説明

有機金属化合物

【課題】有機金属化合物の提供。
【解決手段】IV族金属含有フィルムの蒸着前駆体として使用するために有用な有機金属化合物が提供される。ある種の有機金属前駆体を用いてIV族金属含有フィルムを堆積させる方法も提供される。前記のIV族金属含有フィルムは電子デバイスの製造において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に有機金属化合物の分野に関する。特に、本発明は蒸着プロセスにおいて使用するのに適した特定の有機金属化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属フィルムを、様々な手段、例えば化学蒸着法(CVD)、物理的蒸着法(PVD)、および他のエピタキシャル技術、例えば液相エピタキシー(LPE)、分子線エピタキシー(MBE)、化学線エピタキシー(CBE)および原子層堆積(ALD)などにより、非導電性表面などの表面上に堆積させることができる。化学蒸着法、例えば金属有機化学蒸着法(MOCVD)は、有機金属前駆化合物を高温、すなわち室温以上で、大気圧または減圧で分解することにより金属層を堆積させる。このようなCVDまたはMOCVDプロセスを用いて、様々な金属を堆積させることができる。
【0003】
半導体および電子デバイスの用途に関して、これらの有機金属前駆化合物は、純度が高く、実質的に検出可能なレベルのシリコンおよび亜鉛などの金属不純物、ならびに酸素化不純物の両方を含まないものでなければならない。酸素化不純物は、典型的には前記の有機金属化合物を調製するために使用される溶媒からもたらされ、湿度および酸素の他の外因性供給源からももたらされる。
【0004】
例えば、高速および高周波数応答の電子デバイスが望れるある種の用途に関して、シリコンバイポーラ・トランジスターなどのシリコンのみのデバイスは優位性がなかった。ヘテロ接合バイポーラ・トランジスター(HBI)において、シリコン−ゲルマニウム薄膜がシリコンウェハ上にバイポーラ・トランジスターのベースとして成長する。シリコン−ゲルマニウムHBTは、従来のシリコンバイポーラ・トランジスターと比較すると、速度、周波数応答、およびゲインにおいて重大な利点を有する。シリコン−ゲルマニウムHBTの速度および周波数応答はさらに高価なヒ化ガリウムHBTに匹敵する。
【0005】
さらに高ゲイン、高速度、および高周波数応答のシリコン−ゲルマニウムHBTは、例えば、狭いバンドギャップおよび減少した抵抗性などの、純粋なシリコンでは得られないシリコン−ゲルマニウムの特定の利点の結果として達成された。シリコン−ゲルマニウムは従来のシリコンプロセッシングおよびツールを用いてシリコン基体上にエピタキシー的に成長させることができる。この技術により、エネルギーバンド構造およびキャリアモビリティー等のデバイス特性を作り替えることが可能になる。例えば、シリコン−ゲルマニウムベースにおけるゲルマニウムの濃度のグレーディングはHBTデバイス中に電場または電位勾配を組み入れ、これはベース全体にわたる電荷を加速し、これによりシリコンのみのデバイスと比べてHBTデバイスのスピードを増大させる。シリコンおよびシリコン−ゲルマニウムデバイスを組み立てる一般的な方法はCVDによる。HBTデバイスを組み立てるために用いられる減圧化学蒸着技術(RPCVD)により、ベース層全体にわたってゲルマニウム濃度の制御されたグレーディングならびにドーピング特性についての正確な制御が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゲルマン(GeH)はゲルマニウム堆積のための従来の前駆体であり、シラン(SiH)、およびジクロロシラン(SiHCl)はシリコン堆積のための従来の前駆体である。これらの前駆体は取り扱いが困難であり、高い蒸気圧を有する。例えば、ゲルマンは、ゲルマニウムフィルムを成長させるために用いられる温度より低い280℃で激しく分解する。従って、ゲルマンまたはシランのいずれかを使用する方法は完全に安全な手順および装置を必要とする。ゲルマンは典型的には熱的CVD用途に関して約500℃以上のフィルム成長温度を要する。このような分解温度は常に適切であるとは限らず、例えば大量生産用途においては、さらに低い温度、例えば200℃が要求される。他のCVD用途は、さらに高い成長温度を必要とし、これにより従来の前駆体は早期に分解し、これによって粒子の形成および金属フィルム成長速度の低下につながる。従来のシリコンおよびゲルマニウム前駆体についてのさらなる問題は、シリコン−ゲルマニウムフィルムを堆積させるために比較的安定なシリコン前駆体と比較的不安定なゲルマニウム前駆体が用いられる場合、前駆体の安定性の差のためにシリコン−ゲルマニウム組成の調節が困難になる。取り扱いがより安全で、特定の条件に合わせて調整された分解温度を有するシリコンおよびゲルマニウム蒸着の前駆体が必要とされる。適合する安定特性を有するシリコンおよびゲルマニウム前駆体がさらに望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは驚くべきことに前記欠点を解消できることを見いだした。本発明は、基体上に金属を含有するフィルムを堆積させる方法であって、
a)気相中の1以上の式Iの有機金属化合物を、該基体を含む堆積チャンバーへ輸送する工程
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、MはSiまたはGeである;RおよびRは独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択され、ただし、Rはシクロペンタジエニルでないとする;各Rは独立に(C−C12)アルキルから選択される;Xはハロゲンである;a=0〜3;b=0〜3;c=0〜3;d=0〜3;e=0〜4;a+b+c+d+e=4;R≠R;a+bおよびa+dはそれぞれ3以下である;ただし、M=Siである場合、b+cは3以下であるとする);b)1以上の有機金属化合物を該堆積チャンバー中で分解する工程;およびc)金属フィルムを基体上に堆積させる工程
