説明

半導体装置及びその製造方法、固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子情報機器

【課題】金属部品等による乱反射による画質低下もなく、また撮像素子が透明樹脂で完全に被われ、外部との接続端子部及び素子撮像エリア直上部を除いて、防湿材料により被われていることで、撮像素子チップに水分が浸入することも全くない、非常に高い信頼性の固体撮像装置を得る。
【解決手段】マイクロレンズを有する撮像素子チップ32と、該撮像素子チップに接続されたリード端子33と、該固体撮像チップを該リード端子とともに封止するクリアモールドパッケージ31とを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該クリアモールドパッケージの外部に露出させた固体撮像装置30において、該クリアモールドパッケージを、その表面の、該撮像素子チップ32の撮像領域35に対向する透光領域を除いて、該クリアモールドパッケージの表面を遮光性材料36により被覆した構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法、固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子情報機器に関し、特に、発光素子、受光素子、あるいは固体撮像素子などの半導体素子を構成する半導体チップを封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージ(クリアモールドパッケージ)の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラ付携帯、デジタルスチルカメラ(DSC)、監視カメラなどでは、撮像装置として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサあるいはCMOS(Complementary MOS)イメージセンサなどの固体撮像素子が用いられており、このような固体撮像素子を構成する半導体チップ(以下、撮像素子チップともいう。)は、パッケージ内に収容されて、固体撮像装置などの半導体装置として構成されている。
【0003】
固体撮像素子チップを封止するパッケージには、基本的には封止パッケージ上部にガラスを貼り付けた中空構造のパッケージを用いている。
【0004】
図12は、従来の固体撮像装置として、封止パッケージ上部にガラスを貼り付けた中空構造のパッケージを有するものを説明する断面図である。
【0005】
つまり、図12に示す固体撮像装置80は、撮像素子チップ82を、例えばセラミックからなる封止パッケージ81内に気密封止してなるものである。封止パッケージ81に収容された撮像素子チップ82の電極パッド(図示せず)とパッケージ81の内部リードとがボンディングワイヤー83により接続されている。この封止パッケージ81には、ガラスシール85を介してリッドガラス86が取り付けられており、また、封止パッケージ81の側面には外部リード87が配置されている。なお、図中、84は、撮像素子チップ82のマイクロレンズの表面に形成された反射防止膜である。
【0006】
しかしながら、このような封止パッケージを用いて撮像素子チップを封止する構造の固体撮像装置80では、撮像素子チップを封止するための複数の工程が必要となり、製造コストも高くなるため、上記のような封止パッケージに代わるものとして、パッケージ封止工程における工程の削減や、コスト削減を目的として開発されたクリアモールドパッケージがある。
【0007】
図13は、従来の固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを用いたものを説明する図であり、図13(a)及び(b)はそれぞれ上面図、及び側面図である。
【0008】
この固体撮像装置70では、素子封止パッケージとしてクリアモールドパッケージ71を用いており、このクリアモールドパッケージ71は、撮像素子チップ72をリードピン(リードフレーム)73とともに透明モールド樹脂で封止してなるものである。なお図13中、74はボンディングワイヤー、75は、撮像素子チップ72の、複数の画素が配列され、被写体の撮像を行う撮像領域である。
【0009】
このようなクリアモールドパッケージ71は、樹脂によってチップ全体を固めているので、図12に示す固体撮像装置80のようにガラス貼り付け部(シール部)85からの水分侵入も全くなく、信頼性上も高く、非常に効果的な封止構造である。
【0010】
次に、このクリアモールドパッケージを用いた固体撮像装置の製造方法、特に、クリアモールドパッケージを形成する工程について説明する。
【0011】
図14及び図15は、このクリアモールドパッケージを用いた固体撮像装置の製造方法を説明する図であり、図14は、リードフレームに撮像素子チップを搭載する工程を処理順(図(a)〜図(d))に示し、図15は、リードフレームに搭載した撮像素子チップを封止してリードフレームから分離するまでの工程を処理順(図(a)〜図(d))に示している。
【0012】
まず、撮像素子チップをその封止後に外部と接続するための接続端子となる複数のリードピン(リード端子)301を含み、これらが一体化されているワイヤーフレームと呼ばれる金属板301aを用意する(図14(a))。
【0013】
なお、図14及び図15では、3個の撮像素子チップの配置領域を図示しているが、実際には8〜10個程度の撮像素子チップを配置可能なフレームを用いて製造工程の効率化を行っている。
【0014】
次に、図14(b)のように、フレーム301aのリードピン301となる箇所の中央部に撮像素子チップ302をエポキシや銀ペースト等により固着する。
【0015】
次に、図14(c)のように、ワイヤーフレーム301aの、リードピン同士が接続されている中央部をレーザーなどを用いて分離切断する。なお、図14(c)は、分かり易いように、図14(b)とは逆に、フレームを撮像素子チップの裏面側から見た構造を示している。
【0016】
次に、図14(d)に示すように、撮像素子チップ302の信号端子(電極パッド)とリードピン(リード端子)の内部リード部とを金線などの材料、例えばボンディングワイヤ304により接続する。
【0017】
その後、図15(a)及び(b)に示すように、撮像素子チップ302の貼り付けられたワイヤーフレーム301aをモールド金型等にセッティングし、該モールド金型内に透明樹脂(アクリル等)を流し込む方法などで、樹脂パッケージ305を形成する。なお、図15(a)は上面図及び図15(b)は側面図である。
【0018】
そして、図15(c)のようにフレーム301aから、それぞれの樹脂封止パッケージ305を分離し、リードピン301の外部リード部の足曲げを行う。これにより、固体撮像素子をクリアモールドパッケージにより封止してなる従来の固体撮像装置を完成する。
【0019】
なお、図13に示す固体撮像装置70における、クリアモールドパッケージ71、撮像素子チップ72、リードピン(リードフレーム)73、ボンディングワイヤー74、撮像領域75はそれぞれ、図14及び図15に示す樹脂パッケージ305、撮像素子チップ302、リードピン301、ボンディングワイヤ304に対応している。なお、303は撮像素子チップの裏面である。
【0020】
しかしながら、このクリアモールドパッケージには以下のような3点の課題(1)〜(3)があり、実用化には至っていない。
【0021】
図16は、従来の撮像素子チップのクリアモールドパッケージにおける課題を説明する図であり、図16(a)は、固体撮像素子における電荷検出部の断面構造を示し、図16(b)は固体撮像素子における画素部(撮像領域)(図(b))の断面構造を示している。
【0022】
図16(a)に示すように、固体撮像素子を構成するシリコン基板51の表面には、転送部不純物層(水平転送CCD)61、電荷検出部不純物層64、及び電荷リセットドレイン(RD)66が形成されており、シリコン基板上には、ゲート絶縁膜を介してアウトプットゲート(OG)62及び電荷リセット用ゲート(RG)67が形成されている。また、これらのゲートは、メタル下絶縁膜52により覆われており、この絶縁膜上には、遮光用メタル63、電荷検出部配線メタル65、及びリセットドレインメタル配線68が形成されている。また、これらのメタル上にはメタル上保護膜53を介してオンチップ有機材料層54が形成されている。また、この固体撮像素子では、電荷検出部配線メタル65及びその周辺部上の部分には、オンチップ有機材料層54が形成されておらず、この部分は、クリアモールドパッケージ材料55により封止されている。
【0023】
また、図16(b)に示すように、固体撮像素子を構成するシリコン基板51の表面には、フォトダイオード不純物層56が形成されており、隣接するフォトダイオード不純物層の間には、電荷転送部不純物層57が形成されている。また、この電荷転送部不純物層57上にはゲート絶縁膜を介して、画素ゲート電極58が形成されており、さらにこの画素ゲート電極58は、絶縁膜を介して遮光膜59に覆われている。遮光膜59及び不純物層56上にはメタル下絶縁膜52が平坦化膜として形成され、さらにその上には、メタル上保護膜53、オンチップ有機材料層54が形成されている。オンチップ有機材料層54上には、集光用マイクロレンズ60が、画素を構成するフォトダイオード不純物層56に対向するよう形成されており、さらにこの集光用マイクロレンズ60の表面は、クリアモールドパッケージ材料(透明モールド樹脂)55により覆われている。
【0024】
(1)まず、図16(a)に示すように、シリコン基板51上の、電荷検出部不純物層64及び電荷検出部配線メタル65が配置された電荷検出部上には、モールド樹脂55が被さるために、検出部の容量が増加し出力電圧が低下するという課題がある。
【0025】
(2)また、近年の撮像素子は、図16(b)に示すように、素子最上部に入射光の集光のためのマイクロレンズ60を形成しているが、透明モールド樹脂55とマイクロレンズ60の屈折率が同じであるため、マイクロレンズ60がレンズとして機能しないという課題がある。
【0026】
(3)また、図13に示すようにクリアモールドパッケージ71を用いたCCD型固体撮像装置70では、撮像素子チップ72の裏面や、リードピンを構成する金属部材で反射した入射光が撮像領域75に入射すると、このような反射光により画素部を構成するフォトダイオード(受光部)で発生した電荷が、電荷転送部(CCD)で転送され、電荷検出部で電圧に変換されて、画素信号として出力されることとなる。従って、このような不要反射光は画像不良の原因となる。
【0027】
図17には前記(2)の課題に関して、素子上のマイクロレンズでの集光メカニズムについての説明を示している。
【0028】
図17(a)には従来のマイクロレンズを有する固体撮像素子を中空構造パッケージ内に封止した場合の集光を示しているが、この場合、中空(Air)の屈折率とレンズ形状であるアクリルの屈折率との差と、レンズ形状Lmにより集光されている。尚、マイクロレンズ上には、アクリルの屈折率とAirの屈折率の中間程度の反射率を持つ膜Lb(ここではシリコン酸化膜:屈折率1.45)を形成して反射防止膜としている。
【0029】
同じマイクロレンズを有する固体撮像素子をクリアモールドパッケージに封止した場合を図17(b)に示しているが、レンズ材料Lmであるアクリルと封止樹脂であるアクリルLcは同系素材であるので、屈折率はほぼ同じものであり、間にシリコン酸化膜Lbを挟んでいるとはいえ、入射光はほとんど集光されないことになる。なお、図中Laはマイクロレンズの下地構造における光透過領域である。
【0030】
次に、上述した電荷検出部には通常FDA(フローティング・ディフュージョン・アンプ)という構造が用いられており、以下、CCD型固体撮像素子におけるFDA構造の出力部を具体的に説明する。
【0031】
図18は、このような従来のCCD型固体撮像素子を説明する図であり、図18(a)は、このCCD型固体撮像素子の全体構成を模式的に示し、図18(b)は、このCCD型固体撮像素子における電荷検出部の断面構造を示している。
【0032】
図18(a)に示すように、CCD型固体撮像素子210は、マトリクス状に配列され、光電変換を行う複数の受光部(光電変換領域)Pxと、各受光部列に対応して設けられ、該光電変換領域で発生した電荷を垂直方向に転送する垂直転送部(垂直CCD)211と、該垂直転送部211からの信号電荷を水平方向に転送する水平転送部(水平CCD)212とを有している。また、この固体撮像素子210は、該水平転送部212の最終段側に配置され、転送されてきた信号電荷を検出して電圧信号として出力する電荷検出部213と、電荷検出部213に蓄積された信号電荷を固体撮像素子210の外部に排出する電荷排出部214とを有している。ここで、受光部PDはフォトダイオードからなり、電荷検出部220は、該水平転送部212の最終段側に配置され、転送されてきた信号電荷を蓄積する電荷蓄積部213と、検出された信号電荷を信号電圧に変換して増幅する出力部215とを有している。また、上記各受光部PDは、この固体撮像素子における各画素Pxを形成するものである。
【0033】
このようなCCD型の固体撮像素子210においては、受光部(フォトダイオード)PDで発生した信号電荷を、電荷転送部(垂直CCD211及び水平CCD212)により転送し、この信号電荷を電荷検出部220で信号電圧に変換して出力している。
【0034】
上述したように、この電荷検出部220にはFDA(フローティング・ディフュージョン・アンプ)という構造が用いられており、このFDA構造における電荷蓄積部及び出力部は図18(b)に示すように構成されている。
【0035】
図18(b)に示すように、シリコン基板151の表面領域には、電荷蓄積部213を形成する検出部N不純物層155と、電荷排出部214を構成するリセットドレインN不純物拡散層157とが形成されされている。また、不純物層155と不純物層157との間には、リセットトランジスタを構成するチャネル領域となるN不純物層164aが形成され、該N不純物層164a上には、リセットゲート電極RGを構成するポリシリコン層158が形成されている。また、検出部N不純物層155の水平CCD側には、水平CCD212の転送チャネルを構成するN不純物層164が形成されており、該不純物層164上には、水平CCD212の転送ゲート電極を構成する2層構造のポリシリコン層152が形成されている。
【0036】
