説明

携帯端末

【課題】所定時間が経過するまでの入力操作の有無に基づいて、適切に利用者の非常状態を周囲に報知することのできる携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末2は、緊急地震速報の配信サービスを利用した安否確認システム1で使用される。この携帯端末2は、利用者が所持し、災害情報配信装置4から配信される災害情報を受信する機能を備えている。携帯端末2が災害情報配信装置4から災害情報を受信してから所定の受付時間が経過するまでに、入力部からの入力操作が行われない場合には、鳴動処理部が鳴動部から鳴動音を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害情報を受信する機能を備えた携帯端末に関し、特に、災害時に利用者の非常態を報知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害の発生を検知又は予測して、公衆電話回線やインターネット網などを介して災害情報を配信するサービスが利用されている。このようなサービスの一例として、例えば、地震波の到来を予測して緊急地震速報を配信するサービス(緊急地震速報の配信サービス)が知られている。
【0003】
この緊急地震速報の配信サービスでは、地震の発生直後に、気象庁などの機関により震源に近い地震計で測定した観測データが解析される。そして、震源地とその地震の規模(マグニチュード)などの情報が、配信プロバイダを介して該当地域(例えば、震度3以上の地域)の利用者の携帯端末に配信される。
【0004】
従来、このように携帯端末に宛てて配信された災害情報を、これを受けた携帯端末がその所持者(利用者)に対して報知する災害情報伝達システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムによれば、利用者は外出先でも災害の発生や到来を認識することができ、避難や安全確保を開始することができる。
【特許文献1】特開2005−258768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害の発生時には、災害(例えば地震による家屋の倒壊など)によって、利用者が意識を失っていたり、身動きがとれなくなっていたりすること(すなわち、利用者が非常状態であること)がある。そのような場合、利用者の非常状態を周囲に報知して、周囲の者に救援を要請することが好適である。しかしながら、従来のシステムでは、災害情報が利用者に通知されるものの、利用者側から自己の非常状態を周囲に報知することができないという問題があった。つまり、従来のシステムでは、災害時に利用者の非常状態を外部に報知することについて何ら考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、災害時に利用者の非常状態を周囲に報知することのできる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯端末は、利用者が所持し、災害情報配信装置から配信される災害情報を受信する機能を備えた携帯端末であって、前記利用者が入力操作を行うための入力部と、前記利用者の非常状態を周囲に報知するための鳴動音を出力する鳴動部と、前記災害情報を受信してから所定時間が経過するまでに前記入力操作が行われない場合に、前記鳴動部から前記鳴動音を出力させる処理を行う鳴動処理部と、を備えている。
【0008】
これにより、災害が発生したときに、その災害エリア内に位置している携帯端末には、災害情報配信装置から災害情報が配信される。その災害情報を携帯端末が受信したときに、入力部から入力操作が行われない場合には、その携帯端末を所持している利用者が入力操作をすることができないような非常状態(例えば、意識を失っている状態など)である可能性がある。そのような場合に、鳴動部から鳴動音を出力させて周囲への報知が行われる。これにより、利用者の周囲の者に救援を要請することができる。
【0009】
また、本発明の携帯端末は、前記災害情報を受信してから所定時間が経過するまでに前記入力操作が行われない場合に、監視センタ装置に非常通報信号を送信する制御を行う通信制御部を備えてもよい。
【0010】
これにより、災害が発生して、携帯端末が災害情報を受信したときに、入力部から入力操作が行われない場合には、その携帯端末を所持している利用者が入力操作をすることができないような非常状態(例えば、意識を失っている状態など)である可能性がある。そのような場合に、監視センタ装置に非常通報信号を送信することにより、利用者から遠隔の者(監視センタの監視員など)にも救援を要請することができる。
【0011】
