封止型デバイス及びその製造方法
【課題】本発明は、する封止型デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の封止型デバイスは、固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を有する第1基板と、前記第1基板の前記固定部及び前記可動部の上方を覆う第2基板と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第1封止部材と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材の外周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第2封止部材と、を備える。
【解決手段】本発明の封止型デバイスは、固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を有する第1基板と、前記第1基板の前記固定部及び前記可動部の上方を覆う第2基板と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第1封止部材と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材の外周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第2封止部材と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部が形成された半導体基板を封止材で封止した封止型デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の小型軽量化、多機能化や高機能化が進み、実装される電子部品にも高密度化が要求されている。このような要求に応じて各種電子部品が半導体デバイスとして製造されるものが増加している。このため、回路素子として製造される半導体デバイス以外に力学量を検出するセンサ等も半導体デバイスの製造工程を用いて製造されて、小型軽量化が図られている。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)分野の製品またはMEMSデバイスを用いて小型で単純な構造を有する加速度センサあるいは角速度センサでは、外力に応じて変位する可動部を半導体基板に形成し、この可動部の変位が静電容量素子を利用して検出されるタイプのセンサ(いわゆる静電容量型センサ)等が実用化されている。
【0003】
このようなMEMSデバイスとして高速に変位する可動部を有するデバイスでは、可動部を安定して変位させるため、半導体基板を封止材(例えば、ガラス基板等)で密封する構造がとられており、密封された封止空間はガス抜き等が行われて、可動部の変位を阻害する要因が排除されている。このような可動部を気密封止した封止構造を有するデバイスを、本書面では封止型デバイスと呼称するものとする。封止型デバイスには、MEMS素子以外に、SAW(Surface Acoustic Wave)素子やF−BAR(Thin Film Bulk Acoustic Wave Resonators)素子、ミラーデバイス等も含まれる。静電容量型センサは、一般に一対のガラス基板に挟まれて接合された半導体基板内に、所定の自由度をもって変位可能な錘部を用意し、当該錘部を加速度や角速度などに伴う変位を検出する錘部として利用する。変位の検出は、容量素子の静電容量の値に基づいて行われる。特に、静電容量型の角速度センサでは、静電容量の変化を高感度で検出するために、電極と可動部の距離を短くするが、そのために空気抵抗の影響がより大きくなる。
【0004】
図12は、封止型デバイスとして静電容量型センサ100の一例を示す図であり、(A)は静電容量型センサ100の概略構成を示す断面図、(B)は(A)の上面から見た平面図である。図12において、静電容量型センサ100は、可撓部101bにより支持された錘部101aが形成された半導体基板101と、半導体基板101の上面に形成された配線層103と、錘部101aと可撓部101bの上部を覆い、且つ接着剤104により半導体基板101の上面に接着されたガラス基板102と、を備える。なお、図12(A)及び(B)では、半導体基板101の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。接着剤104は、図12(B)に示す点線で囲まれた接着領域105に塗布され、ガラス基板102を半導体基板101の上面に接着させる。このように半導体基板101にガラス基板102を接着することにより、半導体基板101の上面とガラス基板102の下面の間には気密空間110が形成される。この場合、半導体基板101とガラス基板102との接合面の一部には、配線層103が形成されている。このため、接合面に段差が発生し、接合面の平坦性を必要とする陽極接合は利用することができず、接着剤による接合を用いている。
【0005】
また、封止型デバイスとして、例えば、特許文献1に記載された加速度センサがある。この加速度センサでは、加速度センサチップのフレーム部と平板状のストッパの周部との間にスペーサ部材を設け、スペーサ部材を覆う接着剤を用いて加速度センサチップのフレーム部と平板状のストッパの周部とが接着されている。さらに、他の封止型デバイスとして、例えば、特許文献2に記載された半導体センサがある。この半導体センサでは、カバーウェハの接合部全域に接着剤が形成され、この接着剤によりカバーウェハがセンサを形成したSOIウェハに接着されている。また、他の封止型デバイスとして、例えば、特許文献3に記載された半導体センサがある。この半導体センサでは、変位検出用半導体チップと封止部材を兼ねるICチップと、がダイアタッチ材を介して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−317180号公報
【特許文献2】特開2009−264843号公報
【特許文献3】特開2010−73919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した封止型デバイスでは、接着剤として接着性を有する樹脂が用いられる場合がある。接着性を有する樹脂として、例えば、ポリイミド系の接着剤が用いられる場合がある。ポリイミド系の接着剤は、接着強度は十分に高いが、吸湿性があるため、外気の水分が上記気密空間に侵入して真空度を低下させ、接着剤が変質して接合強度を低下させて封止型デバイスの性能を劣化させる虞があった。また、接着剤が接合時の荷重によって潰されてしまい、接着領域と接着剤の高さを所望の条件に保つことが困難であった。このため、半導体基板とガラス基板との間に形成される気密空間の高さ等を一定にすることができず、錘部と可撓部の動作に影響を及ぼし、封止型デバイスの信頼性を低下させる虞があった。
【0008】
本発明は上記に鑑み、半導体基板とガラス基板を接合する際の接合不良を防止して、信頼性を向上させる封止型デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を有する第1基板と、前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第1封止部材と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材の外周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第2封止部材と、を備えることを特徴とする。この封止型デバイスによれば、接合時に第1基板と第2基板の接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1基板は、前記固定部の前記第2基板と対向する面上に配線層を有し、前記第1封止部材と前記第2封止部材は、前記配線層を跨ぐように各々配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、半導体基板の接合面に段差があったとしても第1基板と第2基板の接合強度を維持することができる。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1封止部材として有機部材が配置され、前記第2封止部材として無機部材が配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、無機部材により気密空間の高さを一定に保つことができ、外部から水分等が気密空間に侵入することを防止することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1封止部材は、前記第2封止部材を覆うように配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めながら、外部の水分が気密空間に浸入することを防止することができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1封止部材として第1有機部材が配置され、前記第2封止部材として前記第1有機部材とは異なる第2有機部材が配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めることができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材及び前記第2封止部材の外周部又は内周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第3封止部材を更に備えてもよい。この封止型デバイスによれば、接合時に第1基板と第2基板の接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性を向上させることができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る封止型デバイスの製造方法は、第1基板を加工して固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を形成し、前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板を形成し、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に第1封止部材を配置し、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間、かつ前記第1封止部材の外周部に第2封止部材を配置し、前記第1基板と前記第2基板との間を前記第1封止部材及び前記第2封止部材により封止することを特徴とする。この封止型デバイスの製造方法によれば、接合時に第1基板と第2基板の接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスの製造方法は、前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凸部を形成し、前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凸部と対向する位置に無機膜を形成してもよい。この封止型デバイスの製造方法によれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めることができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスの製造方法は、前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凹部を形成し、前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凹部と対向する位置に凸状の無機膜を形成してもよい。この封止型デバイスの製造方法によれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接合時に半導体基板等の第1基板とガラス基板等の第2基板との接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性の高い封止型デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板とガラス基板の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板の上面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサの製造工程を示す図であり、(A)は半導体基板の準備工程を示す図、(B)は半導体基板の加工工程を示す図、(C)は配線層の形成工程を示す図、(D)はガラス基板の加工工程を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合後の加速度センサの構成を示す側面図、(B)は(A)の上面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板とガラス基板の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板の上面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合後の加速度センサの構成を示す側面図、(B)は(A)の上面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係るセンサ基板の概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態に係る携帯型情報端末の概略構成を示す斜視図である。
【図12】従来の加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)加速度センサの側面図、(B)は(A)の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明に係る第1の実施の形態では、封止型デバイスとして加速度センサの例について説明する。
【0021】