なお、転送ゲート電極OGは、電荷転送部から転送されてきた信号電荷を、電荷検出部220へと読み出す最終のゲート電極であり、リセットゲート電極RGは、電荷検出部220の電荷蓄積部に蓄積された信号電荷をリセットドレインRDに排出してリセットするためのゲート電極であり、このリセットドレインRDには、固体撮像素子を駆動するための駆動電圧(電源電圧)が印加されている。
【0037】
図19は、上記電荷検出部220及びその近傍における不純物層及び電極のレイアウトパターンを説明する平面図であり、図19(a)は、活性領域(不純物層)の分離パターン、ゲート電極のパターン、N不純物層パターン、コンタクトパターンのみを模式的に示している。図19(b)は、活性領域の分離パターン、N不純物層の配置パターン、メタル層のパターンのみを示している。
【0038】
シリコン基板151(図18(b)参照)には、水平CCD212のチャネル領域となるN不純物層164が形成されており、水平CCDを構成する2層転送電極として、第1層ポリシリコンからなる第1層ゲート電極152aと、第2層ポリシリコンからなる第2層ゲート電極152bとが交互に配置されている。このN不純物層164の、水平CCD212の終端側部分は、リセットドレインを構成するN不純物層(リセットドレイン不純物層)157につながっており、N不純物層157とN不純物層164との接続部分には、リセットゲートを構成するポリシリコン層158が絶縁膜(図示せず)を介して形成されている。
【0039】
また、N不純物層164の、リセットゲートRGと最終転送ゲート152cとの間の部分には、電荷検出部を構成するN不純物層(検出部不純物層)155が形成されており、該N不純物層155に近接するよう、出力部215のトランジスタ(出力回路トランジスタ)を構成するN不純物層165が形成されている。
【0040】
ここで、このトランジスタの不純物層165には絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極となるポリシリコン層167が形成されており、該ポリシリコン層167の一端は検出部不純物層155上に位置している。また、トランジスタ不純物層165のゲート電極の両側部には、ソースドレイン領域となっており、上層のメタル配線157bと接続するためのコンタクトホール165aが形成されている。リセットドレイン不純物層157上には、この不純物層を、上層のメタル層159と接続するためのコンタクトホール157aが形成されている。なお、水平CCDを構成する転送ゲート152上にもメタル層154が形成されているが、このメタル層は、遮光膜として形成されたものであり、電気的な配線層としては用いられないものである。
【0041】
ここで電荷検出部が持つ容量成分CFDは次式のように表される。
【0042】
CFD = C1+C2+C3+Cd+Cg+Cf
C1は、最終段転送ゲートOGと検出部不純物層(メタル配線156を含む)155と間の容量成分、C2はリセットゲートRGと検出部不純物層(メタル配線156を含む)155と間の容量成分、C3は検出部メタル配線156とリセットドレイン配線159と間の容量成分、Cdは、検出部不純物領域内及び検出部不純物領域と基板との間の接合容量成分、Cgは出力部トランジスタの容量成分、Cfは、電荷検出部自体の浮遊容量成分、つまり電荷検出部を構成する導電性部材の浮遊容量成分である。
【0043】
出力部の出力電圧Voutは、最終転送ゲートOGから電荷検出部220へ入力される電荷量をQsigとすると、次式で表される。
【0044】
Vout = Qsig/CFD
この式から、出力電圧Voutを大きくするには、電荷検出部の容量CFDを小さくする必要があることが分かる。
【0045】
このように、出力電圧Voutを大きくするためには検出部の容量CFDを小さくする必要があるが、電荷検出部上に、クリアモールド樹脂(アクリル樹脂:誘電率4程度)が被さることにより検出部の容量が増加することとなる。
【0046】
その改善策として、特許文献1に示すように、透明樹脂と検出部との間に低誘電率の膜を形成する方法が考えられるが、低誘電体膜を用いたとしても、その誘電率は2.0程度であり、検出部上の容量増加を完全に防ぐことはできない。
【0047】
なお、以下に、電荷検出部の上方を露出させた構造を有する従来のCCD型固体撮像素子について詳しく説明する。
【0048】
図20は、電荷検出部の上方を露出させた構造を有する従来のCCD型固体撮像素子を説明する断面図であり、図20(a)は、図19(a)及び(b)のXa−Xa線断面に相当する部分の構造(電荷検出部の断面構造)を示し、図20(b)は、図19(a)及び(b)のXb−Xb線断面に相当する部分の構造(電荷検出部の断面構造)を示している。
【0049】
図20(a)に示す断面構造は、図18(b)に示す断面構造と同様に、シリコン基板151の表面領域には、電荷蓄積部213を形成する検出部N不純物層155と、電荷排出部214を構成するリセットドレインN不純物拡散層157とが形成されされている。また、不純物層155と不純物層157との間には、リセットトランジスタを構成するチャネル領域となるN不純物層164aが形成され、該N不純物層164a上には、リセットゲート電極RGを構成するポリシリコン層158が形成されている。また、検出部N不純物層155の水平CCD側には、水平CCD212の転送チャネルを構成するN不純物層164が形成されており、該不純物層164上には、水平CCD212の転送ゲート電極OGを構成する2層構造のポリシリコン層152が形成されている。
【0050】
出力部のトランジスタを構成するN不純物層165が、検出部N不純物層155とはフィールド絶縁膜166により分離されて形成されており、N不純物層165上には、該トランジスタのゲート電極としてのポリシリコン層167が絶縁膜を介して形成され、ポリシリコン層167の一端が検出部N不純物層155上に位置している。
【0051】
また、フィールド酸化膜及び不純物層上には、全面を覆うようメタル下絶縁膜153が形成されており、このメタル下絶縁膜153上には、遮光膜としてのメタル層154が水平CCDの転送電極上に位置するよう形成され、また配線としてのメタル層156、159が形成されている。
【0052】
メタル層156は、メタル下絶縁膜153に形成されたコンタクトホールを介して、検出部N不純物層155及び出力トランジスタのポリシリコン層167に接続されている。また、メタル層159は、メタル下絶縁膜153に形成されたコンタクトホールを介して、トランジスタ不純物層157に接続されている。
【0053】
さらに基板全面には、これらのポリシリコン層152及び158を覆うようシリコン窒化膜などの素子保護膜160を介してオンチップ有機材料層161が形成され、その表面にはオンチップ表面反射防止膜163が形成されている。ここで、オンチップ有機材料層161には、オンチップカラーフィルター層162が含まれている。
【0054】
そして、この従来の固体撮像素子200では、図19(a)及び(b)に示す、検出部N不純物層155を中心とする一定の半径の円の内側の領域Rは、オンチップ有機材料層161及びオンチップ表面反射防止膜163が除去されて露出している。
【0055】
次に、図20に示す固体撮像素子の製造方法について説明する。
【0056】
図21は、図20に示す従来の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(e))に示す断面図であり、特に、メタル層の形成工程以降の工程を示している。なお、メタル層の形成工程までの工程で得られる素子構造は、図20に示されている。
【0057】
まず、シリコン基板151上に、電荷転送路となるN不純物層164、リセットトランジスタのチャネル領域となるN不純物層164a、検出部N不純物層155、リセットドレインN不純物層157を選択的な不純物拡散処理により形成し、その後、2層のポリシリコンゲートによる電荷転送部152を形成し、検出部の電荷をリセットドレインに排出するためのリセットゲート電極158を形成する。
【0058】
その後、全面にメタル下絶縁膜153を形成するとともに、遮光膜としての転送部上メタル層154、検出部の電位を出力トランジスタへ伝えるためのメタル配線156、及びリセットドレインメタル配線159を形成する(図21(a))。
【0059】
次に、これらメタルまでの下地構造171上に、シリコン窒化膜などの保護膜160を全面に形成する(図21(b))。このとき成膜条件としては、低温プラズマCVD装置において、温度300〜400℃、圧力1.5〜3.0Torr、高周波RF電力500〜1000W、低周波RF電力100〜700W、SiHガスの流量100〜200sccm、NHガスの流量200〜1000sccm、Nガスの流量10000〜15000sccm、膜厚20〜50nmという条件を用いる。
【0060】
続いて、オンチップ層である透明有機材料を塗布して平坦化を行い、その後、カラーフィルター162などの有機系材料層をスピンコートにより形成する。さらにその上にオンチップ層である透明有機材料を、マイクロレンズの、受光部からの高さ(集光高さ)の調整のために、所定の厚さに形成する。例えば、マイクロレンズの集光高さについては、固体撮像素子の画素数などにより異なるが、受光部の開口面からマイクロレンズ底部までの距離が3.0〜7.0um程度になるよう、有機材料層の膜厚で調整する。
【0061】
その後、シリコン酸化膜などの材料による表面反射防止膜163をやはり低温プラズマCVDにより形成する(図21(c))。その成膜条件としては、温度200〜250℃、圧力1.5〜3.5Torr、RF電力150〜300Wとし、SiH・NO・Nガスを使用し、膜厚10〜50nmとする条件を用いる。
【0062】
なお、カラーフィルター層162については、後のドライエッチング処理では残渣等が残り、完全に除去することが困難であるため、カラーフィルター形成時のフォトリソグラフィ処理時に、電荷検出部の上方に位置する部分を取り除いている。
【0063】
そして、これら全てのオンチップ工程(カラーフィルターやマイクロレンズの形成工程)が完了した後に、検出部の上方に開口166aを有するエッチング用パターン166b(レジストマスクなど)を形成して(図21(d))、ドライエッチング処理により、反射防止膜であるシリコン酸化膜163、有機材料層161、保護膜であるシリコン窒化膜層160をエッチング除去する(図21(e))。
【0064】
このエッチング処理では、上層側より、シリコン酸化膜、有機系膜(アクリル膜)、シリコン窒化膜のエッチングが行われるので、プラズマエッチング装置を用いて、3ステップのエッチング処理が行われる。具体的には、エッチング処理としては、1回の処理であるが、この1回のエッチング処理の間に、処理条件がそれぞれの膜に適したエッチングステップに切り替えられることとなる。
【0065】
シリコン酸化膜をエッチングする第1ステップのエッチング条件は、圧力500〜2000mtorr、RF電力750〜1500W、使用ガスO・CHFの条件とする。第2ステップでアクリル膜をエッチングするエッチング条件は、圧力500〜1500mtorr、RF電力300〜750W、使用ガスO・CHFという条件とする。第3ステップでシリコン窒化膜をエッチングするエッチング条件は、圧力1000〜2000mtorr、RF電力750〜1500W、使用ガスO・CFという条件とする。
【0066】
なお、これらオンチップ工程層(オンチップ工程で形成される層)については、固体撮像素子が外部との信号のやりとりを行うための電極パッド部分についても同時に除去される(図示せず)。
【0067】
従来のCCD型固体撮像素子は、上述したような構造を有し、また上述したような製造方法で製造されたものである。
【0068】
ところで、近年のCCD型固体撮像素子の用途として、車載の周辺モニターや事故前後の状況を記録するドライブレコーダー、あるいは高温高湿の地域での監視カメラ等、過酷な環境での使用が増加してきている傾向にある。
【0069】
これら過酷な環境下においては、固体撮像素子自体が高温になるだけではなく、図12に示すような中空領域を有するパッケージでは、ガラス接着部分(シール部85)から水分、さらには不純物が浸入する。このため、図20に示すようなメタル膜上の全ての膜が取り除かれているタイプの固体撮像素子を、このような中空領域を有するパッケージを用いて封止した場合、検出部のメタル膜が侵入してきた水分と高温環境によって、腐食や変質をきたし、動作不良を発生させるなどの信頼性の大きな低下を引き起こすことになってしまうという問題がある。
【0070】
そこで、これら過酷な使用環境に対応するため、図22に示すように、図21に示す固体撮像素子200における、基板上の電荷検出部が配置された領域Rに保護膜(シリコン窒化膜)160のみを残す構造を採用した固体撮像素子200aが開発されている。
【0071】
図23は、図22に示す従来の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(e))に示す断面図である。
【0072】
図22に示す固体撮像装置200aの製造方法は、図21に示す固体撮像素子200の製造方法とほぼ同じ工程を有するものであるが、図21に示す固体撮像素子200の製造方法とは、図23(e)に示す電荷検出部上に形成されている膜をエッチングする工程が、図22(e)に示す固体撮像装置200のものと異なる。
【0073】
つまり、図22に示す固体撮像素子200aの製造方法では、オンチップ層を形成した後は、図21に示す固体撮像素子200の製造方法のように、上層側より、シリコン酸化膜、有機系膜(アクリル膜)、シリコン窒化膜の3つの膜のエッチングを行うのではなく、上層側より、シリコン酸化膜、有機系膜(アクリル膜)の2つの膜のエッチングのみを行い、つまり、シリコン窒化膜のエッチングステップは行わないようにしている。
【0074】
なお、図22に示す固体撮像素子の製造方法における図23(a)〜(d)に示す工程は、図20に示す固体撮像素子の製造方法における図21(a)〜(d)に示す工程と全く同一である。
【0075】
なお、電極パッド部については、電気的な接続のために、シリコン窒化膜を取り除く必要があるので、シリコン窒化膜のエッチング時には、このシリコン窒化膜が選択的に除去されるようパターニングされたマスクを用いたり、電極パッド部分のシリコン窒化膜については、上層側のシリコン酸化膜及び有機系膜(アクリル膜)の2つの膜のエッチング工程とは独立して行ったりするなどの工夫をする必要がある。
【0076】
このように電荷検出部上にシリコン窒化膜を残すことにより、外部から固体撮像素子のパッケージ内に侵入した水分(さらには不純物)と、固体撮像素子のメタル配線とが直接接触することはなくなり、メタルの変質や腐食を防ぐことができ、このため動作不良等の問題をある程度防ぐことができるようになる。
