説明

基板処理システム

【課題】基板処理装置内で実際に要した搬送時間を群管理装置の側で把握することが可能な基板処理システムを提供する。
【解決手段】基板収容器を搬送する搬送部及び搬送部の動作を制御する制御部を有した基板処理装置と、基板処理装置に接続される群管理装置と、を備える基板処理システムであって、制御部は、搬送部による基板収容器の搬送に要する搬送時間を基板収容器毎に検知する検知手段と、検知手段が検知した搬送時間を群管理装置に通知する通信手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置と、当該基板処理装置に接続される群管理装置と、を備える基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる半導体製造装置の一つとして、レシピに基づく基板処理プロセス(バッチ処理)を繰り返し実行する基板処理装置がある。基板処理装置が複数存在する場合、または基板処理装置に加えて他の半導体製造装置が存在する場合は、各装置での処理プロセスの進行状況や各装置の状態を統合的かつ効率的に管理するために、各装置に接続される群管理装置(上位管理装置)が用いられる。つまり、半導体装置の製造工程では、半導体製造の自動化を支援・管理するMES(Manufacturing
Execution System)として、少なくとも基板処理装置と群管理装置とを備える基板処理システムが利用される。基板処理システムでは、基板処理装置と群管理装置との間で、SEMI(Semiconductor Equipment and Material Institute)のSECS(Semiconductor Equipment Communication Standard)規格に準拠したデータ通信が行われる。また、基板処理システムでは、処理対象となるウエハ基板がポッドまたはキャリアと呼ばれる基板収容器に収容された状態で、各基板処理装置間(または他の半導体製造装置との間)での受渡しが行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の基板処理システムでは、基板処理装置内での基板収容器やウエハ基板等の搬送に実際に要した時間を、群管理装置の側で把握することができない。そのため、基板処理装置への自動材料搬送システムを利用した基板収容器の供給時間の予測や当該基板処理装置でのウエハ処理終了時間の予測等を、群管理装置の側にて精度よく行うことが非常に困難である。つまり、基板処理装置の運用状況を群管理装置の側で十分に把握できないことから、半導体製造の自動化にあたり基板処理装置の効率的な運用を実現できないおそれがある。また、基板処理装置内での搬送時間を監視する機能がないことから、何らかの機構異常等が発生して搬送時間が遅延してもこれを検出することができず、このことによっても基板処理装置の効率的な運用を実現できないおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は、基板処理装置内で実際に要した搬送時間を群管理装置の側で把握することが可能な基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板収容器を搬送する搬送部及び前記搬送部の動作を制御する制御部を有した基板処理装置と、前記基板処理装置に接続される群管理装置と、を備える基板処理システムであって、前記制御部は、前記搬送部による前記基板収容器の搬送に要する搬送時間を当該基板収容器毎に検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記搬送時間を前記群管理装置に通知する通信手段と、を備える基板処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る基板処理システムによれば、基板処理装置内での実際の基板収容器の搬送時間を群管理装置へ通知することにより、当該搬送時間を群管理装置の側で把握することが可能となる。したがって、群管理装置の側で基板処理装置への基板収容器の供給時刻等
を制御することが可能となり、基板処理装置の効率的な運用を実現することができる。さらには、群管理装置の側で、基板処理装置内での基板収容器の搬送に関する稼働状況の確認や異常検知等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態にかかる基板処理システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の斜透視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の側面透視図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の処理炉の縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の制御装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の制御装置のプログラム構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置及び群管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置でのイベントに対する基本的な処理動作を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置でのイベントに対する時間管理動作を示す模式図であり、(a)はホスト制御プログラムの動作の概要を示す図、(b)はテーブルに対する動作の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
(1)基板処理システムの構成
先ず、本発明の一実施形態にかかる基板処理システムの概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる基板処理システムの概略構成図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態にかかる基板処理システムは、例えば半導体装置の製造工程で用いられるもので、複数台(図中のNo.1〜No.n(nは自然数)参照)の半導体製造装置100と、各半導体製造装置100とデータ交換可能なように接続される群管理装置500と、を備えている。複数台の半導体製造装置100のうちの少なくとも一台は、処理手順及び処理条件が定義されたレシピに基づく基板処理プロセスを実行する基板処理装置であるものとする。以下の説明では、複数台のいずれもが基板処理装置である場合を例に挙げる。
【0011】
各基板処理装置100と群管理装置500との間は、基板処理装置100の側から順にハブ401、基板処理装置側構内回線(LAN)402、ルータ403及び群管理装置側構内回線(LAN)404を備えて構成されたネットワークを介して接続されている。これらの各構成要素は、公知技術を利用して構成すればよく、ここではその詳細な説明を省略する。また、ネットワーク構成は、ここで例に挙げたものではなく、例えば広域回線(WAN)を利用するといったように、他の公知技術を利用したものであっても構わない。
【0012】
以上のような構成の基板処理システムでは、各基板処理装置100と群管理装置500との間にて、SEMIのSECS規格に準拠したデータ交換が行われるように構成されている。さらに詳しくは、例えば、SECS規格に準拠した通信プロトコルであるHSMS(High Speed Message Service)−SSによるデータ交換が行われる。
【0013】
(2)基板処理装置の構成
次に、本実施形態にかかる基板処理装置100の構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の斜透視図である。図3は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の側面透視図である。
【0014】
本実施形態にかかる基板処理装置100は、処理手順及び処理条件が定義されたレシピに基づく基板処理プロセスを実行することで基板に対する処理を行うものであり、複数枚の基板に対して同時に処理を行う縦型のバッチ式基板処理装置として構成されたものである。
処理対象となる基板としては、例えば、半導体集積回路装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という)が挙げられる。また、基板処理装置100が行う処理としては、典型的な例として、ウエハの表面に薄膜を形成する処理、さらに具体的にはCVD(Chemical Vapor Deposition)法による成膜処理が挙げられる。
【0015】
図2、図3に示すように、本実施形態に係る基板処理装置100は、耐圧容器として構成された筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設されている。正面メンテナンス口103には、正面メンテナンス口103を開閉する立ち入り機構として一対の正面メンテナンス扉104が設けられている。シリコン等のウエハ(基板)200を収納したポッド(基板収容器)110が、筐体111内外へウエハ200を搬送するキャリアとして使用される。なお、本発明が適用される基板処理装置100では、ポッド(基板収容器)110としてFOUP(Front Opening Unified Pod)が使用される。