<加速度センサの構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサ200の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201(第1基板)とガラス基板202(第2基板)の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板202の上面図である。図1において、加速度センサ200は、枠状の固定部201aと固定部201aの内側に位置する可動部201bとを有する半導体基板101と、ガラス基板202と、を備える。可動部201bは、可撓部201cと、この可撓部201cにより変位可能に支持される錘部201dと、から構成される。この加速度センサ200は、加速度の作用に起因して生じる可動部201bの変位を検出する。なお、図1(A)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0022】
半導体基板201としては、例えば、上面からシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン基板が順に積層して構成されるSOI(Silicon on Insulator)基板等が用いられる。なお、半導体基板201の厚さや大きさは特に限定されず、用途や、機能などに応じて任意に選択することが可能である。また、図1(A)に示すように、半導体基板201の固定部201aのガラス基板202と対向する面上には配線層203が形成されている。この配線層203は、半導体基板201の内部(可動部201bの変位を電気的に検出する部分(図示せず))と、半導体基板201の外部(加速度センサ200と電気的に接続される外部回路基板等)とを電気的に接続するためのものである。なお、可動部201bの変位を電気的に検出する部分には、例えば、静電容量素子、ピエゾ抵抗素子、圧電素子等を用いてもよい。
【0023】
ガラス基板202は、半導体基板201の固定部201aと対向する面上に図1(B)に示す第1の接合部206と第2の接合部207を有する。第1の接合部206と第2の接合部207は、固定部201aと対向する面上において外周に向かって環状に順次配置されている。第1の接合部206には、図1(A)に示す有機部材からなる接着剤204(第1封止部材)が形成されている。接着剤204としては、例えば、接合強度が高く、気密性も高いポリイミド系接着剤(有機部材)を用いることが好ましい。第2の接合部207には、図1(A)に示す無機部材からなる無機膜205(第2封止部材)が形成されている。無機膜205は、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等により形成してもよい。無機膜205は、第2の接合部207において配線層203を跨ぐことになり、固定部201aの上面との接合において配線層203による段差を埋めるような材料を用いることが望ましい。このため、無機膜205に用いる無機部材は、接合時の荷重により変形しやすい材料として、例えば、アルミニウム合金や金(Au)等を用いることが好ましい。
【0024】
また、無機膜205は、接着剤204の硬度よりも高硬度の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、半導体基板201とガラス基板202を接合するときの荷重により接着剤204が潰されてしまうことを無機膜205で防止して、接合時の半導体基板201とガラス基板202との間の高さ(半導体基板201とガラス基板202との間に形成される気密空間の高さ)を一定にすることが容易になる。
【0025】
図1(A)において、接合する前の接着剤204の厚みをt1、幅をw2とし、無機膜205の厚みをt2、幅をw3として示す。また、接着剤204の幅w2と無機膜205の幅w3を加算した幅をw1として示す。これらの厚みt1及びt2、幅w1、w2及びw3の各寸法は、加速度センサ200の仕様等に応じて適宜変更されるものであり、特に限定するものではない。但し、半導体基板201とガラス基板202を接合する際には、接合荷重により接着剤204を潰して接合するため、無機膜205の厚みt2は、接合時に接着剤204が潰される量を考慮して、接着剤204の厚みt1より薄くすることが望ましい。例えば、接合時の荷重の制御により接着剤204の厚みt1が1.5μmから1.0μmに潰れる場合、無機膜205の厚みt2は1.0μmになるように形成すれば良い。
【0026】
また、無機膜205は、接着剤204より吸湿性が低いため、図1に示すように、接着剤204の外側に無機膜205を配置することにより、従来の接着剤のみで接合する場合よりも外気の水分等が気密空間に侵入することを抑制して、気密性を維持することが可能になり、封止型デバイスの性能が劣化することを防止できる。したがって、無機膜205は、接着剤204に近接させて配置し、接着剤204が潰れた際に無機膜205側に広がって半導体基板201とガラス基板202の接合面の隙間部分を埋めるようにすることが望ましい。
【0027】
<加速度センサの製造方法>
次に、加速度センサ200の製造方法について図2を参照して説明する。なお、図2は、図1に示した加速度センサ100の断面図に基づいて各製造工程を示している。
【0028】
(1)半導体基板の準備(図2(A)参照)
半導体基板201として上述のSOI基板を用意する。半導体基板201は、SIMOXないし、貼り合せ法等により作成される。
【0029】
(2)半導体基板の加工(図2(B)参照)
半導体基板201に固定部201a、可撓部201c及び可動部201dを加工するためのマスクを形成し、該マスクを介して半導体基板201をエッチングすることにより、固定部201a、可撓部201c及び錘部201dを形成する位置に凹部を形成する。エッチング方法として、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法を用いることができる。
【0030】
(3)配線層の形成(図2(C)参照)
半導体基板201の固定部201aの上面に配線層203を形成する。配線層203は、は、Al,Al−Si,Al−Ndなどの金属材料をスパッタ法などにより成膜し、それをパターニングすることで得られる。
【0031】
(4)ガラス基板の加工(図2(d)参照)
ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域に図1(B)に示した環状の第1の接合部206と第2の接合部207を設定し、第2の接合部207上にアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等を用いてスパッタ膜のウェットエッチングやメッキにより無機膜205を形成してもよいし、シリコン(Si)、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等を成膜して無機膜205を形成してもよい。無機膜205の厚みt2は、上述した接着剤204の接合時の潰れ量を考慮して決定される。次いで、上記接合時の荷重制御を考慮した厚みt1の量分のポリイミド系接着剤等の接着剤204を、例えば、スピンコートによりガラス基板202の接合面に塗布した後、露光して第1の接合部206上に環状パターンの接着剤204を形成してもよい。なお、無機膜205をアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属膜とした場合は、この金属膜と対向する配線層203の上面に絶縁層を予め形成して、電気的な短絡を防止してもよい。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0032】
(5)半導体基板とガラス基板の接合(図3(A)、(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び無機膜205を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接合荷重の制御については、例えば、チャンバ内を十分に真空引き(例えば、10−3Paに達してから10分)してから、一定の荷重を印加し、325℃まで昇温して30分加熱し、降温後に荷重を開放することにより、接着剤204は、配線層203を跨ぎ、その一部は無機膜205と配線層203及び固定部201aとの接合面に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜205の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図3(A)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間210が形成される。この気密空間210の高さHは、無機膜205の厚みt2により一定となる。図3(A)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図である。
【0033】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサ200では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した無機膜205を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い無機膜205を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間210に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、無機膜205により気密空間210の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ200の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。
【0034】
なお、第1の実施の形態では、接着剤204としてポリイミド系接着剤を用いる例を示したが、これに限るものではなく、例えば、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂等を用いてもよい。また、第1の実施の形態では、接着剤204及び無機膜205をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態では、無機膜の接合部分の形状を変更した加速度センサの例について、図4を参照して説明する。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサ300の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す断面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す断面図である。なお、図4において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ300のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図4(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図4(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0037】
図4(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤204と無機膜305が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。無機膜305は、例えば、アルミニウム(Al)等の金属膜により形成され、その先端部は三角形の凸状に形成されている。この無機膜305と対向する半導体基板201の固定部201aの上面には、金属薄膜306が形成されている。この金属薄膜306の配線層203と接触する部分、すなわち、配線層203の上面には、金属薄膜306により配線層203が電気的に短絡することを防止するため絶縁膜307が形成されている。この絶縁膜307を跨ぐように金属薄膜306が形成されている。すなわち、図2(C)に示した製造工程において、配線層203を形成した後、その上面の無機膜305と接触する部分に絶縁層307が形成され、続いて、配線層203及び絶縁層307を跨ぐように無機膜305と同様に環状に金属薄膜306が形成される。
【0038】
本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサ300の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜305の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤204の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0039】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図4(B)参照)
半導体基板201の配線層203、絶縁層307及び金属薄膜306を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び無機膜305を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤204は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤204は、絶縁層307を跨ぎ、その一部は無機膜305と金属薄膜306との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜305の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図4(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間310が形成される。この気密空間310の高さHは、無機膜305の厚みt2により一定となる。
