説明

居眠り防止装置

【課題】より快適に運転者を覚醒させる。
【解決手段】制御装置16は、車室内カメラ10aにより撮影された運転者の顔の撮影画像に基づいて運転者の眠気の強さの度合いを推定し、運転者の眠気の強さの度合いを示す眠気度を特定する。そして、運転者の眠気度が大きいほど運転者を覚醒させる度合いが強くなるように、運転者に異なる種類、異なる強さで刺激を与えることが可能な各装置12〜15、20〜22を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者を覚醒させて居眠りを防止する居眠り防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、眠気検出装置から運転者の眠気が所定レベル以上にあることを示す眠気信号の入力があった場合、記憶装置に記憶された検索情報に基づいて、楽曲配信サーバから運転者の好みの楽曲であって、記録媒体に記録されていない楽曲の試聴データを取得し、制御部により当該試聴データを楽曲再生部により再生させるように制御させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置は、運転者の眠気の度合いと関係なく一律に楽曲データを再生させることにより運転者を覚醒させる構成となっている。このように、運転者の眠気の度合いと関係なく一律に運転者を覚醒させるような構成では、運転者の眠気レベルが高く強い刺激による覚醒が望まれるのに十分な覚醒が行われなかったり、運転者の眠気レベルが低く強い刺激による覚醒が望まれないのに強い刺激による覚醒が行われ、運転者に煩わしさを感じさせたりしてしまう等の問題が生じる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、より快適に運転者を覚醒させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、運転者を覚醒させて居眠りを防止する居眠り防止装置であって、運転者の眠気を検出するための情報を取得する情報取得手段と、運転者の眠気を検出するための情報に基づいて運転者の眠気の強さの度合いを推定し、当該運転者の眠気の強さの度合いを示す眠気度を特定する眠気度特定手段と、運転者を覚醒させるために当該運転者に異なる種類、異なる強さで刺激を与えることが可能な覚醒手段と、運転者の眠気度が大きいほど運転者を覚醒させる度合いが強くなるように覚醒手段を制御する覚醒制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、運転者を覚醒させるために当該運転者に異なる種類、異なる強さで刺激を与えることが可能な覚醒手段を用いて、運転者の眠気度が大きいほど覚醒させる度合いが強くなるように運転者に刺激が与えられるので、より快適に運転者を覚醒させることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、覚醒制御手段は、運転者の眠気度に応じた強さで運転者に単発的に刺激を与えるように覚醒手段を制御する単発覚醒制御手段と、単発覚醒制御手段による制御が行われた後、運転者の眠気度に応じた強さで運転者に連続的に刺激を与えるように覚醒手段を制御する連続覚醒制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、運転者の眠気度に応じた強さで運転者に単発的に刺激を与えた後、運転者の眠気度に応じた強さで運転者に連続的に刺激を与えるので、運転者を徐々に覚醒させることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明では、覚醒制御手段により覚醒手段が制御される場合、運転者を覚醒させるため作動を行うことを警告表示するので、覚醒させるため作動を行うことを運転者に容易に認識させることができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、覚醒手段は、搭載車両の走行を制御する走行制御手段に対して当該車両の減速を指示する信号を送出する減速指示手段を備え、減速指示手段により車両の減速を指示する信号が送出される場合、当該信号に応じて車両が減速するタイミングに連動させて車両のブレーキランプを点灯させるように指示することを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、車両の減速を指示する信号が送出される場合、当該信号に応じて車両が減速するタイミングに連動させて車両のブレーキランプを点灯させるように指示されるので、車両が減速するタイミングに連動させて車両のブレーキランプを点灯させることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、覚醒手段は、通行車両