説明

圧電発振器の製造方法及び圧電発振器

【課題】 本発明は、外部電極を介して圧電振動片の振動特性が測定される圧電発振器の製造方法を提供する。
【解決手段】 圧電発振器の製造方法は、圧電振動片10を用意する工程と、圧電端子21及び回路端子22を有し圧電振動片を発振させる電子回路素子20を用意する工程と、電子回路素子が載置される第1載置部及び第2載置部と圧電発振器が実装される側の底面と、キャビティ31と外部電極34と第1電極36aと第2電極36bと、第1電極と第2電極とを電気的に接続する第3電極36cとを有するパッケージを用意する工程と、電子回路素子をキャビティ内に載置し圧電振動片をキャビティ内に載置する載置工程と、外部電極から第1電極、第3電極及び第2電極を経由して圧電振動片の振動特性を測定する測定工程と、測定工程の後に第3電極にレーザー光を照射して第3電極の一部を切断する切断工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片と電子回路素子とがパッケージ内に載置された圧電発振器の製造方法及び圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
箱形形状のパッケージ内に圧電振動片及び電子回路素子が載置された圧電発振器が知られている。このような圧電発振器では、圧電振動片及び電子回路素子をパッケージ内に載置する際、及びパッケージ内をリッドで密封する際等に発生する応力により圧電振動片のクリスタルインピーダンス値及び振動周波数等の振動特性が変化する場合がある。そのため、圧電振動片及び電子回路素子をパッケージ内に載置した後、及びパッケージ内を密封した後に圧電振動片の振動特性が測定され、その値が適正範囲にあるかどうかが確認される。
【0003】
圧電振動片の振動特性の測定は、パッケージの外側側面に形成される側面電極を通して行われる。例えば特許文献1に示される温度補償水晶発振器では、容器本体の側面に水晶振動子と電気的に接続されている水晶検査端子が形成されており、この水晶検査端子を通して水晶振動子の振動特性が測定されている。
【0004】
しかし、圧電発振器のパッケージの外側側面に水晶検査端子等の側面電極が形成されている場合、圧電発振器内のキャビティが狭くなり搭載する圧電振動片及び電子回路素子の大きさを小さくしなければならない。また、側面電極は圧電振動片の振動特性を検査するためだけの電極であり、圧電発振器の動作には不要であった。さらに側面電極は、浮遊容量発生原因となり、圧電振動片の振動周波数に影響を及ぼすという問題があった。
【0005】
上記の問題を解決するため、側面電極を形成しない圧電発振器が特許文献2に開示されている。特許文献2では、電子回路素子内に切換回路を形成し、切換回路のスイッチを切り替えることにより外部電極と圧電振動片とを電気的に直接接続させ、外部電極を介して圧電振動片の振動特性を測定する圧電発振器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−142869号公報
【特許文献2】特開2009−201097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に開示された圧電発振器は切換回路を有する特定の電子回路素子を使用しなければならず、コストが高くなる問題がある。
【0008】
そこで本発明は、外部電極を介して圧電振動片の振動特性が測定され、コストが低い圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1観点の圧電発振器の製造方法は、両主面に形成された励振電極と励振電極に電気的に接続される引出電極とを有し所定の振動周波数で振動する圧電振動片を用意する工程と、圧電端子及び回路端子を有し圧電振動片を発振させる電子回路素子を用意する工程と、電子回路素子が載置される第1載置部及び第2載置部と圧電発振器が実装される側の底面と、圧電振動片及び電子回路素子を収納するキャビティと底面に形成される外部電極と第1載置部と外部電極とを電気的に接続する第1電極と第2載置部から伸びた第2電極と第1電極と第2電極とを電気的に接続する第3電極とを有するパッケージを用意する工程と、回路端子が第1載置部に載置され圧電端子が第2載置部に載置されるように電子回路素子をキャビティ内に載置し引出電極が第2電極に電気的に接続されるように圧電振動片をキャビティ内に載置する載置工程と、外部電極から第1電極、第3電極及び第2電極を経由して圧電振動片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、測定工程の後に第3電極にレーザー光を照射して第3電極の一部を切断する切断工程と、を含む。
【0010】
第2観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点において、載置工程の後に、キャビティを封止するようにパッケージにリッドが接合される工程を有し、パッケージの底面又はリッドの少なくとも一方が、レーザー光が透過する材料により形成されている。
【0011】
第3観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点または第2観点において、切断工程の後に、外部電極を経由して圧電発振器の動作を確認する工程を有する。
【0012】
第4観点の圧電発振器の製造方法は、第1観点から第3観点のいずれか一項において、圧電振動片を用意する工程では複数の圧電振動片が同時に形成される第1ウエハが用いられ、パッケージを用意する工程では複数のパッケージが同時に形成される第2ウエハが用いられる。
【0013】
第5観点の圧電発振器の製造方法は、第4観点において、圧電振動片は、励振電極が形成された振動部と振動部を囲む枠体とを有する。
【0014】
第6観点の圧電発振器は、表面実装型の圧電発振器であって、両主面に形成された励振電極と励振電極に電気的に接続される引出電極とを有し所定の振動周波数で振動する圧電振動片と、圧電振動片を発振させ圧電振動片の励振電極と電気的に接続される圧電端子及び回路端子を有する電子回路素子と、圧電振動片及び電子回路素子を収納するキャビティと、圧電発振器が実装される側の底面と底面に形成された外部電極とキャビティに形成され回路端子と外部電極とを電気的に接続する第1電極と圧電端子と引出電極とを電気的に接続する第2電極と第1電極及び第2電極の一方から他方に伸び途中で切れていた第3電極とを有するパッケージと、パッケージのキャビティを密封するリッドと、を備える。パッケージの底面又はリッドの少なくとも一方が、レーザー光が透過する材料により形成されている。
