説明

基板処理装置、バルブの制御方法及びそのプログラム

【課題】人手を介さずにバルブ制御装置にバルブ開閉パターンを書き込むことができ、バルブの高速な切り替え動作をロギングできる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、複数のバルブの開閉動作を制御するバルブ制御装置300と、前記複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンを作成するパターン作成装置302と、を有する。前記パターン作成装置は、作成したバルブ切り替えパターンを前記バルブ制御装置の内部エリアに書き込むと共に、前記パターン作成装置の記憶媒体に保管する。前記バルブ制御装置は、内部エリアに書き込まれたバルブ切り替えパターン306に基づいて複数のバルブの切り替えを行い、その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記バルブ制御装置の内部エリアに書き込むと共に、前記パターン作成装置の記憶媒体に保管する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、バルブの制御方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理装置は、処理室内に複数種類のガスを供給する複数のガス供給ラインを備え、複数のガス供給ラインに取り付けられた複数のバルブを開閉することで処理室内にガスを導入し、基板を処理する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこのような基板処理装置において、高速でバルブの切り替えを行う際に、制御装置の内部エリアにガス種に依存するバルブ開閉パターンを人手を介して書き込んでいる為、成膜するガス種の追加又は変更に伴い、人手を介してバルブ開閉パターンを追加又は変更しなければならない。
また、制御装置に書き込んだバルブ開閉パターンは、他の制御装置に転用することは困難であるため制御装置ごとにバルブ開閉パターンを人手を介して書き込む必要がある。
さらに、プロセスレシピの作成や装置状態をモニタリングする制御コントローラの制御周期は、1secであり、制御コントローラに接続されている操作画面では、1sec未満の高速でのバルブ開閉切り替え状況を視認することは難しく、バルブの高速な切り替えが正常に行われたか否かは、成膜結果で判定するしかなかった。
【0004】
本発明の目的は、人手を介さずに制御装置にバルブ開閉パターンを書き込むことができ、さらに、バルブの高速な切り替え動作をロギングできる基板処理装置、バルブの制御方法及びそのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室内に複数種類のガスを供給する複数のガス供給ラインと、前記複数のガス供給ラインに設けられた複数のバルブと、前記複数のバルブの開閉動作を制御する制御装置と、前記複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンを作成するパターン作成装置と、を有し、前記パターン作成装置は、作成した前記バルブ切り替えパターンを前記制御装置の内部エリアに書き込むと共に、作成した前記バルブ切り替えパターンを前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するように構成されており、前記制御装置は、前記内部エリアに書き込まれた前記バルブ切り替えパターンに基づいて前記複数のバルブの切り替えを行い、その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記制御装置の内部エリアに書き込むと共に、前記内部エリアに書き込まれた前記複数のバルブの開閉状態を前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するように構成されている基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンをパターン作成装置にて作成するステップと、前記パターン作成装置にて作成した前記バルブ切り替えパターンを前記複数のバルブの開閉動作を制御する制御装置の内部エリアに書き込むステップと、前記パターン作成装置にて作成した前記バルブ切り替えパターンを前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記バルブ切り替えパターンに基づいて前記複数のバルブの切り替えを行うステップと、その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記制御装置の内部エリアに書き込むステップと、前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記複数のバルブの開閉状態を前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、を有するバルブの制御方法が提供される。
