説明

半導体装置製造用基板、半導体装置、および半導体装置の製造方法

【課題】非破壊で迅速にトレンチ形状の仕上がりを検査することができる、半導体装置製造用基板、半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供する
【解決手段】ウエハは、有効領域と、無効領域とを備えている。有効領域は、第1溝部を有する半導体素子を含んでいる。無効領域は、有効領域の周りに設けられ、ダイシングにより切断される位置を含んでいる。この無効領域は、不純物層60と、第1半導体層51と、第2溝部T2とを含んでいる。不純物層60は第1導電型を有している。第1半導体層51は、不純物層60上に設けられ、第1導電型と異なる第2導電型を有している。第2溝部T2は、第1溝部と同時に形成され、厚み方向に第1半導体層51を貫通し、平面パターンにおいて第1半導体層51に囲まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置製造用基板、半導体装置、および半導体装置の製造方法に関し、特に、溝部を有する半導体装置製造用基板と、この半導体装置製造用基板を用いて製造された半導体装置と、溝部を有する半導体装置の製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の中には、トレンチ構造を有するものがある。たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)においてトレンチ構造が用いられている。トレンチ構造を有する半導体装置の電気特性は、製造工程におけるトレンチ形状の仕上がり精度、特に深さ寸法および幅寸法の精度の影響を大きく受ける。そのためトレンチ形状の仕上がりの管理が半導体装置の高品質化のキー技術のひとつとなっている。
【0003】
トレンチ形状の仕上がりの管理として、トレンチの断面をSEM(Scanning Electron Microscope)により観察することで、トレンチ形状を直接的に測定することが広く行なわれている。また間接的な手法としては、たとえば特開2006−310607号公報(特許文献1)によれば、入力容量の測定結果に基づき、半導体装置におけるトレンチ底部とpn接合面との位置関係を評価する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2006−310607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のSEMによるトレンチ形状の仕上がり管理においては、観察される断面が形成される際に半導体装置が破壊される。すなわちこの方法は破壊検査であるという問題を有していた。またSEMによる観察は、結果を得るために長い作業時間を必要とするという問題も有していた。
【0005】
また上記の特開2006−310607号公報の技術では、異常の発生を検知することができる場合はあるものの、トレンチ形状の詳しい寸法を知ることはできないという問題を有していた。
【0006】
それゆえ本発明の目的は、非破壊で迅速にトレンチ形状の仕上がりを検査することができる、半導体装置製造用基板、半導体装置、および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置製造用基板は、有効領域と、無効領域とを備えている。有効領域は、第1溝部を有する半導体素子を含んでいる。無効領域は、有効領域の周りに設けられ、ダイシングにより切断される位置を含んでいる。この無効領域は、不純物層と、第1半導体層と、第2溝部とを含んでいる。不純物層は第1導電型を有している。第1半導体層は、不純物層上に設けられ、第1導電型と異なる第2導電型を有している。第2溝部は、第1溝部と同時に形成され、厚み方向に第1半導体層を貫通し、平面パターンにおいて第1半導体層に囲まれている。
【0008】
本発明の一の局面にしたがう半導体装置の製造方法は、以下の工程を有している。
第1導電型を有する第1不純物層上に溝部が形成される。溝部の内面を被う第1絶縁膜が形成される。第1絶縁膜を介して溝部を埋める第1電極が形成される。第1不純物層の第1絶縁膜に面した空乏層が消失するように第1不純物層と第1電極との間に電圧が印加されながら、第1不純物層と第1電極との間の静電容量が測定される。
【0009】
本発明の他の局面にしたがう半導体装置の製造方法は、以下の工程を有している。
第1導電型を有する第1不純物層と、第1不純物層に被われ、かつ第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物層とを有する半導体基板が準備される。第1不純物層を貫通し、かつ第2不純物層に達する溝部が形成される。溝部の内面を被う絶縁膜が形成される。絶縁膜を介して溝部を埋める電極が形成される。第1不純物層の絶縁膜に面した部分が第1導電型に保たれる条件で第1不純物層と電極との間に電圧が印加されながら、第1不純物層と電極との間の静電容量が測定される。
【0010】
本発明のさらに他の局面にしたがう半導体装置の製造方法は、以下の工程を有している。
【0011】
第1導電型を有する第1不純物層と、第1不純物層に被われ、かつ第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物層と、第1不純物層上に設けられ、かつ第1導電型を有する半導体層とを含む半導体基板が準備される。平面パターンにおいて半導体層に囲まれ、厚み方向において半導体層を貫通し、かつ第2不純物層に達する溝部が形成される。溝部の内面を被う絶縁膜が形成される。絶縁膜を介して溝部を埋める電極が形成される。第1不純物層の絶縁膜に面した部分が第1導電型に保たれる条件で第1不純物層と電極との間に電圧が印加されながら、第1不純物層と電極との間の静電容量が測定される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置製造用基板によれば、第1半導体層における第2溝部に沿った電流が受ける電気抵抗を測定することで、第2溝部の幅寸法を知ることにより、第2溝部と同時に形成された第1溝部の幅寸法を管理することができる。
【0013】
本発明の一の半導体装置の製造方法によれば、第1不純物層と第1電極との間の静電容量を測定することで、溝部の深さ寸法を管理することができる。
【0014】
本発明の他の半導体装置の製造方法によれば、第1不純物層と電極との間の静電容量を測定することで、トレンチが第1不純物層を貫通する部分の深さ寸法を管理することができる。
【0015】
本発明のさらに他の半導体装置の製造方法によれば、第1不純物層と電極との間の静電容量を測定することで、トレンチが半導体層と第2不純物層との間で第1不純物層を貫通する部分の深さ寸法を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本実施の形態の半導体装置製造用基板および半導体装置の概略的な構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハの構成を概略的に示す平面図である。図2は、図1の破線部IIを拡大して示す概略平面図である。図3は、本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの構成を概略的に示す平面図である。
【0017】
図1〜図3を参照して、ウエハ100は、ダイシングラインDLに沿ってダイシングされることにより、半導体装置であるIGBT200を製造するための半導体装置製造用基板である。ウエハ100は、有効領域EAと、無効領域NAとを有している。
【0018】
有効領域EAは、セル領域CAとガードリング領域GAとを有している。セル領域CAは、IGBT素子をIGBT200を構成する素子として有している。ガードリング領域GAは、IGBT200の耐圧を向上させるために、セル領域CAを取り囲むように設けられている。
【0019】
無効領域NAは、有効領域EAの周りに設けられ、ダイシングラインDLに沿ってダイシングにより切断される位置を含んでいる。無効領域NAは、TEG領域A1を含んでいる。TEG領域A1は、ダイシングラインDL上に位置している。このためダイシングにより形成されたIGBT200は、TEG領域A1の一部、すなわち切断されたTEG領域A1dを有している。
