説明

導電性金属ナノ粒子の製造方法、導電性金属ナノ粒子およびそれを用いたインク組成物、配線形成方法

【課題】微細なパターンの配線を単一工程で基材に直接に印刷して工程を単純化して、製造単価を画期的に低減することができるようにするだけでなく、配線幅の微細化を通じて高集積、高效率のプリント回路の製造ができるようにして、特に配線形成のための熱処理温度を従来金属粒子に比べて大きく低下させることができる導電性金属ナノ粒子及び、これを利用した製造方法を提供する。
【解決手段】金属炭化水素化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を製造した後、上記溶液に芳香族アミン化合物を投入して反応させる工程;及び上記反応後生成物をアルコールとアセトンとの混合溶媒にて洗浄して、乾燥する工程とを有することを特徴とする導電性金属ナノ粒子の製造方法、及び上記方法によって製造された導電性金属ナノ粒子、インク組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性金属ナノ粒子の製造方法、導電性金属ナノ粒子およびそれを用いたインク組成物、配線形成方法に関するもので、より具体的には、微細なパターンの配線を単一工程で基材に直接、印刷して工程を単純化して、製造単価を画期的に低下させることができ、特に配線形成のための熱処理温度を従来の金属粒子に比べて、100ないし200℃に大きく低下させて、接着性が優秀で樹脂フィルムなど耐熱性が弱い基材にも効率的に配線を形成できる導電性金属ナノ粒子、これを利用した製造方法、導電性金属ナノ粒子を含むナノ金属インク組成物及びこれを利用した配線形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、PDA、ノートパソコンなど各種電子機器に組み込まれるフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuit board, FPCB)と一般的な産業用、事務用または家庭用電子機器に使われるプリント基板(Printed circuit board, PCB)又は、樹脂フィルムに全体的に銅箔が結合されているフレキシブル銅張積層版(Flexible copper clad laminate, FCCL)または銅張積層版(copper clad laminate, CCL)をリソグラフィ(lithography)工程を通じて部分的にエッチングして希望の配線だけを残す複雑な一連の工程を経て製作された。
【0003】
しかし上記工程は通常的に半導体工程に使われる工程として回路を製作するためのフォトマスクを含めて、DFR(dry film register)と呼ばれるフォトレジスト塗布設備、露光設備、エッチング設備、洗浄設備、及び乾燥設備など高価な設備と一連の複雑で、製造コストが高い工程を遂行しなければならないという問題点がある。
これにより、最近、印刷工程時に蒸着工程を取り入れて、金イオンなどを蒸着することで配線を形成する乾式工程が開発されたが、上記工程は真空設備など高価な装備が必要であり、このためにも上記フォトマスクと類似のマスターパターンを要するので一部工程の省略が可能だが相変わらず高価な設備と一連の複雑で、製造コストが高いという問題点がある以外に、電子機器の軽薄短小化傾向によって上記機器に使われるプリント基板の場合もますます高密度、高集積の形態で成り立っている。この為、プリント基板の配線幅、及び配線間のピッチの細くなる微細化が必要だが、従来プリント基板に適用されるシルクスクリーン方式の印刷方法では、このような微細化の要求を満足させることが出来ない点が問題であった。これだけではなく上記のような機器の軽薄短小化の為のプリント基板の微細化は配線幅の減少を要するが配線幅が細くなれば配線抵抗が増加して、上記配線抵抗を低下させるために比抵抗が少ない金、銀、白金のような貴金属類の使用が必要となり、これは高価な貴金属を大量に消耗することになるため、貴金属類配線の適用が現実的に難しいという問題点がある。
このような問題点を解決するために既存の金属ナノ粒子を作る為に酸化問題とそれぞれ300℃以上、480ないし530℃の高温で熱処理をしなければならないため樹脂フィルムなど耐熱性が弱い基材には適用しにくい問題点があったし、また樹脂フィルムに対する接着力が劣るという短所があった。
【0004】
したがって、工程の単純化及び低温から金属メタルで転換が可能であり、各種基材に強い接着力を持つようにして製造単価を大きく低下させることができる材料に対する研究がもっと必要なのが実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来技術の問題点を解決すべく、本発明は微細なパターンの配線を単一工程で基材に直接に印刷して工程を単純化して、製造単価を画期的に低減することができるようにするだけでなく、配線幅の微細化を通じて高集積、高效率のプリント回路の製造ができるようにして、特に配線形成のための熱処理温度を従来金属粒子に比べて大きく低下させることができる導電性金属ナノ粒子及び、これを利用した製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