【0015】
第7観点の圧電発振器は、第6観点において、第3電極が切れている領域は、パッケージの底面又はリッドの少なくとも一方を透過したレーザー光が照射される領域を含む。
【0016】
第8観点の圧電発振器は、第6観点又は第7観点において、キャビティは、圧電振動片を収納しリッドにより封止される第1キャビティと電子回路素子を収納し底面により封止される第2キャビティとから構成され、第1キャビティと第2キャビティとの間を分ける中間層が形成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部電極を介して圧電振動片の振動特性が測定される圧電発振器の製造方法及び圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】圧電発振器100の断面図である。
【図2】(a)は、圧電振動片10の平面図である。 (b)は、電子回路素子20の平面図である。 (c)は、パッケージ30の平面図である。
【図3】(a)は、第1層32aの平面図である。 (b)は、第2層32bの平面図である。
【図4】(a)は、第3層32cの平面図である。 (b)は、リッド40の平面図である。
【図5】圧電発振器100の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、第1層32aと第1層32aの上に配置された電子回路素子20との接続関係を示した図である。 (b)は、電子回路素子20の回路図である。
【図7】圧電発振器200の断面図である。
【図8】(a)は、第1層132aの平面図である。 (b)は、第2層132bの平面図である。
【図9】(a)は、第3層132cの平面図である。 (b)は、第4層132dの平面図である。
【図10】圧電発振器300の断面図である。
【図11】(a)は、圧電発振器300の第1層232aの平面図である。 (b)は、圧電発振器300の第2層232bの平面図である。
【図12】圧電発振器300の第3層232cの平面図である。
【図13】圧電発振器400の分解斜視図である。
【図14】圧電発振器500の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
<圧電発振器100の構成>
図1は、圧電発振器100の断面図である。また図1は後述する図2(c)、図3及び図4のB−B断面における断面図である。圧電発振器100は、表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて使用される。圧電発振器100は主に、圧電振動片10と、電子回路素子20と、パッケージ30と、リッド40とにより構成されている。図1では、図2(c)、図3及び図4のB−B断面上に形成されない圧電振動片10及び電子回路素子20の一部が点線で示されている。圧電発振器100では、圧電振動片10に例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電発振器100において圧電発振器100の長手方向をX軸方向、圧電発振器100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0021】
セラミックなどの絶縁体からなるパッケージ30は箱型形状に形成されており、圧電発振器100が実装される側の底面には外部電極34が形成されている。また、パッケージ30には圧電振動片10及び電子回路素子20を収納するキャビティ31が形成されている。電子回路素子20は、−Y’軸側の面に圧電振動片10に電気的に接続される圧電端子21と、外部電極34と電気的に接続される回路端子22とが形成されている。リッド40はキャビティ31を密封するように封止材41を介してパッケージ30の+Y’軸側の面に接合されている。
【0022】
パッケージ30は、パッケージ30の底面を形成する第1層32aと、第1層32aの+Y’軸側に配置される第2層32bと、第2層32bの+Y’軸側に配置される第3層32cとの3つの層により形成されている。第1層32aの−Y’軸側の面である圧電発振器100が実装される側の面には、外部電極34が形成されている。また第1層32aには、第1層32aの+Y’軸側の面から第1層32aを貫通する貫通部37aを通り外部電極34まで電気的に接続されている第1電極36aが形成されている。第1電極36aは、第1層32aの+Y’軸側の面に電子回路素子20が載置される電子回路素子載置部33aを有している(図3(a)を参照)。電子回路素子載置部33aは金属バンプ52を介して電子回路素子20の回路端子22と電気的に接続されている。また第2層32bには、第1層32aの+Y’軸側の面から第2層32bを貫通する貫通部37bを通り第2層32bの+Y’軸側の面まで電気的に接続されている第2電極36bが形成されている。第2電極36bは第1層32aの+Y’軸側の面に電子回路素子20が載置される電子回路素子載置部33bを有しており(図3(a)及び図3(b)を参照)、電子回路素子載置部33bは金属バンプ52を介して電子回路素子20の圧電端子21と電気的に接続されている。また第2電極36bは、第2層32bの+Y’軸側の面に圧電振動片10が載置される圧電振動片載置部35を有している。圧電振動片10は、導電性接着剤51を介して圧電振動片載置部35に載置され、圧電振動片載置部35と電気的に接続されている。第1層32aの+Y’軸側の面には第1電極36aと第2電極36bとを電気的に接続する第3電極36cが形成されている。パッケージ30に形成されるキャビティ31は、リッド40により密封されている。リッド40は封止材41を介してパッケージ30の+Y’軸側の面と接合されている。
【0023】
図2(a)は、圧電振動片10の平面図である。圧電振動片10は、例えばATカットの水晶振動片であり、+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の中央には励振電極11が形成されている。また、圧電振動片10の−X軸側の+Z’軸側及び−Z’軸側には引出電極12が形成されており、+Y’軸側の面に形成された励振電極11は、+Z’軸側の引出電極12に電気的に接続され、−Y’軸側の面に形成された励振電極11は、−Z’軸側の引出電極12に電気的に接続されている。圧電振動片10は各引出電極12において第2電極36bの圧電振動片載置部35と導電性接着剤51を介して接合される。
