半導体記憶装置
【課題】隣接セルとの容量を低減し、カップリング比を向上させる。
【解決手段】半導体記憶装置は、半導体基板101と、前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜103と、前記第1の絶縁膜間にビット線方向に沿って設けられた素子分離領域102と、前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜104a、前記第1の電荷蓄積膜上に設けられ、ワード線方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭い第2の電荷蓄積膜104b、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、ワード線方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜104cを有する電荷蓄積層104と、前記第2の電荷蓄積膜と前記素子分離領域との間に設けられた第2の絶縁膜107と、前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第3の絶縁膜105と、前記第3の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極106と、を備える。
【解決手段】半導体記憶装置は、半導体基板101と、前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜103と、前記第1の絶縁膜間にビット線方向に沿って設けられた素子分離領域102と、前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜104a、前記第1の電荷蓄積膜上に設けられ、ワード線方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭い第2の電荷蓄積膜104b、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、ワード線方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜104cを有する電荷蓄積層104と、前記第2の電荷蓄積膜と前記素子分離領域との間に設けられた第2の絶縁膜107と、前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第3の絶縁膜105と、前記第3の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極106と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリセルでは、微細化に伴いカップリング比が低下し、動作電圧が増加するという問題があった。このような問題を解決するため、複数の第1の導電膜と複数の第2の導電膜とが交互に積層され、側壁が凹凸形態となっているフローティングゲートと、このフローティングゲートの上部及び凹凸形態の側壁上に配置された制御ゲート電極とを備えたNAND型フラッシュメモリセルが提案されている(例えば特許文献1参照)。このような構成にすることで、フローティングゲート及び制御ゲート電極が重畳される面積が増加し、フローティングゲートと制御ゲート電極との間の静電容量が増加して、カップリング比を増加させることができる。
【0003】
微細化に伴いセルサイズが、制御ゲート電極とフローティングゲートとの間の絶縁膜の膜厚の2倍程度となるため、制御ゲート電極をフローティングゲートの側面に形成することは困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−207695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、隣接セルとの容量を低減でき、カップリング比を向上させることができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による半導体記憶装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭い第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、前記第2の電荷蓄積膜上であって、前記第2の電荷蓄積膜と前記素子分離領域との間に設けられた第2の絶縁膜と、前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第3の絶縁膜と、前記第3の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、を備えるものである。
【0007】
本発明の一態様による半導体記憶装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭く、前記素子分離領域との間に空洞部を形成するように前記第1の電荷蓄積膜上に設けられた第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、隣接セルとの容量を低減でき、カップリング比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図2】同第1の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図3】第2の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図4】同第2の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図5】第3の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図6】同第3の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図7】第5の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図8】第6の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図9】第7の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図10】同第7の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図11】同第7の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)図1(a)に本発明の第1の実施形態に係る半導体記憶装置の上面を示す。半導体記憶装置は第1の方向に沿って所定間隔をもって形成された複数のビットラインBLと、第1の方向に直交する第2の方向に沿って所定間隔をもって形成された複数のワードラインWLと、を有する。ワードラインWLとビットラインBLの各交点に対応してメモリセルが形成され、交点部分はメモリセルのゲート電極となる。
【0012】
半導体装置のワードラインWL方向の(図1(a)に示すA−A線に沿う)断面の一部を図1(b)に示す。半導体基板(半導体層)101には所定間隔をもって複数の埋め込み型の素子分離領域102が形成される。素子分離領域102は例えばシリコン酸化膜である。
【0013】
素子分離領域102の間の半導体基板101上にはトンネル絶縁膜103が形成される。トンネル絶縁膜103は例えばシリコン酸化膜である。トンネル絶縁膜103上には上面の高さが素子分離領域102の上面と同じ高さのフローティングゲート電極(電荷蓄積層)104が形成される。
【0014】
フローティングゲート電極104は、順に積層された第1の電荷蓄積膜104a、第2の電荷蓄積膜104b、及び第3の電荷蓄積膜104cを有する。第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cのワードライン方向の幅L1は、第2の電荷蓄積膜104bのワードライン方向の幅L2よりも大きくなっている。また、第2の電荷蓄積膜104bと素子分離領域102との間には絶縁膜107が設けられている。
【0015】
第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cは例えばポリシリコンであり、第2の電荷蓄積膜104bは例えばTaNである。また、絶縁膜107は第2の電荷蓄積膜104bを形成する材料が酸化されたものとなっている。
【0016】
フローティングゲート電極104及び素子分離領域102の上にインターポリ絶縁膜105が形成されている。インターポリ絶縁膜105は例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜である。
【0017】
インターポリ絶縁膜105の上にはコントロールゲート電極106が形成されている。コントロールゲート電極106は例えばポリシリコンである。また、ポリシリコンの上部がCo、Ni、Al、Ptなどによりシリサイド化されていてもよい。
【0018】
