説明

基板検査装置および基板検査方法

【課題】基板縁部の状態を簡単に早く検出することが出来る基板検査装置を提供する。
【解決手段】基板検査装置100は、表面に膜を塗布した基板Wを保持し回転する回転テーブル5と、基板Wに光を照射する光照射手段2と、光照射手段2による基板W表面からの正反射光を受光し、撮像画像の信号出力する光電変換手段4と、を備える。そして、基板Wの回転中心を含んで回転中心から半径方向の一走査分の電気信号の回転手段一周分の検出値を加算して二次元画像を生成し、二次元画像の一方向に沿って設定された判定バンドから変化点を判断する。したがって、基板W上においてEBR線の良否を簡単に判断することができ、処理効率の良い検査が可能になる効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板の検査装置および検査方法に関する。特に撮像画像に基づいて基板上の塗膜を検査する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に透明な膜、例えば半導体素子の製造工程において、単結晶ロットから切り出した半導体ウェハに多数の半導体素子を形成するが、この工程はレジスト、例えばフォトレジストを塗布し、このフォトレジスト膜を選択的にエッチングして所望形状の一導電形半導体層や電極、リードを形成することが行われていることは当業者において周知のことである。これらの各工程は、都度マスク合せが行われるが、レジスト表面の状態例えば膜厚の変化、異物、傷などは半導体の不良の原因となるため、早い工程で発見することが要望される。
【0003】
ウェハを中央軸周りに高速に回転させることで、フォトレジストは表面上に薄いコーティングで広がる。エッジ表面効果のため、フォトレジストはウェハのエッジに堆積する。そのため、エッジのフォトレジストの除去(EBR処理)する必要があることが知られている。
【0004】
そこで、フォトレジスト除去の完全さと、フォトレジストを有する領域と有しない領域の境界線、いわゆるエッジビード除去線(EBR線)の所定の位置を検査するための検査法が提供されている(特許文献1)。この特許文献1では、360nm〜500nmの波長範囲の光を用いてウェハの表面の画像領域を照射し、励起光による照射のために発せられた蛍光ライトから画像領域の蛍光画像を映し、蛍光EBR線を識別するものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、暗視野画像を得ているので解像度(分解能)自体は向上していない。暗視野照明法の特徴として、厚みがある試料についは基本的に使用が困難である。更に、蛍光染料を加えたフォトレジストや、蛍光EBR液を用いる必要がある。フォトレジストの塗膜を検査する上で、塗膜自体に工夫を必要とすると任意の検査対象に対応できないという欠点がある。
【0006】
また、基板検査装置として、基板表面全体にわたりCCDカメラを備えた装置が提供されている(特許文献2)。そして、データを極座標にプロットして基板のエッジ部でBARC層、トップコート層、レジスト層に対応した線の重なりによって汚染が増大するリスクの拒否基板を選定している。
【0007】
しかしながら、特許文献2では、各層においてエッジ部に重なりが有るものを拒否基板とすることしか言及されていない。そのため、基板の試験において目視判定を行う以外に自動解析を行うのにデータに曲線を適合させることに言及しているが、エッジ部の重なり以外にどのように自動解析されているか不明である。そのため、効率化が図れるかという点において改善の余地が有った。
【0008】
また、ウェハの縁部からレジスト層縁部までの相対距離を、画像化システムを介して検出する縁部特徴測定システムが提供されている(特許文献3)。このシステムでは、ウェハ縁部領域の周りに複数の第1の次元Xおよび第2の次元Yを有するピクセルアレイを獲得し、各ピクセルアレイから縁部マップを作成する。ウェハ周りを網羅する画像から層の交差を評価、測定、またはその他の特性決定が行われる。
【0009】
しかしながら、これらのシステムでは、画像をマッピングによって生成しているため複雑である。即ち、縁部マップが完成しないと全体的な評価が出来ない。一方、前提となるピクセルアレイが大きい場合はピクセルアレイの境界に重複領域が出来易く、他方、ピクセルアレイが小さい場合はウェハ縁部の評価対象領域に対して最適化を検証する必要があり、複雑であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−352113号公報
【特許文献2】特開2009−10349号公報
【特許文献3】特表2009−544157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように、前記従来技術では、小領域に分割して縁部画像を形成し評価できるが、縁部全体の評価のために全体画像を作成しており、処理に時間を有するものであった。特にEBR線の評価は、それによっていくつかの製造プロセスにおいて、様々な加工または処理において多くの原因に起因して発生しているウェハ中心とレジスト層の不整合の発生を意味している。そのため、多くのプロセスにおいて評価が行われることが好ましく、また処理の間において評価が行われるので、より効率的な検査が望まれる。
【0012】
また、前記従来技術のように、ウェハ縁部の評価において各層の縁部の重なり以外に、望ましい整合からのずれである不整合、例えば、ウェハの縁部からレジスト層縁部までの相対位置も必要な評価項目であるが、効率的に検査が行われていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る基板検査装置は、表面に塗布膜が形成された基板を保持して回転する回転手段と、前記基板の表面に光を照射する光照射手段と、前記基板の表面からの正反射光を受光し、少なくとも前記基板の回転中心から前記基板の半径方向と平行な主走査方向に前記基板の半径の長さを有する、走査ラインの画像を撮像する光電変換手段と、前記基板が一回転する間に前記光電変換手段により撮像される画像を前記主走査方向と直交する副走査方向に並べて二次元画像を生成し、前記二次元画像に対して前記副走査方向と平行に設定された判定バンドを用いて前記塗布膜のエッジ線の良否を判断する画像処理手段と、を具備するようにしたものである。
【0014】
