説明

成膜方法、成膜装置及び記憶媒体

【課題】炭素濃度を十分に高くすることが可能な高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成することが可能な成膜方法を提供する。
【解決手段】真空引き可能になされた処理容器4内に、高融点金属有機材料ガスと窒素含有ガスとを供給して被処理体の表面に高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の10%以下となるように設定して成膜工程を行うようにする。これにより、炭素濃度を十分に高くし、トランジスタのゲート電極の閾値を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に薄膜を形成する成膜方法、成膜装置及びこれを制御するプログラムを記憶する記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体集積回路を製造するには、半導体ウエハ等の被処理体に、成膜処理、エッチング処理、熱処理、改質処理、結晶化処理等の各種の枚葉処理を繰り返し行なって、所望する集積回路を形成するようになっている。
そして、このような集積回路に関して、最近にあっては、高集積化及び薄膜化の更なる要請により、線幅や膜厚等がより微細化されているが、このように、微細化及び薄膜化しても抵抗率がある程度小さく、異種材料との密着性もよく、しかも比較的低温での成膜も可能なことから、高融点金属有機材料を用いた金属化合物膜が多用される傾向にある。このような高融点金属有機材料を用いた金属化合物膜の一例としては、TaN(タンタル窒化膜)を挙げることができ、また必要に応じてこのタンタル窒化膜中にシリコンや炭素、或いはこの両方の元素が添加されて、TaSiN、TaCN、TaSiCN膜等を形成する場合もある。
【0003】
上記したタンタル窒化膜は、例えばトランジスタのゲート電極、メタルゲート電極とこの上層のポリシリコン層との間に介在されるバリヤ層、スルーホールやビアホール等のコンタクトを行うときのバリヤ層、アルミニウム配線や銅配線に対するバリヤ層、キャパシタの上下電極等に多用される。
上記したタンタル窒化膜等の高融点金属有機材料を用いた金属化合物膜は、一般的にはCVD(Chemical Vapor Deposition)法や、高融点金属有機材料の原料ガスと窒化ガスとを交互に繰り返し流して極めて薄い膜を一層ずつ積層する、いわゆるALD(Atomic Layer Deposition)法により行われている(特許文献1、2、3、4、5)。
【0004】
従来の上記した金属化合物膜の成膜方法は、例えば高融点金属有機材料よりなるTaソースと十分な量のアンモニア(NH )ガス等を用いて成膜するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特表2005−512337号公報
【特許文献2】特開2002−50588号公報
【特許文献3】特開2004−277772号公報
【特許文献4】特開2004−263265号公報
【特許文献5】特開2005−11940号公報
【非特許文献1】「Behavior of Effective Work Function in Metal/High K Gate Stack under High Temperature Process」 Extended Abstracts of the 2004 International Conference on Solid State Devices and Material,Tokyo 2004 pp.202−203
【非特許文献2】「Challenges for The Integration of Metal Gate Electrodes」 IEDM Tech.Dig.P.P.287−290 December 2004 IEEE
【非特許文献3】「Ta−based metal gate(Ta,TaBx,TaNx and Ta(x)−Modulated Work Function andImproved Thermal Stability」 Extended Abstract ofthe 2005 International Conference on Solid State Devices and Materials Kobe 2005pp.850−851
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近にあってはデザインルールが非常に厳しくなって、線幅や膜厚がより小さくなってきており、これに伴って、例えばトランジスタにおけるゲート電極も、従来のポリSiゲートからメタルゲートへの移行が求められている。これに応じて、PMOSゲート用電極は、Pt、Ru、Wなど種々見い出されている。
しかしながら、nMOSゲート用電極は、4.1eV付近の低い仕事関数を発揮する材料がなかなか見い出せないのが現状である。例えば非特許文献1には、TaNをゲート電極に用いた時の仕事関数として4.4から4.7eV、TaSiNをゲート電極に用いた時の仕事関数として4.3から4.5eVがそれぞれ示されている。一方、非特許文献2には、TaSiNより低い仕事関数としてTaxCyが4.18eVを示すことが報告されているが、非特許文献3には、TaCxの仕事関数として4.8から5.0eVが示されており、安定して低い仕事関数を示す材料が見い出されていない、という問題点があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、炭素濃度を十分に高くすることにより、仕事関数を低くし、この結果、ゲート電極の閾値を低くすることが可能な高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成することが可能な成膜方法、成膜装置及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜の形成方法について鋭意研究した結果、CVD(Chemical Vapor Deposition)法による場合にはアンモニアガスの分圧が一定以下に設定することにより、膜中の炭素濃度を十分に高くすることができ、この結果、仕事関数及びゲート電極の閾値を低減できる、という知見を得ることにより本発明に至ったものである。
また更に、処理容器内に原料ガスとアンモニアガス等とを交互に繰り返し供給することにより、膜中の炭素濃度を十分に高くすることができる、という知見を得ることにより本発明に至ったものである。
【0009】
すなわち、請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内に、高融点金属有機材料ガスと窒素含有ガスとを供給して被処理体の表面に高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うようにしたことを特徴とする成膜方法である。
このように、窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うようにしたので、薄膜中に含まれる炭素濃度を高めることができる。従って、膜中の炭素濃度を高めることができるので、例えばトランジスタ素子のゲート電極の閾値電圧を十分に低くすることができる。
【0010】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記成膜工程の後に、前記薄膜を窒素含有ガスまたはシリコン含有ガスの雰囲気中でアニール処理するアニール工程を行うようにしてもよい。
これによれば、このアニール工程を行うことにより、抵抗率等に影響を与える膜中の未反応成分を低減(酸素濃度等を低減)したり、焼きしめたり(密度を上げる)することができる。
また例えば請求項3に規定するように、前記アニール工程は、シリコン含有ガスの雰囲気中の場合は、前記薄膜の上にシリコン膜が形成されるまで行うようにしてもよい。
また例えば請求項4に規定するように、前記成膜工程と前記アニール工程とをこの順序で複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0011】
