半導体装置及びその作製方法
【課題】外部から局所的に圧力がかかっても破損しにくい半導体装置を提供する。また、外部からの局所的押圧による非破壊の信頼性が高い半導体装置を歩留まり高く作製する方法を提供する。
【解決手段】非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層上に、有機化合物または無機化合物の高強度繊維に有機樹脂が含浸された構造体を設け、加熱圧着することにより、有機化合物または無機化合物の高強度繊維に有機樹脂が含浸された構造体及び素子層が固着された半導体装置を作製する。
【解決手段】非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層上に、有機化合物または無機化合物の高強度繊維に有機樹脂が含浸された構造体を設け、加熱圧着することにより、有機化合物または無機化合物の高強度繊維に有機樹脂が含浸された構造体及び素子層が固着された半導体装置を作製する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非単結晶半導体層を用いた半導体素子を有する半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、無線チップ、センサ等、各種装置の薄型化が製品小型化の上で重要な要素となっており、薄型化技術や小型化製品の使用範囲が急速に広まっている。これらの薄型化された各種装置はある程度フレキシブルなため湾曲したものに設置して使用することが可能である。
【0003】
そこで、ガラス基板上に形成した薄膜トランジスタを含む素子層を基板から剥離し、他の基材、例えばプラスチックフィルムなどに転写して半導体装置を作製する技術が提案されている。
【0004】
本出願人は、特許文献1や特許文献2に記載の剥離および転写技術を提案している。特許文献1には剥離層となる酸化珪素層をウェットエッチングで除去して剥離する技術が記載されている。また、特許文献2には剥離層となるシリコン層をドライエッチングで除去して剥離する技術が記載されている。
【0005】
また、本出願人は特許文献3に記載の剥離および転写技術を提案している。特許文献3には、基板に金属層(Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir)を形成し、その上に酸化物層を積層形成する際、該金属層の酸化金属層を金属層と酸化物層との界面に形成し、この酸化金属層を利用して後の工程で剥離を行う技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献4では、0.5mm以下サイズの半導体チップを紙またはフィルム状の媒体に埋め込み、曲げや集中荷重を改善した半導体装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−288522号公報
【特許文献2】特開平8−250745号公報
【特許文献3】特開2003−174153号公報
【特許文献4】特開2004−78991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アンテナをチップに作り込んで内蔵(オンチップ化)する半導体装置の場合、チップの大きさが小さいとアンテナサイズが小さくなり通信距離が短くなる問題がある。また、紙またはフィルム媒体に設けられたアンテナをチップに接続して半導体装置を作製する場合、チップの大きさが小さいと、接続不良が生じる。
【0008】
このため、接続不良の防止や通信距離の低減を防止するためにチップ自体を大きくすることが考えられるが、チップの面積が大きくなると、プラスチックフィルムなどに転写され作製された半導体装置は、外部からの局所的な押圧で、亀裂が入り、動作不良となる。例えば、筆記用具で半導体装置表面のプラスチックシートまたは紙に文字を記入する際、半導体装置に筆圧がかかってしまい、半導体装置が破壊される問題がある。また、ロールトゥロール法を用いて半導体装置を作製する場合、ロールに挟まれる領域において線状の圧力がかかり、半導体装置が破壊される問題があった。
【0009】
そこで本発明は、外部から局所的に圧力がかかっても破損しにくい半導体装置を提供する。また、外部からの局所的押圧による非破壊の信頼性が高い半導体装置を歩留まり高く作製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層上に、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を設け、加熱圧着することにより、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び素子層が固着された半導体装置を作製することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、絶縁性表面を有する基板上に剥離層を形成し、剥離層上に非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層を形成し、素子層上に、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を設け、加熱圧着することにより、素子層上に有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された封止層を形成し、剥離層から素子層を剥離して半導体装置を作製することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層と、素子層に接し且つ局所的な押圧を緩和させる封止層とを有する半導体装置である。なお、有機樹脂は、素子層及び繊維体を固着すると共に、繊維体に含浸される。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層と、有機化合物または無機化合物の繊維を用いた繊維体と、素子層及び繊維体を固着する有機樹脂とを有する半導体装置である。なお、有機樹脂は、素子層及び繊維体を固着すると共に、繊維体に含浸される。
【0014】
また、本発明の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層と、有機化合物または無機化合物の繊維を用いた繊維体及び繊維体に含浸される有機樹脂を含む封止層とを有する半導体装置である。
【0015】
素子層の厚さは1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下であり、封止層の厚さは厚さ10μm以上100μm以下であることが好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0016】
繊維体としては、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布である。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。またはヤング率が高い繊維である。
【0017】
また、有機樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0018】
繊維体として高強度繊維を用いることにより、局所的な押圧が半導体装置にかかったとしても、当該圧力が繊維体全体に分散し、半導体装置の一部が延伸することを防ぐことができる。即ち、一部の延伸に伴う配線、半導体素子等の破壊を防止することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、外部から局所的な圧力がかかっても破損しにくく、信頼性が高い半導体装置を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態及び実施例を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態では、局所的押圧(点圧、線圧等)によっても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置について、図1、図8及び図9を用いて示す。
【0022】
本実施の形態の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層上に、有機化合物または無機化合物の繊維体及び繊維体に含浸される有機樹脂を含む封止層が形成されていることを特徴とする。
【0023】
素子層に含まれる非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子の代表例としては、薄膜トランジスタ、ダイオード、不揮発性記憶素子等の能動素子、抵抗素子、容量素子等の受動素子がある。また、非単結晶半導体層としては、結晶性半導体層、非晶質半導体層、微結晶半導体層等がある。また、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等がある。また、半導体として、金属酸化物を用いることが可能であり、代表的には酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等がある。また、半導体としては、有機半導体材料を用いることが可能である。素子層の厚さとしては、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下が好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。また、半導体装置の上面の面積は、4mm2以上、さらには9mm2以上が好ましい。
【0024】
図1は、本実施の形態の半導体装置の断面図を示す。
【0025】
図1(A)に示す半導体装置50は、薄膜トランジスタ52a、52bを有する素子層51の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。ここでは、素子層51に固着される繊維体113及び有機樹脂114をまとめて封止層120と示す。また封止層120は、素子層に形成される半導体素子を覆うように設けられる。このような半導体装置50の代表例として、他の装置の制御やデータの計算・加工を行なうマイクロプロセッサ(MPU)がある。MPUは、CPU、メインメモリ、コントローラ、インターフェース、I/Oポート等を有し、これらを薄膜トランジスタ、抵抗素子、容量素子、配線等で構成することができる。
【0026】
また、図1(B)に示す半導体装置60は、記憶素子62及び薄膜トランジスタ52bを有する素子層61の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。記憶素子としては、フローティングゲートまたは電荷蓄積層を有する不揮発性記憶素子、薄膜トランジスタ及びそれに接続される容量素子、薄膜トランジスタ及びそれに接続される強誘電層を有する容量素子、一対の電極の間に有機化合物層が挟まれる有機メモリ素子等がある。また、このような記憶素子を有する半導体装置としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置がある。ここでは、記憶素子62としてフローティングゲート電極63を有する不揮発性記憶素子を示す。
【0027】
また、図1(C)に示す半導体装置70は、ダイオード72及び薄膜トランジスタ52bを有する素子層71の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。ダイオードとしては、アモルファスシリコンを用いたダイオード、結晶性珪素層を用いたダイオード等がある。また、このようなダイオードを有する半導体装置としては、光センサ、太陽電池等がある。ここでは、ダイオード72として、アモルファスシリコンを用いたダイオードを示す。
【0028】
また、図1(D)に示す半導体装置80は、薄膜トランジスタ52a、52bを有する素子層81、及び薄膜トランジスタ52aまたは52bに電気的に接続するアンテナ83の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。このような半導体装置の代表例としては、無線で情報を送受信することが可能なIDタグ、ICタグ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子タグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ICカード、IDカード等(以下、RFIDと示す。)がある。また、本発明の半導体装置は、薄膜トランジスタ等で構成される集積回路部とアンテナを封止したインレットや、当該インレットをシール状やカード状にしたものを含む。また、半導体装置80の上面の面積を、4mm2以上、さらには9mm2以上とすることで、アンテナの面積を大きく形成することが可能であるため、通信機との通信距離の長いRFIDとすることができる。
【0029】
さらには、図1(A)乃至(D)に示す素子層の一表面の他に、他方の面にも繊維体113が有機樹脂によって固着されていてもよい。即ち、素子層の両表面に封止層を有し、素子層に形成される半導体素子を両面から覆うように対向する一対の封止層が設けられてもよい。図1(E)に示す半導体装置90では、図1(A)に示す半導体装置の素子層51の一方の面に封止層120aを有し、素子層51の他表面に封止層120bを有する。このときの封止層120a、120bは同じ材質の繊維体及び有機樹脂で形成されていることが反り低減の為には好ましいが、表裏を判別して使用する用途の場合には必ずしも同じ材質である必要性はない。このように繊維体に含浸される有機樹脂が固着されることにより、素子層の両面が繊維体により支持されるため、半導体装置の反りを減少させることが可能であり、後のラミネートフィルムやシール等へ当該半導体装置を搭載することが容易となる。
【0030】
素子層の一表面または両面に設けられる繊維体113は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、素子層全面を覆う。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができる。なお、繊維体113は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0031】
また、繊維体113は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、繻子織り等適宜用いることができる。
【0032】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした糸束を用いてもよい。開繊加工をした糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化しやすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体113の厚さを薄くすることが可能である。このため、構造体115の厚さを薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。糸束幅は4μm以上400μm以下、好ましくは4μm以上200μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に細くてもよい。また、糸束の厚さは、4μm以上20μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に薄くても良く、その幅及び厚さは繊維の材料に依存する。
【0033】
なお、本明細書の図面においては、繊維体113は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。また、薄膜トランジスタ52a、52bが繊維体113の糸束よりも大きいが、薄膜トランジスタ52a、52bの大きさが繊維体113の糸束よりも小さい場合もある。
【0034】
繊維体113が糸束を経糸及び緯糸に使って製織した織布の上面図を図8に示す。
【0035】
図8(A)に示すように、繊維体113は、一定間隔をあけた経糸113a及び一定間隔をあけた緯糸113bが織られている。このような繊維体には、経糸113a及び緯糸113bが存在しない領域(バスケットホール113cという)を有する。このような繊維体113は、有機樹脂が繊維体に含浸される割合が高まり、繊維体113及び素子層の密着性を高めることができる。
【0036】
また、図8(B)に示すように、繊維体113は、経糸113a及び緯糸113bの密度が高く、バスケットホール113cの割合が低いものでもよい。代表的には、バスケットホール113cの大きさが、局所的に押圧される面積より小さいことが好ましい。代表的には一辺が0.01mm以上0.2mm以下の矩形であることが好ましい。繊維体113のバスケットホール113cの面積がこのように小さいと、先端の細い部材(代表的には、ペンや鉛筆等の筆記用具)により押圧されても、当該圧力を繊維体113全体で吸収することが可能である。
【0037】
また、糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、糸束に表面処理が施されても良い。例えば、糸束表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0038】
繊維体113に含浸され、且つ素子層表面を封止する有機樹脂114は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子層に固着することが可能である。なお、有機樹脂114はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0039】
また、封止層120の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0040】
有機樹脂114または糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等がある。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または糸束内に含まれることにより素子層での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0041】
また、図1(E)において、素子層51に形成される封止層120aの繊維体の経糸または緯糸の方向と、封止層120bの繊維体の経糸または緯糸の方向とが30°以上60°以下、好ましくは40°以上50°以下ずれていてもよい。この場合、素子層の表裏に設けられる繊維体の引っ張り方向が表裏で異なるため、局所的押圧の際の延伸が等方性的になる。このため、局所的押圧による破壊をさらに低減することができる。
【0042】
ここで、本実施の形態で示す半導体装置が有する効果について、図2を用いて示す。
【0043】
図2(A)に示すように、従来の半導体装置40は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層41が接着材42a、42bを用いてフィルム43a、43bで封止される。このような半導体装置に局所的な押圧44を加える。
【0044】
その結果、図2(B)に示すように、素子層41を構成する層、接着材42a、42b、フィルム43a、43bがそれぞれ延伸してしまい、押圧部において曲率半径の小さな湾曲が生じてしまう。この結果、素子層41を構成する半導体素子、配線等に亀裂が生じてしまい、半導体装置が破壊されてしまう。
【0045】
しかしながら、本実施の形態で示す半導体装置50は、図2(C)に示すように、素子層51の片面または両面には有機樹脂を含有する繊維体からなる封止層が設けられる。繊維体は高強度繊維で形成されており、高強度繊維は、引張弾性率が高い、またはヤング率が高い。このため、点圧や線圧等の局所的な押圧44がかかっても高強度繊維は延伸せず、押圧された力が繊維体全体に分散され、半導体装置全体で湾曲するようになる。この結果、局所的な押圧が加えられても、半導体装置で生じる湾曲は曲率半径の大きなものとなり、素子層51を構成する半導体素子、配線等に亀裂が生じず、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0046】
また、素子層51の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層51の面積を大きくすることが可能である。このため、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0047】
次に、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子の構成について、以下に示す。
【0048】
図1(A)に示す薄膜トランジスタ52a、52bは、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層53a、53b、ゲート絶縁層54、並びにゲート電極55a、55bで構成される。
【0049】
半導体層53a、53bは、厚さ10nm以上100nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下の非単結晶半導体で形成される層であり、非単結晶半導体層としては、結晶性半導体層、非晶質半導体層、微結晶半導体層等がある。また、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等がある。特に、瞬間熱アニール(RTA)又はファーネスアニール炉を用いた熱処理により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理とレーザビームの照射を組み合わせて結晶化させた結晶性半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。
【0050】
加熱処理に加えてレーザビームを照射して結晶化する場合には、連続発振レーザビームの照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザビームの照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。
【0051】
ゲート絶縁層54は、厚さ5nm以上50nm以下、好ましくは10nm以上40nm以下の酸化珪素及び酸化窒化珪素などの無機絶縁物で形成する。
【0052】
ゲート電極55a、55bは、金属または一導電型を与える不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、ゲート絶縁層やその下層の半導体層に拡散することを防ぐことができる。また、積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。
【0053】
半導体層53a、53b、ゲート絶縁層54、ゲート電極55a、55bなどを組み合わせて構成される薄膜トランジスタ52a、52bは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、シングルドレイン構造の薄膜トランジスタを示す。さらには、等価的には、同電位のゲート電圧が印加される複数のトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層の上下をゲート電極で挟むデュアルゲート構造、絶縁層56上にゲート電極が形成され、ゲート電極上にゲート絶縁層、半導体層が形成される逆スタガ型薄膜トランジスタ等を適用することができる。
【0054】
半導体層53a、53bのソース領域及びドレイン領域に接する配線57a、57b、58a、58bは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
【0055】
なお、薄膜トランジスタとして金属酸化物や有機半導体材料を半導体層に用いた薄膜トランジスタを用いることが可能である。金属酸化物の代表例には酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等がある。
【0056】
図1(B)に示す記憶素子62は、半導体層53a、トンネル酸化層64、フローティングゲート電極63、コントロール絶縁層65、コントロールゲート電極63aで構成される不揮発性記憶素子である。
【0057】
トンネル酸化層64は、厚さ1nm〜10nm、好ましくは1nm〜5nmの酸化珪素若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造を減圧CVD法やプラズマCVD法などで形成することができる。また、プラズマ処理により半導体層を酸化又は窒化することによりトンネル酸化層を形成することができる。さらには、プラズマCVD法により形成した酸化珪素をプラズマ処理により酸化又は窒化してもよい。当該プラズマ処理して形成した絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れている。