また、本発明の請求項8に係る基板検査方法は、表面に塗布膜が形成された基板を回転させながら前記基板の表面に光を照射するとともに前記基板の表面からの正反射光を受光することで、少なくとも前記基板の回転中心から前記基板の半径方向と平行な主走査方向に前記基板の半径の長さを有する、走査ラインの画像を撮像する撮像工程と、前記基板が一回転する間に前記撮像工程を繰り返すことで得られる複数の画像を前記主走査方向と直交する副走査方向に並べて二次元画像を生成する画像生成工程と、前記二次元画像に対して前記副走査方向と平行に設定された判定バンドを用いて前記塗布膜のエッジ線の良否を判断する判断工程と、を具備するようにしたものである。
【0015】
また本発明の請求項1に記載の基板検査装置において、前記画像処理手段は、前記二次元画像のうち前記判定バンド内に含まれる画像を前記副走査方向に複数のブロック画像に区分し、各ブロック画像が前記塗布膜のエッジを含んでいるか否かを検出するエッジ検出部と、前記エッジ検出部がエッジを検出したブロック画像の個数に基づいて前記塗布膜のエッジ線の良否を判断する良否判断部とを有するようにしたものである。
【0016】
また本発明の請求項2に記載の基板検査装置において、前記エッジ検出部は、互いに隣接するブロック画像が前記副走査方向で部分的に重複するように区分けするようにしたものである。
【0017】
また本発明の請求項1に記載の基板検査装置において、前記画像処理部は、前記二次元画像中にエッジ線を特定し、前記判定バンドの幅内において前記エッジ線の有無から変化点を求め、エッジ線が無い場合にエッジ不良と判定するようにしたものである。
【0018】
また本発明の請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板検査装置において、前記光電変換手段により撮像される前記走査ラインは、前記回転中心から前記主走査方向に前記基板の半径と第1長さを足し合わした長さを有するようにしたものである。
【0019】
また本発明の請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板検査装置において、前記光電変換手段により撮像される前記走査ラインは、前記回転中心から前記主走査方向と反対側に第2長さだけ延びるようにしたものである。
【0020】
さらに本発明の請求項1ないし6のいずれか一項に記載の基板検査装置において、前記基板の表面に複数の塗布膜が積層され、各塗布膜に対応して判定バンドが設定され、前記画像処理手段は、各塗布膜のエッジ線の良否を各塗布膜に対応する判定バンドを用いて判断するようにしたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1に係る基板検査装置および請求項8に係る基板検査方法によれば、少なくとも基板の回転中心から基板の半径方向と平行な主走査方向に基板の半径の長さを有する、走査ラインの画像を撮像してライン画像を得る動作を、基板が一回転する間、行われて複数のライン画像を得る。そして、これらのライン画像を主走査方向と直交する副走査方向に並べて二次元画像を生成し、この二次元画像に対して副走査方向と平行に設定された判定バンドを用いて塗布膜のエッジ線の良否を判断する。したがって、基板を撮像した画像から簡単に塗布膜の評価を判断することができ、処理効率の良い検査検出が可能になる効果を奏する。
【0022】
また本発明の請求項2に係る基板検査装置によれば、二次元画像のうち判定バンド内に含まれる画像を副走査方向に複数のブロック画像に区分し、各ブロック画像が塗布膜のエッジを含んでいるか否かを検出し、エッジを検出したブロック画像の個数に基づいて塗布膜のエッジ線の良否を判断する。したがって、簡単な検出処理によって基板各部での塗布膜のエッジを検出することができ、エッジ不良を判定できる。
【0023】
また本発明の請求項3に係る基板検査装置によれば、互いに隣接するブロック画像が副走査方向で部分的に重複するように区分けしているので、塗布膜のエッジを高精度に検出することができ、エッジ不良をさらに正確に判定できる。
【0024】
また本発明の請求項4に係る基板検査装置によれば、画像処理部は、二次元画像中にエッジ線を特定し、判定バンドの幅内においてエッジ線の有無から変化点を求める。そして、エッジ線が無い場合にエッジ不良と判定する。したがって、簡単な比較によって変化点による評価を行うことができ、エッジ不良を判定できる。
【0025】
また本発明の請求項5に記載の基板検査装置によれば、走査ラインが回転中心から主走査方向に基板の半径と第1長さを足し合わした長さを有する、つまり第1長さ分だけ走査ラインが長くなっており、基板が位置ずれしたときのマージンとして機能する。その結果、基板の位置ずれが生じた場合にも、エッジ不良を判定できる。
【0026】
また本発明の請求項6に記載の基板検査装置によれば、光電変換手段により撮像される走査ラインは、回転中心から主走査方向と反対側に第2長さだけ延びるようにしており、第2長さ分だけ走査ラインが長くなっており、上記したように第1長さだけ走査ラインを延ばした場合と同様に、走査ラインの延長は、基板が位置ずれしたときのマージンとして機能する。その結果、基板の位置ずれが生じた場合にも、エッジ不良を判定できる。
【0027】
さらに本発明の請求項7に記載の基板検査装置によれば、基板の表面に積層された各塗布膜に対応する判定バンドが設定されており、各塗布膜のエッジ線の良否を各塗布膜に対応する判定バンドを用いて判断する。したがって、複数の塗布膜が基板の表面に積層されている場合においても、各塗布膜のエッジ不良を正確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の塗膜形成ムラ検査装置の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示す塗膜形成ムラ検査装置の平面図である。
【図3】光照射手段の要部断面図である。
【図4】塗膜形成ムラ検査装置における光路を説明する概略説明図である。
【図5】レジスト膜をEBR処理後の基板Wの表面状態を示す平面説明図である。
【図6】基板Wの像のデジタル信号を示す説明図である。
【図7】EBR線と判定バンドを示す説明図である。
【図8】処理動作を示すフロー図である。
【図9】EBR線と判定バンドによる変化点を示す説明図である。
【図10】塗膜形成ムラ検査装置の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態におけるエッジ検出動作を示すフローチャートである。
【図12】EBR線と判定バンドの関係、ならびに判定バンドとエッジ位置の関係を示す図である。