また、本発明の携帯端末では、前記鳴動処理部は、前記災害情報に基づいて決定した災害レベルに応じて、前記鳴動音の音量または鳴動パターンを異ならせてもよい。
【0012】
これにより、鳴動音の音量または鳴動パターンが、災害レベルに応じて異なるように制御される。例えば、災害レベルが高い(例えば地震の震度が大きい)ほど、鳴動音の音量が大きく設定され、高音成分の音(遠達性の高い音)を多く含むような鳴動パターンが選択される。これにより、利用者の非常状態を周囲に適切に報知することができる。
【0013】
また、本発明の携帯端末は、前記携帯端末の現在位置情報を取得する位置取得部を備え、前記鳴動処理部は、前記災害情報を受信してから所定時間が経過するまでに前記入力操作が行われず、かつ、前記現在位置情報に基づいて前記携帯端末の移動が確認できない場合に、前記鳴動部から前記鳴動音を出力させてもよい。
【0014】
これにより、災害が発生したときに、携帯端末の利用者が非常状態でなければ、入力部から入力操作を行うことができる。携帯端末は、この入力操作の有無に基づいて、その携帯端末の利用者が非常状態であるか否かを判定する。また、この携帯端末は、現在位置情報を取得し、携帯端末の移動の有無に基づいて、その携帯端末の利用者が非常状態であるか否かを判定する。具体的には、携帯端末が災害情報を受信したときに、入力部から入力操作が行われず、携帯端末の移動も確認できない場合には、その携帯端末を所持している利用者が身動きがとれず入力操作をすることもできないような非常状態(例えば、瓦礫に埋もれて意識を失っている状態など)であると判定される。このようにして、災害発生時の利用者の安否状態を把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、災害時において、所定時間が経過するまでの入力操作の有無に基づいて、適切に利用者の非常状態を周囲に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の携帯端末について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、携帯端末への緊急地震速報の配信サービスを利用した安否確認システム等に用いられる携帯端末の場合を例示する。
【0017】
ここでは、まず、本実施の形態の安否確認システムの全体の構成について説明する。図1は、安否確認システムの構成を示す図である。図1に示すように、安否確認システム1は、利用者が所持する携帯端末2と、利用者の安否を監視する監視センタに配置される監視センタ装置3(単にセンタ装置3ともいう)と、携帯端末2に災害情報を配信する災害情報配信装置4とを備えている。これらの携帯端末2とセンタ装置3と災害情報配信装置4は、互いにネットワーク5(公衆電話網、インターネット網、携帯電話網など)を介して通信可能に構成されている。
【0018】
災害情報配信装置4は、災害情報の配信プロバイダ(携帯電話の通信事業者などの災害情報配信サービスを提供する事業者)が管理する装置である。なお、以下の本実施の形態では、配信プロバイダが災害情報として緊急地震速報を配信する例について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の災害情報として、例えば、津波予測の情報、台風警報、火災に関する情報など、種々の災害に関する情報が災害情報として配信されてよい。
【0019】
この災害情報配信装置4は、地震発生時に気象庁などの機関により解析された地震震源地と規模(マグニチュード)などの情報を受信すると、その地震の影響が及ぶエリアの基地局6(例えば震度3以上のエリアの基地局6)から、この地震の情報を緊急地震速報として一斉同報で配信する機能を備えている。
【0020】
なお、この例では、地震の影響が及ぶエリアの携帯端末2(例えば震度3以上のエリアの携帯端末2)にのみ緊急地震速報を配信する場合について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、災害情報配信装置4は、すべての携帯端末2に緊急地震速報を配信し、携帯端末2にて自己の位置情報から地震の影響が及ぶエリアであるか否かを判定してもよい。このような災害情報(緊急地震速報など)の配信方法については、既に広く知られるところであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
携帯端末2は、無線通信機能を有する通信端末(例えば携帯電話)である。なお、本発明の携帯端末2は、携帯電話に限定されるものではなく、無線通信機能を備えた通信端末であればよく、PDAやパソコン、ナビゲーション装置などであってもよい。
【0022】
