説明

情報処理装置、及びプログラム

【課題】検索対象の属性の時間変化を用いて検索順位を設定する。
【解決手段】地点情報データファイル58は、検索対象である地点情報を格納したファイルである。一方、今回属性データファイル37と、前回属性データファイル38は、何れも各地点情報の属性を記憶した属性データファイルである。サーバは、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38を比較する。そして、その変化量から各地点情報ごとの変化度を所定の式により計算し、地点情報データファイル58に記憶されている変化度を更新する。ナビゲーション装置は、地点情報を検索する際に、検索された地点情報の変化度を確認し、変化度が大きいものほど検索順位が上位になるように、検索順位を設定して地点情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びプログラムに関し、例えば、ナビゲーション装置の検索対象の検索順位を設定するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置によって車両を誘導することが盛んに行われている。
ナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路を探索する機能、GPS(Global Positioning System)衛星やジャイロなどのセンサを用いて自車両の位置を検出する機能、及び目的地までの経路と自車両の現在位置を地図上に表示する機能などを備えている。
【0003】
そして、ナビゲーション装置は、地図を用いて経路案内するために、例えば、施設名、施設の位置といった地理的な情報を地点情報として記憶している。
これら地点情報は、ユーザが施設などを検索する際に用いられ、例えば、施設名称、ジャンル、住所、電話番号などから検索することができる。
そして、検索した地点情報の検索順位の優劣(リスト順)は、名称の50音順やジャンル順のほか、距離順、ルート沿い順など、現在の地点の状態に関するものがある。
【0004】
例えば、50音順に検索順位を設定するナビゲーション装置として、次の特許文献1の「ナビゲーション装置及びこの装置に用いられる記憶媒体」がある。
この技術は、名称を所定の基準で絞り込み、絞り込まれた名称を上位に表示し、絞り込みに漏れた名称を下位に表示することにより、ユーザが結果を特定しやすくするものである。
【特許文献1】特開2002−310712公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般にユーザが行きたい場所は、例えば、施設が新しくなったなど、変化のあった場所が多いが、変化があった場所の検索順位を上位に設定するためのデータ整備が成されていなかった。
そのため、ユーザは、例えば、雑誌などのマスメディアや口コミなど別の情報源を元に自分で行きたい場所を調べる必要があった。この必要性は、ナビゲーション装置における検索等だけでなく、自宅のパーソナルコンピュータや、携帯電話塔の携帯情報機器においても同様である。
【0006】
そこで、本発明は、検索対象の属性の時間変化を用いて検索順位を設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、検索対象を記憶する検索対象記憶手段と、前回作成した前回属性と、今回作成した今回属性と、を検索対象ごとに取得する属性取得手段と、前記取得した前回属性と、今回属性との変化の有無を検索対象ごとに確認する変化確認手段と、前記変化確認手段で確認した変化の有無を用いて前記記憶した検索対象の検索順位を設定する順位設定手段と、を具備したことを特徴とする情報処理装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記属性は、数量化可能な項目で構成されており、前記変化確認手段は、変化の程度によって変化の有無を確認し、前記順位設定手段は、前記確認した変化の程度に応じて検索順位を設定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記属性は、複数の項目から構成されており、前記変化確認手段は、当該複数の項目を統合して1の指標にて変化の程度を取得することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、検索対象を記憶する検索対象記憶手段を備えたコンピュータで、前回作成した前回属性と、今回作成した今回属性と、を検索対象ごとに取得する属性取得手段と、前記取得した前回属性と、今回属性との変化の有無を検索対象ごとに確認する変化確認手段と、前記変化確認手段で確認した変化の有無を用いて前記記憶した検索対象の検索順位を設定する順位設定手段と、を実現するプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検索対象の属性の変化を用いて検索順位を設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)実施の形態の概要