【0007】
本発明の更に他の態様によれば、パターン作成装置にて作成した複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンを前記複数のバルブの開閉動作を制御する制御装置の内部エリアに書き込むステップと、前記パターン作成装置にて作成した前記バルブ切り替えパターンを前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記バルブ切り替えパターンに基づいて前記複数のバルブの切り替えを行うステップと、その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記制御装置の内部エリアに書き込むステップと、前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記複数のバルブの開閉状態を前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、を実行させるコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人手を介さずに制御装置にバルブ開閉パターンを書き込むことができ、さらに、バルブの高速な切り替え動作をロギングできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る枚葉式の基板処理装置(半導体製造装置)50の処理炉の一例を示す概略図である。
【0010】
図1に示すように、処理容器202により形成される処理室201内には、基板200を支持する支持台206が設けられている。支持台206の上部には基板200を支持する支持板としてのサセプタ217が設けられている。支持台206の内部には加熱機構(加熱手段)としてのヒータ207が設けられており、ヒータ207によってサセプタ217上に載置される基板200を加熱するようになっている。ヒータ207は基板200の温度が所定の温度となるように温度制御部(温度制御手段)253により制御される。サセプタ217上に載置される基板200は、例えば半導体シリコンウエハ、ガラス基板等である。
【0011】
処理室201の外部には、回転機構(回転手段)267が設けられており、回転機構267によって処理室201内の支持台206を回転して、サセプタ217上の基板200を回転できるようになっている。また、処理室201の外部には昇降機構(昇降手段)266が設けられており、支持台206はこの昇降機構266によって、処理室201内において昇降可能となっている。なお、基板200を回転させる必要がない場合は、回転機構267は設けなくてもよい。
【0012】
処理室201の上部には多数のガス噴出口としての孔240を有するシャワーヘッド236がサセプタ217と対向するように設けられている。シャワーヘッド236は、内部に供給されたガスを分散させる分散板236aと、分散板236aにより分散させたガスを処理室201内へシャワー状に噴出させるシャワー板236bとを有する。シャワーヘッド236の天井部と分散板236aとの間に第1バッファ空間236cが設けられており、分散板236aとシャワー板236bとの間に第2バッファ空間236dが設けられている。
【0013】
処理室201の外部には、液体原料である第1原料を供給する第1原料供給源250aおよび液体原料である第2原料を供給する第2原料供給源250dが設けられている。第1原料供給源250aには第1液体原料供給管232aが接続されており、第2原料供給源250dには第2液体原料供給管232dが接続されている。第1液体原料供給管232a、第2液体原料供給管232dは、それぞれ原料の液体供給流量を制御する液体流量制御器(液体流量制御手段)としてのLMFC(液体マスフローコントローラ)241a、241dを介して、原料を気化する気化器255a、255dに接続されている。気化器255a、255dにはそれぞれ第1原料ガス供給管232a´、第2原料ガス供給管232d´が接続されており、第1原料ガス供給管232a´、第2原料ガス供給管232d´は、それぞれバルブ243a、243dを介してシャワーヘッド236に接続されている。主に、第1原料供給源250a、第1液体原料供給管232a、LMFC241a、気化器255a、第1原料ガス供給管232a´により第1原料供給系が構成され、第2原料供給源250d、第2液体原料供給管232d、LMFC241d、気化器255d、第2原料ガス供給管232d´により第2原料供給系が構成される。また、第1原料供給系、第2原料供給系により原料供給系が構成される。原料としては、例えば、常温常圧において液体である有機金属材料、すなわち有機金属液体原料を用いる。
【0014】
