対象検査システムおよび方法
【解決手段】対象の検査方法およびシステムは、対象表面上の望まれないパーティクルを検出するための分光技術の使用を含む。この技術は、望まれないパーティクルと検査対象とが異なる材料により形成されることによる、検査対象と比較したときの望まれないパーティクルの異なる応答に基づく。対象の表面からの二次光子放出の時間分解分光法および/またはエネルギ分解分光法を使用することにより、ラマンおよび光ルミネッセンススペクトルを得ることができる。検査対象は例えばリソグラフィプロセスで使用されるパターニングデバイス、例えばレチクルであってもよい。その場合、例えば金属、金属酸化物、または有機物のパーティクルの存在が検出されうる。この方法および装置は高感度であり、例えばEUVレチクルのパターン形成された側の小さなパーティクル(100nm弱、特に50nm弱)を検出することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2009年8月4日に出願された米国仮出願(61/231161)の優先権の利益を享受する。その仮出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明の実施の形態は主に対象検査システムおよび方法に関し、特にリソグラフィの分野における対象検査システムおよび方法に関する。その場合、検査対象は例えばレチクルや他のパターニングデバイスでありうる。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィは集積回路(ICs)や他のデバイスおよび/または構成の製造における重要なステップのひとつとして広く認知されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型のICや他のデバイスおよび/または構成を製造可能とするためのよりクリティカルな要素となってきている。
【0004】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分、に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えばICの製造に用いられる。この場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成されるべき回路パターンを作成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウエハ)上のターゲット部分(例えば1つまたは複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は典型的には、基板に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層へのイメージングを介して行われる。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的にパターン形成される。
【0005】
現行のリソグラフィシステムは、非常に小さなマスクパターンフィーチャを投影する。レチクルの表面上に現れる埃や外来の微粒子状物質は結果としての製品に悪影響を与えかねない。リソグラフィプロセスの前や途中にレチクルの上に微粒子状物質が堆積すると、基板に投影されるパターンのフィーチャが歪む可能性がある。したがって、フィーチャのサイズが小さいほど、レチクルから取り除くことが重要となるパーティクルのサイズも小さくなる。
【0006】
レチクルと共にペリクルがよく使用される。ペリクルは、レチクルの表面の上方でフレーム上で引き伸ばされうる薄い透明な層である。ペリクルは、レチクル表面のパターン形成された側にパーティクルが到達するのを防ぐために使用される。ペリクル表面上のパーティクルは焦点面から離れており、露光されているウエハ上にイメージを形成するものではないにしても、依然としてペリクル表面をできる限りパーティクルのない状態としておくことが望ましい。
【0007】
パターン印刷の限界の理論的な見積もりは、解像度に関するレイリー基準によって式(1)に示されるように与えられる。
【数1】
λは使用される放射の波長であり、NAPSはパターンを印刷するのに使用される投影システムの開口数であり、k1はプロセス依存の調整要素でありレイリー定数とも呼ばれ、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。式(1)から以下のことが言える。3つの方法、すなわち露光波長λを短くすることによって、または、開口数NAPSを増やすことによって、または、k1の値を減らすことによって、印刷可能なフィーチャサイズの最小値を低減できる。
【0008】
露光波長を短くしそれによって印刷可能な最小サイズを低減するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射源は典型的には約5−20nm、例えば13.5nmや約13nmの放射波長を出力するよう構成される。したがって、EUV放射源は小さなフィーチャの印刷を達成するための重要なステップを構成しうる。そのような放射は極端紫外または軟X線と称され、可能なソースは例えばレーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、リソグラフィのあるタイプ(例えば、大抵の極端紫外線(EUV)リソグラフィプロセス)については、ペリクルは使用されない。レチクルがカバーされない場合、レチクルはパーティクル汚染されやすくなる。レチクルがパーティクル汚染されると、リソグラフィプロセスにおいて不良が発生しうる。EUVレチクル上のパーティクルは、結像不良の主な原因のひとつである。EUVレチクル(またはペリクルが使用されない他のレチクル)は、有機および無機のパーティクル汚染にさらされやすい。約20nm程度のパーティクルサイズであってもウエハに致命的な結果を生じさせ、歩留まりをゼロとする可能性がある。
【0010】
EUVレチクルを露光位置に動かす前にEUVレチクルを検査しきれいにすることは、レチクルハンドリングプロセスの重要な一面となりうる。典型的には、検査の結果汚染が疑われる場合または履歴統計ベースで、レチクルをきれいにする。
【0011】
典型的には光学技術を使用してレチクルを検査する。しかしながら、パターンはパーティクルと全く同じように光を散乱させる。レチクル表面のパターンは任意(すなわち、非周期的)であり、したがって単純に散乱光を解析するだけではパーティクルとパターンとを区別することができない。これらの光学技術では、ダイツーダイ(die-to-die)にしろダイツーデータベース(die-to-database)にしろ、常に基準が要求される。さらに、既存の検査ツールは高価であり比較的低速である。
【0012】
例えばJP2007/258567やJP11304717に見られるように、光ルミネッセンス(PL)信号の有無を欠陥の存在を示すものとして使用することが提案されている。しかしながら、これらの技術においてパーティクルの検出能力を改良することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
対象検査システムが提供される。このシステムは高速で動作することができ、例えば100nm以下や50nm以下や20nm以下の小さなサイズのパーティクルを検出できる。リソグラフィ装置で使用される、レチクルなどのパターニングデバイスのパターン形成された側に存在するパーティクルを検出できる技術が提供される。
【0014】
本開示の第1の態様によると、対象の検査方法が提供される。この方法は、対象を放射ビームで照らすことと、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む。
【0015】
本開示の第2の態様によると、対象の検査装置が提供される。この装置は、対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む。
【0016】
本開示の第3の態様によると、対象の検査装置を備えるリソグラフィ装置が提供される。検査装置は、対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む。
【0017】
本開示の第4の態様によると、コンピュータにおいて実行された場合、そのコンピュータが第1の態様の方法で使用されるデータ解析方法を実行できるようにするインストラクションを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0018】
添付の図面を参照して以下に、本発明のさらなる特徴および利点が本発明の種々の実施の形態の構成および動作と共に詳述される。本発明は本明細書で説明される特定の実施の形態に限定されないことを注意しておく。そのような実施の形態は本明細書では例示のみを目的として提示される。本明細書に含まれる教示に基づいた追加的な実施の形態は、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成しており、本発明を説明し、さらに詳細な説明と共に本発明の原理を説明するのに役立ち、また当業者が本発明を利用することを可能にするものである。本発明の実施の形態は、例示のみを目的とし、添付の図面を参照して説明される。
【0020】
【図1】汚染パーティクルを伴うEUVレチクルを示す図である。
【0021】
【図2】種々のタイプのプロセスおよびパーティクルの典型的な二次放出スペクトルを示す図である。
【0022】
【図3】シリコン基板上の種々のAl2O3サンプルの光ルミネッセンススペクトルを示す実験結果を示す図である。
【0023】
【図4】ポリスチレンラテックス(polystyrene latex)サンプルおよびAl2O3サンプルからの光ルミネッセンススペクトルを示す実験結果を示す図である。
【0024】
【図5】レーザ線、Al2O3サンプルについてのラマンシフトおよび金属表面からの表面増強ラマン散乱(SERS)を示す実験結果を示す図である。
【0025】
【図6】ポリスチレンラテックスサンプルおよびAl2O3サンプルの時間領域応答を示す実験結果を示す図である。
【0026】
【図7】本発明の実施の形態に係る、対象の検査のための概括的な装置を示す図である。
【0027】
【図8】対象の法線入射検査のための構成を示す図である。
【0028】
【図9】影効果および2つの異なる方向からの照射を使用したその解法を示す図である。
【0029】
【図10】4つの異なる方向からの対象の照射および輪帯ビームによる対象の照射を示す図である。
【0030】
【図11】「多ビーム(multibeam)」構成を示す図である。その構成では、複数の方向から放射が対象に入射する。
【0031】
【図12】図11の多ビーム構成で使用される光学要素を示す図である。
【0032】
【図13】欠陥検出の位置精度を向上させるために、領域を副次標本化する方法を示す図である。
【0033】
【図14】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第1例を示す図である。
【0034】
【図15】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第2例を示す図である。
【0035】
【図16】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第3例を示す図である。
【0036】
【図17】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第4例を示す図である。
【0037】
【図18】本発明の実施の形態に係る反射型のリソグラフィ装置を示す図である。
【0038】
【図19】本発明の実施の形態に係る透過型のリソグラフィ装置を示す図である。
【0039】
【図20】本発明の実施の形態に係る例示的なEUVリソグラフィ装置を示す図である。
【0040】
図面と共に以下の詳細な説明によって、本発明の特徴および利点がより明らかとなるであろう。図面では一貫して、類似の参照符号は対応する要素を示す。図面では、類似の参照番号は一般に、同一の、機能的に類似する、および/または構造的に類似する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施の形態は、対象検査システムおよび方法を指向する。本明細書は本発明の特徴を組み入れた1つまたは複数の実施の形態を開示する。開示された実施の形態は本発明の例示にすぎない。本発明の範囲は開示された実施の形態には限定されない。本発明は添付の請求項により定義される。
【0042】
説明される実施の形態および本明細書において「一実施の形態」、「実施の形態」「例示的な実施の形態」などと指し示されるものは、説明される実施の形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでいてもよいが、すべての実施の形態がその特定の特性、構造、または特徴を必ずしも含んでいなくてもよいことを表す。さらにまた、そのようなフレーズは必ずしも同じ実施の形態を指すものではない。さらに、特定の特性、構造、または特徴を実施の形態に関して説明するとき、明示的に説明しようがしまいが、他の実施の形態に関してそのような特定の特性、構造、または特徴を作用させることは、当業者の知識の範囲内であるとして理解すべきである。
【0043】
本発明の実施の形態または本発明の種々のコンポーネント部分の実施の形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態または本発明の種々のコンポーネント部分の実施の形態はまた、一つ以上のプロセッサにより読み込まれ、実行される機械読み取り可能媒体に記憶されたインストラクションとして実現されてもよい。機械読み取り可能媒体は、機械により読み取り可能な形式の情報を記憶または伝送するメカニズムを含んでもよい(例えば、コンピュータデバイス)。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気ディスク記憶媒体;光記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号)などを含んでもよい。さらに、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、インストラクションは、特定の動作を実行できるものとして、ここで説明されてもよい。しかしながら、このような説明は、単に便宜上のためだけであり、このような動作は、実際は、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、インストラクションなどを実行するコンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、その他のデバイスによって生じるものであると理解すべきである。
【0044】
以下の説明は、対象上のパーティクルの検出を可能とする対象検査方法およびシステムを示す。検査対象は例えば、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを生成するためのリソグラフィパターニングデバイスであってもよい。例示的なパターニングデバイスは、マスク、レチクル、または動的パターニングデバイスを含む。このシステムを使用できるレチクルは、例えば、周期的なパターンを伴うレチクルおよび非周期的なパターンを伴うレチクルを含む。レチクルは、例えばEUVリソグラフィやインプリントリソグラフィなどの任意のリソグラフィプロセス内で使用されうる。
【0045】
図1は、典型的なEUVレチクル100の断面図である。EUVレチクル100は基板102と多層コーティング104とパターン層106とを含む。図はパーティクル108、110および112をも示す。これらのパーティクルはレチクル100の一部ではなく、ある状況でレチクル100に吸着したかまたは堆積されたものであってもよい。
【0046】
リソグラフィ装置は複雑であり多くの異なる材料を使用するので、原則的には任意のタイプのパーティクルがレチクル100上に堆積しうる。パーティクルは導電性を有しうるか、または絶縁的でありうる。パーティクルは任意の形状またはサイズを有しうる。パーティクルは導電性コーティング104またはパターン層106に堆積しうる。堆積しうるパーティクルの例示的なタイプは、有機物のパーティクル、金属のパーティクルおよび金属酸化物のパーティクルを含む。
【0047】
ある例示的な実施の形態では、レチクル100はEUVレチクルであってもよい。このEUVレチクルは、クォーツまたは他の低熱膨張材料により形成される基板102と、モリブデンの層とシリコンの層とを交互に含む反射性多層コーティング104と、を含む。多層コーティング104は例えば数十層を含んでもよく、ある例では約200nmの厚さを有しうる。キャッピング層(不図示)は多層の上層に設けられてもよい。このキャッピング層は例えばルテニウムやシリコンにより形成されてもよい。
【0048】
パターン層106はレチクル100のパターンを決める。EUVレチクルの場合、パターン層106はアブソーバ層である。同様に、EUVレチクルの多層104は反射性である。
【0049】
EUVレチクルのパターン層106は例えば、窒化タンタル(TaN)またはTaNOから形成されてもよい。アブソーバの高さは一例では約70ナノメートルであってもよい。アブソーバは、約100nmの幅(これは、リソグラフィシステムのクリティカルディメンジョン(CD)の約4倍であり、このスケーリングはウエハとレチクルとの間の縮小係数によるものである)を有してもよい。
【0050】
パターン層により決められるパターンは原則として任意でよく、ラインや接触孔や周期的パターンや非周期的パターンから構成されてもよい。
【0051】
固体の表面に電磁放射が入射した場合、通常の放射の反射に加えて、光子の二次放射が生じる。固体の表面における二次光子放射には主に3つのプロセスが存在する。すなわち、光ルミネッセンス(PL)と、非弾性光散乱プロセス(例えば、ラマン散乱や表面増強ラマン散乱(SERS))と、弾性光散乱と、である。これらの現象のそれぞれの効率は、関係する材料のタイプに依存する。
【0052】
リソグラフィ装置で使用されるレチクルなどのパターニングデバイスの表面に集まるパーティクルの材料は一般に、パターニングデバイスを形成する材料とは異なるであろう。本発明者らはラマン分光技術を使用して異なる材料の異なる応答を解析した。図2には典型的な二次放出スペクトルが示される。図2では、x軸に波長(ここではエネルギシフトE0−Eで示される)を任意の単位で示し、それに対してy軸に強度Iを任意の単位でプロットしている。図2は、最初のレーザパルス200、既知のミー散乱(202)、レイリー散乱(204)およびブリルアン散乱(206)を示す。加えて、図2は、典型的なラマンスペクトル208、巨大ラマンスペクトル210および典型的な有機物のパーティクルおよび典型的な金属酸化物についての光ルミネッセンススペクトル212、214を示す。
【0053】
パターンからの主たる散乱信号はミー散乱(202)、レイリー散乱(204)およびブリルアン散乱(206)であり、これらはレーザと同じ波長にあり、したがって容易にフィルタにより除去できる。このアプローチでは、アブソーバからのラマンスペクトルは実際の所「ノイズ」となるであろう。パーティクルからの信号は、巨大ラマンスペクトル(210)、有機物の光ルミネッセンススペクトル(212)または金属酸化物光ルミネッセンススペクトル(214)のいずれかによって与えられるであろう。
【0054】
本技術の産業上の利用可能性をさらに示すため、シリコンウエハ上の汚染の光ルミネッセンスが調査された。
【0055】
PSL(ポリスチレンラテックス)のサンプル、Al2O3のサンプルおよびFe2O3のサンプルの室温における光ルミネッセンス(PL)スペクトルが調査された。サンプルは、220−500nmのスペクトル範囲における光学パラメータ式発振器(OPO)の放射によって励起された。放射は光学スペクトロメータによって解析され検出された。この光学スペクトロメータは、広帯域単一分散回折スペクトログラフ/モノクロメータに基づく。このモノクロメータは、CCDイメージディテクタおよび時間相関単一光子計数システムを備える。検出スペクトル帯域は200−1100nmの範囲に制限された。
【0056】
Al2O3の3つのサンプルが用意された。ひとつは約10nmの厚さを有する層であり、ひとつは約2nmの厚さを有する層であり、ひとつはシリコンウエハ上にAl2O3のドットを堆積したサンプルである。ドットを堆積したサンプルのドットの推定密度は約106cm−1であった。サンプルは、室温でパワー密度15kW/cm2の430nmの励起に曝された。
【0057】
図3は、Al2O3サンプルのそれぞれについて、x軸に波長λを示し、それに対してy軸に光ルミネッセンス強度Iをプロットしたものを示す。グラフ302は2nm層についての結果を示し、グラフ304は10nm層についての結果を示し、グラフ306はシリコンウエハ上に堆積したAl2O3のドットを伴うサンプルについての結果を示す。図3に見られるように、Al2O3のサンプルは693nmおよび695nmにCr3+イオンの特定の放射を示す。この放射の強度は、Al2O3にバックグラウンド不純物として含まれているCrイオンの密度によって決定される。
【0058】
