説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】抵抗素子と、金属を含むゲート電極を有するMISFETとを備えた半導体装置において、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現する。
【解決手段】半導体装置は、抵抗素子RとMISFETとを備えた半導体装置である。抵抗素子Rは、半導体基板10上に形成された金属を含む第1の導電膜12aと、第1の導電膜12a上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜17aと、第1の導電膜12aと第2の導電膜17aとの間に形成された絶縁膜13aとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗素子とMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)とを備えた半導体装置及びその製造方法に関し、特に、抵抗素子と、金属を含むゲート電極を有するMISFETとを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の高集積化技術及び高速信号処理技術の発展が目覚しく、トランジスタの微細化が急速に進められている。
【0003】
集積回路の高速信号処理では、抵抗回路を用いて、入出力部のインピーダンス整合を取ることが必要とされる。このため、伝送ラインの特性インピーダンスに相当する抵抗値を持つ抵抗素子を挿入することが一般的に行われる。抵抗素子は、その材料としてシリコンが一般的に用いられる。
【0004】
以下に、その材料として多結晶シリコンを用いた抵抗素子の形成方法について、図9を参照しながら説明する(例えば特許文献1参照)。図9は、従来の半導体装置の構成を示す断面図である。
【0005】
半導体基板100上に、多結晶シリコン膜101を形成した後、多結晶シリコン膜101に、ボロンイオンを注入し、その後、熱処理を施す。このようにして、抵抗素子が形成される。
【0006】
抵抗素子とバイポーラトランジスタとを備えた半導体装置の場合、多結晶シリコン膜101を、npnトランジスタのベース引き出し部(図示せず)と同時に形成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−308270号公報
【特許文献2】特開2006−269573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、抵抗素子とMISFETとを備えた半導体装置の場合、以下に示す問題がある。
【0009】
近年、ゲート絶縁膜の材料として、例えばHfO2、La23又はZrO2等の高誘電率材料を用いることが進められている。
【0010】
また、ゲート電極の材料として、例えばTi、Ta又はMo等の高融点金属を用いることが進められ、高融点金属膜が、ゲート絶縁膜とポリシリコン膜との間に介在するMIPS(Metal-Inserted Poly-silicon Stack)構造のゲート電極が提案されている。しかしながら、MIPS構造のゲート電極を有するMISFETを備えた半導体装置の場合、次に示す問題がある。一般的に、高融点金属及びその化合物の抵抗率は、ポリシリコンの抵抗率よりも低い。このため、抵抗素子が、高融点金属膜と、ポリシリコン膜とを有する場合(言い換えれば、MISFETのゲート電極と同時に、配線を形成し、この配線を抵抗素子として用いた場合)、抵抗素子は、十分な抵抗値(抵抗素子として機能するのに必要な抵抗値)を得ることができないという問題がある。
【0011】
抵抗素子が十分な抵抗値を得るために、第1に例えば、抵抗素子として用いる配線の配線長さを長くした場合、MISFETの微細化が困難であるという不具合がある。第2に例えば、配線の配線幅を狭くした場合、配線幅にバラツキが発生し、抵抗素子の性能にバラツキが発生するという不具合がある。
【0012】
その他に例えば、抵抗素子が十分な抵抗値を得るために、次に示す手段が考えられる。抵抗素子領域及びMISFET領域において、高融点金属膜を形成する。その後、エッチングにより、MISFET領域を覆うマスクを用いて、高融点金属膜における抵抗素子領域に形成された部分を除去した後、マスクを除去する。その後、抵抗素子領域及びMISFET領域において、ポリシリコン膜を形成し、ポリシリコン膜のみを有する抵抗素子、及び高融点金属膜とポリシリコン膜とを有するゲート電極を形成する。しかしながら、この場合、次に示す問題がある。マスクの除去の際に、マスクの全部を除去することができず、MISFET領域において、高融点金属膜上に、マスクの一部が残存する(マスクの残渣が発生する)ため、高融点金属膜とポリシリコン膜との間に、マスクの残渣が介在する。これにより、ゲート電極の加工不良を招くという問題がある。またこれにより、高融点金属膜とポリシリコン膜との界面抵抗が上昇する、及び/又は界面抵抗にバラツキが発生し、MISFETの特性が劣化するという問題がある。
【0013】
前記に鑑み、本発明の目的は、抵抗素子と、金属を含むゲート電極を有するMISFETとを備えた半導体装置において、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の半導体装置は、抵抗素子とMISFETとを備えた半導体装置であって、抵抗素子は、半導体基板上に形成された金属を含む第1の導電膜と、第1の導電膜上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜と、第1の導電膜と第2の導電膜との間に形成された絶縁膜とを有していることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る第1の半導体装置によると、抵抗素子が、金属を含む第1の導電膜とシリコンを含む第2の導電膜との間を電気的に分離する絶縁膜を有するため、抵抗素子は、十分な抵抗値を得ることができる。このため、高速信号処理が可能な集積回路を含む半導体装置を提供することができる。
【0016】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第2の半導体装置は、抵抗素子とMISFETとを備えた半導体装置であって、抵抗素子は、半導体基板上に形成された金属を含む第1の導電膜と、第1の導電膜上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜と、第2の導電膜における下部と上部との間に形成された絶縁膜とを有していることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第2の半導体装置によると、抵抗素子が、シリコンを含む第2の導電膜における下部と上部との間を電気的に分離する絶縁膜を有するため、抵抗素子は、十分な抵抗値を得ることができる。このため、高速信号処理が可能な集積回路を含む半導体装置を提供することができる。
【0018】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、MISFETは、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成された第3の導電膜と、第3の導電膜上に形成された第4の導電膜とを有するゲート電極とを有していることが好ましい。
【0019】
このようにすると、第3の導電膜と第4の導電膜との間に、エッチング残渣が介在することがないため、ゲート電極の加工不良を招くことはない。加えて、第3の導電膜と第4の導電膜との間に、エッチング残渣が介在することがないため、第3の導電膜と第4の導電膜との界面抵抗を上昇させることはなく、且つ、界面抵抗にバラツキを発生させることはないので、MISFETの特性の劣化を防止することができる。
【0020】
従って、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0021】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、第1の導電膜は、第3の導電膜と同一の材料であり、第2の導電膜は、第4の導電膜と同一の材料であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る第1の半導体装置において、絶縁膜は、Hf、Zr、La、Al、Lu、Gd若しくはSiを含む酸化膜、Hf、Zr、La、Al、Lu、Gd若しくはSiを含む窒化膜、又はHf、Zr、La、Al、Lu、Gd若しくはSiを含む酸窒化膜であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、絶縁膜は、シリコンを含む酸化膜、シリコンを含む窒化膜又はシリコンを含む酸窒化膜であることが好ましい。
【0024】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、絶縁膜は、金属を含む酸化膜、金属を含む窒化膜又は金属を含む酸窒化膜であることが好ましい。
【0025】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、第1の導電膜は、金属を含む窒化膜、金属を含む炭化膜又は金属を含むシリコン化合物膜であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、金属は、Al、Fe、Cu、Ni、Co、Ti、Ta、Nb、W、Mo、V、Pt及びAuのうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0027】