また、処理室201の外部には、非反応性ガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給源250cが設けられている。不活性ガス供給源250cには不活性ガス供給管232cが接続されており、不活性ガス供給管232cの途中には不活性ガスの供給流量を制御する流量制御器(流量制御手段)としてのMFC(マスフローコントローラ)241cが設けられている。不活性ガス供給管232cはMFC241cよりも下流側で3つの供給管に分岐している。分岐した供給管の一つはバルブ243cを介して第1原料ガス供給管232a´に接続されており、分岐した供給管の他の一つはバルブ243eを介して第2原料ガス供給管232d´に接続されており、分岐した供給管の残りの一つはバルブ243jを介して後述するオゾンガス供給管232fに接続されている。主に、不活性ガス供給源250c、不活性ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243c,243e,243jにより不活性ガス供給系が構成される。不活性ガスとしては、例えば、Ar、He、N等を用いる。なお、MFC241cは、3つに分岐した供給管のそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0015】
第1原料ガス供給管232a´では、気化器255aにて第1原料を気化して得た第1原料ガスと不活性ガス供給管232cからの不活性ガスが混合され、第2原料ガス供給管232d´では、気化器255dにて第2原料を気化して得た第2原料ガスと不活性ガス供給管232cからの不活性ガスが混合されてシャワーヘッド236にそれぞれ供給されるようなっている。また、原料ガス供給管232a´、232d´、不活性ガス供給管232cにそれぞれ設けられたバルブ243a、243d、243c、243e、243jを開閉することにより、それぞれのガスの供給を制御することが可能となっている。
【0016】
また、処理室201の外部には、酸素ガス(O)からオゾンガス(O)を生成するオゾナイザ222が設けられている。オゾナイザ222の上流側には、酸素ガス供給管232bが設けられている。この酸素ガス供給管232bには、酸素ガス供給源250bが接続されており、酸素ガスをオゾナイザ222に対して供給するようになっている。酸素ガス供給管232bには、酸素ガスの供給流量を制御する流量制御器(流量制御手段)としてのMFC(マスフローコントローラ)241bとバルブ243bが設けられている。このバルブ243bを開閉することにより、酸素ガスの供給を制御することが可能となっている。オゾナイザ222の下流側には、オゾンガス供給管232fが設けられている。このオゾンガス供給管232fはバルブ243fを介してシャワーヘッド236に接続され、シャワーヘッド236にオゾナイザ222にて生成されたオゾンガスを供給するようになっている。また、オゾンガス供給管232fに設けられたバルブ243fを開閉することにより、オゾンガスの供給を制御することが可能となっている。なお、オゾンガス供給管232fには、オゾンガスを希釈するための酸素ガスを供給する希釈用酸素ガス供給管を接続してもよい。主に、酸素ガス供給源250b、酸素ガス供給管232b、バルブ243b、オゾナイザ222、オゾンガス供給管232f、バルブ243fによりオゾンガス供給系が構成される。
【0017】
主に、第1原料供給系、第2原料供給系、不活性ガス供給系、オゾンガス供給系によりガス供給系が構成される。
【0018】
処理容器202の下部側壁には排気口230が設けられており、排気口230には排気装置(排気手段)としての真空ポンプ246、除害装置(図示せず)に連通する排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を制御するAPC(Auto Pressure Controller)バルブ等の圧力制御部(圧力制御手段)254と、原料を回収するための原料回収トラップ251が設けられている。主に、排気口230、排気管231、真空ポンプ246、及び、圧力制御部254によりガス排気系が構成される。
【0019】
処理室201内の支持台206上には、ガス供給系よりシャワーヘッド236を介して供給されたガスの流れを調整する整流板としてのコンダクタンスプレート205が設けられている。コンダクタンスプレート205は円環(リング)形状であり、基板の周囲に設けられる。シャワーヘッド236を介して基板200上に供給されたガスは基板200の径方向外方に向かって流れ、コンダクタンスプレート205上を通り、コンダクタンスプレート205と処理容器202の側壁(内壁)との間を通り、排気口230より排気される。
【0020】