図1は、本実施の形態の概要を説明するための図である。
地点情報データファイル58は、検索対象である地点情報を格納したファイルである。
一方、今回属性データファイル37と、前回属性データファイル38は、何れも各地点情報の属性を記憶した属性データファイルであって、今回属性データファイル37は、今回作成されたものであり、前回属性データファイル38は前回作成されたものである。
これら属性データファイルには、各地点情報に対応して、当該地点の施設に設置された電話台数、敷地面積、建物形状、施設に入居しているテナント数など、当該地点に関する属性が記憶されている。
【0010】
本実施の形態のサーバ(実施の形態によってはナビゲーション装置の場合もある)は、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38を比較する。
そして、その変化量から各地点情報ごとの変化度を所定の式により計算し、地点情報データファイル58に記憶されている変化度を更新する。
ナビゲーション装置は、地点情報を検索する際に、検索された地点情報の変化度を確認し、変化度が大きいものほど検索順位が上位になるように、検索順位を設定して地点情報を出力する。
【0011】
このようにして、ナビゲーション装置は、前回に属性データを作成してから今回に属性データを作成するまでの間に、時間的変化が大きかった地点情報を検索リストの上位にリストアップすることができる。
【0012】
(2)実施の形態の詳細
まず、図2の各図を用いて、システムの構成例について説明する。
図示しないが、何れの図でも、サーバ2は、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38を備えている。
【0013】
図2(a)では、サーバ2は、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38を用いて地点情報データファイル58の変化度を更新処理し、これを記憶媒体3に格納してナビゲーション装置1に提供する。
ナビゲーション装置1は、記憶媒体3から更新済みの地点情報データファイル58を読み込んで自己の記憶装置に記憶する。
【0014】
ナビゲーション装置1は、このようにして変化度が更新された地点情報データファイル58を用いて地点情報を検索することができる。
なお、記憶媒体3ではなく、インターネットや携帯電話網などのネットワークを介して、サーバ2からナビゲーション装置1に地点情報を送信するように構成することもできる。
【0015】
図2(b)では、サーバ2は、各地点情報の変化度を計算して、これをナビゲーション装置1にネットワーク経由で送信する。
ナビゲーション装置1は、サーバ2から変化度を受信し、これを用いて地点情報データファイル58の変化度を更新処理する。
サーバ2から送信されてくる変化度には、各地点情報の地点IDが付随しており、ナビゲーション装置1は、これによって、地点情報データファイル58に記憶している地点情報と、サーバ2から送信されてきた変化度の対応を図ることができる。
ナビゲーション装置1は、このようにして変化度が更新された地点情報データファイル58を用いて地点情報を検索することができる。
【0016】
図2(c)では、ナビゲーション装置1がネットワーク経由でサーバ2に検索依頼し、サーバ2は、更新済みの地点情報データファイル58を用いて検索し、ナビゲーション装置1に検索結果を送信するものである。
この他にも、システム構成は考えられるが、以下では、図2(a)の構成を用いて説明する。
【0017】
図3は本実施形態が適用されるナビゲーション装置のシステム構成図である。
このナビゲーション装置1は、車両に搭載され、この図3に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両が何れの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0018】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリュームあるいは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。
また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0019】
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
【0020】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
ナビゲーション装置1がサーバ2から地点情報データファイル58の送信を受ける場合、データ送受信装置16を介して行うことができる。
また、図示しないが、通信インターフェイス25には、伝達路45を介して記憶媒体駆動装置が接続されており、ナビゲーション装置1は、これによって記憶媒体3から地点情報データファイル58を読み込むことができる。