【0016】
筐体111の正面壁111aには、ポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が、筐体111内外を連通するように開設されている。ポッド搬入搬出口112は、フロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、載置部としてロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されている。ロードポート114は、ロードポート114上にポッド110が載置されると共にポッド110が位置合わせされるように構成されている。ポッド110は、半導体装置の製造工程内で用いられるOHT(Overhead Hoist Transport)等の外部搬送装置(図示せず)によってロードポート114上に搬送されるように構成されている。
【0017】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されている。回転式ポッド棚105上には、複数個のポッド110が保管されるように構成されている。回転式ポッド棚105は、垂直に立設されて水平面内で間欠的に回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117と、を備えている。複数枚の棚板117は、ポッド110を複数個それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0018】
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、本実施形態に係る搬送部の一つを構成するポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連携動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド1
10を相互に搬送するように構成されている。
【0019】
筐体111内の下部には、サブ筐体119が筐体111内の前後方向の略中央部から後端にわたって設けられている。サブ筐体119の正面壁119aには、ウエハ200をサブ筐体119内外に搬送する一対のウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が、垂直方向に上下二段に並べられて設けられている。上下段のウエハ搬入搬出口120には、ポッドオープナ121がそれぞれ設置されている。
【0020】
各ポッドオープナ121は、ポッド110を載置する一対の載置台122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123とを備えている。ポッドオープナ121は、載置台122上に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0021】
サブ筐体119内には、ポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105等が設置された空間から流体的に隔絶された移載室124が構成されている。移載室124の前側領域には、本実施形態に係る搬送部の他の一つを構成するウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図2に示すように、ウエハ移載装置エレベータ125bは、サブ筐体119の移載室124の前方領域右端部と筐体111右側の端部との間に設置されている。ウエハ移載装置125aは、ウエハ200の載置部としてのツイーザ(基板保持体)125cを備えている。これらウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連携動作により、ウエハ200をボート(基板保持具)217に対して装填(ウエハチャージ)及び脱装(ウエハディスチャージ)することが可能に構成されている。
【0022】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部には、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により炉口146が開閉されるように構成されている。
【0023】
図2に示すように、サブ筐体119の待機部126右端部と筐体111右側端部との間には、ボート217を昇降させるボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台には、連結具としてのアーム128が連結されている。アーム128には、蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0024】
主に、回転式ポッド棚105、ボートエレベータ115、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118、ウエハ移載機構(基板移載機構)125、ボート217及び後述の回転機構254により、本実施形態に係る基板搬送系が構成されている。特に、ポッド搬送装置118及びウエハ移載機構125により、基板処理装置100内にてポッド110の搬送及び当該ポッド110が収容するウエハ200の移載を行う本実施形態に係る搬送部が構成されている。また、ポッド搬送装置118及びウエハ移載機構125を含む基板搬送系の各構成要素は、いずれも、後述の制御装置240における搬送系コントローラ11に電気的に接続されている。
【0025】
ボート217は複数本の保持部材を備えている。ボート217は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で
それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0026】
図2に示すように、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、クリーンユニット134が設置されている。クリーンユニット134は、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置(図示せず)が設置されている。
【0027】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、図示しないノッチ合わせ装置、ウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217の周囲を流通した後、図示しないダクトにより吸い込まれて筐体111の外部に排気されるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環されてクリーンユニット134によって移載室124内に再び吹き出されるように構成されている。
【0028】
(3)基板処理装置の動作
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置100の動作について、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0029】
図2、図3に示すように、ポッド110が外部搬送装置(図示せず)によってロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。そして、ロードポート114の上のポッド110が、ポッド搬送装置118によってポッド搬入搬出口112から筐体111内部へと搬入される。
【0030】
筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって回転式ポッド棚105の棚板117上へ自動的に搬送されて一時的に保管される。その後、ポッド110は、棚板117上から一方のポッドオープナ121の載置台122上に移載される。なお、筐体111内部へと搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によって直接ポッドオープナ121の載置台122上に移載されてもよい。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124内にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124内にクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、移載室124内の酸素濃度が例えば20ppm以下となり、大気雰囲気である筐体111内の酸素濃度よりも遥かに低くなるように設定されている。
【0031】
載置台122上に載置されたポッド110は、その開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口が開放される。その後、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてポッド110内からピックアップされ、ノッチ合わせ装置にて方位が整合された後、移載室124の後方にある待機部126内へ搬入され、ボート217内に装填(ウエハチャージ)される。ボート217内にウエハ200を装填したウエハ移載装置125aは、ポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217内に装填する。