【0020】
次にセル領域CAの詳細な構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTのセル領域の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。図5は、図4においてエミッタ電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。図6は、本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTのセル領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0021】
図4〜図6を参照して、セル領域CAは、複数のセルを有しており、各セルはIGBT素子を含んでいる。IGBT素子は、エミッタ電極30、層間絶縁膜40、エミッタ領域50、pベース領域60、nベース領域61、コレクタ領域62、コレクタ電極63、ゲート電極70、およびゲート酸化膜80を有している。pベース領域60およびコレクタ領域62の各々は、p型の導電型(第1導電型)を有している。エミッタ領域50およびnベース領域61の各々は、n型の導電型(第2導電型)を有している。エミッタ領域50、pベース領域60、nベース領域61、およびコレクタ領域62は、半導体からなる半導体基板SBに含まれている。
【0022】
半導体基板SBは溝部T1(第1溝部)を有している。ゲート電極70はゲート酸化膜80を介して溝部T1を埋めるように設けられている。溝部T1は、幅寸法Wtおよび深さ寸法Xtを有している。
【0023】
次にTEG領域A1の構成について説明する。図7は、本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す平面図である。図8は、図7においてパッド電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。図9は、本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0024】
主に図7〜図9を参照して、TEG領域A1は、pベース領域60(不純物層)およびnベース領域61をセル領域CAと共有している。またTEG領域A1は、半導体層51(第1半導体層),51Dと、埋込層71,71Dと、酸化膜81,81Dと、層間絶縁膜41と、パッド電極31a,31bとを有している。またTEG領域A1は、pベース領域60およびnベース領域61を含む領域に形成された溝部T2(第2溝部),T2Dを有している。
【0025】
埋込層71は、酸化膜81を介して溝部T2に埋め込まれている。埋込層71Dは、酸化膜81Dを介して溝部T2Dに埋め込まれている。半導体層51,51Dは、pベース領域60上に設けられ、n型の導電型(第2導電型)を有している。溝部T2,T2Dは、溝部T1(図6)と同時に形成され、溝部T1と同様に幅寸法Wtおよび深さ寸法Xtを有している。また溝部T2,T2Dのそれぞれは、厚み方向(図9における縦方向)に半導体層51,51Dを貫通している。溝部T2は、平面パターンにおいて半導体層51に囲まれている。
【0026】
層間絶縁膜41は、半導体層51上において、溝部T2を溝部T2の長さ方向(図8の縦方向)に挟むように、1対のコンタクトホールC1a,C1bを有している。コンタクトホールC1a,C1bのそれぞれにおいて、パッド電極31a,31bは半導体層51と電気的に接続されている。
【0027】
次に半導体層51の構成について詳しく説明する。図10は、本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の第1半導体層の平面パターンを概略的に示す平面図である。
【0028】
主に図10を参照して、半導体層51は、測定部51iと、1対の端子部51a,51bとを有している。1対の端子部51a,51bは、測定部51iを溝部T2の長さ方向(図中の縦方向)に挟むように設けられている。測定部51iは、溝部T2の長さ方向に直交する方向に幅寸法Wnを有し、溝部T2の長さ方向に長さ寸法Lを有している。長さ寸法Lは、溝部T2の長さよりも小さい。また測定部51iは、平面パターンにおいて、幅方向の中央部分が、幅寸法Wtを有する溝部T2により刳り貫かれた形状を有している。これにより測定部51iの電気的経路としての実効的な幅寸法はWn−Wtである。
【0029】
端子部51a,51bのそれぞれの上には、パッド電極31a,31b(図7)が位置している。端子部51a,51bの各々は、溝部T2の長さ方向に直交する方向に幅寸法Wpを有している。幅寸法Wpは、幅寸法Wnに比して十分に大きい値を有している。これにより端子部51a,51bにおける溝部T2の長さ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、測定部51iにおける溝部T2の長さ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも十分に小さい値とされている。この結果、端子部51a,51b間の抵抗R1は、半導体層51のシート抵抗をSとすると、以下の式(1)で表される。
【0030】
R1=S・L/(Wn−Wt) ・・・(1)
次にTEG領域A1の使用方法について説明する。
【0031】
まずウエハレベルの半導体製造工程により、ウエハ100が形成される。次に、パッド電極31a,31bのそれぞれに、抵抗測定装置の1対のプローバが当てられることで、式(1)の抵抗R1が測定される。また幅寸法Wn、シート抵抗S、および長さ寸法Lの各々については工程ばらつきが小さいので標準的な値で近似することができる。よって上記の式(1)が変形された下記の式(2)により幅寸法Wtを算出することができる。
【0032】
Wt=Wn−S・L/R1 ・・・(2)
これにより溝部T2の幅寸法が算出される。本実施の形態においては、溝部T2と溝部T1とは同一の溝幅で形成されているので、溝部T1の溝幅寸法を知ることができる。すなわちIGBT素子のトレンチ幅の仕上がり寸法を検査することができる。
【0033】
次に、幅寸法Wtの検査結果を用いたウエハ100の製造工程の管理方法について説明する。
【0034】
幅寸法Wtが許容範囲よりも大きい場合、溝部T1,T2の形成工程におけるプロセスパラメータが、溝部T1,T2の幅寸法Wtがより小さくなるように調整される。逆に幅寸法Wtが許容範囲よりも小さい場合、溝部T1,T2の形成工程におけるプロセスパラメータが、溝部T1,T2の幅寸法Wtがより大きくなるように調整される。幅寸法Wtが許容範囲内の場合、上記プロセスパラメータが維持されて、ウエハ100の製造が行なわれる。
【0035】
上記においてプロセスパラメータが調整された場合、調整後のプロセスパラメータによる工程で形成されたウエハ100について再度幅寸法Wtの検査が行なわれる。検査結果が許容範囲外の場合、上述したプロセスパラメータの調整が再度行なわれる。検査結果が許容範囲内の場合、調整後のプロセスパラメータが維持されて、ウエハ100の製造が行なわれる。
【0036】
次に本実施の形態の半導体装置としてのIGBTの製造方法について説明する。図11〜図19は、本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法を工程順に示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【0037】
図11を参照して、nベース領域61を有する半導体基板SBが準備される。
図12を参照して、nベース領域61上にpベース領域60が形成される。
【0038】
図13を参照して、pベース領域60上のセル領域CAおよびTEG領域A1のそれぞれに、エミッタ領域50および半導体層51が同時に形成される。
【0039】
図14を参照して、エミッタ領域50および半導体層51のそれぞれの上に、溝部T1,T2が同時に形成される。
【0040】
図15を参照して、溝部T1,T2のそれぞれの内面を被うように、ゲート酸化膜80、酸化膜81が同時に形成される。そして溝部T1,溝部T2のそれぞれを埋めるように、ゲート電極70、埋込層71が同時に形成される。
【0041】
