説明

感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法

【課題】 現像性が良好で、十分に高い感光特性を有し、かつ硬化膜の接着強度及び信頼性に優れた感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法を提供する。
【解決手段】 (A)下記一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体と、(B)分子内にエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含む感光性接着剤組成物。
【化1】


(一般式(I)中、U又はVは2価の有機基を示し、U又はVの少なくとも一方が炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基、またはU又はVの少なくとも一方が、一般式(II)で表される基(一般式(II)中、R、Rは、各々独立にトリフルオロメタンであり、aは1〜30の整数を示す。))

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCD/CMOSイメージセンサのパッケージ構造は、センサ部分を水分やほこり等の異物から守るため、セラミックやエポキシ樹脂等のリブ上にディスペンサーあるいは他の印刷法によって塗布される液状のUV硬化型感光性樹脂組成物によって保護ガラスと接着するパッケージ構造をとっている。
【0003】
しかしながら、近年微細化が進むカメラモジュールに対して、現行のパッケージでは位置精度等が困難になっている。
【0004】
この課題に対応すべく、パッケージのリブ及び接着剤をフォトリソ法で一括成形する手法が提案されている。かかる手法によれば、高精細化、位置精度向上が可能となる。また、工程数短縮によるコスト低減のため、一括成型が可能で取り扱いも容易なフィルムタイプの感光性接着剤が求められている。
【0005】
フォトリソ法によるリブ及び接着剤の一括成形は、以下のようにして行われる。まず、シリコン基板又はガラス基板上に、感光性接着剤組成物を塗布又は感光性接着剤フィルムを積層し、感光性接着剤層を形成する。次に、該感光性接着剤層を露光、現像した後、
光硬化された接着剤層上に保護ガラス基板を密着させ、加熱・加圧により接着剤層と保護ガラスとを接着する。その後、さらに熱キュア、ダイシングすることにより、中空構造を有するパッケージが得られる。
【0006】
イメージセンサ用の感光性接着剤組成物には、シリコン基板やガラス基板との高い接着強度、気密封止性、現像性、密着性、解像性の他、低吸湿率、低透湿率、低イオン不純物等の信頼性などの特性が求められる。特に本手法では樹脂が半導体デバイスと隣接するため、リフロー処理などの際に樹脂からアウトガスが発生するとデバイスに影響を与える恐れがある。従って、硬化膜の信頼性が重要視される。
【0007】
感光性樹脂組成物は、プリント配線板の回路形成用や配線を保護するための永久保護膜用として広く用いられている。回路形成用としては、アクリル樹脂、光重合性化合物、及び光重合開始剤とを有する感光性樹脂組成物等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、永久保護膜用としては、感光性の変性エポキシ樹脂、光重合開始剤、希釈剤及び熱硬化性化合物を用いた感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
一方、熱硬化性の接着剤は、エレクトロニクス用途、例えば半導体実装材料等に広く用いられている。熱硬化性の接着剤としては、ポリイミド樹脂、硬化性化合物、該硬化性化合物の硬化剤、及びシランカップリング剤を含むフィルム状接着剤が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−351070号公報
【特許文献2】特開2003−177528号公報
【特許文献3】特開2003−253220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の感光性樹脂組成物では、感光性接着剤に求められる、接着強度、気密封止性、低吸湿率、低透湿率、低イオン不純物等の特性が十分でなかった。さらに本発明者の検討の結果、アクリル樹脂と熱硬化性樹脂とを組み合わせて用いた感光性接着剤は、安価で生産性が高い反面、特に吸湿率及び透過率等の硬化膜の信頼性の面で難があることを見出した。
また、特許文献3に記載の熱硬化性の接着剤に感光性を付与するために光重合性化合物や光重合開始剤等を含有させても、現像性、密着性、解像性等の感光特性が不十分であった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決し、現像性が良好で、十分に高い感光特性を有し、かつ硬化膜の接着強度及び信頼性に優れた感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、[1](A)下記一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体と、(B)分子内にエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含む感光性接着剤組成物を提供する。
【0011】
【化1】

(一般式(I)中、U又はVは2価の有機基を示し、U又はVの少なくとも一方が炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基、またはU又はVの少なくとも一方が、下記一般式(2)で表される基:
【0012】
【化2】

