回転電機
【課題】この発明に係る回転電機は、単一の固定子鉄心15に第1の3相Y−Δ混合巻線及び第2の3相Y−Δ混合巻線が巻装されており、高出力を確保しつつ、小型化を図る。
【解決手段】この発明に係る回転電機は、第1のΔ−U巻線部50a、第1のY−U巻線部53aは、同一のスロット15aに収納され、第1のΔ−V巻線部、第1のY−V巻線部は、同一のスロット15aに収納され、第1のΔ−W巻線部、第1のY−W巻線部は、同一のスロット15aに収納され、また第2のΔ−U巻線部50b、第2のY−U巻線部53bは、同一のスロット15aに収納され、第2のΔ−V巻線部、第2のY−V巻線部は、同一のスロット15aに収納され、第2のΔ−W巻線部52b、第2のY−W巻線部55bは、同一のスロット15aに収納されている。
【解決手段】この発明に係る回転電機は、第1のΔ−U巻線部50a、第1のY−U巻線部53aは、同一のスロット15aに収納され、第1のΔ−V巻線部、第1のY−V巻線部は、同一のスロット15aに収納され、第1のΔ−W巻線部、第1のY−W巻線部は、同一のスロット15aに収納され、また第2のΔ−U巻線部50b、第2のY−U巻線部53bは、同一のスロット15aに収納され、第2のΔ−V巻線部、第2のY−V巻線部は、同一のスロット15aに収納され、第2のΔ−W巻線部52b、第2のY−W巻線部55bは、同一のスロット15aに収納されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内燃機関により駆動され、乗用車やトラック等に搭載可能な回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用交流発電機においては、車両負荷の増大による発電出力の向上が求められているが、この発電出力の向上を図るためのものとして、2組の独立した3相固定子巻線を備えた車両用交流発電機が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−308751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このものの場合、シャフトの軸線方向に2組の固定子が配置されているので、軸線方向の寸法が大きくなってしまい、全体が大型化してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、高出力を確保しつつ、小型化を図ることができる回転電機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る回転電機は、軸線方向に延びた複数のスロットを有する固定子鉄心と、前記スロットに巻装された、第1の3相Y−Δ混合巻線及び第2の3相Y−Δ混合巻線とを備え、前記第1の3相Y−Δ混合巻線は、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第1のΔ結線部と、この第1のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部とを有し、前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、第2のΔ−U巻線部、第2のΔ−V巻線部及び第2のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第2のΔ結線部と、この第2のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第1のY−U巻線部、第1のY−V巻線部及び第1のY−W巻線部とを有し、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−W巻線部、前記第1のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納され、また、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−V巻線部、前記第2のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−W巻線部、前記第2のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納されている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る回転電機によれば、単一の固定子鉄心15に第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bが巻装されており、高出力を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図である。
【図2】図1の車両用交流発電機の固定子を示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】図1の車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を示す結線図である。
【図4】図1の車両用交流発電機における電気回路図である。
【図5】図1の固定子鉄心におけるスロット内の導体の配列状態を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2における車両用交流発電機の固定子鉄心のスロット内の導体の配列状態を示す断面図である。
【図7】図6のY結線導体の端部とΔ結線導体の端部との接合状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示したものと異なる箇所におけるY結線導体の端部とΔ結線導体の端部との接合状態を示す斜視図である。
【図9】図7に示したものと異なる接合状態を示す斜視図である。
【図10】図8に示したものと異なる接合状態を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態3における車両用交流発電機の固定子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明するが、各実施の形態において同一、同等部材、または部位については、同一符号を付して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図、図2は図1の固定子を示す部分斜視図、図3は図1の固定子巻線16の1相分の結線状態を示す結線図である。
【0011】
この車両用交流発電機では、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1及びリヤブラケット2から構成されたケース3内にシャフト6を介して回転自在に設けられている。界磁として働く回転子7の外周側には電機子として働く固定子8がケース3の内壁面に固着されて設けられている。シャフト6は、フロントブラケット1及びリヤブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端部にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。シャフト6の他端部には回転子7に電流を供給するスリップリング9が固着されている。このスリップリング9にはブラシホルダ11内に収納された一対のブラシ10が摺接するようになっている。
ブラシホルダ11にはヒートシンク17が嵌着されている。このヒートシンク17には固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ18が接着されている。また、ケース3内には固定子8と電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12が設けられている。
【0012】
回転子7は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆うように設けられ、回転子コイル13で発生した磁束によって磁極が形成される一対のポールコア20、21とから構成される。一対のポールコア20、21は、鉄製で、それぞれ8つの爪形状の爪状磁極22、23が外周縁に周方向に等角ピッチで突設され、それぞれの爪状磁極22、23がかみ合わせるように対向してシャフト6に固着されている。