【図13】第2実施形態におけるエッジ検出動作を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0030】
まず、図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態の基本的構成及び作用を説明する。図1は検査装置の正面図、図2は検査装置の平面図である。
【0031】
なお、本発明の被塗布物としては円形の半導体ウェハであり、表面が透明な膜として半導体素子製造各工程における半導体ウェハ表面に形成される感光性材料であるレジスト膜である。そして、例えば塗布後のフォトレジスト表面のEBR線の変化を測定するための半導体ウェハ表面の縁部レジスト膜の検査装置に適用した実施形態を、図面を参照して説明する。なお、レジスト膜に限らず、レジスト膜の下に塗布される例えばポリイミド樹脂より成る反射防止材、レジスト表面を保護する例えば、アルカリ可溶性ポリマーとアルコール溶剤によるトップコートの縁部のずれを測定してもよい。
【0032】
図1に示すように、基板検査装置100は、検出ユニット1内に、回転テーブル5、光源21を含む光照射手段2、光学系3及び光電変換手段4が収納されている。Wは被塗布物である半導体ウェハ等の基板(以下、基板Wと称す)で、5は基板Wの回転手段としての回転テーブルであり、基板Wは全面検査をするためにこの回転テーブル5で図示しないバキュームによる吸気孔より構成される吸引手段により基板Wを円形のテーブル上面に吸着することで保持し回転される。そして、基板Wは、全面検査のために回転テーブル5により1回転以上回転される。
【0033】
光照射手段2は、上記回転テーブル5に保持された基板Wの垂直方向上方に配置される。光照射手段2は、石英ロッドによる導光管による光源21がアルミ製の円筒支持部23に挿入され、円筒支持部23の一端が検出ユニット1の側壁101に固定され、他端が連結部24と連結管25を介して他方の側壁102に固定される。
【0034】
光照射手段2を更に詳細に説明する。図3は光照射手段2の要部断面図である。図3を参照し、光源21の周面の一部に反射材22が装着される。反射材22により反射される光の多くは反射材22の対向面側から放出されることとなる。そして、この反射材22の対向面側の円筒支持部23にはスリット28が形成される。よって、光源21から放出された光は円筒支持部23により遮断されるとともに、スリット28から基板Wに向けて照射される。
【0035】
図2に戻って、光源21は連結部24で光ファイバー26の一端と連設されており、この光ファイバー26が連結管25の内部を通って側壁102から検出ユニット1の外に延設される。そして、光ファイバー26の他端が検出ユニット1の外に配置されるLED27に対向される。こうすることで、LED27が点灯すると、その光が光ファイバー26を介して光源21に導入される。光源21に導入された光は、石英ロッドの周囲から放射され、スリット28から照射される。
【0036】
図1に戻って、基板Wの垂直方向上方に光電変換手段4として例えばラインセンサカメラを配置する。ラインセンサカメラとしては、CCD、MOS等のラインセンサ素子、増幅器、駆動回路、A/D変換器、メモリ、入出力回路、結像レンズ(撮像レンズ)、筐体、等により構成される周知のラインセンサカメラを使用することができる。
【0037】
この光電変換手段4への入射光は、基板Wの回転中心A0を含む半径方向のラインとなるようにした光照射手段2からの照射光によるレジスト膜の表面からの正反射光である。即ち、光源21からの光の一部はレジスト膜の表面に入射する。この時の入射角α1はレジスト膜面に対して20度乃至40度が好適で、好ましくは30度である。この入射による基板Wの略半径分の正反射光の正反射光路が光電変換手段4のレンズに入射するように光学系3を配置される。なお、上記入射角α1については基板サイズも考慮するのが望ましく、現在主流の300mm半導体ウエハを基板Wとする場合には上記した角度に設定するのが望ましいが、基板Wの大型化、例えば次世代の450mm半導体ウエハでは45゜程度にするのが望ましい。
【0038】
光学系3は、長方形で平面状のミラー31とミラー31を保持する保持板32により構成される。保持板32は検出ユニット1の側壁103に装着され、基板Wからの反射角α2の正反射光を直上の光電変換手段4に導くようにミラー31の角度を調整後に固定される。
【0039】
図4は、基板検査装置100における光照射手段2から光電変換手段4への光路を説明する概略説明図である。図4は、正反射光路がわかるように光電変換手段4をずらして描いているが、図2に示すように光電変換手段4は光学系3の略垂直上方に配置されている。図4に点線で示されるように、基板Wからの正反射光は内部の受光レンズを介して光電変換手段4により受光され、電気信号に変換される。
【0040】
そして、この電気信号が信号処理手段としての画像処理部である画像処理装置6で処理されて制御部10にて基板Wの表面状態が検出されるようになっている。基板Wからの反射角α2の正反射光を直上の光電変換手段4に導くようにミラー31は、基板W上の走査ラインである撮像領域Lの縮小画像が光電変換手段4の受光部に結像されるようにその角度と、光電変換手段4との距離が調整し設定されている。
【0041】
図1に戻って、回転テーブル5は駆動機構台上に設けられ、回転テーブル5上に基板Wが載置された時正しくテーブル面に密着される如く吸着されている。上記駆動機構台内にはモータ9が配置され、モータ9からの回転を予め定められた速度に変換する速度変換ギヤが設けられている。上記モータ9は後述する制御部10により制御される。
【0042】
回転テーブル5上に表面にレジスト膜の設けられた半導体製造工程途中の基板Wを、レジスト膜を上方にして設置する。この載置手段は半導体製造工程の検査毎にロボット駆動などでレジスト膜の設けられていない裏面を吸着して側壁103の開口104を通って移送載置し、検査終了後再び搬送ロボットにより吸着して次工程に移送するシステムラインを作る。
【0043】
また、図示しない基板Wのローダ・アンローダとしてワーク移載ロボットとカセットが備えられている。ワーク移載ロボットはカセットから基板Wを抜き取って回転テーブル5上にセットし、検査終了後に、その基板Wを回転テーブル5上からカセットに収納するようになっている。この場合、OK及びNG用のカセットを用意して検査結果により基板Wを振り分けてもよい。
【0044】