半導体記憶装置のビットライン方向の(図1に示すB−B線に沿う)断面の一部を図1(c)に示す。図1(c)から分かるようにビットライン方向の断面構成は公知の構成と同様である。半導体基板101表面部分には所定間隔をもって不純物拡散層108が形成される。不純物拡散層108間の半導体基板101上にはトンネル絶縁膜103、フローティングゲート電極104、インターポリ絶縁膜105、コントロールゲート電極106が順に積層されている。
【0019】
拡散層108上にはメモリセル間を埋め込むように絶縁膜109が形成される。絶縁膜109は例えばシリコン酸化膜である。
【0020】
このように、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ワードラインWL方向に沿って見ると、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L2が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)、上部(第3の電荷蓄積膜104c)、トンネル絶縁膜103の幅L1より狭くなっている。これにより、ワードラインWL方向に隣接するセルのフローティングゲート電極104間の距離d1を長くとることができ、フローティングゲート電極104間の容量を低減できる。
【0021】
各メモリセルのカップリング比Crは以下の式で表される。
【数1】
【0022】
ここで、Cipdはフローティングゲート電極104とコントロールゲート電極106との間、すなわちインターポリ絶縁膜105における容量を示す。また、Coxはフローティングゲート電極104と半導体基板101との間、すなわちトンネル絶縁膜103における容量を示す。
【0023】
また、Cneighborは、隣接セルとの容量を示す。隣接セルとの容量は、隣接するセルのフローティングゲート電極104間の容量を含む。
【0024】
上述したように、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ワードラインWL方向に隣接するセルの間の容量Cneighborを低減できるため、カップリング比Crを増加させることができる。カップリング比Crが増加することで動作電圧を低くでき、装置性能を向上できる。また、隣接セルから受ける影響が抑制される。
【0025】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を図2に示す工程断面図を用いて説明する。工程断面図は第2の方向(ワードラインWL方向)に沿った垂直断面を示している。
【0026】
まず、図2(a)に示すように、半導体基板101上に熱酸化により厚さ5〜10nmの例えばシリコン酸化膜からなるトンネル絶縁膜103を堆積する。その上に化学気相成長(CVD)法により厚さ20nmの例えばポリシリコンからなる第1の電荷蓄積膜104a、厚さ30nmの例えばTaNからなる第2の電荷蓄積膜104b、厚さ20nmの例えばポリシリコンからなる第3の電荷蓄積膜104cを順に堆積する。
【0027】
続いて、図2(b)に示すように、第3の電荷蓄積膜104c上に素子分離領域形成用のマスク110を、所定間隔を空けて第1の方向に沿って形成する。そして、マスク110に基づいて、第3の電荷蓄積膜104c、第2の電荷蓄積膜104b、第1の電荷蓄積膜104a、トンネル絶縁膜103、及び半導体基板101をRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりエッチングして複数の溝111を形成する。
【0028】
続いて、図2(c)に示すように、溝111の側面及び底面を覆うようにシリコン酸化膜102aを形成する。そして、シリコン酸化膜102aを介して電荷蓄積膜104a〜cに酸化剤(O2)が到達するような条件で後酸化処理を行う。
【0029】
第2の電荷蓄積膜104bであるTaNは、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cであるポリシリコンよりも酸化速度が速い。そのため、第2の電荷蓄積膜104bの両端部が絶縁膜107となる。
【0030】
このようにして、図1(b)に示すような、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)及び上部(第3の電荷蓄積膜104c)の幅より狭くなっている構造を形成することができる。
【0031】
その後の工程は公知の半導体記憶装置の製造工程と同様であり、図示を省略する。簡単に説明すると、まず、溝111にシリコン酸化膜等を埋め込んで、素子分離領域102を形成する。次に、CMP(化学的機械研磨)等によりマスク110を除去して、インターポリ絶縁膜105を形成し、さらにその上に例えばポリシリコンからなるコントロールゲート電極106を形成する。
【0032】
次に、所定間隔を空けて第2の方向に沿ってコントロールゲート電極106、インターポリ絶縁膜105、フローティングゲート電極104、(及びトンネル絶縁膜103)をRIE等で除去して複数の溝を形成する。これによりワードラインが形成される。その後、リンなどの不純物をイオン注入し熱処理を行うことで拡散層108を形成する。次に、前記溝を埋め込むようにCVD法により例えばシリコン酸化膜を堆積して絶縁膜109を形成する。さらに、コントロールゲート電極106のシリサイド化を行ってもよい。
【0033】
このようにして形成された半導体記憶装置は、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、その上下部分の幅より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。そのため、各メモリセルのカップリング比を実効的に増加させることができ、動作電圧が低くなり、装置性能を向上できる。
【0034】
上記第1の実施形態に係る半導体記憶装置では、フローティングゲート電極104の膜厚に対して、第2の電荷蓄積膜104bの膜厚が占める割合が大きい程、カップリング比を増加させられる。隣接セルとの容量をより低減できるためである。
【0035】
また、上記第1の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bの材料としてTaNを用いていたが、例えばSiGeでもよい。第2の電荷蓄積膜104bにSiGeを用いた場合、シリコン酸化膜102aの形成時に熱酸化を行うと、SiGeの酸化速度が速いためSiGeが酸化され、絶縁膜107を形成できる。
【0036】
(第2の実施形態)図3に本発明の第2の実施形態に係る半導体記憶装置のワードラインWL方向(図1(a)に示すA−A線に沿う)断面の一部を示す。図1(b)に示す上記第1の実施形態と同様の部分については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0037】
上記第1の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bと素子分離領域102との間に位置する絶縁膜107は、第2の電荷蓄積膜104bを形成する材料が酸化されたものであったが、本実施形態では、素子分離領域102と同じ材料になっている。
【0038】
このような構成でも、上記第1の実施形態と同様に、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、その上下部分の幅より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。
【0039】
本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を図4に示す工程断面図を用いて説明する。なお、溝111を形成するところまでは上記第1の実施形態(図2(a)、(b))と同様であるため、説明を省略する。但し、第2の電荷蓄積膜104bにはSiGeを用いるものとする。
【0040】
図4(a)に示すように、ウェットエッチングを行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去する。SiGeはポリシリコンよりもウェットエッチング速度が速いため、第2の電荷蓄積膜104bの幅は、第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cの幅より狭くなる。
【0041】
続いて、図4(b)に示すように、溝111を埋め込むようにシリコン酸化膜を堆積し、素子分離領域102を形成する。これにより、第2の電荷蓄積膜104bの側部(第1の電荷蓄積膜104aと第3の電荷蓄積膜104との間)が埋め込まれる。
【0042】
その後の工程は上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
このような製造方法によっても、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、その上下部分の幅より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量が低減された半導体記憶装置を製造することができる。
【0044】