【0058】
フローティングゲート電極63は、導電層、ポリシリコン層、シリコンドット等で形成することができる。また、フローティングゲート電極の代わりに、窒化珪素、窒化ゲルマニウム等で形成された電荷蓄積層を用いてもよい。
【0059】
コントロール絶縁層65は、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウムなどの一層若しくは複数層を、減圧CVD法やプラズマCVD法などで形成する。第2の絶縁層22の厚さは1nm〜20nm、好ましくは5〜10nmで形成する。
【0060】
図1(C)に示すダイオード72は、第1の電極として機能する配線58b、受光部73、及び第2の電極74で構成されている。受光部は、非晶質または結晶質のシリコンを有する半導体層で形成することができる。この代表例としては、シリコン層、シリコンゲルマニウム層、炭化シリコン層、又はこれらのPN接合層、PIN接合層が挙げられる。
【0061】
図1(D)に示すアンテナ83は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子を有する液滴やペーストを液滴吐出法(インクジェット法、ディスペンス法など)により吐出し、乾燥焼成して形成する。液滴吐出法によりアンテナを形成することで、工程数の削減が可能であり、それに伴うコスト削減が可能である。
【0062】
また、スクリーン印刷法を用いてアンテナ83を形成してもよい。スクリーン印刷法を用いる場合、アンテナ83の材料としては、粒径が数nmから数十μmの導電性粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性ペーストを選択的に印刷する。導電性粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成にあたり、導電性のペーストを印刷した後に焼成することが好ましい。
【0063】
また、アンテナ83は、スクリーン印刷法の他にもグラビア印刷等を用いてもよいし、メッキ法、スパッタリング法等を用いて、導電性材料により形成することができる。
【0064】
また、RFIDの信号の伝送方式として、電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する。磁束密度の変化による電磁誘導を利用する場合、アンテナの上面形状を輪状(例えば、ループアンテナ)、らせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成することができる。
【0065】
また、RFIDにおける信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用することもできる。その場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナの長さ等の形状を適宜設定すればよい。
【0066】
マイクロ波方式を適応することが可能なRFIDのアンテナ83の例を図9(A)〜(D)に一例を示す。例えば、アンテナの上面形状を線状(例えば、ダイポールアンテナ(図9(A)参照))、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ(図9(B)参照))またはリボン型の形状(図9(C)、(D)参照)等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0067】
以下の実施の形態では、半導体装置としてRFIDを一例にあげて、本実施の形態で示す半導体装置の作製方法を示す。
【0068】
(実施の形態2)
本実施の形態では、外部からの局所的圧力がかかっても破損しにくい半導体装置を歩留まり高く作製する方法を、図3を用いて示す。
【0069】
図3(A)に示すように、絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102及びアンテナ112を形成する。次に、素子層102及びアンテナ112上に、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体115を設ける。
【0070】
絶縁表面を有する基板100としては、素子層102及びアンテナ112を形成する温度に耐えうる基板を用いることが好ましく、代表的にはガラス基板、石英基板、セラミック基板、絶縁層が少なくとも一表面に形成された金属基板、有機樹脂基板等を用いることができる。ここでは、絶縁表面を有する基板100としてガラス基板を用いる。なお、素子層102の厚さとしては、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下が好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0071】
剥離層101は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、厚さ30nm〜200nmのタングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及び珪素(Si)の中から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物からなる層を、単層または複数の層を積層させて形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。なお、ここでは、塗布法は、溶液を被処理物上に吐出させて成膜する方法であり、例えばスピンコーティング法や液滴吐出法を含む。また、液滴吐出法とは微粒子を含む組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法である。
【0072】
剥離層101が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0073】
剥離層101が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には、1層目の金属層として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化物、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、又はタングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物を含む層を形成する。
【0074】
剥離層101として、1層目として金属層、2層目として金属酸化物層の積層構造を形成する場合、金属層としてタングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステンを含む層と絶縁層との界面に、金属酸化物層としてタングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、金属層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行って金属酸化物層を形成してもよい。
【0075】
タングステンの酸化物は、WOxで表される。xは2以上3以下の範囲内にあり、xが2の場合(WO2)、xが2.5の場合(W2O5)、xが2.75の場合(W4O11)、xが3の場合(WO3)などがある。
【0076】
また、上記の工程によると、絶縁表面を有する基板100に接するように剥離層101を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。絶縁表面を有する基板100に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層101を設けてもよい。ここでは、剥離層101として厚さ30nm〜70nmのタングステン層をスパッタリング法により形成する。
【0077】
ここでは、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子の代表例として、実施の形態1で示す薄膜トランジスタ52a、52bと同様の構造を有する薄膜トランジスタ105a、105bを示す。
【0078】
また、ここでは、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102としては、バッファ層として機能する絶縁層103、下地層として機能する絶縁層104、薄膜トランジスタ105a、105b、薄膜トランジスタ105a、105bを覆う絶縁層106、絶縁層106を覆う絶縁層107、絶縁層106、107を介して薄膜トランジスタの半導体層のソース領域及びドレイン領域に接続する導電層108、109、導電層108、109及び絶縁層107の一部を覆う絶縁層111、絶縁層111を介して導電層109に接続するアンテナ112を示す。
【0079】
バッファ層として機能する絶縁層103は、後の剥離工程において、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面での剥離が容易となるように、または後の剥離工程において半導体素子や配線に亀裂やダメージが入るのを防ぐために設ける。バッファ層として機能する絶縁層103としては、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は多層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等がある。なお、バッファ層として機能する絶縁層103に、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素等を用いることにより、外部から後に形成される素子層へ水分や、酸素等の気体が浸入することを防止することができる。バッファ層として機能する絶縁層103の厚さは10nm以上1000nm以下、さらには100nm以上700nm以下が好ましい。ここでは、厚さ500nm〜700nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。
【0080】
下地層として機能する絶縁層104は、バッファ層として機能する絶縁層103と同様の形成方法及び材料を適宜用いることができる。さらには、下地層として機能する絶縁層104を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素を積層して形成しても良い。下地層として機能する絶縁層104の厚さは10nm以上200nm以下、さらには50nm以上150nm以下が好ましい。ここでは、厚さ30〜70nmの窒化酸化珪素層をプラズマCVD法により形成し、その上に厚さ80〜120nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。なお、バッファ層として機能する絶縁層103を有する場合、敢えて下地層として機能する絶縁層104を形成しなくとも良い。
【0081】
絶縁層106、107は、薄膜トランジスタ及び配線を絶縁する層間絶縁層として機能する。絶縁層106、107は、バッファ層として機能する絶縁層103と同様の形成方法及び材料を用いることができる。なお、ここでは、絶縁層106、107の積層構造としたが、単層または2層以上の積層構造とすることができる。ここでは、絶縁層106として、厚さ30〜70nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。また、絶縁層107として、厚さ80〜120nmの窒化酸化珪素層をプラズマCVD法で形成した後、厚さ500〜700nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。
【0082】
導電層108、109は、実施の形態1に示す配線57a、57b、58a、58bと同様に形成することができる。ここでは、厚さ80〜120nmのチタン層、厚さ250〜350nmのアルミニウム層、及び厚さ80〜120nmのチタン層を順に積層形成した後、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて選択的にエッチングして、導電層108、109を形成する。
【0083】
導電層108、109の上に、窒化珪素、窒化酸化珪素、ダイヤモンドライクカーボン、窒化炭素等の保護層を設けてもよい。保護層を設けることにより、外部から薄膜トランジスタへ水分が浸入することを抑制することが可能であり、薄膜トランジスタ及び半導体装置の電気的特性の信頼性を高めることができる。
【0084】
絶縁層111は、バッファ層として機能する絶縁層103と同様の形成方法及び材料を用いて形成する。なお、絶縁層111は後に形成されるアンテナの下地層である。このため、絶縁層111の表面は平坦であることが好ましい。このため、絶縁層111は、有機樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を塗布し、乾燥焼成して形成することが好ましい。また、感光性樹脂を希釈した組成物を用いて絶縁層111を形成することで、従来のフォトリソグラフィー工程で形成したレジストマスクを用いてエッチングする工程よりも工程数が減るため、歩留まりが高くなる。ここでは、感光性ポリイミド樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を塗布し乾燥し、フォトマスクを用いて露光した後、未硬化部を除去し焼成して絶縁層111を形成する。
【0085】
アンテナ112は、実施の形態1に示すアンテナ83と同様の形成方法及び材料を用いて形成する。
【0086】
次に、アンテナ112上に、繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体115を設ける。このような構造体115は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体115の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0087】
次に、構造体115を加熱し圧着して、構造体115の有機樹脂114を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂114が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
【0088】
有機樹脂114は加熱及び圧着により、素子層102及びアンテナ112の表面に有機樹脂114が均一に広がり硬化する。この結果、図3(B)に示すように、繊維体113に含浸し、かつ素子層102及びアンテナ112の片面に固着される有機樹脂121となる。なお、素子層102及びアンテナ112の片面に固着された有機樹脂121及び繊維体113を実施の形態1と同様、まとめて封止層120と示す。構造体115を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0089】
次に、図3(B)に示すように、後の剥離工程を容易に行うために、封止層120側から、封止層120、素子層及び剥離層101にレーザビーム122を照射して、図3(C)に示すような溝123を形成してもよい。溝123を形成するために照射するレーザビームとしては、剥離層101、素子層102、または封止層120を構成する層のいずれかが吸収する波長を有するレーザビームが好ましく、代表的には、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のレーザビームを適宜選択して照射する。
【0090】
このようなレーザビームを発振することが可能なレーザ発振器としては、KrF、ArF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、CO2等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶、ガラス、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、その固体レーザ発振器においては基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0091】
次に、図3(D)に示すように、溝123をきっかけとして、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面において、剥離層101が形成される絶縁表面を有する基板100と、素子層の一部124とを物理的手段により剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を加える手段を指しており、その手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理)である。このとき、封止層120表面に光または熱により剥離可能な粘着シートを設けると、さらに剥離が容易となる。
【0092】
また、溝123に液体を滴下し、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面に液体を浸透させて剥離層101から素子層102を剥離してもよい。この場合、溝123にのみ液体を滴下してもよいし、または絶縁表面を有する基板100、素子層102、アンテナ112、及び封止層120全体を液体に浸して、溝123から剥離層101及び素子層102の界面に液体を浸透させても良い。
【0093】
本実施の形態においては、剥離層としてバッファ層に接する層に金属酸化層を形成し、物理的手段により、素子層の一部124を剥離する方法を用いたがこれに限られない。絶縁表面を有する基板100に透光性を有する基板を用い、剥離層に水素を含む非晶質珪素層を用い、図3(B)のレーザビーム122の代わりに、絶縁表面を有する基板100側から剥離層101にレーザビームを照射して、非晶質珪素層に含まれる水素を気化させて、絶縁表面を有する基板100と剥離層との間で剥離する方法を用いることができる。
【0094】
また、図3(B)においてレーザビーム122を照射する工程の代わりに、絶縁表面を有する基板100を機械的に研磨し除去する方法や、絶縁表面を有する基板100をフッ化水素酸等の溶液を用いて溶解して絶縁表面を有する基板100を除去する方法を用いることができる。この場合、剥離層を用いなくともよい。
【0095】
また、図3(C)において、溝123にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ガスを導入し、剥離層をフッ化ガスでエッチングし除去して、絶縁表面を有する基板100から素子層の一部124を剥離する方法を用いることができる。
【0096】
また図3(C)において、溝123にNF3、BrF3、ClF3などのフッ化ガスを導入し、剥離層の一部をフッ化ガスでエッチングし除去した後、有機樹脂121に粘着部材を貼りあわせて、絶縁表面を有する基板100から素子層の一部124を物理的手段により剥離する方法を用いることができる。
【0097】
なお、素子層102に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層102及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出してもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。
【0098】
以上により、半導体装置を作製することができる。なお、バッファ層として機能する絶縁層103側にも封止層を形成してもよい。封止層を形成する場合は、図1(A)と同様にバッファ層として機能する絶縁層103上に構造体を設け、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。有機樹脂が可塑性の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂も硬化する。この結果、図3(E)に示すように、繊維体113に含浸し、かつバッファ層として機能する絶縁層に形成される有機樹脂121からなる封止層125を形成することができる。即ち、素子層102の両面に封止層120、125が設けられる半導体装置を作製することができる。
【0099】
なお、素子層102に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層102及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出してもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。分断する際は、ダイシング、スクライビング、はさみやナイフなどの刃物を有する裁断機、又はレーザーカット法等により選択的に分断することができる。
【0100】
本実施の形態で示す半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を有する素子層と、繊維体とが有機樹脂で固着されている。繊維体は、局所的な押圧による圧力を繊維全体へ分散するため、局所的に圧力がかかりにくい。このため、半導体装置を構成する配線や半導体素子が延伸されず、半導体装置が破壊されにくい。また、素子層に高強度繊維からなる繊維体が固着されているため、剥離工程においても、素子層が延伸しにくい。即ち、素子層に形成される半導体素子、配線等が延伸することを低減することができる。このため、歩留まりを向上させることができる。
【0101】
また、素子層の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層の面積を大きくすることが可能である。このため、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0102】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2と比較して、さらに破壊されにくい半導体装置の作製方法を図4を用いて説明する。
【0103】
実施の形態1と同様に、図4(A)に示すように絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102及びアンテナ112を形成する。次に、素子層102及びアンテナ112上に構造体115を設け、構造体115上に保護フィルム131を設ける。
【0104】
保護フィルム131としては、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。
【0105】
保護フィルム131が高強度材料で形成されていることで、実施の形態2と比較してさらに局所的な押圧による破壊を抑制することができる。具体的には、構造体115の繊維体113において、経糸束及び緯糸束が分布しないバスケットホールの面積が、局所的圧力がかけられる面積より大きい場合、バスケットホールに局所的に荷重されると、当該圧力が構造体115の繊維体113で吸収されず、直接素子層102及びアンテナ112にかかってしまう。この結果、素子層102及びアンテナ112が延伸し、半導体素子または配線が破壊されてしまう。
【0106】
しかしながら、高強度材料で形成される保護フィルム131を構造体115上に設けることで、局所的な荷重を保護フィルム131全体で吸収するため、局所的な押圧による破壊の少ない半導体装置となる。
【0107】
次に、図4(B)に示すように、実施の形態2と同様に、構造体115を加熱し圧着して、封止層120を形成する。また、封止層の有機樹脂121は保護フィルム131を素子層102及びアンテナ112に固着する。即ち、封止層120は、繊維体113及び保護フィルム131を素子層102及びアンテナ112に固着している。また、封止層120に含まれる有機樹脂121は繊維体113中に含浸される。
【0108】
次に、図4(C)に示すように、剥離層101が形成される絶縁表面を有する基板100から素子層の一部124を剥離する。ここでは、実施の形態1と同様に、レーザビームを素子層102及び剥離層101に照射し溝を形成した後、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面に形成される金属酸化物層において、物理的手段により剥離する。
【0109】
この後、図4(D)に示すように、バッファ層として機能する絶縁層103表面に構造体を設け、構造体上に保護フィルムを設け、加熱し圧着して封止層125及び保護フィルム141を素子層の一部124のバッファ層として機能する絶縁層103に固着する。
【0110】
