説明

半導体集積回路装置

【課題】シェアードコンタクトと不純物拡散領域との接触抵抗を小さくする。
【解決手段】半導体基板301上に、ゲート絶縁膜312を介して形成された第1のゲート電極310と、ゲート絶縁膜322を介して形成された第2のゲート電極320と、第1および第2のゲート電極310および320の間の半導体基板301表面に形成された不純物拡散領域と、第2のゲート電極320と不純物拡散領域との間を接続するシェアードコンタクト224とを備える半導体記憶装置において、シェアードコンタクト224は、セルフアラインコンタクト手法による開口と、第2のゲート電極320と接続を取るための開口とにより形成される。このセルフアラインコンタクト手法を用いることで、シェアードコンタクト224と不純物拡散領域との接触面積が最大限確保され、接触抵抗が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置に関し、特にスタティック型半導体記憶装置、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタティック型半導体記憶装置として、いわゆるSRAMが広く知られている。このSRAMには、メモリセル面積の縮小化に伴い、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータのノード部にあたる不純物拡散領域と接続をとるためのコンタクトと、隣接するゲート電極と接続をとるためのコンタクトとを一体化して、不純物拡散領域とゲート電極との間を直接接続するシェアードコンタクト技術が適用されている。この技術の特徴としては、不純物拡散領域およびゲート電極表面に同時にシリサイドを形成させるサリサイドプロセスを用いるのが一般的である。ここで、シェアードコンタクトとしては、良好な接触を保つために、特に不純物拡散領域と十分な接触面積を確保することが望まれる。しかしながら、十分な接触面積を確保するためにシェアードコンタクトを大きくすると、隣接するゲート電極のシリサイドとショートするおそれがある。そこで、例えば、サリサイドプロセスを用いずに、シェアードコンタクトに隣接するコンタクトを、セルフアラインコンタクト手法により形成するスタティック型半導体記憶装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ここで、その構造について、特許文献1で開示されている図面に基づいて作成した図11を参照して簡単に説明する。図11(a)は、メモリセルの平面図であり、ここでは、メモリセルがCMOSインバータ50および60から構成されることが示されている。CMOSインバータ50において、共有ゲート60Gの端部と、p型MOSトランジスタ51pのドレイン領域51dとの間を接続するためのシェアードコンタクト53が形成されている。また、p型MOSトランジスタ51pのソース領域51sに、電源電圧を印加するためのセルフアラインコンタクト54が形成されている。図11(b)には、図11(a)のXX−XX線における断面図が示されている。なお、a−b線方向は、図11(a)に付したa−b線方向と一致させている。
【0004】
図11(b)に示すように、シェアードコンタクト53は、ドレイン領域51d上に形成されたコバルトシリサイド層44、および、共有ゲート50Gのゲート形成層35に共通に接続されている。このドレイン領域51d上に形成されたコバルトシリサイド層44が上述の不純物拡散領域に相当し、シェアードコンタクト53は、このコバルトシリサイド層44との接触面積を十分に確保することが望まれる。一方、セルフアラインコンタクト54は、ソース領域51s上に形成されたコバルトシリサイド層44に接続され、印加電圧が供給されている。このセルフアラインコンタクト54は、セルフアラインコンタクト手法の適用に伴い形成された共有ゲート60Gの保護絶縁膜36により、共有ゲート60Gのゲート形成層35と接触しない。さらに、この共有ゲート60Gの保護絶縁膜36の形成により、シェアードコンタクト53と共有ゲート60Gのゲート形成層35との短絡が防止される。
【特許文献1】特開2002−313957号公報(図20)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、セルフアラインコンタクト手法を用いることで不純物拡散領域上のシェアードコンタクトとそれに隣接するゲート電極との短絡を防止することができる。しかしながら、シェアードコンタクトを大きくすると、シェアードコンタクトに隣接するコンタクトとショートするおそれがある。これにより、不純物拡散領域との接触面積が十分に確保できず、接触抵抗の低減が困難となるため、微細化(シュリンク)に伴う歩留りの低下を引き起こすことが予想される。
【0006】