【0032】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハ200のボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121の載置台122上には、別のポッド110が回転式ポッド棚105上からポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0033】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217内に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217は、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより処理炉202内へ搬入(ボートロード)されていく。
【0034】
ボートロード後は、処理炉202内にてウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、ノッチ合わせ装置でのウエハの整合工程を除き、上述の手順とほぼ逆の手順で、処理後のウエハ200を格納したボート217が処理炉202内より搬出され、処理後のウエハ200を格納したポッド110が筐体111外へと搬出される。
【0035】
(4)処理炉の構成
次に、本実施形態にかかる処理炉202の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置100の処理炉202の縦断面図である。
【0036】
図4に示すように、処理炉202は、反応管としてのプロセスチューブ203を備えている。プロセスチューブ203は、内部反応管としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応管としてのアウターチューブ205と、を備えている。インナーチューブ204は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成されている。インナーチューブ204は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204内の筒中空部には、基板としてのウエハ200を処理する処理室201が形成されている。処理室201内は、後述するボート217を収容可能なように構成されている。アウターチューブ205は、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。アウターチューブ205は、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。
【0037】
プロセスチューブ203の外側には、プロセスチューブ203の側壁面を囲うように、加熱機構としてのヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状に構成されている。なお、ヒータ206は後述するように複数の領域に分割され、これら分割されたヒータ206のそれぞれのヒータ素線に電力が供給されて発熱するように構成されている。ヒータ206は、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0038】
プロセスチューブ203内には、温度検知器としての温度センサ263が設置されている。主に、ヒータ206及び温度センサ263により、本実施形態に係る加熱機構が構成されている。これらヒータ206と温度センサ263とは、後述の制御装置240におけるプロセス系コントローラ12に電気的に接続されている。
【0039】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状になるように、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等により構成されている。マニホールド209は、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とにそれぞれ係合している。マニホールド209は、インナーチューブ204の下端部とアウターチューブ205の下端部とを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。図示しないがマニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となって
いる。プロセスチューブ203とマニホールド209とにより反応容器が形成される。
【0040】
後述するシールキャップ219には、ガス導入部としての処理ガスノズル230a及びパージガスノズル230bが処理室201内に連通するように接続されている。処理ガスノズル230aには、処理ガス供給管232aが接続されている。処理ガス供給管232の上流側(処理ガスノズル230aとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241a、後述するバルブ(図示しない)を介して、図示しない処理ガス供給源等が接続されている。また、パージガスノズル230bには、パージガス供給管232bが接続されている。パージガス供給管232bの上流側(パージガスノズル230bとの接続側と反対側)には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241b、後述するバルブ(図示しない)を介して、不活性ガス等の図示しないパージガス供給源等が接続されている。
【0041】
主に、処理ガス供給源(図示しない)、MFC241a、後述するバルブ(図示しない)、処理ガス供給管232a及び処理ガスノズル230aにより、本実施形態に係る処理ガス供給系が構成されている。主に、パージガス供給源(図示しない)、MFC241b、後述するバルブ(図示しない)、パージガス供給管232b及びパージガスノズル230bにより、本実施形態に係るパージガス供給系が構成されている。主に、処理ガス供給系及びパージガス供給系により、本実施形態に係るガス供給系が構成されている。MFC241a,241b及びバルブ(図示しない)には、後述の制御装置240におけるプロセス系コントローラ12が電気的に接続されている。
【0042】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されている。排気管231は、筒状空間250に連通している。排気管231の下流側(マニホールド209との接続側と反対側)には、圧力検知器としての圧力センサ245、例えば圧力調整装置としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ242、真空排気装置としての真空ポンプ246が上流側から順に接続されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ242及び真空ポンプ246により、本実施形態に係るガス排気機構が構成されている。圧力センサ245、APCバルブ242及び真空ポンプ246には、後述の制御装置240におけるプロセス系コントローラ12が電気的に接続されている。
【0043】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属により構成されている。シールキャップ219は、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。
【0044】
シールキャップ219の中心部付近であって処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。回転機構254は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させることが可能に構成されている。
【0045】
シールキャップ219は、プロセスチューブ203の外部に垂直に設備された基板保持具昇降機構としてのボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されている。シールキャップ219を昇降させることにより、ボート217を処理室20
1内外へ搬送することが可能に構成されている。上述したように回転機構254及びボートエレベータ115には、後述の制御装置240に接続される搬送系コントローラ11が電気的に接続されている。
【0046】
上述したように、基板保持具としてのボート217は、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。ボート217は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。ボート217の下部には、断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、円板形状に形成されている。断熱板216は、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料により構成されている。断熱板216は、ヒータ206からの熱をマニホールド209側に伝えにくくするように構成されている。
【0047】