本発明に係る第1又は第2の半導体装置において、第2の導電膜は、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜又は単結晶シリコン膜であることが好ましい。
【0028】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、抵抗素子領域に形成される抵抗素子と、MISFET領域に形成されるMISFETとを備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板の上に、金属を含む第1の導電膜形成膜を形成する工程(a)と、第1の導電膜形成膜の上に、絶縁膜形成膜を形成する工程(b)と、絶縁膜形成膜におけるMISFET領域に形成された部分を除去する工程(c)と、工程(c)の後に、絶縁膜形成膜の上及び第1の導電膜形成膜におけるMISFET領域に形成された部分の上に、シリコンを含む第2の導電膜形成膜を形成する工程(d)と、工程(d)の後に、抵抗素子領域において、第2の導電膜形成膜、絶縁膜形成膜及び第1の導電膜形成膜を順次パターニングすることにより、半導体基板の上に、第1の導電膜形成膜からなる第1の導電膜と絶縁膜形成膜からなる絶縁膜と第2の導電膜形成膜からなる第2の導電膜とを有する抵抗素子を形成する工程(e)とを備えていることを特徴とする。
【0029】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法によると、金属を含む第1の導電膜とシリコンを含む第2の導電膜との間を電気的に分離する絶縁膜を有する抵抗素子を形成することができる。このため、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0030】
第1の導電膜形成膜の上に、フォトレジスト膜又は反射防止膜等ではなく、例えばSiO2からなる絶縁膜形成膜を形成する。このため、絶縁膜形成膜の除去の際に、第1の導電膜形成膜の上に、絶縁膜形成膜の残渣が発生することはないため、MISFET領域において、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間に、絶縁膜形成膜の残渣が介在することはない。
【0031】
本発明に係る第1の半導体装置の製造方法において、工程(a)の前に、MISFET領域において、半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(f)をさらに備え、工程(d)の後に、MISFET領域において、第2の導電膜形成膜、第1の導電膜形成膜及びゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングすることにより、半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜からなるゲート絶縁膜、及び第1の導電膜形成膜からなる第3の導電膜と第2の導電膜形成膜からなる第4の導電膜とを有するゲート電極を順次形成する工程(g)をさらに備え、工程(e)と工程(g)とは、同時に行われることが好ましい。
【0032】
このようにすると、既述の通り、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間に、絶縁膜形成膜の残渣が介在することがないため、ゲート電極の加工不良を招くことはない。加えて、第3の導電膜と第4の導電膜との間に、絶縁膜形成膜の残渣が介在することがないため、第3の導電膜と第4の導電膜との界面抵抗を上昇させることはなく、且つ、界面抵抗にバラツキを発生させることはないので、MISFETの特性の劣化を防止することができる。
【0033】
従って、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0034】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、抵抗素子領域に形成される抵抗素子と、MISFET領域に形成されるMISFETとを備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板の上に、金属を含む第1の導電膜形成膜を形成する工程(a)と、第1の導電膜形成膜の上に、シリコンを含む第2の導電膜形成膜を形成する工程(b)と、抵抗素子領域において、イオン注入により、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との界面領域、又は第2の導電膜形成膜に、酸素イオン、窒素イオン、又は酸素イオン及び窒素イオンを注入し、イオンミキシング層形成層を形成する工程(c)と、工程(c)の後に、抵抗素子領域において、第2の導電膜形成膜、イオンミキシング層形成層及び第1の導電膜形成膜をパターニングすることにより、半導体基板の上に、第1の導電膜形成膜からなる第1の導電膜、イオンミキシング層形成層からなるイオンミキシング層及び第2の導電膜形成膜からなる第2の導電膜を形成する工程(d)と、熱処理により、イオンミキシング層に含まれる酸素、窒素、又は酸素及び窒素と、シリコン又は金属とを反応させて、絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、工程(e)において、第1の導電膜と絶縁膜と第2の導電膜とを有する抵抗素子が形成されることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法によると、金属を含む第1の導電膜とシリコンを含む第2の導電膜との間を電気的に分離する絶縁膜を有する抵抗素子、又はシリコンを含む第2の導電膜における下部と上部との間を電気的に分離する絶縁膜を有する抵抗素子を形成することができる。このため、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0036】
加えて、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との界面領域、又は第2の導電膜形成膜にイオンが注入されてなるイオンミキシング層形成層を形成した後、イオンミキシング層形成層を利用して絶縁膜を形成するため、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜とを連続して形成することができる。このため、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することはない。
【0037】
さらに、イオンミキシング層形成層のイオン注入条件を調整すると共に、絶縁膜の熱処理条件を調整することにより、絶縁膜の膜厚(言い換えれば、第2の導電膜における絶縁膜として消費される部分の膜厚)を制御することができる。このため、抵抗素子における第2の導電膜の膜厚を制御することができるので、配線パターンを変更することなく、抵抗素子の抵抗値を制御することができる。
【0038】
本発明に係る第2の半導体装置の製造方法において、工程(a)の前に、MISFET領域において、半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(f)をさらに備え、工程(c)の後に、MISFET領域において、第2の導電膜形成膜、第1の導電膜形成膜及びゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングすることにより、半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜からなるゲート絶縁膜、及び第1の導電膜形成膜からなる第3の導電膜と第2の導電膜形成膜からなる第4の導電膜とを有するゲート電極を順次形成する工程(g)をさらに備え、工程(d)と工程(g)とは、同時に行われることが好ましい。
【0039】
このようにすると、既述の通り、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することがないため、ゲート電極の加工不良を招くことはない。加えて、第3の導電膜と第4の導電膜との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することがないため、第3の導電膜と第4の導電膜との界面抵抗を上昇させることはなく、且つ、界面抵抗にバラツキを発生させることはないので、MISFETの特性の劣化を防止することができる。
【0040】