そこで、本発明は、半導体集積回路、特にスタティック型半導体記憶装置において、シェアードコンタクトとの接触抵抗を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の側面は、半導体領域上にゲート絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極と、上記半導体領域上にゲート絶縁膜を介して形成された第2のゲート電極と、上記第1および第2のゲート電極の間の半導体領域表面に形成された不純物拡散領域と、上記第2のゲート電極と上記不純物拡散領域との間を接続するシェアードコンタクトとを備える半導体記憶装置において、上記シェアードコンタクトは、上記第1のゲート電極の側面に接触することを特徴とする半導体集積回路装置である。これにより、シェアードコンタクトと不純物拡散領域との接触面積を十分に確保することによって接触抵抗を小さくさせるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記第1のゲート電極の上面に形成されたゲート保護絶縁膜をさらに備えるようにしてもよい。これにより、コンタクトホール形成時において開口位置が若干ずれても、シェアードコンタクトと第1のゲート電極との短絡を防止させるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記不純物拡散領域に形成されたシリサイド層をさらに備えるようにしてもよい。これにより、シェアードコンタクトと不純物拡散領域との接触抵抗を小さくさせるという作用をもたらす。この場合において、上記シリサイド層は、コバルトシリサイドからなるようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の第2の側面は、半導体領域上にゲート絶縁膜とゲート電極層とゲート保護絶縁膜とを順次形成する工程と、上記ゲート電極層および上記ゲート保護絶縁膜をパターニングして第1および第2のゲート電極を形成する工程と、上記第1および第2のゲート電極の側面に保護絶縁膜を形成する工程と、上記第1および第2のゲート電極を含む半導体領域全面上に層間絶縁膜を堆積する工程と、上記第1および第2のゲート電極の間の半導体領域表面である不純物拡散領域と接続をとるためのコンタクトホールを形成する工程と、上記第2のゲート電極の上面の上記ゲート保護絶縁膜を除去する工程と、上記第2のゲート電極と上記不純物拡散領域との間を接続するシェアードコンタクトを形成する工程とを備えることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法である。これにより、不純物拡散領域と接続を取るためのコンタクトホールおよび第2のゲート電極と接続を取るためのコンタクトホールの形成によって、シェアードコンタクトと不純物拡散領域との接触面積を十分に確保させるという作用をもたらす。
【0011】
また、本発明の第2の側面において、上記コンタクトホールを形成する工程の後に、上記不純物拡散領域にシリサイド層を形成する工程をさらに備えるようにしてもよい。これにより、シェアードコンタクトと不純物拡散領域との接触抵抗を小さくさせるという作用をもたらす。
【0012】
また、本発明の第2の側面において、上記ゲート電極層は、シリサイド層を含むようにしてもよい。これにより、シェアードコンタクトとゲート電極との接触抵抗を小さくさせるという作用をもたらす。この場合において、上記シリサイド層は、タングステンシリサイドからなるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シェアードコンタクトとの接触抵抗を小さくすることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態におけるSRAMを構成する1つのメモリセル100に関する等価回路を示す図である。メモリセル100は、第1のCMOSインバータ110と、第2のCOMSインバータ120と、転送データ用のn型MOSトランジスタ131および132とを備える。また、第1および第2のCMOSインバータ110および120は、入力ノードおよび出力ノードがそれぞれ交差接続されて、1つのフリップフロップ回路を構成する。
【0016】
第1のCMOSインバータ110は、負荷用の第1のp型MOSトランジスタ111(TP1)および駆動用の第1のn型MOSトランジスタ112(TN1)から構成される。この第1のCMOSインバータ110の入力ノード141および出力ノード142を、それぞれn1およびn2とする。
【0017】
第2のCMOSインバータ120は、負荷用の第2のp型MOSトランジスタ121(TP2)および駆動用の第2のn型MOSトランジスタ122(TN2)から構成される。この第2のCMOSインバータ120の入力ノード142および出力ノード141は、それぞれn2およびn1である。これより、第1のCMOSインバータ110の入力ノード141(n1)が第2のCMOSインバータ120の出力ノード141(n1)となり、第1のCMOSインバータ110の出力ノード142(n2)が第2のCMOSインバータ120の入力ノード(n2)となる。