【0077】
しかしながら、上述したように、電荷検出部を構成するメタル層上に絶縁膜を残すことで、検出部の容量増加を招くことになり、同じ光量入射で約1割程度の出力低下を招くといったこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開平5−251676号公報
【特許文献2】特開2003−338613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0079】
従来のクリアモールドパッケージでは、上述した構造及び製造方法で分かるように、撮像素子チップがリードピン、さらには金属製の接続ワイヤー等とともに全て透明樹脂により封止されているので、撮像素子チップに入射した光は、これら金属部品にも当たり、これらの金属部品や撮像素子チップの裏面などでの乱反射光が発生し、この乱反射光は撮像時の撮像画面に写り込んむこともあり、画像不良の原因となるという問題がある。
【0080】
また、従来の固体撮像装置などの半導体装置の素子構成では、出力信号の増加のために電荷検出部上の誘電体膜を除去することと、メタル配線の腐食等を防ぎ信頼性上強いデバイスを作製することは相反することになっており、両方を満足する素子を実現する事は困難である。
【0081】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、撮像素子チップなどの半導体素子を、透明樹脂からなるクリアモールドパッケージを用いて、該半導体素子を構成する金属部材での反射光の悪影響を招くことなく封止することができ、これにより半導体素子への水分の浸入を防止できる、画質などの性能劣化がなく信頼性の高い半導体装置及びその製造方法、固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0082】
本発明に係る半導体装置は、発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子と、該半導体素子に接続されるリード端子と、該半導体素子を該リード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出させた半導体装置であって、該素子封止パッケージは、その表面の、該半導体素子の動作領域に対向する透光領域を除いて、該素子封止パッケージの表面を遮光性材料により被覆したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0083】
本発明は、上記半導体装置において、前記外部リードは、他の部品と電気的に接続される接続部を除いて前記遮光性材料により被覆されていることが好ましい。
【0084】
本発明は、上記半導体装置において、前記遮光性材料は防湿性を有し、前記素子封止パッケージの表面の、前記光透領域以外領域を、前記外部リードの接続部以外の部分とともに覆う保護膜を形成していることが好ましい。
【0085】
本発明は、上記半導体装置において、前記保護膜は、黒色ゴム材により構成されていることが好ましい。
【0086】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子と、該半導体素子に接続されるリード端子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを有し、該リード端子の一部が外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出した半導体装置を製造する方法であって、該半導体素子を該リード端子とともに該透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程と、該素子封止パッケージの表面の、該動作領域に対向する透光領域、及び該外部リードの、他の部品と電気的に接続される接続部をマスク部材によりマスクする工程と、該素子封止パッケージ及び該外部リードの全面に遮光性部材を付着させる工程と、該マスク部材を、該マスク部材上に付着した遮光性部材とともに除去して、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を露出させる工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0087】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部に有機系塗料を選択的に塗布してマスク層を形成する工程を含み、前記マスク部材を除去する工程は、該有機系塗料の塗布により形成したマスク層を機械的にあるいは化学処理により除去する工程を含むことが好ましい。
【0088】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージを、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を覆うマスク治具に装着する工程を含み、前記マスク部材を除去する工程は、該素子封止パッケージを該マスク治具から取り外す工程を含むことが好ましい。
【0089】
本発明に係る半導体装置は、入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部、及び該光電変換部で変換された信号電荷を検出する電荷検出部を有する半導体素子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備えた半導体装置であって、該素子封止パッケージは、該半導体素子の電荷検出部を構成する導電性層と、該導電性層を覆う絶縁層との間に中空領域が介在する中空構造を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0090】
本発明は、上記半導体装置において、前記中空構造を形成する絶縁層上には、前記半導体素子の表面の、該中空領域による凹凸を平坦化する平坦化膜が形成されていることが好ましい。
【0091】
本発明は、上記半導体装置において、前記半導体素子の電荷検出部を構成する導電性層はメタル層であり、該メタル層である導電性層を覆う絶縁膜は、窒化シリコン膜であることが好ましい。
【0092】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、該光電変換部で変換された信号電荷を検出する電荷検出部とを有する半導体素子を形成する工程と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージを形成する工程とを含み、該半導体素子と該素子封止パッケージとを有する半導体装置を製造する方法であって、該半導体素子の形成工程は、該電荷検出部を構成する導電性層を形成する工程と、該導電性層上に中空領域を形成するための犠牲層を、該導電性層を覆うよう形成する工程と、該犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程と、該導電性層と該絶縁層との間に中空領域が形成されるよう、該犠牲層を除去する工程とを含み、該素子封止パッケージの形成工程は、該半導体素子を、リード端子とともに該透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程を含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0093】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程は、該犠牲層を覆うよう第1の保護膜を形成する工程と、該第1の保護膜の、該犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程と、該犠牲層を、該保護膜開口を介してエッチャントに晒して除去する工程と、該第1の保護膜上に該保護膜開口を塞ぐよう第2の保護膜を形成する工程とを有することが好ましい。
【0094】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記犠牲層はフォトレジスト膜であることが好ましい。
【0095】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記第1の保護膜の、前記犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程では、該第1の保護膜の選択エッチングをフォトレジストマスクを用いて行い、該犠牲層としてのフォトレジスト膜を除去する際に、該第1の保護膜の選択エッチングで用いたフォトレジストマスクをも除去することが好ましい。
【0096】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記犠牲層は、シリコン酸化膜であることが好ましい。
【0097】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記電荷検出部を構成する導電性層を形成する前に、該導電性層の下地層として、前記犠牲層のエッチングに対するエッチング耐性を有する膜を形成する工程を含み、該犠牲層を除去するエッチング処理では、該エッチング耐性を有する膜をエッチングストッパ層として用いることが好ましい。
【0098】
本発明に係る半導体装置は、発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備えた半導体装置であって、該半導体素子は、該動作領域上に位置するよう配置されたレンズと、該レンズと該透明樹脂との間に形成された反射防止膜とを有し、該レンズを構成する透明レンズ材料は、該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有し、該反射防止膜は、該レンズ層を構成する透明レンズ材料の屈折率より低く、かつ該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0099】
本発明は、上記半導体装置において、前記レンズを構成する透明レンズ材料はシリコン窒化膜であり、前記透明樹脂はアクリル樹脂であり、前記反射防止膜はシリコン酸窒化膜であることが好ましい。
【0100】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子を形成する工程と、該半導体素子を封止する素子封止パッケージを形成する工程とを含み、該半導体素子と該素子封止パッケージとを有する半導体装置を製造する方法であって、該半導体素子の形成工程は、該半導体素子の動作領域に位置するようレンズを形成する工程と、該レンズ上に、該レンズを構成する透明材料の屈折率より低い屈折率を有する反射防止膜を形成する工程とを含み、該素子封止パッケージの形成工程は、該半導体素子をリード端子とともに、該反射防止膜の屈折率より低い屈折率を有する透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程を含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0101】
本発明は、上記半導体装置の製造方法において、前記レンズの形成工程は、該レンズの下地構造上に、該レンズを構成する透明材料としてシリコン窒化膜を形成する工程と、該シリコン窒化膜上に有機レジスト層を形成し、該有機レジスト層をレンズ形状になるよう加工する工程と、該レンズ形状に加工した有機レジスト層及びその下側の該シリコン窒化膜を、該有機レジスト層のレンズ形状が該シリコン窒化膜に転写されるようエッチングする工程とを有することが好ましい。
【0102】
本発明に係る固体撮像装置は、入射光を光電変換して被写体を撮像する撮像領域、及び該撮像領域での光電変換により得られた信号電荷を検出して信号電圧に変換する電荷検出部、及び該入射光を該撮像領域に集光するよう屈折させるマイクロレンズを有する固体撮像素子と、該固体撮像素子に接続されたリード端子と、該固体撮像素子を該リード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出させた固体撮像装置であって、該素子封止パッケージは、その表面の、該固体撮像素子の撮像領域に対向する透光領域を除いて、該素子封止パッケージの表面を遮光性材料により被覆したものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0103】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記外部リードは、他の部品と電気的に接続される接続部を除いて前記遮光性材料により被覆されていることが好ましい。
【0104】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記遮光性材料は防湿性を有し、前記素子封止パッケージの表面の、前記撮像領域以外領域を、前記外部リードの接続部以外の部分とともに覆う保護膜を形成していることが好ましい。
【0105】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記保護膜は、黒色ゴム材により構成されていることが好ましい。
【0106】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記素子封止パッケージは、前記固体撮像素子の電荷検出部を構成する導電性層と、該導電性層を覆う絶縁層との間に中空領域が介在する中空構造を有することが好ましい。
【0107】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記中空構造を形成する絶縁層上には、前記固体撮像素子の表面の、前記中空領域による凹凸を平坦化する平坦化膜が形成されていることが好ましい。
【0108】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記固体撮像素子の電荷検出部を構成する導電性層はメタル層であり、該メタル層である導電性層を覆う絶縁膜は、窒化シリコン膜であることが好ましい。
【0109】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記固体撮像素子は、前記マイクロレンズと前記透明樹脂との間に形成された反射防止膜を有し、該マイクロレンズを構成する透明レンズ材料は、該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有し、該反射防止膜は、該マイクロレンズを構成する透明レンズ材料の屈折率より低く、かつ該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有することが好ましい。