を含む方法を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、シリコン、ゲルマニウムおよびその組み合わせを含有する金属フィルムを堆積させるために好適な有機金属化合物で飽和させた流体流れを、断面積を有する内部表面を有する長いシリンダー形部分、トップクロージャー部分およびボトムクロージャー部分を有する容器を含む化学蒸着システムに供給するための装置を提供し、該トップクロージャー部分はキャリアガスを導入するためのインレット開口部およびアウトレット開口部を有し、長いシリンダー形部分は1以上の式Iの有機金属化合物を含むチャンバーを有し:
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、MはSiまたはGeである;RおよびRは独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択され、ただし、Rはシクロペンタジエニルでないとする;各Rは独立に(C−C12)アルキルから選択される;Xはハロゲンである;a=0〜3;b=0〜3;c=0〜3;d=0〜3;e=0〜4;a+b+c+d+e=4;R≠R;a+bおよびa+dはそれぞれ3以下である;ただし、M=Siである場合、b+cは3以下であるとする);該インレット開口部は該チャンバーと流体が連絡し;該チャンバーは該アウトレット開口部と流体が連絡する。
【0013】
本発明のもう一つの態様は、前記の1以上の有機金属化合物を含む流体流れを供給するための1以上の装置を含む金属フィルムの蒸着用装置である。
【0014】
本発明はさらに、式IIAまたはIIB:
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、RおよびRは独立に、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、分岐および環状(C−C)アルキルから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;Xはハロゲンである;a’=0〜3;b’=0〜2;c’=1〜3;d’=0〜3;a’+b’+c’+d’=4;a”=0〜2;b”=0〜2;e”=1〜2;f”=0〜2;a”+b”+e”+f”=4;a”、b”およびf”の少なくとも2つは0でない;ただし、a”=1、e”=1、f”=2、およびR=(CH)Cである場合、R≠CHであるとする;c’+d’=4である場合、Rは分岐または環状(C−C)アルキルであるとする)
の有機金属化合物を提供する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、基体上にゲルマニウム含有フィルムを堆積させる方法であって;a)基体を含む堆積チャンバーへ、気相の前記の1以上の有機ゲルマニウム化合物を輸送する工程;b)1以上の有機ゲルマニウム化合物を堆積チャンバーにおいて分解する工程;およびc)ゲルマニウム含有フィルムを基体上に堆積させる工程を含む方法を提供する。
【0018】
さらに、本発明は、基体上にゲルマニウム含有フィルムを堆積させる工程を含む電子デバイスを製造する方法を提供し、該フィルムはa)基体を含む堆積チャンバーへ、気相の前記の1以上の有機ゲルマニウム化合物を輸送する工程;b)1以上の有機ゲルマニウム化合物を堆積チャンバーにおいて分解する工程;およびc)ゲルマニウム含有フィルムを基体上に堆積させる工程により堆積される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書全体にわたって使用される次の略号は、特に明記しない限り次の意味を有する:℃=摂氏度;NMR=核磁気共鳴;mol=モル;b.p.=沸点;g=グラム;L=リットル;M=モル濃度;ca=約;μm=ミクロン=マイクロメートル;cm=センチメートル;ppm=百万分の1部;mL=ミリリットル。
【0020】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味し、「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。同様に、「ハロゲン化」とは、フッ素化、塩素化、臭素化およびヨウ素化を意味する。「アルキル」は、直鎖、分岐鎖および環状アルキルを包含する。同様に、「アルケニル」および「アルキニル」はそれぞれ直鎖、分岐鎖および環状アルケニルおよびアルキニルを包含する。「SiGe」なる用語は、シリコン−ゲルマニウムを意味する。冠詞「a」および「an」は単数および複数を意味する。本発明において用いられる場合、「CVD」は、MOCVD、MOVPE、OMVPE、OMCVDおよびRPCVDなどの化学蒸着のあらゆる形態を包含することを意図する。
【0021】
特に記載しない限り、全ての量は重量パーセントであり、全ての比はモル比である。全ての数値範囲は両端を包含し、このような数値範囲が合計して100%にされることが明らかである場合を除いて任意の順序で組み合わせ可能である。
【0022】
一態様において、本発明は式I:
【0023】
【化4】

【0024】
(式中、MはSiまたはGeである;RおよびRは独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択され、ただし、Rはシクロペンタジエニルでないとする;各Rは独立に(C−C12)アルキルから選択される;Xはハロゲンである;a=0〜3;b=0〜3;c=0〜3;d=0〜3;e=0〜4;a+b+c+d+e=4;R≠R;a+bおよびa+dはそれぞれ3以下である;ただし、M=Siである場合、b+cは3以下であるとする)の有機金属化合物に関する。一態様において、M=Geである。他の態様において、c>0である。さらに他の態様において、c>0、b>0である。典型的には、d=0〜2である。M=Siである特に好適な有機金属化合物は、a=0〜2、b=0〜2、c=1〜2、d=0〜2であるもの、特にa、bおよびdの少なくとも2つが0でないものである。
