガス圧力、
Vは反応室の容積、
Qはガス流量
(3)式により明らかであるが、流量が大きくなるほうがより滞在時間が短くなる。実験を行った結果、500sccm以上で、滞在時間τ=0.2sec以下が良好であることがわかった。
【0032】
以上説明した[チ−1]の工程(窒素プラズマ処理)の全条件を下記に示す。
上部RFパワー:350〜600W
下部RFパワー:350〜600W
ただし、上部RFパワー/下部RFパワー<1
窒素ガス流量:500〜1000sccm
半導体ウェーハステージ温度:30〜60℃
次に、[チ−2],[チー3]の工程を説明する。[チ−2]の工程では、[チ−1]の除去工程でも残留するフッ素を確実に除去するために、[チ−1]の除去工程(窒素プラズマ処理)の後に一酸化炭素をチャンバに流す。これにより反応式(3)の反応が起こる。
CO+F → COF …(3)
これによりフッ素は、半導体ウェーハ102に再付着することなく、COFガスとなりチャンバから排気される。なお、[チ−2]の工程(COパージ)の後は、アッシング処理([リ]の工程)が実施可能となるように、再度、窒素パージ工程([チ−3]の工程)が実施される。
【0033】
図6にこれまで説明したフッ素除去のメカニズムを示す。ドライエッチング後の半導体基板16上もしくはストレッサーSiN膜17上に、CFxのポリマーが生成される(図6(a)参照)。この後に窒素プラズマ処理を行うことによって、CFxのポリマーをCNとFとに分解する(図6(b),(c)参照)。そしてCOを流すことによって、CNとCOFとをガスにして排気する(図6(d)参照)。
【0034】
更に半導体ウェーハに除去しきれないフッ素成分が残留している場合を想定して、処理後に大気中に暴露せずに、窒素雰囲気で半導体ウェーハ102を保管する。より確実に保管するために、ロードロック401で真空から大気に戻す際に窒素で大気圧に戻す。また、大気ローダー502も窒素で充填させておく。そして、FOUP設置部501も窒素で充填させる。これにより、万が一残留フッ素が半導体ウェーハ102上に存在しても、大気中の水分と残留フッ素が反応してフッ酸が生成されるのが防止される。
【0035】
ここではエッチングチャンバ(プロセスチャンバ)101は2周波のものを用いたがマイクロ波などのプラズマ源には依存はなく、このエッチング方法を使用することが可能である。ただし、より効果的な除去を行うために、半導体ウェーハのバイアス側のRFパワー(下部RFパワー)を制御できるものが望ましい。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置の構造方法について、図7のフロー図を参照して説明する。第1の実施形態では、[ト]の工程(ストレッサーSiN膜17のドライエッチング除去工程)の後に、[チ−1]の工程(窒素プラズマ処理)、[チ−2]の工程(COパージ処理)、[チ−3]の工程(窒素パージ処理)を実施しているが、本実施形態では、[ニ]の工程(コンタクトドライエッチング処理)の後にも同様に[チ−4]の工程(第2の窒素プラズマ処理)、[チ−5]の工程(第2のCOパージ処理)、[チ−6]の工程(第2の窒素パージ処理)を行う。
【0037】
[ニ]の工程(コンタクトドライエッチング処理)では、条件にも大きく依存するものの、一般にコンタクトホール21の底部においてフルオロカーボン系のガスがポリマーとして生成してにくい。しかしながら、条件によってはコンタクトホール21の底部においてフルオロカーボン系のガスがポリマーとして生成し、半導体ウェーハ102が大気に暴露する際にフッ酸を生成してストレッサーSiN膜17を溶解させる可能性がある。本実施形態では、このようなストレッサーSiN膜17の溶解を防止するために、[ニ]の工程(コンタクトドライエッチング処理)後にも、[チ−4]の工程(第2の窒素プラズマ処理)、[チ−5]の工程(第2のCOパージ処理)、[チ−6]の工程(第2の窒素パージ処理)を行う。
【0038】
(第3の実施形態)
第1の実施形態の製法において、ストレッサーSiN膜17が十分に薄膜であるために、ストレッサーSiN膜17をドライエッチングにより削除する際に使用するフルオロカーボン系のガスを十分に微量に設定することが可能になる場合がある。このような場合には、[チ−1]の工程(窒素プラズマ処理)を実施することなく、[チ−2]の工程(一酸化炭素をチャンバに流す処理)を実施する。これによりフッ素が半導体ウェーハ102に再付着することなくCOFのガスとなりチャンバから排気される。
【0039】
この他、フルオロカーボン系のガスを十分に微量に設定することが可能になる場合には、[チ−1]の工程(窒素プラズマ処理)、[チ−2]の工程(COパージ処理)、[チ−3]の工程(窒素パージ処理)を全て実施することなく、ドライエッチング処理後に半導体ウェーハ102を大気中に暴露させることなく窒素雰囲気で保管してもよい。より確実に保管するためには、ロードロック401で真空から大気に戻す際に窒素で大気圧に戻す。また、大気ローダー502も窒素で充填させておく。そして、FOUP設置部501も窒素で充填させる。これにより、万が一残留フッ素が半導体ウェーハ上に存在しても、大気中の水分と残留フッ素が反応し、フッ酸が生成されるのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明は、半導体装置の製造方法における配線抵抗のばらつき要因の一つであるストレッサーSiN膜の溶解を防ぎ、安定状態に保つ方法として有用である。また、生産性の観点からも本発明の製造方法は有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施形態における半導体装置の製造方法のフロー図、図1(b)は、従来例における半導体装置の製造方法。