(第3の実施形態)本発明の第3の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。上記第1、第2の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bのワードラインWL方向の幅が、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cの幅より狭くなっている構造について説明したが、本実施形態は、第2の電荷蓄積膜104bのビットラインBL方向の幅も、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cの幅より狭くなっている。
【0045】
図5(a)にビットラインBL方向(図1(a)に示すB−B線に沿う)断面の一部を示す。半導体基板101表面部分には所定間隔をもって不純物拡散層108が形成される。不純物拡散層108間の半導体基板101上にはトンネル絶縁膜103、フローティングゲート電極104、インターポリ絶縁膜105、コントロールゲート電極106が順に積層されている。拡散層108上にはメモリセル間を埋め込むように絶縁膜109が形成される。絶縁膜109は例えばシリコン酸化膜である。
【0046】
フローティングゲート電極104は、順に積層された第1の電荷蓄積膜104a、第2の電荷蓄積膜104b、及び第3の電荷蓄積膜104cを有する。第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cのビットライン方向の幅L3は、第2の電荷蓄積膜104bのビットライン方向の幅L4よりも広くなっている。また、第2の電荷蓄積膜104bと絶縁膜109との間には絶縁膜120が設けられている。
【0047】
第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cは例えばポリシリコンであり、第2の電荷蓄積膜104bは例えばTaNである。また、絶縁膜120は第2の電荷蓄積膜104bを形成する材料が酸化されたものとなっている。
【0048】
このように、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ビットラインBL方向に沿って見ると、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)、上部(第3の電荷蓄積膜104c)の幅L3より小さくなっている。これにより、ビットラインBL方向に隣接するセルのフローティングゲート電極104間の距離d2を長くとることができ、フローティングゲート電極104間の容量を低減できる。
【0049】
また、フローティングゲート電極104と、隣接するセルのコントロールゲート電極106との間の距離d3を長くとることができ、この間に発生する容量を低減できる。
【0050】
上述した数式1における容量Cneighborは、これらの容量を含むものである。従って、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ビットライン方向に隣接するセルの間の容量Cneighborを低減できるため、カップリング比Crをさらに増加させることができる。そのため、動作電圧をさらに低くでき、装置性能をより向上させることができる。
【0051】
なお、図5(b)、(c)は図5(a)におけるC−C線での水平方向の断面の例を示す。第2の電荷蓄積膜104bの形状は、製造方法によって異なる。
【0052】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を図6に示す工程断面図を用いて説明する。インターポリ絶縁膜105及びコントロールゲート電極106を形成する工程までは上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。工程断面図は第1の方向(ビットラインBL方向)に沿った垂直断面を示している。
【0053】
図6(a)に示すように、コントロールゲート電極106上に、所定間隔を空けて第2の方向に沿ったワードライン形成用のマスク130を形成する。そして、マスク130に基づいて、コントロールゲート電極106、インターポリ絶縁膜105、フローティングゲート電極104、(及びトンネル絶縁膜103)をRIE等で除去して複数の溝131を形成する。これによりワードラインが形成される。その後、リンなどの不純物を半導体基板101にイオン注入し熱処理を行うことで拡散層108を形成する。
【0054】
次に、図6(b)に示すように、溝131の側面及び底面を覆うようにシリコン酸化膜109aを形成する。そして、シリコン酸化膜109aを介して電荷蓄積膜104a〜cに酸化剤(O2)が到達するような条件で後酸化処理を行う。
【0055】
第2の電荷蓄積膜104bであるTaNは、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cであるポリシリコンよりも酸化速度が速い。そのため、第2の電荷蓄積膜104bの両端部が絶縁膜120となる。
【0056】
このようにして、図5(a)に示すような、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)及び上部(第3の電荷蓄積膜104c)の幅L3より狭くなっている構造を形成することができる。
【0057】
その後の工程は公知の製造方法と同様であり図示を省略する。例えば、溝131を埋め込むようにCVD法により例えばシリコン酸化膜を堆積して絶縁膜109を形成する。
【0058】
このようにして形成された半導体記憶装置は、ビットライン方向BLの断面でみて、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、その上下部分の幅L3より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。そのため、各メモリセルのカップリング比を実効的に増加させることができ、動作電圧が低くなり、装置性能を向上できる。
【0059】
上記第3の実施形態は、第2の電荷蓄積膜104bの幅がワードラインWL方向及びビットラインBL方向の両方において、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cの幅より狭くなっていたが、図2(c)に示す酸化処理は行わないで、ビットラインBL方向の幅のみ狭い構成となるようにしてもよい。
【0060】
(第4の実施形態)上記第3の実施形態において、第2の電荷蓄積膜104bに例えばSiGeを用いて、溝131の形成後に、ウェットエッチング処理を行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去してもよい。SiGeはポリシリコンよりもウェットエッチング速度が速いため、第2の電荷蓄積膜104bの幅は、第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cの幅より狭くなる。
【0061】
そして、溝131を埋め込むようにシリコン酸化膜を形成して絶縁膜109を形成する。この時、第2の電荷蓄積膜104bの側部(第1の電荷蓄積膜104aと第3の電荷蓄積膜104との間)が埋め込まれる。
【0062】
これにより図5に示す絶縁膜120の部分にも絶縁膜109が形成された構成の半導体記憶装置が製造される。このような構成であっても上記第3の実施形態と同様に、ビットライン方向BLの断面でみて、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、その上下部分の幅L3より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量が低減された半導体記憶装置となる。
【0063】
(第5の実施形態)上記第1、第2の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bのワードラインWL方向の両側部に絶縁膜(107、104)が設けられていたが、本実施形態では、図7(a)に示すように空洞150が設けられている。空洞150の方が絶縁膜よりも誘電率が低いため、隣接セル間の距離が拡がるのと同様の効果が得られ、隣接セルとの容量をさらに低減できる。従って、各メモリセルのカップリング比をさらに増加させることができ、装置性能をさらに向上できる。
【0064】
このような半導体記憶装置は、図4(a)に示すように、ウェットエッチングを行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去した後に、塗布等を用いてシリコン酸化膜の堆積を行い、素子分離領域102を形成する。塗布により粘度が高く埋め込み性の悪い(良くない)半液体状のシリコン酸化膜を堆積させるため、第2の電荷蓄積膜104bが除去された領域にシリコン酸化膜が入り込まず、空洞150とすることができる。半液体状のシリコン酸化膜はその後、アニールにより焼き固める。
【0065】
このようにして、第2の電荷蓄積膜104bと素子分離領域102との間に空洞150を有する構造を形成することができる。
【0066】