請求項5に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内で高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記処理容器内に窒素含有ガスを供給することなく高融点金属有機材料ガスを供給して前記薄膜を形成する成膜工程を行うようにしたことを特徴とする成膜方法である。
この場合、例えば請求項6に規定するように、前記成膜工程の後に、前記薄膜を窒素含有ガスまたはシリコン含有ガスの雰囲気中でアニール処理するアニール工程を行うようにしてもよい。
この場合、例えば請求項7に規定するように、前記アニール工程は、シリコン含有ガスの雰囲気中の場合は、前記薄膜の上にシリコン膜が形成されるまで行うようにしてもよい。
【0012】
請求項8に係る発明によれば、真空引き可能になされた処理容器内に、高融点金属有機材料ガスと窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスとを供給して高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する形成方法において、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために、前記高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行うことを特徴とする成膜方法である。
このように、高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行って、薄膜中に含まれる炭素濃度を高めることができる。従って、膜中の炭素濃度を高めることができるので、例えばトランジスタ素子のゲート電極の閾値電圧を十分に低くすることができる。
【0013】
この場合、例えば請求項9に規定するように、前記両工程の間には、前記処理容器内の残留ガスを排除するパージ工程が行われる。
また例えば請求項10に規定するように、前記シリコン含有ガスは、モノシラン[SiH ]、ジシラン[Si ]、メチルシラン[CH SiH ]、ジメチルシラン[(CH SiH ]、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジシリルアミン(DSA)、トリシリルアミン(TSA)、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラジメチルアミノシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシランよりなる群より選択されるガスである。
【0014】
また例えば請求項11に規定するように、前記窒素含有ガスは、アンモニア[NH ]、ヒドラジン[NH NH ]、メチルヒドラジン[(CH )(H)NNH ]、ジメチルヒドラジン[(CH NNH ]、t−ブチルヒドラジン[(CH C(H)NNH ]、フェニルヒドラジン[(C )、2、2’−アゾイソブタン[(CH )]、エチルアジド[(C )]、ピリジン[(C N)]、ピリミジン[(C )]よりなる群より選択される1の材料である。
また例えば請求項12に規定するように、前記高融点金属有機材料中の高融点金属は、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)の内のいずれか1つである。
【0015】
また例えば請求項13に規定するように、前記タンタルを含む高融点金属有機材料は、t−ブチルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET):[(NEt TaN−Bu ]、ペンタキス(エチルメチルアミノ)タンタル(PEMAT):[Ta(NMeEt) ]、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(PDMAT):[Ta(NMe ]、ペンタキス(ジエチルアミノ)タンタル(PDEAT):[Ta(NEt ]、t−ブチルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTMET):[(NEt Me) TaN−Bu ]、t−アミルイミドトリス(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT):[(NMe TaN−Bu ]、t−アミルイミドトリス(ジメチルアミノ)タンタル(Taimata):[(NMe TaNC(CH ](Ta(Nt−Am)(NMe )よりなる群より選択される1の材料よりなり、前記チタンを含む高融点金属有機材料は、テトラキスジエチルアミノチタンTi[N(C 、テトラキスジメチルアミノチタンTi[N(CH 、テトラキスエチルメチルアミノチタンTi[N(CH )(C )] よりなる群より選択される1つの材料よりなり、前記タングステンを含む高融点金属有機材料は、ヘキサカルボニルタングステンW(CO) 、ビススターシャリブチルイミドビスジメチルアミドタングステン(t−Bu N) (Me N) Wよりなる群より選択される1つの材料よりなり、前記ハフニウムを含む高融点金属有機材料は、テトラキスジメチルアミノハフニウムHf[N(CH 、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムHf(CH (C よりなる群より選択される1つの材料である。
【0016】
請求項14に係る発明は、被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜装置において、真空引き可能になされた処理容器と、前記被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする成膜装置である。
【0017】
請求項15に係る発明は、被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜装置において、真空引き可能になされた処理容器と、前記被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために、前記高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行うように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする成膜装置である。
【0018】
請求項16に係る発明は、被処理体の表面に形成されたトランジスタにおいて、前記トランジスタのゲート電極は、炭素濃度が6atomic%以上含まれた高融点金属の金属化合物よりなる薄膜を含むことを特徴とするトランジスタである。
この場合、例えば請求項17に規定するように、前記薄膜の上層には、ポリシリコン膜が形成されている。
また例えば請求項18に規定するように、前記トランジスタのゲート絶縁膜としては、高誘電率の材料が用いられる。
また例えば請求項19に規定するように、前記高誘電率の材料は、ハフニアまたはジルコニアまたはそれらのシリケートまたはそれらのシリケートナイトライドである。
【0019】
請求項20に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、を有する成膜装置を用いて前記被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成するに際して、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うように前記成膜装置を制御するプログラムを記憶する記憶媒体である。
【0020】
