説明

塗布装置及び塗布装置のクリーニング方法

【課題】作業効率を向上させることができ、作業スペースの省スペース化を図ることが可能な塗布装置及び塗布装置のクリーニング方法を提供すること。
【解決手段】基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備えた塗布装置であって、前記基板搬送部に複数設けられ、気体の噴出及び吸引が可能な孔部と、前記複数の孔部から気体を噴出する噴出モードと前記複数の孔部から吸引する吸引モードとを切り替えて行わせる制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置及び塗布装置のクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線パターンや電極パターンなどの微細なパターンが形成されている。一般的にこのようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、ガラス基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜をパターン露光する工程、その後に当該レジスト膜を現像する工程がそれぞれ行われる。
【0003】
基板の表面上にレジスト膜を塗布する装置として、スリットノズルを固定し、当該スリットノズルの下を移動するガラス基板にレジストを塗布する塗布装置が知られている。その中でも、ステージ上に気体を噴出することで基板を浮上移動させる塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような塗布装置においては、ステージ表面に気体噴出孔及び吸引孔が設けられ、気体の噴出及び吸引を行うことで基板の浮上量を調節できるようになっており、基板の浮上高さを調節しつつ基板を浮上させた状態でレジストの塗布が行われるようになっている。
【0004】
この塗布装置においては、例えばスリットノズル内に残ったレジストなどが誤ってステージ上にこぼれてしまうことがある。こぼれたレジストが気体噴出孔又は吸引孔の内部に入り込んだ場合、正常な気体噴出圧及び吸引圧を保つことが困難となり、基板の浮上量を調節することが困難になる可能性があるため、当該レジストを除去する必要がある。
【特許文献1】特開2005−236092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の塗布装置においては、気体噴出孔又は吸引孔の内部に入り込んだレジストを除去するため、ステージを分解する必要があり、作業効率が極めて悪いという問題がある。また、ステージを分解するための作業スペースを確保する必要性も生じる。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、作業効率を向上させることができ、作業スペースの省スペース化を図ることが可能な塗布装置及び塗布装置のクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る塗布装置は、基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備えた塗布装置であって、前記基板搬送部に複数設けられ、気体の噴出及び吸引が可能な孔部と、前記複数の孔部から気体を噴出する噴出モードと前記複数の孔部から吸引する吸引モードとを切り替えて行わせる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、基板搬送部に複数設けられ気体の噴出及び吸引が可能な孔部と、複数の孔部から気体を噴出する噴出モードと複数の孔部から吸引する吸引モードとを切り替えて行わせる制御手段とを備えることとしたので、基板搬送部に液状体がこぼれた場合には孔部を吸引モードとすることで当該孔部に入り込んだ液状体を吸引することができる。このため、基板搬送部を分解する必要が無く、分解のためのスペースも必要が無い。これにより、作業効率を向上させることができ、作業スペースの省スペース化を図ることができる。
【0009】
上記の塗布装置は、前記孔部は、前記基板を浮上させるために気体の噴出及び吸引を行うことを特徴とする。
孔部が基板を浮上させるために気体の噴出及び吸引を行う構成においては、孔部に液状体が入り込むことで基板の浮上高さを正確に調節することが困難になってしまう。これに対して、本発明によれば、上記のように孔部を吸引モードに切り替えることができるので、孔部に液状体が入り込んだ場合であっても基板の浮上高さを安定化して調節することができる。
【0010】
上記の塗布装置は、前記制御手段は、前記基板搬送部のうち前記塗布部に対応する領域に設けられた前記孔部について、前記噴出モードと前記吸引モードとを切り替えて行わせることを特徴とする。
基板搬送部のうち塗布部に対応する領域は特に液状体がこぼれやすく、また液状体がこぼれることにより基板上に塗布される液状体の塗布状態に悪影響を及ぼすことになる。これに対して、本発明によれば、基板搬送部のうち塗布部に対応する領域に設けられた孔部について、制御手段が噴出モードと吸引モードとを切り替えて行わせることとしたので、当該塗布部に対応する領域にこぼれた液状体を吸引することができる。これにより、液状体の塗布状態に悪影響が及ぼされるのを回避することができる。
【0011】
上記の塗布装置は、前記複数の孔部から吸引された吸引物を検知する第1センサを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の孔部から吸引された吸引物を検知する第1センサを更に備えることとしたので、基板搬送部に液状体がこぼれているか否かを確認することができる。また、第1センサがこぼれた液状体の量などを確認できる構成であっても構わない。
【0012】
上記の塗布装置は、前記制御手段は、前記第1センサによる検知結果に基づいて、前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、制御手段は、第1センサによる検知結果に基づいて基板の搬送及び液状体の塗布を停止させることとしたので、基板搬送部に液状体がこぼれている場合にそのまま基板の搬送及び液状体の塗布が行われるのを回避することができる。
【0013】
上記の塗布装置は、前記複数の孔部から吸引された吸引物を貯留するバッファタンクを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の孔部から吸引された吸引物を貯留するバッファタンクを更に備えることとしたので、吸引を行う度に吸引物を廃棄する必要は無い。これにより、作業効率を向上させることができる。