【0018】
転送データ用のn型MOSトランジスタ131(TN3)および132(TN4)は、ドレインがn2およびn1に、ソースがビット線101および102にそれぞれ接続され、ゲートがワード線103に共通に接続される。
【0019】
以上のような構成をとることにより、例えば、データを読み出す場合に、ワード線103に電圧が印加されると、第1および第2のCMOSインバータ110および120から構成されるフリップフロップ回路に保持されたノードの状態(n1およびn2の状態)が転送用のn型MOSトランジスタ131および132を介してビット線101および102に転送される。
【0020】
図2は、本発明の実施に形態におけるメモリセル100のレイアウト例を示す概略図である。
【0021】
メモリセル100は、第1のn型MOS領域210と、p型MOS領域220と、第2のn型MOS領域230とから構成される。第1のn型MOS領域には、図1で示した転送データ用のn型MOSトランジスタ131(TN3)および駆動用の第1のn型MOSトランジスタ112(TN1)が設けられている。p型MOS領域220には、図1で示した負荷用の第1および第2のp型MOSトランジスタ111(TP1)および121(TP2)とノード141および142とが設けられている。第2のn型MOS領域には、図1で示した駆動用の第2のn型MOSトランジスタ122(TN2)および転送データ用のn型MOSトランジスタ132(TN4)が設けられている。また、これらの領域には素子形成領域251乃至254が設けられており、この素子形成領域251乃至254内にソース領域およびドレイン領域が形成される。
【0022】
第1のn型MOS領域210は、素子形成領域251と、コンタクト211乃至214と、ゲート配線241および243とから構成される。コンタクト211は、転送用のn型MOSトランジスタ131のソース領域およびビット線101に接続される。コンタクト212は、転送用のn型MOSトランジスタ131および駆動用の第1のn型MOSトランジスタ112のドレイン領域に共通に接続される。コンタクト213は、駆動用の第1のn型MOSトランジスタ112のソース領域に接続され、印加電圧Vssが供給される。コンタクト214は、ゲート配線241を介して転送用のn型MOSトランジスタ131のゲート電極およびワード線103に接続される。
【0023】
p型MOS領域220は、素子形成領域252および253と、コンタクト221および223と、シェアードコンタクト222および224とから構成される。コンタクト221は、負荷用の第1のp型MOSトランジスタ111のソース領域に接続され、印加電圧Vccが供給される。シェアードコンタクト222は、負荷用の第1のp型MOSトランジスタ111のドレイン領域およびゲート配線244に接続される。このシェアードコンタクト222は、負荷用の第1のp型MOSトランジスタ111のドレイン領域およびゲート配線244を同じ電位にするために設けられたコンタクトである。コンタクト223は、負荷用の第2のp型MOSトランジスタ121のソース領域に接続され、印加電圧Vccが供給される。シェアードコンタクト224は、負荷用の第2のp型MOSトランジスタ121のドレイン領域およびゲート配線243に接続される。このシェアードコンタクト224は、負荷用の第2のp型MOSトランジスタ121のドレイン領域およびゲート配線243を同じ電位にするために設けられたコンタクトである。
【0024】
第2のn型MOS領域230は、素子形成領域254と、コンタクト211乃至214と、ゲート配線244および242とから構成される。コンタクト231は、駆動用の第2のn型MOSトランジスタ122のソース領域に接続され、印加電圧Vssが供給される。コンタクト232は、駆動用の第2のn型MOSトランジスタ122および転送用のn型MOSトランジスタ132のドレイン領域に共通に接続される。コンタクト233は、転送用のn型MOSトランジスタ132のソース領域およびビット線102に接続される。コンタクト234は、ゲート配線242を介して転送用のn型MOSトランジスタ132のゲート電極およびワード線103に接続される。
【0025】
図3は、本発明の実施の形態におけるメモリセル100の構造例を示す断面図である。ここでは、図2に付したA−A'方向における断面図が示されている。なお、図面の簡単化のため半導体基板301内に形成されている不純物拡散領域(ドレイン領域およびソース領域)の図示を省略している。また、素子分離領域331より左側が素子形成領域253である。
【0026】
