説明

振動片、振動子、発振器、電子機器、および周波数調整方法

【課題】振動特性を損なわず、精度の高い周波数調整を可能とする振動片を提供する。
【解決手段】基部15と、基部15から延びる面外振動をする振動腕11,12,13と
、振動腕11,12,13に形成され振動腕11,12,13を励振させる励振電極と、
振動腕11,12,13に形成され振動腕11,12,13の周波数を調整する第1質量
部51,52,53と、を有し、第1質量部51,52,53および励振電極は振動腕1
1,12,13の面外振動により圧縮力と伸長力とが交互に加わる対向する面の一方の面
に配置され、第1質量部51,52,53が基部15から振動腕11,12,13の長さ
の1/2を超えた振動腕11,12,13の先端側であり、かつ、密度D(×103kg
/m3)が、2.20≦D≦8.92、の範囲内にある金属膜または絶縁膜で形成されて
いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片、振動子、発振器、電子機器、および周波数調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
振動腕を有する振動子において、振動腕が面内で振動するのではなく、振動腕の厚み方
向に振動(面外振動)する振動片が知られている。この振動片は、一般に奇数本の振動腕
を有し、3本以上の振動腕を持つ場合、隣り合う振動腕が反対方向の振動を交互に繰り返
す振動(ウォークモード振動)を行う。
面内振動を行う音叉型の振動子における周波数の調整は、振動腕の先端部に振動方向の
平面に錘を設け、この錘にレーザー光などを照射して錘の一部を除去して行っている。こ
れは錘の一部を除去し、振動腕の重量を減少させることで周波数を順次高くして周波数調
整が行われる(例えば特許文献1参照)。
これに対して、面外振動を行う振動子の周波数は、振動腕の振動方向の厚みに比例し、
振動腕の長さの二乗に反比例する。このため、周波数の調整は振動腕の厚みとなる面に錘
を付加せず振動腕の側面に錘を付加し、レーザー光を照射してこの側面の錘の一部を除去
することで行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−318685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
面外振動を行う振動子の小型化を図る場合、振動腕の長さが短くなるため、同じ周波数
を得るためには振動腕の厚みを薄くする必要がある。
しかしながら、振動片の周波数調整のために薄い振動腕の側面に錘を付加することは困
難である。また、振動腕の側面に錘を付加することができたとしても、レーザー光を照射
してこの錘の一部を削除することは非常に困難であり、面外振動を行う振動子の周波数調
整を容易にかつ精度よく行うことが望まれている。
【0005】
面外振動を行う振動片において、音叉型の面内振動を行う振動片と同様に振動腕に厚み
方向の膜の付加または膜の除去を行って周波数調整をする場合には、単純な錘の効果だけ
でなく厚みの変化も考慮する必要がある。このため、面外振動を行う振動子において振動
腕の厚み方向に膜の付加または膜の除去による周波数調整は困難であると考えられていた

【0006】
そこで、発明者は基部に1本の振動腕が形成された面外振動を行う振動片をモデルとし
て、振動腕の一面に金(Au)膜を形成し、それを振動腕の先端側から削除していったと
きの周波数の変化をシミュレーションして考察を行った。
その考察によれば、振動腕に形成した金属膜または絶縁膜等の質量部を先端側から削除
していくと、周波数は順次高くなるように変化し、振動腕のほぼ中央部で周波数の変化が
ゼロになる。そして、さらに金属膜または絶縁膜等の質量部を基部に向かって除去してい
くと、今度は周波数が低くなるように変化していく。
このように、発明者は、振動腕の長さのほぼ中央付近に周波数変化の方向が異なる境界
が存在することを見出し、この現象を利用して振動子の周波数調整が可能であると考えた
。特に、振動腕の中央付近では、金属膜または絶縁膜等の質量部の除去による周波数変化
が小さく、精度の高い周波数調整が期待できる。
【0007】
しかしながら、振動腕には振動腕を励振するために、励振電極を基部から振動腕の1/
2程度の長さで形成する必要がある。これは、励振電極を少なくとも振動腕の1/2程度
の長さで形成しないと励振効率が悪くなってCI値が増加し、振動片の良好な振動特性が
得られないことによる。
このため、質量部を振動片の長さの半分より先端側に設けた場合、金属膜または絶縁膜
等を除去することによる周波数の変化量が大きく微調が困難であり、精度よく周波数を調
整できないという問題がある。
【0008】
また、質量部を励振電極とは反対の面に形成することで振動腕の長さの中央付近に質量
部を設けることができ、微調を可能とするが、この質量部はレーザー光を照射などして金
属膜または絶縁膜等を除去するため、裏面の励振電極に損傷を与えるおそれがある。そし
て、励振電極が損傷することで振動片の振動特性が劣化する。
このことから、振動片の振動特性を損なわず、精度の高い周波数調整を可能とする振動
片が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]本適用例に係る振動片は、第1軸と該第1軸に直交する第2軸とを含む平
