説明

基板処理装置及び基板洗浄方法

【課題】基板の上面側縁部と端部と下面側縁部とからなる基板の縁部全体を良好に洗浄できるようにすること。
【解決手段】本発明では、基板(2)の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄するための基板処理装置(1)において、基板(2)を保持する基板保持手段(19)と、基板(2)の上面側縁部を加圧した洗浄液で洗浄するための第1洗浄手段(25)と、基板(2)の端部及び下面側縁部を洗浄部材に接触させた状態で洗浄するための第2洗浄手段(26)とを有し、第1洗浄手段(25)で基板(2)の上面側縁部を洗浄するとともに、第2洗浄手段(26)で基板(2)の端部及び下面側縁部を洗浄するように構成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄するための基板処理装置及び同基板処理装置で用いる基板洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットディスプレイなどを製造する工程においては、半導体ウエハや液晶基板などの基板を洗浄する基板洗浄工程が設けられている。
【0003】
基板は、回路パターンなどを形成する上面(主面)がパーティクル等の汚染物質で汚染されていると露光等によるパターン形成に支障をきたすおそれがあり、また、上面の縁部(上面側縁部)が汚染されていると浸漬による処理時や液浸露光時などに基板を浸漬させた液中に汚染物質が浮遊して基板上面に再付着してしまうおそれがあり、さらに、端部や下面の縁部(下面側縁部)が汚染されていると搬送時や処理時などに保持手段を介して他の基板に汚染物質が転写してしまうおそれがある。
【0004】
そのため、基板洗浄工程では、回路パターンなどを形成していない基板の縁部を洗浄する工程が設けられており、基板の縁部を洗浄する工程では、回路パターンなどを形成した基板の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄している。
【0005】
この基板の縁部を洗浄する工程で用いられる基板処理装置としては、基板保持手段で基板を回転させながら保持し、基板の縁部を上下一対の洗浄ブラシで挟み、基板の上面側縁部と端部と下面側縁部に接触させた洗浄ブラシで基板の縁部を擦りながら洗浄するように構成している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−157936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の基板処理装置では、基板の縁部を洗浄ブラシで挟むことによって基板の上面側縁部と端部と下面側縁部とを洗浄するように構成していたために、基板の上面側縁部の洗浄領域と下面側縁部の洗浄領域とをそれぞれ独立して制御することができず、回路パターンなどを考慮して上面側の洗浄領域を設定すると基板の下面側縁部の洗浄領域が不足してしまうおそれがあった。しかも、基板の上面側縁部を洗浄ブラシで洗浄しているために、洗浄ブラシの寸法や膨張率の個体差に起因して基板の上面側に形成した回路パターンの破損や洗浄不足などが発生してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、基板の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄するための基板処理装置において、基板を保持する基板保持手段と、基板の上面側縁部を加圧した洗浄液で洗浄するための第1洗浄手段と、基板の端部及び下面側縁部を洗浄部材に接触させた状態で洗浄するための第2洗浄手段とを設けることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記第1洗浄手段として、2流体ノズルを用い、前記第2洗浄手段として、洗浄ブラシを用いることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記第1洗浄手段と第2洗浄手段を用いて基板の上面側縁部と端部及び下面側縁部を同時に洗浄するように構成することにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記基板保持手段に基板を回転させるための基板回転機構を設けるとともに、前記基板の上面中央部に洗浄液を供給するための上面側洗浄液供給手段を設けることにした。