なお、図4(A)において、保護フィルム131が熱可塑性材料の場合、素子層102及びアンテナ112と構造体115との間に保護フィルム131を設け加熱圧着してもよい。また、図4(D)において、保護フィルム141が熱可塑性材料の場合、バッファ層として機能する絶縁層と封止層125の間に保護フィルム141を設け加熱圧着してもよい。当該構造においても、局所的押圧による荷重を保護フィルム及び構造体で分散させることが可能であり、破壊を低減することができる。
【0111】
なお、素子層102に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層102及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出してもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。
【0112】
以上により、局所的押圧による破壊が少ない半導体装置を作製することができる。また、素子層の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層の面積を大きくすることが可能である。このため、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0113】
(実施の形態4)
本実施の形態では、素子層にアンテナが形成されず、別の基板に設けられたアンテナを素子層に接続した半導体装置の作製方法について、図5及び図6を用いて説明する。
【0114】
図5(A)に示すように、実施の形態1と同様に、絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層151を形成する。次に、素子層151上に繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体を設ける。
【0115】
ここでは、素子層151としては、実施の形態1に示すように、バッファ層として機能する絶縁層103を形成し、バッファ層として機能する絶縁層103上に下地層として機能する絶縁層104を形成し、絶縁層104上に薄膜トランジスタ105a、105bを形成する。薄膜トランジスタ105a、105b上に絶縁層106、107を形成し、絶縁層106、107を貫いて薄膜トランジスタ105a、105bの半導体層のソース領域及びドレイン領域に接続する導電層108を形成し、この後に形成する電極パッド152に接続する導電層109を形成する。なお、電極パッド152は導電層109ならびに導電層108を介して半導体層のソースあるいはドレイン領域と電気的に接続している。導電層108、109、絶縁層107上に絶縁層111を形成し、絶縁層111を貫いて導電層109と接続する電極パッド152を形成する。
【0116】
次に、実施の形態1と同様に、素子層151上に設けた構造体を加熱し圧着して、素子層151の片面に有機樹脂121及び繊維体113からなる封止層120を形成する。
【0117】
次に、封止層120の一部を除去し、電極パッド152の一部を露出させる。ここでは、レーザビームを封止層120側から電極パット152へ照射して、封止層120の一部を除去する。なお、当該手法以外にも、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて封止層120の一部を除去し電極パット152の一部を露出してもよい。
【0118】
次に、図5(B)に示すように、封止層120の開口部に接続端子161を形成する。接続端子161は、印刷法、液滴吐出法等で形成することができる。接続端子161の材料としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。
【0119】
次に、剥離層101が形成される絶縁表面を有する基板100及び素子層の一部124を剥離する。ここでは、実施の形態1と同様に、レーザビームを素子層及び剥離層101に照射して、素子層151に溝を形成する。次に、当該溝に液体を供給した後、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面において、物理的手段により剥離する。
【0120】
この後、図6(A)に示すように、素子層151に固着された封止層120と、アンテナ172が形成された基板171とを接着材174にて接着する。このとき、素子層151に形成された接続端子161とアンテナ172とを異方性導電接着材173を用いて電気的に接続する。
【0121】
異方性導電接着材173としては、分散した導電性粒子(粒径が、数nm〜数十μm)を含有する接着性樹脂であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、炭素、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される薄膜が形成された導電性粒子を用いてもよい。さらには、導電性粒子として、CNT(カーボンナノチューブ)を用いてもよい。
【0122】
アンテナ172としては、実施の形態1に示すアンテナ83と同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
【0123】
アンテナ172が形成された基板171としては、フィルム状のプラスチック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを用いることができる。
【0124】
次に、図6(B)に示すように、実施の形態1と同様に、バッファ層として機能する絶縁層103表面に構造体を設け、加熱し圧着して封止層125をバッファ層として機能する絶縁層103上に形成する。
【0125】
次に、図6(C)に示すように、アンテナ172が形成される基板171と、封止層120、素子層151、及び封止層125を封止するようにフィルム175を設けてもよい。フィルムとしては、アンテナ172が形成された基板171と同様のフィルムを用いることができる。
【0126】
なお、本実施の形態において、素子層151を剥離層101から剥離した後、アンテナ172が形成される基板171を素子層151上の封止層120に接着した形態を示したが、これの代わりに、図5(B)に示すように、接続端子161を形成した後、封止層120と、アンテナ172が形成される基板171とを接着すると共に、アンテナ172と接続端子161を異方性導電接着材で電気的に接続する。この後、剥離層101から、素子層151を剥離してもよい。さらに、図6(B)に示すように、バッファ層として機能する絶縁層に封止層125を形成し、図6(C)に示すようにフィルム175でアンテナ172が形成される基板171、封止層120、素子層151、及び封止層125を封止してもよい。
【0127】
上記形態では、アンテナ172を有する基板171が素子層151の一方の面にのみ接着された半導体装置を示したが、素子層151の両面にそれぞれアンテナが形成された基板を接着してもよい。その形態を、図7を用いて以下に示す。
【0128】
図5及び図6(A)の工程を経て、アンテナ172が形成された基板171と、素子層180の一方の面に設けられた封止層120とが接着材174で接着される。また、素子層180の他方の面には封止層125が設けられる。なお、素子層180には、薄膜トランジスタ105a、105bの半導体層のソース領域及びドレイン領域に接続する導電層108と同様に形成された配線181が絶縁層107上に形成される。なお、配線181として、絶縁層106上にゲート電極55a、55bと同時に配線を形成してもよい。
【0129】
次に、配線181に接続する接続端子を形成するために、封止層125及び素子層180の一部に開口部を形成する。ここでは、封止層125側から配線181にレーザビーム182を照射して開口部を形成し、配線181を一部露出される。
【0130】
次に、図7(B)に示すように、開口部を充填するように、接続端子183を形成する。接続端子183は、接続端子161と同様に形成することができる。
【0131】
次に、図7(C)に示すように、封止層125と、アンテナ192が形成された基板191を接着材194を用いて接着すると共に、接続端子183及びアンテナ192を異方性導電接着材193で電気的に接続する。
【0132】
以上により、素子層の両面にアンテナが設けられた半導体装置を作製することができる。このような構造は、UHF帯の電波受信可能なRFIDのように、対称構造のアンテナを有する半導体装置に適用すると、半導体装置の大きさを小さくすることが可能であるため、好ましい。
【0133】
なお、素子層151、180に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層151、180及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出すことによって得てもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。
【0134】
本実施の形態で示す半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を有する素子層と、繊維体とが有機樹脂で固着されている。繊維体は、局所的な押圧による圧力を繊維全体へ分散するため、局所的に圧力がかかりにくい。このため、半導体装置を構成する配線や半導体素子が延伸されず、半導体装置が破壊されにくい。また、素子層に高強度繊維からなる繊維体が固着されているため、剥離工程においても、素子層が延伸しにくい。即ち、素子層に形成される半導体素子、配線等が延伸することを低減することができる。このため、歩留まりを向上させることができる。
【0135】
また、素子層の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層の面積を大きくすることが可能である。このため、外部アンテナを素子層に接続する際、接続面積を大きくすることが可能となり、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0136】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4で示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層がプリント基板に接続された半導体装置について、図10を用いて説明する。
【0137】
図10(A)は、本実施の形態の半導体装置250の斜視図を示す。半導体装置250は、フレキシブルプリント基板に実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層が設けられている。例えば、ポリエステル、ポリイミド等で形成されるベースフィルム251上に、銅、金、銀、アルミニウム等で形成される配線252が設けられる。また、配線252上に絶縁層を介して、実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層及び封止層の積層体253a、253bが設けられている。また、配線252及び積層体253a、253bは、封止層のコンタクトホールに形成される接続端子を介して接続されている。ベースフィルム251、配線252、及び積層体253a、253bは、保護フィルム254で覆われている。また、半導体装置250の端部においては、保護フィルム254の一部が切除され、コネクタ等の外部回路と配線252が露出されている。
【0138】
素子層は封止層を介して配線に設け、加熱圧着することで配線及びベース基板に素子層を固着させることができる。
【0139】
なお、ここでは、1層の配線252を有する半導体装置を示したが、この代わりに多層配線構造であってもよい。また、複数の配線で積層体253a、253bが挟まれていてもよい。このように配線を多層にすることで、実装密度を高めることが可能である。
【0140】
図10(B)は、本実施の形態の半導体装置260の断面図を示す。半導体装置260は、プリント基板に、実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層が設けられている。例えば、コア層261の一方の面に実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層262が設けられている。また、コア層261と、実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層262に含まれる半導体素子または配線が、封止層263を貫通するビア264で接続される。
【0141】
また、素子層262には多層配線265が設けられる。多層配線265の有機樹脂層266に形成されるビア267によって、コア層261、素子層262に形成される半導体素子及び配線等が、半導体装置260表面に形成される導体パターン268と接続される。
【0142】
また、コア層261の他方の面には多層配線269が設けられている。
【0143】
また、半導体装置260に、コンデンサ、コイル、抵抗、ダイオード等のチップ271を導電性ペーストやワイヤー等の実装部材272で実装してもよい。
【0144】
本実施の形態の半導体装置は、プリント基板に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む層を有する。また、繊維体を用いたプリプレグを用いて素子層をプリント基板内に設ける。このため、局所的荷重(点圧、線圧等)がかかっても、繊維体で圧力が分散されるため、実装工程や湾曲による破壊を低減することができる。また、高集積化が可能である。
【0145】
(実施の形態6)
本実施の形態では、局所的荷重(点圧、線圧等)による破壊を低減することが可能な導電層を有する基板を作製する例を示す。
【0146】
ここでは、導電層を有する基板としてアンテナを有する基板を例として、作製方法を以下に示す。
【0147】
まず、実施の形態1と同様に、図11(A)に示すように、絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上にバッファ層として機能する絶縁層103を形成し、絶縁層103上にアンテナとして機能する導電層904を形成する。
【0148】
アンテナとして機能する導電層904は、実施の形態1に示すアンテナ83と同様の材料及び作製方法を適宜用いることができる。
【0149】
次に、実施の形態2乃至4と同様に、導電層904上に繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体115を設ける。
【0150】
次に、構造体115を加熱し圧着して、図11(B)に示すように、繊維体113に含浸される有機樹脂121を含む封止層が導電層904及び絶縁層103の片面に形成される。なお、導電層904及び絶縁層103の片面に固着された有機樹脂121及び繊維体113を実施の形態1と同様、まとめて封止層120と示す。構造体115を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。ここで、絶縁層103及び封止層120を積層体126とする。
【0151】
次に、図11(C)に示すように、実施の形態2乃至4と同様の剥離を行って、絶縁表面を有する基板100から、絶縁層103を分離する。
【0152】
次に、絶縁層103または封止層120の一部を除去し、導電層904の一部を露出させる。次に、図11(D)に示すように、導電層904に接続する接続端子905a、905bを形成する。接続端子905a、905bは実施の形態4に示す接続端子161と同様に形成することができる。なお、絶縁層103の一部を除去して接続端子905a、905bを形成する代わりに、封止層120の一部を除去して接続端子905a、905bを形成してもよい。
【0153】
以上の工程により、アンテナとして機能する導電層を有する基板を作製することができる。なお、当該アンテナに素子基板を接続しRFIDを作製することができる。その方法について、以下に示す。
【0154】
図11(E)に示すように、絶縁層103上に素子基板907を配置する。異方性導電材料を用いて圧着することで素子基板の端子部と導電層904との電気的な導通をとる。
【0155】
なお、積層体126に複数のアンテナとして機能する導電層が形成される場合、当該積層体を分断し、アンテナとして機能する導電層904を有する複数の積層体を形成した後、当該導電層904に素子基板を接続してもよい。
【0156】
また、図11(E)では絶縁層103に比較して小さい面積の素子基板907を設けた例を示したが、特に限定されず、絶縁層103とほぼ同じ面積の素子基板を設けてもよいし、絶縁層103よりも大きな面積の素子基板を設けてもよい。
【0157】
以上の工程により、ICタグとして機能する半導体装置が完成する。また、局所的押圧による破壊が少ない半導体装置を作製することができる。
【0158】
なお、最後に、保護のため、素子基板907を覆うように、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を絶縁層103に固着させてもよい。
【0159】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の構成及び応用例を示す。ここでは、半導体装置の代表例として、RFID及び記憶装置について説明する。
【0160】
はじめに、本発明の半導体装置の一つであるRFID501の回路構成例について説明する。図12に、RFID501のブロック回路図を示す。
【0161】
図12のRFID501の仕様は、国際標準規格のISO15693に準拠し、近傍型で、交信信号周波数は13.56MHzである。また、受信はデータ読み出し命令のみ対応し、送信のデータ伝送レートは約13kHzであり、データ符号化形式はマンチェスタコードを用いている。
【0162】
RFID501の回路部412は、大別して、電源部460、信号処理部461から構成される。電源部460は、整流回路462と保持容量463を有する。また、電源部460に、アンテナ411から受信した電力が過剰であった場合、内部回路を保護するための保護回路部(リミッタ回路部ともいう)と、保護回路部を動作させるかどうかを制御するための保護回路制御回路部とを設けてもよい。当該回路部を設けることにより、RFIDと通信機との通信距離が極端に短い状況等においてRFIDが大電力を受信することによって生じる不具合を防ぐことができ、RFIDの信頼性の向上を図ることができる。すなわち、RFID内部の素子の劣化や、RFID自体を破壊することなく、RFIDを正常に動作させることができる。
【0163】
なお、ここでは、通信機とはRFIDと無線通信により情報の送受信を行う手段を有していればよく、例えば、情報を読み取るリーダや、読み取り機能及び書き込み機能を備えたリーダ/ライタ等が挙げられる。また、読み取り機能と書き込み機能の一方又は両方を備える携帯電話やコンピュータ等も含まれる。
【0164】
整流回路462は、アンテナ411で受信された搬送波を整流し、直流電圧を生成する。保持容量463は、整流回路462で生成された直流電圧を平滑化する。電源部460において生成された直流電圧は電源電圧として、信号処理部461の各回路に供給される。
【0165】
信号処理部461は、復調回路464、クロック生成/補正回路465、認識/判定回路466と、メモリコントローラ467、マスクROM468、符号化回路469、および変調回路470を有する。
【0166】
復調回路464はアンテナで受信した信号を復調する回路である。復調回路464で復調された受信信号はクロック生成/補正回路465と認識/判定回路466に入力される。
【0167】
クロック生成/補正回路465は信号処理部461の動作に必要なクロック信号を生成し、さらにそれを補正する機能を有する。例えば、クロック生成/補正回路465は、電圧制御発振回路(以下VCO(Voltage Controlled Oscillator)回路)を有し、VCO回路の出力を帰還信号にして、供給される信号との位相比較し、入力される信号と帰還信号が一定の位相になるよう負帰還により出力信号の調整を行う。
【0168】
認識/判定回路466は、命令コードを認識し判定する。認識/判定回路466が認識し、判定する命令コードは、フレーム終了信号(EOF、end of frame)、フレーム開始信号(SOF、start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等である。また、認識/判定回路466は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC、cyclic redundancy check)機能も含む。
【0169】
メモリコントローラ467は、認識/判定回路466で処理された信号を基に、マスクROMからデータを読み出す。また、マスクROM468は、IDなどが記憶されている。マスクROM468を搭載することで、複製や改ざんが不可能な読み取り専用のRFID501として構成される。このような読み取り専用のRFID501を紙に抄き込むことで、偽造防止の紙を提供することができる。
【0170】
符号化回路469はメモリコントローラ467がマスクROM468から読み出したデータを符号化する。符号化されたデータは変調回路470で変調される。変調回路470で変調されたデータはアンテナ411から搬送波に重畳させて送信される。
【0171】
次に、RFIDの使用例について示す。本発明のRFIDはあらゆる紙媒体及びフィルム媒体に使用できる。特に、本発明のRFIDは、偽造防止が要求されるあらゆる紙媒体に使用することができる。例えば、紙幣、戸籍謄本、住民票、パスポート、免許証、身分証、会員証、鑑定書、診察券、定期券、手形、小切手、貨物引換証、船貨証券、倉庫証券、株券、債券、商品券、チケット、抵当証券などである。
【0172】
また、本発明の実施により、紙媒体上で視覚的に示される情報以上の多くの情報を紙媒体及びフィルム媒体に持たせることができるため、本発明のRFIDを商品ラベルなどに適用することで、商品の管理の電子システム化や、商品の盗難の防止に利用できる。以下、図13を用いて、本発明に係る紙の使用例を説明する。
【0173】
図13(A)は、本発明のRFID501を抄き込んだ紙を使用した無記名債券類511の一例である。無記名債券類511には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。また、図13(B)は、本発明に係るRFID501を抄き込んだ紙を使用した証書類512(例えば、住民票、戸籍謄本)の一例である。
【0174】
図13(C)は、本発明のRFIDをラベルに適用した一例である。ラベル台紙(セパレート紙)513上に、RFID501が抄き込まれた紙でラベル(IDシール)514が形成されている。ラベル514は、ボックス515内に収納されている。ラベル514上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が印刷されている。さらに、RFID501には、その商品(又は商品の種類)固有のIDナンバーが記憶されているため、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。RFID501には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができる。そのため、取引者や消費者は、簡易な通信機によって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
【0175】
図13(D)は、RFID501を抄き込んだ紙またはフィルムでなるタグ516を示している。RFID501を抄き込んだ紙またはフィルムでタグ516を作製することで、プラスチックの筐体を使用した従来のIDタグよりも安価に製造することができる。図13(E)は、本発明のRFIDを表紙に用いた書籍517であり、表紙にRFID501が抄き込まれている。
【0176】
本発明の半導体装置の一例であるRFIDを搭載したラベル514やタグ516を商品に取り付けておくことで、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、本発明のRFIDをIDタグとして用いることで、商品の原材料や産地、製造や加工、流通、販売などに至るまでの履歴管理や、追跡照会を可能にする。すなわち、商品のトレーサビリティを可能にする。また、本発明により、商品のトレーサビリティ管理システムを従来よりも低コストで導入をすることを可能する。
【0177】
また、本発明の半導体装置の一例であるRFIDは、局所的押圧により破壊しにくい。このため、本発明の半導体装置の一例であるRFIDを有する紙媒体及びフィルム媒体は、貼り付けや設置等の処理において、湾曲させることが可能であり、処理効率が高まる。また、本発明の半導体装置の一例であるRFIDを有する紙媒体及びフィルム媒体に筆記用具で情報を記入することが可能であるため、用途範囲が広がる。
【0178】
次に、本発明の半導体装置の一形態である記憶装置の構成について、以下に示す。ここでは記憶装置の代表例として不揮発性記憶装置を用いて示す。