【0024】
図2(b)は、電子回路素子20の平面図である。電子回路素子20は圧電振動片10と電気的に接続されて発振回路が形成される。電子回路素子20は、−Y’軸側の面に4つの回路端子22と2つの圧電端子21とが形成されている。図1に示されるように、圧電端子21はパッケージ30の第2電極36bの電子回路素子載置部33bに金属バンプ52を介して電気的に接続され、回路端子22は第1電極36aの電子回路素子載置部33aに金属バンプ52を介して電気的に接続される。
【0025】
図2(c)は、パッケージ30の平面図である。圧電発振器100のX軸方向の長さをWxとし、Z’軸方向の長さをWzとすると、長さWxは例えば2.5mmに形成され、長さWzは例えば2.0mmに形成される。図2(c)では、パッケージ30の+Y’軸側に第1電極36a、第2電極36b及び第3電極36cが形成されている状態が示されている。図2(c)の点線で示されたように、第1電極36aの電子回路素子載置部33a及び第2電極36bの電子回路素子載置部33bには電子回路素子20が載置される。図2(c)の一点鎖線で示されたように、第2電極36bの圧電振動片載置部35には圧電振動片10が載置される。また図2(c)では、第3電極36cが第1電極36aと第2電極36bとを電気的に接続しているが、破線に示された箇所36dが後述する図5の圧電発振器100の製造方法におけるステップS009で説明されたようにレーザー光で切断される。第3電極36cはY’軸方向に対して電子回路素子20及び圧電振動片10と重ならない領域を有しており、図2(c)では、第3電極36cの破線に示された箇所36dがこの領域内に形成されている。第3電極36cの破線に示された箇所36dは、圧電発振器100では、+Y’軸方向にはリッド40のみが形成されている(図1を参照)ことになる。
【0026】
図3(a)は、第1層32aの平面図である。図3(a)では、第2層32bのキャビティ31の一部を形成する孔部38a(図3(b)参照)が、一点鎖線で示されている。第1層32aの−Y’軸側の面の4つの角には外部電極34が形成されている。また、第1層32aの+Y’軸側の面には第1電極36a、第2電極36b及び第3電極36cが形成されている。4箇所に形成されている第1電極36aは、それぞれ外部電極34と第1電極36aの貫通部37aを通して電気的に接続されている。また、第1層32aの+Y’軸側の面の2箇所に形成されている第2電極36bは、第2層32b(図3(b)参照)の貫通部37bに形成される第2電極36bと電気的に接続されている。
【0027】
図3(b)は、第2層32bの平面図である。第2層32bは、第2層32bの中央に第2層32bを貫通する孔部38aが形成されており、孔部38aはキャビティ31の一部を形成している。第2層32bの+Y’軸側の面には、第2電極36bの圧電振動片載置部35が形成されており、圧電振動片載置部35は、第2層32bを貫通した貫通部37bを通して図3(a)に示された第1層32aの+Y’軸側の面に形成されている第2電極36bと電気的に接続されている。図3(b)では、参考のために第2層32bの+Y’軸側に形成される第3層32cの孔部38b(図4(a)参照)の位置が四角形の一点鎖線で示されている。圧電振動片載置部35に載置される図2(a)に示された圧電振動片10は、この一点鎖線の枠内に配置される。
【0028】
図4(a)は、第3層32cの平面図である。第3層32cは、第2層32bの+Y’軸側に配置される。第3層32cは中央に第3層32cを貫通する孔部38bが形成されている。孔部38bは第2層32cの孔部38a(図3(b)を参照)よりも大きく形成されており、キャビティ31の一部を形成している。
【0029】
図4(b)は、リッド40の平面図である。リッド40は矩形状に形成されており、例えばガラス又は水晶材料等のレーザー光が透過する材料により形成されている。リッド40は封止材41(図1参照)を介して第3層32cの+Y’軸側の面に配置される。
【0030】
<圧電発振器100の製造方法>
図5は、圧電発振器100の製造方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS001では、パッケージ30が用意される。パッケージ30は、図1及び図2(c)に示されるように、第1層32aと、第2層32bと、第3層32cとにより形成されており、またパッケージ30には外部電極34と、第1電極36aと、第2電極36bと、第3電極36cとが形成されている。ここで、第3電極36cは第1電極aと第2電極36bとを電気的に接続するように形成されている。パッケージ30は、第1層32aと、第2層32bと、第3層32cとがセラミックスにより形成され、互いに重ね合わされて焼成されることにより形成される。
【0031】
ステップS002では、キャビティ31内に電子回路素子20及び圧電振動片10が載置される。まず電子回路素子20が、図1に示されるように、第1電極36aの電子回路素子載置部33aの上に回路端子22が金属バンプ52を介して配置され、第2電極36bの電子回路素子載置部33bの上に圧電端子21が金属バンプ52を介して配置されるようにキャビティ31内に載置される。その後、圧電振動片10が、圧電振動片10の引出電極12(図2(a)参照)と第2電極36bの圧電振動片載置部35とが導電性接着剤51を介して電気的に接続されるように載置される。
【0032】
ステップS003では、圧電振動片10のクリスタルインピーダンス値(CI値)又は振動周波数等の振動特性が測定される。この測定は、外部電極34を通して行われてもよいし、直接に第2電極36bの圧電振動片載置部35に一対のプローブ(図示しない)を当接して行われてもよい。圧電振動片10及び電子回路素子20がパッケージ30に載置される際に応力が発生したりして、圧電振動片10のCI値又は振動特性が変化することがある。このステップS003では、圧電振動片10のCI値又は振動特性が規定された範囲内にあることが確認される。測定に関しては、後述の図6で補足する。
【0033】
ステップS004では、ステップS003で測定された圧電振動片10のCI値又は振動周波数等の振動特性が異常値を示しているかどうかが判断される。CI値又は振動特性が異常値を示していない場合はステップS005に進み、異常値を示した場合はステップS006に進む。
【0034】