一般式(2)中、R、Rは、各々独立にトリフルオロメタンであり、aは1〜30の整数を示す。)
【0013】
かかる感光性接着剤組成物は、基板と被接着部材を接着するための感光性の接着剤として用いられ、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を含む上記構成を有することにより、硬化膜の信頼性が良好で、十分に高い接着強度が得られる。また、かかる感光性接着剤組成物は、特にシリコンやガラス等と高い接着力を得ることができる。さらに、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を用いることで、感光性接着剤組成物は現像液に対する優れた溶解性を得ることができ、且つ、その硬化膜は優れた耐熱性を得ることができる。
【0014】
また、(D)エポキシ樹脂を含むことにより、基板と被接着部材の接着時の接着強度や硬化膜の信頼性を向上させることができ、且つ、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体とのの相溶性も良好となる。
【0015】
更に、上記感光性接着剤組成物は解像度が良く、厚膜形成が可能であり、それにより、パッケージの中空構造を形成する場合に従来の複雑な工程を削減することができる。
【0016】
また、本発明は、[2]前記エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は多官能エポキシ樹脂を含む、上記[1]に記載の感光性接着剤組成物を提供する。
【0017】
かかる感光性接着剤組成物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は多官能エポキシ樹脂を含むことにより、基板と被接着部材の接着時の接着強度や硬化膜の信頼性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、本発明は、[3](A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、(A)成分を40〜80質量部、(B)成分を20〜60質量部、(D)成分を3〜40質量部含む、上記[1]又は[2]に記載の感光性接着剤組成物を提供する。
【0019】
かかる感光性接着剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分を上記含有量で含むことにより、良好な密着性及び解像性が得られ、且つ、その硬化膜は低吸湿率、低透湿率を高水準で達成することができ、より優れた接着強度を得ることができる。
【0020】
また、本発明は、[4]更に(E)シランカップリング剤を含む、上記[1]ないし上記[3]のいずれかに記載の感光性接着剤組成物を提供する。
【0021】
かかる感光性接着剤組成物は、(E)シランカップリング剤を含むことにより、基板への密着性及び硬化膜の信頼性がさらに向上する。
【0022】
また、本発明は、[5]支持体と、該支持体上に形成された上記[1]ないし上記[4]のいずれかに記載の感光性接着剤組成物からなる感光性接着剤組成物層とを備える、感光性エレメントを提供する。
【0023】
また、本発明は、[6]上記[5]に記載の感光性エレメントを感光性接着剤組成物層、支持体の順に感光性接着剤組成物層が基板と接するように基板上に積層する積層工程と、活性光線を感光性接着剤組成物層の所定の部分に照射して、感光性接着剤組成物層に光硬化部を形成させる露光工程と、支持体を除去し、光硬化部以外の感光性接着剤組成物層を除去する現像工程と、を含むレジストパターンの形成方法を提供する。
【0024】
また、本発明は、[7]上記[6]に記載のレジストパターンの形成方法により形成された基板上のレジストパターンを介して配置された被接着部材を、熱圧着により接着させる、被接着部材の接着方法を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、現像性が良好で、十分に高い感光特性を有し、かつ硬化膜の接着強度及び信頼性に優れた感光性接着剤組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及び被接着部材の接着方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0027】
本発明の感光性接着剤組成物は、(A)一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体と、(B)分子内にエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、(C)光重合開始剤と、(D)エポキシ樹脂と、を含むものである。以下、各成分について詳細に説明する。
【0028】
本発明の(A)一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体は、(a)一般式(1):
【0029】
【化3】

[一般式(1)中、U又はVは2価の有機基を示し、U若しくはVの少なくとも一方が炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基、またはU若しくはVの少なくとも一方が、下記一般式(2)である。]で示される繰り返し単位を有することを特徴とする。
【0030】
【化4】

[一般式(2)中、R、Rは各々独立にトリフルオロメタンであり、aは1〜30の整数を示す。]
【0031】
また、本発明による感光性樹脂組成物において、前記(A)成分は、下記一般式(3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0032】
【化5】

