説明

微細パターンを有する物品の製造装置および製造方法

【課題】親モールドの破損が抑えられ、微細パターンの転写精度が高く、転写の際の圧力を低くでき、かつ硬化性樹脂の使用量が抑えられる、微細パターンを有する物品の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】親モールド100の表面に形成された微細パターンを一旦、転写基材104に転写して反転パターンを有するレプリカモールドを製造し、ついでレプリカモールドの表面に形成された反転パターンを物品本体102の表面に転写して微細パターンを有する物品を製造するに際し、親モールド100の微細パターンが形成された表面に、第1の供給手段17から第1の硬化性樹脂を供給し、該第1の硬化性樹脂を、親モールド100の微細パターンの転写基材104への転写に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ナノインプリント法によって微細パターンを有する物品を製造する装置および該物品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表面に微細パターンを有する親モールドと基材とを接触させて、微細パターンの反転パターンを基材の表面に転写する方法、いわゆるナノインプリント法が注目されている(たとえば、特許文献1参照)。
なかでも、親モールドの微細パターンが形成された表面と基材の表面との間に光硬化性樹脂を挟持して押圧する工程、親モールド側から光照射し光硬化性樹脂を硬化させて硬化物とする工程、および該硬化物から親モールドを剥離する工程を順に行う方法(光ナノインプリント法)が注目されている。
親モールドとしては、通常、石英製モールドが用いられる。しかし、石英製モールドは硬いため、基材の材料が硬い場合(たとえば、半導体基板、ハードディスク基板等。)、石英製モールドおよび/または基材が破損するおそれがある。
【0003】
該問題を解決する方法としては、下記の方法が提案されている。
(1)テンプレートの微細パターンを、UV硬化プレポリマーの表面を有する可塑性ポリマーフォイルに転写して中間ディスクを作製し、該中間ディスクの反転パターンを、UV硬化プレポリマーが塗布された基板に転写する方法(特許文献2)。
該方法によれば、柔軟な可塑性ポリマーフォイルを介して、テンプレートの微細パターンを目的の基板に転写しているため、テンプレートおよび基板の破損が抑えられる。
【0004】
しかし、(1)の方法には、下記の問題点がある。
(i)可塑性ポリマーフォイルのハンドリング性の点から、可塑性ポリマーフォイルの表面のUV硬化プレポリマーとしては、粘度がかなり高いものが用いられるため、テンプレートの微細パターンを可塑性ポリマーフォイルに転写する際の転写精度が低い。
(ii)また、可塑性ポリマーフォイルの表面のUV硬化プレポリマーの粘度がかなり高いため、転写の際の圧力をかなり高くしなければならず、装置やテンプレートに負担がかかる。場合によっては、テンプレートが破損する。
(iii)可塑性ポリマーフォイルの表面全体に、UV硬化プレポリマーの表面を形成しなければならず、転写に用いられない無駄なUV硬化プレポリマーが多くなる。
【特許文献1】特表2002−539604号公報
【特許文献2】特開2007−165812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、親モールドの破損が抑えられ、微細パターンの転写精度が高く、転写の際の圧力を低くでき、かつ硬化性樹脂の使用量が抑えられる、微細パターンを有する物品の製造装置および製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の微細パターンを有する物品の製造装置は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段(A)と、
親モールドの表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材とを接触させる第1の接触手段(B)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段(C)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離手段(D)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動手段(E)と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段(F)と、
物品本体の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させる第2の接触手段(G)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段(H)と、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離手段(I)と
を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の微細パターンを有する物品の製造装置は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
転写用基材の表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段(A’)と、
転写用基材の表面の第1の硬化性樹脂と親モールドの微細パターンが形成された表面とを接触させる第1の接触手段(B’)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段(C)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離手段(D)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動手段(E)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段(F’)と、
第1の硬化物の表面の第2の硬化性樹脂と物品本体とを接触させる第2の接触手段(G’)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段(H)と
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離手段(I)と
を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の微細パターンを有する物品の製造方法は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する方法であって、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給ステップ(a)と、
親モールドの表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材とを接触させる第1の接触ステップ(b)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化ステップ(c)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離ステップ(d)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動ステップ(e)と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給ステップ(f)と、
物品本体の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させる第2の接触ステップ(g)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化ステップ(h)と、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離ステップ(i)と
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の微細パターンを有する物品の製造方法は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する方法であって、
転写用基材の表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給ステップ(a’)と、
転写用基材の表面の第1の硬化性樹脂と親モールドの微細パターンが形成された表面とを接触させる第1の接触ステップ(b’)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化ステップ(c)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離ステップ(d)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動ステップ(e)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給ステップ(f’)と、
第1の硬化物の表面の第2の硬化性樹脂と物品本体とを接触させる第2の接触ステップ(g’)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化ステップ(h)と、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離ステップ(i)と
を有することを特徴とする。
【0010】
前記第1の硬化性樹脂は、フッ素原子を有し、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ以上有する化合物(P)と、フッ素原子を有さず、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ以上有する化合物(Q)と、含フッ素界面活性剤(R)と、光重合開始剤(S)とを含み、実質的に溶剤を含まず、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、化合物(P)が0.1〜45質量%であり、化合物(Q)が50〜98質量%であり、含フッ素界面活性剤(R)が0.1〜20質量%であり、光重合開始剤(S)が1〜10質量%である光硬化性組成物であることが好ましい。
【0011】
本発明の微細パターンを有する物品の製造装置は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
円板の上面の同心円上の円周2n等分(ただし、nは1以上の整数である。)の位置にn個の親モールドおよびn個の物品本体を交互に保持する下側円板と、
円板の中心を通りかつ円板の表面に直交する中心軸が一致するように下側円板と同軸的に配置され、円板の下面の同心円上の円周2n等分の位置に2n個の転写用基材を保持する上側円板と、
下側円板と上側円板とが接近または離間するように、下側円板および/または上側円板を垂直方向に移動させる昇降手段(第1の接触手段(B)、第1の分離手段(D)、第2の接触手段(G)および第2の分離手段(I)に相当する。)と、
下側円板の上面の親モールドまたは物品本体と上側円板の下面の転写用基材とが対向するように、下側円板および/または上側円板を、中心軸を中心に回転させる回転手段(移動手段(E)に相当する。)と、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段(A)と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段(F)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段(C)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段(H)と
