形状測定装置
【課題】プローブを交換する事無く種々の測定精度を得ることができる形状測定装置を提供すること。
【解決手段】第1のライン光を測定物に照射する第1光学系と、第1光学系の少なくとも一部の光学素子を有し、第1のライン光よりも長い第2のライン光を測定物に照射する第2光学系とを有する光照射部と、前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を検出する第1の検出部と、前記測定物による前記第2のライン光の散乱光を検出する第2の検出部と、を備える形状測定装置である。
【解決手段】第1のライン光を測定物に照射する第1光学系と、第1光学系の少なくとも一部の光学素子を有し、第1のライン光よりも長い第2のライン光を測定物に照射する第2光学系とを有する光照射部と、前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を検出する第1の検出部と、前記測定物による前記第2のライン光の散乱光を検出する第2の検出部と、を備える形状測定装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業製品等の物体の表面形状を測定する技術は従来から種々提案されており、接触式の測定プローブを用いて被検物の形状を三次元で測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。測定プローブとしては、上述の接触式のものの他に、光切断方式を用いた非接触プローブがある。このような光学式の測定プローブは、被検物に所定の投影パターン(ライン光)を投影して被検物を撮像し、その撮像画像から各画像位置(各画素)の基準面からの高さを算出し、被検物の三次元表面形状を測定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−160084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような光切断方式の測定プローブ(以下、光切断プローブと称す)では、ライン光の長さと該ライン光を撮像する撮像素子の大きさによって視野が限られてしまう。そのため、被検物の大きさや要求される測定精度によって測定プローブを交換する必要が生じてしまい、作業効率が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、プローブを交換する事無く種々の測定精度を得ることができる形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る形状測定装置は、第1のライン光を測定物に照射する第1光学系と、前記第1光学系の少なくとも一部の光学素子を有し、前記第1のライン光よりも長い第2のライン光を前記測定物に照射する第2光学系とを有する光照射部と、前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を検出する第1の検出部と、前記測定物による前記第2のライン光の散乱光を検出する第2の検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、プローブを交換する事無く種々の測定精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】形状測定装置の構成を示す斜視図。
【図2】形状測定装置の構成を示す側面図。
【図3】センサ部の構成を示す図。
【図4】照明部が照射する光のプロファイルを示す図。
【図5】光路分岐素子の概略構成を示す図。
【図6】照明部が照射するライン光と検出部との対応関係を示す図。
【図7】第二実施形態に係るセンサ部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形状測定装置の一実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態は、発明の要旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各要請要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図であり、図2は側面図である。本実施形態に係る形状測定装置は、光切断法を用いることで、被検物の表面に一本のライン光からなるライン状投影パターンを投影し、ライン状投影パターンを被検物表面の全域を走査させる毎に投影方向と異なる角度から被検物に投影されたライン状投影パターンを撮像する。そして、撮像された被検物表面の撮像画像よりライン状投影パターンの長手方向の画素毎に三角測量の原理等を用いて被検物表面の基準平面からの高さを算出し、被検物表面の三次元形状を求める装置である。
【0011】
図1、2に示すように、形状測定装置100は、本体部11と、傾斜回転テーブル14と、被検物の形状を測定するためのセンサ部20と、センサ部20を移動させる移動部30と、を有している。
【0012】
本体部11は、架台12と、該架台12上に載置される定盤13とを含む。架台12は、形状測定装置100全体の水平度を調整するためのものである。定盤13は、石製または鋳鉄製からなるものであり、上面が架台12により水平に保たれたものとなっている。この定盤13の上面には、傾斜回転テーブル14が載置されている。
【0013】
以下、互いが直交する3方向により規定されるXYZ座標系を用いて形状測定装置100の構成について説明する。ここで、XY平面とは定盤13の上面と平行な面を規定するものである。すなわち、X方向とは定盤13上における一方向を規定するものであり、Y方向とは定盤13の上面においてX方向に直交する方向を規定するものであり、Z方向とは定盤13の上面に直交する方向を規定するものである。
【0014】
傾斜回転テーブル14は、図2に示すように、被検物200が上面に載置される回転テーブル21、回転テーブル21の上面に対して垂直なZ軸方向に延びる回転軸L1を中心として回転テーブル21が回転可能に装着される傾斜テーブル22、並びに、X軸方向に延びる傾斜軸L2を中心に傾斜テーブル22を回転可能に支持する支持部23および24を備えて構成される。回転テーブル21は円形の板状の部材であり、上面の平面度が高精度に規定されている。
【0015】
傾斜テーブル22は、回転軸駆動モータ22aを内蔵しており、回転軸駆動モータ22aは、回転軸L1を中心として回転テーブル21を回転駆動する。回転テーブル21は、中央部分に形成されている複数の貫通穴(不図示)を介して、複数のボルトにより回転軸駆動モータ22aのシャフトに連結されている。
【0016】
また、支持部23は、傾斜軸駆動モータ23aを内蔵しており、傾斜軸駆動モータ23aは、傾斜軸L2を中心として傾斜テーブル22を回転駆動することで、回転テーブル21を水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜させる。
【0017】
このように、傾斜回転テーブル14では、回転テーブル21を回転させ、傾斜テーブル22を傾斜させることで、回転テーブル21に載置される被検物200を任意の姿勢で保持できるようになっている。なお、回転テーブル21は、傾斜テーブル22の傾斜角度が急勾配になっても被検物200がずれないように、被検物200を固定することができるように構成されている。
