説明

地図データ配信システム及びその地図データ配信方法

【目的】更新地図データをより頻繁に、かつより容易にナビゲーション装置に配信できるようにした「地図データ配信システム及びその地図データ配信方法」を提供することである。
【構成】地図データ配信システムは、(1)地図データが更新される毎に所定フォーマットの地図データをリアルタイムに発生する地図データ供給サーバ、(2)地図データの更新部分をリアルタイムに検索し、該更新部分の地図データをXMLフォーマットの更新地図データ(更新XML地図データ)に変換し、該更新XML地図データを配信するために保存する地図データ配信サーバ、(3)XMLフォーマット地図データを保存し、通信ネットワークを介して地図データ配信サーバにアクセスし、該XMLフォーマット地図データを更新するために更新XML地図データをダウンロードにより取得するナビゲーション装置、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に更新地図データを配信するための地図データ配信システム及びその地図データ配信方法に関わり、特に、種々の通信手段を通してXMLフォーマットでナビゲーション装置に更新地図データを配信するリアルタイムの地図データ配信システム及びその地図データ配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置はユーザが容易に、かつ、短時間で選択した目的地に到達できるようにした経路誘導案内制御を実行する。かかるナビゲーション装置は自車位置を検出し、該自車位置周辺の地図データを地図データベースから読み出す。典型的には、ナビゲーション装置はモニタースクリーン上に地図画像を表示すると共に、その上に自車位置を示す車両位置マークを表示する。また、ナビゲーション装置は交差点において、目的地への進行方向(右左折方向)を知らせる。
【0003】
ナビゲーション装置の地図データを作成する際、市場において利用可能な地理データが初期データとして使われる。例えば、そのような地理データとしてGDF(Geographic Data File)フォーマットがある。このGDFフォーマットは地図データ供給者によって提供される地理データ(地図データ)の標準フォーマットである。GDFフォーマットは、所定の順序で“Field Name(フィールド名)"、”Size(サイズ)"、“Type(タイプ)"、”Description(記述)“等を含むデータ構造(物理レコード構造)を定義する。
【0004】
GDFはトポロジカルな構造を簡易に記述する地図データファイルであるので、所定の製造業者のナビゲーション装置にうまく適合しない。このため、製造業者はGDFフォーマットデータをナビゲーション装置特有のハードウェアやソフトウェアにうまく適合するデータフォーマット、例えばPSF(Physical Storage Format)に変換する。PSFはナビゲーション装置のハードウェアパーフォーマンスの限界を考慮しながら地図データを該ナビゲーション装置に適合させるためのフォーマットである。
【0005】
図1は、いかにして初期のGDF地図データがPSFファイルのメッシュ状地図データに構築されるかを示す説明図である。この図において、地図エリア23は選択されたエリア、例えば州や都市等の地理的表現であり、地図データ供給者が提供する初期地図データを用いて発生したものである。PSFファイルにおいて、地図エリア23は所定サイズの矩形形状を有する多数のメッシュ状区域(セル)21に分割され、各メッシュ状区域はナビゲーション装置に地図画像を表示するための地理データを含んでいる。
【0006】
GDF地図データをPSF地図データに変換する過程では、表示スクリーンにおいて地図画像を拡大、縮小表示するための種々の異なった地図スケール機能を持たせるために、多数の異なったサイズのデータがGDF地図データに基づいて生成される必要がある。この作業は、データ変換および計算の付加的なプロセスを必要とし、変換時間と手間を増大させる。また、地図エリアは多数のメッシュ状区域21に分割されているため、メッシュ状区域21のそれぞれの間を整合させるために複雑な処理が必要になる。更に、PSF地図データのフォーマットは基本的にGDF地図データフォーマットと異なるため、GDF地図データをPSF地図データに変換するためのプロセスは極端に複雑となり、時間がかかる。例えば、地図データが全北米のような広いエリアをカバーする場合、変換のプロセスは数週間を要する。
【0007】
PSF地図データの他の欠点は、フレキシビリティがなくしかも、拡張性に欠けている点である。ナビゲーション装置では、新道路や新ビルディングが頻繁に作られるため、地図データを更新する必要がしばしば発生する。PSFデータファイルにおいて新データを追加したり、あるいは既存データを修正するプロセスは一般に全地図データの再発生を必要とする。加えて、PSFデータはマシーン(machine)に依存しているため、異なったハードウェアやソフトウェアが使用されることになったり、あるいは既存ナビゲーション装置に変更や修正が加えられた場合、データの再編集が必要になる。
【0008】
ナビゲーション装置の地図データを更新する典型的な方法は、まず、地図データ供給者から更新地図データ(新たに利用可能な地図データと過去に蓄積された地図データ間の差分データ)を取得し、ついで、該更新地図データをナビゲーション装置に使用されているフォーマットに変換し、最後に、その変換された更新地図データをナビゲーション装置に配信する、ことである。
【0009】
上述したように、GDFフォーマットとPSFフォーマット間の地図データの変換は、大量の計算機資源や変換時間を必要とする。かくして、地図供給者による地図データが頻繁に更新されても、現状では、ナビゲーション装置の地図データの更新は産業的には頻繁に行なわれていなかった。例えば、ナビゲーション装置の地図データは1年に1回だけ更新され、あるいは、多くても年に4回更新されていたにすぎない。
【0010】
図2は、従来の更新地図データ配信システムの構成例を示す説明図であり、地図供給者(地図供給装置)51は、更新地図データ61により示されるように例えば毎日、頻繁に更新地図データをリリースする。地図データが頻繁に更新されても、長い更新時間の理由で、更新された地図データは単に、長期間蓄積されたままとなる。それから、適宜、ナビゲーション装置の製造業者は地図データディスク81を作成するために、上記蓄積された更新を含む全地図データ62を所定のフォーマット例えばナビゲーション装置のPSFフォーマットに変換する。ディスク81の地図データは以前の地図データディスク82における地図データと比較され、二つのディスク間の差分は、更新地図データとして蓄積手段85に格納され、配信サーバ52を介してユーザのナビゲーション装置91に物理的に配信される。
【0011】