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の微細パターンを有する物品の製造装置は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
円板の上面の同心円上の円周2n等分(ただし、nは1以上の整数である。)の位置に2n個の転写用基材を保持する下側円板と、
円板の中心を通りかつ円板の表面に直交する中心軸が一致するように下側円板と同軸的に配置され、円板の下面の同心円上の円周2n等分の位置にn個の親モールドおよびn個の物品本体を交互に保持する上側円板と、
下側円板と上側円板とが接近または離間するように、下側円板および/または上側円板を垂直方向に移動させる昇降手段((第1の接触手段(B’)、第1の分離手段(D)、第2の接触手段(G’)および第2の分離手段(I)に相当する。))と、
下側円板の上面の転写用基材と上側円板の下面の親モールドまたは物品本体とが対向するように、下側円板および/または上側円板を、中心軸を中心に回転させる回転手段(移動手段(E)に相当する。)と、
転写用基材の表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段(A’)と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段(F’)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段(C)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段(H)と
を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の微細パターンを有する物品の製造装置は、親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
帯状の転写用基材を一定方向に移動させる第1の移動手段(移動手段(E)に相当する。)と、
親モールドを保持する第1の保持手段と、
第1の保持手段を、転写用基材の下方にて転写用基材と交差するように移動させる第2の移動手段と、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段(A)と、
第1の移動手段によって移動する転写用基材と第2の移動手段によって移動する第1の保持手段とが交差する第1の交差点にて、親モールドの表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材とを接触させ、かつ転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の接触・分離手段(第1の接触手段(B)および第1の分離手段(D)に相当する。)と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段(C)と、
物品本体を保持する第2の保持手段と、
第2の保持手段を、第1の交差点よりも下流側の転写用基材の下方にて転写用基材と交差するように移動させる第3の移動手段(移動手段(E)に相当する。)と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段(F)と、
第1の移動手段によって移動する転写用基材と第3の移動手段によって移動する第2の保持手段とが交差する第2の交差点にて、物品本体の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させ、かつ物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の接触・分離手段(第2の接触手段(G)および第2の分離手段(I)に相当する。)と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段(H)と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の微細パターンを有する物品の製造装置によれば、親モールドの破損が抑えられ、微細パターンの転写精度が高く、転写の際の圧力を低くでき、かつ硬化性樹脂の使用量が抑えられる。
本発明の微細パターンを有する物品の製造方法によれば、親モールドの破損が抑えられ、微細パターンの転写精度が高く、転写の際の圧力を低くでき、かつ硬化性樹脂の使用量が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1の実施形態〕
(微細パターンを有する物品の製造装置)
図1〜図3は、本発明の微細パターンを有する物品の製造装置の第1の実施形態を示す図である。該製造装置は、親モールド100の表面に形成された微細パターンを物品本体102の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって;円板の上面の同心円上の円周8等分の位置に4個の親モールド100および4個の物品本体102を交互に保持する真空吸着チャック11が形成された下側円板12と;ドーナッツ形の円板の中心を通りかつ円板の表面に直交する中心軸が一致するように下側円板12と同軸的に配置され、円板の下面の同心円上の円周8等分の位置に8個の転写用基材104を保持する真空吸着チャック13が形成された上側円板14と;下側円板12と上側円板14とが接近または離間するように、上側円板14を垂直方向に移動させる昇降手段15と;下側円板12の上面の親モールド100または物品本体102と上側円板14の下面の転写用基材104とが対向するように、下側円板12を、中心軸を中心に回転させる回転手段16と;親モールド100の微細パターンが形成された表面に第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段17と;物品本体102の表面に第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段18と;上側円板14の上面に設置されたドーナッツ形の硬化手段19(第1の硬化手段および第2の硬化手段)と;途中に制御装置20が設けられた吸引管21を介して真空吸着チャック11に接続する吸引ポンプ22と;途中に制御装置23が設けられた吸引管24を介して真空吸着チャック13に接続する吸引ポンプ25と;途中にポンプ26および該ポンプ26の前後に位置する制御装置27、28が設けられた供給管29を介して第1の供給手段17に接続する第1の硬化性樹脂タンク30と;途中にポンプ31および該ポンプ31の前後に位置する制御装置32、33が設けられた供給管34を介して第2の供給手段18に接続する第2の硬化性樹脂タンク35と;途中に制御装置36が設けられた配線37を介して硬化手段19に接続する電源38と;吸引ポンプ22、第1の硬化性樹脂タンク30および第2の硬化性樹脂タンク35が設置され、回転手段16によって下側円板12とともに回転する回転天板39と;吸引ポンプ25および電源38が設置された装置天板40と;回転手段16が設置された装置底板41と;一端が装置天板40に接合し、他端が装置底板41に接合した装置支柱42と;親モールド100および物品本体102を下側円板12に供給し、微細パターンを有する物品を下側円板12から取り出す第1の搬送装置43と;転写用基材104を上側円板14に供給し、第1の硬化物が表面に付着した転写用基材104を上側円板14から取り出す第2の搬送装置44とを有する。
【0016】
上側円板14は、硬化手段19からの紫外線が透過するように透明材料から形成される。該透明材料としては、ガラス類(石英ガラス、硼珪酸ガラス等。)、プラスチック類(ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等。)等が挙げられる。
【0017】
昇降手段15は、下側円板12と上側円板14とが接近するように、上側円板14を垂直方向に移動させることによって、親モールド100の表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材104とを接触させる手段(第1の接触手段)であり、かつ同時に、物品本体102の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物とを接触させる手段(第2の接触手段)である。
【0018】
また、昇降手段15は、下側円板12と上側円板14とが離間するように、上側円板14を垂直方向に移動させることによって、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物と親モールド100とを分離する手段(第1の分離手段)であり、かつ同時に、物品本体102の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物とを分離する手段(第2の分離手段)である。
【0019】
昇降手段15は、装置支柱42の表面に形成されたリニアガイド45と、リニアガイドに沿って垂直方向に移動するリニアスライダ46と、上側円板14とリニアスライダ46との間に設けられたガイド支柱47と、上側円板14およびリニアスライダ46に接合し、ガイド支柱47に沿ってリニアスライダ46によって垂直方向に移動する上側円板支持体48とから構成される。
【0020】
回転手段16は、下側円板12を回転させることによって、転写用基材104の表面に付着した反転パターンが形成された第1の硬化物の表面と物品本体102の表面とが対向するように、かつ転写用基材104の表面と親モールド100の表面とが対向するように、親モールド100および物品本体102を移動させる手段(移動手段)である。
【0021】
回転手段16は、下側円板12の中心軸と同軸的に設けられた回転軸49と、下側円板12に接合し、回転軸49とともに回転する下側円板支持体50と、回転軸49を回転させる駆動モータ51と、駆動モータを制御する制御装置(図示略)とから構成される。
【0022】
第1の供給手段17および第2の供給手段18は、それぞれ各硬化性樹脂を吐出するディスペンサ52と、ディスペンサ52にアーム53によって接続され、ディスペンサ52を水平方向に移動させる駆動装置54とから構成される。
【0023】
硬化手段19は、親モールド100と転写用基材104との間に存在する第1の硬化性樹脂、および物品本体102と転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂に紫外線を照射し、これらを硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物および微細パターンを有する第2の硬化物を形成するUV−LED光源ユニットである。
【0024】
(微細パターンを有する物品の製造方法)
つぎに、第1の実施形態の製造装置を用いた微細パターンを有する物品の製造方法について説明する。
微細パターンを有する物品は、後述する、準備ステップ、第1の供給ステップ、第1の接触ステップ、第1の硬化ステップ、第1の分離ステップ、移動ステップ、第1・第2の供給ステップ、第1・第2の接触ステップ、第1・第2の硬化ステップ、第1・第2の分離ステップ、入替ステップを順に経て製造される。入替ステップ以降は、移動ステップ、第1・第2の供給ステップ、第1・第2の接触ステップ、第1・第2の硬化ステップ、第1・第2の分離ステップ、入替ステップを繰り返し行う。
【0025】
準備ステップ:
第1の搬送装置43によって親モールド100および物品本体102を下側円板12に供給し、真空吸着チャック11に交互に保持させ、かつ第2の搬送装置44によって転写用基材104を上側円板14に供給し、真空吸着チャック13に保持させる。
【0026】
この際、アライメントを調整してもよい。アライメントを調整する方法としては、親モールド100、物品本体102および転写用基材104に印を付け、また下側円板12の真空吸着チャック11および上側円板14の真空吸着チャック13に印を付け、これら印が一致するようにCCDカメラ等によって位置調整する方法;親モールド100、物品本体102および転写用基材104に孔を開け、下側円板12の真空吸着チャック11および上側円板14の真空吸着チャック13にシリンダを設け、前記孔にシリンダを通して位置合わせする方法;下側円板12の真空吸着チャック11および上側円板14の真空吸着チャック13にガイドを設けて位置合わせする方法等が挙げられる。
【0027】
親モールド100は、表面に微細パターンを有する。
微細パターンとは、微細な凹部および/または凸部を意味する。
凸部としては、親モールド100の表面に延在する長尺の凸条、表面に点在する突起等が挙げられる。
凹部としては、親モールド100の表面に延在する長尺の溝、表面に点在する孔等が挙げられる。
【0028】
凸条または溝の形状としては、直線、曲線、折れ曲がり形状等が挙げられる。凸条または溝は、複数が平行に存在して縞状をなしていてもよい。
凸条または溝の、長手方向に直交する方向の断面形状としては、長方形、台形、三角形、半円形等が挙げられる。
突起または孔の形状としては、三角柱、四角柱、六角柱、円柱、三角錐、四角錐、六角錐、円錐半球、多面体等が挙げられる。
【0029】
凸条または溝の幅は、平均で1nm〜500nmが好ましく、5nm〜300nmがより好ましい。凸条の幅とは、長手方向に直交する方向の断面における底辺の長さを意味する。溝の幅とは、長手方向に直交する方向の断面における上辺の長さを意味する。
突起または孔の幅は、平均で1nm〜500nmが好ましく、5nm〜300nmがより好ましい。突起の幅とは、底面が細長い場合、長手方向に直交する方向の断面における底辺の長さを意味し、そうでない場合、突起の底面における最大長さを意味する。孔の幅とは、開口部が細長い場合、長手方向に直交する方向の断面における上辺の長さを意味し、そうでない場合、孔の開口部における最大長さを意味する。
【0030】
凸部の高さは、平均で1nm〜500μmが好ましく、10nm〜10μmがより好ましい。
凹部の深さは、平均で1nm〜500μmが好ましく、10nm〜10μmがより好ましい。
【0031】
微細パターンが密集している領域において、隣接する凸部(または凹部)間の間隔は、平均で1nm〜500μmが好ましく、5nm〜300μmがより好ましい。隣接する凸部間の間隔とは、凸部の断面の底辺の終端から、隣接する凸部の断面の底辺の始端までの距離を意味する。隣接する凹部間の間隔とは、凹部の断面の上辺の終端から、隣接する凹部の断面の上辺の始端までの距離を意味する。
【0032】
凸部の最小寸法は、1nm〜500μmが好ましい。最小寸法とは、凸部の幅、長さおよび高さのうち最小の寸法を意味する。
凹部の最小寸法は、1nm〜500μmが好ましい。最小寸法とは、凹部の幅、長さおよび深さのうち最小の寸法を意味する。
【0033】
親モールド100の材料としては、半導体類(シリコン等。)、金属類(タンタル、ニッケル、銅、ステンレス、アルミニウム、チタン等。)、ガラス類(石英ガラス、硼珪酸ガラス等。)、セラミックス類(炭化珪素、窒化珪素、サファイア等。)、プラスチック類(フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート等。)、生体の一部を利用したもの(蓮の葉等。)等が挙げられる。
【0034】
親モールド100の微細パターンが形成された表面に、離型剤を塗布してもよい。
離型剤としては、フッ素含有のシランカップリング剤、シリコーン含有のシランカップリング剤等が挙げられる。
【0035】
親モールド100は、電子線描画、X線描画、フォトリソグラフィ、切削加工、レーザ描画、自己組織化等によって表面に微細パターンを形成することにより作製される。
また、親モールド100から、ニッケル電鋳法;ゾルゲル材料(SOG等。)または樹脂を用いたキャスト法;ナノインプリント法等によって複製されたレプリカモールドを親モールド100として用いてもよい。
【0036】
物品本体102としては、半導体基板、ハードディスク基板、光学素子基材、光学フィルタ基材、MEMS基板(バイオセンサ等。)、光ディスク基板、太陽電池基板、LED基板、ディスプレイ用基板等が挙げられる。
物品本体102としては、第2の硬化物が接着するように表面処理されたもの、または第2の硬化物が接着しやすい材料からなるものが好ましい。
【0037】
転写用基材104は、硬化手段19からの紫外線が透過するように透明材料から形成される。
透明材料としては、ガラス類(石英ガラス、硼珪酸ガラス等。)、プラスチック類(シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド等。)等が挙げられ、第1の硬化物との接着性の点および親モールド100の破損を抑える点から、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
【0038】
転写用基材104の光線透過率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。光線透過率は、厚さ50μmの転写用基材104の、波長360〜500nmの光の光線透過率である。
【0039】
転写用基材104は、板状であってもよく、フィルム状であってもよい。
転写用基材104の形状は、四角形であってもよく、ドーナツ形であってもよく、円形であってもよい。
転写用基材104は、離型しやすい点から、親モールド100と同じ大きさまたは親モールド100より大きいことが好ましく、親モールド100より2mm以上大きいことがより好ましい。
【0040】
転写用基材104は、第1の硬化物との接着性の点から、表面処理されていてもよい。 表面処理の方法としては、シランカップリング剤を塗布する方法、機能性シラン化合物を塗布する方法、プラズマ処理する方法、プライマーを塗膜する方法等が挙げられる。
【0041】
シランカップリング剤としては、アミノ基を有するシランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等。)、エポキシ基を有するシランカップリング剤(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等。)、有機化合物を多く含むシランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:FS−10)等が挙げられる。
【0042】
機能性シラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
プラズマ処理に用いられるガス種としては、O、N、CF、C、Ar、Cl、HCl、HBr、CHF、C、BCl、NH、CO等が挙げられる。該ガス種は、任意に混合して用いてもよい。
プライマーとしては、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等。)、半導体で用いられるBARC(Bottom Anti−reflection Coating)等が挙げられる。
【0043】
第1の供給ステップ:
親モールド100の微細パターンが形成された表面に、第1の供給手段17から第1の硬化性樹脂を供給する。
【0044】
第1の硬化性樹脂としては、第1の硬化物と親モールド100との離型性の点から、フッ素系の光硬化性組成物が好ましい。
該光硬化性組成物としては、フッ素原子を有し、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ以上有する化合物(P)と、フッ素原子を有さず、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ以上有する化合物(Q)と、含フッ素界面活性剤(R)と、光重合開始剤(S)とを含み、実質的に溶剤を含まないものが好ましい。
【0045】
化合物(P)としては、フルオロ(メタ)アクリレート類、フルオロジエン類、フルオロビニルエーテル類、フルオロ環状モノマー類等が挙げられ、相溶性の点から、フルオロ(メタ)アクリレート類またはフルオロジエン類が好ましい。
【0046】
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、下記の化合物が挙げられる。
3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル(メタ)アクリレート、
CH=CHCOO(CH(CF10F、
CH=CHCOO(CH(CFF、
CH=CHCOO(CH(CFF、
CH=C(CH)COO(CH(CF10F、
CH=C(CH)COO(CH(CFF、
CH=C(CH)COO(CH(CFF、
CH=CHCOOCH(CFF、
CH=C(CH)COOCH(CFF、
CH=CHCOOCH(CFF、
CH=C(CH)COOCH(CFF、
CH=CHCOOCHCFCFH、
CH=CHCOOCH(CFCFH、
CH=CHCOOCH(CFCFH、
CH=C(CH)COOCH(CFCF)H、
CH=C(CH)COOCH(CFCFH、
CH=C(CH)COOCH(CFCFH、
CH=CHCOOCHCFOCFCFOCF
CH=CHCOOCHCFO(CFCFO)CF
CH=C(CH)COOCHCFOCFCFOCF
CH=C(CH)COOCHCFO(CFCFO)CF
CH=CHCOOCHCF(CF)OCFCF(CF)O(CFF、
CH=CHCOOCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)(CFF、
CH=C(CH)COOCHCF(CF)OCFCF(CF)O(CFF、
CH=C(CH)COOCHCF(CF)O(CFCF(CF)O)(CFF、
CH=CFCOOCHCH(OH)CH(CFCF(CF
CH=CFCOOCHCH(CHOH)CH(CFCF(CF
CH=CFCOOCHCH(OH)CH(CF10F、
CH=CFCOOCHCH(CHOH)CH(CF10F、
CH=CHCOOCHCF(OCFCFOCFCHOCOCH=CH(ただし、nは4〜20の整数を示す。)等。
【0047】
フルオロ(メタ)アクリレート類としては、相溶性および環境特性の点から、下式で表される化合物(P1)が好ましい。
【0048】
【化1】

【0049】
ただし、Rは、水素原子またはメチル基を示し、RおよびRは、それぞれ水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれフッ素原子、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基または炭素数1〜4のパーフルオロアルコキシ基を示し、Rは、水素原子またはフッ素原子示し、mは、1〜4の整数を示し、nは、1〜16の整数を示す。nは、相溶性の点から、1〜10の整数が好ましく、環境特性の点から、3〜6の整数がより好ましい。
【0050】
フルオロジエン類としては、下記の化合物が挙げられる。
CF=CFOCFCF=CF
CF=CFOCFCFCF=CF
CF=CFCFCF=CF
CF=CFCFCH=CH
CF=CFCFC(CF)(OH)CHCH=CH
CF=CFCFC(CF)(OH)CH=CH
CF=CFCHCH(CHC(CFOH)CHCH=CH等。
【0051】
フルオロビニルエーテル類としては、下記の化合物が挙げられる。
CF=CFO(CFF、
CF=CFO(CFCOOCH等。
【0052】