素子形成領域253には、コンタクト223と、負荷用の第2のp型MOSトランジスタ121の第1のゲート電極310と、シェアードコンタクト224と、シェアードコンタクト224により接続されている第2のゲート電極320とが形成されている。なお、半導体基板301全面上に、これらの隙間を埋めるように層間絶縁膜308が形成されている。
【0027】
第1のゲート電極310は、多結晶シリコン膜313およびタングステンシリサイド(WSi)膜314からなる。この第1のゲート電極310は、半導体基板301上に第1のゲート絶縁膜312を介して設けられている。第2のゲート電極320は、多結晶シリコン膜323およびタングステンシリサイド膜324からなる。この第2のゲート電極320は、半導体基板301上に第2のゲート絶縁膜322を介して設けられている。なお、第1および第2のゲート電極310および320において、タングステンシリサイド膜314に代えて、コバルトシリサイド(CoSi)膜やチタンシリサイド(TiSi)膜などを設けてもよい。
【0028】
また、第1のゲート電極310の上部には、窒化シリコン(Si)からなる保護絶縁膜315が形成されている。この保護絶縁膜315は、シェアードコンタクト224のコンタクトホール形成時におけるエッチングのストッパとして設けられている。一方、第2のゲート電極320の上部は、シェアードコンタクト224と接続されることから、保護絶縁膜が除去されている。
【0029】
また、第1のゲート電極310の側壁部には、側壁膜として側壁酸化膜316およびシリコン窒化(Si)膜からなるスペーサ317が形成されている。また、第2のゲート電極320の側壁部にも同様に、側壁膜として側壁酸化膜326およびスペーサ327が形成されている。側壁酸化膜316および326は、第1および第2のゲート電極310および320の保護のために設けられ、スペーサ317および327は、LDD(Lightly Doped Drain)構造形成などのために設けられている。なお、側壁膜として、スペーサ317および327の側面に、浅い不純物拡散領域の形成のためにBSG(Boron-Silicate Glass)膜をさらに設けてもよい。
【0030】
一方、コンタクト223は、第1のゲート電極310の左側に形成されており、窒化チタン(TiN)からなるバリア膜309を介して負荷用の第2のp型MOSトランジスタ121のソース領域と接続されている。
【0031】
また、シェアードコンタクト224は、第1および第2のゲート電極310および320に挟まれるように形成されている。このシェアードコンタクト224は、窒化チタンからなるバリア膜309を介して第1のゲート電極310と第2のゲート電極320との間に形成された不純物拡散領域と、ゲート電極320のタングステンシリサイド膜324とに接続されている。
【0032】
以上のように、メモリセル100は、第1のゲート電極310の上部に形成された保護絶縁膜315および側壁部に形成されたスペーサ317により、第1のゲート電極310とシェアードコンタクト224との短絡を防止している。また、コンタクト223とシェアードコンタクト224との短絡もない。これにより、メモリセル100は、シェアードコンタクト224と不純物拡散領域との接触面積を最大限に確保した構造となっている。
【0033】
次に、本発明の実施の形態におけるメモリセル100の製造方法例について図面を参照して説明する。図4乃至6には、図2に付したA−A'方向における工程順の断面図を示す。なお、図面の簡単化のため、コンタクト223、半導体基板301内に形成されている不純物拡散領域および素子分離領域331の図示を省略している。
【0034】
まず、図4(a)に示すように、シリコン(Si)からなる半導体基板301の表面に、熱酸化法により、温度900℃程度で、膜厚30Å(オングストローム)程度の薄い酸化シリコン(SiO)からなるゲート絶縁膜302を形成する。続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、温度700℃程度で、その上層に膜厚2000Å程度の多結晶シリコン膜303を形成し、続いて、スパッタリング法により、その上層に膜厚600Å程度のタングステンシリサイド膜304を堆積する。その後に、CVD法により、温度700℃程度で、その上層に膜厚2500Å程度の窒化シリコンからなる保護絶縁膜305を形成する。ここにいう、CVD法とは、薄膜の材料をガス状態にし、化学触媒反応を利用して膜を半導体基板上に堆積させる手法である。また、スパッタリング法とは、高真空中において薄膜の材料に高エネルギーのアルゴンイオンを衝突させることで飛び出してくる原子を半導体基板上に堆積させる手法である。
【0035】
次に、図4(b)に示すように、リソグラフィ法により、マスクパターンが転写されたレジスト膜391を保護絶縁膜305上に形成し、続いて、レジスト膜391をマスクとしてフッ化炭素などのガスを用いてエッチングすることにより、保護絶縁膜305、タングステンシリサイド膜304および多結晶シリコン膜303にパターニングを施す。
