説明

外観検査装置

【課題】本発明は、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際、フロー半田槽に浮遊する半田の酸化物を付着しない、品質の良いプリント配線基板装置を提供することを課題とする。
【解決手段】プリント配線基板上に形成された貫通孔に電子部品のリード端子を挿入し、前記プリント配線基板をフロー半田槽に搬送することにより、前記電子部品のリード端子と、前記貫通孔の周囲のランドとを半田付け実装する際に用いる、プリント配線基板の半田付け用パレットにおいて、前記パレットの先端は、前記フロー半田槽に搬送する搬送方向に対し、略V字状に形成することを特徴とする。かかる構成により、電子部品をプリント配線基板に半田付け実装する際、フロー半田槽に浮遊する半田の酸化物が付着することが無く、品質の良いプリント配線基板装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性物質を発生する被検査対象物の外観を検査する、外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査対象物の上方から光を照射し、被検査対象物から反射した光を、被検査対象物の上方に設けたCCDカメラ等の撮像装置で撮像することによって、被検査対象物の外観を検査する技術が知られている。例えば、プリント配線基板(ベアボード)の表面にクリーム半田等を用いて半田付けした電子部品の半田付け状態を検査する外観検査装置である(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−292488号公報
【特許文献2】特開2008−026247号公報
【特許文献3】特開2008−032457号公報
【特許文献4】特開2008−051694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリント配線基板装置の外観検査工程は、リフロー等によってプリント配線基板に電子部品を半田付けする工程の直後の工程であるのが一般的である。このため、外観検査中、プリント配線基板の温度は室温よりも高いので、プリント配線基板に塗布または半田に含まれた揮発性物質であるフラックスが揮発する。この揮発したフラックスが、外観検査装置の光源や撮像装置に付着して、外観検査装置の良否判定に影響を与えるという問題がある。ここで、フラックスとは、松ヤニ等を成分とするもので、半田の特性を向上させるために含有させたものをいう。
【0005】
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたものであり、揮発性物質の発生の影響を受けない外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、揮発性物質を発生する被検査対象物に光を当てる光源と、被検査対象物から反射した光を受ける撮像装置と、揮発性物質が光源および撮像装置に当たらないように空気流を作るファンとを備えた外観検査装置に関する。
【0007】
本発明は、一般に市販されている外観検査装置に適用可能である。一般に市販されている外観検査装置は、まず、被検査対象物を位置決めステージに載置(セット)する。そして、光源を点灯させて被検査対象物に光を照射し、被検査対象物から反射した光を撮像装置で撮像する。そして、撮像装置により得た被検査対象物の全部または一部の画像データをA(アナログ)/D(デジタル)変換等してデジタルデータとしてコンピュータに入力する。コンピュータに入力されたデジタルデータは、コンピュータに予め記憶されている正規品(正常品)のデータと比較され、被検査対象物に付着した異物、異常等が発見される。
【0008】
本発明は、揮発性物質を発生するものを被検査対象物としている点が特徴である。つまり、本発明にかかる外観検査装置は、揮発性物質が光源および撮像装置に当たらないように空気流を作るファンを備えているため、揮発性物質を外観検査装置外へ排出することができ、被検査対象物から検査データを得るための重要なツールである光源および撮像装置が揮発性物質による影響を受けることが無い。このため、被検査対象物が揮発性物質を発生するものであっても、高精度に外観検査できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、揮発性物質を発生する被検査対象物を高精度に検査できる外観検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る外観検査装置の概略構成図(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明の一実施例を図1を用いて説明する。
図1は、本発明に係る外観検査装置の一例を示す概略構成図である。尚、図1は、説明を簡単にするため、本発明にかかる外観検査装置の主要な部分以外の図示を省略している。
【0013】
〔外観検査装置〕
図1に示すように、外観検査装置10は、被検査対象物1としてのプリント配線基板装置1を載置(セット)する位置決めステージ2を備えている。ここで、プリント配線基板とは、プリント配線基板(ベアボード)に電子部品等が実装されたものをいう。
【0014】
このステージ2は、電装ボックス6から電力の供給を受け、自動でプリント配線基板装置1を搬送または位置決め可能なものである。また、外観検査装置10は、プリント配線基板装置1に対して光を当てる光源3と、プリント配線基板1から反射した当該光を受ける撮像装置4と、撮像装置4により出力された画像データを入力するコンピュータ5と、プリント配線基板装置1から揮発する揮発性物質としてのフラックスを飛ばすファン7とを備えている。
【0015】
(光源)
光源3は、蛍光管またはLED等を採用でき、照明装置3aから電源の供給を受けてプリント配線基板装置1の表面または裏面を照射するものである。
【0016】
(撮像装置)