ステップS005では、キャビティ31がリッド40により封止される。リッド40は、パッケージ30の+Y’軸側の面に封止材41を介してパッケージ30のキャビティ31を密封するように接合される。
【0035】
ステップS006では、圧電振動片10の振動特性が正常値を示すように調整される。調整方法は、例えば圧電振動片10の励振電極11(図2(a)を参照)の厚さを調整することで、圧電振動片10の振動特性を調整することができる。つまり、スパッタで励振電極11を厚くすることができ、エッチングで励振電極11を薄くすることができる。振動特性の調整が終了すると、ステップS005に進む。
【0036】
ステップS007では、リッド40が封止された状態で圧電振動片10のCI値及び振動周波数等の振動特性が測定される。この測定は、外部電極34を通して行われる。ステップS005で、キャビティ31がリッド40により封止される場合にも、圧電発振器100内のキャパシタンスが変動し、圧電振動片10のCI値又は振動特性が変化することがある。このステップS007では、圧電振動片10のCI値又は振動特性が規定された範囲内にあることが確認される。
【0037】
図6を用いて、圧電振動片10と、電子回路素子20の各端子と、外部電極34と、第1電極36a〜第3電極36cとの関係について説明する。図6(a)は、第1層32aと第1層32aの上に配置された電子回路素子20との接続関係を示した図である。図2(b)に示されたように、電子回路素子20は6つの端子を有している。図6(a)では、−Z’軸側の圧電端子21を端子A1、+Z’軸側の圧電端子21を端子A2、+Z’軸側及び−X軸側の回路端子22を端子A3、+Z’軸側及び+X軸側の回路端子22を端子A4、−Z’軸側及び+X軸側の回路端子22を端子A5、−Z’軸側及び−X軸側の回路端子22を端子A6とする。また、+Z’軸側及び−X軸側の外部電極34を電極G1、+Z’軸側及び+X軸側の外部電極34を電極G2、−Z’軸側及び+X軸側の外部電極34を電極G3、−Z’軸側及び−X軸側の外部電極34を電極G4とする。この時、端子A1は第3電極36c及び第1電極36aを通して電極G4と電気的に接続され、端子A2は第3電極36c及び第1電極36aを通して電極G1と電気的に接続されている。また、端子A3は電極G1と電気的に接続され、端子A4は電極G2と電気的に接続され、端子A5は電極G3と電気的に接続され、端子A4は電極G4と電気的に接続されている。
【0038】
図6(b)は、圧電発振器100の回路図である。図中の一点鎖線の枠内には電子回路素子20内の構成が示されている。また一点鎖線上には端子A1から端子A6が示されており、各端子は図6(a)に示されるように第1電極36a、第2電極36b及び第3電極36cを介して外部電極G1から外部電極G4の中のいずれかの電極と電気的に接続されている。図6(b)では、例えば電極G1がスタンバイ端子、電極G2が電源端子、電極G3がアース端子、電極G4が出力端子である。スタンバイ端子には電子回路素子20を制御するための制御信号が入れられる。第3電極36cが形成されていない場合は、制御信号は端子A3から電子回路素子20内のスタンバイ回路STを通り発振用増幅器23及び緩衝用増幅器24の動作を制御する。図6(b)に示されるような複数の緩衝用増幅器24はCMOS等のインバータ素子により形成され、発振用増幅器23に直列接続されて発振出力を増幅し、例えば波形を矩形状に整形する。また図中には帰還抵抗Rf、コンデンサCa、Cbが示されている。
【0039】
図6(b)では、水晶振動片10が第3電極36cを通り電極G1及び電極G4に電気的に接続されている様子が示されている。これは、ステップS003及びステップS007で、外部電極34である電極G1及び電極G4を通して圧電振動片10のCI値又は振動周波数等の振動特性を測定することができる。圧電振動片10の振動特性の測定時に電極G1及び電極G4に入力する電圧は小さいため、電子回路素子20は圧電振動片10の振動特性の測定に影響をほとんど与えない。
【0040】
図5に戻って、ステップS008では、ステップS007で測定された圧電振動片10のCI値又は振動周波数等の振動特性が異常値を示しているかどうかが判断される。振動特性が異常値を示していない場合はステップS009に進み、異常値を示した場合はステップS010に進む。
【0041】
ステップS009では、第3電極36cがレーザー光により切断される。レーザー光は、図1の点線で示された矢印60で示されるように、圧電発振器100の+Y’軸側から−Y’軸方向にレーザー光を透過する材料で形成されているリッド40を通過して第3電極36cに照射される。レーザー光は、図2(c)の破線に示された箇所36dに形成されている第3電極36cに照射され、この位置の第3電極36cが切断される。
【0042】
ステップS010では、圧電振動片10の振動特性が正常値を示すように調整される。調整方法は、例えば電子回路素子20のパラメータを調整することで圧電振動片の振動特性を調整することができる。振動特性の調整が終了すると、ステップS009に進む。
【0043】
次に、ステップS011では、完成された圧電発振器100の動作チェックが行われる。圧電発振器100は、ステップS009において第3電極36cが切断されることにより外部電極34と第2電極36bとが直接接続されていない状態になっている。この状態で、外部電極34を通して圧電発振器100の動作チェックが行われる。
【0044】
圧電発振器100は、図5のフローチャートのステップS003及びステップS007に示されるように外部電極34を介して圧電振動片10のCI値又は振動周波数が測定されるため、圧電発振器の外側側面に圧電振動片のCI値又は振動特性を測定するための側面電極を形成しなくても良い。そのため、圧電発振器内のキャビティの大きさを広く取ることができ、圧電振動片10及び電子回路素子20の大きさを大きく取ることができる。また側面電極が形成されないため、側面電極による浮遊容量発生等の影響を取り除くことができる。さらに、圧電発振器100では、様々なパッケージ、圧電振動片及び電子回路素子に対応した圧電発振器を形成することができる。つまり、切換回路のスイッチが形成されていない電子回路素子にも対応できる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態として、2つのキャビティにそれぞれ圧電振動片10と電子回路素子20とが載置された圧電発振器200について説明する。以下の説明において、圧電発振器100と構成が同じ部分は圧電発振器100と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0046】