上述したように、従来技術では、ユーザのナビゲーション装置に更新地図データを早く配信することは容易でない問題がある。更に、更新地図のどのバージョン(版)がナビゲーション装置にインストールされているのか、ナビゲーション装置の製造業者は知らないから、地図更新するために該製造業者は更新地図データファイルの大量の異なる組み合わせを用意しなければならない問題がある。それゆえ、正確な経路誘導をするために、地図データがより頻繁に、かつより容易に更新されるようにすることが望ましい。更に、物理的な配信よりむしろ種々の通信手段を介してナビゲーション装置に更新地図データを配信する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上から本発明の目的は、更新地図データをより頻繁に、かつより容易に配信することができるナビゲーション装置の地図データ配信システムを提供することである。
本発明の別の目的は、地理データから変換されたXML/SVGフォーマット地図データを利用することにより、通信手段を介して更新地図データを配信することができるナビゲーション装置の地図データ配信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は本発明によれば、通信手段を介してXMLフォーマットでナビゲーション装置に更新地図データを配信する地図データ配信システム及び地図データ配信方法により達成される。
・地図データ配信システム
本発明の地図データ配信システムは、(1)地図データが更新される毎にリアルタイムに所定フォーマットの地図データを発生する地図データ供給サーバ、(2)前記地図データの更新部分をリアルタイムに検索し、該更新部分の地図データを拡張可能なマークアップ言語フォーマット(更新XML地図データ)に変換し、該更新XML地図データを配信するために保存する地図データ配信サーバ、(3)XMLフォーマット地図データを保存し、通信ネットワークを介して地図データ配信サーバにアクセスし、該XMLフォーマット地図データを更新するために前記更新XML地図データをダウンロードにより取得するナビゲーション装置、を備えた地図データ配信システムにより達成される。
前記地図データ配信サーバは、ナビゲーション装置において更新処理が可能となるように前記更新XML地図データにXMLスクリプトを付属し、該更新XML地図データとXMLスクリプトをナビゲーション装置にダウンロードする。
前記地図データ配信サーバは、前記更新XML地図データが作成されたとき直ちに、あるいは、所定期間の前記更新XML地図データが蓄積されたとき、該更新XML地図データをナビゲーション装置に配信する。
前記地図データ配信サーバは、更に、前記更新XML地図データに付属して更新データID(前記更新XML地図データを識別するためのID)と更新情報(エリア名、道路名、更新内容、あるいは前記更新XML地図データに関連つけられたその他の情報)を配信する。
前記地図データ配信サーバは、更に、過去の所定期間の間になされた更新に関する更新情報を更新XML地図データに付属して配信する。
前記地図データ配信サーバにアクセスするとき、ナビゲーション装置は、更新が必要であるか否かをユーザが決定できるように、前記更新XML地図データに付属されている前記更新データIDと更新情報(エリア名、道路名、更新内容等)を表示する。
前記地図データ配信サーバは、インターネットを介して前記更新XML地図データをナビゲーション装置のコンピュータへ配信し、あるいは蓄積手段あるいは無線伝送手段を介してナビゲーション装置に送信する。
前記地図データ配信サーバは、ナビゲーション装置から受信したユーザプロファイルを格納し、該ユーザプロファイルにより定義された環境を反映する前記更新XML地図データを配信する。上記設定はユーザが選択したエリアであり、前記地図データ配信サーバは該エリアに関する前記更新XML地図データを配信する。
【0014】
・地図データ配信方法
本発明の地図データ配信方法は、上述の地図データ配信システムの各ユニットが実行する処理ステップを備えている。例えば、本発明の地図データ配信方法は、(1)地図データが更新される毎に所定フォーマットの地図データを発生するステップ、(2)前記地図データの更新部分を検索するステップ、(3)該更新部分の地図データを拡張可能なマークアップ言語フォーマット(更新XML地図データ)に変換するステップ、(4)所定期間、該更新XML地図データを累積、保存するステップ、(5)通信ネットワークを介して該更新XML地図データをナビゲーション装置にダウンロードし、該更新XML地図データをインストールするステップ、を備えている。本発明の地図データ配信方法は、以上のステップに加えて、上述の地図データ配信システムが実行する種々のステップを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地図データが更新される毎にリアルタイムに所定フォーマットの地図データを発生し、前記地図データの更新部分をリアルタイムに検索し、該更新部分の地図データを更新XML地図データに変換し、該更新XML地図データを直ちに、あるいは所定時間分の該更新XML地図データを累積、保存して通信ネットワークを介してナビゲーション装置にダウンロードするようにしたから、更新地図データをより頻繁に、かつ容易にナビゲーション装置に配信することができるようになった。
又、本発明によれば、更新XML地図データをナビゲーション装置にインターネットやその他の通信手段を介して配信することができる。
又、本発明によれば、更新XML地図データと共に地図更新処理に必要なデータをナビゲーション装置に配信するようにしたから、ナビゲーション装置において地図更新処理を行なうことができる。
又、本発明によれば、ユーザが選択したエリアに関する更新XML地図データのみを配信するようにしたから、配信のための通信費を削減でき、しかも、ナビゲーション装置における地図更新処理を容易に行なうことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を添付図を参照して詳細に説明する。
本発明の地図データ配信システムはリアルタイムでナビゲーション装置の地図データを更新でき、また、該更新地図データを任意の希望する時刻にユーザのナビゲーション装置に配信することが出来る。本発明は、ハイレベル(高級)のプロセッサや長い変換時間を要することなく、簡単な構成によりナビゲーション装置の地図データを頻繁に更新することを可能にする。更に、各更新データは過去の更新データを含んでいるから、更新に必要な完全なデータが地図データ配信サーバから1回の操作でダウンロードすることができる。したがって、地図データ配信サーバが大量の更新地図データの異なる組み合わせを準備することは不要である。
【0017】