[一般式(3)中、R、Rは各々独立に水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基、Uは2価の有機基であり、nは1〜30の整数である。]
【0033】
(A)成分であるポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量は、5000〜60000であることが好ましく、10000〜50000であることがより好ましく、20000〜40000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が5000未満では硬化膜が脆くなる傾向があり、60000を超えると現像性が低下する傾向がある。
【0034】
重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線を基に算出したものである。
【0035】
感光性接着剤組成物において、密着性及び解像性を向上し、さらに低吸湿率、低透湿率を高水準で達成する観点から、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましく、55〜70質量部であることがさらに好ましい。
【0036】
(B)の分子内にエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物(以下、単に「光重合性化合物」という。)としては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー又はウレタンオリゴマーが挙げられ、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
なお、本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリロキシ基とはアクリロキシ基及びそれに対応するメタクリロキシ基を意味する。
【0038】
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0039】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられ、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−200(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業株式会社製、商品名)又はFA−321M(日立化成工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業株式会社製、商品名)として商業的に入手可能である。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシオクタプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシヘキサプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸等を用いたものが挙げられる。具体的には、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO・PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
なお、「EO」とは「エチレンオキシド」のことをいい、「PO」とは「プロピレンオキシド」のことをいう。また、「EO変性」とはエチレンオキシドユニット(−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味し、「PO変性」とはプロピレンオキシドユニット(−CH−CH(CH)−O−)(−CH(CH)−CH−O−)又は(−CH−CH−CH−O−)のブロック構造を有することを意味する。
【0044】
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸として(メタ)アクリル酸等を用いたものが挙げられる。
【0045】
具体的には、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシ−プロピルオキシ)フェニル等が挙げられる。
【0046】
ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、及び、EO又はPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
更に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
【0048】
これら(B)成分は、1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
(B)成分は、密着性、解像性等のパターニング性を良好にする観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましく、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンを含むことがより好ましい。
【0050】
また、(B)成分は、低弾性な硬化膜が得られるため熱圧着時の圧着性に優れる観点から、ウレタンモノマーを含むことが好ましい。
【0051】
感光性接着剤組成物において、密着性及び解像性を向上し、さらに低吸湿率、低透湿率を高水準で達成する観点から、(B)分子内にエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましく、30〜45質量部であることがさらに好ましい。
【0052】
(C)光重合開始剤は、常法によって合成してもよく、市販のものを入手してもよい。(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパノン−1−オン等の芳香族ケトン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9'−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
市販の(C)光重合開始剤としては、例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1はイルガキュア−369(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパノン−1−オンはイルガキュア−907(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドはイルガキュア−819(商品名、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)が入手可能である。
【0053】