図16を参照して、層間絶縁膜40,41が同時に形成される。
図17を参照して、エミッタ電極30、パッド電極31a、およびパッド電極31b(図17において図示せず)が同時に形成される。
【0042】
図18を参照して、セル領域CAにおいてnベース領域61上にコレクタ領域62が形成される。
【0043】
図19を参照して、セル領域CAにおいてコレクタ領域62上にコレクタ電極63が形成される。これにより、本実施の形態のウエハ100が形成される。このウエハ100のTEG領域A1が用いられて、ウエハ100の製造工程が上記の方法で管理される。
【0044】
図1〜図3を参照して、ダイシングラインDLに沿ってウエハ100がダイシングされる。これにより、IGBT200が得られる。
【0045】
本実施の形態によれば、パッド電極31a,31b(図7)間の電気抵抗を測定することで、溝部T2(図9)の幅寸法Wtを知ることにより、溝部T1(図6)の幅寸法Wtを管理することができる。これにより、IGBT200のトレンチ(溝部T1)形状の幅寸法を検査することができる。よってこの検査結果を用いてプロセスパラメータが調整されることで、IGBT200の素子特性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0046】
また電気抵抗の測定により溝部T1の幅寸法を検査することができるので、非破壊で迅速に検査を行なうことができる。
【0047】
また上記の電気抵抗の測定のためにパッド電極31a,31b(図7)が設けられているので、プローバをパッド電極31a,31bに当てるだけで、容易に電気抵抗の測定を行なうことができる。
【0048】
また、図10に示すように、溝部T2は測定部51iから端子部51a,51bの各々へ突き出すように配置されている。これにより、溝部T2の長さ寸法に若干のばらつきが生じたとしても、測定部51iを溝部T2の長さ方向の全体に渡って確実に刳り貫かれた形状とすることができる。よって、測定部51iの端部に刳り貫かれない部分が生じることで式(1)の関係が成立しなくなることを防止することができる。
【0049】
なお本実施の形態においては、溝部T1の溝幅寸法と溝部T2の溝幅寸法とが同一とされたが、本発明はこれに限定されるものではなく、溝部T1の溝幅寸法と溝部T2の溝幅寸法とに既知の対応関係があればよい。
【0050】
また図2に示すようにTEG領域A1はダイシングラインDLにかかるように配置されたが、TEG領域A1はダイシングラインDLにかからないように配置されてもよい。この場合、IGBT200はTEG領域A1を有するので、IGBT200のTEG領域A1を用いて幅寸法Wtの検査を行なうことができる。すなわちダイシング後であっても、幅寸法Wtの検査を行なうことができる。
【0051】
(実施の形態2)
図20は、本発明の実施の形態2における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す平面図である。図21は、図20においてパッド電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。図22は、本発明の実施の形態2における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0052】
主に図20〜図22を参照して、本実施の形態の半導体装置製造用基板としてのウエハは、上述した実施の形態1のウエハ100の構成に加え、さらにTEG領域A2を有している。TEG領域A2は、TEG領域A1(図2)と同様に無効領域NAに設けられている。
【0053】
TEG領域A2は、pベース領域60(不純物層)およびnベース領域61をセル領域CAと共有している。またTEG領域A2は、層間絶縁膜41をTEG領域A1と共有している。またTEG領域A2は、半導体層52(第2半導体層)と、パッド電極32a,32bとを有している。半導体層52は、pベース領域60上に設けられ、n型の導電型(第2導電型)を有している。層間絶縁膜41は、半導体層52上において、1対のコンタクトホールC2a,C2bを有している。コンタクトホールC2a,C2bのそれぞれにおいて、パッド電極32a,32bは半導体層52と電気的に接続されている。
【0054】
次に半導体層52の構成について詳しく説明する。図23は、本発明の実施の形態2における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の第2半導体層の平面パターンを概略的に示す平面図である。
【0055】
主に図23を参照して、半導体層52は、測定部52iと、1対の端子部52a,52bとを有している。1対の端子部52a,52bは、測定部52iを挟むように設けられている。測定部52iは、1対の端子部52a,52bに挟まれる方向に長さ寸法Lを有し、この方向に直交する方向に幅寸法Wnを有している。
【0056】
端子部52a,52bのそれぞれの上には、パッド電極32a,32b(図20)が位置している。端子部52a,52bの各々は、幅寸法Wnの方向に幅寸法Wpを有している。幅寸法Wpは、幅寸法Wnに比して十分に大きい値を有している。これにより端子部52a,52bにおける、端子部52a,52bが互いに対向する方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、測定部52iにおけるこの方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも十分に小さい値とされている。この結果、端子部52a,52b間の抵抗R2は、半導体層52のシート抵抗をSとすると、以下の式(3)で表される。
【0057】
R2=S・L/Wn ・・・(3)
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0058】
次にTEG領域A2の使用方法について説明する。
まずウエハレベルの半導体製造工程によりウエハが形成される。次に、パッド電極32a,32bのそれぞれに、抵抗測定装置の1対のプローバが当てられることで、式(3)のR2が測定される。また幅寸法Wn、および長さ寸法Lの各々については工程ばらつきが小さいので標準的な値で近似することができる。よって上記の式(3)が変形された下記の式(4)によりシート抵抗Sを算出することができる。
【0059】
S=R2・Wn/L ・・・(4)
式(2)と式(4)とにより、以下の式(5)が得られる。
【0060】
Wt=Wn(1−R2/R1) ・・・(5)
本実施の形態によれば、上記の式(5)により、幅寸法Wtを算出することができるので、式(1)を用いる場合と異なり、シート抵抗Sの値を標準的な値で近似する必要がない。よって半導体層51,52の不純物濃度の工程ばらつきに起因したシート抵抗Sのばらつきの影響を受けずに、幅寸法Wtを算出することができる。よって実施の形態1に比して、より高精度に幅寸法Wtを算出することができる。
【0061】
なお本実施の形態においては、TEG領域A2の幅寸法および長さ寸法がTEG領域A1のものと同じとされたが、本発明はこれに限定されるものではなく、TEG領域A2の幅寸法および長さ寸法が他の寸法であってもよい。この場合においても式(4)と類似の式によりシート抵抗Sの実際の値が把握されるので、シート抵抗Sの値を標準的な値で近似する必要がない。
【0062】
(実施の形態3)
図24は、本発明の実施の形態3における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す平面図である。図25は、図24においてパッド電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。図26は、本発明の実施の形態3における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0063】
主に図24〜図26を参照して、本実施の形態の半導体装置製造用基板としてのウエハは、上述した実施の形態1のウエハ100の構成に加え、さらにTEG領域A3を有している。TEG領域A3は、TEG領域A1(図2)と同様に無効領域NAに設けられている。
【0064】