この回転子7の軸線方向の両端面にはファン5が固着されている。フロントブラケット1及びリヤブラケット2の両端面には吸気孔1a、2aが形成されている。フロントブラケット1及びリヤブラケット2の両肩部には排気孔1b、2bが形成されている。
固定子8は、軸方向に延びるスロット15aが周方向に所定ピッチで複数形成された円筒状の積層鉄心からなる固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装された固定子巻線16と、各スロット15a内に装着されて固定子巻線16と固定子鉄心15とを電気的に絶縁するインシュレータ19とを備えている。
【0013】
固定子巻線16は、図4に示した電気回路図から分かるように、第1の3相Y−Δ混合巻線160aと第2の3相Y−Δ混合巻線160bとから構成されている。
第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bは、電気角で略30度の位相差を有して固定子鉄心15のスロット15aに巻装されている。
第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bから構成された固定子巻線部161は、図3に示した結線図から分かるように、1本の連続線30からなる第1乃至第6の巻線部31〜36から構成されている。
【0014】
第1の巻線部31は、導体である連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から1番目の位置(以下、1番地という)と内周側から2番目の位置(以下、2番地という)とを交互に採るように波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第2の巻線部32は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の2番地と1番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第3の巻線部33は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から3番目の位置(以下、3番地という)と内周側から4番目の位置(以下、4番地という)とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第4の巻線部34は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の4番地と3番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。第5の巻線部35は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から5番目の位置(以下、5番地という)と内周側から6番目の位置(以下、6番地という)とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第5の巻線部35は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の5番地と6番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第6の巻線部36は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の6番地と5番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
【0015】
各スロット15a内では、図5に示すように、導体である連続線30が矩形断面の長手方向を径方向に揃えて径方向に1列に6本並んで配列されている。
このように、第1乃至第6の巻線部31〜36を構成するそれぞれの連続線30は、1つのスロット15aから固定子鉄心15の端面側に延出し、折り返されて6スロット離れたスロット15aに入るように全節波巻きに巻装され、6スロット毎に、スロット15a内で、スロット深さ方向(径方向)に関して、内層と外層とを交互に採るように巻装されている。
また、固定子鉄心15の端面側に延出して折り返された連続線30の各ターン部30aがコイルエンド部を形成している。固定子鉄心15の両端側では、ほぼ同一形状に形成されたターン部30aが周方向に、かつ、径方向に互いに離間して、3列となって周方向に整然と配列されて、コイルエンド群16f、16rを形成している。
【0016】
この実施の形態では、スロット番号の61番と67番とから固定子鉄心15の一端側に延出した第2、第4及び第6の巻線部32、34、36の連続線30の部分が切断され、またスロット番号の67番と73番とから固定子鉄心15の一端側に延出した第1、第3及び第5の巻線部31、33、35の連続線30の部分が切断されて、第1の巻線部31の切断端部31aと第2の巻線部32の切断端部32bとが接合されて、第1及び第2の巻線部31、32が直列接続されてなる2ターンの第1の直列接続巻線部162aが形成されている。第1の巻線部31の切断端部31aと反対側の端部31b、及び第2の巻線部32の切断端部32bと反対側の端部32aは、固定子鉄心15から軸線方向に延出している。
同様に、第3の巻線部33の切断端部33aと第5の巻線部35の切断端部35bとが接合され、第4の巻線部34の切断端部34aと第6の巻線部36の切断端部36bとが接合され、さらに第5の巻線部35の切断端部35aと第4の巻線部34の切断端部34bとが接合され、第3、第4、第5及び第6の巻線部33、34、35、36が直列接続されてなる4ターンの第2の直列接続巻線部162bが形成されている。第3の巻線部33の切断端部33aと反対側の端部33b、及び第6の巻線部36の切断端部36bと反対側の端部36aは固定子鉄心15から軸線方向に延出している。
このようにして固定子巻線16の1相分が形成されているが、他の5相分についても、同様にして連続線30が巻装されるスロット15aを1ずつずらして形成されている。
【0017】
4ターンの各第2の直列接続巻線部162bは、図4に示したそれぞれの第1のΔ−U巻線部50a、第2のΔ−U巻線部50b、第1のΔ−V巻線部51a、第2のΔ−V巻線部51b、第1のΔ−W巻線部52a及び第2のΔ−W巻線部52bを構成している。
また、2ターンの各第1の直列接続巻線部162aは、それぞれ第1のY−U巻線部53a、第2のY−U巻線部53b、第1のY−V巻線部54a、第2のY−V巻線部54b、第1のY−W巻線部55a及び第2のY−W巻線部55bを構成している。
【0018】
第1の3相Y−Δ混合巻線160aは、第1のΔ−U巻線部50a、第1のΔ−V巻線部51a及び第1のΔ−W巻線部52aのそれぞれがΔ形に結線されて第1のΔ結線部が構成され、この第1のΔ結線部に、第2のY−U巻線部53b、第2のY−V巻線部54b及び第2のY−W巻線部55bがY形に結線されている。第2のY−U巻線部53b、第2のY−V巻線部54b及び第2のY−W巻線部55bのそれぞれの他端部は断面円形状の出力線70を介してそれぞれ整流器12に接続されている。
【0019】
第2の3相Y−Δ混合巻線160bは、第2のΔ−U巻線部50b、第2のΔ−V巻線部51b及び第2のΔ−W巻線部52bのそれぞれがΔ形に結線されて第2のΔ結線部が構成され、この第2のΔ結線部に、第1のY−U巻線部53a、第1のY−V巻線部54a及び第1のY−W巻線部55aがY形に結線されている。第1のY−U巻線部53a、第1のY−V巻線部54a及び第1のY−W巻線部55aのそれぞれの他端部は出力線70を介してそれぞれの整流器12に接続されている。
【0020】
第1のΔ−U巻線部50a及び第1のY−U巻線部53aは、図5に示すように、同一のスロット15aに収納されている。このスロット15aの右隣のスロット15aには、第2のΔ−U巻線部50b及び第2のY−U巻線部53bが同一のスロット15aに収納されている。
図5において、図示されていないが、各スロット15aには、時計方向において、さらに第1のΔ−V巻線部51a及び第1のY−V巻線部54a、第2のΔ−V巻線部51b及び第2のY−V巻線部54b、第1のΔ−W巻線部52a及び第1のY−W巻線部、第2のΔ−W巻線部52b及び第2のY−W巻線部55bが順次収納されている。
