説明

半導体装置

【課題】2つの入力端子の配置形態を工夫することにより配線層の増設スペースを確保しスタンダードセルの原価低減を図る。
【解決手段】入力端子34bはゲート配線2bに接続され、入力端子34cはゲート配線2cに接続される。また、入力端子34b、34cは、Y方向に互いに近接して配置され、入力端子34bの第2コンタクト配線4bは、第1コンタクト配線3bと隣接し、且つ該第1コンタクト配線3bに対しX方向に延在する。入力端子34cの第2コンタクト配線4cは、第1コンタクト配線3cと隣接し、且つ該第1コンタクト配線3c対して第2コンタクト配線4bとは逆のX方向に延在する。即ち、入力端子34bの第1コンタクト配線3bと入力端子34cの第2コンタクト配線4cとはY方向に互いに対向して配置され、入力端子34bの第2コンタクト配線4bと入力端子34cの第1コンタクト配線3cはY方向に互いに対向して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特にスタンダードセルの入出力端子の配置の最適化により原価低減が図られた半導体装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
原価低減、性能向上等を目指し、半導体集積回路の微細化の進展は留まることはない。
また、微細化のレベルは固定したままパターンレイアウト等を工夫して原価低減、性能向上を目指す活動も積極的に展開されている。
【0003】
例えば、特許文献1に以下の内容が開示されている。即ち、ストライプ状のトレンチを有するパワーMOSトランジスタにおいて、隣接するトレンチを半導体基板上で幅広部と幅狭部ができるように曲折して形成する。隣接する幅広部と幅狭部を交互に配置して、幅広部にボディコンタクト領域を配置することにより電位の安定性を向上させリーク電流の低減を図り、且つ、単位面積あたりのチャネル幅を向上させオン抵抗の低減を図っている。
【0004】
また、多層配線構造のCMOS半導体装置に関し、論理回路のチップ上占有面積の縮小を図る内容が以下の特許文献2に開示されています。PMOSトランジスタとNMOSトランジスタの両ドレイン間が、半導体基材から第2配線層に形成した配線を介して接続され、両ドレイン間上の領域の第1の配線層に形成した2本の配線でCMOSゲート間が接続される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−50760号公報
【特許文献2】特開平5−206393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原価低減を図る試みは上記先行技術に開示されたもの以外にも多数開示されており、原価低減活動は事業発展の必須の課題となっている。スタンダードセルアレイ等からなる低売価のロジックIC等においては、可能な改善対象はもれなくターゲットとして原価低減活動を進めなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、半導体基板上に形成され、第1方向に延びた第1及び第2ゲート配線と、前記第1及び第2ゲート配線上に形成された第1及び第2層間絶縁膜と、前記第1ゲート配線に接続された第1端子と、前記第2ゲート配線に接続された第2端子と、を備え、前記第1端子は、前記第1層間絶縁膜に形成された第1コンタクトホールを介して、前記第1ゲート配線に接続された第1コンタクト配線を、前記第2端子は、前記第1層間絶縁膜に形成された第1コンタクトホールを介して、前記第2ゲート配線に接続された第1コンタクト配線を、また、前記第1端子及び前記第2端子のそれぞれが、前記第2層間絶縁膜に形成された第2コンタクトホールを介して、前記第1コンタクト配線と一体となり前記第1層間絶縁膜上を延在する第1コンタクト配線引き出し部と接続された第2コンタクト配線と、を備え、前記第2コンタクト配線と同層に形成された複数の配線層と、を具備し、前記半導体装置の表面に垂直な方向から見て、前記第1及び第2端子は、前記第1方向に垂直である第2方向に互いに平行に且つ近接して配置され、前記第1端子の前記第2コンタクト配線は、該第1端子の前記第1コンタクト配線と層間絶縁膜15を介して隣接し、且つ該第1コンタクト配線に対して第2方向に延在して配置され、前記第2端子の前記第2コンタクト配線は、該第2端子の前記第1コンタクト配線と層間絶縁膜を介して隣接し、且つ該第1コンタクト配線に対して前記第1端子の第2コンタクト配線とは反対方向となる第2方向に延在して配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体装置によれば、所定の機能を有するスタンダードセルアレイの集積密度の向上が図れ、半導体装置の原価を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるスタンダードセルの平面図である。