TEG領域A3は、pベース領域60(不純物層)およびnベース領域61をセル領域CAと共有している。またTEG領域A3は、層間絶縁膜41をTEG領域A1と共有している。また、TEG領域A3は、半導体層53(第3半導体層)と、埋込層73と、酸化膜83と、パッド電極33a,33bとを有している。またTEG領域A3は、pベース領域60およびnベース領域61を含む領域に形成された溝部T3(第3溝部),T4(第4溝部)を有している。
【0065】
埋込層73は、酸化膜83を介して溝部T3,T4に埋め込まれている。半導体層53は、pベース領域60上に設けられ、n型の導電型(第2導電型)を有している。溝部T3,T4は、溝部T1(図6)と同時に形成される。また溝部T3,T4のそれぞれは、厚み方向(図26における縦方向)に半導体層53を貫通している。溝部T3は、平面パターンにおいて半導体層53に囲まれている。溝部T4は、平面パターンにおいて溝部T3と半導体層53の外側(図25における右側)とを跨いで位置している。
【0066】
層間絶縁膜41は、半導体層53上において、溝部T3を溝部T3の長さ方向(図25の縦方向)に挟むように、1対のコンタクトホールC3a,C3bを有している。コンタクトホールC3a,C3bのそれぞれにおいて、パッド電極33a,33bは半導体層53と電気的に接続されている。
【0067】
次に半導体層53の構成について詳しく説明する。図27は、本発明の実施の形態3における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の第3半導体層の平面パターンを概略的に示す平面図である。
【0068】
主に図27を参照して、半導体層53は、測定部53iと、1対の端子部53a,53bとを有している。1対の端子部53a,53bは、測定部53iを溝部T3の長さ方向(図中の縦方向)に挟むように設けられている。
【0069】
測定部53iは、溝部T3の長さ方向に直交する方向に幅寸法Wnを有し、溝部T3の長さ方向に長さ寸法Lを有している。長さ寸法Lは、溝部T3の長さよりも小さい。また測定部53iは、平面パターンにおいて、幅方向の中央部分が幅寸法Wtを有する溝部T3により刳り貫かれることで2つの部分に分断され、さらにこの2つの部分の一方(図中右側の方)は溝部T3の長さ方向の途中で溝部T4により分断されている。
【0070】
設計上は、溝部T3は測定部53iの幅方向(図中横方向)の中央に配置されることとされている。しかし実際にはこの配置は、溝部T3を形成するフォトリソグラフィ工程におけるマスクズレに起因して、マスクズレ量Dだけずれている。ここでマスクズレ量Dの符号は、溝部T3が溝部T4側と反対の側(図中左側)にずれる場合を正とし、溝部T4側にずれる場合を負とする。これにより測定部53iの電気的経路としての実効的な幅寸法は(Wn−Wt)/2−Dである。
【0071】
端子部53a,53bのそれぞれの上には、パッド電極33a,33b(図24)が位置している。端子部53a,53bの各々は、溝部T3の長さ方向に直交する方向に幅寸法Wpを有している。幅寸法Wpは、幅寸法Wnに比して十分に大きい値を有している。これにより端子部53a,53bにおける溝部T3の長さ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値は、測定部53iにおける溝部T3の長さ方向に沿った単位長さ当たりの抵抗値よりも十分に小さい値とされている。この結果、端子部53a,53b間の抵抗R3は、半導体層53のシート抵抗をSとすると、以下の式(6)で表される。
【0072】
R3=S・L/{(Wn−Wt)/2−D} ・・・(6)
式(1)を用いて、式(6)から(Wn−Wt)を消去することにより、下記の式(7)が得られる。
【0073】
R3=S・L/{(S・L/R1)/2−D} ・・・(7)
上記の式(7)から、マスクズレ量Dは、下記の式(8)により表される。
【0074】
D={1/(2・R1)−1/R3}S・L ・・・(8)
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0075】
次にTEG領域A3の使用方法について説明する。
まずウエハレベルの半導体製造工程により、ウエハが形成される。次に、パッド電極33a,33bのそれぞれに、抵抗測定装置の1対のプローバが当てられることで、式(8)の抵抗R3が測定される。また実施の形態1において説明した方法で、式(8)の抵抗R1が測定される。またシート抵抗S、および長さ寸法Lの各々については工程ばらつきが小さいので標準的な値で近似することができる。これによりマスクズレ量Dが算出される。すなわちIGBT素子のトレンチ位置の仕上がりを検査することができる。
【0076】
次に、マスクズレ量Dの検査結果を用いたウエハの製造工程の管理方法について説明する。
【0077】
マスクズレ量Dの絶対値が許容範囲よりも大きい場合、溝部T1,T3,T4の形成工程におけるマスク位置が、マスクズレ量Dの絶対値が小さくなるように調整される。マスクズレ量Dの絶対値が許容範囲内の場合、上記マスク位置が維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0078】
上記においてマスク位置が調整された場合、調整後のマスク位置で形成されたウエハについて再度マスクズレ量Dの検査が行なわれる。検査結果が許容範囲外の場合、上述したマスク位置の調整が再度行なわれる。検査結果が許容範囲内の場合、調整後のマスク位置が維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0079】
本実施の形態によれば、パッド電極33a,33b(図24)間の電気抵抗を測定することで、マスクズレ量D(図27)を管理することができる。これにより、IGBTのトレンチ(溝部T1)位置の仕上がりを検査することができる。よってこの検査結果を用いてマスク位置が調整されることで、IGBTの素子特性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0080】
また電気抵抗の測定によりマスクズレ量Dを検査することができるので、非破壊で迅速に検査を行なうことができる。
【0081】
また上記の電気抵抗の測定のためにパッド電極33a,33b(図24)が設けられているので、プローバをパッド電極33a,33bに当てるだけで、容易に電気抵抗の測定を行なうことができる。
【0082】
また、図27に示すように、溝部T3は測定部53iから端子部53a,53bの各々へ突き出すように配置されている。これにより、溝部T3の長さ寸法に若干のばらつきが生じたとしても、測定部53iを溝部T3の長さ方向の全体に渡って確実に刳り貫かれた形状とすることができる。よって、測定部53iの端部に刳り貫かれない部分が生じることで式(8)の関係が成立しなくなることを防止することができる。
【0083】
なおTEG領域A1,A3はダイシングラインDL(図2)にかからないように配置されてもよい。この場合、IGBTはTEG領域A1,A3を有するので、IGBTのTEG領域A1,A3を用いてマスクズレ量Dの検査を行なうことができる。すなわちダイシング後であっても、マスクズレ量Dの検査を行なうことができる。
【0084】
またTEG領域A2が形成されている場合は、式(4)により、実際のシート抵抗Sの値を知ることができる。このシート抵抗Sの値が式(8)に用いられることで、マスクズレ量Dの値を、より精確に求めることができる。
【0085】
(実施の形態4)
図28は、本発明の実施の形態4における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0086】
主に図28を参照して、本実施の形態の半導体装置製造用基板としてのウエハは、上述した実施の形態1の無効領域NAに、TEG領域A1の代わりに、またはTEG領域A1に加えて、TEG領域A4を有している。TEG領域A4は、pベース領域60(第1不純物層)をセル領域CA(図6)と共有している。またTEG領域A4は、埋込層74(第1電極)と、酸化膜84(第1絶縁膜)とを有している。またTEG領域A4は、pベース領域60に形成された溝部T5を有している。
【0087】