主に、ガス排気機構、ガス供給系、加熱機構により、本実施形態に係る基板処理系が構成されている。
【0048】
(5)処理炉の動作
続いて、半導体装置の製造工程の一工程として、上記構成に係る処理炉202を用いてCVD法によりウエハ200上に薄膜を形成する方法について、図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は、基板処理用のレシピに従い、制御装置240により制御される。
【0049】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図4に示すように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される(ボートロード)。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0050】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空排気装置246によって真空排気される。そして、後述するように処理ガスを供給して処理ガスのガス流量を安定させると共に、圧力センサ245が測定した圧力値に基づき、圧力調整装置242(の弁の開度)がフィードバック制御され処理室201内の圧力を所定の処理圧力で一定にする。また、処理室201内が所望の処理温度となるように、ヒータ206によって待機温度から加熱される(準備ステップ)。この際、温度センサ263が検知した温度値に基づき、ヒータ206への通電量がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217及びウエハ200が回転させられる。
【0051】
次いで、処理ガス供給源から供給されてMFC241aにて所望の流量となるように制御された処理ガスは、ガス供給管232a内を流通してノズル230aから処理室201内に導入される。導入された処理ガスは処理室201内を上昇し、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250内に流出して排気管231から排気される。処理ガスは、処理室201内を通過する際にウエハ200の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウエハ200の表面上に薄膜が堆積される(処理ステップ)。
【0052】
予め設定された処理時間が経過すると、パージガス供給源から供給されてMFC241bにて所望の流量となるように制御されたパージガスが処理室201内に供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。また、処理炉201内の温度を処理温度から待機温度へ降温する(降温ステップ)。
【0053】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されてマニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200を保持するボート217が
マニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部へと搬出される(ボートアンロード)。その後、処理済のウエハ200はボート217より取り出され、ポッド110内へ格納される(ウエハディスチャージ)。
【0054】
(6)制御装置の構成
次に、本実施形態にかかる制御装置240の構成について説明する。制御装置240は、基板処理装置100を構成する各部(特に基板搬送系及び基板処理系)の動作制御を行うもので、本実施形態に係る制御部を構成するものである。
【0055】
以下、制御装置240のハードウエア構成、プログラム構成及び機能構成を、図5、図6及び図7を参照しながら順に説明する。図5は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置100の制御装置240のハードウエア構成を示すブロック図である。図6は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置100の制御装置240のプログラム構成を示すブロック図である。図7は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置100及び群管理装置500の機能構成を示すブロック図である。
【0056】
(ハードウエア構成)
図5に示すように、制御装置240は、CPU(Central Processing Unit)240aと、RAM(Random Access Memory)240bと、HDD(Hard Disk Drive)240cと、通信モジュール240dと、時計機能(図示せず)とを有したコンピュータとして構成されている。RAM240b、HDD240c及び通信モジュール240dは、内部バス等を介して、CPU240aとデータ交換可能なように構成されている。
【0057】
(プログラム構成)
図6に示すように、制御装置240のCPU240aが実行するプログラムには、少なくとも、基板搬送系の動作を制御する材料搬送制御プログラム21と、基板処理系の動作を制御する基板処理制御プログラム22と、データ入出力を制御する操作画面表示プログラム23と、群管理装置500との通信制御をするホスト制御プログラム24と、装置全体の連係制御をする装置制御プログラム25とがある。これらの各プログラム21〜25は、HDD240c内に読み出し可能に保持(記憶)されるように構成されている。
【0058】
これらの各プログラム21〜25のうち、少なくとも材料搬送制御プログラム21、ホスト制御プログラム24及び装置制御プログラム25は、例えばオブジェクト指向プログラミングの手法により、オブジェクトに特定の現象が発生したときに、その現象に対応するイベント信号(以下、単に「イベント」という)を発して、それぞれの間で授受するように構成されている。すなわち、少なくとも材料搬送制御プログラム21、ホスト制御プログラム24及び装置制御プログラム25は、イベントが発生すると、イベントに1対1で対応したメソッドが起動し、イベントに対応した処理を行うように構成されている。なお、基板処理装置100にて発生し得るイベントには、予めイベント毎にイベントIDが割り当てられている。
【0059】
また、これらの各プログラム21〜25のうち、ホスト制御プログラム24は、SEMIのGEM(Generic Equipment Model)規格に準拠したモデル(包括的装置モデル)を実装している。すなわち、ホスト制御プログラム24は、GEM規格による定義に従いつつ、群管理装置500との間の通信コントロールを行うように構成されている。
【0060】
また、これらの各プログラム21〜25のうち、ホスト制御プログラム24は、後述する検知手段24a及び通信手段24bとしての機能を制御装置240に実現するように構
成されている。さらに、装置制御プログラム25は、後述するデータ取得手段25aとしての機能を制御装置240に実現するように構成されている。なお、図例では、装置制御プログラム25がデータ取得手段25aとしての機能を実現する場合を示しているが、データ取得手段25aとしての機能は、基板処理制御プログラム22によって実現されるものであってもよい。すなわち、データ取得手段25aとしての機能は、後述するように基板処理制御プログラム22及び装置制御プログラム25の少なくとも一方によって実現されるものであればよい。
【0061】
(機能構成)
図7に示すように、制御装置240は、搬送系コントローラ11と、プロセス系コントローラ12と、操作制御部13と、通信制御部14と、主コントローラ15と、データ保持部16としての機能を備えて構成されている。
【0062】
搬送系コントローラ11は、CPU240aによる材料搬送制御プログラム21の実行によって実現される機能である。搬送系コントローラ11は、基板搬送系を構成する各部(例えば回転式ポッド棚105、ボートエレベータ115、ポッド搬送装置118、ウエハ移載機構125、ボート217、回転機構254等)と電気的に接続されており、これらの各部の動作を制御するとともに、これら各部の状態(例えば位置、開閉状態、動作中であるかウエイト状態であるか等)を示すデータを収集する(読み出す)ように構成されている。
【0063】
プロセス系コントローラ12は、CPU240aによる基板処理制御プログラム22の実行によって実現される機能である。プロセス系コントローラ12は、基板処理系を構成する各部(例えばガス排気機構、ガス供給系、加熱機構等)と電気的に接続されており、これらに対する制御を通じて処理炉202の動作を制御するとともに、処理炉202の状態(温度、ガス流量、圧力等)を示すデータを収集する(読み出す)ように構成されている。
【0064】
操作制御部13は、CPU240aによる操作画面表示プログラム23の実行によって実現される機能である。操作制御部13には、ディスプレイ装置等のデータ表示部240eと、キーボード装置等のデータ入力部240fとが、それぞれ接続されるように構成されている。また、操作制御部13は、操作者によるデータ入力部240fからの入力(操作コマンドの入力等)を受け付けるとともに、基板処理装置100の状態表示画面や操作入力受付画面等をデータ表示部240eに表示するように構成されている。
【0065】