本発明の地図データ配信システムは拡張可能なマークアップ言語(extensible markup language: XML)の地図データと、地理データから例えばGDF(地理データファイル)から変換されたスケーラブル・ベクトル・グラフィックス(scalable vector graphics: SVG)フォーマットとを利用する。本願出願人は従来技術の欠点を解決するために、地図データをXML/SVGデータを使用して表現するナビゲーション装置を、米国出願番号11/348,821(米国公開番号US2007/018565A1)として提案している。XML/SVGフォーマットの更新地図データは通信ネットワークを介して効率的に配信されるであろう。なお、XMLやSVGが地図データの言語やフォーマットを記述するために、本発明において使用されているが本発明はXMLやSVGに限定されるものではなく、機能及び作用においてXMLやSVGと同等の任意の言語やフォーマットを包含するものである。SVGはXML構文を使ったグラフィックイメージを記述するためのマークアップ言語の一種である。換言すれば、SVGはコンピュータシステム上に表示するベクトルグラフィックスを作成するためにXML構文後に設計されたマークアップ言語である。以後、本発明の記述において、"XML"はXML、SVG及び他のマークアップ言語を含む用語として使用される。
【0018】
図3は行政エリアに基づいた地図データを記述するXMLテキストデータにおける記述例である。この例は、XMLテキストデータによりカリフォルニア州における市(City)をリストアップした場合を示し、市カテゴリーは州カテゴリーに含まれる。例えば、アーバイン市(Irvine)には多くの地理的要素が、互いの関係が明確となるように、ネスト(nest)されている。ネストとは、ある種の一つ又はいくつかの構造を、同種の別の構造の中に階層的に組み入れることである。XMLフォーマット地図データの特徴を簡潔に説明するために図3では省略されているが、道路やPOI等の要素のためのデータが更に各市カテゴリーに含まれている。管轄区域(行例地域)にデータをネストすることにより、いくつかの利点が得られる。すなわち、ユーザは容易に市内に存在する所定のPOI(興味のある地点:point of interest)を検索できる。これは、ナビゲーション装置が階層化された上述のXLM地図データを利用しているためである。更に、市や州が交通規制を変更し、あるいは新ビルディングを建設したりするとき、この変更を反映するデータの更新をXMLフォーマット地図データのネスト構造により容易に行なわれる。
【0019】
XML地図データはモニタースクリーン上にコンテンツを容易に表示したり、該コンテンツを修正する能力において利点を有している。例えば、アーバイン市(Irvine)の地図データを新地図データ25で置き換える必要が生じたとき、データは旧タグを新タグで置き換えることにより容易に修正することが出来る。同様に、XMLフォーマットはPOIや道路リンク等の地図データ部分を容易に修正することを可能にする。
本発明のリアルタイム地図データ配信システムの基本的な構成を図4の概略図を参照して説明する。図4の基本構成は、データベースサーバ、通信ネットワーク、ナビゲーション装置を有している。この実施例において、ナビゲーション装置は車載ナビゲーション装置であるが、本発明は携帯デバイス、セルラーフォン、ラップトップコンピュータ等他のデバイスに適用することができる。
【0020】
図4の地図データ配信システムは主に、地図データ供給サーバ51、地図データ配信サーバ53、地図データブロードキャストサーバ55及びナビゲーション装置91を備えている。地図データ供給サーバ51は地図データを格納し、定期的に地図データを更新してデータベースを最新状態に維持する。新道路、新ビルディング、新POIが建設されると、地図データ供給サーバ51は更新地図データ61で示されるようにリアルタイムで更新地図データを作成する。
【0021】
地図データ配信サーバ53は典型的には、ナビゲーション装置の製造メーカに設置される。地図データ配信サーバ53は地図データ供給サーバ51における地図データの更新をチェックし、更新地図データを利用できる場合にはリアルタイムに該更新地図データを地図データ供給サーバ51から検索、取得する。更新地図データが地図データの全体に及ぶ場合には、地図データ配信サーバ53は地図データの更新部分のみを検索するために以前の全地図データからの差分を検出する。これにより、検出され更新地図データは小ユニットであるPOI、道路リンクなどになる。
【0022】
地図データ配信サーバ53は取得した更新地図データをXMLフォーマットの地図データに変換する。このXMLフォーマットの地図データは後で詳述するようにナビゲーション装置91において効率的な地図データの更新を可能にする。地図データ供給サーバ51から与えられた地図データからXMLフォーマット地図データを発生するプロセスは上述の米国特許出願番号11/348,821に記述されている。更新XMLフォーマット地図データの発生は、リアルタイムにより行なっても、あるいは所定の希望時刻に行なっても良い。あるいは、以下のように構成することも可能である。すなわち、地図データが更新される毎に、地図データ供給サーバ51がXMLフォーマット地図データを生成し、該更新XMLフォーマット地図データを地図データ供給サーバ51から地図データ配信サーバ53に送信する。
【0023】
更新XML地図データファイル63は、(1)XML表現の更新地図データ(更新XML地図データ)、(2)ナビゲーション装置91において地図データをバッチ処理により更新するために必要なXMLスクリプト、(3)更新XML地図データを識別するための更新データID等により構成されている。更に、ナビゲーション装置が地図データ配信サーバ53にアクセスするとき、ユーザがエリア名や道路名、更新内容などを認識できるように、更新情報が更新XML地図データファイル63に付加される。更新XML地図データは小ユニットのPOIあるいは道路リンクであり、以前の地図データからの差分である。なお、大ユニットとは全市、全地方等である。更新データIDは、例えば地図データのタイプに基づいて更新XML地図データの1つのユニットに割り当てられる。
【0024】
地図データ配信サーバ53は、更新XML地図データが準備されたとき、あるいは、所定期間分の更新XML地図データを蓄積した後、該XML更新地図データを配信することができる。更新XML地図データを配信するとき、地図データ配信サーバ53は、更新データIDやXMLスクリプトに加えて、エリア名、道路名、更新内容等を示す更新情報をナビゲーション装置に送信する。好ましくは、現在の更新情報のみならず過去の更新情報や過去所定期間の更新履歴もナビゲーション装置に配信される。
【0025】
更新XML地図データは種々の分配チャンネルを介して分配(配信)されうる。例えば、データブロードキャストサーバ55を介さずにリアルタイム地図データ配信システムは更新XML地図データを直接セルラーフォン73へ地図データ配信サーバ53から無線通信により送信してもよい。セルラーフォン73に格納された該更新XML地図データは該セルラーフォン自身によって使用されてもよいし、あるいは、ブルーツース(Bluetooth)などを介してナビゲーション装置91に送信されてもよい。