溝部T5は、溝部T1(図6)と同時に形成され、溝部T1と同様に、幅寸法Wt、深さ寸法Xt、および長さ寸法Lを有している。埋込層74は、酸化膜84を介して溝部T5に埋め込まれている。酸化膜84は、誘電率εsを有し、溝部T5の内面を厚さ寸法doxに渡って被覆している。
【0088】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0089】
次にTEG領域A4の使用方法について説明する。
まずウエハレベルの半導体製造工程により、ウエハが形成される。次に、pベース領域60の酸化膜84に面した空乏層が消失するようにpベース領域60および埋込層74のそれぞれに電位E60,E74が印加される。たとえば、電位E60は接地電位とされ、電位E74は上記空乏層が消失するのに十分な大きさの負の電位が印加される。そのように電位E60,E74が印加された状態で、pベース領域60と埋込層74との間の静電容量C4が測定される。上記空乏層が消失した状態においては、静電容量C4は以下の式(9)で表される。
【0090】
C4=εs(2・Xt+Wt)L/dox ・・・(9)
式(9)を変形することで、以下の式(10)が得られる。
【0091】
Xt={dox/(2・εs・L)}C4−Wt/2 ・・・(10)
ここで深さ寸法Xtが幅寸法Wtより十分大きくされている場合、式(10)の第2項のばらつきは無視することができる。よって静電容量C4の測定結果を用いて、式(10)により深さ寸法Xtを算出することができる。
【0092】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
主に図28を参照して、TEG領域A4において、pベース領域60上に溝部T5が形成される。この溝部T5の形成と同時に、セル領域CAにおいては溝部T1の形成(図14(A))が行なわれる。
【0093】
次に、溝部T5の内面を被う酸化膜84が形成される。この酸化膜84の形成と同時に、セル領域CAにおいてはゲート酸化膜80の形成(図15(A))が行なわれる。
【0094】
次に、酸化膜84を介して溝部T5を埋める埋込層74が形成される。この埋込層74の形成と同時に、セル領域CAにおいてはゲート電極70の形成(図15(A))が行なわれる。
【0095】
次に、セル領域CAにおいて、図16(A)〜図19(A)に示す工程が行なわれる。
次に、TEG領域A4を使用することで深さ寸法Xtの算出が行われる。すなわち、pベース領域60の酸化膜84に面した空乏層が消失するようにpベース領域60と埋込層74との間に電圧が印加されながら、pベース領域60と埋込層74との間の静電容量C4が測定される。静電容量C4と式(10)とにより、深さ寸法Xtが算出される。
【0096】
深さ寸法Xtが許容範囲よりも大きい場合、溝部T1,T5の形成工程におけるプロセスパラメータが、溝部T1,T5の深さ寸法Xtがより小さくなるように調整される。逆に深さ寸法Xtが許容範囲よりも小さい場合、溝部T1,T5の形成工程におけるプロセスパラメータが、溝部T1,T5の深さ寸法Xtがより大きくなるように調整される。深さ寸法Xtが許容範囲内の場合、上記プロセスパラメータが維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0097】
上記においてプロセスパラメータが調整された場合、調整後のプロセスパラメータによる工程で形成されたウエハについて再度深さ寸法Xtの検査が行なわれる。検査結果が許容範囲外の場合、上述したプロセスパラメータの調整が再度行なわれる。検査結果が許容範囲内の場合、調整後のプロセスパラメータが維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0098】
次に、実施の形態1と同様にダイシングが行われる。
以上により、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTが得られる。
【0099】
本実施の形態によれば、pベース領域60と埋込層74との間の静電容量C4を測定することで、溝部T2(図9)の深さ寸法Xtを知ることにより、溝部T1(図6)の深さ寸法Xtを管理することができる。これにより、IGBTのトレンチ(溝部T1)形状の幅寸法を検査することができる。よってこの検査結果を用いてプロセスパラメータが調整されることで、IGBTの素子特性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0100】
また静電容量より溝部T1の幅寸法を検査することができるので、非破壊で迅速に検査を行なうことができる。
【0101】
なお本実施の形態においては、溝部T1の深さ寸法と溝部T5の深さ寸法とが同一とされたが、本発明はこれに限定されるものではなく、溝部T1の深さ寸法と溝部T5の深さ寸法とに既知の対応関係があればよい。
【0102】
またTEG領域A4はダイシングラインDLにかかるように配置されたが、TEG領域A4はダイシングラインDLにかからないように配置されてもよい。この場合、IGBTはTEG領域A4を有するので、IGBTのTEG領域A4を用いて深さ寸法Xtの検査を行なうことができる。すなわちダイシング後であっても、深さ寸法Xtの検査を行なうことができる。
【0103】
なお、pベース領域60の酸化膜84に面した空乏層が残存した状態で測定されたpベース領域60と埋込層74との間の静電容量Cdは、空乏層の容量をCoxとすると、以下の式(11)を満たす。
【0104】
1/Cd=1/C4+1/Cox ・・・(11)
式(11)を変することで、以下の式(12)が得られる。
【0105】
C4=(Cox−Cd)/(Cd・Cox) ・・・(12)
よって静電容量Cdが測定されても、静電容量Coxが未知のためC4を知ることができないので、式(10)を用いて深さ寸法Xtを算出することが困難である。
【0106】
(実施の形態5)
図29は、本発明の実施の形態5における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0107】
主に図29を参照して、本実施の形態の半導体装置製造用基板としてのウエハは、上述した実施の形態4のウエハの構成に加え、さらにTEG領域A5を有している。TEG領域A5は、TEG領域A1(図2)と同様に無効領域NAに設けられている。
【0108】
TEG領域A5は、上述したTEG領域A4の構成に加えて、pベース領域60上に、平面電極75(第2の電極)と、酸化膜85(第2絶縁膜)とを有している。酸化膜85は、酸化膜84と同時に形成され、酸化膜84と同一の材質と同一の厚みdoxとを有する。平面電極75は、埋込層74と同時に形成され、幅寸法Wgと、埋込層74と同様の長さ寸法L(図29において図示せず)とを有している。
【0109】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態4の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0110】
次にTEG領域A5の使用方法について説明する。
まずウエハレベルの半導体製造工程により、ウエハが形成される。次に、pベース領域60の酸化膜85に面した空乏層が消失するようにpベース領域60および平面電極75のそれぞれに電位E60,E75が印加される。たとえば、電位E60は接地電位とされ、電位E75は上記空乏層が消失するのに十分な大きさの負の電位が印加される。そのように電位E60,E75が印加された状態で、pベース領域60と平面電極75との間の静電容量C5が測定される。上記空乏層が消失した状態においては、静電容量C5は以下の式(13)で表される。
【0111】
C5=εs・Wg・L/dox ・・・(13)
この式(10)および(13)から厚さ寸法doxを消去することで、以下の式(14)が得られる。
【0112】
Xt=Wg・C4/(2・C5)−Wt/2 ・・・(14)
本実施の形態によれば、式(14)が厚さ寸法doxに依存しないため、厚さ寸法doxのばらつきの影響を受けることなく、深さ寸法Xtを管理することができる。よって実施の形態4に比して、より高い精度でIGBTの素子特性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0113】