通信制御部14は、CPU240aによるホスト制御プログラム24の実行によって実現される機能である。通信制御部14は、搬送系コントローラ11及びプロセス系コントローラ12が読み出した各種データや、材料搬送制御プログラム21や基板処理制御プログラム22が発行する各種イベント信号等を受け取って、群管理装置500へ送信することが可能なように構成されている。
【0066】
主コントローラ15は、CPU240aによる装置制御プログラム25の実行によって実現される機能である。主コントローラ15は、搬送系コントローラ11、プロセス系コントローラ12、データ保持部16、通信制御部14及び操作制御部13のそれぞれとの間でデータ交換可能なように、これらの各部と接続している。つまり、制御装置240は、主制御部としての主コントローラ15を中心にして、搬送系コントローラ11、プロセス系コントローラ12、操作制御部13、通信制御部14及びデータ保持部16が互いに連係することで、基板処理装置100の動作制御を行うように構成されている。
【0067】
データ保持部16は、HDD240cによって実現される機能である。データ保持部1
6は、材料搬送制御プログラム21等といった制御装置240にて種々の機能を実現するプログラムや、処理炉202にて実施される基板処理工程の設定データ(レシピデータ)や、搬送系コントローラ11及びプロセス系コントローラ12が読み出した各種データ等を、必要に応じて保持(記憶)するように構成されている。
【0068】
これら搬送系コントローラ11、プロセス系コントローラ12、操作制御部13、通信制御部14、主コントローラ15及びデータ保持部16としての各機能は、それぞれが上述したコンピュータとしてのハードウエア資源を共用するものであってもよいし、それぞれが独自のハードウエア資源を用いるものであってもよい。
【0069】
搬送系コントローラ11、プロセス系コントローラ12、操作制御部13、通信制御部14及びデータ保持部16は、主コントローラ15を介さずに、それぞれの間でデータ交換可能なように構成されたものであってもよい。
【0070】
(7)群管理装置の構成
続いて、上述の基板処理装置100とデータ交換可能なように構成された本実施形態にかかる群管理装置500の構成について、主に図7を参照しながら説明する。
【0071】
群管理装置500は、基板処理装置100での処理プロセスの進行状況や基板処理装置100の状態を統合的かつ効率的に管理することが可能なように構成されている。具体的には、CPUを有して構成された制御部501と、HDD等の記憶装置として構成されたデータ保持部502と、基板処理装置100の通信制御部14に接続されて当該通信制御部14との間で通信を行う通信制御部503と、ディスプレイ装置等のデータ表示部504と、キーボード装置等のデータ入力部505としての機能を有するコンピュータとして構成されている。上述のデータ保持部502、通信制御部503、データ表示部504及びデータ入力部505は、内部バス等を介して制御部501とデータ交換可能なように構成されている。
【0072】
(8)制御装置による搬送動作制御
次に、制御装置240が行う動作制御のうち、主に基板搬送系に対する搬送動作制御の概要について、図2、図3及び図6を参照しながら説明する。
【0073】
制御装置240が基板搬送系に対して行う搬送動作制御には、大別すると、ポッド搬入動作制御と、ウエハチャージ動作制御と、ウエハディスチャージ動作制御と、ポッド搬出動作制御とがある。
【0074】
(ポッド搬入動作制御)
ポッド110がロードポート114に供給されると、材料搬送制御プログラム21は、そのポッド110に付されているポッド識別情報(以下、単に「ポッドID」という)を認識する。ポッドIDの認識は、例えばポッド110に貼付されているコード情報を光学的に読み取るといった公知手法を用いて行えばよい。ポッドIDを認識したら、材料搬送制御プログラム21は、ロードポート114の上のポッド110について、筐体111内部への搬入を開始すべく、予め固有のイベントIDが割り当てられた搬入開始イベントを発生させて、搬入対象となったポッド110のポッドIDと関連付けて装置制御プログラム25へ送信する。
【0075】
ポッド搬送装置118は、搬入開始イベントの発生があると、これに応じて、ロードポート114の上のポッド110を、筐体111内部の所定箇所である回転式ポッド棚105の棚板117上またはポッドオープナ121の載置台122上へ搬送する。ポッド搬送装置118によるポッド110の搬送が終了すると、材料搬送制御プログラム21は、そ
のことを認識して、予め固有のイベントIDが割り当てられた搬入終了イベントを発生させて、搬入したポッド110のポッドIDと関連付けて装置制御プログラム25へ送信する。
【0076】
ところで、ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連携動作により、ポッド110を搬送する。つまり、ポッド搬送装置118によるポッド110の搬送イベントは、ポッドエレベータ118aによる搬送処理工程と、ポッド搬送機構118bによる搬送処理工程とから構成される。このことから、基板処理装置100内では、ポッドエレベータ118aによる搬送処理とポッド搬送機構118bによる搬送処理とのそれぞれに別個のイベントIDが割り当てられ、各搬送処理工程の度に、材料搬送制御プログラム21がイベント発生を行うように構成されていても構わない。
【0077】
以上のようなシーケンス処理動作を、材料搬送制御プログラム21及びポッド搬送装置118は、一度のバッチ処理に必要な全てのポッド110について完了するまで繰り返し行う。つまり、材料搬送制御プログラム21は、上述した一連のシーケンス処理動作を繰り返す度に、すなわち筐体111内部へ搬入するポッド110毎に、搬入開始イベント及び搬入終了イベントの発生及びこれらの各イベントの装置制御プログラム25への送信を行う。
【0078】
(ウエハチャージ動作制御)
筐体111内部へのポッド110の搬入が完了すると、材料搬送制御プログラム21は、処理手順が定義されたレシピに基づき、搬入済みのポッド110に収容されたウエハ200のボート217内への装填(ウエハチャージ)を開始すべく、予め固有のイベントIDが割り当てられたウエハチャージ開始イベントを発生させて、装置制御プログラム25へ送信する。
【0079】
ウエハチャージ開始イベントの発生があると、ポッド搬送装置118は、必要に応じて、回転式ポッド棚105の棚板117上のポッド110を、ポッドオープナ121の載置台122上に搬送する。そして、載置台122上に載置されたポッド110のウエハ出し入れ口が開放されると、ウエハ移載機構125は、ツイーザ125cによってポッド110内からウエハ200をピックアップしてボート217内に装填する。ポッド110に収容されたウエハ200の全てについてウエハ移載機構125によるボート217内への装填が完了したら、ポッド搬送装置118は、空となったポッド110をポッドオープナ121の載置台122上から回転式ポッド棚105の棚板117上へと戻す。以上のようなシーケンス処理動作を、ポッド搬送装置118及びウエハ移載機構125は、一度のバッチ処理に必要な全てのポッド110に収容されているウエハ200ついて完了するまで、すなわちボート217内に予め指定された枚数のウエハ200が装填されるまで、繰り返し行う。
【0080】
ボート217内への所定枚数のウエハ200の装填が完了すると、材料搬送制御プログラム21は、そのことを認識して、予め固有のイベントIDが割り当てられたウエハチャージ終了イベントを発生させる。そして、発生させたウエハチャージ終了イベントを装置制御プログラム25へ送信する。
【0081】
ボート217内へのウエハ200の装填が完了すると、その後は、ボート217が処理炉202内へ搬入(ボートロード)され、処理炉202内にてウエハ200に任意の処理が実施される。
【0082】
ポッド搬送装置118及びウエハ移載機構125によるボート217内へのウエハ200の装填イベントは、上述した筐体111内部へのポッド110の搬送イベントの場合と
同様に、ポッドエレベータ118aによる搬送処理工程と、ポッド搬送機構118bによる搬送処理工程と、ウエハ移載装置125aによる移載処理工程と、ウエハ移載装置エレベータ125bによる移載処理工程と構成される。したがって、基板処理装置100内では、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとによるそれぞれの搬送処理及びウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとによるそれぞれの移載処理に別個のイベントIDが割り当てられ、各処理工程の度に、材料搬送制御プログラム21がイベント発生を行うように構成されていても構わない。
【0083】
(ウエハディスチャージ動作制御)
ボート217内に装填されたウエハ200に対する処理炉202内での処理が完了すると、その後は、処理後のウエハ200を格納したボート217が処理炉202内より搬出(ボートアンロード)される。
【0084】