の路面逸脱を防止するために路面の右側に形成された凹凸部上を車輪が走行する際に車両の右側で発生する振動を擬似的に発生させる右側振動発生手段と、通行車両の路面逸脱を防止するために路面の左側に形成された凹凸部上を車輪が走行する際に車両の左側で発生する振動を擬似的に発生させる左側振動発生手段と、を備えた疑似振動発生手段を備え、覚醒制御手段は、車両が走行中のレーンの右寄りを走行中であることを判定した場合には、右側振動発生手段に車両の右側で発生する振動を擬似的に発生させるように指示し、車両が走行中のレーンの左寄りを走行中であることを判定した場合には、左側振動発生手段に車両の左側で発生する振動を擬似的に発生させるように指示することを特徴としている。
【0014】
このような構成によれば、車両が走行中のレーンの右寄りを走行中の場合には、右側振動モータにより車両の右側で擬似的に振動が発生させられ、車両が走行中のレーンの左寄りを走行中の場合には、左側振動モータにより車両の左側で擬似的に振動が発生させられるので、リアリティのある刺激を運転者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る居眠り防止装置の構成を示す図である。
【図2】眠気度の基準について説明するための図である。
【図3】居眠り防止装置により実施される刺激の種類について説明するための図である。
【図4】眠気を注意するアイコンの表示例を示す図である。
【図5】制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る居眠り防止装置の構成を図1に示す。本居眠り防止装置1は、車室内カメラ10a、前方カメラ10b、照明装置11、表示装置12、スピーカ13、疑似振動発生装置14、シートベルト巻取装置15および制御装置16を備えている。また、制御装置16には、車両の走行制御を行う走行制御装置20と、空調制御を行う車両用空調装置21と、ナビゲーション装置22が接続されている。
【0017】
車室内カメラ10aは、車両の運転者の顔の表情を画像認識するためのもので、運転者の顔を撮影した撮影画像を制御装置16へ送出する。また、前方カメラ10bは、車両前方の路面に描画された白線を画像認識するためのもので、車両前方の路面を撮影した撮影画像を制御装置16へ送出する。
【0018】
照明装置11は、運転者の顔を照明するための発光部11aと、この発光部13aに流れる1電流を制御する投光制御回路11bを有している。
【0019】
表示装置12は、ナビゲーション装置の表示部として設けられたナビゲーション用モニタと、メータ内に設けられたインジケータ(いずれも図示せず)を有している。インジケータは、人間の脳で分泌され眠気を誘うホルモンとして知られるメラトニンを抑制する効果があると言われている400〜570ナノメートル(nm)の波長を多く含む光を運転者の顔へ向けて照射する発光素子を有している。
【0020】
スピーカ13は、制御装置16より入力される音声信号に応じた音声を出力する。
【0021】
疑似振動発生装置14は、通行車両の路面逸脱を防止するために路面に波状の凹凸部を設置した所謂ランブルストリップス上を車輪が走行する際に車両で発生する振動および振動音を疑似的に発生させるものである。本実施形態における疑似振動発生装置14は、路面の右側に形成されたランブルストリップス上を車輪が走行する際に車両の右側で発生する振動および振動音を擬似的に発生させる右側振動モータと、路面の左側に形成されたランブルストリップス上を車輪が走行する際に車両の左側で発生する振動および振動音を擬似的に発生させる左側振動モータ(いずれも図示せず)とを備えている。本疑似振動発生装置14は、運転席シート座面下の右側に埋め込まれた右側振動モータと、運転席シート座面の左側に埋め込まれた左側振動モータを別々に駆動させて、シートの左右を別々に振動させることが可能となっている。
【0022】
シートベルト巻取装置15は、運転席のシートベルトを巻き取るためのモータ(図示せず)を備え、このモータを駆動して運転席のシートベルトの巻き取りを行う装置である。本シートベルト巻取装置15は、制御装置16からの信号に応じてモータのトルクを変化させ、運転席のシートベルトの巻き取り強さを段階的に調整することが可能となっている。
【0023】
走行制御装置20は、エンジン制御を行うエンジンECUおよびブレーキランプの点灯制御等を行うブレーキECUを備えている。本実施形態における走行制御装置20は、制御装置16より減速を指示するパルス信号が入力されると、当該信号に応じて車両のブレーキを瞬時的に作動させる。
【0024】
車両用空調装置21は、エアコン吹出し口からの送風による雰囲気空調を行うものである。本実施形態における車両用空調装置21は、運転席のシート座面やシートバックからの送風を行うことが可能なシートベンチレータを備えている。