第2の実験では、223nmのUV励起の下でPSLサンプルからの放射が広スペクトル帯域で検出された。サンプルは52kW/cm2のパワー密度に0.2秒間曝された。図4にはその結果が示されている。図4では、x軸に波長λを示し、それに対して対数表示のy軸に光ルミネッセンス強度Iを任意の単位でプロットしている。PSLについてのレーザ励起波長402が示されており、グラフ404はPLサンプルの光ルミネッセンスについての結果を表している。
【0059】
図4にはさらなる実験の結果も示されている。Al2O3についてのレーザ励起波長406が示されており、グラフ408はAl2O3サンプルの光ルミネッセンスについての結果を表している。データはグラフ間で強度軸において比較可能とはなっていない。
【0060】
図5にはさらなるラマンシフト実験の結果が示されている。図5では、x軸にラマンシフトRをナノメートルの単位で示し、それに対してy軸に光ルミネッセンス強度Iを毎秒のカウント数の単位でプロットしている。励起レーザライン502が示されており、グラフ504はAl2O3サンプルについてのラマンシフトの結果を表す。グラフ506は、金属表面に起因する表面増強ラマン散乱(SERS)を表す。
【0061】
図6にはさらなる時間領域実験の結果が示されている。図6では、対数表示のx軸に時間tを秒の単位で示し、それに対して対数表示のy軸に光ルミネッセンス強度Iを任意の単位でプロットしている。励起レーザ応答602は左側に示され、グラフ604は散乱応答を表す。グラフ606は、PLサンプルの光ルミネッセンスについての時間領域における結果を表す。グラフ608は、Al2O3サンプルの光ルミネッセンスについての時間領域における結果を表す。データはグラフ間で強度軸において比較可能とはなっていない。
【0062】
この方法では、紫外線波長などの所定の波長でのピコ秒レーザパルスなどの短いレーザパルスがプローブとして使用される。散乱された光および放出された光は後述のように集められ解析される。パターンからの信号の大部分はプローブの波長と同じ波長の散乱光と等価であり、したがって容易にフィルタで除去できる。
【0063】
プローブレーザパルスの波長の近くの波長を見ることによって、ラマンスペクトルを記録することができ、またより広い波長範囲を見ることによって、表面の光ルミネッセンスを記録することができる。
【0064】
パーティクルの材料が検査対象の材料と異なる状況では、パーティクルが存在する場合、光ルミネッセンスおよびラマンスペクトルの一方または両方において、対象の表面からの二次放出のスペクトルとは異なる二次放出のスペクトルが放出されるであろう。異なる分光的応答はパーティクルの存在を決定するための基礎を提供する。
【0065】
予期せぬまたは異なる分光的応答の存在は、それ自体、パーティクルの有無を決定するためのテストとして使用されうる。これは、対象をパーティクル汚染がないものとして通過させる際に第1に注目すべきことである。しかしながら、代替的な実施の形態では、取得されたスペクトルについてのさらなる情報を使用して、少なくともパーティクルのタイプを特定することができ、さらにはパーティクルを形成する具体的なひとつ以上の材料を特定することができる。
【0066】
したがって、エネルギ領域での分光解析を使用してレチクル表面上のパーティクルの検出を行うことができることが分かる。
【0067】
また、パーティクルを検出するために、対象の表面からの二次光子放出の時間分解分光法を行うことができる。「時間分解分光法」という用語は、一般に時間領域における信号の解析を指しており、代替的には「時間分解測定」と称される。対象はリソグラフィ装置で使用されるパターニングデバイスであってもよく、例えばレチクルであってもよい。時間分解分光法はエネルギ分解分光法を代替するものとして使用されてもよいし、それら2つの技術は組み合わせで使用されてもよいし、それら2つの技術は同時に使用されてもよいし任意の順序で順番に使用されてもよい。
【0068】
散乱光および放出光は時間領域において集められ、解析されうる。ラマンスペクトルおよび光ルミネッセンススペクトルの両方について時間分解測定が可能である。ラマンスペクトルの場合、時間分解能は典型的には非常に速い。例えばピコ秒のオーダーである。光ルミネッセンスのプロセスは同様の短い時間スケールで生じうる。またはそのプロセスはマイクロ秒やミリ秒などのより長い時間に亘って生じうる。
【0069】
パーティクルは時間領域における所定の応答を示すであろう。この応答は、対象のパーティクルがない領域の時間領域における応答とは異なる。例えば、有機物のパーティクルを、長い時間スケールの光ルミネッセンス放出(ミリ秒のオーダー)によって特定することができる。金属酸化物を、光ルミネッセンススペクトルにおける強いライン(測定信号はAl2O3中のCr3+イオンなどの金属酸化物中の不純物から導かれる)およびマイクロ秒スケールの光ルミネッセンス放出によって特定できる。一方、金属のパーティクルからの時間変動する放出は、高時間分解能技術によって検出されうる。
【0070】
図2に示されるエネルギ領域のスペクトルもまた時間と共に変わる。
【0071】
エネルギ分解分光法および時間分解分光法の一方または両方は、オプションで、ノイズ低減技術を使用することによりさらに強化されうる。
【0072】
第1の例では、ノイズ低減技術は相互相関技術または自己相関技術を含みうる。
【0073】
これらの技術は所望の信号をノイズの多いバックグラウンドから選別するために使用されうる。レチクルの中に見出される種々の材料のためにレチクルが示す光子的応答は複雑となるので、これらの技術を使用すると有利となりうる。
【0074】
相関関数G(τ)は以下のように定義される。
【数2】
この式では、I(t)およびJ(t)は時間に依存する信号である。G(τ)は、I(t)およびJ(t)が同じ信号であれば自己相関関数と呼ばれ、I(t)とJ(t)とが異なる信号であれば相互相関関数と呼ばれる。
【0075】
サンプル時間間隔のうちのある時間間隔Δtの間の相関関数の値の変化が小さい場合はいつでも、デジタル相関器は真の相関関数に対するよい近似を与える。デジタル相関関数は以下で与えられる。
【数3】
【0076】
式3において、G(kΔτ)はk番目のチャネルの相関関数を表し、nkはシフトレジスタの各ステージの内容が対応する相関関数メモリチャネルに加えられる回数を表し、
【数4】
は、シフトレジスタに保持される数である。
【0077】
本システムの実施の形態において、レーザの安定性の変動のような望まれない影響をフィルタして除去するために相互相関が使用される。
【0078】
一般に、広帯域信号の自己相関は、その信号のパワースペクトルの単純なフーリエ変換である。しかしながら、本開示では、自己相関によって、マルコフ的な光反射に関連するプロセスを非マルコフ的な散乱光に起因するプロセスから分離することができる。
【0079】
ノイズ低減技術の第2の例では、カオス理論によって開発されたツールキットが使用されうる。この技術は所望の信号をノイズの多いバックグラウンドから選別するために使用されうる。レチクルの中に見出される種々の材料のためにレチクルが示す光子的応答は複雑となるので、この技術を使用すると有利となりうる。
【0080】
CCDなどのセンサをレチクルの表面に亘って動かすと、そのセンサはレチクルの周波数分解空間イメージを生成する。生じうる汚染の特徴的な光子的シグネチャについて経験的に集められたデータに基づいて、相関器は周波数についてデータを再選択し、関心のある時間間隔を再選択することができる。データに対してウェーブレット解析を行うことができ、それにより、アトラクタを再構築するためにカオス理論の原理を使用することができるようになる。このようにして得られたアトラクタを、汚染物に関連するアトラクタのライブラリと比較することができる。対応するかまたはよく似ている場合、レチクルは汚染されていると見なされる。
【0081】
ラマン放出およびPLの両方が非マルコフプロセスであり顕著なメモリを有する(すなわち、これらのプロセスは光を放出する対象の履歴に強く依存する)ので、このアプローチは上手くいく。
【0082】
図7は、上述の方法すなわちエネルギ分解分光または時間分解分光もしくはその両方を行うための例示的な装置を示す。この具体的なセットアップは本発明の動作原理をよりよく理解するための例として挙げられることは理解されるべきである。当業者であれば同様の機能を実現する多くの代替的な構成を想起しうることは理解されるであろう。
【0083】
図7では、レーザ源700が設けられる。レーザ源700はオプションでチューナ702と共に動作しうる。チューナ702はプローブビームのために最も良い波長を選択するのに使用されうる。レーザプローブビームは、検査対象を保持するサンプルステージ704に入射する。サンプルステージ704からの反射光および/または散乱光は光学システム706を通過し、スペクトロメータモジュール708によって処理される。スペクトロメータモジュール708は放射ディテクタを含んでもよい。放射ディテクタはゲートCCDなどの電荷結合素子(CCD)であってもよい。
【0084】
ある実施の形態では、光学システム706はビームスプリッタおよび他の光学要素を含んでもよい。ビームスプリッタおよび他の光学要素は、サンプル704からのビームを2つの光路またはブランチに分ける。後述されるように、スペクトロメータモジュール708は、第1ブランチを解析するための第1スペクトロメータと、第2ブランチを解析するための第2スペクトロメータと、それら2つのブランチの相関を実行する相関器と、を含む。
【0085】
あるいはまた、スペクトロメータモジュール708内の単一のスペクトロメータによって単一のブランチが解析されてもよいし、追加的な解析のために2より多いブランチが提供されてもよい。
【0086】
レーザ源700の出力はスペクトロメータモジュール708に時間参照信号として与えられる。スペクトロメータモジュール708からの(または、対応する放射ディテクタからの)データはコンピュータ712に与えられる。
【0087】
コンピュータ712はサンプルステージ704と通信し、サンプルステージを動かす等の機能を実現する。
【0088】
図7における種々のコンポーネント間の接続は、光路や論理リンクやデータリンクなどのうちの適切なものを表しうる。
【0089】
さらに、自己相関や相互相関を行うためにシステムに相関器を追加してもよい。(後述の図8および図9と共に)図7の例では、相関器への入力は例えばスレーブゲートCCDおよびマスタゲートCCDを含んでもよい。これらのCCDのそれぞれは、信号をスペクトル的に事前選択するためにモノクロメータを備える。相互相関器は、マスタCCDから所定の信号を集めた後、スレーブCCDの信号の収集を開始してもよい。
【0090】
上述の通り、図7は模式的な説明を与えるのみである。図は放射がサンプルステージ704に斜めに入射することを示しているが、これは説明を容易にするためだけにそうなっていると理解されたい。ある実施の形態では、入射放射は実際斜めに入射する。しかしながら、代替的な実施の形態では、放射は法線入射でサンプルステージ704に入射しうる。このタイプの構成は、検査対象の表面に存在する溝内のパーティクルの検出に特に適している。
【0091】
図8は、スペクトロメータ/ディテクタユニット708の一部を形成しうるディテクタ8000による、サンプルステージ704の法線入射検査のための例示的な構成を示す。本例における光学システム(図7では706で総じて示されている)はシュヴァルツシルト型のコレクタを備える。このコレクタは、散乱放射8004を集める第1ミラー面8002を含む。この第1ミラー面8002は、第2反射性表面8008に向けて散乱放射8006を反射する。第2反射性表面8008の形状は、第1反射性表面8002と協働してコリメートされた放射ビーム8010を形成するようデザインされている。コリメートされた放射ビーム8010はアパーチャ8012および対物光学系8014を通る。対物光学系8014はビーム8010をディテクタ8000に集束させる。フィルタリングまたは追加的なアパーチャのために、追加的な中間フォーカスを設けることができる。散乱放射8004はプローブビーム8016が散乱されたものである。プローブビーム8016は例えば反射性表面8018から反射されることにより、表面704に垂直に入射する。
【0092】
適切であれば、他のタイプのコレクタ光学系を使用してもよいことは理解されるであろう。
【0093】
図8に示される実施の形態およびその等価物では、信号経路にはビームスプリッタは存在せず、したがって収集される信号量は最大化される。
【0094】
代替的な実施の形態では、複数の方向からのオフアクシス照明が使用されうる。いくつかのマスク検査技術はダークフィールド型の照明を使用する。そこではレーザまたは他の光源は表面に斜めに入射する。これは、ゼロ次(反射)ビームを収集することを避けるために行われる。そのようなアプローチは一般に非常にうまくいく。しかしながら、検出される必要があるパーティクルのサイズが表面パターンの一部を形成するフィーチャの高さと同程度かそれよりも小さい場合、ある課題が生じる。例えば、EUVレチクル上のパーティクルの検出である。そこでは、検出すべきパーティクルのサイズは約20nm程度であり、アブソーバパターンの高さは約70nm程度である。これは影効果を生成する。影効果は図9aで説明される。この図で示されるように、表面上のパターンのフィーチャ974のために、入射照明970のある部分はブロックされパーティクル972に到達することができない。これは影効果を生成する。それは、976で説明されるように、入射照明によって照らされない領域が生成されることである。この領域976が十分に大きいと、パーティクル全体が実効的に完全に視野から隠されてしまうか、または少なくとも部分的に覆い隠される。これにより、そのパーティクルから検出されうる信号強度が減少しうるし、そのパーティクルを検出できないリスクも高まる。
【0095】
この課題への解決法が図9bに示される。ここでは、単一方向からの照明は2つの方向からの照明978、980によって置き換えられている。今度はパーティクル972を検出可能であることが分かるであろう。第2の方向からの照明980はフィーチャ974によってブロックされてパーティクル972に入射できないことはないからである。
【0096】
図10aは、図9の説明の3次元への拡張を示す。パターンは原則として任意なので、垂直のラインおよび水平のラインが同じ対象に存在しうる。このため、図10aに示されるように、少なくとも4つの方向から照明1070を提供すると有利である。図10bに示されるような輪帯型の照明1072を使用することにより、より良いパフォーマンスを得ることができる。
【0097】
複数の方向からのオフアクシス照明は、ビームスプリッタを使用してビームを分割し、その結果得られるビームを(ミラーを使用して)異なる複数の方向から同じスポットへ導くことによって、または、ダークフィールド型の照明を使用することによって(すなわち瞳面におけるセントラルオブスキュレーションを使用することによって、または、例えば回折型の光学要素を使用することによって)、得られうる。
【0098】
そのような構成の例が図11に示される。図11では、プローブビームが分割され、放射がサンプルステージ704に複数の方向から入射しうる。この実施の形態は、検査対象の表面に存在する溝内にあるパーティクルを検出する際にも有益である。異なる複数の方向からの信号を比較することで、検出結果を確かめることができる。また、ある方向から検出されるが別の方向からは検出されないパーティクルを識別することができる。
【0099】
図11の例示的な構成では、プローブビーム9000はビームスプリッタ9002および反射性表面9004によって処理される。その構成では、4つの異なる方向から検出点に入射する4つのスプリットビームが生成される。
【0100】
ビームスプリッタや反射性表面や他の光学要素の他の構成を使用して同様の結果を得ることができること、および、放射の異なる複数の方向の数は4つでなくてもよく、2以上の何でもよいことは理解されるであろう。また、放射の異なる複数の方向は直交する必要はなく、図はひとつの特別なケースでしかない。
【0101】
図12は、図11に示されるものなどの多ビーム構成からの放射を検出するために使用されてもよい光学要素の一例を示す。図8において総じて8014で示される対物光学系の一部を形成してもよい。入射放射10000は介在するレンズによって図示の通りフィルタ10002およびアパーチャ10004を通過する。放射はディテクタ9000に合焦される。
【0102】
本開示の検査方法および装置は、テスト対象の所与の領域を照らすよう放射を導くことを含む。対象全体をカバーするために走査プロセスが実行される。好適な実施の形態では、テスト対象は観測されるエネルギ範囲において大きなスペクトル応答を有さないであろう。例えば、リソグラフィレチクルがUVレーザによって検査される場合がそうである。パーティクルの信号(したがって、信号対ノイズ比)は基本的には収集領域によらないものとなる。このため、収集領域が大きいほど、トータルの検査時間は短くなる。しかしながら、その領域が大きいほど、位置精度は下がる。
【0103】
検査時間を不当に増大させることなく検出の正確性を向上させるために、以下の走査ストラテジを採用することができる。まず、対象の第1領域を走査する。ひとつ以上のパーティクルが検出された場合、第1領域は2以上の部分に分割される。それらの部分を個々に走査し、分割された部分のそれぞれにおいてパーティクルの存在を検出することができる。検出プロセスはそこで終了してもよいし、さらなる分割および走査プロセスが行われてもよい。これは何回繰り返されてもよく、所定の正確さでパーティクル検出を行うことができる。
【0104】
図13は、単一のパーティクルが第1走査の領域に存在する場合の、本走査ストラテジの動作を示す。例えば、1mm長の正方形でパーティクル11002を含みうる領域に亘ってこの最初の走査11000が行われてもよい。第1走査は、パーティクルの存在を示す結果を与えるであろう。しかしながら、第1走査11000の領域内におけるそのパーティクルの位置についての情報は与えられないであろう。検出したという結果が得られたので、第2走査11004が行われる。第1走査11000の領域は4つのクアドラントに分けられ、クアドラントのそれぞれは個々に走査される。本例では、右上のクアドラントが正の検出結果を与える。第3走査110006において、そのクアドラントは4つのさらなるサブクアドラントに分けられてもよい。本例では、左上のクアドラントが正の検出結果を与える。第4走査110008において、そのクアドラントは4つのさらなるサブクアドラントに分けられてもよい。
【0105】
図13に示されるような第4走査の後、欠陥11102の位置は1/8平方ミリメートルの正確さで見出される。より高い正確さで欠陥の位置を得るために、さらなる繰り返しが行われてもよい。あるいはまた、単一の分割が行われた後に検出を止めてもよい。
【0106】
四分の一以外の他の分割が使用されてもよいことは理解されるであろう。例えば、繰り返しごとに、走査される領域を二分の一ずつ、九分の一ずつ、十六分の一ずつ、もしくは他の任意の分割数に分割できる。
【0107】
セグメントの再走査は、収集光学系にアパーチャを置くことで収集領域を(適切な係数で−図13の例では4)減少させ、レチクルを適切に配置することにより達成されうる。
【0108】
最初の走査において複数のパーティクルが存在する場合、引き続き検出したという結果を生じさせるクアドラントのそれぞれを分割し走査する必要があり、これは要求される分解能の限界に到達するまで続けられる。
【0109】
このようなプロセスによると、任意の正確さでパーティクルの位置を見い出すことができる。そのような正確さは、測定システムの物理的制限によってのみ制限される。物理的制限は例えばステージの正確さや達成されうる最小アパーチャサイズである。スループットに関して、所定の正確さでパーティクルの位置を見い出すのに必要な繰り返しの回数を計算することができる。例えば、所定の正確さを200nmとし、最初の走査領域を1mmとすると、1mm/2N=200nmであり、N=(1/ln2)である。ln(1mm/200nm)〜13である。すなわち、200nmという所望の正確さに到達するためには、追加的な13回の繰り返し(または13x4=52のデータ取得)が必要である。データ獲得時間を〜1秒とすると、これは、パーティクルのそれぞれについて、所望の正確さに到達するために追加的な1分が必要となることを意味する。(1mmの正確さ、20nmのパーティクルサイズについての)推定検査時間は約30分である。したがって、トータルの検査時間は〜30分+1分/パーティクルとなるであろう。
【0110】
このアプローチはパーティクルが比較的少ない場合にのみうまくいくであろう。おそらくはこのアプローチはレチクル当たり約10パーティクル程度の場合にのみ実行可能となるであろう。しかしながら、実際は、パーティクル数はほぼこの範囲内もしくはそれより少ない。レチクル上に10より多いパーティクルが存在する場合、それは大抵、リソグラフィ装置のどこかで大きな欠陥が生じていることを意味し、レチクルは清浄化されなければならない。
【0111】
図14は第1の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。例えばNd:YAGレーザでありうるレーザ源800が二次高調波発生器と共に設けられる。他の任意のタイプのパルスレーザを使用してもよいことは理解されるであろう。レーザチューナは、三次および四次高調波発生器804、806を伴う光学パラメータ式発振器802と、例えばミラーやビームスプリッタなどの反射性表面であってもよい種々の反射要素808と、アテニュエータ810と、を含む。