面上に設けられた基部と、前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、前記振動腕に設け
られ前記振動腕を励振させる励振電極と、前記振動腕に設けられ前記振動腕の周波数を調
整する第1質量部と、を有し、前記振動腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振動し、屈曲
振動により圧縮または伸長する第1面と、前記第1面が圧縮したときに伸長し前記第1面
が伸長したときに圧縮する第2面とを、有し前記第1質量部は前記振動腕の前記基部側の
端部から第1軸方向の全長の1/2を超えた領域に設けられ、かつ、密度D(×103
g/m3)が、2.20≦D≦8.92、の範囲内にある材料を用いたことを特徴とする

【0011】
この構成によれば、振動片の第1質量部が基部から振動腕の長さ(振動腕の全長)の1
/2を超えた振動腕の先端側であり、かつ、密度D(×103kg/m3)が、2.20≦
D≦8.92、の範囲内にある材料で形成されている。
このことから、振動片の振動腕を励振させる励振電極の長さとして、振動腕の全長の1
/2を確保することができ、実用上の発振においてCI値が低く、充分な振動特性が得ら
れる。
また、第1質量部に形成される材料の密度D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦
8.92、の範囲内にあることから、振動腕の平面に膜を形成したときに、錘効果と厚み
効果の切り替わる境界が振動腕の長さの1/2を超えた付近の部分に形成できる。この部
分は膜の除去または付加に対して周波数の変化量が小さく、周波数調整における微調に利
用でき、精度の高い周波数調整が可能となる。
このように、本適用例によれば振動片の振動特性を確保しつつ、精度の高い周波数調整
が可能な振動片を提供できる。
【0012】
[適用例2]上記適用例にかかる振動片において、前記第1質量部は、SiO2、Al
、Al23、TiO2、Cr、Fe、Ni、およびCuの中から選択される材料を用いた
ことが望ましい。
【0013】
これらの第1質量部に採用される材料は、密度D(×103kg/m3)が、2.20≦
D≦8.92、の範囲内にあり、振動腕の上に容易に形成することができる。
【0014】
[適用例3]上記適用例にかかる振動片において、前記振動腕の先端部に、密度D(×
103kg/m3)が、D>8.92、である第2質量部が設けられたことが望ましい。
【0015】
この構成によれば、密度D(×103kg/m3)が、D>8.92である材料を振動腕
の先端部に設けることで、周波数調整において粗調をする部分として利用できる。振動腕
の先端部は、膜の除去または付加に対して周波数の変化量が大きく、調整量の多い振動片
の周波数調整における加工時間を短時間にすることが可能である。
【0016】
[適用例4]上記適用例にかかる振動片において、前記第2質量部は、Ag、Au、お
よびPtの中から選択される材料を用いたことが望ましい。
【0017】
この構成によれば、Ag、Au、Pt、から選択される材料で第2質量部が形成され、
振動腕の上にこれらの第2質量部を容易に形成することができる。
【0018】
[適用例5]本適用例にかかる振動子は、上記適用例のいずれかに記載の振動片と、前
記振動片を収納したパッケージと、を備えたことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、振動子は、振動特性が良好で精度よく周波数調整が行える振動片を
備えており、周波数精度に優れた振動子を提供できる。
【0020】
[適用例6]本適用例にかかる発振器は、上記適用例のいずれかに記載の振動片と、前
記振動片に接続された回路素子と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、発振器は、振動特性が良好で精度よく周波数調整が行える振動片を
備えており、周波数精度に優れた発振器を提供できる。
【0022】
[適用例7]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の振動片を用
いたことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、上記適用例1〜4のいずれか一例に記載の効果を奏する電子機器を
提供することができる。
【0024】
[適用例8]本適用例にかかる周波数調整方法は、第1軸と該第1軸に直交する第2軸
とを含む平面上に形成される基部と、前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、前記振
動腕に形成され前記振動腕を励振させる励振電極と、前記振動腕に形成され前記振動腕の
周波数を調整する第1質量部と、を有し、前記振動腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振
動し、屈曲振動により圧縮または伸長する第1面と、前記第1面が圧縮したときに伸長し
前記第1面が伸長したときに圧縮する第2面とを有した振動片を用意する工程と、前記第
1質量部の質量を変化させることにより前記振動腕の周波数を調整する周波数調整工程と
、を有し、前記第1質量部は前記振動腕の前記基部側の端部から第1軸方向の全長の1/
2を超えた領域に形成され、かつ、密度D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦8.