【0025】
ナビゲーション装置22は、GPS受信等の位置検出器を用いて自車位置を特定し、自車位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねて表示する地図表示機能や、出発地から目的地に至る案内経路を探索し、この案内経路に従って走行案内を行う機能等を有している。
【0026】
制御装置16は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。制御装置16には、車両周辺の照度を検出するための照度センサ(図示せず)が接続されている。
【0027】
制御装置16の処理としては、車室内カメラ10aより入力される運転者の撮影画像に画像認識処理を施して運転者の眠気の強さの度合いを示す眠気度を特定する眠気度特定処理、前方カメラ10bより入力される車両前方の撮影画像に画像認識処理を施して車両前方の路面に描画された白線を画像認識する白線検知処理、照度センサより入力される信号に基づいて車両周辺の照度を判定し、この判定結果に従って照明装置11の自動点灯制御を行う照明制御処理等がある。
【0028】
なお、上記したような眠気度を特定する処理は、周知技術(例えば、2007年10月19日、自動車技術会秋季大会学術講演会の「表情特徴量を用いた眠気検知の可能性検討」20075681、2007年10月19日、自動車技術会秋季大会学術講演会の「顔表情の観察分析に基づいた眠気表情の特徴を表す因子に関する研究」20075647等参照)である。
【0029】
図2に、財団法人「労働科学研究所」により作成された眠気度の基準を示す。本実施形態における制御装置16は、この図に示された眠気度の基準に従い、運転者の眠気度を0〜5の範囲で特定するようになっている。なお、眠気度は整数になるとは限らない。
【0030】
本居眠り防止装置1は、運転者の眠気度が大きいほど運転者を覚醒させる度合いが強くなるように異なる種類、異なる強さで運転者に刺激を与える処理を行う。
【0031】
図3に、本居眠り防止装置1により実施される刺激の種類を示す。図に示されるように、本居眠り防止装置1により実施される刺激は、「微知覚な刺激」、「弱い刺激」、「強い刺激」といった刺激の強さと、「単発刺激」、「連続刺激」に分類されている。なお、運転者に与える刺激は、「微知覚な刺激」、「弱い刺激」、「強い刺激」の順に強くなる。また、「単発刺激」は、聴覚刺激や触覚刺激など数秒以上継続すると煩わしく感じられる刺激となっており、「連続刺激」は、数秒から数分に渡って継続しても煩わしく感じられにくい刺激となっている。
【0032】
「ナビの音声案内」は、ナビゲーション装置22の経路案内に伴う本来の音声案内ではなく、運転者を覚醒させるための音声案内をナビゲーション装置22に行わせることを示している。音声案内の例としては、「A町付近です」あるいは「長時間の運転ご苦労様です」といったものがある。
【0033】
「弱めの音/表示」は、比較的小さな音量の警告音(ブザー音、メロディ等)をスピーカ13より出力させるとともに、図4に示すような眠気を注意するアイコンIをナビゲーション用モニタに警告表示させることを示しており、「強めの音/表示」は、比較的大きな音量の警告音(ブザー音、メロディ等)をスピーカ13より出力させるとともに、眠気を注意するアイコンIを点滅させるようにナビゲーション用モニタに警告表示させることを示している。
【0034】
「弱めの疑似ランブルストリップ」は、疑似振動発生装置14により、比較的弱い振動を発生させることを示しており、「強めの疑似ランブルストリップ」は、疑似振動発生装置14により、比較的強い振動を発生させることを示している。
【0035】
「弱めのシートベルト刺激」は、シートベルト巻取装置15に運転席のシートベルトの一時的な巻き取りを比較的弱く行わせることを示しており、「強めのシートベルト刺激」は、シートベルト巻取装置15に運転席のシートベルトの一時的な巻き取りを比較的強く行わせることを示している。
【0036】
「弱めの減速G刺激」は、走行制御装置20に強い減速を指示する信号を出力して比較的弱く一時的にブレーキを作動させることを示しており、「強めの減速G刺激」は、走行制御装置20に強い減速を指示する信号を出力して比較的強く一時的にブレーキを作動させることを示している。なお、制御装置16は、走行制御装置20に車両の減速を指示する信号を送出する場合、この信号に応じて車両が減速するタイミングに連動させて車両のブレーキランプの点灯を指示する信号を走行制御装置20へ送出する。
【0037】
「インジケータ点灯」は、メータ内に設けられたインジケータを点灯させることを示している。
【0038】