7は検出ユニット1内の各構成に電力を供給する電源装置、10は画像処理装置6とともに電気信号を処理して良否判定等を行う制御部である。上記光電変換手段4の出力信号を増幅形成されて画像処理装置6に入力し、この画像処理装置6で信号処理することにより基板W縁部の変化情報を電気的波形整形して制御部10に入力する。この画像処理装置6には判定機能が内蔵され、コンピュータなどにより画像処理装置6の出力信号を演算処理して上記塗膜形成の変化の有無とか、良否などの判断を評価部61で行う。なお、この判断結果を画像処理装置6に戻してテレビモニタなどの図示していない表示部に表示する。画像処理装置6での検査状況に応じて基板Wを移動させたい時、制御部10はモータ9を介して回転テーブル5を駆動させる。
【0045】
次に図5及び図6を参照して画像処理装置6による画像処理の具体例を説明する。図5はレジスト膜をEBR処理後の基板Wの表面状態を示す平面説明図であり、図6は基板Wの像のデジタル信号を示す。図5において基板W内の曲線L10で示した境界の斜線が描かれた内側部位と外側部位はレジスト層の有無の異なる部分である。即ち、曲線L10がEBR線で、曲線L10の外側部位はレジスト層が除去され基板Wの表面が露出している状態を表す。
【0046】
図5において、点線で示した撮像領域Lは光源21による露光領域で、光電変換手段4による撮像領域となる。光電変換手段4による撮像領域Lの正反射光は光電変換器(A/D変換器)でデジタル信号に変換され出力する。
【0047】
撮像領域Lは、走査ライン長さが基板Wの半径と基板Wの外側に領域L1として2mm長く、基板Wの回転中心A0側は領域L2として2mm長く設定される。そうすることで基板Wが位置ずれした時のマージンとしている。撮像領域Lのライン幅は、1画素が30μmの解像度で360μsecごとに1ラインが撮像される。よって、基板Wが360度回転、即ち1回転を3.6秒で行う間に、約1万ラインが撮像され出力される。このように、第1実施形態では、走査ラインは基板Wの半径方向と平行な主走査方向Xに延びるラインであり、基板Wの回転中心A0から主走査方向X(図6の右手側)に基板Wの半径と領域L1の長さとを足し合わした長さを有するとともに、回転中心A0から主走査方向Xの反対側(図6の左手側)に領域L2の長さを有している。
【0048】
こうして得られた基板Wの像のデジタル信号を図6に示す。図6は、基板Wが360度回転、即ち1回転を行う間に撮像されたラインを並べたもので二次元形状を有する。このデジタル信号を二次元画像としてメモリに記憶する。画像処理装置6は、この図6のデータをもとにして後述の判断を評価部61にて行う。つまり、第1実施形態では、上記したように360μsecごとに撮像される走査ラインの画像を主走査方向Xと直交する副走査方向Yに並べることで二次元画像を生成している。
【0049】
図7は光電変換手段4により得られた基板Wの二次元画像に対して判定バンドを示す説明図である。撮像領域Lの基板Wの1周分で得た画素ごとの撮像画像を基板Wの回転中心A0から同一距離にある位置で全周囲に渡って並べると図6に示すような二次元画像が得られる。ここで、撮像領域Lで検出された撮像光量に応じた電気信号は、薄膜の干渉により光量が変動する。画像処理装置6が、この撮像光量を画素ごとに8bitの256階調で撮像光量に応じた撮像電気信号として変換してデジタル化する。ここで、光量が多いほど階調が高くなるように関係が設定されている。
【0050】
そして、図7に示すような評価処理が行われる。画像処理装置6によって、図6に示すように基板Wの1周分で得た像のデジタル化した撮像電気信号から輝度変化の大きい変化点を抽出する。即ち、基板Wの縁部ではレジスト膜の有無で輝度が異なる。言い換えるとEBR線の位置で輝度の変化が大きく異なるので、この境界を抽出してエッジ線L12を生成する。基板Wの全周囲に渡ってEBR線を抽出することにより、エッジ線L12が図7のように得られる。
【0051】
この、エッジ線L12を強調するため次の処理が画像処理装置6にて行われる。例えば、二次元画像を2個の点線で示すように3個のブロックB1、B2、B3に分離する。次にブロック毎に走査ラインの撮像電気信号のデジタル値を画素ごとに積算する。そうすると輝度の高い部位と低い部位の差異が強調されるが、輝度のノイズのため少なからず中間値付近のデータが見られる場合がある。即ち、レジスト膜が無い基板Wの縁部側は輝度が高くなるが、レジスト膜の残渣があった場合、輝度の低い部位が生じる。画素ごとの積算値においてレジスト膜の部位とレジスト膜が無い部位ではそれぞれ全体的に近似する積算値となるが、輝度の高い部位で輝度の低い部位が一部にあった場合は、レジスト膜の残渣と考えられるので、そのような積算値は削除して輝度の高い部位の積算値と同じとする。
【0052】
このように一部の積算値を削除し変更した積算値の集合体をブロック毎に二次元画像に再展開する。そうすることでノイズが除去されたデジタル値が二次元に展開され、図7に示す二次元画像においてエッジ線L12を境界としてレジスト膜の有る部位と無い部位との画素ごとのデジタル値の差異が明確になる。そして結果的に、エッジ線12が強調されることとなる。
【0053】
判定バンドL11は、評価部61に予め操作者によって図示しない入力部から評価部61に入力設定される。これは、基板Wの縁部から基板W回転中心A0側へ本来EBR線があるべき位置を距離として入力される。そして、この本来EBR線があるべき位置を中心としてEBR線の許容可能なずれ量を距離として設定する。この本来EBR線があるべき位置を中心として均等な幅が設定されたラインが判定バンドL11として、評価部61に設定される。
【0054】
評価部61は、二次元画像上にEBR線を抽出すると、判定バンドL11を重ね合わせる。この重ね合わせの結果、二次元画像上でEBR線が判定バンドL11に位置しない部位を変化点として判断する。具体的には、走査ライン毎にエッジ線L12が判定バンドL11の間に無い場合が変化点として検出される。評価部61が、この変化点を検出し出力することで、画像処理部6が良否判定等を行う。画像処理部6による良否判定の結果は制御部10を介して図示しない表示部にてEBR線が所定位置に無い状態である旨を表示することとなる。よって、画像処理部6と制御部10の一部が本発明の画像処理部に相当する。
【0055】