【0014】
上記の塗布装置は、前記制御手段は、前記バッファタンクに前記吸引物が所定の量以上貯留された場合に前記吸引物を排出させることを特徴とする。
本発明によれば、制御手段によってバッファタンクに吸引物が所定の量以上貯留された場合に吸引物を排出させることとしたので、バッファタンクに貯留された吸引物の量を吸引の度に確認する必要は無くなる。これにより、作業効率を向上させることができる。
【0015】
上記の塗布装置は、前記複数の孔部に接続された流通路と、前記流通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の孔部に接続された流通路と、当該流通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを更に備えることとしたので、複数の孔部から吸引される吸引物(液状体を含む)を洗浄することができる。これにより、吸引物が複数の孔部に詰まるのを回避することができる。
【0016】
上記の塗布装置は、前記流通路は、前記複数の孔部に気体を供給するための気体供給手段及び前記複数の孔部から吸引を行うための吸引手段に接続された配管であり、前記気体供給手段及び前記吸引手段のうちいずれか一方が前記複数の孔部に接続されるように前記流通路に設けられたバルブを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、流通路が複数の孔部に気体を供給するための気体供給手段及び複数の孔部から吸引を行うための吸引手段に接続された配管であり、当該気体供給手段及び吸引手段のうちいずれか一方が複数の孔部に接続されるように流通路にバルブが設けられることとしたので、当該バルブによって噴出モードと吸引モードとを容易に切り替えることができる。
【0017】
上記の塗布装置は、前記孔部における前記気体の噴出及び前記吸引の状態を検出する第2センサを更に備えることを特徴とする。
本発明によれば、孔部における気体の噴出及び吸引の状態を検出する第2センサを更に備えることとしたので、気体の噴出及び吸引の状態に異常があるか否かを検知することができる。
【0018】
上記の塗布装置は、前記制御手段は、前記第2センサの検出結果に基づいて、前記複数の孔部の復帰動作を行わせることを特徴とする。
本発明によれば、第2センサの検出結果に基づいて、制御手段が複数の孔部の復帰動作を行わせることとしたので、気体の噴出及び吸引の状態に異常が無いと検出された場合に復帰動作を行わせることができる。このため、孔部から安定して気体を噴出することができ、また、安定した吸引を行うことができる。この復帰動作としては、例えば噴出モード並びに吸引モードの切り替え、噴出モードにおける気体の噴出量の調節及び吸引モードにおける吸引量の調節などが含まれる。
【0019】
上記の塗布装置は、前記制御手段は、前記第2センサの検出結果に基づいて、前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止させることを特徴とする。
本発明によれば、第2センサの検出結果に基づいて、制御手段が基板の搬送及び液状体の塗布を停止させることとしたので、気体の噴出及び吸引の状態に異常がある場合には基板の搬送及び液状体の塗布を停止させることができる。このため、孔部から安定して気体を噴出することができない場合、また、安定した吸引を行うことができない場合に基板の搬送及び液状体の塗布が行われるのを回避することができる。
【0020】
本発明に係る塗布装置のクリーニング方法は、基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備えた塗布装置のクリーニング方法であって、前記基板搬送部には、気体の噴出及び吸引が可能な孔部が複数設けられており、前記基板搬送部の状態に応じて、前記複数の孔部において吸引を行うことを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、基板搬送部には気体の噴出及び吸引が可能な孔部が複数設けられており、基板搬送部の状態に応じて当該複数の孔部において吸引を行うこととしたので、基板搬送部に液状体がこぼれた場合には孔部に入り込んだ液状体を吸引することができる。このため、基板搬送部を分解する必要が無く、分解のためのスペースも必要が無い。これにより、作業効率を向上させることができ、作業スペースの省スペース化を図ることができる。
【0022】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記複数の孔部から吸引される吸引物を検知することを特徴とする。
本発明によれば、複数の孔部から吸引される吸引物を検知することとしたので、基板搬送部に液状体がこぼれているか否かを確認することができる。また、こぼれた液状体の量などを確認できるようにしても構わない。
【0023】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記検知の結果に基づいて前記吸引を行うことを特徴とする。
本発明によれば、検知の結果に基づいて吸引を行うこととしたので、液状体がこぼれたと判断される場合に効率的に吸引を行うことができる。
【0024】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記検知の結果に基づいて前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止することを特徴とする。
本発明によれば、検知の結果に基づいて基板の搬送及び液状体の塗布を停止することとしたので、基板搬送部に液状体がこぼれている場合にそのまま基板の搬送及び液状体の塗布が行われるのを回避することができる。
【0025】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記塗布装置の起動毎、所定時間毎、所定枚数の前記基板を処理する毎又は前記液状体の塗布動作の間毎に前記検知を行うことを特徴とする。
本発明によれば、塗布装置の起動毎、所定時間毎、所定枚数の基板を処理する毎又は液状体の塗布動作の間毎に検知を行うこととしたので、適切なタイミングで吸引を行うことができる。
【0026】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記塗布装置は、前記複数の孔部に接続された流通路を備え、前記吸引の後又は前記吸引と同時に、前記流通路内に洗浄液を供給することを特徴とする。