92、の範囲内にある材料で形成されていることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、第1質量部に形成される材料の密度D(×103kg/m3)が、2
.20≦D≦8.92、の範囲内にあることから、振動腕の平面に膜を形成したときに、
錘効果と厚み効果の切り替わる境界が振動腕の長さの1/2を超えた付近の部分に形成で
きる。この部分は膜の除去または付加に対して周波数の変化量が小さく、周波数調整にお
ける微調に利用でき、精度の高い周波数調整が可能である。
【0026】
[適用例9]上記適用例に係る周波数調整方法は、前記振動腕の先端部に、密度D2(
×103kg/m3)が、D2>8.92である第2質量部が設けられ、前記第2質量部の
質量を変化させることにより前記振動腕の周波数を粗調する粗調工程を有し、前記粗調工
程後に前記微調工程を行うことが好ましい。
【0027】
このように、振動腕の先端部を粗調用の第2質量部とし密度D(×103kg/m3)が
、D>8.92である材料を用い、中央部を微調用の第1質量部とし密度D(×103
g/m3)が、2.20≦D≦8.92である材料を用いることで、励振電極を基部側の
端部から振動腕の中央付近(1/2L)の位置まで長く形成できるのでCI値の劣化を防
止できる。
また、粗調工程を行い、その後微調工程を行うことで、短時間に効率よく振動片の周波
数調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】面外振動を行う振動片の一例を説明する概略斜視図。
【図2】振動腕に形成された第1質量部の形成位置と周波数の関係を示すグラフ。
【図3】振動腕に形成する第1質量部の密度と周波数が増減する境界位置の関係を示すグラフ。
【図4】第1の実施形態の振動片の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は同図(a)のA−A断線に沿う概略断面図、(c)は同図(a)のB−B断線に沿う概略断面図。
【図5】第1の実施形態における振動片における周波数調整の手順を説明する模式図。
【図6】変形例における第1質量部の構成を示す構成図。
【図7】第2の実施形態の振動子の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は同図(a)のG−G断線に沿う概略断面図。
【図8】第3の実施形態の発振器の構成を示し、(a)は概略平面図、(b)は同図(a)のH−H断線に沿う概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態の説明に先立ち、本発明の理解のために、面外振動を行う振動片における質量
部と周波数の関係について詳細に説明する。
図1は面外振動を行う振動片の一例を説明する概略斜視図である。図2は振動腕に形成
された金属膜または絶縁膜等の質量部の形成位置と周波数の関係を示すグラフである。図
3は振動腕に形成する金属膜または絶縁膜等の質量部の密度と周波数が増減する境界位置
の関係を示すグラフである。
【0030】
図1に示すように、面外振動を行う振動片1は、基部15と、基部15から平行して延
びる3本の振動腕11,12,13を有している。
ここで、振動腕11,12,13が延びる方向をY方向、Y方向に直交し振動腕11,
12,13が並ぶ方向をX方向としたとき、Y方向とX方向に直交する方向をZ方向とす
る。ここで、Y方向を第1軸、X方向を第2軸と定義したときに、基部15は第1軸と第
1軸に直交する第2軸とを含む平面上に形成され、振動腕11,12,13は第1軸方向
に伸長しているとも言える。
【0031】
面外振動は振動腕の先端がZ方向、つまりXY平面に対し垂直方向に振動し、かつ隣り
合う振動腕とは反対の方向になるように振動を繰り返す振動である。このような振動は振
動腕が形成されるXY平面から外れて振動するため、一般的に面外振動と呼ばれている。
このため、振動腕11,13が+Z方向に振動し振動腕12が−Z方向に振動した場合
、XY平面に形成される振動腕11,12,13の対向する第1面11a,12a,13
aと第2面11b,12b,13bは、第1面11a,13aは圧縮し第2面11b,1
3bは伸長し、他方で第1面12aは伸長し第2面12bは圧縮する。また、振動腕11
,13が−Z方向に振動し、振動腕12が+Z方向に振動した場合は、圧縮と伸長の関係
が前述と逆になる。
なお、振動腕は3本に限らず、1本であっても良いし5本であっても良い。
【0032】
このような面外振動を行う振動片において、振動片の周波数をf、振動腕の全長をL、
振動腕の振動方向の厚みをtとすると、f∝(t/L2)、という関係がある。
つまり、面外振動を行う振動片の周波数fは、振動腕の振動方向の厚みtに比例し、振
動腕の全長Lの二乗に反比例する。
【0033】
このような振動片1の基本的な特性において、音叉型の面内振動を行う振動片と同様に
、XY平面内にある振動腕の第1面あるいは第2面に、膜の付加または膜の除去を行って
周波数調整をする場合には、単純な錘の効果だけでなく厚みの変化も考慮する必要がある