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記基板回転機構は、上面側洗浄液供給手段から供給した洗浄液が基板の下面側縁部に回り込む回転速度で基板を回転させることにした。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項4又は請求項5に係る本発明において、前記上面側洗浄液供給手段から供給した洗浄液を基板の上面側縁部から外方へ向けて吹出すための洗浄液吹出手段を設けることにした。
【0014】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項1〜請求項6のいずれかに係る本発明において、前記第1洗浄手段に移動機構を設け、基板の上面中央部から上面側縁部まで移動して基板の上面を洗浄できるように構成することにした。
【0015】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項1〜請求項7のいずれかに係る本発明において、前記基板の下面側縁部に洗浄液を供給するための下面側洗浄液供給手段を設けることにした。
【0016】
また、請求項9に係る本発明では、基板の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄する基板洗浄方法において、基板の上面側縁部を加圧した洗浄液で洗浄し、基板の端部及び下面側縁部を洗浄部材に接触させた状態で洗浄することにした。
【0017】
また、請求項10に係る本発明では、前記請求項9に係る本発明において、前記基板の上面側縁部と、前記基板の端部及び下面側縁部とを同時に洗浄することにした。
【0018】
また、請求項11に係る本発明では、前記請求項9又は請求項10に係る本発明において、前記基板を回転させるとともに、前記基板の上面中央部に洗浄液を供給して洗浄することにした。
【0019】
また、請求項12に係る本発明では、前記請求項11に係る本発明において、前記洗浄液が基板の下面側縁部に回り込む回転速度で基板を回転させて洗浄することにした。
【0020】
また、請求項13に係る本発明では、前記請求項11又は請求項12に係る本発明において、前記洗浄液を基板の上面側縁部からガスにより外方へ向けて吹出しながら洗浄することにした。
【0021】
また、請求項14に係る本発明では、前記請求項9〜請求項13のいずれかに係る本発明において、前記基板の上面中央部から上面側縁部を洗浄することにした。
【0022】
また、請求項15に係る本発明では、前記請求項9〜請求項14のいずれかに係る本発明において、前記基板の上面側縁部と端部及び下面側縁部を洗浄した後に、基板の上面側端部と端部と下面側縁部に洗浄液を供給してリンス処理を行うことにした。
【発明の効果】
【0023】
そして、本発明では、基板の上面側縁部を加圧させた洗浄液で洗浄する一方、基板の端部及び下面側縁部を洗浄部材に接触させた状態で洗浄するようにしているため、基板の上面側縁部の洗浄領域と下面側縁部の洗浄領域とをそれぞれ独立して制御することができて基板の縁部の洗浄を最適化することができるとともに、基板の上面側縁部での回路パターンの破損や洗浄不足などの発生を防止することができ、基板の縁部を良好に洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明に係る基板処理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、基板処理装置1は、前端部に半導体ウエハ(以下、「基板2」という。)を搬入及び搬出するための基板搬入出部3を形成するとともに、基板搬入出部3の後部に基板2を搬送するための基板搬送部4を形成し、基板搬送部4の後部に基板2の洗浄や乾燥などの各種の処理を施すための基板処理部5を形成している。
【0026】
基板処理部5は、基板搬送部4の後部に基板2の受け渡しを行うための基板受渡ユニット6を設けるとともに、基板受渡ユニット6の後部に基板2を基板処理部5の内部で搬送するための搬送ユニット7を設け、搬送ユニット7の左右両側部に基板2の洗浄を行うための基板処理ユニット8〜15を上下及び前後に2個ずつ並べて配設している。