【0112】
レーザ800からの出力は参照信号としてスペクトロメータ812に与えられる。一方、レーザおよびチューナからの調整された出力はプローブビーム814を形成し、プローブビーム814はサンプルステージ816に向けて導かれ、サンプルステージ816は検査対象を保持する。例えば、サンプルステージは、検査対象のレチクルを保持するレチクルステージであってもよい。図示の光路にはプリズム817および反射性要素818が示されている。しかしながら、任意の適切なコンポーネントを使用して、そのコンポーネントの物理的なレイアウトにしたがった任意の具体的な構成において、プローブビーム814を既知の態様で導いてもよいことは理解されるであろう。
【0113】
反射されたプローブビーム814は光学システムを通過する。光学システムは、コンデンサ819、ピンホールフィルタ820およびコリメータ822を含む。そしてプローブビーム814は光ファイバケーブル824に与えられ、スペクトロメータ812に入力される。スペクトロメータはセンサ826と連動する。センサ826はこの例ではゲートCCDであってもよい。
【0114】
センサ826の出力はデータ解析のためにコンピュータ828に与えられる。コンピュータ828は移動などのためにサンプルステージ816と通信する。
【0115】
モノクロメータおよびCCDを含んでもよいスペクトロメータによって、および、例えば単一光子計数検出システムなどの時間相関検出システムによって、エネルギ領域および時間領域における信号解析を実行できる。
【0116】
図15は第2の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。これは図14に示されるセットアップの変形例である。同様の構成要素は同様の参照符号により示され、上述と同じように機能する。したがって、そのような同様の構成要素についてはここでは詳述しない。
【0117】
図15の例示的なセットアップでは、(図7では総じて参照符号706で示される)光学システムはビームスプリッタ900を含む。このビームスプリッタ900は、サンプルステージ816から反射されたビームを第1光路またはブランチ902と第2光路またはブランチ904とに分ける。第1ブランチ902からのデータは、センサ919と連動する第1スペクトロメータ918によって解析され、第2ブランチ904からのデータは、センサ922と連動する第2スペクトロメータ920によって解析される。本例におけるセンサ919、922はゲートCCDであってもよい。後述の通り、センサ919、922のそれぞれからの出力は比較のために相関器924に入力される。2つのスペクトロメータ918、920は相関器924と共に、合わせて、図7に示されるタイプの「スペクトロメータモジュール」を含む。あるいはまた、「スペクトロメータモジュール」という用語はスペクトロメータそのものを指し示しうる。この場合、相関器924は別個のユニットとして提供される。2つのスペクトロメータ918、920および/または相関器924は、必要に応じて同じハウジング内に設けられるかまたは別個のハウジング内に設けられてもよい。
【0118】
上述の通り、相関器924はノイズの多いバックグラウンドから所望の信号を区別するよう機能する。
【0119】
サンプルステージ816から反射されたビームはレンズ要素906によってビームスプリッタ900に合焦される。第1ブランチ902はレンズ要素908、ポラライザ910、ピンホールフィルタ912およびコリメータ914を含み、データは光ファイバケーブル916に与えられて第1スペクトロメータ918に入力される。一方、第2ブランチ904はレンズ要素926、ポラライザ928、ピンホールフィルタ930およびコリメータ932を含み、データは光ファイバケーブル934に与えられて第2スペクトロメータ920に入力される。
【0120】
スペクトロメータ918、920の出力および相関器924からの出力はデータ解析のためにコンピュータ828に与えられる。
【0121】
図16は第3の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。これは図15に示されるセットアップの変形例である。
【0122】
図16は半導体/金属の表面上の汚染を検出するためのシステムを示す。(図7では総じて参照符号706で示される)光学システムは、ピコ秒レーザ1002と、ビームスプリッタ1004と、光子計数器1006と、光遅延ライン1008と、ビームスプリッタ1010と、高速p−i−n光ダイオード1012と、ホルダ1014上のサンプルと、ミラー1016と、光子計数器1018と、自己相関ユニット1020と、デジタル遅延生成器1022と、(レンズ1024およびアクロマートのビームスプリッタ1026を含む)二次放出集積光学ユニットと、2つのスペクトロメータ1028、1032であってそれぞれがEDCCD(電子増倍型電荷結合素子)ゲートイメージディテクタ1030、1034を備える2つのスペクトロメータ1028、1032と、時間相関スペクトロアナライザユニット1036と、コンピュータ1038と、を含む。
【0123】
動作中、光遅延ライン1008を通過してくるレーザビームはサンプル1014に至り反射する。光子計数器1006および1018と自己相関ユニット1020とを使用して、レーザビームの自己相関関数が計測される。汚染からの二次自然放出(光ルミネッセンスおよび散乱光)は凝縮され、ゲートEMCCDユニット1030、1034を備える光学スペクトロメータ1028、1032に導かれる。二次放出プロセスの検出は、時間的にもスペクトル的にもレーザ放出から分離される。したがって、「ノイズ」すなわちレーザ源の歪み(strain)光は無視できる。
【0124】
二次放射信号はスペクトロメータ1028、1032によって検出され、レーザパルスに対して時間的に遅延される。この信号にレーザとは異なる分布を有する揺動が見出された場合、それはサンプル表面に汚染が存在することを示す。揺動の比較は、信号の相関解析に基づいて実行される。デジタル遅延生成器1022は光ダイオード1012からストロボ信号を受け、EMCCD1030にストロボ信号を出力し、EMCCD1034にストロボ+t信号を出力する。自己相関ユニット1020は光子計数器1018からストップ信号を受ける。
【0125】
図17は第4の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。これは図16に示されるセットアップの変形例である。同様の構成要素は同様の参照符号により示され、上述と同じように機能する。したがって、そのような同様の構成要素についてはここでは詳述しない。
【0126】
図17は半導体/金属の表面上の汚染を検出するためのシステムを示す。(図7では総じて参照符号706で示される)光学システムは、図16におけるビームスプリッタ1010の代わりのミラー1102と、図16におけるアクロマートのビームスプリッタ1026の代わりの偏光ビームスプリッタ1104と、を含む。2つのスペクトロメータ1028、1032はそれぞれ光子計数器1106、1108を備える。
【0127】
動作中、光遅延ライン1008を通過してくるレーザビームはサンプル1014に至り反射する。汚染からの二次自然放出(光ルミネッセンスおよび散乱光)は凝縮され、光子計数器1106、1108を備える光学スペクトロメータ1028、1032に導かれる。相関器ユニット1110は光子計数器1018からレーザストップ信号を受け、光子計数器1106、1108からストップ/スタート信号を受け、光子計数器1006からレーザスタート信号を受ける。
【0128】
本発明の実施の形態はいくつかの利点を提供する。種々のタイプのパーティクル汚染からの二次光子放出の時間分解分光法によると、パーティクルの検出能力を向上させることが可能となる。パーティクルが検査対象と同程度の光ルミネッセンス応答の大きさを示す場合でも、時間分解スペクトルを解析することで、このパーティクルを対象のそれから区別する方法が提供される。検査対象とは異なる光ルミネッセンス応答の大きさを示すパーティクルについては、時間分解分光法により検出に追加的な正確さが提供される。
【0129】
さらに、時間分解分光技術とエネルギ分解分光技術とが組み合わされると、検査対象から区別できるパーティクルの幅が広がる。時間分解領域またはエネルギ分解領域のいずれか一方においてパーティクルが対象と同様な応答を示す場合でも、時間分解領域またはエネルギ分解領域の他方においてパーティクルが対象と同じ応答を示す確率は低い。エネルギ分解分光法が最初に実行された場合、その結果を使用して関心のある信号を特定することができ、そのように特定された信号に対して時間分解分光法を適用できる。同様に、時間分解分光法が最初に実行された場合、その結果を使用して関心のある信号を特定することができ、そのように特定された信号に対してエネルギ分解分光法を適用できる。
【0130】
本開示の方法および装置の実施の形態によると、パターン自体を解像することを要せず、また、信号と参照信号とを比較することなく、パターン形成されたレチクル上のパーティクルを検出することができる。これによると、複雑なダイツーデータベース検査は要求されないので、「シングルダイ(single die)」レチクルの検査が可能となる。
【0131】
加えて、2つの参照対象間の比較を避けることで、それに関連するイメージアライメント問題を回避できる。
【0132】
本開示の方法および装置の実施の形態は、原則として、任意のタイプのパターンまたはマスクの検査に使用できる。この方法は、より小さいパーティクル、例えば100ナノメートルより小さい、50ナノメートルより小さいもしくは20ナノメートルより小さいパーティクルを検出するために使用されうる。この方法は、EUVレチクルなどの基板のパターン形成された側における、これら全てのパーティクルの検出のために使用されうる。
【0133】
従来の(散乱ベースの)検出システムと比較したときの他の利点は、信号がパーティクルによって「放出」されるのであって「散乱」されるのではないことである。半径Rのパーティクルによって散乱される光は〜R6で減少する。したがって、パーティクルが小さくなるほどそれを検出するのが難しくなる。本開示の技術では、信号は二次「放出」から生じる。この二次放出は異なる態様で減少する。有機PLについては〜R3であり、金属酸化物については不純物が検出される(したがってこれもまた〜R3である)。金属パーティクルについては、表面上に吸着された分子が検出される(したがって、理論的には〜R2にしたがう)。しかしながら、このタイプの検出は波長分解および/または時間分解なので、非常に良い信号対ノイズ比を達成することができる。したがって、単一の分子および/または原子を検出することができ、感度を非常に小さなパーティクル、例えばサイズにして20nm程度またはそれより小さなパーティクルにまで伸ばすことができる。
【0134】
検査時間を非常に速くすることができ、例えば15分以下とすることができる。
【0135】
さらに、上述のように相関技術を使用することにより、表面上の分子状の炭素の汚染により生じるノイズのスペクトルからパーティクルのスペクトルを区別するのを支援することができる。
【0136】
上述の実施の形態を、反射性の対象/レチクルと共に、または透過性の対象/レチクルと共に使用できることは理解されるであろう。
【0137】
上述の実施の形態は別個のデバイスとして示されている。代替的に、それらのデバイスはオプションでインツール(in-tool)デバイスとして、すなわちリソグラフィシステム内に、設けられてもよい。別個の装置の場合、(例えばシッピングの前に)レチクルを検査するためにその装置を使用できる。インツールデバイスの場合、リソグラフィプロセスのためにレチクルを使用する前に、レチクルを迅速に検査することができる。図18から図20は、レチクル検査システム1200をインツール(in-tool)デバイスとして組み込むことができるリソグラフィシステムの例を示す。図18から図20においては、レチクル検査システム1200は対応するリソグラフィシステムと共に示される。レチクル検査システム1200は、図1から図17で示された実施の形態やそれらの変形例のうちの任意のものに係る対象検査システムであってもよい。
【0138】
以下の説明は、本発明の実施の形態が実装されうる例示的な環境の詳細な説明を与える。
【0139】
図18は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、放射源SOから放射ビームを受け、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)MAを支持し、パターニングデバイスMAを正確に位置決めする第1ポジショナPMに接続されているサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウエハ)Wを保持し、基板WTを正確に位置決めする第2ポジショナPWに接続されている基板テーブル(例えばウエハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影する投影システム(例えば反射投影レンズ系)PSと、を備える。
【0140】
照明システムは、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射を方向付けるかまたは成形するかまたは制御するためのものである。
【0141】
サポート構造MTおよびWTは対象を保持し、それぞれパターニングデバイスMAおよびサポート構造WTを含む。各サポート構造MT、WTは、対応する対象MA、Wの向き、リソグラフィ装置のデザイン、及び対応する対象MA、Wが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式で対応する対象MA、Wを保持する。各サポート構造MT、WTは、機械的固定、真空固定、静電固定、または対象MA、Wを保持するその他の固定技術を用いてもよい。サポート構造MT、WTは、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。サポート構造MT、WTは、対応する対象MA、Wが例えば投影システムPSに対して所望の位置となることを保証してもよい。
【0142】
第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)とにより基板テーブルWTは正確に移動される。例えば基板テーブルWTは放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。同様に、第1ポジショナPMと別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して揃えられてもよい。
【0143】
「パターニングデバイス」なる用語は、例えば基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用される何らかのデバイスであると広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応してもよい。
【0144】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスには例えばマスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスにより反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0145】
「投影システム」なる用語は、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気的光学システム、電磁気的光学システム、静電的光学システム、またはこれらの組合せを含む何らかの投影システムを指し示しうる。投影システムは、使用される露光放射に応じて、あるいは液浸液の使用や真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされるいかなる投影システムであってもよい。他の気体は放射や電子を吸収しすぎるかもしれないので、EUVまたは電子ビーム放射については真空を使用することが望ましい。したがって、真空壁および真空ポンプによってビーム経路の全体に真空環境が提供されてもよい。
【0146】
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。このような「多重ステージ」型の装置においては、追加的なテーブルが並行して使用されてもよく、あるいは1以上のテーブルが露光に使用されている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されてもよい。
【0147】
図18に示されるように、装置は(例えば反射型マスクを使用する)反射型である。あるいはまた、装置は(例えば透過型マスクを使用する)透過型であってもよい。図13には透過型の装置が示される。
【0148】
図19を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源SOがエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源SOはリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからビーム搬送系BDを介してイルミネータILへと到達する。このビーム搬送系BDは例えば適当な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含む。他の場合、例えば光源SOが水銀ランプである場合には、光源SOはリソグラフィ装置と一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと称されることがある。
【0149】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも外側半径範囲および/または内側半径範囲(通常それぞれσアウタ、σインナと呼ばれる)が調整されうる。加えて、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの種々の他の要素を含んでもよい。イルミネータILはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられてもよい。
【0150】
放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを通過した後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)とにより基板テーブルWTは正確に移動される。例えば基板テーブルWTは放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。同様に、第1ポジショナPMと別の位置センサ(不図示)を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して揃えられてもよい。
【0151】
図19は、透過型のリソグラフィ装置で使用される多くの他のコンポーネントを示す。そのようなコンポーネントの形態および動作は当業者になじみがあるものであろう。
【0152】
図18および図19の両方で示される装置は、以下のモードのうちの少なくともひとつで使用されうる。
【0153】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。
【0154】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められてもよい。
【0155】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラマブルパターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTが移動するたびに、または連続する放射パルスと放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
【0156】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0157】
図20は放射システム42、照明システムILおよび投影システムPSを含む図18の装置の詳細を示す。放射システム42は、放電プラズマによって形成されてもよい放射源SOを含む。EUV放射は、例えばXeガスやLi蒸気やSn蒸気などのガスまたは蒸気によって生成されてもよい。そのようなガスまたは蒸気の中では、電磁スペクトルのEUV範囲の放射を射出するために非常に熱いプラズマが生成される。例えば電気放電によって少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生成することによって非常に熱いプラズマが生成される。放射を効率的に生成するためには、例えばXe、Li、Sn蒸気または他の任意の適切なガスまたは蒸気の例えば約10Paの分圧が必要とされるであろう。実施の形態では、Sn源がEUV源として使用される。放射源SOによって放出された放射はソースチャンバ47からオプションのガスバリアまたは汚染物質トラップ49(ある場合は汚染バリアまたはホイルトラップと称される)を通過してコレクタチャンバ48へと入る。汚染物質トラップ49はソースチャンバ47の開口内またはその後ろに配置される。汚染物質トラップ49はチャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ49はガスバリアを含んでもよく、あるいはまたガスバリアとチャネル構造との組み合わせを含んでもよい。本明細書に示される汚染物質トラップまたは汚染バリア49は、少なくとも周知の通りのチャネル構造を含む。
