説明

基材処理装置及び方法

【課題】 基材の外周部の不要膜の除去処理において、基材の中央部にダメージが及ばないようにする。
【解決手段】
ステージ10の内部に吸熱手段として冷媒室41を設け、それに水等の冷媒を充填する。このステージ10の支持面10aにウェハ90を接触支持させる。このウェハ90の外周部を加熱器20で加熱しながら、この加熱された部位に反応性ガス吹出し口30bから不要膜除去のための反応性ガスを供給する。一方、ウェハ90の外周部より内側の部分は、上記吸熱手段にて吸熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハーや液晶表示基板などの基材の外周部に被膜された有機膜等の不要物を除去する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体ウェハーや液晶表示用のガラス基板等の基材に絶縁膜、有機レジスト、ポリイミド等を被膜する手段として、スピンコーティング法による塗布、CVD、PVDによる薄膜堆積等の方法が知られている。しかし、スピンコーティングでは、塗布物が基材の中央部より外周部に厚く塗布され、外周部が盛り上ってしまう。また、CVDとして、たとえばプラズマCVDを用いた場合、基材の外周のエッジ部分に電界が集中し、膜の異常成長が起きるため、基材の外周部の膜質が中央部と異なって来、膜厚も中央部に比べて大きくなる傾向がある。OやTEOS等を用いた熱CVDの場合には、反応性ガスの抵抗が基材の中央部と外周のエッジ部分とで違うため、同様に、基材の外周部の膜質が中央部と異なり、膜厚も大きくなる。
【0003】
半導体ウェハーの製造工程においては、異方性エッチング時に堆積するフロロカーボンがウェハーの外端面から裏面にも回り込み、そこにも堆積する。このため、ウェハーの裏面外周部に不要な有機物が付着してしまう。
【0004】
このような基材外周部の薄膜は、基材を搬送コンベアで搬送したり運搬用カセットに収容して運搬したりする際に割れやすく、これによりダストが発生するおそれがあった。このダストが原因となって、ウェハー上にパーティクルが付着し、歩留まりが低下するという問題があった。
【0005】
従来、上記異方性エッチング時にフロロカーボンがウェハー裏面に回りこんで出来た膜は、例えばドライアッシング処理によってOプラズマをウェハーの表側面から裏面へ回り込ますことで、除去していた。しかし、low−k膜の場合、ドライアッシング処理を行うとダメージを受ける。そのため低出力で処理する試みがなされているが、低出力ではウェハー裏面のフロロカーボンを除去しきれず、基材の搬送時等にパーティクルが発生し、歩留まりを低下させる主因となっている。
【0006】
半導体ウェハーの外周部を処理する先行文献として、例えば、特許文献1;特開2003−264168号公報には、ステージの外周にヒータを埋め込むことにより、ウェハーの外周部を加熱しながらオゾンガスを吹付けることが記載されている。
特許文献2;特開2004−96086号公報には、ウェハーの外周部に赤外線ランプを当てながら酸素ラジカルを吹付けることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−264168号公報
【特許文献2】特開2004−96086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オゾン等の反応性ガスを用い常圧下でフォトレジストやlow−k膜などの有機系薄膜、エッチング時の堆積フロロカーボン等の有機物を効率的に除去するには、加熱が必要である。すなわち、図37に示すように、被処理部を加熱したほうが、反応が促進され、エッチングレート(E/R)が高くなる。しかし、ウェハーの全体を高温雰囲気にさらすと、Cuの酸化が起きたり、low−kの特性が変わったりする等、配線や絶縁膜等が変質してしまい、デバイス特性に影響を与え、信頼性を低下させてしまう。上掲特許文献等では、膜除去すべき外周部に加熱器を当てているが、熱が基材の外周部から中央部へ伝導し、中央部も高温化するおそれもある。また、加熱器が赤外線ランプ等の場合、赤外線が基材の中央部にも照射されてそこを直接加熱、高温化させるおそれがある。このような高温化した基材の中央部にオゾン等の反応性ガスが流れ込むと、そこの膜までもがエッチングされかねない。また、基材の中央部の膜が変質するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、本発明は、基材の外周部に被膜された不要物を除去する装置であって、
(a)基材を接触支持する支持面を有するステージと、
(b)このステージに支持された基材の外周部の在るべき被処理位置に熱を付与する加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガスを前記被処理位置に供給する反応性ガス供給手段と、
(d)前記ステージに設けられ、前記支持面から吸熱する吸熱手段と、
を備えたことを特徴とする。
この特徴構成によれば、基材の外周部を加熱するとともに、この加熱された外周部に反応性ガスを吹付けることにより、不要物を効率的に除去することができる。一方、基材の外周部より内側部分(中央部)に外周部から熱が伝わって来たり、加熱器の熱が直接的に加えられたりしても、これを吸熱手段で吸熱できる。これによって、基材の内側部分の膜や配線が変質するのを防止できる。また、反応性ガスが基材の外周側から内側へ流れ込んで来たとしても、反応を抑えることができる。これによって、基材の内側部分にダメージが及ぶのを防止することができる。
【0009】
前記吸熱手段は、例えば、冷媒にてステージを冷却するものである。
その具体的構造としては、例えば、前記ステージの内部に前記吸熱手段として冷媒室が形成され、この冷媒室に冷媒の供給路と排出路が連なっている。この冷媒室に冷媒を送り込んで充填または流通ないしは循環させることにより、基材から吸熱することができる。冷媒室の内容積を大きくすることにより、熱容量ひいては吸熱能力を十分に高めることができる。冷媒としては、例えば、水、空気、ヘリウム等の流体を用いる。冷媒を圧縮する等して冷媒室内に勢い良く供給することにしてもよい。これにより、冷媒室の隅々まで万遍なく行き渡るように流動させることができ、吸熱効率を向上させることができる。なお、冷媒供給の勢いが穏やかであっても、或いは充填したきり供給排出を停止しても、冷媒室内での自然対流により、吸熱性を確保できる。冷媒室に連なる冷媒供給路と冷媒排出路を、共通の通路で構成してもよい。
【0010】
前記ステージの内部や裏側(支持面とは反対側の面)に、前記吸熱手段として管等によって冷媒通路を設け、この冷媒通路に冷媒を通すことにしていてもよい。
前記冷媒通路は、前記ステージの内部の支持面側の部分から支持面とは反対側の部分へ向かうように形成されていてもよい。これによって、吸熱効率を一層高めることができる。前記ステージの内部に室が形成されており、この室が、支持面側の第1室部分と支持面とは反対側の第2室部分とに仕切られるとともに、これら第1、第2室部分が互いに連通されており、前記第1室部分が、前記冷媒通路の上流側の路部分を構成し、前記第2室部分が、前記冷媒通路の下流側の路部分を構成していてもよい。
【0011】
また、前記冷媒通路は、前記ステージの外周部分から中央部分へ向かうように形成されていてもよい。これによって、基材の外周部に近い側を十分に冷却することができ、基材の外周部から伝わって来た熱を確実に吸熱でき、中央部の膜を確実に保護することができる。かかる冷媒通路は、例えば、渦巻き状をなしている。或いは、同心状をなす複数の環状路と、径方向に隣り合う環状路どうしの間に設けられ、これら環状路を繋ぐ連通路とを有している。
【0012】
前記吸熱手段が、吸熱側を前記支持面に向けてステージ内に設けられたペルチェ素子を含んでいてもよい。ペルチェ素子は、支持面の近くに設けるとよい。また、ペルチェ素子の裏側(放熱側)には、放熱を助けるファンやフィン等を設けるとよい。
【0013】
前記吸熱手段は、前記ステージの略全域に設けられていてもよい。これにより、前記支持面の略全体から吸熱することができる。
【0014】
前記ステージが、外周領域と中央領域とを有し、前記吸熱手段が、前記外周領域と中央領域のうち外周領域にのみ設けられていてもよい。前記吸熱手段が、前記ステージの外周側の部分と中央側の部分のうち外周側の部分にのみ設けられていてもよい。
これにより、前記支持面の外周側の部分(外周領域)だけから吸熱でき、その更に外側に配置された基材外周部からの熱を確実に吸熱除去できる一方、中央側の部分(中央領域)までをも無駄に吸熱冷却するのを防止でき、吸熱源の節約を図ることができる。
【0015】
前記ステージには、基材の固定手段として、基材を吸着する静電式や真空式のチャック機構を組み込むのが好ましい。これによって、基材を支持面にしっかりと接触させることができ、吸着能力を確実に発揮することができる。落とし込み等による機械的チャック機構を用いてもよいが、この場合、基材の外周部の一部の膜が機械チャックと物理接触することになるので、出来るだけ静電チャック機構や真空チャック機構にするのが好ましい。真空チャック機構の吸着孔や吸着溝は、可及的に小さくするのが好ましい。これによって、基材とステージの接触面積を大きくでき、吸熱効率を確保できる。
前記チャック機構は、前記ステージの外周側の部分(外周領域)に設けられているのが好ましい。前記ステージの中央側の部分(中央領域)の支持面には、前記チャック機構の設けられた外周側部分の支持面より凹む凹部が形成されていることがより好ましい。これによって、ステージと基材の接触面積を小さくでき、吸着に起因するパーティクルを低減することができる。一方、ステージの少なくとも外周側の部分に吸熱手段を設けておけば、このステージの外周部分はウェハと接触しているので、ウェハの外周部から内側に伝わろうとする熱を確実に吸熱でき、ウェハの中央部が加熱されるのを確実に防止することができる。
チャック機構は、ステージの支持面の全域に設けてもよい。
【0016】
また、本発明は、基材の外周部に被膜された不要物を除去する方法であって、基材をステージの支持面に接触支持させ、この基材の外周部を加熱する一方、外周部より内側の部分を前記ステージに設けた吸熱手段にて吸熱しながら、前記加熱された外周部に不要物除去のための反応性ガスを供給することを特徴とする。これによって、上記装置発明と同様に、基材の内側部分にダメージが及ぶのを防止することができる。
【0017】
前記加熱器は、非接触加熱できるレーザ加熱器や赤外線ランプ等の輻射加熱器を用いるのが望ましい。前記輻射加熱器の出力波長を、前記不要物の吸収波長に対応させることにしてもよい。そうすると、エネルギを不要物に効率的に付与でき、加熱効率を高めることができる。前記光源の発光波長が、前記不要物の吸収波長に対応していてもよく、バンドパスフィルタ等の波長抽出手段で吸収波長だけを抽出することにしてもよい。レーザの種類は、LD(半導体)レーザでもよく、YAGレーザでもよく、エキシマレーザでもよく、その他の形式でもよい。
【0018】
輻射加熱器には、光源からの熱光線を前記被処理位置へ向けて収束させるパラボリック反射鏡、凸レンズ、シリンドリカルレンズ等の光学系を設けるのが望ましい。これによって、基材の外周部のみを局所加熱できる。輻射加熱器には、焦点調節機構を組み込むのが望ましい。焦点は、被処理位置にぴったり合わせてもよく、多少ずらしてもよい。これにより、基材の外周部に付与する輻射エネルギの密度や照射面積(集光径)を適切な大きさに調節することができる。
【0019】
前記焦点調節機構は次のように使用することができる。
例えば、基材の外周のノッチ又はオリフラ等の切欠部を処理するときは、前記輻射加熱器の焦点を、前記切欠部以外の基材外周を処理する時に対し光軸方向にずらす。これにより、基材上での照射幅(光径)をノッチやオリフラ以外の処理時より大きくすることができ、ノッチやオリフラの縁にも熱光線が当たるようにすることができ、ひいてはノッチやオリフラの縁に付いた膜の除去を行なうことができる。
【0020】
前記焦点調節機構によって輻射加熱器の焦点を光軸方向に調節することにより、基材外周上での照射幅を調節し、ひいては処理幅(除去する不要膜の幅)を調節することもできる。
【0021】