【図2】本発明の実施形態における入力端子の接続状態と、更に微細化が進展した場合の入力端子の接続状態を示す断面図である。
【図3】比較例におけるスタンダードセルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態におけるスタンダードセル10の平面図であり、半導体基板11の表面を垂直方向から見た図である。スタンダードセル10は、図1中のX方向に平行である長辺と、Y方向に平行である短辺を有しており、その長辺側には、不図示のMOSトランジスタが複数配置されている。
【0011】
前記複数のMOSトランジスタには、それぞれ不図示のゲート電極が形成され、図1に示すように、各ゲート電極とそれぞれ接続されたゲート配線2a〜2hがY方向に延びて形成されている。ゲート配線2a〜2hには、それぞれ入力端子34a〜34hが接続されている。
【0012】
入力端子34a〜34hはいずれも同様の断面構造を有しているが、一例として、入力端子34aの断面構造を図2(A)に基づいて説明する。図示のように、ゲート配線2a上には層間絶縁膜13が形成され、該層間絶縁膜13にはコンタクトホール31(第1コンタクトホール)が形成されている。コンタクトホール31内にはゲート配線2と接続し、該コンタクトホール31内から層間絶縁膜31上まで延在するアルミニューム(Al)等を主成分とする第1層メタル配線が形成される。
【0013】
第1層メタル配線は、コンタクトホール31内及びその周辺部に形成される第1コンタクト配線3aと、該第1コンタクト配線3aの一部ではあるが層間絶縁膜13上に広く延在する第1コンタクト配線引き出し部33から構成される。
【0014】
第1コンタクト配線3a〜3hの下方部分には、それぞれほぼ第1コンタクト配線3a〜3hと同じ程度の面積のゲート配線2a〜2hが形成される。また、第1コンタクト配線3a上には層間絶縁膜15が形成され、該層間絶縁膜15にはその底面に第1コンタクト配線引き出し部33が露出するビアホール41第2コンタクトホールが形成される。通常、層間絶縁膜15上にはSOG(Spin On Glass)層17が形成され、第1メタル配線形成により生じた段差部17を平坦化する。
【0015】
ビアホール41内には第1コンタクト配線引き出し部33と接続し、その周辺まで延在するアルミニューム(Al)等を主成分とする第2コンタクト配線4が形成される。図1で言えば、第2コンタクト配線4は第2コンタクト配線4a〜4hとして表示される。第2コンタクト配線4a〜4hの下方には、それぞれ第2コンタクト配線4a〜4hとほぼ同じ程度の面積の第1コンタクト配線引き出し部33が形成される。
【0016】
また、第2コンタクト配線4と同層に、アルミニューム(Al)等を主成分とする配線層1a〜1fが形成される。図1に示す配線層1fは、図3の比較例に存在しないものであり、入力端子34a〜34hのパターンレイアウトの改善により、スタンダードセル10を長辺方向(X方向)に縮小することによって形成された空領域に配線層1fを形成できたことが本実施形態の特徴である。
【0017】
図3に示す比較例のパターンレイアウトの場合、配線層1fを配置しようとする場合、セルの自動配置時に該配線層1f配置のため領域を確保するため、1のスタンダードセルと他のスタンダードセルの間を空けて配置する。そのため、スタンダードセル間の無駄なスペースが増えて素子集積密度の低下の原因となる。なお、複数の配線層のうち1本は不図示のMOSトランジスタのドレインと接続する出力端子である。
【0018】
本実施形態の特徴を詳しく説明する前に、第1コンタクト配線3と第2コンタクト配線4の接続方法について説明する。デザインルールが粗い微細化の程度の低い製品の場合には、図2(A)に示す場合と同様に、第1コンタクト配線3に窪み部が生じるが、解像度に余裕がありその上部の層間絶縁膜にビアホール41を形成して、第1コンタクト配線3と直接接続する態様で第2コンタクト配線4を形成しても大きな問題は生じない。
【0019】
それに対して、微細化のレベルが進んできた場合、解像度、焦点深度の関係、更にはスパッタ時のアルミニューム(Al)等のステップカバレッジ等の問題から、従来技術では
第1コンタクト配線3と第2コンタクト配線を直接接続させることはできない。従って、図2(B)に示すように、平坦化技術を駆使して対処しなければならない。
【0020】