また本発明は上記導電性金属ナノ粒子を含んだ微細なパターンの配線を単一工程で基材に直接に印刷して工程を単純化して、製造原価を画期的に減らすことができるようにするだけでなく配線幅の微細化を通じて高集積高効率のプリント回路への製造ができるようにして、特に配線形成のための熱処理温度を従来金属粒子に比べて大きく低下させることができるナノ金属インク組成物を提供することを課題とする。
本発明のもう一つの課題は抵抗率が低い貴金属類を配線材料で使うように配線材料の活用度が高くて、微細線幅及びピッチを持つ高集積微細配線を製造することができる配線形成方法及びこれによって製造された電気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を果たすために、鋭意検討の結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)金属炭化水素化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を製造した後、該溶液にアルコールアミン化合物または芳香族アミン化合物を投入して金属ナノ粒子を製造する工程と、前記金属ナノ粒子をアルコールとアセトンの混合溶媒で洗浄後乾燥する工程とを有することを特徴とする導電性金属ナノ粒子の製造方法。
(2)前記アルコールアミン化合物は、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、またはアリルアミンであり、前記芳香族アミン化合物は、ペニルヒドラジン、ナプティルアミン、またはアニリンであることを特徴とする(1)に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法。
(3)前記アルコールとアセトンの混合溶媒はアルコールとアセトンが重量比で1:1であることを特徴とする(1)または(2)に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法。
(4)前記洗浄は、金属ナノ粒子を前記混合溶媒に1〜4時間静置させることを含むことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法。
(5)(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法によって製造されたことを特徴とする導電性金属ナノ粒子。
(6)粒子の直径が1〜10nmであることを特徴とする(5)に記載の導電性金属ナノ粒子。
(7)(5)または(6)に記載の導電性金属ナノ粒子10〜90重量%と、残高の有機溶媒とを含むことを特徴とするナノ金属インク組成物。
(8)シランカップリング剤または金属カルボキシレート0.1〜10重量%を含むことを特徴とする(7)に記載のナノ金属インク組成物。
(9)前記ナノ金属インク組成物の粘度が5〜800cPであることを特徴とする(7)または(8)に記載のナノ金属インク組成物。
【0008】
(10)(7)乃至(9)のいずれか一項に記載のナノ金属インク組成物を基材上に印刷する工程と、前記印刷した基材を熱処理する工程とを有することを特徴とする配線形成方法。
(11)前記熱処理温度は100〜250℃であることを特徴とする(10)に記載の配線形成方法。
(12)前記印刷はシルクスクリーン方式、インクジェットプリンティング方式、スプレーコ−ティング方式またはオフセット印刷方式のいずれかであることを特徴とする(10)または(11)に記載の配線形成方法。
(13)前記形成された配線は金であり、比抵抗が9.0×10-5 Ωcm未満であることを特徴とする(10)乃至(12)のいずれか一項に記載の配線形成方法。
(14)前記基材は樹脂フィルムであることを特徴とする(10)乃至(13)のいずれか一項に記載の配線形成方法。