【0021】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43又はスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0022】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)21は、ナビゲーション装置1全体の総括的な演算及び制御を行う。
また、CPU21は、地点情報データファイル58から地点情報を検索する際に、その変化度を確認し、変化度の大きいものほど検索順位が上位となるように検索リストを作成する。
第1ROM(ROM:Read Only Memory)22はナビゲーションに関するプログラム、特に、現在位置の検出、経路の探索、表示案内などに関するナビゲーションプログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0023】
RAM(RAM:Random Access Memory)24は、後述する入力装置により入力された目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、又は情報記憶装置50から読み込まれた地図情報を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0024】
第2ROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。
画像プロセッサ27は、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサ27により処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0025】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
ディスプレイ42には、現在地周辺の地図や、目的地までの走行経路が表示される。
【0026】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、目的地データファイル56、案内地点データファイル57、地点情報データファイル58、その他のデータファイル60を格納している。
【0027】
この情報記憶装置50は、一般的には、光学的記憶媒体であるDVD−ROM、CD−ROMや磁気的記憶媒体であるハードディスクなどで構成されるが、光磁気ディスク、各種半導体メモリなどの各種情報記憶媒体で構成してもよい。
なお、書き換えが必要な情報については、書き換え可能なハードディスクや光磁気ディスク、フラッシュメモリなどで構成し、その他の固定的な情報についてはCD−ROM、DVD−ROMなどのROMを使用するようにしてもよい。
【0028】
地図データファイル51には、全国道路地図、任意地域の道路地図又は住宅地図等の地図データが記憶されている。
道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路(比較的狭い道路)等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形、及び道路名称等が表示される市街図である。
【0029】
交差点データファイル52には、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが記憶されている。
ノードデータファイル53には、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等が記憶される。
道路データファイル54には、道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが記憶されている。
【0030】
写真データファイル55には、各種施設や観光地、又は主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データやコンピュータグラフィックス画像データなどが記憶されている。
目的地データファイル56には、主要観光地や建物、電話帳に記載されている企業・事業所等の目的地になる可能性の高い場所や施設等の位置と名称等のデータが記憶されている。
案内地点データファイル57には、道路に設置されている案内表示板の内容や分岐点の案内等の案内が必要とされる地点の案内データが記憶されている。
【0031】
地点情報データファイル58は、地点情報を格納したファイルである。地点情報は、POI(Point of Interest)情報とも呼ばれ、例えば、競技場、劇場、レストランやデパートなどの店舗、学校、行政施設、福祉施設、民間会社の本支社や営業所、観光地など、ユーザが経路案内などで興味を持つと考えられる地点の、地点の表示名称、表示名称の読み、座標、住所、電話番号、その他の事項に関する情報である。
【0032】
図4は、サーバ2のハードウェア的な構成を説明するための図である。