また、式(14)の第1項は静電容量比C4/C5を有し、かつそれ以外の静電容量値を有していない。よって、静電容量の絶対値が測定されなくても、静電容量比C4/C5が測定されれば、深さ寸法Xtを算出することができる。
【0114】
(実施の形態6)
図30は、本発明の実施の形態6における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0115】
主に図30を参照して、本実施の形態の半導体装置製造用基板としてのウエハは、上述した実施の形態1の無効領域NAに、TEG領域A1の代わりに、またはTEG領域A1に加えて、TEG領域A6を有している。TEG領域A6は、pベース領域60(第1不純物層)およびnベース領域61(第2不純物層)をセル領域CA(図6)と共有している。またTEG領域A6は、埋込層76(電極)と、酸化膜86(絶縁膜)とを有している。またTEG領域A6は、pベース領域60およびnベース領域61に形成された溝部T6を有している。
【0116】
溝部T6は、溝部T1(図6)と同時に形成され、溝部T1と同様に、幅寸法Wtおよび長さ寸法Lを有している。溝部T6はpベース領域60を深さ寸法Xpに渡って貫通する部分を有している。埋込層76は、酸化膜86を介して溝部T6に埋め込まれている。酸化膜86は、誘電率εsを有し、溝部T6の内面を厚さ寸法doxに渡って被覆している。
【0117】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0118】
次にTEG領域A6の使用方法について説明する。
まずウエハレベルの半導体製造工程により、ウエハが形成される。次に、pベース領域60の酸化膜86に面した部分がp型に保たれる条件でpベース領域60および埋込層76のそれぞれに電位E60,E76が印加される。よってpベース領域60においてn型反転は生じない。そのように電位E60,E76が印加された状態で、pベース領域60と埋込層76との間の静電容量C6が測定される。静電容量C6は深さ寸法Xpに依存して変化する。よって静電容量C6を測定することで、深さ寸法Xpを算出することができる。
【0119】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
主に図30を参照して、TEG領域A6において、pベース領域60と、pベース領域60に覆われたnベース領域61とを有する半導体基板SBが準備される。この工程は、セル領域CAにおける図12(A)の工程と同時に行なわれる。
【0120】
次にpベース領域60を貫通し、かつnベース領域61に達する溝部T6が形成される。この溝部T6の形成と同時に、セル領域CAにおいては溝部T1の形成(図14(A))が行なわれる。
【0121】
次に、溝部T6の内面を被う酸化膜86が形成される。この酸化膜86の形成と同時に、セル領域CAにおいてはゲート酸化膜80の形成(図15(A))が行なわれる。
【0122】
次に、酸化膜86を介して溝部T6を埋める埋込層76が形成される。この埋込層76の形成と同時に、セル領域CAにおいてはゲート電極70の形成(図15(A))が行なわれる。
【0123】
次に、セル領域CAにおいて、図16(A)〜図19(A)に示す工程が行なわれる。
次に、TEG領域A6を使用することで深さ寸法Xpの算出が行われる。すなわち、pベース領域60の酸化膜86に面した部分がp型に保たれる条件でpベース領域60と埋込層76との間に電圧が印加されながら、pベース領域60と埋込層76との間の静電容量C6が測定される。この静電容量C6に基づいて深さ寸法Xpが算出される。
【0124】
深さ寸法Xpが許容範囲よりも大きい場合、pベース領域60の形成工程におけるプロセスパラメータが、深さ寸法Xpがより小さくなるように調整される。すなわちpベース領域60がより小さい厚さ寸法で形成される。逆に深さ寸法Xtが許容範囲よりも小さい場合、pベース領域60の形成工程におけるプロセスパラメータが、深さ寸法Xpがより大きくなるように調整される。すなわちpベース領域60がより厚い寸法で形成される。深さ寸法Xpが許容範囲内の場合、上記プロセスパラメータが維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0125】
上記においてプロセスパラメータが調整された場合、調整後のプロセスパラメータによる工程で形成されたウエハについて再度深さ寸法Xpの検査が行なわれる。検査結果が許容範囲外の場合、上述したプロセスパラメータの調整が再度行なわれる。検査結果が許容範囲内の場合、調整後のプロセスパラメータが維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0126】
次に、実施の形態1と同様にダイシングが行われる。
以上により、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTが得られる。
【0127】
本実施の形態によれば、pベース領域60と埋込層76との間の静電容量C6を測定することで、溝部T6がpベース領域60を貫通する部分の深さ寸法Xpを知ることにより、pベース領域60の厚み寸法を検査することができる。よってこの検査結果を用いてプロセスパラメータが調整されることで、IGBTの素子特性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0128】
また静電容量より深さ寸法Xpを検査することができるので、非破壊で迅速に検査を行なうことができる。
【0129】
なおTEG領域A6はダイシングラインDLにかかるように配置されたが、TEG領域A6はダイシングラインDLにかからないように配置されてもよい。この場合、IGBTはTEG領域A6を有するので、IGBTのTEG領域A6を用いて深さ寸法Xpの検査を行なうことができる。すなわちダイシング後であっても、深さ寸法Xpの検査を行なうことができる。
【0130】
(実施の形態7)
図31は、本発明の実施の形態7における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【0131】
主に図31を参照して、本実施の形態の半導体装置製造用基板としてのウエハは、上述した実施の形態1の無効領域NAに、TEG領域A1の代わりに、またはTEG領域A1に加えて、TEG領域A7を有している。TEG領域A7は、pベース領域60(第1不純物層)およびnベース領域61(第2不純物層)をセル領域CA(図6)と共有している。またTEG領域A7は、埋込層77(電極)と、酸化膜87(絶縁膜)と、半導体層57とを有している。
【0132】
半導体層57は、pベース領域60上に設けられ、n型の導電型(第2導電型)を有している。またTEG領域A7は、pベース領域60およびnベース領域61に形成された溝部T7を有している。溝部T7は、厚み方向(図31における縦方向)に半導体層57を貫通している。また溝部T7は、平面パターンにおいて半導体層57に囲まれている。埋込層77は、酸化膜87を介して溝部T7に埋め込まれている。酸化膜87は溝部T7の内面を被覆している。
【0133】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態6の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0134】
次にTEG領域A7の使用方法について説明する。
まずウエハレベルの半導体製造工程により、ウエハが形成される。次に、pベース領域60の酸化膜87に面した部分がp型に保たれる条件でpベース領域60および埋込層77のそれぞれに電位E60,E77が印加される。よってpベース領域60においてn型反転は生じない。そのように電位E60,E77が印加された状態で、pベース領域60と埋込層77との間の静電容量C7が測定される。静電容量C7は深さ寸法Xgに依存して変化する。よって静電容量C7を測定することで、深さ寸法Xgを算出することができる。
【0135】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