請求項21に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器と、被処理体を保持する保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、を有する成膜装置を用いて前記被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成するに際して、前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために、前記高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行うように制御するプログラムを記憶する記憶媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る成膜方法、成膜装置及びこれを制御するプログラムを記憶する記憶媒体によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うようにしたので、薄膜中に含まれる炭素濃度を高めることができる。従って、膜中の炭素濃度を高めることができるので、例えばトランジスタ素子のゲート電極の閾値電圧を十分に低くすることができる。
請求項2、4、6、7に係る発明によれば、成膜工程の後に、アニール工程を行うことにより、抵抗率等に影響を与える膜中の未反応成分を低減(酸素濃度等を低減)したり、焼きしめたり(密度を上げる)することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る成膜方法、成膜装置及びこれを制御するプログラムを記憶する記憶媒体の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る処理装置を示す断面構成図である。ここでは高融点金属有機材料として例えばTa[NC(CH ][N(CH :Ta(Nt−Am)(NMe (以下、「Taソース」とも称す)を用い、反応用ガスとしては、窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内の窒素含有ガス、或いは両方のガスを用いて金属化合物膜よりなる薄膜を形成する。また窒素含有ガスとしてNH ガスを用い、シリコン含有ガスとしてモノシラン(SiH )を用いて、金属化合物膜として炭素含有シリコンタンタル窒化膜(TaSiN)を形成する場合を例にとって説明する。
【0023】
図示するようにこの成膜装置2は、例えば断面の内部が略円形状になされたアルミニウム製の処理容器4を有している。この処理容器4内の天井部には必要な処理ガス、例えばTaソース、NH ガス、モノシランガス、Arガス等を導入するためにガス導入手段であるシャワーヘッド部6が設けられており、この下面のガス噴射面8に設けた多数のガス噴射孔10から処理空間Sに向けて処理ガスを吹き出すようにして噴射するようになっている。尚、シャワーヘッド部6としてはTaソースとNH 及びモノシランガスは別々に導入する、いわゆるポストミックス構造の構成としてもよい。
このシャワーヘッド部6と処理容器4の上端開口部との接合部には、例えばOリング等よりなるシール部材12がそれぞれ介在されており、処理容器4内の気密性を維持するようになっている。
【0024】
また、処理容器4の側壁には、この処理容器4内に対して被処理体としての半導体ウエハMを搬入搬出するための搬出入口14が設けられると共に、この搬出入口14には、気密に開閉可能になされたゲートバルブ16が設けられている。
そして、この処理容器4の底部18に排気落とし込め空間20が形成されている。具体的には、この容器底部18の中央部には大きな開口が形成されており、この開口に、その下方へ延びる有底円筒体状の円筒区画壁22を連結してその内部に上記排気落とし込め空間20を形成している。そして、この空間20を区画する円筒区画壁22の底部22Aには、これより起立させて例えば円筒体状の支柱25が設けられており、この上端部に保持手段としての載置台24が固定されている。この載置台24上に上記ウエハMを載置して保持(支持)することになる。
【0025】
そして、上記排気落とし込め空間20の開口は、載置台24の直径よりも小さく設定されており、上記載置台24の周縁部の外側を流下する処理ガスが載置台24の下方に回り込んで空間20へ流入するようになっている。そして、上記円筒区画壁22の下部側壁には、この排気落とし込め空間20に臨ませて排気口26が形成されており、この排気口26には、図示しない真空ポンプや圧力調整弁が介設された真空排気系28が接続されており、処理容器4内及び排気落とし込め空間20の雰囲気を排気できるようになっている。そして、上記圧力調整弁の弁開度を自動的に調整することにより、上記処理容器4内の圧力を一定値に維持したり、或いは所望する圧力へ迅速に変化させ得るようになっている。
【0026】
また、上記載置台24は、加熱手段として例えば内部に所定のパターン形状に配置された抵抗加熱ヒータ30を有しており、この外側は焼結された例えばAlN等よりなるセラミックスにより構成され、前述したように上面に被処理体としての半導体ウエハMを載置し得るようになっている。また、上記抵抗加熱ヒータ30は上記支柱25内に配設された給電線32に接続されて、電力を制御しつつ供給できるようになっている。そして、上記載置台24の上面側には、温度検出手段として例えば熱電対33が設けられており、この熱電対33から延びるリード線35が上記支柱25内を通って外部へ引き出されている。そして、この熱電対33の検出値に基づいて上記ウエハMの温度が制御されることになる。尚、上記加熱手段として、抵抗加熱ヒータ30に代えて加熱ランプを用いるようにしてもよい。
【0027】
また上記載置台24には、この上下方向に貫通して複数、例えば3本のピン挿通孔34が形成されており(図1においては2つのみ示す)、上記各ピン挿通孔34に上下移動可能に遊嵌状態で挿通させた押し上げピン36を配置している。この押し上げピン36の下端には、円形リング形状の一部を欠いてなる円弧形状に形成された例えばアルミナのようなセラミックス製の押し上げリング38が配置されており、この押し上げリング38の上面に、上記各押し上げピン36の下端は支持されている。この押し上げリング38から延びるアーム部38Aは、容器底部18を貫通して設けられる出没ロッド40に連結されており、この出没ロッド40はアクチュエータ42により昇降可能になされている。これにより、上記各押し上げピン36をウエハMの受け渡し時に各ピン挿通孔34の上端から上方へ出没させるようになっている。また、アクチュエータ42の出没ロッド40の容器底部の貫通部には、伸縮可能なベローズ44が介設されており、上記出没ロッド40が処理容器4内の気密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0028】
そして、上記シャワーヘッド部6には、必要な処理ガスを供給するためのガス供給系が接続されている。具体的には、このシャワーヘッド部6には、高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給系46と、反応用ガス供給系の1つである窒素含有ガスを供給する窒素含有ガス供給系48と、反応用ガス供給系の1つであるシリコン含有ガス供給系50と、パージガス供給系52とがそれぞれ接続されている。具体的には、各ガス供給系46〜52は、それぞれガス通路54、56、58、60を有しており、各ガス通路54〜60には、最終段に開閉弁54A、56A、58A、60Aがそれぞれ介設されて、各ガスの供給開始と供給停止とを自在に制御できるようになっている。また各ガス通路46〜60の上流側には、例えばマスフローコントローラのような流量制御器(図示せず)がそれぞれ介設されており、供給するガスの流量を制御できるようになっている。また、開閉弁54A、56A、58A、60Aとシャワーヘッド部6の間に処理容器4を迂回して直接排気系につながる流路を設け、シャワーヘッド部6にガスを供給しないときは排気するようにしても流量が安定する利点が得られ、供給停止の1つの形態として機能する。
【0029】
そして、上記高融点金属有機材料は、不活性ガスである例えばArガスでバブリングすることにより、或いは気化器によって気化されてArガスのキャリアガスと共に、高融点金属有機材料ガスとして供給されることになる。このキャリアガスとしては、N 、He等も使用可能である。
前述したように、ここでは高融点金属有機材料ガスとしてArガスで運ばれたTaソースが用いられ、窒素含有ガスとしてNH ガスが用いられ、シリコン含有ガスとしてモノシラン(SiH )が用いられ、パージガスとしてArガスが用いられている。尚、上記キャリアガスは希釈ガスとしても機能する。