フルオロ環状モノマー類としては、下記の化合物が挙げられる。
【0053】
【化2】

【0054】
化合物(P)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(P)の割合は、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、0.1〜45質量%であり、3〜30質量%が好ましい。化合物(P)の割合が0.1質量%以上であれば、離型性に優れる第1の硬化物を得ることができ、さらに光硬化性組成物の泡立ちが抑えられる。光硬化性組成物の泡立ちを抑制できることから、調製時にろ過がしやすくなり、さらに泡の混入による第1の硬化物の反転パターンの欠陥をなくすことができる。化合物(P)の割合が45質量%以下であれば、均一に混合することができることから機械的強度の優れた第1の硬化物を得ることができる。
【0055】
化合物(Q)は、フッ素原子を有さず、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ有する化合物(Q1)と、フッ素原子を有さず、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を2つ以上有する化合物(Q2)との混合物が好ましい。
【0056】
化合物(Q1)は、他の成分を溶解させる成分であり、かつ化合物(P)と化合物(Q2)との相溶性を向上させる成分である。化合物(P)と化合物(Q2)との相溶性がよければ、光硬化性組成物の調製時の泡立ちが抑えられ、フィルタを通しやすくなる等、光硬化性組成物の調製が容易となり、また、均一な光硬化性組成物が得られる。さらに、均質な硬化物が得られることによって、離型性、機械的強度が充分に発揮できる。
【0057】
化合物(Q1)の25℃における粘度は、0.1〜200mPa・sが好ましい。化合物(Q1)の粘度が該範囲であれば、光硬化性組成物の粘度を低く調整しやすい。
【0058】
化合物(Q1)としては、下記の化合物が挙げられる。
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシピロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、(2−(tertブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化ο−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ο−フェニルフェノールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート等。
【0059】
化合物(Q1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(Q1)の割合は、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、10〜55質量%であり、15〜45質量%が好ましい。化合物(Q1)の割合が10質量%以上であれば、光硬化性組成物の粘度を低く調整でき、かつ化合物(P)と化合物(Q2)との相溶性が良好となる。化合物(Q1)の割合が55質量%以下であれば、感度が良好となり、架橋密度も上がることから、機械強度の優れた第1の硬化物を得ることができる。
【0060】
化合物(Q2)としては、下記の化合物が挙げられる。
ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAグリセロレートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロポキシレートグリセロレートジ(メタ)アクリレート等。)、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、フルオレンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネートジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールグリセロレートジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールグリセロレートジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアリル酸、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジウレタンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(3−メタクリロイロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、芳香族ウレタントリ(メタ)アクリレート、芳香族ウレタンテトラ(メタ)アクリレート、芳香族ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート等。
【0061】
化合物(Q2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(Q2)の割合は、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、15〜60質量%であり、20〜45質量%が好ましい。化合物(Q2)の割合が15質量%以上であれば、機械的強度に優れる第1の硬化物を得ることができる。化合物(Q2)の割合が60質量%以下であれば、第1の硬化物がもろくなることはない。
【0062】
化合物(Q)(化合物(Q1)および化合物(Q2)の合計)の割合は、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、50〜98質量%であり、60〜80質量%が好ましい。
【0063】
含フッ素界面活性剤(R)は、第1の硬化物の離型性を向上させる成分である。
含フッ素界面活性剤(R)としては、フッ素含有量が10〜70質量%の含フッ素界面活性剤が好ましく、フッ素含有量が10〜40質量%の含フッ素界面活性剤がより好ましい。含フッ素界面活性剤は、水溶性であってもよく、脂溶性であってもよい。
【0064】
含フッ素界面活性剤(R)としては、アニオン性含フッ素界面活性剤、カチオン性含フッ素界面活性剤、両性含フッ素界面活性剤、またはノニオン性含フッ素界面活性剤が好ましく、光硬化性組成物における相溶性、および第1の硬化物における分散性の点から、ノニオン性含フッ素界面活性剤がより好ましい。
【0065】
アニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸塩、ポリフルオロアルキル燐酸エステル、またはポリフルオロアルキルスルホン酸塩が好ましい。
アニオン性含フッ素界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−111(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−143(商品名、スリーエム社製)、メガファークF−120(商品名、大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0066】
カチオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルカルボン酸のトリメチルアンモニウム塩、またはポリフルオロアルキルスルホン酸アミドのトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
カチオン性含フッ素界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−121(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−134(商品名、スリーエム社製)、メガファークF−150(商品名、大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0067】
両性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルベタインが好ましい。
両性含フッ素界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−132(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFX−172(商品名、スリーエム社製)、メガファークF−120(商品名、大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0068】
ノニオン性含フッ素界面活性剤としては、ポリフルオロアルキルアミンオキサイド、またはポリフルオロアルキル・アルキレンオキサイド付加物が好ましい。
ノニオン性含フッ素界面活性剤の具体例としては、サーフロンS−145(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンS−393(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−20(商品名、セイミケミカル社製)、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル社製)、フロラードFC−170(商品名、スリーエム社製)、フロラードFC−430(商品名、スリーエム社製)、メガファークF−141(商品名、大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0069】
含フッ素界面活性剤(R)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
含フッ素界面活性剤(R)の割合は、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜1質量%がより好ましい。含フッ素界面活性剤(R)の割合が0.1質量%以上であれば、離型性が向上する。含フッ素界面活性剤(R)の割合が20質量%以下であれば、光硬化性組成物の硬化の阻害が抑えられ、また、第1の硬化物の相分離が抑えられる。
【0070】
光重合開始剤(S)としては、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルパーオキシピバレート等が挙げられ、感度および相溶性の点から、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤またはベンゾフェノン系光重合開始剤が好ましい。
【0071】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、下記の化合物が挙げられる。
アセトフェノン、p−(tert−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
【0072】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、下記の化合物が挙げられる。
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
【0073】
α−アミノケトン系光重合開始剤としては、下記の化合物が挙げられる。
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン等。
【0074】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、下記の化合物が挙げられる。