主に図31を参照して、TEG領域A7において、pベース領域60と、pベース領域60に覆われたnベース領域61と、pベース領域60上に設けられた半導体層57を含む半導体基板SBが準備される。この工程は、セル領域CAにおける図13(A)の工程と同時に行なわれる。すなわちエミッタ領域50と半導体層57とは、同じ厚みを有するように同時に形成される。この結果、TEG領域A7において半導体層57とnベース領域61とに挟まれた長さと、セル領域CAにおいてエミッタ領域50とnベース領域61とに挟まれた長さ(ゲート長)とは、同じ長さとなる。
【0136】
次に、TEG領域A7において、平面パターンにおいて半導体層57に囲まれ、厚み方向においてpベース領域60を貫通し、かつnベース領域61に達する溝部T7が形成される。この溝部T7の形成と同時に、セル領域CAにおいては溝部T1の形成(図14(A))が行なわれる。
【0137】
次に、溝部T7の内面を被う酸化膜87が形成される。この酸化膜87の形成と同時に、セル領域CAにおいてはゲート酸化膜80の形成(図15(A))が行なわれる。
【0138】
次に、酸化膜87を介して溝部T7を埋める埋込層77が形成される。この埋込層77の形成と同時に、セル領域CAにおいてはゲート電極70の形成(図15(A))が行なわれる。
【0139】
次に、セル領域CAにおいて、図16(A)〜図19(A)に示す工程が行なわれる。
次に、TEG領域A7を使用することで深さ寸法Xgの算出が行われる。すなわち、pベース領域60の酸化膜87に面した部分がp型に保たれる条件でpベース領域60と埋込層77との間に電圧が印加されながら、pベース領域60と埋込層77との間の静電容量C7が測定される。この静電容量C7に基づいて深さ寸法Xgが算出される。
【0140】
深さ寸法Xgが許容範囲よりも大きい場合、pベース領域60の形成工程と、半導体層57およびエミッタ領域50の形成工程との少なくともいずれかにおけるプロセスパラメータが、深さ寸法Xgがより小さくなるように調整される。すなわちpベース領域60がより小さい厚さ寸法で形成されるプロセスパラメータ調整と、半導体層57およびエミッタ領域50がより大きい厚さ寸法で形成されるプロセスパラメータ調整との少なくともいずれかが行なわれる。
【0141】
逆に深さ寸法Xgが許容範囲よりも小さい場合、pベース領域60の形成工程と、半導体層57およびエミッタ領域50の形成工程との少なくともいずれかにおけるプロセスパラメータが、深さ寸法Xgがより大きくなるように調整される。すなわちpベース領域60がより大きい厚さ寸法で形成されるプロセスパラメータ調整と、半導体層57およびエミッタ領域50がより小さい厚さ寸法で形成されるプロセスパラメータ調整との少なくともいずれかが行なわれる。
【0142】
深さ寸法Xgが許容範囲内の場合、上記プロセスパラメータが維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0143】
上記においてプロセスパラメータが調整された場合、調整後のプロセスパラメータによる工程で形成されたウエハについて再度深さ寸法Xgの検査が行なわれる。検査結果が許容範囲外の場合、上述したプロセスパラメータの調整が再度行なわれる。検査結果が許容範囲内の場合、調整後のプロセスパラメータが維持されて、ウエハの製造が行なわれる。
【0144】
次に、実施の形態1と同様にダイシングが行われる。
以上により、本実施の形態の半導体装置としてのIGBTが得られる。
【0145】
本実施の形態によれば、TEG領域A7においてpベース領域60と埋込層77との間の静電容量C7を測定することで、溝部T7がpベース領域60を貫通する部分の深さ寸法Xgを知ることにより、セル領域CAにおけるゲート長を検査することができる。よってこの検査結果を用いてプロセスパラメータが調整されることで、ゲート長のばらつきが抑制されることにより、IGBTの素子特性の製造ばらつきを抑制することができる。
【0146】
また静電容量より深さ寸法Xgを検査することができるので、非破壊で迅速に検査を行なうことができる。
【0147】
なおTEG領域A7はダイシングラインDLにかかるように配置されたが、TEG領域A7はダイシングラインDLにかからないように配置されてもよい。この場合、IGBTはTEG領域A7を有するので、IGBTのTEG領域A7を用いて深さ寸法Xgの検査を行なうことができる。すなわちダイシング後であっても、深さ寸法Xgの検査を行なうことができる。
【0148】
なお、上記各実施の形態におけるn型とp型とが入れ替えられた実施の形態によっても、本発明を実施することができる。
【0149】
また、上記各実施の形態においてはIGBTについて説明したが、本発明の半導体装置はIGBTに限定されるものではなく、溝部を有する他の半導体装置であってもよい。このような他の半導体装置としては、たとえばトレンチMOSFETがある。
【0150】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、溝部を有する半導体装置製造用基板と、この半導体装置製造用基板を用いて製造された半導体装置と、溝部を有する半導体装置の製造方法とに特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハの構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図1の破線部IIを拡大して示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの構成を概略的に示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTのセル領域の構成を概略的に示す部分断面斜視図である。
【図5】図4においてエミッタ電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。
【図6】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTのセル領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す平面図である。
【図8】図7においてパッド電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。
【図9】本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の第1半導体層の平面パターンを概略的に示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第1工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図12】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第2工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図13】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第3工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図14】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第4工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図15】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第5工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図16】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第6工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図17】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第7工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図18】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第8工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図19】本発明の実施の形態1における半導体装置としてのIGBTの製造方法の第9工程を示す概略断面図であり、セル領域における図(A)、およびTEG領域における図(B)である。