ボート217が搬出されると、材料搬送制御プログラム21は、上述したウエハチャージ動作制御の場合とは逆の手順で、処理後のウエハ200のボート217内からの脱装(ウエハディスチャージ)を、ポッド搬送装置118及びウエハ移載機構125に行わせる。このとき、材料搬送制御プログラム21は、ウエハディスチャージ開始イベント及びウエハディスチャージ終了イベントを発生させて、これらを装置制御プログラム25へ送信する。なお、上述したウエハチャージ動作制御と同様に、ウエハ200の脱装イベントが複数の処理工程からなる場合には、それぞれの処理工程に別個のイベントIDが割り当てられ、各処理工程の度に材料搬送制御プログラム21がイベント発生を行うように構成されていても構わない。
【0085】
(ポッド搬出動作制御)
処理後のウエハ200をポッド110が収容すると、材料搬送制御プログラム21は、上述したポッド搬入動作制御の場合とは逆の手順で、筐体111内部の所定箇所である回転式ポッド棚105の棚板117上またはポッドオープナ121の載置台122上からロードポート114の上へのポッド110の搬送を、ポッド搬送装置118に行わせる。このとき、材料搬送制御プログラム21は、搬出開始イベント及び搬出終了イベントをポッド110毎に発生させて、これらをポッドIDと関連付けて装置制御プログラム25へ送信する。なお、上述したポッド搬入動作制御と同様に、ポッド110の搬送イベントが複数の搬送処理工程からなる場合には、それぞれの搬送処理工程に別個のイベントIDが割り当てられ、各搬送処理工程の度に材料搬送制御プログラム21がイベント発生を行うように構成されていても構わない。
【0086】
(9)制御装置におけるイベント通信制御
続いて、制御装置240が上述した一連の搬送動作制御を行う際の、材料搬送制御プログラム21、装置制御プログラム25及びホスト制御プログラム24の間のイベント通信制御について説明する。
【0087】
(イベントに対する基本的な処理動作)
ここで、先ず、材料搬送制御プログラム21、装置制御プログラム25及びホスト制御プログラム24によるイベントに対する基本的な処理動作について、図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置100でのイベントに対する基本的な処理動作を示す模式図である。
【0088】
図8に示すように、例えば材料搬送制御プログラム21が搬入開始イベントを発生させた場合、その搬入開始イベントは、材料搬送制御プログラム21から装置制御プログラム25およびホスト制御プログラム24を経て、群管理装置500の制御部501へ送信される。このとき、材料搬送制御プログラム21は、搬入開始イベントを発生させると、時
計機能を利用してイベント発生日時の時刻情報(以下「タイムスタンプ」という)を認識するとともに、認識したタイムスタンプとそのイベントで構成されたデータ(例えば、搬入対象となったポッド110のポッドID)とを互いに関連付けた状態で、装置制御プログラム25へ送信する。装置制御プログラム25は、材料搬送制御プログラム21から搬入開始イベントに関する送信情報を受け取ると、そのイベントに割り当てられているイベントIDを付与し、受け取った送信情報と付与したイベントIDとを互いに関連付けた状態で、ホスト制御プログラム24へ送信する。そして、ホスト制御プログラム24は、装置制御プログラム25からの送信情報を受け取ると、受け取った各種情報を必要に応じて記憶蓄積した後に、各種情報の群管理装置500の制御部501への送信を行う。
【0089】
その後、例えば材料搬送制御プログラム21が搬入終了イベントを発生させると、その搬入終了ベントは、材料搬送制御プログラム21から装置制御プログラム25およびホスト制御プログラム24を経て、群管理装置500の制御部501へ送信される。このときも、上述した搬入開始イベントの場合と同様に、材料搬送制御プログラム21は、タイムスタンプの付与を行う。さらに、装置制御プログラム25は、イベントIDの付与を行う。ただし、ホスト制御プログラム24は、上述した搬入開始イベントとは異なり、搬入終了イベントの場合には、タイムスタンプ等の他に、後述する搬送時間を付加した状態で、搬入終了イベントの群管理装置500への送信を行う。
【0090】
以上のようなイベントの基本的な流れは、搬入開始イベントのみならず、他のイベントについても同様である。例えば、搬入開始イベント及び搬入終了イベントの後に材料搬送制御プログラム21が発生させる搬出開始イベント及び搬出終了イベントについても、図示はしないが、材料搬送制御プログラム21から装置制御プログラム25およびホスト制御プログラム24を経て、タイムスタンプ等が付与された状態で、群管理装置500へ送信される。
【0091】
また、ウエハチャージ開始イベント及びウエハチャージ終了イベント、並びに、ウエハディスチャージ開始イベント及びウエハディスチャージ終了イベントの場合も、図示はしないが、上述した搬入開始イベント及び搬入終了イベント等の場合と同様に、材料搬送制御プログラム21から装置制御プログラム25およびホスト制御プログラム24を経て、タイムスタンプ等が付与された状態で、群管理装置500へ送信される。
【0092】
このように、基板処理装置100についての各種イベントは、その発生時点でタイムスタンプが付与され、その後一旦装置制御プログラム25に送られてイベントIDが付与される。そして、各種イベントは、タイムスタンプやイベントID等と関連付けられた状態で、装置制御プログラム25からホスト制御プログラム24を経て群管理装置500へ送信される。
【0093】
(イベントに対する時間管理動作)
上述した一連のイベントに対する処理動作において、ホスト制御プログラム24は、以下に述べるような時間管理動作を行う。ここで、ホスト制御プログラム24が行うイベントに対する時間管理動作について、図9を参照しながら説明する。図9は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置100でのイベントに対する時間管理動作を示す模式図である。
【0094】
図9(a)及び図9(b)に示すように、例えば装置制御プログラム25からポッドID及びタイムスタンプ(搬入開始時刻)を含む搬入開始イベントが送信されてくると、ホスト制御プログラム24は、その搬入開始イベントにおけるポッドID及びタイムスタンプを、互いに関連させた状態で、データ保持部16内の所定記憶領域に形成されたテーブルに登録する(図中におけるS(ステップ)01参照)。そして、ホスト制御プログラム
24は、テーブルへの登録を行ったら、受信した搬入開始イベントを、群管理装置500の制御部501へ送信する。
【0095】
その後、装置制御プログラム25からポッドID及びタイムスタンプ(搬入終了時刻)を含む搬入終了イベントが送信されてくると、ホスト制御プログラム24は、データ保持部16内のテーブルにアクセスし、搬入終了イベントに含まれていたポッドIDを検索キーにしてテーブル内を検索する。そして、検索キーと同一のポッドIDについて登録済みのタイムスタンプ(搬入開始時刻)を取得して、搬入終了イベントに含まれていたタイムスタンプ(搬入終了時刻)との差分を算出する(図中におけるS02参照)。
【0096】
差分を算出すると、ホスト制御プログラム24は、その算出結果を、検索キーとなったポッドIDによって特定されるポッド110についての搬送時間、さらに詳しくは当該ポッド110について筐体111内部への搬入に要した搬入時間の検知結果とする。つまり、ホスト制御プログラム24は、ロードポート114の上から筐体111内部の所定箇所(回転式ポッド棚105の棚板117上またはポッドオープナ121の載置台122上)までのポッド110の搬送に要する搬入時間を、ポッドIDによって識別されるポッド110毎に検知する、本実施形態における検知手段24aとしての機能を実現する。
【0097】
搬入時間を検知したら、ホスト制御プログラム24は、検知した搬入時間を、搬入終了イベントに付加して、群管理装置500の制御部501へ送信する(図中におけるS03参照)。つまり、ホスト制御プログラム24は、検知した搬入時間を群管理装置500に通知する、本実施形態における通信手段24bとしての機能を実現する。なお、搬入時間の通知後、ホスト制御プログラム24は、データ保持部16内のテーブルにアクセスし、搬入時間の検知に用いたタイムスタンプをテーブル内から削除する。
【0098】
以上のようなイベントに対する時間管理動作は、搬入時間を検知する場合のみならず、他の時間を検知する場合についても同様にして行われる。例えば、搬出終了イベントを処理する場合、ホスト制御プログラム24は、ポッドIDと搬出開始イベント及び搬出終了イベントの各タイムスタンプとを用いて、筐体111内部の所定箇所(回転式ポッド棚105の棚板117上またはポッドオープナ121の載置台122上)からロードポート114の上までのポッド110の搬送に要する搬出時間を、ポッドIDによって識別されるポッド110毎に検知する。そして、ホスト制御プログラム24は、検知した搬出時間を、搬出終了イベントに付加して、群管理装置500へ通知する。
【0099】
このようにして、ホスト制御プログラム24は、搬入時間と搬出時間との少なくとも一方(望ましくは両方)を、ポッド搬送装置118によるポッド110の搬送に要する搬送時間として、ポッド搬送装置118が搬送するポッド110毎に検知して、その検知結果を群管理装置500へ通知する。
【0100】
また、ホスト制御プログラム24は、ポッド110の搬送時間のみならず、ウエハチャージの開始から終了までに要するウエハチャージ時間、及び、ウエハディスチャージの開始から終了までに要するウエハディスチャージ時間についても、同様の処理を行う。
【0101】