このように、各スロット15aには、第1の3相Y−Δ混合巻線160a、第2の3相Y−Δ混合巻線160bそれぞれ同相の巻線部が、U相、V相及びW相の順序で時計方向に収納されている。
【0021】
また、各スロット15a内では、図5に示すように、第1のY−U巻線部53a、第2のY−U巻線部53b、第1のY−V巻線部54a、第2のY−V巻線部54b、第1のY−W巻線部55a及び第2のY−W巻線部55bをそれぞれ構成するY結線導体は、第1のΔ−U巻線部50a、第2のΔ−U巻線部50b、第1のΔ−V巻線部51a、第2のΔ−V巻線部51b、第1のΔ−W巻線部52a及び第2のΔ−W巻線部52bをそれぞれ構成するΔ結線導体よりも、内径側に配置されている。
また、整流器12に接続された出力線70は、スロット15a内の最内層から延出されている。
【0022】
このように構成された車両用交流発電機では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10及びスリップリング9を介して回転子コイル13に供給され、磁束が発生される。この磁束により、一方のポールコア20の爪状磁極22がN極に着磁され、他方のポールコア21の爪状磁極23がS極に着磁される。一方、エンジンの回転トルクがベルト及びプーリを介してシャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこで、固定子巻線16に回転磁界が与えられ、固定子巻線16に起電力が発生する。この交流の起電力が整流器12を通って直流に整流されるとともに、合成された後その大きさがレギュレータ18により調整され、バッテリに充電される。
また、回転子7の軸線方向の両端面に固定された遠心ファン5の回転により、リヤブラケット2側においては、外気が吸気孔2aを通じて吸い込まれて整流器12、レギュレータ18を冷却し、その後ファン5により遠心方向に曲げられて固定子巻線16のコイルエンド群16rを冷却し、排気孔2bから外部に排出される。
また、フロントブラケット1側においては、外気が吸気孔1aを通じて吸い込まれた後ファン5により遠心方向に曲げられて固定子巻線16のコイルエンド群16fを冷却し、排気孔1bから外部に排出される。
【0023】
この実施の形態の車両用交流発電機によれば、単一の固定子鉄心15に第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bが巻装されており、複数の固定子を有する従来のものと異なり軸線方向の寸法を短縮することができ、車両用交流発電機は小型化される。また、従来必要とした固定子間にわたる配線作業は不要となり、配線作業は固定子巻線16のコイルエンド群16r上で簡単に行うことができる。
【0024】
また、第1の3相Y-Δ混合巻線160aと第2の3相Y-Δ混合巻線160bとはほぼ電気角で30度の位相差を有するように配置されており、磁気加振力の高調波成分5f、7fが相殺され、電磁音が低減される。
【0025】
また、固定子巻線部161は全節巻で構成されているので、完全に磁気加振力の高調波成分5f、7fが相殺され、電磁音が低減される。
なお、全ての巻線部を短節巻で構成し、全スロットにおける導体本数が等しくなるように構成しても同様の効果を奏する。
【0026】
また、第1の3相Y−Δ混合巻線160a、第2の3相Y−Δ混合巻線160bの交流出力がそれぞれ第1及び第2の整流器12により独立して整流された後、合成されて出力されるようになっているので、高出力の電力が得られる。
【0027】
また、Y結線導体とΔ結線導体の巻数比を1:√3にすれば、磁気加振力の高調波成分5f、7fは完全に相殺されるが、正確には1:√3に設定することが困難であり、Y結線された第1の直列接続巻線部162aが2ターン、Δ結線された第2の直列接続巻線部162bが4ターンとしている。
この実施の形態では、1:√3に近い整数比、つまり1:2の設定によって、一方の第1の3相Y−Δ混合巻線160aが故障した場合において、他方の第2の3相Y−Δ混合巻線160bの運転だけでも、磁気加振力の高調波成分5f、7fが相殺されるので、電磁音は低く、乗員に大きな不快感を与えない。
【0028】
また、連続線30は、6スロット毎に、スロット15a内で、スロット深さ方向(径方向)に関して、内層と外層とに交互に採るように波巻きに巻装されて巻線部31〜36が構成され、またそれぞれの巻線部31〜36においては、ターン数が偶数の、Δ結線導体及びY結線導体が分離されており巻線性がよい。
【0029】
また、各連続線30を長方形断面の長手方向を径方向に揃えてスロット15a内で配設されており、占積率が高く、発電機の出力効率が向上する。
【0030】
また、電流密度が高いY結線部の巻線部53a、53b、54a、54b、55a、55bが固定子鉄心15の内径側に配置され、ファン5に接近しているので、電流密度の高い、Y結線部の巻線部53a、53b、54a、54b、55a、55bは効率良く冷却され、固定子巻線16での温度分布の不均一を防止することができる。
【0031】
また、整流器12に接続された出力線70は、スロット15a内の最内層から延出されているので、出力線70とリヤブラケット2との距離が十分に確保でき、交流出力端である出力線70と接地となるリヤブラケット2との間の漏洩電流を防止でき、発錆あるいは電食を防ぐことができる。
なお、固定子鉄心15はアルミニウム製のフロントブラケット1、リヤブラケット2の内周側に嵌合しているので、電流密度が高い方Y結線部の導体を外径側に配置し、断面矩形状をした導体のうち最外径側に配置された3辺がインシュレータ19を介してスロット15aの内壁面とほぼ隙間なく密接してスロット内に収納するようにしてもよい。
この場合には、Y結線導体で生じた熱は、固定子鉄心、ブラケットを通じて外部に放出され、Y結線導体は効率よく冷却される。
【0032】
また、固定子鉄心の近傍でブラケットの外周面に放熱フィンを形成することで、導体の冷却効果をさらに向上させるようにしてもよい。
【0033】
実施の形態2.
図6がこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機の要部断面図である。
この実施の形態2の車両用交流発電機では、第1のΔ−U巻線部150a、第2のΔ−U巻線部150b、第1のΔ−V巻線部、第2のΔ−V巻線部、第1のΔ−W巻線部及び第2のΔ−W巻線部は、Δ結線導体である第1の連続線が2ターンされて構成されており、第1のY−U巻線部153a、第2のY−U巻線部153b、第1のY−V巻線部、第2のY−V巻線部、第1のY−W巻線部及び第2のY−W巻線部155bは、第1の連続線と断面積が異なる導体からなるY結線導体である第2の連続線が2ターンされて構成されている。
また、第2の連続線の導体の断面積は、第1の連続線の導体の断面積に対して、約√3倍になるように構成されている。
【0034】
この実施の形態2の車両用交流発電機では、Δ結線部での巻線部150a、150b、152bの発生電流の密度とY結線部での巻線部153a、153b、155bの発生電流の密度とはほぼ等しくなり、固定子巻線16の温度分布がほぼ均一化される。
また、Δ結線部にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部153b、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部155bそれぞれの端部132aは、固定子鉄心15軸線方向に直線状に延出しており、この端部132aの両面に、図7に示すように第1のΔ−U巻線部150b、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部それぞれの端部133b、136aが面接触により接合されている。
また、Δ結線部にY形に結線された他の箇所では、図8に示すように、端部132aの片面に、両端部133b、136aが面接触により接合されている。
なお、これらの接合は、無酸素銅で構成されたそれぞれの端部132a、133b、136aが、平面同士を接触した状態でTIG(tungsten inert gas)溶接で接合するようにしてもよい。
【0035】
このように、端部132a、133b、136a同士は面接触で融接接合しており、接触面積が大きいので、端部132a、133b、136aでの発熱を抑制することができる。