【0158】
コレクタチャンバ48は放射コレクタ50を含んでもよい。放射コレクタ50は(いわゆる斜入射型リフレクタを含む)斜入射型コレクタであってもよい。放射コレクタ50は放射コレクタの上流側50aと放射コレクタの下流側50bとを有する。コレクタ50を通過した放射は格子スペクトルフィルタ51によって反射され、コレクタチャンバ48の開口に位置する中間焦点52に合焦される。図20において放射ビーム56によって示されるように、コレクタチャンバ48から発せられた放射ビームはいわゆる法線入射リフレクタ53、54を介して照明システムILを通過する。法線入射リフレクタはビーム56をパターニングデバイス(例えば、レチクルまたはマスク)上に導く。パターニングデバイスはサポート(例えば、レチクルテーブルまたはマスクテーブル)MT上に配置される。パターンが付与されたビーム57が形成され、そのビーム57は、投影システムPSによって反射性要素58、59を介して、ウエハステージまたは基板テーブルWTによって保持される基板上に結像される。照明システムILおよび投影システムPSには、示されているよりも多くの要素が一般には存在しうる。格子スペクトルフィルタ51はリソグラフィ装置のタイプによってオプションで存在してもよい。さらに、図に示されるよりも多くのミラーが存在してもよい。例えば、図20に示される要素58、59よりも1−4個多い反射性要素が存在してもよい。放射コレクタ50と同様の放射コレクタは周知である。
【0159】
放射コレクタ50は本明細書においてはリフレクタ142、143および146を有するネスト型のコレクタとして説明される。図20に模式的に示されるようなネスト型の放射コレクタ50は、本明細書においてさらに、斜入射型コレクタ(または斜入射型コレクタミラー)の一例として使用されてもよい。しかしながら、斜入射型ミラーを含む放射コレクタ50の代わりに、法線入射コレクタを含む放射コレクタが適用されてもよい。したがって、適用可能な場合、斜入射型コレクタとしてのコレクタミラー50は一般的なコレクタと解釈されてもよく、ある特定の実施の形態では、法線入射型コレクタと解釈されてもよい。
【0160】
さらに、図20に模式的に示されるような回折格子51の代わりに、透過性光学フィルタが適用されてもよい。EUVに対しては透過的であり、かつ、UV放射に対しては比較的透過的ではなくむしろ実質的にUV放射を吸収する光学フィルタは周知である。したがって、「格子スペクトルピュリティフィルタ(grating spectral purity filter)」は本明細書ではさらに、回折格子または透過性フィルタを含む「スペクトルピュリティフィルタ(spectral purity filter)」として示される。EUV透過性光学フィルタは模式的な図20には示されていないが、オプションの光学要素として含まれてもよい。例えば、このEUV透過性光学フィルタはコレクタミラー50の上流に設けられてもよい。あるいはまた、光学EUV透過性フィルタは照明システムILおよび/または投影システムPSの中に設けられてもよい。
【0161】
放射コレクタ50は通常ソースSOの近傍またはソースSOの像の近傍に配置される。各リフレクタ142、143、146は少なくとも2つの隣接する反射表面を含んでもよい。ソースSOから遠いほうの反射表面が光軸Oとなす角度は、ソースSOに近いほうの反射表面が光軸Oとなす角度よりも小さい。このようにして、斜入射型コレクタ50は光軸Oに沿って進む(E)UV放射ビームを生成するよう構成される。少なくとも2つのリフレクタは実質的に同軸に配置され、かつ、光軸Oの周りで実質的に回転対称となるよう延びてもよい。放射コレクタ50は外側リフレクタ146の外側の面にさらなる特徴部を有してもよく、または外側リフレクタ146の周りにさらなる特徴部を有してもよいことは理解されるべきである。例えば、さらなる特徴部は保護ホルダやヒータであってもよい。参照符号180は2つのリフレクタ間すなわちリフレクタ142と143との間のスペースを指し示す。
【0162】
使用中、外側リフレクタ146および内側リフレクタ142および143のうちのひとつ以上において堆積が見出されうる。放射コレクタ50はそのような堆積によって劣化しうる(例えばソースSOからのイオンや電子やクラスタや液滴や電極腐食などのデブリによる劣化)。例えばSnソースによってSnが堆積すると、単原子層が数個堆積した後では、放射コレクタ50または他の光学要素の反射性が害されうる。これにより、そのような光学要素のクリーニングが必要となりうる。
【0163】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。
【0164】
上では特に光リソグラフィの文脈における本発明の実施の形態の使用を説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光リソグラフィに限られるものではないことは理解される。
【0165】
本明細書において使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)および極端紫外(EUV)放射(例えば5nm−20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射、およびイオンビームや電子ビームなどの粒子線を示す。
【0166】
上述の実施の形態において、照明源からディテクタまでの第1光路と照明源からディテクタまでの第2光路との間の光路長差は照明源のコヒーレンス長よりも小さいことは理解されるべきである。光路(または光路長)は幾何学的長さと屈折率(n)との積であり、以下の数式で示される。
【数5】
ここで、積分は光線に沿って行われる。2つのブランチにおいて一様媒体の中を(光源からディテクタへ)光線が直線的に進む例では、光路差(OPD)は
【数6】
に等しい。
【0167】
本発明の具体的な実施の形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば、本発明はコンピュータプログラムの形式を取ってもよい。このコンピュータプログラムは機械に読み取り可能なインストラクションの1つもしくは複数のシーケンスを含む。インストラクションは、上述の方法を記述する。あるいはまた、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶保持するデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気もしくは光学ディスク)の形式を取ってもよい。
【0168】
上述の記載は例示を目的としており、それに限定されるものではない。したがって下記の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことであろう。サマリ(Summary)および要約(Abstract)の欄ではなく、詳細な説明(Detailed Description)の欄が特許請求の範囲の解釈に使用されるよう意図されていることを認識されたい。サマリおよび要約の欄は、本発明者が想定する本発明の全てではないひとつ以上の例示的な実施の形態について述べてもよく、したがって本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも制限するよう意図されたものではない。
【0169】
本発明は上で、複数の特定の機能の実現およびそれらの間の関係を示す機能ブロックの助けを借りて説明された。これらの機能ブロックの境界は本明細書では説明の便宜のために任意に決められた。複数の特定の機能およびそれらの間の関係が適切になされる限り、代替的な境界が決められてもよい。
【0170】
特定の実施の形態についての上記説明は十分に本発明の概要を明らかにするはずのものであるから、他者は当技術分野のスキルの範囲内の知識を適用することによって、種々のアプリケーションに対してそのような特定の実施の形態を、過度の実験に依らずとも、また、本発明の概念から離れることなく、容易に変形するおよび/または適合させることができる。したがって、本明細書で示された教示および示唆に基づいて、そのような適合や変形は開示の実施の形態の均等物の意味および範囲の中にあることが意図されている。本明細書における言語の使用法や用語の使用法は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではなく、本明細書における言語の使用法や用語の使用法は当業者によって本明細書の教示および示唆に照らして解釈されるべきであることは理解されるべきである。
【0171】
本発明の範囲と精神は上記の例示的な実施の形態のいずれによっても限定されず、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2009年8月4日に出願された米国仮出願(61/231161)の優先権の利益を享受する。その仮出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明の実施の形態は主に対象検査システムおよび方法に関し、特にリソグラフィの分野における対象検査システムおよび方法に関する。その場合、検査対象は例えばレチクルや他のパターニングデバイスでありうる。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィは集積回路(ICs)や他のデバイスおよび/または構成の製造における重要なステップのひとつとして広く認知されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作成されるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型のICや他のデバイスおよび/または構成を製造可能とするためのよりクリティカルな要素となってきている。
【0004】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分、に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えばICの製造に用いられる。この場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成されるべき回路パターンを作成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウエハ)上のターゲット部分(例えば1つまたは複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は典型的には、基板に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層へのイメージングを介して行われる。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的にパターン形成される。
【0005】
現行のリソグラフィシステムは、非常に小さなマスクパターンフィーチャを投影する。レチクルの表面上に現れる埃や外来の微粒子状物質は結果としての製品に悪影響を与えかねない。リソグラフィプロセスの前や途中にレチクルの上に微粒子状物質が堆積すると、基板に投影されるパターンのフィーチャが歪む可能性がある。したがって、フィーチャのサイズが小さいほど、レチクルから取り除くことが重要となるパーティクルのサイズも小さくなる。
【0006】
レチクルと共にペリクルがよく使用される。ペリクルは、レチクルの表面の上方でフレーム上で引き伸ばされうる薄い透明な層である。ペリクルは、レチクル表面のパターン形成された側にパーティクルが到達するのを防ぐために使用される。ペリクル表面上のパーティクルは焦点面から離れており、露光されているウエハ上にイメージを形成するものではないにしても、依然としてペリクル表面をできる限りパーティクルのない状態としておくことが望ましい。
【0007】
パターン印刷の限界の理論的な見積もりは、解像度に関するレイリー基準によって式(1)に示されるように与えられる。
【数1】
λは使用される放射の波長であり、NAPSはパターンを印刷するのに使用される投影システムの開口数であり、k1はプロセス依存の調整要素でありレイリー定数とも呼ばれ、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンジョン)である。式(1)から以下のことが言える。3つの方法、すなわち露光波長λを短くすることによって、または、開口数NAPSを増やすことによって、または、k1の値を減らすことによって、印刷可能なフィーチャサイズの最小値を低減できる。
【0008】
露光波長を短くしそれによって印刷可能な最小サイズを低減するために、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射源は典型的には約5−20nm、例えば13.5nmや約13nmの放射波長を出力するよう構成される。したがって、EUV放射源は小さなフィーチャの印刷を達成するための重要なステップを構成しうる。そのような放射は極端紫外または軟X線と称され、可能なソースは例えばレーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、リソグラフィのあるタイプ(例えば、大抵の極端紫外線(EUV)リソグラフィプロセス)については、ペリクルは使用されない。レチクルがカバーされない場合、レチクルはパーティクル汚染されやすくなる。レチクルがパーティクル汚染されると、リソグラフィプロセスにおいて不良が発生しうる。EUVレチクル上のパーティクルは、結像不良の主な原因のひとつである。EUVレチクル(またはペリクルが使用されない他のレチクル)は、有機および無機のパーティクル汚染にさらされやすい。約20nm程度のパーティクルサイズであってもウエハに致命的な結果を生じさせ、歩留まりをゼロとする可能性がある。
【0010】
EUVレチクルを露光位置に動かす前にEUVレチクルを検査しきれいにすることは、レチクルハンドリングプロセスの重要な一面となりうる。典型的には、検査の結果汚染が疑われる場合または履歴統計ベースで、レチクルをきれいにする。
【0011】
典型的には光学技術を使用してレチクルを検査する。しかしながら、パターンはパーティクルと全く同じように光を散乱させる。レチクル表面のパターンは任意(すなわち、非周期的)であり、したがって単純に散乱光を解析するだけではパーティクルとパターンとを区別することができない。これらの光学技術では、ダイツーダイ(die-to-die)にしろダイツーデータベース(die-to-database)にしろ、常に基準が要求される。さらに、既存の検査ツールは高価であり比較的低速である。
【0012】
例えばJP2007/258567やJP11304717に見られるように、光ルミネッセンス(PL)信号の有無を欠陥の存在を示すものとして使用することが提案されている。しかしながら、これらの技術においてパーティクルの検出能力を改良することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
対象検査システムが提供される。このシステムは高速で動作することができ、例えば100nm以下や50nm以下や20nm以下の小さなサイズのパーティクルを検出できる。リソグラフィ装置で使用される、レチクルなどのパターニングデバイスのパターン形成された側に存在するパーティクルを検出できる技術が提供される。
【0014】
本開示の第1の態様によると、対象の検査方法が提供される。この方法は、対象を放射ビームで照らすことと、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む。
【0015】
本開示の第2の態様によると、対象の検査装置が提供される。この装置は、対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む。
【0016】
本開示の第3の態様によると、対象の検査装置を備えるリソグラフィ装置が提供される。検査装置は、対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む。
【0017】
本開示の第4の態様によると、コンピュータにおいて実行された場合、そのコンピュータが第1の態様の方法で使用されるデータ解析方法を実行できるようにするインストラクションを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0018】
添付の図面を参照して以下に、本発明のさらなる特徴および利点が本発明の種々の実施の形態の構成および動作と共に詳述される。本発明は本明細書で説明される特定の実施の形態に限定されないことを注意しておく。そのような実施の形態は本明細書では例示のみを目的として提示される。本明細書に含まれる教示に基づいた追加的な実施の形態は、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成しており、本発明を説明し、さらに詳細な説明と共に本発明の原理を説明するのに役立ち、また当業者が本発明を利用することを可能にするものである。本発明の実施の形態は、例示のみを目的とし、添付の図面を参照して説明される。
【0020】
【図1】汚染パーティクルを伴うEUVレチクルを示す図である。
【0021】
【図2】種々のタイプのプロセスおよびパーティクルの典型的な二次放出スペクトルを示す図である。
【0022】
【図3】シリコン基板上の種々のAl2O3サンプルの光ルミネッセンススペクトルを示す実験結果を示す図である。
【0023】
【図4】ポリスチレンラテックス(polystyrene latex)サンプルおよびAl2O3サンプルからの光ルミネッセンススペクトルを示す実験結果を示す図である。
【0024】
【図5】レーザ線、Al2O3サンプルについてのラマンシフトおよび金属表面からの表面増強ラマン散乱(SERS)を示す実験結果を示す図である。
【0025】
【図6】ポリスチレンラテックスサンプルおよびAl2O3サンプルの時間領域応答を示す実験結果を示す図である。
【0026】
【図7】本発明の実施の形態に係る、対象の検査のための概括的な装置を示す図である。
【0027】
【図8】対象の法線入射検査のための構成を示す図である。
【0028】
【図9】影効果および2つの異なる方向からの照射を使用したその解法を示す図である。
【0029】
【図10】4つの異なる方向からの対象の照射および輪帯ビームによる対象の照射を示す図である。
【0030】
【図11】「多ビーム(multibeam)」構成を示す図である。その構成では、複数の方向から放射が対象に入射する。
【0031】
【図12】図11の多ビーム構成で使用される光学要素を示す図である。
【0032】
【図13】欠陥検出の位置精度を向上させるために、領域を副次標本化する方法を示す図である。
【0033】
【図14】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第1例を示す図である。
【0034】
【図15】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第2例を示す図である。
【0035】
【図16】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第3例を示す図である。
【0036】
【図17】本発明の実施の形態に係る、対象の検査装置の第4例を示す図である。
【0037】
【図18】本発明の実施の形態に係る反射型のリソグラフィ装置を示す図である。
【0038】
【図19】本発明の実施の形態に係る透過型のリソグラフィ装置を示す図である。
【0039】
【図20】本発明の実施の形態に係る例示的なEUVリソグラフィ装置を示す図である。
【0040】
図面と共に以下の詳細な説明によって、本発明の特徴および利点がより明らかとなるであろう。図面では一貫して、類似の参照符号は対応する要素を示す。図面では、類似の参照番号は一般に、同一の、機能的に類似する、および/または構造的に類似する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の実施の形態は、対象検査システムおよび方法を指向する。本明細書は本発明の特徴を組み入れた1つまたは複数の実施の形態を開示する。開示された実施の形態は本発明の例示にすぎない。本発明の範囲は開示された実施の形態には限定されない。本発明は添付の請求項により定義される。
【0042】
説明される実施の形態および本明細書において「一実施の形態」、「実施の形態」「例示的な実施の形態」などと指し示されるものは、説明される実施の形態が特定の特徴、構造、または特性を含んでいてもよいが、すべての実施の形態がその特定の特性、構造、または特徴を必ずしも含んでいなくてもよいことを表す。さらにまた、そのようなフレーズは必ずしも同じ実施の形態を指すものではない。さらに、特定の特性、構造、または特徴を実施の形態に関して説明するとき、明示的に説明しようがしまいが、他の実施の形態に関してそのような特定の特性、構造、または特徴を作用させることは、当業者の知識の範囲内であるとして理解すべきである。