【0110】
本発明は、上記固体撮像装置において、前記マイクロレンズを構成する透明レンズ材料はシリコン窒化膜であり、前記透明樹脂はアクリル樹脂であり、前記反射防止膜はシリコン酸窒化膜であることが好ましい。
【0111】
本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、入射光を光電変換して被写体を撮像する撮像領域、及び該撮像領域での光電変換により得られた信号電荷を検出して信号電圧に変換する電荷検出部、及び該入射光を該撮像領域に集光するよう屈折させるマイクロレンズを有する固体撮像素子と、該固体撮像素子に接続されたリード端子と、該固体撮像素子を該リード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出させた固体撮像装置を製造する方法であって、該固体撮像素子を該リード端子とともに該透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程と、該素子封止パッケージの表面の、該撮像領域に対向する透光領域、及び該外部リードの、他の部品と電気的に接続される接続部をマスク部材によりマスクする工程と、該素子封止パッケージ及び該外部リードの全面に遮光性部材を付着させる工程と、該マスク部材を、該マスク部材上に付着した遮光性部材とともに除去して、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を露出させる工程とを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0112】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部に有機系塗料を選択的に塗布してマスク層を形成する工程を含み、前記マスク部材を除去する工程は、該有機系塗料の塗布により形成したマスク層を機械的にあるいは化学処理により除去する工程を含むことが好ましい。
【0113】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージを、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を覆うマスク治具に装着する工程を含み、前記マスク部材を除去する工程は、該素子封止パッケージを該マスク治具から取り外す工程を含むことが好ましい。
【0114】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記撮像領域、前記電荷検出部、及び前記マイクロレンズを有する固体撮像素子を形成する工程を含み、該固体撮像素子の形成工程は、該電荷検出部を構成する導電性層を形成する工程と、該導電性層上に中空領域を形成するための犠牲層を、該導電性層を覆うよう形成する工程と、該犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程と、該導電性層と該絶縁層との間に中空領域が形成されるよう、該犠牲層を除去する工程とを含むことが好ましい。
【0115】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程は、該犠牲層を覆うよう第1の保護膜を形成する工程と、該第1の保護膜の、該犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程と、該犠牲層を、該保護膜開口を介してエッチャントに晒して除去する工程と、該第1の保護膜上に該保護膜開口を塞ぐよう第2の保護膜を形成する工程とを有することが好ましい。
【0116】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記犠牲層はフォトレジスト膜であることが好ましい。
【0117】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記第1の保護膜の、前記犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程では、該第1の保護膜の選択エッチングをフォトレジストマスクを用いて行い、該犠牲層としてのフォトレジスト膜を除去する際に、該第1の保護膜の選択エッチングで用いたフォトレジストマスクをも除去することが好ましい。
【0118】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記犠牲層は、シリコン酸化膜であることが好ましい。
【0119】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記電荷検出部を構成する導電性層を形成する前に、該導電性層の下地層として、前記犠牲層のエッチングに対するエッチング耐性を有する膜を形成する工程を含み、該犠牲層を除去するエッチング処理では、該エッチング耐性を有する膜をエッチングストッパ層として用いることが好ましい。
【0120】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記撮像領域、前記電荷検出部、及び前記マイクロレンズを有する固体撮像素子を形成する工程を含み、該固体撮像素子の形成工程は、該固体撮像素子の撮像領域に位置するよう該マイクロレンズを形成する工程と、該マイクロレンズ上に、該マイクロレンズを構成する透明材料の屈折率より低い屈折率を有する反射防止膜を、該透明樹脂と該マイクロレンズとの間に介在するよう形成する工程とを含むことが好ましい。
【0121】
本発明は、上記固体撮像装置の製造方法において、前記マイクロレンズの形成工程は、該マイクロレンズの下地構造上に、該マイクロレンズを構成する透明材料としてシリコン窒化膜を形成する工程と、該シリコン窒化膜上に有機レジスト層を形成し、該有機レジスト層をマイクロレンズ形状になるよう加工する工程と、該マイクロレンズ形状に加工した有機レジスト層及び該シリコン窒化膜を、該有機レジスト層のマイクロレンズ形状が該シリコン窒化膜に転写されるようエッチングする工程とを有することが好ましい。
【0122】
本発明に係る電子情報機器は、被写体の撮像を行う撮像部を備えた電子情報機器であって、該撮像部は、上述した本発明に係る固体撮像装置を含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0123】
次に、本発明の作用について説明する。
【0124】
本発明においては、半導体素子をリード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージを備えた半導体装置において、該素子封止パッケージを、その表面の、該半導体素子の動作領域に対向する透光領域を除いて、該素子封止パッケージの表面を遮光性材料により被覆した構造としたので、半導体素子などを構成する金属部材での反射光の悪影響、つまり反射光が動作領域に侵入して動作特性が劣化するといった不具合を抑制するすることができる。
【0125】
また、本発明においては、上記外部リードを、他の部品と電気的に接続される接続部を除いて遮光性材料により被覆した構造とするので、透明の素子封止パッケージを用いた場合の反射光の悪影響をより一層抑えることができる。
【0126】
本発明においては、光電変換部で変換された信号電荷を検出する電荷検出部を有する半導体素子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備えた半導体装置において、該素子封止パッケージを、該半導体素子の電荷検出部を構成する導電性層と、該導電性層を覆う絶縁層との間に中空領域が介在する中空構造を有するものとしたので、外部から侵入した水分等は保護膜としての透明樹脂により防ぐことができ、しかもその保護膜はメタル膜と接触していない。このため、電荷検出部の出力信号の電圧が増加するように電荷検出部上の誘電体膜を除去することと、電荷検出部を構成するメタル配線の腐食等を防ぐことの両方を満足した固体撮像装置などの半導体装置を得ることができる。
【0127】
さらに、半導体素子においては、電荷検出部を構成するメタル層上には、空洞を介して保護膜を形成することで、更にその上層のオンチップ層(有機系膜)は除去する必要がなく、全て残しても、電荷検出部での容量増加等の問題は発生しない。これにより、電荷検出部は、シリコン窒化膜の保護膜及びで被われているだけでなく、吸湿性の良い有機系膜によっても覆われることなる。
【0128】
このため、侵入した水分が直接保護膜に接触するのではなく、一度有機系膜などに吸収されて接触することになり、更に信頼性の向上が見込める。
【0129】
また、有機系膜だけでなく、その上にカラーフィルターを重ねて、電荷検出部上にこれらの有機系膜及びカラーフィルターを形成することにより、検出部への光入射も防ぐことができ、光入射により検出部で発生するノイズ成分の発生も抑えることができる。
【0130】
さらに、半導体素子を封止する封止樹脂が半導体素子の電荷検出部に接触することもない。
【0131】
本発明においては、発光領域あるいは受光領域などの動作領域と、該動作領域上に位置するよう配置されたレンズとを有する半導体素子を透明樹脂により封止して素子封止パッケージを形成した半導体装置において、該半導体素子を、該レンズと該透明樹脂との間には形成された反射防止膜を有し、該レンズを構成する透明レンズ材料の屈折率を、該透明樹脂の屈折率より高くし、該反射防止膜の屈折率を、該レンズ層を構成する透明レンズ材料の屈折率より低く、かつ該透明樹脂の屈折率より高くしたので、レンズが封止材料である透明樹脂で覆われても、レンズによる入射光の屈折作用を高く維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0132】
以上のように、本発明によれば、撮像素子チップなどの半導体素子を、透明樹脂からなるクリアモールドパッケージを用いて、該半導体素子を構成する金属部材での反射光の悪影響を招くことなく封止することができ、これにより半導体素子への水分の浸入を防止できる、画質などの性能劣化がなく信頼性の高い固体撮像装置などの半導体装置を得ることができ、さらにはこのような特性劣化のない信頼性の高い半導体装置を搭載した電子情報機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを用いたものを説明する図であり、図1(a)及び図1(b)はそれぞれ上面図、及び側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを形成する方法を説明する図であり、リードフレームに撮像素子チップを搭載する工程を処理順(図(a)〜図(d))に示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態1による固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを形成する方法を説明する図であり、リードフレームに搭載した撮像素子チップを封止してリードフレームから分離するまでの工程を処理順(図(a)〜図(f))に示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態1による固体撮像装置を説明する図であり、下地の透明領域La上に形成されたマイクロレンズLm1上に反射防止膜Lb1を設けた構造を示している。
【図5】図5は、本実施形態1による固体撮像素子における電荷検出部の断面構造(図(a))及び画素部(図(b))の断面構造を示している。
【図6】図6は、本発明の実施形態1による固体撮像素子を説明する図であり、図6(a)及び図6(b)は、この固体撮像素子の電荷検出部における不純物層及び電極のレイアウトパターンを説明する平面図である。
【図7】図7は、本実施形態1のCCD型固体撮像素子を説明する断面図であり、図7(a)は、図6(a)及び(b)のIIa−IIa線断面の構造(電荷検出部の断面構造)を示し、図7(b)は、図6(a)及び(b)のIIb−IIb線断面の構造(電荷検出部の断面構造)を示している。
【図8】図8は、図6に示す実施形態1の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(g))に示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態2によるCCD型固体撮像素子を説明する断面図であり、図6(a)及び(b)のIIa−IIa線断面に相当する部分の構造を示している。
【図10】図10は、上記実施形態2の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(g))に示す断面図である。
【図11】図11は、上記実施形態2の固体撮像素子の製造方法におけるコンタクト孔の形成処理を工程順(図(a)〜図(d))に示す断面図である。
【図12】図12は、従来の固体撮像装置として、封止パッケージ上部にガラスを貼り付けた中空構造のパッケージを有するものを説明する断面図である。
【図13】図13は、従来の固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを用いたものを説明する図であり、図13(a)及び(b)はそれぞれ上面図、及び側面図である。
【図14】図14は、従来のクリアモールドパッケージを用いた固体撮像装置の製造方法を説明する図であり、リードフレームに撮像素子チップを搭載する工程を処理順(図(a)〜図(d))に示している。
【図15】図15は、従来のクリアモールドパッケージを用いた固体撮像装置の製造方法を説明する図であり、リードフレームに搭載した撮像素子チップを封止してリードフレームから分離するまでの工程を処理順(図(a)〜図(d))に示している。
【図16】図16は、従来の撮像素子チップのクリアモールドパッケージにおける課題を説明する図であり、固体撮像素子における電荷検出部の断面構造(図(a))及び画素部の断面構造(図(b))を示している。
【図17】図17は、従来の固体撮像素子上のマイクロレンズでの集光メカニズムを、固体撮像素子上での透明膜の屈折率の異なる構造(図(a)及び図(b))について説明する図である。
【図18】図18は、従来のCCD型の固体撮像素子を説明する図であり、図18(a)は、このCCD型の固体撮像素子の全体構成を模式的に示し、図18(b)は、このCCD型の固体撮像素子における電荷検出部の断面構造を示している。