【0036】
また、第2のY−U巻線部153b、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部155bそれぞれの端部132aは、コイルエンド群16rから軸線方向に突出しており、被膜剥離により端部132aが損傷するようなことはない。
また、端部132aは端部133b、136aにより補強されており、端部132a、133b、136a同士は強固に結合されている。
【0037】
なお、図9、図10に示すように、端部132a、端部133b及び端部136aを薄い被膜を有した錫を付着させた炭素鋼鋼板からなる帯状のリング60で取り囲み、圧接により互いに強固に接合するようにしてもよい。
なお、断面四角形状の、端部133b及び端部136aを断面円形形状にしてもよい。この場合、断面円形形状の端部133b及び端部136aは任意の方向に折り曲げ変形が可能となり、それだけ配線接続の自由度が向上する。
【0038】
また、図7〜図10においては、Δ結線部と、第2のY−U巻線部153b、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部155bそれぞれの端部132aとの接合状態について説明したが、Δ結線部と、第1のY−U巻線部、第1のY−V巻線部及び第1のY−W巻線部それぞれの端部との間においても、同様の形態で接合される。
【0039】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機の要部断面図である。
この実施の形態3の車両用交流発電機では、固定子巻線16のうち内径側に配置されたY結線部のコイルエンドであるYコイルエンド部120aが外径側に配置されたΔ結線部のコイルエンドであるΔコイルエンド部120bよりも軸線方向において長い。
【0040】
このようにすることで、電流密度が高い方のYコイルエンド部120aは遠心ファン5に接近し、より冷却風の衝突流が増し、Y結線部はより効率よく冷却され、固定子巻線16の不均一な温度分布の発生を防止することができる。
【0041】
なお、上記各実施の形態では、各巻線部は、連続線で構成されているが、スロット内に収まる一対の直線部と、この直線部同士を連結した連結部と、直線部の先端部に設けられ固定子鉄心の一端面から突出したつなぎ部とからなるほぼU字状に形成された複数の導体セグメント同士を接続して巻線部を構成してもよい。
また、回転電機として車両用交流発電機について説明したが、この発明は、回転電機である電動機、発電電動機にも適用することができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 フロントブラケット、2 リヤブラケット、3 ケース、6 シャフト、7 回転子、8 固定子、12 整流器、15 固定子鉄心、15a スロット、16 固定子巻線、19 インシュレータ、30 連続線、31 第1の巻線部、32 第2の巻線部、33 第3の巻線部、34 第4の巻線部、35 第5の巻線部、36 第6の巻線部、50a 第1のΔ-U巻線部、50b 第2のΔ-U巻線部、51a 第1のΔ−V巻線部、51b 第2のΔ−V巻線部、52a 第1のΔ−W巻線部、52b 第2のΔ−W巻線部、53a 第1のY-U巻線部、53b 第2のY-U巻線部、54a 第1のY−V巻線部、54b 第2のY−V巻線部、55a 第1のY-W巻線部、55b 第2のY-W巻線部、70 出力線、150a 第1のΔ-U巻線部、150b 第2のΔ-U巻線部、153a 第1のY-U巻線部、153b 第2のY-U巻線部、155b 第2のY-W巻線部、160a 第1の3相Y-Δ混合巻線、160b 第2の3相Y-Δ混合巻線、161 固定子巻線部、162a 第1の直列接続巻線部、162b 第2の直列接続巻線部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内燃機関により駆動され、乗用車やトラック等に搭載可能な回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用交流発電機においては、車両負荷の増大による発電出力の向上が求められているが、この発電出力の向上を図るためのものとして、2組の独立した3相固定子巻線を備えた車両用交流発電機が示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−308751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このものの場合、シャフトの軸線方向に2組の固定子が配置されているので、軸線方向の寸法が大きくなってしまい、全体が大型化してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、高出力を確保しつつ、小型化を図ることができる回転電機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る回転電機は、軸線方向に延びた複数のスロットを有する固定子鉄心と、前記スロットに巻装された、第1の3相Y−Δ混合巻線及び第2の3相Y−Δ混合巻線とを備え、前記第1の3相Y−Δ混合巻線は、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第1のΔ結線部と、この第1のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部とを有し、前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、第2のΔ−U巻線部、第2のΔ−V巻線部及び第2のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第2のΔ結線部と、この第2のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第1のY−U巻線部、第1のY−V巻線部及び第1のY−W巻線部とを有し、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−W巻線部、前記第1のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納され、また、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−V巻線部、前記第2のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−W巻線部、前記第2のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納されている。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る回転電機によれば、単一の固定子鉄心15に第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bが巻装されており、高出力を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図である。
【図2】図1の車両用交流発電機の固定子を示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】図1の車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を示す結線図である。
【図4】図1の車両用交流発電機における電気回路図である。
【図5】図1の固定子鉄心におけるスロット内の導体の配列状態を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2における車両用交流発電機の固定子鉄心のスロット内の導体の配列状態を示す断面図である。
【図7】図6のY結線導体の端部とΔ結線導体の端部との接合状態を示す斜視図である。
【図8】図7に示したものと異なる箇所におけるY結線導体の端部とΔ結線導体の端部との接合状態を示す斜視図である。
【図9】図7に示したものと異なる接合状態を示す斜視図である。