処理幅は、輻射加熱器を基材の径方向に微小スライドさせることによっても調節可能である。この場合、基材が一回転する度に輻射加熱器の基材上での照射幅とほぼ同じ大きさ分だけ輻射加熱器を基材の径方向に微小スライドさせるのが好ましい。基材外周の処理すべき範囲の内周側から照射し始め、順次、半径外方向に微小スライドさせておくのが好ましい。
【0022】
光源からの熱光線を光ファイバ等の導波管で前記被処理位置の近傍まで導くことにしてもよい。
光源は、点状光源であってもよく、前記ステージの周方向に沿う線状光源であってもよく、前記ステージの周方向の全周に沿う環状光源であってもよい。
同様に、前記吹出し口の形状は、点状(スポット状)であってもよく、前記ステージの周方向に沿う線状であってもよく、前記ステージの周方向の全周に沿う環状であってもよい。
【0023】
反応性ガスの成分は、除去すべき不要物に応じて選択される。例えば、除去すべき不要物がフロロカーボン等の有機膜である場合には、酸素を含有するガスを用いるのが好ましく、オゾン、Oプラズマ等の反応性の高い酸素系を含むガスを用いるのがより好ましい。オゾン化やラジカル化していない通常の酸素の純ガスや空気をそのまま用いることにしてもよい。Oにパーフルオロカーボン(PFC)を添加してプラズマ化したものでもよい。また、フッ酸ベーパ等、酸を含むガスでもよい。
【0024】
反応性ガス供給手段の反応性ガス供給元(反応性ガス生成用リアクタ)としては、例えば常圧プラズマ処理装置を用いることができる。反応性ガスがオゾンの場合には、オゾナイザを用いることにしてもよい。反応性ガスがフッ酸ベーパの場合は、フッ酸の気化器やインジェクタを用いることにしてもよい。
常圧プラズマ処理装置は、略常圧(大気圧近傍の圧力)下で電極間にグロー放電を形成し、プロセスガスをプラズマ化(ラジカル化、イオン化を含む)して反応性ガスにするものである。なお、本発明における「略常圧」とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調節の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、好ましくは、1.333×10〜10.664×10Paであり、より好ましくは、9.331×10〜10.397×10Paである。
前記反応性ガス供給手段が、前記反応性ガス供給元からの反応性ガスを前記被処理位置へ導く吹出し路を形成する吹出し路形成部材を有し、この吹出し路形成部材が、前記ステージに沿い、前記吸熱手段にて冷却されることにしてもよい。これによって、吹出し路専用の冷却手段を設ける必要が無く、構成を簡素化でき、コストダウンを図ることができる。この構造は、反応性ガスを冷却すべき場合、例えば反応性ガスとしてオゾンを用いる場合等において特に有効である。
【0025】
前記基材処理装置は、吸込み口を有する排気ノズルと、この排気ノズルを吸引する吸引手段とを備えているのが好ましい。
前記排気ノズルの吸込み口が、前記被処理位置を挟んで前記反応性ガス供給手段の吹出し口と対向するように配置されているのが好ましい。
前記吹出し口と吸込み口は、基材の外周部の接線方向に沿って前記被処理位置を挟んで対向配置されているのが好ましい。
基材の回転方向の順方向に沿って前記吹出し口が上流側に配置され、前記吸込み口が下流側に配置されているのが好ましい。
【0026】
前記吸込み口が、前記吹出し口より大きいことが好ましい。
前記吸込み口が、前記吹出し口より2〜5倍の口径を有していることが好ましい。
前記吹出し口の内径は、例えば1〜3mm程度が好ましい。これに対し、前記吸込み口の内径は、例えば2〜15mm程度が好ましい。
これによって、処理済みのガスや反応副生成物が拡散するのを抑制でき、吸込み口に確実に吸い込んで排気することができる。
【0027】
前記基材の外周部には不要物として有機膜と無機膜が積層されている場合がある。一般に、有機膜と反応するガスと無機膜と反応するガスは種類が異なり、加熱の要否を含めた反応の仕方も異なる。例えばフォトレジスト等の有機膜は上述したように加熱の必要があるのに対し、SiO等の無機膜は常温下のケミカル反応でエッチング可能である。そこで、前記反応性ガス(第1反応性ガス)として前記有機膜と反応するものを用い、前記反応性ガス供給手段(第1反応性ガス供給手段)が、前記有機膜の除去に用いられるようにするとよい。その一方で、前記無機膜と反応する他の反応性ガス(第2反応性ガス)を前記ステージ上の基材の外周部に供給する他の反応性ガス供給手段(第2反応性ガス供給手段)を更に備えるとよい。これによって、無機膜除去専用のチャンバやステージが別途不要になり、装置構成の簡素化を図ることができるとともに、有機膜処理場所から無機膜処理場所又は無機膜処理場所から有機膜処理場所への移送が不要であり、移送に伴うパーティクルの発生を一層防止でき、さらには、スループットを向上させることができる。また、ガス種ごとに異なるヘッドを用いることによりクロスコンタミネーションの問題を回避することができる。
【0028】
有機膜は、例えば、フォトレジストやポリマー等のC(m、n、lは整数)にて表される有機物にて構成されている。有機膜との反応性を有する第1反応性ガスは、好ましくは酸素を含むガスであり、より好ましくは酸素ラジカルやオゾン等の反応性の高い酸素系を含むガスである。通常の酸素の純ガスや空気をそのまま用いてもよい。酸素系反応性ガスは、酸素ガス(O)を元ガスとし、プラズマ放電装置やオゾナイザーを用いて生成することができる。有機膜は、熱を加えられることによって第1反応性ガスとの反応性が高まる。酸素系反応性ガスは無機膜とは反応しにくい。
【0029】
無機膜は、例えば、SiO、SiN、p−Si、low−k膜等にて構成されている。無機膜との反応性を有する第2反応性ガスは、フッ素ラジカル(F)等のフッ素系反応性ガスを用いるとよい。フッ素系反応性ガスは、CF、CをはじめとするPFCガスやCHFをはじめとするHFC等のフッ素系ガスを元ガスとし、プラズマ放電装置を用いて生成することができる。フッ素系反応性ガスは有機膜とは反応しにくい。
【0030】
上記のように、無機膜のエッチングは、一般に常温で可能であるが、中には加熱を要する無機物質も在る。例えばSiCである。
本発明に係る
(a)基材を接触支持する支持面を有するステージと、
(b)このステージに支持された基材の外周部の在るべき被処理位置に熱を付与する加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガス(第1反応性ガス)を前記被処理位置に供給する反応性ガス供給手段(第1反応性ガス供給手段)と、
(d)前記ステージに設けられ、前記支持面から吸熱する吸熱手段と、
を備えた基材処理装置は、前記加熱を要する無機膜を不要物として除去する場合も適用可能である。
SiCに対応する反応性ガスは、例えばCFである。また、前記(a)〜(d)の構成を備えた基材処理装置は、高温下でエッチング可能な第1無機膜(例えばSiC)と、高温下ではエッチングレートが前記第1無機膜より低くなる第2無機膜(例えばSiO)とが基材に積層されており、これら第1及び第2無機膜のうち第1無機膜のみをエッチングしたい場合にも有効である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、基材の外周部を加熱するとともに、この加熱された外周部に反応性ガスを吹付けることにより、不要物を効率的に除去することができる。一方、基材の外周部より内側部分に外周部から熱が伝わって来たり、加熱器の熱が直接的に加えられたりしても、これを吸熱手段で吸熱できる。これによって、基材の外周より内側部分の膜や配線が変質するのを防止できる。また、反応性ガスが基材の外周側から内側へ流れ込んで来たとしても、反応を抑えることができる。これによって、基材の外周より内側部分にダメージが及ぶのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって詳述する。図1〜図3は、本発明の第1実施形態を示したものである。はじめに、処理対象の基材について説明する。図1及び図2において仮想線で示すように、基材は、例えば半導体ウェハ90であり、円形の薄板状をなしている。図3に示すように、ウェハ90の上面すなわち表側面には、例えばフォトレジストからなる膜92が被膜されている。フォトレジストの吸収波長は、1500nm〜2000nmである。膜92は、ウェハ90の上面全体を覆うだけでなく外端面を経て裏面の外周部にまで達している。この実施形態の基材処理装置は、このウェハ90の裏面外周部の膜92cを不要物として除去するものである。
なお、本発明は、ウェハ90等の基材の裏面外周部の膜を除去するものに限らず、表側面の外周部や外端面の膜を除去するものにも適用可能である。
【0033】
図1及び図2に示すように、基材処理装置は、フレーム50と、ウェハ90を支持する基材支持手段としてのステージ10と、輻射加熱器としてのレーザ加熱器20と、反応性ガス供給手段としてのプラズマノズルヘッド30と、を備えている。
【0034】
フレーム50は、有孔円盤状の底板51と、この底板51の外周から上に突出する筒状の周壁52を有して、断面L字状の環状をなし、図示しない架台に固定されている。
【0035】
フレーム50の内側には、これに囲まれるようにして、ステージ10が配置されている。ステージ10は、フレーム50と同心で周壁52より小径の平面視円形状をなし、その周側面は、下に向かって縮径するテーパ状をなしている。ステージ10は、図示しない回転駆動機構に接続され、中心軸11まわりに回転されるようになっている。なお、ステージ10を固定する一方、回転駆動機構をフレーム50に接続し、このフレーム50を回転させるようになっていてもよい。
【0036】
ステージ10の上面10a(支持面、表側面)に、処理すべきウェハ90が、中心を一致させて水平に設置されるようになっている。
図示は省略するが、ステージ10には、真空式又は静電式の吸着チャック機構が組み込まれている。この吸着チャック機構によってウェハ90をステージ10の支持面10aに吸着し固定するようになっている。
【0037】
ステージ10の上面すなわちウェハ90を支持する支持面10aの直径は、円形をなすウェハ90の直径より僅かに小さい。したがって、ウェハ90は、ステージ10に設置された状態においてその外周部の全周がステージ10よりも少しだけ径方向外側へ突出するようになっている。突出量は、例えば3〜5mmである。これによって、ウェハ90の裏面は、外周の狭い部分が全周にわたって露出(開放)される一方、それより内側の部分すなわち上記狭い外周部を除く裏面の大部分がステージ10の上面に当接し、覆い隠されている。
ステージ10上に設置されたウェハ90の裏面外周部すなわち被処理部位の在る位置が、被処理位置Pとなる。この被処理位置Pは、ステージ10の上面10aを径方向外側へ延長した仮想面(延長面)上に位置する。
【0038】
ステージ10は、フレーム50の底板51より上方であって周壁52の略中間の高さに位置するとともに、底板51の内周より大径をなしており、これにより、ステージ10の下側(裏側)の径方向内側に底板51の内端縁が入り込んでいる。ステージ10の下面と底板51の内端縁との間には、ラビリンスシール60が設けられている。ラビリンスシール60は、上下一対のラビリンスリング61,62を有している。上側のラビリンスリング61は、ステージ10と同心の多重環状をなす複数の垂下片61aを有して、ステージ10の下面に固定されている。下側のラビリンスリング62は、フレーム50ひいてはステージ10と同心の多重環状をなす複数の突出片62aを有して、フレーム50の底板51の上面に固定されている。上下のラビリンスリング61,62の垂下片61aと突出片62aどうしが、互い違いに噛み合っている。
フレーム50と、ステージ10と、ラビリンスシール60の間に、環状の空間50aが画成されている。
【0039】
フレーム50の底板51には、ラビリンスリング62の谷部から延びる吸引路51cが形成されている。吸引路51cは、配管を介して真空ポンプや排気処理系等からなる吸引排気装置(図示せず)に接続されている。これら吸引路51cと配管と吸引排気装置とは、「環状空間の吸引手段」を構成している。
【0040】