【0026】
更に、インターネットを介してユーザの携帯コンピュータ71に更新XML地図データを配信することも可能である。ユーザが更新XML地図データをコンピュータ71にダウンロードしたとき、ユーザはナビゲーション装置91を更新するために、該更新XML地図データをナビゲーション装置91にメモリカード、コンパクトディスクなどの蓄積媒体を使ってインストールすることができる。あるいは、更新XML地図データをコンピュータ71から無線送信手段例えばBluetoothを介してナビゲーションシステム91に送信することもできる。
【0027】
更に、衛星無線のような衛星通信を介して更新地図データを分配するデータブロードキャストサーバ55へ更新XML地図データを送信することができる。ナビゲーション装置91は更新XML地図データを受信し、後で詳述するように該更新地図データをインストールする。図4の例では、リアルタイム地図配信システムは地図データ供給サーバ51、地図データ配信サーバ53、地図データブロードキャストサーバ55により構成されているが、webサーバやデータベースサーバ等が組み込まれたその他の構成が可能である。
【0028】
図4に示されるXML地図データファイル63において、そのメインコンテンツは更新XML地図データである。上述したように、XMLデータは弾力性があり、修正が容易なタグ基本データフォーマット(tag-based data format)を有している。ナビゲーション装置91は、地図データを更新するために、更新XML地図データを既存のXML地図データに付加し、あるいは、ナビゲーション装置91の旧XML地図データを更新XML地図データで置き換える。XML地図データは、従来のPSFフォーマット地図データのように、矩形ユニット(セル)毎の地図データへの分割を要しない。かくして、本発明の更新手法は容易に、かつ素早く実行されうる。なお、PSFフォーマット地図データは地図データの発生及び更新に際して複雑さを増加する傾向にある。
【0029】
XMLスクリプトは、一度に地図データ更新の処理を全て行なうために(バッチ処理)、一連のジョブを実行することを許容する。典型的には、XMLスクリプトは、ナビゲーション装置91により実施可能となるように設計され、地図データを更新するためにナビゲーション装置により使用される。更新XML地図データがダウンロードされると、ナビゲーション装置91は地図データを更新するために自動的にXMLスクリプトを実施する。
【0030】
いくつかの更新処理において、現在の更新XML地図データのリニューワルのために以前の地図データの更新情報を必要とする。例えば、新ビルディング(現更新)が最近開発された細い土地(以前の更新)に建設されたときに上記状況が発生する。XMLスクリプトは、上記必要な更新情報がナビゲーション装置91にインストールされているかどうかをチェックするために使用される。もし必要な更新がナビゲーション装置に存在しなければ、XMLスクリプトはその旨をナビゲーション装置に通知する。又、XMLスクリプトは、ナビゲーション装置91でインストールされていなかった必要な更新情報を検索するよう地図データ配信サーバ53に要求する処理を実施する。更新XML地図データをダウンロードするために、ナビゲーション装置は後述するように好ましい環境を生成するためにユーザプロファイルをセットする。
【0031】
更新XML地図データファイル63が生成されると、地図データ配信サーバ53は上述したように更新XML地図データの更新データIDを発生する。更新データIDは、ナビゲーション装置91、地図データ配信サーバ53及びデータブロードキャストサーバ55が更新XML地図データを識別するために使用し、この結果、更新データIDを用いて更新履歴や処理手続きが全体的にシステムにおいて管理可能となる。例えば、更新データIDは、どの更新地図データがインストールされたかを識別するために使用される。更新データIDは数字や記述的名称等でもよい。
【0032】
図5は本発明実施例における地図データ更新の基本処理ステップを示すフローチャートである。まず、地図データ配信サーバ53は、新たな更新地図データが存在するかどうかを判定するために地図データ供給サーバ51と通信する(ステップ101)。ついで、地図データ配信サーバ53は、地図データ供給サーバ51が更新地図データを作成したかどうか判定する(ステップ102)。更新地図データが作成されていなければ(ステップ102で「NO」)、ステップ101〜102の処理を繰り返す。一方、更新地図データが作成されていれば、地図データ配信サーバ53は、典型的にはGDFフォーマットの地図データ更新部分を検索、取得し、該地図データ更新部分をXMLフォーマット地図データに変換する(ステップ103)。なお、上述したように、地図データが更新される毎に、地図データ供給サーバ51がXMLフォーマット地図データを生成し、該更新XMLフォーマット地図データを地図データ供給サーバ51から地図データ配信サーバ53に送信することもできる。
【0033】
地図データ配信サーバ53は、変換した更新XML地図データを保存し、ナビゲーション装置より配信要求があればいつでも地図データを配信できるように準備する。かかる状態において、ナビゲーション装置91は地図データ配信サーバ53あるいは地図データブロードキャストサーバ55と通信し、更新XML地図データの利用可能性をチェックする(ステップ104)。もし、新たな更新XML地図データが地図データ配信サーバ53に存在し、ユーザが該更新XML地図データを欲すれば、ナビゲーション装置91は更新XML地図データに付属されている更新データIDと更新情報(エリア名、道路名、更新内容等)を取得し、これらを参照して更新が必要であるか否かを決定する。そして、ナビゲーション装置91は、所定の更新条件が満たされていれば、地図データ配信サーバ53又は地図データブロードキャストサーバ55から更新XML地図データファイル63をダウンロードする(ステップ105)。
【0034】
上述したように、図4を参照すると、更新XML地図データファイル63は更新地図データの本体(更新XML地図データ)に加えてXMLスクリプトを有している。かくして、ナビゲーション装置91は更新XML地図データのXMLスクリプトを実行する(ステップ106)。XMLスクリプトはナビゲーション装置の状態をチェックし、現在の更新XML地図データをインストールするために他の更新XML地図データが必要であるかを決定する。また、XMLスクリプトはナビゲーション装置にユニークなID又はキーをチェックし、該ナビゲーション装置が法律的にリニューワルデータを更新できるかどうか(たとえば更新費用を支払っているか)を決定する。そして。これら決定に基づいて所定の処理を行う。
【0035】