携帯端末2は、災害情報配信装置4から災害情報(緊急地震速報)を受信すると、基地局6やネットワーク5を介して災害受信信号を監視センタに送信し、緊急地震速報を受信したことを外部に通知する機能を備えている。また、携帯端末2は、緊急地震速報を利用者に報知して、利用者に自己の安否状態を入力させ、入力された安否状態を示す安否確認信号を監視センタに送信する機能を備えている。利用者により入力される安否状態には、無事を示す安全状態と、危険を示す非常状態とが含まれる。この何れかの状態を示す安否確認信号が監視センタに送信される。
【0023】
この携帯端末2は、利用者から安否状態の入力が行われなかった場合に、GPS衛星7から受信したGPS信号に基づいて現在の位置情報(緯度・経度情報)を算出して、携帯端末2を所持する利用者が移動しているか否かを判別し、利用者の移動が確認できなければその利用者が非常状態であると判断して、鳴動音(ブザー音)を出力するとともに、監視センタに非常状態を示す安否確認信号を送信する機能を備えている。なお、これらの機能を有する携帯端末2の具体的な構成については、図面を用いて後述する。
【0024】
センタ装置3は、複数の対象者に安否確認のサービスを提供する組織(警備保障会社の監視センタなど)により管理運営される装置である。このセンタ装置3は、携帯端末2から災害受信信号を受信すると、その携帯端末2の情報を安否管理データベース29に登録し、また、安否確認信号を受信すると利用者の安否の状態を登録する機能を備えている。
【0025】
また、センタ装置3は、携帯端末2から非常状態を示す安否確認信号を受信した場合には、その携帯端末2に対して位置要求信号を送信する機能を備えている。位置要求信号は、この信号を受信した携帯端末2に対して、所定間隔で順次現在位置情報を取得してセンタ装置3に返信するように要求する信号である。センタ装置3は、携帯端末2から受信する現在位置情報に基づいて利用者の移動有無を判別する機能を備えている。なお、これらの機能を有するセンタ装置3の具体的な構成についても、図面を用いて後述する。
【0026】
このように、センタ装置3は、災害地域に位置する携帯端末2を識別することができ、監視センタの監視員は、携帯端末2を所持する利用者に生じた非常事態と現在位置を知ることにより、何らかの対処が必要だと判断した場合には、対処員への適切な対処を指示する。このとき、対処員には、対処内容と対象携帯端末2の位置を示す地図が送信される。また、監視センタの監視員は、利用者に生じた非常事態に応じて、110番通報(警察への緊急通報)や119番通報(消防への緊急通報)、利用者本人または所定の緊急連絡先への電話連絡などの処理を行う。
【0027】
(携帯端末)
つぎに、携帯端末2の具体的な構成について、図面を参照して説明する。図2は、携帯端末2の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように携帯端末2は、GPS信号受信用とネットワーク用の共用アンテナ8を用いて無線通信を行う無線通信部9と、利用者が操作して情報入力を行うための入力部10と、ROM/RAMなどで構成される記憶部11を備えている。また、携帯端末2は、LCDやLEDなどで構成される表示部12と、振動モータなどで構成されるバイブレータ13と、スピーカなどで構成される鳴動部14を備えている。さらに、携帯端末2は、これら各部の動作を制御する制御部15を備えている。
【0028】
無線通信部9は、基地局6やネットワーク5を介してセンタ装置3および災害情報配信装置4と通信する送受信部16と、GPS衛星7から送信されるGPS信号を受信するGPS受信部17を含んでいる。
【0029】
入力部10は、各種の入力ボタンやテンキーなどで構成されており、所定のボタンやキーの入力操作によって、利用者の安否状態(安全状態または非常状態)が入力される。なお、ここでは、入力部10が入力ボタンやテンキーなどで構成された例について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、入力部10は、安否の状態を入力する2つのスイッチ(安全確認スイッチ及び非常通報スイッチ)などで構成されていてもよい。また、入力部10は、1つのスイッチの押下時間により2種類の入力が可能なものでもよく、表示部12に表示されたGUIを選択して入力を行うものであってもよい。
【0030】
記憶部11には、GPS衛星7から受信したGPS信号に基づいて算出した現在位置情報のほかに、自装置を特定するための識別情報や、各種プログラムなどが記憶される。表示部12には、携帯端末2の動作状態等が表示される。バイブレータ13は、利用者に対して振動による報知を行うものであり、鳴動部14は、利用者や周囲に鳴動音(例えばブザー音)による報知を行うものである。
【0031】