(15)(10)乃至請(14)のいずれか一項に記載の方法で形成された配線を用いたことを特徴とする電気装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、微細なパターンの配線を単一工程で基材に直接印刷し、工程を単純化して、製造単価を画期的に低減させることができるようにするだけでなく、配線幅の微細化を通じて高集積、高効率のプリント回路への製造が可能であり、特に配線形成のための熱処理温度を従来金属粒子に比べて低下させることが出来、接着力が優秀な配線を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の導電性金属ナノ粒子の製造方法は a)金属炭化水素化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を製造した後、上記溶液にアルコールアミン、芳香族アミン化合物を投入して反応させる工程;及びb)上記反応後反応物をアルコールとアセトンの混合溶媒で洗浄して、乾燥する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
上記金属炭化水素化合物は配線を形成する金属と炭化水素が結合される化合物として1)金属イオン溶液、及び2)カルボキシル基を持つ炭化水素酸溶液またはこれらの塩溶液の混合物を反応させて製造されることができる。
【0013】
上記1)の金属塩は具体的には硝酸銀、酢酸銀、炭酸銀( AgCO3)、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化白銀酸、塩化金酸(HAuCl4)、塩化パラジウム(PdCl2)などの水溶性塩で、有機溶媒に溶解性があるニッケルアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート等のアセチルアセトネート加水分解が可能なニッケルアセチルアセトネート、銅エトキシドなどのアルコキシドなどが含まれることができるし、電気伝導性がある金属の陽イオンを持った塩として上記原料の中のどれか特定物のみに限定されない。
【0014】
また上記1)の炭素基を持つことや2)カルボキシル基を持つ炭化水素酸溶液またはこれらの塩溶液で炭化水素酸溶液またはこれらの塩溶液で炭化水素酸またはこれらを解離することは、カルボキシル基を持つ炭化水素として、酸またはイオン形態を含んで、また飽和炭化水素または不飽和炭化水素など全て適用可能である。望ましくは炭素数が6ないし20で、アンモニウムネオデカノエート、アンモニウムネオペンタノエート、クエン酸アンモニウム、グルタミン酸アンモニウム、イソ-ステアリン酸アンモニウム、M-テトラデカノ酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、又はオレイン酸アンモニウム 等が望ましい。
【0015】
また上記のような金属イオン溶液とカルボキシル基を持つ炭化水素酸溶液、また、これらの塩溶液に使われる溶媒はカルボキシル基または炭化水素酸または、解離溶解させることができる溶媒なら特に限定されず、当然、水系または有機系をすべて適用することができる。
上記のような金属イオン溶液とカルボキシル基を持つ炭化水素酸溶液またはこれらの塩溶液の濃度は特別に限定されないが、製造工程及び収率の側面でそれぞれ0.5mol/Lないし2mol/Lであることが望ましい。また上記の溶液群は必要によって適切な割合で混合することができるし、特に収率を考慮して1:1のモル比で混合するのが望ましい。
【0016】
また上記有機溶媒は金属炭化水素化合物を溶解させてアルコールアミン、芳香族アミン化合物と反応させることができるならば、特別に限定されず、望ましくはキシレン、アルコール、トルエン、キシレン、エチレングリコール及びヂメチルカルビトールで成り立つ群から、1種類以上を選択したほうが良い。
また上記アルコールアミンまたは芳香族アミン化合物は金属炭化水素化合物を還元させて金属イオンに結合した炭化水素を取り除くようにする。良い方法としては上記アルコールアミン化合物は、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2-ブチルアミン(sec-Butylamine)、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、アリルアミンと相性が良く、芳香族アミン化合物はペニルヒドラジン、ナプティルアミン、またはアニリンとも相性が良く、ペニルヒドラジンが最も良い。上記反応時、上記アルコールアミン又は芳香族アミン化合物と金属炭化水素化合物の濃度は製造工程及び収率の側面で0.5mol/Lないし2mol/Lであることが望ましく、徐々に反応させた方が良い。また必要によって上記芳香族アミン化合物と金属炭化水素化合物と適切な割合で混合することができるし、特に収率を考慮して1:1のモル比で混合するのが望ましい。上記アルコールアミンまたは芳香族アミン化合物との反応は従来の還元剤であるトリエタノールアミンやアルキルアミンに比べて熱処理温度を100ないし200℃、望ましくは100℃ないし150℃と大きく低下させることができるようにして樹脂フィルムと同様に耐熱性が弱い基材に配線形成ができるようにする。
【0017】