【0179】
図14は、不揮発性半導体記憶装置の回路ブロック図の一例を示している。不揮発性半導体記憶装置は、メモリセルアレイ552と周辺回路554が同一の素子層上に形成されている。メモリセルアレイ552は、実施の形態1で示すような不揮発性記憶素子を有している。周辺回路554の構成は以下の通りである。
【0180】
ワード線選択のためにロウデコーダ562と、ビット線選択のためにカラムデコーダ564が、メモリセルアレイ552の周囲に設けられている。アドレスは、アドレスバッファ556を介してコントロール回路558に送られ、内部ロウアドレス信号及び内部カラムアドレス信号がそれぞれロウデコーダ562及びカラムデコーダ564に転送される。
【0181】
データ書き込み及び消去には、電源電位を昇圧した電位が用いられる。このため、コントロール回路558により動作モードに応じて制御される昇圧回路560が設けられている。昇圧回路560の出力はロウデコーダ562やカラムデコーダ564を介して、ワード線やビット線に供給される。センスアンプ566はカラムデコーダ564から出力されたデータが入力される。センスアンプ566により読み出されたデータは、データバッファ568に保持され、コントロール回路558からの制御により、データがランダムアクセスされ、データ入出力バッファ570を介して出力されるようになっている。書き込みデータは、データ入出力バッファ570を介してデータバッファ568に一旦保持され、コントロール回路558の制御によりカラムデコーダ564に転送される。
【0182】
このように、不揮発性半導体記憶装置では、メモリセルアレイ552において、電源電位とは異なる電位を用いる必要がある。そのため、少なくともメモリセルアレイ552と周辺回路554の間は、電気的に絶縁分離されていることが望ましい。この場合、不揮発性記憶素子及び周辺回路のトランジスタを絶縁表面に形成した非単結晶半導体層で形成することにより、容易に絶縁分離をすることができる。それにより、誤動作を無くし、消費電力の低い不揮発性半導体記憶装置を得ることができる。
【0183】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置を用いた電子機器について以下に示す。
【0184】
本発明の半導体装置を適用した電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図15に示す。
【0185】
図15(A)、(B)は、デジタルカメラを示している。図15(B)は、図15(A)の裏側を示す図である。このデジタルカメラは、筐体2111、表示部2112、レンズ2113、操作キー2114、シャッターボタン2115などを有する。筐体2111内部には、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2116を備えている。
【0186】
また、図15(C)は、携帯電話を示しており、携帯端末の1つの代表例である。この携帯電話は筐体2121、表示部2122、操作キー2123などを含む。また、携帯電話の内部には、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2125を備えている。
【0187】
また、図15(D)は、デジタルプレーヤーを示しており、オーディオ装置の1つの代表例である。図15(D)に示すデジタルプレーヤーは、本体2130、表示部2131、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2132、操作部2133、イヤホン2134等を含んでいる。
【0188】
また、図15(E)は、電子ブック(電子ペーパーともいう)を示している。この電子ブックは、本体2141、表示部2142、操作キー2143、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2144を含んでいる。またモデムが本体2141に内蔵されていてもよいし、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0189】
以上の様に、本発明の半導体装置の適用範囲は極めて広く、他の電子機器に用いることが可能である。
【実施例1】
【0190】
本実施例では、素子層にプリプレグを設けたインレット、及び当該インレットを紙に抄きこむ方法、ならびに作製したインレットの点圧耐性の測定結果について以下に示す。
【0191】
図16(A)に示すように、基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102及びアンテナ112を形成した。次に、素子層102及びアンテナ112上に、繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体115を設ける。なお、素子層102の構造として、図3(A)を用いて説明する。
【0192】
ここでは、基板100としてコーニング社のガラス基板を用いた。剥離層101としては、タングステンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ50nmのタングステン層を形成し、タングステン層の表面を一酸化二窒素プラズマで処理してタングステン層の表面を酸化して酸化タングステン層を形成した。
【0193】
次に、バッファ層として機能する絶縁層103として、プラズマCVD法で、厚さ600nmの酸化窒化珪素層を形成した。このときの原料ガスとしては、12:1200:150:200の流量比のSiH4、H2、NH3、及びN2Oを用いた。
【0194】
バッファ層として機能する絶縁層上に下地層として機能する絶縁層104として厚さ50nmの窒化酸化珪素層及び厚さ100nmの酸化窒化珪素層を順にプラズマCVD法により形成した。このときの原料ガスとしては、窒化酸化珪素層は流量比15:1200:150:20のSiH4、H2、NH3、及びN2Oを用い、酸化窒化珪素層は、流量比1:120のSiH4、及びN2Oを用いた。
【0195】
次に、絶縁層104上にプラズマCVD法により非晶質珪素層を形成した後、650℃で1〜10分間加熱して非晶質珪素層に含まれる水素を除去した。次に、パルス発振のレーザビームを非晶質珪素層に照射して非晶質珪素層を結晶化して結晶性珪素層を形成した。ここでのレーザビームの照射条件としては、周波数80MHz、YVO4レーザの第2高調波(波長532nm)、レーザビームの走査速度は300cm/sec以上400cm/sec以下、レーザビームのパワーは15W以上25W以下とした。
【0196】
次に結晶性珪素層上にフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成し、当該マスクを用いて結晶性珪素層を選択的にエッチングして結晶性を有する半導体層を形成した。このときのエッチングガスは、流量比51:30のCF4及びO2を用いた。この後レジストマスクを除去した。
【0197】
次に、半導体層上にゲート絶縁層として機能する絶縁層として、厚さ20nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成した。
【0198】
次に、ゲート絶縁層として機能する絶縁層上に、タンタルターゲットをアルゴンガス及び窒素ガスでスパッタリングして、厚さ30nmの窒化タンタル層を形成し、次にタングステンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ170nmのタングステン層を順に形成した。次に、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて、流量比3:3:1のCl2、SF6、及びO2でエッチングした後、流量比6:1:1:4のCl2、SF6、CF4、及びO2でエッチングした。次に、流量比1:1のCl2及びSF6を用いて窒化タンタル層をエッチングして、厚さ30nmの窒化タンタル層及び厚さ170nmのタングステン層が積層したゲート電極を形成した。
【0199】
次に、後にpチャネル型薄膜トランジスタとなる半導層上にフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成して、後にnチャネル型薄膜トランジスタとなる半導体層にゲート電極をマスクとしてリンをドーピングした。このときのリンの不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm3とした。この後、pチャネル型薄膜トランジスタを覆うレジストマスクを除去した。
【0200】
次に、後にnチャネル型薄膜トランジスタとなる半導層上にフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成して、後にpチャネル型薄膜トランジスタとなる半導体層にゲート電極をマスクとしてボロンをドーピングした。このときのボロンの不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm3とした。この後、nチャネル型薄膜トランジスタを覆うレジストマスクを除去した。
【0201】
次に、ゲート電極及びゲート絶縁層として機能する絶縁層上に層間絶縁層として絶縁層106、107を形成した。ここでは、絶縁層106として厚さ50nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成した。このときの原料ガスとしては、SiH4及びN2Oを5:80の流量比で用いた。絶縁層107として、厚さ100nmの窒化酸化珪素層、及び厚さ600nmの酸化窒化珪素層を順にプラズマCVD法により形成した。このときの原料ガスとしては、窒化酸化珪素層は流量比16:80:80:150:12のSiH4、H2、N2、NH3、及びN2Oを用い、酸化窒化珪素層は、流量比5:80のSiH4及びN2Oを用いた。
【0202】
次に、410℃で1時間加熱して半導体層の水素化処理を行った後、フォトリソグラフィー工程で形成したレジストマスクを用いて選択的に絶縁層106、107それぞれの一部をエッチングして、半導体層のソース領域及びドレイン領域を露出した。この後レジストマスクを除去した。
【0203】
次に、絶縁層107上に、チタンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして、厚さ100nmのチタン層を形成し、次にアルミニウムターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ300nmのアルミニウム層を形成し、次にチタンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ100nmのチタン層を順に形成した。次に、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて、流量比7:1のBCl3及びCl2でエッチングした後、流量比15:3のBCl3及びCl2でエッチングして導電層108、109を形成した。この後レジストマスクを除去した。
【0204】
次に、導電層108、109、絶縁層107上にポジ型の感光性ポリイミド樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を2000nm塗布し乾燥させた後、露光した後、現像液で未硬化部を除去して320℃で1時間加熱して絶縁層111を形成した。なお、上記露光により導電層109を露出するように選択的にポリイミド樹脂を露光した。次に、絶縁層111上に、チタンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして、厚さ100nmのチタン層を形成し、次にアルミニウムターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ700nmのアルミニウム層を形成した。次に、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて、流量比7:1のBCl3及びCl2でエッチングした後、流量比15:3のBCl3及びCl2でエッチングしてアンテナ112を形成した。この後レジストマスクを除去した。
【0205】
次に、素子層102及びアンテナ112上に厚さ35μm、繊維体としてEガラス繊維を用いた構造体115を設けた後、減圧下で100℃で加熱した後、大気圧開放して圧力を加えた。この後電気炉で190〜210℃で1時間加熱して、図16(B)に示すように素子層102及びアンテナ112に封止層120を形成した。
【0206】
次に、図16(B)に示すように、二酸化炭素レーザ発振器から発振されるレーザビーム122を剥離層101に照射して、図16(C)に示すように素子層102及び構造体115に溝123を形成した。次に、絶縁表面を有する基板100を水に浸して剥離層101から素子層102を剥離した。
【0207】
次に、剥離層101の剥離面(具体的にはバッファ層として機能する絶縁層103の表面)に構造体115と同様に、厚さ30μmの構造体を設け、加熱及び圧着し封止層125を形成した。なお構造体には、高強度繊維であるEガラスを用いたガラスクロスが含まれる。
【0208】
この後、図16(D)に示すように、二酸化炭素レーザ発振器から発振されるレーザビーム211を照射して、図16(E)に示すように、複数のインレット221a〜221cを形成した。このときのインレット221a〜221cの厚さは75μmであった。
【0209】
このときのインレット221a〜221cの点圧耐性を測定した結果を以下に示す。
【0210】
このときの測定装置としては、圧縮試験装置を用い、一定速度で圧子を降下し、インレットに設定荷重がかかったら圧子を上昇させることで、インレットの状態を測定した。ここで用いた圧子の先端は曲線状であり、先端の曲線の曲率半径0.5mmである。インレット221a〜221cに3MPaの圧力を加えた場合、インレットが破損された割合は0%であった。また、6MPaの圧力をインレット221a〜221cにかけた場合、インレットが破損された割合は25%であった。
【0211】
なお、比較例として、同様の工程により素子層102及びアンテナ112を形成し、当該素子層102及びアンテナ112上に厚さ約10μmのエポキシ層を形成し、エポキシ層表面及び素子層表面にそれぞれ、厚さ6μmのPETフィルムを厚さ4μmのアクリル粘着剤で固定し作製したインレットに同様の点圧耐性試験を行った。このとき、3MPaの圧力を加えた場合、インレットが破損された割合は0%であった。また、6MPaの圧力をインレット221a〜221cにかけた場合、インレットが破損された割合は100%であった。
【0212】
以上のことから、本発明に示す半導体装置のように、素子層の表面に繊維体が固着されたインレット(半導体装置)は、点圧耐性が高まり、点圧による破壊を低減することができることがわかる。
【0213】
次に、当該インレットを紙に抄きこむことで、半導体装置を含む紙を形成することができる。具体的には、中空状の下部開口部に網が設けられた材料投入部から紙を溶いたパルプ希釈液をいれ、材料投入部内を減圧することで、網に紙繊維が絡まり湿紙を形成する。当該湿紙を網からはずし、厚紙で挟んで圧力をかけて厚さを均一にする。次に、厚さを均一にした湿紙222上にインレット221a〜221cを配置し、湿紙222と同様の工程により湿紙223を形成する。この後、プレス機で湿紙222、223に圧力を加えることで湿紙222、223のパルプ繊維が絡み合う。この後、乾燥機で湿紙222、223に含まれる水分を蒸発させることで、図16(G)に示すように、インレット221a〜221cを含む紙231、232を形成することができる。
【0214】
この後、紙231、232を適当な大きさに切断することより、インレットを含む紙、即ち紙で挟まれた半導体装置241を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の半導体装置を説明する断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図8】本発明に適用可能な繊維体を説明する上面図である。
【図9】本発明に適用可能なアンテナを説明する上面図である。
【図10】本発明の半導体装置を説明する斜視図及び断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図及び斜視図である。
【図12】本発明の半導体装置を説明する図である。
【図13】本発明の半導体装置の応用例を説明する斜視図である。
【図14】本発明の半導体装置を説明する図である。
【図15】本発明の半導体装置を適用することが可能な電子機器を説明する図である。
【図16】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非単結晶半導体層を用いた半導体素子を有する半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、無線チップ、センサ等、各種装置の薄型化が製品小型化の上で重要な要素となっており、薄型化技術や小型化製品の使用範囲が急速に広まっている。これらの薄型化された各種装置はある程度フレキシブルなため湾曲したものに設置して使用することが可能である。
【0003】
そこで、ガラス基板上に形成した薄膜トランジスタを含む素子層を基板から剥離し、他の基材、例えばプラスチックフィルムなどに転写して半導体装置を作製する技術が提案されている。
【0004】
本出願人は、特許文献1や特許文献2に記載の剥離および転写技術を提案している。特許文献1には剥離層となる酸化珪素層をウェットエッチングで除去して剥離する技術が記載されている。また、特許文献2には剥離層となるシリコン層をドライエッチングで除去して剥離する技術が記載されている。
【0005】
また、本出願人は特許文献3に記載の剥離および転写技術を提案している。特許文献3には、基板に金属層(Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir)を形成し、その上に酸化物層を積層形成する際、該金属層の酸化金属層を金属層と酸化物層との界面に形成し、この酸化金属層を利用して後の工程で剥離を行う技術が記載されている。
【0006】
また、特許文献4では、0.5mm以下サイズの半導体チップを紙またはフィルム状の媒体に埋め込み、曲げや集中荷重を改善した半導体装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−288522号公報
【特許文献2】特開平8−250745号公報
【特許文献3】特開2003−174153号公報
【特許文献4】特開2004−78991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アンテナをチップに作り込んで内蔵(オンチップ化)する半導体装置の場合、チップの大きさが小さいとアンテナサイズが小さくなり通信距離が短くなる問題がある。また、紙またはフィルム媒体に設けられたアンテナをチップに接続して半導体装置を作製する場合、チップの大きさが小さいと、接続不良が生じる。
【0008】
このため、接続不良の防止や通信距離の低減を防止するためにチップ自体を大きくすることが考えられるが、チップの面積が大きくなると、プラスチックフィルムなどに転写され作製された半導体装置は、外部からの局所的な押圧で、亀裂が入り、動作不良となる。例えば、筆記用具で半導体装置表面のプラスチックシートまたは紙に文字を記入する際、半導体装置に筆圧がかかってしまい、半導体装置が破壊される問題がある。また、ロールトゥロール法を用いて半導体装置を作製する場合、ロールに挟まれる領域において線状の圧力がかかり、半導体装置が破壊される問題があった。
【0009】
そこで本発明は、外部から局所的に圧力がかかっても破損しにくい半導体装置を提供する。また、外部からの局所的押圧による非破壊の信頼性が高い半導体装置を歩留まり高く作製する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層上に、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を設け、加熱圧着することにより、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体及び素子層が固着された半導体装置を作製することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、絶縁性表面を有する基板上に剥離層を形成し、剥離層上に非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層を形成し、素子層上に、有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を設け、加熱圧着することにより、素子層上に有機化合物または無機化合物の繊維体に有機樹脂が含浸された封止層を形成し、剥離層から素子層を剥離して半導体装置を作製することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層と、素子層に接し且つ局所的な押圧を緩和させる封止層とを有する半導体装置である。なお、有機樹脂は、素子層及び繊維体を固着すると共に、繊維体に含浸される。
【0013】
また、本発明の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層と、有機化合物または無機化合物の繊維を用いた繊維体と、素子層及び繊維体を固着する有機樹脂とを有する半導体装置である。なお、有機樹脂は、素子層及び繊維体を固着すると共に、繊維体に含浸される。
【0014】
また、本発明の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成された半導体素子を有する素子層と、有機化合物または無機化合物の繊維を用いた繊維体及び繊維体に含浸される有機樹脂を含む封止層とを有する半導体装置である。
【0015】
素子層の厚さは1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下であり、封止層の厚さは厚さ10μm以上100μm以下であることが好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0016】
繊維体としては、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布である。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。またはヤング率が高い繊維である。
【0017】
また、有機樹脂としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0018】
繊維体として高強度繊維を用いることにより、局所的な押圧が半導体装置にかかったとしても、当該圧力が繊維体全体に分散し、半導体装置の一部が延伸することを防ぐことができる。即ち、一部の延伸に伴う配線、半導体素子等の破壊を防止することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、外部から局所的な圧力がかかっても破損しにくく、信頼性が高い半導体装置を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる形態で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態及び実施例を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
(実施の形態1)
本実施の形態では、局所的押圧(点圧、線圧等)によっても破損しにくく、信頼性の高い半導体装置について、図1、図8及び図9を用いて示す。
【0022】
本実施の形態の半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層上に、有機化合物または無機化合物の繊維体及び繊維体に含浸される有機樹脂を含む封止層が形成されていることを特徴とする。
【0023】
素子層に含まれる非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子の代表例としては、薄膜トランジスタ、ダイオード、不揮発性記憶素子等の能動素子、抵抗素子、容量素子等の受動素子がある。また、非単結晶半導体層としては、結晶性半導体層、非晶質半導体層、微結晶半導体層等がある。また、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等がある。また、半導体として、金属酸化物を用いることが可能であり、代表的には酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等がある。また、半導体としては、有機半導体材料を用いることが可能である。素子層の厚さとしては、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下が好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。また、半導体装置の上面の面積は、4mm2以上、さらには9mm2以上が好ましい。