フレーム50の底板51のラビリンスリング62より径方向外側の部分には、ステージ10の外周縁の下側に離れて、レーザ加熱器20の照射ユニット22(照射部)が取り付けられている。レーザ加熱器20は、点状光源であるレーザ光源21と、このレーザ光源21に光ファイバケーブル23等の光伝送系を介して光学的に接続された照射ユニット22を有している。レーザ光源21は、例えば、LD(半導体)レーザ光源が用いられており、発光波長808nm〜940nmのレーザ(熱光線)を出射するようになっている。発光波長は、ウェハ90に被膜されたフォトレジスト膜92の吸収波長に対応する範囲に設定してもよい。
レーザ光源21は、LDに限られず、YAG、エキシマ等の種々の形式のものを用いてもよい。できればレーザの波長が膜92に吸収されやすい可視光以降のものを用い、より好ましくは膜92の吸収波長に合ったものを用いるとよい。
光源21をユニット22の内部に収容し、光ファイバ等の光伝送系23を省略してもよい。
【0041】
レーザ照射ユニット22は、前記被処理位置Pに対しプラズマノズルヘッド30よりも相当大きく離れている。図2に示すように、レーザ照射ユニット22は、フレーム50ひいてはステージ10の周方向に等間隔ごとに離れて複数(図では3つ)設けられている。図1に示すように、レーザ照射ユニット22は、前記被処理位置Pを通り前記延長面と直交する線L1上に配置されている。レーザ照射ユニット22のレーザ照射方向は、上記線L1に沿って真上に向けられ、被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の外周部と直交(交差)するようになっている。
【0042】
レーザ照射ユニット22には、凸レンズやシリンドリカルレンズ等の光学部材が収容されており、図3に示すように、光源21からのレーザLを前記被処理位置Pすなわちステージ10上に設置されたウェハ90の裏面外周部へ向けて収束させるようになっている。さらに、レーザ照射ユニット22には、焦点調節機構が組み込まれており、この焦点調節機構によってレーザの焦点をちょうど被処理位置Pに合わせられるだけでなく、被処理位置Pに対し若干上下にずらすこともできるようになっている。これによって、ウェハ90の外周部上での集光径ひいては被加熱部位の面積や、輻射エネルギの密度ひいては被加熱部位の加熱温度を調節することができる。焦点調節機構は、例えばレーザ照射ユニット22内の集束レンズを光軸方向にスライドさせるスライド機構を含む。焦点調節機構としてレーザ照射ユニットの全体を光軸方向にスライドさせるものであってもよい。
【0043】
図1に示すように、フレーム50の周壁52には、プラズマノズルヘッド30が取り付けられている。プラズマノズルヘッド30は、被処理位置Pに対しステージ10の径方向外側に配されており、レーザ照射ユニット22とは被処理位置Pに対し互いに異なる方向に配置されている。図2に示すように、プラズマノズルヘッド30は、ステージ10の周方向に等間隔ごとに離れてレーザ照射ユニット22と同数(図では3つ)だけ設けられ、しかも、レーザ照射ユニット22と同じ周位置または加熱器20よりウェハ回転方向の若干下流側に対をなすようにして配置されている。
【0044】
プラズマノズルヘッド30は、段々に先細になる段付き円柱状をなし、軸線をステージ10の径方向に沿うように水平に向けて配置されている。図1に示すように、プラズマノズルヘッド30には、一対の電極31,32が収容されている。これら電極31,32は、二重環状をなし、両者の間に環状をなす常圧の空間30aが形成されている。少なくとも一方の電極31,32の対向面には固体誘電体が被膜されている。
【0045】
内側の電極31に、図示しない電源(電界印加手段)が接続され、外側の電極32が接地されている。上記電源は、電極31に例えばパルス状の電圧を出力するようになっている。このパルスの立上がり時間及び/又は立下り時間は、10μs以下、電極間空間30aでの電界強度は10〜1000kV/cm、周波数は0.5kHz以上であることが望ましい。なお、パルス電圧に代えて、正弦波等の連続波状電圧等を出力するようになっていてもよい。
【0046】
電極間空間30aのステージ10側とは反対側を向く基端部(上流端)には、図示しないプロセスガス供給源が接続されている。プロセスガス供給源は、プロセスガスとして例えば酸素等を貯え、これを適量ずつ電極間空間30aに供給するようになっている。
【0047】
図3に最も良く示されているように、プラズマノズルヘッド30のステージ10側を向く先端部には、円板形状をなす樹脂製の吹出し口形成部材33が設けられている。この吹出し口形成部材33の中央部に、吹出し口30bが形成されている。吹出し口30bは、電極間空間30aのステージ10側を向く下流端と連なるとともに、軸線をステージ10の径方向に沿って水平に向けてステージ10の上面10aの延長面上ないしはそれより僅かに下の高さに位置され、プラズマノズルヘッド30の先端に開口されている。プラズマノズルヘッド30の先端ひいては吹出し口30bは、被処理位置Pの近傍に配置されており、ステージ10上にウェハ90を設置すると、その外端縁に極めて近接するようになっている。この吹出し口30bの軸線に沿って、プロセスガスをプラズマ化してなる反応性ガスGが噴射されるようになっている。この噴射方向は、レーザ加熱器20のレーザ光Lの照射方向に対し、直交し(角度をなし)ている。この噴射方向と照射方向の交差部は、ステージ10上のウェハ90の突出外周部の裏面上に略位置している。
【0048】
プラズマノズルヘッド30の先端面には、先端面形成部材34と吹出し口形成部材33の間に吸込み口30cが形成されている。吸込み口30cは、吹出し口30bと近接してこれを囲むように環状をなしている。図1に示すように、吸込み口30cは、プラズマノズルヘッド30に形成された吸引路30dを介して、上記図示しない吸引排気装置に連なっている。これら吸込み口30cと吸引路30dと吸引排気装置とは、「吹出し口近傍の吸引手段」ないしは「環状空間の吸引手段」を構成している。
プラズマノズルヘッド30と上記電源と上記プロセスガス供給源と上記吸引排気装置等によって、常圧プラズマ処理装置が構成されている。
【0049】
本発明の最も特徴的な部分について説明する。
基材処理装置のステージ10には、上面すなわち基材支持面10aから吸熱を行なうための吸熱手段が設けられている。詳述すると、ステージ10の内部は、空洞状をなし、そこが冷媒室41(吸熱手段)になっている。冷媒室41は、十分な内容積を有している。冷却室41は、ステージ10の全域(周方向の全周及び径方向の全体)に及んでいる。冷媒室41には、冷媒供給路42と冷媒排出路43が連なっている。これら路42,43は、中心軸11の内部を通ってステージ10から延出されている。
【0050】
冷媒供給路42の上流端は、図示しない冷媒供給源に接続されている。冷媒供給源は、冷媒として例えば水を、冷媒供給路42を介して冷媒室41に供給する。これによって、冷媒室41内は水で充填されている。水温は、常温でよい。また、適宜、冷媒排出路43から排出するとともに、新たに冷媒供給路42から供給を行なう。排出した冷媒は、冷媒供給源に戻し、再冷却する等して循環させてもよい。
冷媒として、水に代えて、空気、ヘリウム等を用いてもよい。圧縮流体にして冷媒室41に勢いを付けて送り込み、冷媒室41の内部で流動させることにしてもよい。
【0051】
ステージ10の材質には、熱伝導性が良くメタルコンタミ等の起きないものとして例えばアルミが用いられている。反応性ガスに対する耐食性確保のために、表面に陽極酸化によるアルミナ層を設け、PTFE等のフッ素系樹脂を浸透させることにしてもよい。
【0052】
上記構成の基材処理装置によって、ウェハ90の裏面の外周部の膜92cを除去する方法を説明する。
処理すべきウェハ90を、搬送ロボット等によってステージ10の上面に中心が一致されるようにして置き、吸着チャックする。ウェハ90の外周部は、全周にわたってステージ10の径方向外側に突出することになる。このウェハ90の突出外周部の裏面上すなわち被処理位置Pに焦点を略合わせ、レーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22からレーザ光Lを出射する。これによって、ウェハ90の裏面外周部の膜92cをスポット状(局所的)に輻射加熱できる。点集光であるので、レーザエネルギーを被照射部に高密度で付与できる。(レーザの波長が膜92cの吸収波長に対応していれば、レーザエネルギーの吸収効率をより高くすることができる。)これによって、膜92cのスポット状の被照射部を瞬間的に数百度(例えば600℃)まで高温化できる。レーザ照射ユニット22の焦点調節機構によって焦点位置を被処理位置Pの上下に若干ずらすことにより、ウェハ90の裏面外周部上での集光径ひいては被加熱部位の面積や、輻射エネルギの密度ひいては被加熱部位の加熱温度を調節することができる。この結果、処理幅を調節することができる。
また、ノッチ部やオリフラ部においては、集光径を大きくすることにより、ノッチ部やオリフラ部の縁にもレーザが当たるようにすることができ、ひいてはノッチ部やオリフラ部の縁の裏側の膜をも確実に除去することができる。
輻射加熱であるので、ウェハ90の被加熱部位を加熱源に接触させる必要がなく、パーティクルが発生することもない。
【0053】
併行して、プロセスガス供給源からプロセスガス(酸素等)をプラズマノズルヘッド30の電極間空間30aに供給する。また、パルス電源から電極31にパルス電圧を供給し、電極間空間30aにパルス電界を印加する。これにより、電極間空間30aで常圧グロー放電プラズマが形成され、酸素等のプロセスガスからオゾンや酸素ラジカル等の反応性ガスが形成される。この反応性ガスが、吹出し口30bから吹出され、ちょうどウェハ90の裏面の局所加熱された部位に吹付けられ、反応を起こす。これによって、この部位の膜92cをエッチングし、除去することができる。この部位は、局所的に十分高温化されているので、エッチングレートを十分に高めることができる。
【0054】
更には、吸引手段によって、エッチング処理が行なわれている部位の周辺のガスを吸込み口30cに吸込み、吸引路30dを介して排気できる。この結果、エッチング処理が行なわれている部位の周辺から処理済みの反応性ガスやエッチングによる副生成物を速やかに取り除いてエッチングレートを高めることができる。また、ウェハ90の表側面へのガス流入を防止できる。更に、上記吸引手段によって、処理済みの反応性ガス等をウェハ90の外周部の周辺からラビリンスシール60方向へ誘導でき、ラビリンスシール60の隙間から吸引排気できる。ラビリンスシール60から径方向内側への反応性ガス等の流出も確実に防止することができる。
【0055】
以上の操作と併行して、回転駆動機構によってステージ10を回転させる。これによって、ウェハ90の裏面外周部の膜92cの除去範囲を周方向に進展させることができ、ひいては、裏面外周部の膜92cを全周にわたって除去することができる。
ステージ10とフレーム50の間のシールとしてラビリンスシール60を用いることによって、ステージ10の回転を、フレーム50との摩擦無く円滑に行なうことができる。
【0056】
上述したように、ウェハ90の外周部には、レーザが照射され、局所加熱されている。この熱が、ウェハ90の内部において外周部から径方向内側に伝わって来る場合がある。この熱は、ウェハ90とステージ10の接触面を介して、ステージ10に移り、冷媒室41内の水に吸熱される。これによって、ウェハ90の被加熱部位より内側の部分の温度上昇を抑えることができる。したがって、ウェハ90の内側部分の膜92が熱で変質するのを抑えることができるだけでなく、反応性ガスのオゾンがウェハ90の上面の中央側へ流れ込んで来たとしても、膜92との反応を抑えることができる。これによって、膜92にダメージが及ぶのを防止でき、確実に良質に維持することができる。
【0057】
冷媒室41内の貯留水量ひいては熱容量は十分に大きいので、吸熱能力を十分に確保することができる。また、供給路41及び排出路42を介して冷媒室41内の水を入れ替えることによって、吸熱能力を一層十分に維持することができる。これによって、ウェハ90の外周部より内側部分の温度上昇を確実に抑えることができ、膜92のダメージを確実に防止することができる。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の実施形態と対応する構成に関しては図面に適宜同一符号を付して説明を適宜省略する。