【0018】
図3はセンサ部20の構成を示す図である。図3に示すように、センサ部20は、傾斜回転テーブル14に載置される被検物200に光切断を行うためのライン光を照射する照射部91と、ライン光が照射されることで光切断面(線)が現れた被検物200の表面を検出する検出部92と、を主体に構成される。また、センサ部20には、検出部92により検出された画像データに基づいて被検物の形状を測定する演算処理部300が接続されている。演算処理部300は、形状測定装置100における全体の駆動を制御するための制御部500に含まれる。
【0019】
照射部91は、第1の光源部51、第2の光源部52、及びプリズム53を含む。第1の光源部51は、第1の光源54と、該第1の光源54から出射した光が透過するコンデンサレンズ55と、該コンデンサレンズ55を透過した光を扇状のライン光54aに整形する整形レンズ56と、を含む。
【0020】
また、第2の光源部52は、第2の光源57と、該第2の光源57から出射した光が透過するコンデンサレンズ58と、該コンデンサレンズ58を透過した光を扇状のライン光57aに整形する整形レンズ59と、を含む。
【0021】
本実施形態においては、照射部91は被検物200に対してライン光54a,57aを同時に照射するようになっている。第1の光源部51及び第2の光源部52は、被検物200の表面上でライン光54a,57aがそれぞれ平行となるように照射部91内に配置されている。
【0022】
第1の光源54から照射された光はプリズム53内の反射面53aを透過して被検物200に照射される。一方、第2の光源57から照射された光はプリズム53内の反射面53aで反射された後、被検物200に照射される。このように反射面53aから被検物200までが共通光路となっている。
【0023】
検出部92は、照射部91の光照射方向とは異なる方向から被検物200の表面に投影されるライン光54a,57aを撮像するためのものであり、後述のように移動部30によりライン光54a,57aが所定間隔走査される毎に被検物200を撮像するようになっている。
【0024】
検出部92は、第1の撮像素子61、第2の撮像素子62、63、光路分岐素子64、撮像レンズ65、及び波長帯域フィルタ66を含む。本実施形態においては、撮像レンズ65を含む撮像光学系の光軸に対して第1の撮像素子61及び第2の撮像素子62,63を、シャインプルーフの法則に従って傾けることでライン光54a,57aの面に常にピントがあった状態とし、被検物200の全面を精度良く測定できるようにしている。また、撮像光学系の像面とライン光54a,57aによる被検物200の光切断面は略共役となっている。
【0025】
第1の撮像素子61、及び第2の撮像素子62、63は、例えば複数の画素構造を有したCCDから構成されている。なお、本実施形態では、第1の撮像素子61は高精度の形状測定を行うためのものであり、例えば1000×1000の画素数を有している。また、第2の撮像素子62,63は第1の撮像素子61よりも低い精度の形状測定を行うためのものであり、例えば640×480の画素数を有している。
【0026】
図4は照射部91が照射する光のプロファイルを示す図であり、図4中の符号aで示されるのが第1の光源部51のプロファイルであり、図4中の符号bで示されるのが第2の光源部52のプロファイルである。なお、図4における横方向はライン光54a,57aにおける幅方向に対応しており、図4における縦方向はライン光54a,57aの光強度に対応している。
【0027】
図4に示されるように、第1の光源部51(第1の光源54)が被検物200に対して照射するライン光54aは、第2の光源部52(第2の光源57)が被検物200に対して照射するライン光57aに比べて数倍(本実施例では、略2倍)の強度に設定されている。これらライン光54a,57aは、それぞれ幅方向における略中央部が光強度のピークとなるように設定されている。
【0028】
また、ライン光57aは、ライン光54aよりも長く設定されている(図6参照)。後述のように、第1の光源部51は被検物200について高精度の形状測定を行う際に用いられるものであり、第2の光源部52は被検物200について第1の光源部51よりも低い通常の精度の形状測定を行う際に用いられるものである。
【0029】
一般的に長いライン長を有するライン光は広視野が要求されるため、要求される精度が低いと同時に精度に応じたコストが要求される。そのため、第2の光源57としては、第1の光源54よりコヒーレンシーが大きいものが用いられている。具体的に、本実施形態では、第1の光源54としてSLD(Super Luminescent Diode)を用い、第2の光源57として半導体レーザを用いた。
【0030】
図5は光路分岐素子64の概略構成を示す図であり、図6は照射部91が照射するライン光54a,57aと検出部92との対応関係を示す図である。
図5に示されるように、光路分岐素子64は内部に光分離面64Aを有する。光分離面64Aは、反射部分64a,64b及び透過部分64cを含む。反射部分64a,64bにはライン光57aを反射可能な反射膜が設けられ、照射部91から照射されるライン光57aの両端部分に対応する大きさに設定され、該ライン光57aと同時に照射されたライン光54aに重ならない位置に設定されている。一方、透過部分64cには反射膜が設けられておらず、ライン光54a,57aを透過するようになっている。
【0031】
これにより、図6に示すように、反射部分64a,64bは、被検物200で反射されて撮像レンズ65を透過したライン光57aの両端部分を反射して第2の撮像素子62、63上にそれぞれを結像させる。また、透過部分64cは、被検物200で反射されて撮像レンズ65を透過したライン光54a、及びライン光57aの中央部分を透過させ、第1の撮像素子61上にそれぞれ離間した状態で結像させる。これにより、第1の撮像素子61は、ライン光57aの一部及びライン光54aを撮像可能となっている。
【0032】
検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。演算処理部300は、所定の画像演算処理を行い、被検物200の表面の高さを算出し、被検物200の三次元形状(表面形状)を求めるようになっている。
【0033】
本実施形態においては、照射部91が被検物200に対してライン光54a,57aをそれぞれ同時に照射するため、第1の撮像素子61は演算処理部300に対してライン光54a,57aに関する2種類の信号を送信する。ここで、図4に示したように、ライン光54aは、ライン光57aの略2倍の強度に設定されているため、演算処理部300は第1の撮像素子61から送られてきた2種類の信号について、信号の強度を参照することでライン光54a,57aのいずれに関する信号であるかについて判定することが可能となっている。すなわち、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる信号についてライン光54a,57aのいずれに関するものかを弁別し、ライン光54a,57aのそれぞれに応じた画像演算処理を行うことができる。
【0034】
