説明

基板処理装置

【課題】処理炉内温度補正方法の作業性を向上し、コストを低減する。
【解決手段】処理室内温度補正方法実施前に、温度計測器支持機構10の位置を定義し記憶する(A1)。温度補正方法実施時、温度計測器支持機構10を格納状態から突出状態に移行させ、温度計測器支持機構10をシールキャップ219の開口させた挿入口20の真下に搬送する。温度計測器支持機構10をウエハ移載装置エレベータ125bで上昇させて温度計測器18を挿入口20に挿入する。シールキャップ219をボートエレベータ151で上昇させて、処理炉202をシールキャップ219で閉塞する(A2)。処理炉202内温度をヒータ206で上昇させる(A3)。同時に、処理炉202内温度を温度計測器18で計測する(A4)。温度補正値を算出し記憶する(A5)。均熱温度が規定値内に入るまで繰り返し(A6−7)、規定値に入ると、温度補正方法を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
例えば、半導体ウエハ(半導体集積回路装置が作り込まれるウエハ)およびガラス基板(液晶ディスプレイ装置が作り込まれる基板)等の基板を処理するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の基板処理装置においては、処理炉内各領域の温度を測定することが実施されている。例えば特許文献1参照。
このような基板処理装置においては、例えば、反応炉内の構成部品を交換した場合には、処理炉内の均熱領域が変わるため、処理炉内の温度を計測して補正する方法が実施されている。また例えば、基板処理装置を初めて起動する際にも処理炉内の温度を計測して補正する方法が実施される。この処理炉内温度補正方法を実施する際には、次のような作業が実施される。
温度計測用昇降治具(オートプロファイラ)を個別に準備し、その治具の上下(昇降)移動部へ温度測定器を取り付け、データロガー(電子計測器)、PC(パーソナルコンピュータ)を接続し、昇温時の処理炉内ヒータ均熱領域の温度データを取得する。取得したデータから、作業者が温度補正値を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−26993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の処理炉内温度補正方法では次のような問題点があった。
1.作業者がオートプロファイラを毎回準備しなければならないため、コスト高と作業性の低下を招来する。
2.ヒータ均熱領域を測定し、温度補正値の算出とPCへの手入力を行う必要があるので、作業性が低い。
3.同一の装置であっても、各作業者の技量によって温度補正値の算出結果が異なることがあり、製品の性能や品質がバラバラとなる。
【0005】
本発明の目的は、処理炉内温度補正方法の作業性を向上することができるとともに、コストを低減することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
基板が装填されたキャリアが搬入出されるロードポートと、
前記キャリアを収納する収納棚と、
前記収納棚に収納されたキャリアを載置する載置棚と、
前記キャリアを、前記ロードポートと前記収納棚と前記載置棚との間で搬送する第一搬送装置と、
前記基板を保持する保持具と、
前記載置棚に載置された前記キャリアと前記保持具との間で前記基板を搬送する第二搬送装置と、
前記保持具に保持された前記基板を処理する処理室と、
前記保持具を前記処理室へ搬送する第三搬送装置と、
前記処理室内の温度を計測する温度計測器と、
前記温度計測器を前記第三搬送装置へ取り付ける温度計測器支持機構と、
前記第一搬送装置と前記第二搬送装置と第三搬送装置と前記収納棚と前記ロードポートと前記温度計測器と前記温度計測器支持機構とを制御するコントローラと、
を有する基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
前記した手段によれば、処理炉内温度補正方法の作業性を向上及び基板処理装置の性能・品質水準を一定にすることができるとともに、基板処理装置の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す概略の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す概略の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る半導体製造装置を示す縦断面図である。
【図4】温度計測器支持機構の格納状態を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図5】同じく突出状態を示しており、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図6】温度計測器取付口を示しており、(a)は閉鎖時の一部切断側面図、(b)は取付時の側面図である。
【図7】制御装置の要部を示すブロック図である。
【図8】炉口内温度補正方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態において、本発明に係る基板処理装置は、半導体ウエハを扱うものとして構成されており、半導体ウエハに酸化膜形成や拡散およびCVDのような処理を施すものとして構成されている。
本実施形態において、基板としての半導体ウエハ(以下、ウエハという)200はシリコン等の半導体から作製されており、ウエハ200を収納して搬送するキャリア(収容器)としては、FOUP(front opening unified pod)110が使用されている。
【0010】
図1および図2に示されているように、本実施形態に係る基板処理装置(以下、処理装置という)100は筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