【0040】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサ300では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した凸状の金属製の無機膜305を形成し、この無機膜305と対向する半導体基板201の固定部201a上面に金属薄膜307を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い無機膜305を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間310に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、無機膜305により気密空間310の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ300の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第2の実施の形態では、接着剤204及び無機膜305をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0041】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態では、接着剤の接合部分の形状を変更した加速度センサの例について、図5を参照して説明する。
【0042】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサ400の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図である。なお、図5において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ400のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図5(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図5(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0043】
図5(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤401と無機膜205が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。また、接着剤401は、上記接合時の荷重制御を考慮した厚みt1になるように容量が調整されたポリイミド系接着剤等が無機膜205を覆うように形成されている。
【0044】
本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサ400の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜205の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤401の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤401は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0045】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図5(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤401及び無機膜205を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤401は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤401は、配線層203を跨ぎ、その一部は無機膜205と半導体基板201との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤401の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜205の厚みt2により接着剤401が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図5(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間410が形成される。この気密空間410の高さHは、無機膜205の厚みt2により一定となる。
【0046】
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサ400では、ガラス基板202の接合面上において外周側に形成された無機膜205を覆うように接着剤401を形成したため、接合時に接着剤401が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤401よりも吸湿性が低い無機膜305を接着剤401により覆うようにしたため、外部の水分等が気密空間310に侵入することを防止することが可能になる。さらに、無機膜205により気密空間410の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ300の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第3の実施の形態では、接着剤401及び無機膜205をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0047】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4の実施の形態では、無機膜の接合部分の形状を変更した加速度センサの他の例について、図6を参照して説明する。
【0048】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサ500の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図である。なお、図6において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ500のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図6(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図6(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0049】
図6(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤204と無機膜505が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。無機膜505は、例えば、アルミニウム(Al)等の金属膜により形成され、その先端部に凹部が形成されている。この無機膜505と対向する半導体基板201の固定部201aの上面には、無機膜505の凹部に嵌合するように金属薄膜506が形成されている。この金属薄膜506の配線層203と接触する部分、すなわち、配線層203の上面には、金属薄膜306により配線層203が電気的に短絡することを防止するため絶縁膜507が形成されている。この絶縁膜507を跨ぐように金属薄膜306が形成されている。すなわち、図2(C)に示した製造工程において、配線層203を形成した後、その上面の無機膜505と接触する部分に絶縁層507が形成され、続いて、配線層203及び絶縁層507を跨ぐように無機膜505と同様に環状に金属薄膜506が形成される。
【0050】
本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサ500の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜505の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤204の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0051】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図5(B)参照)
半導体基板201の配線層203、絶縁層507及び金属薄膜506を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び無機膜505を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤204は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤204は、絶縁層507を跨ぎ、その一部は無機膜505と金属薄膜506との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜505の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図5(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間510が形成される。この気密空間510の高さHは、無機膜505の厚みt2により一定となる。
【0052】
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサ500では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した凹部を有する金属製の無機膜505を形成し、この無機膜505と対向する半導体基板201の固定部201a上面に金属薄膜507を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い無機膜505を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間510に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、無機膜505により気密空間510の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ500の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第4の実施の形態では、接着剤204及び無機膜505をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0053】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5の実施の形態では、接着剤と無機膜の配置位置を変更した加速度センサの例について、図7及び図8を参照して説明する。
【0054】
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサ600の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板202の上面図である。図8(A)は接合後の加速度センサ600の概略構成を示す側面図、図8(B)は(A)の加速度センサ600の上面図である。なお、図7及び図8において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。なお、図7(A)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0055】
ガラス基板202は、半導体基板201の固定部201aと対向する面上に図7(B)に示す第1の接合部606と第2の接合部607と第3の接合部608を有する。第1の接合部606と第2の接合部607と第3の接合部608は、固定部201aと対向する面上において外周に向かって環状に順次配置されている。第2の接合部607には、有機部材からなる接着剤604(第1封止部材)が形成されている。接着剤604としては、例えば、接合強度が高く、気密性も高いポリイミド系接着剤(有機部材)を用いることが好ましい。第1の接合部606及び第3の接合部608には、図7(A)に示す無機部材からなる無機膜205(第2封止部材、第3封止部材)が形成されている。無機膜205は、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等により形成してもよい。無機膜205は、第2の接合部207において配線層203を跨ぐことになり、固定部201aの上面との接合において配線層203による段差を埋めるような材料を用いることが望ましい。このため、無機膜605は、接合時の荷重により変形しやすい材料として、例えば、アルミニウム合金や金(Au)等を用いることが好ましい。
【0056】
また、無機膜605は、接着剤604の硬度よりも高硬度の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、半導体基板201とガラス基板202を接合するときの荷重により接着剤604が潰されてしまうことを無機膜605で防止して、接合時の半導体基板201とガラス基板202との間の高さ(半導体基板201とガラス基板202との間に形成される気密空間の高さ)を一定にすることが容易になる。
【0057】
図7(A)において、接合する前の接着剤604の厚みをt1、幅をw2とし、無機膜605の厚みをt2、幅をw3として示す。また、接着剤604の幅w2と無機膜605の幅w3を加算した幅をw1として示す。これらの厚みt1及びt2、幅w1、w2及びw3の各寸法は、加速度センサ600の仕様等に応じて適宜変更されるものであり、特に限定するものではない。但し、半導体基板201とガラス基板202を接合する際には、接合荷重により接着剤604を潰して接合するため、無機膜605の厚みt2は、接合時に接着剤604が潰される量を考慮して、接着剤604の厚みt1より薄くすることが望ましい。例えば、接合時の荷重の制御により接着剤604の厚みt1が1.5μmから1.0μmに潰れる場合、無機膜605の厚みt2は1.0μmになるように形成すれば良い。
【0058】
また、無機膜605は、接着剤604より吸湿性が低いため、図7に示すように、接着剤604の内側と外側に無機膜605を配置することにより、従来の接着剤のみで接合する場合よりも外気の水分等が気密空間に侵入することを抑制し、且つ、接着剤604が内側に広がることを防止して、気密性を維持することが可能になり、加速度センサ600の性能が劣化することを防止できる。したがって、無機膜605は、接着剤604に近接させて配置し、接着剤604が潰れた際に無機膜605側に広がって半導体基板201とガラス基板202の接合面の隙間部分を埋めるようにすることが望ましい。