制御部15は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、携帯端末2の各種の動作の制御を行う機能を備えている。この制御部15は、このマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、位置取得部18、通信制御部19、安否確認処理部20、状態判定部21、鳴動処理部22などを有している。
【0032】
位置取得部18は、GPS受信部17が受信するGPS信号から現在位置情報(緯度・経度情報)を算出し、この現在位置情報を、算出したときの時刻情報とともに記憶部11に記憶する。また、位置取得部18は、位置追跡処理として、所定時間おきに(例えば1分間隔で)現在位置情報を算出して時刻情報とともに記憶する処理を行う。また、位置取得部18は、センタ装置3から位置要求信号を受信すると、位置追跡処理を開始し、例えば1分間隔でGPS受信部17から受信するGPS信号から現在位置情報を算出し、算出したときの時間情報と対応させて記憶部11に記憶するとともに通信制御部19に出力する。
【0033】
通信制御部19は、送受信部16が災害情報配信装置4から緊急地震速報を受信すると、センタ装置3に災害受信信号を送信する制御を行う。災害受信信号は、携帯端末2が緊急地震速報を受信したことを監視センタに通報する信号である。また、通信制御部19は、利用者が入力部10から入力した安否状態(安全状態、非常状態)を示す安否確認信号を監視センタに送信する制御を行う。さらに、この通信制御部19は、状態判定部21で利用者の安否状態が判定されると(後述する)、判定された安否状態を示す安否確認信号を監視センタに送信する制御を行う。センタ装置3に送信されるこれらの信号(災害受信信号および安否確認信号)には、記憶部11に記憶された識別情報が含まれる。また、これらの信号には、位置取得部18が取得した現在位置情報を添付してよい。
【0034】
また、通信制御部19は、センタ装置3から位置要求信号を受信すると、位置取得部18が取得した現在位置情報を監視センタに送信する制御を行う。
【0035】
なお、この通信制御部19は、緊急地震速報を受信しているとき(災害時)に各種信号の送信に失敗した場合には、輻輳(通信トラフィック)の発生を考慮して、所定の遅延時間(記憶部11に記憶した識別情報に応じた遅延時間、例えば識別情報の下数桁を10進数に変換して得られた秒数)の経過後に再送処理を実行する制御を行う。他方、緊急地震速報を受信していないとき(非災害時)に信号の送信に失敗した場合には、その通信の失敗後ただちに再送処理を実行する制御を行う。
【0036】
安否確認処理部20は、送受信部16が緊急地震速報を受信すると、所定の受付時間(例えば6分間)の間、安否入力の受付を行う。そして、この受付時間の間、安否状態が入力されるまで、利用者に安否入力を促すガイダンスを表示部12に表示させるとともに、間欠的にバイブレーション作動させて利用者への報知を行う。
【0037】
状態判定部21は、携帯端末2が緊急地震速報を受信したときに、携帯端末2の現在位置情報に基づいて携帯端末2の移動が確認できるか否かにより、携帯端末2の利用者が非常状態であるか否かを判定する処理(状態判定処理)を行う。具体的には、入力部10から安否状態が入力されることなく受付時間が経過すると、受付時間が経過するまでの間に位置取得部が取得した現在位置情報(記憶部に記憶されている現在位置情報)に基づいて、携帯端末2の移動(現在位置が所定距離以上変位するなど)を確認し、携帯端末2の移動が確認できなければ、利用者が災害により動けない状態に陥っている可能性がある(非常状態である)と判定する。一方、受付時間の間に携帯端末2の移動が確認できれば、利用者が安全状態であると判定する。また、この受付時間の間に利用者から安否状態が入力された場合には、状態判定部21は状態判定処理を終了する。
【0038】
なお、この例では、状態判定部21が、所定の受付時間の間に携帯端末が移動しかた否かに基づいて、利用者の安否状態(安全状態か非常状態)を判断する場合について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、状態判定部21は、受付時間が経過した後の所定の移動監視時間(例えば3分)の間に携帯端末が移動したか否かに基づいて、利用者の安否状態(安全状態か非常状態か)を判断してもよい。
【0039】
鳴動処理部22は、利用者から安否状態が入力されることなく受付時間が経過し、状態判定部21にて携帯端末2の移動が確認されない場合に、鳴動部14を駆動して間欠的に鳴動音(ブザー音)を出力する処理を行う。また、鳴動処理部22は、入力部10またはセンタ装置3から所定の復旧操作の入力があると、ブザー音の出力を停止させる。
【0040】