従って、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0041】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第3の半導体装置の製造方法は、抵抗素子領域に形成される抵抗素子と、MISFET領域に形成されるMISFETとを備えた半導体装置の製造方法であって、半導体基板の上に、金属を含む第1の導電膜形成膜を形成する工程(a)と、第1の導電膜形成膜の上に、シリコンを含む第2の導電膜形成膜を形成する工程(b)と、工程(b)の後に、抵抗素子領域において、第2の導電膜形成膜及び第1の導電膜形成膜を順次パターニングすることにより、半導体基板の上に、第1の導電膜形成膜からなる第1の導電膜と第2の導電膜形成膜からなる第2の導電膜とを順次形成する工程(c)と、イオン注入により、第1の導電膜と第2の導電膜との界面領域、又は第2の導電膜に、酸素イオン、窒素イオン、又は酸素イオン及び窒素イオンを注入し、イオンミキシング層を形成する工程(d)と、熱処理により、イオンミキシング層に含まれる酸素、窒素、又は酸素及び窒素と、シリコン又は金属とを反応させて、絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、工程(e)において、第1の導電膜と絶縁膜と第2の導電膜とを有する抵抗素子が形成されることを特徴とする。
【0042】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法によると、金属を含む第1の導電膜とシリコンを含む第2の導電膜との間を電気的に分離する絶縁膜を有する抵抗素子、又はシリコンを含む第2の導電膜における下部と上部との間を電気的に分離する絶縁膜を有する抵抗素子を形成することができる。このため、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0043】
加えて、第1の導電膜と第2の導電膜との界面領域、又は第2の導電膜にイオンが注入されてなるイオンミキシング層を形成した後、イオンミキシング層を利用して絶縁膜を形成するため、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜とを連続して形成することができる。このため、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することはない。
【0044】
さらに、イオンミキシング層のイオン注入条件を調整すると共に、絶縁膜の熱処理条件を調整することにより、絶縁膜の膜厚(言い換えれば、第2の導電膜における絶縁膜として消費される部分の膜厚)を制御することができる。このため、抵抗素子における第2の導電膜の膜厚を制御することができるので、配線パターンを変更することなく、抵抗素子の抵抗値を制御することができる。
【0045】
本発明に係る第3の半導体装置の製造方法において、工程(a)の前に、MISFET領域において、半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(f)をさらに備え、工程(b)の後に、MISFET領域において、第2の導電膜形成膜、第1の導電膜形成膜及びゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングすることにより、半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜からなるゲート絶縁膜、及び第1の導電膜形成膜からなる第3の導電膜と第2の導電膜形成膜からなる第4の導電膜とを有するゲート電極を順次形成する工程(g)をさらに備え、工程(c)と工程(g)とは、同時に行われることが好ましい。
【0046】
このようにすると、既述の通り、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することがないため、ゲート電極の加工不良を招くことはない。加えて、第3の導電膜と第4の導電膜との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することがないため、第3の導電膜と第4の導電膜との界面抵抗を上昇させることはなく、且つ、界面抵抗にバラツキを発生させることはないので、MISFETの特性の劣化を防止することができる。
【0047】
従って、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【0048】
さらに、パターニングを行った後、イオンミキシング層を形成する。このため、パターニング時の抵抗素子領域の構成と、パターニング時のMISFET領域の構成とを、互いに同じにすることができる(言い換えれば、パターニング時に、抵抗素子領域において、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との間、又は第2の導電膜形成膜における下部と上部との間に、イオンミキシング層形成層が介在することはない)ので、パターニングを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a) 〜(d) 、図2(a) 〜(c) 、図3(a) 〜(c) 及び図4(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図1(a) 〜図4(c) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。図1(a) 〜図4(c) において、左側に「抵抗素子領域」を示し、中央に「n型MISFET領域」を示し、右側に「p型MISFET領域」を示す。「抵抗素子領域」とは、抵抗素子が形成される領域を示し、「n型MISFET領域」とは、n型MISFETが形成される領域を示し、「p型MISFET領域」とは、p型MISFETが形成される領域を示す。
【0052】
まず、図1(a) に示すように、例えばALD(Atomic Layer Deposition)法又はPVD(Physical Vapor Deposition)法により、半導体基板10における抵抗素子部10a、n型MISFET部10b及びp型MISFET部10c上に、例えば膜厚が2nmの第1のゲート絶縁膜形成膜11を堆積する。第1のゲート絶縁膜形成膜11として、高誘電率膜、例えばハフニウム(Hf)及びランタン(La)を含む酸化膜を用いる。
【0053】
その後、例えばPVD法により、第1のゲート絶縁膜形成膜11上に、例えば膜厚が20nmの金属を含む第1の導電膜形成膜12を堆積する。第1の導電膜形成膜12として、高融点金属膜、例えば炭化タンタル膜(TaC膜)を用いる。
【0054】
次に、図1(b) に示すように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第1の導電膜形成膜12上に、例えば膜厚が15nmのSiO2からなる第1の絶縁膜形成膜13を堆積する。その後、フォトリソグラフィにより、第1の絶縁膜形成膜13上に、抵抗素子領域及びn型MISFET領域を覆いp型MISFET領域を開口するフォトレジストパターンRe1を形成する。
【0055】
次に、図1(c) に示すように、例えばフッ酸洗浄液を用いたエッチングにより、フォトレジストパターンRe1をマスクとして、第1の絶縁膜形成膜13におけるp型MISFET領域に形成された部分を除去する。その後、例えば、H2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジストパターンRe1を除去する。
【0056】
このようにして、第1の導電膜形成膜12における抵抗素子領域に形成された部分上に、第1の絶縁膜形成膜13Aが形成される。第1の導電膜形成膜12におけるn型MISFET領域に形成された部分上に、第1の絶縁膜形成膜13Bが形成される。
【0057】
次に、図1(d) に示すように、例えばフッ酸洗浄液及び硫酸過酸化水素水洗浄液を用いたエッチングにより、第1の絶縁膜形成膜13A,13Bをマスクとして、第1の導電膜形成膜12及び第1のゲート絶縁膜形成膜11におけるp型MISFET領域に形成された部分を順次除去する。
【0058】
このようにして、半導体基板10における抵抗素子部10a上に、第1のゲート絶縁膜形成膜11A、第1の導電膜形成膜12A及び第1の絶縁膜形成膜13Aが順次形成される。半導体基板10におけるn型MISFET部10b上に、第1のゲート絶縁膜形成膜11B、第1の導電膜形成膜12B及び第1の絶縁膜形成膜13Bが順次形成される。
【0059】
次に、図2(a) に示すように、例えばALD法又はPVD法により、第1の絶縁膜形成膜13A,13B及び半導体基板10におけるp型MISFET部10c上に、例えば膜厚2nmの第2のゲート絶縁膜形成膜14を堆積する。第2のゲート絶縁膜形成膜14として、高誘電率膜、例えばHf及びアルミニウム(Al)を含む酸化膜を用いる。
【0060】
その後、例えばPVD法により、第2のゲート絶縁膜形成膜14上に、例えば膜厚20nmの金属を含む第2の導電膜形成膜15を堆積する。第2の導電膜形成膜15として、高融点金属膜、例えば窒化チタン(TiN)膜を用いる。
【0061】
次に、図2(b) に示すように、例えばCVD法により、第2の導電膜形成膜15上に、例えば膜厚10nmのSiO2からなる第2の絶縁膜形成膜16を堆積する。その後、フォトリソグラフィにより、第2の絶縁膜形成膜16上に、抵抗素子領域及びn型MISFET領域を開口しp型MISFET領域を覆うフォトレジストパターンRe2を形成する。
【0062】
次に、図2(c) に示すように、例えばフッ酸洗浄液を用いたエッチングにより、フォトレジストパターンRe2をマスクとして、第2の絶縁膜形成膜16における抵抗素子領域及びn型MISFET領域に形成された部分を除去する。その後、例えばO2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジストパターンRe2を除去する。