【0059】
本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサ600の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜605の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤604の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤604は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0060】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図8(A)、(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤604及び無機膜605を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤604は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤604は、配線層203を跨ぎ、その一部は無機膜605と半導体基板201との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤604の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜605の厚みt2により接着剤604が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図8(A)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間610が形成される。この気密空間610の高さHは、無機膜605の厚みt2により一定となる。図8(A)は、図8(B)のB−B´線から見た断面図である。
【0061】
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサ600では、ガラス基板202の接合面上において接着剤604の内側と外側に接着剤604の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した無機膜605を形成したため、接合時に接着剤604が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤604よりも吸湿性が低い無機膜605を接着剤604の内側と外側に設けたため、外部の水分等が気密空間610に侵入することを防止することが可能になる。さらに、無機膜605により気密空間610の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ600の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第5の実施の形態では、接着剤604及び無機膜605をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。さらに、第6の実施の形態では、無機膜205(外側)/接着剤604/無機膜205(内側)の順に配置する場合を示したが、これに限るものではなく、例えば、接着剤(外側)/無機膜/接着剤(内側)の順に配置するようにしてもよい。
【0062】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る第6の実施の形態では、硬度が異なる2つの接着剤を用いて接合する加速度センサの例について、図9を参照して説明する。
【0063】
図9は、本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサ700の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図である。なお、図9において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ700のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図9(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図9(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0064】
図9(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤204(第1の有機部材)と、接着剤204により高硬度かつ低吸湿性の有機部材705(第2の有機部材)が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。接着剤204としては、上記接合時の荷重制御を考慮した厚みt1になるように容量が調整されたポリイミド系接着剤等が用いられる。また、有機部材705は、接着剤204により高硬度かつ低吸湿性の部材として、例えば、エポキシ系樹脂を用いることができる。この有機部材705の厚みt2は、接合時に接着剤204が潰される量を考慮して、接着剤204の厚みt1より薄くすることが望ましい。
【0065】
本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサ700の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、有機部材705の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤204の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0066】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図9(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び有機部材705を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤204は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤204は、配線層203を跨ぎ、その一部は有機部材705と半導体基板201との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、有機部材705の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図9(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間710が形成される。この気密空間710の高さHは、有機部材705の厚みt2により一定となる。
【0067】
以上のように、本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサ700では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に、接着剤204より高硬度かつ低吸湿性で接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した有機部材705を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い有機部材705を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間710に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、有機部材705により気密空間710の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ700の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第6の実施の形態では、接着剤204及び有機部材705をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0068】
なお、上記第1〜第6の実施の形態では、本発明を加速度センサに適用した場合を示したが、これに限定するものではなく、例えば、角速度センサ等の封止型デバイスに適用することも可能である。
【0069】
(第7の実施の形態)
本第7の実施の形態では、上記第1〜第6の実施の形態に示した加速度センサ200、300、400、500、600、700のうちの何れか一つを加速度センサ802として搭載するセンサ基板800と、このセンサ基板800を搭載する電子機器900の例を説明する。
【0070】
図10は、加速度センサ802を搭載したセンサ基板800の構成例を示す斜視図である。図10において、センサ基板800には、上記第1〜第6の実施の形態に示した加速度センサ200、300、400、500、600、700のうちの何れか一つに対応する加速度センサ802と、ICチップ803と、が搭載されている。このセンサ基板800を搭載した電子機器として携帯型情報端末900の構成例を図11に示す。
【0071】
図11は、携帯型情報端末900の構成例を示す斜視図である。図11において、携帯型情報端末900は、ディスプレイ部901と、キーボード部902と、から構成される。センサ基板800は、キーボード部902の内部に実装されている。携帯型情報端末900は、その内部に各種プログラムを記憶し、各種プログラムにより通信処理や情報処理等を実行する機能を有する。この携帯型情報端末900では、センサ基板800上の加速度センサ802により検出される加速度をアプリケーションプログラムで利用することにより、例えば、落下時の加速度を検出して電源をオフさせる等の機能を付加することが可能になる。
【0072】
上記のようにセンサ基板800を携帯型情報端末900に実装することにより、新たな機能を実現することができ、携帯型情報端末900の利便性や信頼性を向上させることが可能になる。なお、センサ基板800を実装する電子機器は、上述の携帯型情報端末900に限定するものではなく、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、スキャナ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
200,300,400,500,600,700,802…加速度センサ、201…半導体基板、201a…固定部、201b…可動部、201c…可撓部、201d…錘部、202…ガラス基板、203…配線層、204,401…接着剤、205,305,505,605…無機膜、206…第1の接合部、207…第2の接合部、306…金属薄膜、307…絶縁膜、705…有機部材、800…センサ基板、900…携帯型情報端末。
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部が形成された半導体基板を封止材で封止した封止型デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の小型軽量化、多機能化や高機能化が進み、実装される電子部品にも高密度化が要求されている。このような要求に応じて各種電子部品が半導体デバイスとして製造されるものが増加している。このため、回路素子として製造される半導体デバイス以外に力学量を検出するセンサ等も半導体デバイスの製造工程を用いて製造されて、小型軽量化が図られている。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)分野の製品またはMEMSデバイスを用いて小型で単純な構造を有する加速度センサあるいは角速度センサでは、外力に応じて変位する可動部を半導体基板に形成し、この可動部の変位が静電容量素子を利用して検出されるタイプのセンサ(いわゆる静電容量型センサ)等が実用化されている。
【0003】
このようなMEMSデバイスとして高速に変位する可動部を有するデバイスでは、可動部を安定して変位させるため、半導体基板を封止材(例えば、ガラス基板等)で密封する構造がとられており、密封された封止空間はガス抜き等が行われて、可動部の変位を阻害する要因が排除されている。このような可動部を気密封止した封止構造を有するデバイスを、本書面では封止型デバイスと呼称するものとする。封止型デバイスには、MEMS素子以外に、SAW(Surface Acoustic Wave)素子やF−BAR(Thin Film Bulk Acoustic Wave Resonators)素子、ミラーデバイス等も含まれる。静電容量型センサは、一般に一対のガラス基板に挟まれて接合された半導体基板内に、所定の自由度をもって変位可能な錘部を用意し、当該錘部を加速度や角速度などに伴う変位を検出する錘部として利用する。変位の検出は、容量素子の静電容量の値に基づいて行われる。特に、静電容量型の角速度センサでは、静電容量の変化を高感度で検出するために、電極と可動部の距離を短くするが、そのために空気抵抗の影響がより大きくなる。
【0004】
図12は、封止型デバイスとして静電容量型センサ100の一例を示す図であり、(A)は静電容量型センサ100の概略構成を示す断面図、(B)は(A)の上面から見た平面図である。図12において、静電容量型センサ100は、可撓部101bにより支持された錘部101aが形成された半導体基板101と、半導体基板101の上面に形成された配線層103と、錘部101aと可撓部101bの上部を覆い、且つ接着剤104により半導体基板101の上面に接着されたガラス基板102と、を備える。なお、図12(A)及び(B)では、半導体基板101の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。接着剤104は、図12(B)に示す点線で囲まれた接着領域105に塗布され、ガラス基板102を半導体基板101の上面に接着させる。このように半導体基板101にガラス基板102を接着することにより、半導体基板101の上面とガラス基板102の下面の間には気密空間110が形成される。この場合、半導体基板101とガラス基板102との接合面の一部には、配線層103が形成されている。このため、接合面に段差が発生し、接合面の平坦性を必要とする陽極接合は利用することができず、接着剤による接合を用いている。