図4に示すステージ10では、冷媒室が、水平な仕切板45によって上側(支持面側)の第1室部分41Uと、下側(支持面とは反対側)の第2室部分41Lとに仕切られている。仕切板45は、ステージ10の周壁の内径より小径であり、上下の第1、第2室部分41U,41Lが仕切板45より外周側で連なっている。仕切板45の中央部に冷媒供給路42を構成する管の端部が接続され、冷媒供給路42が、上側の第1室部分41Uに連なっている。また、ステージ10の底板の中央部に冷媒排出路43を構成する管の端部が接続され、冷媒排出路43が、下側の第2室部分41Lに連なっている。
第1、第2室部分41U,41Lは、吸熱手段としての冷媒通路を構成している。
【0059】
冷媒は、冷媒供給路42から上側(支持面側)の第1室部分41Uの中央部に導入され、径方向外側へ放射状に拡がるように流れる。そして、仕切板45の外端縁を回り込み、下側(支持面とは反対側)の第2室部分41Lに入って径方向内側へ流れ、中央の冷媒排出路43から排出される。
これによって、ステージ10の全体を確実に冷却でき、ひいてはウェハ90を万遍なく確実に冷却でき、上面の膜92を確実に保護することができる。先に支持面10aひいてはウェハ90に近い側の第1室部分41Uに冷媒が導入されるので、吸熱効率を一層高めることができる。
【0060】
図4の態様では、冷媒供給路42と冷媒排出路43が並行して配置されているが、図5に示すように、冷媒排出路43の内部に冷媒供給路42を通し、二重管状に構成してもよい。
【0061】
図6は、基材吸熱手段の他の改変態様を示したものである。ステージ10の内部には、渦巻き状をなす冷媒通路46が設けられている。この渦巻き状冷媒通路46の外周側の端部に冷媒供給路42が連なり、中心側の端部に冷媒排出路43が連なっている。これによって、冷媒が、冷媒通路46の外周側から内周側へ渦巻き状に流れるようになっている。よって、ウェハ90の外周部に近い側を十分に冷却することができる。この結果、ウェハ90の外周部から伝わって来た熱を確実に吸熱でき、上面の膜92を確実に保護することができる。
【0062】
なお、詳細な図示は省略するが、中心側の冷媒排出路43は勿論、外周側の冷媒供給路42もステージ10の中心軸11の内部に通されている。冷媒供給路42は、例えば、ステージ10の底板と冷媒通路46の間を中心軸11側から径方向外側へ延び、冷媒通路46の外周側端部に連なっている。
ステージ10が固定される一方、フレーム50が回転される場合には、冷媒供給路42を中心軸11内に通す必要はない。
【0063】
冷媒をステージ10の外周側から中心へ向けて流す仕組みは、図6の渦巻き構造に限られるものではない。例えば、図7に示すステージ10内の冷媒通路は、同心円状をなす複数の環状路47と、これら環状路47どうしを連ねる連通路48とを有している。連通路は、隣り合う環状路47の間の周方向に等間隔ごとに複数設けられている。1つの環状路47を隔てて径方向外側の連通路48と径方向内側の連通路48どうしは、互いに周方向にずれて配置されている。最も外側の環状路47には、その周方向に等間隔で離間した複数位置に、冷媒供給路42が分岐して連なっている。中心の環状路47に冷媒排出路43の基端部が連なっている。
これによって、図7の矢印に示すように、冷媒は、外側の環状路47に沿って周方向に分岐して流れた後、連通路48で合流して1つ内側の環状路47へ流入し、そこで再び周方向に分流し、これを繰り返しながらステージ10の外周側から中心へ向けて流れて行く。
【0064】
また、図8(a)及び(b)に示すステージ10は、図1等のものと同様に内部が空洞状の冷媒室41になっており、冷媒供給路42が複数に分岐してこの冷媒室41の外周部の周方向に等間隔ごとに離間した位置に連なっている。冷媒室41の中央部から冷媒排出路が延びている。これによって、冷媒は、冷媒室41の外周部に導入され、中心へ向けて流れていく。冷媒室41は、求心状の冷媒通路を構成している。
なお、図4〜図8において、冷媒供給路42と冷媒排出路43を互いに逆にしてもよく、そうすると、上側冷媒室41Uでの冷媒の流れが外周側から中心へ向かうことになる。
【0065】
図9に示す形態では、吸熱手段として冷媒方式に代えて吸熱素子を用いている。すなわち、ステージ10には、基材吸熱手段としてペルチェ素子160が内蔵されている。ペルチェ素子160は、吸熱側を上側(ステージ10の上面10a側)へ向け、しかも、ステージ10の上面10aの近くに配置されている。これによって、ステージ10の上板を介してウェハ90を吸熱することができる。なお、ステージ10のペルチェ素子160より下側には、ペルチェ素子160の放熱側からの放熱を促すべくファンやフィン等を設けるとよい。
【0066】
ここまでの実施形態の吸熱手段は、ステージ10の全域に設けられ、基材支持面10aの全体から吸熱するようになっていたが、図10及び図11に示すように、ステージ10の外周部だけに設けられていてもよい。ステージ10の内部には、環状の隔壁12が同心状に設けられている。この環状隔壁12によってステージ10が外周領域10Raと中央領域10Rbとに区分けされている。
【0067】
環状隔壁12より外側の外周領域10Raに冷媒供給路42と冷媒排出路43が接続されている。これによって、外周領域10Ra内が、冷媒室41(吸熱手段)になっている。
これに対し、環状隔壁12より内側の内周領域10Rbは、冷媒室とはなっておらず、吸熱手段の非配置部分になっている。
【0068】
ウェハ90の外周部は、ステージ10の外周領域10Raより径方向外側へ突出される。この突出部のすぐ内側の環状の部分がステージ10の外周領域10Raに当接支持され、そこより内側の中央部分がステージ10の中央領域10Rbに当接支持される。
これによって、ウェハ90の外周部の被加熱箇所からの熱は、そのすぐ内側の部分へ伝わって来たところでステージ外周領域10Raにて吸熱除去される。一方、ウェハ90の中央の熱伝達とは関係のない部分については、吸熱冷却されることがない。これによって、吸熱源の節約を図ることができる。
【0069】
ステージ外周領域10Raにのみ設けられる吸熱手段として、図4〜図9に示す変形態様を適用することにしてもよい。
【0070】
図11において実線で示すように、レーザ加熱器の照射ユニット22は、ウェハ90の上方に設けられている。これにより、ウェハ90の外周部の表側面を局所加熱し、そこに反応性ガス供給手段の供給ノズル30Nから反応性ガスを供給することにより、ウェハ90の外周部の表側面の不要膜を除去するようになっている。図11において仮想線で示すように、ウェハ90の外周部の裏面の不要膜を除去する場合には、レーザ照射ユニット22をウェハ90の下方に配置する。
【0071】
第1実施形態で上述したように、レーザ照射ユニット22には焦点調節機構が設けられている。この焦点調節機構を用いて以下の処理操作が可能である。
図12に示すように、一般にウェハ90の外周部の周方向の一箇所には例えばノッチ93等の切欠部が設けられている。同図(a)に示すように、レーザ照射ユニット22のウェハ上での照射スポットLsの大きさ(照射範囲の幅)を一定にして処理を行なうと、ノッチ93の縁については処理されない可能性がある。(同図の斜線部は処理された部分を示す。)そこで、同図(b)に示すように、ノッチ93が被処理位置に来たとき、レーザ照射ユニット22の焦点を焦点調節機構によって光軸方向にずらす。これにより、照射スポットLsを大きくでき、ノッチ93の縁にもレーザが当たるようにすることができる。この結果、同図(c)に示すように、ノッチ93の縁の膜をも確実に除去することができる。照射スポットLsを大きくすると、エネルギ密度が下がるため、同時にレーザの出力を大きくしたりウェハの回転速度を低下させて、単位面積当たりのエネルギが、照射スポットLsを大きくする前と同じ程度になるように調節するのが好ましい。
照射スポットLsが、ノッチ93を通過した後は、照射スポットLsの大きさを元の大きさに戻す。
【0072】
図12では、ウェハ90の外周の切欠部としてノッチ93が設けられている場合を示したが、ノッチ93ではなくオリフラ(オリエンテーションフラット)が設けられている場合も上記と同様の操作(単位面積当たりのエネルギ調節操作を含む)を行なうことにより、オリフラの縁の膜をも除去することができる。
【0073】
図13及び図14に示すように、レーザ照射ユニット22の焦点調節機構を用いて処理幅調節を行なうこともできる。
図13に示すように、レーザ照射ユニット22からのレーザLの焦点が焦点調節機構によってウェハ90の外周上にほぼ合わされ、ウェハ90上での照射範囲のスポット径が例えば直径約1mmである場合には、ウェハ90の外周部の膜92cを約1mm幅で除去でき、処理幅を1mmとすることができる。
【0074】
これに対し、同じレーザ照射ユニット22を用いて、上記より大きな処理幅を得たい場合には、図14に示すように、焦点調節機構22FによってレーザLの焦点をウェハ90より遠くにずらす。これにより、ウェハ90上での照射スポット径を大きくでき、処理幅を拡げることができる。例えば、約3mmの処理幅を得たい場合には、ウェハ90上での照射スポット径が約3mmになるように焦点調節を行なう。図14では、レーザLの焦点がウェハ90より遠くになるように調節しているが、逆にウェハ90より手前の位置で焦点を結び、そこからウェハ90に向けて広がるようにしてもよい。
【0075】
図15に示すように、処理幅は、レーザ照射ユニット22の焦点調節以外に径方向スライドによっても調節可能である。このレーザ照射ユニット22は、径方向スライド機構22Sによってステージ10の半径方向ひいてはウェハ90の半径方向に微小スライド可能になっている。レーザ照射ユニット22は、上記図13と同様に、ウェハ90の外周上に焦点がほぼ合わされ、ウェハ90上での照射スポット径が例えば約1mmになるように設定されている。
【0076】
この照射スポット径を維持しつつ、例えば約3mmの処理幅を実現する場合、先ず図15の実線に示すように、照射スポットがウェハ90の外縁から約3mmの位置に来るように、レーザ照射ユニット22をウェハ90の径方向に位置決めする。この径方向位置を維持した状態でウェハ90を回転させながら処理を行なう。
ウェハ90がちょうど一回転したとき、図15の破線に示すように、スライド機構22Sによって照射ユニット22を照射スポット径とほぼ同じ大きさ(約1mm)だけ半径外側方向へずらす。この位置においてウェハ90を更に一回転させながら処理を行なう。
そして、一回転後、図15の二点鎖線に示すように、スライド機構22Sによって照射ユニット22を更に照射スポット径とほぼ同じ大きさ(約1mm)だけ半径外側方向へずらす。この位置においてウェハ90を更に一回転させながら処理を行なう。これによって、処理幅を3mmにすることができる。
【0077】
図16(a)及び(b)は、基材固定手段として真空チャック機構を組み込んだステージ10を示したものである。アルミ等の良熱伝導性金属からなるステージ10の上板には、多数の吸着孔13が分散して形成され、これら吸着孔13が、吸引路14を介して、図示しない真空ポンプ等の吸引手段に連なっている。吸着孔13は、可及的に小径になっている。これによって、ステージ10とウェハ90の接触面積を十分に確保できるようになっている。ひいては、ウェハ90の吸熱効率を十分に確保することができる。
【0078】
図17(a)及び(b)は、真空チャック機構の変形態様を示したものである。ステージ10の上面には、スポット状の吸着孔13に代えて、吸着溝15が形成されている。吸着溝15は、同心円状をなす複数の環状溝16と、これら環状溝16どうしを連ねる連通溝17とを有している。連通溝17は、隣り合う環状溝16の間の周方向に等間隔ごとに複数設けられている。1つの環状溝16を隔てて径方向外側の連通溝17と径方向内側の連通溝17どうしは、互いに周方向にずれて配置されている。これら環状溝16と連通溝17は、可及的に細幅になっている。これによって、ステージ10とウェハ90の接触面積ひいてはウェハ90の吸熱効率を十分に確保することができる。
【0079】
図18及び図19は、吸着溝15の変形態様を示したものである。この吸着溝15の連通溝17は、最も内側の環状溝16から途中の環状溝16を横切って最も外側の環状溝16までステージ10の半径方向にまっすぐ延びていている。連通溝17は、ステージの周方向に90度間隔で設けられている。
【0080】