サーバ2は、ナビゲーション装置1で用いる検索対象(地点情報)に対して、属性の時間変化を用いて前記検索対象の検索順位を設定する情報処理装置として機能している。
サーバ2は、CPU31、ROM32、RAM33、入出力装置34、記憶装置35などがバスラインで接続されて構成されている。
CPU31は、所定のプログラムに従って、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38から変化度を計算したり、計算した変化度を用いて地点情報データファイル58の変化度を更新したりする。
【0033】
ROM32は、読み出し専用のメモリであり、サーバ2を動作させるための基本的なプログラムやパラメータなどが記憶されている。
RAM33は、読み書き可能なメモリであって、CPU31のワーキングメモリを提供したり、記憶装置35に記憶されたプログラムやデータをロードして記憶したりなどする。
入出力装置34は、例えば、記憶媒体駆動装置やネットワークなどに接続するための装置であって、サーバ2は、ここから地点情報データファイル58を記憶媒体3(図1)やネットワークに出力することができる。
【0034】
記憶装置35は、例えばハードディスクなどの大容量の記憶装置を用いて構成されており、図示しないが、各種プログラムを格納したプログラム格納部、データを格納したデータ格納部などが形成されている。
プログラム格納部には、サーバ2を機能させるための基本的なプログラムであるOSや、変化度を計算して地点情報データファイル58を更新する変化度計算プログラムや、その他のプログラムが格納されている。
【0035】
データ格納部には、地点情報データファイル58、今回属性データファイル37、前回属性データファイル38やその他のデータが格納されている。
サーバ2は、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38から、各地点情報の変化度を計算し、これを用いて地点情報データファイル58を更新する。
【0036】
図5は、地点情報データファイル58の論的な構成の一例を示した図である。
地点情報データファイル58に記憶されている地点情報は、ナビゲーション装置1が検索対象とする情報であるため、これにより、サーバ2は、検索対象を記憶する検索対象記憶手段を備えている。
地点情報データファイル58は、地点情報を記憶するデータベースであって、「地点ID」、「地点名称」、「読み」、「座標」、「住所」、「電話番号」、「変化度」、その他の項目に関する情報から構成されている。
その他の項目としては、例えば、レストランやホテルなどの「ジャンル」がある。
このように、1つの地点情報は、「地点ID」〜「変化度」の複数の情報から構成されている。
【0037】
「地点ID」には、地点情報を識別するためのID情報(識別情報)が記憶されており、これは各地点情報に一意に付与されたものである。
サーバ2やナビゲーション装置1は、「地点ID」に記憶されている地点IDにより、各地点情報を識別することができると共に、後述の変更度と地点情報とを関連づけることができる。
【0038】
「地点名称」には、地点情報が示す対象に付与されている名称が記憶されている。
この名称には、例えば、「千種ホール」、「愛知県庁」など、その地点の施設に付与されている名称や、図示しないが、「襟裳岬」などのその場所の地名などがある。
「読み」は、地点名称の読みをカタカナで表したものである。
「座標」には、地点情報が指し示す施設や場所の所在地の2次元座標値が記憶されている。一般に、この2次元座標値には緯度・経度が用いられる。また「座標」を、標高も含む3次元座標値で構成することも可能である。
「住所」には、地点情報が示す対象の所在地の住所が記憶されており、「電話番号」には、地点情報が示す対象の電話番号が記憶されている。
【0039】
「変化度」には、サーバ2が今回属性データファイル37と前回属性データファイル38から計算した変化度が記憶されている。
詳しくは後述するが、本実施の形態で採用する変化度の計算式では、地点の施設などが成長した場合は、成長度が大きいほど大きな正の値となり、縮小した場合は、縮小度が大きいほど小さな負の値となり、変化が無かった場合は0となるようになっている。
【0040】
例えば、図5の「千種ホール」の変化度は5であり、「愛知県庁」の変化度は3であるため、何れも前回に属性データを作成してから今回に属性データを作成するまでの間に成長し、「千種ホール」の方が「愛知県庁」よりも成長の度合いが大きいことが分かる。
また、「名古屋食堂」は、変化度が負であり、前回よりも縮小したことが分かる。
【0041】
次に、図6の各図を用いて、属性データについて説明する。
図6(a)は、今回属性データファイル37の論理的な構成の一例を示した図である。
今回属性データファイル37は、「地点ID」、「電話台数」、「敷地面積」、「建物形状」、「テナント数」、その他の項目から構成されている。
これらの項目は、地点に立地する施設などの成長・縮小の度合いを計測するために設定された属性である。