【0027】
そして、基板処理装置1では、たとえば、基板搬入出部3に載置された複数枚の基板2を積載したキャリア17から基板2を一枚ずつ基板搬送部4で取り出して基板受渡ユニット6へ搬送し、搬送ユニット7で基板受渡ユニット6から基板2を基板処理ユニット8〜15のいずれかに搬送し、基板処理ユニット8〜15で基板2を洗浄し、その後、再び搬送ユニット7で基板2を基板受渡ユニット6へ搬送し、基板搬送部4で基板2を基板受渡ユニット6から基板搬入出部3のキャリア17へと搬出するようにしている。
【0028】
次に、上記基板処理装置1において、基板2の洗浄処理を行う基板洗浄ユニット8〜15の具体的な構造について説明する。なお、以下の説明では、上側の前側に配設した基板洗浄ユニット8の構造について説明するが、他の基板洗浄ユニット9〜15も概略同様の構成となっている。
【0029】
基板処理ユニット8は、図2及び図3に示すように、チャンバー18の内部に、基板2を水平に保持しながら回転させる基板保持手段19と、基板2の上面の周縁部(上面側縁部)を加圧した洗浄液で洗浄するための第1洗浄手段25と、基板2の端部及び下面の周縁部(下面側縁部)を洗浄部材に接触させた状態で洗浄するための第2洗浄手段26と、基板2の上面中央部に洗浄液を供給し基板2と第2洗浄手段26との間に介在させる液膜を形成するための上面側洗浄液供給手段27と、上面側洗浄液供給手段27から供給した洗浄液を基板2の上面側縁部から外周方向へ向けて吹出すための洗浄液吹出手段28と、基板2の下面側から洗浄液を基板2と第2洗浄手段26との間に供給するための下面側洗浄液供給手段20とを収容している。なお、基板処理ユニット8では、洗浄時に基板2の周縁部に第2洗浄手段26と洗浄液吹出手段28と第1洗浄手段25を基板2の回転方向に沿って順に配置されるようにしている。
【0030】
以下に、基板処理ユニット8を構成する基板保持手段19、第1洗浄手段25、第2洗浄手段26、上面側洗浄液供給手段27、洗浄液吹出手段28、下面側洗浄液供給手段20の具体的な構成について順に説明する。
【0031】
基板保持手段19は、チャンバー18の底部中央に取付けた駆動モータ21とその駆動モータ21の回転軸22とで基板2を回転させるための基板回転機構23を形成するとともに、回転軸22の上端部に基板2を吸着保持する基板保持体24を取付けている。
【0032】
この基板保持手段19は、搬送ユニット7によって所定位置に搬送された基板2を基板保持体24で水平に保持しながら基板回転機構23によって所定回転速度で基板2を回転させるようにしており、ここでは、図2において平面視で反時計回り(左回り)に基板2を回転させるようにしている。
【0033】
第1洗浄手段25は、チャンバー18に移動機構29を取付け、移動機構29の先端部に2流体ノズル30を取付けている。なお、ここでは、第1洗浄手段25として基板2に向けて加圧した2流体(ここでは、洗浄液と窒素ガス)からなる洗浄液を液滴状に噴射して洗浄を行う2流体ノズル30を用いているが、加圧した洗浄液を基板2に噴き付けて基板2と非接触状態で洗浄を行う構成であればよく、たとえば、ジェットノズル、スプレーノズルやメガソニックノズルなどを用いてもよい。
【0034】
そして、第1洗浄手段25は、移動機構29によって2流体ノズル30を基板2の中央上方位置と基板2の周縁外方位置との間で水平方向に移動可能とし、基板2の搬送時には2流体ノズル30を基板2の周縁外方位置に退避させ、基板2の上面全面の洗浄時には2流体ノズル30を基板2の中央上方位置から基板2の周縁上方位置に向けて水平方向に移動させ、2流体ノズル30から基板2の上面に向けて2流体を液滴状に噴射して、基板2の回路パターンを形成した上面(図4に符号Aで示した領域)と上面側縁部(図4に符号Bで示した領域)を洗浄するようにしている。なお、第1洗浄手段25は、移動機構29によって2流体ノズル30を上下に昇降可能としている。
【0035】
第2洗浄手段26は、チャンバー18に移動機構31を取付け、移動機構31の先端部に回転軸32を先端を下方に向けて取付け、回転軸32の先端に小径ブラシ33と大径ブラシ34とからなる断面逆T字形のスポンジ状の洗浄ブラシ35を取付けている。なお、ここでは、第2洗浄手段26としてスポンジ状の洗浄ブラシ35を用いているが、基板2と接触状態で洗浄を行う構成であればよく、たとえば、刷毛状の洗浄ブラシなどを用いてもよい。