【0063】
このようにして、第2の導電膜形成膜15におけるp型MISFET領域に形成された部分上に、第2の絶縁膜形成膜16Cが形成される。
【0064】
次に、図3(a) に示すように、例えばフッ酸洗浄液及び硫酸過酸化水素水洗浄液を用いたエッチングにより、第2の絶縁膜形成膜16Cをマスクとして、第2の導電膜形成膜15及び第2のゲート絶縁膜形成膜14における抵抗素子領域及びn型MISFET領域に形成された部分を順次除去する。
【0065】
このようにして、半導体基板10におけるp型MISFET部10c上に、第2のゲート絶縁膜形成膜14C、第2の導電膜形成膜15C及び第2の絶縁膜形成膜16Cが順次形成される。
【0066】
次に、図3(b) に示すように、フォトリソグラフィにより、第1の絶縁膜形成膜13A上に、抵抗素子領域を覆いn型,p型MISFET領域を開口するフォトレジストパターンRe3を形成する。
【0067】
次に、図3(c) に示すように、例えばフッ酸洗浄液を用いたエッチングにより、フォトレジストパターンRe3をマスクとして、第1の絶縁膜形成膜13B及び第2の絶縁膜形成膜16Cを除去する。このとき、第1の絶縁膜形成膜13B及び第2の絶縁膜形成膜16Cは、例えばSiO2からなるため、第1の導電膜形成膜12B上に、第1の絶縁膜形成膜13Bの残渣が発生することはなく、第2の導電膜形成膜15C上に、第2の絶縁膜形成膜16Cの残渣が発生することはない。
【0068】
次に、図4(a) に示すように、例えばO2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジストパターンRe3を除去する。
【0069】
次に、図4(b) に示すように、例えばCVD法により、第1の絶縁膜形成膜13A、第1の導電膜形成膜12B及び第2の導電膜形成膜15C上に、例えば膜厚が100nmのシリコンを含む第3の導電膜形成膜17を堆積する。第3の導電膜形成膜17として、例えばポリシリコン膜を用いる。
【0070】
次に、図4(c) に示すように、フォトリソグラフィにより、第3の導電膜形成膜17上に、フォトレジストパターン(図示せず)を形成する。その後、ドライエッチングにより、フォトレジストパターンをマスクとして、第3の導電膜形成膜17、第1の絶縁膜形成膜13A、第1の導電膜形成膜12A,12B及び第2の導電膜形成膜15C、並びに第1のゲート絶縁膜形成膜11A,11B及び第2のゲート絶縁膜形成膜14Cを順次パターニングする。これにより、半導体基板10における抵抗素子部10a上に、絶縁膜11aを介して、下層導電膜12aと絶縁膜13aと上層導電膜17aとを有する抵抗素子Rを形成する。半導体基板10におけるn型MISFET部10b上に、ゲート絶縁膜11b、及び下層導電膜12bと上層導電膜17bとを有するゲート電極Gbを順次形成する。半導体基板10におけるp型MISFET部10c上に、ゲート絶縁膜14c、及び下層導電膜15cと上層導電膜17cとを有するゲート電極Gcを順次形成する。このように、ゲート電極Gb,Gcと同時に、配線を形成し、この配線を抵抗素子Rとして利用する。
【0071】
その後、通常のMISトランジスタを有する半導体装置の製造方法における工程と同様の工程を行う。具体的には、サイドウォール、ソースドレイン領域及びシリサイド膜等の形成を行う。
【0072】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0073】
本実施形態では、図1(c) に示すように、第1の導電膜形成膜12上に、n型MISFET領域を覆う第1の絶縁膜形成膜(言い換えれば、ハードマスク)13Bを形成する。その後、図3(c) に示すように、第1の絶縁膜形成膜13Bを除去する。このとき、第1の絶縁膜形成膜13Bは、フォトレジスト膜又は反射防止膜等ではなく、例えばSiO2膜であるため、第1の導電膜形成膜12B上に、第1の絶縁膜形成膜13Bの残渣が発生することはない。このため、図4(b) に示すように、第3の導電膜形成膜17の堆積の際に、第1の導電膜形成膜12Bと第3の導電膜形成膜17との間に、第1の絶縁膜形成膜13Bの残渣が介在することはない。
【0074】
同様に、本実施形態では、図2(c) に示すように、第2の導電膜形成膜15上に、p型MISFET領域を覆う第2の絶縁膜形成膜(言い換えれば、ハードマスク)16Cを形成する。その後、図3(c) に示すように、第2の絶縁膜形成膜16Cを除去する。このとき、第2の絶縁膜形成膜16Cは、フォトレジスト膜又は反射防止膜等ではなく、例えばSiO2膜であるため、第2の導電膜形成膜15C上に、第2の絶縁膜形成膜16Cの残渣が発生することはない。このため、図4(b) に示すように、第3の導電膜形成膜17の堆積の際に、第2の導電膜形成膜15Cと第3の導電膜形成膜17との間に、第2の絶縁膜形成膜16Cの残渣が介在することはない。
【0075】
これに対し、下層導電膜を形成するための導電膜形成膜(以下、「下層導電膜形成膜」と称す)上に、SiO2からなる絶縁膜形成膜ではなく、例えばフォトレジスト膜又は有機反射防止膜を堆積した場合、次に示す懸念がある。フォトレジスト膜又は有機反射防止膜の除去の際に、下層導電膜形成膜上に、フォトレジスト膜又は有機反射防止膜の残渣が発生するため、下層導電膜形成膜と上層導電膜を形成するための導電膜形成膜との間に、フォトレジスト膜又は有機反射防止膜の残渣が介在する。これにより、ゲート電極の加工不良を招くという懸念がある。またこれにより、n型,p型MISFETにおける下層導電膜と上層導電膜との界面抵抗が上昇する、及び/又は界面抵抗にバラツキが発生し、n型,p型MISFETの特性が劣化するという懸念がある。
【0076】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成について、図4(c) を参照しながら説明する。
【0077】
本実施形態に係る半導体装置は、図4(c) に示すように、抵抗素子Rと、ゲート電極Gbを有するn型MISFETと、ゲート電極Gcを有するp型MISFETとを備えている。
【0078】
抵抗素子Rは、半導体基板10における抵抗素子部10a上に形成された金属を含む下層導電膜(第1の導電膜)12aと、下層導電膜12a上に形成された絶縁膜13aと、絶縁膜13a上に形成されたシリコンを含む上層導電膜(第2の導電膜)17aとを有している。絶縁膜13aは、下層導電膜12aと上層導電膜17aとの間を電気的に分離している。
【0079】
n型MISFETは、半導体基板10におけるn型MISFET部10b上に形成されたゲート絶縁膜11bと、ゲート絶縁膜11b上に形成された下層導電膜(第3の導電膜)12b、及び下層導電膜12b上に形成された上層導電膜(第4の導電膜)17bを有するゲート電極Gbとを有している。一方、p型MISFETは、半導体基板10におけるp型MISFET部10c上に形成されたゲート絶縁膜14cと、ゲート絶縁膜14c上に形成された下層導電膜15c、及び下層導電膜15c上に形成された上層導電膜17cを有するゲート電極Gcとを有している。
【0080】
抵抗素子における下層導電膜12aは、n型MISFETにおける下層導電膜12bと同一の材料である。抵抗素子における上層導電膜17aは、n型MISFETにおける上層導電膜17b及びp型MISFETにおける上層導電膜17cと同一の材料である。
【0081】
n型MISFETにおけるゲート絶縁膜11bの材料(例えばHf及びLaを含む酸化物)とp型MISFETにおけるゲート絶縁膜14cの材料(例えばHf及びAlを含む酸化物)とは互いに異なる。n型MISFETにおける下層導電膜12bの材料(例えばTaC)とp型MISFETにおける下層導電膜15cの材料(例えばTiN)とは互いに異なる。
【0082】
半導体基板10と抵抗素子Rとの間には、絶縁膜11aが介在している。絶縁膜11aは、n型MISFETにおけるゲート絶縁膜11bと同一の材料である。
【0083】
本実施形態によると、下層導電膜12aと上層導電膜17aとの間を電気的に分離する絶縁膜13aを有する抵抗素子Rを形成することができる。このため、十分な抵抗値が得られる抵抗素子Rを実現することができる。
【0084】
本実施形態によると、第1の導電膜形成膜12Bと第3の導電膜形成膜17Bとの間に、第1の絶縁膜形成膜13Bの残渣が介在することがないため、ゲート電極Gbの加工不良を招くことはない。また、第2の導電膜形成膜15Cと第3の導電膜形成膜17Cとの間に、第2の絶縁膜形成膜16Cの残渣が介在することがないため、ゲート電極Gcの加工不良を招くことはない。
【0085】
本実施形態によると、n型MISFETにおける下層導電膜12bと上層導電膜17bとの間に、第1の絶縁膜形成膜13Bの残渣が介在することがない。また、p型MISFETにおける下層導電膜15cと上層導電膜17cとの間に、第2の絶縁膜形成膜16Cの残渣が介在することがない。このため、n型,p型MISFETにおける下層導電膜12b,15cと上層導電膜17b,17cとの界面抵抗を上昇させることはなく、且つ、界面抵抗にバラツキを発生させることはないため、n型,p型MISFETの特性の劣化を防止することができる。
【0086】
以上のように、ゲート電極Gb,Gcの加工不良及びn型,p型MISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子Rを実現することができる。