次に、この基板検査装置100による検査動作を説明する。図8は処理動作を示すフロー図である。基板Wが回転テーブル5上に載置されると(ステップS101)、光照射手段2により基板W表面の露光が開始される(ステップS102)。もし基板W上に塗膜があれば、この塗膜により光源21からの光が散乱または干渉し、その正反射光の一部が光電変換手段4に入射せず撮像される。もし塗膜がなければ照明光は基板W上で全反射した正反射が光電変換手段4に入射する。なお、膜によって逆の場合もあるが、本実施例では正常な塗膜から正反射が行われる場合として説明する。
【0056】
この時、基板Wの表面にはレジストの薄い膜が形成されており、前記正反射光像を見るとレジストの厚さの違い、または塗布膜のある部位と無い部位によって色が異なって見える。なお、レジスト材は感光性材料のため紫外線により感光するため、LED27からの光はフィルタ等により紫外線をカットされている。特に、EBR処理後では基板Wの縁部において基板Wの表面が露出している部位とレジスト膜がある部位とでは色が大きく異なる。
【0057】
従って光電変換手段4で撮像することで正反射光の光量を検出することができる。これは基板W上のレジスト膜厚変化を光電変換手段4で撮像できる。そして、EBR線の位置も撮像される。
【0058】
次に、基板Wの露光を行いながら回転テーブル5を回転させるとともに、撮像領域Lの撮像を基板Wの1回転中継続する(ステップS103)。そして、基板Wの1周分で得た走査ラインの1ラインを形成する画素ごとの撮像画像を図6に示すように得る。なお、ここで、撮像領域Lで検出された撮像電気信号から光源3の撮像領域Lにおいて測定した照射電気信号を1走査ライン毎に撮像光量から引き算し補正撮像電気信号を得るようにしてもよい。例えば、予め測定した光源21の撮像領域Lにおいて測定し同様に256階調で照射光量に応じてデジタル化した照射電気信号を1走査ライン毎に撮像電気信号から引き算し、補正撮像電気信号とする。これによって、LED27に光量ムラがあった場合の影響を無くすことができる。
【0059】
上記画像処理装置6の処理において入力情報から基板Wを回転移動させたい場合、回転のプログラムをモータ9に出力して回転テーブル5を回転させる。回転のプログラムは例えば何度回転させて停止させ、次に何度回転させて停止するなどの動作プログラムである。これらは、予め制御部10のメモリに記憶される。
【0060】
また、光電変換手段4は画像処理装置6および全体制御を行う制御部10に接続されており、基板W上のEBR線の状態を自動的に知ることができる。即ち、光電変換手段4の出力信号を増幅、成形したのち、デジタル化して画像処理装置6でメモリに記憶する。メモリに記憶した情報を予め定めた手段で読み出してEBR線の変化点の有無の判定を行うため画像処理装置6で予め定められた信号処理を行う。
【0061】
そして、図6の二次元画像が得られたら図7に示すようにブロックB1、B2、B3に分離してエッジ線L12の強調処理を行う(ステップS104)。具体的には前述したようにライン毎の同一画素位置で画素の階調値を積算処理し、レジスト膜の有る部位の積算値と無い部位の積算値の両方と大きく異なる積算値に関して削除する。このような中間的な積算値はレジスト膜の無い部位において発生する可能性が高いので、その画素の階調値に関してはレジスト膜の無い部位と等しくする。言い換えると、レジスト膜が無い部位において一部にレジスト膜があることで輝度が無い部位より低くなる。その場合、エッジ線L12とは判断せず、階調値をレジスト膜が無い部位と同じとすることでエッジ線L12の抽出においての誤判断を防止する。その後、ブロックB1、B2、B3毎の積算値を二次元画像に展開して図6に示す二次元画像を再構築する。
【0062】
この強調処理した二次元画像に対して、図7に示すように、撮像電気信号に基板W回転中心A0から離れた位置で全周囲に渡ってEBR線を輝度の予め設定された範囲以上の差を表すものとして抽出することにより、エッジ線L12を得る。エッジ線L12の基板回転中心A0側である内側において塗膜形成ムラがなく反射光量が少なく弱い光量が得られており、エッジ線L12の外側においては反射光量が多く強い光量が得られており、それに伴う階調差が現れている。そのため、二次元画像を求めると階調値が高い領域と階調値の低い領域との境界が現れる。この境界を予め設定された階調差と比較することで抽出し、エッジ線L12を特定する。なお、このエッジ線L12は便宜上境界を示すものと表現しているが、実際には二次元画像上で図7に示すエッジ線L12の左右の領域の境界を意味しているだけで線を認識しているわけでない。
【0063】
上記のように、照射光は基板Wの半径方向に走査されるため、光電変換手段4から出力される電気信号はライン状となり、画像処理装置6での演算等の信号処理が容易となる。
【0064】
次に、二次元画像上に判定バンドを重ね合わせることで変化点の判定を行う(ステップS105)。図9は、変化点の判定を説明する説明図である。図9に示すように、エッジL12線が大きく変化している場合、エッジ線L12は点線で示す判定バンドL11の幅を超える部位が表れる。この部位をエッジ線L12の変化点L13と判断する。具体的には、走査ライン毎に判定バンドL11の幅内にエッジ線L12が無いことを評価部61が判定する。言い換えると、レジスト膜の有る領域とレジスト膜の無い領域の境界が判定バンドL11の幅内に無いことが判定される。判定バンドL11の幅は、所望のレジスト膜の塗膜位置を示しているので、この判定結果で判定バンドL11の幅内にエッジ線L12が存在しないことが抽出されると制御部10はエッジ不良の信号を表示部に出力する。
【0065】
また、この変化点L13が検出されることで、基板W上の縁部の領域の評価を行う。即ち、変化点L13が多く検出されれば、レジスト膜が基板Wに対して所望領域位置に塗布されていないこととなり、この場合に基板Wの全周囲において変化点が抽出される。
【0066】
判定バンドL11は、評価部61に次のような処理で設定が行われる。予め複数のレジストが塗布された基板Wを実験的に測定する。その結果、塗布領域と縁部領域の境界を判定するレベルを求めて信号上に設定する。これと実際の検査工程における検査対象基板WのEBR線の凸状変化点L13を比較することによりエッジ不良は容易に検出される。通常、エッジ線L12は大半が判定バンドL11の幅内に位置するので、ここで判定バンドL11の幅内に位置しない場合を判定するように設定することで処理が簡便になるという効果がある。
【0067】
即ち、上記のように反射した光量をデジタル化し二次元画像を形成すると、基板Wの全周囲において変化点L13を検出することが可能であるため、効率的に検査を行うことが可能となる。また、エッジ不良を判定する場合に、エッジ線L12のライン毎の位置を判断する必要は無く、判定バンドL11の幅内に位置しない場合のみを検出すれば良いので処理が簡単に行われる。