上述した(C)光重合開始剤の中でも、感度及び接着剤の底部硬化性を良好にできる観点からアシルフォスフィンオキサイド類が好ましく、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドがより好ましい。上記(C)光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0054】
感光性接着剤組成物において、(C)光重合開始剤の含有量は、感度及び現像後のパターン形状を良好にする観点から、(A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
【0055】
(D)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及び多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0056】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型とエピクロルヒドリンを反応させて得られるものが挙げられ、チバガイギー社製GY−260、GY−255、XB−2615、ジャパンエポキシレジン社製エピコート828,1007,807、新日本理化株式会社製BEO−60E、大日本インキ化学工業社製850−S等のビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、アミノ基含有、脂環式あるいはポリブタジエン変性等のエポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0057】
ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール及びアルキルフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類とエピクロルヒドリンを反応させて得られるものが挙げられ、東都化成社製YDCN−701,704、YDPN−638,602、ダウ・ケミカル社製DEN−431,439、チバガイギー社製EPN−1299、大日本インキ化学工業社製N−730、770、865、665、673、VH−4150,4240、日本化薬社製EOCN−120、BREN等が挙げられる。
【0058】
また、その他の構造のエポキシ樹脂としては、例えば、ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製VG−3010L等)サリチルアルデヒド−フェノール又はクレゾール型エポキシ樹脂(日本化薬社製EPPN502H、FAE2500等)、大日本インキ化学工業社製エピクロン840,860,3050、ダウ・ケミカル社製DER−330,337,361、ダイセル化学工業社製セロキサイド2021、三菱ガス化学社製TETRAD−X,C、日本曹達社製EPB−13,27等も使用することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用され、混合物あるいはブロック共重合物を用いてもよい。
【0059】
(D)エポキシ樹脂は、被接着部材同士の接着時の接着強度や硬化膜の信頼性をさらに向上させる観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び多官能エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
【0060】
また、上記多官能エポキシ樹脂としては、硬化膜の信頼性をさらに向上させる観点から、特にジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
【0061】
(D)エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂及び多官能エポキシ樹脂を含む場合、(D)成分全体に対するそれぞれの含有割合は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂/多官能エポキシ樹脂が1/0〜0/1であることが好ましく、0.8/0.2〜0.2/0.8であることがより好ましい。
【0062】
感光性接着剤組成物において、(D)エポキシ樹脂の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、3〜40質量部であることが好ましく、5〜35質量部であることがより好ましく、7〜30質量部であることがさらに好ましく、10〜25質量部であることが特に好ましい。(D)エポキシ樹脂の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、熱キュア後の硬化膜が脆くなる傾向があり、また、現像性が低下する傾向がある。
【0063】
感光性接着剤組成物は、基板との密着性及び硬化膜の信頼性をさらに向上する観点から、(E)シランカップリング剤を含むことが好ましい。(E)シランカップリング剤としては、有機官能基と加水分解基とを分子内に有するものであれば特に制限はなく、有機官能基としては、例えば、ビニル其、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられ、加水分解基としては、例えば、アルコキシ基、クロル基、アセトキシ基、オキシム基、イソプロペノキシ基、アミド基等が挙げられる。工業的には加水分解反応の制御範囲が広く、ハンドリングが容易であるアルコキシ基を加水分解基に用いる場合が多い。
【0064】
これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
感光性接着剤組成物が(E)シランカップリング剤を含む場合の含有量は、(A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、1〜7質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。(E)シランカップリング剤の含有量が上記範囲を外れると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、密着性の効果が得られないことや、特性の安定性が悪化したりする傾向にある。
【0066】
本発明の感光性接着剤組成物は、必要に応じて前記以外のビニル化合物、光開始剤、可塑剤、染料、顔料、イメージング剤、充填剤等を配合して使用することができる。
【0067】
次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。
本発明の感光性エレメントは、支持体と、該支持体上に形成された本発明の感光性接着剤組成物からなる感光性接着剤組成物層とを備えるものである。
【0068】
感光性接着剤組成物層上には、該感光性接着剤組成物層を被覆する保護フィルムを更に備えていてもよい。
【0069】
感光性接着剤組成物層は、本発明の感光性接着剤組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の溶液とした後に、かかる溶液を支持体上に塗布して形成することが好ましい。
【0070】