【0024】
図1は、本実施の形態の半導体装置の断面図を示す。
【0025】
図1(A)に示す半導体装置50は、薄膜トランジスタ52a、52bを有する素子層51の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。ここでは、素子層51に固着される繊維体113及び有機樹脂114をまとめて封止層120と示す。また封止層120は、素子層に形成される半導体素子を覆うように設けられる。このような半導体装置50の代表例として、他の装置の制御やデータの計算・加工を行なうマイクロプロセッサ(MPU)がある。MPUは、CPU、メインメモリ、コントローラ、インターフェース、I/Oポート等を有し、これらを薄膜トランジスタ、抵抗素子、容量素子、配線等で構成することができる。
【0026】
また、図1(B)に示す半導体装置60は、記憶素子62及び薄膜トランジスタ52bを有する素子層61の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。記憶素子としては、フローティングゲートまたは電荷蓄積層を有する不揮発性記憶素子、薄膜トランジスタ及びそれに接続される容量素子、薄膜トランジスタ及びそれに接続される強誘電層を有する容量素子、一対の電極の間に有機化合物層が挟まれる有機メモリ素子等がある。また、このような記憶素子を有する半導体装置としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置がある。ここでは、記憶素子62としてフローティングゲート電極63を有する不揮発性記憶素子を示す。
【0027】
また、図1(C)に示す半導体装置70は、ダイオード72及び薄膜トランジスタ52bを有する素子層71の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。ダイオードとしては、アモルファスシリコンを用いたダイオード、結晶性珪素層を用いたダイオード等がある。また、このようなダイオードを有する半導体装置としては、光センサ、太陽電池等がある。ここでは、ダイオード72として、アモルファスシリコンを用いたダイオードを示す。
【0028】
また、図1(D)に示す半導体装置80は、薄膜トランジスタ52a、52bを有する素子層81、及び薄膜トランジスタ52aまたは52bに電気的に接続するアンテナ83の一表面に、繊維体113が有機樹脂114によって固着されている。このような半導体装置の代表例としては、無線で情報を送受信することが可能なIDタグ、ICタグ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子タグ、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、ICカード、IDカード等(以下、RFIDと示す。)がある。また、本発明の半導体装置は、薄膜トランジスタ等で構成される集積回路部とアンテナを封止したインレットや、当該インレットをシール状やカード状にしたものを含む。また、半導体装置80の上面の面積を、4mm2以上、さらには9mm2以上とすることで、アンテナの面積を大きく形成することが可能であるため、通信機との通信距離の長いRFIDとすることができる。
【0029】
さらには、図1(A)乃至(D)に示す素子層の一表面の他に、他方の面にも繊維体113が有機樹脂によって固着されていてもよい。即ち、素子層の両表面に封止層を有し、素子層に形成される半導体素子を両面から覆うように対向する一対の封止層が設けられてもよい。図1(E)に示す半導体装置90では、図1(A)に示す半導体装置の素子層51の一方の面に封止層120aを有し、素子層51の他表面に封止層120bを有する。このときの封止層120a、120bは同じ材質の繊維体及び有機樹脂で形成されていることが反り低減の為には好ましいが、表裏を判別して使用する用途の場合には必ずしも同じ材質である必要性はない。このように繊維体に含浸される有機樹脂が固着されることにより、素子層の両面が繊維体により支持されるため、半導体装置の反りを減少させることが可能であり、後のラミネートフィルムやシール等へ当該半導体装置を搭載することが容易となる。
【0030】
素子層の一表面または両面に設けられる繊維体113は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、素子層全面を覆う。高強度繊維としては、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維である。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維を用いることができる。なお、繊維体113は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0031】
また、繊維体113は、繊維(単糸)の束(以下、糸束という。)を経糸及び緯糸に使って製織した織布、または複数種の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布で構成されてもよい。織布の場合、平織り、綾織り、繻子織り等適宜用いることができる。
【0032】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした糸束を用いてもよい。開繊加工をした糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化しやすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、繊維体113の厚さを薄くすることが可能である。このため、構造体115の厚さを薄くすることが可能であり、薄型の半導体装置を作製することができる。糸束幅は4μm以上400μm以下、好ましくは4μm以上200μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に細くてもよい。また、糸束の厚さは、4μm以上20μm以下において本発明の効果を確認しており、原理上は更に薄くても良く、その幅及び厚さは繊維の材料に依存する。
【0033】
なお、本明細書の図面においては、繊維体113は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。また、薄膜トランジスタ52a、52bが繊維体113の糸束よりも大きいが、薄膜トランジスタ52a、52bの大きさが繊維体113の糸束よりも小さい場合もある。
【0034】
繊維体113が糸束を経糸及び緯糸に使って製織した織布の上面図を図8に示す。
【0035】
図8(A)に示すように、繊維体113は、一定間隔をあけた経糸113a及び一定間隔をあけた緯糸113bが織られている。このような繊維体には、経糸113a及び緯糸113bが存在しない領域(バスケットホール113cという)を有する。このような繊維体113は、有機樹脂が繊維体に含浸される割合が高まり、繊維体113及び素子層の密着性を高めることができる。
【0036】
また、図8(B)に示すように、繊維体113は、経糸113a及び緯糸113bの密度が高く、バスケットホール113cの割合が低いものでもよい。代表的には、バスケットホール113cの大きさが、局所的に押圧される面積より小さいことが好ましい。代表的には一辺が0.01mm以上0.2mm以下の矩形であることが好ましい。繊維体113のバスケットホール113cの面積がこのように小さいと、先端の細い部材(代表的には、ペンや鉛筆等の筆記用具)により押圧されても、当該圧力を繊維体113全体で吸収することが可能である。
【0037】
また、糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、糸束に表面処理が施されても良い。例えば、糸束表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0038】
繊維体113に含浸され、且つ素子層表面を封止する有機樹脂114は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、上記熱可塑性樹脂及び上記熱硬化性樹脂の複数を用いてもよい。上記有機樹脂を用いることで、熱処理により繊維体を素子層に固着することが可能である。なお、有機樹脂114はガラス転移温度が高いほど、局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0039】
また、封止層120の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μmが好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0040】
有機樹脂114または糸束内に高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、アルミナ等がある。また、高熱伝導性フィラーとしては、銀、銅等の金属粒子がある。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または糸束内に含まれることにより素子層での発熱を外部に放出しやすくなるため、半導体装置の蓄熱を抑制することが可能であり、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0041】
また、図1(E)において、素子層51に形成される封止層120aの繊維体の経糸または緯糸の方向と、封止層120bの繊維体の経糸または緯糸の方向とが30°以上60°以下、好ましくは40°以上50°以下ずれていてもよい。この場合、素子層の表裏に設けられる繊維体の引っ張り方向が表裏で異なるため、局所的押圧の際の延伸が等方性的になる。このため、局所的押圧による破壊をさらに低減することができる。
【0042】
ここで、本実施の形態で示す半導体装置が有する効果について、図2を用いて示す。
【0043】
図2(A)に示すように、従来の半導体装置40は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層41が接着材42a、42bを用いてフィルム43a、43bで封止される。このような半導体装置に局所的な押圧44を加える。
【0044】
その結果、図2(B)に示すように、素子層41を構成する層、接着材42a、42b、フィルム43a、43bがそれぞれ延伸してしまい、押圧部において曲率半径の小さな湾曲が生じてしまう。この結果、素子層41を構成する半導体素子、配線等に亀裂が生じてしまい、半導体装置が破壊されてしまう。
【0045】
しかしながら、本実施の形態で示す半導体装置50は、図2(C)に示すように、素子層51の片面または両面には有機樹脂を含有する繊維体からなる封止層が設けられる。繊維体は高強度繊維で形成されており、高強度繊維は、引張弾性率が高い、またはヤング率が高い。このため、点圧や線圧等の局所的な押圧44がかかっても高強度繊維は延伸せず、押圧された力が繊維体全体に分散され、半導体装置全体で湾曲するようになる。この結果、局所的な押圧が加えられても、半導体装置で生じる湾曲は曲率半径の大きなものとなり、素子層51を構成する半導体素子、配線等に亀裂が生じず、半導体装置の破壊を低減することができる。
【0046】
また、素子層51の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層51の面積を大きくすることが可能である。このため、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0047】
次に、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子の構成について、以下に示す。
【0048】
図1(A)に示す薄膜トランジスタ52a、52bは、ソース領域、ドレイン領域、及びチャネル形成領域を有する半導体層53a、53b、ゲート絶縁層54、並びにゲート電極55a、55bで構成される。
【0049】
半導体層53a、53bは、厚さ10nm以上100nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下の非単結晶半導体で形成される層であり、非単結晶半導体層としては、結晶性半導体層、非晶質半導体層、微結晶半導体層等がある。また、半導体としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム化合物等がある。特に、瞬間熱アニール(RTA)又はファーネスアニール炉を用いた熱処理により結晶化させた結晶性半導体、加熱処理とレーザビームの照射を組み合わせて結晶化させた結晶性半導体を適用することが好ましい。加熱処理においては、シリコン半導体の結晶化を助長する作用のあるニッケルなどの金属元素を用いた結晶化法を適用することができる。
【0050】
加熱処理に加えてレーザビームを照射して結晶化する場合には、連続発振レーザビームの照射若しくは繰り返し周波数が10MHz以上であって、パルス幅が1ナノ秒以下、好ましくは1乃至100ピコ秒である高繰返周波数超短パルス光を照射することによって、結晶性半導体が溶融した溶融帯を、当該レーザビームの照射方向に連続的に移動させながら結晶化を行うことができる。このような結晶化法により、大粒径であって、結晶粒界が一方向に延びる結晶性半導体を得ることができる。
【0051】
ゲート絶縁層54は、厚さ5nm以上50nm以下、好ましくは10nm以上40nm以下の酸化珪素及び酸化窒化珪素などの無機絶縁物で形成する。
【0052】
ゲート電極55a、55bは、金属または一導電型を与える不純物を添加した多結晶半導体で形成することができる。金属を用いる場合は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。また、金属を窒化させた金属窒化物を用いることができる。或いは、当該金属窒化物からなる第1層と当該金属から成る第2層とを積層させた構造としても良い。このとき第1層を金属窒化物とすることで、バリアメタルとすることができる。すなわち、第2層の金属が、ゲート絶縁層やその下層の半導体層に拡散することを防ぐことができる。また、積層構造とする場合には、第1層の端部が第2層の端部より外側に突き出した形状としても良い。
【0053】
半導体層53a、53b、ゲート絶縁層54、ゲート電極55a、55bなどを組み合わせて構成される薄膜トランジスタ52a、52bは、シングルドレイン構造、LDD(低濃度ドレイン)構造、ゲートオーバーラップドレイン構造など各種構造を適用することができる。ここでは、シングルドレイン構造の薄膜トランジスタを示す。さらには、等価的には、同電位のゲート電圧が印加される複数のトランジスタが直列に接続された形となるマルチゲート構造、半導体層の上下をゲート電極で挟むデュアルゲート構造、絶縁層56上にゲート電極が形成され、ゲート電極上にゲート絶縁層、半導体層が形成される逆スタガ型薄膜トランジスタ等を適用することができる。
【0054】
半導体層53a、53bのソース領域及びドレイン領域に接する配線57a、57b、58a、58bは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)との積層構造など、アルミニウム(Al)のような低抵抗材料と、チタン(Ti)やモリブデン(Mo)などの高融点金属材料を用いたバリアメタルとの組み合わせで形成することが好ましい。
【0055】
なお、薄膜トランジスタとして金属酸化物や有機半導体材料を半導体層に用いた薄膜トランジスタを用いることが可能である。金属酸化物の代表例には酸化亜鉛や亜鉛ガリウムインジウムの酸化物等がある。
【0056】
図1(B)に示す記憶素子62は、半導体層53a、トンネル酸化層64、フローティングゲート電極63、コントロール絶縁層65、コントロールゲート電極63aで構成される不揮発性記憶素子である。
【0057】
トンネル酸化層64は、厚さ1nm〜10nm、好ましくは1nm〜5nmの酸化珪素若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造を減圧CVD法やプラズマCVD法などで形成することができる。また、プラズマ処理により半導体層を酸化又は窒化することによりトンネル酸化層を形成することができる。さらには、プラズマCVD法により形成した酸化珪素をプラズマ処理により酸化又は窒化してもよい。当該プラズマ処理して形成した絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れている。
【0058】
フローティングゲート電極63は、導電層、ポリシリコン層、シリコンドット等で形成することができる。また、フローティングゲート電極の代わりに、窒化珪素、窒化ゲルマニウム等で形成された電荷蓄積層を用いてもよい。
【0059】
コントロール絶縁層65は、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウムなどの一層若しくは複数層を、減圧CVD法やプラズマCVD法などで形成する。第2の絶縁層22の厚さは1nm〜20nm、好ましくは5〜10nmで形成する。
【0060】
図1(C)に示すダイオード72は、第1の電極として機能する配線58b、受光部73、及び第2の電極74で構成されている。受光部は、非晶質または結晶質のシリコンを有する半導体層で形成することができる。この代表例としては、シリコン層、シリコンゲルマニウム層、炭化シリコン層、又はこれらのPN接合層、PIN接合層が挙げられる。
【0061】
図1(D)に示すアンテナ83は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子を有する液滴やペーストを液滴吐出法(インクジェット法、ディスペンス法など)により吐出し、乾燥焼成して形成する。液滴吐出法によりアンテナを形成することで、工程数の削減が可能であり、それに伴うコスト削減が可能である。
【0062】
また、スクリーン印刷法を用いてアンテナ83を形成してもよい。スクリーン印刷法を用いる場合、アンテナ83の材料としては、粒径が数nmから数十μmの導電性粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性ペーストを選択的に印刷する。導電性粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成にあたり、導電性のペーストを印刷した後に焼成することが好ましい。
【0063】
また、アンテナ83は、スクリーン印刷法の他にもグラビア印刷等を用いてもよいし、メッキ法、スパッタリング法等を用いて、導電性材料により形成することができる。
【0064】
また、RFIDの信号の伝送方式として、電磁結合方式または電磁誘導方式(例えば13.56MHz帯)を適用する。磁束密度の変化による電磁誘導を利用する場合、アンテナの上面形状を輪状(例えば、ループアンテナ)、らせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成することができる。
【0065】
また、RFIDにおける信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用することもできる。その場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナの長さ等の形状を適宜設定すればよい。
【0066】
マイクロ波方式を適応することが可能なRFIDのアンテナ83の例を図9(A)〜(D)に一例を示す。例えば、アンテナの上面形状を線状(例えば、ダイポールアンテナ(図9(A)参照))、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ(図9(B)参照))またはリボン型の形状(図9(C)、(D)参照)等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0067】
以下の実施の形態では、半導体装置としてRFIDを一例にあげて、本実施の形態で示す半導体装置の作製方法を示す。
【0068】
(実施の形態2)
本実施の形態では、外部からの局所的圧力がかかっても破損しにくい半導体装置を歩留まり高く作製する方法を、図3を用いて示す。
【0069】
図3(A)に示すように、絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102及びアンテナ112を形成する。次に、素子層102及びアンテナ112上に、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体115を設ける。
【0070】
絶縁表面を有する基板100としては、素子層102及びアンテナ112を形成する温度に耐えうる基板を用いることが好ましく、代表的にはガラス基板、石英基板、セラミック基板、絶縁層が少なくとも一表面に形成された金属基板、有機樹脂基板等を用いることができる。ここでは、絶縁表面を有する基板100としてガラス基板を用いる。なお、素子層102の厚さとしては、1μm以上10μm以下、さらには1μm以上5μm以下が好ましい。このような厚さにすることにより、湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0071】
剥離層101は、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、厚さ30nm〜200nmのタングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、及び珪素(Si)の中から選択された元素、又は元素を主成分とする合金材料、又は元素を主成分とする化合物からなる層を、単層または複数の層を積層させて形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。なお、ここでは、塗布法は、溶液を被処理物上に吐出させて成膜する方法であり、例えばスピンコーティング法や液滴吐出法を含む。また、液滴吐出法とは微粒子を含む組成物の液滴を微細な孔から吐出して所定の形状のパターンを形成する方法である。
【0072】
剥離層101が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
【0073】
剥離層101が積層構造の場合、好ましくは、1層目として金属層を形成し、2層目として金属酸化物層を形成する。代表的には、1層目の金属層として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化物、タングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、又はタングステン、モリブデン、又はタングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物を含む層を形成する。
【0074】
剥離層101として、1層目として金属層、2層目として金属酸化物層の積層構造を形成する場合、金属層としてタングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステンを含む層と絶縁層との界面に、金属酸化物層としてタングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、金属層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行って金属酸化物層を形成してもよい。
【0075】
タングステンの酸化物は、WOxで表される。xは2以上3以下の範囲内にあり、xが2の場合(WO2)、xが2.5の場合(W2O5)、xが2.75の場合(W4O11)、xが3の場合(WO3)などがある。
【0076】
また、上記の工程によると、絶縁表面を有する基板100に接するように剥離層101を形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。絶縁表面を有する基板100に接するように下地となる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層101を設けてもよい。ここでは、剥離層101として厚さ30nm〜70nmのタングステン層をスパッタリング法により形成する。
【0077】
ここでは、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子の代表例として、実施の形態1で示す薄膜トランジスタ52a、52bと同様の構造を有する薄膜トランジスタ105a、105bを示す。