【図19】図19は、上記従来の固体撮像素子の電荷検出部における不純物層及び電極のレイアウトパターンを説明する平面図であり、図19(a)は、活性領域(不純物層)の分離パターン、ゲート電極のパターン、N不純物層パターン、コンタクトパターンのみを模式的に示し、図19(b)は、活性領域の分離パターン、N不純物層の配置パターン、メタル層のパターンのみを示している。
【図20】図20は、従来のCCD型固体撮像素子を説明する断面図であり、図20(a)は、図19(a)及び(b)のXa−Xa線断面に相当する部分の構造(電荷検出部の断面構造)を示し、図20(b)は、図19(a)及び(b)のXb−Xb線断面に相当する部分の構造(電荷検出部の断面構造)を示している。
【図21】図21は、図20に示す従来の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(e))に示す断面図である。
【図22】図22は、従来の他のCCD型固体撮像素子を説明する断面図である。
【図23】図23は、図22に示す従来の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(e))に示す断面図である。
【図24】図24は、本発明の実施形態3として、実施形態1あるいは2の固体撮像素子を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0134】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0135】
本発明の実施形態では、半導体装置として、固体撮像装置を挙げて具体的に説明するが、クリアモールドパッケージを用いる半導体装置は、固体撮像装置に限定されるものではなく、光通信に用いられる発光素子(例えば発光ダイオード)や受光素子(フォトダイオード)、さらには、録画再生装置などの光ピックアップなどに用いられるレーザダイオードの半導体装置でもよい。
【0136】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを用いたものを説明する図であり、図1(a)及び図1(b)はそれぞれ上面図、及び側面図である。
【0137】
本発明の実施形態1による固体撮像装置30は、クリアモールドパッケージ31を有しており、このクリアモールドパッケージ(素子封止パッケージ)31は、撮像素子チップ32をリードピン(リードフレーム)33とともに透明モールド樹脂で封止してなるものである。なお、図1中、34はボンディングワイヤー、35は撮像素子チップ(固体撮像素子)32の撮像領域である。
【0138】
この固体撮像装置30では、パッケージ31は、その表面の、撮像素子チップ(固体撮像素子)32の撮像領域35に対向する透光領域を除いて、パッケージ表面を遮光性材料36により被覆されている。また、リードピン(リード端子)のパッケージ31の外部の露出した部分(外部リード)33は、他の部品と電気的に接続される接続部(先端部)を除いて上記遮光性材料により被覆されている。ここで、遮光性材料36は、防湿性を有している。
【0139】
このようなクリアモールドパッケージ31は、樹脂によってチップ全体を固めているので、中空構造のようなガラス貼り付け部(シール部)からの水分侵入も全くなく、信頼性上も高く、非常に効果的な封止構造である。
【0140】
そして、この実施形態1の固体撮像装置30では、従来技術で説明した3点目の課題である、パッケージ内の金属部品での入射光の乱反射の課題については、クリアモールドパッケージの、外部の部材との接続端子部(外部リードの先端部)及び撮像領域を除く全ての部分を、遮光性・防湿性を持つ材料(塗料)36により被うことにより解決している。
【0141】
次に、この実施形態1の素子封止クリアモールドパッケージを用いた固体撮像装置の製造方法、特に、クリアモールドパッケージを形成する工程について説明する。
【0142】
このクリアモールドパッケージの形成工程の前半部分は、従来例とほぼ同じである。
【0143】
図2及び図3は、本発明の実施形態1による固体撮像装置として、クリアモールドパッケージを用いた固体撮像装置を製造する方法を説明する図である。
【0144】
図2は、リードフレームに撮像素子チップを搭載する工程を処理順(図(a)〜図(d))に示し、図3は、リードフレームに搭載した撮像素子チップを封止してリードフレームから分離するまでの工程を処理順(図(a)〜図(f))に示している。
【0145】
まず、複数のリード端子201を一括して保持するワイヤーフレーム201aを準備し(図2(a))、撮像素子チップ202(図1の撮像素子チップ32に相当するもの)をワイヤーフレーム201aにエポキシ系接着材や銀ペーストにより接着する(図2(b))。ここでは、撮像素子チップ202は、従来の課題(1)及び(2)に対する対策を施したものとしているが、これに限るものではない。
【0146】
さらに、ワイヤーフレーム201aの各端子201を分離し(図2(c))、固体撮像素子パッドとワイヤーフレーム201aのリード端子201とを金などのワイヤー204により接続する(図2(d))。
【0147】
ここまでの処理を行って撮像素子チップ202を載置したワイヤーフレーム201aを、金型などにセッティングし、透明樹脂を流し込むことによりクリアモールドパッケージ205を形成する(図3(a)、(b))。
【0148】
その後、図3(c)に示すように、後に外部との接続部分となるフレームのリード端子201のピン先部分(外部リードの先端部)と、撮像素子の撮像領域直上部分を有機系塗料などの塗布により覆うマスク層206を形成する。
【0149】
そしてこの状態のワイヤーフレーム201を、例えば溶かした黒色のゴム材料槽に浸液する方法や、黒色の防湿塗料を塗布する方法などにより、マスキング部以外にゴム材料や防湿塗料材料により遮光膜を成膜する(図3(d))。その後、マスキング膜部分を機械的に、あるいは化学処理により除去を行う。例えば、マスク層の材料として、水により溶解する材料を用いてもよい。
【0150】
前記マスキング処理については、マスク層を形成する代わりに、遮光膜を形成すべき部分を保護するような治具を作成し、その治具にワイヤーフレームをセッティングして前記ゴム材料や防湿塗料材料を成膜する製造方法でも製造可能である。
【0151】
この方法では治具を作成するコストがかかる反面、マスキング処理とマスキング除去処理の工程が不要となるので、固体撮像装置の製造量などとの関係から選択するのが良い。
【0152】
その後、図3(e)及び(f)のようにフレーム201の本体からそれぞれのデバイス(撮像素子チップ)の配置部分を分離し、外部リードの足曲げを行うことにより、本実施形態1の固体撮像装置のクリアモールドパッケージを完成する。
【0153】
また、この実施形態1の固体撮像装置30では、従来の、クリアモールド樹脂とマイクロレンズとの屈折率がほぼ同じであるために集光効果が得られないという課題は解決されている。
【0154】
つまり、この実施形態1の固体撮像装置30では、図4に示すように、下地の透明膜La上に形成されたマイクロレンズLm1上に反射防止膜Lb1を設けている。
【0155】
図4は、マイクロレンズによる集光メカニズムを示しており、本実施形態ではクリアモールド樹脂Lcの屈折率が1.60前後である。
【0156】
従来はマイクロレンズに有機系材料を用いており、この有機系材料の屈折率はやはり1.60前後であることから、マイクロレンズの集光効果が得られなかったが、本実施形態1においてはマイクロレンズを例えばシリコン窒化膜(屈折率2.0前後)などの屈折率の大きい膜に変更しており、これにより集光効果が得られるようにしている。
【0157】
また、ここでは、マイクロレンズLm1上の反射防止膜Lb1については、マイクロレンズ上のモールド樹脂Lcの屈折率とマイクロレンズ材料Lm1の屈折率との間の屈折率の膜で構成し、その表面状態もできるだけ凹凸ができるように形成することでその反射防止効果が得られるものである。
【0158】
ここでは、反射防止膜は、シリコン酸窒化膜(SiON:屈折率1.70〜1.90)をプラズマCVD等により成膜して構成したものである。
【0159】
次に、このマイクロレンズ構造の製造方法について簡単に説明する。
【0160】
まず、図4に示す、基板表面からオンチップ有機材料層までの下地層La上に、後にマイクロレンズとなる材料であるシリコン窒化膜をプラズマCVDにより成膜する。
【0161】
条件としては温度250〜400℃、圧力1.5〜3.0Torr、高周波RF電力500〜1000W、低周波RF電力100〜700W、SiHガス流量100〜200sccm、NHガス流量200〜1000sccm、Nガス流量10000〜15000sccmの条件であり、かつ膜厚30〜70nmの条件である。
【0162】
そしてこの上に従来と同様に有機レジストを塗布し、塗布した有機レジスト膜をフォトリソグラフィ技術により露光現像し、この現像した有機レジスト膜を熱処理によりマイクロレンズ形状に加工する。
【0163】
そしてこの状態で有機レジスト/シリコン窒化膜の選択比が、0.8〜1.2となる条件でドライエッチング(エッチバック処理)を行うことで、有機レジストで形成したマイクロレンズ形状がシリコン窒化膜に転写されることになる。ドライエッチング条件については、圧力150〜400mtorr、RF電力1000〜1500W、使用ガスCF・CHF・Arの条件である。
【0164】
また、レジストとシリコン窒化膜との選択比であるが、そのエッチング選択比(エッチレートの比率)が同じである場合、レジストの形状そのままがシリコン窒化膜に転写され、その選択比を1.0に対して上下させることにより転写するマイクロレンズ形状の曲率を調整することができる。
【0165】
その後、マイクロレンズLm1上に反射防止膜となるシリコン酸窒化膜Lb1をプラズマCVDにより成膜する。その成膜条件としては温度200〜250℃、圧力1.5〜3.5 Torr、RF電力 150〜300W、SiH・NO・Nガスを使用し膜厚10〜50nmの条件である。
【0166】
このように構成したマイクロレンズを用いた固体撮像素子を透明樹脂で封止したクリアモールドパッケージの場合、その屈折率の関係から、従来の中空構造のパッケージの場合とは、その集光度合いが若干異なってくるが、マイクロレンズの形状で調整可能な範囲であり、レジストでのマイクロレンズ形状の形成時や、前述のようにエッチバック処理時の選択比を調整することでマイクロレンズ形状を調整し、最適な集光を得ることができるものである。
【0167】
次に、本実施形態1の固体撮像装置を構成する固体撮像素子における電荷検出部上に透明樹脂が接触することによる容量増加に対する対策について説明する。
【0168】
従来から電荷検出部上に低誘電率材料を被せる方法などが提案されているが、やはり完全に容量増加を防ぐことはできない。容量増加を防ぐにはやはり電荷検出部のメタル上はエアー(Air)とするのが最善の方法であることから、以下に説明するように、本発明の実施形態1の固体撮像装置は、電荷検出部上の領域を中空構造としており、これにより電荷検出部のメタルの上部をどのような材料が被っても容量増加を防ぐことができるものである。
【0169】
図5は、本実施形態1による固体撮像素子における電荷検出部の断面構造(図(a))及び画素部(図(b))の断面構造を概略的に示している。
【0170】
図5(a)に示すように、固体撮像素子を構成するシリコン基板101の表面には、転送部不純物層(水平転送CCD)117、電荷検出部不純物層106、及び電荷リセットドレイン(RD)108が形成されており、シリコン基板上には、ゲート絶縁膜を介してアウトプットゲート(OG)102及び電荷リセット用ゲート(RG)109が形成されている。また、これらのゲートは、メタル下絶縁膜103により覆われており、この絶縁膜上には、遮光用メタル112a、電荷検出部配線メタル107、及びリセットドレインメタル配線110が形成されている。また、前記電荷検出部配線メタル107及びその周辺部上にはメタル上保護膜111により中空領域116が形成されており、この中空領域116上にはオンチップ有機材料層113が形成され、オンチップ有機材料層113上には、マイクロレンズ上反射防止膜114が形成され、このマイクロレンズ上反射防止膜114は、クリアモールドパッケージ材料119により覆われている。
【0171】
また、図5(b)に示すように、固体撮像素子を構成するシリコン基板101の表面には、フォトダイオード不純物層101aが形成されており、隣接するフォトダイオード不純物層の間には、電荷転送部不純物層117が形成されている。また、この電荷転送部不純物層117上にはゲート絶縁膜を介して、ゲート電極102が形成されており、さらにこのゲート電極102は、絶縁膜を介して遮光膜105に覆われている。遮光膜105及び不純物層101a上にはメタル下絶縁膜103が平坦化膜として形成され、さらにその上には、メタル上保護膜111、オンチップ有機材料層113が形成されている。オンチップ有機材料層113上には、集光用マイクロレンズ113bが、画素を構成するフォトダイオード不純物層101aに対向するよう形成されており、さらにこの集光用マイクロレンズ113b上には、反射防止膜114を介してクリアモールドパッケージ材料(透明モールド樹脂)119が形成されている。
【0172】
以下、本実施形態1によるCCD型固体撮像素子におけるFDA構造の出力部を具体的に説明する。
【0173】
図6は、本発明の実施形態1による固体撮像素子を説明する図であり、図6(a)及び図6(b)は、この固体撮像素子の電荷検出部における不純物層及び電極のレイアウトパターンを説明する平面図である。
【0174】
つまり、図6(a)は、本実施形態1の固体撮像素子の電荷検出部及びその近傍における不純物層のレイアウト、及びこの不純物層上に形成されるポリシリコンゲート(ポリシリコンからなるゲート電極)のレイアウトを示している。また、図6(b)は、本実施形態1の固体撮像素子の電荷検出部及びその近傍における不純物層のレイアウト、及びこの不純物層上に形成されるメタル層のレイアウトを示している。
【0175】
図7は、本実施形態1のCCD型固体撮像素子を説明する断面図であり、図7(a)は、図6(a)及び(b)のIIa−IIa線断面の構造(電荷検出部の断面構造)を示し、図7(b)は、図6(a)及び(b)のIIb−IIb線断面の構造(電荷検出部の断面構造)を示している。
【0176】
シリコン基板101(図7参照)には、水平CCD102のチャネル領域となるN不純物層117が形成されており、N不純物層117上には、水平CCDを構成する2層転送電極として、第1層ポリシリコンからなる第1層ゲート電極102aと、第2層ポリシリコンからなる第2層ゲート電極102bとが交互に配置されている。このN不純物層117の、水平CCD2の終端側部分は、リセットドレインを構成するN不純物層(リセットドレイン不純物層)108につながっており、N不純物層108とN不純物層117との接続部分117aには、リセットゲートを構成するポリシリコン層109が絶縁膜(図示せず)を介して形成されている。