「シートベンチレータ」は、車両用空調装置21のシートベンチレータから送風を行わせることを示しており、「シートベンチレータ+雰囲気空調」は、車両用空調装置21のシートベンチレータからの送風とともに、車両用空調装置21にエアコン吹出し口からの送風による雰囲気空調を行わせることを示している。本実施形態では、送風のオンオフ作動の繰り返し、またはスイング作動により通常の送風と異なる感覚を運転者に与えるようにしている。
【0039】
上記したように本居眠り防止装置1は、聴覚、視覚、触覚等の各種刺激を、異なる強さで発生させることが可能となっている。
【0040】
本実施形態における制御装置16は、運転者の眠気度が高いほど運転者に与える刺激が強くなるように運転者に刺激を与える処理を行う。
【0041】
次に、図5に従って、この処理について説明する。本居眠り防止装置1は、車両のイグニッションスイッチがオンすると動作状態となり、制御装置16は、前述した眠気度特定処理、白線検知処理、照明制御処理等を開始するとともに、図5に示す処理を周期的に実施する。
【0042】
まず、眠気度を特定する(S100)。この眠気度は、眠気度特定処理により特定される。
【0043】
S102、S104、S120では、運転者の眠気度の大きさを判定する。すなわち、S102では、運転者の眠気度が2以下であるか否かを判定し、S104では、運転者の眠気度が2よりも大きく3以下であるか否かを判定し、S120では、運転者の眠気度が3よりも大きく4以下であるか否かを判定する。
【0044】
ここで、運転者の眠気度が低く、眠気度が2以下となっている場合、S102の判定はYESとなり、本処理を終了する。したがって、運転者に対する刺激は行われない。
【0045】
また、運転者の眠気度が2よりも大きく3以下となっている場合、S104の判定はYESとなり、次に、判定回数が閾値(例えば、2回)以上か否かを判定する(S106)。なお、判定回数は、S106の判定回数である。
【0046】
ここで、判定回数が閾値未満の場合、S106の判定はNOとなり、次に、運転者を覚醒させるため作動を行うことを警告表示する(S108)。具体的には、図4に示した眠気を注意するアイコンIをナビゲーション用モニタに警告表示させる。
【0047】
次に、微知覚な単発刺激を発生させる(S110)。具体的には、図3に示した微知覚な刺激と単発刺激に該当する「ナビの音声案内」による刺激を発生させる。
【0048】
そして、再度、図5に示す処理を実施する。ここで、引き続き、運転者の眠気度が2よりも大きく3以下となっており、S106の判定回数が閾値(例えば、2回)以上になると、S106の判定はYESとなり、次に、運転者を覚醒させるため作動を行うことを警告表示する(S112)。具体的には、図4に示した眠気を注意するアイコンIを点滅させるようにナビゲーション用モニタに警告表示させる。
【0049】
次に、微知覚な連続刺激を発生させる(S114)。具体的には、図3に示した微知覚な刺激と連続刺激に該当する「インジケータ点灯」による刺激を発生させる。これにより、インジケータから400〜570ナノメートル(nm)の波長を多く含む光が運転者の顔へ向けて照射される。
【0050】
次に、運転者による覚醒維持行動があるか否かを判定する(S116)。覚醒維持行動は、あくび、ため息、座り直し、ストレッチ体操、飲食、発話、修正操舵、窓開けが含まれる。あくび、ため息、座り直し、ストレッチ体操、飲食、発話は、画像認識により検出することができ、修正操舵は舵角センサ等を用いて検出することができる。
【0051】
ここで、何らかの運転者による覚醒維持行動があると、S116の判定はYESとなり、警報表示と連続刺激を停止させ(S118)、本処理を終了する。また、運転者による覚醒維持行動がない場合には、S116の判定はNOとなり、警報表示と連続刺激を停止させることなく、本処理を終了する。
【0052】
また、運転者の眠気度が3より大きく4以下となっている場合、S120の判定はYESとなり、次に、判定回数が閾値(例えば、2回)以上か否かを判定する(S122)。
【0053】
そして、判定回数が閾値未満の場合、S122の判定はNOとなり、S108と同様の警告表示を行い(S124)、次に、弱めの単発刺激を発生させる(S126)。具体的には、図3に示した弱めの刺激と単発刺激に該当する「弱めの音/表示」、「弱めのランダムストリップ」、「弱めのシートベルト刺激」、「弱めの減速G刺激」のいずれかを作動させる。
【0054】
そして、再度、図5に示す処理を実施する。ここで、引き続き、運転者の眠気度が3よりも大きく4以下となっており、S106の判定回数が閾値(例えば、2回)以上になると、S122の判定はYESとなり、S112と同様の警告表示を行い(S128)、次に、弱めの連続刺激を発生させる(S130)。具体的には、図3に示した弱めの刺激と単発刺激に該当する「弱めの音/表示」、「シートベンチレータ」による刺激を行う。
【0055】