【0068】
このように、制御部10で、図9に示すように判定バンドL11に対するエッジ線L12の有無の判定によって、エッジ線L12が幅内に無い場合を変化点L13が存在すると判断する。そして、判定バンドL11の幅内にエッジ線L12が無い場合にエッジ不良が有りと判断する。このように、上記実施形態の基板検査装置100においては、比較的広範囲な変化を示すEBR線を簡単な構成で確実に検出することができる。
【0069】
なお、上記実施形態において変化点L13の判断を評価部61にて処理するようにしたが、制御部10にて判断を処理するように構成してもよい。また、その検査結果を基板検査装置100に設けられているテレビモニタに表示するようにしてもよい。
【0070】
最後に、検査対象の基板Wのエッジの良否が判定されると、検査工程の終了として基板Wが回転テーブル5上から搬出される(ステップS106)。この搬出工程において、基板Wの向きは搬入時と同じ向きになっているので、回転テーブル5の位置を改めて調整する必要が無い。即ち、検査工程において基板Wの二次元画像を基板Wの1回転の間に撮像することで検査が行われるので、基板Wは搬入時に同じ向きで検査工程が終了される。そのため、搬出時に回転テーブル5上の基板Wの向きは搬送手段によって搬出されるのに改めて向きの調整を行う必要が無いというメリットがある。
【0071】
以上、上記実施形態によれば、基板Wの二次元画像を作成して、判定バンドL11の幅内にエッジ線L12が無い場合にエッジ不良が有りと判断する。このように、基板検査装置100においては、比較的広範囲な変化を示すEBR線を判定してエッジ不良を簡単な構成で確実に検出することができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、エッジ線L12は二次元画像上で図7に示すエッジ線L12の左右の領域の境界を検出しているが、この境界を線として認識するようにしてもよい。即ち、二次元画像を強調処理後に再度二次元画像に展開してから、エッジ線L12に相当する境界位置を線として認識して判定するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態の強調処理を行う(ステップS104)による別の効果を説明する。基板W上に凹凸のパターンを形成されており、その上面にレジスト膜が塗布されている場合、撮像された二次元画像にはレジスト膜の有無による画像の階調値のみならず、下層のパターンによる陰影が反映されることとなる。この場合、特にレジスト膜の有る部位において階調値がバラツクこととなり、EBR線を輝度の予め設定された範囲以上の差を表すものとして抽出するための予め設定された階調差の設定によっては誤検知を招きかねない。そのためこのような二次元画像に対して強調処理を行うことで、エッジ線L12に対応する部位において積算値が強いピークとなって現れる。それによってエッジ線L12の抽出においての誤判断を防止することをより確実にすることができる。
【0074】
また、上記実施形態では強調処理を行うブロックを3個としたが、それに限られるものではなく、適宜数を設定してもよい。この場合、多くすると強調処理の効果が薄れてしまい、少なければ処理に時間がかかってしまうので、処理効率を考慮して設定するようにすればよい。
【0075】
また、上記実施形態では強調処理を実行しているが、強調処理の実行が必須というわけではない。例えばレジスト膜の残渣が積算結果に与える影響が軽微であることがあり、この場合、残渣に対応する画素の積算値は輝度の高い部位(つまり残渣がない部位)の積算値とほぼ同じとなり、強調処理(ステップS104)を行うことなく、直ちに判定処理を実行してもよい。
【0076】
図10は塗膜形成ムラ検査装置の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。また、図11は第2実施形態におけるエッジ検出動作を示すフローチャートである。この第2実施形態は、図1に示す装置によって取得した二次元画像に対して判定バンドを用いることでエッジ不良を判定する点で第1実施形態と共通するものの、第1実施形態の強調処理(ステップS104)および判定処理(ステップS105)と異なる基板検査方法でエッジ不良を判定する。すなわち、強調処理(ステップS104)および判定処理(ステップS105)を除く処理、つまり基板搬入処理(ステップS101)、露光開始処理(ステップS102)、撮像処理(ステップS103)および基板搬出処理(ステップS106)は第1実施形態と基本的に同一である一方、エッジ検出およびそれに基づくエッジ不良判定は第1実施形態と大きく相違している。以下、相違点を中心に第2実施形態での基板検査方法について説明する。
【0077】
この第2実施形態では、二次元画像を取得するまでに、画像処理装置6はEBR線と判定バンドとの関係を示すデータを受信し、図示を省略するメモリに記憶している(ステップS201)。上記データを受信した画像処理装置6は、例えば図12(a)に示すように、各処理1、2、…、nにより基板Wの表面に形成された各EBR線を検出するための判定バンドL11の許容幅を表形式でメモリに記憶する。同図(a)中の「内側径xna」は回転中心A0から判定バンドL11の回転中心側端までの距離を意味し、また「外側径xnb」は回転中心A0から判定バンドL11の反回転中心側端までの距離を意味しており、これら内側径および外側径によって判定バンドL11および該判定バンドL11の許容幅が規定されている。例えば処理nによってm層の塗布膜が基板Wの表面に積層形成され、m本のEBR線が存在する場合、各ERB線に対して判定バンドL11の許容幅(xn1a〜xn1b)、(xn2a〜xn2b)、…、(xnma〜xnmb)がそれぞれ設定されている。したがって、後述するようにして求めたEBR線のエッジ位置EPが判定バンドL11の許容幅内に位置することはエッジ検出に成功したことを意味し(図12(c))、逆に許容幅に位置しないことはエッジ検出に失敗したことを意味する。なお、本実施形態において、各処理1、2、…、nおよび各ERB線について許容幅(xna〜xnb)を個別に設定している理由は、処理内容に応じて基板Wの表面に形成される膜の数、膜種、膜形状および膜サイズなどが異なるためである。
【0078】