【0043】
本発明の実施の形態または本発明の種々のコンポーネント部分の実施の形態は、ハードウエア、ファームウエア、ソフトウエア、またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態または本発明の種々のコンポーネント部分の実施の形態はまた、一つ以上のプロセッサにより読み込まれ、実行される機械読み取り可能媒体に記憶されたインストラクションとして実現されてもよい。機械読み取り可能媒体は、機械により読み取り可能な形式の情報を記憶または伝送するメカニズムを含んでもよい(例えば、コンピュータデバイス)。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み出し専用メモリ(ROM);ランダムアクセスメモリ(RAM);磁気ディスク記憶媒体;光記憶媒体;フラッシュメモリ装置;電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号)などを含んでもよい。さらに、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、インストラクションは、特定の動作を実行できるものとして、ここで説明されてもよい。しかしながら、このような説明は、単に便宜上のためだけであり、このような動作は、実際は、ファームウエア、ソフトウエア、ルーチン、インストラクションなどを実行するコンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、その他のデバイスによって生じるものであると理解すべきである。
【0044】
以下の説明は、対象上のパーティクルの検出を可能とする対象検査方法およびシステムを示す。検査対象は例えば、集積回路の個々の層に形成されるべき回路パターンを生成するためのリソグラフィパターニングデバイスであってもよい。例示的なパターニングデバイスは、マスク、レチクル、または動的パターニングデバイスを含む。このシステムを使用できるレチクルは、例えば、周期的なパターンを伴うレチクルおよび非周期的なパターンを伴うレチクルを含む。レチクルは、例えばEUVリソグラフィやインプリントリソグラフィなどの任意のリソグラフィプロセス内で使用されうる。
【0045】
図1は、典型的なEUVレチクル100の断面図である。EUVレチクル100は基板102と多層コーティング104とパターン層106とを含む。図はパーティクル108、110および112をも示す。これらのパーティクルはレチクル100の一部ではなく、ある状況でレチクル100に吸着したかまたは堆積されたものであってもよい。
【0046】
リソグラフィ装置は複雑であり多くの異なる材料を使用するので、原則的には任意のタイプのパーティクルがレチクル100上に堆積しうる。パーティクルは導電性を有しうるか、または絶縁的でありうる。パーティクルは任意の形状またはサイズを有しうる。パーティクルは導電性コーティング104またはパターン層106に堆積しうる。堆積しうるパーティクルの例示的なタイプは、有機物のパーティクル、金属のパーティクルおよび金属酸化物のパーティクルを含む。
【0047】
ある例示的な実施の形態では、レチクル100はEUVレチクルであってもよい。このEUVレチクルは、クォーツまたは他の低熱膨張材料により形成される基板102と、モリブデンの層とシリコンの層とを交互に含む反射性多層コーティング104と、を含む。多層コーティング104は例えば数十層を含んでもよく、ある例では約200nmの厚さを有しうる。キャッピング層(不図示)は多層の上層に設けられてもよい。このキャッピング層は例えばルテニウムやシリコンにより形成されてもよい。
【0048】
パターン層106はレチクル100のパターンを決める。EUVレチクルの場合、パターン層106はアブソーバ層である。同様に、EUVレチクルの多層104は反射性である。
【0049】
EUVレチクルのパターン層106は例えば、窒化タンタル(TaN)またはTaNOから形成されてもよい。アブソーバの高さは一例では約70ナノメートルであってもよい。アブソーバは、約100nmの幅(これは、リソグラフィシステムのクリティカルディメンジョン(CD)の約4倍であり、このスケーリングはウエハとレチクルとの間の縮小係数によるものである)を有してもよい。
【0050】
パターン層により決められるパターンは原則として任意でよく、ラインや接触孔や周期的パターンや非周期的パターンから構成されてもよい。
【0051】
固体の表面に電磁放射が入射した場合、通常の放射の反射に加えて、光子の二次放射が生じる。固体の表面における二次光子放射には主に3つのプロセスが存在する。すなわち、光ルミネッセンス(PL)と、非弾性光散乱プロセス(例えば、ラマン散乱や表面増強ラマン散乱(SERS))と、弾性光散乱と、である。これらの現象のそれぞれの効率は、関係する材料のタイプに依存する。
【0052】
リソグラフィ装置で使用されるレチクルなどのパターニングデバイスの表面に集まるパーティクルの材料は一般に、パターニングデバイスを形成する材料とは異なるであろう。本発明者らはラマン分光技術を使用して異なる材料の異なる応答を解析した。図2には典型的な二次放出スペクトルが示される。図2では、x軸に波長(ここではエネルギシフトE0−Eで示される)を任意の単位で示し、それに対してy軸に強度Iを任意の単位でプロットしている。図2は、最初のレーザパルス200、既知のミー散乱(202)、レイリー散乱(204)およびブリルアン散乱(206)を示す。加えて、図2は、典型的なラマンスペクトル208、巨大ラマンスペクトル210および典型的な有機物のパーティクルおよび典型的な金属酸化物についての光ルミネッセンススペクトル212、214を示す。
【0053】
パターンからの主たる散乱信号はミー散乱(202)、レイリー散乱(204)およびブリルアン散乱(206)であり、これらはレーザと同じ波長にあり、したがって容易にフィルタにより除去できる。このアプローチでは、アブソーバからのラマンスペクトルは実際の所「ノイズ」となるであろう。パーティクルからの信号は、巨大ラマンスペクトル(210)、有機物の光ルミネッセンススペクトル(212)または金属酸化物光ルミネッセンススペクトル(214)のいずれかによって与えられるであろう。
【0054】
本技術の産業上の利用可能性をさらに示すため、シリコンウエハ上の汚染の光ルミネッセンスが調査された。
【0055】
PSL(ポリスチレンラテックス)のサンプル、Al2O3のサンプルおよびFe2O3のサンプルの室温における光ルミネッセンス(PL)スペクトルが調査された。サンプルは、220−500nmのスペクトル範囲における光学パラメータ式発振器(OPO)の放射によって励起された。放射は光学スペクトロメータによって解析され検出された。この光学スペクトロメータは、広帯域単一分散回折スペクトログラフ/モノクロメータに基づく。このモノクロメータは、CCDイメージディテクタおよび時間相関単一光子計数システムを備える。検出スペクトル帯域は200−1100nmの範囲に制限された。
【0056】
Al2O3の3つのサンプルが用意された。ひとつは約10nmの厚さを有する層であり、ひとつは約2nmの厚さを有する層であり、ひとつはシリコンウエハ上にAl2O3のドットを堆積したサンプルである。ドットを堆積したサンプルのドットの推定密度は約106cm−1であった。サンプルは、室温でパワー密度15kW/cm2の430nmの励起に曝された。
【0057】
図3は、Al2O3サンプルのそれぞれについて、x軸に波長λを示し、それに対してy軸に光ルミネッセンス強度Iをプロットしたものを示す。グラフ302は2nm層についての結果を示し、グラフ304は10nm層についての結果を示し、グラフ306はシリコンウエハ上に堆積したAl2O3のドットを伴うサンプルについての結果を示す。図3に見られるように、Al2O3のサンプルは693nmおよび695nmにCr3+イオンの特定の放射を示す。この放射の強度は、Al2O3にバックグラウンド不純物として含まれているCrイオンの密度によって決定される。
【0058】
第2の実験では、223nmのUV励起の下でPSLサンプルからの放射が広スペクトル帯域で検出された。サンプルは52kW/cm2のパワー密度に0.2秒間曝された。図4にはその結果が示されている。図4では、x軸に波長λを示し、それに対して対数表示のy軸に光ルミネッセンス強度Iを任意の単位でプロットしている。PSLについてのレーザ励起波長402が示されており、グラフ404はPLサンプルの光ルミネッセンスについての結果を表している。
【0059】
図4にはさらなる実験の結果も示されている。Al2O3についてのレーザ励起波長406が示されており、グラフ408はAl2O3サンプルの光ルミネッセンスについての結果を表している。データはグラフ間で強度軸において比較可能とはなっていない。
【0060】
図5にはさらなるラマンシフト実験の結果が示されている。図5では、x軸にラマンシフトRをナノメートルの単位で示し、それに対してy軸に光ルミネッセンス強度Iを毎秒のカウント数の単位でプロットしている。励起レーザライン502が示されており、グラフ504はAl2O3サンプルについてのラマンシフトの結果を表す。グラフ506は、金属表面に起因する表面増強ラマン散乱(SERS)を表す。
【0061】
図6にはさらなる時間領域実験の結果が示されている。図6では、対数表示のx軸に時間tを秒の単位で示し、それに対して対数表示のy軸に光ルミネッセンス強度Iを任意の単位でプロットしている。励起レーザ応答602は左側に示され、グラフ604は散乱応答を表す。グラフ606は、PLサンプルの光ルミネッセンスについての時間領域における結果を表す。グラフ608は、Al2O3サンプルの光ルミネッセンスについての時間領域における結果を表す。データはグラフ間で強度軸において比較可能とはなっていない。
【0062】
この方法では、紫外線波長などの所定の波長でのピコ秒レーザパルスなどの短いレーザパルスがプローブとして使用される。散乱された光および放出された光は後述のように集められ解析される。パターンからの信号の大部分はプローブの波長と同じ波長の散乱光と等価であり、したがって容易にフィルタで除去できる。
【0063】
プローブレーザパルスの波長の近くの波長を見ることによって、ラマンスペクトルを記録することができ、またより広い波長範囲を見ることによって、表面の光ルミネッセンスを記録することができる。
【0064】
パーティクルの材料が検査対象の材料と異なる状況では、パーティクルが存在する場合、光ルミネッセンスおよびラマンスペクトルの一方または両方において、対象の表面からの二次放出のスペクトルとは異なる二次放出のスペクトルが放出されるであろう。異なる分光的応答はパーティクルの存在を決定するための基礎を提供する。
【0065】
予期せぬまたは異なる分光的応答の存在は、それ自体、パーティクルの有無を決定するためのテストとして使用されうる。これは、対象をパーティクル汚染がないものとして通過させる際に第1に注目すべきことである。しかしながら、代替的な実施の形態では、取得されたスペクトルについてのさらなる情報を使用して、少なくともパーティクルのタイプを特定することができ、さらにはパーティクルを形成する具体的なひとつ以上の材料を特定することができる。
【0066】
したがって、エネルギ領域での分光解析を使用してレチクル表面上のパーティクルの検出を行うことができることが分かる。
【0067】
また、パーティクルを検出するために、対象の表面からの二次光子放出の時間分解分光法を行うことができる。「時間分解分光法」という用語は、一般に時間領域における信号の解析を指しており、代替的には「時間分解測定」と称される。対象はリソグラフィ装置で使用されるパターニングデバイスであってもよく、例えばレチクルであってもよい。時間分解分光法はエネルギ分解分光法を代替するものとして使用されてもよいし、それら2つの技術は組み合わせで使用されてもよいし、それら2つの技術は同時に使用されてもよいし任意の順序で順番に使用されてもよい。
【0068】
散乱光および放出光は時間領域において集められ、解析されうる。ラマンスペクトルおよび光ルミネッセンススペクトルの両方について時間分解測定が可能である。ラマンスペクトルの場合、時間分解能は典型的には非常に速い。例えばピコ秒のオーダーである。光ルミネッセンスのプロセスは同様の短い時間スケールで生じうる。またはそのプロセスはマイクロ秒やミリ秒などのより長い時間に亘って生じうる。
【0069】
パーティクルは時間領域における所定の応答を示すであろう。この応答は、対象のパーティクルがない領域の時間領域における応答とは異なる。例えば、有機物のパーティクルを、長い時間スケールの光ルミネッセンス放出(ミリ秒のオーダー)によって特定することができる。金属酸化物を、光ルミネッセンススペクトルにおける強いライン(測定信号はAl2O3中のCr3+イオンなどの金属酸化物中の不純物から導かれる)およびマイクロ秒スケールの光ルミネッセンス放出によって特定できる。一方、金属のパーティクルからの時間変動する放出は、高時間分解能技術によって検出されうる。
【0070】
図2に示されるエネルギ領域のスペクトルもまた時間と共に変わる。
【0071】
エネルギ分解分光法および時間分解分光法の一方または両方は、オプションで、ノイズ低減技術を使用することによりさらに強化されうる。
【0072】
第1の例では、ノイズ低減技術は相互相関技術または自己相関技術を含みうる。
【0073】
これらの技術は所望の信号をノイズの多いバックグラウンドから選別するために使用されうる。レチクルの中に見出される種々の材料のためにレチクルが示す光子的応答は複雑となるので、これらの技術を使用すると有利となりうる。
【0074】
相関関数G(τ)は以下のように定義される。
【数2】
この式では、I(t)およびJ(t)は時間に依存する信号である。G(τ)は、I(t)およびJ(t)が同じ信号であれば自己相関関数と呼ばれ、I(t)とJ(t)とが異なる信号であれば相互相関関数と呼ばれる。
【0075】
サンプル時間間隔のうちのある時間間隔Δtの間の相関関数の値の変化が小さい場合はいつでも、デジタル相関器は真の相関関数に対するよい近似を与える。デジタル相関関数は以下で与えられる。
【数3】
【0076】
式3において、G(kΔτ)はk番目のチャネルの相関関数を表し、nkはシフトレジスタの各ステージの内容が対応する相関関数メモリチャネルに加えられる回数を表し、
【数4】
は、シフトレジスタに保持される数である。
【0077】
本システムの実施の形態において、レーザの安定性の変動のような望まれない影響をフィルタして除去するために相互相関が使用される。
【0078】
一般に、広帯域信号の自己相関は、その信号のパワースペクトルの単純なフーリエ変換である。しかしながら、本開示では、自己相関によって、マルコフ的な光反射に関連するプロセスを非マルコフ的な散乱光に起因するプロセスから分離することができる。
【0079】
ノイズ低減技術の第2の例では、カオス理論によって開発されたツールキットが使用されうる。この技術は所望の信号をノイズの多いバックグラウンドから選別するために使用されうる。レチクルの中に見出される種々の材料のためにレチクルが示す光子的応答は複雑となるので、この技術を使用すると有利となりうる。
【0080】
CCDなどのセンサをレチクルの表面に亘って動かすと、そのセンサはレチクルの周波数分解空間イメージを生成する。生じうる汚染の特徴的な光子的シグネチャについて経験的に集められたデータに基づいて、相関器は周波数についてデータを再選択し、関心のある時間間隔を再選択することができる。データに対してウェーブレット解析を行うことができ、それにより、アトラクタを再構築するためにカオス理論の原理を使用することができるようになる。このようにして得られたアトラクタを、汚染物に関連するアトラクタのライブラリと比較することができる。対応するかまたはよく似ている場合、レチクルは汚染されていると見なされる。
【0081】
ラマン放出およびPLの両方が非マルコフプロセスであり顕著なメモリを有する(すなわち、これらのプロセスは光を放出する対象の履歴に強く依存する)ので、このアプローチは上手くいく。
【0082】
図7は、上述の方法すなわちエネルギ分解分光または時間分解分光もしくはその両方を行うための例示的な装置を示す。この具体的なセットアップは本発明の動作原理をよりよく理解するための例として挙げられることは理解されるべきである。当業者であれば同様の機能を実現する多くの代替的な構成を想起しうることは理解されるであろう。
【0083】
図7では、レーザ源700が設けられる。レーザ源700はオプションでチューナ702と共に動作しうる。チューナ702はプローブビームのために最も良い波長を選択するのに使用されうる。レーザプローブビームは、検査対象を保持するサンプルステージ704に入射する。サンプルステージ704からの反射光および/または散乱光は光学システム706を通過し、スペクトロメータモジュール708によって処理される。スペクトロメータモジュール708は放射ディテクタを含んでもよい。放射ディテクタはゲートCCDなどの電荷結合素子(CCD)であってもよい。
【0084】
ある実施の形態では、光学システム706はビームスプリッタおよび他の光学要素を含んでもよい。ビームスプリッタおよび他の光学要素は、サンプル704からのビームを2つの光路またはブランチに分ける。後述されるように、スペクトロメータモジュール708は、第1ブランチを解析するための第1スペクトロメータと、第2ブランチを解析するための第2スペクトロメータと、それら2つのブランチの相関を実行する相関器と、を含む。
【0085】
あるいはまた、スペクトロメータモジュール708内の単一のスペクトロメータによって単一のブランチが解析されてもよいし、追加的な解析のために2より多いブランチが提供されてもよい。
【0086】
レーザ源700の出力はスペクトロメータモジュール708に時間参照信号として与えられる。スペクトロメータモジュール708からの(または、対応する放射ディテクタからの)データはコンピュータ712に与えられる。
【0087】
コンピュータ712はサンプルステージ704と通信し、サンプルステージを動かす等の機能を実現する。
【0088】
図7における種々のコンポーネント間の接続は、光路や論理リンクやデータリンクなどのうちの適切なものを表しうる。
【0089】
さらに、自己相関や相互相関を行うためにシステムに相関器を追加してもよい。(後述の図8および図9と共に)図7の例では、相関器への入力は例えばスレーブゲートCCDおよびマスタゲートCCDを含んでもよい。これらのCCDのそれぞれは、信号をスペクトル的に事前選択するためにモノクロメータを備える。相互相関器は、マスタCCDから所定の信号を集めた後、スレーブCCDの信号の収集を開始してもよい。
【0090】
上述の通り、図7は模式的な説明を与えるのみである。図は放射がサンプルステージ704に斜めに入射することを示しているが、これは説明を容易にするためだけにそうなっていると理解されたい。ある実施の形態では、入射放射は実際斜めに入射する。しかしながら、代替的な実施の形態では、放射は法線入射でサンプルステージ704に入射しうる。このタイプの構成は、検査対象の表面に存在する溝内のパーティクルの検出に特に適している。
【0091】
図8は、スペクトロメータ/ディテクタユニット708の一部を形成しうるディテクタ8000による、サンプルステージ704の法線入射検査のための例示的な構成を示す。本例における光学システム(図7では706で総じて示されている)はシュヴァルツシルト型のコレクタを備える。このコレクタは、散乱放射8004を集める第1ミラー面8002を含む。この第1ミラー面8002は、第2反射性表面8008に向けて散乱放射8006を反射する。第2反射性表面8008の形状は、第1反射性表面8002と協働してコリメートされた放射ビーム8010を形成するようデザインされている。コリメートされた放射ビーム8010はアパーチャ8012および対物光学系8014を通る。対物光学系8014はビーム8010をディテクタ8000に集束させる。フィルタリングまたは追加的なアパーチャのために、追加的な中間フォーカスを設けることができる。散乱放射8004はプローブビーム8016が散乱されたものである。プローブビーム8016は例えば反射性表面8018から反射されることにより、表面704に垂直に入射する。
【0092】
適切であれば、他のタイプのコレクタ光学系を使用してもよいことは理解されるであろう。
【0093】
図8に示される実施の形態およびその等価物では、信号経路にはビームスプリッタは存在せず、したがって収集される信号量は最大化される。
【0094】
代替的な実施の形態では、複数の方向からのオフアクシス照明が使用されうる。いくつかのマスク検査技術はダークフィールド型の照明を使用する。そこではレーザまたは他の光源は表面に斜めに入射する。これは、ゼロ次(反射)ビームを収集することを避けるために行われる。そのようなアプローチは一般に非常にうまくいく。しかしながら、検出される必要があるパーティクルのサイズが表面パターンの一部を形成するフィーチャの高さと同程度かそれよりも小さい場合、ある課題が生じる。例えば、EUVレチクル上のパーティクルの検出である。そこでは、検出すべきパーティクルのサイズは約20nm程度であり、アブソーバパターンの高さは約70nm程度である。これは影効果を生成する。影効果は図9aで説明される。この図で示されるように、表面上のパターンのフィーチャ974のために、入射照明970のある部分はブロックされパーティクル972に到達することができない。これは影効果を生成する。それは、976で説明されるように、入射照明によって照らされない領域が生成されることである。この領域976が十分に大きいと、パーティクル全体が実効的に完全に視野から隠されてしまうか、または少なくとも部分的に覆い隠される。これにより、そのパーティクルから検出されうる信号強度が減少しうるし、そのパーティクルを検出できないリスクも高まる。