このように、1つの属性データは、「地点ID」〜「テナント数」などの複数の属性から構成されている。また、これら属性は、数量化可能な項目で構成されている。
【0042】
「地点ID」には、地点情報の地点IDに対応するID情報が記憶されている。サーバ2は、この地点IDにより、地点情報データファイル58の地点情報と、今回属性データファイル37の属性データを対応づけることができる。
「電話台数」には、地点に立地する施設に設置されている電話の台数が記憶されている。電話の台数は、増加するほど成長が大きいと判断され、減少するほど縮小が大きいと判断される。
【0043】
「敷地面積」には、地点の敷地面積が記憶されている。敷地面積の大きさは、増大するほど成長が大きいと判断され、縮小するほど縮小が大きいと判断される。
「建物形状」には、地点に立地する施設の立体形状を表す3次元座標値が記憶されている。これによって、サーバ2は、施設の容積を計算することができ、容積が増大する場合、成長が大きいと判断され、容積が縮小するほど縮小が大きいと判断される。
「テナント数」は、地点に立地する施設に入居している入居者の数である。テナント数が増加するほど成長が大きいと判断され、テナント数が減少するほど縮小が大きいと判断される。
【0044】
図6(b)は、前回属性データファイル38の論理的な構成の一例を示した図である。
前回属性データファイル38は、作成された時点が今回属性データファイル37よりも前であるほかは、今回属性データファイル37と同じ構成となっている。
【0045】
以上、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38について説明したが、属性データは、例えば、半年ごとなど、所定時間間隔、又は、任意の時間間隔で作成される。
そして、新たな属性データファイルが作成されると、今回属性データファイル37は前回属性データファイル38となり、新たに作成された属性データファイルが今回属性データファイル37となる。
本実施の形態では、以下の式(1)で変化度を定義し、サーバ2は、この式(1)で、地点IDごとの変化度を計算する。
【0046】
変化度=A×Δ電話台数+B×Δ敷地面積+C×Δ建物容積×D×Δテナント数・・・(1)
【0047】
ここで、A〜Dは、地点に立地する施設などが成長した場合、変化度を正とするため、正の値であり、各Δは、今回属性データファイル37の対応する項目の数値から前回属性データファイル38の対応する項目の数値を減算した変化量である。
例えば、Δ電話台数は、今回属性データファイル37の電話台数から前回属性データファイル38の電話台数を減算したものである。
A〜Dは、各項目の数値の取り得る値を考慮し、変化量を修正するためのものである。例えば、電話台数は、容易に5倍になったり、10分の1になったりするが、敷地面積の変化量はそれほど大きい値は取らない。
【0048】
そのため、例えば、電話台数の取り得る値の範囲が、敷地面積の取り得る値の範囲の10倍であると考えた場合、Aの値をBの10分の1程度にすることにより、両者の変化量を均等に扱うことができる。
また、例えば、電話台数を他の項目よりも重視する場合は、Aの値を他の係数よりも大きくするなど、重要度によってAを重みづけすることも可能である。
その他、多変量解析などを用いて式(1)を定義してもよい。
このようにして、サーバ2は、電話台数、敷地面積、その他の複数の項目の数値から1の指標である変化度を算出することができる。
【0049】
次に、図7のフローチャートを用いて、サーバ2が行う変化度更新処理手順について説明する。
以下の処理は、サーバ2のCPU31(図4)が所定のプログラムに従って行うものである。
まず、サーバ2は、記憶装置35から前回属性データファイル38を読み込み(ステップ5)、更に、今回属性データファイル37を読み込む(ステップ10)。
このように、サーバ2は、前回作成した前回属性(前回属性データファイル38)と、今回作成した今回属性(今回属性データファイル37)と、を検索対象ごとに取得する属性取得手段を備えている。
【0050】
次に、サーバ2は、ある地点IDの今回属性データファイル37と前回属性データファイル38の変化量を、各項目ごとに計算し、式(1)にて変化度を計算する(ステップ15)。
サーバ2は、この計算を計算対象となる地点IDの全てに対して行い、サーバ2は、このようにして、地点IDごとに変化度を得ることができる。
このように、サーバ2は、前回属性(前回属性データファイル38)と、今回属性(今回属性データファイル37)との変化の有無を検索対象(地点情報)ごとに確認する変化確認手段を備えており、当該変化確認手段は、式(1)によって変化の程度によって変化の有無を確認し、更に、当該複数の項目を統合して1の指標(変化度)にて変化の程度を取得する。
【0051】
そして、サーバ2は、地点情報データファイル58の項目「変化度」を、ステップ15で計算した変化度で上書きするなどして、これを更新し(ステップ20)、処理を終了する。