本発明によれば、吸引の後又は吸引と同時に、複数の孔部に接続された流通路内に洗浄液を供給することとしたので、複数の孔部から吸引される吸引物(液状体を含む)を洗浄することができる。これにより、複数の孔部に吸引物が詰るのを回避することができる。吸引と同時に洗浄液を供給する場合には、吸引物と当該洗浄液とを併せて吸引することができるので、作業効率が向上することとなる。
【0027】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記洗浄液の供給後、前記流通路内を乾燥させることを特徴とする。
本発明によれば、洗浄液の供給後、流通路内を乾燥させることとしたので、湿度の高い気体が基板搬送部に供給されるのを防ぐことができる。また、湿度の高い気体が基板搬送部に供給されるのを防ぐことができることで、基板の汚染を防止することができる。
【0028】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記孔部における気体の噴出の状態及び前記吸引の状態を検出することを特徴とする。
本発明によれば、孔部における気体の噴出の状態及び吸引の状態を検出することとしたので、気体の噴出及び吸引の状態に異常がある場合に検知することができる。
【0029】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記検出の結果に基づいて、前記複数の孔部の復帰動作を行うことを特徴とする。
本発明によれば、検出の結果に基づいて、複数の孔部の復帰動作を行うこととしたので、気体の噴出及び吸引の状態に異常が無いと検出された場合に復帰動作を行わせることができる。このため、孔部から安定して気体を噴出することができ、また、安定した吸引を行うことができる。この復帰動作としては、例えば噴出モード並びに吸引モードの切り替え、噴出モードにおける気体の噴出量の調節及び吸引モードにおける吸引量の調節などが含まれる。
【0030】
上記の塗布装置のクリーニング方法は、前記検出の結果に基づいて、前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止することを特徴とする。
本発明によれば、検出の結果に基づいて、基板の搬送及び液状体の塗布を停止することとしたので、気体の噴出及び吸引の状態に異常がある場合には基板の搬送及び液状体の塗布を停止させることができる。このため、孔部から安定して気体を噴出することができない場合、また、安定した吸引を行うことができない場合に基板の搬送及び液状体の塗布が行われるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、作業効率を向上させることができ、作業スペースの省スペース化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4とを主要な構成要素としている。この塗布装置1は、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。
【0033】
図2は塗布装置1の正面図、図3は塗布装置1の平面図、図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。
【0034】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0035】
以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、図中の方向をXYZ座標系を用いて説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0036】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する部位であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24の上部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出孔25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出孔25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0037】
エア噴出孔25aは、搬入側ステージ25のステージ表面25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出孔25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出孔25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0038】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0039】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材を有しており、搬入ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0040】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置の裏面側に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0041】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。
処理ステージ27は、ステージ表面27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出孔27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引孔27bとが設けられている。これらエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。また、処理ステージ27の内部には、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部においてエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bに接続されている。
【0042】