同様の方法を上記第4の実施形態において第2の電荷蓄積膜104bのビットラインBL方向の両側部を除去した後に適用してもよい。これにより、図7(b)に示すように、第2の電荷蓄積膜104bと絶縁膜109との間に空洞151を有する構造を形成することができる。
【0067】
図7(b)に示す構造においても、空洞151により隣接セル間の距離が拡がるのと同様の効果が得られ、隣接セルとの容量をさらに低減できる。従って、各メモリセルのカップリング比をさらに増加させることができ、装置性能をさらに向上できる。
【0068】
(第6の実施形態)上記第1〜第5の実施形態では、フローティングゲート電極104は第1〜第3の電荷蓄積膜104a〜cを有し、高さ方向中央部分の第2の電荷蓄積膜104bの幅を狭くしていたが、幅の広い電荷蓄積膜と幅の狭い電荷蓄積膜を交互に複数設けてもよい。このような構成の一例を図8に示す。図8(a)はワードラインWL方向に沿った縦断面を示し、図8(b)はビットラインBL方向に沿った縦断面を示す。
【0069】
フローティングゲート電極104は奇数個の電荷蓄積膜が積層され、下から奇数番目が幅の広い電荷蓄積膜、偶数番目が幅の狭い電荷蓄積膜となる。下から2k(kは1以上の整数)番目の電荷蓄積膜の側部(2k−1番目の電荷蓄積膜と2k+1番目の電荷蓄積膜とに挟まれた領域)には絶縁膜(102、109)が設けられている。
【0070】
このような構造によっても、上記実施形態と同様に、幅の狭い電荷蓄積膜によって隣接セルとの距離を長くとることができ、隣接セルとの容量が低減された半導体記憶装置となる。
【0071】
(第7の実施形態)図9に本発明の第7の実施形態に係る半導体記憶装置の概略構成を示す。図9はワードラインWL方向の(図1(a)に示すA−A線に沿う)断面を示している。図3に示す上記第2の実施形態と同様の部分については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0072】
フローティングゲート電極704は、順に積層された第1の電荷蓄積膜704a、第2の電荷蓄積膜704b、及び第3の電荷蓄積膜704cを有する。第1の電荷蓄積膜704a及び第3の電荷蓄積膜704cは例えばポリシリコンであり、第2の電荷蓄積膜704bはTaNやSiGe等である。
【0073】
第1の電荷蓄積膜704aの幅をL11、第2の電荷蓄積膜704bの幅をL12、第3の電荷蓄積膜104cの幅をL13とした場合、L12<L11<L13という関係になっている。
【0074】
上記第1、第2の実施形態と同様に、フローティングゲート電極704の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜704b)の幅L12を、フローティングゲート電極704の下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L11、上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13より狭くすることで、ワードラインWL方向に隣接するセルのフローティングゲート電極704間の距離を長くとることができ、フローティングゲート電極704間の容量を低減できる。従って、カップリング比を増加させることができ、装置性能を向上できる。
【0075】
また、本実施形態では、フローティングゲート電極704の上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13が、下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L13より広くなっている。これにより、制御ゲート電極と対向する面積を増加させ、カップリング比をさらに増加させることができる。
【0076】
このような半導体記憶装置の製造方法を図10及び図11に示す工程断面図を用いて説明する。工程断面図はワードラインWL方向の(図1(a)に示すA−A線に沿う)垂直断面を示している。
【0077】
まず、図10(a)に示すように、半導体基板101上に熱酸化により厚さ5〜10nmの例えばシリコン酸化膜からなるトンネル絶縁膜103を堆積する。その上にCVD法により厚さ20nmの例えばポリシリコンからなる第1の電荷蓄積膜704a、厚さ30nmの例えばSiGeからなる第2の電荷蓄積膜704b、厚さ20nmの例えばシリコン窒化膜からなる犠牲膜710を順に堆積する。
【0078】
図10(b)に示すように、犠牲膜710上に素子分離領域形成用のマスク711を、所定間隔を空けて上記第1の方向に沿って形成する。そして、マスク711に基づいて、犠牲膜710、第2の電荷蓄積膜704b、第1の電荷蓄積膜704a、トンネル絶縁膜103、及び半導体基板101をRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりエッチングして複数の溝720を形成する。
【0079】
図10(c)に示すように、ウェットエッチング処理を行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去する。SiGeはポリシリコンよりもウェットエッチング速度が速いため、第2の電荷蓄積膜704bの幅は、第1の電荷蓄積膜704a及び犠牲膜710の幅より狭くなる。
【0080】
図11(a)に示すように、溝720を埋め込むようにシリコン酸化膜を堆積し、CMP等によりマスク711を除去して、素子分離領域102を形成する。この時、第2の電荷蓄積膜704bの側部も埋め込まれる。
【0081】
図11(b)に示すように、ウェットエッチングを用いて、犠牲膜710を除去する。
【0082】
図11(c)に示すように、ウェットエッチングを用いて、犠牲膜710が除去された領域721の幅を広げる。
【0083】
図11(d)に示すように、CVD法などにより領域721にポリシリコンを埋め込み、第3の電荷蓄積膜704cを形成する。
【0084】
このようにして、図9に示すような、フローティングゲート電極704の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜704b)の幅L12が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L11及び上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13より小さくなっている構造を形成することができる。また、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L11が、上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13より小さくなってもいる。
【0085】
その後の工程は上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
このようにして形成された半導体記憶装置は、フローティングゲート電極704の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜704b)の幅が狭くなっているため、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。そのため、各メモリセルのカップリング比を実効的に増加させることができ、動作電圧が低くなり、装置性能を向上できる。
【0087】
上記第1〜第7の実施形態では、半導体基板101にSOI基板を用いてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、素子分離領域102とフローティングゲート電極104との上面の高さを同一にしていたが、素子分離領域102の上面の高さをフローティングゲート電極104の上面の高さより低くし、コントロールゲート電極106をフローティングゲート電極104間に落とし込んだ構造にしてもよい。各メモリセルにおいて、フローティングゲート電極104とコントロールゲート電極106の間の静電容量を増加させ、カップリング比を大きくすることができる。
【0089】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
101 半導体基板、102 素子分離領域、103 トンネル絶縁膜、104 フローティングゲート電極、105 インターポリ絶縁膜、106 フローティングゲート電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリセルでは、微細化に伴いカップリング比が低下し、動作電圧が増加するという問題があった。このような問題を解決するため、複数の第1の導電膜と複数の第2の導電膜とが交互に積層され、側壁が凹凸形態となっているフローティングゲートと、このフローティングゲートの上部及び凹凸形態の側壁上に配置された制御ゲート電極とを備えたNAND型フラッシュメモリセルが提案されている(例えば特許文献1参照)。このような構成にすることで、フローティングゲート及び制御ゲート電極が重畳される面積が増加し、フローティングゲートと制御ゲート電極との間の静電容量が増加して、カップリング比を増加させることができる。
【0003】