<圧電発振器200の構成>
図7は、圧電発振器200の断面図である。また図7は後述する図8及び図9のC−C断面における断面図である。圧電発振器200は表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて用いられる。圧電発振器200は主に、圧電振動片10と、電子回路素子20と、パッケージ130と、リッド40とにより構成されている。
【0047】
パッケージ130は、第1層132aと、第1層132aの+Y’軸側に配置される第2層132bと、第2層132bの+Y’軸側に配置される第3層132cと、第3層132cの+Y’軸側に配置される第4層132dとにより形成されている。第1層132aはパッケージ130の底面を形成しており、第1層132aの−Y’軸側の面には外部電極34が形成され、+Y’軸側の面に第1電極136a及び第2電極136bの一部と第3電極136cとが形成されている。
【0048】
第1層132aには、第1層132aの−Y’軸側の面に外部電極34が形成されている。また第1層132aには、第1層132aの+Y’軸側の面から第1層132aを貫通する貫通部137aを通り外部電極34まで電気的に接続されている第1電極136aが形成されている。第1電極136aは、第1層132aの+Y’軸側の面に電子回路素子20が載置される電子回路素子載置部133aを有しており、電子回路素子載置部133aは金属バンプ52を介して電子回路素子20の回路端子22と電気的に接続されている。
【0049】
またパッケージ30には、第1層132aの+Y’軸側の面から第2層132bを貫通する貫通部137b及び第3層132cを貫通する貫通部137cを通り第3層132cの+Y’軸側の面まで電気的に接続されている第2電極136bが形成されている。第2電極136bは第1層132aの+Y’軸側の面に電子回路素子20が載置される電子回路素子載置部133bを有しており、電子回路素子載置部133bは金属バンプ52を介して電子回路素子20の圧電端子21と電気的に接続されている。また第2電極136bは、第3層132cの+Y’軸側の面に圧電振動片10が載置される圧電振動片載置部135を有している。圧電振動片10の引出電極12(図2(a)参照)は、導電性接着剤51を介して圧電振動片載置部135と電気的に接続されている。
【0050】
さらに、第1層132aの+Y’軸側の面には第1電極136aと第2電極136bとを電気的に接続する第3電極136cが形成されている。
【0051】
圧電発振器200には、第1キャビティ131aと第2キャビティ131bとの2つのキャビティが、第1キャビティ131aと第2キャビティ131bとを分ける中間層である第3層132cにより分けられて形成されている。第1キャビティ131aは、第3層132cと、第4層132dと、リッド40とにより囲まれて形成されており、第1キャビティ131a内には圧電振動片10が載置されている。第2キャビティ131bは、第1層132aと、第2層132bと、第3層132cとにより囲まれて形成されており、第2キャビティ131b内には電子回路素子20が載置されている。ここで、第1層132a〜第4層132dは、例えば水晶などのレーザー光が透過する材料により形成されている。また、第1層132a〜第4層132dは例えばシロキサン結合によって接合することができる。
【0052】
図8(a)は、第1層132aの平面図である。図8(a)では、第1層132aの+Y’軸側の面に配置される第2層132bの孔部138a(図8(b)参照)が一点鎖線で示されている。第1層132aの−Y’軸側の面の4つの角には外部電極34が形成されている。また、第1層132aの+Y’軸側の面には第1電極136a及び第2電極136bの一部と第3電極136cとが形成されている。第1層132aの+Y’軸側の面の4箇所に形成されている第1電極136aは、それぞれ外部電極34と貫通部137aに形成された第1電極136aの一部を通して電気的に接続されている。また、第1層132aの+Y’軸側の面の2箇所に形成されている第2電極136bは、貫通部137b(図7参照)に形成され第2電極136bの一部と電気的に接続されている。さらに、図8(a)では、第3電極136cが第1電極136aと第2電極136bとを電気的に接続しているが、破線に示された箇所136dが図5の圧電発振器100の製造方法におけるステップS009で説明されたようにレーザー光で切断される。
【0053】
図8(b)は、第2層132bの平面図である。第2層132bは、第2層132bの中央に第2層132bを貫通する孔部138aが形成されており、孔部138aは第2キャビティ131bを形成している。また、第2層132bの−X軸側には、第2電極136bの貫通部137bが形成されている。貫通部137bは、第2層132bの−Y’軸側の面で第1層132aの+Y’軸側の面に形成された第2電極136bと電気的に接続され、第2層132bの+Y’軸側の面で後述する第3層132cの貫通部137cと電気的に接続される。
【0054】
図9(a)は、第3層132cの平面図である。第3層132cの+Y’軸側の面には、第2電極136bの圧電振動片載置部135が形成されており、圧電振動片載置部135は、第2層132bを貫通する貫通部137b及び第3層132cを貫通する貫通部137cを通して第1層132aの+Y’軸側の面に形成されている第2電極136bと電気的に接続されている。図9(a)では、参考のために第4層132dの孔部138bが四角形の一点鎖線で囲まれて示されている。圧電振動片10は、この一点鎖線の枠内に配置される。
【0055】
図9(b)は、第4層132dの平面図である。第4層132dは、第4層132dの中央に第4層132dを貫通する孔部138bが形成されており、孔部138bは第1キャビティ131aを形成している。
【0056】