筐体111の正面壁111aには、FOUP(以下、ポッドという)110を搬入搬出するためのポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出される。
【0011】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転可能なポッド保管用の収容棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、基板収容器載置棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、基板収容器載置棚105は垂直に立設され、支柱116と、支柱116にn(nは1以上)段の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と基板収容器載置棚105との間には、第一搬送装置としてのポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118はポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、基板収容器載置棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0012】
処理装置100は酸化膜形成等の処理を施す半導体製造装置を備えている。半導体製造装置の筐体を構成するサブ筐体119は、筐体111内の前後方向の略中央部における下部に後端にわたって構築されている。
サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0013】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や基板収容器載置棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域には第二搬送装置としてのウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125はウエハ移載装置(基板移載装置)125aとウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。ウエハ移載装置125aはツイーザ(基板保持体)125cによってウエハ200を保持して、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動させる。ウエハ移載装置エレベータ125bはウエハ移載装置125aを昇降させる。ウエハ移載機構125はウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)する。
【0014】
図1に示されているように、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側と反対側である右側端部には、クリーンユニット134が設置されている。クリーンユニット134は供給フアンおよび防塵フィルタで構成されており、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給する。ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置135が設置されている。
【0015】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置135およびウエハ移載装置125aに流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側 (供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出される。
【0016】
図1に示されているように、移載室124には第三搬送装置としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)151が設置されている。ボートエレベータ151はボート217を昇降させるように構成されている。ボートエレベータ151に連結された連結具としてのアーム152には、蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0017】
次に、処理装置100の動作について説明する。
図1および図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は基板収容器載置棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。
例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0018】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ポッド110のウエハ出し入れ口が開放される。ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置135にてウエハを整合した後、ボート217へ移載されて装填(ウエハチャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ110をボート217に装填する。
【0019】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には基板収容器載置棚105ないしロードポート114から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0020】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217装填されると、処理炉202の下端部が炉口ゲートバルブ147によって開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ151の昇降台によって上昇されて、シールキャップ219に支持されたボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0021】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に処理が実施される。