また本発明の上記導電性金属ナノ粒子製造方法は上記a)反応後反応物をアルコールとアセトンの混合溶液で洗浄後乾燥する段階を含むこと、上記アルコールは炭素数1ないし、3の低級アルコールが望ましくて、メタノールが一番良い。望ましくは上記洗浄には上記混合溶液はアルコールとアセトンが重量比で1:1の割合で混合したのがよく、メタノールとアセトンは1:1の重量比で混合したのものが一番よい。
【0018】
上記洗浄は、上記混合溶液に金属ナノ粒子を1ないし4時間静置させる過程を経た方が良い。上記洗浄時間が1時間より短い場合、洗浄が難しく、洗浄時間が4時間より長くなる場合、製造される金属ナノ粒子サイズがかなり大きくなる問題点があり得る。より望ましくは静置後沈殿させられている金属ナノ粒子を脱水して、また混合溶液に1ないし4時間静置する過程を2ないし5回実施して不純物を取り除いた方が良い。上記で洗浄された金属ナノ粒子は乾燥工程を経て導電性金属ナノ粒子が完成される。上記乾燥は、通常の乾燥工程が適用されることができるのは当然で、ベストは乾燥温度が30℃ないし90℃が良い。
【0019】
本発明は上記導電性金属ナノ粒子の製造方法によって製造された導電性ナノ粒子を提供することと、上記導電性金属ナノ粒子はその平均粒径は1ないし10nm以内が望ましく特に平均粒径が2ないし3nm以内が望ましく、より望ましいのはこの粒子の分布がD10(下位累積10%を占める直径)1.0ないし4.0nmでD90(下位累積90%を占める直径)は3.0ないし4.0nm以内の分布を持ったほうがよい。上記範囲内の場合インクジェットのノズルによって噴射されてプリントされる場合にノズルを阻まないで噴射されて基材に適切に結合されることができるし、スリットダイコーティング及びスピンコーティングのときにも問題がない。
【0020】
また本発明は上記導電性金属ナノ粒子10ないし90重量%及び残高の有機溶媒を含むナノ金属インク組成物を提供する。望ましいのは成分含量が上記導電性金属ナノ粒子10ないし60重量%である。上記範囲の場合、配線形成のとき、印刷及び熱処理の効率性を同時に満足させることができる。
【0021】
上記有機溶媒はインクに使われる通常の有機溶媒が皆適用されることができることは勿論であり、望ましくはインクジェットプリンター及びスリットダイコーティング及びスピンコーティングに相応しい溶媒が良い。望ましいのは、キシレン、アルコール、トルエン、キシレン、エチレングリコール及び、ジメチルカルビトールで成り立つグループから、1種類以上選択した方が良い。また本発明のナノ金属インク組成物はシランカップリング剤または金属カルボキシレートを含んで基材との接着力を強化させることができる。上記カップリング剤は具体的にアミノプロピルメチルメトキシシランと言い、アミノープロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルメチルジェットキシシラン、アミノプロピルトリエトックシシル、ビス(3−トリエトックシシルシルプロピル)テトラサルファイド、クロロプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタアクロキシプロピルメチルメトキシシラン、メタアクロキシプロピルトリメトトキシシラン、又はメタアクリロキシプロピルメチルトリメトキシシランを単独または、2種類以上混合して使用でき、カルボキシレートでは、ジブチル錫ラウリレート、オクチル酸錫を使うことができるし、ここに限定されるものではない。上記シランカップリング剤又は、金属カルボキシレートは、ナノ金属インク組成物に0.1ないし10重量%含んだ方が良い。また当該発明のナノ金属インク組成物の粘度は5〜800cP、もっと望ましいのは5〜400cPであるものが形成された配線の導電性、収率、プリンター機器適合性などで良い。
また本発明はa)上記ナノ金属インク組成物を基材に印刷する段階;及びb)上記印刷した基材を熱処理する段階を含む配線形成方法を提供する。
【0022】
上記ナノ金属インク組成物内金属は導電性金属の中でも比抵抗が少ないが、銀、金、白金、ニッケル、またはこれらの混合物であった方が良い。
また上記インクを利用した印刷は公知のインクジェット記録媒体、インクジェットプリンターに供給されて印刷が可能なので上記インクジェットはインクを噴射してパターンを印刷する形態である全ての公知の印刷方法を含んでスリットダイコーティング及びスピンコーティングを全て含む。これを通じてデジタル印刷方式に従って配線図を完成して、これを印刷するようにすれば作成された配線図のパターンによって、上記ナノ金属インク組成物を樹脂フィルム及び紙を含んで、全ての基材に希望の配線形態で印刷して金属配線のパターン又は、金属面を形成する。
【0023】