【0036】
また、第2洗浄手段26は、移動機構31の先端部に支持体42を取付け、支持体42の下端部に供給ノズル43を洗浄ブラシ35に向けて取付けている。
【0037】
そして、第2洗浄手段26は、移動機構31によって洗浄ブラシ35を基板2の周縁上方位置と基板2の周縁外方位置との間で水平方向に移動可能とし、基板2の搬送時には洗浄ブラシ35を基板2の周縁外方位置に退避させ、基板2の洗浄時には洗浄ブラシ35を基板2の周縁上方位置に移動させ、小径ブラシ33の外周面を基板2の端部に押し付けるとともに大径ブラシ34の上面を基板2の下面側縁部に押し付け、洗浄ブラシ35を回転軸32で回転させることによって小径ブラシ33で基板2の端部(図4に符号Cで示した領域)を擦りながら洗浄するとともに大径ブラシ34で基板2の下面側縁部(図4で符号Dで示した領域)を擦りながら洗浄するようにしている。その際に、第2洗浄手段26は、供給ノズル43から洗浄ブラシ35に向けて洗浄液を供給して洗浄ブラシ35を洗浄液で膨潤させるようにしている。なお、第2洗浄手段25は、移動機構31によって洗浄ブラシ35を上下に昇降可能としている。
【0038】
上面側洗浄液供給手段27は、チャンバー18に支持体36を取付け、支持体36の下端部に供給ノズル37を基板2の上面中央部方向に向けて傾斜状に取付けている。
【0039】
そして、上面側洗浄液供給手段27は、供給ノズル37から回転する基板2の上面に液膜を形成させることができる量の洗浄液(ここでは、純水)を基板2の上面中央部に向けて吐出して供給し、基板回転機構23によって回転させた基板2の上面に基板2と第2洗浄手段26(洗浄ブラシ35)との間に介在させる液膜38(図4参照。)を形成するようにしている。このように、基板2の上面に液膜を形成することによって基板2の表面(回路形成面)へ向けてパーティクルを含んだ洗浄液が撥ね返り付着するのを防止している。
【0040】
洗浄液吹出手段28は、第1洗浄手段25の移動機構29に支持体39を取付け、支持体39の下端部に吹出ノズル40を基板2の内周側から上面側周部に向けて傾斜状に取付けている。
【0041】
そして、洗浄液吹出手段28は、吹出ノズル40から所定量の不活性ガス(ここでは、窒素ガス)を基板2の内周側から外周側に向けて噴射して、上面側洗浄液供給手段27から供給した洗浄液を基板2の外方へ向けて吹出すようにしている(図4参照。)。
【0042】
下面側洗浄液供給手段20は、チャンバー18の底部に支持体44を取付け、支持体44の上端部に供給ノズル45を基板2の下面側縁部に向けて傾斜状に取付けている。
【0043】
そして、下面側洗浄液供給手段20は、供給ノズル45から回転する基板2の下面側縁部に向けて洗浄液を吐出して供給し、基板2と第2洗浄手段26(洗浄ブラシ35)との間に洗浄液を介在させるようにしている。
【0044】
基板処理ユニット8は、以上に説明したように構成しており、以下に説明するようにして基板2を洗浄する。
【0045】
まず、搬送ユニット7によって搬送された基板2を基板保持手段19で水平に保持しながら基板回転機構23によって図2において反時計回り(図2中に矢印で示す方向)に所定回転速度で回転させるとともに、上面側洗浄液供給手段27によって所定量の洗浄液を基板2の上面中央部に向けて供給して液膜38を形成し、移動機構29によって第1洗浄手段25を基板2の中央上方位置から基板2の周縁上方位置に向けて移動させることにより第1洗浄手段25で基板2の回路パターンを形成した上面(図4に符号Aで示した領域)を洗浄する。
【0046】
その後、上面側洗浄液供給手段27及び下面側洗浄液供給手段20によって基板2に洗浄液を供給しながら、第1洗浄手段25で基板2の上面側縁部(図4に符号Bで示した領域)を洗浄すると同時に第2洗浄手段26で基板2の端部(図4に符号Cで示した領域)及び下面側縁部(図4に符号Dで示した領域)を洗浄する。
【0047】
その後、第1洗浄手段25と第2洗浄手段26を基板2の周縁外方位置に退避させ、上面側洗浄液供給手段27及び下面側洗浄液供給手段20によって基板2に洗浄液を供給して、基板2のリンス処理を行う。
【0048】