例えば、ホスト制御プログラム24は、ウエハチャージ開始イベントが送信された時点で、そのイベントに付加されたタイムスタンプをテーブル内に保持しておく。その後、ウエハチャージ終了イベントが送信されると、ホスト制御プログラム24は、そのイベントに付加されたタイムスタンプを取得し、保持している開始イベントのタイムスタンプとの差分を求める。そして、ホスト制御プログラム24は、差分の算出結果を、所定枚数のウエハ200をボート217へ装填するのに要するウエハチャージ時間(基板装填時間)として、ウエハチャージ終了イベントに付加して群管理装置500へ通知する。また、ウエ
ハディスチャージ時間(基板脱装時間)についても、全く同様である。
【0102】
つまり、ホスト制御プログラム24は、ウエハチャージ時間とウエハディスチャージ時間との少なくとも一方(望ましくは両方)を、ポッド搬送装置118及びウエハ移載機構125による基板処理装置100内でのウエハ200の移載に要する移載時間として、ボート217へ装填される所定枚数のウエハ200毎に(すなわちバッチ処理単位毎に)検知して、その検知結果を群管理装置500へ通知する。
【0103】
以上のような時間管理動作は、所定のイベントが発生する度に、さらに詳しくは一対となる開始イベント及び終了イベントがある度に、ホスト制御プログラム24によって行われる。したがって、既に説明したように、例えばイベントが複数の処理工程からなり、各処理工程の度にイベント発生がされる場合には、ホスト制御プログラム24は、各処理工程別に時間検知を行うとともに、当該各処理工程別に(すなわち時間検知を行う都度)、その検知結果について群管理装置500への通知を行う。
【0104】
各処理工程の度に時間検知及びその検知結果の群管理装置500への通知を行う場合には、ホスト制御プログラム24は、処理工程別の検知結果の通知にあたり、当該処理工程を行う搬送部の構成部分に関する情報を、当該検知結果に付加して通知することが好ましい。搬送部の構成部分に関する情報としては、例えば、当該搬送部の一つを構成するポッド搬送装置118のうち、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bのどちらが動作しているかを特定する情報や、当該搬送部の他の一つを構成するウエハ移載機構125のうち、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとのどちらが動作しているかを特定する情報等が該当する。
【0105】
(その他の付加データ)
ホスト制御プログラム24は、上述した搬送に関する時間検知結果の他に、以下に述べるデータを付加した状態で、群管理装置500へのイベント通知を行うものであってもよい。
【0106】
処理炉202を用いて行うウエハ200に対する処理は、基板処理用のレシピに従い、基板処理制御プログラム22により制御される。このとき、基板処理制御プログラム22は、処理炉202の動作を制御するとともに、処理炉202の状態(温度、ガス流量、圧力等)を示すデータを収集する(読み出す)。さらに、基板処理制御プログラム22または装置制御プログラム25のいずれかは、処理炉202における処理プロセスの開始時刻からの経過時間を認識することで、レシピの実行時間についてのデータを特定する。つまり、基板処理制御プログラム22と装置制御プログラム25との少なくとも一方は、処理炉202が実行する基板処理プロセスに関するデータの一つとして、レシピの実行時間についてのデータを取得する、本実施形態におけるデータ取得手段25aとしての機能を実現する。
【0107】
このように、レシピの実行時間についてのデータが取得されると、ホスト制御プログラム24は、当該データの取得結果を装置制御プログラム25から受け取って、搬送に関する時間検知結果と合わせてイベントに付加し、群管理装置500への通知を行うようにしてもよい。
【0108】
(検知結果の利用)
群管理装置500は、ホスト制御プログラム24からのイベント通知があると、以下に述べるような制御処理を行う。
【0109】
群管理装置500は、基板処理装置100のホスト制御プログラム24からのイベント
通知があると、通知されたイベントに付加されている時間検知結果を、当該イベントに付加されている他の情報(例えば、装置ID、ポッドID、イベントID等)と関連付けて、データ保持部502内に保持しておく。そして、一度のバッチ処理が終了すると、群管理装置500は、そのバッチ処理に関する搬送時間及び移載時間の通知結果に基づいて、次バッチ以降に基板処理装置100のロードポート114へポッド110を供給すべき時刻を予測する。ポッド110の供給時刻の予測は、例えば、経験則に基づいて予め設定された演算式を用いる等の公知技術を利用して行えばよい。その後、群管理装置500は、予測したポッド110の供給時刻に基づき、次バッチ以降における外部搬送装置(図示せず)によるロードポート114へのポッド110の供給タイミングを制御する。
【0110】
また、群管理装置500は、基板処理装置100のホスト制御プログラム24からのイベント通知があると、通知されたイベントに付加されている時間検知結果を、データ表示部504を用いて表示出力する。すなわち、データ表示部504による表示画面上にて、基板処理装置100での搬送に関する時間検知結果が視認可能となるように、当該時間検知結果の表示出力を行う。
【0111】
また、群管理装置500は、例えばモニタウエハまたはダミーウエハについての基板処理装置100での搬送時間及び移載時間の検知結果を、当該基板処理装置100から受け取ってデータ保持部502内に保持しておく。その後、群管理装置500は、基板処理装置100のホスト制御プログラム24からのイベント通知があると、通知されたイベントに付加されている時間検知結果を監視する。そして、群管理装置500は、通知された時間検知結果をデータ保持部502内の搬送時間または移載時間と比較し、これらの差分が予め設定された許容量を超えた場合にはその旨のアラーム出力を行う。アラーム出力は、例えば群管理装置500のデータ表示部504を用いて行う。なお、このような時間検知結果に対する監視処理については、群管理装置500にて行うのではなく、基板処理装置100の制御装置240にて行うことも考えられる。その場合のアラーム出力は、例えば基板処理装置100の側のデータ表示部240fを用いて行えばよい。
【0112】
(10)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に挙げる一つ又はそれ以上の効果を奏する。
【0113】
(a)本実施形態によれば、基板処理装置100内での実際のポッド110の搬送時間(すなわち搬入時間と搬出時間との少なくとも一方)を群管理装置500へ通知することにより、当該搬送時間を群管理装置500の側で把握することが可能となる。したがって、群管理装置500の側で基板処理装置100へのポッド110の供給時刻(すなわちポッド110の供給タイミング)等を制御することが可能となり、基板処理装置100の効率的な運用を実現することができる。特に、搬送時間として搬入時間と搬出時間の両方を通知した場合には、基板処理装置100に対する効率的な運用の実現が確実なものとなる。
【0114】
(b)本実施形態によれば、基板処理装置100内でのポッド110の搬送時間に加えて、基板処理装置100内でのウエハ200の移載時間(すなわちウエハチャージ時間とウエハディスチャージ時間との少なくとも一方)を群管理装置500へ通知することにより、当該移載時間についても群管理装置500の側で把握することが可能となる。したがって、群管理装置500の側でウエハチャージ時間/ウエハディスチャージ時間を含めたレシピ実行時間を管理することが可能となり、基板処理装置100の更なる効率的な運用を実現することができる。特に、移載時間としてウエハチャージ時間とウエハディスチャージ時間の両方を通知した場合には、基板処理装置100に対する更なる効率的な運用の実現が確実なものとなる。
【0115】
(c)本実施形態によれば、基板処理装置100から群管理装置500への時間検知結果
の通知により、基板処理装置100内におけるポッド110の搬送時間やウエハ200の移載時間等について、群管理装置500の側で監視することが可能となる。つまり、群管理装置500の側において、基板処理装置100の稼働状況の確認や搬送に関する異常検知を行うことができる。さらには、異常があった場合に直ちにアラーム出力を行うことで、基板処理装置100内での搬送に関する異常発生を迅速に操作者等に報知することが可能となる。
【0116】
(d)本実施形態によれば、基板処理装置100へのポッド110の供給時刻の予測を、ポッド110毎に検知した搬入時間及び搬出時間、並びに、バッチ処理単位毎に検知したウエハチャージ時間及びウエハディスチャージ時間を基にして行う。したがって、これらの各時間の全てを基にすることで、供給時刻の予測を高精度に行うことが容易に実現可能となる。
【0117】
(e)本実施形態によれば、搬送イベントのタイムスタンプ(開始時刻情報および終了時刻情報)を用いて、基板処理装置100内での搬送に関する時間検知を行う。したがって、時間検知にあたり、センサ等のハードウエア資源を要することなく、ソフトウエア処理のみで対応することが可能となる。
【0118】