【0036】
次に、図4(c)に示すように、レジスト膜391を剥離して洗浄する。ここで、半導体基板301上にゲート絶縁膜302を介して、第1のゲート電極310および保護絶縁膜315ならびに第2のゲート電極320および保護絶縁膜325が形成される。ここには図示していないが、続いて、第1および第2のゲート電極310および320をマスクとして、半導体基板301内にイオン注入をし、浅い不純物拡散領域であるエクステンション領域を自己整合的に形成する。
【0037】
次に、図4(d)に示すように、RTP(Rapid Thermal Process)法により、温度1000℃程度で、第1および第2のゲート電極310および320の側壁部に膜厚100Å程度の酸化シリコン(SiO)からなる側壁酸化膜316および326を形成する。ここでは、ゲート電極310および320の側壁部とともに半導体基板301の表面にも酸化シリコンが形成される。また、ここにいう、RTP法とは、ランプ加熱方式により短時間で熱処理する手法である。
【0038】
次に、図5(a)に示すように、CVD法により、温度800℃で、保護絶縁膜315および325ならびに側壁酸化膜316および326を含む半導体基板301全面上に膜厚150Å程度の窒化シリコンを形成し、続いて、第1および第2のゲート電極310および320の側壁に形成された窒化シリコンのみ残すようにスペーサ317および327を形成する。ここには図示していないが、続いて、第1および第2のゲート電極310および320とこれらの側壁膜とをマスクとして、半導体基板301内にイオン注入をし、深い不純物拡散領域であるコンタクト領域を自己整合的に形成する。なお、側壁膜として、スペーサ317および327の側面上に、BSG膜をさらに堆積させてもよい。
【0039】
次に、図5(b)に示すように、CVD法により、温度500℃で、保護絶縁膜315および325ならびにスペーサ317および327を含む半導体基板301全面上に膜厚3000Å程度のNSG(Non-doped Silicate Glass)を堆積し、続いて、その表面を平坦化して層間絶縁膜308を形成する。
【0040】
次に、図5(c)に示すように、リソグラフィ法により、マスクパターンが転写されたレジスト膜392を層間絶縁膜308上に形成し、続いて、エッチングにより、レジスト膜392をマスクとしてセルフアラインコンタクト用のコンタクトホールを形成する。これにより、第1のゲート電極310と、第2のゲート電極320との間の不純物拡散領域の表面が露出される。このとき、層間絶縁膜308から露出する、保護絶縁膜315および325とスペーサ317および327との上端が若干エッチングされる。
【0041】
次に、図6(a)に示すように、リソグラフィ法により、マスクパターンが転写されたレジスト膜393を用いて、層間絶縁膜308の一部をエッチングすることにより、保護絶縁膜325の上部にコンタクトホールを形成し、続いて、保護絶縁膜325を除去した後に、レジスト膜393を剥離して洗浄する。
【0042】
次に、図6(b)に示すように、コンタクトホールによる露出面および層間絶縁膜308上にPVD(Physical Vapor Deposition)法により、膜厚500Å程度の窒化チタン(TiN)膜からなるバリア膜309を形成し、続いて、CVD法により、膜厚5000Å程度のタングステン(W)をコンタクトホールに堆積する。なお、バリア層は、タングステンの拡散防止や相互反応防止の目的で設けられている。
【0043】
次に、図6(c)に示すように、CMP(Chemical and Mechanical Polishing)法により、余分な窒化チタンおよびタングステンを除去する。これにより、シェアードコンタクト224が形成される。ここにいうCMP法とは、シェアードコンタクト224の上面を研磨により平坦化する手法である。
【0044】
以上のように、セルフアラインコンタクト用のコンタクトホールと、そのコンタクトホールに重なるように第2のゲート電極320との接続用のコンタクトホールとを形成することにより、シェアードコンタクト224と不純物拡散領域との接触面積を最大限に確保することができる。また、これら2回のコンタクトホール形成は、一般的なホール形成法であり、リソグラフィ法で生じるマスク合わせの若干のずれを許容することができる。
【0045】
図7は、本発明の実施の形態におけるメモリセル100の製造方法の工程例を示すフローチャートである。
【0046】
最初に、熱酸化法により、半導体基板301の表面にゲート絶縁膜302を形成する(ステップS911)。続いて、その上にCVD法により、多結晶シリコン膜303を形成する(ステップS912)。続いて、その上にスパッタリング法により、タングステンシリサイド膜304を堆積する(ステップS913)。続いて、CVD法により、窒化シリコンからなる保護絶縁膜305を形成する(ステップS914)。