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
【0075】
光重合開始剤(S)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(S)の割合は、化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、1〜10質量%であり、3〜8質量%が好ましい。光重合開始剤(S)の割合が1質量%以上であれば、加熱等の操作を行うことなく、容易に第1の硬化物を得ることができる。光重合開始剤(S)の割合が10質量%以下であれば、均一に混合することができることから、第1の硬化物に残存する光重合開始剤(S)が少なくなり、第1の硬化物の物性の低下が抑えられる。
【0076】
光硬化性組成物は、さらに、樹脂、オリゴマー、無機化合物等の他の成分を含んでいてもよい。
樹脂としては、含フッ素樹脂、含フッ素オリゴマー、エステル系オリゴマー、ポリメチルメタクリレート挙げられる。
無機化合物としては、チタニア微粒子、シリカ微粒子等が挙げられる。
他の成分の割合は、光硬化性組成物(100質量%)のうち、30質量%以下である。
【0077】
第1の接触ステップ:
親モールド100の上から第1の供給手段17のディスペンサ52を退避させた後、昇降手段15を駆動させて上側円板14を下降させ、下側円板12と上側円板14とを接近させ、親モールド100の表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材104とを接触させる。
この際、親モールド100および転写用基材104をともに回転させて、第1の硬化性樹脂を親モールド100の全面に行き渡らせてもよい。
【0078】
接触の際の圧力としては、0.1KPa〜10MPaが好ましい。圧力が0.1KPa未満では、親モールド100の微細パターンを第1の硬化物に正確に転写できない。圧力が10MPaを超えると、加圧プロセスが長くなってしまい、スループットが遅くなったり、装置に負荷がかかりすぎてしまい装置の平衡を損なったり、親モールド100が破損したりする。
【0079】
第1の硬化ステップ:
親モールド100と転写用基材104との間に存在する第1の硬化性樹脂に、硬化手段19から紫外線を照射し、これを硬化させ、親モールド100の微細パターンが反転した反転パターンを有する第1の硬化物とする。
【0080】
紫外線の波長としては、365nmないしは254nmが好ましい。
紫外線の照射は、大気中で行ってもよく、真空中で行ってもよく、ガス雰囲気(二酸化炭素等。)中で行ってもよい。
【0081】
第1の分離ステップ:
昇降手段15を駆動させて上側円板14を上昇させ、下側円板12と上側円板14とを離間させ、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物と親モールド100とを分離する。このようにして、転写用基材104と第1の硬化物とからなる、表面に反転パターンを有するレプリカモールドを得る。
【0082】
移動ステップ:
回転手段16を駆動させて下側円板12を回転させ、レプリカモールドの反転パターンが形成された表面(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物の表面)と物品本体102の表面とが対向するように、かつ転写用基材104の表面と親モールド100の微細パターンが形成された表面とが対向するように、親モールド100および物品本体102を移動させる。
【0083】
第1・第2の供給ステップ:
親モールド100の微細パターンが形成された表面に、第1の供給手段17から第1の硬化性樹脂を供給し(第1の供給ステップ)、かつ物品本体102の表面に、第2の供給手段18から第2の硬化性樹脂を供給する(第2の供給ステップ)。
【0084】
第2の硬化性樹脂は、得られる物品の種類等に応じて適宜決定すればよい。第2の硬化性樹脂としては、330〜600nmに感度を有する光硬化性樹脂が好ましく、365〜500nmに感度を有する光硬化性樹脂がより好ましい。
【0085】
第1・第2の接触ステップ:
親モールド100および物品本体102の上から各供給手段のディスペンサ52を退避させた後、昇降手段15を駆動させて上側円板14を上昇させ、下側円板12と上側円板14とを接近させ、親モールド100の表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材104とを接触させ(第1の接触ステップ)、かつ同時に、物品本体102の表面の第2の硬化性樹脂とレプリカモールド(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物)とを接触させる(第2の接触ステップ)。
【0086】
この際、親モールド100および転写用基材104をともに回転させて、第1の硬化性樹脂を親モールド100の全面に行き渡らせてもよい。また、物品本体102およびレプリカモールドをともに回転させて、第2の硬化性樹脂をレプリカモールドの全面に行き渡らせてもよい。
【0087】
接触の際の圧力としては、0.1KPa〜10MPaが好ましい。圧力が0.1KPa未満では、親モールド100の微細パターンを第1の硬化物に正確に転写できない。また、レプリカモールドの反転パターンを第2の硬化物に正確に転写できない。圧力が10MPaを超えると、加圧プロセスが長くなってしまい、スループットが遅くなったり、装置に負荷がかかりすぎてしまい装置の平衡を損なったり、親モールド100およびレプリカモールドが破損したりする。
【0088】
第1・第2の硬化ステップ:
親モールド100と転写用基材104との間に存在する第1の硬化性樹脂、および物品本体102とレプリカモールド(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物)との間に存在する第2の硬化性樹脂に硬化手段19から紫外線を照射し、これらを硬化させ、親モールド100の微細パターンが反転した反転パターンを有する第1の硬化物、およびレプリカモールドの反転パターンが反転した微細パターンを有する第2の硬化物とする。
【0089】
紫外線の波長としては、365nmないしは254nmが好ましい。
紫外線の照射は、大気中で行ってもよく、真空中で行ってもよく、ガス雰囲気(二酸化炭素等。)中で行ってもよい。
【0090】
第1・第2の分離ステップ:
昇降手段15を駆動させて上側円板14を上昇させ、下側円板12と上側円板14とを離間させ、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物と親モールド100とを分離し(第1の分離ステップ)、かつ同時に、物品本体102の表面に付着した第2の硬化物とレプリカモールド(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物)とを分離する(第2の分離ステップ)。このようにして、転写用基材104と第1の硬化物とからなる、表面に反転パターンを有するレプリカモールド、および物品本体102と第2の硬化物とからなる、表面に微細パターンを有する物品を同時に得る。
【0091】
入替ステップ:
第1の搬送装置43によって物品(第2の硬化物が表面に付着した物品本体102)を下側円板12から取り出した後、第1の搬送装置43によって物品本体102を下側円板12に供給し、真空吸着チャック11に保持させ、かつ第2の搬送装置44によってレプリカモールド(第1の硬化物が表面に付着した転写用基材104)を上側円板14から取り出した後、第2の搬送装置44によって転写用基材104を上側円板14に供給し、真空吸着チャック13に保持させる。
【0092】
親モールド100は、位置合わせがずれた場合や破損した場合以外には、特に取り出す必要はない。
レプリカモールドは、通常、一回で使い捨てにする。レプリカモールドを数回使いまわす時には、入替ステップにてレプリカモールドを取り出すことなく、第2の供給ステップ、第2の接触ステップ、第2の硬化ステップ、第2の分離ステップ、物品と物品本体との入替ステップを繰り返せばよい。
【0093】
以上説明した第1の実施形態の製造装置および製造方法にあっては、親モールド100の表面に形成された微細パターンを転写用基材104の表面に転写して反転パターンを形成する際に、親モールド100の微細パターンが形成された表面に供給された第1の硬化性樹脂を用いているため、従来のようにUV硬化プレポリマーの表面を有する可塑性ポリマーフォイルを用いた場合に比べ、下記の利点がある。
【0094】
(i)第1の硬化性樹脂は、可塑性ポリマーフォイルの表面のUV硬化プレポリマーにくらべ、低粘度であるため、親モールド100の微細パターンを転写用基材104に転写する際の転写精度が高い。
(ii)また、第1の硬化性樹脂は、可塑性ポリマーフォイルの表面のUV硬化プレポリマーにくらべ、低粘度であるため、転写の際の圧力を低くでき、装置や親モールド100に負担がかからず、親モールドの破損が抑えられる。
(iii)親モールド100の微細パターンが形成された表面に第1の硬化性樹脂を供給しているため、転写に用いられない無駄な第1の硬化性樹脂が存在しない。
【0095】
また、以上説明した第1の実施形態の製造装置および製造方法にあっては、反転パターンを有するレプリカモールドと微細パターンを有する物品とを同時に製造できるため、生産性を高めることができる。また、1つの昇降手段15のみで、レプリカモールドと物品とを製造できるため、装置の簡略化が図れる。また、親モールド100のすぐ隣に物品本体102が保持されているため、レプリカモールドの移動距離が短くなり、生産性が向上する。
【0096】
なお、第1の実施形態の製造装置および製造方法においては、下側円板12に転写用基材104を保持し、上側円板14に親モールド100および物品本体102を保持し、転写用基材104の表面に第1の硬化性樹脂を供給し、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に第2の硬化性樹脂を供給するようにしてもよい。ただし、下記の理由から、下側円板12に親モールド100および物品本体102を保持し、上側円板14に転写用基材104を保持し、親モールド100の微細パターンが形成された表面に第1の硬化性樹脂を供給し、物品本体102の表面に第2の硬化性樹脂を供給する方が好ましい。
【0097】
(i)微細パターンを有する物品が最終的に下側円板12の表面に形成されるほうが取り扱い性がよい。
(ii)上側円板14に親モールド100および物品本体102を保持した場合、親モールド100および物品本体102の材料が、透明材料に限定されてしまう。
(iii)親モールド100および物品本体102の材料として不透明材料を用いる場合、硬化手段19を下側円板12の下面に設け、下側円板12を透明材料で形成する必要がある。
【0098】
また、第1の実施形態の製造装置および製造方法においては、親モールド100、物品本体102および転写用基材104を、下側円板12および上側円板14に保持する手段としては、真空吸着チャックに限定されず、静電吸着チャック、粘着テープ、機械的保持手段等であってもよい。
また、硬化性樹脂の供給手段としては、ディスペンサに限定はされず、インクジェット、スピンコータ、ダイコータ等であってもよい。
また、硬化手段19は、親モールド100および下側円板12が透明材料からなる場合、下側円板12の下面に設置してもよい。
【0099】
また、図2〜図4に示すように、下側円板12を昇降手段15によって昇降させ、かつ上側円板14を回転手段16によって回転させるようにしてもよい。
なお、図2〜図4に示す製造装置において、図1〜図3に示す製造装置と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0100】
〔第2の実施形態〕
(微細パターンを有する物品の製造装置)