一方、第2の撮像素子62,62は演算処理部300に対してライン光57aに関する信号をそれぞれ送信する。これにより、演算処理部300は、ライン光57aに基づいた画像演算処理を行うことができる。
【0035】
以上のように、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる2種類の信号を弁別することでライン光54aを用いた高精細な形状測定、或いはライン光57aを用いた形状測定を行うことができるようになっている。また、演算処理部300は、第1の撮像素子61が撮像するライン光54a,57aの位置情報(距離)の差分に基づいて被検物200の表面の傾きを検出可能となっている。
【0036】
具体的に、演算処理部300は、被検物200の画像において、被検物200の凹凸に応じて変形したライン光54a又はライン光57aによる光切断面(線)の位置情報に基づき、光切断面(線)(ライン光54a又はライン光57a)が延びる長手方向の画素毎に三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を求める演算処理を行う。
【0037】
図1に戻って、移動部30は、被検物200に投影されたライン光54a又はライン光57aの長手方向と略直角な方向にセンサ部20(照射部91)を移動させることで、ライン光54a又はライン光57aを被検物200の表面に走査させるためのものである。本実施形態に係る形状測定装置100においては、センサ部20が移動部30によって所定方向に沿って移動されるようになっている。
【0038】
移動部30は門型フレーム15を主体として構成されている。なお、定盤13は、端部(図2では右側の端部)が、定盤13上をY軸方向に門型フレーム15を駆動させるY軸ガイドを兼ねるように構成されている。
【0039】
門型フレーム15は、X軸方向に延びるX軸ガイド15a、定盤13のY軸ガイドに沿って駆動する駆動側柱15b、および駆動側柱15bの駆動に従って定盤13の上面を滑動する従動側柱15cにより構成されている。
【0040】
ヘッド部16は、門型フレーム15のX軸ガイド15aに沿ってX軸方向に沿って駆動可能とされている。ヘッド部16には、該ヘッド部16に対してZ軸方向に駆動可能なZ軸ガイド17が装着されている。Z軸ガイド17の下端部に上記センサ部20が装着されている。
【0041】
ところで、本実施形態に係る形状測定装置100のように光切断法を用いる場合、センサ部20の照射部91から被検物200に照射されるライン光54a又はライン光57aが、センサ部20の移動方向(以下、スキャン方向と称す。)と直交する方向に配置させるのが望ましい。例えば、図2において、被検物200に対するセンサ部20のスキャン方向をY軸方向に設定した場合、ライン光54a又はライン光57aをX軸方向に沿って配置するのが望ましい。センサ部20とライン光54a又はライン光57aの出射方向とをこのような関係に設定すると、測定時にライン光54a又はライン光57aの全域を有効に利用したスキャンを行うことができ、被検物200の形状を最適に測定できるためである。
【0042】
続いて、形状測定装置100の動作として、被検物200の形状を測定する方法について以下に説明する。
はじめに、形状測定者は、回転テーブル21に被検物200を載置する。本実施形態では、形状測定者は、被検物200について高精細の形状測定或いは通常の形状測定のいずれを行うかについて不図示の入力部を用いて入力する。例えば、ライン光54aを用いた高精細の形状測定を行う場合、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる2種類の信号から信号強度が高い方を弁別し、ライン光54aの信号に基づいて被検物200の形状測定を行う。
【0043】
形状測定装置100は、被検物200に照射されたライン光54aの長手方向と略直角な方向にセンサ部20(照射部91)を移動させるように移動部30を駆動し、ライン光54aにより被検物200の表面に走査させる。このとき、ライン光57aについても被検物200の表面を走査する。
【0044】
被検物200にライン光54aが照射されると、被検物200の表面にライン光54aによる光切断面(線)が現れるため、検出部92の第1の撮像素子61により、ライン光54aが所定間隔走査される毎に(光切断面が現れた)被検物200を撮像する。このとき、検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。本実施形態においては、第1の撮像素子61がライン光57aも同時に撮像するが、上述のようにライン光54aに基づく信号を弁別することでライン光54aを用いて高精細な形状測定を行うことができる。また、演算処理部300は、第1の撮像素子61に撮像される2つのライン光54a,57aの距離に基づいて、被検物200の表面の傾きを検出することができる。
【0045】
一方、通常の精度の形状測定を行う場合、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる2種類の信号から信号強度が低い方を弁別し、ライン光57aの信号に基づいて被検物200の形状測定を行う。また、演算処理部300は、第2の撮像素子62,63から送られる信号に基づき、被検物200の形状測定を行う。
【0046】
このようにして得られた被検物200の画像データから、演算処理部300は被検物200の凹凸に応じて変形したライン光54aによる光切断面(線)の位置情報に基づいて、光切断面(線)(ライン光54a)が延びる長手方向の画素毎に、三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を測定することができる。
【0047】
以上述べたように、本実施形態に係る形状測定装置100によれば、センサ部20がライン光54a、57aをそれぞれ出射可能な照射部91と、ライン光54a、57aの各々における被検物200による散乱光をそれぞれ検出可能な検出部92と、を備えているので、ライン光54aを用いた高精細な形状測定或いはライン光57aを用いた通常の精度の形状測定のいずれも行うことができる。すなわち、被検物200において要求される測定精度に応じて測定プローブを付け替えるといった手間が不要なため、プローブの付け替えによって測定値に誤差が生じるといった不具合の発生も防止できる。
【0048】
(第二実施形態)
続いて、本発明の形状測定装置の第二実施形態に係る構成について説明する。本実施形態と上記実施形態との違いは、センサ部の構成である。なお、それ以外の部材及び構成については、上記実施形態と同一であることから、その説明については省略若しくは簡略するものとする。
【0049】
図7はセンサ部120の構成を示す図である。図7に示すように、センサ部120は、照射部91と、被検物200の表面を検出する検出部192と、を主体に構成される。また、センサ部20には、検出部192により検出された画像データに基づいて被検物の形状を測定する演算処理部300が接続されている。
【0050】
本実施形態においては、第1の光源部51(第1の光源54)が被検物200に対して照射するライン光54aの波長と、第2の光源部52(第2の光源57)が被検物200に対して照射するライン光57aの波長とが異なっている。一例として、ライン光54aの波長は680nmに設定され、ライン光57aの波長は630nmに設定される。