。このため、振動腕の第1面あるいは第2面に膜の付加または膜の除去による周波数調整
は困難であると考えられていた。
【0034】
そこで、発明者は基部に1本の振動腕が形成された振動片をモデルとして、XY平面内
にある振動腕の一面に金属膜または絶縁膜等の質量部を形成し、それを振動腕の先端側か
ら削除していったときの周波数の変化をシミュレーションして考察を行った。
図2がそのグラフであり、縦軸に規格化された周波数の変化Δfをとり、横軸に振動腕
の全長Lに対する周波数調整膜としての金属膜の基部側の端部からの長さをとっている。
縦軸のΔfは、振動腕に周波数を調整するための金属膜を形成しないときの周波数をf0
とし、周波数を調整するための金属膜を形成したときの周波数をfとしたときにΔf=(
f−f0)/f0とし、さらにΔfの最大値が1となるようにΔf(規格化)=Δf/(
Δfの最大値)として周波数変化量を規格化した値である。なお、このグラフは金属膜と
して金(Au)膜を形成した場合のデータである。
【0035】
図2のグラフによれば、振動腕に形成した金属膜を先端側から削除していくと、周波数
は順次高くなるように変化し、振動腕のほぼ中央部で周波数の変化がゼロになる。そして
、さらに金属膜を基部に向かって除去していくと、今度は周波数が低くなるように変化し
ていく。また、周波数の変化量はこの中央部に近いほど小さくなっている。
振動腕の長さの中央付近を境にして、振動腕の先端側では錘効果が支配的になり、金属
膜の除去により周波数は高くなる方向に変化する。また、振動腕の長さの中央付近から振
動腕の基部側では厚み効果が支配的になり、金属膜の除去により周波数は低くなる方向に
変化する。このように、金属膜が金膜の場合、振動腕の長さのほぼ中央付近に周波数変化
の方向が異なる境界が存在する。
【0036】
図3では、縦軸を周波数調整したときに周波数変化の増減が切り替わる境界位置とし、
横軸に質量部に用いる金属膜または絶縁膜の密度(×103kg/m3)をとって、各材料
を記録している。なお、境界位置は振動腕の全長をLとし、振動腕の基部側の端部からの
割合で表している。例えば、縦軸が0.5Lよりも大きいときは振動腕の先端側に境界位
置があり、0.5Lよりも小さいときは振動腕の基部側に境界位置があることを示してい
る。
図3に示すように、振動腕に形成する金属膜または絶縁膜の材料の密度によって周波数
変化の方向が異なる境界位置に差があり、金属膜または絶縁膜の密度が小さいと、この境
界位置は振動腕の先端側に存在することが分かる。
例えば、質量部としてAuを用いた場合、密度は19.3(×103kg/m3)であり
、振動腕の全長をLとしたときに、境界位置は振動腕の基部側の端部からおよそ0.43
Lの位置にあり、振動腕の中央より基部側の場所にある。また、質量部としてSiO2
たはTiO2を用いた場合、密度はSiO2が2.20(×103kg/m3)、TiO2
4.264(×103kg/m3)と前述のAuよりも小さく、その場合において境界位置
は振動腕の基部側の端部から0.6Lの位置にあり、振動腕の中央より先端側の場所にあ
る。
【0037】
このように、発明者は、振動腕の長さのほぼ中央付近に周波数変化の方向が異なる境界
が存在することを見出した。さらに、この境界の位置は金属膜または絶縁膜等の質量部の
材料の密度により変化し、密度が小さくなると境界の位置が振動腕の中央部から先端側に
移動する傾向があることを見つけた。そして、これらの知見に基づき、発明者は本発明を
創出するに至った。
【0038】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、以下の説明
に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の寸法の割合を適宜
変更している。
(第1の実施形態)
【0039】
図4は本実施形態の振動片の構成を示し、図4(a)は概略平面図であり、図4(b)
は同図(a)のA−A断線に沿う概略断面図、図4(c)は同図(a)のB−B断線に沿
う概略断面図である。
振動片1は直交座標系でXY平面に展開したときに、Z方向を厚みとする形態である。
振動片1は3本の振動腕11,12,13を有し、振動腕11,12,13はX方向に並
列されると共に、Y方向に互いに平行に延在している。そして、振動腕11,12,13
は基部15に連結され、各振動腕11,12,13が片持ち構造となる振動片1を構成し
ている。
【0040】
振動腕11,12,13の基部15に近い位置にはそれぞれ圧電素子61,62,63
が形成されている。
振動腕11に形成された圧電素子61は、図4(b)に示すように、振動腕11の厚み
を規定する対向する面(Z方向に垂直な面)の一方の面側に設けられている。そして圧電
素子61は、下部電極21、圧電膜31、上部電極41が積層されて形成されている。な
お、図示しないが圧電膜31と上部電極41との間に絶縁膜を形成しても良い。
【0041】
このようにして、圧電膜31を挟んで励振電極としての下部電極21および上部電極4
1が対向することで圧電素子61が形成され、各電極間に正負の電圧をかけることで圧電