図19に示すように、このステージ10の内部には、吸熱手段として環状の冷却室41Cが形成されている。環状冷却室41Cは、ステージ10の外周寄りの部分にステージ10と同心状に配置されている。図示は省略するが、環状冷却室41Cの周方向の一箇所に冷媒供給路42が連なり、その180度反対側に冷媒排出路43が連なっている。
【0081】
図16〜図19では、チャック機構がステージ10の上面のほぼ全域に設けられていたが、図20及び図21に示す実施形態では、チャック機構がステージ10の上面の外周側の領域にのみ設けられている。
ステージ10の外周側の上面には、環状の凸部10bが形成されている。これに対応してステージ10の中央部には平面視円形の浅い凹部10cになっている。
【0082】
ステージ10の環状凸部10bの平らな上面に複数(例えば3つ)の環状溝16が同心円状に形成され、これら環状溝16が連通溝17で連ねられている。
ステージ10の内部には、上記図19と同様に環状冷却室41Cが設けられている。
【0083】
このステージ10によれば、外周側の環状凸部10bの上面だけがウェハ90の裏面と接触し、ウェハ90を吸着することになる。ステージ10の中央部は凹部10cになっているためウェハ90と接触することはない。これによって、ステージ10とウェハ90の接触面積を必要最小限にすることができ、接触に伴うパーティクルを低減することができる。
【0084】
環状凸部10bは、環状冷却室41Cによって冷却される。一方、ウェハ90における環状凸部10bとの接触部分は、外周突出部分の被照射箇所のすぐ内側の部分である。したがって、レーザ照射による熱がウェハ90の外周突出部分の被照射箇所から内側に伝わろうとするとすぐに環状凸部10bを介して吸熱され、熱がウェハ90の中央部まで及ぶことはない。これによって、ステージ10の吸熱手段としての機能を十分に確保することができる。
【0085】
発明者は、ウェハとステージの接触面積とパーティクル発生の関係を調べた。ウェハは直径300mmのものを用い、図18及び図19と同構成のステージ(接触面積678.2cm)に吸着させた後、直径0.2μm以上のパーティクル数を数えたところ、約22000個であった。これに対し、図20及び図21と同構成のステージ(接触面積392.7cm)に吸着させた後、直径0.2μm以上のパーティクル数を数えたところ、約5400個であった。これにより、接触面積を小さくすることによりパーティクル発生数を大きく減少させることができることが判明した。
【0086】
図22及び図23に示す基材処理装置では、ステージ10の側部に処理ヘッドHが設けられている。この基材処理装置は、主にウェハ90の外周部の裏面に回り込んだ膜を除去するためのものであり、処理ヘッドHは、ステージ10の上面より下側に配置されている。主にウェハ90の外周部の表側の膜を除去する場合には、処理ヘッドHを上下に反転させてステージ10より上側に配置するとよい。
【0087】
処理ヘッドHには、吹出しノズル75と排気ノズル76が設けられている。
反応性ガス供給源としてのオゾナイザー70からオゾン供給管71が延び、このオゾン供給管71が処理ヘッドHのコネクタ72を介して吹出しノズル75の基端部に連なっている。吹出しノズル75は、被処理位置(ステージ10上のウェハ90の外周部)より下側に配置されている。吹出しノズル75の先端部分は、図22に示すように、平面視でウェハ90の外周の接線方向に略沿うとともにステージ10の側すなわちウェハ90の半径方向内側へ向けて僅かに傾けられ、かつ、図23に示すように、正面視でウェハ90に向けて上へ傾けられている。そして、吹出しノズル75の先端の吹出し口が、被処理位置P(ウェハ90の外周部の裏面)の近傍に臨んでいる。
【0088】
処理ヘッドの吹出し側コネクタ72とは反対の側部には排気ノズル76に連なるコネクタ77が設けられている。このコネクタ77から排気管78が延び、この排気管78が排気ポンプ等を含む排気手段79に連なっている。
排気ノズル76は、被処理位置P(ステージ10上のウェハ90の外周部)より下側に配置されている。排気ノズル76の先端部分は、図22に示すように、平面視でウェハ90の外周の接線方向にまっすぐ向けられるとともに、図23に示すように、正面視でウェハ90に向けて上へ傾けられている。排気ノズル76の先端の吸込み口が、吹出しノズル75の吹出し口と略同じ高さ(ウェハ90の裏面のすぐ下)に位置されている。
【0089】
図22に示すように、吹出しノズル75と排気ノズル76の先端部分どうしは、平面視でウェハ90の外周の1つの接線方向に沿って被処理位置Pを挟んで互いに向き合うように配置されている。吹出しノズル75の先端の吹出し口と排気ノズル76の先端の吸込み口の間に被処理位置Pが配置されている。ステージ10ひいてはウェハ90の回転方向(例えば平面視時計周り)に沿って吹出しノズル75は上流側に配置され、排気ノズル76は下流側に配置されている。吹出しノズル75の吹出し口と排気ノズル76の吸込み口の間の距離は、除去すべき膜92cの反応温度、ステージ10の回転数、レーザ加熱器20の加熱能力等を考慮し、例えば数mm〜数十mmの範囲で適宜設定されている。
【0090】
排気ノズル76の吸込み口径は、吹出しノズル75の吹出し口径より大きく、例えば約2〜5倍になっている。例えば、吹出し口径は1〜3mm程度であるのに対し、吸込み口径は2〜15mm程度である。
【0091】
図23に示すように、処理ヘッドHの下側部には、輻射加熱器としてレーザ加熱器20のレーザ照射ユニット22が設けられている。レーザ照射ユニット22は、ノズル75,76より下側に配置されるとともに、図22に示すように、平面視で吹出しノズル75と排気ノズル76の先端部どうしの間に配置されている。レーザ照射ユニット22の真上に被処理位置Pが位置されている。
【0092】
上記構成において、レーザ光源21からのレーザ光が、光ファイバケーブル23を経て、レーザ照射ユニット22から真上に収束照射される。これにより、ウェハ90の外周部の裏面が局所加熱される。この局所加熱された部分は、その後しばらく高温を維持しながらステージ10の回転によって回転方向の下流側へ移動していく。したがって、ウェハ90の外周部は、レーザ照射ユニット22の真上の被照射部分(被処理位置P)だけでなく、そこより回転方向の下流側の部分においても高温になっている。勿論、レーザ照射ユニット22の真上の被照射部分Pが最も高温であり、そこから回転方向の下流側に向かうにしたがって温度が下がっていく。図22の二点鎖線で示す分布曲線Tは、ウェハ90の温度分布を示したものであり、被照射部分Pを中心にして高温領域の分布が回転方向の下流側に偏っている。
【0093】
上記レーザ加熱及びステージ回転と併行して、オゾナイザー70のオゾンガスが、供給管71、コネクタ72、吹出しノズル75を順次経て、吹出しノズル75の吹出し口から吹出される。このオゾンは、ウェハ90の外周部の裏面の被照射部分(被処理位置P)の周辺に吹き付けられるとともに、この被照射部分のウェハ90の外周の接線にほぼ沿って排気ノズル76の側へ流れる。このガス流れは、ウェハ90の温度分布の偏り方向に沿っている。したがって、吹出し直後の被照射部分Pでは勿論、被照射部分Pより下流の排気ノズル76側の部分においても膜92cとの反応を起こすことができる。これによって、処理効率を向上させることができる。
【0094】
同時に、吸引手段79を駆動する。これによって、処理済みのオゾンガスや反応副生成物を排気ノズル76の吸込み口に誘導して吸引し排気することができる。吸込み口は吹出し口より大きいため、処理済みのオゾンガス等を確実に捕捉し吸込むことができ、処理済みオゾンガス等が拡散するのを抑制することができる。
【0095】
ウェハ90には互いに膜種の異なる2以上の膜が積層されている場合がある。例えば、図24(a)に示すように、ウェハ90上にSiO等の無機物からなる膜94が被膜され、その上にフォトレジスト等の有機物からなる膜92が被膜されている場合がある。この場合、基材外周の有機膜92を除去するための反応性ガス供給手段に加えて、基材外周の無機膜94を除去するための他の反応性ガス供給手段をも設けるとよい。
【0096】
すなわち、図25〜図26に示すように、この実施形態の基材処理装置には、1つの大気圧チャンバ2内に、1つのステージ10が設けられ、このステージ10の側部に有機膜除去用の反応性ガス供給手段の処理ヘッド100が設けられ、この有機膜処理ヘッド100とは180度反対側のステージ側部に無機膜除去用の反応性ガス供給手段の処理ヘッド200が設けられている。
【0097】
有機膜除去用の反応性ガス供給手段は次のように構成されている。
図26の白抜矢印で示すように、有機膜処理ヘッド100は、第1進退機構130に接続されている。この進退機構130によって、有機膜処理ヘッド100が、ウェハ90の外周部に沿う処理位置(図25及び図26の仮想線)と、ウェハ90より径方向外側へ離れた退避位置(図25及び図26の実線)との間で進退可能になっている。
【0098】
図26において実線及び二点鎖線で示すように、有機膜処理ヘッド100は、ウェハ90の配置されるべき水平面より上方に配置されているが、これに代えて同図において破線で示すように、上記基材配置面より下方に配置することにしてもよい。
上記基材配置面を挟んで上下に一対設けることにしてもよい。
処理ヘッド100を上方に配置することによりウェハ90の主に上面(表側面)の外周部を処理できる。一方、下方に配置すればウェハ90の主に下面(裏面)の外周部を処理できる。
【0099】
有機膜処理ヘッド100は、図22及び図23の処理ヘッドHとほほ同様に構成されている。
図27及び図28に示すように、有機膜処理ヘッド100には、レーザ加熱器20の照射ユニット22(照射部)と、一対のノズル101,102が設けられている。レーザ加熱器20は、レーザ光源21と、この光源21から離れた照射ユニット22とを有している。レーザ光源21から光ファイバケーブル23(伝送光学系)が延び、照射ユニット22に接続されている。図示は省略するが、照射ユニット22には、レンズやパラボリック反射鏡などの集光手段、及び出射窓が設けられている。レーザ源21から光ファイバケーブル23で伝送されて来たレーザ光は、集光手段によって集光されながら出射窓から出射される。有機膜処理ヘッド100が上記処理位置のとき、出射光Lは、ステージ10上のウェハ90の外周部の一箇所(被処理位置P)に局所的に照射される。
輻射加熱器として、レーザ加熱器に代えてハロゲンランプなどの赤外線加熱器を用いてもよい。
【0100】
図27に示すように、有機膜処理ヘッド100の一対のノズル101,102は、上記処理位置においてウェハ90の接線に略沿って上記照射箇所Pを挟んで対向するように近接配置されている。これらノズル101,102は、耐オゾン性の材料にて形成されている。
【0101】
有機膜除去用の反応性ガス(第1反応性ガス)は、フォトレジスト等の有機物と反応するものであり、ここではオゾンが用いられている。第1反応性ガス生成源150としてオゾナイザーが用いられている。なお、オゾナイザーに代えて酸素プラズマ放電装置30を用いてもよい。この第1反応性ガス生成源150から第1反応性ガス供給路151が延び、吹出しノズル101(吹出し部)に連なっている。この吹出しノズル101と対峙する吸引ノズル102(吸引部)から第1処理済みガス吸引路152が延び、吸引ポンプ等からなる第1吸引手段153に接続されている。
【0102】
無機膜除去用の反応性ガス供給手段は次のように構成されている。
図26の白抜矢印に示すように、無機膜処理ヘッド200は、第2進退機構230に接続されている。この第2進退機構230によって、無機膜処理ヘッド200が、ウェハ90の外周部に沿う処理位置(図26の仮想線)と、ウェハ90より径方向外側へ離れた退避位置(同図の実線)との間で進退可能になっている。
【0103】
図29に示すように、無機膜処理ヘッド200は、ウェハ90の外周に沿う略円弧形状をなしている。図31に示すように、無機膜処理ヘッド200の小径側の周側面には、差し込み口201が無機膜処理ヘッド200の内部に向けて切り込み状に形成されている。図29及び図30に示すように、差し込み口201は、無機膜処理ヘッド200の周方向の全長にわたって延びている。差し込み口201の上下方向の厚さは、ウェハ90の厚さより僅かに大きい程度である。上記無機膜処理ヘッド200の進退動作によってウェハ90の外周部が差し込み口201に挿抜されるようになっている。
【0104】