図7および図8は、本発明の微細パターンを有する物品の製造装置の第2の実施形態を示す図である。該製造装置は、親モールド100の表面に形成された微細パターンを物品本体102の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって;帯状の転写用基材104を一定方向に移動させるローラ群(第1の移動手段)と;4個の親モールド100を保持し2個の親モールド設置板61(第1の保持手段)と;各親モールド設置板61の両側に設けられ、各親モールド設置板61を、転写用基材104の下方にて転写用基材104と交差するように、リニアガイド62に沿って往復移動させるリニア駆動装置63(第2の移動手段)と;リニアガイド62の両端にて、親モールド100の微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1のディスペンサ64(第1の供給手段)と;ローラ群によって移動する転写用基材104とリニア駆動装置63によって移動する親モールド設置板61とが交差する第1の交差点65にて、親モールド設置板61を昇降させる第1の昇降手段66(第1の接触・分離手段)と;第1の交差点65の転写用基材104の上方に配置された第1の硬化手段67と;4個の物品本体102を保持する複数の物品本体設置板68(第2の保持手段)と;各物品本体設置板68の両側に設けられ、各物品本体設置板68を、第1の交差点65よりも下流側の転写用基材104の下方にて転写用基材104と交差するように、リニアガイド69に沿って一定方向に移動させるリニア駆動装置70(第3の移動手段)と;ローラ群によって移動する転写用基材104とリニア駆動装置70によって移動する物品本体設置板68とが交差する第2の交差点72よりも上流側にて、物品本体102の表面に第2の硬化性樹脂を供給する第2のディスペンサ71(第2の供給手段)と;第2の交差点72にて、物品本体設置板68を昇降させる第2の昇降手段73(第2の接触・分離手段)と;第2の交差点72の転写用基材104の上方に配置された第2の硬化手段74と;第1の交差点65の転写用基材104の上方に、第1の硬化手段67を囲うように設けられた圧縮空気供給管75と;圧縮空気供給管75の終端に接続され、圧縮空気供給管75に圧縮空気を送るエアコンプレッサ76と;第2の交差点72の転写用基材104の上方に、第2の硬化手段74を囲うように設けられた圧縮空気供給管77と;圧縮空気供給管77の終端に接続され、圧縮空気供給管77に圧縮空気を送るエアコンプレッサ76と;リニアガイド62を支持する架台78と;リニアガイド69を支持する架台79と;途中にポンプ80および該ポンプ80の前後に位置する制御装置81、82が設けられた供給管83を介して第1のディスペンサ64に接続する第1の硬化性樹脂タンク84と;途中にポンプ85および該ポンプ85の前後に位置する制御装置86、87が設けられた供給管88を介して第2のディスペンサ71に接続する第2の硬化性樹脂タンク89と;配線90を介して各硬化手段に接続する電源(図示略)とを有する。
【0101】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。また、第1の実施形態と同じ材料についても、説明を省略する。
【0102】
ローラ群は、転写基材巻出ローラ91と、転写基材巻取ローラ92と、転写基材巻出ローラ91と転写基材巻取ローラ92との間に配置された複数のガイドローラ93とから構成される。
【0103】
ローラ群およびリニア駆動装置63は、それぞれを駆動させることによって、第1の交差点65において転写用基材104の表面と親モールド100の表面とが対向するように、転写用基材104および親モールド100を移動させる手段であり、かつ親モールド100の微細パターンを転写用基材104に転写した後に、転写用基材104および親モールド100を第1の交差点65からそれぞれ第2の交差点72および第1のディスペンサ64へ移動させる手段である。
【0104】
ローラ群およびリニア駆動装置70は、それぞれを駆動させることによって、第2の交差点72において転写用基材104の表面に付着した反転パターンが形成された第1の硬化物の表面と物品本体102の表面とが対向するように、転写用基材104および物品本体102を移動させる手段であり、かつ転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンを物品本体102に転写した後に、転写用基材104および物品本体102(物品)を第2の交差点からそれぞれ転写基材巻取ローラ92および物品搬出口(図示略)側へ移動させる手段である。
【0105】
第1の昇降手段66は、親モールド設置板61を上昇させることによって、親モールド100の表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材104とを接触させる手段(第1の接触手段)であり、かつ親モールド設置板61を下降させることによって、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物と親モールド100とを分離する手段(第1の分離手段)である。
第1の昇降手段66は、親モールド設置板61の下面に当接する昇降棒94と、昇降棒94を垂直方向に移動させる駆動装置95とから構成される。
【0106】
第2の昇降手段73は、物品本体設置板68を上昇させることによって、物品本体102の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させる手段(第2の接触手段)であり、かつ物品本体設置板68を下降させることによって、物品本体102の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物とを分離する手段(第2の分離手段)である。
第2の昇降手段73は、物品本体設置板68の下面に当接する昇降棒94と、昇降棒94を垂直方向に移動させる駆動装置95とから構成される。
【0107】
第1の硬化手段67は、親モールド100と転写用基材104との間に存在する第1の硬化性樹脂に紫外線を照射し、これを硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とするUV光源である。
第2の硬化手段74は、物品本体102と転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂に紫外線を照射し、これを硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とするUV光源である。
【0108】
圧縮空気供給管75の転写用基材104側は、開口部が親モールド設置板61と同じ大きさとなるように開口部に向かって次第に拡径しており、開口部の周縁には上側シール部材96が設けられている。
また、親モールド設置板61の周縁にも下側シール部材97が設けられており、第1の昇降手段66によって親モールド設置板61が上昇した際には、上側シール部材96と下側シール部材97とで転写用基材104を挟持できるようにされている。
【0109】
圧縮空気供給管77の転写用基材104側は、開口部が物品本体設置板68と同じ大きさとなるように開口部に向かって次第に拡径しており、開口部の周縁には上側シール部材96が設けられている。
また、物品本体設置板68の周縁にも下側シール部材97が設けられており、第2の昇降手段73によって物品本体設置板68が上昇した際には、上側シール部材96と下側シール部材97とで転写用基材104を挟持できるようにされている。
【0110】
2個の親モールド設置板61は、連結具98で連結されている。
複数の物品本体設置板68は、連結具99で連結されている。
【0111】
(微細パターンを有する物品の製造方法)
つぎに、第2の実施形態の製造装置を用いた微細パターンを有する物品の製造方法について説明する。
微細パターンを有する物品は、後述する、準備ステップ、第1の供給ステップ、第1の移動ステップ、第1の接触ステップ、第1の硬化ステップ、第1の分離ステップ、第1・第2の供給ステップ、第1・第2の移動ステップ、第1・第2の接触ステップ、第1・第2の硬化ステップ、第1・第2の分離ステップを順に経て製造される。第1・第2の分離ステップ以降は、第1・第2の供給ステップ、第1・第2の移動ステップ、第1・第2の接触ステップ、第1・第2の硬化ステップ、第1・第2の分離ステップを繰り返し行う。
【0112】
準備ステップ:
あらかじめ、親モールド100を親モールド設置板61に保持させる。
また、物品の製造中は常に、搬送装置(図示略)によって物品本体102を物品本体設置板68に供給し、保持させる。
この際、アライメントを調整してもよい。アライメントを調整する方法としては、第1の実施の形態にて例示した方法と同様の方法が挙げられる。
物品の製造中、親モールド100は、位置合わせがずれた場合や破損した場合以外には、特に取り外す必要はない。
【0113】
第1の供給ステップ:
親モールド100の微細パターンが形成された表面に、第1のディスペンサ64から第1の硬化性樹脂を供給する。
【0114】
第1の移動ステップ:
リニア駆動装置63を駆動させることによって、第1の交差点65において転写用基材104の表面と第1の硬化性樹脂が塗布された親モールド100の表面とが対向するように、親モールド設置板61を移動させ、同時に、第1の交差点65において転写用基材104と対向していた親モールド100を保持する他方の親モールド設置板61を、第1の交差点65から第1のディスペンサ64へ移動させる。
【0115】
第1の接触ステップ:
第1の昇降手段66を駆動させて親モールド設置板61を上昇させ、圧縮空気供給管75の上側シール部材96と親モールド設置板61の下側シール部材97とで転写用基材104を挟持した後、圧縮空気供給管75に圧縮空気を供給して、親モールド100の表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材104とを接触させる。
【0116】
接触の際の圧力としては、0.1KPa〜10MPaが好ましい。圧力が0.1KPa未満では、親モールド100の微細パターンを第1の硬化物に正確に転写できない。圧力が10MPaを超えると、加圧プロセスが長くなってしまい、スループットが遅くなったり、装置に負荷がかかりすぎてしまい装置の平衡を損なったり、親モールド100が破損したりする。
【0117】
第1の硬化ステップ:
親モールド100と転写用基材104との間に存在する第1の硬化性樹脂に、第1の硬化手段67から紫外線を照射し、これを硬化させ、親モールド100の微細パターンが反転した反転パターンを有する第1の硬化物とする。
【0118】
紫外線の波長としては、365nmないしは254nmが好ましい。
紫外線の照射は、大気中で行ってもよく、真空中で行ってもよく、ガス雰囲気(二酸化炭素等。)中で行ってもよい。
【0119】
第1の分離ステップ:
圧縮空気供給管75への圧縮空気の供給を停止した後、第1の昇降手段66を駆動させて親モールド設置板61を下降させて、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物と親モールド100とを分離する。このようにして、転写用基材104と第1の硬化物とからなる、表面に反転パターンを有するレプリカモールドを得る。
【0120】
第1・第2の供給ステップ:
待機中の親モールド設置板61に保持された親モールド100の微細パターンが形成された表面に、第1のディスペンサ64から第1の硬化性樹脂を供給し(第1の供給ステップ)、かつ第2の交差点72よりも上流側にて、物品本体設置板68に保持された物品本体102の表面に、第2のディスペンサ71から第2の硬化性樹脂を供給する(第2の供給ステップ)。
【0121】
第1・第2の移動ステップ:
ローラ群およびリニア駆動装置63を駆動させることによって、第1の交差点65において転写用基材104の表面と第1の硬化性樹脂が塗布された親モールド100の表面とが対向するように、転写用基材104および親モールド設置板61を移動させ、同時に、第1の交差点65において得られたレプリカモールド(転写用基材104)および該レプリカモールドと対向していた親モールド100を保持する他方の親モールド設置板61を、第1の交差点65からそれぞれ第2の交差点72および第1のディスペンサ64へ移動させる(第1の移動ステップ)。
【0122】
また同時に、ローラ群およびリニア駆動装置70を駆動させることによって、第2の交差点72においてレプリカモールドの反転パターンが形成された表面(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物の表面)と第2の硬化性樹脂が塗布された物品本体102の表面とが対向するように、レプリカモールド(転写用基材104)および物品本体設置板68を移動させ、同時に、レプリカモールドの反転パターン(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物の反転パターン)を物品本体102に転写した後に、レプリカモールド(転写用基材104)および物品本体設置板68を第2の交差点からそれぞれ転写基材巻取ローラ92および物品搬出口(図示略)側へ移動させる(第2の移動ステップ)。
【0123】
第1・第2の接触ステップ:
第1の昇降手段66を駆動させて親モールド設置板61を上昇させ、圧縮空気供給管75の上側シール部材96と親モールド設置板61の下側シール部材97とで転写用基材104を挟持した後、圧縮空気供給管75に圧縮空気を供給して、親モールド100の表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材104とを接触させる(第1の接触ステップ)。
【0124】
また同時に、第2の昇降手段73を駆動させて物品本体設置板68を上昇させ、圧縮空気供給管77の上側シール部材96と物品本体設置板68の下側シール部材97とでレプリカモールド(転写用基材104)を挟持した後、圧縮空気供給管77に圧縮空気を供給して、物品本体102の表面の第2の硬化性樹脂とレプリカモールド(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物)とを接触させる(第2の接触ステップ)。
【0125】
接触の際の圧力としては、0.1KPa〜10MPaが好ましい。圧力が0.1KPa未満では、親モールド100の微細パターンを第1の硬化物に正確に転写できない。また、レプリカモールドの反転パターンを第2の硬化物に正確に転写できない。圧力が10MPaを超えると、加圧プロセスが長くなってしまい、スループットが遅くなったり、装置に負荷がかかりすぎてしまい装置の平衡を損なったり、親モールド100およびレプリカモールドが破損したりする。
【0126】
第1・第2の硬化ステップ:
親モールド100と転写用基材104との間に存在する第1の硬化性樹脂に、第1の硬化手段67から紫外線を照射し、これを硬化させ、親モールド100の微細パターンが反転した反転パターンを有する第1の硬化物とする(第1の硬化ステップ)。
【0127】
また同時に、物品本体102とレプリカモールド(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物)との間に存在する第2の硬化性樹脂に第2の硬化手段74から紫外線を照射し、これらを硬化させ、レプリカモールドの反転パターンが反転した微細パターンを有する第2の硬化物とする(第2の硬化ステップ)。
【0128】
紫外線の波長としては、365nmないしは254nmが好ましい。
紫外線の照射は、大気中で行ってもよく、真空中で行ってもよく、ガス雰囲気(二酸化炭素等。)中で行ってもよい。
【0129】
第1・第2の分離ステップ:
圧縮空気供給管75への圧縮空気の供給を停止した後、第1の昇降手段66を駆動させて親モールド設置板61を下降させて、転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物と親モールド100とを分離する。このようにして、転写用基材104と第1の硬化物とからなる、表面に反転パターンを有するレプリカモールドを得る(第1の分離ステップ)。
【0130】
また同時に、圧縮空気供給管77への圧縮空気の供給を停止した後、第2の昇降手段73を駆動させて物品本体設置板68を下降させて、物品本体102の表面に付着した第2の硬化物とレプリカモールド(転写用基材104の表面に付着した第1の硬化物)とを分離する。このようにして、物品本体102と第2の硬化物とからなる、表面に微細パターンを有する物品を得る(第2の分離ステップ)。
【0131】
以上説明した第2の実施形態の製造装置および製造方法にあっては、親モールド100の表面に形成された微細パターンを転写用基材104の表面に転写して反転パターンを形成する際に、親モールド100の微細パターンが形成された表面に供給された第1の硬化性樹脂を用いているため、従来のようにUV硬化プレポリマーの表面を有する可塑性ポリマーフォイルを用いた場合に比べ、下記の利点がある。
【0132】
(i)第1の硬化性樹脂は、可塑性ポリマーフォイルの表面のUV硬化プレポリマーにくらべ、低粘度であるため、親モールド100の微細パターンを転写用基材104に転写する際の転写精度が高い。
(ii)また、第1の硬化性樹脂は、可塑性ポリマーフォイルの表面のUV硬化プレポリマーにくらべ、低粘度であるため、転写の際の圧力を低くでき、装置や親モールド100に負担がかからず、親モールドの破損が抑えられる。
(iii)親モールド100の微細パターンが形成された表面に第1の硬化性樹脂を供給しているため、転写に用いられない無駄な第1の硬化性樹脂が存在しない。
【0133】
また、以上説明した第2の実施形態の製造装置および製造方法にあっては、反転パターンを有するレプリカモールドと微細パターンを有する物品とを同時に製造できるため、生産性を高めることができる。
【0134】
なお、第2の実施形態の製造装置および製造方法において、親モールド100、物品本体102および転写用基材104を各設置板に保持する手段としては、真空吸着チャック、静電吸着チャック、粘着テープ、機械的保持手段等が挙げられる。
また、硬化性樹脂の供給手段としては、ディスペンサに限定はされず、インクジェット、スピンコータ、ダイコータ等であってもよい。
【実施例】
【0135】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
例1、2は実施例であり、例3は比較例である。
【0136】
フッ素系の光硬化性組成物の調製:
バイヤル容器(内容積1L)に、ノニオン性含フッ素界面活性剤(セイミケミカル社製、商品名:サーフロンS−393)の10g、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート(出光興産社製)の350g、テトラエチレングリコールジメタクリレート(東京化成社製)の350g、CH=C(CH)COO(CH(CFF(アルドリッチ社製)の240gを加え、つぎに光重合開始剤(チバ・ガイギー・スペシャリティー社製、商品名:イルガキュア651)の50gを加え、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)製のフィルタにてろ過して、フッ素系の光硬化性組成物を得た。
【0137】
非フッ素系の光硬化性組成物の調製:
バイヤル容器(内容積1L)に、トリメチロールプロパントリアクリレート(東京化成社製)の350g、ジエチレングリコールジメタクリレート(東京化成社製)の350g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製)の100g、イソボルニルアクリレート(アルドリッチ社製)の50g、1−ビニル−2−ピロリドン(東京化成社製)の100gを加え、つぎに光重合開始剤(チバ・ガイギー・スペシャリティー社製、商品名:イルガキュア651)の50gを加え、0.2μmのPTFE製のフィルタにてろ過して、非フッ素系の光硬化性組成物を得た。
【0138】
〔例1〕
親モールド100として、幅:100nm、高さ:100nmの複数の凸状が、間隔:100nmで形成されたライン・アンド・スペースからなる微細パターンを有する、2cm×2cmのニッケル製のモールドを用意する。
転写用基材104として、二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡社製、商品名:コスモシャインA4100、厚さ:188μm)を2.3cm×2.3cmの大きさにカットしたものを用意する。
物品本体102として、シリコンウェハを2cm×2cm角にカットしたものを用意する。
第1の硬化性樹脂として、前記フッ素系の光硬化性組成物を用意する。
第2の硬化性樹脂として、前記非フッ素系の光硬化性組成物を用意する。
【0139】
図1〜図3に示す第1の実施形態の製造装置を用いて、微細パターンを有する物品を製造する。その結果、1時間に80個の微細パターンを有する物品を得る。
【0140】
〔例2〕
図7〜図8に示す第2の実施形態の製造装置を用いる以外は、例1と同様にして、微細パターンを有する物品を製造する。その結果、1時間に80個の微細パターンを有する物品を得る。
【0141】
〔例3〕
親モールドとして、例1のニッケル製のモールドの表面を、離型剤(アルドリッチ社製、トリクロロ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シラン)にて処理したものを用意する。
物品本体として、シリコンウェハを2cm×2cm角にカットしたものを用意する。
硬化性樹脂として、前記非フッ素系の光硬化性組成物を用意する。
【0142】
市販の製造装置(明昌機工社製、商品名:NM−0401)を用いて以下の手順で微細パターンを有する物品を製造する。
(i)親モールドの微細パターンが形成された表面に、硬化性樹脂を供給する。
(ii)親モールドの表面の硬化性樹脂と物品本体とを接触させる。
(iii)親モールドと物品本体との間に存在する硬化性樹脂に紫外線を照射し、これを硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする。
(iv)物品本体の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離し、微細パターンを有する物品を得る。
その結果、一時間に12個の微細パターンを有する物品を得る。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明の製造方法および製造方法で得られる、微細パターンを有する物品は、光学素子(マイクロレンズアレイ、光導波路、波長フィルタ、偏光板、光スイッチング、フレネルゾーンプレート、バイナリー光学素子、ブレーズ光学素子、フォトニクス結晶等。)、反射防止フィルタ、バイオチップ、マイクロリアクターチップ、記録メディア、ディスプレイ部材(リブ等。)、触媒の担持体、ろ過フィルタ、センサ部材、超撥水材料、エネルギー関連部材(燃料電池、三次元電池、キャパシタ、ペルチェ素子、太陽電池等。)、MEMS、半導体素子等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の微細パターンを有する物品の製造装置の第1の実施形態の一例を示す正面図である。
【図2】図1の製造装置の下半分の上面図である。
【図3】図1の製造装置の上半分の下面図である。
【図4】本発明の微細パターンを有する物品の製造装置の第1の実施形態の他の例を示す正面図である。
【図5】図4の製造装置の下半分の上面図である。