【0047】
その後に、リソグラフィ法およびエッチング法により、ゲート絶縁膜302を介して、第1のゲート電極310および保護絶縁膜315および第2のゲート電極320および保護絶縁膜325を形成する(ステップS915)。続いて、半導体基板301内にイオン注入し、エクステンション領域を自己整合的に形成下後、RTP法により、第1および第2のゲート電極310および320の側壁部に側壁酸化膜316および326を形成する(ステップS916)。続いて、CVD法により、側壁酸化膜316および326の表面にスペーサ317および327を形成する(ステップS917)。続いて、半導体基板301内にイオン注入し、コンタクト領域を自己整合的に形成する。続いて、CVD法により、層間絶縁膜308を形成する(ステップS918)。
【0048】
その後に、リソグラフィ法およびエッチング法により、不純物拡散領域上にコンタクトホールを形成する(ステップS919)。リソグラフィ法およびエッチング法により、保護絶縁膜325の上部にコンタクトホールを形成して保護絶縁膜325を除去する(ステップS922)。続いて、PVD法により、バリア膜309を形成後、CVD法により、タングステンをコンタクトホールに堆積する(ステップS923)。最後に、CMP法により、表面を平坦化してシェアードコンタクト224を形成する(ステップS924)。
【0049】
次に本発明の実施の形態おける第1の変形例について図面を参照して説明する。
【0050】
図8は、本発明の実施の形態の第1の変形例におけるメモリセル100の構造例を示す断面図である。ここで示す構造例は、図3で示した構造例の一部を変更したものであり、他の部分は共通する。そのため、図3に共通する部分には同じ符号を付してここでの説明は省略する。なお、ここでは、図2に付したA−A'方向における断面図を示す。また、図3と同様に図面の簡単化のため、コンタクト223、半導体基板301内に形成されている不純物拡散領域および素子分離領域331の図示を省略している。
【0051】
図8に示すように、メモリセル100には、コンタクト223およびシェアードコンタクト224の底面と不純物拡散領域との間に、バリア膜309を介してコバルトシリサイド(CoSi)からなるシリサイド層341がさらに設けられている。これにより、コンタクト223とそれに対応する不純物拡散領域との接触抵抗およびシェアードコンタクト224とそれに対応する不純物拡散領域との接触抵抗を低減することできる。
【0052】
図9は、本発明の実施の形態の第1の変形例におけるメモリセル100の製造方法例を示す断面図である。ここで示す製造方法例において、図4および図5に示した工程が共通であるため、共通する工程については簡単に説明する。また、ここでは、図2に付したA−A'方向における工程順の断面図を示す。なお、図面の簡単化のため、コンタクト223、半導体基板301内に形成されている不純物拡散領域および素子分離領域331の図示を省略している。
【0053】
図4および図5を用いて説明した製造方法と同様に、第1のゲート電極310と、ゲート絶縁膜312と、保護絶縁膜315と、第2のゲート電極320と、ゲート絶縁膜322と、保護絶縁膜325とを形成する。続いて、側壁酸化膜316および326ならびにスペーサ317および327を形成し、これらの隙間を埋めるように層間絶縁膜308を形成し、リソグラフィ法およびエッチング法により、レジスト膜392をマスクとしてセルフアラインコンタクト用のコンタクトホールを形成する。
【0054】
続いて、図9(a)に示すように、レジスト膜392を除去した後、PVD法により、温度250℃で、コンタクトホール形成により露出された不純物拡散領域の表面に膜厚200Å程度のコバルト(Co)を堆積し、続いて、熱処理により、シリコンとコバルトとが反応してなるコバルトシリサイドをシリサイド層341として形成する。その後、シリコンと未反応のコバルトを除去する。
【0055】
次に、図9(b)に示すように、図6(a)と同様に、リソグラフィ法により、マスクパターンが転写されたレジスト膜393を用いて、層間絶縁膜308の一部をエッチングすることにより、保護絶縁膜325の上部にコンタクトホールを形成し、続いて、保護絶縁膜325を除去した後に、レジスト膜393を剥離して洗浄する。
【0056】
次に、図9(c)に示すように、図6(b)および(c)と同様に、コンタクトホールによる露出面および層間絶縁膜308上にPVD法により、膜厚500Å程度の窒化チタン膜からなるバリア膜309を形成し、続いて、CVD法により、膜厚5000Å程度のタングステンをコンタクトホールに堆積し、CMP法により、余分な窒化チタンおよびタングステンを除去してシェアードコンタクト224が形成される。