図31に示すように、差し込み口201の奥端は、大きく拡げられ、第2反応性ガス案内路202となっている。図29に示すように、案内路202は、無機膜処理ヘッド200の長手方向(周方向)に延び、ウェハ90の半径と略同じ曲率半径の平面視円弧状をなしている。ウェハ90を差し込み口201に差し込むと、ウェハ90の外周部が案内路202の内部に位置されることになる。図31に示すように、案内路202の断面形状は、真円になっているが、これに限定されるものではなく、例えば半円状にしてもよく、四角形にしてもよい。また、案内路202の流路断面積は、適宜な大きさに設定してもよい。
【0105】
無機膜除去用の反応性ガス(第2反応性ガス)は、SiO等の無機物と反応するものであり、その元ガスとして例えばCF、CをはじめとするPFCガスやCHFをはじめとするHFC等のフッ素系ガスが用いられている。図30に示すように、このフッ素系ガスを、第2反応性ガス生成源としてのフッ素プラズマ放電装置260の一対の電極261間の大気圧プラズマ放電空間261aに導入してプラズマ化し、フッ素ラジカル等のフッ素系活性種を含む第2反応性ガスを得るようになっている。大気圧プラズマ放電空間261aから第2反応性ガス供給路262が延び、無機膜処理ヘッド200の案内路202の一端部に接続されている。案内路202の他端部から排出路263が延びている。
無機膜処理ヘッド200は、耐フッ素性の材料にて構成されている。
【0106】
ウェハ90の外周の有機膜92bと無機膜92bからなる不要膜は、次のようにして除去する。
[有機膜除去工程]
先ず、ウェハ90の外周部の有機膜92bの除去工程を行なう。処理ヘッド100,200は共に退避位置に退避させておく。そして、処理すべきウェハ90をアライメント機構(図示せず)によってステージ10上に芯出してセットする。次に、有機膜処理ヘッド100を処理位置へ前進させる。これによって、レーザ照射ユニット22がウェハ90の外周部の一箇所Pへ向けられるとともに、この箇所Pを挟んで吹出しノズル101と吸引ノズル102がウェハ90の接線方向に対峙することになる。無機膜処理ヘッド200はそのまま退避位置に位置させておく。
【0107】
そして、レーザ源21をオンし、ウェハ90の外周部の一箇所Pに局所的にレーザ加熱するとともに、オゾナイザー150で生成したオゾン等の酸素系反応性ガスを有機膜処理ヘッド100の吹出しノズル101から吹き出し、上記被加熱箇所Pに限定的に吹付ける。これによって、図24(b)に示すように、上記箇所Pの有機膜92bが酸化反応を起こしエッチング(アッシング(灰化))される。灰化した有機膜の滓を含む処理済みのガスは吸引ノズル102で吸引して速やかに除去することができる。
同時に、ステージ10にてウェハ90の外周部より内側の部分(主部分)を吸熱・冷却することにより、該内側の部分の膜が熱の影響を受けて品質劣化を来たすのを防止できることは、上記第1実施形態で述べた通りである。
【0108】
また、ステージ10を1〜複数回、回転させることによって、ウェハ90の外周部の有機膜92bが全周にわたって除去され、無機膜94bが全周にわたって露出されることになる。
【0109】
[無機膜除去工程]
次いで、ウェハ90外周部の無機膜94bの除去工程を実行する。このとき、ウェハ90はステージ10にセットしたままにしておく。そして、無機膜処理ヘッド200を前進させ、ウェハ90の外周部を差し込み口201に差し込む。これによって、ウェハ90の外周部の一定の長さの部分が案内路202に包まれることになる。差し込み量を調節することにより、除去すべき膜94bの幅(処理幅)を容易に制御することができる。
【0110】
次いで、CF等のフッ素系ガスを、フッ素系プラズマ放電装置260の電極間空間261aに供給するとともに、電極261間に電界を印加し、大気圧グロー放電プラズマを起こさせる。これにより、フッ素系ガスを活性化し、フッ素ラジカル等からなるフッ素系反応性ガスを生成する。このフッ素系反応性ガスを供給路262にて無機膜処理ヘッド200の案内路202に導き、この案内路202に沿ってウェハ90の外周部の周方向に流す。これによって、図24(c)に示すように、ウェハ90の外周部の無機膜94bをエッチングし除去することができる。併せて、ステージ10を回転させる。これによって、ウェハ90の外周部の無機膜94bを全周にわたってエッチングし除去することができる。エッチングの副生成物を含む処理済みガスは、排出路263から排出される。また、差し込み口201が狭くなっているので、ウェハ90の外周部より内側部分へのフッ素系反応性ガスの拡散を防止できる。加えて、フッ素系反応性ガスの流速調節によって、上記内側部分へのガス拡散を一層確実に防止することができる。
【0111】
なお、有機膜処理ヘッド100は、有機膜除去工程の終了後、無機膜除去工程の開始前に退避位置に退避させてもよく、無機膜除去工程の終了後に退避させてもよい。有機膜92bがステージ10の回転の1回目で除去できる場合、この有機膜除去と同時併行して無機膜除去を行うことにしてもよい。有機膜除去工程の途中で無機膜94bが部分的に露出し始めた時点で無機膜除去工程を有機膜除去と併行して行うことにしてもよい。
【0112】
無機膜成分が例えばSiN等の場合、エッチングにより(NH)2SiF、NHF・HF等の常温で固体の副生成物が出来る。そこで、この場合は無機膜除去工程の期間中、有機膜処理ヘッド100を処理位置に位置させておき、レーザ加熱器20にてウェハ90の外周部へのレーザ照射を継続する。これによって、上記常温で固体の副生成物を気化させることができる。更に、第1吸引手段153を駆動することにより、上記気化後の副生成物を吸引ノズル102から吸引して排出することができる。
【0113】
無機膜除去工程の後、ヘッド100,200を退避位置へ退避させるとともにステージ10の回転を停止する。そして、ステージ10内のチャック機構によるウェハ90のチャッキングを解除し、ウェハ90を搬出する。
【0114】
この除去方法によれば、有機膜除去工程と無機膜除去工程の全期間を通じて、ウェハ90がステージ10に継続してセットされた状態になっている。したがって、有機膜除去工程から無機膜除去工程への移行時にウェハ90を別の場所へ移送する必要がなく、移送時間を省略できる。また、移送時に移送用カセットに触れる等してパーティクルが発生することがない。更には、再度のアライメントも不要となる。これによって、全体の処理時間を大幅に短縮でき、スループットを向上させることができるだけでなく、高精度処理が可能になる。加えて、アライメント機構3やステージ30を共通化でき、装置構成の簡素化・コンパクト化を図ることができる。1つの共通チャンバ2内に処理ヘッド100,200を複数設置することによって、さまざまな膜種に対応可能となる。さらには、クロスコンタミネーションの問題も回避できる。また、本発明は、常圧系であるので、チャンバ2内に駆動部分等を容易に格納することができる。
【0115】
なお、ウェハ90に下から有機膜92、無機膜94の順に積層されている場合には、まず無機膜除去工程を実行し、次に有機膜除去工程を実行する。
有機膜処理ヘッド100と無機膜処理ヘッド200の離間角度は180度に限られず120度や90度離れていてもよい。
有機膜処理ヘッド100と無機膜処理ヘッド200は、互いの退避位置及び進退動作時に干渉しなければよく、処理位置が重なっていてもよい。
有機膜処理ヘッド100が酸素系反応性ガス生成源に一体に取り付けられていてもよく、無機膜処理ヘッド200がフッ素系反応性ガス生成源に一体に取り付けられていてもよい。
【0116】
図32は、上記有機膜及び無機膜からなる積層膜の除去装置の変形例を示したものである。この実施形態のステージは、第1ステージ部301と第2ステージ部302による入れ子構造になっている。第1ステージ部301は、ウェハ90より僅かに小径の円盤状をなし、その上面に収納凹部301aが形成されている。
【0117】
第2ステージ部302は、第1ステージ部301より十分に小径の円盤状をなし、第1ステージ部301と同軸上に配置されている。第2ステージ部302に昇降機構306(軸方向スライド機構)が接続されている。この昇降機構306によって第2ステージ部302が、第1ステージ部301の上方へ突出された突出位置(図32(b))と、第1ステージ部301の収納凹部301aに収納された収納位置(同図(a))との間で昇降可能になっている。なお、第2ステージ部302が固定される一方、第1ステージ部301が昇降機構306に接続されて昇降し、その結果、第2ステージ部302が突出・収納されるようになっていてもよい。収納位置の第2ステージ部302の上面は、第1ステージ部301の上面と面一になっているが、第1ステージ部301の上面より下に引っ込んでいてもよい。
【0118】
図示は省略するが、第1ステージ部301と第2ステージ部302には、それぞれウェハ90のためのチャッキング機構が内蔵されている。
第1ステージ部301の内部は、冷却室41になっている。この冷却室41を含む吸熱手段は、第1ステージ部301にのみ設けられているが、第2ステージ部302にも設けることにしてもよい。
【0119】
無機膜処理ヘッド200は、突出位置の第2ステージ部302の上面の高さに位置されている。
【0120】
図32(a)に示すように、有機膜除去工程では、第2ステージ部302を収納位置に位置させた状態で、冷却手段を稼動するとともに、第1ステージ部301及び第2ステージ部302を共通の軸心周りに一体に回転させながら有機膜処理ヘッド100にて処理を行なう。
【0121】
図32(b)に示すように、有機膜除去工程の終了後、有機膜処理ヘッド100を退避位置に退避させる。次に、昇降機構306にて第2ステージ部302を上昇させ突出位置に位置させる。これにより、ウェハ90を第1ステージ部301より上に離すことができる。
そして、無機膜処理ヘッド200を退避位置(図32(b)の仮想線)から処理位置(同図の実線)へ前進させ、無機膜除去工程を実行する。ウェハ90が第1ステージ部301の上方に離れているので、第1ステージ部301の外周部と無機膜処理ヘッド200の下側部が干渉するのを回避できる。ひいては、差し込み口201のウェハ90径方向に沿う深さを大きくすることができる。これによって、ウェハ90の内側部分への第2反応性ガスの拡散を一層確実に防止することができる。
その一方で、第1ステージ部301の径を十分に大きくでき、吸熱手段にてウェハ90の外周部付近まで確実に冷却することができる。その結果、ウェハ90の外周部より内側部分の膜質が損なわれるのを一層確実に防止することができる。
この無機膜除去工程では、第2ステージ部302だけを回転させればよい。これによって、ウェハ90の外周部の無機膜94bを全周にわたってエッチングし除去することができる。
【0122】
図33は、上記有機膜及び無機膜からなる積層膜の除去装置の他の変形例を示したものである。この実施形態では、有機膜除去用の酸素系反応性ガスと無機膜除去用のフッ素系反応性ガスが共通のプラズマ放電装置270にて生成されるようになっている。有機膜除去用の反応性ガスの元ガスは酸素(O)が用いられている。無機膜除去用の反応性ガスの元ガスはCF等のフッ素系ガスが用いられている。各元ガス源からの元ガス供給路273,274が互いに合流し、上記共通プラズマ放電装置270の一対の電極271間の大気圧プラズマ放電空間271aへ延びている。各元ガス供給路273,274には開閉弁273V,274Vが設けられている。
【0123】
共通プラズマ放電装置270からの反応性ガス供給路275は、三方弁276を介して酸素系反応性ガス供給路151とフッ素系反応性ガス供給路262の二手に分かれている。酸素系反応性ガス供給路151は、有機膜処理ヘッド100の吹出しノズル101に連なっている。フッ素系反応性ガス供給路262は、無機膜処理ヘッド200の案内路202の上流端に連なっている。
【0124】
有機膜除去工程では、フッ素系元ガス供給路274の開閉弁274Vを閉じる一方、酸素系元ガス供給路273の開閉弁273Vを開く。これによって、O等の元ガスがプラズマ放電装置270の放電空間271aに導入されて活性化され、酸素ラジカルやオゾン等の酸素系反応性ガスが生成される。また、プラズマ放電装置270からの共通反応性ガス供給路275を三方弁276によって酸素系反応性ガス供給路151に接続する。これによって、オゾン等の酸素系反応性ガスが有機膜処理ヘッド100の吹出しノズル101に導入され、ウェハ90の外周部の有機膜92bをアッシングし除去することができる。