上記a)段階の基材では一般的にPCBやFPCBに使われる通常の樹脂フィルムを使うことができることは勿論であり、PET、PEN、紙、セラミックス、メタル、ガラスなどそれ以外の基材に全て使用可能である。特に当該耐熱性薬は樹脂フィルムにおいてもっと効果的だ。本発明の配線形成方法は基材が樹脂フィルムの場合、上記ナノ金属インク組成物と各種基材間の反応または拡散を防止して、配線と樹脂間の結合力を増す為にa)段階の金属配線の印刷の前に上記、樹脂フィルム上に保護フィルムを先に結合した後、ナノ金属インクで印刷することもできる。
【0024】
上記保護フィルムは、通常のPTFE又はポリイミドを含むフィルムを使用することが出来、保護機能を強化する為には2層に保護フィルムを結合することもできるだけでなく、上記保護フィルムを結合する方式以外にもa)金属配線の印刷の前に樹脂フィルム上に中間層を結合することもできる。上記中間層は上記ナノ金属インクの印刷の前に純金中の金属配線の元素と異種の元素の混合物である中間層を純金の中間層のような方式で樹脂フィルム上に印刷して、上記中間層配線上に実際に金属配線を印刷するこの中間層印刷方式を通じて構成することができる。これで、上記配線は銅層で、上記中間層は銅とニッケルの合金層であることがある。
【0025】
また上記a)の印刷後、必要によって乾燥段階を実施することもできる。
上記b)の熱処理段階は印刷後、必要によって乾燥段階以後にインク内の分散剤、増粘剤又は添加剤などを取り除いてナノ金属粒子間の結合及び還元を誘導する為に実施される。上記熱処理段階は基材を急速加熱せず、拡散を防止するように低温で長時間実施することが望ましい。特に100ないし250℃で10ないし30分間実施された方が良い。このような低温の熱処理は300℃以上の高温で処理された従来インク組成物が極めて低い温度で配線が形成されるようにしたことで、特に樹脂フィルムなど耐熱性が弱い基材に効果がある。
【0026】
また本発明の配線形成方法を通じて形成された配線は比抵抗を相当低めることができるし、形成された配線は金の場合、比抵抗が9.0×10-5 Ωcm未満に低下させることができる。
【0027】
上記のような方法で製造される配線は、一般的なプリント基板だけでなく、フレキシブルプリント基板もこれに当てはまる。特に、当該発明のプリント基板は配線を薄く細く構成することができるので、小型化及び高集積化に有利であり、フレキシブルプリント基板への適用において、さらに有利である。
また本発明は、上記のような配線形成方法によって形成された電気装置を提供するところ、上記電気装置はポータブル、産業用、事務用、家庭用電子/電気機器を含んだ多様な分野に適用されるプリント基板またはフレキシブルプリント基板を含む。
【実施例1】
【0028】
以下、当該発明の理解を助ける為に望ましい実験例を提示するが、下記実験例はあくまで当該発明を例示するための例であって、発明の範囲が実験例に限定されるものではない。
<実験例1>
95%ネオデカ酸(86.135g=0.5mole)と28%アンモニア水(63.3g=70ml=0.5mole)を超純水に入れて全体量を200mlとした。後30分間撹拌を行なってアンモニウムネオデカノエートを作った。HAuCl4.4H2O(41.185g=0.1mole)を超純水に溶解させた後、全体量を100mlにしてHAuCl4.4H2O 1mol/Lの溶液を製造した。
次に、撹拌機が装填された装置内で上記アンモニウムネオデカノエート溶液にHAuCl4.4H2O 1mol/Lの溶液を混合して金ネオデカノエートを得た。上記金ネオデカノエートを塩化アンモニウムイオンが検出されなくなるまで冷たい超純水で、4回洗浄し次にメタノール400ml程度を使って洗浄後、黄色になった後メタノール200ml程度を用いて洗浄を更に続け、その後、メタノールを取り除く為に減圧する。
【0029】
上記とともに得た紅のパウダーの変色を防止する為に暗褐色の容器に保管した。上記と共に得られた金ネオデカノエート73.59g(0.2mole)をキシレン100mlに加えて完全に溶解させキシレンベースの金ネオデカノエート溶液を作った。これを再びイソピルアミン0.2 moleを上記溶液に徐々に加えて(5g/min)反応させた後、1時間の撹拌を行なった。その後メタノール及びアセトン1:1重量比で混合した液200mlを作った後、上記で作った溶液に投入して静置した。このときの静置時間は1〜4時間にした。静置後沈殿している金属ナノ粒子を60℃から12時間熱風乾燥を行い、導電性金属ナノ粒子を得た。上記で得られた導電性金属ナノ粒子をTEMで確認すると、粒径が1〜3nm程度の均一粒子であることが確認され、またXRD分析の結果、全てのピークは金の結晶であることが確認された。TG-DTAの結果は150℃で金の結晶に変わることが確認された。
【実施例2】
【0030】