そして、この成膜装置2の全体の動作、すなわち各種ガスの供給開始、供給停止、ウエハ温度、プロセス圧力等の各種の制御をするために例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御手段64を有している。そして、この制御手段64は、上記した制御を行うためのプロラムを記憶する記憶媒体66を有しており、この記憶媒体66は例えばフレキシブルディスク、フラッシュメモリ、CD−ROM、DVD、ハードディスク等よりなる。
【0030】
次に、以上のように構成された成膜装置の動作について説明する。上述したように、以下に説明する各動作は、上記記憶媒体66に記憶されたプログラムに基づいて行われる。
まず、半導体ウエハMの搬入に先立って、例えば図示しないロードロック室に接続されたこの成膜装置2の処理容器4内は例えば真空引きされており、また、ウエハMを載置する載置台24は加熱手段である抵抗加熱ヒータ30によって所定の温度に昇温されて安定的に維持されている。
【0031】
さて、このような状態において、まず、未処理の例えば300mmの半導体ウエハMは、図示しない搬送アームに保持されて開状態となったゲートバルブ16、搬出入口14を介して処理容器4内へ搬入され、このウエハMは、上昇された押し上げピン36に受け渡された後に、この押し上げピン36を降下させることにより、ウエハMを載置台24の上面に載置してこれを支持する。
次に、シャワーヘッド部6へ各種ガスを後述するように供給すると同時に、真空排気系28に設けた真空ポンプの駆動を継続することにより、処理容器4内や排気落とし込め空間20内の雰囲気を真空引きし、そして、圧力調整弁の弁開度を調整して処理空間Sの雰囲気を所定のプロセス圧力に維持する。これにより、半導体ウエハMの表面に炭素(C)含有のTaSiN膜が形成されることになる。尚、ここで膜中の炭素(C)や窒素(N)は、Taソース中に含まれる炭素成分や窒素成分が主として取り込まれることによって膜中に含まれる。従って、Taソース以外の供給ガスとして炭素含有ガスや窒素含有ガスを用いなくても炭素含有タンタル窒化膜を形成することができる。
【0032】
以下に、具体的に各ガスの供給態様について説明する。
<実施例1及び実施例2>
まず、本発明方法の実施例1及び実施例2について説明する。
図2は本発明方法の実施例1及び実施例2のガス供給形態を示す図であり、図2(A)は実施例1を、図2(B)は実施例2をそれぞれ示す。また図9は、以下に説明する主要なプロセスの成膜条件と、その時に形成された薄膜の分析結果を示す図である。
前述したように、ここでは金属化合物膜よりなる薄膜として炭素含有シリコンタンタル窒化膜(C含有TaSiN)を形成する場合について説明する。
まず図2(A)に示すように、Taソース(ここではTaimato)とNH ガスとモノシラン(SiH )ガスとを同時に処理容器4内へ供給し、CVD処理により所定の時間(成膜時間)T1だけ成膜処理を行う。
【0033】
これにより、C含有TaSiN膜を形成する。この時のプロセス条件につていは、プロセス温度は300〜700℃の範囲であり、例えば600℃、プロセス圧力は5〜266Paの範囲であり、例えば40Pa(0.3Torr)、成膜時間T1は必要とする膜厚に依存し、例えば300secである。各ガスの供給量に関しては、Taソースの流量は0.1〜40sccmの範囲であり、例えば22sccm、キャリア用Arガスの流量は10〜200sccmの範囲であり、例えば100sccm、希釈用Arガスの流量は10〜800sccmの範囲であり、例えば280sccm、SiH ガスの流量は0〜1000sccmの範囲、更に好ましくは200〜800sccmの範囲であり、例えば400sccm、NH ガスの流量は0〜1000sccmの範囲、更に好ましくは0〜500sccmの範囲であり、例えば20sccmである。
【0034】
ここで重要な点は、堆積される薄膜中の炭素濃度を高めるために、処理容器4内における窒素含有ガスであるNH ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定することである。このように、NH ガスの分圧を17%以下となるように制限することにより、後述するように膜中における炭素濃度を、目標値である6%以上、好ましくは8%以上に向上させることが可能となる(図9(A)の実施例1参照)。尚、ここでは上述のように全圧は0.3Torrなのでその10%は0.03Torrになる。
【0035】
実施例2は、図2(B)に示すように、上記実施例1のように形成した薄膜に対して、このウエハMを大気に晒すことなくin−situでアニール処理を施す。この場合には、例えば成膜工程後、ウエハMを処理容器4内から取り出すことなく、同一の処理容器4内でアニール処理するアニール工程を行う。具体的には、ここでは、成膜工程を終了した後、TaソースとSiH ガスの供給を停止してNH ガスを継続して流し、NH ガスの雰囲気中にて所定の時間T2だけアニール処理を行う。
このアニール工程におけるプロセス条件は、プロセス温度は300〜800℃の範囲であり、例えば600℃、プロセス圧力は0.1〜10Torrの範囲であり、例えば2Torrである。尚、アニール工程の温度を成膜工程の温度と同じに設定すれば、ウエハ温度の昇降温に要する時間をなくすことができるので、その分、スループットを向上できる。尚、クラスタツール装置のようにウエハMを大気に晒すことなく搬送できるならば、成膜処理後に別のアニール装置にてアニール処理を行ってもよい。
【0036】
ここでNH ガスの流量は100〜2000sccmの範囲、例えば400sccmである。またアニール処理の時間T2は30〜1800secの範囲であり、例えば120secである。上記アニール時間T2が30secより短いとアニールの効果が少なく、また1800secよりも長いと、アニール効果が飽和するので、それ以上のアニール処理はスループットの低下を招いてしまう。
【0037】
このように、アニール処理を行うことなくウエハを取り出すと、ウエハ表面上の活性な未反応性分が大気中の酸素と化合して膜中の酸素成分が多くなり、膜特性に悪影響を与える。上述のように成膜後に窒素含有ガス雰囲気中でアニール処理を行うことにより、ウエハ表面中の未反応性分が窒素と反応して窒素終端(改質処理)されるので、大気中の酸素との反応を抑制し、膜中の炭素濃度を維持させることができると共に、酸素成分の増加を抑制することができる(図9(A)の実施例2参照)。
尚、ここではアニール処理をNH ガス雰囲気中で行ったが、これに替えて、SiH ガス雰囲気中、或いはNH とSiH の混合ガス雰囲気中で行うようにしてもよい。特にSiH ガスを供給してアニール処理を行う場合には、ウエハ上に薄くシリコン膜が形成されるまで十分にアニール処理を行うようにしてもよい。これにより、成膜されたC含有TaSiN膜をSiで覆ってキャップし、酸化を抑制することができる。
【0038】
<実施例2−1(変形例)>
次に実施例2の変形例(実施例2−1)について説明する。
図3は実施例2−1のガス供給形態を示す図である。図2(B)に示す実施例2では、成膜工程とアニール工程をそれぞれ1回ずつ行って終了したが、この実施例2−1では、上記成膜工程とアニール工程とをこの順序で複数回繰り返し行う。この場合、成膜工程とアニール工程とで1サイクルとなり、必要とする膜厚に応じてサイクル数を定める。
この場合、成膜工程とアニール工程とを繰り返し行うので、1サイクル中の成膜時間T1及びアニール時間T2は、図2(B)に示す実施例2の場合よりも短く設定すればよく、図3中における成膜時間T1は例えば30sec程度、アニール時間T2は例えば10sec程度である。この場合には、上記実施例2と同様な作用効果を発揮することができる。
【0039】
<実施例3>
次に実施例3及びその変形例(実施例3−1)について説明する。
図4は実施例3及びその変形例(実施例3−1)のガス供給形態を示す図である。
先に説明した実施例においては、成膜時には必ずNH ガスとSiH とを供給していたが、ここでは両ガスの供給を停止し、Taソースのみを供給するようにしている。すなわち、図4(A)に示す実施例3では、TaソースをArキャリアガスと共に供給してCVD法により薄膜を所定の時間T3だけ堆積させている。この時の薄膜は、Siを含んでおらず、C含有TaN膜となる(図9(A)の実施例3参照)。