膜が圧縮または伸長することが可能である。そして、圧電膜が圧縮または伸長することで
、振動腕11をZ方向に変位させることができる。
同様に、振動腕12,13に形成された圧電素子62,63は、振動腕11の厚みを規
定する対向する面の一方の面側に下部電極22,23、圧電膜32,33、上部電極42
,43が積層されて形成されている。
【0042】
また、励振電極としての下部電極21,22,23および上部電極41,42,43は
基部15から振動腕11の全長Lに対して1/2Lの長さに形成されている。
これは、振動腕の全長に対して1/2よりも短い長さの励振電極を用いた場合、振動片
のCI値が大きくなり充分な振動特性が得られないが、少なくとも振動腕の1/2の長さ
の下部電極、圧電膜および上部電極を確保することで、振動片の発振におけるCI値を低
く維持でき、実用上、充分な振動特性が得られることによる。
【0043】
下部電極21,22,23および上部電極41,42,43は振動片1の基部15に引
き出され、収容器などの基台に固定されて電気的導通が図られるマウント電極45,46
に接続されている。また、下部電極21,23と上部電極42とを繋ぐ接続部47が設け
られ、さらに、下部電極22と上部電極41,43とを繋ぐ接続部48が設けられ、圧電
素子61,63と圧電素子62との極性が逆になるように構成されている。
【0044】
図4(c)に示すように、振動腕11の圧電素子61が形成された面と同じ面には、第
1質量部51が設けられている。この質量部51はSiO2膜で形成され、SiO2膜の一
部を除去することで振動腕11の周波数が調整される。
なお、ここで採用される第1質量部51の金属膜または絶縁膜は、図3で示した、密度
D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦8.92、の範囲内にあればよい。この範囲
の金属膜または絶縁膜は、周波数変化の方向が異なる境界が振動腕11の中央より先端側
に形成される金属膜または絶縁膜である。このため、この第1質量部51には、周波数変
化の方向が異なる境界が存在することになる。
また、第1質量部51の材料として、例えば、SiO2、Al、Al23、TiO2、C
r、Fe、Ni、Cu、などの中から選択される。
そして、振動腕12,13においても振動腕11と同様な構成の第1質量部52,53
が設けられている。
【0045】
さらに、図4(a)に示すように、振動腕11,12,13の第1質量部51,52,
53が形成された同一面であり、その先端部に粗調用の第2質量部55,56,57が設
けられている。粗調用の第2質量部55,56,57は金(Au)膜で形成されている。
この粗調用の金属膜は密度D(×103kg/m3)が、D>8.92である材料、例えば
Au、Ag、Ptを用いるのが好ましい。図2に示すように、Au膜は振動腕の先端部に
おいて除去することによる周波数の変化量が大きく、調整量の多い振動片の粗調用の周波
数調整として最適である。
【0046】
このように、振動腕11,12,13の先端部を粗調用の第2質量部とし密度D(×1
3kg/m3)が、D>8.92である材料を用い、中央部を微調用の第1質量部とし密
度D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦8.92である材料を用いることで、励振
電極を基部側の端部から振動腕の中央付近(1/2L)の位置まで長く形成できるのでC
I値の劣化を防止でき、且つ短時間に効率よく振動片1の周波数調整が可能である。
この粗調用の第2質量部55,56,57は振動片1の調整量が少ない場合には、必ず
しも必要ではなく、第1質量部51,52,53だけで周波数の調整が可能である。また
粗調用の第2質量部55,56,57は、SiO2、Al、Al23、TiO2、Cr、F
e、Ni、Cu、などの2.20≦D≦8.92の材料を用いても良い。
【0047】
なお、下部電極および上部電極は金(Au)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)
などの金属材料を利用できる。また、下部電極および上部電極は下地との密着強度を向上
させるために下地との間にクロム(Cr)膜を備えても良い。圧電膜としては、ZnO、
AlN、PZT、LiNbO3、KNbO3などの材料を使用することができるが、特にZ
nO、AlNがより良好な特性が得られ好ましい。絶縁膜はSiO2、SiNなどが用い
られる。
振動片1は水晶またはシリコンなどの基材を用いて形成されている。そして、振動片1
の基材として水晶を用いる場合には、Xカット板、ATカット板、Zカット板などを利用
することができる。
また、上記実施例では、第1質量部51,52,53、および粗調用の第2質量部55
,56,57を振動腕の第1面側に形成しているが、これに限らず、第1質量部および第
2質量部は、振動腕の第2面側に形成しても良いし、振動腕の第1面側および第2面側の
両方に形成しても良い。
【0048】
次に、以上のような振動片における周波数調整の方法の一例について説明する。
図5は振動片における周波数調整の手順を説明する模式図である。なお、図中では圧電