そして、検査対象となる基板Wが回転テーブル5上に載置されると、第1実施形態と同様に、回転テーブル5に保持される基板Wを回転中心A0回りに1回転させながら360μsecごとに撮像される走査ラインの画像を10500本取得するとともに、それらを主走査方向Xと直交する副走査方向Yに並べることで画像処理装置6は基板Wの表面全体を示す二次元画像SIを得る(図12(b))。また、本実施形態では、画像処理装置6は、基板表面全体の二次元画像SIから基板Wの周縁部全周を示す二次元画像EI(図13(a))を抜き出し、その画像EIの画像データをメモリに一時的に記憶する(ステップS202)。それに続いて、画像処理装置6は画像EIの画像データに基づいて以下の処理を実行する(ステップS203〜S211)
ステップS203では、回転テーブル5に保持される基板Wに対して施された処理に対応するEBR本数mをステップS201で受信したデータから読み出して設定する。また、検査カウント値Kを初期値「1」に設定する(ステップS204)。この検査カウント値Kは検査中のEBR線が何本目であるかを示す値であり、この検査カウント値Kによって検査対象となっているEBR線が特定される。
【0079】
次のステップS205では、検査カウント値KのEBR線、つまりK本目のEBR線に対応する判定ラインL11の許容幅(xna〜xnb)をメモリ中の表(図12(a))から読み出し、設定する。そして、その判定ラインL11を用いてエッジ検出処理を実行し、画像データからK本目のEBR線のエッジを検出する(ステップS206)。
【0080】
このエッジ検出処理の概要動作は次のとおりである。つまり、図13に示すように、判定バンドL11の許容幅(Xna〜Xnb)内で、かつ副走査方向Yで500ライン分のブロック画像BIを抽出し、当該ブロック画像BIのブロック画像データBDに基づいてEBR線のエッジがブロック画像BIに含まれるか否かを判定する。そして、本実施形態では、ブロック画像BIを副走査方向Yに250ラインずつシフトしながら合計41個のブロック画像BIに対してエッジ検出を実行する。
次に、エッジ検出処理の詳細について図11〜図13を参照しつつ説明する。画像処理装置6は図11に示す動作フローにしたがってエッジ検出処理を実行する。このエッジ検出処理では、まずブロック画像BIの先頭ラインをライン取得開始位置の初期値である「0」番目ラインに設定する(ステップS206a)。そして、基板端全周の二次元画像EIの画像データからステップS205で設定された判定バンドL11の許容幅(Xna〜Xnb)内の画像データをライン取得開始位置から500ライン分だけ取得し、ブロック画像BIを抽出する(ステップS206b)。そして、ブロック画像BIを構成する画素のうち主走査方向Xにおいて互いに隣接する画素の画像データ間の階調差ΔDを算出し、これらを含む階調差データDDをメモリに記憶する(ステップS206c)。例えば図13(b)(c)では、隣接する画素(Xna+p、0)、(Xna+p+1、0)の階調差ΔD(Xna+p、0)は、
ΔD(Xna+p、0)=D(Xna+p+1、0)−D(Xna+p、0)
ただし、pは0以上で、かつ(Xnb−Xna−1)以下の自然数、
により求められる。
【0081】
そして、主走査方向Xの各位置(Xna〜Xnb)での階調差ΔDを副走査方向Yに積算する(ステップS206d)。ここで、EBR線のエッジがブロック画像BIに含まれている場合、エッジ位置EPでの階調差ΔDは比較的大きくなるのに対し、非エッジ位置では階調差ΔDはゼロあるいはゼロに近い値を示す。しかも、各位置(Xna〜Xnb)での階調差ΔDを積算しているので、ノイズなどの影響を抑制することができ、例えば図13(d)に示すようにエッジ位置での積算値は非エッジ位置に比べて著しく高くなる。そこで、本実施形態では、判定バンドL11の許容幅(Xna〜Xnb)内での積算値のうち積算値の平均値から2σ(σ:標準偏差)を超えた積算値ピークが存在するか否かを判定し(ステップS206e)、例えば図13(d)に示すように位置(Xna+p)で当該ピークが存在する場合(ステップS206eで「YES」の場合)には、エッジ検出に成功したと判定する(ステップS206f)。一方、積算値ピークを確認できなかった場合(ステップS206eで「NO」の場合)には、エッジ検出に失敗したと判定する(ステップS206g)。
【0082】
こうして、当該ブロック画像BIにEBR線のエッジが含まれるか否かの判定が完了すると、全41個のブロック画像についてエッジ有無の判定が完了していない間(ステップS206hで「NO」の間)、ライン取得開始位置を副走査方向Yに250ライン進めた(ステップS206i)後、ステップS206bに戻って次のブロック画像BIについて上記した一連の処理(ステップS206b〜S206h)を実行する。そして、全41個のブロック画像についてエッジ有無の判定が完了すると、合計41個の判定結果が得られるので、エッジ検出処理を閉じてステップS207に進む。
【0083】
図10に戻って動作説明を続ける。このステップS207では、41個の判定結果のうちエッジ検出された個数が予め設定した閾値、例えば全41個のうち3/4以上であるか否かを判定し、閾値以上である場合には、エッジ線が判定バンドL11内に収まっており、エッジ良好であると判定する(ステップS208)。一方、閾値未満である場合には、エッジ線が判定バンドL11内になく、エッジ不良であると判定する(ステップS209)。なお、判定基準については、上記した基準(エッジ検出したブロック数が3/4以上である)に限定されるものではなく、例えば実験的に求めてもよい。
【0084】
こうしてK本目のEBR線についてのエッジ良否判定が完了すると、検査カウント値KがEBR本数mと一致するか否かを判定し(ステップS210)、不一致の場合には検査カウント値Kを「1」だけインクリメントした後、ステップS205に戻って次のEBRについてのエッジ良否判定を行う。一方、ステップS210で「YES」と判定されて全EBR線についてエッジ良否判定が完了したことが確認されると、一連の処理を終了する。
【0085】
以上のように、本発明の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、基板Wを撮像した二次元画像から簡単に塗布膜の評価を判断することができ、処理効率の良い検査検出が可能になる。また、第2実施形態では、第1実施形態のようにエッジ線そのものを求めることなく、EBR線の良否検査を行うことができ、塗布膜の評価をより簡素化することができる。
【0086】