【0087】
さらに、本実施形態によると、ゲート絶縁膜11b,14c及びゲート電極Gb,Gcにおける下層導電膜12b,15cの材料が、n型MISFETとp型MISFETとで互いに異なる。このため、n型,p型MISFETの各々の特性を個別に制御することができる。
【0088】
なお、第1の実施形態では、抵抗素子Rにおける絶縁膜13aとして、例えば膜厚が15nmのSiO2膜を用いたが、この膜及び膜厚に限らない。
【0089】
例えば、絶縁膜として、下記1)〜3)に記載の膜を用いてもよい。
1)Hf、Zr、La、Al、Lu又はGdを含む酸化膜
2)Hf、Zr、La、Al、Lu、Gd又はSiを含む窒化膜
3)Hf、Zr、La、Al、Lu、Gd又はSiを含む酸窒化膜
また例えば、膜厚は、材料自身の耐圧、及び駆動時の抵抗素子に印加される電圧等によっても異なるが、概ね2nm以上40nm以下の範囲内であればよく、5nm以上30nm以下の範囲内であることが好ましい。
【0090】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図5(a) 〜(d) 及び図6(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図5(a) 〜図6(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。図5(a) 〜図6(d) 、及び後述の図7(a) 〜図8(c) において、左側に「抵抗素子領域」を示し、右側に「MISFET領域」を示す。「MISFET領域」とは、n型MISFET又はp型MISFETが形成される領域をいう。本実施形態、及び後述の第3の実施形態では、ゲート絶縁膜、及びゲート電極における第3の導電膜の材料が、n型MISFETとp型MISFETとで互いに同じため、図5(a) 〜図6(d) 、及び後述の図7(a) 〜図8(c) において、n型,p型MISFETのうちの一方のMISFETのみを図示し、他方のMISFETの図示を省略する。
【0091】
まず、図5(a) に示すように、例えばALD法により、半導体基板20における抵抗素子部20a及びMISFET部20b上に、例えば膜厚が2nmのゲート絶縁膜形成膜21を堆積する。ゲート絶縁膜形成膜21として、高誘電率膜、例えばHfを含む酸化膜を用いる。
【0092】
その後、例えばPVD法により、ゲート絶縁膜形成膜21上に、例えば膜厚が20nmの金属を含む第1の導電膜形成膜22を堆積する。第1の導電膜形成膜22として、高融点金属膜、例えばTiN膜を用いる。
【0093】
その後、例えばCVD法により、第1の導電膜形成膜22上に、例えば膜厚が70nmのシリコンを含む第2の導電膜形成膜23を堆積する。第2の導電膜形成膜23として、例えばポリシリコン膜を用いる。
【0094】
次に、図5(b) に示すように、例えばCVD法により、第2の導電膜形成膜23上に、例えば膜厚が100nmのSiO2からなるハードマスク形成膜24を堆積する。
【0095】
次に、図5(c) に示すように、フォトリソグラフィにより、ハードマスク形成膜24上に、抵抗素子領域を開口しMISFET領域を覆うフォトレジストパターンRe4を形成する。
【0096】
次に、図5(d) に示すように、例えばフッ酸洗浄液を用いたエッチングにより、フォトレジストパターンRe4をマスクとして、ハードマスク形成膜24における抵抗素子領域に形成された部分を除去する。その後、例えばO2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジストパターンRe4を除去する。
【0097】
このようにして、第2の導電膜形成膜23におけるMISFET領域に形成された部分を覆うハードマスク24Bを形成する。
【0098】
次に、図6(a) に示すように、イオン注入により、例えば注入エネルギーが20keV,注入量が5X1015ion/cm2のイオン注入条件で、ハードマスク24Bを用いて、
第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23との界面領域に、例えば酸素イオンを注入する。これにより、抵抗素子領域において、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23との間に、酸素イオンを含むイオンミキシング層形成層25Aを形成する。
【0099】
次に、図6(b) に示すように、例えばフッ酸洗浄液を用いたエッチングにより、ハードマスク24Bを除去する。
【0100】
次に、図6(c) に示すように、フォトリソグラフィにより、第2の導電膜形成膜23上に、フォトレジストパターン(図示せず)を形成する。その後、ドライエッチングにより、フォトレジストパターンをマスクとして、第2の導電膜形成膜23、イオンミキシング層形成層25A、第1の導電膜形成膜22及びゲート絶縁膜形成膜21を順次パターニングする。これにより、半導体基板20における抵抗素子部20a上に、絶縁膜21a、第1の導電膜(下層導電膜)22a、イオンミキシング層25a及び第2の導電膜(上層導電膜)23aを順次形成する。半導体基板20におけるMISFET部20b上に、ゲート絶縁膜21b、及び第3の導電膜(下層導電膜)22bと第4の導電膜(上層導電膜)23bとを有するゲート電極Gを順次形成する。
【0101】
次に、図6(d) に示すように、例えば電気炉、ランプ加熱法又はレーザー加熱法により、800℃の熱処理を行う。これにより、イオンミキシング層25aに含まれる酸素と、イオンミキシング層25aに含まれるシリコンとが結合し、シリコンを含む酸化物、例えばSiO2からなる絶縁膜26aを形成する。絶縁膜26aは、半導体基板20の主面、第1の導電膜22a及び第2の導電膜23aに対して、ほぼ平行な状態で形成される。ここで、「半導体基板20の主面」とは、半導体基板20における抵抗素子Rが形成される面をいう。
【0102】
このようにして、第1の導電膜22aと絶縁膜26aと第2の導電膜23aとを有する抵抗素子Rを形成する。
【0103】
その後、通常のMISトランジスタを有する半導体装置の製造方法における工程と同様の工程を行う。
【0104】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0105】
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構成について、図6(d) を参照しながら説明する。
【0106】
本実施形態に係る半導体装置は、図6(d) に示すように、抵抗素子Rと、ゲート電極Gを有するMISFETとを備えている。
【0107】
抵抗素子Rは、半導体基板20における抵抗素子部20a上に形成された金属を含む第1の導電膜22aと、第1の導電膜22a上に形成された絶縁膜26aと、絶縁膜26a上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜23aとを有している。絶縁膜26aは、第1の導電膜22aと第2の導電膜23aとの間を電気的に分離している。
【0108】
MISFETは、半導体基板20におけるMISFET部20b上に形成されたゲート絶縁膜21bと、ゲート絶縁膜21b上に形成された第3の導電膜22b、及び第3の導電膜22b上に形成された第4の導電膜23bを有するゲート電極Gとを有している。
【0109】
第1の導電膜22aは、第3の導電膜22bと同一の材料である。第2の導電膜23aは、第4の導電膜23bと同一の材料である。
【0110】
絶縁膜26aは、第2の導電膜23aに含まれるシリコンを含む酸化膜である。
【0111】
半導体基板20と抵抗素子Rとの間には、絶縁膜21aが介在している。絶縁膜21aは、ゲート絶縁膜21bと同一の材料である。
【0112】
本実施形態によると、第1の導電膜22aと第2の導電膜23aとの間を電気的に分離する絶縁膜26aを有する抵抗素子Rを形成することができる。このため、十分な抵抗値が得られる抵抗素子Rを実現することができる。
【0113】
本実施形態によると、図6(a) に示すように、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23との界面領域に酸素イオンが注入されてなるイオンミキシング層形成層25Aを形成した後、図6(d) に示すように、イオンミキシング層形成層25Aを利用して、絶縁膜26aを形成するため、図5(a) に示すように、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23とを連続して堆積することができる。このため、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23との間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することがないため、ゲート電極Gの加工不良を招くことはない。
【0114】
本実施形態によると、図5(a) に示すように、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23とを連続して堆積することができる。このため、第3の導電膜22bと第4の導電膜23bとの間に、エッチング残渣及びマスク残渣が介在することがないため、第3の導電膜22bと第4の導電膜23bとの界面抵抗を上昇させることはなく、且つ、界面抵抗にバラツキを発生させることはないので、MISFETの特性が劣化することを防止することができる。