この鳴動処理部22は、災害情報配信装置4から緊急地震速報を受信すると、この緊急地震速報に基づいて災害レベル(揺れの大きさ)を決定し、その災害レベルに応じて鳴動部14から出力するブザー音の音量または鳴動パターンを異ならせる。
【0041】
例えば、基地局6から送信される緊急地震速報に基地局エリアごとの震度情報が含まれている場合には、この情報に基づいて現在位置での揺れの大きさを決定する。一方、基地局6から送信される緊急地震速報に基地局エリアごとの震度情報が含まれていない場合には、緊急地震速報に含まれる震源地と位置取得部が取得した現在位置に基づいて、震源地から現在位置までの距離を算出し、算出した震源地から現在位置までの距離と緊急地震速報に含まれる規模(マグニチュード)に基づいて、現在位置での揺れの大きさを算出する。
【0042】
そして、鳴動処理部22は、現在位置での揺れの大きさが大きいほど、ブザー音の音量を大きく(音圧を高く)する処理を行う。また、鳴動処理部22は、現在位置での揺れの大きさが大きいほど、より遠方に届くように高音成分を多く含む音(遠達性の高い音)を出力する処理を行う。また、鳴動処理部22は、現在位置での揺れの大きさが大きいほど、間欠的なブザー音の鳴動間隔を短くするなどの処理を行う。
【0043】
(センタ装置)
つぎに、センタ装置3の具体的な構成について、図面を参照して説明する。図3は、センタ装置3の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すようにセンタ装置3は、ネットワーク5に接続されており携帯端末2と通信する通信部23と、LCDなどで構成されており各種の情報を表示する表示部24と、キーボードやポインティングデバイスなどで構成されており監視員によって操作される操作部25を備えている。また、センタ装置3は、HDDやROM/RAMなどで構成される記憶部26と、これら各部の動作を制御する制御部27を備えている。
【0044】
記憶部26は、予め利用者の情報が登録された利用者情報データベース28と、災害受信信号を受信した携帯端末2の利用者の状態を管理する安否管理データベース29と、携帯端末2から受信する現在位置情報を管理する位置管理データベース30を含んでいる。また、この記憶部26には、各種プログラムが記憶されている。
【0045】
利用者情報データベース28には、予め監視センタの運営事業者と契約した利用者の氏名、連絡先、所持する携帯端末2の識別情報、緊急連絡先などの情報が、それぞれ対応付けて記憶されている。安否管理データベース29には、緊急地震速報を受信した携帯端末2の識別番号と、これを所持する利用者の安否の状態が、それぞれ対応付けて記憶されている。位置管理データベース30には、携帯端末2の識別番号、この携帯端末2から受信した現在位置情報とその時刻情報が、それぞれ対応付けて記憶されている。
【0046】
制御部27は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、センタ装置3の各種の動作の制御を行う機能を備えている。この制御部27は、このマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、通信制御部31、記憶処理部32、表示制御部33などを有している。
【0047】
通信制御部31は、センタ装置3と携帯端末2との間の通信処理を制御する。この通信制御部31は、携帯端末2から受信する災害受信信号、安否確認信号、現在位置情報などを、記憶処理部32に出力する。
【0048】
また、通信制御部31は、操作部25からの入力により、携帯端末2に位置要求信号を送信する。携帯端末2は、位置要求信号を受信すると、例えば1分間隔でGPS衛星7からのGPS信号を受信し、携帯端末2の現在位置情報(緯度・経度)を算出し、算出した現在位置情報を監視センタに送信する。この処理は、センタ装置3から位置終了信号を受信するまで継続して行われる。
【0049】
記憶処理部32は、携帯端末2から災害受信信号を受信したときに、その災害受信信号に含まれる携帯端末2の識別番号を安否管理データベース29に書き込み記憶する処理を行う。また、記憶処理部32は、携帯端末2から安否確認信号を受信すると、安否管理データベース29の識別番号に対応付けて、安否状態(安全状態または非常状態)を記憶する処理を行う。また、記憶処理部32は、携帯端末2から現在位置情報を受信すると、その現在位置情報に添付される携帯端末2の識別番号に対応付けて、現在位置情報と時刻を位置管理データベース30に記憶する処理を行う。
【0050】