【0095】
この課題への解決法が図9bに示される。ここでは、単一方向からの照明は2つの方向からの照明978、980によって置き換えられている。今度はパーティクル972を検出可能であることが分かるであろう。第2の方向からの照明980はフィーチャ974によってブロックされてパーティクル972に入射できないことはないからである。
【0096】
図10aは、図9の説明の3次元への拡張を示す。パターンは原則として任意なので、垂直のラインおよび水平のラインが同じ対象に存在しうる。このため、図10aに示されるように、少なくとも4つの方向から照明1070を提供すると有利である。図10bに示されるような輪帯型の照明1072を使用することにより、より良いパフォーマンスを得ることができる。
【0097】
複数の方向からのオフアクシス照明は、ビームスプリッタを使用してビームを分割し、その結果得られるビームを(ミラーを使用して)異なる複数の方向から同じスポットへ導くことによって、または、ダークフィールド型の照明を使用することによって(すなわち瞳面におけるセントラルオブスキュレーションを使用することによって、または、例えば回折型の光学要素を使用することによって)、得られうる。
【0098】
そのような構成の例が図11に示される。図11では、プローブビームが分割され、放射がサンプルステージ704に複数の方向から入射しうる。この実施の形態は、検査対象の表面に存在する溝内にあるパーティクルを検出する際にも有益である。異なる複数の方向からの信号を比較することで、検出結果を確かめることができる。また、ある方向から検出されるが別の方向からは検出されないパーティクルを識別することができる。
【0099】
図11の例示的な構成では、プローブビーム9000はビームスプリッタ9002および反射性表面9004によって処理される。その構成では、4つの異なる方向から検出点に入射する4つのスプリットビームが生成される。
【0100】
ビームスプリッタや反射性表面や他の光学要素の他の構成を使用して同様の結果を得ることができること、および、放射の異なる複数の方向の数は4つでなくてもよく、2以上の何でもよいことは理解されるであろう。また、放射の異なる複数の方向は直交する必要はなく、図はひとつの特別なケースでしかない。
【0101】
図12は、図11に示されるものなどの多ビーム構成からの放射を検出するために使用されてもよい光学要素の一例を示す。図8において総じて8014で示される対物光学系の一部を形成してもよい。入射放射10000は介在するレンズによって図示の通りフィルタ10002およびアパーチャ10004を通過する。放射はディテクタ9000に合焦される。
【0102】
本開示の検査方法および装置は、テスト対象の所与の領域を照らすよう放射を導くことを含む。対象全体をカバーするために走査プロセスが実行される。好適な実施の形態では、テスト対象は観測されるエネルギ範囲において大きなスペクトル応答を有さないであろう。例えば、リソグラフィレチクルがUVレーザによって検査される場合がそうである。パーティクルの信号(したがって、信号対ノイズ比)は基本的には収集領域によらないものとなる。このため、収集領域が大きいほど、トータルの検査時間は短くなる。しかしながら、その領域が大きいほど、位置精度は下がる。
【0103】
検査時間を不当に増大させることなく検出の正確性を向上させるために、以下の走査ストラテジを採用することができる。まず、対象の第1領域を走査する。ひとつ以上のパーティクルが検出された場合、第1領域は2以上の部分に分割される。それらの部分を個々に走査し、分割された部分のそれぞれにおいてパーティクルの存在を検出することができる。検出プロセスはそこで終了してもよいし、さらなる分割および走査プロセスが行われてもよい。これは何回繰り返されてもよく、所定の正確さでパーティクル検出を行うことができる。
【0104】
図13は、単一のパーティクルが第1走査の領域に存在する場合の、本走査ストラテジの動作を示す。例えば、1mm長の正方形でパーティクル11002を含みうる領域に亘ってこの最初の走査11000が行われてもよい。第1走査は、パーティクルの存在を示す結果を与えるであろう。しかしながら、第1走査11000の領域内におけるそのパーティクルの位置についての情報は与えられないであろう。検出したという結果が得られたので、第2走査11004が行われる。第1走査11000の領域は4つのクアドラントに分けられ、クアドラントのそれぞれは個々に走査される。本例では、右上のクアドラントが正の検出結果を与える。第3走査110006において、そのクアドラントは4つのさらなるサブクアドラントに分けられてもよい。本例では、左上のクアドラントが正の検出結果を与える。第4走査110008において、そのクアドラントは4つのさらなるサブクアドラントに分けられてもよい。
【0105】
図13に示されるような第4走査の後、欠陥11102の位置は1/8平方ミリメートルの正確さで見出される。より高い正確さで欠陥の位置を得るために、さらなる繰り返しが行われてもよい。あるいはまた、単一の分割が行われた後に検出を止めてもよい。
【0106】
四分の一以外の他の分割が使用されてもよいことは理解されるであろう。例えば、繰り返しごとに、走査される領域を二分の一ずつ、九分の一ずつ、十六分の一ずつ、もしくは他の任意の分割数に分割できる。
【0107】
セグメントの再走査は、収集光学系にアパーチャを置くことで収集領域を(適切な係数で−図13の例では4)減少させ、レチクルを適切に配置することにより達成されうる。
【0108】
最初の走査において複数のパーティクルが存在する場合、引き続き検出したという結果を生じさせるクアドラントのそれぞれを分割し走査する必要があり、これは要求される分解能の限界に到達するまで続けられる。
【0109】
このようなプロセスによると、任意の正確さでパーティクルの位置を見い出すことができる。そのような正確さは、測定システムの物理的制限によってのみ制限される。物理的制限は例えばステージの正確さや達成されうる最小アパーチャサイズである。スループットに関して、所定の正確さでパーティクルの位置を見い出すのに必要な繰り返しの回数を計算することができる。例えば、所定の正確さを200nmとし、最初の走査領域を1mmとすると、1mm/2N=200nmであり、N=(1/ln2)である。ln(1mm/200nm)〜13である。すなわち、200nmという所望の正確さに到達するためには、追加的な13回の繰り返し(または13x4=52のデータ取得)が必要である。データ獲得時間を〜1秒とすると、これは、パーティクルのそれぞれについて、所望の正確さに到達するために追加的な1分が必要となることを意味する。(1mmの正確さ、20nmのパーティクルサイズについての)推定検査時間は約30分である。したがって、トータルの検査時間は〜30分+1分/パーティクルとなるであろう。
【0110】
このアプローチはパーティクルが比較的少ない場合にのみうまくいくであろう。おそらくはこのアプローチはレチクル当たり約10パーティクル程度の場合にのみ実行可能となるであろう。しかしながら、実際は、パーティクル数はほぼこの範囲内もしくはそれより少ない。レチクル上に10より多いパーティクルが存在する場合、それは大抵、リソグラフィ装置のどこかで大きな欠陥が生じていることを意味し、レチクルは清浄化されなければならない。
【0111】
図14は第1の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。例えばNd:YAGレーザでありうるレーザ源800が二次高調波発生器と共に設けられる。他の任意のタイプのパルスレーザを使用してもよいことは理解されるであろう。レーザチューナは、三次および四次高調波発生器804、806を伴う光学パラメータ式発振器802と、例えばミラーやビームスプリッタなどの反射性表面であってもよい種々の反射要素808と、アテニュエータ810と、を含む。
【0112】
レーザ800からの出力は参照信号としてスペクトロメータ812に与えられる。一方、レーザおよびチューナからの調整された出力はプローブビーム814を形成し、プローブビーム814はサンプルステージ816に向けて導かれ、サンプルステージ816は検査対象を保持する。例えば、サンプルステージは、検査対象のレチクルを保持するレチクルステージであってもよい。図示の光路にはプリズム817および反射性要素818が示されている。しかしながら、任意の適切なコンポーネントを使用して、そのコンポーネントの物理的なレイアウトにしたがった任意の具体的な構成において、プローブビーム814を既知の態様で導いてもよいことは理解されるであろう。
【0113】
反射されたプローブビーム814は光学システムを通過する。光学システムは、コンデンサ819、ピンホールフィルタ820およびコリメータ822を含む。そしてプローブビーム814は光ファイバケーブル824に与えられ、スペクトロメータ812に入力される。スペクトロメータはセンサ826と連動する。センサ826はこの例ではゲートCCDであってもよい。
【0114】
センサ826の出力はデータ解析のためにコンピュータ828に与えられる。コンピュータ828は移動などのためにサンプルステージ816と通信する。
【0115】
モノクロメータおよびCCDを含んでもよいスペクトロメータによって、および、例えば単一光子計数検出システムなどの時間相関検出システムによって、エネルギ領域および時間領域における信号解析を実行できる。
【0116】
図15は第2の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。これは図14に示されるセットアップの変形例である。同様の構成要素は同様の参照符号により示され、上述と同じように機能する。したがって、そのような同様の構成要素についてはここでは詳述しない。
【0117】
図15の例示的なセットアップでは、(図7では総じて参照符号706で示される)光学システムはビームスプリッタ900を含む。このビームスプリッタ900は、サンプルステージ816から反射されたビームを第1光路またはブランチ902と第2光路またはブランチ904とに分ける。第1ブランチ902からのデータは、センサ919と連動する第1スペクトロメータ918によって解析され、第2ブランチ904からのデータは、センサ922と連動する第2スペクトロメータ920によって解析される。本例におけるセンサ919、922はゲートCCDであってもよい。後述の通り、センサ919、922のそれぞれからの出力は比較のために相関器924に入力される。2つのスペクトロメータ918、920は相関器924と共に、合わせて、図7に示されるタイプの「スペクトロメータモジュール」を含む。あるいはまた、「スペクトロメータモジュール」という用語はスペクトロメータそのものを指し示しうる。この場合、相関器924は別個のユニットとして提供される。2つのスペクトロメータ918、920および/または相関器924は、必要に応じて同じハウジング内に設けられるかまたは別個のハウジング内に設けられてもよい。
【0118】
上述の通り、相関器924はノイズの多いバックグラウンドから所望の信号を区別するよう機能する。
【0119】
サンプルステージ816から反射されたビームはレンズ要素906によってビームスプリッタ900に合焦される。第1ブランチ902はレンズ要素908、ポラライザ910、ピンホールフィルタ912およびコリメータ914を含み、データは光ファイバケーブル916に与えられて第1スペクトロメータ918に入力される。一方、第2ブランチ904はレンズ要素926、ポラライザ928、ピンホールフィルタ930およびコリメータ932を含み、データは光ファイバケーブル934に与えられて第2スペクトロメータ920に入力される。
【0120】
スペクトロメータ918、920の出力および相関器924からの出力はデータ解析のためにコンピュータ828に与えられる。
【0121】
図16は第3の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。これは図15に示されるセットアップの変形例である。
【0122】
図16は半導体/金属の表面上の汚染を検出するためのシステムを示す。(図7では総じて参照符号706で示される)光学システムは、ピコ秒レーザ1002と、ビームスプリッタ1004と、光子計数器1006と、光遅延ライン1008と、ビームスプリッタ1010と、高速p−i−n光ダイオード1012と、ホルダ1014上のサンプルと、ミラー1016と、光子計数器1018と、自己相関ユニット1020と、デジタル遅延生成器1022と、(レンズ1024およびアクロマートのビームスプリッタ1026を含む)二次放出集積光学ユニットと、2つのスペクトロメータ1028、1032であってそれぞれがEDCCD(電子増倍型電荷結合素子)ゲートイメージディテクタ1030、1034を備える2つのスペクトロメータ1028、1032と、時間相関スペクトロアナライザユニット1036と、コンピュータ1038と、を含む。
【0123】
動作中、光遅延ライン1008を通過してくるレーザビームはサンプル1014に至り反射する。光子計数器1006および1018と自己相関ユニット1020とを使用して、レーザビームの自己相関関数が計測される。汚染からの二次自然放出(光ルミネッセンスおよび散乱光)は凝縮され、ゲートEMCCDユニット1030、1034を備える光学スペクトロメータ1028、1032に導かれる。二次放出プロセスの検出は、時間的にもスペクトル的にもレーザ放出から分離される。したがって、「ノイズ」すなわちレーザ源の歪み(strain)光は無視できる。
【0124】
二次放射信号はスペクトロメータ1028、1032によって検出され、レーザパルスに対して時間的に遅延される。この信号にレーザとは異なる分布を有する揺動が見出された場合、それはサンプル表面に汚染が存在することを示す。揺動の比較は、信号の相関解析に基づいて実行される。デジタル遅延生成器1022は光ダイオード1012からストロボ信号を受け、EMCCD1030にストロボ信号を出力し、EMCCD1034にストロボ+t信号を出力する。自己相関ユニット1020は光子計数器1018からストップ信号を受ける。
【0125】
図17は第4の例示的なセットアップを示す。これは説明を目的とするものである。これは図16に示されるセットアップの変形例である。同様の構成要素は同様の参照符号により示され、上述と同じように機能する。したがって、そのような同様の構成要素についてはここでは詳述しない。
【0126】
図17は半導体/金属の表面上の汚染を検出するためのシステムを示す。(図7では総じて参照符号706で示される)光学システムは、図16におけるビームスプリッタ1010の代わりのミラー1102と、図16におけるアクロマートのビームスプリッタ1026の代わりの偏光ビームスプリッタ1104と、を含む。2つのスペクトロメータ1028、1032はそれぞれ光子計数器1106、1108を備える。
【0127】
動作中、光遅延ライン1008を通過してくるレーザビームはサンプル1014に至り反射する。汚染からの二次自然放出(光ルミネッセンスおよび散乱光)は凝縮され、光子計数器1106、1108を備える光学スペクトロメータ1028、1032に導かれる。相関器ユニット1110は光子計数器1018からレーザストップ信号を受け、光子計数器1106、1108からストップ/スタート信号を受け、光子計数器1006からレーザスタート信号を受ける。
【0128】
本発明の実施の形態はいくつかの利点を提供する。種々のタイプのパーティクル汚染からの二次光子放出の時間分解分光法によると、パーティクルの検出能力を向上させることが可能となる。パーティクルが検査対象と同程度の光ルミネッセンス応答の大きさを示す場合でも、時間分解スペクトルを解析することで、このパーティクルを対象のそれから区別する方法が提供される。検査対象とは異なる光ルミネッセンス応答の大きさを示すパーティクルについては、時間分解分光法により検出に追加的な正確さが提供される。
【0129】
さらに、時間分解分光技術とエネルギ分解分光技術とが組み合わされると、検査対象から区別できるパーティクルの幅が広がる。時間分解領域またはエネルギ分解領域のいずれか一方においてパーティクルが対象と同様な応答を示す場合でも、時間分解領域またはエネルギ分解領域の他方においてパーティクルが対象と同じ応答を示す確率は低い。エネルギ分解分光法が最初に実行された場合、その結果を使用して関心のある信号を特定することができ、そのように特定された信号に対して時間分解分光法を適用できる。同様に、時間分解分光法が最初に実行された場合、その結果を使用して関心のある信号を特定することができ、そのように特定された信号に対してエネルギ分解分光法を適用できる。
【0130】
本開示の方法および装置の実施の形態によると、パターン自体を解像することを要せず、また、信号と参照信号とを比較することなく、パターン形成されたレチクル上のパーティクルを検出することができる。これによると、複雑なダイツーデータベース検査は要求されないので、「シングルダイ(single die)」レチクルの検査が可能となる。
【0131】
加えて、2つの参照対象間の比較を避けることで、それに関連するイメージアライメント問題を回避できる。
【0132】
本開示の方法および装置の実施の形態は、原則として、任意のタイプのパターンまたはマスクの検査に使用できる。この方法は、より小さいパーティクル、例えば100ナノメートルより小さい、50ナノメートルより小さいもしくは20ナノメートルより小さいパーティクルを検出するために使用されうる。この方法は、EUVレチクルなどの基板のパターン形成された側における、これら全てのパーティクルの検出のために使用されうる。
【0133】
従来の(散乱ベースの)検出システムと比較したときの他の利点は、信号がパーティクルによって「放出」されるのであって「散乱」されるのではないことである。半径Rのパーティクルによって散乱される光は〜R6で減少する。したがって、パーティクルが小さくなるほどそれを検出するのが難しくなる。本開示の技術では、信号は二次「放出」から生じる。この二次放出は異なる態様で減少する。有機PLについては〜R3であり、金属酸化物については不純物が検出される(したがってこれもまた〜R3である)。金属パーティクルについては、表面上に吸着された分子が検出される(したがって、理論的には〜R2にしたがう)。しかしながら、このタイプの検出は波長分解および/または時間分解なので、非常に良い信号対ノイズ比を達成することができる。したがって、単一の分子および/または原子を検出することができ、感度を非常に小さなパーティクル、例えばサイズにして20nm程度またはそれより小さなパーティクルにまで伸ばすことができる。
【0134】
検査時間を非常に速くすることができ、例えば15分以下とすることができる。
【0135】
さらに、上述のように相関技術を使用することにより、表面上の分子状の炭素の汚染により生じるノイズのスペクトルからパーティクルのスペクトルを区別するのを支援することができる。
【0136】
上述の実施の形態を、反射性の対象/レチクルと共に、または透過性の対象/レチクルと共に使用できることは理解されるであろう。
【0137】
上述の実施の形態は別個のデバイスとして示されている。代替的に、それらのデバイスはオプションでインツール(in-tool)デバイスとして、すなわちリソグラフィシステム内に、設けられてもよい。別個の装置の場合、(例えばシッピングの前に)レチクルを検査するためにその装置を使用できる。インツールデバイスの場合、リソグラフィプロセスのためにレチクルを使用する前に、レチクルを迅速に検査することができる。図18から図20は、レチクル検査システム1200をインツール(in-tool)デバイスとして組み込むことができるリソグラフィシステムの例を示す。図18から図20においては、レチクル検査システム1200は対応するリソグラフィシステムと共に示される。レチクル検査システム1200は、図1から図17で示された実施の形態やそれらの変形例のうちの任意のものに係る対象検査システムであってもよい。
【0138】
以下の説明は、本発明の実施の形態が実装されうる例示的な環境の詳細な説明を与える。
【0139】
図18は、本発明のある実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、放射源SOから放射ビームを受け、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)MAを支持し、パターニングデバイスMAを正確に位置決めする第1ポジショナPMに接続されているサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウエハ)Wを保持し、基板WTを正確に位置決めする第2ポジショナPWに接続されている基板テーブル(例えばウエハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影する投影システム(例えば反射投影レンズ系)PSと、を備える。
【0140】