【0051】
また、本実施形態に係るプリズム53は、ダイクロイックプリズムから構成されており、第1の光源54から照射された光はプリズム53内を透過して被検物200に照射され、第2の光源57から照射された光はプリズム53内で反射された後、被検物200に照射されるようになっている。
【0052】
検出部192は、第1の撮像素子161、第2の撮像素子162、光路分岐素子164、撮像レンズ65、及び波長帯域フィルタ66を含む。本実施形態では、ライン光57aを撮像する第2の撮像素子162が1つのみ設けられた構成となっている。第1の撮像素子161、及び第2の撮像素子162は、同じ画素構成(一例として、640×480の画素数)を有したCCDから構成されている。
【0053】
光路分岐素子164は、ダイクロイックミラーから構成されている。光路分岐素子164は、被検物200で反射されて撮像レンズ65を透過する波長の異なるライン光54a,57aを分離し、例えばライン光54aを透過させることで第1の撮像素子161に入射させ、ライン光57aを反射することで第2の撮像素子162上に入射させる。
【0054】
上述のように第1の撮像素子161及び第2の撮像素子162が同一の画素構成を有している場合、光路分岐素子164から出射されたライン光54aはレンズ150を介して第1の撮像素子161上に拡大して投射される。また、光路分岐素子164から出射されたライン光57aはレンズ151を介して第2の撮像素子162上に縮小して投射される。
【0055】
なお、上記第一実施形態のように、第1の撮像素子161として例えば1000×1000の画素数のものを用い、第2の撮像素子162として例えば640×480の画素数のものを用いてもよい。この場合、ライン光54a,57aを拡大或いは縮小するレンズ150,151を不要とすることができる。
【0056】
検出部192で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。本実施形態においては、第1の撮像素子161は演算処理部300に対してライン光54aの信号を送信し、第2の撮像素子162は演算処理部300に対してライン光57aの信号を送信する。演算処理部300は、所定の画像演算処理を行い、被検物200の表面の高さを算出し、被検物200の三次元形状(表面形状)を求めるようになっている。
【0057】
本実施形態では、形状測定者は、被検物200について高精細の形状測定或いは通常の形状測定のいずれを行うかについて不図示の入力部を用いて入力する。例えば、高精細の形状測定を行う場合、照射部91の第1の光源部51は、ライン光54aのみを被検物200に対して照射する。演算処理部300は、第1の撮像素子161から送られるライン光54aの信号のみに基づいて被検物200の形状測定を行うことができる。
【0058】
一方、通常の精度の形状測定を行う場合、照射部91の第2の光源部52は、ライン光57aのみを被検物200に対して照射する。演算処理部300は、第1の撮像素子161から送られるライン光54aの信号のみに基づいて被検物200の形状測定を行うことができる。
【0059】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されることは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記第二実施形態においては、ライン光54a,57aにおける波長の違いで分離し、第1の撮像素子161及び第2の撮像素子162に入射させる構成としたが、ライン光54a,57aとしてP偏光又はS偏光を用い、偏光分離することで第1の撮像素子161及び第2の撮像素子162に入射させる構成としても構わない。この場合、プリズム53及び光路分岐素子164としては偏光ビームプリズムが用いられる。
【0060】
また、上記第二実施形態において、照射部91が第1の光源部51及び第2の光源部52を独立して駆動することで、ライン光54aとライン光57aの照射を切り替え可能な構成としてもよい。この場合、照射部91は被検物200の形状測定を行う際、該被検物200に対してライン光54a,57aのいずれか一方のみが照射されることとなる。
【0061】
この構成によれば、形状測定装置100は、照射部91から照射されるライン光54a,57aに対応した撮像素子(第1の撮像素子161又は第2の撮像素子162)のみから演算処理部300に信号が送信されるので、演算処理部300による演算速度を高めることができる。また、照射部91が1方の光源部のみを駆動するため、消費電力を抑えることができる。
【符号の説明】
【0062】
53…プリズム、54a…ライン光(第1のライン光)、57a…ライン光(第2のライン光)、61…第1の撮像素子、62…第2の撮像素子、63…第2の撮像素子、64…光路分岐素子、100…形状測定装置、200…被検物(測定物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業製品等の物体の表面形状を測定する技術は従来から種々提案されており、接触式の測定プローブを用いて被検物の形状を三次元で測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。測定プローブとしては、上述の接触式のものの他に、光切断方式を用いた非接触プローブがある。このような光学式の測定プローブは、被検物に所定の投影パターン(ライン光)を投影して被検物を撮像し、その撮像画像から各画像位置(各画素)の基準面からの高さを算出し、被検物の三次元表面形状を測定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−160084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような光切断方式の測定プローブ(以下、光切断プローブと称す)では、ライン光の長さと該ライン光を撮像する撮像素子の大きさによって視野が限られてしまう。そのため、被検物の大きさや要求される測定精度によって測定プローブを交換する必要が生じてしまい、作業効率が低下するといった問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、プローブを交換する事無く種々の測定精度を得ることができる形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る形状測定装置は、第1のライン光を測定物に照射する第1光学系と、前記第1光学系の少なくとも一部の光学素子を有し、前記第1のライン光よりも長い第2のライン光を前記測定物に照射する第2光学系とを有する光照射部と、前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を検出する第1の検出部と、前記測定物による前記第2のライン光の散乱光を検出する第2の検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、プローブを交換する事無く種々の測定精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】形状測定装置の構成を示す斜視図。