ここで、変化度は、ナビゲーション装置1が検索順位を設定するための情報である。このため、サーバ2は、確認手段で確認した変化の有無を用いて(地点情報データファイル58)記憶した検索対象(地点情報)の検索順位を設定する順位設定手段を備えている。
【0052】
次に、図8のフローチャートを用いて、ナビゲーション装置1が行う検索処理について説明する。
ナビゲーション装置1は、記憶媒体3(図2)などを用いてサーバ2から地点情報データファイル58の提供を受け、これを用いて以下のようにして地点情報の検索を行う。
なお、以下の処理は、ナビゲーション装置1のCPU21が所定のプログラムに従って行うものである。
【0053】
まず、ナビゲーション装置1は、検索語の入力を受け付ける(ステップ50)。
ナビゲーション装置1では、ユーザは、例えば、「ア」や「タナ」など施設名称の先頭の文字の少なくとも一部を検索語として入力したり、「レストラン」など、ジャンルを検索語として入力したりなどすることができる。
【0054】
ナビゲーション装置1は、検索語の入力を受け付けると、これをキーワードとして、これに該当する地点情報を地点情報データファイル58から検索する(ステップ55)。
以上の、検索語の受け付け、及び検索語を用いて地点情報の検索は、一般に使用されているものと同様である。
【0055】
次に、ナビゲーション装置1は、地点情報を検索すると、これら地点情報の項目「変化度」に記憶されている変化度を確認する。
変化度を確認した後、ナビゲーション装置1は、以下のようにして地点情報に検索順位を設定する(ステップ65)。
まず、ナビゲーション装置1は、検索された地点情報を、変化度が0よりも大きいもの(以下、第1グループ)と、変化度が0以下のもの(以下、第2グループ)に組み分けする。
【0056】
ナビゲーション装置1は、組み分けを行うと、第1グループに属する地点情報に対して、変化度が大きい順に、上位の検索順位を設定していく。
なお、同じ変化度の地点情報が複数存在する場合は、例えば、50音順に設定するなど、一般に行われている方法を採用することができる。
【0057】
ナビゲーション装置1は、第1のグループの地点情報の全てに検索順位を設定し終えると、引き続き、第2グループの地点情報に検索順位を設定していく。
なお、ナビゲーション装置1は、第2グループに属する地点情報に関しては、一般に行われている順(例えば、50音順)に検索順位を設定する。
【0058】
なお、本実施の形態では、変化度が0以下の地点情報に関しては、一般の方法で検索順位を設定したが、これは、地点の施設が式(1)で縮小していると判定されたからといって、必ずしもユーザにとって重要ではないとは限らないからである。
なお、これに限定するものではなく、変化度が大きい順に検索順位を設定するように構成してもよい。
【0059】
ナビゲーション装置1は、以上のようにして、検索した地点情報に検索順位を設定した後、これらをRAM24に出力する(ステップ70)。更にディスプレイ42(図3)にこれらを一覧表示して処理を終了する。
以上のようにして、ナビゲーション装置1は、変化度が大きい地点情報に対して優先的に上位の検索順位を設定することができる。
【0060】
以上に説明した本実施の形態では、例えば、電話台数であるとか敷地面積など、数量化できるものを用いて変化度を計算したが、例えば、新装開店であるとかバーゲンであるとか、数値化できない変化に対しても変化度を計算するように構成することも可能である。
これは、今回属性データファイル37、前回属性データファイル38に、「新装開店」、「バーゲン」など、変化を確認する項目を設け、これに点数を記憶するようにする。
【0061】
例えば、あるデパートが大改装した場合は、点数を5点とし、売り場の一部を改装した場合は、1点とするなど、所定のルールを設定して点数化する。
そして、ナビゲーション装置1は、点数の高いものほど優先的に高位の検索順位を付与する。
また、新装開店フラグやバーゲンフラグなど、変化を確認する項目のフラグを設定し、該当する場合は1、該当しない場合は0のフラグを設定するようにする。
そして、ナビゲーション装置1は、フラグが1となっているものほど優先的に高位の検索順位を付与する。
【0062】
また、以上に説明した本実施の形態では、複数の項目から1の指標である変化度を計算したが、項目ごとに変化度を計算し、ユーザが指定した項目に関して優先順位を設定するように構成することもできる。
例えば、ユーザが「電話台数」を指定すると、ナビゲーション装置1は、電話台数に関して変化度を計算し、変化が大きいものを検索上位に設定する。
【0063】
以上に説明した本実施の形態により、次のような効果を得ることができる。
(1)地点の持つ敷地、建物の形状、当該施設に存在するテナント数や電話台数などの情報を過去データと比較し、変化の有無を認識し、変化のあった施設をより優位に表示する機能を有することができ、ユーザは検索した結果の上位を選ぶことで変化のあった施設を訪れやすくなる。