感光性接着剤組成物層の厚みは、用途により異なるが、加熱及び/又は熱風吹き付けにより溶剤を除去した乾燥後の厚みで、10〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが上記範囲を外れると工業的に塗工困難な傾向がある。
【0071】
感光性エレメントが備える支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
【0072】
支持体の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可撓性が低下する傾向がある。
【0073】
上述したような支持体と感光性樹脂組成物層との2層からなる感光性エレメント又は支持体と感光性接着剤組成物層と保護フィルムとの3層からなる感光性エレメントは、例えば、そのまま貯蔵してもよく、又は保護フィルムを介在させた上で巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。
【0074】
本発明の感光性エレメントを用いたレジストパターンの形成方法は、必要に応じて上述した感光性エレメントから保護フィルムを除去する除去工程と、該感光性エレメントを感光性接着剤組成物層、支持体の順に感光性接着剤組成物層が基板と接するように基板上に積層する積層工程と、活性光線を、必要に応じて支持体を通して又は支持体を除去して、感光性接着剤組成物層の所定の部分に照射して、感光性接着剤組成物層に光硬化部を形成させる露光工程と、支持体がある場合、支持体を除去して光硬化部以外の感光性接着剤組成物層を除去する現像工程とを含むものである。
【0075】
なお、上記基板とは、シリコン、ガラス等の絶縁性を有する基板をいう。
【0076】
必要に応じて保護フィルムを除去する除去工程後の積層工程における積層工程としては、感光性接着剤組成物層を加熱しながら絶縁基板等に圧着することにより積層する方法等が挙げられる。
【0077】
かかる積層の際の雰囲気は特に制限されないが、密着性及び追従性等の見地から減圧下で積層することが好ましい。
【0078】
感光性接着剤組成物層の加熱温度は70〜130℃とすることが好ましく、圧力は0.1〜1.0MPa程度とすることが好ましく、周囲の気圧は4000Pa以下とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0079】
また、感光性接着剤組成物層を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性を更に向上させるために、基板の予熱処理を行うこともできる。
【0080】
前記の感光性接着剤組成物層は、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が照射された後、現像液で現像され、レジストパターンが形成される。
【0081】
この際用いられる活性光線としては、例えば、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものが用いられる。
【0082】
現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられ、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等が用いられる。
【0083】
半導体用途など軽元素を低減する必要がある場合、例えば、水酸化テトラヒドロアンモニウム水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等が用いられる。
【0084】
現像の方法には、ディップ方式、スプレー方式等があり、高圧スプレー方式が現像性、解像度向上のためには最も適している。
【0085】
上述の形成方法により得られたレジストパターンは、基材上に形成される永久レジストとして使用されると好ましく、熱圧着により任意の基材との接着剤として用いられるとより好ましい。
【0086】
例えば、接着剤として用いる場合は、上記現像、熱圧着工程終了後、接着性等を向上させる目的で加熱を行うことが好ましい。
【0087】
熱圧着は圧着温度100〜180℃、圧着圧力0.1〜1.5MPa、圧着時間0.5〜60s程度の範囲で行われることが好ましい。
【0088】
熱圧着後、レジストパターンを加熱する場合は、150〜180℃程度の範囲で、30〜90分間程度の範囲で行われることが好ましい。
【0089】
この感光性接着剤組成物は、任意の基板同士を接着し、優れた接着性及び硬化膜信頼性を有するので、例えば各種センサなどの中空パッケージ構造作製に有効である。
【0090】
このようにしてレジストパターンを備えられた基板は、その後、部品実装(例えば、はんだ付け)がなされ、そして、カメラ等の電子機器へ装着される。
【実施例】
【0091】
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
(実施例1〜5及び比較例1〜5)
(ポリベンゾオキサゾール前駆体(A−1)の合成)
攪拌機、温度計を備えた2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン1000g、6FAPK(2,2‐ビス(3‐アミノ‐4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)208.8g、m−アミノフェノール6.6gを仕込み、攪拌溶解した。続いて、温度を5℃以下に保ちながら、セバコイル酸クロリド160.3gを90分間で滴下した後、60分間攪拌を続けた。得られた溶液を6リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを、純水で3回洗浄した後、減圧してポリベンゾオキサゾール前駆体(A−1)を得た。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体(A−1)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算して得られた重量平均分子量は21,000であった。
【0092】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した(標準ポリスチレンによる換算)GPCの条件は以下の通りである。
【0093】
[GPC条件]
ポンプ:L6000 Pump(株式会社日立製作所製)、
検出器:L3300 RI Monitor(株式会社日立製作所製)、
カラム:Gelpack GL−S300MDT−5(計2本)(商品名、日立化成工業株式会社製)、
溶離液:DMF/THF(質量比1/1)、
流量:1ml/min。
【0094】
(感光性接着剤組成物1〜10の作製)
上記で合成した(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体(A−1)と下記表1及び表2の材料とを、それぞれ表1及び表2に示した配合割合(質量部)で混合し、溶媒調整を行い、感光性接着剤組成物1〜10の溶液を得た。