【0057】
以上のように、本発明の実施の形態では、セルフアラインコンタクト用のコンタクトホール形成時において、不純物拡散領域上にシリサイド層341を設けることにより、シェアードコンタクト224と不純物拡散領域との接触抵抗を低減することができる。
【0058】
図10は、本発明の実施の形態の第1の変形例におけるメモリセル100の製造方法の工程例を示すフローチャートである。図10は、図7で示した製造工程にステップS931の工程がさらに加えられたものである。そのため、共通の工程である他のステップについては、図7と同じ符号を付して説明を省略する。
【0059】
ステップS919において、リソグラフィ法およびエッチング法により、不純物拡散領域上にコンタクトホールを形成した後、コンタクトホール底面にPVD法により、コバルトを堆積し、熱処理を行いシリコンとコバルトとを反応させてシリサイド層341を形成する(ステップS931)。続いて、ステップS922に進む。
【0060】
このように、本発明の実施の形態によれば、セルフアラインコンタクト用のコンタクトホールと、そのコンタクトホールに重なるようにして第2のゲート電極320との接続用のコンタクトホールとを形成することにより、シェアードコンタクト224と不純物拡散領域との接触面積を最大限に確保することができ、接触抵抗を低減することができる。また、コンタクトホール形成においては、リソグラフィ法によるマスク合わせが多少ずれても正確なコンタクトホールを形成することができる。
【0061】
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、以下に示すように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0062】
すなわち、請求項1において、第1のゲート電極は、例えば第1のゲート電極310に対応する。また、第2のゲート電極は、例えば第2のゲート電極320に対応する。また、シェアードコンタクトは、例えばシェアードコンタクト224に対応する。
【0063】
また、請求項2において、ゲート保護絶縁膜は、例えば保護絶縁膜315に対応する。
【0064】
また、請求項3において、シリサイド層は、例えばシリサイド層341に対応する。
【0065】
また、請求項5において、ゲート絶縁膜とゲート電極層とゲート保護絶縁膜とを順次形成する工程は、例えばステップS911、S912、S913およびS914に対応する。また、第1および第2のゲート電極を形成する工程は、ステップS915に対応する。また、上記第1および第2のゲート電極の側面に保護絶縁膜を形成する工程は、例えばステップS916またはS917に対応する。また、層間絶縁膜を堆積する工程は、例えばステップS918に対応する。また、上記第1および第2のゲート電極の間の半導体領域表面である不純物拡散領域と接続をとるためのコンタクトホールを形成する工程は、例えばステップS919に対応する。また、上記第2のゲート電極の上面の上記ゲート保護絶縁膜を除去する工程は、例えばステップS922に対応する。また、シェアードコンタクトを形成する工程は、例えばステップS923およびS924に対応する。
【0066】
また、請求項6において、上記不純物拡散領域にシリサイド層を形成する工程は、例えばステップS931に対応する。
【0067】
また、請求項8において、ゲート電極層は、例えばタングステンシリサイド膜314および324に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態におけるSRAMを構成する1つのメモリセル100に関する等価回路を示す図である。
【図2】本発明の実施に形態におけるメモリセル100のレイアウト例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるメモリセル100の構造例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるメモリセル100の製造方法例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるメモリセル100の製造方法例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるメモリセル100の製造方法例を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるメモリセル100の製造方法の工程例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態の第1の変形例におけるメモリセル100の構造例を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第1の変形例におけるメモリセル100の製造方法例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第1の変形例におけるメモリセル100の製造方法の工程例を示すフローチャートである。