また、ブロック画像BIの区分け態様(副走査方向Yでのブロックライン数、ブロックシフト単位数)については任意であり、例えば500ライン分のブロック画像BIを副走査方向Yに500ライン単位でシフトさせてもよいが、第2実施形態のように互いに隣接するブロック画像BIが副走査方向Yで部分的に重複するように区分けすることで、EBR線のエッジ位置EPを高精度に検出することができ、エッジ不良をより正確に判定できる。
【0087】
このように、第2実施形態では、画像処理装置6が、各ブロック画像BIでのEBR線のエッジ位置EPを検出するエッジ検出部およびエッジを検出したブロック画像BIの個数に基づいてEBR線の良否を判断する良否判断部として機能しているが、それらの一部または全部を制御部10に担わせてもよい。つまり、第1実施形態と同様に、画像処理部6と制御部10の一部で本発明の「画像処理部」を構成してもよい。
【0088】
また、上記第2実施形態では、各EBR線に対応する判定バンドL11の許容幅を予め設定しておき、各EBR線に対応する許容幅を有する判定バンドL11を用いるので、複数種類の塗布膜が形成された基板についても各塗布膜のエッジ良否判定を高精度に行うことができる。なお、このように各塗布膜に対応する判定バンドを予め用意しておき、各EBR線に対応する各判定バンドを用いるという技術思想については、第1実施形態にも適用可能である。
【0089】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、画像処理装置6と制御部10を別構造としたが、同様な制御機能を備えるように一体的な処理部として構成してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、被塗布物として円形の基板を対象としたが、回転テーブルに載置し回転しながら塗布する対象であれば平面四角形や平面台形等の形状を示すガラス基板やカラーフィルタ等の矩形基板を被塗布物としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の基板検査装置は、膜を塗布した基板の状態の検査に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 検出ユニット
100 基板検査装置
2 光照射手段
21 光源
3 光学系
4 光電変換手段
5 回転テーブル
6 画像処理装置
61 評価部
10 制御部
A0 (基板の)回転中心
BI ブロック画像
L 撮像領域
L11 判定バンド
L12 エッジ線
W 基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に塗布膜が形成された基板を保持して回転する回転手段と、
前記基板の表面に光を照射する光照射手段と、
前記基板の表面からの正反射光を受光し、少なくとも前記基板の回転中心から前記基板の半径方向と平行な主走査方向に前記基板の半径の長さを有する、走査ラインの画像を撮像する光電変換手段と、
前記基板が一回転する間に前記光電変換手段により撮像される画像を前記主走査方向と直交する副走査方向に並べて二次元画像を生成し、前記二次元画像に対して前記副走査方向と平行に設定された判定バンドを用いて前記塗布膜のエッジ線の良否を判断する画像処理手段と、
を具備することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板検査装置において、
前記画像処理手段は、
前記二次元画像のうち前記判定バンド内に含まれる画像を前記副走査方向に複数のブロック画像に区分し、各ブロック画像が前記塗布膜のエッジを含んでいるか否かを検出するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部がエッジを検出したブロック画像の個数に基づいて前記塗布膜のエッジ線の良否を判断する良否判断部と
を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板検査装置において、
前記エッジ検出部は、互いに隣接するブロック画像が前記副走査方向で部分的に重複するように区分けすることを特徴とする基板検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板検査装置において、
前記画像処理部は、前記二次元画像中に含まれるエッジ線を特定し、前記判定バンドの幅内において前記エッジ線の有無から変化点を求め、エッジ線が無い場合にエッジ不良と判定することを特徴とする基板検査装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の基板検査装置において、
前記光電変換手段により撮像される前記走査ラインは、前記回転中心から前記主走査方向に前記基板の半径と第1長さを足し合わした長さを有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の基板検査装置において、
前記光電変換手段により撮像される前記走査ラインは、前記回転中心から前記主走査方向と反対側に第2長さだけ延びることを特徴とする基板検査装置。
【請求項7】
前記基板の表面に複数の塗布膜が積層された請求項1ないし6のいずれか一項に記載の基板検査装置において、
各塗布膜に対応して判定バンドが設定され、
前記画像処理手段は、各塗布膜のエッジ線の良否を各塗布膜に対応する判定バンドを用いて判断することを特徴とする基板検査装置。
【請求項8】
表面に塗布膜が形成された基板を回転させながら前記基板の表面に光を照射するとともに前記基板の表面からの正反射光を受光することで、少なくとも前記基板の回転中心から前記基板の半径方向と平行な主走査方向に前記基板の半径の長さを有する、走査ラインの画像を撮像する撮像工程と、
前記基板が一回転する間に前記撮像工程を繰り返すことで得られる複数の画像を前記主走査方向と直交する副走査方向に並べて二次元画像を生成する画像生成工程と、
前記二次元画像に対して前記副走査方向と平行に設定された判定バンドを用いて前記塗布膜のエッジ線の良否を判断する判断工程と、
を具備することを特徴とする基板検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−216754(P2012−216754A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215166(P2011−215166)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】