処理ステージ27では、エア噴出孔27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出孔25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出孔27aが密に設けられている。このため、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。
【0043】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出孔28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置の裏面側に設けられており、例えばフレーム部24に支持されている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0044】
搬送機構23は、搬送機23aと、真空パッド23bと、レール23cとを有している。搬送機23aは内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機23aがレール23c上を移動可能になっている。
この搬送機23aは、所定の部分23dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるように配置されている。この基板Sに重なる部分23dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に設けられている。
【0045】
真空パッド23bは、搬送機23aのうち上記基板Sに重なる部分23dに複数配列されている。この真空パッド23bは、基板Sを真空吸着させる吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド23bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。各真空パッド23bは搬送機23aの上面からの高さ位置が調節可能になっており、例えば基板Sの浮上量に応じて真空パッド23bの高さ位置を上下させることができるようになっている。レール23cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在しており、当該レール23cを摺動することで搬送機23aが当該各ステージに沿って移動できるようになっている。なお、搬送機構23の各部の動作は、図示しない制御部によって制御されるようになっている。
【0046】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0047】
この門型フレーム31は移動機構31cに接続されており、X方向に移動可能になっている。この移動機構31cによって門型フレーム31が管理部4との間で移動可能になっている。すなわち、門型フレーム31に設けられたノズル32が管理部4との間で移動可能になっている。また、この門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0048】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支持部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。
【0049】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側(基板搬送方向の上流側)に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。保持部材45は、移動機構45aに接続されている。当該移動機構45aにより、収容部44がX方向に移動可能になっている。
【0050】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。これら予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43のY方向の各寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が各部位を跨いでアクセスできるようになっている。
【0051】
予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41はノズル32に最も近くに設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0052】
(処理ステージ)
図5は、基板処理部2の処理ステージ27のエア噴出機構・吸引機構の構成を示す図である。同図をもとにして、上記ステージのエア噴出及びエア吸引に関する構成を説明する。
【0053】
処理ステージ27には、エア噴出機構60と、吸引機構70と、制御部(制御手段)100とが設けられている。
エア噴出機構60は、ブロアー61と、バッファタンク62と、オートプレッシャーコントローラー(APC)63と、マニホールド64と、噴出圧監視ポート65とを有している。
【0054】
ブロアー61は、エア噴出機構にエアを供給するエア供給源であり、配管60aによってバッファタンク62に接続されている。エア供給源として、ブロアー61の代わりに工場などのエア供給ラインを接続してもよい。バッファタンク62は、例えば供給されるエアの温度が一定に保たれるように構成されており、配管60bによってAPC63に接続されている。
【0055】
APC63は、エアの供給量を調節するバタフライバルブ63aとコントローラ63bとが設けられている。マニホールド64は、配管60cによって処理ステージ27に接続されている。配管60cは、処理ステージ27側が分岐されており、当該分岐部分が上記の複数の溝の1つ1つにそれぞれ接続されている。したがって、APC63からのエアは、配管60c及び複数の溝を介してエア噴出孔27aから噴出されるようになっている。
また、マニホールド64は、配管60fによってAPC63に接続されている。なお、このマニホールド64が設けられない構成であっても良い。
【0056】