微細化に伴いセルサイズが、制御ゲート電極とフローティングゲートとの間の絶縁膜の膜厚の2倍程度となるため、制御ゲート電極をフローティングゲートの側面に形成することは困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−207695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、隣接セルとの容量を低減でき、カップリング比を向上させることができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による半導体記憶装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭い第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、前記第2の電荷蓄積膜上であって、前記第2の電荷蓄積膜と前記素子分離領域との間に設けられた第2の絶縁膜と、前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第3の絶縁膜と、前記第3の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、を備えるものである。
【0007】
本発明の一態様による半導体記憶装置は、半導体基板と、前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭く、前記素子分離領域との間に空洞部を形成するように前記第1の電荷蓄積膜上に設けられた第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、隣接セルとの容量を低減でき、カップリング比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図2】同第1の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図3】第2の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図4】同第2の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図5】第3の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図6】同第3の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図7】第5の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図8】第6の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図9】第7の実施形態に係る半導体記憶装置の概略図。
【図10】同第7の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【図11】同第7の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明する工程断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施形態)図1(a)に本発明の第1の実施形態に係る半導体記憶装置の上面を示す。半導体記憶装置は第1の方向に沿って所定間隔をもって形成された複数のビットラインBLと、第1の方向に直交する第2の方向に沿って所定間隔をもって形成された複数のワードラインWLと、を有する。ワードラインWLとビットラインBLの各交点に対応してメモリセルが形成され、交点部分はメモリセルのゲート電極となる。
【0012】
半導体装置のワードラインWL方向の(図1(a)に示すA−A線に沿う)断面の一部を図1(b)に示す。半導体基板(半導体層)101には所定間隔をもって複数の埋め込み型の素子分離領域102が形成される。素子分離領域102は例えばシリコン酸化膜である。
【0013】
素子分離領域102の間の半導体基板101上にはトンネル絶縁膜103が形成される。トンネル絶縁膜103は例えばシリコン酸化膜である。トンネル絶縁膜103上には上面の高さが素子分離領域102の上面と同じ高さのフローティングゲート電極(電荷蓄積層)104が形成される。
【0014】
フローティングゲート電極104は、順に積層された第1の電荷蓄積膜104a、第2の電荷蓄積膜104b、及び第3の電荷蓄積膜104cを有する。第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cのワードライン方向の幅L1は、第2の電荷蓄積膜104bのワードライン方向の幅L2よりも大きくなっている。また、第2の電荷蓄積膜104bと素子分離領域102との間には絶縁膜107が設けられている。
【0015】
第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cは例えばポリシリコンであり、第2の電荷蓄積膜104bは例えばTaNである。また、絶縁膜107は第2の電荷蓄積膜104bを形成する材料が酸化されたものとなっている。
【0016】
フローティングゲート電極104及び素子分離領域102の上にインターポリ絶縁膜105が形成されている。インターポリ絶縁膜105は例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜である。
【0017】
インターポリ絶縁膜105の上にはコントロールゲート電極106が形成されている。コントロールゲート電極106は例えばポリシリコンである。また、ポリシリコンの上部がCo、Ni、Al、Ptなどによりシリサイド化されていてもよい。
【0018】
半導体記憶装置のビットライン方向の(図1に示すB−B線に沿う)断面の一部を図1(c)に示す。図1(c)から分かるようにビットライン方向の断面構成は公知の構成と同様である。半導体基板101表面部分には所定間隔をもって不純物拡散層108が形成される。不純物拡散層108間の半導体基板101上にはトンネル絶縁膜103、フローティングゲート電極104、インターポリ絶縁膜105、コントロールゲート電極106が順に積層されている。
【0019】
拡散層108上にはメモリセル間を埋め込むように絶縁膜109が形成される。絶縁膜109は例えばシリコン酸化膜である。
【0020】
このように、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ワードラインWL方向に沿って見ると、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L2が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)、上部(第3の電荷蓄積膜104c)、トンネル絶縁膜103の幅L1より狭くなっている。これにより、ワードラインWL方向に隣接するセルのフローティングゲート電極104間の距離d1を長くとることができ、フローティングゲート電極104間の容量を低減できる。
【0021】
各メモリセルのカップリング比Crは以下の式で表される。
【数1】
【0022】
ここで、Cipdはフローティングゲート電極104とコントロールゲート電極106との間、すなわちインターポリ絶縁膜105における容量を示す。また、Coxはフローティングゲート電極104と半導体基板101との間、すなわちトンネル絶縁膜103における容量を示す。
【0023】
また、Cneighborは、隣接セルとの容量を示す。隣接セルとの容量は、隣接するセルのフローティングゲート電極104間の容量を含む。
【0024】
上述したように、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ワードラインWL方向に隣接するセルの間の容量Cneighborを低減できるため、カップリング比Crを増加させることができる。カップリング比Crが増加することで動作電圧を低くでき、装置性能を向上できる。また、隣接セルから受ける影響が抑制される。
【0025】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を図2に示す工程断面図を用いて説明する。工程断面図は第2の方向(ワードラインWL方向)に沿った垂直断面を示している。
【0026】
まず、図2(a)に示すように、半導体基板101上に熱酸化により厚さ5〜10nmの例えばシリコン酸化膜からなるトンネル絶縁膜103を堆積する。その上に化学気相成長(CVD)法により厚さ20nmの例えばポリシリコンからなる第1の電荷蓄積膜104a、厚さ30nmの例えばTaNからなる第2の電荷蓄積膜104b、厚さ20nmの例えばポリシリコンからなる第3の電荷蓄積膜104cを順に堆積する。
【0027】
続いて、図2(b)に示すように、第3の電荷蓄積膜104c上に素子分離領域形成用のマスク110を、所定間隔を空けて第1の方向に沿って形成する。そして、マスク110に基づいて、第3の電荷蓄積膜104c、第2の電荷蓄積膜104b、第1の電荷蓄積膜104a、トンネル絶縁膜103、及び半導体基板101をRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりエッチングして複数の溝111を形成する。