素子、配線などは省略して表している。
図5(a)に示すように、振動片1の各振動腕11,12,13には粗調用の第2質量
部と微調用の第1質量部とが設けられている。振動腕11,12,13の先端側が粗調用
の第2質量部55,56,57であり、振動腕11,12,13の中央部と先端部との間
にあるのが微調用の第1質量部51,52,53である。
なお、振動片1の周波数は調整前において、目標とする周波数に対して低くなるように
設定されている。
【0049】
まず、図5(b)に示すように、各振動腕11,12,13の粗調用の第2質量部55
,56,57の金属膜にレーザー光を照射して、その一部を除去する。
レーザー光の照射は各振動腕11,12,13を横断するように、X方向に連続して照
射が行われ、ライン状に第2質量部が除去され、粗調用の第2質量部55,56,57に
レーザー加工線59が形成される。このレーザー光の照射は、振動片1の周波数が所望の
周波数範囲になるまで繰り返され、金属膜または絶縁膜等の質量部の除去により第2質量
部の質量が減少し振動片1の周波数は高くなるように調整される。また、粗調後の周波数
は、目標とする周波数に対して低くなるように設定されている。
【0050】
次に、振動片1の粗調が終了すると、図5(c)に示すように、各振動腕11,12,
13の微調用の第1質量部51,52,53の質量部にレーザー光を照射して、その一部
を除去する。
レーザー光の照射は第1質量部51,52,53の基部15とは反対側の先端側から行
われる。これは、第1質量部51,52,53の基部15とは反対側の先端側の部分では
錘効果が支配的な部分であり、金属膜または絶縁膜等の質量部を除去することで第1質量
部の質量が減少し振動片1の周波数が高くなる方向に調整できるためである。また、第1
質量部51,52,53には、周波数変化の方向が異なる境界が存在するため、この境界
付近では周波数の変化量の少ない微量の周波数調整が可能である。
レーザー光の照射は各振動腕11,12,13を横断するように、X方向に連続して照
射が行われ、ライン状に金属膜が除去され、微調用の第1質量部51,52,53にレー
ザー加工線59が形成される。このレーザー光の照射は、順次基部15側にずらして行わ
れ、振動片1の周波数が目標の周波数になるまで繰り返されて終了する。
【0051】
ここで、例えば、第1質量部51,52,53にレーザー光を照射して、周波数が高く
なるように調整するが、質量部を除去しすぎて周波数が目標の周波数より高くなってしま
う場合がある。このときには、第1質量部51,52,53の基部15側の部分にレーザ
ー光を照射して周波数調整を行う。これは、第1質量部51,52,53の基部15側の
部分では厚み効果が支配的な部分であり、金属膜または絶縁膜等の質量部を除去すること
で第1質量部の質量が減少し振動片1の周波数が低くなる方向に調整できるためである。
このように、振動片1の周波数を高くする方向だけでなく、周波数を低くすることがで
きるため、周波数調整量を誤ったとしても周波数を精度良く調整することができる。
【0052】
また、他の周波数調整方法として、粗調用の第2質量部55,56,57にて、目標と
する周波数を狙って周波数調整を行い、その後、微調用の第1質量部51,52,53に
おいて周波数調整を行う。微調では、振動片1の周波数が目標とする周波数に対して高い
か低いかを判断して、周波数が低い場合には基部15とは反対側の先端部側の第1質量部
51,52,53の金属膜または絶縁膜を除去し、周波数が高い場合には基部15側の第
1質量部51,52,53の金属膜または絶縁膜を除去する。このような方法でも振動片
1の周波数調整を行うことができる。
【0053】
なお、第1質量部の金属膜または絶縁膜をライン状に除去したが、間隔をあけてドット
状に除去しても良い。
また、振動片1を収容器にマウントした場合、回路容量などにより周波数が変化するた
め、収容器に振動片1をマウントした後に周波数調整を行うのが好ましい。
【0054】
以上、本実施形態の面外振動を行う振動片1は、第1質量部51,52,53が基部1
5から振動腕11,12,13の全長Lの1/2を超えた振動腕11,12,13の先端
側であり、かつ、密度D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦8.92、の範囲内に
ある金属膜または絶縁膜で形成されている。
このことから、振動片1の振動腕11,12,13を励振させる励振電極の長さとして
、振動腕11,12,13の全長の1/2を確保することができ、実用上の発振において
CI値が低く、充分な振動特性が得られる。
【0055】
また、第1質量部51,52,53に形成される金属膜または絶縁膜の密度D(×10
3kg/m3)が、2.20≦D≦8.92、の範囲内にあることから、振動腕11,12
,13の平面に膜を形成したときに、錘効果と厚み効果の切り替わる境界が振動腕11,
12,13の長さの1/2を超えた付近の部分に形成できる。この部分は膜の除去または
付加に対して周波数の変化量が小さく、周波数調整における微調に利用でき、精度の高い