噴出圧監視ポート65は、配管60eによって処理ステージ27に接続されている。具体的には、配管60eが上記の複数の溝に接続されており、当該配管60e及び溝を介して噴出圧監視ポート65が処理ステージ27のエア噴出孔27aに接続されている。この構成において、配管60eは、当該複数の溝を介して配管60cに接続されていることになる。噴出圧監視ポート65は、上記の溝に圧力検知用のポートが設けられた構成になっており、この圧力検知用のポートによってステージ直下の気体圧力を検出可能になっている。噴出圧監視ポート65には圧力計66が設けられており、エア噴出孔27aから噴出されるエアの噴出圧が測定可能になっていると共に、測定結果が電線60dを介してAPC63内のコントローラ63bに送信されるようになっている。また、各配管60a〜配管60c及び配管60eには、各種バルブが設けられている。また、APC63とエア噴出孔27aとの間に圧力計を設けて、測定結果をAPC63内のコントローラ63bに送信するようにしても良い。
【0057】
吸引機構70は、ブロアー71と、オートプレッシャーコントローラー(APC)72と、ドレイン73と、マニホールド74と、吸引圧監視ポート75とを有している。ブロアー71、APC72、ドレイン部73、マニホールド74は、互いに配管70a〜70dによってそれぞれ接続されており、各配管70a〜70dには各種バルブが取り付けられている。なお、ブロアー71の代わりに工場などのエア吸引ラインを使用してもよい。
また、マニホールド74が設けられない構成であっても構わない。APC72は、エアの供給量を調節するバタフライバルブ63aとコントローラ72bとが設けられている。
【0058】
ドレイン部73は、バッファタンク73aと、排出管73bと、排出バルブ73cと、センサ(第1センサ)73dとを有している。バッファタンク73aは、処理ステージ27から吸引された吸引物を貯留するタンクである。排出管73bは、バッファタンク73bに貯留された貯留物を当該バッファタンク73aから排出するときの排出路である。排出バルブ73cは、排出管73bに取り付けられており、バッファタンク73a内に貯留された貯留物の排出のオン・オフを切り替えるバルブである。センサ73dは、バッファタンク73aに取り付けられており、バッファタンク73a内に吸引物が供給されたか否かを検出するセンサである。なおこのセンサ73cは、バッファタンク73a内の貯留物の量を検出可能にもなっている。センサ73dの検出結果(吸引物の有無、貯留物の量)は、制御部100へ送信されるようになっている。
【0059】
吸引圧監視ポート75は、配管70eによって処理ステージ27に接続されている。具体的には、配管70eが上記の複数の溝に接続されており、当該配管70e及び溝を介して吸引圧監視ポート75が処理ステージ27のエア吸引孔27bに接続されている。また、配管70eは、当該複数の溝を介して配管70dに接続されていることになる。吸引圧監視ポート75は、上記の複数の溝に圧力検知用のポートが接続された構成になっており、この圧力検知用のポートによって処理ステージ27の直下の気体圧力を検出可能になっている。吸引圧監視ポート75には圧力計76が取り付けられており、エア吸引孔27bによって吸引されるエアの吸引圧を測定可能になっていると共に、測定結果がAPC72内のコントローラ72bに送信されるようになっている。APC72とエア吸引孔27bとの間に圧力計を設けて、測定結果をAPC72内のコントローラ72bに電線(図中破線で示す)などを介して送信するようにしても良い。
【0060】
配管60fと配管70cとの間には切り替えバルブ80が設けられている。切り替えバルブ80は、エア噴出機構60とエア吸引機構70とを切り替え可能になっている。また、処理ステージ27には、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bからのエアの噴出量、吸引量を検出するセンサ27dと、当該エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bの内部に洗浄液を供給するための洗浄液供給部81とが設けられている。
【0061】
制御部100は、上記の当該エア噴出機構60及び吸引機構70の動作を統括的に制御する。例えば、ブロアー61及びブロアー71のオン・オフの切り替え可能になっている。また、ドレイン部73のセンサ73dから送信された貯留物の量に基づいてバルブ73cの開度を調節するようになっている。また、制御部100は、センサ73dから送信された吸引物の有無に関する検出結果に基づいて、エア噴出動作及び吸引動作を行ったり停止させたりするようにもなっている。
【0062】
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図6〜図9は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。図6〜図9には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0063】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に搬送機23aを配置させ、真空パッド23bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出孔25a、処理ステージ27のエア噴出孔27a、エア吸引孔27b及び搬出側ステージ28のエア噴出孔28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0064】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から図6に示す基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。そして、昇降ピン26bによって基板Sが持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。
【0065】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された搬送機23aの真空パッド23bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。基板Sの−Y方向側端部が吸着された状態を図6に示す。
【0066】
真空パッド23bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機23aをレール23cに沿って処理ステージ27へと移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機23aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール23cに沿ってスムーズに移動する。処理ステージ27では、エア噴出孔27aによるエア噴出に加えてエア吸引孔27bによるエア吸引が行われており、より高精度に浮上量が調整される。