ついで、XMLスクリプトの指示に従って、ナビゲーション装置91は地図データを更新する。最終的に、ナビゲーション装置の地図データは、更新XML地図データを装置に既存のXML地図データに結合あるいは置き換えすることにより更新される(ステップ107)。地図データはXMLフォーマットであるから、通信チャンネルを通して容易に送信することができ、又他の地図データと結合することができる。
【0036】
図6はナビゲーション装置の地図データを更新するための更新XML地図データを準備するプロセスのフローチャートである。換言すれば、図6は図5のフローチャートのステップ103のサブステップを説明するフローチャートである。
上述したように、従来技術の地図データの更新は、該地図データの更新のために複雑で、かつ時間のかかる処理を必要とするため、頻繁に行なうことができなった。しかしながら、本発明において、ナビゲーション装置はXML地図データを使用するため、地図データの送信及び更新のためのプロセスがより早くなり、かつ、より容易になり、それゆえ、頻繁な、カスタマイズされた更新が可能となった。
【0037】
地図データ配信サーバ53は地図データ供給サーバ51と通信し、更新地図データの利用可能性をチェックする(ステップ121)。一般に、地図データ供給サーバ51は定期的に新道路、新ビルディング、新POI等のような新情報に基づいて地図データを更新し、該更新地図データを自身の貯蔵部に保管する。上述したように、一般に、地図データ供給サーバ51により与えられた地図データは特殊なデータフォーマット、例えばGDF(geographic data file)フォーマットを有している。
【0038】
更新地図データ61が生成されると、地図データ配信サーバ53は更新地図データを検索して取得する(ステップ122)。GDFフォーマット地図データをXMLフォーマット地図データに変換するために、地図データ配信サーバ53は更新地図データの各内容を調べて更新GDF地図データを解析する(ステップ123)。解析結果に基づい、地図データ配信サーバ53は更新GDF地図データをXMLフォーマット地図データに変換する(ステップ124)。あるいは、上述したように、地図データが更新される毎に、地図データ供給サーバ51がXMLフォーマット地図データを生成し、該更新XMLフォーマット地図データを地図データ供給サーバ51から地図データ配信サーバ53に送信することもできる。そのような場合、図6のプロセスと類似するプロセスが地図データ供給サーバ51により実行される。地図データ配信サーバ53は更新XML地図データを格納し、ダウンロード要求がナビゲーション装置91より受信したとき該更新XML地図データを配信する。
【0039】
図7はナビゲーション装置91が地図データを更新するために更新XML地図データをダウンロードするプロセスを示すフローチャートである。換言すれば、図7のプロセスは図5のフローチャートにおけるステップ105のサブステップである。更新XML地図データをダウンロードする際、ユーザは好ましい環境を反映するためにユーザプロファイルをセットする。例えば、ユーザは更新の希望周期あるいは更新される地理エリア等をユーザプロファイルに反映する。ユーザによりセットされたユーザプロファイルは地図データ配信サーバ53に送信され、地図データ配信サーバ53は該ユーザプロファイルに基づいて更新XML地図データを発生し、該更新XML地図データをナビゲーション装置に送信する。
【0040】
更新XML地図データのダウンロードプロセスは図7のフローチャートに示される態様で実行される。ユーザはナビゲーション装置91、パソコン(PC)、あるいは環境を特定することが可能な他のデバイスを介してユーザプロファイルを設定する(ステップ131)。ユーザプロファイルが設定されると、ナビゲーション装置91は該ユーザプロファイルを通信ネットワークを介して地図データ配信サーバ53に送信する(ステップ132)。
【0041】
同一のユーザが以前に設定したユーザプロファイルが地図データ配信サーバ53に存在する場合には、新ユーザプロファイルにより旧ユーザプロファイルは置き換えられる。あるいは、旧ユーザプロファイルを保持しながら新ユーザプロファイルが保存される。地図データ配信サーバ53はユーザプロファイルに基づいて更新XML地図データを検索する(ステップ133)。例えば、地図データ配信サーバ53は、ユーザプロファイルがカリフォルニア地図データのみが更新されるべきであることを特定している場合には、カリフォルニア地図データのみを有する更新XML地図データを発生する。最後に、地図データ配信サーバ53又は地図データブロードキャストサーバ55は更新XML地図データをユーザのナビゲーション装置91に送信する(ステップ134)。
【0042】
択一的に、ユーザプロファイルを地図データ配信サーバ53へ送信せずにパソコン(PC)あるいはナビゲーション装置91に保存しても良い。かかる場合、ユーザがナビゲーション装置又はパソコンを本発明の地図データ配信システムに接続するとき、地図データ配信サーバ53は該ナビゲーション装置又はパソコン内のユーザプロファイルをチェックする。それから、地図データ配信サーバ53はユーザプロファイルに基づいて更新XML地図データを取得する。例えば、更新XML地図データがたとえ国全体に及んでいても、地図データ配信サーバ53は、ユーザプロファイルがカリフォルニア地図データのみの更新を特定していればカリフォルニアに相当する更新XML地図データのみを送信する。
【0043】
また、ユーザプロファイルをユーザ入力無くして自動的に生成することも可能である。典型的なナビゲーションシステムは将来の使用を考えて以前に選択された目的地を記録しているから、ユーザプロファイルをそのような以前の目的地に基づいて作成することが出来る。例えば、ナビゲーション装置は以前の目的地をカバーするエリアをユーザプロファイルの一部として登録する。更新XML地図データがそのような登録エリアに及んでいれば、地図データ配信サーバ53は該登録エリアに関する更新XML地図データを検索し、ナビゲーション装置に送信する。
【0044】
図8は、本発明の更新XML地図データをインストールするためのXMLスクリプトを実施する手順を示すフローチャートである。換言すれば、図8のプロセスは図5のフローチャートにおけるステップ106のサブプロセスである。ナビゲーション装置91は既存のXML地図データを更新するための処理を実行するから、XMLスクリプトは該ナビゲーション装置が地図更新のための資格を有しているかどうかを決定するためにチェックする(ステップ141)。この資格確認プロセスは、ナビゲーション装置のユーザが更新のためのダウンロード費用を支払っているか否かをチェックするために使用されうる。更に、XMLスクリプトは更新XML地図データにユニークなアクチベーションキーを備え、ナビゲーション装置にユニークなユーザキーが該アクチベーションキーと所定の関係があるとき、更新処理を行うようにすることができる。このプロセスは、不法なコピーから更新XML地図データを保護するのに有効である。
【0045】