【0005】
また、封止型デバイスとして、例えば、特許文献1に記載された加速度センサがある。この加速度センサでは、加速度センサチップのフレーム部と平板状のストッパの周部との間にスペーサ部材を設け、スペーサ部材を覆う接着剤を用いて加速度センサチップのフレーム部と平板状のストッパの周部とが接着されている。さらに、他の封止型デバイスとして、例えば、特許文献2に記載された半導体センサがある。この半導体センサでは、カバーウェハの接合部全域に接着剤が形成され、この接着剤によりカバーウェハがセンサを形成したSOIウェハに接着されている。また、他の封止型デバイスとして、例えば、特許文献3に記載された半導体センサがある。この半導体センサでは、変位検出用半導体チップと封止部材を兼ねるICチップと、がダイアタッチ材を介して接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−317180号公報
【特許文献2】特開2009−264843号公報
【特許文献3】特開2010−73919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した封止型デバイスでは、接着剤として接着性を有する樹脂が用いられる場合がある。接着性を有する樹脂として、例えば、ポリイミド系の接着剤が用いられる場合がある。ポリイミド系の接着剤は、接着強度は十分に高いが、吸湿性があるため、外気の水分が上記気密空間に侵入して真空度を低下させ、接着剤が変質して接合強度を低下させて封止型デバイスの性能を劣化させる虞があった。また、接着剤が接合時の荷重によって潰されてしまい、接着領域と接着剤の高さを所望の条件に保つことが困難であった。このため、半導体基板とガラス基板との間に形成される気密空間の高さ等を一定にすることができず、錘部と可撓部の動作に影響を及ぼし、封止型デバイスの信頼性を低下させる虞があった。
【0008】
本発明は上記に鑑み、半導体基板とガラス基板を接合する際の接合不良を防止して、信頼性を向上させる封止型デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を有する第1基板と、前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第1封止部材と、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材の外周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第2封止部材と、を備えることを特徴とする。この封止型デバイスによれば、接合時に第1基板と第2基板の接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1基板は、前記固定部の前記第2基板と対向する面上に配線層を有し、前記第1封止部材と前記第2封止部材は、前記配線層を跨ぐように各々配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、半導体基板の接合面に段差があったとしても第1基板と第2基板の接合強度を維持することができる。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1封止部材として有機部材が配置され、前記第2封止部材として無機部材が配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、無機部材により気密空間の高さを一定に保つことができ、外部から水分等が気密空間に侵入することを防止することができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1封止部材は、前記第2封止部材を覆うように配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めながら、外部の水分が気密空間に浸入することを防止することができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1封止部材として第1有機部材が配置され、前記第2封止部材として前記第1有機部材とは異なる第2有機部材が配置されてもよい。この封止型デバイスによれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めることができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る封止型デバイスは、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材及び前記第2封止部材の外周部又は内周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第3封止部材を更に備えてもよい。この封止型デバイスによれば、接合時に第1基板と第2基板の接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性を向上させることができる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る封止型デバイスの製造方法は、第1基板を加工して固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を形成し、前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板を形成し、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に第1封止部材を配置し、前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間、かつ前記第1封止部材の外周部に第2封止部材を配置し、前記第1基板と前記第2基板との間を前記第1封止部材及び前記第2封止部材により封止することを特徴とする。この封止型デバイスの製造方法によれば、接合時に第1基板と第2基板の接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスの製造方法は、前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凸部を形成し、前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凸部と対向する位置に無機膜を形成してもよい。この封止型デバイスの製造方法によれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めることができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る封止型デバイスの製造方法は、前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凹部を形成し、前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凹部と対向する位置に凸状の無機膜を形成してもよい。この封止型デバイスの製造方法によれば、第1基板と第2基板の接合強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接合時に半導体基板等の第1基板とガラス基板等の第2基板との接合強度を向上させながら気密空間の高さを一定に保つことができ、封止型デバイスの性能が劣化することを防止して信頼性の高い封止型デバイス及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板とガラス基板の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板の上面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサの製造工程を示す図であり、(A)は半導体基板の準備工程を示す図、(B)は半導体基板の加工工程を示す図、(C)は配線層の形成工程を示す図、(D)はガラス基板の加工工程を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合後の加速度センサの構成を示す側面図、(B)は(A)の上面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板とガラス基板の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板の上面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合後の加速度センサの構成を示す側面図、(B)は(A)の上面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)は接合前の加速度センサの概略構成を示す側面図、(B)は接合後の加速度センサの概略構成を示す側面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係るセンサ基板の概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態に係る携帯型情報端末の概略構成を示す斜視図である。
【図12】従来の加速度センサの概略構成を示す図であり、(A)加速度センサの側面図、(B)は(A)の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
本発明に係る第1の実施の形態では、封止型デバイスとして加速度センサの例について説明する。
【0021】
<加速度センサの構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサ200の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201(第1基板)とガラス基板202(第2基板)の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板202の上面図である。図1において、加速度センサ200は、枠状の固定部201aと固定部201aの内側に位置する可動部201bとを有する半導体基板101と、ガラス基板202と、を備える。可動部201bは、可撓部201cと、この可撓部201cにより変位可能に支持される錘部201dと、から構成される。この加速度センサ200は、加速度の作用に起因して生じる可動部201bの変位を検出する。なお、図1(A)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0022】
半導体基板201としては、例えば、上面からシリコン膜、シリコン酸化膜、シリコン基板が順に積層して構成されるSOI(Silicon on Insulator)基板等が用いられる。なお、半導体基板201の厚さや大きさは特に限定されず、用途や、機能などに応じて任意に選択することが可能である。また、図1(A)に示すように、半導体基板201の固定部201aのガラス基板202と対向する面上には配線層203が形成されている。この配線層203は、半導体基板201の内部(可動部201bの変位を電気的に検出する部分(図示せず))と、半導体基板201の外部(加速度センサ200と電気的に接続される外部回路基板等)とを電気的に接続するためのものである。なお、可動部201bの変位を電気的に検出する部分には、例えば、静電容量素子、ピエゾ抵抗素子、圧電素子等を用いてもよい。
【0023】
ガラス基板202は、半導体基板201の固定部201aと対向する面上に図1(B)に示す第1の接合部206と第2の接合部207を有する。第1の接合部206と第2の接合部207は、固定部201aと対向する面上において外周に向かって環状に順次配置されている。第1の接合部206には、図1(A)に示す有機部材からなる接着剤204(第1封止部材)が形成されている。接着剤204としては、例えば、接合強度が高く、気密性も高いポリイミド系接着剤(有機部材)を用いることが好ましい。第2の接合部207には、図1(A)に示す無機部材からなる無機膜205(第2封止部材)が形成されている。無機膜205は、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等により形成してもよい。無機膜205は、第2の接合部207において配線層203を跨ぐことになり、固定部201aの上面との接合において配線層203による段差を埋めるような材料を用いることが望ましい。このため、無機膜205に用いる無機部材は、接合時の荷重により変形しやすい材料として、例えば、アルミニウム合金や金(Au)等を用いることが好ましい。
【0024】
また、無機膜205は、接着剤204の硬度よりも高硬度の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、半導体基板201とガラス基板202を接合するときの荷重により接着剤204が潰されてしまうことを無機膜205で防止して、接合時の半導体基板201とガラス基板202との間の高さ(半導体基板201とガラス基板202との間に形成される気密空間の高さ)を一定にすることが容易になる。
【0025】
図1(A)において、接合する前の接着剤204の厚みをt1、幅をw2とし、無機膜205の厚みをt2、幅をw3として示す。また、接着剤204の幅w2と無機膜205の幅w3を加算した幅をw1として示す。これらの厚みt1及びt2、幅w1、w2及びw3の各寸法は、加速度センサ200の仕様等に応じて適宜変更されるものであり、特に限定するものではない。但し、半導体基板201とガラス基板202を接合する際には、接合荷重により接着剤204を潰して接合するため、無機膜205の厚みt2は、接合時に接着剤204が潰される量を考慮して、接着剤204の厚みt1より薄くすることが望ましい。例えば、接合時の荷重の制御により接着剤204の厚みt1が1.5μmから1.0μmに潰れる場合、無機膜205の厚みt2は1.0μmになるように形成すれば良い。
【0026】