【0067】
基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、図7に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機23aによって基板Sを搬送させながら行う。基板Sの移動に伴い、図8に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0068】
基板SにレジストRの塗布が行われる前に、架橋部材31bに取り付けられた2つのレーザセンサ33によって基板Sとノズル32の先端部とのZ方向上の距離(塗布ギャップ)を算出する。この算出結果に基づいて、当該塗布ギャップが予め設定された所定の値になるように、支持部材31aに設けられた移動機構によって塗布ギャップを調整する。塗布ギャップの算出の際には、レーザ射出部33aから基板Sに向けてレーザ光が射出され、基板Sの表面でレーザ光が反射されてレーザ受光部33bに入射する。処理ステージ27のステージ表面27cが光吸収材料である硬質アルマイトで覆われているため、レーザ光はステージ表面27cで反射することなく、基板Sの表面で反射された光のみがレーザ受光部33bに入射することになる。基板Sにレジストの塗布が行われる間、架橋部材31bに取り付けられた2つのレーザセンサ33によって基板SのY方向の両端部の浮上量をそれぞれ測定する。レーザ射出部33aから基板Sに向けてレーザ光が射出され、基板Sの表面でレーザ光が反射されてレーザ受光部33bに入射する。処理ステージ27のステージ表面27cが光吸収材料である硬質アルマイトで覆われているため、レーザ光はステージ表面27cで反射することなく、基板Sの表面で反射された光のみがレーザ受光部33bに入射することになる
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機23aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、図9に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。
【0069】
基板Sが基板搬出位置に到達したら、真空パッド23bの吸着を解除し、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。すると、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、搬送機23aを再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻し、次の基板Sが搬送されるまで待機させる。
【0070】
次の基板Sが搬送されてくるまでの間、塗布部3では、ノズル32の吐出状態を保持するための予備吐出が行われる。図10に示すように、移動機構31cによって門型フレーム31を管理部4の位置まで−X方向へ移動させる。
【0071】
管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、門型フレーム31の位置を調整してノズル32をノズル洗浄装置43にアクセスさせる。ノズル洗浄装置43では、ノズル32の開口部32a近傍に向けてシンナー等の洗浄液を吐出するとともに、必要に応じて窒素ガスをシンナーと同時にノズル32の開口部32aに吐出しながら、図示しない洗浄機構をノズル32の長手方向にスキャンさせることによって、ノズル32を洗浄する。
【0072】
ノズル32の洗浄後、当該ノズル32を予備吐出ユニット42にアクセスさせる。予備吐出ユニット42では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストRを予備吐出する。
【0073】
予備吐出の後、図11に示すように門型フレーム31を元の位置に戻す。次の基板Sが搬送されてきたら、図121に示すように移動機構32bによってノズル32をZ方向上の所定の位置に移動させる。このように、基板Sにレジスト膜Rを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジスト膜Rが形成されることになる。
【0074】
なお、必要に応じて、例えば管理部4に所定の回数アクセスする毎に、当該ノズル32をディップ槽42内にアクセスさせても良い。ディップ層42では、ノズル32の開口部32aをディップ槽42に貯留されたシンナー又はレジストの蒸気雰囲気に曝すことでノズル32の乾燥を防止する。
【0075】
上記の一連の吐出動作及び予備吐出動作の過程で、例えばノズル32からレジストRが処理ステージ27上にこぼれてしまうことが想定されうる。処理ステージ27上にこぼれたレジストRは、エア吸引孔27bから吸引機構70へ吸引される。吸引されたレジストRは、吸引機構70のバッファタンク73aに供給され、バッファタンク73aに取り付けられたセンサ73dによって検知される。このセンサ73dによってバッファタンク73a内にレジストRが供給された旨の検知結果が制御部100へ送信される。なお、レジストRがこぼれた際の検知手段として、噴出圧監視ポート65、吸引圧監視ポート75、吸引配管、及び噴出配管に備え付けの圧力計による圧力変化により検知することも可能である。
【0076】
制御部100は、これらの検知結果に基づいて、処理ステージ27上にレジストRがこぼれた旨を認識し、レジストRの吐出動作を停止させる。また、制御部100は、吸引機構70のブロアー71をシャットダウンさせる、又は、吸引機構70に設けられたバルブを閉状態にさせることで、吸引動作を停止させる。吸引動作を停止させた後、制御部100は、基板Sがノズル32の上流側に位置しているときにはそのまま基板Sの搬送を停止させる。基板Sがノズル32の直下に位置しているときには、当該基板Sの次に塗布する基板の搬送を停止させると共に、基板Sにエアを噴出させたまま搬送装置23によって処理ステージ27の外側(例えば搬入側ステージ25又は搬出側ステージ28)に退避させる。基板Sを処理ステージ27の外側へ退避させた後、制御部100は搬送装置23の動作を停止させ、噴出機構60のブロアー61をシャットダウンさせる。なお、ブロアー61及びブロアー71のシャットダウン、搬送装置23の動作停止のタイミングとしては、塗布装置1を起動する毎、所定時間毎、所定枚数の基板を処理する毎、レジストの塗布動作の間毎に行っても構わない。また、センサ73dから検知結果が送信される又は噴出圧監視ポート65等によって変化が検知される毎にシャットダウン、搬送動作停止を行うようにしても構わない。