表示制御部33は、操作部25からの入力に基づいて各種の情報を表示部24に表示させる制御を行う。また、表示制御部33は、記憶処理部32にて安否管理データベース29に「非常状態」として記憶された携帯端末2について、利用者データベースおよび位置管理データベース30から利用者の情報及び現在位置情報を抽出して表示する制御を行う。監視センタの監視員は、この表示部24の表示を確認して対処員への指示など適切な処置を行う。
【0051】
以上のように構成された携帯端末2について、図面を用いてその動作を説明する。ここでは、本発明の特徴的な動作(すなわち、緊急地震速報を受信したときの携帯端末2の動作)を中心に説明する。
【0052】
災害(例えば地震)が発生したときに、その災害エリア内(例えば震度3以上のエリア内)に位置している携帯端末2には、災害情報配信装置4から緊急地震速報が配信される。図4に示すように、携帯端末2が緊急地震速報を受信すると(S1)、位置取得部18が位置追跡処理を開始する(S2)。そして、通信制御部19は、災害受信信号と、位置取得部18が取得した現在位置情報とを監視センタに送信する(S3)。また、この携帯端末2は、緊急地震速報を受信したときに、利用者からの安否入力の受付を行う。具体的には、受付時間の計時を開始して(S4)、利用者からの安否入力があるか否かの判定を(S5)、所定の受付時間(例えば6分間)が経過するまで繰り返す(S6)。
【0053】
所定の受付時間の間に利用者からの安否入力が行われた場合には、センタ装置3へ入力された安否の状態を示す安否確認信号を送信する(S7)。一方、所定の受付時間の間に利用者からの安否入力が行われなかった場合には、携帯端末2が移動しているか否かの判定が行われる(S8)。携帯端末2が移動している場合には、利用者は安全状態であると判定され(S9)、安全状態であることを示す安否確認信号がセンタ装置3へ送信される(S7)。
【0054】
携帯端末2が移動していない場合には、利用者は非常状態であると判定され(S10)、非常状態であることを示す安否確認信号(非常通報信号ともいう)がセンタ装置3へ送信される(S11)。そして、鳴動処理部22が、緊急地震速報に基づいて災害レベル(揺れの大きさ)を決定し、その災害レベルに応じて鳴動部14から出力するブザー音の音量または鳴動パターンを決定する(S12)。そして、鳴動処理部22は、鳴動部14を駆動して間欠的にブザー音を鳴動させる処理を行う(S13)。この鳴動処理は、入力部10またはセンタ装置3から所定の復旧操作(S14)が行われるまで繰り返される。
【0055】
このような本実施の形態の携帯端末2によれば、所定時間が経過するまでの入力操作の有無に基づいて、適切に利用者の非常状態を周囲に報知することができる。携帯端末2は、緊急地震速報を受信すると利用者に報知し、所定時間の間、利用者からの入力操作を待ち受ける。利用者からの入力操作があった場合には、安否確認信号をセンタ装置3へ送信する。所定時間が経過しても利用者からの入力操作が行われない場合には、非常通報信号をセンタ装置3へ送信するとともに、間欠的なブザー鳴動を開始する。これにより、地震によって閉じ込められたり瓦礫に埋もれて身動きがとれない場合(すなわち、利用者が非常状態である場合)に、遠隔の監視センタへの救急要請を行うとともに、周囲の者への救援要請を行うことが可能となる。
【0056】
本実施の形態では、災害が発生したときに、その災害エリア内に位置している携帯端末2には、災害情報配信装置4から災害情報が配信される。その災害情報を携帯端末2が受信したときに、入力部10から入力操作が行われない場合には、その携帯端末2を所持している利用者が入力操作をすることができないような非常状態(例えば、意識を失っている状態など)である可能性がある。そのような場合に、鳴動部14から鳴動音を出力させて周囲への報知が行われる。これにより、利用者の周囲の者に救援を要請することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、災害が発生して、携帯端末2が災害情報を受信したときに、入力部10から入力操作が行われない場合(その携帯端末2を所持している利用者が入力操作をすることができないような非常状態である可能性がある場合)に、センタ装置3に非常通報信号(非常状態であることを示す安否確認信号)を送信することにより、利用者から遠隔の者(監視センタの監視員など)にも救援を要請することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、鳴動音の音量または鳴動パターンが、災害レベル(地震の揺れ)に応じて異なるように制御される。例えば、災害レベルが高い(例えば地震の震度が大きい)ほど、鳴動音の音量が大きく設定され、高音成分の音(遠達性の高い音)を多く含むような鳴動パターンが選択される。これにより、利用者の非常状態を周囲に適切に報知することができる。
【0059】