ついで、XMLスクリプトはナビゲーション装置が更新処理を実行するための必要条件を満足するかのチェックを行なう(ステップ142)。例えば、地図更新するために必要となるメモリスペースをチェックし、ナビゲーション装置の蓄積デバイスが更新地図データを格納することが可能であるか決定する。また、XMLスクリプトは上記必要条件としてナビゲーションシステムの既存の地図データがXMLフォーマットを有しているかをチェックしても良い。
【0046】
XMLスクリプトは地図更新のためにナビゲーション装置が前の更新情報が必要であるかどうかをチェックする(ステップ143)。もし、前の更新情報が必要のようであれば、XMLスクリプトはナビゲーション装置を介してユーザに通知する。もし、ユーザが前の更新情報を欲していれば、XMLスクリプトはナビゲーション装置に該前の更新情報をダウンロードし、インストールするよう指示する。
以上により、全必要条件が満たされれば、XMLスクリプトはナビゲーション装置の地図データの更新を開始する(ステップ144)。最後に、XMLスクリプトは地図データの更新が成功裡に完了したか確認する(ステップ145)。
【0047】
図9は本発明を実現する車載ナビゲーション装置の構成図である。説明のために車載ナビゲーション装置が示されているが、本発明は他のタイプのナビゲーション装置、例えばPDA(personal digital assistant) デバイスにより実現された携帯ナビゲーション装置、無線電話機、ラップトップあるいはノートブックコンピュータのような持ち運び可能なデバイスにも適用できるものである。
【0048】
ブロック図において、ナビゲーション装置は、XML/SVGフォーマットを有する地図データを保存するための地図蓄積媒体31、例えばハードディスク、CD-ROM、DVDその他の蓄積手段(以後データディスクという)を有している。又、ナビゲーション装置はデータディスクから地図情報の読み取りを制御するデータディスク制御部32、現在の車両位置あるいはユーザ位置を測定するための位置測定デバイス33を有している。例えば、位置測定デバイス33は、移動距離を検出するための車両速度センサ、移動方向を検出するジャイロスコープ、位置を計算するマイクロプロセッサ、GPS(Global Position System)レシーバ等を備えている。
【0049】
ナビゲーション装置は更に、データディスク31から読み取られた地図情報を保存する地図情報メモリ34、データディスク31から読み取られたPOI情報のようなデータベース情報を保存するデータベースメモリ35、メニュー選択操作、拡大/縮小操作、目的地入力操作などを実行するリモコン37、リモコンインターフェース38を備えている。リモコンはメニュー選択、選択された機能の実施などをするための典型的な例であるが、ナビゲーション装置はリモコンを通してなされるのと同一あるいは類似の操作を行なう種々の入力デバイスを採用することが出来る。
【0050】
図9において、ナビゲーション装置は、更に、上記各ユニット間でデータ送受可能となるようにするバス36、ナビゲーション装置全体の制御を行うプロセッサ(CPU)39、ナビゲーション制御のために必要な経路探索プログラム、マップマッチングプログラムなどの種々の制御プログラムを記憶するROM 40、誘導経路のような処理結果を記憶するRAM 41,地図情報に基づいて地図画像(地図案内画像や矢印案内画像)を発生するディスプレイコントローラ43、ディスプレイコントローラ43が発生した画像を記憶するVRAM 44、メニュー画像/種々のリスト画像を発生するメニュー/リスト発生部45、合成部46、リモートサーバから地図データ、その他のデータを取得する無線通信用の送受信機49、一時的にデータ処理のためにデータを保存するバッファメモリ48及びモニター(表示部)50を有している。
【0051】
XML/SVG地図データコントローラ47は、行政区域に基づいて構成された階層化XML/SVG地図データを利用するための動作を制御する。従来技術において、上述するように、選択エリアの地図データは多数のセル(メッシュ状部分)に分割される。しかしながら、本発明では、XML/SVGフォーマットの地図データが、州、地方、市などのような行政区域に基づいた階層構造で構成されている。XML/SVG地図データコントローラ47はCPU 39と別個のプロセッサにより、あるいはCPU 39の一部として構成することが可能である。
【0052】
上記構成において、地図蓄積媒体31は再書き込み可能な媒体であり、該媒体に更新XML地図データを格納することができる。更新XML地図データのXMLスクリプトは、CPU 39あるいはコントローラ47により実行され、更新されたXML地図データは地図蓄積媒体31に保存される。本発明のナビゲーション装置の構成は、図9を参照して記述されるが、それに限定するものではない。ナビゲーション装置は基本地図情報をDVDに保存し、更新地図データをハードディスクのように分離して設けられたメモリデバイスに保存することも出来る。DVDディスク及びメモリデバイスは更新地図情報を供給するために共同的に機能する。
【0053】
図10−図14は、本発明による地図データを更新するためのXMLフォーマット地図データにおける記述例である。これらは、XMLフォーマット地図データは地図データ配信サーバよりはむしろ地図データ供給装置により生成される場合の例である。図10は、地図データが更新されたときに地図データ供給装置により生成されるマップログ(map log)の記述例であり、図11は本発明のナビゲーション装置や地図データ配信システムで使用される所定の道路リンクを示すXMLフォーマット地図データの構造例である。図11において示されるように、更新に含まれる道路リンクは太字のラインIDで特定されている
【0054】
図12は所定の道路リンクに関係する更新部分を示す図10のマップログから引き出した更新XML地図データの記述例である。図4の地図データ配信システム53は図10のマップログを解析し、ナビゲーション装置における地図データを更新するための図12の更新XML地図データを生成する。この例は、ニューヨークにおける道路の元の名称 ”I-78" を ”I-278" に変更した場合を示している。最初のタグ<XMLUpdate>はこのXMLテキストが更新処理用(更新XML地図データ)であることを示している。所定の道路がラインID ”146020”により特定されている。
【0055】
図13は図12と殆ど同一の更新XML地図データの記述例あり、ナビゲーション装置の更新処理を示すように記述されている点が異なる。すなわち、ナビゲーション装置は地図データ配信システム53から受信した更新XML地図データを解析する。この結果、ナビゲーション装置は更新処理を実行すべきであり、更新されるべき要素(エレメント)がラインID “146020”により特定された道路リンクであり、更新されるべき属性は"I-278"に変更される元の名前である、ことを知る。かくしてナビゲーション装置は道路名を"I-278"に変更する更新処理を実行する。
【0056】