(2)地点情報の属性データの時間変化を数値化することにより、時間変化を用いた検索順位を設定することができる。
(3)サーバ2が、最新の地点情報データファイル58をナビゲーション装置1に提供することにより、ナビゲーション装置1は、常に最新の変化に対応した検索順位を設定することができる。
【0064】
以上、図2(a)の場合のシステム構成について説明したが、図2(b)、(c)の場合も、サーバ2が今回属性データファイル37と前回属性データファイル38から変化度を設定するため、サーバ2は、検索対象記憶手段と、属性取得手段と、変化確認手段と、順位設定手段と、を備えており、ナビゲーション装置1で用いる検索対象に対して、属性の時間変化を用いて前記検索対象の検索順位を設定する情報処理装置を構成している。
【0065】
また、図2には図示しなかったが、ナビゲーション装置1が、地点情報データファイル58、今回属性データファイル37、及び前回属性データファイル38を備えるように構成することも可能である。
【0066】
この場合、ナビゲーション装置1は、サーバ2から最新の属性データファイルを送信してもらい、今回属性データファイル37を前回属性データファイル38とし、最新の属性データファイルを今回属性データファイル37とする。
そして、ナビゲーション装置1が、今回属性データファイル37と前回属性データファイル38から変化度を計算して地点情報データファイル58を更新する。
【0067】
この形態では、ナビゲーション装置1自身が、検索対象記憶手段と、属性取得手段と、変化確認手段と、順位設定手段と、を備えており、ナビゲーション装置で用いる検索対象に対して、属性の時間変化を用いて前記検索対象の検索順位を設定する情報処理装置を構成している。
【0068】
さらに説明した実施形態及び変形例では、本発明の情報処理装置、及びプログラムをナビゲーション装置に適用した場合を例にその検索処理について説明したが、自宅のパーソナルコンピュータや、携帯電話などの携帯情報機器、等の各種情報処理装置、情報処理プログラムに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施の形態の概要を説明するための図である。
【図2】本実施の形態のシステム構成を説明するための図である。
【図3】ナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図4】サーバのハードウェア的な構成を説明するための図である。
【図5】地点情報データファイルの論的な構成の一例を示した図である。
【図6】属性データを説明するための図である。
【図7】変化度更新処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】検索処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 ナビゲーション装置
2 サーバ
3 記憶媒体
37 今回属性データファイル
38 前回属性データファイル
58 地点情報データファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索対象を記憶する検索対象記憶手段と、
前回作成した前回属性と、今回作成した今回属性と、を検索対象ごとに取得する属性取得手段と、
前記取得した前回属性と、今回属性との変化の有無を検索対象ごとに確認する変化確認手段と、
前記変化確認手段で確認した変化の有無を用いて前記記憶した検索対象の検索順位を設定する順位設定手段と、
を具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記属性は、数量化可能な項目で構成されており、
前記変化確認手段は、変化の程度によって変化の有無を確認し、
前記順位設定手段は、前記確認した変化の程度に応じて検索順位を設定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記属性は、複数の項目から構成されており、
前記変化確認手段は、当該複数の項目を統合して1の指標にて変化の程度を取得することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
検索対象を記憶する検索対象記憶手段を備えたコンピュータで、
前回作成した前回属性と、今回作成した今回属性と、を検索対象ごとに取得する属性取得手段と、
前記取得した前回属性と、今回属性との変化の有無を検索対象ごとに確認する変化確認手段と、
前記変化確認手段で確認した変化の有無を用いて前記記憶した検索対象の検索順位を設定する順位設定手段と、
を実現するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−9369(P2009−9369A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170392(P2007−170392)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】