第1原料ガス供給管232a´、第2原料ガス供給管232d´及びオゾンガス供給管232fには、ベント管(バイパス管)252a、252c、252bがそれぞれ接続されている。ベント管252a、252c、252bの下端部は排気管231の原料回収トラップ251よりも上流側に接続されている。ベント管252a、252c、252bには、それぞれバルブ243g、243i、243hが設けられている。
【0021】
処理容器202の排気口230と反対側の側壁には、仕切弁としてのゲートバルブ244によって開閉される基板搬送口247が設けられており、基板200を処理室201内に対し搬送し得るように構成されている。
【0022】
バルブ243a〜243j、LMFC241a、241d、MFC241b、241c、温度制御部253、圧力制御部254、気化器255a、255d、オゾナイザ222、真空ポンプ246、回転機構267、昇降機構266、ゲートバルブ244等の基板処理装置を構成する各部の動作の制御は、主制御部(主制御手段)としてのメインコントローラ256により行う。
【0023】
次に、上述した図1のような構成の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として基板上に薄膜を形成(堆積)する方法について説明する。本実施の形態では、常温において液体である有機金属液体原料を用いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、特にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposition)法により基板上に金属酸化膜等の薄膜を形成する場合について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はメインコントローラ256により制御される。
【0024】
支持台206が基板搬送位置まで下降した状態で、ゲートバルブ244が開かれ、基板搬送口247が開放されると、図示しない基板移載機により基板200が処理室201内に搬入される(基板搬入工程)。基板200が処理室201内に搬入され、図示しない突き上げピン上に載置された後、ゲートバルブ244が閉じられる。支持台206が基板搬送位置からそれよりも上方の基板処理位置まで上昇する。その間に、突き上げピン上の基板200はサセプタ217により掬い上げられ、サセプタ217上に載置される(基板載置工程)。
【0025】
支持台206が基板処理位置に到達すると、基板200は回転機構267により回転される。なお、基板200を回転させる必要がない場合は回転させなくてもよい。また、温度制御部253により、ヒータ207へ供給される電力が制御され基板200は所定の処理温度となるよう均一に加熱される(基板昇温工程、温度調整工程)。同時に、処理室201内は真空ポンプ246により真空排気され、圧力制御部254により所定の処理圧力となるように制御される(圧力調整工程)。なお、基板搬送時や基板昇温時や圧力調整時においては、不活性ガス供給管232cに設けられたバルブ243c、243e、243jは常時開いた状態とされ、不活性ガス供給源250cより処理室201内に不活性ガスが常に流される。これにより、パーティクルや金属汚染物の基板200への付着を防ぐことができる。
【0026】
基板200の温度、処理室201内の圧力が、それぞれ所定の処理温度、所定の処理圧力に到達して安定すると、処理室201内に第1原料ガスが供給される。すなわち、第1原料供給源250aから供給された第1原料としての有機金属液体原料、例えば、Hf[OC(CHCHOCH(以下、Hf(MMP)と略す。)が、第1液体原料供給管232aを通り、LMFC241aで流量制御され、気化器255aへ供給されて気化される。バルブ243gが閉じられると共にバルブ243aが開かれ、気化された第1原料ガスが、第1原料ガス供給管232a´を通り、シャワーヘッド236を介して基板200上へ供給される。このときも、243c、243e、243jは開いたままの状態とされる。第1原料ガスと不活性ガスとは第1原料ガス供給管232a´内で混合されてシャワーヘッド236に導かれ、シャワーヘッド236の第1バッファ空間236c、分散板236a、第2バッファ空間236d、シャワー板236bを介してサセプタ217上の基板200に対してシャワー状に供給される(第1原料ガス供給工程)。基板200に対して供給された第1原料ガスは、排気管231より排気される。なお、第1原料ガスは不活性ガスで希釈されることにより撹拌されやすくなる。
【0027】
第1原料ガスの供給が所定時間行われた後、バルブ243aが閉じられ、第1原料ガスの基板200への供給が停止される。このときも、バルブ243c、243e、243jは開いたままの状態なので、処理室201内への不活性ガスの供給は維持される。なお、処理室201内へ供給された不活性ガスは排気管231より排気される。これにより、処理室201内が不活性ガスによりパージされ、処理室201内の残留ガスが除去される(パージ工程)。
【0028】