図14は、地図データ供給装置から受信したマップログから引き出した更新XML地図データの別の記述例であり、このマップログは所定のラインを別のラインで置き換える更新を示している。この例では、地点”1259801”から地点”1261806”へ延びるラインID “146020” により特定される道路が、地点”1895401”から地点”1880422”へ延びるラインID “148800” により特定される道路により置き換えられる。かかる置き換えをするために、ナビゲーション装置はラインID “146020” に関連するデータを削除し、ラインID “148800” に関連するデータを追加する。
【0057】
上述してきたように、本発明によれば、地図データ配信システムはリアルタイムにナビゲーション装置の地図データを更新することが出来、その更新地図データを希望するときにユーザのナビゲーション装置に配信することが出来る。地図データはXMLフォーマットを有しているから、地図データは容易に修正でき、他の地図データと結合され、通信ネットワークを介して送信される。かくして、本発明は、高級なプロセッサや長い変換時間を要することなく簡単な構成でナビゲーション装置の地図データを頻繁に更新することが可能になる。更に、各更新データは過去の更新データを含むため、更新に必要な完全なデータは地図データ配信サーバから一度の処理でダウンロードすることができる。したがって、地図データ配信サーバやナビゲーション装置の製造工場は、更新地図データの大量の組み合わせを準備する必要はない。
本発明は、好ましい実施例を参照して記述されているが、本願発明は実施例に限定されるものではなく、請求項に含まれる変形例、修正例にも及ぶことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】いかにして初期のGDF地図データがPSFファイルのメッシュ状地図データに構築されるかを示す説明図である。
【図2】従来の更新地図データ配信システムの構成例である。
【図3】本発明の地図データ配信方法及びシステムに組み込まれた行政エリアに基づいて地図データを記述するXMLテキストデータ記述例である。
【図4】ナビゲーション装置に更新地図データを配信する本発明の更新地図データ配信システムの構成例である。
【図5】本発明の実施例において地図データを更新する基本的な処理ステップを説明するフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置のために更新XML地図データを発生する図5のステップ103のサブステップを説明するフローチャートである。
【図7】カスタマイズされた更新XML地図データを発生するためにユーザプロファイルを使用する図5のステップ105のサブステップを説明するフローチャートである。
【図8】地図データをインストールするために更新XML地図データのXMLスクリプトを実施する図5のステップ106のサブステップを説明するフローチャートである。
【図9】XMLフォーマット地図データを用いて本発明を実現する車両ナビゲーションシステムの構成例を示す概略図である。
【図10】地図データが更新されるとき、地図データ供給装置によって生成されるXMLフォーマットのマップログ記述例である。
【図11】本発明のナビゲーション装置や地図データ配信システムで使用される所定の道路リンクを示すXMLフォーマット地図データの構造例である。
【図12】所定の道路リンクに関係する更新部分を示す図10のマップログから引き出したXMLフォーマット地図データの記述例である。
【図13】図12と殆ど同一のXMLフォーマット地図データの記述例あり、ナビゲーション装置の更新処理を示すように記述されている点が異なる。
【図14】マップログから引き出したXMLフォーマット地図データの別の記述例である。
【符号の説明】
【0059】
51 地図データ供給サーバ
53 地図データ配信サーバ
55 地図データブロードキャストサーバ
61 更新地図データ
63 更新XML地図データファイル
71 携帯コンピュータ
73 セルラーフォン
91 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
更新地図データを配信する地図データ配信システムにおいて、
地図データが更新される毎に所定フォーマットの地図データをリアルタイムに発生する地図データ供給サーバ、
地図データの更新部分をリアルタイムに検索し、該更新部分の地図データを拡張可能なマークアップ言語フォーマット(更新XML地図データ)に変換し、該更新XML地図データを配信するために保存する地図データ配信サーバ、
XMLフォーマット地図データを保存し、通信ネットワークを介して地図データ配信サーバにアクセスし、該XMLフォーマット地図データを更新するために前記更新XML地図データをダウンロードにより取得するナビゲーション装置、
を備えることを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項2】
請求項1記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバは、ナビゲーション装置において更新処理が可能となるように前記更新XML地図データにXMLスクリプトを付属し、該更新XML地図データとXMLスクリプトをナビゲーション装置にダウンロードする、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項3】
請求項1記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバは、前記更新XML地図データが作成されたとき直ちに、あるいは、所定期間の前記更新XML地図データが蓄積されたとき、該更新XML地図データをナビゲーション装置に配信する、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項4】
請求項2記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバは、更に、前記更新XML地図データに付属して更新データID(前記更新XML地図データを識別するためのID)と更新情報(エリア名、道路名、更新内容、あるいは前記更新XML地図データに関連付けられたその他の情報)を配信する、ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項5】
請求項4記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバは、更に、過去の所定期間の間になされた以前の更新に関する更新情報を更新XML地図データに付属して配信する、ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項6】