【図2】本発明の半導体装置の製造工程を示す概略的な工程図。
【図3】改善前の半導体装置の製造方法によって発生するストレッサーSiN膜の溶解を示す概略図。
【図4】本発明の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す概略図。
【図5】本発明の実施形態におけるプラズマ処理装置のチャンバの概略構成を示す断面図。
【図6】本発明のフッ素除去メカニズムを示す概略図。
【図7】本発明の第1の実施形態における半導体装置の製造方法のフロー図。
【図8】従来の半導体装置の製造工程を示す概略的な工程図。
【符号の説明】
【0042】
11 第1のサイドウォール
12 第2のサイドウォール
13 第3のサイドウォール
14 ゲート電極
15 拡散領域
16 半導体基板
17 ストレッサーSiN膜
18 層間絶縁膜
19 レジストパターン
20 ストレッサーSiN膜の腐食
101 プロセスチャンバ
102 半導体ウェーハ
103 半導体ウェーハステージ
104 上部電源
105 下部電源
106 排気用ゲートバルブ
107 排気部
108 ガス供給源
109 ガス供給口
110 上部電極
111 ガス噴出し板
112 排気領域
113 排気口
114 ガス流量コントローラー
115 ガス供給部
116 プロセスガス流量コントローラー
120 制御及び演算装置
130 APCバルブ
131 ターボ分子ポンプ
132 排気配管
133 ドライポンプ
201 ウェーハ真空搬送チャンバ
301A−301C ゲートバルブ
303 半導体ウェーハ搬送経路部
401 ロードロック室
501 FORP設置部
502 大気ローダー
503 ノッチ合わせ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハにストレッサーSiN膜を成膜する第1の工程と、
前記ストレッサーSiN膜に層間絶縁膜を成膜する第2の工程と、
前記層間絶縁膜にレジストパターンを設けたうえで前記層間絶縁膜をドライエッチングする第3の工程と、
前記レジストパターンを除去したうえで前記ストレッサーSiN膜をドライエッチングする第4の工程と、
前記第3の工程後または前記第4の工程後に、前記半導体ウェーハを窒素プラズマ処理する第5の工程を、
を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第5の工程を、前記半導体ウェーハをチャンバに収納したうえで当該チャンバに窒素ガスを流入させた状態で実施し、かつ前記チャンバに対する窒素ガス流量を500sccm以上に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5の工程を、前記半導体ウェーハをチャンバに収納したうえで当該チャンバに窒素ガスを流入させた状態で実施し、かつ前記チャンバにおける前記窒素ガスの滞在時間が0.2sec以下になるように、前記チャンバに対する窒素ガス流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第5の工程を、前記半導体ウェーハをチャンバに収納したうえで当該チャンバに上部RFパワーと下部RFパワーとを印加した状態で実施し、かつ前記上部RFパワーと前記下部RFパワーとの比率(上部RFパワー/下部RFパワー)を1以下に設定する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1〜第5の工程のうちの少なくとも前記第5の工程を、前記半導体ウェーハをチャンバに収納した状態で実施し、
かつ、前記第5の工程後の前記チャンバにCOを流入させる第6の工程を、
さらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第5の工程後の前記半導体ウェーハを窒素雰囲気で保持する第7の工程を、
さらに含む、
ことを特徴とする請求項1の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体ウェーハにストレッサーSiN膜を成膜する第1の工程と、
前記ストレッサーSiN膜に層間絶縁膜を成膜する第2の工程と、
前記層間絶縁膜にレジストパターンを設けたうえで前記層間絶縁膜をドライエッチングする第3の工程と、
前記レジストパターンを除去したうえで前記ストレッサーSiN膜をドライエッチングする第4の工程と、
を含み、
前記第1〜第4の工程のうちの少なくとも前記第3の工程と前記第4の工程とを、前記半導体ウェーハをチャンバに収納した状態で実施し、
かつ、前記第3の工程後または前記第4の工程後の前記チャンバにCOを流入させる第5の工程を、
さらに含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体ウェーハにストレッサーSiN膜を成膜する第1の工程と、
前記ストレッサーSiN膜に層間絶縁膜を成膜する第2の工程と、
前記層間絶縁膜にレジストパターンを設けたうえで前記層間絶縁膜をドライエッチングする第3の工程と、
前記レジストパターンを除去したうえで前記ストレッサーSiN膜をドライエッチングする第4の工程と、
前記第3の工程後または前記第4の工程後の前記半導体ウェーハを窒素雰囲気で保持する第5の工程と、
を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−177262(P2010−177262A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15482(P2009−15482)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】