【0077】
次に、制御部100は、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bの両方において吸引が行われる(吸引モード)ように切り替えバルブ80を切り替えて、エア吸引機構70のブロアー71を起動させる。このとき、洗浄液供給部81からエア噴出孔27a及びエア吸引孔27b内に洗浄液を供給して当該洗浄液と共に吸引動作を行う。このとき、バッファタンク73a内の貯留物の量が所定の量よりも多くなったときには、バルブ73cの開度を大きくしてバッファタンク73a内の貯留物を排出させるようにする。
【0078】
次に、制御部100は、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bを乾燥させる。具体的には、エア噴出機構60のブロアー61を起動させ、切り替えバルブ80をエア噴出機構60側及びエア吸引気候70側に交互に切り替えるようにする。切り替えバルブ80がエア噴出機構60側に切り替えられているときには、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bの両方からエアが噴出する(噴出モード)。切り替えバルブ80がエア吸引機構70側に切り替えられているときには、上記の吸引動作の吸引モードと同様にエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bの両方で吸引が行われる。噴出モードと吸引モードとを交互に切り替えることで、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27b内にエアを十分に流通させ、当該孔の内部が乾燥する。この乾燥動作においては、吸引モードを先に行い、その後噴出モードに切り替えることが好ましい。
【0079】
エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bが乾燥したら、上記噴出モード及び吸引モードにおけるエアの噴出量、吸引量を調節し、所定の噴出量及び吸引量に調節可能となった後、基板Sの搬送動作及びレジストRの塗布動作を行うようにする。噴出モード及び吸引モードのエアの噴出量、吸引量は、例えば処理ステージ27に設けられたセンサ27dの検出結果に基づいて調節する。
【0080】
このように、本実施形態によれば、エア吸引孔27a及びエア吸引孔27bから気体を噴出する噴出モードと、エア吸引孔27a及びエア吸引孔27bから吸引する吸引モードとを切り替えて行わせる制御部100とを備えることとしたので、処理ステージ27にレジストRがこぼれた場合には吸引モードに切り替えることでエア吸引孔27bに入り込んだレジストRを吸引することができる。このため、基板搬送部2を分解する必要が無く、分解のためのスペースも必要が無い。これにより、作業効率を向上させることができ、作業スペースの省スペース化を図ることができる。
【0081】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
塗布装置1の全体構成については、上記実施形態では、搬送機構23を各ステージの−Y方向側に配置する構成としたが、これに限られることは無い。例えば、搬送機構23を各ステージの+Y方向側に配置する構成であっても構わない。また、図12に示すように、各ステージの−Y方向側には上記の搬送機構23(搬送機23a、真空パッド23b、レール23c)を配置し、+Y方向側には当該搬送機構23と同一の構成の搬送機構53(搬送機53a、真空パッド53b、レール53c)を配置して、搬送機構23と搬送機構53とで異なる基板を搬送できるように構成しても構わない。例えば、同図に示すように搬送機構23には基板S1を搬送させ、搬送機構53には基板S2を搬送させるようにする。この場合、搬送機構23と搬送機構53とで基板を交互に搬送することが可能となるため、スループットが向上することになる。また、上記の基板S、S1、S2の半分程度の面積を有する基板を搬送する場合には、例えば搬送機構23と搬送機構53とで1枚ずつ保持し、搬送機構23と搬送機構53とを+X方向に並進させることによって、2枚の基板を同時に搬送させることができる。このような構成により、スループットを向上させることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、処理ステージ27において噴出モードと吸引モードとを切り替え可能な構成としたが、これに限られることは無く、例えば搬入側ステージ25及び搬出側ステージ28においても噴出モードと吸引モードとの切り替えを可能に構成しても構わない。
【0083】
また、上記実施形態では、センサ73dによってレジストRが処理ステージ27上にこぼれたか否かを検知する構成であったが、これに限られることは無く、例えば目視によってレジストRがこぼれたか否かを検知しても構わない。
【0084】
また、上記実施形態では、レジストRが処理ステージ27上にこぼれた際に塗布装置1を吸引モードにする手法を説明したが、これに限られることは無い。例えば、処理ステージ27上にこぼれたレジストRが少量である場合、塗布装置1を噴出モードにしてレジストRを吹き飛ばすようにしても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す斜視図。
【図2】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す正面図。
【図3】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す平面図。
【図4】本実施形態に係る塗布装置の構成を示す側面図。
【図5】本実施形態に係るエア噴出機構及び吸引機構の構成を示す図。
【図6】本実施形態に係る塗布装置の動作を示す図。
【図7】同、動作図。
【図8】同、動作図。
【図9】同、動作図。
【図10】同、動作図。
【図11】同、動作図。
【図12】本実施形態に係る他の塗布装置の構成を示す平面図。
【符号の説明】
【0086】
1…塗布装置 2…基板搬送部 3…塗布部 4…管理部 27a…エア噴出孔 27b…エア吸引孔 27d…センサ(第2センサ) 60…エア噴出機構 70…エア吸引機構 73d…センサ(第1センサ)80…切り替えバルブ 100…制御部 S…基板 R…レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備えた塗布装置であって、