【図2】形状測定装置の構成を示す側面図。
【図3】センサ部の構成を示す図。
【図4】照明部が照射する光のプロファイルを示す図。
【図5】光路分岐素子の概略構成を示す図。
【図6】照明部が照射するライン光と検出部との対応関係を示す図。
【図7】第二実施形態に係るセンサ部の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形状測定装置の一実施形態に係る構成について説明する。なお、本実施形態は、発明の要旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各要請要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の形状測定装置に係る一実施形態の構成例を示す斜視図であり、図2は側面図である。本実施形態に係る形状測定装置は、光切断法を用いることで、被検物の表面に一本のライン光からなるライン状投影パターンを投影し、ライン状投影パターンを被検物表面の全域を走査させる毎に投影方向と異なる角度から被検物に投影されたライン状投影パターンを撮像する。そして、撮像された被検物表面の撮像画像よりライン状投影パターンの長手方向の画素毎に三角測量の原理等を用いて被検物表面の基準平面からの高さを算出し、被検物表面の三次元形状を求める装置である。
【0011】
図1、2に示すように、形状測定装置100は、本体部11と、傾斜回転テーブル14と、被検物の形状を測定するためのセンサ部20と、センサ部20を移動させる移動部30と、を有している。
【0012】
本体部11は、架台12と、該架台12上に載置される定盤13とを含む。架台12は、形状測定装置100全体の水平度を調整するためのものである。定盤13は、石製または鋳鉄製からなるものであり、上面が架台12により水平に保たれたものとなっている。この定盤13の上面には、傾斜回転テーブル14が載置されている。
【0013】
以下、互いが直交する3方向により規定されるXYZ座標系を用いて形状測定装置100の構成について説明する。ここで、XY平面とは定盤13の上面と平行な面を規定するものである。すなわち、X方向とは定盤13上における一方向を規定するものであり、Y方向とは定盤13の上面においてX方向に直交する方向を規定するものであり、Z方向とは定盤13の上面に直交する方向を規定するものである。
【0014】
傾斜回転テーブル14は、図2に示すように、被検物200が上面に載置される回転テーブル21、回転テーブル21の上面に対して垂直なZ軸方向に延びる回転軸L1を中心として回転テーブル21が回転可能に装着される傾斜テーブル22、並びに、X軸方向に延びる傾斜軸L2を中心に傾斜テーブル22を回転可能に支持する支持部23および24を備えて構成される。回転テーブル21は円形の板状の部材であり、上面の平面度が高精度に規定されている。
【0015】
傾斜テーブル22は、回転軸駆動モータ22aを内蔵しており、回転軸駆動モータ22aは、回転軸L1を中心として回転テーブル21を回転駆動する。回転テーブル21は、中央部分に形成されている複数の貫通穴(不図示)を介して、複数のボルトにより回転軸駆動モータ22aのシャフトに連結されている。
【0016】
また、支持部23は、傾斜軸駆動モータ23aを内蔵しており、傾斜軸駆動モータ23aは、傾斜軸L2を中心として傾斜テーブル22を回転駆動することで、回転テーブル21を水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜させる。
【0017】
このように、傾斜回転テーブル14では、回転テーブル21を回転させ、傾斜テーブル22を傾斜させることで、回転テーブル21に載置される被検物200を任意の姿勢で保持できるようになっている。なお、回転テーブル21は、傾斜テーブル22の傾斜角度が急勾配になっても被検物200がずれないように、被検物200を固定することができるように構成されている。
【0018】
図3はセンサ部20の構成を示す図である。図3に示すように、センサ部20は、傾斜回転テーブル14に載置される被検物200に光切断を行うためのライン光を照射する照射部91と、ライン光が照射されることで光切断面(線)が現れた被検物200の表面を検出する検出部92と、を主体に構成される。また、センサ部20には、検出部92により検出された画像データに基づいて被検物の形状を測定する演算処理部300が接続されている。演算処理部300は、形状測定装置100における全体の駆動を制御するための制御部500に含まれる。
【0019】
照射部91は、第1の光源部51、第2の光源部52、及びプリズム53を含む。第1の光源部51は、第1の光源54と、該第1の光源54から出射した光が透過するコンデンサレンズ55と、該コンデンサレンズ55を透過した光を扇状のライン光54aに整形する整形レンズ56と、を含む。
【0020】
また、第2の光源部52は、第2の光源57と、該第2の光源57から出射した光が透過するコンデンサレンズ58と、該コンデンサレンズ58を透過した光を扇状のライン光57aに整形する整形レンズ59と、を含む。
【0021】
本実施形態においては、照射部91は被検物200に対してライン光54a,57aを同時に照射するようになっている。第1の光源部51及び第2の光源部52は、被検物200の表面上でライン光54a,57aがそれぞれ平行となるように照射部91内に配置されている。
【0022】
第1の光源54から照射された光はプリズム53内の反射面53aを透過して被検物200に照射される。一方、第2の光源57から照射された光はプリズム53内の反射面53aで反射された後、被検物200に照射される。このように反射面53aから被検物200までが共通光路となっている。
【0023】
検出部92は、照射部91の光照射方向とは異なる方向から被検物200の表面に投影されるライン光54a,57aを撮像するためのものであり、後述のように移動部30によりライン光54a,57aが所定間隔走査される毎に被検物200を撮像するようになっている。
【0024】
検出部92は、第1の撮像素子61、第2の撮像素子62、63、光路分岐素子64、撮像レンズ65、及び波長帯域フィルタ66を含む。本実施形態においては、撮像レンズ65を含む撮像光学系の光軸に対して第1の撮像素子61及び第2の撮像素子62,63を、シャインプルーフの法則に従って傾けることでライン光54a,57aの面に常にピントがあった状態とし、被検物200の全面を精度良く測定できるようにしている。また、撮像光学系の像面とライン光54a,57aによる被検物200の光切断面は略共役となっている。
【0025】
第1の撮像素子61、及び第2の撮像素子62、63は、例えば複数の画素構造を有したCCDから構成されている。なお、本実施形態では、第1の撮像素子61は高精度の形状測定を行うためのものであり、例えば1000×1000の画素数を有している。また、第2の撮像素子62,63は第1の撮像素子61よりも低い精度の形状測定を行うためのものであり、例えば640×480の画素数を有している。
【0026】