また、本実施の形態では、災害が発生したときに、携帯端末2の利用者が非常状態でなければ、入力部10から入力操作を行うことができる。携帯端末2は、この入力操作の有無に基づいて、その携帯端末2の利用者が非常状態であるか否かを判定する。また、この携帯端末2は、緊急地震速報を受信すると、現在位置情報を取得し、その携帯端末2の移動の有無に基づいて、その携帯端末2の利用者が非常状態であるか否かを判定する。具体的には、携帯端末2が災害情報を受信したときに、入力部10から入力操作が行われず、携帯端末2の移動も確認できない場合には、その携帯端末2を所持している利用者が身動きがとれず入力操作をすることもできないような非常状態(例えば、瓦礫に埋もれて意識を失っている状態など)であると判定される。このようにして、災害発生時の利用者の安否状態を把握することができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0061】
以上の説明では、受付時間が経過するまでに安否状態の入力がなく、かつ、携帯端末2の移動が確認できない場合に、状態判定部21は、利用者が非常状態であると判定して、鳴動処理部22が、鳴動部14からブザー音を出力させる例について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。例えば、受付時間が経過するまでに安否状態の入力がなかった場合には、携帯端末の移動の有無によらず、状態判定部21は、利用者が非常状態であると判定して、鳴動処理部22が、鳴動部14からブザー音を出力するよう制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる携帯端末は、所定時間が経過するまでの入力操作の有無に基づいて、適切に利用者の非常状態を周囲に報知することができるという効果を有し、携帯端末への緊急地震速報の配信サービスを利用した安否確認システム等に用いられ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態における安否確認システムの構成を示す図である。
【図2】携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図3】センタ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】緊急地震速報を受信したときの携帯端末の動作の流れを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0064】
1 安否確認システム
2 携帯端末
3 センタ装置
4 災害情報配信装置
9 無線通信部
10 入力部
13 バイブレータ
14 鳴動部
15 制御部
18 位置取得部
19 通信制御部
20 安否確認処理部
21 状態判定部
22 鳴動処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が所持し、災害情報配信装置から配信される災害情報を受信する機能を備えた携帯端末であって、
前記利用者が入力操作を行うための入力部と、
前記利用者の非常状態を周囲に報知するための鳴動音を出力する鳴動部と、
前記災害情報を受信してから所定時間が経過するまでに前記入力操作が行われない場合に、前記鳴動部から前記鳴動音を出力させる処理を行う鳴動処理部と、
を備えることを特徴とした携帯端末。
【請求項2】
前記災害情報を受信してから所定時間が経過するまでに前記入力操作が行われない場合に、監視センタ装置に非常通報信号を送信する制御を行う通信制御部を備える請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記鳴動処理部は、前記災害情報に基づいて決定した災害レベルに応じて、前記鳴動音の音量または鳴動パターンを異ならせる請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記携帯端末の現在位置情報を取得する位置取得部を備え、
前記鳴動処理部は、前記災害情報を受信してから所定時間が経過するまでに前記入力操作が行われず、かつ、前記現在位置情報に基づいて前記携帯端末の移動が確認できない場合に、前記鳴動部から前記鳴動音を出力させる処理を行う請求項1〜3の何れかに記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−86156(P2010−86156A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252520(P2008−252520)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】