処理後は、ボートエレベータ151によりボート217が引き出される。その後は、ノッチ合わせ装置135でのウエハの整合工程を除き、概ね、前述と逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0022】
図3は本実施形態に係る半導体製造装置の処理炉202の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0023】
図3に示されているように、処理炉202は加熱機構としてのヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0024】
ヒータ206の内側には均熱管(外管)205がヒータ206と同心円に配設されている。均熱管205は炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。均熱管205の内側には反応管(内管)204が均熱管205と同心円に配設されている。反応管204は石英(SiO)等の耐熱性材料が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管204の筒中空部は処理室201を形成しており、処理室201はウエハ200をボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0025】
反応管204の下端部にはガス導入部230が設けられており、ガス導入部230から反応管204の天井部233に至るまで反応管204の外壁に添ってガス導入管としての細管234が配設されている。ガス導入部230から導入されたガスは、細管234内を流通して天井部233に至り、天井部233に設けられた複数のガス導入口233aから処理室201内に導入される。また、反応管204の下端部のガス導入部230と異なる位置には、反応管204内の雰囲気を排気口231aから排気するガス排気部231が設けられている。
【0026】
ガス導入部230にはガス供給管232が接続されている。ガス供給管232のガス導入部230との接続側と反対側である上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して図示しない処理ガス供給源、キャリアガス供給源、不活性ガス供給源が接続されている。MFC241には、ガス流量制御部235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
なお、処理室201内に水蒸気を供給する必要がある場合は、ガス供給管232のMFC241よりも下流側に、図示しない水蒸気発生装置が設けられる。
【0027】
ガス排気部231にはガス排気管229が接続されている。ガス排気管229のガス排気部231との接続側とは反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して排気装置246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力となるよう排気し得るように構成されている。
圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0028】
反応管204の下端部には、反応管204の下端開口を気密に閉塞可能な保持体としてのベース257と、炉口蓋体としてのシールキャップ219とが設けられている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。ベース257は例えば石英からなり、円盤状に形成され、シールキャップ219の上に取付けられている。ベース257の上面には反応管204の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられる。
シールキャップ219の処理室201と反対側にはボートを回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ219およびベース257を貫通して、断熱筒218とボート217に接続されており、断熱筒218およびボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
シールキャップ219は反応管204の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ151によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。回転機構254およびボートエレベータ151には、駆動制御部237が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0029】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて保持するように構成されている。ボート217の下方には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円筒形状をした断熱部材としての断熱筒218がボート217を支持するように設けられており、ヒータ206からの熱が反応管204の下端側に伝わりにくくなるように構成されている。
【0030】
均熱管205と反応管204との間には、温度計測器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することにより処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0031】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0032】