実施例1で得た導電性金属ナノ粒子50gをキシレン50gに加えた後、8時間常温で撹拌を行なって安定した金インク組成物を得ることが出来た。固形粉分析の結果、金の含量が26.8重量%であることが確認され、粘度は11cPであった。上記組成物をガラス基材にインクジェット印刷後、160℃に設定された熱風乾燥機で約5分間維持させた結果、Au金属配線を得ることが出来、この時、比抵抗は7.3×10-6 Ωcmだった。
【実施例3】
【0031】
上記実施例2で金インク組成物にシランカップリング剤(信越ポリマー社、製品名KBM603)をインク組成物の2重量%を追加混合すると、実施例2と同様、インク組成物を得た。上記インク組成物の固形粉分析の結果、金の含量が25.9重量%であることが確認され、粘度は10cPであった。
【0032】
上記製造したインク組成物でアルミニウム基材上にインクジェット印刷後、160℃に設定した熱風乾燥機で約5分間維持させた結果、Gold金属配線を得ることが出来た。この時、抵抗率は、1.4×10-5 Ωcmだった、接着力はJIS K5400で測定時100/100だった。
【実施例4】
【0033】
上記実施例3においてKBM603の代わりにシランカップリング剤KBM903(信越ポリマー社)を使ったこと以外には実験例3と同じく進行した。
上記インク組成物の固形粉分析の時、金の含量が25.9重量%であることが確認され、粘度は10cPだった。
【0034】
上記インク組成物をPETフィルムにインクジェット印刷後、160℃に設定された熱乾燥機で約5分間維持させた結果、Gold金属配線を得ることが出来た。この時、抵抗率は 15×10-5 Ωcmであり、接着力はJIS K5400で測定時、100/100だった。
【実施例5】
【0035】
実施例3のKBM603の代わりにオクチル酸錫を使ったこと以外には実験3と同様にして、インク組成物を製造した。
上記インク組成物の固形粉分析の結果、金の含量が26.0重量%であることが確認され、粘度12cPであった。
【0036】
上記製造したインク組成物をガラス基板にインクジェット印刷後、220℃に設定された熱風乾燥機で約5分間保持させた結果、金金属配線を得ることが出来、この時、抵抗率は9.9×10-6 Ωcmであった、接着力はJIS K5400で測定の結果、80/100であった。
<比較例1>
95%ネオデカノ酸(86.135g=0.5mole)と(28%アンモニア数(63.3g=70ml=0.5mole)を超純水に入れて全体量を200mlとした。その後、30分間撹拌を行なってアンモニウムネオデカノエートを作った。HAuCL4.4H2O(41.185g=0.1mole)を超純水に溶解させた後、全体量を100mlにしてHAuCl4.4H2O 1mol/Lの溶解を製造した。その次、撹拌機が装填された装置内で上記アンモニウムネオデカノエート溶液にHAuCl4.4H2O 1mole/Lの溶液を混合してネオデカノ酸金を得、上記金ネオデカノ酸金を硝酸アンモニウムが検出されなくなるまで冷たい超純水で4回洗浄して、次にメタノール400ml程度を使って洗浄後、黄色になった後、メタノール200ml程度を使って洗浄を続けて行なった後、メタノールを取り除くために減圧をした。上記と一緒に得られた紅のパウダーの変色を防止する為に、暗褐色の容器に保管した。
【0037】
上記と一緒に得られた金ネオデカノ酸73.59g(0.2mole)をキシレン100ml入れて完全に溶解させてキシレンベースのネオデカノ酸金溶液を作った。
上記製造したインク組成物をガラス基板にインクジェット印刷後、220℃に設定された熱風乾燥機で約5分間維持させた結果、Gold金属配線を得ることができ、この時 抵抗率は9.2×10-6 Ωcmだった。接着力はJIS K5400で測定時、0/100だった。
<比較例2>
95%ネオデカノ酸(86.135g=0.5mole)と28%アンモニア水63.3g=70ml=0.5mole)を超純水に加えて全体量を200mにした後、30分間撹拌を行なってネオデカノ酸アンモニウムを作った。HAuCl4.4H2O(41.185g=0.1mole)を超純水に溶解させた後、全体量を100mlにしてHAuCl4.4H2O 1mole/Lの溶液を製造した。次、撹拌機が装填された装置内で、上記ネオデカノ酸アンモニウム溶液にHAuCl4.4H2O 1mol/Lの溶液を混合してネオデカノ酸金を取得後、上記ネオデカノ酸金を硝酸アンモニウムが検出されなくなるまで冷たい超純水で4回洗浄し、次にメタノール400ml程度を使って洗浄した。洗浄後、黄色になった後、メタノール200mlを使って洗浄を行なった後、メタノールを取り除く為に、減圧を実施した。
【0038】
上記と一緒に得られた紅の粉末の変色を防止するために暗褐色の容器に保管した。
【0039】
上記と一緒に得られたネオデカノ酸金73.59g(0.2mole)をキシレン100ml入れて完全に溶解させてキシリンベースのネオデカノ酸溶液を作った。