なお、この際、バルブ243gを開き、第1原料ガスをベント管252aより排気して、気化器255aからの第1原料ガスの供給を停止しないようにするのが好ましい。液体原料を気化してから、気化した原料ガスを安定供給するまでには時間がかかるので、気化器255aからの第1原料ガスの供給を停止することなく、処理室201をバイパスするように流しておくと、次の第1原料ガス供給工程では、流れを切換えるだけで、直ちに第1原料ガスを基板200に対して安定供給できる。
【0029】
処理室201内のパージが所定時間行われた後、処理室201内に第2原料ガスが供給される。すなわち、第2原料供給源250dから供給された第2原料としての有機金属液体原料、例えば、Si[OC(CHCHOCH(以下、Si(MMP)と略す。)が、第2液体原料供給管232dを通り、LMFC241dで流量制御され、気化器255dへ供給されて気化される。バルブ243iが閉じられると共にバルブ243dが開かれ、気化された第2原料ガスが、第2原料ガス供給管232d´を通り、シャワーヘッド236を介して基板200上へ供給される。このときも、バルブ243c、243e、243jは開いたままの状態とされる。第2原料ガスと不活性ガスとは第2原料ガス供給管232d´内で混合されてシャワーヘッド236に導かれ、シャワーヘッド236の第1バッファ空間236c、分散板236a、第2バッファ空間236d、シャワー板236bを介してサセプタ217上の基板200に対してシャワー状に供給される(第2原料ガス供給工程)。基板200に対して供給された第2原料ガスは、排気管231より排気される。なお、第2原料ガスは不活性ガスで希釈されることにより撹拌されやすくなる。
【0030】
第2原料ガスの供給が所定時間行われた後、バルブ243dが閉じられ、第2原料ガスの基板200への供給が停止される。このときも、バルブ243c、243e、243jは開いたままの状態なので、処理室201内への不活性ガスの供給は維持される。なお、処理室201内へ供給された不活性ガスは排気管231より排気される。これにより、処理室201内が不活性ガスによりパージされ、処理室201内の残留ガスが除去される(パージ工程)。
【0031】
なお、この際、バルブ243iを開き、第2原料ガスをベント管252cより排気して、気化器255dからの第2原料ガスの供給を停止しないようにするのが好ましい。液体原料を気化してから、気化した原料ガスを安定供給するまでには時間がかかるので、気化器255dからの第2原料ガスの供給を停止することなく、処理室201をバイパスするように流しておくと、次の第2原料ガス供給工程では、流れを切換えるだけで、直ちに第2原料ガスを基板200に対して安定供給できる。
【0032】
処理室201内のパージが所定時間行われた後、処理室201内に酸化剤としてのオゾンガス(O)が供給される。すなわち、バルブ243bが開かれ、酸素ガス供給源250bから供給された酸素ガス(O)が酸素ガス供給管232bを通り、MFC241bで流量制御されてオゾナイザ222へ供給されて、オゾンガスが生成される。オゾンガスが生成された後、バルブ243hが閉じられると共にバルブ243fが開かれ、オゾナイザ222からオゾンガスがオゾンガス供給管232fを通り、シャワーヘッド236の第1バッファ空間236c、分散板236a、第2バッファ空間236d、シャワー板236bを介して基板200上へシャワー状に供給される(酸化剤供給工程)。基板200に対して供給されたオゾンガスは、排気管231より排気される。なお、このときも、バルブ243c、243e、243jは開いたままの状態とされる。なお、このときバルブ243jは閉じてもよい。
【0033】
オゾンガスの供給が所定時間行われた後、バルブ243fが閉じられ、オゾンガスの基板200への供給が停止される。このときも、バルブ243c、243e、243jは開いたままの状態なので、処理室201内への不活性ガスの供給は維持される。なお、処理室201内へ供給された不活性ガスは排気管231より排気される。これにより、処理室201内が不活性ガスによりパージされ、処理室201内の残留ガスが除去される(パージ工程)。
【0034】
なお、この際、バルブ243hを開き、オゾンガスをベント管252bより排気して、オゾナイザ222からのオゾンガスの供給を停止しないようにするのが好ましい。オゾンガスを生成してから、オゾンガスを安定供給するまでには時間がかかるので、オゾナイザ222からのオゾンガスの供給を停止することなく、処理室201をバイパスするように流しておくと、次の酸化剤供給工程では、流れを切換えるだけで、直ちにオゾンガスを基板200に対して安定供給できる。
【0035】
処理室201内のパージが所定時間行われた後、再び、バルブ243gが閉じられると共にバルブ243aが開かれ、気化した第1原料ガスが不活性ガスと共にシャワーヘッド236を介して基板200上へ供給され、第1原料ガス供給工程が行われる。