【0025】
特に好適な有機金属化合物は、式IIAおよびIIBの有機ゲルマニウム化合物である:
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、RおよびRは独立に、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、分岐および環状(C−C)アルキルから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;Xはハロゲンである;a’=0〜3;b’=0〜2;c’=1〜3;d’=0〜3;a’+b’+c’+d’=4;a”=0〜2;b”=0〜2;e”=1〜2;f”=0〜2である;a”+b”+e”+f”=4;ここでa”、b”およびf”の少なくとも2つは0でない;ただし、a”=1、e”=1、f”=2、R=(CH)Cである場合、R≠CHとする;ただし、c’+d’=4である場合、Rは分岐または環状(C−C)アルキルであるとする)。一態様において、Rは分岐または環状(C−C)アルキルである。好適な式IIAの化合物は、d’=1〜3のものである。他の式IAの好適な化合物は、b’=1〜2のものである。特に好適な化合物は、d’=1〜3、およびb’=1〜2のものである。典型的には、RおよびRは、独立に、メチル、エチルおよびプロピルから選択される。他の態様において、f”=1〜2である。さらには、b”=1〜2である。特に好適な式IIBの化合物は、f”=1〜2であり、b”=1〜2のものである。Rは嵩高い基であり、典型的には、tert−ブチル、iso−プロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、ネオペンチル、およびシクロペンチルである。嵩高い基は、好ましくはβ−ヒドリド脱離を受けることができるものである。従って、好ましい嵩高い基は、ゲルマニウムに対してβ位の炭素に結合した水素を含有する。
【0028】
典型的なジアルキルアミノ(NR)基は、これらに限定されないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、イソプロピルアミノ、およびtert−ブチルアミノを包含する。XはF、Cl、BまたはIである。典型的には、XはClまたはBrである。2以上のハロゲンが存在する場合、このようなハロゲンは同一であっても、異なっていてもよい。
【0029】
様々なアルキル、アルケニルおよびアルキニル基をR、R、RおよびRに関して用いることができる。適当なアルキル基としては、これらに制限されないが、(C−C12)アルキル、典型的には(C−C)アルキル、さらに典型的には(C−C)アルキルが挙げられる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルが挙げられる。さらに典型的に、好適なアルキル基として、エチル、イソプロピル、およびtert−ブチルが挙げられる。好適なアルケニル基としては、これらに制限されないが、(C−C12)アルケニル、典型的には、(C−C)アルケニル、さらに典型的には(C−C)アルケニルが挙げられる。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、メタリルおよびクロチルが挙げられる。典型的なアルキニル基としては、これらに制限されないが、(C−C12)アルキニル、典型的には(C−C)アルキニル、さらに典型的には(C−C)アルキニルが挙げられる。好適なアリール基は、(C−C10)アリールであり、これらに限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、ベンジルおよびフェネチルが挙げられる。2以上のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基が存在する場合、前記の基は同一であっても、異なっていてもよい。
【0030】
、R、RおよびRの前記アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリール基のいずれかは、任意にハロゲンなどで置換されていてもよい。「置換された」とは、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリール基上の1以上の水素が1以上のハロゲンで置換されていることを意味する。
【0031】
式Iの有機金属化合物の例としては、これらに限定されないが、ジクロロビス(ジメチルアミノ)シラン、クロロトリス(ジメチルアミノ)シラン、ジメチルアミノシラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、イソプロピル(ジエチルアミノ)シラン、tert−ブチルシラン、ジ−tert−ブチルシラン、イソプロピルシラン、ジイソプロピルシラン、tert−ブチル(メチル)シラン、tert−ブチル(メチル)(ジクロロ)シラン、イソプロピル(ジメチルアミノ)シラン、イソプロピルビス(ジメチルアミノ)シラン、ジイソプロピル(ジメチルアミノシラン)、tert−ブチル(トリクロロ)シラン、ジ−tert−ブチル(ジブロモ)シラン、シクロプロピルシラン、シクロプロピル(ジメチル)シラン、シクロペンチル(ジメチルアミノ)シラン、tert−ブチル(トリメチル)ゲルマン、イソプロピル(トリメチル)ゲルマン、ジメチルゲルマニウムクロリド、tert−ブチルゲルマン、イソプロピルゲルマン、tert−ブチル(トリクロロ)ゲルマン、イソプロピル(トリブロモ)ゲルマン、n−ブチルゲルマン、トリ−イソ−プロピルゲルマン、ベンジルゲルマン、ベンジル(メチル)ゲルマン、イソ−ブチルゲルマン、イソ−ブチル(トリクロロ)ゲルマンおよびその混合物が挙げられる。