【0040】
この時のプロセス条件については、プロセス温度は300〜700℃の範囲であり、例えば400℃(実施例1、2の時より低い)、プロセス圧力は10〜266Paの範囲であり、例えば40Pa(実施例1と同じ)である。成膜時間はT3は必要とする膜厚に依存し、例えば300secである。
各ガスの供給量に関しては、Taソースの流量は0.1〜40sccmの範囲内であり、例えば22sccm、キャリア用Arガスの流量は10〜200sccmの範囲であり、例えば100sccm(実施例1と同じ)、希釈用Arガスの流量は10〜800sccmの範囲であり、例えば520sccmである。SiH ガス及びNH ガスの流量は、上述のように共に”ゼロ”である。
【0041】
ここで重要な点は、堆積される薄膜中の炭素濃度を高めるために、処理容器4内における窒素含有ガスであるNH ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定することである。より詳しくは、ここではNH ガスの流量は”ゼロ”なのでNH ガスの分圧は”ゼロ”である。
この場合にも、膜中における炭素濃度を、目標値である6%以上、好ましくは8%以上に向上させることが可能となる(図9(A)の実施例3参照)。
【0042】
<実施例3−1(変形例)>
次に実施例3の変形例(実施例3−1)について説明する。
この実施例3−1は、図4(B)に示すように、上記実施例3のように形成した薄膜に対して、このウエハMを大気に晒すことなくin−situでアニール処理を施す。この場合には、例えば成膜工程後、ウエハMを処理容器4内から取り出すことなく、同一の処理容器4内でアニール処理するアニール工程を行う。これは実施例2の場合と同じである。具体的には、ここでは、成膜工程を終了した後、Taソースの供給を停止してNH ガスの供給を開始してこれを流し、NH ガスの雰囲気中にて所定の時間T4だけアニール処理を行う。
【0043】
このアニール工程におけるプロセス条件は、プロセス温度は300〜800℃の範囲であり、例えば600℃、プロセス圧力は0.1〜10Torrの範囲であり、例えば2Torrである。尚、アニール工程の温度を成膜工程の温度と同じに設定すれば、ウエハ温度の昇降温に要する時間をなくすことができるので、その分、スループットを向上できる。尚、クラスタツール装置のようにウエハMを大気に晒すことなく搬送できるならば、成膜処理後に別のアニール装置にてアニール処理を行ってもよい。
ここでNH ガスの流量は100〜2000sccmの範囲、例えば400sccmである。またアニール処理の時間T4は30〜1800secの範囲であり、例えば120secである。上記アニール時間T4が30secより短いとアニールの効果が少なく、また1800secよりも長いと、アニール効果が飽和するので、それ以上のアニール処理はスループットの低下を招いてしまう。
【0044】
このように、アニール処理を行うことなくウエハを取り出すと、ウエハ表面上の活性な未反応性分が大気中の酸素と化合して膜中の酸素成分が多くなり、膜特性に悪影響を与える。先の実施例2と同様に、上述のように成膜後に窒素含有ガス雰囲気中でアニール処理を行うことにより、ウエハ表面中の未反応性分が窒素と反応して窒素終端(改質処理)されるので、大気中の酸素との反応を抑制し、膜中の炭素濃度を維持させることができると共に、酸素成分の増加を抑制することができる(図9(A)の実施例3参照)。
【0045】
尚、ここではアニール処理をNH ガス雰囲気中で行ったが、これに替えて、SiH ガス雰囲気中、或いはNH とSiH の混合ガス雰囲気中で行うようにしてもよい。特にSiH ガスを供給してアニール処理を行う場合には、ウエハ上に薄くシリコン膜が形成されるまで十分にアニール処理を行うようにしてもよい。これにより、成膜されたC含有TaN膜をSi層で覆ってキャップするので酸化を抑制することができる。
また、図3の実施例2−1で説明したと同様に、ここで、上記時間T3及びT4をそれぞれ短く設定して、図4(B)中の成膜工程とアニール工程とを、この順序で複数回繰り返し行うようにしてもよい。
【0046】
<比較例1〜3>
ここで上記各実施例に対して比較例1〜3を実施して評価を行ったので、その評価結果について説明する。
図5はNH の流量及び分圧とC(炭素)濃度との関係を示すグラフであり、図5(A)はNH の流量との関係を示し、図5(B)はNH 分圧との関係を示している。また図9(A)はTaSiN成膜条件とXPS(Xray Photoelectron Spectroscopy)による膜中の各原子の分析結果を示す図である。
【0047】
ここで実施例1〜3のプロセス条件は、先に説明した通りであり、また比較例1〜3のプロセス条件は図9(A)に示した通りである。すなわち、比較例1〜3は、Taソースの供給量は実施例1〜3の場合と同じであり、そのプロセス圧力も全て0.3Torrに設定されている。また比較例1〜3において、NH ガスの流量は、従来の成膜方法のように200sccmと多く供給されて、その分圧は比較的高く設定されている。またプロセス温度に関しては、比較例1が600℃であり、比較例2、3がそれぞれ400℃である。図中、”DR”は成膜レートを示す。
尚、成膜温度以外のプロセス条件を同一にして、膜中のC濃度の温度依存性について検討した結果、一般的な成膜温度である400〜600℃の範囲では、膜中のC濃度の変化はほとんどなく、膜中のC濃度は温度依存性がほとんど見られなかった。
【0048】
図9(A)の比較例1〜3に示すように、NH ガスの流量を200sccmに設定して且つNH ガスの分圧が高い場合には、膜中のC濃度はそれぞれ4.6、2.8及び3.5atomic%であり、C濃度をそれ程高くすることができない。
これに対して、実施例1〜3に示すように、NH ガスの流量を少なくし、或いは”ゼロ”にして、NH ガスの分圧を低くした場合には、膜中の炭素濃度はそれぞれ12.2、9.5及び14.8atomic%であり、上記従来の成膜方法である比較例1〜3の場合よりもC濃度をかなり向上できることが確認できた。
【0049】
図5(A)及び図5(B)は上記図9(A)中の一部、或いは全部の分析結果に基づいてNH ガスの流量、或いは分圧とC濃度との関係を示すグラフである。図5に示すように、NH ガスの流量或いはNH 分圧を小さくする程、膜中のC濃度を減少させることができる。特に図5(B)に示すように、NH 分圧とC濃度とは強い相関関係があり、このグラフによれば、C濃度を目標値である6%以上にするには、NH 分圧を0.05Torr以下に設定すること、すなわちここでは全圧は0.3Torrなので、NH 分圧を全圧の17%以下に設定すればよいことが確認できた。またC濃度の好ましい値である8%以上にするには、NH 分圧を0.03Torr以下に設定すればよいことが確認できた。またC濃度の更に好ましい値である10%以上にするには、NH 分圧を0.02Torr以下に設定すればよいことが確認できた。
【0050】
このように、NH 分圧を低下させることにより膜中のC濃度を低下させることができる理由は、NH ガスの供給量を少なくすることによってTaソースの分解が抑制されて部分的に未分解ソースが残留することになり、この未分解ソース中の炭素成分が膜中に取り込まれるからであると考えられる。
ただし、この場合、上記未分解ソースは比較的活性状態にあるので、成膜工程の後にウエハを大気中に晒すと、活性状態の未分解のソースが大気中の酸素と反応して酸素が膜中に取り込まれ、膜質に悪影響を与える酸素濃度が上がってしまう。例えば実施例1、3に示すように酸素濃度が12.0%及び30.5%になっており、比較例1〜3と比較して高くなっている。
【0051】
そこで、先に実施例2及び実施例3−1(図9中には示さず)にて説明したように、成膜工程の後にウエハを大気に晒すことなくin−situ等でNH やSiH 雰囲気中でアニール処理を施して未分解のソースの末端を窒素原子やシリコン原子で終端させる。これにより、炭素が僅かに消費されて炭素濃度は実施例1の12.2%から9.5%へ減するが、それでも炭素濃度を高く維持しつつ、酸素濃度を実施例1の12.0%から7.7%に低減させることができる。この膜中の酸素濃度はゼロに近いほどより好ましい。