次に、以上の構成に係る処理炉202を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ200に酸化、拡散等の処理を施す方法について説明する。
以下の説明において、処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0033】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージング)されると、図3に示されているように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ151によって持ち上げられて処理室201に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はベース257、Oリング220を介して反応管204下端をシールした状態となる。
【0034】
処理室201内が所望の圧力となるように排気装置246によって排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づき圧力調節器242が、フィードバック制御される。
また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ206によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。
続いて、回転機構254により、断熱筒218、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。
【0035】
次いで、処理ガス供給源およびキャリアガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは、ガス供給管232からガス導入部230および細管234を流通し天井部233に至り、複数のガス導入口233aから処理室201内にシャワー状に導入される。
導入されたガスは処理室201内を流下し、排気口231aを流通してガス排気部231から排気される。ガスは処理室201内を通過する際にウエハ200の表面と接触し、ウエハ200に対して酸化、拡散等の処理がなされる。
なお、ウエハ200に対して水蒸気を用いた処理を行う場合は、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは水蒸気発生装置に供給され、水蒸気発生装置にて生成された水蒸気(HO)を含むガスが処理室201に導入される。
【0036】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0037】
その後、シールキャップ219がボートエレベータ151によって下降されて、反応管204の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に保持された状態で反応管204の下端から反応管204の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウエハ200はボート217よって取出される(ウエハディスチャージング)。
【0038】
なお、本実施形態の処理炉にてウエハを処理する際の処理条件としては、例えば、酸化処理においては、処理温度:150〜1050℃、処理圧力:0〜101300Pa、ガス種:HO、ガス供給流量:20sccmが例示される。これらの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハに処理がなされる。
【0039】
以下、図4〜図7に示された温度計測器支持機構について説明する。
温度計測器支持機構10はウエハ移載機構125の近傍に設置されている。温度計測器支持機構10はウエハ移載機構接続アーム(以下、第一アームという)11と、温度計測器支持アーム(以下、第二アームという)12とを備えている。第一アーム11は一端部をウエハ移載装置125aの近傍に枢軸11aで回転自在に支持されており、第二アーム12は一端部を第一アーム11の他端部に枢軸12aで回転自在に連結されている。
ウエハ移載装置125aの近傍には一対のアーム受け13A、13Bが、枢軸11a付近位置(以下、フロント位置という)と、枢軸11aから第一アーム11の長さ程度だけ離れた位置(以下、リア位置という)とにそれぞれ突設されている。一対のアーム受け13A、13Bは上面を第一アーム11の下面にそれぞれ当接することにより、第一アーム11をフロント位置およびリア位置においてそれぞれ水平に支持する。リア位置のアーム受け13Bに水平に支持された第一アーム11はウエハ移載装置125aの側面に格納された状態になり(図4参照)、フロント位置のアーム受け13Aに水平に支持された第一アーム11はウエハ移載装置125aの近傍から突出した状態になる(図5参照)。
第二アーム12の枢軸12aには第二アーム12を水平に支持する支持軸14が設けられている。支持軸14は第二アーム12を第一アーム11に対して180度範囲の往復回動を許容するとともに、第二アーム12を第一アーム11のフロント位置およびリア位置においてそれぞれ水平に支持する。リア位置において第一アーム11と平行になった第二アーム12は、ウエハ移載装置125aの近傍に格納された状態になり(図4参照)、フロント位置において第一アーム11と平行になった第二アーム12は、ウエハ移載装置125aの近傍から突出した状態になる(図5参照)。
【0040】
第二アーム12の自由端部には温度計測器支持具(以下、支持具という)15が設置されている。支持具15は固定ねじ16および固定ばね17によって、温度計測器18を着脱自在に支持するように構成されている。