【0032】
式IIAの有機ゲルマニウム化合物の例としては、これらに限定されないが、イソプロピル(ジメチルアミノ)ゲルマン、ジイソプロピル(ジメチルアミノ)ゲルマン、イソプロピルビス(ジメチルアミノ)ゲルマン、イソプロピル(ジメチルアミノ)ゲルマニウムジクロリド、tert−ブチル(ジメチルアミノ)ゲルマン、ジ−tert−ブチル(ジメチルアミノ)ゲルマン、tert−ブチルビス(ジメチルアミノ)ゲルマン、シクロペンチル(ジメチルアミノ)ゲルマン、シクロペンチル(ジエチルアミノ)ゲルマン、メチル(ジメチルアミノ)ゲルマン、メチル(ジメチルアミノ)ゲルマニウムジクロリド、メチル(ジメチルアミノ)ゲルマニウムジブロミド、メチルビス(ジイソプロピルアミノ)ゲルマニウムクロリド、ビス(ジエチルアミノ)ゲルマン、ジクロロ(ジエチルアミノ)ゲルマン、エチル(ジエチルアミノ)ゲルマン、ジクロロ(エチル)(ジエチルアミノ)ゲルマン、tert−ブチル(ジエチルアミノ)ゲルマン、ジクロロ(tert−ブチル)(ジエチルアミノ)ゲルマン、シクロペンタジエニル(ジメチルアミノ)ゲルマン、シクロペンタジエニルビス(ジメチルアミノ)ゲルマン、シクロペンタジエニル(ジエチルアミノ)ゲルマン、シクロペンタジエニルビス(ジエチルアミノ)ゲルマン、ジイソプロピルビス(ジメチルアミノ)ゲルマン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)ゲルマン、メチルビス(ジイソプロピルアミノ)ゲルマン、ジイソプロピルビス(ジエチルアミノ)ゲルマン、ブロモ(ジメチル)(ジメチルアミノ)ゲルマン、ビス(ジメチルアミノ)ゲルマン、トリス(ジメチルアミノ)ゲルマン、ビニルトリス(ジメチルアミノ)ゲルマン、ジビニル(ジメチルアミノ)ゲルマン、フルオロ(ジビニル)(ジメチルアミノ)ゲルマン、ベンジル(ジエチルアミノ)ゲルマン、ジベンジル(ジエチルアミノ)ゲルマン、ジイソプロピル(ジメチルアミノ)ゲルマン、ベンジル(ジメチルアミノ)ゲルマン、およびその混合物が挙げられる。
【0033】
式IIBの有機ゲルマニウム化合物の例としては、これらに限定されないが、tert−ブチル(ジクロロ)ゲルマン、ジ−tert−ブチルゲルマン、イソプロピル(クロロ)ゲルマン、ジイソプロピル(ジクロロ)ゲルマン、tert−ブチル(メチル)ゲルマン、tert−ブチル(エチル)ゲルマン、tert−ブチル(ジメチル)ゲルマン、イソプロピル(メチル)ゲルマン、ジイソプロピル(ジメチル)ゲルマン、ジクロロ(メチル)(イソプロピル)ゲルマン、ネオペンチル(メチル)ゲルマン、ネオペンチル(ジメチル)ゲルマン、ネオペンチル(メチル)(ジクロロ)ゲルマン、シクロプロピル(メチル)ゲルマン、ジシクロプロピルゲルマン、ジイソプロピルゲルマン、シクロプロピル(メチル)(ジクロロ)ゲルマン、ジブロモ(メチル)(tert−ブチル)ゲルマン、シクロペンチル(ジクロロ)(メチル)ゲルマン、シクロペンチル(ジクロロ)ゲルマン、シクロペンチル(エチル)(ジブロモ)ゲルマン、ジエチル(tert−ブチル)(フルオロ)ゲルマン、およびその混合物が挙げられる。
【0034】
前記有機金属化合物は、シリコン、ゲルマニウムおよびその組み合わせを含有するフィルムのCVDの前駆体としての使用に特に好適である。
【0035】
本発明の有機金属化合物は、様々な方法により調製することができる。典型的には、本発明の有機金属化合物は、式MYの化合物(式中、Mはシリコンまたはゲルマニウムであり、Yは反応性基、例えば、ハロゲン、アセテートまたは(C−C)アルコキシであり、ハロゲンが最も典型的である)から出発して調製される。本発明において使用されるように、反応性基は、その後の反応において置換または交換される金属に結合した任意の基である。本発明の有機金属化合物の調製を、例示の目的でゲルマニウム前駆体に関して記載するが、このような調製法はシリコン、ならびに他のIV族元素にも同様に適用可能である。
【0036】
本発明のジアルキルアミノ置換有機金属化合物は、液体または気体形態のジアルキルアミンを、1以上の反応性基を有する金属化合物と反応させることにより調製することができ、さらに典型的には、ジアルキルアミノリチウム試薬と1以上の反応性基を有する金属との反応により調製される。前記の反応は、典型的には、炭化水素溶媒、例えばこれらに限定されないが、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トルエン、およびキシレン中で行われる。好ましくは、前記の溶媒は使用前に脱酸素化される。溶媒は、様々な手段、たとえば不活性気体をパージすることによって、溶媒を真空中で脱気することによって、またはその組み合わせによって、脱酸素化することができる。適当な不活性気体としては、アルゴン、窒素およびヘリウムが挙げられ、好ましくはアルゴンまたは窒素である。例えば、所望のジアルキルアミノゲルマニウムハライド化合物を得るために十分な量のジアルキルアミノリチウム試薬とゲルマニウムテトラクロリドを反応させることができる。この反応は、式1により表される。
【0037】
【化6】

【0038】
アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール置換有機金属化合物は、グリニャールまたは有機リチウム反応を用いて調製することができる。前記の反応は、当業者にはよく知られている。典型的なグリニャール反応において、1以上の反応性基を有する化合物をグリニャール試薬、例えば、メチルマグネシウムブロミドまたはアリルマグネシウムブロミドとエーテル性溶媒中で反応させる。典型的なエーテル性溶媒としては、これらに限定されないが、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、イソペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグリム、ジグリム、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ブチルフェニルエーテル、およびジシクロヘキシルエーテルが挙げられる。前記の溶媒は、典型的には前記のように使用前に脱酸素化される。この反応は式2により表される。
【0039】
【化7】

【0040】
典型的な有機リチウム反応において、1以上の反応性基を有する化合物を有機リチウム試薬、例えばメチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ブチルリチウムおよびフェニルリチウムと適当な炭化水素またはエーテル性溶媒中で反応させる。適当な溶媒は、ジアルキルアミノリチウム反応についてすでに記載したものである。式3は、ビス(ジメチルアミノ)ゲルマニウムジクロリドのイソプロピルリチウムとの反応を表す。
【0041】
【化8】

【0042】
他の態様において、2以上の反応性基を有する化合物を2つの異なるリチウム試薬とワンポットで反応させることができる。このような異なるリチウム試薬は、2つの異なる有機リチウム試薬、2つの異なるジアルキルアミノリチウム試薬または有機リチウム試薬とジアルキルアミノリチウム試薬との混合物である。前記の反応において、異なるリチウム試薬は、反応に同時にまたは段階的に添加することができる。式4はゲルマニウムテトラクロリドとtert−ブチルリチウムおよびジメチルアミノリチウムとの反応のこの反応シーケンスを説明する。
【0043】
【化9】

【0044】
さらに他の態様において、適当に置換されたアルミニウム化合物を用いたトランスアルキル化反応によって、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール置換されたゲルマンを調製することができる。例えば、適当な量のトリメチルアルミニウムを適当な量のゲルマニウムテトラクロリドと、ターシャリーアミンの存在下で反応させることにより、メチル置換されたゲルマンを調製することができる。このような量は当業者が決定することができる。式5はゲルマニウムテトラクロリドとトリメチルアルミニウムとの反応のこの反応シーケンスを表す。
【0045】
【化10】

【0046】
アルキルアルミニウム化合物を用いたこのようなトランスアルキル化反応は、好ましくはターシャリーアミンの存在下で行われる。任意のターシャリーアミンが好適に用いられる。ターシャリーアミンの例としては、これらに限定されないが、一般式NR’R”R’”(式中、R’、R”およびR’”は独立に、(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ置換(C−C)アルキル、およびフェニルから選択され、R’およびR”はこれらが結合している窒素と一緒になって5〜7員複素環を形成してもよい)を有するものが挙げられる。前記の複素環は、芳香環であってもよいし、芳香環でなくてもよい。特に好適なターシャリーアミンとしては、これらに限定されないが、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、ジエチルアミノシクロヘキサン、ジメチルアミノシクロペンタン、ジエチルアミノシクロペンタン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−n−プロピルピロリジン、N−イソプロピルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−n−プロピルピペリジン、N−イソプロピルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N,N’−ジエチルピペラジン、N,N’−ジプロピルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、およびその混合物が挙げられる。好ましいアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、およびトリ−n−ブチルアミンが挙げられる。さらに好ましくは、ターシャリーアミンはトリエチルアミンまたはトリ−n−プロピルアミンである。1以上のターシャリーアミンを本発明において使用することができることが当業者には理解されるであろう。前記のターシャリーアミンは、一般に様々な供給源から商業的に入手可能である。前記のターシャリーアミンは、そのまま用いることができるか、あるいは好ましくは使用前にさらに精製することができる。
【0047】
1以上のGe−H結合を含有するゲルマンは、ゲルマニウムハライドの還元により調製することができる。一般に、前記の還元は、前記のように脱酸素化された乾燥有機溶媒中で行われる。様々な有機溶媒が好適である。様々な還元剤を本発明において用いることができる。特に有用な還元剤としては、反応性金属;水素化物、例えば水素化ナトリウムおよび水素化リチウム;ボロハイドライド還元剤、例えばナトリウムボロハイドライドおよびリチウムボロハイドライド;水素化アルミニウム還元剤、例えば水素化アルミニウムリチウムおよびNaAlH(OCHCHOCH;ボラン還元剤、例えばジメチルアミンボラン、シクロヘキシルアミンボラン、モルホリンボランなどが挙げられる。他の態様において、前記の還元工程は、ターシャリーアミンの存在下で行われる。前記の反応において、ターシャリーアミン、有機溶媒および還元剤はゲルマニウムハライドと反応させる前に任意の順序で組み合わせることができる。本発明のゲルマンを形成するための適当な温度は、周囲温度以下〜90℃である。この還元反応は式6および7で表される。