また、無機膜205は、接着剤204より吸湿性が低いため、図1に示すように、接着剤204の外側に無機膜205を配置することにより、従来の接着剤のみで接合する場合よりも外気の水分等が気密空間に侵入することを抑制して、気密性を維持することが可能になり、封止型デバイスの性能が劣化することを防止できる。したがって、無機膜205は、接着剤204に近接させて配置し、接着剤204が潰れた際に無機膜205側に広がって半導体基板201とガラス基板202の接合面の隙間部分を埋めるようにすることが望ましい。
【0027】
<加速度センサの製造方法>
次に、加速度センサ200の製造方法について図2を参照して説明する。なお、図2は、図1に示した加速度センサ100の断面図に基づいて各製造工程を示している。
【0028】
(1)半導体基板の準備(図2(A)参照)
半導体基板201として上述のSOI基板を用意する。半導体基板201は、SIMOXないし、貼り合せ法等により作成される。
【0029】
(2)半導体基板の加工(図2(B)参照)
半導体基板201に固定部201a、可撓部201c及び可動部201dを加工するためのマスクを形成し、該マスクを介して半導体基板201をエッチングすることにより、固定部201a、可撓部201c及び錘部201dを形成する位置に凹部を形成する。エッチング方法として、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法を用いることができる。
【0030】
(3)配線層の形成(図2(C)参照)
半導体基板201の固定部201aの上面に配線層203を形成する。配線層203は、は、Al,Al−Si,Al−Ndなどの金属材料をスパッタ法などにより成膜し、それをパターニングすることで得られる。
【0031】
(4)ガラス基板の加工(図2(d)参照)
ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域に図1(B)に示した環状の第1の接合部206と第2の接合部207を設定し、第2の接合部207上にアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等を用いてスパッタ膜のウェットエッチングやメッキにより無機膜205を形成してもよいし、シリコン(Si)、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等を成膜して無機膜205を形成してもよい。無機膜205の厚みt2は、上述した接着剤204の接合時の潰れ量を考慮して決定される。次いで、上記接合時の荷重制御を考慮した厚みt1の量分のポリイミド系接着剤等の接着剤204を、例えば、スピンコートによりガラス基板202の接合面に塗布した後、露光して第1の接合部206上に環状パターンの接着剤204を形成してもよい。なお、無機膜205をアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の金属膜とした場合は、この金属膜と対向する配線層203の上面に絶縁層を予め形成して、電気的な短絡を防止してもよい。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0032】
(5)半導体基板とガラス基板の接合(図3(A)、(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び無機膜205を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接合荷重の制御については、例えば、チャンバ内を十分に真空引き(例えば、10−3Paに達してから10分)してから、一定の荷重を印加し、325℃まで昇温して30分加熱し、降温後に荷重を開放することにより、接着剤204は、配線層203を跨ぎ、その一部は無機膜205と配線層203及び固定部201aとの接合面に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜205の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図3(A)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間210が形成される。この気密空間210の高さHは、無機膜205の厚みt2により一定となる。図3(A)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図である。
【0033】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る加速度センサ200では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した無機膜205を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い無機膜205を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間210に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、無機膜205により気密空間210の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ200の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。
【0034】
なお、第1の実施の形態では、接着剤204としてポリイミド系接着剤を用いる例を示したが、これに限るものではなく、例えば、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂等を用いてもよい。また、第1の実施の形態では、接着剤204及び無機膜205をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態では、無機膜の接合部分の形状を変更した加速度センサの例について、図4を参照して説明する。
【0036】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサ300の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す断面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す断面図である。なお、図4において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ300のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図4(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図4(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0037】
図4(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤204と無機膜305が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。無機膜305は、例えば、アルミニウム(Al)等の金属膜により形成され、その先端部は三角形の凸状に形成されている。この無機膜305と対向する半導体基板201の固定部201aの上面には、金属薄膜306が形成されている。この金属薄膜306の配線層203と接触する部分、すなわち、配線層203の上面には、金属薄膜306により配線層203が電気的に短絡することを防止するため絶縁膜307が形成されている。この絶縁膜307を跨ぐように金属薄膜306が形成されている。すなわち、図2(C)に示した製造工程において、配線層203を形成した後、その上面の無機膜305と接触する部分に絶縁層307が形成され、続いて、配線層203及び絶縁層307を跨ぐように無機膜305と同様に環状に金属薄膜306が形成される。
【0038】
本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサ300の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜305の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤204の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0039】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図4(B)参照)
半導体基板201の配線層203、絶縁層307及び金属薄膜306を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び無機膜305を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤204は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤204は、絶縁層307を跨ぎ、その一部は無機膜305と金属薄膜306との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜305の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図4(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間310が形成される。この気密空間310の高さHは、無機膜305の厚みt2により一定となる。
【0040】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る加速度センサ300では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した凸状の金属製の無機膜305を形成し、この無機膜305と対向する半導体基板201の固定部201a上面に金属薄膜307を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い無機膜305を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間310に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、無機膜305により気密空間310の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ300の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第2の実施の形態では、接着剤204及び無機膜305をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0041】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態では、接着剤の接合部分の形状を変更した加速度センサの例について、図5を参照して説明する。
【0042】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサ400の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図である。なお、図5において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ400のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図5(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図5(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0043】
図5(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤401と無機膜205が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。また、接着剤401は、上記接合時の荷重制御を考慮した厚みt1になるように容量が調整されたポリイミド系接着剤等が無機膜205を覆うように形成されている。
【0044】
本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサ400の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜205の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤401の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤401は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0045】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図5(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤401及び無機膜205を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤401は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤401は、配線層203を跨ぎ、その一部は無機膜205と半導体基板201との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤401の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜205の厚みt2により接着剤401が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図5(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間410が形成される。この気密空間410の高さHは、無機膜205の厚みt2により一定となる。
【0046】