【0177】
また、N不純物層117の、リセットゲートと最終転送ゲート102cとの間の部分には、電荷検出部を構成するN不純物層(検出部不純物層)106が形成されており、該N不純物層106に近接するよう、出力部のトランジスタ(出力回路トランジスタ)を構成するN不純物層118が形成されている。
【0178】
ここで、トランジスタ不純物層118には絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極となるポリシリコン層210が形成されており、該ポリシリコン層210の一端は検出部不純物層106上に位置している。また、トランジスタ不純物層118のゲート電極の両側部は、ソースドレイン領域となっており、上層のメタル配線118bと接続するためのコンタクトホール118aが形成されている。リセットドレイン不純物層108上には、この不純物層を、上層のメタル層110と接続するためのコンタクトホール108aが形成されている。なお、水平CCDを構成する転送ゲート102上にもメタル層105が形成されているが、このメタル層は、遮光膜として形成されたものであり、電気的な配線層としては用いられないものである。
【0179】
また、出力部のトランジスタを構成するN不純物層118と、チャネルN不純物層117及びリセットドレイン不純物層108とは、フィールド絶縁膜119により分離されて形成されている。
【0180】
また、フィールド酸化膜及び不純物層上には、全面を覆うようメタル下絶縁膜103が形成されており、このメタル下絶縁膜103上には、遮光膜としてのメタル層105が水平CCDの転送電極を覆うよう形成され、また配線としてのメタル層107、110が形成されている。
【0181】
メタル層107は、メタル下絶縁膜103に形成されたコンタクトホールを介して、検出部N不純物層106及び出力トランジスタのポリシリコン層210に接続されている。また、メタル層110は、メタル下絶縁膜103に形成されたコンタクトホールを介して、トランジスタ不純物層108に接続されている。
【0182】
さらに基板全面には、これらのポリシリコン層105、107、及び110を覆うよう、下側素子保護膜111及び上側素子保護膜112が形成され、さらにその上には、オンチップ有機材料層113が形成され、その表面にはオンチップカラーフィルター層114が形成され、さらに、オンチップ有機材料層115を介してオンチップ表面反射防止膜116が形成されている。
【0183】
そして、この実施形態1の固体撮像素子100では、図6(a)及び(b)に示す、検出部N不純物層106を中心とする一定のサイズの矩形領域Raでは、上記下側素子保護膜11の下側に空洞116が形成されている。
【0184】
次に製造方法について説明する。
【0185】
図8は、図6に示す実施形態1の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(g))に示す断面図である。
【0186】
まず、シリコン基板101上に、電荷転送路となるN不純物層117、リセットトランジスタのチャネル領域となるN不純物層108、検出部N不純物層106、リセットドレインN不純物層117aを選択的な不純物拡散処理により形成し、その後、2層のポリシリコンゲートによる電荷転送部102を形成し、検出部の電荷をリセットドレインに排出するためのリセットゲート電極109を形成する。
【0187】
その後、全面にメタル下絶縁膜(シリコン酸化膜)103を形成するとともに、遮光膜としての転送部上メタル層105、検出部の電位を出力トランジスタへ伝えるためのメタル配線107、及びリセットドレインメタル配線110を形成する(図8(a))。
【0188】
このように、基板上に不純物層、ポリシリコン層、メタル下絶縁膜、及びメタル層を順次形成して得られた下地構造210に、上記電荷検出部を構成するメタル配線107及びその周辺部分を覆うような平面パターンを有するレジスト膜111aを形成する(図8(b))。
【0189】
ここで使用するレジストについては、後にこのレジストがついたままの状態で下側素子保護膜(シリコン窒化膜)111を形成するので、なるべく耐熱性に優れた性能のものが良い。また、このレジスト形状が反映されて空洞116ができ、下側素子保護膜(シリコン窒化膜)111の空洞エッジ部分を、さらなるレジストマスク112aを用いてエッチング処理を行うことから、形成するレジスト膜111aの形状は、従来のレジストのようにレジスト膜の側面が垂直に近いものではなく、露光時のフォーカス条件や、現像後の熱処理条件により、レジスト膜の側面が傾斜した形状とする方が望ましい。
【0190】
続いて、上記レジスト膜111aを付けたままの状態で、プラズマCVD装置により下側素子保護膜111を形成する。
【0191】
このときの成膜条件としては、従来より、更に低温のプラズマCVD処理により成膜を行うものとしている。具体的には、温度200〜300℃、圧力1.5〜3.0Torr、高周波RF電力500〜1000W、低周波RF電力100〜700W、SiHガス流量100〜200sccm、NHガス流量200〜1000sccm、Nガス流量10000〜15000sccmの条件で、下側素子保護膜11としてのシリコン窒化膜を膜厚10〜50nmの厚さに成長させる(図8(c))。
【0192】
その後、保護膜111に覆われているレジスト膜111aを除去するために、保護膜111の一部をエッチング除去するために、レジストマスク112aを形成する。ここで、このレジストマスク112aのレジスト開口Aについては、図8(d)では一箇所しか示していないが、実際には、後の処理で空洞内材料が除去されやすくするために、図6(b)に示すように、メタル層上の数箇所にレジスト開口Aを設けている。
【0193】
そして、プラズマエッチング処理により、レジスト開口A内に露出した下側素子保護膜(シリコン窒化膜)111をエッチングして開口111cを形成する(図8(d))。このときの条件としては、従来の固体撮像素子におけるシリコン窒化膜のエッチング処理と同じである。つまり、このエッチング処理は、圧力1000〜2000mtorr、RF電力750〜1500Wで、使用ガスO・CFを用いて行う。
【0194】
その後、レジストマスク112a及び保護膜111に覆われたレジスト膜111aを一緒に、OとCFのプラズマ処理と、有機系のレジストハクリ液を用いたエッチング処理により、取り除く(図8(e))。ここで、SiNのエッチングとレジストのハクリの両者ともに、使用するガスとしてO・CFを用いているが、SiNのエッチングは、CFがメインのガスで、レジストのハクリは、Oをメインガスとして微量のCFを入れたものを用いる。
【0195】
その後、上側素子保護膜であるシリコン窒化膜112を、やはり低温プラズマCVD処理により成膜する(図8(f))。成膜条件としては、前記下側素子保護膜としてのシリコン窒化膜の成膜条件と同じであるが、ここで注意しなくてはならないのは、下側素子保護膜111の成膜時の処理温度と、上側素子保護膜112の成膜時の処理温度との関係で、上側素子保護膜の成膜時の処理温度は、下側素子保護膜の成膜時の処理温度と同じか、もしくは低い温度で処理する必要があるということである。
【0196】
これは、成膜処理が低温成膜CVD処理であるために、成膜したシリコン窒化膜中にはかなりの水素が含まれており、成膜したシリコン窒化膜を、成膜時の温度以上の温度雰囲気に晒すと離脱ガス等の影響により、成膜した膜が剥がれる等の問題が発生する可能性があるからである。
【0197】
その後、オンチップ層である透明有機材料113を塗布して平坦化を行い、その後、カラーフィルター114などの有機系材料層をスピンコートにより形成する。さらにその上にオンチップ層である透明有機材料113aを、マイクロレンズの、受光部からの高さ(集光高さ)の調整のために、所定の厚さに形成する。例えば、マイクロレンズの集光高さについては、固体撮像素子の画素数などにより異なるが、受光部の開口面からマイクロレンズ底部までの距離が3.0〜7.0um程度になるよう、有機材料層113aの膜厚で調整する。
【0198】
その後、シリコン酸化膜などの材料による表面反射防止膜115を、やはり低温プラズマCVDにより形成する。このときの成膜条件は、温度200〜250℃、圧力1.5〜3.5Torr、RF電力150〜300W、SiH・NO・Nガス、膜厚10〜50nmという条件である。
【0199】
ここでもやはり先ほどと同様に、反射防止膜であるシリコン酸化膜115の成膜時処理温度は、下側素子保護膜111及び上側素子保護膜112の成膜時の処理温度と同じか、低い温度で成膜処理を行う必要がある。
【0200】
従来の固体撮像素子の製造方法とは異なり、本発明の実施形態1による固体撮像素子の製造方法では、電荷検出部上のこれら有機系膜や反射防止膜は取り除く必要がなく、前記のように、防湿効果や遮光効果をもたらすことができる。
【0201】
なお、固体撮像素子の外部と信号の授受を行うための電極パッド部分については、やはり有機系膜や反射防止膜は取り除く必要があるので、電極パッド部分のみのレジストパターンにより、やはりこれらの反射防止膜115、有機系膜113及び113a、上側素子保護膜112、下側素子保護膜111は、ドライエッチングで取り除く必要がある。なお、処理条件としては従来の固体撮像素子の製造方法におけるものと同じである。
【0202】
なお、カラーフィルター層114については、後のドライエッチング処理では残渣等が残り、完全に除去することが困難であるため、カラーフィルター形成時のフォトリソグラフィ処理時に、電荷検出部の上方に位置する部分を取り除いている。
【0203】
このような構成の本実施形態1の固体撮像装置では、以下に示す従来の固体撮像素子を封止するクリアモールドパッケージにおける課題(1)〜(3)を解決している。
【0204】
(1)電荷検出部上に透明樹脂が被ることにより検出部の容量が増加し電荷電圧変換率が低下するという課題を解決している。
【0205】
つまり、本実施形態では、電荷検出部を構成するメタル層107上には、空洞を介して保護膜111及び112を形成することで、更にその上層のオンチップ層(有機系膜)113は除去する必要がなく、全て残しても、電荷検出部での容量増加等の問題は発生しない。これにより、電荷検出部は、シリコン窒化膜の保護膜111及び112で被われているだけでなく、吸湿性の良い有機系膜113によっても覆われることなる。
【0206】
このため、侵入した水分が直接保護膜111及び112に接触するのではなく、一度有機系膜113などに吸収されて接触することになり、更に信頼性の向上が見込める。
【0207】
また、有機系膜113だけでなく、その上にカラーフィルター114を重ねて、電荷検出部上にこれらの有機系膜113及びカラーフィルター114を形成することにより、検出部への光入射も防ぐことができ、光入射により検出部で発生するノイズ成分の発生も抑えることができる。
【0208】
(2)透明樹脂がマイクロレンズとほぼ同じ屈折率であるため、マイクロレンズによる集光が出来ないという課題を解決している。
【0209】
本実施形態1では、固体撮像装置において、透明樹脂により封止される固体撮像素子100を、マイクロレンズと該透明樹脂との間に形成された反射防止膜を有し、該マイクロレンズを構成する透明レンズ材料の屈折率を、該透明樹脂の屈折率より高くし、該反射防止膜の屈折率を、該レンズ層を構成する透明レンズ材料の屈折率より低く、かつ該透明樹脂の屈折率より高くすることで、マイクロレンズが封止材料である透明樹脂で覆われても、マイクロレンズによる入射光の屈折作用を高く維持することが可能となる。
【0210】
(3)パッケージ底面等での反射光の映りこむという課題を解決している。
【0211】
本実施形態1においては、固体撮像素子をリード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージを備えた固体撮像装置30において、モールドパッケージ31を、その表面の、固体撮像装素子の撮像領域に対向する透光領域を除いて、該パッケージの表面を遮光性材料により被覆した構造としたので、固体撮像素子などを構成する金属部材での反射光の悪影響、つまり反射光が撮像領域に侵入して画質が劣化するといった不具合を抑制するすることができる。
【0212】
また、本実施形態1においては、上記外部リード33を、他の部品と電気的に接続される接続部を除いて遮光性材料により被覆した構造としているので、透明封止パッケージを用いた場合の反射光の悪影響をより一層抑えることができる。
【0213】
このように、本発明の実施形態による固体撮像装置では、従来は実用化には至っていなかったクリアモールドパッケージの実用化を可能とし、更に固体撮像素子などの半導体素子を樹脂で封止していることによる高い防湿性により、固体撮像装置などの半導体装置における非常に高い信頼性を確保している。
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2によるCCD型固体撮像素子を説明する断面図であり、図6(a)及び(b)のIIa−IIa線断面に相当する部分の構造を示している。
【0214】
この実施形態2の固体撮像素子100aは、実施形態1の固体撮像素子100とほとんど違わない構造を有しているが、その製造方法が実施形態1の固体撮像素子の製造方法とは異なっており、この製造方法の相違によって、実施形態1の固体撮像素子100との若干の構造上の差異を有している。
【0215】
つまり、本実施形態2の固体撮像素子の製造方法では、実施形態1の固体撮像素子の製造方法にて、空洞116を形成するために用いる材料が異なっている。つまり、実施形態1の固体撮像素子の製造方法では、レジスト膜を用いていたが、この実施形態2の固体撮像素子の製造方法では、シリコン酸化膜を用いている。このため、この実施形態2の固体撮像素子では、空洞部の表面が下地形状を反映した凹凸構造となっている。また、この実施形態2の固体撮像素子では、空洞内の材料を除去のためのエッチングストップ膜104が形成されている点においても実施形態1のものとは異なっている。
【0216】
次に製造方法について説明する。
【0217】
図10は、上記実施形態2の固体撮像素子の製造方法を工程順(図(a)〜図(g))に示す断面図である。
【0218】