【0036】
以上のような、第1原料ガス供給工程、パージ工程、第2原料ガス供給工程、パージ工程、酸化剤供給工程、パージ工程を、1サイクルとして、このサイクルを複数回繰り返すサイクル処理を行うことにより、基板200上に所定膜厚の薄膜、例えばHfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)を形成することができる(薄膜形成工程)。
【0037】
なお、第1原料ガス供給工程と第2原料ガス供給工程とを同時に行うようにしてもよい。すなわち、第1原料ガス供給工程と第2原料ガス供給工程とを同時に行う原料ガス供給工程、パージ工程、酸化剤供給工程、パージ工程を、1サイクルとして、このサイクルを複数回繰り返すサイクル処理を行うことにより、基板200上に所定膜厚の薄膜、例えばHfSiO膜を形成するようにしてもよい。
【0038】
基板200への薄膜形成処理終了後、回転機構267による基板200の回転が停止され、処理済基板200は基板搬入工程と逆の手順で処理室201外へ搬出される(基板搬出工程)。
【0039】
なお、薄膜形成工程をCVD法により行う場合には、処理温度を原料ガスが自己分解する程度の温度帯となるように制御する。この場合、原料ガス供給工程においては、原料ガスが熱分解し、基板200上に一〜数十原子層程度の薄膜が形成される。酸化剤供給工程においては、オゾンガスにより基板200上に形成された一〜数十原子層程度の薄膜よりC、H等の不純物が除去される。
【0040】
また、薄膜形成工程をALD法により行う場合には、処理温度を原料ガスが自己分解しない程度の温度帯となるように制御する。この場合、原料ガス供給工程においては、原料ガスは基板200上に吸着する。酸化剤供給工程においては、基板200上に吸着した原料とオゾンガスとが反応することにより基板200上に1原子層未満程度の薄膜が形成される。なお、このとき、オゾンガスにより薄膜中に混入しようとするC、H等の不純物を脱離させることができる。
【0041】
なお、本実施の形態の処理炉にて、CVD法により、基板を処理する際の処理条件としては、例えばHfSiO膜を成膜する場合、処理温度:390〜450℃、処理圧力:50〜400Pa、第1原料(Hf(MMP))供給流量:0.01〜0.2g/min、第2原料(Si(MMP))供給流量:0.01〜0.2g/min、酸化剤(オゾンガス)供給流量:100〜3000sccmが例示される。
【0042】
また、本実施の形態の処理炉にて、ALD法により、基板を処理する際の処理条件としては、例えばHfSiO膜を成膜する場合、処理温度:200〜350℃、処理圧力:50〜400Pa、第1原料(Hf(MMP))供給流量:0.01〜0.2g/min、第2原料(Si(MMP))供給流量:0.01〜0.2g/min、酸化剤(オゾンガス)供給流量:100〜3000sccmが例示される。
【0043】
図2は、上述の図1の基板処理装置50の電気系統を含めた概略図である。
図3は、バルブ制御装置300及びパターン作成装置302の構成を示すブロック図である。
【0044】
図2に示すように、本発明の実施形態において、各バルブ243a、243b、243c、243d、243e、243f、243g、243h、243i及び243jには、バルブ制御装置300が接続されている。
また、バルブ制御装置300には、コントローラ256が接続され、コントローラ256には操作画面308が接続されている。すなわち、操作画面308を確認することで各バルブの開閉状態を確認できる。
また、バルブ制御装置300には、ケーブル304を介してパターン作成装置302が接続されている。ここで、ケーブル304は、例えばLANケーブルである。
【0045】
パターン作成装置302は、処理プログラム310を有している。さらに、パターン作成装置302は記憶媒体312を有し、記憶媒体312は、例えばバルブパターンファイル314a、314b及びバルブ開閉状態ロギングファイル316a、316bを保管する。
【0046】
すなわち、パターン作成装置302は、例えばハードディスク等の記憶媒体を搭載したPCであり、処理プログラム310により複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンを複数パターン作成し、作成した複数のバルブ切り替えパターンを例えばバルブパターンファイル314a、314bのようにそれぞれ1つのファイルに纏めて、任意に記憶媒体312へ保管する。また、作成したバルブ切り替えパターンをケーブル304を介してバルブ制御装置300の内部エリア305内に書き込む。また、記憶媒体312に保管したバルブパターンファイル314a、314bの複数のバルブ切り替えパターンの編集を行う。
【0047】
図4は、パターン作成装置302で作成するバルブ切り替えパターンの一例を示す図表である。