【0115】
以上のように、ゲート電極Gの加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子Rを実現することができる。
【0116】
さらに、本実施形態によると、図6(a) に示す工程において、イオン注入の条件を調整すると共に、図6(d) に示す工程において、熱処理の条件を調整することにより、絶縁膜26aの膜厚(言い換えれば、第2の導電膜23aにおける絶縁膜26aとして消費される部分の膜厚)を制御することができる。このため、抵抗素子Rにおける第2の導電膜23aの膜厚を制御することができるため、配線パターンを変更することなく、抵抗素子Rの抵抗値を制御することができる。
【0117】
なお、第2の実施形態では、図6(a) に示すように、イオン注入により、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23との界面領域に、酸素イオンを注入し、酸素イオンを含むイオンミキシング層形成層25Aを形成した後、図6(d) に示すように、熱処理により、シリコンを含む酸化物からなる絶縁膜26aを形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1に例えば、イオン注入により、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との界面領域に、窒素イオンを注入し、窒素イオンを含むイオンミキシング層形成層を形成した後、熱処理により、シリコンを含む窒化物からなる絶縁膜を形成してもよい。第2に例えば、イオン注入により、第1の導電膜形成膜と第2の導電膜形成膜との界面領域に、酸素イオン及び窒素イオンを注入し、酸素イオン及び窒素イオンを含むイオンミキシング層形成層を形成した後、熱処理により、シリコンを含む酸窒化物からなる絶縁膜を形成してもよい。
【0118】
また、第2の実施形態では、第2の導電膜形成膜23に含まれるシリコンを含む酸化物からなる絶縁膜26aを形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の導電膜形成膜22に含まれる金属を含む酸化物からなる絶縁膜を形成してもよい。
【0119】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図7(a) 〜(c) 及び図8(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図7(a) 〜図8(c) は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0120】
まず、図7(a) に示すように、例えばALD法により、半導体基板30における抵抗素子部30a及びMISFET部30b上に、例えば膜厚が2nmのゲート絶縁膜形成膜31を堆積する。ゲート絶縁膜形成膜31として、高誘電率膜、例えばHfを含む酸化膜を用いる。
【0121】
その後、例えばPVD法により、ゲート絶縁膜形成膜31上に、例えば膜厚が20nmの金属を含む第1の導電膜形成膜32を堆積する。第1の導電膜形成膜32として、高融点金属膜、例えばTiN膜を用いる。
【0122】
その後、例えばCVD法により、第1の導電膜形成膜32上に、例えば膜厚が70nmのシリコンを含む第2の導電膜形成膜33を堆積する。第2の導電膜形成膜33として、例えばポリシリコン膜を用いる。
【0123】
次に、図7(b) に示すように、フォトリソグラフィにより、第2の導電膜形成膜33上に、フォトレジストパターン(図示せず)を形成する。その後、ドライエッチングにより、フォトレジストパターンをマスクとして、第2の導電膜形成膜33、第1の導電膜形成膜32及びゲート絶縁膜形成膜31を順次パターニングする。これにより、半導体基板30における抵抗素子部30a上に、絶縁膜31a、第1の導電膜(下層導電膜)32a及び第2の導電膜(上層導電膜)33aを順次形成する。半導体基板30におけるMISFET部30b上に、ゲート絶縁膜31b、及び第3の導電膜(下層導電膜)32bと第4の導電膜(上層導電膜)33bとを有するゲート電極Gを順次形成する。
【0124】
その後、例えばCVD法により、半導体基板30上の全面に、例えばSiNからなるサイドウォール形成膜を形成する。その後、サイドウォール形成膜に対して異方性エッチングを行う。これにより、絶縁膜31a、第1の導電膜32a及び第2の導電膜33aの側面上に、サイドウォール34aを形成する。ゲート絶縁膜31b、第3の導電膜32b及び第4の導電膜33bの側面上に、サイドウォール34bを形成する。
【0125】
その後、イオン注入により、サイドウォール34bをマスクとして、半導体基板30におけるMISFET部30bに、n型(又はp型)不純物イオンを注入する。これにより、MISFET部30bにおけるサイドウォール34bの外側下方に位置する領域に、n型(又はp型)ソースドレイン領域(図示せず)を自己整合的に形成する。なお、MISFET領域に形成されるMISFETの導電型が、n型の場合、n型不純物イオンを注入する。一方、p型の場合、p型不純物イオンを注入する。
【0126】
次に、図7(c) に示すように、半導体基板30上の全面に、フォトレジスト膜35を堆積する。その後、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜35上に、例えば膜厚が100nmの有機SOG(Spin-on-Glass)からなるマスク形成膜36を堆積する。その後、フォトリソグラフィにより、マスク形成膜36上に、抵抗素子領域を開口しMISFET領域を覆うフォトレジストパターンRe5を形成する。
【0127】
次に、図8(a) に示すように、例えばCF4ガス、O2ガス及びArガスを混合した混合ガスを用いたプラズマエッチングにより、フォトレジストパターンRe5をマスクとして、マスク形成膜36における抵抗素子領域に形成された部分を除去する。その後、例えばO2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジスト膜35における抵抗素子領域に形成された部分を除去する。その後、例えばO2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジストパターンRe5を除去する。
【0128】
このようにして、半導体基板30におけるMISFET部30b上に、フォトレジスト膜35B及びマスク36Bを順次形成する。
【0129】
次に、図8(b) に示すように、イオン注入により、例えば注入エネルギーが20keV,注入量が5X1015ion/cm2のイオン注入条件で、マスク36Bを用いて、第2の導電膜33aに、例えば酸素イオンを注入する。これにより、第2の導電膜33aにおける下部と上部との間に、酸素イオンを含むイオンミキシング層37aを形成する。
【0130】
次に、図8(c) に示すように、例えばフッ酸洗浄液を用いたエッチングにより、マスク36Bを除去する。その後、例えばO2ガス及びN2ガスを混合した混合ガスのプラズマから生成したラジカルを用いたアッシングにより、フォトレジスト膜35Bを除去する。
【0131】
その後、例えば電気炉、ランプ加熱法又はレーザー加熱法により、800℃の熱処理を行う。これにより、イオンミキシング層37aに含まれる酸素と、イオンミキシング層37aに含まれるシリコンとが結合し、シリコンを含む酸化物、例えばSiO2からなる絶縁膜38aを形成する。絶縁膜38aは、半導体基板30の主面、第1の導電膜32a及び第2の導電膜33aに対して、ほぼ平行な状態で形成される。ここで、「半導体基板30の主面」とは、半導体基板30における抵抗素子Rが形成される面をいう。
【0132】
このようにして、第1の導電膜32aと絶縁膜38aと第2の導電膜33aとを有する抵抗素子Rを形成する。
【0133】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0134】
本実施形態と第2の実施形態との製造方法上の相違点は、以下に示す点である。
【0135】
第2の実施形態では、図6(a) に示すように、イオン注入により、イオンミキシング層形成層25Aを形成した後、図6(c) に示すように、パターニングを行い、その後、図6(d) に示すように、熱処理により、絶縁膜26aを形成する。これに対し、本実施形態では、図7(b) に示すように、パターニングを行った後、図8(b) に示すように、イオン注入により、イオンミキシング層37aを形成し、その後、図8(c) に示すように、熱処理により、絶縁膜38aを形成する。
【0136】
以下に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構成について、図8(c) を参照しながら説明する。
【0137】
本実施形態に係る半導体装置は、図8(c) に示すように、抵抗素子Rと、ゲート電極Gを有するMISFETとを備えている。
【0138】
抵抗素子Rは、半導体基板30における抵抗素子部30a上に形成された金属を含む第1の導電膜32aと、第1の導電膜32a上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜33aと、第2の導電膜33aにおける下部と上部との間に形成された絶縁膜38aとを有している。絶縁膜38aは、第2の導電膜33aにおける下部と上部との間を電気的に分離している。