即ち、図2(B)の場合、ゲート配線2上に形成した層間絶縁膜13にコンタクトホール31を形成したあと、ステップカバレッジのすぐれたCVD法及び所定のエッチバック法によりコンタクトホール31内にタングステン(W)を埋設する。その後、アルミニューム(Al)等を主成分とする第1コンタクト配線3を形成する。
【0021】
次に、第1コンタクト配線3を被覆する層間絶縁膜15を形成し、その後、その下層にうずもれる第1コンタクト配線3等により生じる層間絶縁膜15の段差をCMP(Chemical Mechanical Polish)法により平坦化する。
【0022】
その後、ビアホール41を形成してから該ビアホール41内を第1コンタクト配線3と接続するタングステン(W)で埋設してから、その上に、アルミニューム(Al)等を主成分とする第2コンタクト配線4を形成する。第2コンタクト配線4を第1コンタクト配線3の直上に形成することができ、全体の面積を小さくすることができる。
【0023】
本実施形態の場合は、CMP法や埋め込みタングステン(W)が必須の微細化レベルではない。もちろん、これらの最先端技術を利用することは可能であるが、廉価なロジック集積回路においては、製造コストはできるだけ抑える必要がある。
【0024】
しかし、本実施形態のデザインルールでも、ホトリソグラフィ工程で解像度と焦点深度という、相対する特性を満たすため、段差部の平坦化は必須である。本実施形態では平坦化技術として一般的なSOG法による段差改善法を採用している。
【0025】
SOG法では図2(A)に示すように、第1コンタクト配線3aがコンタクトホール31の中心領域で窪み部を有する場合、SOG層17が第1コンタクト配線3a上に堆積された層間絶縁膜15に生じた窪み部を埋設する。
【0026】
SOG層17はその後の熱処理で固化するがその膜質は層間絶縁膜15の膜質に比べて粗でありこの部分にビアホール41を精度よく形成するのは困難である。SOG層17のエッチング速度が大きくビアホール41の開口径が大きくならざるを得ないからである。
【0027】
係る問題に対処するため、本実施形態では、第1コンタクト配線3の直上の層間絶縁膜15にビアホール41を形成することを回避して、第1コンタクト配線3の一部ではあるが層間絶縁膜15上に広く延在する第1コンタクト配線引き出し部33を形成し、該第1コンタクト配線引き出し部33上にビアホール41を形成している。当該部分のビアホール41を介して、第1コンタクト配線引き出し部33と接続する第2コンタクト配線4を形成している。
【0028】
第1コンタクト配線3と第2コンタクト配線4とは、図1に示すように、大小の略正方形の形状で概略逆L字形状を呈し隣接する。もちろん、前述の如く、第2コンタクト配線4の直下には第1コンタクト配線3の一部である第1コンタクト配線引き出し部33が、第2コンタクト配線4と略同等の面積で重畳している。逆L字形状の一対の第1コンタクト配線3と第2コンタクト配線4で構成される端子部を入力端子と呼ぶ。
【0029】
次に、本実施形態の特徴を明確にするため比較例と対比して各入力端子部(第1コンタクト配線3aと第2コンタクト配線4aで構成される入力端子を入力端子34a、以下同様)のセル内での配置態様について以下に説明する。
【0030】
比較例においては、図3に示すように、各入力端子34a〜34hの全てがスタンダードセルの短辺に平行方向(Y方向)で、且つ長辺に平行方向(X方向)に近接して配置される。この場合、各入力端子の逆L字形状の出っ張り部分が隣同士にならないように配置して半導体基板11の有効活用を図っている。たとえば、入力端子34aと入力端子34bは、出っ張り部の第2コンタクト配線4aと第2コンタクト配線4bが隣同士にならないように配置している。
【0031】
入力端子34の数が少ない内は、これでも半導体装置の縮小効果が大きかったがスタンダードセルの機能の増大と共に入力端子34の数が増え、それに対応する適切な入力端子34の配置が原価低減に必須のテーマとなる。図1に示す本実施形態では、入力端子34の一部をスタンダードセルの長辺に平行方向(X方向)で、且つ短辺に平行方向(Y方向)に近接して配置することにより、新たな配線層1fを増設する空き領域を確保している。
【0032】
即ち、入力端子34a、34g、34h、34fはそのままにして入力端子34b、34c、34d、34eの配置を前述の如くスタンダードセルの長辺に平行方向で、且つ短辺に平行方向に近接して配置した。その結果、他の入力端子との関係で互いに間隔の広くなった入力端子34b、34c、34d、34e及び34fを同図で左側に寄せることができ、入力端子34fと入力端子34gの間に新たな配線層1fを形成する空き領域を確保することができる。
【0033】