尚、ここで確認的に、実施例1のプロセス条件において、SiH の流量のみを種々変更してSiH 分圧に対する膜中のC濃度の依存性を調べたところ、図6に示すように、SiH 分圧に対して膜中のC濃度はほとんど変化せず、SiH 分圧に対する依存性がほとんど存在しないことが確認できた。
【0052】
また、ここで上記実施例1におけるNH 分圧と膜中のC濃度及びフラットバンド電圧(仕事関数)との関係を求めて評価を行ったので、その評価結果について説明する。図7は実施例1におけるNH 分圧と膜中のC濃度及びフラットバンド電圧(仕事関数)との関係を示すグラフである。図7に示すように、NH 分圧を小さくする程、膜中のC濃度は次第に増加するのに対して、フラットバンド電圧(仕事関数)は次第に低下していることが確認できた。フラットバンド電圧の低下は仕事関数の低下につながるため、NH 分圧を小さくする程、膜中のC濃度が高くなる結果、仕事関数を低下させ、閾値も低下させることができることを確認できた。
【0053】
<実施例4及び実施例5>
次に、実施例4及び実施例5について説明する。
先の実施例では、主としてTaソースとNH ガスとを同時に流してCVD法により比較的長時間、例えば300sec程度成膜処理を行うようにした場合を例にとって説明したが、これに限定されず、Taソースの供給とNH ガスの供給とを交互に繰り返し行うようにすると共に、各供給期間を短くするようにしてC含有TaSiN膜、或いはC含有TaN膜の成膜を行うようにしてもよい。
図8は本発明に係る成膜方法の実施例4及び5のガス供給形態を示す図であり、図8(A)は実施例4を示し、図8(B)は実施例5を示す。尚、両実施例4、5の関係は、実施例4においてSiH ガスの供給を完全になくした方法が実施例5に相当する。
【0054】
<実施例4>
まず、図8(A)に示す実施例4では、Taソースを供給する工程(期間T11)と、NH ガスを供給する工程(期間12)とを交互に繰り返して複数回行う。この場合、Taソース供給工程とNH ガス供給工程との間には、この処理容器4内の残留ガスを排除するパージ工程期間(T13及びT14)を行う。このパージ工程では、ここではパージガスとしてArガスを供給して容器内の残留ガスの排出を促進している。この場合、Taソースガスが処理容器4内に残留する程のパージが好ましい。このパージガスとしては、他の不活性ガス、例えばN 、He、Ne等を用いてもよい。またパージ工程では、全てのガスの供給を停止して真空引きだけを継続して行うようにしてもよい。尚、SiH ガスを供給しない場合は、C含有TaN(実施例5の場合)が形成される。
【0055】
また、上記NH ガスの供給工程を行っている時に、SiH ガスの供給(SiH ガス供給工程)を行って、上述したように堆積されるタンタル窒化膜中にシリコン(Si)を添加してC含有TaSiN膜を形成するようになっている。ここではSiH ガスの供給は、上記NH ガスの供給と同時に且つ同期させて行っている。そして、Taソース供給工程の開始から、次のTaソース供給工程の開始までの間が1サイクルとなる。
【0056】
ここで各プロセス条件は以下の通りである。
Taソース供給工程の期間T11は、好ましくは1〜60secの範囲内、ここでは例えば30secに設定している。NH 供給工程の期間T12及びモノシラン供給工程の期間は、好ましくはそれぞれ1〜60secの範囲内、ここでは例えば10secに設定している。上記NH 供給工程の前後のパージ工程の期間T13及びT14は好ましくは1〜60secの範囲内、ここでは共に例えば10secに設定している。
【0057】
またTaソース供給工程(期間T11)のTaソースの流量は、好ましくは0.1〜40sscmの範囲であり、ソースボトルの温度とキャリアArガスの流量により制御される。ここではソースボトル温度を46.5℃、キャリアArガスの流量を100sccmとした。また、さらに希釈用のArガスを250sccm加えた。NH 供給工程(期間T12)のNH の流量は好ましくは10〜1000sccmの範囲であり、ここでは200sccmに設定している。モノシラン供給工程のSiH の流量は好ましくは10〜1000sccmの範囲であり、ここでは200sccmに設定している。
また両パージ工程(期間T13及びT14)のArの流量は好ましくは5〜2000sccmの範囲であり、ここではそれぞれ20sccmに設定している。またプロセス圧力に関しては、好ましくは1.3〜667Paの範囲内、ここでは40Paに一定に維持されている。
【0058】
図8(B)に示す実施例5では、上述したように図8(A)に示す実施例4中からSiH ガスの供給を完全になくした成膜方法であり、他のプロセス条件は実施例4の場合と同じである。
実施例4では、Taソースの供給により、ウエハ表面にTaソースが吸着、或いは成膜が行われ、その後、パージ工程を行った後にNH ガスとSiH ガスでTaソースの活性部分を終端させる、という短い工程を繰り返し行って薄膜を形成している。
実施例5では、実施例4の成膜方法において、SiH ガスなしでNH ガスのみでTaソースの活性部分を終端させている。
【0059】
図9(B)に上記成膜条件と形成されたC含有薄膜のXPSによる分析結果を示している。ここでは共に40サイクル繰り返し行って薄膜を形成した。
図9(B)に示すように、上記実施例4及び5における薄膜中のC濃度はそれぞれ9.2%及び11.7%であり、またO濃度はそれぞれ6.1%及び9.1%であった。このように両実施例4及び5は、共に、C濃度が目標値である8%よりも高く、且つO濃度はそれ程高くなくて低く抑制できることを確認することができた。この膜中の酸素濃度はゼロに近いほどより好ましい。尚、上記実施例5において、NH ガスに代えてSiH ガスを供給して終端処理を行うようにしてもよい。
尚、上記各実施例における膜中に、他の不純物、例えばB(ボロン)等を加えるようにしてもよい。
【0060】
以上説明したような各実施例で形成された炭素含有の金属化合物の薄膜は、例えば図10に示すようなトランジスタのゲート電極に用いられる。図10は本発明方法で形成した金属化合物の薄膜を用いるトランジスタの一例を示す概略断面図である。
図10に示すように、被処理体としての半導体ウエハMは、例えばシリコン基板が用いられる。この半導体ウエハM上のゲート70とドレイン72との間に、ゲート絶縁膜74を介してゲート電極76が設けられる。このゲート電極76は、上記ゲート絶縁膜74上に積層される本発明方法で形成した炭素含有(炭素濃度0.06%以上)の高融点金属の金属化合物よりなる薄膜76Aと、この上に積層されるポリシリコン膜76Bとにより主に形成されている。
【0061】
この場合、上記ゲート絶縁膜74としては、SiO 膜の他に高融電率材料、例えばハフニア(HfO )やジルコニア(ZrO )、これらのシリケート(HfSiO、ZrSiO)、またはこれらのシリケートナイトライド(HfSiON、ZrSiON)等を用いることができる。尚、上記ポリシリコン膜76B上及び側壁全面に保護膜としてシリコン窒化膜等が必要に応じて形成される。このようなトランジスタによれば、前述したように、ゲート電極の閾値を十分に低くすることができる。
【0062】
また、上記各実施例ではシリコン含有ガスとしてSiH を用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、上記シリコン含有ガスは、モノシラン[SiH ]、ジシラン[Si ]、メチルシラン[CH SiH ]、ジメチルシラン[(CH SiH ]、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジシリルアミン(DSA)、トリシリルアミン(TSA)、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラジメチルアミノシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシランよりなる群より選択されるガスを用いることができる。