【0139】
MISFETは、半導体基板30におけるMISFET部30b上に形成されたゲート絶縁膜31bと、ゲート絶縁膜31b上に形成された第3の導電膜32b、及び第3の導電膜32b上に形成された第4の導電膜33bを有するゲート電極Gとを有している。
【0140】
第1の導電膜32aは、第3の導電膜32bと同一の材料である。第2の導電膜33aは、第4の導電膜33bと同一の材料である。
【0141】
絶縁膜38aは、第2の導電膜33aに含まれるシリコンを含む酸化膜である。
【0142】
半導体基板30と抵抗素子Rとの間には、絶縁膜31aが介在している。絶縁膜31aは、ゲート絶縁膜31bと同一の材料である。
【0143】
本実施形態と第2の実施形態との構成上の相違点は、以下に示す点である。
【0144】
第2の実施形態では、図6(a) に示すように、第1の導電膜形成膜22と第2の導電膜形成膜23との間に、イオンミキシング層形成層25Aを形成するため、絶縁膜26aは、図6(d) に示すように、第1の導電膜22aと第2の導電膜23aとの間に形成されている。これに対し、本実施形態では、図8(b) に示すように、第1の導電膜32aと第2の導電膜33aとの間ではなく、第2の導電膜33aにおける下部と上部との間に、イオンミキシング層37aを形成するため、絶縁膜38aは、図8(c) に示すように、第2の導電膜33aにおける下部と上部との間に形成されている。
【0145】
本実施形態によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0146】
さらに、本実施形態によると、図7(b) に示すように、パターニングを行った後、図8(b) に示すように、イオンミキシング層37aを形成する。このため、図7(b) に示すように、パターニング時の抵抗素子領域の構成と、パターニング時のMISFET領域の構成とを、互いに同じにすることができる(言い換えれば、パターニング時に、抵抗素子領域において、第2の導電膜形成膜33における下部と上部との間に、イオンミキシング層形成層が介在することはない)ので、パターニングを容易に行うことができる。
【0147】
なお、第3の実施形態では、図8(b) に示すように、イオン注入により、酸素イオンを含むイオンミキシング層37aを形成した後、図8(c) に示すように、熱処理により、シリコンを含む酸化物からなる絶縁膜38aを形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1に例えば、イオン注入により、酸素イオンの代わりに窒素イオンを含むイオンミキシング層を形成した後、熱処理により、シリコンを含む窒化物からなる絶縁膜を形成してもよい。第2に例えば、イオン注入により、酸素イオンに加えて窒素イオンを含むイオンミキシング層を形成した後、熱処理により、シリコンを含む酸窒化物からなる絶縁膜を形成してもよい。
【0148】
また、第3の実施形態では、図8(c) に示すように、第2の導電膜33aにおける下部と上部との間に、第2の導電膜33aに含まれるシリコンを含む酸化物からなる絶縁膜38aを形成する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1の導電膜と第2の導電膜との間に、第2の導電膜に含まれるシリコンを含む酸化物からなる絶縁膜、又は第1の導電膜に含まれる金属を含む酸化物からなる絶縁膜を形成してもよい。
【0149】
なお、第1の実施形態では、下層導電膜を形成するための導電膜形成膜(第1,第2の導電膜形成膜12,15)として、例えば膜厚が20nmのTaC膜,TiN膜を用い、第2,第3の実施形態では、下層導電膜を形成するための導電膜形成膜(第1の導電膜形成膜22,32)として、例えば膜厚が20nmのTiN膜を用いたが、これらの膜及び膜厚に限定されない。
【0150】
例えば、下層導電膜を形成するための導電膜形成膜として、例えば下記1)〜5)に記載の膜を用いてもよい。
1)Al、Fe、Cu、Ni、Co、Ti、Ta、Nb、W、Mo、V、Pt及びAu等からなる金属群のうちの少なくとも1つの金属を含む金属膜
2)上記金属群のうちの少なくとも1つの金属を含む窒化膜(例えばTiN膜等)
3)上記金属群のうちの少なくとも1つの金属を含む炭化膜(例えばTaC膜又はWC膜等)
4)上記金属群のうちの少なくとも1つの金属を含むシリコン化合物膜
5)上記金属群のうちの少なくとも1つの金属を含む酸窒化膜(例えばTaCNO膜等)
また例えば、膜厚は、材料等によっても異なるが、概ね5nm以上100nm以下の範囲内であればよく、10nm以上70nm以下の範囲内であることが好ましい。
【0151】
なお、上層導電膜を形成するための導電膜形成膜(第1の実施形態:第3の導電膜形成膜17,第2,第3の実施形態:第2の導電膜形成膜23,33)として、第1の実施形態では、例えば膜厚が100nmのポリシリコン膜を用い、第2,第3の実施形態では、例えば膜厚が70nmのポリシリコン膜を用いたが、これらの膜及び膜厚に限らない。
【0152】
例えば、上層導電膜を形成するための導電膜形成膜として、例えばアモルファスシリコン膜又は単結晶シリコン膜を用いてもよい。
【0153】
また例えば、膜厚の下限は、下記1)〜2)の条件等を満たす膜厚である。
1)ソースドレイン領域の形成の為に行うイオン注入時に、イオンが、ゲート電極における上層導電膜を突き抜けない条件
2)シリサイド膜の形成の為に行う熱処理時に、ゲート電極における上層導電膜の全部分がシリサイド化されない条件
また例えば、膜厚の上限は、ゲート電極間への膜の埋め込み時に、ゲート電極間のアスペクト比が高いことによる膜の埋め込み不良を招かない条件等を満たす膜厚である。
【0154】
膜厚は、デバイスルール等によっても異なるが、概ね40nm以上300nm以下の範囲内であればよく、50nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましい。
【0155】
なお、本発明では、金属を含む第1の導電膜(下層導電膜)と、絶縁膜と、シリコンを含む第2の導電膜(上層導電膜)とを有する配線を、抵抗素子として用いたが、ヒューズとして用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0156】
以上説明したように、本発明は、ゲート電極の加工不良及びMISFETの特性の劣化を招くことなく、十分な抵抗値が得られる抵抗素子を実現することができる。このため、抵抗素子と、金属を含むゲート電極を有するMISFETとを備えた半導体装置及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0157】
10 半導体基板
10a 抵抗素子部
10b n型MISFET部
10c p型MISFET部
11,11A,11B 第1のゲート絶縁膜形成膜
12,12A,12B 第1の導電膜形成膜
13,13A,13B 第1の絶縁膜形成膜
14,14C 第2のゲート絶縁膜形成膜
15,15C 第2の導電膜形成膜
16,16C 第2の絶縁膜形成膜
17 第3の導電膜形成膜
11a 絶縁膜
12a 下層導電膜(第1の導電膜)
13a 絶縁膜
17a 上層導電膜(第2の導電膜)
11b ゲート絶縁膜
12b 下層導電膜(第3の導電膜)
17b 上層導電膜(第4の導電膜)
14c ゲート絶縁膜
15c 下層導電膜
17c 上層導電膜
20 半導体基板
20a 抵抗素子部
20b MISFET部
21 ゲート絶縁膜形成膜
22 第1の導電膜形成膜
23 第2の導電膜形成膜
24 ハードマスク形成膜
24B ハードマスク
25A イオンミキシング層形成層
25a イオンミキシング層
21a 絶縁膜
22a 第1の導電膜(下層導電膜)
23a 第2の導電膜(上層導電膜)
21b ゲート絶縁膜
22b 第3の導電膜(下層導電膜)
23b 第4の導電膜(上層導電膜)
26a 絶縁膜
30 半導体基板
30a 抵抗素子部
30b MISFET部
31 ゲート絶縁膜形成膜
32 第1の導電膜形成膜
33 第2の導電膜形成膜
31a 絶縁膜
32a 第1の導電膜(下層導電膜)
33a 第2の導電膜(上層導電膜)
31b ゲート絶縁膜
32b 第3の導電膜(下層導電膜)
33b 第4の導電膜(上層導電膜)
34a,34b サイドウォール
35,35B フォトレジスト膜
36 マスク形成膜
36B マスク
37a イオンミキシング層
38a 絶縁膜
R 抵抗素子
G,Gb,Gc ゲート電極
Re1〜Re5 フォトレジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗素子とMISFETとを備えた半導体装置であって、
前記抵抗素子は、
半導体基板上に形成された金属を含む第1の導電膜と、
前記第1の導電膜上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜と、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との間に形成された絶縁膜とを有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
抵抗素子とMISFETとを備えた半導体装置であって、