縦欄1からnはパターン番号である。横欄1からmは各バルブであり、装置に装着されているバルブ番号と対応しており、本実施の形態においては例えばバルブ1はバルブ243aであり、バルブ2はバルブ243b、バルブ3はバルブ243c、バルブ4はバルブ243d、バルブ5はバルブ243e、バルブ6はバルブ243f、バルブ7はバルブ243g、バルブ8はバルブ243h、バルブ9はバルブ243i、バルブ10はバルブ243jである。
図4のデータ0はバルブ閉の状態を示し、データ1はバルブ開の状態を示す。
したがって、例えばパターン番号1においては、バルブ1が閉、バルブ2が閉、バルブ3が開、バルブ4が閉、バルブ5が閉、バルブ6が閉、バルブmが閉の状態を示し、パターン番号nにおいては、バルブ1が開、バルブ2が閉、バルブ3が閉、バルブ4が閉、バルブ5が開、バルブ6が閉、バルブmが閉の状態を示している。
【0048】
バルブ制御装置300は、内部エリア305に書き込まれたバルブ切り替えパターンに基づいて高速でバルブの開閉を制御するPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)であり、バルブ制御装置300の内部エリア305内にはバルブ切り替えパターン306及びバルブ開閉状態308が書き込まれる。
【0049】
すなわち、バルブ制御装置300は、制御実施フラグがONであり、高速でのバルブ切り替え制御条件が満たされているときに、内部エリア305内に書き込まれたバルブ切り替えパターン306に基づいて高速でバルブの開閉制御を行い、バルブ開閉状態308を内部エリア305内に書き込む。ここで、バルブ開閉状態308の内部エリア305への書き込みは、バルブ開閉時間が終了し、バルブパターンを切り替えたときに行う。
そして、バルブ制御装置300の内部エリア305へ書き込まれたバルブ開閉状態308は、ロギング実施フラグがONであり、ロギング条件を満たしているときに、ケーブル304を介してパターン作成装置302の記憶媒体312へバルブ開閉状態ロギングファイル316a、316bとして保管される。
【0050】
次に、高速でのバルブ切り替え方法について説明する。
例えば、操作画面308からの操作によって実行したプロセスレシピにより制御実施フラグと複数個のパターン番号とそのパターンのバルブ開閉時間がバルブ制御装置300に伝達される。
そして、バルブ制御装置300において制御実施フラグがONのとき、高速でのバルブ切り替え制御を開始し、制御実施フラグがOFFになるか、伝達された複数個のパターン番号の高速でのバルブ切り替え制御が終了するまで、高速でのバルブ切り替え制御を継続する。
高速でのバルブ切り替え制御を行うバルブ切り替えパターン306は、パターン番号のバルブ切り替えパターンを内部エリア305から取り出し、バルブ開閉時間のバルブ開閉制御を行う。
【0051】
次に、バルブ開閉状態の書き込みについて説明する。
バルブ制御装置300で制御実施フラグがONのとき、パターン作成装置302からケーブル304を介してバルブ切り替えパターンの内部エリア305への書き込みを開始し、バルブ制御装置300で制御実施フラグがOFFになるか、伝達された複数個のパターン番号の高速でのバルブ切り替え制御が終了するまで、バルブ切り替えパターンの内部エリア305への書き込みを継続する。バルブ切り替えパターンの内部エリア305への書き込みは、バルブ切り替えパターンを切り替えたときである。
【0052】
次に、バルブ開閉状態ロギングファイル316a、316bの作成について説明する。
パターン作成装置302でロギング実施フラグがONのとき、バルブ制御装置300での高速でのバルブ切り替え制御の終了(制御実施フラグがONからOFFへ遷移)したとき、バルブ制御装置300での高速でのバルブ切り替え制御の開始(制御実施フラグがOFFからONへ遷移)の年月日時分秒と、高速でのバルブ切り替え制御の終了したときの年月日時分秒をファイル名称として、パターン作成装置300の記憶媒体312に作成する。
【0053】
図5は、比較例である従来の基板処理装置10の電気系統を含めた概略図である。
図2の本発明の実施形態における基板処理装置50は、図5の従来の基板処理装置10と比較すると、処理プログラムと記憶媒体を有し、記憶媒体にバルブパターンファイル及びバルブ開閉状態ロギングファイルを保管するように構成されたパターン作成装置302が接続されている点が異なる。
【0054】
すなわち、本実施形態によれば、バルブ制御装置300にパターン作成装置302を接続することで、パターン作成装置302において作成した複数のバルブ切り替えパターンを少なくとも1つのファイルに纏めてファイルに保管することができ、複数の制御装置に同じバルブ切り替えパターンを展開でき、作業者の手入力する負担を減らすことができる。また、ファイルに保管したファイル内容を確認することで、成膜前にバルブパターンの誤りの判別を行うことができる。さらに、バルブ制御装置300でロギングした高速のバルブ切り替え制御状況をパターン作成装置302のファイルに保管することでバルブ動作に誤りがなかったか確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態で用いられる基板処理装置の全体の概略図である。