照明システムは、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射を方向付けるかまたは成形するかまたは制御するためのものである。
【0141】
サポート構造MTおよびWTは対象を保持し、それぞれパターニングデバイスMAおよびサポート構造WTを含む。各サポート構造MT、WTは、対応する対象MA、Wの向き、リソグラフィ装置のデザイン、及び対応する対象MA、Wが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式で対応する対象MA、Wを保持する。各サポート構造MT、WTは、機械的固定、真空固定、静電固定、または対象MA、Wを保持するその他の固定技術を用いてもよい。サポート構造MT、WTは、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。サポート構造MT、WTは、対応する対象MA、Wが例えば投影システムPSに対して所望の位置となることを保証してもよい。
【0142】
第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)とにより基板テーブルWTは正確に移動される。例えば基板テーブルWTは放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。同様に、第1ポジショナPMと別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して揃えられてもよい。
【0143】
「パターニングデバイス」なる用語は、例えば基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用される何らかのデバイスであると広義に解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路等のデバイスにおける特定の機能層に対応してもよい。
【0144】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスには例えばマスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスにより反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0145】
「投影システム」なる用語は、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気的光学システム、電磁気的光学システム、静電的光学システム、またはこれらの組合せを含む何らかの投影システムを指し示しうる。投影システムは、使用される露光放射に応じて、あるいは液浸液の使用や真空の使用等のその他の要因に応じて適切とされるいかなる投影システムであってもよい。他の気体は放射や電子を吸収しすぎるかもしれないので、EUVまたは電子ビーム放射については真空を使用することが望ましい。したがって、真空壁および真空ポンプによってビーム経路の全体に真空環境が提供されてもよい。
【0146】
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。このような「多重ステージ」型の装置においては、追加的なテーブルが並行して使用されてもよく、あるいは1以上のテーブルが露光に使用されている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されてもよい。
【0147】
図18に示されるように、装置は(例えば反射型マスクを使用する)反射型である。あるいはまた、装置は(例えば透過型マスクを使用する)透過型であってもよい。図13には透過型の装置が示される。
【0148】
図19を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源SOがエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源SOはリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからビーム搬送系BDを介してイルミネータILへと到達する。このビーム搬送系BDは例えば適当な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含む。他の場合、例えば光源SOが水銀ランプである場合には、光源SOはリソグラフィ装置と一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと称されることがある。
【0149】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタADを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも外側半径範囲および/または内側半径範囲(通常それぞれσアウタ、σインナと呼ばれる)が調整されうる。加えて、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの種々の他の要素を含んでもよい。イルミネータILはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられてもよい。
【0150】
放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを通過した後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)とにより基板テーブルWTは正確に移動される。例えば基板テーブルWTは放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。同様に、第1ポジショナPMと別の位置センサ(不図示)を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して揃えられてもよい。
【0151】
図19は、透過型のリソグラフィ装置で使用される多くの他のコンポーネントを示す。そのようなコンポーネントの形態および動作は当業者になじみがあるものであろう。
【0152】
図18および図19の両方で示される装置は、以下のモードのうちの少なくともひとつで使用されうる。
【0153】
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。
【0154】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められてもよい。
【0155】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラマブルパターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTが移動するたびに、または連続する放射パルスと放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
【0156】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0157】
図20は放射システム42、照明システムILおよび投影システムPSを含む図18の装置の詳細を示す。放射システム42は、放電プラズマによって形成されてもよい放射源SOを含む。EUV放射は、例えばXeガスやLi蒸気やSn蒸気などのガスまたは蒸気によって生成されてもよい。そのようなガスまたは蒸気の中では、電磁スペクトルのEUV範囲の放射を射出するために非常に熱いプラズマが生成される。例えば電気放電によって少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生成することによって非常に熱いプラズマが生成される。放射を効率的に生成するためには、例えばXe、Li、Sn蒸気または他の任意の適切なガスまたは蒸気の例えば約10Paの分圧が必要とされるであろう。実施の形態では、Sn源がEUV源として使用される。放射源SOによって放出された放射はソースチャンバ47からオプションのガスバリアまたは汚染物質トラップ49(ある場合は汚染バリアまたはホイルトラップと称される)を通過してコレクタチャンバ48へと入る。汚染物質トラップ49はソースチャンバ47の開口内またはその後ろに配置される。汚染物質トラップ49はチャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ49はガスバリアを含んでもよく、あるいはまたガスバリアとチャネル構造との組み合わせを含んでもよい。本明細書に示される汚染物質トラップまたは汚染バリア49は、少なくとも周知の通りのチャネル構造を含む。
【0158】
コレクタチャンバ48は放射コレクタ50を含んでもよい。放射コレクタ50は(いわゆる斜入射型リフレクタを含む)斜入射型コレクタであってもよい。放射コレクタ50は放射コレクタの上流側50aと放射コレクタの下流側50bとを有する。コレクタ50を通過した放射は格子スペクトルフィルタ51によって反射され、コレクタチャンバ48の開口に位置する中間焦点52に合焦される。図20において放射ビーム56によって示されるように、コレクタチャンバ48から発せられた放射ビームはいわゆる法線入射リフレクタ53、54を介して照明システムILを通過する。法線入射リフレクタはビーム56をパターニングデバイス(例えば、レチクルまたはマスク)上に導く。パターニングデバイスはサポート(例えば、レチクルテーブルまたはマスクテーブル)MT上に配置される。パターンが付与されたビーム57が形成され、そのビーム57は、投影システムPSによって反射性要素58、59を介して、ウエハステージまたは基板テーブルWTによって保持される基板上に結像される。照明システムILおよび投影システムPSには、示されているよりも多くの要素が一般には存在しうる。格子スペクトルフィルタ51はリソグラフィ装置のタイプによってオプションで存在してもよい。さらに、図に示されるよりも多くのミラーが存在してもよい。例えば、図20に示される要素58、59よりも1−4個多い反射性要素が存在してもよい。放射コレクタ50と同様の放射コレクタは周知である。
【0159】
放射コレクタ50は本明細書においてはリフレクタ142、143および146を有するネスト型のコレクタとして説明される。図20に模式的に示されるようなネスト型の放射コレクタ50は、本明細書においてさらに、斜入射型コレクタ(または斜入射型コレクタミラー)の一例として使用されてもよい。しかしながら、斜入射型ミラーを含む放射コレクタ50の代わりに、法線入射コレクタを含む放射コレクタが適用されてもよい。したがって、適用可能な場合、斜入射型コレクタとしてのコレクタミラー50は一般的なコレクタと解釈されてもよく、ある特定の実施の形態では、法線入射型コレクタと解釈されてもよい。
【0160】
さらに、図20に模式的に示されるような回折格子51の代わりに、透過性光学フィルタが適用されてもよい。EUVに対しては透過的であり、かつ、UV放射に対しては比較的透過的ではなくむしろ実質的にUV放射を吸収する光学フィルタは周知である。したがって、「格子スペクトルピュリティフィルタ(grating spectral purity filter)」は本明細書ではさらに、回折格子または透過性フィルタを含む「スペクトルピュリティフィルタ(spectral purity filter)」として示される。EUV透過性光学フィルタは模式的な図20には示されていないが、オプションの光学要素として含まれてもよい。例えば、このEUV透過性光学フィルタはコレクタミラー50の上流に設けられてもよい。あるいはまた、光学EUV透過性フィルタは照明システムILおよび/または投影システムPSの中に設けられてもよい。
【0161】
放射コレクタ50は通常ソースSOの近傍またはソースSOの像の近傍に配置される。各リフレクタ142、143、146は少なくとも2つの隣接する反射表面を含んでもよい。ソースSOから遠いほうの反射表面が光軸Oとなす角度は、ソースSOに近いほうの反射表面が光軸Oとなす角度よりも小さい。このようにして、斜入射型コレクタ50は光軸Oに沿って進む(E)UV放射ビームを生成するよう構成される。少なくとも2つのリフレクタは実質的に同軸に配置され、かつ、光軸Oの周りで実質的に回転対称となるよう延びてもよい。放射コレクタ50は外側リフレクタ146の外側の面にさらなる特徴部を有してもよく、または外側リフレクタ146の周りにさらなる特徴部を有してもよいことは理解されるべきである。例えば、さらなる特徴部は保護ホルダやヒータであってもよい。参照符号180は2つのリフレクタ間すなわちリフレクタ142と143との間のスペースを指し示す。
【0162】
使用中、外側リフレクタ146および内側リフレクタ142および143のうちのひとつ以上において堆積が見出されうる。放射コレクタ50はそのような堆積によって劣化しうる(例えばソースSOからのイオンや電子やクラスタや液滴や電極腐食などのデブリによる劣化)。例えばSnソースによってSnが堆積すると、単原子層が数個堆積した後では、放射コレクタ50または他の光学要素の反射性が害されうる。これにより、そのような光学要素のクリーニングが必要となりうる。
【0163】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。
【0164】
上では特に光リソグラフィの文脈における本発明の実施の形態の使用を説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光リソグラフィに限られるものではないことは理解される。
【0165】
本明細書において使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)および極端紫外(EUV)放射(例えば5nm−20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射、およびイオンビームや電子ビームなどの粒子線を示す。
【0166】
上述の実施の形態において、照明源からディテクタまでの第1光路と照明源からディテクタまでの第2光路との間の光路長差は照明源のコヒーレンス長よりも小さいことは理解されるべきである。光路(または光路長)は幾何学的長さと屈折率(n)との積であり、以下の数式で示される。
【数5】
ここで、積分は光線に沿って行われる。2つのブランチにおいて一様媒体の中を(光源からディテクタへ)光線が直線的に進む例では、光路差(OPD)は
【数6】
に等しい。
【0167】
本発明の具体的な実施の形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば、本発明はコンピュータプログラムの形式を取ってもよい。このコンピュータプログラムは機械に読み取り可能なインストラクションの1つもしくは複数のシーケンスを含む。インストラクションは、上述の方法を記述する。あるいはまた、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶保持するデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気もしくは光学ディスク)の形式を取ってもよい。
【0168】
上述の記載は例示を目的としており、それに限定されるものではない。したがって下記の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことであろう。サマリ(Summary)および要約(Abstract)の欄ではなく、詳細な説明(Detailed Description)の欄が特許請求の範囲の解釈に使用されるよう意図されていることを認識されたい。サマリおよび要約の欄は、本発明者が想定する本発明の全てではないひとつ以上の例示的な実施の形態について述べてもよく、したがって本発明および添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも制限するよう意図されたものではない。
【0169】
本発明は上で、複数の特定の機能の実現およびそれらの間の関係を示す機能ブロックの助けを借りて説明された。これらの機能ブロックの境界は本明細書では説明の便宜のために任意に決められた。複数の特定の機能およびそれらの間の関係が適切になされる限り、代替的な境界が決められてもよい。
【0170】
特定の実施の形態についての上記説明は十分に本発明の概要を明らかにするはずのものであるから、他者は当技術分野のスキルの範囲内の知識を適用することによって、種々のアプリケーションに対してそのような特定の実施の形態を、過度の実験に依らずとも、また、本発明の概念から離れることなく、容易に変形するおよび/または適合させることができる。したがって、本明細書で示された教示および示唆に基づいて、そのような適合や変形は開示の実施の形態の均等物の意味および範囲の中にあることが意図されている。本明細書における言語の使用法や用語の使用法は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではなく、本明細書における言語の使用法や用語の使用法は当業者によって本明細書の教示および示唆に照らして解釈されるべきであることは理解されるべきである。
【0171】
本発明の範囲と精神は上記の例示的な実施の形態のいずれによっても限定されず、請求項とその均等物によってのみ定義されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の検査方法であって、
対象を放射ビームで照らすことと、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、
パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む方法。
【請求項2】
前記対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するステップは、光ルミネッセンス信号を記録することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象からの二次光子放出をエネルギ分解分光解析で解析するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
対象の表面上の、金属、金属酸化物、または有機物のパーティクルの存在を決定するために使用される請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ノイズ低減技術をさらに含む請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ノイズ低減技術は、放出スペクトルからノイズを除去するための相関技術を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ノイズ低減技術は、カオス理論手法を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記対象を法線入射で照らすことを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
放射はシュヴァルツシルト型のコレクタで集められる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象を放射ビームで照らすことは、複数の方向からのオフアクシス照明を提供することを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けることを含み、複数のスプリットビームのそれぞれは他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記対象の第1領域に亘って実行され、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について繰り返される、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行うことを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象の検査装置であって、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む装置。
【請求項19】
前記スペクトロメータは、時間分解分光を光ルミネッセンス信号に関して解析するよう構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記スペクトロメータはさらに、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するよう構成される、請求項18から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
ノイズ低減モジュールをさらに備える、請求項18から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記ノイズ低減モジュールは相関器を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ノイズ低減モジュールはカオス理論モジュールを含む、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記放射源は、対象を法線入射の放射ビームで照らすよう構成される、請求項18から25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