【図10】図8に示したものと異なる接合状態を示す斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態3における車両用交流発電機の固定子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明するが、各実施の形態において同一、同等部材、または部位については、同一符号を付して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図、図2は図1の固定子を示す部分斜視図、図3は図1の固定子巻線16の1相分の結線状態を示す結線図である。
【0011】
この車両用交流発電機では、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1及びリヤブラケット2から構成されたケース3内にシャフト6を介して回転自在に設けられている。界磁として働く回転子7の外周側には電機子として働く固定子8がケース3の内壁面に固着されて設けられている。シャフト6は、フロントブラケット1及びリヤブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端部にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。シャフト6の他端部には回転子7に電流を供給するスリップリング9が固着されている。このスリップリング9にはブラシホルダ11内に収納された一対のブラシ10が摺接するようになっている。
ブラシホルダ11にはヒートシンク17が嵌着されている。このヒートシンク17には固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ18が接着されている。また、ケース3内には固定子8と電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12が設けられている。
【0012】
回転子7は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆うように設けられ、回転子コイル13で発生した磁束によって磁極が形成される一対のポールコア20、21とから構成される。一対のポールコア20、21は、鉄製で、それぞれ8つの爪形状の爪状磁極22、23が外周縁に周方向に等角ピッチで突設され、それぞれの爪状磁極22、23がかみ合わせるように対向してシャフト6に固着されている。
この回転子7の軸線方向の両端面にはファン5が固着されている。フロントブラケット1及びリヤブラケット2の両端面には吸気孔1a、2aが形成されている。フロントブラケット1及びリヤブラケット2の両肩部には排気孔1b、2bが形成されている。
固定子8は、軸方向に延びるスロット15aが周方向に所定ピッチで複数形成された円筒状の積層鉄心からなる固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装された固定子巻線16と、各スロット15a内に装着されて固定子巻線16と固定子鉄心15とを電気的に絶縁するインシュレータ19とを備えている。
【0013】
固定子巻線16は、図4に示した電気回路図から分かるように、第1の3相Y−Δ混合巻線160aと第2の3相Y−Δ混合巻線160bとから構成されている。
第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bは、電気角で略30度の位相差を有して固定子鉄心15のスロット15aに巻装されている。
第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bから構成された固定子巻線部161は、図3に示した結線図から分かるように、1本の連続線30からなる第1乃至第6の巻線部31〜36から構成されている。
【0014】
第1の巻線部31は、導体である連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から1番目の位置(以下、1番地という)と内周側から2番目の位置(以下、2番地という)とを交互に採るように波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第2の巻線部32は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の2番地と1番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第3の巻線部33は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から3番目の位置(以下、3番地という)と内周側から4番目の位置(以下、4番地という)とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第4の巻線部34は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の4番地と3番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。第5の巻線部35は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の内周側から5番目の位置(以下、5番地という)と内周側から6番目の位置(以下、6番地という)とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第5の巻線部35は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の5番地と6番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
第6の巻線部36は、連続線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットおきに、スロット15a内の6番地と5番地とを交互に採るように全節波巻きし、その連続線30の端部同士を接合して1ターンの全節波巻き巻線を構成している。
【0015】
各スロット15a内では、図5に示すように、導体である連続線30が矩形断面の長手方向を径方向に揃えて径方向に1列に6本並んで配列されている。
このように、第1乃至第6の巻線部31〜36を構成するそれぞれの連続線30は、1つのスロット15aから固定子鉄心15の端面側に延出し、折り返されて6スロット離れたスロット15aに入るように全節波巻きに巻装され、6スロット毎に、スロット15a内で、スロット深さ方向(径方向)に関して、内層と外層とを交互に採るように巻装されている。
また、固定子鉄心15の端面側に延出して折り返された連続線30の各ターン部30aがコイルエンド部を形成している。固定子鉄心15の両端側では、ほぼ同一形状に形成されたターン部30aが周方向に、かつ、径方向に互いに離間して、3列となって周方向に整然と配列されて、コイルエンド群16f、16rを形成している。
【0016】
この実施の形態では、スロット番号の61番と67番とから固定子鉄心15の一端側に延出した第2、第4及び第6の巻線部32、34、36の連続線30の部分が切断され、またスロット番号の67番と73番とから固定子鉄心15の一端側に延出した第1、第3及び第5の巻線部31、33、35の連続線30の部分が切断されて、第1の巻線部31の切断端部31aと第2の巻線部32の切断端部32bとが接合されて、第1及び第2の巻線部31、32が直列接続されてなる2ターンの第1の直列接続巻線部162aが形成されている。第1の巻線部31の切断端部31aと反対側の端部31b、及び第2の巻線部32の切断端部32bと反対側の端部32aは、固定子鉄心15から軸線方向に延出している。
同様に、第3の巻線部33の切断端部33aと第5の巻線部35の切断端部35bとが接合され、第4の巻線部34の切断端部34aと第6の巻線部36の切断端部36bとが接合され、さらに第5の巻線部35の切断端部35aと第4の巻線部34の切断端部34bとが接合され、第3、第4、第5及び第6の巻線部33、34、35、36が直列接続されてなる4ターンの第2の直列接続巻線部162bが形成されている。第3の巻線部33の切断端部33aと反対側の端部33b、及び第6の巻線部36の切断端部36bと反対側の端部36aは固定子鉄心15から軸線方向に延出している。
このようにして固定子巻線16の1相分が形成されているが、他の5相分についても、同様にして連続線30が巻装されるスロット15aを1ずつずらして形成されている。