次に、S116と同様に、運転者による覚醒維持行動があるか否かを判定する(S132)。
【0056】
ここで、何らかの運転者による覚醒維持行動があると、S132の判定はYESとなり、警報表示と連続刺激を停止させ(S134)、本処理を終了する。また、運転者による覚醒維持行動がない場合には、S134の判定はNOとなり、警報表示と連続刺激を停止させることなく、本処理を終了する。
【0057】
また、運転者の眠気度が4より大きくなっている場合、S120の判定はNOとなり、次に、判定回数が閾値(例えば、2回)以上か否かを判定する(S136)。
【0058】
そして、判定回数が閾値未満の場合、S136の判定はNOとなり、S108と同様の警告表示を行い(S138)、次に、強めの単発刺激を発生させる(S140)。具体的には、図3に示した強めの刺激と単発刺激に該当する「強めの音/表示」、「強めのランダムストリップ」、「強めのシートベルト刺激」、「強めの減速G刺激」のいずれかを作動させる。
【0059】
そして、再度、図5に示す処理を実施する。ここで、引き続き、運転者の眠気度が4よりも大きくなっており、S106の判定回数が閾値(例えば、2回)以上になると、S136の判定はYESとなり、S112と同様の警告表示を行い(S142)、次に、強めの連続刺激を発生させる(S144)。具体的には、図3に示した強めの刺激と単発刺激に該当する「シートベンチレータ+雰囲気空調」による刺激を行う。
【0060】
次に、S116と同様に、運転者による覚醒維持行動があるか否かを判定する(S146)。
【0061】
ここで、何らかの運転者による覚醒維持行動があると、S146の判定はYESとなり、警報表示と連続刺激を停止させ(S148)、本処理を終了する。また、運転者による覚醒維持行動がない場合には、S146の判定はNOとなり、警報表示と連続刺激を停止させることなく、本処理を終了する。
【0062】
上記した構成によれば、車室内カメラ10aにより撮影された運転者の顔の撮影画像に基づいて運転者の眠気の強さの度合いを推定し、運転者の眠気の強さの度合いを示す眠気度を特定し、運転者の眠気度が大きいほど運転者を覚醒させる度合いが強くなるように、運転者に異なる種類、異なる強さで刺激を与えることが可能な各装置12〜15、20〜22が制御されるので、運転者の眠気度が大きいほど覚醒させる度合いが強くなるように運転者に刺激が与えられ、より快適に運転者を覚醒させることができる。
【0063】
また、運転者の眠気度に応じた強さで運転者に単発的に刺激を与えた後、運転者の眠気度に応じた強さで運転者に連続的に刺激を与えるので、運転者を徐々に覚醒させることができる。
【0064】
また、覚醒させるため作動を行う場合、運転者を覚醒させるため作動を行うことを警告表示するので、覚醒させるため作動を行うことを運転者に容易に認識させることができる。
【0065】
また、車両の減速を指示する信号が送出される場合、当該信号に応じて車両が減速するタイミングに連動させて車両のブレーキランプを点灯させるように指示されるので、車両が減速するタイミングに連動させて車両のブレーキランプを点灯させることができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0067】
例えば、上記実施形態では、図3に示した各種刺激により運転者を覚醒させる構成を示したが、図3に示した各種刺激に限定されるものではない。例えば、ステアリングまたはアクセルペダルを振動させる振動モータを備え、振動モータを回転させてステアリングまたはアクセルペダルを振動させて運転者を覚醒するようにしてもよい。また、窓開センサ等を用いて車両の窓が開いていることを判定した場合には、シートベンチレータによる刺激ではなく他の手法を用いて運転者を覚醒させるようにしてもよい。また、加速度センサ等を用いて車両への振動が大きな道路を走行中であることを判定した場合、疑似ランブルストリップではなく、他の手法を用いて運転者を覚醒させるようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、運転者の開を撮影するカメラ10aにより撮影された運転者の顔の画像に画像認識処理を施して運転者の眠気の強さの度合いを推定する構成を示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、各種センサを用いて運転者の心拍、脈拍、呼吸パターン等の生体情報を用いて計測し、計測した生体情報から運転者の眠気の強さの度合いを推定するように構成してもよい。