【図11】従来のSRAMにおけるメモリセルの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
100 メモリセル
101、102 ビット線
103 ワード線
110 第1のCMOSインバータ
111 負荷用の第1のp型MOSトランジスタ
112 駆動用の第1のn型MOSトランジスタ
120 第2のCMOSインバータ
121 負荷用の第2のp型MOSトランジスタ
122 駆動用の第2のn型MOSトランジスタ
131、132 転送データ用のn型MOSトランジスタ
141、142 ノード
210 第1のn型MOS領域
211〜214、221、222、231〜234 コンタクト
220 p型MOS領域
222、224 シェアードコンタクト
230 第2のn型MOS領域
241〜244 ゲート配線
251〜254 素子形成領域
301 半導体基板
302、312、322 ゲート絶縁膜
303、313、323 多結晶シリコン膜
304、314、324 タングステンシリサイド膜
305、315、325 保護絶縁膜
308 層間絶縁膜
309 バリア膜
310 第1のゲート電極
316、326 側壁酸化膜
317、327 スペーサ
320 第2のゲート電極
331 素子分離領域
341 シリサイド層
391〜393 レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体領域上にゲート絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極と、
前記半導体領域上にゲート絶縁膜を介して形成された第2のゲート電極と、
前記第1および第2のゲート電極の間の半導体領域表面に形成された不純物拡散領域と、
前記第2のゲート電極と前記不純物拡散領域との間を接続するシェアードコンタクトとを備える半導体記憶装置において、
前記シェアードコンタクトは、前記第1のゲート電極の側面に接触することを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記第1のゲート電極の上面に形成されたゲート保護絶縁膜をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記不純物拡散領域に形成されたシリサイド層をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記シリサイド層は、コバルトシリサイドからなることを特徴とする請求項3記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
半導体領域上にゲート絶縁膜とゲート電極層とゲート保護絶縁膜とを順次形成する工程と、
前記ゲート電極層および前記ゲート保護絶縁膜をパターニングして第1および第2のゲート電極を形成する工程と、
前記第1および第2のゲート電極の側面に保護絶縁膜を形成する工程と、
前記第1および第2のゲート電極を含む半導体領域全面上に層間絶縁膜を堆積する工程と、
前記第1および第2のゲート電極の間の半導体領域表面である不純物拡散領域と接続をとるためのコンタクトホールを形成する工程と、
前記第2のゲート電極の上面の前記ゲート保護絶縁膜を除去する工程と、
前記第2のゲート電極と前記不純物拡散領域との間を接続するシェアードコンタクトを形成する工程とを備えることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項6】
前記コンタクトホールを形成する工程の後に、前記不純物拡散領域にシリサイド層を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項7】
前記シリサイド層は、コバルトシリサイドからなることを特徴とする請求項6記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート電極層は、シリサイド層を含むことを特徴とする請求項5記載の半導体集積回路装置の製造方法。
【請求項9】
前記シリサイド層は、タングステンシリサイドからなることを特徴とする請求項8記載の半導体集積回路装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−176968(P2009−176968A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14303(P2008−14303)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】