【図20】本発明の実施の形態2における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す平面図である。
【図21】図20においてパッド電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。
【図22】本発明の実施の形態2における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図23】本発明の実施の形態2における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の第2半導体層の平面パターンを概略的に示す平面図である。
【図24】本発明の実施の形態3における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す平面図である。
【図25】図24においてパッド電極および層間絶縁膜を図示しない場合の図である。
【図26】本発明の実施の形態3における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図27】本発明の実施の形態3における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の第3半導体層の平面パターンを概略的に示す平面図である。
【図28】本発明の実施の形態4における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図29】本発明の実施の形態5における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図30】本発明の実施の形態6における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【図31】本発明の実施の形態7における半導体装置製造用基板としてのウエハが有するTEG領域の構成を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0153】
100 ウエハ、200 IGBT、30 エミッタ電極、31a,31b,32a,32b,33a,33b パッド電極、40,41 層間絶縁膜、50 エミッタ領域、51 半導体層(第1半導体層)、52 半導体層(第2半導体層)、53 半導体層(第3半導体層)、57 半導体層、51a,51b,52a,52b,53a,53b 端子部、51i,52i,53i 測定部、60 pベース領域(不純物層)、61 nベース領域、62 コレクタ領域、63 コレクタ電極、70 ゲート電極、71,73,76,77 埋込層、74 埋込層(第1電極)、75 平面電極(第2の電極)、80 ゲート酸化膜、81,83,84,85,86,87 酸化膜、A1〜A7 TEG領域、A1d 切断されたTEG領域、C1a,C1b,C2a,C2b,C3a,C3b コンタクトホール、CA セル領域、DL ダイシングライン、EA 有効領域、GA ガードリング領域、NA 無効領域、SB 半導体基板、T1 溝部(第1溝部)、T2 溝部(第2溝部)、T3 溝部(第3溝部)、T4 溝部(第4溝部)、T5〜T7 溝部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1溝部を有する半導体素子を含む有効領域と、前記有効領域の周りに設けられ、ダイシングにより切断される位置を含む無効領域とを備えた半導体装置製造用基板であって、
前記無効領域は、
第1導電型を有する不純物層と、
前記不純物層上に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第1半導体層と、
前記第1の溝部と同時に形成され、厚み方向に前記第1半導体層を貫通し、平面パターンにおいて前記第1半導体層に囲まれた第2溝部とを含む、半導体装置製造用基板。
【請求項2】
前記無効領域は、前記不純物層上に設けられ、平面パターンにおいて前記第2溝部から離れて位置し、前記第2導電型を有する第2半導体層をさらに備えた、請求項1に記載の半導体装置製造用基板。
【請求項3】
前記無効領域は、
前記不純物層上に設けられ、かつ前記第2導電型を有する第3半導体層と、
厚み方向に前記第3半導体層を貫通し、平面パターンにおいて前記第3半導体層に囲まれた第3溝部と、
厚み方向に前記第3半導体層を貫通し、平面パターンにおいて前記第3溝部と前記第3半導体層の外側とを跨いで位置する第4溝部とをさらに備えた、請求項1または2に記載の半導体装置製造用基板。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の半導体装置製造用基板を用いて製造された、半導体装置。
【請求項5】
第1導電型を有する第1不純物層上に溝部を形成する工程と、
前記溝部の内面を被う第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜を介して前記溝部を埋める第1電極を形成する工程と、
前記第1不純物層の前記第1絶縁膜に面した空乏層が消失するように前記第1不純物層と前記第1電極との間に電圧を印加しながら、前記第1不純物層と前記第1電極との間の静電容量を測定する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1絶縁膜を形成する工程は、前記第1不純物層上に第2絶縁膜を形成する工程を含み、
前記第2絶縁膜上に第2電極を形成する工程と、
前記第1不純物層の前記第2絶縁膜に面した空乏層が消失するように前記第1不純物層と前記第2電極との間に電圧を印加しながら、前記第1不純物層と前記第2電極との間の静電容量を測定する工程とをさらに備えた、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
第1導電型を有する第1不純物層と、前記第1不純物層に覆われ、かつ前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物層とを有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1不純物層を貫通し、かつ前記第2不純物層に達する溝部を形成する工程と、
前記溝部の内面を被う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を介して前記溝部を埋める電極を形成する工程と、
前記第1不純物層の前記絶縁膜に面した部分が第1導電型に保たれる条件で前記第1不純物層と前記電極との間に電圧を印加しながら、前記第1不純物層と前記電極との間の静電容量を測定する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1導電型を有する第1不純物層と、前記第1不純物層に覆われ、かつ前記第1導電型と異なる第2導電型を有する第2不純物層と、前記第1不純物層上に設けられ、かつ前記第1導電型を有する半導体層とを含む半導体基板を準備する工程と、
平面パターンにおいて前記半導体層に囲まれ、厚み方向において前記半導体層を貫通し、かつ前記第2不純物層に達する溝部を形成する工程と、
前記溝部の内面を被う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を介して前記溝部を埋める電極を形成する工程と、
前記第1不純物層の前記絶縁膜に面した部分が第1導電型に保たれる条件で前記第1不純物層と前記電極との間に電圧を印加しながら、前記第1不純物層と前記電極との間の静電容量を測定する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2009−231586(P2009−231586A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75942(P2008−75942)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】