【0125】
無機膜除去工程では、酸素系元ガス供給路273の開閉弁273Vを閉じる一方、フッ素系元ガス供給路274の開閉弁274Vを開く。これによって、CF等のフッ素系の元ガスがプラズマ放電装置270に導入されてプラズマ化され、F等のフッ素系反応性ガスが生成される。また、プラズマ放電装置270からの共通反応性ガス供給路275を三方弁276によってフッ素系反応性ガス供給路262に接続する。これによって、F等のフッ素系反応性ガスが無機膜処理ヘッド200の案内路202に導入されてウェハ90の周方向に流れ、ウェハ90の外周部の無機膜94bをエッチングし除去することができる。
【0126】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の改変をなすことができる。
除去対象の不要物の成分は、フロロカーボン等の有機物に限られず、無機物であってもよい。
プロセスガス(元ガス)ひいては反応性ガスは、酸素系以外にもフッ素系等、対象とする膜の成分に応じて、適宜選択することができる。ガス種に応じて活性を維持できるように、反応性ガス供給元から吹出し口までの吹出し路を温調(冷却または加温)するとよい。
加熱器は、輻射加熱器に限らず、電熱ヒータ等を用いてもよい。
プラズマノズルヘッド30を被処理位置Pから離して配置し、その先端開口30bから吹出し路を被処理位置Pへ向けて延出し、その先端の吹出し口を被処理位置Pの近傍に配置することにしてもよい。
吹出し路を形成する吹出し路形成部材を、ステージ10の外周面に沿わせ、ステージ10の吸熱手段にて冷却することにしてもよい。これによって、オゾンの活性度を長く維持することができる。
反応性ガス供給手段として常圧プラズマ処理装置に代えてオゾナイザを用いてもよい。
吹出し口や加熱器の被処理位置Pに対する位置関係は、適宜設定可能である。
【実施例1】
【0127】
実施例を説明する。
図1と同様の装置を用い、ウェハーの外端縁をステージ10から3mm突出させ、冷媒室41内の水温が、50℃の場合23.5℃の場合、5.2℃の場合のそれぞれについて、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハーの表面温度を測定した。レーザ加熱器20の出力条件は以下の通りである。
レーザ発光波長:808nm
出力:30W
局所加熱部位の直径:0.6mm
出力密度:100w/mm
発振形態:連続波
結果を図34に示す。同図(a)は、ウェハー外端縁の被加熱部位の周辺(直近から少し離れた位置)を横軸の原点としたものであり、同図(b)は、ウェハー外端縁の被加熱部位の直近を横軸の原点としたものである。水温が常温の23.5℃の場合、ウェハー外端縁の被加熱部位の近くでは被加熱部位からの熱伝導により110℃程度(図34(a))になり、更に被加熱部位の直近では300℃程度(図34(b))になるが(被加熱部位では600℃以上)、そこから僅か3mm径方向内側の部位では50℃程度まで下がり、更に径方向内側の中央部分では、50℃以下に保持され、これにより、たとえ反応性ガスのオゾンがウェハーの表側面の中央部分に流れ込んで来ても反応が起きにくく膜92のダメージを抑えることができることが確認された。
【実施例2】
【0128】
図1と同様の装置を用い、ウェハーの外端縁をステージ10から3mm突出させ、レーザ出力を80Wにした場合と100Wにした場合とについて、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハーの表面温度をサーモグラフィで測定した。その他の条件は以下の通りである。
ウェハー直径:300mm
局所加熱部位の直径:1mm
ステージ回転数:3rpm
ステージ冷媒室内の水温:23.5℃
その結果、図35に示すとおり、ウェハー外端縁の被加熱部位の直近の表面温度は、300℃前後(被加熱部位では700〜800℃程度)であったが、そこから径方向内側へ向かってウェハー温度が急激に下がり、僅か3mm径方向内側の部位では100℃を下回った。これにより、ウェハー中央部分の膜のダメージを抑えることができることが確認された。
【実施例3】
【0129】
加熱器として、レーザ加熱器20に代えて、ステージ10の周方向の全周にわたる環状ハロゲンランプを用い、それから出射された近赤外線をパラボリック反射鏡でウェハーの外周の全周にわたって収束させて加熱した。出力条件は、以下の通りである。
発光波長:800〜2000nm
出力:200W
局所加熱部位の幅:2mm
ウェハーの外端縁をステージ10から3mm突出させ、冷媒室41内の水温が5℃の場合、20℃の場合、50℃の場合のそれぞれについて、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハーの表面温度を測定した。
結果を図36に示す。同図に示す通り、水温が常温の20℃の場合、ウェハーの外端縁の被加熱部位の近傍では被加熱部位からの熱伝導により80℃程度になるが(被加熱部位では400℃以上)、そこから9mm以上径方向内側の部位では50℃以下の低温に保持され、膜のダメージを抑えることができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0130】
この発明は、例えば半導体ウェハーの製造工程や液晶表示基板の製造工程における外周の不要膜除去に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基材処理装置を示し、図2のI-I線に沿う正面断面図である。
【図2】上記装置の平面図である。
【図3】上記装置の膜除去処理部分を拡大して示す正面断面図である。
【図4】吸熱手段の改変態様に係るステージの解説正面図である。
【図5】吸熱手段の改変態様に係るステージの解説正面図である。
【図6】吸熱手段の改変態様に係るステージの解説平面図である。
【図7】ステージの吸熱手段の改変態様を示す解説平面図である。
【図8(a)】吸熱手段の改変態様に係るステージの解説平面図である。
【図8(b)】図8(a)のステージの解説正面図である。
【図9】吸熱手段としてペルチェ素子を用いた改変態様に係るステージの解説正面図である。
【図10】外周領域にのみ吸熱手段が設けられたステージの平面図である。
【図11】図10のステージ等の解説側面図である。
【図12】ウェハの外周のノッチの周辺を拡大して示す平面図であり、(a)は、レーザ照射ユニットの照射スポット径を一定にして処理した場合を示し、(b)は、照射スポット径をノッチの位置で大きくする状態を示し。(c)は、(b)の処理後の状態を示す。
【図13】レーザ照射ユニットの焦点をウェハ外周上に合わせ、照射スポット径を1mmにして処理する状態を示す解説正面図である。
【図14】レーザ照射ユニットのウェハ外周上での照射スポット径が3mmになるように焦点調節し処理する状態を示す解説正面図である。
【図15】レーザ照射ユニットをウェハの半径方向に微小スライドして照射スポット径より大きな処理幅に対応するように処理を行なう様子を解説した正面図である。
【図16(a)】真空チャック機構を組み込んだステージの平面図である。
【図16(b)】図16(a)のステージの解説正面断面図である。
【図17(a)】真空チャック機構の改変態様に係るステージの平面図である。
【図17(b)】図17(a)のステージの解説正面断面図である。
【図18】真空吸着チャック機構の変形例に係るステージの平面図である。
【図19】図18のステージの正面断面図である。
【図20】外周領域にのみチャック機構を設けた変形例に係るステージの平面図である。
【図21】図20のステージの正面断面図である。
【図22】吹出しノズルと排気ノズルを有する処理ヘッドを備えた基材処理装置を示す平面解説図である。
【図23】図22の基材処理装置の正面解説図である。
【図24】有機膜と無機膜が積層されたウェハの外周部分の拡大断面図であり、(a)は有機膜及び無機膜の除去処理前の状態を示し、(b)は有機膜除去後無機膜除去前の状態を示し、(c)は有機膜及び無機膜の除去処理後の状態を示す。
【図25】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の概略構成を示す平面解説図である。
【図26】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の正面解説図である。
【図27】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の第1処理ヘッドの平面断面図である。
【図28】図27のXXVIII-XXVIII線に沿う上記第1処理ヘッドの側面断面図である。
【図29】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の第2処理ヘッドの平面図である。
【図30】図29のXXX-XXX線に沿って上記第2処理ヘッドを周方向(長手方向)に展開した断面図である。
【図31】図29のXXXI-XXXI線に沿う上記第2処理ヘッドの断面図である。
【図32(a)】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の改変態様の概略構成を、有機膜除去工程の状態で示す正面解説図である。
【図32(b)】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の改変態様の概略構成を、無機膜除去工程の状態で示す正面解説図である。
【図33】上記2膜積層ウェハ用の基材処理装置の他の改変態様の概略構成図である。
【図34(a)】図1と同様の装置により、ウェハの外端縁の被加熱部位の近くから径方向内側方向への距離に対するウェハ温度を測定した実施例の結果を示すグラフである。
【図34(b)】(a)よりも被加熱部位に近い位置(被加熱部位の直近)を横軸の原点とする測定温度を示すグラフである。
【図35】図1と同様の装置により、ウェハの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハ温度を測定した他の実施例の結果を示すグラフである。
【図36】加熱器として環状の赤外線ランプを用い、ウェハの外端縁の被加熱部位の近傍から径方向内側方向への距離に対するウェハ温度を測定した実施例の結果を示すグラフである。
【図37】オゾンによる有機膜のエッチングレートと温度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0132】
10 ステージ
10a 支持面
20 レーザ加熱器(輻射加熱器)
30 プラズマノズルヘッド(反応性ガス供給手段の構成要素)
41 冷媒室(吸熱手段の構成要素)
42 冷媒供給路
43 冷媒排出路
41U 支持面側の第1室部分(冷媒通路(吸熱手段の構成要素))
41L 支持面とは反対側の第2室部分(冷媒通路(吸熱手段の構成要素))
46 渦巻き状冷媒通路(吸熱手段の構成要素)
47 環状路(吸熱手段の構成要素)
48 連通路(吸熱手段の構成要素)
90 ウェハ(基材)
92c ウェハの裏面外周部の膜(不要物)
93 ノッチ(切欠部)
120 赤外線加熱器(輻射加熱器)
160 ペルチェ素子(吸熱手段の構成要素)
P 被処理位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の外周部に被膜された不要物を除去する装置であって、
(a)基材を接触支持する支持面を有するステージと、
(b)このステージに支持された基材の外周部の在るべき被処理位置に熱を付与する加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガスを前記被処理位置に供給する反応性ガス供給手段と、
(d)前記ステージに設けられ、前記支持面から吸熱する吸熱手段と、
を備えたことを特徴とする基材処理装置。
【請求項2】