圧電発振器200の製造方法も、図5に示された圧電発振器100の製造方法と同様の方法により製造される。特に圧電発振器200では、ステップS009の第3電極136cがレーザー光により切断される工程において、図7の点線の矢印62で示されるように、第1層132aを通して第3電極136cにレーザー光を照射することにより、第3電極136cを切断することができる。圧電発振器200では、圧電発振器10が電子回路素子20と異なるキャビティに配置されていることにより、第3電極を切断する時に発生する不純物の発生の圧電振動片10への影響を最小限に抑えることができる。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態として、2つのキャビティにそれぞれ圧電振動片10と電子回路素子20とが載置され、電子回路素子20が載置されるキャビティが密封されていない圧電発振器300について説明する。以下の説明において、圧電発振器100とその構成が同じ部分は圧電発振器100と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0058】
<圧電発振器300の構成>
図10は、圧電発振器300の断面図である。また、図10は後述する図11及び図12のD−D断面における断面図である。圧電発振器300は主に、圧電振動片10と、電子回路素子20と、パッケージ230と、リッド40とにより構成されている。図10では、図11及び図12のD−D断面上に形成されていない電子回路素子20の一部が点線で示されている。
【0059】
パッケージ230は、第1層232aと、第1層232aの+Y’軸側に配置される第2層232bと、第2層232bの+Y’軸側に配置される第3層232cとにより形成されている。第1層232aはパッケージ230の底面を形成しており、第1層232aの−Y’軸側の面には外部電極234が形成されている。また、第1層232aと第2層232bとで、第2キャビティ231bが形成されている。第2キャビティ231bには電子回路素子20が載置されており、また第2キャビティ231bは密封されていない。
【0060】
第2層232bには、−Y’軸側の面に第1電極236a及び第2電極236bの一部と第3電極236cとが形成されている。第1電極236aは、第2層232bの−Y’軸側の面に形成された電極及び第1層232aを貫通する貫通部237aに形成された電極により形成されている。第1電極236aは、第2層232bの−Y’軸側の面に電子回路素子20が載置される電子回路素子載置部233aを有しており、電子回路素子載置部233aは金属バンプ52を介して電子回路素子20の回路端子22と電気的に接続されている。第2電極236bは、第2層232bの−Y’軸側の面に形成された電極と、第2層232bを貫通する貫通部237bに形成された電極と、第2層232bの+Y’軸側の面に形成された電極とにより構成されている。
【0061】
第2電極236bの第2層232bの−Y’軸側の面に形成された電極は、電子回路素子20が載置される電子回路素子載置部233bを有しており、電子回路素子載置部233bは金属バンプ52を介して電子回路素子20の圧電端子21と電気的に接続されている。また、第2電極236bの第2層232bの+Y’軸側の面に形成された電極は、圧電振動片10が載置される圧電振動片載置部235を有しており、圧電振動片10の引出電極12(図2(a)参照)は導電性接着剤51を介して圧電振動片載置部235と電気的に接続されている。さらに、第2層232bの−Y’軸側の面には第1電極236aと第2電極236bとを電気的に接続する第3電極236cが形成されているが破線に示された箇所236dが図5の圧電発振器100の製造方法におけるステップS009で説明されたようにレーザー光で切断される。第2層232bは、第3層232c及びリッド40と第1キャビティ231aを形成している。第1キャビティ231aには圧電振動片10が載置され、また第1キャビティ231aは密封されている。
【0062】
図11(a)は、圧電発振器300の第1層232aの平面図である。第1層232aは、中央に第1層232aを貫通する孔部238aが形成されており、孔部238aは第2キャビティ231bを形成している。第1層232aの−Y’軸側の面には4つの外部電極234が形成されている。外部電極234は第1電極236aの一部である貫通部237aを通して第1層232aの+Y’軸側の面で第2層232bの−Y’軸側の面に形成される第1電極236aに電気的に接続されている。
【0063】
図11(b)は、圧電発振器300の第2層232bの平面図である。第2層232bの−Y’軸側の面には、第1電極236a及び第2電極236bの一部と第3電極236cとが形成されている。図11(b)ではこれらの電極が点線で示されている。第1電極236aは、第1層232aを貫通する貫通部237aを通して外部電極34と接続されている。第2電極236bは、第2層232bを貫通する貫通部237bを通して第2層236bの+Y’軸側の面に形成されている圧電振動片載置部235に電気的に接続されている。また図11(b)では、第3電極236cが第1電極236aと第2電極236bとを電気的に接続しているが、破線に示された箇所236dが図5の圧電発振器100の製造方法におけるステップS009で説明されたようにレーザー光で切断される。
【0064】
図11(b)では、一点鎖線で孔部238a及び電子回路素子20が載置される位置が示されている。第3電極236cは、その一部が孔部238aの内側に形成され、また、電子回路素子20の外側に形成されている。図11(b)では、この第3電極236cが形成される領域が破線に示された箇所236dで示されている。
【0065】
図12は、圧電発振器300の第3層232cの平面図である。第3層232cは、中央に第3層232cを貫通する孔部238bが形成されており、孔部238bは第1キャビティ231aを構成している。
【0066】
圧電発振器300の製造方法も、図5に示された圧電発振器100の製造方法と同様の方法により製造される。圧電発振器300では、ステップS009の第3電極236cがレーザー光により切断される工程において、図10の点線の矢印63で示されるように、第3電極236cに直接にレーザー光を照射することにより、第3電極236cを切断することができる。圧電発振器300では、圧電発振器10が電子回路素子20と異なるキャビティに配置されていることにより、第3電極切断時に発生する不純物の発生の圧電振動片10への影響を最小限に抑えることができる。
【0067】
(第4実施形態)
第4実施形態として、リッド及びパッケージとがウエハ上に複数形成され、ウエハを接合した後にウエハを切断して形成される圧電発振器400について説明する。以下の説明において、圧電発振器100とその構成が同じ部分は圧電発振器100と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0068】
<圧電発振器400の構成>