請求項4記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバにアクセスするとき、ナビゲーション装置は、更新が必要であるか否かをユーザが決定できるように、前記更新XML地図データに付属されている前記更新データIDと更新情報(エリア名、道路名、更新内容等)を表示する、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項7】
請求項2記載の地図データ配信システムにおいて、
前記XMLスクリプトは、前記更新XML地図データにユニークなアクチベーションキーを含み、前記ナビゲーション装置にユニークなユーザキーが該アクチベーションキーと所定の関係を満たすとき、該ナビゲーション装置における地図更新処理を可能にする、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項8】
請求項2記載の地図データ配信システムにおいて、
前記更新XML地図データをダウンロードするとき、前記XMLスクリプトは、地図更新処理が以前の更新情報を必要とするかをチェックし、必要であり、かつ、以前の更新情報がナビゲーション装置にインストールされていないとき、該以前の更新情報をダウンロードする、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項9】
請求項2記載の地図データ配信システムにおいて、
前記更新XML地図データをダウンロードするとき、前記XMLスクリプトは、地図更新処理が以前の更新情報を必要とするかをチェックし、必要であり、かつ、以前の更新情報がナビゲーション装置にインストールされていないとき、該以前の更新情報をナビゲーション装置に通知する、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項10】
請求項1記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバは、インターネットを介して前記更新XML地図データをナビゲーション装置のユーザのコンピュータへ配信し、あるいは無線伝送手段を介してナビゲーション装置に送信する、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項11】
請求項1記載の地図データ配信システムにおいて、
前記地図データ配信サーバは、ナビゲーション装置から受信したユーザプロファイルを格納し、該ユーザプロファイルにより定義された環境を反映する前記更新XML地図データをナビゲーション装置に配信する、
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項12】
請求項11記載の地図データ配信システムにおいて、
前記ユーザプロファイルにより定義された環境はナビゲーション装置において選択したエリアであり、前記地図データ配信サーバは該エリアに関する前記更新XML地図データを配信する
ことを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項13】
更新地図データを配信する地図データ配信システムにおける地図データ配信方法において、
地図データが更新される毎に所定フォーマットの地図データを発生し、
前記地図データの更新部分を検索し、
該更新部分の地図データを拡張可能なマークアップ言語フォーマット(更新XML地図データ)に変換し、
所定期間、該更新XML地図データを累積、保存し、
通信ネットワークを介して該更新XML地図データをナビゲーション装置にダウンロードし、該更新XML地図データをインストールする、
ことを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項14】
請求項13記載の地図データ配信方法において、
前記変換ステップは、ナビゲーション装置において更新処理が可能となるように前記更新XML地図データにXMLスクリプトを付属するステップを備え、
前記更新XML地図データと該XMLスクリプトをナビゲーション装置にダウンロードする、
ことを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項15】
請求項13記載の地図データ配信方法において、
前記変換ステップは、
更新データID(前記更新XML地図データを識別するためのID)と更新情報(エリア名、道路名、更新内容、あるいは前記更新XML地図データに関連つけられたその他の情報)を前記更新XML地図データに付属するステップを備える、
ことを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項16】
請求項15記載の地図データ配信方法において、
前記変換ステップは、更に、過去の所定期間の間になされた以前の更新に関する更新情報を前記更新XML地図データに付属するステップを備える、
ことを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項17】
請求項15記載の地図データ配信方法において、
更新が必要であるか否かをユーザが決定できるように、前記更新XML地図データに付属されている前記更新データIDと更新情報(エリア名、道路名、更新内容等)をナビゲーション装置のユーザ端末において表示するステップ、
を有することを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項18】
請求項14記載の地図データ配信方法において、
前記更新XML地図データをダウンロードするステップは、
地図更新処理が以前の更新情報を必要とするかをチェックするステップ、
必要であり、かつ以前の更新情報がナビゲーション装置にインストールされていないとき、該以前の更新情報をダウンロードするステップ、
を有することを特徴とする地図データ配信方法。
【請求項19】
請求項13記載の地図データ配信方法において、更に
ナビゲーション装置から受信したユーザプロファイルを格納するステップ、
該ユーザプロファイルにより定義された環境を反映する前記更新XML地図データをナビゲーション装置に配信するステップ、
を有することを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項20】
請求項19記載の地図データ配信方法において、
ユーザプロファイルにより定義された前記設定はナビゲーション装置においてユーザが選択したエリアであり、該エリアに関する前記更新XML地図データをナビゲーション装置に配信する
ことを特徴とする地図データ配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−257240(P2008−257240A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89454(P2008−89454)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】