前記基板搬送部に複数設けられ、気体の噴出及び吸引が可能な孔部と、
前記複数の孔部から気体を噴出する噴出モードと前記複数の孔部から吸引する吸引モードとを切り替えて行わせる制御手段と
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記孔部は、前記基板を浮上させるために気体の噴出及び吸引を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記基板搬送部のうち前記塗布部に対応する領域に設けられた前記孔部について、前記噴出モードと前記吸引モードとを切り替えて行わせる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記複数の孔部から吸引された吸引物を検知する第1センサを更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1センサによる検知結果に基づいて、前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止させる
ことを特徴とする請求項4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記複数の孔部から吸引された吸引物を貯留するバッファタンクを更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記バッファタンクに前記吸引物が所定の量以上貯留された場合に前記吸引物を排出させる
ことを特徴とする請求項6に記載の塗布装置。
【請求項8】
前記複数の孔部に接続された流通路と、
前記流通路に洗浄液を供給する洗浄液供給部と
を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項9】
前記流通路は、前記複数の孔部に気体を供給するための気体供給手段及び前記複数の孔部から吸引を行うための吸引手段に接続された配管であり、
前記気体供給手段及び前記吸引手段のうちいずれか一方が前記複数の孔部に接続されるように前記流通路に設けられたバルブを更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項10】
前記孔部における前記気体の噴出及び前記吸引の状態を検出する第2センサを更に備える
ことを特徴とする請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第2センサの検出結果に基づいて、前記複数の孔部の復帰動作を行わせる
ことを特徴とする請求項10に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記復帰動作は、前記噴出モード並びに前記吸引モードの切り替え、前記噴出モードにおける前記気体の噴出量の調節及び前記吸引モードにおける吸引量の調節を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第2センサの検出結果に基づいて、前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止させる
ことを特徴とする請求項10に記載の塗布装置。
【請求項14】
基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備えた塗布装置のクリーニング方法であって、
前記基板搬送部には、気体の噴出及び吸引が可能な孔部が複数設けられており、
前記基板搬送部の状態に応じて、前記複数の孔部において吸引を行う
ことを特徴とする塗布装置のクリーニング方法。
【請求項15】
前記複数の孔部から吸引される吸引物を検知する
ことを特徴とする請求項14に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項16】
前記検知の結果に基づいて前記吸引を行う
ことを特徴とする請求項15に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項17】
前記検知の結果に基づいて前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止する
ことを特徴とする請求項15に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項18】
前記塗布装置の起動毎、所定時間毎、所定枚数の前記基板を処理する毎又は前記液状体の塗布動作の間毎に前記検知を行う
ことを特徴とする請求項15から請求項17のうちいずれか一項に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項19】
前記塗布装置は、前記複数の孔部に接続された流通路を備え、
前記吸引の後又は前記吸引と同時に、前記流通路内に洗浄液を供給する
ことを特徴とする請求項14から請求項18のうちいずれか一項に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項20】
前記洗浄液の供給後、前記流通路内を乾燥させる
ことを特徴とする請求項19に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項21】
前記孔部における気体の噴出の状態及び前記吸引の状態を検出する
ことを特徴とする請求項14から請求項20のうちいずれか一項に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項22】
前記検出の結果に基づいて、前記複数の孔部の復帰動作を行う
ことを特徴とする請求項21に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項23】
前記復帰動作は、前記気体の噴出と前記吸引との切り替え、前記気体の噴出量の調節及び前記吸引の吸引量の調節を含む
ことを特徴とする請求項22に記載の塗布装置のクリーニング方法。
【請求項24】
前記検出の結果に基づいて、前記基板の搬送及び前記液状体の塗布を停止する
ことを特徴とする請求項21に記載の塗布装置のクリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−62146(P2009−62146A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231534(P2007−231534)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】