図6に示されているように、シールキャップ219には温度計測器18を挿入するための温度計測器挿入口(以下、挿入口という)20が設けられている。挿入口20にはウルトラトールナット21が螺合されており、挿入口20はウルトラトールナット21によって開閉されるように構成されている。ウルトラトールナット21が開口された状態で、取付口12には温度計測器18が温度計測器支持機構10によって垂直方向下方から挿入されて設置される。この際、温度計測支持機構10はウエハ移載機構125のウエハ移載装置エレベータ125bによって鉛直方向(シールキャップ219に対して垂直)に昇降されるので、温度計測器18は挿入口20に適正に挿入される。
【0041】
なお、前述した半導体装置の製造方法の一工程が実施される際には、温度計測器支持機構10は図4に示された格納状態に維持される。すなわち、第一アーム11はリア位置でアーム受け13Bに水平に支持され、第二アーム12は支持軸14によってリア位置で水平に支持されている。したがって、温度計測器機構10は半導体装置の製造方法の実施を妨害することはない。
【0042】
図7に示されているように、本実施形態に係る処理装置100の主制御装置65は、CPUで代表される演算制御部66、ハードディスク等で構成される記憶部67および入出力制御部68を具備している。演算制御部66にはディスプレイ、表示パネル等の表示部80が接続されている。入出力制御部68には操作部69および駆動サブ制御部58が接続されている。
駆動制御部58はウエハ移載機構125の駆動部(ウエハ移載装置125aやウエハ移載装置エレベータ125b)を個別に制御するサブ制御部73等から構成されている。サブ制御部73は演算制御部66から受けた指令に基づき対応する駆動部を駆動させるとともに、駆動部の状態(指令の実行中、指令待ち、実行完了等)を前記演算制御部66にフィードバックし、記憶部67にポジション記憶40、温度補正値記憶41を保存する。
【0043】
次に、処理炉内均熱領域の温度データ補正方法について図8を参照して説明する。
例えば、処理装置100内の反応管204を新品のものと交換した場合、処理炉202内の均熱領域が変わるため、処理炉202内の均熱領域を再度測定し、温度補正方法の実施が必要になる。
【0044】
反応管交換時等の処理室内温度補正方法を実施する以前に、温度計測器機構10のポジション(位置)定義が実施され、記憶部67にポジション記憶40として保存される(ステップA1)。
温度計測器支持機構10のポジション定義は、ウエハ移載機構125のウエハ移載装置125aの回転(旋回)軸のエンコーダ(位置検出器)の値と、ウエハ移載装置エレベータ125bの昇降軸のエンコーダ値を使用することにより、実施することができる。
【0045】
反応管交換時のように、処理室内温度補正方法が必要になった場合に際しては、温度計測器支持機構10は図4に示された格納状態から図5に示された突出状態に移行される。すなわち、第一アーム11は上方に180度回動されてフロント位置のアーム受け13Aに水平に支持され、同時に、第二アーム12も180度回動されて支持軸14によってフロント位置で水平に支持される。
温度計測器18は突出した第二アーム12先端部の支持具15に固定ねじ16および固定ばね17によって着脱自在に取り付けられる(図5参照)。
他方、シールキャップ219の挿入口20はウルトラトールナット21によって開放される。
温度計測器支持機構10が予め設定されて記憶部60に記憶されたポジション記憶40に従ってシールキャップ219の挿入口20の真下に搬送される。続いて、温度計測器支持機構10がウエハ移載装置エレベータ125bによって上昇されることにより、図6(b)に示されているように、温度計測器18が挿入口20に挿入される。
その後、温度計測器18が支持具15から切り離された後に、ウエハ移載機構125がシールキャップ219から離間されることにより、温度計測器支持機構10がシールキャップ219から退避される。
その後、シールキャップ219がボートエレベータ151によって上昇されて、処理炉202の下端部がシールキャップ219によって閉塞される。以上、ステップA2。
【0046】
次に、処理炉202内の温度がヒータ206によって上昇される(ステップA3)。
同時に、処理炉202内の温度が処理炉202内に挿入された温度計測器18によって計測される。すなわち、ヒータ均熱領域取得が操作部69および個別操作ターミナルにより開始される(ステップA4)。
演算制御部66は温度補正値を自動的に算出し、温度補正値記憶41を記憶部67に記憶する(ステップA5)。
温度計測が取得された補正値を使用して実行され、処理炉202内の均熱領域が再度取得される(ステップA6)。
演算制御部66は均熱温度が規定値内に入るまで何度も繰り返す(ステップA7)。
均熱温度が規定値に入ると、温度補正方法が終了する。
【0047】
以上の実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0048】
(1)個別にオートプロファイラを準備する必要がないため、処理炉内温度補正方法の作業性を向上させることができるとともに、コストを低減させることができる。
【0049】
(2)ウエハ移載機構のエレベータを活用することにより、温度測定器支持機構の位置決め(ポジション定義)を簡易化することができる。
【0050】
(3)温度計測器支持機構をウエハ移載機構に格納可能に設置することにより、処理炉内温度補正方法を実施しない時に、温度計測器支持機構がウエハ移載機構による移載作業を妨害するのを防止することができる。
【0051】
(4)処理装置の主制御装置や操作部および個別操作ターミナルを使用することにより、処理炉内均熱領域のデータ取得を実行することができ、取得されたデータを主制御装置の記憶部に保存することができ、各ウエハ(製品ウエハ、ダミーウエハ、フィルウエハ等)の搬送すべきポジション(位置)や温度補正値等も自動的に保存することができるので、各種搬送ウエハの位置や枚数設定や、温度補正値のような作業者による手入力を削減することができ、データロガーやPCの準備も不要とすることができる。
【0052】
(5)全ての動作が自動で行われるため、作業者の技量に関係なく、製品の性能や品質を一定に保つことができる。