図4は照射部91が照射する光のプロファイルを示す図であり、図4中の符号aで示されるのが第1の光源部51のプロファイルであり、図4中の符号bで示されるのが第2の光源部52のプロファイルである。なお、図4における横方向はライン光54a,57aにおける幅方向に対応しており、図4における縦方向はライン光54a,57aの光強度に対応している。
【0027】
図4に示されるように、第1の光源部51(第1の光源54)が被検物200に対して照射するライン光54aは、第2の光源部52(第2の光源57)が被検物200に対して照射するライン光57aに比べて数倍(本実施例では、略2倍)の強度に設定されている。これらライン光54a,57aは、それぞれ幅方向における略中央部が光強度のピークとなるように設定されている。
【0028】
また、ライン光57aは、ライン光54aよりも長く設定されている(図6参照)。後述のように、第1の光源部51は被検物200について高精度の形状測定を行う際に用いられるものであり、第2の光源部52は被検物200について第1の光源部51よりも低い通常の精度の形状測定を行う際に用いられるものである。
【0029】
一般的に長いライン長を有するライン光は広視野が要求されるため、要求される精度が低いと同時に精度に応じたコストが要求される。そのため、第2の光源57としては、第1の光源54よりコヒーレンシーが大きいものが用いられている。具体的に、本実施形態では、第1の光源54としてSLD(Super Luminescent Diode)を用い、第2の光源57として半導体レーザを用いた。
【0030】
図5は光路分岐素子64の概略構成を示す図であり、図6は照射部91が照射するライン光54a,57aと検出部92との対応関係を示す図である。
図5に示されるように、光路分岐素子64は内部に光分離面64Aを有する。光分離面64Aは、反射部分64a,64b及び透過部分64cを含む。反射部分64a,64bにはライン光57aを反射可能な反射膜が設けられ、照射部91から照射されるライン光57aの両端部分に対応する大きさに設定され、該ライン光57aと同時に照射されたライン光54aに重ならない位置に設定されている。一方、透過部分64cには反射膜が設けられておらず、ライン光54a,57aを透過するようになっている。
【0031】
これにより、図6に示すように、反射部分64a,64bは、被検物200で反射されて撮像レンズ65を透過したライン光57aの両端部分を反射して第2の撮像素子62、63上にそれぞれを結像させる。また、透過部分64cは、被検物200で反射されて撮像レンズ65を透過したライン光54a、及びライン光57aの中央部分を透過させ、第1の撮像素子61上にそれぞれ離間した状態で結像させる。これにより、第1の撮像素子61は、ライン光57aの一部及びライン光54aを撮像可能となっている。
【0032】
検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。演算処理部300は、所定の画像演算処理を行い、被検物200の表面の高さを算出し、被検物200の三次元形状(表面形状)を求めるようになっている。
【0033】
本実施形態においては、照射部91が被検物200に対してライン光54a,57aをそれぞれ同時に照射するため、第1の撮像素子61は演算処理部300に対してライン光54a,57aに関する2種類の信号を送信する。ここで、図4に示したように、ライン光54aは、ライン光57aの略2倍の強度に設定されているため、演算処理部300は第1の撮像素子61から送られてきた2種類の信号について、信号の強度を参照することでライン光54a,57aのいずれに関する信号であるかについて判定することが可能となっている。すなわち、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる信号についてライン光54a,57aのいずれに関するものかを弁別し、ライン光54a,57aのそれぞれに応じた画像演算処理を行うことができる。
【0034】
一方、第2の撮像素子62,62は演算処理部300に対してライン光57aに関する信号をそれぞれ送信する。これにより、演算処理部300は、ライン光57aに基づいた画像演算処理を行うことができる。
【0035】
以上のように、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる2種類の信号を弁別することでライン光54aを用いた高精細な形状測定、或いはライン光57aを用いた形状測定を行うことができるようになっている。また、演算処理部300は、第1の撮像素子61が撮像するライン光54a,57aの位置情報(距離)の差分に基づいて被検物200の表面の傾きを検出可能となっている。
【0036】
具体的に、演算処理部300は、被検物200の画像において、被検物200の凹凸に応じて変形したライン光54a又はライン光57aによる光切断面(線)の位置情報に基づき、光切断面(線)(ライン光54a又はライン光57a)が延びる長手方向の画素毎に三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を求める演算処理を行う。
【0037】
図1に戻って、移動部30は、被検物200に投影されたライン光54a又はライン光57aの長手方向と略直角な方向にセンサ部20(照射部91)を移動させることで、ライン光54a又はライン光57aを被検物200の表面に走査させるためのものである。本実施形態に係る形状測定装置100においては、センサ部20が移動部30によって所定方向に沿って移動されるようになっている。
【0038】
移動部30は門型フレーム15を主体として構成されている。なお、定盤13は、端部(図2では右側の端部)が、定盤13上をY軸方向に門型フレーム15を駆動させるY軸ガイドを兼ねるように構成されている。
【0039】
門型フレーム15は、X軸方向に延びるX軸ガイド15a、定盤13のY軸ガイドに沿って駆動する駆動側柱15b、および駆動側柱15bの駆動に従って定盤13の上面を滑動する従動側柱15cにより構成されている。
【0040】
ヘッド部16は、門型フレーム15のX軸ガイド15aに沿ってX軸方向に沿って駆動可能とされている。ヘッド部16には、該ヘッド部16に対してZ軸方向に駆動可能なZ軸ガイド17が装着されている。Z軸ガイド17の下端部に上記センサ部20が装着されている。
【0041】
ところで、本実施形態に係る形状測定装置100のように光切断法を用いる場合、センサ部20の照射部91から被検物200に照射されるライン光54a又はライン光57aが、センサ部20の移動方向(以下、スキャン方向と称す。)と直交する方向に配置させるのが望ましい。例えば、図2において、被検物200に対するセンサ部20のスキャン方向をY軸方向に設定した場合、ライン光54a又はライン光57aをX軸方向に沿って配置するのが望ましい。センサ部20とライン光54a又はライン光57aの出射方向とをこのような関係に設定すると、測定時にライン光54a又はライン光57aの全域を有効に利用したスキャンを行うことができ、被検物200の形状を最適に測定できるためである。
【0042】
続いて、形状測定装置100の動作として、被検物200の形状を測定する方法について以下に説明する。