【0078】
また、ここでは、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102としては、バッファ層として機能する絶縁層103、下地層として機能する絶縁層104、薄膜トランジスタ105a、105b、薄膜トランジスタ105a、105bを覆う絶縁層106、絶縁層106を覆う絶縁層107、絶縁層106、107を介して薄膜トランジスタの半導体層のソース領域及びドレイン領域に接続する導電層108、109、導電層108、109及び絶縁層107の一部を覆う絶縁層111、絶縁層111を介して導電層109に接続するアンテナ112を示す。
【0079】
バッファ層として機能する絶縁層103は、後の剥離工程において、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面での剥離が容易となるように、または後の剥離工程において半導体素子や配線に亀裂やダメージが入るのを防ぐために設ける。バッファ層として機能する絶縁層103としては、スパッタリング法やプラズマCVD法、塗布法、印刷法等により、無機化合物を用いて単層又は多層で形成する。無機化合物の代表例としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等がある。なお、バッファ層として機能する絶縁層103に、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素等を用いることにより、外部から後に形成される素子層へ水分や、酸素等の気体が浸入することを防止することができる。バッファ層として機能する絶縁層103の厚さは10nm以上1000nm以下、さらには100nm以上700nm以下が好ましい。ここでは、厚さ500nm〜700nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。
【0080】
下地層として機能する絶縁層104は、バッファ層として機能する絶縁層103と同様の形成方法及び材料を適宜用いることができる。さらには、下地層として機能する絶縁層104を積層構造としても良い。例えば、無機化合物を用いて積層してもよく、代表的には、酸化珪素、窒化酸化珪素、及び酸化窒化珪素を積層して形成しても良い。下地層として機能する絶縁層104の厚さは10nm以上200nm以下、さらには50nm以上150nm以下が好ましい。ここでは、厚さ30〜70nmの窒化酸化珪素層をプラズマCVD法により形成し、その上に厚さ80〜120nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。なお、バッファ層として機能する絶縁層103を有する場合、敢えて下地層として機能する絶縁層104を形成しなくとも良い。
【0081】
絶縁層106、107は、薄膜トランジスタ及び配線を絶縁する層間絶縁層として機能する。絶縁層106、107は、バッファ層として機能する絶縁層103と同様の形成方法及び材料を用いることができる。なお、ここでは、絶縁層106、107の積層構造としたが、単層または2層以上の積層構造とすることができる。ここでは、絶縁層106として、厚さ30〜70nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。また、絶縁層107として、厚さ80〜120nmの窒化酸化珪素層をプラズマCVD法で形成した後、厚さ500〜700nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成する。
【0082】
導電層108、109は、実施の形態1に示す配線57a、57b、58a、58bと同様に形成することができる。ここでは、厚さ80〜120nmのチタン層、厚さ250〜350nmのアルミニウム層、及び厚さ80〜120nmのチタン層を順に積層形成した後、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて選択的にエッチングして、導電層108、109を形成する。
【0083】
導電層108、109の上に、窒化珪素、窒化酸化珪素、ダイヤモンドライクカーボン、窒化炭素等の保護層を設けてもよい。保護層を設けることにより、外部から薄膜トランジスタへ水分が浸入することを抑制することが可能であり、薄膜トランジスタ及び半導体装置の電気的特性の信頼性を高めることができる。
【0084】
絶縁層111は、バッファ層として機能する絶縁層103と同様の形成方法及び材料を用いて形成する。なお、絶縁層111は後に形成されるアンテナの下地層である。このため、絶縁層111の表面は平坦であることが好ましい。このため、絶縁層111は、有機樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を塗布し、乾燥焼成して形成することが好ましい。また、感光性樹脂を希釈した組成物を用いて絶縁層111を形成することで、従来のフォトリソグラフィー工程で形成したレジストマスクを用いてエッチングする工程よりも工程数が減るため、歩留まりが高くなる。ここでは、感光性ポリイミド樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を塗布し乾燥し、フォトマスクを用いて露光した後、未硬化部を除去し焼成して絶縁層111を形成する。
【0085】
アンテナ112は、実施の形態1に示すアンテナ83と同様の形成方法及び材料を用いて形成する。
【0086】
次に、アンテナ112上に、繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体115を設ける。このような構造体115は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体115の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能な半導体装置を作製することができる。
【0087】
次に、構造体115を加熱し圧着して、構造体115の有機樹脂114を可塑化または硬化する。なお、有機樹脂114が可塑性有機樹脂の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂を硬化する。
【0088】
有機樹脂114は加熱及び圧着により、素子層102及びアンテナ112の表面に有機樹脂114が均一に広がり硬化する。この結果、図3(B)に示すように、繊維体113に含浸し、かつ素子層102及びアンテナ112の片面に固着される有機樹脂121となる。なお、素子層102及びアンテナ112の片面に固着された有機樹脂121及び繊維体113を実施の形態1と同様、まとめて封止層120と示す。構造体115を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0089】
次に、図3(B)に示すように、後の剥離工程を容易に行うために、封止層120側から、封止層120、素子層及び剥離層101にレーザビーム122を照射して、図3(C)に示すような溝123を形成してもよい。溝123を形成するために照射するレーザビームとしては、剥離層101、素子層102、または封止層120を構成する層のいずれかが吸収する波長を有するレーザビームが好ましく、代表的には、紫外領域、可視領域、又は赤外領域のレーザビームを適宜選択して照射する。
【0090】
このようなレーザビームを発振することが可能なレーザ発振器としては、KrF、ArF、XeCl等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF、CO2等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶、ガラス、ルビー等の固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、その固体レーザ発振器においては基本波〜第5高調波を適宜適用するのが好ましい。
【0091】
次に、図3(D)に示すように、溝123をきっかけとして、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面において、剥離層101が形成される絶縁表面を有する基板100と、素子層の一部124とを物理的手段により剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を加える手段を指しており、その手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理)である。このとき、封止層120表面に光または熱により剥離可能な粘着シートを設けると、さらに剥離が容易となる。
【0092】
また、溝123に液体を滴下し、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面に液体を浸透させて剥離層101から素子層102を剥離してもよい。この場合、溝123にのみ液体を滴下してもよいし、または絶縁表面を有する基板100、素子層102、アンテナ112、及び封止層120全体を液体に浸して、溝123から剥離層101及び素子層102の界面に液体を浸透させても良い。
【0093】
本実施の形態においては、剥離層としてバッファ層に接する層に金属酸化層を形成し、物理的手段により、素子層の一部124を剥離する方法を用いたがこれに限られない。絶縁表面を有する基板100に透光性を有する基板を用い、剥離層に水素を含む非晶質珪素層を用い、図3(B)のレーザビーム122の代わりに、絶縁表面を有する基板100側から剥離層101にレーザビームを照射して、非晶質珪素層に含まれる水素を気化させて、絶縁表面を有する基板100と剥離層との間で剥離する方法を用いることができる。
【0094】
また、図3(B)においてレーザビーム122を照射する工程の代わりに、絶縁表面を有する基板100を機械的に研磨し除去する方法や、絶縁表面を有する基板100をフッ化水素酸等の溶液を用いて溶解して絶縁表面を有する基板100を除去する方法を用いることができる。この場合、剥離層を用いなくともよい。
【0095】
また、図3(C)において、溝123にNF3、BrF3、ClF3等のフッ化ガスを導入し、剥離層をフッ化ガスでエッチングし除去して、絶縁表面を有する基板100から素子層の一部124を剥離する方法を用いることができる。
【0096】
また図3(C)において、溝123にNF3、BrF3、ClF3などのフッ化ガスを導入し、剥離層の一部をフッ化ガスでエッチングし除去した後、有機樹脂121に粘着部材を貼りあわせて、絶縁表面を有する基板100から素子層の一部124を物理的手段により剥離する方法を用いることができる。
【0097】
なお、素子層102に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層102及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出してもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。
【0098】
以上により、半導体装置を作製することができる。なお、バッファ層として機能する絶縁層103側にも封止層を形成してもよい。封止層を形成する場合は、図1(A)と同様にバッファ層として機能する絶縁層103上に構造体を設け、構造体を加熱し圧着して、構造体の有機樹脂を可塑化または硬化する。有機樹脂が可塑性の場合、この後、室温に冷却することにより可塑化した有機樹脂も硬化する。この結果、図3(E)に示すように、繊維体113に含浸し、かつバッファ層として機能する絶縁層に形成される有機樹脂121からなる封止層125を形成することができる。即ち、素子層102の両面に封止層120、125が設けられる半導体装置を作製することができる。
【0099】
なお、素子層102に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層102及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出してもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。分断する際は、ダイシング、スクライビング、はさみやナイフなどの刃物を有する裁断機、又はレーザーカット法等により選択的に分断することができる。
【0100】
本実施の形態で示す半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を有する素子層と、繊維体とが有機樹脂で固着されている。繊維体は、局所的な押圧による圧力を繊維全体へ分散するため、局所的に圧力がかかりにくい。このため、半導体装置を構成する配線や半導体素子が延伸されず、半導体装置が破壊されにくい。また、素子層に高強度繊維からなる繊維体が固着されているため、剥離工程においても、素子層が延伸しにくい。即ち、素子層に形成される半導体素子、配線等が延伸することを低減することができる。このため、歩留まりを向上させることができる。
【0101】
また、素子層の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層の面積を大きくすることが可能である。このため、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0102】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2と比較して、さらに破壊されにくい半導体装置の作製方法を図4を用いて説明する。
【0103】
実施の形態1と同様に、図4(A)に示すように絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102及びアンテナ112を形成する。次に、素子層102及びアンテナ112上に構造体115を設け、構造体115上に保護フィルム131を設ける。
【0104】
保護フィルム131としては、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アラミド系樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。
【0105】
保護フィルム131が高強度材料で形成されていることで、実施の形態2と比較してさらに局所的な押圧による破壊を抑制することができる。具体的には、構造体115の繊維体113において、経糸束及び緯糸束が分布しないバスケットホールの面積が、局所的圧力がかけられる面積より大きい場合、バスケットホールに局所的に荷重されると、当該圧力が構造体115の繊維体113で吸収されず、直接素子層102及びアンテナ112にかかってしまう。この結果、素子層102及びアンテナ112が延伸し、半導体素子または配線が破壊されてしまう。
【0106】
しかしながら、高強度材料で形成される保護フィルム131を構造体115上に設けることで、局所的な荷重を保護フィルム131全体で吸収するため、局所的な押圧による破壊の少ない半導体装置となる。
【0107】
次に、図4(B)に示すように、実施の形態2と同様に、構造体115を加熱し圧着して、封止層120を形成する。また、封止層の有機樹脂121は保護フィルム131を素子層102及びアンテナ112に固着する。即ち、封止層120は、繊維体113及び保護フィルム131を素子層102及びアンテナ112に固着している。また、封止層120に含まれる有機樹脂121は繊維体113中に含浸される。
【0108】
次に、図4(C)に示すように、剥離層101が形成される絶縁表面を有する基板100から素子層の一部124を剥離する。ここでは、実施の形態1と同様に、レーザビームを素子層102及び剥離層101に照射し溝を形成した後、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面に形成される金属酸化物層において、物理的手段により剥離する。
【0109】
この後、図4(D)に示すように、バッファ層として機能する絶縁層103表面に構造体を設け、構造体上に保護フィルムを設け、加熱し圧着して封止層125及び保護フィルム141を素子層の一部124のバッファ層として機能する絶縁層103に固着する。
【0110】
なお、図4(A)において、保護フィルム131が熱可塑性材料の場合、素子層102及びアンテナ112と構造体115との間に保護フィルム131を設け加熱圧着してもよい。また、図4(D)において、保護フィルム141が熱可塑性材料の場合、バッファ層として機能する絶縁層と封止層125の間に保護フィルム141を設け加熱圧着してもよい。当該構造においても、局所的押圧による荷重を保護フィルム及び構造体で分散させることが可能であり、破壊を低減することができる。
【0111】
なお、素子層102に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層102及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出してもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。
【0112】
以上により、局所的押圧による破壊が少ない半導体装置を作製することができる。また、素子層の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層の面積を大きくすることが可能である。このため、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0113】
(実施の形態4)
本実施の形態では、素子層にアンテナが形成されず、別の基板に設けられたアンテナを素子層に接続した半導体装置の作製方法について、図5及び図6を用いて説明する。
【0114】
図5(A)に示すように、実施の形態1と同様に、絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層151を形成する。次に、素子層151上に繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体を設ける。
【0115】
ここでは、素子層151としては、実施の形態1に示すように、バッファ層として機能する絶縁層103を形成し、バッファ層として機能する絶縁層103上に下地層として機能する絶縁層104を形成し、絶縁層104上に薄膜トランジスタ105a、105bを形成する。薄膜トランジスタ105a、105b上に絶縁層106、107を形成し、絶縁層106、107を貫いて薄膜トランジスタ105a、105bの半導体層のソース領域及びドレイン領域に接続する導電層108を形成し、この後に形成する電極パッド152に接続する導電層109を形成する。なお、電極パッド152は導電層109ならびに導電層108を介して半導体層のソースあるいはドレイン領域と電気的に接続している。導電層108、109、絶縁層107上に絶縁層111を形成し、絶縁層111を貫いて導電層109と接続する電極パッド152を形成する。
【0116】
次に、実施の形態1と同様に、素子層151上に設けた構造体を加熱し圧着して、素子層151の片面に有機樹脂121及び繊維体113からなる封止層120を形成する。
【0117】
次に、封止層120の一部を除去し、電極パッド152の一部を露出させる。ここでは、レーザビームを封止層120側から電極パット152へ照射して、封止層120の一部を除去する。なお、当該手法以外にも、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて封止層120の一部を除去し電極パット152の一部を露出してもよい。
【0118】
次に、図5(B)に示すように、封止層120の開口部に接続端子161を形成する。接続端子161は、印刷法、液滴吐出法等で形成することができる。接続端子161の材料としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。
【0119】
次に、剥離層101が形成される絶縁表面を有する基板100及び素子層の一部124を剥離する。ここでは、実施の形態1と同様に、レーザビームを素子層及び剥離層101に照射して、素子層151に溝を形成する。次に、当該溝に液体を供給した後、剥離層101及びバッファ層として機能する絶縁層103の界面において、物理的手段により剥離する。
【0120】
この後、図6(A)に示すように、素子層151に固着された封止層120と、アンテナ172が形成された基板171とを接着材174にて接着する。このとき、素子層151に形成された接続端子161とアンテナ172とを異方性導電接着材173を用いて電気的に接続する。
【0121】
異方性導電接着材173としては、分散した導電性粒子(粒径が、数nm〜数十μm)を含有する接着性樹脂であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、導電性粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、炭素、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子でも良い。更には、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、または白金から選ばれた一元素、若しくは複数の元素で形成される薄膜が形成された導電性粒子を用いてもよい。さらには、導電性粒子として、CNT(カーボンナノチューブ)を用いてもよい。
【0122】
アンテナ172としては、実施の形態1に示すアンテナ83と同様の材料及び形成方法を適宜用いることができる。
【0123】
アンテナ172が形成された基板171としては、フィルム状のプラスチック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを用いることができる。
【0124】
次に、図6(B)に示すように、実施の形態1と同様に、バッファ層として機能する絶縁層103表面に構造体を設け、加熱し圧着して封止層125をバッファ層として機能する絶縁層103上に形成する。
【0125】
次に、図6(C)に示すように、アンテナ172が形成される基板171と、封止層120、素子層151、及び封止層125を封止するようにフィルム175を設けてもよい。フィルムとしては、アンテナ172が形成された基板171と同様のフィルムを用いることができる。
【0126】
なお、本実施の形態において、素子層151を剥離層101から剥離した後、アンテナ172が形成される基板171を素子層151上の封止層120に接着した形態を示したが、これの代わりに、図5(B)に示すように、接続端子161を形成した後、封止層120と、アンテナ172が形成される基板171とを接着すると共に、アンテナ172と接続端子161を異方性導電接着材で電気的に接続する。この後、剥離層101から、素子層151を剥離してもよい。さらに、図6(B)に示すように、バッファ層として機能する絶縁層に封止層125を形成し、図6(C)に示すようにフィルム175でアンテナ172が形成される基板171、封止層120、素子層151、及び封止層125を封止してもよい。
【0127】
上記形態では、アンテナ172を有する基板171が素子層151の一方の面にのみ接着された半導体装置を示したが、素子層151の両面にそれぞれアンテナが形成された基板を接着してもよい。その形態を、図7を用いて以下に示す。
【0128】
図5及び図6(A)の工程を経て、アンテナ172が形成された基板171と、素子層180の一方の面に設けられた封止層120とが接着材174で接着される。また、素子層180の他方の面には封止層125が設けられる。なお、素子層180には、薄膜トランジスタ105a、105bの半導体層のソース領域及びドレイン領域に接続する導電層108と同様に形成された配線181が絶縁層107上に形成される。なお、配線181として、絶縁層106上にゲート電極55a、55bと同時に配線を形成してもよい。
【0129】
次に、配線181に接続する接続端子を形成するために、封止層125及び素子層180の一部に開口部を形成する。ここでは、封止層125側から配線181にレーザビーム182を照射して開口部を形成し、配線181を一部露出される。
【0130】
次に、図7(B)に示すように、開口部を充填するように、接続端子183を形成する。接続端子183は、接続端子161と同様に形成することができる。
【0131】
次に、図7(C)に示すように、封止層125と、アンテナ192が形成された基板191を接着材194を用いて接着すると共に、接続端子183及びアンテナ192を異方性導電接着材193で電気的に接続する。
【0132】