図13は、圧電発振器400の分解斜視図である。圧電発振器400は主に、圧電振動片310と、電子回路素子320と、パッケージ330と、リッド340とにより構成されている。圧電振動片310は、+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面に励振電極311が形成されている。また、圧電振動片310の−Y’軸側の+X軸側及び−X軸側には引出電極312が形成されており、+Y’軸側の面に形成された励振電極311は、−X軸側の引出電極312に電気的に接続され、−Y’軸側の面に形成された励振電極311は、+X軸側の引出電極312に電気的に接続されている。電子回路素子320は、2つの圧電端子21がZ’軸方向に並んで形成され、各圧電端子21のX軸方向の隣には回路端子22が形成されている。リッド340は、例えば水晶により形成されており、−Y’軸側の面には圧電発振器400のキャビティの一部を形成する凹部349が形成されている。
【0069】
パッケージ330は、例えば水晶により形成される。パッケージ330の+Y’軸側の面には圧電発振器400のキャビティの一部を形成する凹部339が形成されており凹部339内には電子回路素子320が載置される。また、パッケージ330の−Y’軸側の面には4つの外部電極334が形成されている。また、パッケージ330には第1電極336a、第2電極336b及び第3電極336cが形成されている。パッケージ330の凹部339内には第1電極336aの電子回路素子載置部333a及び第2電極336bの電子回路素子載置部333bが形成されており、その上には金属バンプ(不図示)を介して電子回路素子320の回路端子22及び圧電端子21が接続される。第1電極336aは凹部339内の電子回路素子載置部333aから貫通電極(不図示)を通して外部電極334と電気的に接続される。第2電極336bは電子回路素子載置部333bからパッケージ330の+Y’軸側の面の+X軸側及び−X軸側に形成される圧電振動片載置部335まで形成されている。圧電振動片載置部335には圧電振動片310が載置され、圧電振動片載置部335と引出電極312とが電気的に接続される。第3電極336cは、第1電極336aと第2電極336bとを電気的に接続しているが、破線に示された箇所336dが図5の圧電発振器100の製造方法におけるステップS009で説明されたようにレーザー光で切断される。第3電極336cのレーザー光による切断は、パッケージ330の−Y’軸側の面より+Y’軸方向へレーザー光を入射することにより行われる。
【0070】
圧電発振器400の製造方法も、図5に示された圧電発振器100の製造方法と同様の方法により製造される。ただし、ステップS001ではパッケージ330がウエハ上に形成された状態であり、ステップS005ではウエハ上に形成されたリッドとウエハ上に形成されたパッケージ330とが接合される。また、ステップS005の後又はステップS009の後にウエハが切断され、圧電発振器400が形成される。
【0071】
(第5実施形態)
第5実施形態として、リッド、パッケージ及び圧電振動片がウエハ上に複数形成され、ウエハを接合した後にウエハを切断して形成される圧電発振器500について説明する。以下の説明において、圧電発振器400とその構成が同じ部分は圧電発振器400と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0072】
<圧電発振器500の構成>
図14は、圧電発振器500の分解斜視図である。圧電発振器500は表面実装型の圧電発振器であり、プリント基板等に実装されて用いられる。圧電発振器500は主に、圧電振動片410と、電子回路素子320と、パッケージ430と、リッド440とにより構成されている。圧電振動片410は、励振電極411が形成されている振動部414及び振動部414の周りを囲むように形成されている枠体413により構成されている。励振電極411から枠体413の−Y’軸側の+Z’軸側及び−Z’軸側には引出電極412が形成されている。リッド440は、例えば水晶により形成されており、−Y’軸側の面には圧電発振器500のキャビティの一部を形成する凹部449が形成されている。
【0073】
パッケージ430は、例えば水晶により形成される。パッケージ430の+Y’軸側の面には圧電発振器500のキャビティの一部を形成する凹部439が形成されており凹部439内には電子回路素子320が載置される。また、パッケージ430の−Y’軸側の面には4つの外部電極434が形成されている。また、パッケージ430には第1電極436a、第2電極436b及び第3電極436cが形成されている。パッケージ430の凹部439内には第1電極436aの電子回路素子載置部433a及び第2電極436bの電子回路素子載置部433bが形成されており、その上には金属バンプ(不図示)を介して電子回路素子320の回路端子22及び圧電端子21が接続される。第1電極436aは凹部439内の電子回路素子載置部433aからパッケージ430の四隅のキャスタレーション438に形成された電極を通して外部電極434と電気的に接続される。第2電極436bは電子回路素子載置部433bからパッケージ430の+Y’軸側の面の+Z’軸側及び−Z’軸側に形成される圧電振動片載置部435まで形成されている。圧電振動片載置部435には圧電振動片410が載置され、圧電振動片載置部435と引出電極412とが電気的に接続される。第3電極436cは、第1電極436aと第2電極436bとを電気的に接続しているが、破線に示された箇所436dが図5の圧電発振器100の製造方法におけるステップS009で説明されたようにレーザー光で切断される。第3電極436cのレーザー光による切断は、パッケージ430の−Y’軸側の面より+Y’軸方向へレーザー光を入射することにより行われる。
【0074】
圧電発振器500の製造方法も、図5に示された圧電発振器100の製造方法と同様の方法により製造される。ただし、ステップS001ではパッケージ430がウエハ上に形成された状態であり、ステップS002ではウエハ上に形成された圧電振動片410とパッケージ430とが接合され、ステップS005ではウエハ上に形成されたリッド440とウエハ上に形成された圧電振動片410とが接合される。また、ステップS005の後又はステップS009の後にウエハが切断され、圧電発振器500が形成される。
【0075】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0076】