【0028】
続いて、図2(c)に示すように、溝111の側面及び底面を覆うようにシリコン酸化膜102aを形成する。そして、シリコン酸化膜102aを介して電荷蓄積膜104a〜cに酸化剤(O2)が到達するような条件で後酸化処理を行う。
【0029】
第2の電荷蓄積膜104bであるTaNは、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cであるポリシリコンよりも酸化速度が速い。そのため、第2の電荷蓄積膜104bの両端部が絶縁膜107となる。
【0030】
このようにして、図1(b)に示すような、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)及び上部(第3の電荷蓄積膜104c)の幅より狭くなっている構造を形成することができる。
【0031】
その後の工程は公知の半導体記憶装置の製造工程と同様であり、図示を省略する。簡単に説明すると、まず、溝111にシリコン酸化膜等を埋め込んで、素子分離領域102を形成する。次に、CMP(化学的機械研磨)等によりマスク110を除去して、インターポリ絶縁膜105を形成し、さらにその上に例えばポリシリコンからなるコントロールゲート電極106を形成する。
【0032】
次に、所定間隔を空けて第2の方向に沿ってコントロールゲート電極106、インターポリ絶縁膜105、フローティングゲート電極104、(及びトンネル絶縁膜103)をRIE等で除去して複数の溝を形成する。これによりワードラインが形成される。その後、リンなどの不純物をイオン注入し熱処理を行うことで拡散層108を形成する。次に、前記溝を埋め込むようにCVD法により例えばシリコン酸化膜を堆積して絶縁膜109を形成する。さらに、コントロールゲート電極106のシリサイド化を行ってもよい。
【0033】
このようにして形成された半導体記憶装置は、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、その上下部分の幅より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。そのため、各メモリセルのカップリング比を実効的に増加させることができ、動作電圧が低くなり、装置性能を向上できる。
【0034】
上記第1の実施形態に係る半導体記憶装置では、フローティングゲート電極104の膜厚に対して、第2の電荷蓄積膜104bの膜厚が占める割合が大きい程、カップリング比を増加させられる。隣接セルとの容量をより低減できるためである。
【0035】
また、上記第1の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bの材料としてTaNを用いていたが、例えばSiGeでもよい。第2の電荷蓄積膜104bにSiGeを用いた場合、シリコン酸化膜102aの形成時に熱酸化を行うと、SiGeの酸化速度が速いためSiGeが酸化され、絶縁膜107を形成できる。
【0036】
(第2の実施形態)図3に本発明の第2の実施形態に係る半導体記憶装置のワードラインWL方向(図1(a)に示すA−A線に沿う)断面の一部を示す。図1(b)に示す上記第1の実施形態と同様の部分については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0037】
上記第1の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bと素子分離領域102との間に位置する絶縁膜107は、第2の電荷蓄積膜104bを形成する材料が酸化されたものであったが、本実施形態では、素子分離領域102と同じ材料になっている。
【0038】
このような構成でも、上記第1の実施形態と同様に、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、その上下部分の幅より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。
【0039】
本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を図4に示す工程断面図を用いて説明する。なお、溝111を形成するところまでは上記第1の実施形態(図2(a)、(b))と同様であるため、説明を省略する。但し、第2の電荷蓄積膜104bにはSiGeを用いるものとする。
【0040】
図4(a)に示すように、ウェットエッチングを行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去する。SiGeはポリシリコンよりもウェットエッチング速度が速いため、第2の電荷蓄積膜104bの幅は、第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cの幅より狭くなる。
【0041】
続いて、図4(b)に示すように、溝111を埋め込むようにシリコン酸化膜を堆積し、素子分離領域102を形成する。これにより、第2の電荷蓄積膜104bの側部(第1の電荷蓄積膜104aと第3の電荷蓄積膜104との間)が埋め込まれる。
【0042】
その後の工程は上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
このような製造方法によっても、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅が、その上下部分の幅より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量が低減された半導体記憶装置を製造することができる。
【0044】
(第3の実施形態)本発明の第3の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。上記第1、第2の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bのワードラインWL方向の幅が、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cの幅より狭くなっている構造について説明したが、本実施形態は、第2の電荷蓄積膜104bのビットラインBL方向の幅も、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cの幅より狭くなっている。
【0045】
図5(a)にビットラインBL方向(図1(a)に示すB−B線に沿う)断面の一部を示す。半導体基板101表面部分には所定間隔をもって不純物拡散層108が形成される。不純物拡散層108間の半導体基板101上にはトンネル絶縁膜103、フローティングゲート電極104、インターポリ絶縁膜105、コントロールゲート電極106が順に積層されている。拡散層108上にはメモリセル間を埋め込むように絶縁膜109が形成される。絶縁膜109は例えばシリコン酸化膜である。
【0046】
フローティングゲート電極104は、順に積層された第1の電荷蓄積膜104a、第2の電荷蓄積膜104b、及び第3の電荷蓄積膜104cを有する。第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cのビットライン方向の幅L3は、第2の電荷蓄積膜104bのビットライン方向の幅L4よりも広くなっている。また、第2の電荷蓄積膜104bと絶縁膜109との間には絶縁膜120が設けられている。
【0047】
第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cは例えばポリシリコンであり、第2の電荷蓄積膜104bは例えばTaNである。また、絶縁膜120は第2の電荷蓄積膜104bを形成する材料が酸化されたものとなっている。
【0048】
このように、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ビットラインBL方向に沿って見ると、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)、上部(第3の電荷蓄積膜104c)の幅L3より小さくなっている。これにより、ビットラインBL方向に隣接するセルのフローティングゲート電極104間の距離d2を長くとることができ、フローティングゲート電極104間の容量を低減できる。
【0049】
また、フローティングゲート電極104と、隣接するセルのコントロールゲート電極106との間の距離d3を長くとることができ、この間に発生する容量を低減できる。
【0050】
上述した数式1における容量Cneighborは、これらの容量を含むものである。従って、本実施形態に係る半導体記憶装置は、ビットライン方向に隣接するセルの間の容量Cneighborを低減できるため、カップリング比Crをさらに増加させることができる。そのため、動作電圧をさらに低くでき、装置性能をより向上させることができる。
【0051】
なお、図5(b)、(c)は図5(a)におけるC−C線での水平方向の断面の例を示す。第2の電荷蓄積膜104bの形状は、製造方法によって異なる。
【0052】