【0063】
また上記実施例では窒素含有ガスとしてNH を用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、上記窒素含有ガスは、アンモニア[NH ]、ヒドラジン[NH NH ]、メチルヒドラジン[(CH )(H)NNH ]、ジメチルヒドラジン[(CH NNH ]、t−ブチルヒドラジン[(CH C(H)NNH ]、フェニルヒドラジン[(C )、2、2’−アゾイソブタン[(CH )]、エチルアジド[(C )]、ピリジン[(C N)]、ピリミジン[(C )]よりなる群より選択される1の材料を用いることができる。
また上記実施例では高融点金属材料中の高融点金属としてTaを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、上記高融点金属有機材料中の高融点金属は、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)の内のいずれか1つを用いることができる。
【0064】
この場合、上記タンタルを含む高融点金属有機材料は、t−ブチルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET):[(NEt TaN−Bu ]、ペンタキス(エチルメチルアミノ)タンタル(PEMAT):[Ta(NMeEt) ]、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(PDMAT):[Ta(NMe ]、ペンタキス(ジエチルアミノ)タンタル(PDEAT):[Ta(NEt ]、t−ブチルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTMET):[(NEt Me) TaN−Bu ]、t−アミルイミドトリス(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT):[(NMe TaN−Bu ]、t−アミルイミドトリス(ジメチルアミノ)タンタル(Taimata;商品名):[(NMe TaNC(CH ](Ta(Nt−Am)(NMe )よりなる群より選択される1の材料を用いることができる。
【0065】
上記チタンを含む高融点金属有機材料は、テトラキスジエチルアミノチタンTi[N(C 、テトラキスジメチルアミノチタンTi[N(CH 、テトラキスエチルメチルアミノチタンTi[N(CH )(C )] よりなる群より選択される1つの材料を用いることができる。
上記タングステンを含む高融点金属有機材料は、ヘキサカルボニルタングステンW(CO) 、ビススターシャリブチルイミドビスジメチルアミドタングステン(t−Bu N) (Me N) Wよりなる群より選択される1つの材料を用いることができる。
上記ハフニウムを含む高融点金属有機材料は、テトラキスジメチルアミノハフニウムHf[N(CH 、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムHf(CH (C よりなる群より選択される1つの材料を用いることができる。
【0066】
また、上記各実施例では、被処理体として半導体ウエハを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、例えばガラス基板、LCD基板、セラミック基板等を用いた場合にも本発明を適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る処理装置を示す断面構成図である。
【図2】本発明方法の実施例1及び実施例2のガス供給形態を示す図である。
【図3】実施例2−1のガス供給形態を示す図である。
【図4】実施例3及びその変形例(実施例3−1)のガス供給形態を示す図である。
【図5】NH 流量及び分圧とC(炭素)濃度との関係を示すグラフである。
【図6】SiH 分圧に対する膜中のC濃度の依存性を示すグラフである。
【図7】実施例1におけるNH 分圧と膜中のC濃度及びフラットバンド電圧(仕事関数)との関係を示すグラフである。
【図8】本発明に係る成膜方法の実施例4及び実施例5のガス供給形態を示す図である。
【図9】主要なプロセスの成膜条件と、その時に形成された薄膜の分析結果を示す図である。
【図10】本発明方法で形成した金属化合物の薄膜を用いるトランジスタの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0068】
2 成膜装置
4 処理容器
6 シャワーヘッド部(ガス導入手段)
24 載置台(保持手段)
28 真空排気系
30 抵抗加熱ヒータ(加熱手段)
46 高融点金属有機材料ガス供給系
48 窒素含有ガス供給系
50 シリコン含有ガス供給系
52 パージガス供給系
64 制御手段
66 記憶媒体
M 半導体ウエハ(被処理体)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空引き可能になされた処理容器内に、高融点金属有機材料ガスと窒素含有ガスとを供給して被処理体の表面に高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うようにしたことを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記成膜工程の後に、前記薄膜を窒素含有ガスまたはシリコン含有ガスの雰囲気中でアニール処理するアニール工程を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項3】
前記アニール工程は、シリコン含有ガスの雰囲気中の場合は、前記薄膜の上にシリコン膜が形成されるまで行うことを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
【請求項4】
前記成膜工程と前記アニール工程とをこの順序で複数回繰り返し行うことを特徴とする請求項2または3記載の成膜方法。
【請求項5】
真空引き可能になされた処理容器内で高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜方法において、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記処理容器内に窒素含有ガスを供給することなく高融点金属有機材料ガスを供給して前記薄膜を形成する成膜工程を行うようにしたことを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
前記成膜工程の後に、前記薄膜を窒素含有ガスまたはシリコン含有ガスの雰囲気中でアニール処理するアニール工程を行うようにしたことを特徴とする請求項5記載の成膜方法。
【請求項7】
前記アニール工程は、シリコン含有ガスの雰囲気中の場合は、前記薄膜の上にシリコン膜が形成されるまで行うことを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
【請求項8】
真空引き可能になされた処理容器内に、高融点金属有機材料ガスと窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスとを供給して高融点金属の金属化合物膜よりなる薄膜を形成する形成方法において、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために、前記高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行うことを特徴とする成膜方法。
【請求項9】
前記両工程の間には、前記処理容器内の残留ガスを排除するパージ工程が行われることを特徴とする請求項8記載の成膜方法。
【請求項10】