【図6】図4の製造装置の上半分の下面図である。
【図7】本発明の微細パターンを有する物品の製造装置の第2の実施形態の一例を示す正面図である。
【図8】図7の製造装置の下半分の上面図である。
【符号の説明】
【0145】
12 下側円板
14 上側円板
15 昇降手段
16 回転手段
17 第1の供給手段
18 第2の供給手段
19 硬化手段(第1の硬化手段および第2の硬化手段)
61 親モールド設置板(第1の保持手段)
63 リニア駆動装置(第2の移動手段)
64 第1のディスペンサ(第1の供給手段)
65 第1の交差点
66 第1の昇降手段(第1の接触・分離手段)
67 第1の硬化手段
68 物品本体設置板(第2の保持手段)
70 リニア駆動装置(第3の移動手段)
71 第2のディスペンサ(第2の供給手段)
72 第2の交差点
73 第2の昇降手段(第2の接触・分離手段)
74 第2の硬化手段
91 転写基材巻出ローラ(第1の移動手段)
92 転写基材巻取ローラ(第1の移動手段)
93 ガイドローラ(第1の移動手段)
100 親モールド
102 物品本体
104 転写用基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段と、
親モールドの表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材とを接触させる第1の接触手段と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離手段と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動手段と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段と、
物品本体の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させる第2の接触手段と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段と、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離手段と
を有する、微細パターンを有する物品の製造装置。
【請求項2】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
転写用基材の表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段と、
転写用基材の表面の第1の硬化性樹脂と親モールドの微細パターンが形成された表面とを接触させる第1の接触手段と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離手段と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動手段と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段と、
第1の硬化物の表面の第2の硬化性樹脂と物品本体とを接触させる第2の接触手段と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段と、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離手段と
を有する、微細パターンを有する物品の製造装置。
【請求項3】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する方法であって、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給ステップと、
親モールドの表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材とを接触させる第1の接触ステップと、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化ステップと、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離ステップと、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動ステップと、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給ステップと、
物品本体の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させる第2の接触ステップと、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化ステップと、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離ステップと
を有する、微細パターンを有する物品の製造方法。
【請求項4】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する方法であって、
転写用基材の表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給ステップと、
転写用基材の表面の第1の硬化性樹脂と親モールドの微細パターンが形成された表面とを接触させる第1の接触ステップと、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化ステップと、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の分離ステップと、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面と物品本体の表面とが対向するように、転写用基材と物品本体とを相対的に移動させる移動ステップと、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給ステップと、
第1の硬化物の表面の第2の硬化性樹脂と物品本体とを接触させる第2の接触ステップと、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化ステップと、
物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の分離ステップと
を有する、微細パターンを有する物品の製造方法。
【請求項5】
前記第1の硬化性樹脂が、フッ素原子を有し、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ以上有する化合物(P)と、フッ素原子を有さず、かつ炭素−炭素不飽和二重結合を1つ以上有する化合物(Q)と、含フッ素界面活性剤(R)と、光重合開始剤(S)とを含み、実質的に溶剤を含まず、
化合物(P)、化合物(Q)、含フッ素界面活性剤(R)および光重合開始剤(S)の合計(100質量%)のうち、化合物(P)が0.1〜45質量%であり、化合物(Q)が50〜98質量%であり、含フッ素界面活性剤(R)が0.1〜20質量%であり、光重合開始剤(S)が1〜10質量%である光硬化性組成物である、請求項3または4に記載の微細パターンを有する物品の製造方法。
【請求項6】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
円板の上面の同心円上の円周2n等分(ただし、nは1以上の整数である。)の位置にn個の親モールドおよびn個の物品本体を交互に保持する下側円板と、
円板の中心を通りかつ円板の表面に直交する中心軸が一致するように下側円板と同軸的に配置され、円板の下面の同心円上の円周2n等分の位置に2n個の転写用基材を保持する上側円板と、
下側円板と上側円板とが接近または離間するように、下側円板および/または上側円板を垂直方向に移動させる昇降手段と、
下側円板の上面の親モールドまたは物品本体と上側円板の下面の転写用基材とが対向するように、下側円板および/または上側円板を、中心軸を中心に回転させる回転手段と、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段と
を有する、微細パターンを有する物品の製造装置。
【請求項7】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
円板の上面の同心円上の円周2n等分(ただし、nは1以上の整数である。)の位置に2n個の転写用基材を保持する下側円板と、
円板の中心を通りかつ円板の表面に直交する中心軸が一致するように下側円板と同軸的に配置され、円板の下面の同心円上の円周2n等分の位置にn個の親モールドおよびn個の物品本体を交互に保持する上側円板と、
下側円板と上側円板とが接近または離間するように、下側円板および/または上側円板を垂直方向に移動させる昇降手段と、
下側円板の上面の転写用基材と上側円板の下面の親モールドまたは物品本体とが対向するように、下側円板および/または上側円板を、中心軸を中心に回転させる回転手段と、
転写用基材の表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段と、
転写用基材の表面に付着した第1の硬化物の反転パターンが形成された表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段と
を有する、微細パターンを有する物品の製造装置。
【請求項8】
親モールドの表面に形成された微細パターンを物品本体の表面に転写して、微細パターンを有する物品を製造する装置であって、
帯状の転写用基材を一定方向に移動させる第1の移動手段と、
親モールドを保持する第1の保持手段と、
第1の保持手段を、転写用基材の下方にて転写用基材と交差するように移動させる第2の移動手段と、
親モールドの微細パターンが形成された表面に、第1の硬化性樹脂を供給する第1の供給手段と、
第1の移動手段によって移動する転写用基材と第2の移動手段によって移動する第1の保持手段とが交差する第1の交差点にて、親モールドの表面の第1の硬化性樹脂と転写用基材とを接触させ、かつ転写用基材の表面に付着した第1の硬化物と親モールドとを分離する第1の接触・分離手段と、
親モールドと転写用基材との間に存在する第1の硬化性樹脂を硬化させ、反転パターンを有する第1の硬化物とする第1の硬化手段と、
物品本体を保持する第2の保持手段と、
第2の保持手段を、第1の交差点よりも下流側の転写用基材の下方にて転写用基材と交差するように移動させる第3の移動手段と、
物品本体の表面に、第2の硬化性樹脂を供給する第2の供給手段と、
第1の移動手段によって移動する転写用基材と第3の移動手段によって移動する第2の保持手段とが交差する第2の交差点にて、物品本体の表面の第2の硬化性樹脂と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを接触させ、かつ物品本体の表面に付着した第2の硬化物と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物とを分離する第2の接触・分離手段と、
物品本体と転写用基材の表面に付着した第1の硬化物との間に存在する第2の硬化性樹脂を硬化させ、微細パターンを有する第2の硬化物とする第2の硬化手段と、
を有する、微細パターンを有する物品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−214323(P2009−214323A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57795(P2008−57795)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】