その後、上面側洗浄液供給手段27及び下面側洗浄液供給手段20からの洗浄液の供給を停止するとともに、基板回転機構23によって洗浄時よりも高速回転速度で基板2を回転させ、遠心力の作用で基板2の表面から洗浄液を吹き飛ばして基板2の表面を乾燥させる。
【0049】
ここで、基板2の縁部(上面側縁部・端部・下面側縁部)の洗浄時に、基板2を低速度で回転させると、図4(a)に示すように、洗浄液に作用する遠心力や表面張力や洗浄液の粘性などによって基板2の上面側縁部において洗浄液が上方に隆起した隆起部41が形成されることがある。
【0050】
基板2の上面側縁部に洗浄液の隆起部41が形成されると、第1洗浄手段25で加圧流体を基板2の上面側縁部に噴射したときに洗浄液が周囲に飛散し、基板2の上面への汚染物質の再付着やチャンバー18の内部の汚染の原因となり、また、洗浄液の隆起部41によって第1洗浄手段25から噴射した加圧流体の圧力が低減されてしまい、基板2の上面側縁部の洗浄不足の原因となるおそれがある。
【0051】
そのため、基板処理ユニット8では、基板2の縁部の洗浄時に、図4(b)に示すように、洗浄液吹出手段28によって基板2の内周側から外周側に向けて不活性ガスを噴射しながら基板2の洗浄を行うこともできる。これにより、洗浄液を基板2の上面側縁部から外方へ向けて吹出し、洗浄液の隆起部41を平滑化させ、洗浄液の飛散を防止することができる。
【0052】
また、基板2の下面側縁部の洗浄時に、下面側洗浄液供給手段20から洗浄液を供給して基板2と洗浄ブラシ35との間に洗浄液を介在させるようにしているが、この下面側洗浄液供給手段20からの洗浄液の供給はできるだけ洗浄ブラシ35に近い位置に行うのが好ましい。その場合、下面側洗浄液供給手段20から供給した洗浄液が洗浄ブラシ35に衝突して洗浄液が飛散してしまうおそれがある。
【0053】
そのため、基板処理ユニット8では、上面側洗浄液供給手段27から供給された洗浄液が基板2の下面側縁部にまで回り込むような低回転速度(たとえば、300rpm)で回転させることによって、下面側洗浄液供給手段20から洗浄液を供給せずに上面側洗浄液供給手段27だけから基板2に洗浄液を供給して洗浄を行うこともできる。つまり、図4に示すように、上面側洗浄液供給手段27によって基板2の上面から供給した洗浄液が表面張力の作用で基板2の下面側縁部にまで回り込み、基板2の上面だけでなく基板2の下面側縁部にも液膜38が形成され、基板2と洗浄ブラシ35との間に洗浄液を介在させることができる。
【0054】
この場合、下面側縁部の洗浄時に、下面側洗浄液供給手段20からの洗浄液の供給を停止することができる。また、下面側縁部の洗浄後に基板2のリンス処理が不必要な場合には、下面側洗浄液供給手段20を取り除いて基板処理ユニット8の構成を簡素化させることもできる。これにより、下面側洗浄液供給手段20からの洗浄液が飛散するのを防止することができる。さらに、下面側縁部の洗浄時に基板2を低回転速度で回転させることによって、洗浄ブラシ35の長寿命化を図ることもできる。
【0055】
以上に説明したように、上記基板処理装置1では、基板2の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄するための基板洗浄装置を有する構成となっており、基板2を保持する基板保持手段19と、基板2の上面側縁部を非接触状態で洗浄するための第1洗浄手段25と、基板2の端部及び下面側縁部を接触状態で洗浄するための第2洗浄手段26とを有し、基板2の上面側縁部を非接触状態で洗浄し、基板2の端部及び下面側縁部を接触状態で洗浄するように構成している。
【0056】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、第1洗浄手段25と第2洗浄手段26とを用いて基板2の上面側縁部の洗浄領域と下面側縁部の洗浄領域とをそれぞれ独立して制御することができて基板2の縁部の洗浄を最適化することができる。特に、基板2の上面側縁部では、第1洗浄手段25を用いて洗浄することで、回路パターンの破損や洗浄不足などの発生を防止することができ、一方、基板2の端部及び下面側縁部では、第2洗浄手段26を用いて洗浄することで、基板2に付着した汚染物質を強固に剥離して汚染物質の転写を防止することができ、基板2の縁部全体を良好に洗浄することができる。
【0057】