【0053】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、温度計測器支持機構は、第一アームおよび第二アームのマニピュレータによって構成するに限らず、多関節ロボットによって構成してもよいし、スライド式のマニピュレータやリニアアクチュエータ等々によって構成してもよい。また、温度計測器は複数設けても良く、温度測定器の数に合わせて温度測定器支持機構を複数設けても良い。
【0054】
前記実施形態においては、ウエハを処理する場合について説明したが、本発明は液晶パネルのガラス基板や磁気ディスクや光ディスク等の基板を処理する基板処理装置全般に適用することができる。
【0055】
また、酸化膜形成に限らず、拡散やCVDやアニールおよびアッシング等の処理全般に適用することができる。
【0056】
本発明の好ましい態様を付記する。
(1)基板が装填されたキャリアが搬入出されるロードポートと、
前記キャリアを収納する収納棚と、
前記収納棚に収納されたキャリアを載置する載置棚と、
前記キャリアを、前記ロードポートと前記収納棚と前記載置棚との間で搬送する第一搬送装置と、
前記基板を保持する保持具と、
前記載置棚に載置された前記キャリアと前記保持具との間で前記基板を搬送する第二搬送装置と、
前記保持具に保持された前記基板を処理する処理室と、
前記保持具を前記処理室へ搬送する第三搬送装置と、
前記処理室内の温度を計測する温度計測器と、
前記温度計測器を前記第三搬送装置へ取り付ける温度計測器支持機構と、
前記第一搬送装置と前記第二搬送装置と第三搬送装置と前記収納棚と前記ロードポートと前記温度計測器と前記温度計測器支持機構とを制御するコントローラと、
を有する基板処理装置。
(2)基板が装填されたキャリアがロードポートへ搬入されるステップと、
前記キャリアが前記ロードポートから収納棚へ第一搬送装置によって搬送されるステップと、
前記キャリアが前記収納棚から載置棚へ前記第一搬送装置によって搬送されるステップと、
前記載置棚に載置された前記キャリアの前記基板が保持具へ第二搬送装置によって移載されるステップと、
前記基板を移載された前記保持具が処理室へ第三搬送装置によって搬入されるステップと、
前記保持具の前記基板が前記処理室内で処理されるステップと、
前記基板を処理された前記保持具が前記処理室から前記第三搬送装置によって搬出されるステップと、
温度計測器が前記第二搬送装置に設けられるステップと、
前記温度計測器が前記第二搬送装置から前記第三搬送装置に移載されるステップと、
前記温度計測器が前記処理室へ前記第三搬送装置によって搬入されるステップと、
前記処理室内の温度が前記温度計測器によって計測されるステップと、
前記温度計測器によって計測された温度に基づいて補正値が算出されるステップと、
を有する半導体装置の製造方法。
(3)基板を処理する処理室と、
前記基板を保持する保持具と、
前記保持具を前記処理室に搬入する搬送装置と、
前記基板を前記保持具に移載する移載装置と、を備えており、
前記移載装置には前記処理室内の温度を計測する温度計測器を支持する温度計測器支持機構が設けられており、前記温度計測器支持機構は前記温度計測器を前記搬送装置に授受可能に構成されている、基板処理装置。
(4)基板を保持具に移載する移載装置に着脱自在に設けられた温度計測器が前記保持具を処理室に搬送する搬送装置に受け渡されるステップと、
前記温度計測器が前記処理室へ前記搬送装置によって搬入されるステップと、
前記処理室内の温度が前記温度計測器によって計測されるステップと、
前記温度計測器によって計測された温度に基づいて補正値が算出されるステップと、
を有する半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0057】
10…温度計測器支持機構、11…第一アーム(ウエハ移載機構接続アーム)、11a…枢軸、12…第二アーム(温度計測器支持アーム)、12a…枢軸、13A、13B…アーム受け、14…支持軸、15…支持具(温度計測器支持具)、16…固定ねじ、17…固定ばね、18…温度計測器、20…挿入口、21…ウルトラトールナット、
40…ポジション記憶、41…温度補正値記憶、
58…駆動サブ制御部、65…主制御装置、66…演算制御部、67…記憶部、68…入出力制御部、69…操作部、73…サブ制御部、80…表示部、
100…処理装置(基板処理装置)、110…ポッド(キャリア)、118…ポッド搬送装置(第一搬送装置)、125…ウエハ移載機構(第二搬送装置)、125a…ウエハ移載装置、125b…ウエハ移載装置エレベータ、151…ボートエレベータ(第三搬送装置)、
200…ウエハ(基板)、202…処理炉、217…ボート(保持具)、219…シールキャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が装填されたキャリアが搬入出されるロードポートと、
前記キャリアを収納する収納棚と、
前記収納棚に収納されたキャリアを載置する載置棚と、
前記キャリアを、前記ロードポートと前記収納棚と前記載置棚との間で搬送する第一搬送装置と、
前記基板を保持する保持具と、
前記載置棚に載置された前記キャリアと前記保持具との間で前記基板を搬送する第二搬送装置と、
前記保持具に保持された前記基板を処理する処理室と、
前記保持具を前記処理室へ搬送する第三搬送装置と、
前記処理室内の温度を計測する温度計測器と、
前記温度計測器を前記第三搬送装置へ取り付ける温度計測器支持機構と、
前記第一搬送装置と前記第二搬送装置と第三搬送装置と前記収納棚と前記ロードポートと前記温度計測器と前記温度計測器支持機構とを制御するコントローラと、
を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−119557(P2012−119557A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269102(P2010−269102)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】