前記抵抗素子は、
半導体基板上に形成された金属を含む第1の導電膜と、
前記第1の導電膜上に形成されたシリコンを含む第2の導電膜と、
前記第2の導電膜における下部と上部との間に形成された絶縁膜とを有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記MISFETは、
前記半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成された第3の導電膜と、前記第3の導電膜上に形成された第4の導電膜とを有するゲート電極とを有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1の導電膜は、前記第3の導電膜と同一の材料であり、
前記第2の導電膜は、前記第4の導電膜と同一の材料であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は、Hf、Zr、La、Al、Lu、Gd若しくはSiを含む酸化膜、Hf、Zr、La、Al、Lu、Gd若しくはSiを含む窒化膜、又はHf、Zr、La、Al、Lu、Gd若しくはSiを含む酸窒化膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記シリコンを含む酸化膜、前記シリコンを含む窒化膜又は前記シリコンを含む酸窒化膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記絶縁膜は、前記金属を含む酸化膜、前記金属を含む窒化膜又は前記金属を含む酸窒化膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1の導電膜は、前記金属を含む窒化膜、前記金属を含む炭化膜又は前記金属を含むシリコン化合物膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記金属は、Al、Fe、Cu、Ni、Co、Ti、Ta、Nb、W、Mo、V、Pt及びAuのうちの少なくとも1つであることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第2の導電膜は、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜又は単結晶シリコン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
抵抗素子領域に形成される抵抗素子と、MISFET領域に形成されるMISFETとを備えた半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の上に、金属を含む第1の導電膜形成膜を形成する工程(a)と、
前記第1の導電膜形成膜の上に、絶縁膜形成膜を形成する工程(b)と、
前記絶縁膜形成膜における前記MISFET領域に形成された部分を除去する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記絶縁膜形成膜の上及び前記第1の導電膜形成膜における前記MISFET領域に形成された部分の上に、シリコンを含む第2の導電膜形成膜を形成する工程(d)と、
前記工程(d)の後に、前記抵抗素子領域において、前記第2の導電膜形成膜、前記絶縁膜形成膜及び前記第1の導電膜形成膜を順次パターニングすることにより、前記半導体基板の上に、前記第1の導電膜形成膜からなる第1の導電膜と前記絶縁膜形成膜からなる絶縁膜と前記第2の導電膜形成膜からなる第2の導電膜とを有する前記抵抗素子を形成する工程(e)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の前に、前記MISFET領域において、前記半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(f)をさらに備え、
前記工程(d)の後に、前記MISFET領域において、前記第2の導電膜形成膜、前記第1の導電膜形成膜及び前記ゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングすることにより、前記半導体基板の上に、前記ゲート絶縁膜形成膜からなるゲート絶縁膜、及び前記第1の導電膜形成膜からなる第3の導電膜と前記第2の導電膜形成膜からなる第4の導電膜とを有するゲート電極を順次形成する工程(g)をさらに備え、
前記工程(e)と前記工程(g)とは、同時に行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
抵抗素子領域に形成される抵抗素子と、MISFET領域に形成されるMISFETとを備えた半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の上に、金属を含む第1の導電膜形成膜を形成する工程(a)と、
前記第1の導電膜形成膜の上に、シリコンを含む第2の導電膜形成膜を形成する工程(b)と、
前記抵抗素子領域において、イオン注入により、前記第1の導電膜形成膜と前記第2の導電膜形成膜との界面領域、又は前記第2の導電膜形成膜に、酸素イオン、窒素イオン、又は酸素イオン及び窒素イオンを注入し、イオンミキシング層形成層を形成する工程(c)と、
前記工程(c)の後に、前記抵抗素子領域において、前記第2の導電膜形成膜、前記イオンミキシング層形成層及び前記第1の導電膜形成膜をパターニングすることにより、前記半導体基板の上に、前記第1の導電膜形成膜からなる第1の導電膜、前記イオンミキシング層形成層からなるイオンミキシング層及び前記第2の導電膜形成膜からなる第2の導電膜を形成する工程(d)と、
熱処理により、前記イオンミキシング層に含まれる酸素、窒素、又は酸素及び窒素と、前記シリコン又は前記金属とを反応させて、絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(e)において、前記第1の導電膜と前記絶縁膜と前記第2の導電膜とを有する前記抵抗素子が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の前に、前記MISFET領域において、前記半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(f)をさらに備え、
前記工程(c)の後に、前記MISFET領域において、前記第2の導電膜形成膜、前記第1の導電膜形成膜及び前記ゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングすることにより、前記半導体基板の上に、前記ゲート絶縁膜形成膜からなるゲート絶縁膜、及び前記第1の導電膜形成膜からなる第3の導電膜と前記第2の導電膜形成膜からなる第4の導電膜とを有するゲート電極を順次形成する工程(g)をさらに備え、
前記工程(d)と前記工程(g)とは、同時に行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
抵抗素子領域に形成される抵抗素子と、MISFET領域に形成されるMISFETとを備えた半導体装置の製造方法であって、
半導体基板の上に、金属を含む第1の導電膜形成膜を形成する工程(a)と、
前記第1の導電膜形成膜の上に、シリコンを含む第2の導電膜形成膜を形成する工程(b)と、
前記工程(b)の後に、前記抵抗素子領域において、前記第2の導電膜形成膜及び前記第1の導電膜形成膜を順次パターニングすることにより、前記半導体基板の上に、前記第1の導電膜形成膜からなる第1の導電膜と前記第2の導電膜形成膜からなる第2の導電膜とを順次形成する工程(c)と、
イオン注入により、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜との界面領域、又は前記第2の導電膜に、酸素イオン、窒素イオン、又は酸素イオン及び窒素イオンを注入し、イオンミキシング層を形成する工程(d)と、
熱処理により、前記イオンミキシング層に含まれる酸素、窒素、又は酸素及び窒素と、前記シリコン又は前記金属とを反応させて、絶縁膜を形成する工程(e)とを備え、
前記工程(e)において、前記第1の導電膜と前記絶縁膜と前記第2の導電膜とを有する前記抵抗素子が形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)の前に、前記MISFET領域において、前記半導体基板の上に、ゲート絶縁膜形成膜を形成する工程(f)をさらに備え、
前記工程(b)の後に、前記MISFET領域において、前記第2の導電膜形成膜、前記第1の導電膜形成膜及び前記ゲート絶縁膜形成膜を順次パターニングすることにより、前記半導体基板の上に、前記ゲート絶縁膜形成膜からなるゲート絶縁膜、及び前記第1の導電膜形成膜からなる第3の導電膜と前記第2の導電膜形成膜からなる第4の導電膜とを有するゲート電極を順次形成する工程(g)をさらに備え、
前記工程(c)と前記工程(g)とは、同時に行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−54901(P2011−54901A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205020(P2009−205020)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】