また、上記基板処理装置1では、第1洗浄手段25と第2洗浄手段26とを同時に駆動して、基板2の上面側縁部と端部及び下面側縁部とを同時に洗浄するように構成している。
【0058】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、基板2の縁部の洗浄に要する処理時間を短縮することができ、基板処理装置1のスループットを向上させることができる。
【0059】
また、上記基板処理装置1では、基板保持手段19に基板2を回転させるための基板回転機構23を設けるとともに、基板2の上面中央部に洗浄液を供給するための上面側洗浄液供給手段27を設けて、基板2を回転させるとともに、基板2の上面中央部に洗浄液を供給して洗浄するように構成している。
【0060】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、上面側洗浄液供給手段27から供給した洗浄液が回転する基板2の上面で均等に広がり、基板2の上面に基板2と第2洗浄手段26(洗浄ブラシ35)との間に介在させる液膜38を形成することができる。
【0061】
また、上記基板処理装置1では、上面側洗浄液供給手段27から供給した洗浄液が基板2の下面側縁部に回り込む回転速度で基板2を基板回転機構23で回転させて洗浄するように構成している。
【0062】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、これにより、基板2の下面側縁部での洗浄液の飛散を防止することができる。
【0063】
また、上記基板処理装置1では、上面側洗浄液供給手段27から供給した洗浄液を基板2の上面側縁部から外方へ向けて吹出すための洗浄液吹出手段28を設けて、洗浄液を基板2の上面側縁部から外方へ向けて吹出しながら洗浄するように構成している。
【0064】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、洗浄液吹出手段28によって洗浄液を基板2の上面側縁部から外方へ向けて吹出すことで洗浄液を平滑化させて第1洗浄手段25による洗浄時の洗浄液の飛散を防止することができる。
【0065】
なお、上記基板処理装置1では、基板処理ユニット8〜15を基板2の上面全面及び縁部を洗浄するように構成しているが、これに限られず、たとえば、第1洗浄手段25を基板2の周縁部上方に配置して、第1洗浄手段25で基板2の上面側縁部を洗浄し、第2洗浄手段26で基板2の端部及び下面側縁部を洗浄するように構成してもよい。
【0066】
また、上記基板処理装置1では、第1洗浄手段25と第2洗浄手段26とを同時に駆動して、基板2の上面側縁部と端部及び下面側縁部とを同時に洗浄するように構成しているが、これに限られず、第1洗浄手段25と第2洗浄手段26とを別個に駆動してもよく、第1洗浄手段25による洗浄と第2洗浄手段26による洗浄を順に行うようにしてもよい。なお、第1洗浄手段25と第2洗浄手段26とを別個に駆動する場合には、基板2の上面への汚染物質の再付着などを考慮すると、第2洗浄手段26によって基板2の端部と下面側縁部の洗浄を行った後に第1洗浄手段25によって基板2の上面側縁部の洗浄を行うほうが好ましい。
【0067】
また、洗浄液吹出手段28は、第1洗浄手段25よりも基板2の回転方向の上流側に配置すればよいが、上記基板処理装置1のように第1洗浄手段25の近傍に配置するほうが、洗浄液の隆起部41の平滑化の効果がより一層強く得られる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る基板処理装置を示す平面図。
【図2】基板処理ユニットを示す平面図。
【図3】同側面図。
【図4】洗浄時における基板の縁部の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0069】
1 基板処理装置 2 基板
3 基板搬入出部 4 基板搬送部
5 基板処理部 6 基板受渡ユニット
7 搬送ユニット 8〜15 基板処理ユニット
16 基板乾燥冷却ユニット 17 キャリア
18 チャンバー 19 基板保持手段
20 下面側洗浄液供給手段 21 駆動モータ
22 回転軸 23 基板回転機構
24 基板保持体 25 第1洗浄手段
26 第2洗浄手段 27 上面側洗浄液供給手段
28 洗浄液吹出手段 29 移動機構