前記吸熱手段が、前記ステージを冷媒にて冷却するものであることを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記ステージの内部には、前記吸熱手段として冷媒室が形成され、この冷媒室に冷媒の供給路と排出路が連なっていることを特徴とする請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記ステージには、前記吸熱手段として冷媒通路が設けられ、この冷媒通路に冷媒が通されることを特徴とする請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記冷媒通路が、前記ステージの支持面側の部分から支持面とは反対側の部分へ向かうように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記ステージの内部に空洞状の室が形成されており、この室が、支持面側の第1室部分と、支持面とは反対側の第2室部分とに仕切られるとともに、これら第1、第2室部分が互いに連通されており、前記第1室部分が、前記冷媒通路の上流側の路部分を構成し、前記第2室部分が、前記冷媒通路の下流側の路部分を構成していることを特徴とする請求項5に記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記冷媒通路が、前記ステージの外周部分から中央部分へ向かうように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記冷媒通路が、渦巻き状をなしていることを特徴とする請求項7に記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記冷媒通路が、同心状をなす複数の環状路と、これら環状路を繋ぐ連通路とを有していることを特徴とする請求項4又は7に記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記吸熱手段が、吸熱側を前記支持面に向けてステージ内に設けられたペルチェ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記吸熱手段が、前記ステージの略全域に設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項12】
前記吸熱手段が、前記ステージの外周側の部分と中央側の部分のうち外周側の部分にのみ設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記ステージの外周側の部分には基材を吸着するチャック機構が設けられる一方、前記ステージの中央側の部分には、前記チャック機構の設けられた部分より凹む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項14】
吸込み口を有する排気ノズルと、この排気ノズルを吸引する吸引手段とを備え、
前記排気ノズルの吸込み口が、前記反応性ガス供給手段の吹出し口と前記被処理位置を挟んで対向するように配置されており、
前記吸込み口が、前記吹出し口より大きいことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項15】
前記基材の外周部には不要物として有機膜と無機膜が積層されており、
前記反応性ガスが前記有機膜と反応するものであり、前記反応性ガス供給手段が、前記有機膜の除去に用いられる一方、
前記無機膜と反応する他の反応性ガスを前記ステージ上の基材の外周部に供給する他の反応性ガス供給手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項16】
基材の外周部に被膜された不要物を除去する方法であって、基材をステージの支持面に接触支持させ、この基材の外周部を加熱する一方、外周部より内側の部分を前記ステージに設けた吸熱手段にて吸熱しながら、前記加熱された外周部に不要物除去のための反応性ガスを供給することを特徴とする基材処理方法。
【請求項17】
前記加熱を、焦点調節機構を有する輻射加熱器を用いて行なうとともに、
前記基材の外周のノッチ又はオリフラ等の切欠部を処理するときは、前記輻射加熱器の焦点を、前記切欠部以外の基材外周を処理する時に対し光軸方向にずらすことを特徴とする請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項18】
前記加熱を、焦点調節機構を有する輻射加熱器を用いて行なうとともに、
前記焦点調節機構によって輻射加熱器の焦点を光軸方向に調節することにより、基材外周上での照射幅を調節し、ひいては処理幅を調節することを特徴とする請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項19】
前記加熱を、輻射加熱器を用いて行なうとともに、この輻射加熱器を基材の径方向に微小スライドさせることにより処理幅を調節することを特徴とする請求項16に記載の基材処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の外周部に被膜された不要物を除去する装置であって、
(a)基材の外周部を突出させるとともに前記基材の外周部の近傍部分と接触するようにして前記基材を支持する支持面を有するステージと、
(b)このステージに支持された基材の突出された前記外周部の在るべき被処理位置に熱光線を照射する輻射加熱器と、
(c)不要物除去のための反応性ガスを前記被処理位置に供給する反応性ガス供給手段と、
(d)前記ステージに設けられ、前記支持面から吸熱する吸熱手段と、
を備え、前記吸熱手段が、前記ステージの外周側の部分と中央側の部分のうち少なくとも外周側の部分に設けられていることを特徴とする基材処理装置。
【請求項2】
前記吸熱手段が、前記ステージを冷媒にて冷却するものであることを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項3】
前記ステージの内部には、前記吸熱手段として冷媒室が形成され、この冷媒室に冷媒の供給路と排出路が連なっていることを特徴とする請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項4】
前記ステージには、前記吸熱手段として冷媒通路が設けられ、この冷媒通路に冷媒が通されることを特徴とする請求項2に記載の基材処理装置。
【請求項5】
前記冷媒通路が、前記ステージの支持面側の部分から支持面とは反対側の部分へ向かうように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の基材処理装置。
【請求項6】
前記ステージの内部に空洞状の室が形成されており、この室が、支持面側の第1室部分と、支持面とは反対側の第2室部分とに仕切られるとともに、これら第1、第2室部分が互いに連通されており、前記第1室部分が、前記冷媒通路の上流側の路部分を構成し、前記第2室部分が、前記冷媒通路の下流側の路部分を構成していることを特徴とする請求項
5に記載の基材処理装置。
【請求項7】
前記冷媒通路が、前記ステージの外周部分から中央部分へ向かうように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の基材処理装置。
【請求項8】
前記冷媒通路が、渦巻き状をなしていることを特徴とする請求項7に記載の基材処理装置。
【請求項9】
前記冷媒通路が、同心状をなす複数の環状路と、これら環状路を繋ぐ連通路とを有していることを特徴とする請求項に記載の基材処理装置。
【請求項10】
前記吸熱手段が、吸熱側を前記支持面に向けてステージ内に設けられたペルチェ素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の基材処理装置。
【請求項11】
前記ステージにおける基材と接触すべき支持面が環状をなし、前記ステージの支持面より中央部分には支持面より凹む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項12】
基材を吸着するチャック機構が、前記ステージの外周側の部分と中央側の部分のうち外周側の部分にのみ設けられていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項13】
前記ステージの外周側の部分には基材を吸着するチャック機構が設けられる一方、前記ステージの中央側の部分には、前記チャック機構の設けられた部分より凹む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項14】
吸込み口を有する排気ノズルと、この排気ノズルを吸引する吸引手段とを備え、
前記排気ノズルの吸込み口が、前記反応性ガス供給手段の吹出し口と前記被処理位置を挟んで対向するように配置されており、
前記吸込み口が、前記吹出し口より大きいことを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の基材処理装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れかに記載の基材処理装置を用いて、外周部に不要物として有機膜と無機膜が積層された基材の前記不要物を除去する方法であって
前記反応性ガスとして前記有機膜と反応するものを用い、前記反応性ガス供給手段前記有機膜の除去に用いる一方、
前記基材処理装置に設けた他の反応性ガス供給手段にて、前記無機膜と反応する他の反応性ガスを前記ステージ上の基材の外周部に供給することを特徴とする基材処理方法
【請求項16】
基材の外周部に被膜された不要物を除去する方法であって、基材の外周部を突出させるとともに前記基材の外周部の近傍部分と接触するようにして前記基材をステージの支持面で支持し、この基材の突出された前記外周部を熱光線で局所加熱する一方、該基材の外周部より内側の部分における前記近傍部分と該近傍部分より中央寄りの部分のうち少なくとも前記近傍部分を前記ステージに設けた吸熱手段にて吸熱しながら、加熱された前記外周部に不要物除去のための反応性ガスを供給することを特徴とする基材処理方法。
【請求項17】
前記加熱を、焦点調節機構を有する輻射加熱器を用いて行なうとともに、
前記基材の外周の切欠部を処理するときは、前記輻射加熱器の焦点を、前記切欠部以外の基材外周を処理する時に対し光軸方向にずらすことを特徴とする請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項18】
前記加熱を、焦点調節機構を有する輻射加熱器を用いて行なうとともに、
前記焦点調節機構によって輻射加熱器の焦点を光軸方向に調節することにより、基材外周上での照射幅を調節し、ひいては処理幅を調節することを特徴とする請求項16に記載の基材処理方法。
【請求項19】
前記加熱を、輻射加熱器を用いて行なうとともに、この輻射加熱器を基材の径方向に微小スライドさせることにより処理幅を調節することを特徴とする請求項16に記載の基材処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17(a)】
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【図17(b)】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32(a)】
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【図32(b)】
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【図33】
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【図34(a)】
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【図34(b)】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−287169(P2006−287169A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195960(P2005−195960)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【特許番号】特許第3769583号(P3769583)
【特許公報発行日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年3月1日 株式会社工業調査会発行の「電子材料 3月号(第44巻 第3号)に発表
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】