(f)本実施形態によれば、搬送イベントが複数の搬送処理工程からなる場合に、各搬送処理工程別に時間検知を行うとともに、時間検知を行う都度、群管理装置500への検知結果の通知を行う。したがって、例えば異常発生があった場合に、どの処理工程にて異常が発生したかについて(すなわち異常発生の原因となった処理工程について)、その特定を容易に行うことが可能となる。特に、本実施形態で説明したように、処理工程別の検知結果の通知にあたり、当該処理工程を行う搬送部の構成部分に関する情報を付加した場合には、異常発生の原因となった構成部分の特定を非常に容易に行うことが可能となる。
【0119】
(g)本実施形態によれば、処理炉202が実行する基板処理プロセスに関するデータの一つとして、レシピの実行時間についてのデータについても、基盤処理装置100内での搬送に関する時間検知結果と合わせて、群管理装置500へ通知する。これにより、群管理装置500の側では、処理炉202での基板処理プロセスに要する時間も含めた基板処理装置100の運用管理(具体的にはウエハ処理終了時間の予測等)を行うことが可能となり、より一層当該基板処理装置100に対する効率的な運用を実現することができる。
【0120】
<本発明の他の実施形態>
本発明は、基板処理装置100と群管理装置500とが同じフロア(同じクリーンルーム内)に配置される場合に限定されない。例えば、基板処理装置100をクリーンルーム内に配置すると共に、群管理装置500を事務所内(クリーンルームとは異なるフロア)に配置し、基板処理プロセスの進行状況や基板処理装置100の状態を遠隔から監視するようにしてもよい。
【0121】
また、上述した実施形態では処理対象となる基板が半導体ウエハ基板である場合を例にあげたが、本発明はこれに限定されることなく、LCD(Liquid Crystal
Display)装置等のガラス基板を処理する基板処理装置にも好適に適用できる。
【0122】
また、上述した実施形態では基板処理装置100が行う処理としてCVD法による成膜処理を例にあげたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理は、例えばALD(Atomic Layer Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)法による成膜処理の他、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、
リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。さらに、本発明は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用したCVD装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。
【0123】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0124】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0125】
[付記1]
本発明の一態様によれば、
基板収容器を搬送する搬送部および前記搬送部の動作を制御する制御部を有した基板処理装置と、
前記基板処理装置に接続される群管理装置と、を備える基板処理システムであって、
前記制御部は、
前記搬送部による前記基板収容器の搬送に要する搬送時間を当該基板収容器毎に検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記搬送時間を前記群管理装置に通知する通信手段と、
を備える基板処理システムが提供される。
【0126】
[付記2]
好ましくは、
前記搬送時間は、
装置外との前記基板収容器の受渡しに用いられる受渡し台から装置内の所定箇所までの前記基板収容器の搬送に要する搬入時間と、
前記所定箇所から前記受渡し台までの前記基板収容器の搬送に要する搬出時間と、
の少なくとも一方を含む。
【0127】
[付記3]
本発明の他の態様によれば、
基板収容器の搬送および当該基板収容器が収容する基板の移載を行う搬送部、並びに、前記搬送部の動作を制御する制御部を有した基板処理装置と、
前記基板処理装置に接続される群管理装置と、を備える基板処理システムであって、
前記制御部は、
前記搬送部による前記基板収容器の搬送に要する搬送時間を当該基板収容器毎に検知するとともに、前記基板収容器が収容する基板についての前記搬送部による移載開始から移載終了までの移載時間を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記搬送時間および前記移載時間を前記群管理装置に通知する通信手段と、
を備える基板処理システムが提供される。
【0128】
[付記4]
好ましくは、
前記移載時間は、
前記基板収容器が収容する基板を当該基板収容器から取り出して装置内に配された基板保持具へ装填するのに要する基板装填時間と、
前記基板保持具が保持する基板を当該基板保持具から取り出して前記基板収容器へ収容するのに要する基板脱装時間と、
の少なくとも一方を含む。
【0129】
[付記5]
また好ましくは、
前記群管理装置は、前記搬送時間および前記移載時間の通知結果に基づいて、次バッチ以降に前記受渡し台へ前記基板収容器を供給すべき時刻を予測する。
【0130】
[付記6]
また好ましくは、
前記検知手段は、前記搬送部が行う搬送イベントの開始時刻情報および終了時刻情報を用いて、前記搬送時間と前記移載時間との少なくとも一方を検知する。
【0131】
[付記7]
また好ましくは、
前記搬送イベントが複数の搬送処理工程からなる場合に、
前記検知手段は、各搬送処理工程別に時間検知を行い、
前記通信手段は、前記検知手段が時間検知を行う都度、前記群管理装置へ検知結果を通知する。
【0132】
[付記8]
また好ましくは、
前記通信手段は、前記搬送処理工程別の検知結果の通知にあたり、当該搬送処理工程を行う前記搬送部の構成部分に関する情報を、当該検知結果に付加して通知する。
【0133】
[付記9]
本発明のさらに他の態様によれば、
処理手順および処理条件が定義されたレシピに基づく基板処理プロセスを繰り返し実行する基板処理装置と、
前記基板処理装置に接続されるとともに、当該基板処理装置で処理される基板を収容した基板収容器の搬送を行う外部搬送装置に接続されて当該外部搬送装置を制御する群管理装置と、を備えた基板処理システムであって、
前記基板処理装置は、
前記外部搬送装置と受渡しを行う前記基板収容器の前記基板処理装置内での搬送および当該基板収容器が収容する基板の前記基板処理装置内での移載を行う搬送部と、
前記搬送部により移載された基板に対して前記基板処理プロセスを実行する基板処理部と、
前記搬送部および前記基板処理部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記搬送部による前記基板収容器の搬送に要する搬送時間を当該基板収容器毎に検知する検知手段と、
前記基板処理部が実行する前記基板処理プロセスに関するデータを取得するデータ取得手段と、
前記検知手段による前記搬送時間の検知結果および前記データ取得手段による前記データの取得結果を前記群管理装置に通知する通信手段と、
を備える基板処理システムが提供される。
【0134】
[付記10]
好ましくは、
前記データ取得手段は、前記基板処理プロセスに関するデータの一つとして、前記レシピの実行時間についてのデータを取得する。
【0135】
[付記11]
本発明のさらに他の態様によれば、
基板収容器を搬送する搬送部と、
前記搬送部の動作を制御する制御部と、を備えた基板処理装置であって、
前記制御部は、
前記搬送部による前記基板収容器の搬送に要する搬送時間を当該基板収容器毎に検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記搬送時間を装置外部に通知する通信手段と、
を備える基板処理装置が提供される。
【符号の説明】
【0136】
24a 検知手段
24b 通信手段
100 基板処理装置(半導体製造装置)
110 ポッド(基板収容器)
118 ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)
125 ウエハ移載機構(基板移載機構)
200 ウエハ(基板)
240 制御装置(制御部)
500 群管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板収容器を搬送する搬送部および前記搬送部の動作を制御する制御部を有した基板処理装置と、
前記基板処理装置に接続される群管理装置と、を備える基板処理システムであって、
前記制御部は、
前記搬送部による前記基板収容器の搬送に要する搬送時間を当該基板収容器毎に検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記搬送時間を前記群管理装置に通知する通信手段と、
を備える基板処理システム。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−129414(P2012−129414A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280875(P2010−280875)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】