【0095】
MIS−115(商品名、光重合性不飽和基を有するアクリル樹脂、綜研化学株式会社製)、
BPE−200(商品名、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、新中村化学工業株式会社製)、
FA−321A(商品名、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、日立化成工業株式会社製)、
TMCH−5(商品名、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート系ウレタンジアクリレートオリゴマ[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(モル比8.15/1.95/12)の混合物]、重量平均分子量950、日立化成工業株式会社製)、
BEO−60E(商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日本理化株式会社製)、
VG−3101L(商品名、ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、三井化学株式会社製)、
BMI−2300(商品名、ビスマレイミド樹脂、大和化成工業株式会社製)
A−187(商品名、エポキシ型シランカップリング剤、日本ユニカー株式会社製)、 SZ−6030(商品名、メトキシ型シランカップリング剤、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)、
Irg−819(商品名、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製)。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
表1の感光性接着剤組成物溶液を50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で約10分間乾燥して感光性フィルム(感光性エレメント)を得た。感光性接着剤組成物層の乾燥後の膜厚は、50μmであった。
【0099】
一方、シリコンウェハー(エレクトロニクス エンド マテリアルズ コーポレーション製、商品名「5インチシリコンウェハ」)上に感光性接着剤組成物層が密着するように、前記感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて80℃、0.4MPa、1.6m/minの条件でラミネートした。
【0100】
[最小現像時間の評価]
上記ラミネート後の基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、23℃で3.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にてスプレー現像し、完全に感光性接着剤組成物層が除去された時間を測定した。結果を表3及び表4に示した。
【0101】
[感光特性の評価]
上記ラミネート後の基板のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、日立(Hitachi)41段ステップタブレットスケール(ST=x/41)と日立(Hitachi)テストパターンG2ネガフィルム(解像度L/S=30/30〜200/200μm、密着性L/S=30/400〜200/400μm、抜け解像度L/S=400/30〜400/200μm)を密着させ、5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX)で400mJ/cmのエネルギー量にて露光を行った。
【0102】
上記で露光した基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、23℃で3.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を最小現像時間の3倍の時間をスプレーすることにより、未露光部分を完全に除去した。
【0103】
感度(ST;段)は、現像後にパターンが形成されたステップタブレットの最終残存段数を読み取り、評価した。この値が大きいほど感度が高いことを示す。
【0104】
解像度(RP−1;μm)は、テストパターン(L/S=30/30〜200/200μm)において、ライン間のスペースが完全に除去された最小ライン幅の値で示した。
【0105】
密着性(AD;μm)は、テストパターン(L/S=30/400〜200/400μm)において、ラインが膨張、あるいは欠けることなく完全に残っている最小ライン幅の値で示した。
【0106】
抜け解像度(RP−2;μm)は、テストパターン(L/S=400/30〜400/200μm)からライン間のスペースが完全に除去された最小スペース幅の値で示した。
【0107】
解像度、密着性、抜け解像度の評価は、値が小さいほど良好である。以上を感光特性の評価とし、結果を表3及び表4に示した。
【0108】
[PCT後のガラス曇り有無の評価]
上記記載の方法で幅2mm、パターン間隔5mmの格子状ネガを用いてシリコンウェハー上にレジストパターンを作製し、125℃、1.0MPa、0.1秒の条件で10mm角のソーダガラス基板と熱圧着し、160℃、1時間の熱キュアを行い、中空構造を有するキャビティを作製した。キャビティを110℃、85%RHの不飽和PCT装置に250時間投入した後、光学顕微鏡により観察しキャビティ内に曇りが発生するか否かを評価した。結果を表3及び表4に示した。
【0109】
[吸湿/リフロー後のガラス曇り有無の評価]
上記と同様に作製したキャビティを60℃、90%RHの恒温恒湿槽に72時間投入後、トップ温度250℃を20秒キープした条件でリフロー処理を行った後、光学顕微鏡により観察しキャビティ内に曇りが発生するか否かを評価した。結果を表3及び表4に示した。
【0110】
[接着力の評価]
ラミネート後の基板を、400mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、2mm角にダイシングし、125℃、1.0MPa、0.1sの条件で10mm角のソーダガラス基板と熱圧着した。
【0111】
次いで160℃、1時間で熱硬化をした後、室温(25℃)にてシェア強度測定を行い、接着強度を算出した。なお、引き剥がし強さ(ピール強度)の測定は、ダイシェア試験機(Dage社製、商品名:BT−4000)を用いて行った。この方法によれば、接着剤の面接着強度(MPa)を測定することができる。結果を表3及び表4に示した。
【0112】
なお、表3及び表4中、「樹脂相溶性NG」とは、感光性接着剤組成物の配合時に樹脂が均一に混合せず、評価が不可能であったことを示す。また、「樹脂安定性NG」とは、感光性フィルム(感光性エレメント)の製造後、感光性接着剤組成物層中に含まれる反応基等によりフィルムの安定性が低下し、フィルムが使用不可能となったことを示す。
【0113】
【表3】