30 2流体ノズル 31 移動機構
32 回転軸 33 小径ブラシ
34 大径ブラシ 35 洗浄ブラシ
36 支持体 37 供給ノズル
38 液膜 39 支持体
40 吹出ノズル 41 隆起部
42 支持体 43 供給ノズル
44 支持体 45 供給ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄するための基板処理装置において、
基板を保持する基板保持手段と、
基板の上面側縁部を加圧した洗浄液で洗浄するための第1洗浄手段と、
基板の端部及び下面側縁部を洗浄部材に接触させた状態で洗浄するための第2洗浄手段と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記第1洗浄手段として、2流体ノズルを用い、前記第2洗浄手段として、洗浄ブラシを用いることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1洗浄手段と第2洗浄手段を用いて基板の上面側縁部と端部及び下面側縁部を同時に洗浄するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板保持手段に基板を回転させるための基板回転機構を設けるとともに、前記基板の上面中央部に洗浄液を供給するための上面側洗浄液供給手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板回転機構は、上面側洗浄液供給手段から供給した洗浄液が基板の下面側縁部に回り込む回転速度で基板を回転させることを特徴とする請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記上面側洗浄液供給手段から供給した洗浄液を基板の上面側縁部から外方へ向けて吹出すための洗浄液吹出手段を設けたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第1洗浄手段に移動機構を設け、基板の上面中央部から上面側縁部まで移動して基板の上面を洗浄できるように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板の下面側縁部に洗浄液を供給するための下面側洗浄液供給手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板の上面側縁部と端部と下面側縁部を洗浄する基板洗浄方法において、
基板の上面側縁部を加圧した洗浄液で洗浄し、基板の端部及び下面側縁部を洗浄部材に接触させた状態で洗浄することを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項10】
前記基板の上面側縁部と、前記基板の端部及び下面側縁部とを同時に洗浄することを特徴とする請求項9に記載の基板洗浄方法。
【請求項11】
前記基板を回転させるとともに、前記基板の上面中央部に洗浄液を供給して洗浄することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の基板洗浄方法。
【請求項12】
前記洗浄液が基板の下面側縁部に回り込む回転速度で基板を回転させて洗浄することを特徴とする請求項11に記載の基板洗浄方法。
【請求項13】
前記洗浄液を基板の上面側縁部からガスにより外方へ向けて吹出しながら洗浄することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記基板の上面中央部から上面側縁部を洗浄することを特徴とする請求項9〜請求項13のいずれかに記載の基板洗浄方法。
【請求項15】
前記基板の上面側縁部と端部及び下面側縁部を洗浄した後に、基板の上面側端部と端部と下面側縁部に洗浄液を供給してリンス処理を行うことを特徴とする請求項9〜請求項14のいずれかに記載の基板洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−114123(P2010−114123A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282967(P2008−282967)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】