【0048】
【化11】

【0049】
前記反応のそれぞれにおいて、試薬と金属化合物のモル比は、置換される金属化合物中の反応性基の数によって変わる。典型的には、任意の前記試薬の反応性基に対するモル比は、1:1〜1.3:1である。従って、金属化合物中の2つの反応性基が置換されるならば、試薬の金属化合物に対するモル比は2:1〜2.6:1であり、これは1:1〜1.3:1の試薬の反応性基に対するモル比に対応する。用いられる特定の反応条件によって他の量および比を用いることができる。
【0050】
前記反応の順序は任意の順序で行うことができることが当業者には理解されるであろう。典型的には、金属ハライド化合物を還元して金属−水素化合物を形成する任意の工程は最後に行われるが、他の反応順序が有利な場合もある。
【0051】
所望の有機金属前駆化合物を調製する前記の任意の方法は、バッチ、半バッチ、連続または半連続様式において行うことができる。例えば、本発明は、IV族の有機金属化合物を調製するためのバッチならびに半連続プロセスを提供し、このプロセスはIV族金属化合物およびアルキル化剤を独立に、アルキル化の進行を許容するために十分な所定の温度に維持された反応ゾーンに送達する工程を含み、さらに次いで反応が完了後に生成物を分離する。有機金属生成物は、好ましくはリアクターの上部に位置するアウトレットで集められ、一方気化していない状態の副生成物は反応の最後にリアクターから廃棄物として除去される。多段アルキル化における試薬の添加は、同時または逐次的な方法のいずれかである。様々な試薬の添加速度は、当該分野において知られている適当な流量調節器を用いることにより制御される。
【0052】
他の態様において、本発明はIV族の有機金属化合物を調製するための連続プロセスを提供し、このプロセスはIV族金属化合物およびアルキル化剤を独立に、アルキル化の進行および生成物の蒸発を許容するために十分なあらかじめ決められた温度に維持された反応ゾーンに送達する工程を含む。有機金属生成物は次いで好ましくはリアクターの上部に位置するアウトレットで集められ、一方気化していない状態の副生成物は反応ゾーンの底部から廃棄物として除去される。有機金属化合物を送達するための連続操作は、試薬を反応ゾーンに連続して移すこと、その送達速度、上方へ移動する生成物の蒸気と下方へ移動する液体副生成物間に確立される気液平衡、反応ゾーンのアウトレットでの生成物のテークオフ速度、および反応ゾーンの底部からの副生成廃棄物の除去速度により制御することができる。
【0053】
さらなる態様において、本発明はIV族の有機金属水素化物を調製するための連続プロセスを提供し、このプロセスはIV族金属ハライドおよび還元剤を独立に、還元の進行および生成物の蒸発化を許容するために十分な所定の温度に維持された反応ゾーンに送達する工程を含む。有機金属生成物を次いで好ましくはリアクターの上部に位置するアウトレットで集め、一方気化していない状態の副生成物は反応ゾーンの底部から廃棄物として除去される。有機金属化合物を送達するための連続操作は、試薬を反応ゾーンに連続して移すこと、その送達速度、上方へ移動する生成物の蒸気と下方へ移動する液体副生成物間に確立される気液平衡、反応ゾーンの上部のアウトレットでの生成物のテークオフ速度、および反応ゾーンの底部からの副生成廃棄物の除去速度により制御することができる。
【0054】
本発明の利点は、本発明の有機金属化合物が亜鉛およびアルミニウムなどの金属不純物を実質的に含まないことであり、好ましくは亜鉛およびアルミニウムを含まない。特に、本発明の有機ゲルマニウム化合物は、亜鉛、アルミニウムおよびシリコンを実質的に含まず、好ましくは、このような不純物を含まない。「実質的に含まない」とは、化合物が0.5ppm未満、好ましくは0.25ppm未満の前記の不純物を含有することを意味する。他の態様において、本発明の有機金属化合物は「9が5個」の純度、すなわち、99.999%以上の純度を有する。さらに典型的には、本発明の化合物は「9が6個」の純度、すなわち、99.9999%以上の純度を有する。これらの化合物のいくつかは典型的には室温で液体であり、蒸着についての従来のシリコンおよびゲルマニウム前駆体よりも安全である代替物を提供する。
【0055】
本発明の有機金属化合物は、LPE、MBE、CBE、ALDおよびCVDなどのあらゆる蒸着法、特に、MOCVDおよび金属有機気相エピタキシー(MOVPE)において前駆体として使用するために特に好適である。さらに詳細には、本発明の有機金属化合物はシリコン−ゲルマニウム(SiGe)フィルムの蒸着において前駆体として使用するために好適である。前記のフィルムは電子デバイス、例えば集積回路、および光エレクトロニクスデバイスの製造、特にヘテロ接合バイポーラ・トランジスターの製造において有用である。
【0056】
シリコン、ゲルマニウム、およびその組み合わせのフィルムは典型的には、まず所望の有機金属前駆化合物、すなわち、ソース化合物を、堆積チャンバーに接続したアウトレットを有する送達装置、例えばシリンダー中に配置することによって堆積させる。用いられる具体的な堆積装置に応じて、様々なシリンダーを使用することができる。前駆化合物が固体である場合、米国特許第6,444,038号(Rangarajanら)および米国特許第6,607,785号(Timmonsら)中に開示されたシリンダー、ならびに他のデザインを用いることができる。液体前駆化合物については、米国特許第4,506,815号(Melasら)および第5,755,885号(Mikoshibaら)中に開示されているシリンダー、ならびに他の液体前駆体シリンダーを用いることができる。ソース化合物はシリンダー中に液体または固体として維持される。固体ソース化合物は典型的には堆積チャンバーに移される前に蒸発化または昇華させる。
【0057】