【0017】
4ターンの各第2の直列接続巻線部162bは、図4に示したそれぞれの第1のΔ−U巻線部50a、第2のΔ−U巻線部50b、第1のΔ−V巻線部51a、第2のΔ−V巻線部51b、第1のΔ−W巻線部52a及び第2のΔ−W巻線部52bを構成している。
また、2ターンの各第1の直列接続巻線部162aは、それぞれ第1のY−U巻線部53a、第2のY−U巻線部53b、第1のY−V巻線部54a、第2のY−V巻線部54b、第1のY−W巻線部55a及び第2のY−W巻線部55bを構成している。
【0018】
第1の3相Y−Δ混合巻線160aは、第1のΔ−U巻線部50a、第1のΔ−V巻線部51a及び第1のΔ−W巻線部52aのそれぞれがΔ形に結線されて第1のΔ結線部が構成され、この第1のΔ結線部に、第2のY−U巻線部53b、第2のY−V巻線部54b及び第2のY−W巻線部55bがY形に結線されている。第2のY−U巻線部53b、第2のY−V巻線部54b及び第2のY−W巻線部55bのそれぞれの他端部は断面円形状の出力線70を介してそれぞれ整流器12に接続されている。
【0019】
第2の3相Y−Δ混合巻線160bは、第2のΔ−U巻線部50b、第2のΔ−V巻線部51b及び第2のΔ−W巻線部52bのそれぞれがΔ形に結線されて第2のΔ結線部が構成され、この第2のΔ結線部に、第1のY−U巻線部53a、第1のY−V巻線部54a及び第1のY−W巻線部55aがY形に結線されている。第1のY−U巻線部53a、第1のY−V巻線部54a及び第1のY−W巻線部55aのそれぞれの他端部は出力線70を介してそれぞれの整流器12に接続されている。
【0020】
第1のΔ−U巻線部50a及び第1のY−U巻線部53aは、図5に示すように、同一のスロット15aに収納されている。このスロット15aの右隣のスロット15aには、第2のΔ−U巻線部50b及び第2のY−U巻線部53bが同一のスロット15aに収納されている。
図5において、図示されていないが、各スロット15aには、時計方向において、さらに第1のΔ−V巻線部51a及び第1のY−V巻線部54a、第2のΔ−V巻線部51b及び第2のY−V巻線部54b、第1のΔ−W巻線部52a及び第1のY−W巻線部、第2のΔ−W巻線部52b及び第2のY−W巻線部55bが順次収納されている。
このように、各スロット15aには、第1の3相Y−Δ混合巻線160a、第2の3相Y−Δ混合巻線160bそれぞれ同相の巻線部が、U相、V相及びW相の順序で時計方向に収納されている。
【0021】
また、各スロット15a内では、図5に示すように、第1のY−U巻線部53a、第2のY−U巻線部53b、第1のY−V巻線部54a、第2のY−V巻線部54b、第1のY−W巻線部55a及び第2のY−W巻線部55bをそれぞれ構成するY結線導体は、第1のΔ−U巻線部50a、第2のΔ−U巻線部50b、第1のΔ−V巻線部51a、第2のΔ−V巻線部51b、第1のΔ−W巻線部52a及び第2のΔ−W巻線部52bをそれぞれ構成するΔ結線導体よりも、内径側に配置されている。
また、整流器12に接続された出力線70は、スロット15a内の最内層から延出されている。
【0022】
このように構成された車両用交流発電機では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10及びスリップリング9を介して回転子コイル13に供給され、磁束が発生される。この磁束により、一方のポールコア20の爪状磁極22がN極に着磁され、他方のポールコア21の爪状磁極23がS極に着磁される。一方、エンジンの回転トルクがベルト及びプーリを介してシャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこで、固定子巻線16に回転磁界が与えられ、固定子巻線16に起電力が発生する。この交流の起電力が整流器12を通って直流に整流されるとともに、合成された後その大きさがレギュレータ18により調整され、バッテリに充電される。
また、回転子7の軸線方向の両端面に固定された遠心ファン5の回転により、リヤブラケット2側においては、外気が吸気孔2aを通じて吸い込まれて整流器12、レギュレータ18を冷却し、その後ファン5により遠心方向に曲げられて固定子巻線16のコイルエンド群16rを冷却し、排気孔2bから外部に排出される。
また、フロントブラケット1側においては、外気が吸気孔1aを通じて吸い込まれた後ファン5により遠心方向に曲げられて固定子巻線16のコイルエンド群16fを冷却し、排気孔1bから外部に排出される。
【0023】
この実施の形態の車両用交流発電機によれば、単一の固定子鉄心15に第1の3相Y−Δ混合巻線160a及び第2の3相Y−Δ混合巻線160bが巻装されており、複数の固定子を有する従来のものと異なり軸線方向の寸法を短縮することができ、車両用交流発電機は小型化される。また、従来必要とした固定子間にわたる配線作業は不要となり、配線作業は固定子巻線16のコイルエンド群16r上で簡単に行うことができる。
【0024】
また、第1の3相Y-Δ混合巻線160aと第2の3相Y-Δ混合巻線160bとはほぼ電気角で30度の位相差を有するように配置されており、磁気加振力の高調波成分5f、7fが相殺され、電磁音が低減される。
【0025】
また、固定子巻線部161は全節巻で構成されているので、完全に磁気加振力の高調波成分5f、7fが相殺され、電磁音が低減される。
なお、全ての巻線部を短節巻で構成し、全スロットにおける導体本数が等しくなるように構成しても同様の効果を奏する。
【0026】
また、第1の3相Y−Δ混合巻線160a、第2の3相Y−Δ混合巻線160bの交流出力がそれぞれ第1及び第2の整流器12により独立して整流された後、合成されて出力されるようになっているので、高出力の電力が得られる。
【0027】
また、Y結線導体とΔ結線導体の巻数比を1:√3にすれば、磁気加振力の高調波成分5f、7fは完全に相殺されるが、正確には1:√3に設定することが困難であり、Y結線された第1の直列接続巻線部162aが2ターン、Δ結線された第2の直列接続巻線部162bが4ターンとしている。
この実施の形態では、1:√3に近い整数比、つまり1:2の設定によって、一方の第1の3相Y−Δ混合巻線160aが故障した場合において、他方の第2の3相Y−Δ混合巻線160bの運転だけでも、磁気加振力の高調波成分5f、7fが相殺されるので、電磁音は低く、乗員に大きな不快感を与えない。
【0028】
また、連続線30は、6スロット毎に、スロット15a内で、スロット深さ方向(径方向)に関して、内層と外層とに交互に採るように波巻きに巻装されて巻線部31〜36が構成され、またそれぞれの巻線部31〜36においては、ターン数が偶数の、Δ結線導体及びY結線導体が分離されており巻線性がよい。
【0029】
また、各連続線30を長方形断面の長手方向を径方向に揃えてスロット15a内で配設されており、占積率が高く、発電機の出力効率が向上する。
【0030】
また、電流密度が高いY結線部の巻線部53a、53b、54a、54b、55a、55bが固定子鉄心15の内径側に配置され、ファン5に接近しているので、電流密度の高い、Y結線部の巻線部53a、53b、54a、54b、55a、55bは効率良く冷却され、固定子巻線16での温度分布の不均一を防止することができる。
【0031】
また、整流器12に接続された出力線70は、スロット15a内の最内層から延出されているので、出力線70とリヤブラケット2との距離が十分に確保でき、交流出力端である出力線70と接地となるリヤブラケット2との間の漏洩電流を防止でき、発錆あるいは電食を防ぐことができる。
なお、固定子鉄心15はアルミニウム製のフロントブラケット1、リヤブラケット2の内周側に嵌合しているので、電流密度が高い方Y結線部の導体を外径側に配置し、断面矩形状をした導体のうち最外径側に配置された3辺がインシュレータ19を介してスロット15aの内壁面とほぼ隙間なく密接してスロット内に収納するようにしてもよい。
この場合には、Y結線導体で生じた熱は、固定子鉄心、ブラケットを通じて外部に放出され、Y結線導体は効率よく冷却される。
【0032】
また、固定子鉄心の近傍でブラケットの外周面に放熱フィンを形成することで、導体の冷却効果をさらに向上させるようにしてもよい。
【0033】
実施の形態2.