まず、シリコン基板101上に、電荷転送路となるN不純物層117、リセットトランジスタのチャネル領域となるN不純物層117a、検出部N不純物層106、リセットドレインN不純物層108を選択的な不純物拡散処理により形成し、その後、2層のポリシリコンゲートによる電荷転送ゲート102を形成し、電荷検出部の電荷をリセットドレインに排出するためのリセットゲート電極109を形成する。
【0219】
その後、全面にメタル下絶縁膜(メタル下層の層間絶縁膜)103を形成し、その上に、エッチングストップ膜104を形成する(図10(a))。
【0220】
なお、このメタル下層の層間絶縁膜には、通常はシリコン酸化膜やBPSG膜を使用する。また、ここでは、メタル下層の層間絶縁膜の形成後に、エッチングストップ膜であるシリコン窒化膜104を成膜するのであるが、シリコン窒化膜104の成膜は、メタル層の形成前であるので、400℃以上の高温での処理も可能である。例えば、通常の減圧CVD(熱CVD)装置にて、減圧CVD熱拡散炉にて、温度750〜900℃、使用ガスSiHCl及びNH及びNという条件で、膜厚20〜50nmのシリコン窒化膜の成膜を行う。
【0221】
そして、この状態で、メタル配線と各ゲート電極や拡散層との接続用コンタクトホールの形成を行う。
【0222】
これらの工程で注意する点としては、コンタクトホールの形成プロセスに、コンタクト段差軽減用のテーパーエッチングが入っている場合、シリコン窒化膜104がウェットエッチングの障害になるので、シリコン窒化膜の形成前にテーパー処理エッチングを行っておく必要があることである。
【0223】
図11は、コンタクトホールの形成プロセスで、コンタクト段差軽減用のテーパーエッチングを行う場合を説明する工程(図(a)〜(d))を示している。
【0224】
具体的には、シリコン基板101上に、電荷転送路となるN不純物層117、リセットトランジスタのチャネル領域となるN不純物層117a、検出部N不純物層106などの不純物層を形成し、ポリシリコンゲート102、109を形成し、全面にメタル下絶縁膜103を形成した後(図11(a))、コンタクト形成用の第1のレジストマスク141を形成し、HF等の薬液によりメタル下絶縁膜103のウェットエッチング行う(図11(b))。これにより、メタル下絶縁膜103の、レジストマスク141の開口141aの下側部分に、側壁が傾斜した穴部103aを形成する(図11(b))。第1のレジストマスク141を除去した後、全面にシリコン窒化膜104を形成する(図11(c))。
【0225】
さらに、該シリコン窒化膜141上にコンタクト形成用の第2のレジストマスク142を形成し、ドライエッチングにより、シリコン窒化膜104およびメタル下絶縁膜103にコンタクトホール103aを形成する(図11(d))。
【0226】
このようなコンタクト段差軽減用のテーパーエッチングにより、コンタクトホールの断面形状を、その上端角部の形状を、緩やかに傾斜した形状とすることができる。
【0227】
次に、遮光膜としての転送部上メタル層105、検出部の電位を出力トランジスタへ伝えるためのメタル配線107、及びリセットドレインメタル配線110を形成して、メタル配線107を電荷検出部を構成するN不純物層106に接続し、リセットドレインメタル配線110をN不純物層108に接続する(図10(b))。
【0228】
その後、空洞116を形成するための犠牲層を形成するのであるが、本実施形態2においては、まず、低温プラズマCVD処理によりシリコン酸化膜133を、メタル層105、メタル配線107及びリセットドレインメタル配線110を覆うよう形成する。
【0229】
このシリコン酸化膜133の成膜は、温度250〜400℃、圧力1.5〜3.5Torr、RF電力150〜300Wという条件で、SiH・NO・Nガスを使用し、膜厚300〜700nmという条件で行う。
【0230】
さらに、空洞部形成用レジストパターン134をシリコン酸化膜133上に形成し(図10(c))、プラズマエッチング処理により空洞用のシリコン酸化膜133をエッチングする(図10(d))。このエッチング条件としては、圧力150〜400mtorr、RF電力1000〜1500W、使用ガスCF・CHF・Arという条件を用いる。ここでも上述した実施形態1と同様に、後にシリコン酸化膜133上に形成したシリコン窒化膜111は取り除くことから、この空洞形成用膜(シリコン酸化膜)133aの断面形状は、できるだけ傾斜のついた形状(プラズマエッチング条件によりテーパーのついた形状)とすることが望ましい。
【0231】
次に第1の保護膜層であるシリコン窒化膜111を低温プラズマCVD処理により形成する。成膜条件としては、温度250〜400℃、圧力1.5〜3.0Torr、高周波RF電力500〜1000W、低周波RF電力100〜700W、SiHガス流量100〜200sccm、NHガス流量200〜1000sccm、Nガス流量10000〜15000sccm、膜厚10〜50nmという条件とする。
【0232】
その後、シリコン窒化膜111の下側のシリコン酸化膜133aを除去するために、第1保護膜111の一部をエッチング除去するためのレジストマスク135を形成する(図10(e))。
【0233】
ここで、このレジストマスク135の開口パターン135aについては、図10(b)の断面図では一箇所しか開口を示していないが、実際には、後に空洞内材料を簡単に除去できるように、図6(b)に示すように、メタル配線上の数箇所に開口Aを設けている。
【0234】
そしてプラズマエッチング処理によりレジスト開口部に露出した第1の保護膜としてのシリコン窒化膜111をエッチング除去する。その条件としては、前述の従来例と同じで、圧力1000〜2000mtorr、RF電力750〜1500W、使用ガスO・CFの条件を用いる。
【0235】
その後、レジストマスク135をO系プラズマ処理や有機系ハクリ液にて取り除き、空洞部内部のシリコン酸化膜133aを薬液処理により取り除く(図10(f))。このとき使用する薬液としてはメタル層へのダメージがなるべく少ないように、バッファードHF液(BHFエッチャント)により除去することが望ましい。
【0236】
なお、上記BHFエッチャントについては、フッ化水素とフッ化アンモニウムとフッ素系界面活性剤を水で薄めた混合薬品である。配線材料としてのアルミ系の膜に対しては若干のエッチング性を持つが、エッチング対象の空洞内部膜とのエッチレート差等から、アルミ膜のエッチングはほとんど問題にならない程度である。
【0237】
なお、上記従来技術及び実施形態の説明では示してないが、従来の固体撮像素子及び本実施形態の固体撮像素子では、配線としてアルミ合金を含む3層構造の配線を用いており、この3層構造の各層のうちの中間層のAl-Cu層がBHFエッチャントによりエッチングされる。
【0238】
しかし、例えアルミ膜がエッチングされて後退したとしても、100nmまでの程度であれば素子動作上特に問題にはならないと考えられる。
【0239】
そして実施形態1と同様に第2の保護膜シリコン窒化膜112、オンチップ有機材料層113、カラーフィルター層114、オンチップ有機材料層113a、反射防止膜であるシリコン酸化膜115を形成して実施形態2の固体撮像素子の構造を完成する。
【0240】
以上のような構造の固体撮像素子では、この固体撮像素子をクリアモールドパッケージで封止した場合にも、検出部容量増加やマイクロレンズでの集光不良が無く感度が低下することがない。また、パッケージが透明であることで金属部品等での乱反射による画質低下が生ずることもなく、また、固体撮像素子が透明樹脂で完全に被われ、外部との接続端子部及び素子撮像エリア直上部を除いて、防湿材料により被われていることで、固体撮像素子に水分が浸入することも全くない。従って、非常に高い信頼性の固体撮像装置を実現することができる。
(実施形態3)
図24は、本発明の実施形態3として、実施形態1あるいは2の固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0241】
図24に示す本発明の実施形態3による電子情報機器90は、本発明の上記実施形態1および2の固体撮像装置の少なくともいずれかを、被写体の撮影を行う撮像部91として備えたものであり、このような撮像部による撮影により得られた高品位な画像データを記録用に所定の信号処理した後にデータ記録する記録メディアなどのメモリ部92と、この画像データを表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示する液晶表示装置などの表示部93と、この画像データを通信用に所定の信号処理をした後に通信処理する送受信装置などの通信部94と、この画像データを印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有している。
【0242】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0243】
本発明は、半導体装置及びその製造方法、固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子情報機器の分野において、撮像素子チップなどの半導体素子を、透明樹脂からなるクリアモールドパッケージを用いて、該半導体素子を構成する金属部材での反射光の悪影響を招くことなく封止することができ、これにより半導体素子への水分の浸入を防止できる、画質などの性能劣化がなく信頼性の高い半導体装置及びその製造方法、固体撮像装置及びその製造方法、並びに電子情報機器を得ることができる。
【符号の説明】
【0244】
31 クリアモールドパッケージ
32 撮像素子チップ
33 リードピン(リードフレーム)
34 ボンディングワイヤー
35 撮像領域
36 パッケージ保護遮光膜
37 保護遮光膜開口部
90 電子情報機器
91 撮像部
92 メモリ部
93 表示部
94 通信部
95 画像出力部
101 シリコン基板
101a フォトダイオード不純物層
102 アウトプットゲート(OG)
103 メタル下絶縁膜
105 遮光膜
106 電荷検出部不純物層
107 電荷検出部配線メタル
108 電荷リセットドレイン(RD)
109 電荷リセット用ゲート(RG)
110 セットドレインメタル配線
112a 遮光用メタル
113 オンチップ有機材料層
114 オンチップ有機材料層
115 クリアモールドパッケージ材料
116 中空領域
117 転送部不純物層(水平転送CCD)
119 マイクロレンズ上反射防止膜
201 リード端子
201a ワイヤーフレーム
202 撮像素子チップ
203 撮像素子チップ(裏面)
204 ボンディングワイヤー
201 ワイヤーフレーム
202 撮像素子チップ
203 撮像素子チップ(裏面)
204 ボンディングワイヤー
205 透明樹脂パッケージ
206 マスキング材
207 遮光・防湿材料
208 撮像素子チップ、撮像エリア
210 中空領域(Air)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子と、該半導体素子に接続されるリード端子と、該半導体素子を該リード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出させた半導体装置であって、
該素子封止パッケージは、その表面の、該半導体素子の動作領域に対向する透光領域を除いて、該素子封止パッケージの表面を遮光性材料により被覆したものである、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記外部リードは、他の部品と電気的に接続される接続部を除いて前記遮光性材料により被覆されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記遮光性材料は防湿性を有し、前記素子封止パッケージの表面の、前記光透領域以外領域を、前記外部リードの接続部以外の部分とともに覆う保護膜を形成している、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記保護膜は、黒色ゴム材により構成されている、半導体装置。
【請求項5】
発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子と、該半導体素子に接続されるリード端子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを有し、該リード端子の一部が外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出した半導体装置を製造する方法であって、
該半導体素子を該リード端子とともに該透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程と、
該素子封止パッケージの表面の、該動作領域に対向する透光領域、及び該外部リードの、他の部品と電気的に接続される接続部をマスク部材によりマスクする工程と、
該素子封止パッケージ及び該外部リードの全面に遮光性部材を付着させる工程と、
該マスク部材を、該マスク部材上に付着した遮光性部材とともに除去して、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を露出させる工程とを含む、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部に有機系塗料を選択的に塗布してマスク層を形成する工程を含み、
前記マスク部材を除去する工程は、
該有機系塗料の塗布により形成したマスク層を機械的にあるいは化学処理により除去する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージを、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を覆うマスク治具に装着する工程を含み、
前記マスク部材を除去する工程は、
該素子封止パッケージを該マスク治具から取り外す工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部、及び該光電変換部で変換された信号電荷を検出する電荷検出部を有する半導体素子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備えた半導体装置であって、
該素子封止パッケージは、該半導体素子の電荷検出部を構成する導電性層と、該導電性層を覆う絶縁層との間に中空領域が介在する中空構造を有する、半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記中空構造を形成する絶縁層上には、前記半導体素子の表面の、該中空領域による凹凸を平坦化する平坦化膜が形成されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記半導体素子の電荷検出部を構成する導電性層はメタル層であり、