はじめに、形状測定者は、回転テーブル21に被検物200を載置する。本実施形態では、形状測定者は、被検物200について高精細の形状測定或いは通常の形状測定のいずれを行うかについて不図示の入力部を用いて入力する。例えば、ライン光54aを用いた高精細の形状測定を行う場合、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる2種類の信号から信号強度が高い方を弁別し、ライン光54aの信号に基づいて被検物200の形状測定を行う。
【0043】
形状測定装置100は、被検物200に照射されたライン光54aの長手方向と略直角な方向にセンサ部20(照射部91)を移動させるように移動部30を駆動し、ライン光54aにより被検物200の表面に走査させる。このとき、ライン光57aについても被検物200の表面を走査する。
【0044】
被検物200にライン光54aが照射されると、被検物200の表面にライン光54aによる光切断面(線)が現れるため、検出部92の第1の撮像素子61により、ライン光54aが所定間隔走査される毎に(光切断面が現れた)被検物200を撮像する。このとき、検出部92で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。本実施形態においては、第1の撮像素子61がライン光57aも同時に撮像するが、上述のようにライン光54aに基づく信号を弁別することでライン光54aを用いて高精細な形状測定を行うことができる。また、演算処理部300は、第1の撮像素子61に撮像される2つのライン光54a,57aの距離に基づいて、被検物200の表面の傾きを検出することができる。
【0045】
一方、通常の精度の形状測定を行う場合、演算処理部300は、第1の撮像素子61から送られる2種類の信号から信号強度が低い方を弁別し、ライン光57aの信号に基づいて被検物200の形状測定を行う。また、演算処理部300は、第2の撮像素子62,63から送られる信号に基づき、被検物200の形状測定を行う。
【0046】
このようにして得られた被検物200の画像データから、演算処理部300は被検物200の凹凸に応じて変形したライン光54aによる光切断面(線)の位置情報に基づいて、光切断面(線)(ライン光54a)が延びる長手方向の画素毎に、三角測量の原理を用いて被検物200表面の基準平面からの高さを算出し、被検物200の三次元形状を測定することができる。
【0047】
以上述べたように、本実施形態に係る形状測定装置100によれば、センサ部20がライン光54a、57aをそれぞれ出射可能な照射部91と、ライン光54a、57aの各々における被検物200による散乱光をそれぞれ検出可能な検出部92と、を備えているので、ライン光54aを用いた高精細な形状測定或いはライン光57aを用いた通常の精度の形状測定のいずれも行うことができる。すなわち、被検物200において要求される測定精度に応じて測定プローブを付け替えるといった手間が不要なため、プローブの付け替えによって測定値に誤差が生じるといった不具合の発生も防止できる。
【0048】
(第二実施形態)
続いて、本発明の形状測定装置の第二実施形態に係る構成について説明する。本実施形態と上記実施形態との違いは、センサ部の構成である。なお、それ以外の部材及び構成については、上記実施形態と同一であることから、その説明については省略若しくは簡略するものとする。
【0049】
図7はセンサ部120の構成を示す図である。図7に示すように、センサ部120は、照射部91と、被検物200の表面を検出する検出部192と、を主体に構成される。また、センサ部20には、検出部192により検出された画像データに基づいて被検物の形状を測定する演算処理部300が接続されている。
【0050】
本実施形態においては、第1の光源部51(第1の光源54)が被検物200に対して照射するライン光54aの波長と、第2の光源部52(第2の光源57)が被検物200に対して照射するライン光57aの波長とが異なっている。一例として、ライン光54aの波長は680nmに設定され、ライン光57aの波長は630nmに設定される。
【0051】
また、本実施形態に係るプリズム53は、ダイクロイックプリズムから構成されており、第1の光源54から照射された光はプリズム53内を透過して被検物200に照射され、第2の光源57から照射された光はプリズム53内で反射された後、被検物200に照射されるようになっている。
【0052】
検出部192は、第1の撮像素子161、第2の撮像素子162、光路分岐素子164、撮像レンズ65、及び波長帯域フィルタ66を含む。本実施形態では、ライン光57aを撮像する第2の撮像素子162が1つのみ設けられた構成となっている。第1の撮像素子161、及び第2の撮像素子162は、同じ画素構成(一例として、640×480の画素数)を有したCCDから構成されている。
【0053】
光路分岐素子164は、ダイクロイックミラーから構成されている。光路分岐素子164は、被検物200で反射されて撮像レンズ65を透過する波長の異なるライン光54a,57aを分離し、例えばライン光54aを透過させることで第1の撮像素子161に入射させ、ライン光57aを反射することで第2の撮像素子162上に入射させる。
【0054】
上述のように第1の撮像素子161及び第2の撮像素子162が同一の画素構成を有している場合、光路分岐素子164から出射されたライン光54aはレンズ150を介して第1の撮像素子161上に拡大して投射される。また、光路分岐素子164から出射されたライン光57aはレンズ151を介して第2の撮像素子162上に縮小して投射される。
【0055】
なお、上記第一実施形態のように、第1の撮像素子161として例えば1000×1000の画素数のものを用い、第2の撮像素子162として例えば640×480の画素数のものを用いてもよい。この場合、ライン光54a,57aを拡大或いは縮小するレンズ150,151を不要とすることができる。
【0056】
検出部192で撮像された被検物200の画像データは、演算処理部300に送られる。本実施形態においては、第1の撮像素子161は演算処理部300に対してライン光54aの信号を送信し、第2の撮像素子162は演算処理部300に対してライン光57aの信号を送信する。演算処理部300は、所定の画像演算処理を行い、被検物200の表面の高さを算出し、被検物200の三次元形状(表面形状)を求めるようになっている。
【0057】
本実施形態では、形状測定者は、被検物200について高精細の形状測定或いは通常の形状測定のいずれを行うかについて不図示の入力部を用いて入力する。例えば、高精細の形状測定を行う場合、照射部91の第1の光源部51は、ライン光54aのみを被検物200に対して照射する。演算処理部300は、第1の撮像素子161から送られるライン光54aの信号のみに基づいて被検物200の形状測定を行うことができる。
【0058】
一方、通常の精度の形状測定を行う場合、照射部91の第2の光源部52は、ライン光57aのみを被検物200に対して照射する。演算処理部300は、第1の撮像素子161から送られるライン光54aの信号のみに基づいて被検物200の形状測定を行うことができる。