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る加速度センサ400では、ガラス基板202の接合面上において外周側に形成された無機膜205を覆うように接着剤401を形成したため、接合時に接着剤401が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤401よりも吸湿性が低い無機膜305を接着剤401により覆うようにしたため、外部の水分等が気密空間310に侵入することを防止することが可能になる。さらに、無機膜205により気密空間410の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ300の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第3の実施の形態では、接着剤401及び無機膜205をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0047】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4の実施の形態では、無機膜の接合部分の形状を変更した加速度センサの他の例について、図6を参照して説明する。
【0048】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサ500の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図である。なお、図6において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ500のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図6(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図6(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0049】
図6(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤204と無機膜505が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。無機膜505は、例えば、アルミニウム(Al)等の金属膜により形成され、その先端部に凹部が形成されている。この無機膜505と対向する半導体基板201の固定部201aの上面には、無機膜505の凹部に嵌合するように金属薄膜506が形成されている。この金属薄膜506の配線層203と接触する部分、すなわち、配線層203の上面には、金属薄膜306により配線層203が電気的に短絡することを防止するため絶縁膜507が形成されている。この絶縁膜507を跨ぐように金属薄膜306が形成されている。すなわち、図2(C)に示した製造工程において、配線層203を形成した後、その上面の無機膜505と接触する部分に絶縁層507が形成され、続いて、配線層203及び絶縁層507を跨ぐように無機膜505と同様に環状に金属薄膜506が形成される。
【0050】
本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサ500の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜505の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤204の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0051】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図5(B)参照)
半導体基板201の配線層203、絶縁層507及び金属薄膜506を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び無機膜505を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤204は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤204は、絶縁層507を跨ぎ、その一部は無機膜505と金属薄膜506との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜505の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図5(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間510が形成される。この気密空間510の高さHは、無機膜505の厚みt2により一定となる。
【0052】
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係る加速度センサ500では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した凹部を有する金属製の無機膜505を形成し、この無機膜505と対向する半導体基板201の固定部201a上面に金属薄膜507を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い無機膜505を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間510に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、無機膜505により気密空間510の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ500の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第4の実施の形態では、接着剤204及び無機膜505をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0053】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5の実施の形態では、接着剤と無機膜の配置位置を変更した加速度センサの例について、図7及び図8を参照して説明する。
【0054】
図7は、本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサ600の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は(A)のガラス基板202の上面図である。図8(A)は接合後の加速度センサ600の概略構成を示す側面図、図8(B)は(A)の加速度センサ600の上面図である。なお、図7及び図8において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。なお、図7(A)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0055】
ガラス基板202は、半導体基板201の固定部201aと対向する面上に図7(B)に示す第1の接合部606と第2の接合部607と第3の接合部608を有する。第1の接合部606と第2の接合部607と第3の接合部608は、固定部201aと対向する面上において外周に向かって環状に順次配置されている。第2の接合部607には、有機部材からなる接着剤604(第1封止部材)が形成されている。接着剤604としては、例えば、接合強度が高く、気密性も高いポリイミド系接着剤(有機部材)を用いることが好ましい。第1の接合部606及び第3の接合部608には、図7(A)に示す無機部材からなる無機膜205(第2封止部材、第3封止部材)が形成されている。無機膜205は、例えば、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等により形成してもよい。無機膜205は、第2の接合部207において配線層203を跨ぐことになり、固定部201aの上面との接合において配線層203による段差を埋めるような材料を用いることが望ましい。このため、無機膜605は、接合時の荷重により変形しやすい材料として、例えば、アルミニウム合金や金(Au)等を用いることが好ましい。
【0056】
また、無機膜605は、接着剤604の硬度よりも高硬度の材料を用いることが好ましい。このような材料を用いることにより、半導体基板201とガラス基板202を接合するときの荷重により接着剤604が潰されてしまうことを無機膜605で防止して、接合時の半導体基板201とガラス基板202との間の高さ(半導体基板201とガラス基板202との間に形成される気密空間の高さ)を一定にすることが容易になる。
【0057】
図7(A)において、接合する前の接着剤604の厚みをt1、幅をw2とし、無機膜605の厚みをt2、幅をw3として示す。また、接着剤604の幅w2と無機膜605の幅w3を加算した幅をw1として示す。これらの厚みt1及びt2、幅w1、w2及びw3の各寸法は、加速度センサ600の仕様等に応じて適宜変更されるものであり、特に限定するものではない。但し、半導体基板201とガラス基板202を接合する際には、接合荷重により接着剤604を潰して接合するため、無機膜605の厚みt2は、接合時に接着剤604が潰される量を考慮して、接着剤604の厚みt1より薄くすることが望ましい。例えば、接合時の荷重の制御により接着剤604の厚みt1が1.5μmから1.0μmに潰れる場合、無機膜605の厚みt2は1.0μmになるように形成すれば良い。
【0058】
また、無機膜605は、接着剤604より吸湿性が低いため、図7に示すように、接着剤604の内側と外側に無機膜605を配置することにより、従来の接着剤のみで接合する場合よりも外気の水分等が気密空間に侵入することを抑制し、且つ、接着剤604が内側に広がることを防止して、気密性を維持することが可能になり、加速度センサ600の性能が劣化することを防止できる。したがって、無機膜605は、接着剤604に近接させて配置し、接着剤604が潰れた際に無機膜605側に広がって半導体基板201とガラス基板202の接合面の隙間部分を埋めるようにすることが望ましい。
【0059】
本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサ600の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、無機膜605の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤604の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤604は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0060】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図8(A)、(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤604及び無機膜605を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤604は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤604は、配線層203を跨ぎ、その一部は無機膜605と半導体基板201との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤604の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、無機膜605の厚みt2により接着剤604が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図8(A)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間610が形成される。この気密空間610の高さHは、無機膜605の厚みt2により一定となる。図8(A)は、図8(B)のB−B´線から見た断面図である。
【0061】
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係る加速度センサ600では、ガラス基板202の接合面上において接着剤604の内側と外側に接着剤604の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した無機膜605を形成したため、接合時に接着剤604が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤604よりも吸湿性が低い無機膜605を接着剤604の内側と外側に設けたため、外部の水分等が気密空間610に侵入することを防止することが可能になる。さらに、無機膜605により気密空間610の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ600の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第5の実施の形態では、接着剤604及び無機膜605をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。さらに、第6の実施の形態では、無機膜205(外側)/接着剤604/無機膜205(内側)の順に配置する場合を示したが、これに限るものではなく、例えば、接着剤(外側)/無機膜/接着剤(内側)の順に配置するようにしてもよい。
【0062】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る第6の実施の形態では、硬度が異なる2つの接着剤を用いて接合する加速度センサの例について、図9を参照して説明する。
【0063】