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を図6に示す工程断面図を用いて説明する。インターポリ絶縁膜105及びコントロールゲート電極106を形成する工程までは上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。工程断面図は第1の方向(ビットラインBL方向)に沿った垂直断面を示している。
【0053】
図6(a)に示すように、コントロールゲート電極106上に、所定間隔を空けて第2の方向に沿ったワードライン形成用のマスク130を形成する。そして、マスク130に基づいて、コントロールゲート電極106、インターポリ絶縁膜105、フローティングゲート電極104、(及びトンネル絶縁膜103)をRIE等で除去して複数の溝131を形成する。これによりワードラインが形成される。その後、リンなどの不純物を半導体基板101にイオン注入し熱処理を行うことで拡散層108を形成する。
【0054】
次に、図6(b)に示すように、溝131の側面及び底面を覆うようにシリコン酸化膜109aを形成する。そして、シリコン酸化膜109aを介して電荷蓄積膜104a〜cに酸化剤(O2)が到達するような条件で後酸化処理を行う。
【0055】
第2の電荷蓄積膜104bであるTaNは、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cであるポリシリコンよりも酸化速度が速い。そのため、第2の電荷蓄積膜104bの両端部が絶縁膜120となる。
【0056】
このようにして、図5(a)に示すような、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜104a)及び上部(第3の電荷蓄積膜104c)の幅L3より狭くなっている構造を形成することができる。
【0057】
その後の工程は公知の製造方法と同様であり図示を省略する。例えば、溝131を埋め込むようにCVD法により例えばシリコン酸化膜を堆積して絶縁膜109を形成する。
【0058】
このようにして形成された半導体記憶装置は、ビットライン方向BLの断面でみて、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、その上下部分の幅L3より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。そのため、各メモリセルのカップリング比を実効的に増加させることができ、動作電圧が低くなり、装置性能を向上できる。
【0059】
上記第3の実施形態は、第2の電荷蓄積膜104bの幅がワードラインWL方向及びビットラインBL方向の両方において、第1、第3の電荷蓄積膜104a、104cの幅より狭くなっていたが、図2(c)に示す酸化処理は行わないで、ビットラインBL方向の幅のみ狭い構成となるようにしてもよい。
【0060】
(第4の実施形態)上記第3の実施形態において、第2の電荷蓄積膜104bに例えばSiGeを用いて、溝131の形成後に、ウェットエッチング処理を行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去してもよい。SiGeはポリシリコンよりもウェットエッチング速度が速いため、第2の電荷蓄積膜104bの幅は、第1の電荷蓄積膜104a及び第3の電荷蓄積膜104cの幅より狭くなる。
【0061】
そして、溝131を埋め込むようにシリコン酸化膜を形成して絶縁膜109を形成する。この時、第2の電荷蓄積膜104bの側部(第1の電荷蓄積膜104aと第3の電荷蓄積膜104との間)が埋め込まれる。
【0062】
これにより図5に示す絶縁膜120の部分にも絶縁膜109が形成された構成の半導体記憶装置が製造される。このような構成であっても上記第3の実施形態と同様に、ビットライン方向BLの断面でみて、フローティングゲート電極104の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜104b)の幅L4が、その上下部分の幅L3より狭くなっていることで、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量が低減された半導体記憶装置となる。
【0063】
(第5の実施形態)上記第1、第2の実施形態では、第2の電荷蓄積膜104bのワードラインWL方向の両側部に絶縁膜(107、104)が設けられていたが、本実施形態では、図7(a)に示すように空洞150が設けられている。空洞150の方が絶縁膜よりも誘電率が低いため、隣接セル間の距離が拡がるのと同様の効果が得られ、隣接セルとの容量をさらに低減できる。従って、各メモリセルのカップリング比をさらに増加させることができ、装置性能をさらに向上できる。
【0064】
このような半導体記憶装置は、図4(a)に示すように、ウェットエッチングを行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去した後に、塗布等を用いてシリコン酸化膜の堆積を行い、素子分離領域102を形成する。塗布により粘度が高く埋め込み性の悪い(良くない)半液体状のシリコン酸化膜を堆積させるため、第2の電荷蓄積膜104bが除去された領域にシリコン酸化膜が入り込まず、空洞150とすることができる。半液体状のシリコン酸化膜はその後、アニールにより焼き固める。
【0065】
このようにして、第2の電荷蓄積膜104bと素子分離領域102との間に空洞150を有する構造を形成することができる。
【0066】
同様の方法を上記第4の実施形態において第2の電荷蓄積膜104bのビットラインBL方向の両側部を除去した後に適用してもよい。これにより、図7(b)に示すように、第2の電荷蓄積膜104bと絶縁膜109との間に空洞151を有する構造を形成することができる。
【0067】
図7(b)に示す構造においても、空洞151により隣接セル間の距離が拡がるのと同様の効果が得られ、隣接セルとの容量をさらに低減できる。従って、各メモリセルのカップリング比をさらに増加させることができ、装置性能をさらに向上できる。
【0068】
(第6の実施形態)上記第1〜第5の実施形態では、フローティングゲート電極104は第1〜第3の電荷蓄積膜104a〜cを有し、高さ方向中央部分の第2の電荷蓄積膜104bの幅を狭くしていたが、幅の広い電荷蓄積膜と幅の狭い電荷蓄積膜を交互に複数設けてもよい。このような構成の一例を図8に示す。図8(a)はワードラインWL方向に沿った縦断面を示し、図8(b)はビットラインBL方向に沿った縦断面を示す。
【0069】
フローティングゲート電極104は奇数個の電荷蓄積膜が積層され、下から奇数番目が幅の広い電荷蓄積膜、偶数番目が幅の狭い電荷蓄積膜となる。下から2k(kは1以上の整数)番目の電荷蓄積膜の側部(2k−1番目の電荷蓄積膜と2k+1番目の電荷蓄積膜とに挟まれた領域)には絶縁膜(102、109)が設けられている。
【0070】
このような構造によっても、上記実施形態と同様に、幅の狭い電荷蓄積膜によって隣接セルとの距離を長くとることができ、隣接セルとの容量が低減された半導体記憶装置となる。
【0071】
(第7の実施形態)図9に本発明の第7の実施形態に係る半導体記憶装置の概略構成を示す。図9はワードラインWL方向の(図1(a)に示すA−A線に沿う)断面を示している。図3に示す上記第2の実施形態と同様の部分については同じ参照番号を付して説明を省略する。
【0072】
フローティングゲート電極704は、順に積層された第1の電荷蓄積膜704a、第2の電荷蓄積膜704b、及び第3の電荷蓄積膜704cを有する。第1の電荷蓄積膜704a及び第3の電荷蓄積膜704cは例えばポリシリコンであり、第2の電荷蓄積膜704bはTaNやSiGe等である。
【0073】
第1の電荷蓄積膜704aの幅をL11、第2の電荷蓄積膜704bの幅をL12、第3の電荷蓄積膜104cの幅をL13とした場合、L12<L11<L13という関係になっている。
【0074】
上記第1、第2の実施形態と同様に、フローティングゲート電極704の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜704b)の幅L12を、フローティングゲート電極704の下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L11、上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13より狭くすることで、ワードラインWL方向に隣接するセルのフローティングゲート電極704間の距離を長くとることができ、フローティングゲート電極704間の容量を低減できる。従って、カップリング比を増加させることができ、装置性能を向上できる。
【0075】
また、本実施形態では、フローティングゲート電極704の上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13が、下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L13より広くなっている。これにより、制御ゲート電極と対向する面積を増加させ、カップリング比をさらに増加させることができる。
【0076】