該メタル層である導電性層を覆う絶縁膜は、窒化シリコン膜である、半導体装置。
【請求項11】
入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、該光電変換部で変換された信号電荷を検出する電荷検出部とを有する半導体素子を形成する工程と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージを形成する工程とを含み、該半導体素子と該素子封止パッケージとを有する半導体装置を製造する方法であって、
該半導体素子の形成工程は、
該電荷検出部を構成する導電性層を形成する工程と、
該導電性層上に中空領域を形成するための犠牲層を、該導電性層を覆うよう形成する工程と、
該犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程と、
該導電性層と該絶縁層との間に中空領域が形成されるよう、該犠牲層を除去する工程とを含み、
該素子封止パッケージの形成工程は、
該半導体素子を、リード端子とともに該透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程は、
該犠牲層を覆うよう第1の保護膜を形成する工程と、
該第1の保護膜の、該犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程と、
該犠牲層を、該保護膜開口を介してエッチャントに晒して除去する工程と、
該第1の保護膜上に該保護膜開口を塞ぐよう第2の保護膜を形成する工程とを有する、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記犠牲層はフォトレジスト膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の保護膜の、前記犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程では、該第1の保護膜の選択エッチングをフォトレジストマスクを用いて行い、
該犠牲層としてのフォトレジスト膜を除去する際に、該第1の保護膜の選択エッチングで用いたフォトレジストマスクをも除去する、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記犠牲層は、シリコン酸化膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記電荷検出部を構成する導電性層を形成する前に、該導電性層の下地層として、前記犠牲層のエッチングに対するエッチング耐性を有する膜を形成する工程を含み、
該犠牲層を除去するエッチング処理では、該エッチング耐性を有する膜をエッチングストッパ層として用いる、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子と、該半導体素子を封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備えた半導体装置であって、
該半導体素子は、
該動作領域上に位置するよう配置されたレンズと、
該レンズと該透明樹脂との間に形成された反射防止膜とを有し、
該レンズを構成する透明レンズ材料は、該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有し、
該反射防止膜は、該レンズ層を構成する透明レンズ材料の屈折率より低く、かつ該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有する、半導体装置。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置において、
前記レンズを構成する透明レンズ材料はシリコン窒化膜であり、
前記透明樹脂はアクリル樹脂であり、
前記反射防止膜はシリコン酸窒化膜である半導体装置。
【請求項19】
発光領域及び受光領域の少なくとも一方を動作領域として有する半導体素子を形成する工程と、該半導体素子を封止する素子封止パッケージを形成する工程とを含み、該半導体素子と該素子封止パッケージとを有する半導体装置を製造する方法であって、
該半導体素子の形成工程は、
該半導体素子の動作領域に位置するようレンズを形成する工程と、
該レンズ上に、該レンズを構成する透明材料の屈折率より低い屈折率を有する反射防止膜を形成する工程とを含み、
該素子封止パッケージの形成工程は、
該半導体素子をリード端子とともに、該反射防止膜の屈折率より低い屈折率を有する透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の半導体装置の製造方法において、
前記レンズの形成工程は、
該レンズの下地構造上に、該レンズを構成する透明材料としてシリコン窒化膜を形成する工程と、
該シリコン窒化膜上に有機レジスト層を形成し、該有機レジスト層をレンズ形状になるよう加工する工程と、
該レンズ形状に加工した有機レジスト層及びその下側の該シリコン窒化膜を、該有機レジスト層のレンズ形状が該シリコン窒化膜に転写されるようエッチングする工程とを有する、半導体装置の製造方法。
【請求項21】
入射光を光電変換して被写体を撮像する撮像領域、及び該撮像領域での光電変換により得られた信号電荷を検出して信号電圧に変換する電荷検出部、及び該入射光を該撮像領域に集光するよう屈折させるマイクロレンズを有する固体撮像素子と、該固体撮像素子に接続されたリード端子と、該固体撮像素子を該リード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出させた固体撮像装置であって、
該素子封止パッケージは、その表面の、該固体撮像素子の撮像領域に対向する透光領域を除いて、該素子封止パッケージの表面を遮光性材料により被覆したものである、固体撮像装置。
【請求項22】
請求項21に記載の固体撮像装置において、
前記外部リードは、他の部品と電気的に接続される接続部を除いて前記遮光性材料により被覆されている、固体撮像装置。
【請求項23】
請求項22に記載の固体撮像装置において、
前記遮光性材料は防湿性を有し、前記素子封止パッケージの表面の、前記撮像領域以外領域を、前記外部リードの接続部以外の部分とともに覆う保護膜を形成している、固体撮像装置。
【請求項24】
請求項23に記載の固体撮像装置において、
前記保護膜は、黒色ゴム材により構成されている、固体撮像装置。
【請求項25】
請求項21に記載の固体撮像装置において、
前記素子封止パッケージは、前記固体撮像素子の電荷検出部を構成する導電性層と、該導電性層を覆う絶縁層との間に中空領域が介在する中空構造を有する、固体撮像装置。
【請求項26】
請求項25に記載の固体撮像装置において、
前記中空構造を形成する絶縁層上には、前記固体撮像素子の表面の、前記中空領域による凹凸を平坦化する平坦化膜が形成されている、固体撮像装置。
【請求項27】
請求項26に記載の固体撮像装置において、
前記固体撮像素子の電荷検出部を構成する導電性層はメタル層であり、
該メタル層である導電性層を覆う絶縁膜は、窒化シリコン膜である、固体撮像装置。
【請求項28】
請求項21に記載の固体撮像装置において、
前記固体撮像素子は、
前記マイクロレンズと前記透明樹脂との間に形成された反射防止膜を有し、
該マイクロレンズを構成する透明レンズ材料は、該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有し、
該反射防止膜は、該マイクロレンズを構成する透明レンズ材料の屈折率より低く、かつ該透明樹脂の屈折率より高い屈折率を有する、固体撮像装置。
【請求項29】
請求項28に記載の固体撮像装置において、
前記マイクロレンズを構成する透明レンズ材料はシリコン窒化膜であり、
前記透明樹脂はアクリル樹脂であり、
前記反射防止膜はシリコン酸窒化膜である固体撮像装置。
【請求項30】
入射光を光電変換して被写体を撮像する撮像領域、及び該撮像領域での光電変換により得られた信号電荷を検出して信号電圧に変換する電荷検出部、及び該入射光を該撮像領域に集光するよう屈折させるマイクロレンズを有する固体撮像素子と、該固体撮像素子に接続されたリード端子と、該固体撮像素子を該リード端子とともに封止する、透明樹脂からなる素子封止パッケージとを備え、該リード端子の一部を外部リードとして該素子封止パッケージの外部に露出させた固体撮像装置を製造する方法であって、
該固体撮像素子を該リード端子とともに該透明樹脂により、該リード端子の一部が外部リードとして該透明樹脂の外部に露出するよう封止して該素子封止パッケージを形成する工程と、
該素子封止パッケージの表面の、該撮像領域に対向する透光領域、及び該外部リードの、他の部品と電気的に接続される接続部をマスク部材によりマスクする工程と、
該素子封止パッケージ及び該外部リードの全面に遮光性部材を付着させる工程と、
該マスク部材を、該マスク部材上に付着した遮光性部材とともに除去して、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を露出させる工程とを含む、固体撮像装置の製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部に有機系塗料を選択的に塗布してマスク層を形成する工程を含み、
前記マスク部材を除去する工程は、
該有機系塗料の塗布により形成したマスク層を機械的にあるいは化学処理により除去する工程を含む、固体撮像装置の製造方法。
【請求項32】
請求項30に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記素子封止パッケージの表面の透光領域及び前記外部リードの接続部をマスクする工程は、該素子封止パッケージを、該素子封止パッケージの表面の透光領域及び該外部リードの接続部を覆うマスク治具に装着する工程を含み、
前記マスク部材を除去する工程は、
該素子封止パッケージを該マスク治具から取り外す工程を含む、固体撮像装置の製造方法。
【請求項33】
請求項30に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記撮像領域、前記電荷検出部、及び前記マイクロレンズを有する固体撮像素子を形成する工程を含み、
該固体撮像素子の形成工程は、
該電荷検出部を構成する導電性層を形成する工程と、
該導電性層上に中空領域を形成するための犠牲層を、該導電性層を覆うよう形成する工程と、
該犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程と、
該導電性層と該絶縁層との間に中空領域が形成されるよう、該犠牲層を除去する工程とを含む、固体撮像装置の製造方法。
【請求項34】
請求項33に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記犠牲層を覆うよう絶縁層を形成する工程は、
該犠牲層を覆うよう第1の保護膜を形成する工程と、
該第1の保護膜の、該犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程と、
該犠牲層を、該保護膜開口を介してエッチャントに晒して除去する工程と、
該第1の保護膜上に該保護膜開口を塞ぐよう第2の保護膜を形成する工程とを有する、固体撮像装置の製造方法。
【請求項35】
請求項34に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記犠牲層はフォトレジスト膜である、固体撮像装置の製造方法。
【請求項36】
請求項35に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記第1の保護膜の、前記犠牲層のエッジ部上に位置する部分を選択的に除去して保護膜開口を形成する工程では、該第1の保護膜の選択エッチングをフォトレジストマスクを用いて行い、
該犠牲層としてのフォトレジスト膜を除去する際に、該第1の保護膜の選択エッチングで用いたフォトレジストマスクをも除去する、固体撮像装置の製造方法。
【請求項37】
請求項34に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記犠牲層は、シリコン酸化膜である、固体撮像装置の製造方法。
【請求項38】
請求項37に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記電荷検出部を構成する導電性層を形成する前に、該導電性層の下地層として、前記犠牲層のエッチングに対するエッチング耐性を有する膜を形成する工程を含み、
該犠牲層を除去するエッチング処理では、該エッチング耐性を有する膜をエッチングストッパ層として用いる、固体撮像装置の製造方法。
【請求項39】
請求項30に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記撮像領域、前記電荷検出部、及び前記マイクロレンズを有する固体撮像素子を形成する工程を含み、
該固体撮像素子の形成工程は、
該固体撮像素子の撮像領域に位置するよう該マイクロレンズを形成する工程と、
該マイクロレンズ上に、該マイクロレンズを構成する透明材料の屈折率より低い屈折率を有する反射防止膜を、該透明樹脂と該マイクロレンズとの間に介在するよう形成する工程とを含む、固体撮像素子の製造方法。
【請求項40】
請求項39に記載の固体撮像装置の製造方法において、
前記マイクロレンズの形成工程は、
該マイクロレンズの下地構造上に、該マイクロレンズを構成する透明材料としてシリコン窒化膜を形成する工程と、
該シリコン窒化膜上に有機レジスト層を形成し、該有機レジスト層をマイクロレンズ形状になるよう加工する工程と、
該マイクロレンズ形状に加工した有機レジスト層及び該シリコン窒化膜を、該有機レジスト層のマイクロレンズ形状が該シリコン窒化膜に転写されるようエッチングする工程とを有する、固体撮像装置の製造方法。
【請求項41】
被写体の撮像を行う撮像部を備えた電子情報機器であって、
該撮像部は、請求項21ないし請求項29のいずれかに記載の固体撮像装置を含む電子情報機器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−138412(P2012−138412A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288371(P2010−288371)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】