【図2】本発明の実施形態で用いられる基板処理装置の電気系統を含めた概略図である。
【図3】本発明の実施形態で用いられるバルブ制御装置及びパターン形成装置におけるハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態で用いられるバルブ切り替えパターンの一例を示す図表である。
【図5】従来の基板処理装置の電気系統を含めた概略図である。
【符号の説明】
【0056】
50 基板処理装置
200 基板
201 処理室
243a、243b、243c、243d、243e、243f、243g、243h、243i、243j バルブ
256 コントローラ
300 バルブ制御装置
302 パターン作成装置
304 ケーブル
308 操作画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に複数種類のガスを供給する複数のガス供給ラインと、
前記複数のガス供給ラインに設けられた複数のバルブと、
前記複数のバルブの開閉動作を制御する制御装置と、
前記複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンを作成するパターン作成装置と、を有し、
前記パターン作成装置は、作成した前記バルブ切り替えパターンを前記制御装置の内部エリアに書き込むと共に、作成した前記バルブ切り替えパターンを前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するように構成されており、
前記制御装置は、前記内部エリアに書き込まれた前記バルブ切り替えパターンに基づいて前記複数のバルブの切り替えを行い、その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記制御装置の内部エリアに書き込むと共に、前記内部エリアに書き込まれた前記複数のバルブの開閉状態を前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するように構成されている
基板処理装置。
【請求項2】
複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンをパターン作成装置にて作成するステップと、
前記パターン作成装置にて作成した前記バルブ切り替えパターンを前記複数のバルブの開閉動作を制御する制御装置の内部エリアに書き込むステップと、
前記パターン作成装置にて作成した前記バルブ切り替えパターンを前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、
前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記バルブ切り替えパターンに基づいて前記複数のバルブの切り替えを行うステップと、
その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記制御装置の内部エリアに書き込むステップと、
前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記複数のバルブの開閉状態を前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、
を有するバルブの制御方法。
【請求項3】
パターン作成装置にて作成した複数のバルブの開閉状態の設定を行うバルブ切り替えパターンを前記複数のバルブの開閉動作を制御する制御装置の内部エリアに書き込むステップと、
前記パターン作成装置にて作成した前記バルブ切り替えパターンを前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、
前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記バルブ切り替えパターンに基づいて前記複数のバルブの切り替えを行うステップと、
その時の前記複数のバルブの開閉状態を前記制御装置の内部エリアに書き込むステップと、
前記制御装置の前記内部エリアに書き込まれた前記複数のバルブの開閉状態を前記パターン作成装置の記憶媒体に保管するステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−153420(P2010−153420A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326965(P2008−326965)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】