例えば、圧電振動片はATカットの水晶振動片である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。また、音叉型水晶振動片についても適用できる。さらに圧電振動片は水晶材料のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材料に基本的に適用できる。
【符号の説明】
【0077】
10、310、410 … 圧電振動片
11、311、411 … 励振電極
12、312、412 … 引出電極
20、320 … 電子回路素子
21 … 圧電端子
22 … 回路端子
23 … 発振用増幅器
24 … 緩衝用増幅器
30、130、230、330、430 … パッケージ
31 … キャビティ
32a、132a、232a … 第1層
32b、132b、232b … 第2層
32c、132c、232c … 第3層
33a、33b、133a、133b、233a、233b … 電子回路素子載置部
34、234 … 外部電極
35、135、235 … 圧電振動片載置部
36a、136a、236a、336a、436a … 第1電極
36b、136b、236b、336b、436b … 第2電極
36c、136c、236c、336c、436c … 第3電極
37a、37b、137a、137b、137c、237a、237b … 貫通部
38a、38b、138a、138b … 孔部
40、340、440 … リッド
41 … 封止材
51 … 導電性接着剤
52 … 金属バンプ
100、200、300、400、500 … 圧電発振器
131a、231a … 第1キャビティ
131b、231b … 第2キャビティ
132d … 第4層
339、349、439、449 … 凹部
438 … キャスタレーション
Ca、Cb… コンデンサ
Rf … 帰還抵抗
ST … スタンバイ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両主面に形成された励振電極と、前記励振電極に電気的に接続される引出電極とを有し、所定の振動周波数で振動する圧電振動片を用意する工程と、
圧電端子及び回路端子を有し、前記圧電振動片を発振させる電子回路素子を用意する工程と、
前記電子回路素子が載置される第1載置部及び第2載置部と、前記圧電発振器が実装される側の底面と、前記圧電振動片及び前記電子回路素子を収納するキャビティと、前記底面に形成される外部電極と、前記第1載置部と前記外部電極とを電気的に接続する第1電極と、前記第2載置部から伸びた第2電極と、前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する第3電極とを有するパッケージを用意する工程と、
前記回路端子が第1載置部に載置され前記圧電端子が前記第2載置部に載置されるように前記電子回路素子を前記キャビティ内に載置し、前記引出電極が前記第2電極に電気的に接続されるように前記圧電振動片を前記パッケージに載置する載置工程と、
前記外部電極から前記第1電極、前記第3電極及び前記第2電極を経由して、前記圧電振動片のクリスタルインピーダンス値又は振動周波数の少なくとも一方を測定する測定工程と、
前記測定工程の後に、前記第3電極にレーザー光を照射して前記第3電極の一部を切断する切断工程と、
を含む圧電発振器の製造方法。
【請求項2】
前記載置工程の後に、前記キャビティを封止するように前記パッケージにリッドが接合される工程を有し、
前記パッケージの前記底面又は前記リッドの少なくとも一方が、前記レーザー光が透過する材料により形成されている請求項1に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項3】
前記切断工程の後に、前記外部電極を経由して前記圧電発振器の動作を確認する工程を有する請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項4】
前記圧電振動片を用意する工程では、複数の前記圧電振動片が同時に形成される第1ウエハが用いられ、
前記パッケージを用意する工程では、複数の前記パッケージが同時に形成される第2ウエハが用いられる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項5】
前記圧電振動片は、前記励振電極が形成された振動部と前記振動部を囲む枠体とを有する請求項4に記載の圧電発振器の製造方法。
【請求項6】
表面実装型の圧電発振器であって、
両主面に形成された励振電極と、前記励振電極に電気的に接続される引出電極とを有し、所定の振動周波数で振動する圧電振動片と、
前記圧電振動片を発振させ、前記圧電振動片の前記励振電極と電気的に接続される圧電端子及び回路端子を有する電子回路素子と、
前記圧電振動片及び前記電子回路素子を収納するキャビティと、前記圧電発振器が実装される側の底面と、前記底面に形成された外部電極と、前記キャビティに形成され前記回路端子と前記外部電極とを電気的に接続する第1電極と、前記圧電端子と前記引出電極とを電気的に接続する第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の一方から他方に伸び途中で切れていた第3電極と、を有するパッケージと、
前記パッケージの前記キャビティを密封するリッドと、を備え、
前記パッケージの前記底面又は前記リッドの少なくとも一方が、レーザー光が透過する材料により形成されている圧電発振器。
【請求項7】
前記第3電極が切れている領域は、前記パッケージの前記底面又は前記リッドの少なくとも一方を透過した前記レーザー光が照射される領域を含む請求項6に記載の圧電発振器。
【請求項8】
前記キャビティは、前記圧電振動片を収納し前記リッドにより封止される第1キャビティと前記電子回路素子を収納し前記底面により封止される第2キャビティとから構成され、前記第1キャビティと前記第2キャビティとの間を分ける中間層が形成されている請求項6又は請求項7に記載の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−120081(P2012−120081A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270117(P2010−270117)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】