撮像装置4は、CCDカメラ、ラインセンサ等からなり、光源3から出た光がプリント配線基板装置1に当たって反射した光を撮像して、プリント配線基板装置1の表面の一部または全体の画像をアナログデータまたはデジタルデータとして出力するものである。例えば、プリント配線基板装置1が一個の表示デバイスである場合には、撮像装置4は、プリント配線基板装置1の全体を撮像する。また、プリント配線基板装置1を複数に分割して複数の表示デバイスを作成する場合には、分割した個々の表示デバイスを撮像する。撮像装置4として、CCDカメラを使えば、撮像した画像をデジタルデータとして直接コンピュータに出力することができる。本実施例では、撮像装置4は、橋脚4aに取り付けられており、上方よりプリント配線基板装置1を撮像する。
【0017】
(コンピュータ)
コンピュータ5は、撮像装置4から出力された画像をデジタルデータとして入力および記憶し、当該デジタルデータを解析して、プリント配線基板装置1の良否判定をするものである。コンピュータ5は、モニタやキーボードを備えたパーソナルコンピュータであっても良い。
【0018】
コンピュータ5による画像データの解析により、プリント配線基板装置1の表面に付着した異物、半田付けされた電子部品のリード端子の浮き不良等の有無を判断することができる。尚、浮き不良とは、パッドやランドに対してリード端子が電気的に接続されていない状態をいう。
【0019】
コンピュータ5の本体内部にはCPU、メモリ、ハードディスク等が格納されている。コンピュータ5は、撮像装置4から逐次出力される画像をデジタルデータとしてハードディスクなどに記憶する機能と、蓄積されたデジタルデータを解析し、良否判定する機能を備えている。具体的には、被検査対象物の表面に付着した異物の個数を数える機能と、当該異物の個数を予め定めた基準個数と比較してプリント配線基板装置1の良否判定等する。
【0020】
(ファン)
ファン7は、プリント配線基板装置1から揮発するフラックスが光源3および撮像装置4に当たらないように、空気流を作るものである。本実施例1においては、プリント配線基板装置1と、光源3および撮像装置4の間にファン4から出た空気が流れるように、ファン4はプリント配線基板装置1の近傍に設けられている。
【0021】
プリント配線基板装置1から揮発するフラックスは人体に有害であるため、実際には、少なくともステージ2、光源3および撮像装置4は図示しないカバーで囲まれている。このため、ファン7による空気流にのったフラックスは、ファンダクト8を通じてカバーの外へ排出されるので、フラックスが光源3および撮像装置4に付着することがない。またカバーの内部もフラックスで汚れることが少ない。
【0022】
本発明に係る外観検査装置10は、被検査対象物としてのプリント配線基板装置1の外観検査を高い確度で実施できる。
【0023】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。
【0024】
例えば、前記した実施例においては、ファンの個数を1台としたが、複数でも良い。また、ファンは、被検査対象物から発生する揮発性物質を光源および撮像装置に当てない空気流を作ることのできる場所であれば、被検査対象物の近傍に設ける必要は無い。
【0025】
また、前記した実施例においては、撮像装置4および光源3は、被検査対象物の上方に配設した構成を例示したが、被検査対象物の下方に配設する構成でもよく、撮像装置4または光源3の一方を被検査対象物の上に、他方を被検査対象物の下に配設する構成でも良い。撮像装置4と光源3を上下両方に構成したものでも良い。
【0026】
また、前記した実施例においては、光源3および撮像装置4を固定したものを示したが、撮像装置4および光源3がXY(2軸)ロボット等に載せられ、プリント配線基板装置1を検査できるものであっても良い。また、光源3として、赤色LED、白色LED、青色LED、ハロゲンランプ等であっても良い。コンピュータ5による浮き不良の検出手段として、再反射光を光の三原色に分解して、各色の濃淡度合いを良品の場合の基準データと比較して良否判断するものや、電子部品のリード端子の長さやパッドの長さによって良品の検査基準が変わるので、輝度のみで良否判断しても良い。すなわち、再反射光の分析および良否判断は、公知の任意の手法を用いて設定可能である。
【0027】
また、本発明は、請求項1に係る発明を第1発明とすると、以下のように把握できる。
(第2発明)
第2発明に係る外観検査装置は、電子部品が実装されたプリント配線基板に光を当てる光源と、該プリント配線基板から反射した前記光を受ける撮像装置と、 該プリント配線基板からの揮発性物質が前記光源および前記撮像装置に当たらないように空気流を作るファンとを備えたものである。
【0028】
かかる構成により、前記した第1発明と同じの効果を得ることができ、プリント配線基板装置の外観検査の良否判定を損なうことはなく、高精度に外観検査を行うことができ、しいては、品質の良いプリント配線基板装置を製造、提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る外観検査装置は、揮発性物質を発生する被検査対象物の外観検査をする際に用いられる。
【符号の説明】
【0030】
1…被検査対象物(プリント配線基板装置)、2…載置部(ステージ)、
3…光源、3a…照明装置、4…撮像装置(CCDカメラ)、4a…橋脚、
5…コンピュータ、6…電装ボックス、7…ファン、8…ファンダクト
10…外観検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性物質を発生する被検査対象物に光を当てる光源と、
該被検査対象物から反射した前記光を受ける撮像装置と、
前記揮発性物質が前記光源および前記撮像装置に当たらないように空気流を作るファンとを備えた外観検査装置

【図1】
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【公開番号】特開2010−122228(P2010−122228A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−293699(P2009−293699)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【Fターム(参考)】