従って、本発明は、シリコン、ゲルマニウム、およびその組み合わせを含有する金属フィルムを堆積させるために好適な有機金属化合物で飽和した流体流れを、断面積を有する内部表面を有する長い円筒形の部分、トップクロージャー部分およびボトムクロージャー部分を有する容器を含む化学蒸着システムに供給するための装置を提供し、該トップクロージャー部分はキャリアガスを導入するためのインレット開口部およびアウトレット開口部を有し、長いシリンダー形部分は式Iの1以上の有機金属化合物を含むチャンバーを有し:
【0058】
【化12】

【0059】
(式中、MはSiまたはGeである;RおよびRは独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択され、ただし、Rはシクロペンタジエニルでないとする;各Rは独立に(C−C12)アルキルから選択される;Xはハロゲンである;a=0〜3;b=0〜3;c=0〜3;d=0〜2;e=0〜4;a+b+c+d+e=4;R≠R;a+bおよびa+dはそれぞれ3以下である;ただし、M=Siである場合、b+cは3以下であるとする)
、該インレット開口部はチャンバーと流体が連絡し、該チャンバーは該アウトレット開口部と流体が連絡する。
【0060】
なおさらなる態様において、本発明は、1以上の前記有機金属化合物で飽和された流体流れを供給するための1以上のデバイスを含む金属フィルムの化学蒸着のための装置を提供する。
【0061】
ソース化合物は典型的には、キャリアガスをシリンダーを通過させることにより堆積チャンバーに輸送される。適当なキャリアガスとしては、窒素、水素、およびその混合物が挙げられる。一般に、キャリアガスはソース化合物の表面の下に導入され、ソース化合物を通ってその上のヘッドスペースへ上昇し、キャリアガス中のソース化合物の蒸気を連行するかまたは輸送する。連行または輸送蒸気は次いで堆積チャンバー中に入る。
【0062】
堆積チャンバーは典型的には、少なくとも一つ、可能ならば多くの基体がその中に配置された加熱容器である。堆積チャンバーは、アウトレットを有し、これは典型的には副生成物をチャンバーから抜き取り、適当な減圧を提供するために真空ポンプに連結している。MOCVDは大気圧または減圧で行うことができる。堆積チャンバーは、ソース化合物の分解を誘発するために十分高い温度に維持される。堆積チャンバー温度は200℃から1200℃であり、選択される厳密な温度は有効な堆積を提供するために最適化される。任意に、堆積チャンバー中の温度は、基体が高温に維持されるならば、あるいは他のエネルギー、例えば高周波(RF)エネルギーがRF源により生じるならば、全体として低下させることができる。
【0063】
堆積のための適当な基体は、電子デバイス製造の場合においては、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化インジウムなどである。前記の基体は、例えば、これらに限定されないが、誘電層および導電層、例えば金属などの1以上のさらなる物質の層を含有することができる。前記の基体は、電子デバイス、例えば集積回路の製造において特に有用である。
【0064】
堆積は所望の特性を有するフィルムを製造するために望ましい限り続けられる。典型的には、フィルムの厚さは、堆積を停止した際に、数百オングストロームから数十ナノメートルから数百ミクロン以上である。
【0065】
従って、本発明は金属含有フィルムを基体に堆積させる方法を提供し、この方法は:a)気相中の1以上の式Iの有機金属ソース化合物を基体を含む堆積チャンバーへ輸送し;b)1以上の有機金属ソース化合物を堆積チャンバー中で分解し;さらにc)金属含有フィルムを基体に堆積させる工程を含み、ここにおいて、金属含有フィルムは、シリコン、ゲルマニウムおよびその組み合わせを含む。式IIAおよびIIBの有機ゲルマニウム化合物は前記の方法において好適に用いられる。
【0066】
本発明はさらに、シリコン、ゲルマニウム、その組み合わせを含有するフィルムを電子デバイス基体上に堆積させる工程を含む電子デバイスを製造する方法を提供し、この方法は;a)気相中の1以上の式Iの有機金属ソース化合物を、基体を含む堆積チャンバーに輸送する工程;b)堆積チャンバーにおいて1以上の有機金属ソース化合物を分解する工程;およびc)シリコン、ゲルマニウムおよびその組み合わせを含有するフィルムを基体上に堆積させる工程を含む。別の態様において、式IIAおよびIIBの有機ゲルマニウム化合物は前記の方法において用いることができる。
【0067】
本発明はシリコン含有フィルム、ゲルマニウム含有フィルムおよびSiGeフィルムの堆積に特に好適である。SiGeフィルムは2つの技術に用いられる。よく確立された主な用途の一つはバイポーラ・CMOSまたはBiCMOSであり、ここにおいて、薄い(40〜80nm)SiGeフィルムを高周波数HBTのベースとして使用する。このSiGeベースフィルムおよびその後のSiコレクターフィルムの堆積用基体は、CMOS回路要素がほぼ完成している高度に構造化されたシリコンウェハである。SiGeCVDの他の用途は、歪シリコン(strained silicon)またはs−Siの分野である。厚さ3〜5マイクロメートルSiGe相の堆積はプレーンシリコンウェハ上で行われる。SiGeフィルムの成長に続いて、薄い(20nm)Siフィルムを成長させる。このシリコンフィルムは下にあるSiGe層(歪シリコン)の結晶格子を取り入れる。歪シリコンは標準シリコンよりもずっと速い電気応答を示す。
【0068】