前記シリコン含有ガスは、モノシラン[SiH ]、ジシラン[Si ]、メチルシラン[CH SiH ]、ジメチルシラン[(CH SiH ]、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジシリルアミン(DSA)、トリシリルアミン(TSA)、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ビスジメチルアミノシラン、テトラジメチルアミノシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシランよりなる群より選択されるガスであることを特徴とする請求項2乃至4及び6乃至9のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項11】
前記窒素含有ガスは、アンモニア[NH ]、ヒドラジン[NH NH ]、メチルヒドラジン[(CH )(H)NNH ]、ジメチルヒドラジン[(CH NNH ]、t−ブチルヒドラジン[(CH C(H)NNH ]、フェニルヒドラジン[(C )、2、2’−アゾイソブタン[(CH )]、エチルアジド[(C )]、ピリジン[(C N)]、ピリミジン[(C )]よりなる群より選択される1の材料よりなることを特徴とする請求項1乃至4及び6乃至10のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項12】
前記高融点金属有機材料中の高融点金属は、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、W(タングステン)、Hf(ハフニウム)、Zr(ジルコニウム)の内のいずれか1つであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項13】
前記タンタルを含む高融点金属有機材料は、t−ブチルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET):[(NEt TaN−Bu ]、ペンタキス(エチルメチルアミノ)タンタル(PEMAT):[Ta(NMeEt) ]、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(PDMAT):[Ta(NMe ]、ペンタキス(ジエチルアミノ)タンタル(PDEAT):[Ta(NEt ]、t−ブチルイミノトリス(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTMET):[(NEt Me) TaN−Bu ]、t−アミルイミドトリス(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT):[(NMe TaN−Bu ]、t−アミルイミドトリス(ジメチルアミノ)タンタル(Taimata):[(NMe TaNC(CH ](Ta(Nt−Am)(NMe )よりなる群より選択される1の材料よりなり、
前記チタンを含む高融点金属有機材料は、テトラキスジエチルアミノチタンTi[N(C 、テトラキスジメチルアミノチタンTi[N(CH 、テトラキスエチルメチルアミノチタンTi[N(CH )(C )] よりなる群より選択される1つの材料よりなり、
前記タングステンを含む高融点金属有機材料は、ヘキサカルボニルタングステンW(CO) 、ビススターシャリブチルイミドビスジメチルアミドタングステン(t−Bu N) (Me N) Wよりなる群より選択される1つの材料よりなり、
前記ハフニウムを含む高融点金属有機材料は、テトラキスジメチルアミノハフニウムHf[N(CH 、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムHf(CH (C よりなる群より選択される1つの材料よりなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の成膜方法。
【請求項14】
被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜装置において、
真空引き可能になされた処理容器と、
前記被処理体を保持する保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、
窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、
前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項15】
被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成する成膜装置において、
真空引き可能になされた処理容器と、
前記被処理体を保持する保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、
窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、
前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために、前記高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行うように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項16】
被処理体の表面に形成されたトランジスタにおいて、前記トランジスタのゲート電極は、炭素濃度が6atomic%以上含まれた高融点金属の金属化合物よりなる薄膜を含むことを特徴とするトランジスタ。
【請求項17】
前記薄膜の上層には、ポリシリコン膜が形成されていることを特徴とする請求項16記載のトランジスタ。
【請求項18】
前記トランジスタのゲート絶縁膜としては、高誘電率の材料が用いられることを特徴とする請求項16又は17記載のトランジスタ。
【請求項19】
前記高誘電率の材料は、ハフニアまたはジルコニアまたはそれらのシリケートまたはそれらのシリケートナイトライドであることを特徴とする請求項18記載のトランジスタ。
【請求項20】
真空引き可能になされた処理容器と、
被処理体を保持する保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、
窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、
前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、
を有する成膜装置を用いて前記被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成するに際して、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために前記窒素含有ガスの分圧を、全圧の17%以下となるように設定して成膜工程を行うように前記成膜装置を制御するプログラムを記憶する記憶媒体。
【請求項21】
真空引き可能になされた処理容器と、
被処理体を保持する保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
高融点金属有機材料ガスを供給する高融点金属有機材料ガス供給手段と、
窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスを供給する反応用ガス供給系と、
前記窒素含有ガスとシリコン含有ガスの内のいずれか1つ、或いは複数のガスと前記高融点金属有機材料ガスとを前記処理容器内へ導入するガス導入手段と、
を有する成膜装置を用いて前記被処理体に対して金属化合物膜よりなる薄膜を形成するに際して、
前記薄膜中に含まれる炭素濃度を高めるために、前記高融点金属有機材料ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガス及び/又はシリコン含有ガスを供給する工程とを交互に複数回行うように制御するプログラムを記憶する記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−113103(P2007−113103A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308817(P2005−308817)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】