放射を集めるためのシュヴァルツシルト型のコレクタを備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
複数の方向から対象に放射を導く手段を備える、請求項18から25のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けるための1つ以上のビームスプリッタを備え、複数のスプリットビームのそれぞれは、他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項28から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
前記対象の第1領域に亘って検出を行い、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について検出を繰り返す制御手段を備える、請求項18から31のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
前記制御手段は、所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行う、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
対象の検査装置を備えるリソグラフィ装置であって、
前記検査装置は、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む、リソグラフィ装置。
【請求項35】
コンピュータにおいて実行された場合、そのコンピュータが請求項1から17のいずれかに記載の方法で使用されるデータ解析方法を実行できるようにするインストラクションを含むコンピュータプログラム製品。
【請求項36】
対象の検査方法であって、
対象を放射ビームで照らすことと、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、
パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む方法。
【請求項37】
前記対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するステップは、光ルミネッセンス信号を記録することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
対象からの二次光子放出をエネルギ分解分光解析で解析するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記決定ステップは、対象の表面上の、金属、金属酸化物、または有機物のパーティクルの存在を決定する、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
ノイズ低減技術にしたがってノイズを低減することをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記ノイズ低減技術は、放出スペクトルからノイズを除去するための相関技術を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ノイズ低減技術は、カオス理論手法を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記対象を法線入射で照らすことを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
放射はシュヴァルツシルト型のコレクタで集められる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象を放射ビームで照らすことは、複数の方向からのオフアクシス照明を提供することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けることを含み、複数のスプリットビームのそれぞれは他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記対象の第1領域に亘って実行され、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について繰り返される、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行うことを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
対象の検査装置であって、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む装置。
【請求項54】
前記スペクトロメータは、時間分解分光を光ルミネッセンス信号に関して解析するよう構成される、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記スペクトロメータはさらに、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するよう構成される、請求項53に記載の装置。
【請求項58】
ノイズ低減モジュールをさらに備える、請求項53に記載の装置。
【請求項59】
前記ノイズ低減モジュールは相関器を含む、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記ノイズ低減モジュールはカオス理論モジュールを含む、請求項58に記載の装置。
【請求項61】
前記放射源は、対象を法線入射の放射ビームで照らすよう構成される、請求項53に記載の装置。
【請求項62】
放射を集めるためのシュヴァルツシルト型のコレクタを備える、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
複数の方向から対象に放射を導く手段を備える、請求項53に記載の装置。
【請求項64】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けるための1つ以上のビームスプリッタを備え、複数のスプリットビームのそれぞれは、他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項63に記載の装置。
【請求項67】
前記対象の第1領域に亘って検出を行い、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について検出を繰り返す制御手段を備える、請求項53に記載の装置。
【請求項68】
前記制御手段は、所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行う、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
対象の検査装置を備えるリソグラフィ装置であって、
前記検査装置は、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む、リソグラフィ装置。
【請求項70】
コンピュータによって実行された場合、そのコンピュータにデータ解析方法を実行させるコンピュータ実行可能インストラクションを保持するコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記データ解析方法は、
対象を放射ビームで照らすことと、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、
パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項1】
対象の検査方法であって、
対象を放射ビームで照らすことと、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、
パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む方法。
【請求項2】
前記対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するステップは、光ルミネッセンス信号を記録することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象からの二次光子放出をエネルギ分解分光解析で解析するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
対象の表面上の、金属、金属酸化物、または有機物のパーティクルの存在を決定するために使用される請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ノイズ低減技術をさらに含む請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ノイズ低減技術は、放出スペクトルからノイズを除去するための相関技術を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ノイズ低減技術は、カオス理論手法を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記対象を法線入射で照らすことを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
放射はシュヴァルツシルト型のコレクタで集められる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象を放射ビームで照らすことは、複数の方向からのオフアクシス照明を提供することを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けることを含み、複数のスプリットビームのそれぞれは他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記対象の第1領域に亘って実行され、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について繰り返される、請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行うことを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
対象の検査装置であって、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む装置。
【請求項19】
前記スペクトロメータは、時間分解分光を光ルミネッセンス信号に関して解析するよう構成される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記スペクトロメータはさらに、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するよう構成される、請求項18から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
ノイズ低減モジュールをさらに備える、請求項18から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記ノイズ低減モジュールは相関器を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記ノイズ低減モジュールはカオス理論モジュールを含む、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
前記放射源は、対象を法線入射の放射ビームで照らすよう構成される、請求項18から25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
放射を集めるためのシュヴァルツシルト型のコレクタを備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
複数の方向から対象に放射を導く手段を備える、請求項18から25のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けるための1つ以上のビームスプリッタを備え、複数のスプリットビームのそれぞれは、他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項28から30のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
前記対象の第1領域に亘って検出を行い、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について検出を繰り返す制御手段を備える、請求項18から31のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
前記制御手段は、所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行う、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
対象の検査装置を備えるリソグラフィ装置であって、
前記検査装置は、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む、リソグラフィ装置。
【請求項35】
コンピュータにおいて実行された場合、そのコンピュータが請求項1から17のいずれかに記載の方法で使用されるデータ解析方法を実行できるようにするインストラクションを含むコンピュータプログラム製品。
【請求項36】
対象の検査方法であって、
対象を放射ビームで照らすことと、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、
パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む方法。
【請求項37】
前記対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するステップは、光ルミネッセンス信号を記録することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
対象からの二次光子放出をエネルギ分解分光解析で解析するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記決定ステップは、対象の表面上の、金属、金属酸化物、または有機物のパーティクルの存在を決定する、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
ノイズ低減技術にしたがってノイズを低減することをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記ノイズ低減技術は、放出スペクトルからノイズを除去するための相関技術を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ノイズ低減技術は、カオス理論手法を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記対象を法線入射で照らすことを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
放射はシュヴァルツシルト型のコレクタで集められる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象を放射ビームで照らすことは、複数の方向からのオフアクシス照明を提供することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記対象を放射ビームで照らすことは、前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けることを含み、複数のスプリットビームのそれぞれは他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記対象の第1領域に亘って実行され、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について繰り返される、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行うことを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
対象の検査装置であって、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む装置。
【請求項54】
前記スペクトロメータは、時間分解分光を光ルミネッセンス信号に関して解析するよう構成される、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
検査対象はパターニングデバイスを含む、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
パターニングデバイスはレチクルまたはEUVレチクルである、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記スペクトロメータはさらに、対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析するよう構成される、請求項53に記載の装置。
【請求項58】
ノイズ低減モジュールをさらに備える、請求項53に記載の装置。
【請求項59】
前記ノイズ低減モジュールは相関器を含む、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記ノイズ低減モジュールはカオス理論モジュールを含む、請求項58に記載の装置。
【請求項61】
前記放射源は、対象を法線入射の放射ビームで照らすよう構成される、請求項53に記載の装置。
【請求項62】
放射を集めるためのシュヴァルツシルト型のコレクタを備える、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
複数の方向から対象に放射を導く手段を備える、請求項53に記載の装置。
【請求項64】
前記オフアクシス照明は4つの異なる方向から提供される、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記オフアクシス照明は輪帯放射ビームとして提供される、請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記放射ビームを複数のスプリットビームに分けるための1つ以上のビームスプリッタを備え、複数のスプリットビームのそれぞれは、他のスプリットビームとは異なる方向から対象に入射する、請求項63に記載の装置。
【請求項67】
前記対象の第1領域に亘って検出を行い、パーティクルが検出された場合、前記第1領域の部分について検出を繰り返す制御手段を備える、請求項53に記載の装置。
【請求項68】
前記制御手段は、所望の空間分解能の限界に到達するまでさらに繰り返しを行う、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
対象の検査装置を備えるリソグラフィ装置であって、
前記検査装置は、
対象に放射ビームを放出するよう構成された放射源と、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析し、対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定するよう構成されたスペクトロメータと、を含む、リソグラフィ装置。
【請求項70】
コンピュータによって実行された場合、そのコンピュータにデータ解析方法を実行させるコンピュータ実行可能インストラクションを保持するコンピュータ読み取り可能媒体であって、前記データ解析方法は、
対象を放射ビームで照らすことと、
対象からの二次光子放出を時間分解分光法で解析することと、
パーティクルがない場合に対象によって放出される信号とは異なる時間分解分光信号が検出された場合にパーティクルが存在すると決定することと、を含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9(a)】
【図9(b)】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2013−501228(P2013−501228A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523257(P2012−523257)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059460
【国際公開番号】WO2011/015412
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059460
【国際公開番号】WO2011/015412
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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