図6がこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機の要部断面図である。
この実施の形態2の車両用交流発電機では、第1のΔ−U巻線部150a、第2のΔ−U巻線部150b、第1のΔ−V巻線部、第2のΔ−V巻線部、第1のΔ−W巻線部及び第2のΔ−W巻線部は、Δ結線導体である第1の連続線が2ターンされて構成されており、第1のY−U巻線部153a、第2のY−U巻線部153b、第1のY−V巻線部、第2のY−V巻線部、第1のY−W巻線部及び第2のY−W巻線部155bは、第1の連続線と断面積が異なる導体からなるY結線導体である第2の連続線が2ターンされて構成されている。
また、第2の連続線の導体の断面積は、第1の連続線の導体の断面積に対して、約√3倍になるように構成されている。
【0034】
この実施の形態2の車両用交流発電機では、Δ結線部での巻線部150a、150b、152bの発生電流の密度とY結線部での巻線部153a、153b、155bの発生電流の密度とはほぼ等しくなり、固定子巻線16の温度分布がほぼ均一化される。
また、Δ結線部にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部153b、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部155bそれぞれの端部132aは、固定子鉄心15軸線方向に直線状に延出しており、この端部132aの両面に、図7に示すように第1のΔ−U巻線部150b、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部それぞれの端部133b、136aが面接触により接合されている。
また、Δ結線部にY形に結線された他の箇所では、図8に示すように、端部132aの片面に、両端部133b、136aが面接触により接合されている。
なお、これらの接合は、無酸素銅で構成されたそれぞれの端部132a、133b、136aが、平面同士を接触した状態でTIG(tungsten inert gas)溶接で接合するようにしてもよい。
【0035】
このように、端部132a、133b、136a同士は面接触で融接接合しており、接触面積が大きいので、端部132a、133b、136aでの発熱を抑制することができる。
【0036】
また、第2のY−U巻線部153b、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部155bそれぞれの端部132aは、コイルエンド群16rから軸線方向に突出しており、被膜剥離により端部132aが損傷するようなことはない。
また、端部132aは端部133b、136aにより補強されており、端部132a、133b、136a同士は強固に結合されている。
【0037】
なお、図9、図10に示すように、端部132a、端部133b及び端部136aを薄い被膜を有した錫を付着させた炭素鋼鋼板からなる帯状のリング60で取り囲み、圧接により互いに強固に接合するようにしてもよい。
なお、断面四角形状の、端部133b及び端部136aを断面円形形状にしてもよい。この場合、断面円形形状の端部133b及び端部136aは任意の方向に折り曲げ変形が可能となり、それだけ配線接続の自由度が向上する。
【0038】
また、図7〜図10においては、Δ結線部と、第2のY−U巻線部153b、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部155bそれぞれの端部132aとの接合状態について説明したが、Δ結線部と、第1のY−U巻線部、第1のY−V巻線部及び第1のY−W巻線部それぞれの端部との間においても、同様の形態で接合される。
【0039】
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機の要部断面図である。
この実施の形態3の車両用交流発電機では、固定子巻線16のうち内径側に配置されたY結線部のコイルエンドであるYコイルエンド部120aが外径側に配置されたΔ結線部のコイルエンドであるΔコイルエンド部120bよりも軸線方向において長い。
【0040】
このようにすることで、電流密度が高い方のYコイルエンド部120aは遠心ファン5に接近し、より冷却風の衝突流が増し、Y結線部はより効率よく冷却され、固定子巻線16の不均一な温度分布の発生を防止することができる。
【0041】
なお、上記各実施の形態では、各巻線部は、連続線で構成されているが、スロット内に収まる一対の直線部と、この直線部同士を連結した連結部と、直線部の先端部に設けられ固定子鉄心の一端面から突出したつなぎ部とからなるほぼU字状に形成された複数の導体セグメント同士を接続して巻線部を構成してもよい。
また、回転電機として車両用交流発電機について説明したが、この発明は、回転電機である電動機、発電電動機にも適用することができるのは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 フロントブラケット、2 リヤブラケット、3 ケース、6 シャフト、7 回転子、8 固定子、12 整流器、15 固定子鉄心、15a スロット、16 固定子巻線、19 インシュレータ、30 連続線、31 第1の巻線部、32 第2の巻線部、33 第3の巻線部、34 第4の巻線部、35 第5の巻線部、36 第6の巻線部、50a 第1のΔ-U巻線部、50b 第2のΔ-U巻線部、51a 第1のΔ−V巻線部、51b 第2のΔ−V巻線部、52a 第1のΔ−W巻線部、52b 第2のΔ−W巻線部、53a 第1のY-U巻線部、53b 第2のY-U巻線部、54a 第1のY−V巻線部、54b 第2のY−V巻線部、55a 第1のY-W巻線部、55b 第2のY-W巻線部、70 出力線、150a 第1のΔ-U巻線部、150b 第2のΔ-U巻線部、153a 第1のY-U巻線部、153b 第2のY-U巻線部、155b 第2のY-W巻線部、160a 第1の3相Y-Δ混合巻線、160b 第2の3相Y-Δ混合巻線、161 固定子巻線部、162a 第1の直列接続巻線部、162b 第2の直列接続巻線部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びた複数のスロットを有する固定子鉄心と、
前記スロットに巻装された、第1の3相Y−Δ混合巻線及び第2の3相Y−Δ混合巻線とを備え、
前記第1の3相Y−Δ混合巻線は、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第1のΔ結線部と、この第1のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部とを有し、
前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、第2のΔ−U巻線部、第2のΔ−V巻線部及び第2のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第2のΔ結線部と、この第2のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第1のY−U巻線部、第1のY−V巻線部及び第1のY−W巻線部とを有し、
前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−W巻線部、前記第1のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納され、
また、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−V巻線部、前記第2のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−W巻線部、前記第2のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納されている回転電機。
【請求項2】
前記第1の3相Y−Δ混合巻線及び前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、電気角で略30度の位相差を有して前記固定子鉄心の前記スロットに巻装されている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
各前記巻線部は、導体を全節巻で構成され、かつ各前記スロットともそれぞれ同数本の導体が収納されている請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1の3相Y−Δ混合巻線及び前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、それぞれ個別に整流器に電気的に接続されている請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部の各導体の巻回数と、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部の各導体の巻回数との比は、1:2である請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
各前記巻線部は、導体の巻回数が偶数である請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記固定子の内側に回転可能に設けられた回転子の端面には前記固定子巻線を冷却するファンが取り付けられており、
各前記スロット内では、前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部を構成する各Y結線導体は、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部を構成する各Δ結線導体よりも内径側に配置されている請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項8】
各前記スロット内では、前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部を構成する各Y結線導体は、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部を構成するΔ結線導体よりも外径側に配置され、