図9は、本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサ700の概略構成を示す図であり、(A)は接合前の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図、(B)は接合後の半導体基板201とガラス基板202の概略構成を示す側面図である。なお、図9において、図1に示した加速度センサ200と同一の構成部分には同一の符号を付して構成説明を省略する。また、加速度センサ700のガラス基板202の上面側から見た平面図は、図3(B)に示したものと概略同様であるため、その図示及び説明は省略する。図9(A)及び(B)は、図3(B)のA−A´線から見た断面図に相当する。なお、図9(A)及び(B)では、半導体基板201の下側に接着されるガラス基板の図示は省略している。
【0064】
図9(A)において、ガラス基板202の半導体基板201と対向する面上の固定部201aと対向する領域には接着剤204(第1の有機部材)と、接着剤204により高硬度かつ低吸湿性の有機部材705(第2の有機部材)が、上記図1(B)に示した第1の接合部206及び第2の接合部207のように環状に形成されている。接着剤204としては、上記接合時の荷重制御を考慮した厚みt1になるように容量が調整されたポリイミド系接着剤等が用いられる。また、有機部材705は、接着剤204により高硬度かつ低吸湿性の部材として、例えば、エポキシ系樹脂を用いることができる。この有機部材705の厚みt2は、接合時に接着剤204が潰される量を考慮して、接着剤204の厚みt1より薄くすることが望ましい。
【0065】
本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサ700の製造方法は、第1の実施の形態において図2に示した製造工程とほぼ同様であるため、その図示及び説明は省略する。また、有機部材705の厚みt2は、半導体基板201とガラス基板202を接合する際の接着剤204の潰れ量を考慮して決定される。ガラス基板202上に形成した接着剤204は、半導体基板201と接合する前に、例えば、250℃で30分過熱して脱ガスすることが好ましい。
【0066】
<半導体基板とガラス基板の接合>(図9(B)参照)
半導体基板201の配線層203を形成した面と、ガラス基板202の接着剤204及び有機部材705を形成した面とを位置合わせして対向させ、接合荷重を制御しながら半導体基板201とガラス基板202を接合する。この時、接着剤204は、例えば、325℃で30分加熱することにより、加熱された接着剤204は、配線層203を跨ぎ、その一部は有機部材705と半導体基板201との接合部分に侵入して、半導体基板201とガラス基板202を密着させる。この接合において、接合荷重を制御することにより接着剤204の潰れ量が制御されて、その厚みt1が制御されるとともに、有機部材705の厚みt2により接着剤204が過度に潰れることが抑制される。この半導体基板201とガラス基板202の接合により、図9(B)に示すように、半導体基板201の可動部201bの上方とガラス基板202の接合面との間には気密空間710が形成される。この気密空間710の高さHは、有機部材705の厚みt2により一定となる。
【0067】
以上のように、本発明の第6の実施の形態に係る加速度センサ700では、ガラス基板202の接合面上において接着剤204の外側に、接着剤204より高硬度かつ低吸湿性で接着剤204の潰れ量を考慮した厚みt2を設定した有機部材705を形成したため、接合時に接着剤204が過度に潰れることを抑制しながら半導体基板201とガラス基板202の接合強度を更に向上させることができる。また、接着剤204よりも吸湿性が低い有機部材705を接着剤204よりも外側に設けたため、外部の水分等が気密空間710に侵入することを確実に防止することが可能になる。さらに、有機部材705により気密空間710の高さHが一定に保たれるようになり、可動部201bの動作を阻害することを防止できる。このため、加速度センサ700の性能が劣化することを防止でき、その信頼性を向上させることができる。なお、第6の実施の形態では、接着剤204及び有機部材705をガラス基板202側に配置する場合を示したが、半導体基板201側に配置するようにしてもよい。また、ガラス基板202に限るものではなく、例えば、半導体基板や絶縁性樹脂基板等を用いてもよい。
【0068】
なお、上記第1〜第6の実施の形態では、本発明を加速度センサに適用した場合を示したが、これに限定するものではなく、例えば、角速度センサ等の封止型デバイスに適用することも可能である。
【0069】
(第7の実施の形態)
本第7の実施の形態では、上記第1〜第6の実施の形態に示した加速度センサ200、300、400、500、600、700のうちの何れか一つを加速度センサ802として搭載するセンサ基板800と、このセンサ基板800を搭載する電子機器900の例を説明する。
【0070】
図10は、加速度センサ802を搭載したセンサ基板800の構成例を示す斜視図である。図10において、センサ基板800には、上記第1〜第6の実施の形態に示した加速度センサ200、300、400、500、600、700のうちの何れか一つに対応する加速度センサ802と、ICチップ803と、が搭載されている。このセンサ基板800を搭載した電子機器として携帯型情報端末900の構成例を図11に示す。
【0071】
図11は、携帯型情報端末900の構成例を示す斜視図である。図11において、携帯型情報端末900は、ディスプレイ部901と、キーボード部902と、から構成される。センサ基板800は、キーボード部902の内部に実装されている。携帯型情報端末900は、その内部に各種プログラムを記憶し、各種プログラムにより通信処理や情報処理等を実行する機能を有する。この携帯型情報端末900では、センサ基板800上の加速度センサ802により検出される加速度をアプリケーションプログラムで利用することにより、例えば、落下時の加速度を検出して電源をオフさせる等の機能を付加することが可能になる。
【0072】
上記のようにセンサ基板800を携帯型情報端末900に実装することにより、新たな機能を実現することができ、携帯型情報端末900の利便性や信頼性を向上させることが可能になる。なお、センサ基板800を実装する電子機器は、上述の携帯型情報端末900に限定するものではなく、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、スキャナ等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
200,300,400,500,600,700,802…加速度センサ、201…半導体基板、201a…固定部、201b…可動部、201c…可撓部、201d…錘部、202…ガラス基板、203…配線層、204,401…接着剤、205,305,505,605…無機膜、206…第1の接合部、207…第2の接合部、306…金属薄膜、307…絶縁膜、705…有機部材、800…センサ基板、900…携帯型情報端末。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を有する第1基板と、
前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板と、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第1封止部材と、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材の外周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第2封止部材と、を備えることを特徴とする封止型デバイス。
【請求項2】
前記第1基板は、前記固定部の前記第2基板と対向する面上に配線層を有し、
前記第1封止部材と前記第2封止部材は、前記配線層を跨ぐように各々配置されたことを特徴とする請求項1記載の封止型デバイス。
【請求項3】
前記第1封止部材として有機部材が配置され、前記第2封止部材として無機部材が配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の封止型デバイス。
【請求項4】
前記第1封止部材は、前記第2封止部材を覆うように配置されたことを特徴とする請求項3記載の封止型デバイス。
【請求項5】
前記第1封止部材として第1有機部材が配置され、前記第2封止部材として前記第1有機部材とは異なる第2有機部材が配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の封止型デバイス。
【請求項6】
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材及び前記第2封止部材の外周部又は内周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第3封止部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の封止型デバイス。
【請求項7】
第1基板を加工して固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を形成し、
前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板を形成し、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に第1封止部材を配置し、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間、かつ前記第1封止部材の外周部に第2封止部材を配置し、
前記第1基板と前記第2基板との間を前記第1封止部材及び前記第2封止部材により封止することを特徴とする封止型デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凸部を形成し、
前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凸部と対向する位置に無機膜を形成したことを特徴とする請求項7記載の封止型デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凹部を形成し、
前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凹部と対向する位置に凸状の無機膜を形成したことを特徴とする請求項7記載の封止型デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の封止型デバイスを搭載したことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を有する第1基板と、
前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板と、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第1封止部材と、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材の外周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第2封止部材と、を備えることを特徴とする封止型デバイス。
【請求項2】
前記第1基板は、前記固定部の前記第2基板と対向する面上に配線層を有し、
前記第1封止部材と前記第2封止部材は、前記配線層を跨ぐように各々配置されたことを特徴とする請求項1記載の封止型デバイス。
【請求項3】
前記第1封止部材として有機部材が配置され、前記第2封止部材として無機部材が配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の封止型デバイス。
【請求項4】
前記第1封止部材は、前記第2封止部材を覆うように配置されたことを特徴とする請求項3記載の封止型デバイス。
【請求項5】
前記第1封止部材として第1有機部材が配置され、前記第2封止部材として前記第1有機部材とは異なる第2有機部材が配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の封止型デバイス。
【請求項6】
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に配置され、前記第1封止部材及び前記第2封止部材の外周部又は内周部において前記第1基板と前記第2基板との間を封止する第3封止部材を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の封止型デバイス。
【請求項7】
第1基板を加工して固定部と前記固定部の内側に位置する可動部を形成し、
前記第1基板の前記固定部及び前記可動部を覆う第2基板を形成し、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間に第1封止部材を配置し、
前記第1基板の前記固定部と前記第2基板との間、かつ前記第1封止部材の外周部に第2封止部材を配置し、
前記第1基板と前記第2基板との間を前記第1封止部材及び前記第2封止部材により封止することを特徴とする封止型デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凸部を形成し、
前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凸部と対向する位置に無機膜を形成したことを特徴とする請求項7記載の封止型デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記第2封止部材の前記第1基板又は前記第2基板と対向する面に凹部を形成し、
前記第1基板又は前記第2基板の前記第2封止部材と対向する面の前記凹部と対向する位置に凸状の無機膜を形成したことを特徴とする請求項7記載の封止型デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の封止型デバイスを搭載したことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−49335(P2012−49335A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190095(P2010−190095)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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