【0114】
【表4】

【0115】
以上のように、本発明の感光性接着剤組成物を用いた実施例1〜5の組成ではガラス曇りがなく、また、樹脂相溶性、樹脂安定性にも優れ、パターニングも良好で、硬化膜信頼性を有することが確認された。
【0116】
(実施例6〜10)
(ポリベンゾオキサゾール前駆体(A−2)の合成)
攪拌機、温度計を備えた2リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン1000g、6FAPK(2,2‐ビス(3‐アミノ‐4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン)208.8g、m−アミノフェノール6.6gを仕込み、攪拌溶解した。続いて、温度を0℃以下に保ちながら、セバコイル酸クロリド160.3gを90分間で滴下した後、60分間攪拌を続けた。得られた溶液を6リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを、純水で3回洗浄した後、減圧してポリベンゾオキサゾール前駆体(A−2)を得た。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体(A−2)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線により換算して得られた重量平均分子量は31,000であった。
【0117】
(感光性接着剤組成物11〜15の作製)
上記で合成した(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体(A−2)と下記表5の材料とを、それぞれ表5に示した配合割合(質量部)で混合し、溶媒調整を行い、感光性接着剤組成物11〜15の溶液を得た。
【0118】
【表5】

【0119】
850−S(商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、大日本インキ化学工業株式会社製)、
その他表5で用いた材料は、表1と同様である。
【0120】
表5の感光性接着剤組成物溶液を50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で約10分間乾燥して感光性フィルム(感光性エレメント)を得た。感光性接着剤組成物層の乾燥後の膜厚は、50μmであった。
【0121】
一方、シリコンウェハー(エレクトロニクス エンド マテリアルズ コーポレーション製、商品名「5インチシリコンウェハ」)上に感光性接着剤組成物層が密着するように、実施例6〜10に係る感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて60℃、0.4MPa、1.8m/minの条件でラミネートした。
【0122】
[最小現像時間の評価]
上記ラミネート後の基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、23℃で3.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液にてスプレー現像し、完全に感光性接着剤組成物層が除去された時間を測定した。結果を表6に示した。
【0123】
[感光特性の評価]
上記ラミネート後の基板のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、日立(Hitachi)41段ステップタブレットスケール(ST=x/41)と日立(Hitachi)テストパターンG2ネガフィルム(解像度L/S=30/30〜200/200μm、密着性L/S=30/400〜200/400μm、抜け解像度L/S=400/30〜400/200μm)を密着させ、5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX)で表6に示すエネルギー量にて露光を行った。
【0124】
上記で露光した基板からポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、23℃で3.3質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を最小現像時間の2倍の時間をスプレーすることにより、未露光部分を完全に除去した。
【0125】
感度(ST;段)は、現像後にパターンが形成されたステップタブレットの最終残存段数を読み取り、評価した。
【0126】
解像度(RP−1;μm)は、テストパターン(L/S=30/30〜200/200μm)において、ライン間のスペースが完全に除去された最小ライン幅の値で示した。
【0127】
密着性(AD;μm)は、テストパターン(L/S=30/400〜200/400μm)において、ラインが膨張、あるいは欠けることなく完全に残っている最小ライン幅の値で示した。
【0128】
抜け解像度(RP−2;μm)は、テストパターン(L/S=400/30〜400/200μm)からライン間のスペースが完全に除去された最小スペース幅の値で示した。
【0129】
解像度、密着性、抜け解像度の評価は、値が小さいほど良好である。以上を感光特性の評価とし、結果を表6に示した。
【0130】
[吸湿率の評価]
16cm×10cmのステンレス板(日新製鋼株式会社製、商品名「SUS304」)の質量(a)を精密天秤で小数点第4位まで測定後、基板上に感光性接着剤組成物層が密着するように、実施例6〜10に係る感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて60℃、0.4MPa、1.8m/minの条件でラミネートした。
【0131】
上記ラミネート後のSUS基板を5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX)で400mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、160℃で1時間加熱して熱硬化させた。熱硬化後の質量(b)を測定し、60℃、90%RHの恒温恒湿槽に168時間投入後、質量(c)を測定した。それぞれの質量を下記式(1)に当てはめて感光性接着剤組成物層の硬化膜の吸湿率(質量%)を算出した。結果を表6に示す。
【0132】
【数1】