本実施形態の特徴を入力端子34b、34cに着目して、さらに詳しく説明する。入力端子34bはゲート配線2bに接続され、入力端子34cはゲート配線2cに接続されている。そして、入力端子34b、34cは、X方向に平行に且つY方向に互いに対向する形で近接して配置される。
【0034】
また、入力端子34bの第2コンタクト配線4bは、第1コンタクト配線3bと層間絶縁膜15を介して隣接し、且つ該第1コンタクト配線3bに対してX方向に延在して配置される。入力端子34cの第2コンタクト配線4cは、第1コンタクト配線3cと層間絶縁膜15を介して隣接し、且つ該第1コンタクト配線3cに対して第2コンタクト配線4bとは反対方向となるX方向に延在して配置される。
【0035】
即ち、入力端子34bの第1コンタクト配線3bと入力端子34cの第2コンタクト配線4cとはY方向に互いに対向して配置され、入力端子34bの第2コンタクト配線4bと入力端子34cの第1コンタクト配線3cはY方向に互いに対向して配置されている。入力端子34d、34eの関係についても同様である。
【0036】
図1は本実施形態の一例を示すものであり、入力端子34の数が更に増加すると、更に新しい配線層を増設する空き領域の確保が可能となり、半導体装置の原価低減効果が大きくなる。
【符号の説明】
【0037】
1a〜1f 配線層 2,2a〜2h ゲート配線
3,3a〜3h 第1コンタクト配線 4,4a〜4h 第2コンタクト配線
10 スタンダードセル 11 半導体基板 12絶縁膜
13,15層間絶縁膜 14,16 タングステン(W) 17 SOG層
31 コンタクトホール 33 第1コンタクト配線引き出し部
34,34a〜34h 入力端子 41 ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成され、第1方向に延びた第1及び第2ゲート配線と、
前記第1及び第2ゲート配線上に形成された第1及び第2層間絶縁膜と、
前記第1ゲート配線に接続された第1端子と、
前記第2ゲート配線に接続された第2端子と、を備え、
前記第1端子は、前記第1層間絶縁膜に形成された第1コンタクトホールを介して、前記第1ゲート配線に接続された第1コンタクト配線を、前記第2端子は、前記第1層間絶縁膜に形成された第1コンタクトホールを介して、前記第2ゲート配線に接続された第1コンタクト配線を、また、前記第1端子及び前記第2端子のそれぞれが、前記第2層間絶縁膜に形成された第2コンタクトホールを介して、前記第1コンタクト配線と一体となり前記第1層間絶縁膜上を延在する第1コンタクト配線引き出し部と接続された第2コンタクト配線と、を備え、
前記第2コンタクト配線と同層に形成された複数の配線層と、を具備し、
前記半導体装置の表面に垂直な方向から見て、前記第1及び第2端子は、前記第1方向に垂直である第2方向に互いに平行に且つ近接して配置され、前記第1端子の前記第2コンタクト配線は、該第1端子の前記第1コンタクト配線と層間絶縁膜15を介して隣接し、且つ該第1コンタクト配線に対して第2方向に延在して配置され、前記第2端子の前記第2コンタクト配線は、該第2端子の前記第1コンタクト配線と層間絶縁膜を介して隣接し、且つ該第1コンタクト配線に対して前記第1端子の第2コンタクト配線とは反対方向となる第2方向に延在して配置されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1端子の前記第1コンタクト配線と前記第2端子の前記第2コンタクト配線とは互いに対向して配置され、前記第1の端子の前記第2コンタクト配線と前記第2端子の前記第1コンタクト配線は互いに対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1コンタクト配線と前記第2コンタクト配線のそれぞれの形状が略正方形の形状で、該第1コンタクト配線より該第2コンタクト配線の面積が大きいことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体装置の表面に垂直な方向から見て、前記第1及び第2端子を前記第1方向に互いに平行に対向して配置した場合に比し、前記第2方向に空き領域を確保することができ、該空き領域に新たな前記配線層を増設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−129435(P2012−129435A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281255(P2010−281255)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】