以上により、素子層の両面にアンテナが設けられた半導体装置を作製することができる。このような構造は、UHF帯の電波受信可能なRFIDのように、対称構造のアンテナを有する半導体装置に適用すると、半導体装置の大きさを小さくすることが可能であるため、好ましい。
【0133】
なお、素子層151、180に複数の半導体装置が含まれる場合、素子層151、180及び封止層を分断して、複数の半導体装置を切り出すことによって得てもよい。このような工程により、複数の半導体装置を作製することができる。
【0134】
本実施の形態で示す半導体装置は、非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を有する素子層と、繊維体とが有機樹脂で固着されている。繊維体は、局所的な押圧による圧力を繊維全体へ分散するため、局所的に圧力がかかりにくい。このため、半導体装置を構成する配線や半導体素子が延伸されず、半導体装置が破壊されにくい。また、素子層に高強度繊維からなる繊維体が固着されているため、剥離工程においても、素子層が延伸しにくい。即ち、素子層に形成される半導体素子、配線等が延伸することを低減することができる。このため、歩留まりを向上させることができる。
【0135】
また、素子層の厚さを薄くすることで、半導体装置を湾曲させることが可能となる。このため、素子層の面積を大きくすることが可能である。このため、外部アンテナを素子層に接続する際、接続面積を大きくすることが可能となり、半導体装置を作製する工程が容易となる。また、当該半導体装置がアンテナ内蔵のRFIDの場合、アンテナのサイズを増大させることが可能である。このため、通信距離の長いRFIDを作製することができる。
【0136】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至4で示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層がプリント基板に接続された半導体装置について、図10を用いて説明する。
【0137】
図10(A)は、本実施の形態の半導体装置250の斜視図を示す。半導体装置250は、フレキシブルプリント基板に実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層が設けられている。例えば、ポリエステル、ポリイミド等で形成されるベースフィルム251上に、銅、金、銀、アルミニウム等で形成される配線252が設けられる。また、配線252上に絶縁層を介して、実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層及び封止層の積層体253a、253bが設けられている。また、配線252及び積層体253a、253bは、封止層のコンタクトホールに形成される接続端子を介して接続されている。ベースフィルム251、配線252、及び積層体253a、253bは、保護フィルム254で覆われている。また、半導体装置250の端部においては、保護フィルム254の一部が切除され、コネクタ等の外部回路と配線252が露出されている。
【0138】
素子層は封止層を介して配線に設け、加熱圧着することで配線及びベース基板に素子層を固着させることができる。
【0139】
なお、ここでは、1層の配線252を有する半導体装置を示したが、この代わりに多層配線構造であってもよい。また、複数の配線で積層体253a、253bが挟まれていてもよい。このように配線を多層にすることで、実装密度を高めることが可能である。
【0140】
図10(B)は、本実施の形態の半導体装置260の断面図を示す。半導体装置260は、プリント基板に、実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層が設けられている。例えば、コア層261の一方の面に実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層262が設けられている。また、コア層261と、実施の形態1乃至4に示す非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層262に含まれる半導体素子または配線が、封止層263を貫通するビア264で接続される。
【0141】
また、素子層262には多層配線265が設けられる。多層配線265の有機樹脂層266に形成されるビア267によって、コア層261、素子層262に形成される半導体素子及び配線等が、半導体装置260表面に形成される導体パターン268と接続される。
【0142】
また、コア層261の他方の面には多層配線269が設けられている。
【0143】
また、半導体装置260に、コンデンサ、コイル、抵抗、ダイオード等のチップ271を導電性ペーストやワイヤー等の実装部材272で実装してもよい。
【0144】
本実施の形態の半導体装置は、プリント基板に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む層を有する。また、繊維体を用いたプリプレグを用いて素子層をプリント基板内に設ける。このため、局所的荷重(点圧、線圧等)がかかっても、繊維体で圧力が分散されるため、実装工程や湾曲による破壊を低減することができる。また、高集積化が可能である。
【0145】
(実施の形態6)
本実施の形態では、局所的荷重(点圧、線圧等)による破壊を低減することが可能な導電層を有する基板を作製する例を示す。
【0146】
ここでは、導電層を有する基板としてアンテナを有する基板を例として、作製方法を以下に示す。
【0147】
まず、実施の形態1と同様に、図11(A)に示すように、絶縁表面を有する基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上にバッファ層として機能する絶縁層103を形成し、絶縁層103上にアンテナとして機能する導電層904を形成する。
【0148】
アンテナとして機能する導電層904は、実施の形態1に示すアンテナ83と同様の材料及び作製方法を適宜用いることができる。
【0149】
次に、実施の形態2乃至4と同様に、導電層904上に繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体115を設ける。
【0150】
次に、構造体115を加熱し圧着して、図11(B)に示すように、繊維体113に含浸される有機樹脂121を含む封止層が導電層904及び絶縁層103の片面に形成される。なお、導電層904及び絶縁層103の片面に固着された有機樹脂121及び繊維体113を実施の形態1と同様、まとめて封止層120と示す。構造体115を圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。ここで、絶縁層103及び封止層120を積層体126とする。
【0151】
次に、図11(C)に示すように、実施の形態2乃至4と同様の剥離を行って、絶縁表面を有する基板100から、絶縁層103を分離する。
【0152】
次に、絶縁層103または封止層120の一部を除去し、導電層904の一部を露出させる。次に、図11(D)に示すように、導電層904に接続する接続端子905a、905bを形成する。接続端子905a、905bは実施の形態4に示す接続端子161と同様に形成することができる。なお、絶縁層103の一部を除去して接続端子905a、905bを形成する代わりに、封止層120の一部を除去して接続端子905a、905bを形成してもよい。
【0153】
以上の工程により、アンテナとして機能する導電層を有する基板を作製することができる。なお、当該アンテナに素子基板を接続しRFIDを作製することができる。その方法について、以下に示す。
【0154】
図11(E)に示すように、絶縁層103上に素子基板907を配置する。異方性導電材料を用いて圧着することで素子基板の端子部と導電層904との電気的な導通をとる。
【0155】
なお、積層体126に複数のアンテナとして機能する導電層が形成される場合、当該積層体を分断し、アンテナとして機能する導電層904を有する複数の積層体を形成した後、当該導電層904に素子基板を接続してもよい。
【0156】
また、図11(E)では絶縁層103に比較して小さい面積の素子基板907を設けた例を示したが、特に限定されず、絶縁層103とほぼ同じ面積の素子基板を設けてもよいし、絶縁層103よりも大きな面積の素子基板を設けてもよい。
【0157】
以上の工程により、ICタグとして機能する半導体装置が完成する。また、局所的押圧による破壊が少ない半導体装置を作製することができる。
【0158】
なお、最後に、保護のため、素子基板907を覆うように、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を絶縁層103に固着させてもよい。
【0159】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の半導体装置の構成及び応用例を示す。ここでは、半導体装置の代表例として、RFID及び記憶装置について説明する。
【0160】
はじめに、本発明の半導体装置の一つであるRFID501の回路構成例について説明する。図12に、RFID501のブロック回路図を示す。
【0161】
図12のRFID501の仕様は、国際標準規格のISO15693に準拠し、近傍型で、交信信号周波数は13.56MHzである。また、受信はデータ読み出し命令のみ対応し、送信のデータ伝送レートは約13kHzであり、データ符号化形式はマンチェスタコードを用いている。
【0162】
RFID501の回路部412は、大別して、電源部460、信号処理部461から構成される。電源部460は、整流回路462と保持容量463を有する。また、電源部460に、アンテナ411から受信した電力が過剰であった場合、内部回路を保護するための保護回路部(リミッタ回路部ともいう)と、保護回路部を動作させるかどうかを制御するための保護回路制御回路部とを設けてもよい。当該回路部を設けることにより、RFIDと通信機との通信距離が極端に短い状況等においてRFIDが大電力を受信することによって生じる不具合を防ぐことができ、RFIDの信頼性の向上を図ることができる。すなわち、RFID内部の素子の劣化や、RFID自体を破壊することなく、RFIDを正常に動作させることができる。
【0163】
なお、ここでは、通信機とはRFIDと無線通信により情報の送受信を行う手段を有していればよく、例えば、情報を読み取るリーダや、読み取り機能及び書き込み機能を備えたリーダ/ライタ等が挙げられる。また、読み取り機能と書き込み機能の一方又は両方を備える携帯電話やコンピュータ等も含まれる。
【0164】
整流回路462は、アンテナ411で受信された搬送波を整流し、直流電圧を生成する。保持容量463は、整流回路462で生成された直流電圧を平滑化する。電源部460において生成された直流電圧は電源電圧として、信号処理部461の各回路に供給される。
【0165】
信号処理部461は、復調回路464、クロック生成/補正回路465、認識/判定回路466と、メモリコントローラ467、マスクROM468、符号化回路469、および変調回路470を有する。
【0166】
復調回路464はアンテナで受信した信号を復調する回路である。復調回路464で復調された受信信号はクロック生成/補正回路465と認識/判定回路466に入力される。
【0167】
クロック生成/補正回路465は信号処理部461の動作に必要なクロック信号を生成し、さらにそれを補正する機能を有する。例えば、クロック生成/補正回路465は、電圧制御発振回路(以下VCO(Voltage Controlled Oscillator)回路)を有し、VCO回路の出力を帰還信号にして、供給される信号との位相比較し、入力される信号と帰還信号が一定の位相になるよう負帰還により出力信号の調整を行う。
【0168】
認識/判定回路466は、命令コードを認識し判定する。認識/判定回路466が認識し、判定する命令コードは、フレーム終了信号(EOF、end of frame)、フレーム開始信号(SOF、start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等である。また、認識/判定回路466は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC、cyclic redundancy check)機能も含む。
【0169】
メモリコントローラ467は、認識/判定回路466で処理された信号を基に、マスクROMからデータを読み出す。また、マスクROM468は、IDなどが記憶されている。マスクROM468を搭載することで、複製や改ざんが不可能な読み取り専用のRFID501として構成される。このような読み取り専用のRFID501を紙に抄き込むことで、偽造防止の紙を提供することができる。
【0170】
符号化回路469はメモリコントローラ467がマスクROM468から読み出したデータを符号化する。符号化されたデータは変調回路470で変調される。変調回路470で変調されたデータはアンテナ411から搬送波に重畳させて送信される。
【0171】
次に、RFIDの使用例について示す。本発明のRFIDはあらゆる紙媒体及びフィルム媒体に使用できる。特に、本発明のRFIDは、偽造防止が要求されるあらゆる紙媒体に使用することができる。例えば、紙幣、戸籍謄本、住民票、パスポート、免許証、身分証、会員証、鑑定書、診察券、定期券、手形、小切手、貨物引換証、船貨証券、倉庫証券、株券、債券、商品券、チケット、抵当証券などである。
【0172】
また、本発明の実施により、紙媒体上で視覚的に示される情報以上の多くの情報を紙媒体及びフィルム媒体に持たせることができるため、本発明のRFIDを商品ラベルなどに適用することで、商品の管理の電子システム化や、商品の盗難の防止に利用できる。以下、図13を用いて、本発明に係る紙の使用例を説明する。
【0173】
図13(A)は、本発明のRFID501を抄き込んだ紙を使用した無記名債券類511の一例である。無記名債券類511には、切手、切符、チケット、入場券、商品券、図書券、文具券、ビール券、おこめ券、各種ギフト券、各種サービス券等が含まれるが、勿論これらに限定されるものではない。また、図13(B)は、本発明に係るRFID501を抄き込んだ紙を使用した証書類512(例えば、住民票、戸籍謄本)の一例である。
【0174】
図13(C)は、本発明のRFIDをラベルに適用した一例である。ラベル台紙(セパレート紙)513上に、RFID501が抄き込まれた紙でラベル(IDシール)514が形成されている。ラベル514は、ボックス515内に収納されている。ラベル514上には、その商品や役務に関する情報(商品名、ブランド、商標、商標権者、販売者、製造者等)が印刷されている。さらに、RFID501には、その商品(又は商品の種類)固有のIDナンバーが記憶されているため、偽造や、商標権、特許権等の知的財産権侵害、不正競争等の不法行為を容易に把握することができる。RFID501には、商品の容器やラベルに明記しきれない多大な情報、例えば、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格、生産方法、使用方法、生産時期、使用時期、賞味期限、取扱説明、商品に関する知的財産情報等を入力しておくことができる。そのため、取引者や消費者は、簡易な通信機によって、それらの情報にアクセスすることができる。また、生産者側からは容易に書換え、消去等も可能であるが、取引者、消費者側からは書換え、消去等ができない仕組みになっている。
【0175】
図13(D)は、RFID501を抄き込んだ紙またはフィルムでなるタグ516を示している。RFID501を抄き込んだ紙またはフィルムでタグ516を作製することで、プラスチックの筐体を使用した従来のIDタグよりも安価に製造することができる。図13(E)は、本発明のRFIDを表紙に用いた書籍517であり、表紙にRFID501が抄き込まれている。
【0176】
本発明の半導体装置の一例であるRFIDを搭載したラベル514やタグ516を商品に取り付けておくことで、商品管理が容易になる。例えば、商品が盗難された場合に、商品の経路を辿ることによって、その犯人を迅速に把握することができる。このように、本発明のRFIDをIDタグとして用いることで、商品の原材料や産地、製造や加工、流通、販売などに至るまでの履歴管理や、追跡照会を可能にする。すなわち、商品のトレーサビリティを可能にする。また、本発明により、商品のトレーサビリティ管理システムを従来よりも低コストで導入をすることを可能する。
【0177】
また、本発明の半導体装置の一例であるRFIDは、局所的押圧により破壊しにくい。このため、本発明の半導体装置の一例であるRFIDを有する紙媒体及びフィルム媒体は、貼り付けや設置等の処理において、湾曲させることが可能であり、処理効率が高まる。また、本発明の半導体装置の一例であるRFIDを有する紙媒体及びフィルム媒体に筆記用具で情報を記入することが可能であるため、用途範囲が広がる。
【0178】
次に、本発明の半導体装置の一形態である記憶装置の構成について、以下に示す。ここでは記憶装置の代表例として不揮発性記憶装置を用いて示す。
【0179】
図14は、不揮発性半導体記憶装置の回路ブロック図の一例を示している。不揮発性半導体記憶装置は、メモリセルアレイ552と周辺回路554が同一の素子層上に形成されている。メモリセルアレイ552は、実施の形態1で示すような不揮発性記憶素子を有している。周辺回路554の構成は以下の通りである。
【0180】
ワード線選択のためにロウデコーダ562と、ビット線選択のためにカラムデコーダ564が、メモリセルアレイ552の周囲に設けられている。アドレスは、アドレスバッファ556を介してコントロール回路558に送られ、内部ロウアドレス信号及び内部カラムアドレス信号がそれぞれロウデコーダ562及びカラムデコーダ564に転送される。
【0181】
データ書き込み及び消去には、電源電位を昇圧した電位が用いられる。このため、コントロール回路558により動作モードに応じて制御される昇圧回路560が設けられている。昇圧回路560の出力はロウデコーダ562やカラムデコーダ564を介して、ワード線やビット線に供給される。センスアンプ566はカラムデコーダ564から出力されたデータが入力される。センスアンプ566により読み出されたデータは、データバッファ568に保持され、コントロール回路558からの制御により、データがランダムアクセスされ、データ入出力バッファ570を介して出力されるようになっている。書き込みデータは、データ入出力バッファ570を介してデータバッファ568に一旦保持され、コントロール回路558の制御によりカラムデコーダ564に転送される。
【0182】
このように、不揮発性半導体記憶装置では、メモリセルアレイ552において、電源電位とは異なる電位を用いる必要がある。そのため、少なくともメモリセルアレイ552と周辺回路554の間は、電気的に絶縁分離されていることが望ましい。この場合、不揮発性記憶素子及び周辺回路のトランジスタを絶縁表面に形成した非単結晶半導体層で形成することにより、容易に絶縁分離をすることができる。それにより、誤動作を無くし、消費電力の低い不揮発性半導体記憶装置を得ることができる。
【0183】
(実施の形態8)
本実施の形態では、本発明の半導体装置を用いた電子機器について以下に示す。
【0184】
本発明の半導体装置を適用した電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図15に示す。
【0185】
図15(A)、(B)は、デジタルカメラを示している。図15(B)は、図15(A)の裏側を示す図である。このデジタルカメラは、筐体2111、表示部2112、レンズ2113、操作キー2114、シャッターボタン2115などを有する。筐体2111内部には、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2116を備えている。
【0186】
また、図15(C)は、携帯電話を示しており、携帯端末の1つの代表例である。この携帯電話は筐体2121、表示部2122、操作キー2123などを含む。また、携帯電話の内部には、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2125を備えている。
【0187】
また、図15(D)は、デジタルプレーヤーを示しており、オーディオ装置の1つの代表例である。図15(D)に示すデジタルプレーヤーは、本体2130、表示部2131、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2132、操作部2133、イヤホン2134等を含んでいる。
【0188】
また、図15(E)は、電子ブック(電子ペーパーともいう)を示している。この電子ブックは、本体2141、表示部2142、操作キー2143、記憶装置、MPU、イメージセンサ等の機能を有する本発明の半導体装置2144を含んでいる。またモデムが本体2141に内蔵されていてもよいし、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0189】
以上の様に、本発明の半導体装置の適用範囲は極めて広く、他の電子機器に用いることが可能である。
【実施例1】
【0190】
本実施例では、素子層にプリプレグを設けたインレット、及び当該インレットを紙に抄きこむ方法、ならびに作製したインレットの点圧耐性の測定結果について以下に示す。
【0191】
図16(A)に示すように、基板100上に剥離層101を形成し、剥離層101上に非単結晶半導体層を用いて形成される半導体素子を含む素子層102及びアンテナ112を形成した。次に、素子層102及びアンテナ112上に、繊維体113に有機樹脂114が含浸された構造体115を設ける。なお、素子層102の構造として、図3(A)を用いて説明する。
【0192】
ここでは、基板100としてコーニング社のガラス基板を用いた。剥離層101としては、タングステンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ50nmのタングステン層を形成し、タングステン層の表面を一酸化二窒素プラズマで処理してタングステン層の表面を酸化して酸化タングステン層を形成した。
【0193】
次に、バッファ層として機能する絶縁層103として、プラズマCVD法で、厚さ600nmの酸化窒化珪素層を形成した。このときの原料ガスとしては、12:1200:150:200の流量比のSiH4、H2、NH3、及びN2Oを用いた。
【0194】
バッファ層として機能する絶縁層上に下地層として機能する絶縁層104として厚さ50nmの窒化酸化珪素層及び厚さ100nmの酸化窒化珪素層を順にプラズマCVD法により形成した。このときの原料ガスとしては、窒化酸化珪素層は流量比15:1200:150:20のSiH4、H2、NH3、及びN2Oを用い、酸化窒化珪素層は、流量比1:120のSiH4、及びN2Oを用いた。
【0195】
次に、絶縁層104上にプラズマCVD法により非晶質珪素層を形成した後、650℃で1〜10分間加熱して非晶質珪素層に含まれる水素を除去した。次に、パルス発振のレーザビームを非晶質珪素層に照射して非晶質珪素層を結晶化して結晶性珪素層を形成した。ここでのレーザビームの照射条件としては、周波数80MHz、YVO4レーザの第2高調波(波長532nm)、レーザビームの走査速度は300cm/sec以上400cm/sec以下、レーザビームのパワーは15W以上25W以下とした。
【0196】
次に結晶性珪素層上にフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成し、当該マスクを用いて結晶性珪素層を選択的にエッチングして結晶性を有する半導体層を形成した。このときのエッチングガスは、流量比51:30のCF4及びO2を用いた。この後レジストマスクを除去した。
【0197】
次に、半導体層上にゲート絶縁層として機能する絶縁層として、厚さ20nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成した。
【0198】
次に、ゲート絶縁層として機能する絶縁層上に、タンタルターゲットをアルゴンガス及び窒素ガスでスパッタリングして、厚さ30nmの窒化タンタル層を形成し、次にタングステンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ170nmのタングステン層を順に形成した。次に、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて、流量比3:3:1のCl2、SF6、及びO2でエッチングした後、流量比6:1:1:4のCl2、SF6、CF4、及びO2でエッチングした。次に、流量比1:1のCl2及びSF6を用いて窒化タンタル層をエッチングして、厚さ30nmの窒化タンタル層及び厚さ170nmのタングステン層が積層したゲート電極を形成した。
【0199】