このような半導体記憶装置の製造方法を図10及び図11に示す工程断面図を用いて説明する。工程断面図はワードラインWL方向の(図1(a)に示すA−A線に沿う)垂直断面を示している。
【0077】
まず、図10(a)に示すように、半導体基板101上に熱酸化により厚さ5〜10nmの例えばシリコン酸化膜からなるトンネル絶縁膜103を堆積する。その上にCVD法により厚さ20nmの例えばポリシリコンからなる第1の電荷蓄積膜704a、厚さ30nmの例えばSiGeからなる第2の電荷蓄積膜704b、厚さ20nmの例えばシリコン窒化膜からなる犠牲膜710を順に堆積する。
【0078】
図10(b)に示すように、犠牲膜710上に素子分離領域形成用のマスク711を、所定間隔を空けて上記第1の方向に沿って形成する。そして、マスク711に基づいて、犠牲膜710、第2の電荷蓄積膜704b、第1の電荷蓄積膜704a、トンネル絶縁膜103、及び半導体基板101をRIE(反応性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりエッチングして複数の溝720を形成する。
【0079】
図10(c)に示すように、ウェットエッチング処理を行い、第2の電荷蓄積膜104bの両端部を除去する。SiGeはポリシリコンよりもウェットエッチング速度が速いため、第2の電荷蓄積膜704bの幅は、第1の電荷蓄積膜704a及び犠牲膜710の幅より狭くなる。
【0080】
図11(a)に示すように、溝720を埋め込むようにシリコン酸化膜を堆積し、CMP等によりマスク711を除去して、素子分離領域102を形成する。この時、第2の電荷蓄積膜704bの側部も埋め込まれる。
【0081】
図11(b)に示すように、ウェットエッチングを用いて、犠牲膜710を除去する。
【0082】
図11(c)に示すように、ウェットエッチングを用いて、犠牲膜710が除去された領域721の幅を広げる。
【0083】
図11(d)に示すように、CVD法などにより領域721にポリシリコンを埋め込み、第3の電荷蓄積膜704cを形成する。
【0084】
このようにして、図9に示すような、フローティングゲート電極704の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜704b)の幅L12が、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L11及び上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13より小さくなっている構造を形成することができる。また、フローティングゲート電極104の下部(第1の電荷蓄積膜704a)の幅L11が、上部(第3の電荷蓄積膜704c)の幅L13より小さくなってもいる。
【0085】
その後の工程は上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
このようにして形成された半導体記憶装置は、フローティングゲート電極704の高さ方向の中央部分(第2の電荷蓄積膜704b)の幅が狭くなっているため、隣接セルとの距離が長くなり、隣接セルとの容量を低減できる。そのため、各メモリセルのカップリング比を実効的に増加させることができ、動作電圧が低くなり、装置性能を向上できる。
【0087】
上記第1〜第7の実施形態では、半導体基板101にSOI基板を用いてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、素子分離領域102とフローティングゲート電極104との上面の高さを同一にしていたが、素子分離領域102の上面の高さをフローティングゲート電極104の上面の高さより低くし、コントロールゲート電極106をフローティングゲート電極104間に落とし込んだ構造にしてもよい。各メモリセルにおいて、フローティングゲート電極104とコントロールゲート電極106の間の静電容量を増加させ、カップリング比を大きくすることができる。
【0089】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
101 半導体基板、102 素子分離領域、103 トンネル絶縁膜、104 フローティングゲート電極、105 インターポリ絶縁膜、106 フローティングゲート電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、
前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭い第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、
前記第2の電荷蓄積膜上であって、前記第2の電荷蓄積膜と前記素子分離領域との間に設けられた第2の絶縁膜と、
前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅は、前記第1の電荷蓄積膜及び前記第3の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅より狭いことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3の電荷蓄積膜の前記第2の方向の幅は、前記第1の電荷蓄積膜の前記第2の方向の幅より広いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、
前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭く、前記素子分離領域との間に空洞部を形成するように前記第1の電荷蓄積膜上に設けられた第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅は、前記第1の電荷蓄積膜及び前記第3の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅より狭くなっており、
前記電荷蓄積層の前記第1の方向の側部に設けられ、前記第2の電荷蓄積膜との間に空洞部を形成する第3の絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、
前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭い第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、
前記第2の電荷蓄積膜上であって、前記第2の電荷蓄積膜と前記素子分離領域との間に設けられた第2の絶縁膜と、
前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第3の絶縁膜と、
前記第3の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅は、前記第1の電荷蓄積膜及び前記第3の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅より狭いことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3の電荷蓄積膜の前記第2の方向の幅は、前記第1の電荷蓄積膜の前記第2の方向の幅より広いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
半導体基板と、
前記半導体基板上に所定間隔を空けて設けられた複数の第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜間に第1の方向に沿って設けられた素子分離領域と、
前記第1の絶縁膜上に設けられた第1の電荷蓄積膜、前記第1の方向に直交する第2の方向の幅が前記第1の電荷蓄積膜より狭く、前記素子分離領域との間に空洞部を形成するように前記第1の電荷蓄積膜上に設けられた第2の電荷蓄積膜、及び前記第2の電荷蓄積膜上に設けられ、前記第2の方向の幅が前記第2の電荷蓄積膜より広い第3の電荷蓄積膜を有する電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層上及び前記素子分離領域上に前記第2の方向に沿って設けられた第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に設けられた制御ゲート電極と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅は、前記第1の電荷蓄積膜及び前記第3の電荷蓄積膜の前記第1の方向の幅より狭くなっており、
前記電荷蓄積層の前記第1の方向の側部に設けられ、前記第2の電荷蓄積膜との間に空洞部を形成する第3の絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の半導体記憶装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−272675(P2010−272675A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122926(P2009−122926)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]