【0059】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されることは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記第二実施形態においては、ライン光54a,57aにおける波長の違いで分離し、第1の撮像素子161及び第2の撮像素子162に入射させる構成としたが、ライン光54a,57aとしてP偏光又はS偏光を用い、偏光分離することで第1の撮像素子161及び第2の撮像素子162に入射させる構成としても構わない。この場合、プリズム53及び光路分岐素子164としては偏光ビームプリズムが用いられる。
【0060】
また、上記第二実施形態において、照射部91が第1の光源部51及び第2の光源部52を独立して駆動することで、ライン光54aとライン光57aの照射を切り替え可能な構成としてもよい。この場合、照射部91は被検物200の形状測定を行う際、該被検物200に対してライン光54a,57aのいずれか一方のみが照射されることとなる。
【0061】
この構成によれば、形状測定装置100は、照射部91から照射されるライン光54a,57aに対応した撮像素子(第1の撮像素子161又は第2の撮像素子162)のみから演算処理部300に信号が送信されるので、演算処理部300による演算速度を高めることができる。また、照射部91が1方の光源部のみを駆動するため、消費電力を抑えることができる。
【符号の説明】
【0062】
53…プリズム、54a…ライン光(第1のライン光)、57a…ライン光(第2のライン光)、61…第1の撮像素子、62…第2の撮像素子、63…第2の撮像素子、64…光路分岐素子、100…形状測定装置、200…被検物(測定物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のライン光を測定物に照射する第1光学系と、前記第1光学系の少なくとも一部の光学素子を有し、前記第1のライン光よりも長い第2のライン光を前記測定物に照射する第2光学系とを有する光照射部と、
前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を検出する第1の検出部と、
前記測定物による前記第2のライン光の散乱光を検出する第2の検出部と、を備える
形状測定装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記第1のライン光及び前記第2のライン光の一方を透過させるとともに、他方を反射させるプリズムを含む
請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を透過させて前記第1の検出部に入射させるとともに、前記測定物による前記第2のライン光の散乱光の少なくとも一部を分離して前記第2の検出部に入射させる光分離素子を備える
請求項1又は2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記第1の検出部は、前記第2のライン光における前記散乱光の一部を検出する
請求項3に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記光分離素子は、前記測定物による散乱光のうち、前記第1のライン光及び前記第2のライン光の前記散乱光を含む部分を前記第1の検出部に入射させるとともに、前記第2のライン光における前記散乱光のみを含む部分を前記第2の検出部に入射させる
請求項3又は4に記載の形状測定装置。
【請求項6】
前記光照明部は、前記第1のライン光及び前記第2のライン光における前記散乱光の各々が略平行であり、且つ互いが離間した状態で前記第1の検出部に入射されるように、前記第1のライン光及び前記第2のライン光を照射する
請求項5に記載の形状測定装置。
【請求項7】
前記光照射部は、前記第1のライン光及び前記第2のライン光の照射を切り替え可能である
請求項1〜6のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項8】
前記第2の検出部を複数有する
請求項1〜7のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項9】
前記前記第1のライン光と前記第2のライン光とは、波長が異なる
請求項1〜8のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項1】
第1のライン光を測定物に照射する第1光学系と、前記第1光学系の少なくとも一部の光学素子を有し、前記第1のライン光よりも長い第2のライン光を前記測定物に照射する第2光学系とを有する光照射部と、
前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を検出する第1の検出部と、
前記測定物による前記第2のライン光の散乱光を検出する第2の検出部と、を備える
形状測定装置。
【請求項2】
前記光学系は、前記第1のライン光及び前記第2のライン光の一方を透過させるとともに、他方を反射させるプリズムを含む
請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記測定物による前記第1のライン光の散乱光を透過させて前記第1の検出部に入射させるとともに、前記測定物による前記第2のライン光の散乱光の少なくとも一部を分離して前記第2の検出部に入射させる光分離素子を備える
請求項1又は2に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記第1の検出部は、前記第2のライン光における前記散乱光の一部を検出する
請求項3に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記光分離素子は、前記測定物による散乱光のうち、前記第1のライン光及び前記第2のライン光の前記散乱光を含む部分を前記第1の検出部に入射させるとともに、前記第2のライン光における前記散乱光のみを含む部分を前記第2の検出部に入射させる
請求項3又は4に記載の形状測定装置。
【請求項6】
前記光照明部は、前記第1のライン光及び前記第2のライン光における前記散乱光の各々が略平行であり、且つ互いが離間した状態で前記第1の検出部に入射されるように、前記第1のライン光及び前記第2のライン光を照射する
請求項5に記載の形状測定装置。
【請求項7】
前記光照射部は、前記第1のライン光及び前記第2のライン光の照射を切り替え可能である
請求項1〜6のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項8】
前記第2の検出部を複数有する
請求項1〜7のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【請求項9】
前記前記第1のライン光と前記第2のライン光とは、波長が異なる
請求項1〜8のいずれか一項に記載の形状測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−215496(P2012−215496A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81750(P2011−81750)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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