また、車両の舵角センサより入力される舵角信号等の車両信号と生体情報を組み合わせて運転者の眠気の強さの度合いを推定するように構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、運転者による覚醒維持行動があると判定された場合に、警報表示と連続刺激を停止させる構成を示したが、例えば、連続刺激を一定時間継続したことを判定した場合に警報表示と連続刺激を停止させる構成としてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、車室内カメラ10aおよび生体情報を計測するためのセンサが情報取得手段に相当し、制御装置16による眠気度特定処理が眠気度特定手段に相当し、図3に示した各種刺激等が覚醒手段に相当し、S110、S114、S126、S130、S140、S144が覚醒制御手段に相当し、S110、S126、S140が単発覚醒制御手段に相当し、S114、S130、S144が連続覚醒制御手段に相当し、S108、S112、S124、S128、S138、S142が警告表示手段に相当し、制御装置16が「減速G刺激」として走行制御装置20に減速を指示する信号を出力する機能が減速指示手段に相当し、疑似振動発生装置14の右側振動モータが右側振動発生手段に相当し、疑似振動発生装置14の左側振動モータが左側振動発生手段に相当し、疑似振動発生装置14が疑似振動発生手段に相当する。
【符号の説明】
【0071】
1 居眠り防止装置
10a 車室内カメラ
10b 前方カメラ
11 照明装置
12 表示装置
13 スピーカ
14 疑似振動発生装置
15 シートベルト巻取装置
16 制御装置
20 走行制御装置
21 車両用空調装置
22 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者を覚醒させて居眠りを防止する居眠り防止装置であって、
運転者の眠気を検出するための情報を取得する情報取得手段と、
前記運転者の眠気を検出するための情報に基づいて運転者の眠気の強さの度合いを推定し、当該運転者の眠気の強さの度合いを示す眠気度を特定する眠気度特定手段と、
運転者を覚醒させるために当該運転者に異なる種類、異なる強さで刺激を与えることが可能な覚醒手段と、
前記運転者の眠気度が大きいほど運転者を覚醒させる度合いが強くなるように前記覚醒手段を制御する覚醒制御手段と、を備えたことを特徴とする居眠り防止装置。
【請求項2】
前記覚醒制御手段は、前記運転者の眠気度に応じた強さで前記運転者に単発的に刺激を与えるように前記覚醒手段を制御する単発覚醒制御手段と、
前記単発覚醒制御手段による制御が行われた後、前記運転者の眠気度に応じた強さで前記運転者に連続的に刺激を与えるように前記覚醒手段を制御する連続覚醒制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の覚醒支援装置。
【請求項3】
前記覚醒制御手段により前記覚醒手段が制御される場合、運転者を覚醒させるため作動を行うことを警告表示する警告表示手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の覚醒支援装置。
【請求項4】
前記覚醒手段は、搭載車両の走行を制御する走行制御手段に対して当該車両の減速を指示する信号を送出する減速指示手段を備え、
前記減速指示手段により前記車両の減速を指示する信号が送出される場合、当該信号に応じて前記車両が減速するタイミングに連動させて前記車両のブレーキランプを点灯させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の覚醒支援装置。
【請求項5】
前記覚醒手段は、通行車両の路面逸脱を防止するために路面の右側に形成された凹凸部上を車輪が走行する際に前記車両の右側で発生する振動を擬似的に発生させる右側振動発生手段と、通行車両の路面逸脱を防止するために路面の左側に形成された凹凸部上を車輪が走行する際に前記車両の左側で発生する振動を擬似的に発生させる左側振動発生手段と、を備えた疑似振動発生手段を備え、
前記覚醒制御手段は、前記車両が走行中のレーンの右寄りを走行中であることを判定した場合には、前記右側振動発生手段に前記車両の右側で発生する振動を擬似的に発生させるように指示し、前記車両が走行中のレーンの左寄りを走行中であることを判定した場合には、前記左側振動発生手段に前記車両の左側で発生する振動を擬似的に発生させるように指示することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の覚醒支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−186276(P2010−186276A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29204(P2009−29204)
【出願日】平成21年2月11日(2009.2.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】