次に、後にpチャネル型薄膜トランジスタとなる半導層上にフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成して、後にnチャネル型薄膜トランジスタとなる半導体層にゲート電極をマスクとしてリンをドーピングした。このときのリンの不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm3とした。この後、pチャネル型薄膜トランジスタを覆うレジストマスクを除去した。
【0200】
次に、後にnチャネル型薄膜トランジスタとなる半導層上にフォトリソグラフィー工程によりレジストマスクを形成して、後にpチャネル型薄膜トランジスタとなる半導体層にゲート電極をマスクとしてボロンをドーピングした。このときのボロンの不純物濃度は、1×1019〜1×1021cm3とした。この後、nチャネル型薄膜トランジスタを覆うレジストマスクを除去した。
【0201】
次に、ゲート電極及びゲート絶縁層として機能する絶縁層上に層間絶縁層として絶縁層106、107を形成した。ここでは、絶縁層106として厚さ50nmの酸化窒化珪素層をプラズマCVD法により形成した。このときの原料ガスとしては、SiH4及びN2Oを5:80の流量比で用いた。絶縁層107として、厚さ100nmの窒化酸化珪素層、及び厚さ600nmの酸化窒化珪素層を順にプラズマCVD法により形成した。このときの原料ガスとしては、窒化酸化珪素層は流量比16:80:80:150:12のSiH4、H2、N2、NH3、及びN2Oを用い、酸化窒化珪素層は、流量比5:80のSiH4及びN2Oを用いた。
【0202】
次に、410℃で1時間加熱して半導体層の水素化処理を行った後、フォトリソグラフィー工程で形成したレジストマスクを用いて選択的に絶縁層106、107それぞれの一部をエッチングして、半導体層のソース領域及びドレイン領域を露出した。この後レジストマスクを除去した。
【0203】
次に、絶縁層107上に、チタンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして、厚さ100nmのチタン層を形成し、次にアルミニウムターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ300nmのアルミニウム層を形成し、次にチタンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ100nmのチタン層を順に形成した。次に、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて、流量比7:1のBCl3及びCl2でエッチングした後、流量比15:3のBCl3及びCl2でエッチングして導電層108、109を形成した。この後レジストマスクを除去した。
【0204】
次に、導電層108、109、絶縁層107上にポジ型の感光性ポリイミド樹脂を有機溶剤で希釈した組成物を2000nm塗布し乾燥させた後、露光した後、現像液で未硬化部を除去して320℃で1時間加熱して絶縁層111を形成した。なお、上記露光により導電層109を露出するように選択的にポリイミド樹脂を露光した。次に、絶縁層111上に、チタンターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして、厚さ100nmのチタン層を形成し、次にアルミニウムターゲットをアルゴンガスでスパッタリングして厚さ700nmのアルミニウム層を形成した。次に、フォトリソグラフィー工程により形成したレジストマスクを用いて、流量比7:1のBCl3及びCl2でエッチングした後、流量比15:3のBCl3及びCl2でエッチングしてアンテナ112を形成した。この後レジストマスクを除去した。
【0205】
次に、素子層102及びアンテナ112上に厚さ35μm、繊維体としてEガラス繊維を用いた構造体115を設けた後、減圧下で100℃で加熱した後、大気圧開放して圧力を加えた。この後電気炉で190〜210℃で1時間加熱して、図16(B)に示すように素子層102及びアンテナ112に封止層120を形成した。
【0206】
次に、図16(B)に示すように、二酸化炭素レーザ発振器から発振されるレーザビーム122を剥離層101に照射して、図16(C)に示すように素子層102及び構造体115に溝123を形成した。次に、絶縁表面を有する基板100を水に浸して剥離層101から素子層102を剥離した。
【0207】
次に、剥離層101の剥離面(具体的にはバッファ層として機能する絶縁層103の表面)に構造体115と同様に、厚さ30μmの構造体を設け、加熱及び圧着し封止層125を形成した。なお構造体には、高強度繊維であるEガラスを用いたガラスクロスが含まれる。
【0208】
この後、図16(D)に示すように、二酸化炭素レーザ発振器から発振されるレーザビーム211を照射して、図16(E)に示すように、複数のインレット221a〜221cを形成した。このときのインレット221a〜221cの厚さは75μmであった。
【0209】
このときのインレット221a〜221cの点圧耐性を測定した結果を以下に示す。
【0210】
このときの測定装置としては、圧縮試験装置を用い、一定速度で圧子を降下し、インレットに設定荷重がかかったら圧子を上昇させることで、インレットの状態を測定した。ここで用いた圧子の先端は曲線状であり、先端の曲線の曲率半径0.5mmである。インレット221a〜221cに3MPaの圧力を加えた場合、インレットが破損された割合は0%であった。また、6MPaの圧力をインレット221a〜221cにかけた場合、インレットが破損された割合は25%であった。
【0211】
なお、比較例として、同様の工程により素子層102及びアンテナ112を形成し、当該素子層102及びアンテナ112上に厚さ約10μmのエポキシ層を形成し、エポキシ層表面及び素子層表面にそれぞれ、厚さ6μmのPETフィルムを厚さ4μmのアクリル粘着剤で固定し作製したインレットに同様の点圧耐性試験を行った。このとき、3MPaの圧力を加えた場合、インレットが破損された割合は0%であった。また、6MPaの圧力をインレット221a〜221cにかけた場合、インレットが破損された割合は100%であった。
【0212】
以上のことから、本発明に示す半導体装置のように、素子層の表面に繊維体が固着されたインレット(半導体装置)は、点圧耐性が高まり、点圧による破壊を低減することができることがわかる。
【0213】
次に、当該インレットを紙に抄きこむことで、半導体装置を含む紙を形成することができる。具体的には、中空状の下部開口部に網が設けられた材料投入部から紙を溶いたパルプ希釈液をいれ、材料投入部内を減圧することで、網に紙繊維が絡まり湿紙を形成する。当該湿紙を網からはずし、厚紙で挟んで圧力をかけて厚さを均一にする。次に、厚さを均一にした湿紙222上にインレット221a〜221cを配置し、湿紙222と同様の工程により湿紙223を形成する。この後、プレス機で湿紙222、223に圧力を加えることで湿紙222、223のパルプ繊維が絡み合う。この後、乾燥機で湿紙222、223に含まれる水分を蒸発させることで、図16(G)に示すように、インレット221a〜221cを含む紙231、232を形成することができる。
【0214】
この後、紙231、232を適当な大きさに切断することより、インレットを含む紙、即ち紙で挟まれた半導体装置241を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の半導体装置を説明する断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【図8】本発明に適用可能な繊維体を説明する上面図である。
【図9】本発明に適用可能なアンテナを説明する上面図である。
【図10】本発明の半導体装置を説明する斜視図及び断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図及び斜視図である。
【図12】本発明の半導体装置を説明する図である。
【図13】本発明の半導体装置の応用例を説明する斜視図である。
【図14】本発明の半導体装置を説明する図である。
【図15】本発明の半導体装置を適用することが可能な電子機器を説明する図である。
【図16】本発明の半導体装置の作製方法を説明する断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の素子層と、
局所的な押圧を緩和させる厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面に前記封止層が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の素子層と、
有機化合物材料又は無機化合物材料の繊維体に有機樹脂が含浸された厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面に前記封止層が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の素子層と、
有機化合物材料又は無機化合物材料の単糸を複数本束ねた経糸及び緯糸が密に織り込まれた繊維体に有機樹脂が含浸された厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面に前記封止層が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の厚さの素子層と、
有機化合物材料又は無機化合物材料の単糸を複数本束ねた経糸及び緯糸が密に織り込まれた繊維体に有機樹脂が含浸された厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面は、前記封止層の前記繊維体で全面が覆われ、且つ前記有機樹脂が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記繊維体は織布または不織布であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項において、繊維体は、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維で形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記有機樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項7において、前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記能動素子は、薄膜トランジスタ、不揮発性記憶素子、またはダイオードの一つ以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、前記素子層及び前記封止層の間に前記素子層の前記能動素子に電気的に接続するアンテナが形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子及び前記能動素子を覆う絶縁層を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を前記素子層上に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む封止層を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子及び前記能動素子を覆う絶縁層を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を前記素子層の一方の面に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第1の封止層を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第2の構造体を前記素子層の他方の面に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第2の封止層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項12または13において、前記素子層にアンテナが含まれることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子、前記能動素子を覆う絶縁層、及び配線を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を前記素子層上に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む封止層を形成し、前記封止層の一部を除去して前記配線に接続する接続端子を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
前記封止層にアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記接続端子及び前記アンテナを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項16】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子、前記能動素子を覆う絶縁層、及び配線を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を前記素子層の一方の面に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第1の封止層を形成し、前記第1の封止層の一部を除去して前記配線に接続する接続端子を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
前記第1の封止層にアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記接続端子及び前記アンテナを電気的に接続し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第2の構造体を前記素子層の他方の面に設けた後、加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第2の封止層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項17】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子、前記能動素子を覆う絶縁層、第1の配線、及び第2の配線を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を前記素子層の一方の面に設けた後加熱し圧
着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第1の封止層を形成し、前記第1の封止層の一部を除去して前記第1の配線に接続する第1の接続端子を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
前記第1の封止層に第1のアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記第1の接続端子及び前記第1のアンテナを電気的に接続し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第2の構造体を前記素子層の他方の面に設けた後、加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第2の封止層を形成し、前記第2の封止層の一部を除去して前記第2の配線に接続する第2の接続端子を形成し、
前記第2の封止層に第2のアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記第2の接続端子及び前記第2のアンテナを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか一項において、前記非単結晶半導体層を用いて形成された前記能動素子は、薄膜トランジスタ、不揮発性記憶素子、またはダイオードの一つ以上であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項1】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の素子層と、
局所的な押圧を緩和させる厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面に前記封止層が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の素子層と、
有機化合物材料又は無機化合物材料の繊維体に有機樹脂が含浸された厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面に前記封止層が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の素子層と、
有機化合物材料又は無機化合物材料の単糸を複数本束ねた経糸及び緯糸が密に織り込まれた繊維体に有機樹脂が含浸された厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面に前記封止層が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
非単結晶半導体層を含み、該非単結晶半導体層で能動素子が形成され、該能動素子が絶縁層で覆われた厚さ1μm以上10μm以下の厚さの素子層と、
有機化合物材料又は無機化合物材料の単糸を複数本束ねた経糸及び緯糸が密に織り込まれた繊維体に有機樹脂が含浸された厚さ10μm以上100μm以下の封止層と、
を有し、
前記素子層の一方の面または向かい合う一対の面は、前記封止層の前記繊維体で全面が覆われ、且つ前記有機樹脂が固着されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記繊維体は織布または不織布であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか一項において、繊維体は、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維で形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、前記有機樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項7において、前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂であることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記能動素子は、薄膜トランジスタ、不揮発性記憶素子、またはダイオードの一つ以上であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項において、前記素子層及び前記封止層の間に前記素子層の前記能動素子に電気的に接続するアンテナが形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子及び前記能動素子を覆う絶縁層を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を前記素子層上に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む封止層を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子及び前記能動素子を覆う絶縁層を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を前記素子層の一方の面に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第1の封止層を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第2の構造体を前記素子層の他方の面に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第2の封止層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項12または13において、前記素子層にアンテナが含まれることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子、前記能動素子を覆う絶縁層、及び配線を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を前記素子層上に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む封止層を形成し、前記封止層の一部を除去して前記配線に接続する接続端子を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
前記封止層にアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記接続端子及び前記アンテナを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項16】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子、前記能動素子を覆う絶縁層、及び配線を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を前記素子層の一方の面に設けた後加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第1の封止層を形成し、前記第1の封止層の一部を除去して前記配線に接続する接続端子を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
前記第1の封止層にアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記接続端子及び前記アンテナを電気的に接続し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第2の構造体を前記素子層の他方の面に設けた後、加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第2の封止層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項17】
絶縁表面を有する基板上に剥離層を形成し、前記剥離層上に非単結晶半導体層を用いて能動素子、前記能動素子を覆う絶縁層、第1の配線、及び第2の配線を有する素子層を形成し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第1の構造体を前記素子層の一方の面に設けた後加熱し圧
着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第1の封止層を形成し、前記第1の封止層の一部を除去して前記第1の配線に接続する第1の接続端子を形成し、
前記剥離層から前記素子層を剥離し、
前記第1の封止層に第1のアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記第1の接続端子及び前記第1のアンテナを電気的に接続し、
繊維体に有機樹脂が含浸された第2の構造体を前記素子層の他方の面に設けた後、加熱し圧着して、前記素子層上に前記繊維体及び前記繊維体に含浸された有機樹脂を含む第2の封止層を形成し、前記第2の封止層の一部を除去して前記第2の配線に接続する第2の接続端子を形成し、
前記第2の封止層に第2のアンテナを有する基板を貼り付けると共に、前記第2の接続端子及び前記第2のアンテナを電気的に接続することを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか一項において、前記非単結晶半導体層を用いて形成された前記能動素子は、薄膜トランジスタ、不揮発性記憶素子、またはダイオードの一つ以上であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−257710(P2008−257710A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62128(P2008−62128)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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