周波数調整が可能となる。
このように、本適用例によれば振動片1の振動特性を確保しつつ、精度の高い周波数調
整が可能な振動片1を提供できる。
【0056】
なお、本実施形態では金属膜または絶縁膜を除去する方法にて説明したが、金属膜また
は絶縁膜を付加する方法でも振動片の周波数調整が可能である。
(変形例)
【0057】
次に、第1の実施形態の第1質量部における金属膜または絶縁膜の構成の変形例につい
て説明する。
図6は第1質量部の変形例における金属膜または絶縁膜の構成を示し、図6(a)は変
形例を示す平面図、図6(b)は同図(a)のC−C断面図、図6(c)は第2の変形例
を示す平面図、図6(d)は同図(c)のD−D断面図、図6(e)は第3の変形例を示
す平面図、図6(f)は同図(e)のE−E断面図である。なお、図6では一つの振動腕
について表し、他の2本の振動腕についても同様の構成とする。
【0058】
変形例として、図6(a)、(b)に示すように、振動腕11の中間部に第1質量部5
1aが形成され、第1質量部51aの金属膜または絶縁膜は振動腕11の延びる方向(Y
方向)に多数の溝部54が形成されスリットが形成されている。
また、第2の変形例として、図6(c)、(d)に示すように、振動腕11の中間部に
第1質量部51bが形成され、第1質量部51bの金属膜または絶縁膜は振動腕11の幅
方向(X方向)に多数の溝部54が形成されスリットが形成されている。
【0059】
このように、第1質量部51a,51bがスリットで形成されていることから、同じ面
積の金属膜または絶縁膜の除去に対して周波数の変化量が少なく、精度の高い微調を可能
とする。
また、スリットを形成する方向は上記に限らず、斜め方向のスリットであっても良い。
【0060】
さらに、第3の変形例として、図6(e)、(f)に示すように、振動腕11の中央付
近に第1質量部51c,51dが形成され、第1質量部51c、51dの金属膜または絶
縁膜は振動腕の幅方向(X方向)と長さ方向(Y方向)に多数のブロックに形成しても良
い。なお、図示のように第1質量部51dを第1質量部51cよりも小さく形成すること
により周波数調整量によって任意に質量部を選択することができる。
(第2の実施形態)
【0061】
次に、第2の実施形態として、上記で説明した振動片を備えた振動子について説明する

図7は振動子の構成を示し、図7(a)は概略平面図、図7(b)は同図(a)のG−
G断線に沿う概略断面図である。
【0062】
振動子5は、第1の実施形態の振動片1と、収容器としてのセラミックパッケージ81
と、蓋体85を備えている。
セラミックパッケージ81は、振動片1を収納できるように凹部が形成され、その凹部
には振動片1のマウント電極と接続される接続パッド88が設けられている。接続パッド
88はセラミックパッケージ81内の配線に接続され、セラミックパッケージ81の外周
部に設けられた外部接続端子83と導通可能に構成されている。
また、セラミックパッケージ81の凹部の周囲にはシームリング82が設けられている
。さらに、セラミックパッケージ81の底部には貫通穴86が設けられている。
振動片1は、セラミックパッケージ81の接続パッド88に導電性接着剤84を介して
接着固定され、セラミックパッケージ81の凹部を覆う蓋体85とシームリング82とが
シーム溶接されている。セラミックパッケージ81の貫通穴86には金属材料の封止材8
7が充填されている。この封止材87は、減圧雰囲気内で溶融させられ、セラミックパッ
ケージ81内が減圧状態となるように気密に封止されている。
このように、振動子5は振動特性が良好で、精度よく周波数調整が行える振動片1を備
えており、周波数精度に優れた振動子5を提供できる。
(第3の実施形態)
【0063】
次に、第3の実施形態として、上記で説明した振動片を備えた発振器について説明する

図8は発振器の構成を示し、図8(a)は概略平面図、図8(b)は同図(a)のH−
H断線に沿う概略断面図である。
【0064】
発振器6は上記振動子5の構成に回路素子としてのICチップをさらに備えた点が異な
る。このため、振動子5と同じ構成については、同符号を付し説明を省略する。
発振器6は第1の実施形態の振動片1と、収容器としてのセラミックパッケージ81と
、蓋体85と、回路素子としてのICチップ91と、を備えている。
ICチップ91は、振動片1を励振させる発振回路を含み、セラミックパッケージ81
の底部に固着され、金線などの金属ワイヤー92により他の配線と接続されている。
このように、発振器6は振動特性が良好で、精度よく周波数調整が行える振動片1を備
えており、周波数精度に優れた発振器6を提供できる。
(第4の実施形態)
【0065】
次に、第4の実施形態として、上記で説明した振動片を用いた電子機器について説明す
る。なお、図示は省略する。
上述した振動片1は、携帯電話、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デ
ジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ペ
ージャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、P
OS端末、タッチパネルを備えた機器などの基準クロック発振源などとして好適に用いる
ことができ、いずれの場合にも上述した各実施形態および変形例で説明した効果を奏する
電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…振動片、5…振動子、6…発振器、11,12,13…振動腕、11a,12a,
13a…第1面、11b,12b,13b…第2面、15…基部、21,22,23…励
振電極としての下部電極、31,32,33…圧電膜、41,42,43…励振電極とし
ての上部電極、45,46…マウント電極、47,48…接続部、51,52,53…第
1質量部、54…溝部、55,56,57…粗調用の第2質量部、59…レーザー加工線
、61,62,63…圧電素子、81…収容器としてのセラミックパッケージ、82…シ
ームリング、83…外部接続端子、84…導電性接着剤、85…蓋体、86…貫通穴、8
7…封止材、88…接続パッド、91…回路素子としてのICチップ、92…金属ワイヤ
ー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸と該第1軸に直交する第2軸とを含む平面上に設けられた基部と、
前記基部から第1軸方向に延びる振動腕と、
前記振動腕に設けられ前記振動腕を励振させる励振電極と、
前記振動腕に設けられ前記振動腕の周波数を調整する第1質量部と、を有し、
前記振動腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振動し、屈曲振動により圧縮または伸長す
る第1面と、前記第1面が圧縮したときに伸長し前記第1面が伸長したときに圧縮する第
2面とを、有し
前記第1質量部は前記振動腕の前記基部側の端部から第1軸方向の全長の1/2を超え
た領域に設けられ、かつ、密度D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦8.92、の
範囲内にある材料を用いたことを特徴とする振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の振動片において、
前記第1質量部は、SiO2、Al、Al23、TiO2、Cr、Fe、Ni、およびC
uの中から選択される材料を用いたことを特徴とする振動片。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の振動片において、
前記振動腕の先端部に、密度D(×103kg/m3)が、D>8.92、である第2質
量部が設けられたことを特徴とする振動片。
【請求項4】
請求項3に記載の振動片において、
前記第2質量部は、Ag、Au、およびPtの中から選択される材料を用いたことを特
徴とする振動片。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収納したパッケージと、
を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片に接続された回路素子と、
を備えたことを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の振動片を用いたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
第1軸と該第1軸に直交する第2軸とを含む平面上に形成される基部と、前記基部から
第1軸方向に延びる振動腕と、前記振動腕に形成され前記振動腕を励振させる励振電極と
、前記振動腕に形成され前記振動腕の周波数を調整する第1質量部と、を有し、前記振動
腕は前記平面に対し垂直方向に屈曲振動し、屈曲振動により圧縮または伸長する第1面と
、前記第1面が圧縮したときに伸長し前記第1面が伸長したときに圧縮する第2面とを有
した振動片を用意する工程と、
前記第1質量部の質量を変化させることにより前記振動腕の周波数を調整する周波数調
整工程と、を有し、
前記第1質量部は前記振動腕の前記基部側の端部から第1軸方向の全長の1/2を超え
た領域に形成され、かつ、密度D(×103kg/m3)が、2.20≦D≦8.92、の
範囲内にある材料で形成されていることを特徴とする周波数調整方法。
【請求項9】
請求項8に記載の周波数調整方法において、
前記振動腕の先端部に、密度D2(×103kg/m3)が、D2>8.92である第2
質量部が設けられ、
前記第2質量部の質量を変化させることにより前記振動腕の周波数を粗調する粗調工程を
有し、
前記粗調工程後に前記微調工程を行うことを特徴とする周波数調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−155629(P2011−155629A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180101(P2010−180101)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】