これを再び還元剤であるアルコールアミンであるトリエタノールアミン29.8g(0.2mole)を上記溶液に徐々に投入して(5g/min)ナノ金属を還元させた後、1時間撹拌を行なった。その後、メタノール及びアセトン1:1の重量割合で混ぜた、200ml溶液を作った後、上記溶液に入れて静置する。静置時間は1〜4時間。静置後沈殿している金属ナノ粒子を1回乾燥の後、上記と同じ方法で4回洗浄した。洗浄された金属ナノ粒子を60℃から12時間熱風乾燥を行なって金属ナノ粒子を得た。この金属ナノ粒子をTEMで観測すると10〜20nm程度の粒子径を持つことが確認された。TG-DTAの結果250℃で金に変わることを確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属炭化水素化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を製造した後、該溶液にアルコールアミン化合物または芳香族アミン化合物を投入して金属ナノ粒子を製造する工程と、前記金属ナノ粒子をアルコールとアセトンの混合溶媒で洗浄後乾燥する工程とを有することを特徴とする導電性金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アルコールアミン化合物は、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、2-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、またはアリルアミンであり、前記芳香族アミン化合物は、ペニルヒドラジン、ナプティルアミン、またはアニリンであることを特徴とする請求項1に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記アルコールとアセトンの混合溶媒はアルコールとアセトンが重量比で1:1であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記洗浄は、金属ナノ粒子を前記混合溶媒に1〜4時間静置させることを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の導電性金属ナノ粒子の製造方法によって製造されたことを特徴とする導電性金属ナノ粒子。
【請求項6】
粒子の直径が1〜10nmであることを特徴とする請求項5に記載の導電性金属ナノ粒子。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の導電性金属ナノ粒子10〜90重量%と、残高の有機溶媒とを含むことを特徴とするナノ金属インク組成物。
【請求項8】
シランカップリング剤または金属カルボキシレート0.1〜10重量%を含むことを特徴とする請求項7に記載のナノ金属インク組成物。
【請求項9】
前記ナノ金属インク組成物の粘度が5〜800cPであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のナノ金属インク組成物。
【請求項10】
請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載のナノ金属インク組成物を基材上に印刷する工程と、前記印刷した基材を熱処理する工程とを有することを特徴とする配線形成方法。
【請求項11】
前記熱処理温度は100〜250℃であることを特徴とする請求項10に記載の配線形成方法。
【請求項12】
前記印刷はシルクスクリーン方式、インクジェットプリンティング方式、スプレーコ−ティング方式またはオフセット印刷方式のいずれかであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の配線形成方法。
【請求項13】
前記形成された配線は金であり、比抵抗が9.0×10-5Ωcm未満であることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一項に記載の配線形成方法。
【請求項14】
前記基材は樹脂フィルムであることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか一項に記載の配線形成方法。
【請求項15】
請求項10乃至請求項14のいずれか一項に記載の方法で形成された配線を用いたことを特徴とする電気装置。

【公開番号】特開2008−280592(P2008−280592A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126877(P2007−126877)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(593030727)ナカン株式会社 (11)
【Fターム(参考)】