最外径側に配置された断面矩形状の前記Y結線導体の3辺がインシュレータを介して内壁面と密接して前記スロット内に収納されている請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部の各端部は、前記スロット内の最内径側から延出しており、この各端部が出力線を介して前記固定子の内径側に設けられた整流器と電気的に接続されている請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記出力線は、断面円形形状である請求項9に記載の回転電機。
【請求項11】
前記第1のΔ結線部にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部それぞれの端部は、前記固定子鉄心から軸線方向に直線状に延出しているとともに、断面形状が矩形状であり、またこの端部にそれぞれ接続された、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部それぞれの端部は断面形状が矩形状であり、これらの前記端部同士は面接触により接合されている請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項12】
前記第1のΔ結線部にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部それぞれの端部は、前記固定子鉄心から軸線方向に直線状に延出しているとともに、断面形状が矩形状であり、またこの端部にそれぞれ接続された、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部それぞれの端部は断面形状が円形状であり、これらの前記端部同士は接合されている請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項13】
それぞれの前記端部は、錫が被膜された炭素鋼鋼板からなるリングで囲まれ、このリングの押圧により、それぞれの前記端部は接合されている請求項11又は請求項12に記載の回転電機。
【請求項14】
前記固定子の内側に回転可能に設けられた回転子の端面には前記固定子巻線を冷却するファンが取り付けられており、
前記固定子鉄心の両端面から軸線方向に延出した、前記固定子巻線のコイルエンドは、前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部のコイルエンド部であるYコイルエンド部と、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部のコイルエンド部であるΔコイルエンド部とから構成され、
前記Yコイルエンド部の軸線方向の長さは、前記Δコイルエンド部の軸線方向の長さよりも長い請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項1】
軸線方向に延びた複数のスロットを有する固定子鉄心と、
前記スロットに巻装された、第1の3相Y−Δ混合巻線及び第2の3相Y−Δ混合巻線とを備え、
前記第1の3相Y−Δ混合巻線は、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第1のΔ結線部と、この第1のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部とを有し、
前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、第2のΔ−U巻線部、第2のΔ−V巻線部及び第2のΔ−W巻線部のそれぞれの巻き終わり端同士を接続してΔ形に結線された第2のΔ結線部と、この第2のΔ結線部の巻き終わり端にそれぞれY形に結線された、第1のY−U巻線部、第1のY−V巻線部及び第1のY−W巻線部とを有し、
前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第1のΔ−W巻線部、前記第1のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納され、
また、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のY−U巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−V巻線部、前記第2のY−V巻線部は、同一の前記スロットに収納され、前記第2のΔ−W巻線部、前記第2のY−W巻線部は、同一の前記スロットに収納されている回転電機。
【請求項2】
前記第1の3相Y−Δ混合巻線及び前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、電気角で略30度の位相差を有して前記固定子鉄心の前記スロットに巻装されている請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
各前記巻線部は、導体を全節巻で構成され、かつ各前記スロットともそれぞれ同数本の導体が収納されている請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1の3相Y−Δ混合巻線及び前記第2の3相Y−Δ混合巻線は、それぞれ個別に整流器に電気的に接続されている請求項3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部の各導体の巻回数と、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部の各導体の巻回数との比は、1:2である請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項6】
各前記巻線部は、導体の巻回数が偶数である請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記固定子の内側に回転可能に設けられた回転子の端面には前記固定子巻線を冷却するファンが取り付けられており、
各前記スロット内では、前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部を構成する各Y結線導体は、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部を構成する各Δ結線導体よりも内径側に配置されている請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項8】
各前記スロット内では、前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部を構成する各Y結線導体は、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部を構成するΔ結線導体よりも外径側に配置され、
最外径側に配置された断面矩形状の前記Y結線導体の3辺がインシュレータを介して内壁面と密接して前記スロット内に収納されている請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部の各端部は、前記スロット内の最内径側から延出しており、この各端部が出力線を介して前記固定子の内径側に設けられた整流器と電気的に接続されている請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記出力線は、断面円形形状である請求項9に記載の回転電機。
【請求項11】
前記第1のΔ結線部にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部それぞれの端部は、前記固定子鉄心から軸線方向に直線状に延出しているとともに、断面形状が矩形状であり、またこの端部にそれぞれ接続された、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部それぞれの端部は断面形状が矩形状であり、これらの前記端部同士は面接触により接合されている請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項12】
前記第1のΔ結線部にそれぞれY形に結線された、第2のY−U巻線部、第2のY−V巻線部及び第2のY−W巻線部それぞれの端部は、前記固定子鉄心から軸線方向に直線状に延出しているとともに、断面形状が矩形状であり、またこの端部にそれぞれ接続された、第1のΔ−U巻線部、第1のΔ−V巻線部及び第1のΔ−W巻線部それぞれの端部は断面形状が円形状であり、これらの前記端部同士は接合されている請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載の回転電機。
【請求項13】
それぞれの前記端部は、錫が被膜された炭素鋼鋼板からなるリングで囲まれ、このリングの押圧により、それぞれの前記端部は接合されている請求項11又は請求項12に記載の回転電機。
【請求項14】
前記固定子の内側に回転可能に設けられた回転子の端面には前記固定子巻線を冷却するファンが取り付けられており、
前記固定子鉄心の両端面から軸線方向に延出した、前記固定子巻線のコイルエンドは、前記第1のY−U巻線部、前記第1のY−V巻線部、前記第1のY−W巻線部、前記第2のY−U巻線部、前記第2のY−V巻線部及び前記第2のY−W巻線部のコイルエンド部であるYコイルエンド部と、前記第1のΔ−U巻線部、前記第1のΔ−V巻線部、前記第1のΔ−W巻線部、前記第2のΔ−U巻線部、前記第2のΔ−V巻線部及び前記第2のΔ−W巻線部のコイルエンド部であるΔコイルエンド部とから構成され、
前記Yコイルエンド部の軸線方向の長さは、前記Δコイルエンド部の軸線方向の長さよりも長い請求項1ないし請求項13の何れか1項に記載の回転電機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−178622(P2010−178622A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86142(P2010−86142)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2006−519134(P2006−519134)の分割
【原出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2006−519134(P2006−519134)の分割
【原出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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