【0133】
[透湿率の評価]
ポリテトラフルオロエチレンシート(日東電工株式会社製、商品名「ニトフロンフィルム」)上に感光性接着剤組成物層が密着するように、実施例6〜10に係る感光性フィルムを常圧ラミネータ(大成ラミネーター株式会社製)にて60℃、0.4MPa、1.8m/minの条件でラミネートした。
【0134】
上記ラミネート後のポリテトラフルオロエチレンシートを5Kw高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、HMW−201GX)で400mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、160℃で1時間加熱して熱硬化させた。ポリテトラフルオロエチレンシート上に形成した硬化膜を、JIS Z0208のカップ法に準じて透湿率(g/m・24h)を測定した。吸湿条件は40℃、90%RHとした。結果を表6に示す。
【0135】
[接着力の評価]
上記ラミネート後のシリコンウェハー基板を、400mJ/cmのエネルギー量にて全面露光した後、2mm角にダイシングし、125℃、1.0MPa、0.1sの条件で10mm角のソーダガラス基板と熱圧着した。
【0136】
次いで160℃、1時間で熱硬化をした後、室温(25℃)にてシェア強度測定を行い、接着強度を算出した。なお、引き剥がし強さ(ピール強度)の測定は、ダイシェア試験機(Dage社製、商品名:BT−4000)を用いて行った。この方法によれば、接着剤の面接着強度(MPa)を測定することができる。結果を表6に示した。
【0137】
【表6】

【0138】
表6から明らかなように、本発明の感光性接着剤組成物を用いた実施例6〜10の組成では現像性、解像度、密着性等の感光特性及び接着強度が良好で、且つ硬化膜信頼性に優れることが確認された。特に実施例6〜9の組成は、吸湿率及び透湿率を高水準で達成できることが確認された。
【0139】
本発明の感光性接着剤組成物及びこれを用いた感光性エレメントは、現像性、シリコンやガラス基板に対する密着性等の感光特性、及び接着強度が良好で、且つ硬化膜の信頼性も優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表わされるポリベンゾオキサゾール前駆体と、
(B)分子内にエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物と、
(C)光重合開始剤と、
(D)エポキシ樹脂と、
を含む感光性接着剤組成物。
【化1】


[一般式(1)中、U又はVは2価の有機基を示し、U又はVの少なくとも一方が炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基、またはU又はVの少なくとも一方が、下記一般式(2)で表される基:
【化2】

一般式(2)中、R、Rは、各々独立にトリフルオロメタンであり、aは1〜30の整数を示す。]
【請求項2】
前記(D)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又は多官能エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項3】
(A)成分及び(B)成分の固形分100質量部に対して、(A)成分を40〜80質量部、(B)成分を20〜60質量部、(D)成分を3〜40質量部含む、請求項1又は2に記載の感光性接着剤組成物。
【請求項4】
更に(E)シランカップリング剤を含む、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感光性接着剤組成物。
【請求項5】
支持体と、該支持体上に形成された請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の感光性接着剤組成物からなる感光性接着剤組成物層と、を備える感光性エレメント。
【請求項6】
請求項5に記載の感光性エレメントを感光性接着剤組成物層、支持体の順に感光性接着剤組成物層が基板と接するように基板上に積層する積層工程と、
活性光線を感光性接着剤組成物層の所定の部分に照射して、感光性接着剤組成物層に光硬化部を形成させる露光工程と、
支持体を除去し、光硬化部以外の感光性接着剤組成物層を除去する現像工程と、
を含むレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載のレジストパターンの形成方法により形成された基板上のレジストパターンを介して配置された基板と被接着部材を、熱圧着により接着させる、被接着部材の接着方法。

【公開番号】特開2009−282491(P2009−282491A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296797(P2008−296797)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】