他の態様において、シリコン−ゲルマニウム層群を含むデバイスを組みたてる方法は:i)IV族元素の表面層を含む基体を提供する工程、ii)基体を400℃から600℃の範囲の温度に維持する工程、iii)Si1−xGeの層(式中、xは0〜0.50である)を基体上にMOCVDにより、前記シリコンおよびゲルマニウム前駆体のいずれかを用いて形成する工程、iv)基体を工程i)の温度とほぼ同じ温度に維持し、シリコン前駆体流れを維持し、ゲルマニウム前駆体流れを完全にスイッチオフして、切形インターフェースを得る工程、およびv)基体を工程i)の温度とほぼ同じ温度に維持し、歪シリコンのキャップ層を形成して、電子の移動度およびデバイスの速度を向上させる工程により説明される。
【0069】
次の実施例は、本発明の様々な態様を説明することが期待されるが、如何なる態様においても本発明の範囲を何ら制限することを意図するものではない。全ての操作は不活性雰囲気中、典型的には乾燥窒素の雰囲気中で行われる。
【実施例】
【0070】
実施例1
ジメチルアミノゲルマニウムトリクロリドは下記式にしたがって合成されることが予想される。
【0071】
【化13】

【0072】
0℃に維持されたゲルマニウムテトラクロリド(50g、0.233モル)のペンタン(100mL)中撹拌溶液に、リチウムジメチルアミドのジエチルエーテル中溶液(11.898g、0.233モル、50mL)を均圧滴下漏斗によって滴下添加する。添加を約30分間続ける。添加が完了したら、結果として得られる混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、その後、懸濁液が得られると予想される。
【0073】
懸濁液が沈殿したら、サイフォン技術を用いて上清母液を分離する。リチウムクロリド副生成物の沈殿物を新鮮なペンタンで洗浄し、洗浄液を窒素雰囲気下でサイフォンにより分離し、その後、母液と合わせる。ペンタン/エーテル溶媒を次に反応物を60℃に加熱して常圧蒸留により除去する。予想されるえられた粗生成物を真空蒸留によりさらに精製することができ、金属不純物および有機溶媒を含まない高純度のジアルキルアミノゲルマニウムトリクロリドが得られると予想される。
【0074】
実施例2
シリコンテトラクロリドをゲルマニウムテトラクロリドの代わりに使用する以外は実施例1の方法を繰り返し、ジアルキルアミノシリコントリクロリドが調製されると予想される。生成物は合計金属不純物が5ppm未満であると予想される。
【0075】
実施例3
エチルゲルマニウムトリクロリドは下記式にしたがって合成されると考えられる。
【0076】
【化14】

【0077】
0℃に維持されたゲルマニウムテトラクロリド(50g、0.233モル)のジエチルエーテル(100mL)中撹拌溶液に、エチルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル中溶液(0.233モル、3.0Mを78mL)を均圧滴下漏斗によって滴下添加する。この添加を約45分間続ける。添加が完了したら、結果として得られる混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、その後、懸濁液が得られると考えられる。
【0078】
懸濁液が沈殿したら、サイフォン技術を用いて上清母液を分離する。予想されるマグネシウムハライド副生成物の沈殿物を新鮮なジエチルエーテルで洗浄し、洗浄液を窒素雰囲気下でサイフォンにより分離し、その後母液と合わせる。エーテル溶媒を次いで常圧蒸留により除去すると、予想される粗生成物が残る。油浴を用いて反応混合物を次いで50〜60℃に加熱する。分別蒸留により粗生成物をさらに精製することができ、金属不純物および有機溶媒を含まない高純度のエチルゲルマニウムトリクロリドが得られると予想される。
【0079】
実施例4
シリコンテトラクロリドをゲルマニウムテトラクロリドの代わりに使用する以外は実施例3の手順を繰り返し、エチルシリコントリクロリドが得られると予想される。
【0080】
実施例5
エチルゲルマニウムトリクロリドは下記式にしたがって合成されると予想される。
【0081】
【化15】

【0082】
0℃に維持されたゲルマニウムテトラクロリド(50g、0.233モル)のベンゼン(100mL)中冷撹拌溶液に、エチルリチウムのベンゼン/シクロヘキサン(90:10)中溶液(0.25モル、0.5Mを500mL)を均圧滴下漏斗によって滴下添加する。この添加を約60分間続ける。添加が完了したら、結果として得られる混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、その後、懸濁液が得られると予想される。懸濁液が沈殿したら、サイフォン技術を用いて上清母液を分離する。予想されるリチウムハライド副生成物の沈殿物を新鮮なシクロヘキサンで洗浄し、窒素雰囲気下でサイフォンにより洗浄液を分離し、その後、母液を合わせる。溶媒混合物を次いで常圧蒸留により分離し、予想される粗生成物が残る。油浴を用いて反応混合物を次いで50℃から60℃に加熱する。予想される粗生成物をさらに分別蒸留によりさらに分離することができ、金属不純物および有機溶媒を含まない高純度のエチルゲルマニウムトリクロリドが得られると予想される。
【0083】
実施例6
シリコンテトラクロリドをゲルマニウムテトラクロリドの代わりに使用する以外は実施例5の手順を繰り返し、エチルシリコントリクロリドが得られると予想される。
【0084】
実施例7
エチルゲルマンは下記式にしたがって合成されると予想される。
【0085】
【化16】

【0086】
過剰の還元剤(LiAlHまたはNaBHのいずれか、0.5モル)のn−ブチルエーテル中室温撹拌懸濁液に、n−ブチルエーテル(100ml)中に溶解させた実施例5から得られるEtGeCl(50g、0.240モル)を均圧滴下漏斗によって滴下添加する。予想される発熱反応が起こり、灰色の懸濁液が得られる。粗生成物を真空下で若干のn−ブチルエーテル溶媒とともにポット−ツウ−ポット(pot−to−pot)蒸留する。分別蒸留により予想される最終生成物をn−ブチルエーテルから単離する。
【0087】
実施例8
ビス(ジメチルアミノ)ゲルマンは下記式にしたがって合成されると予想される。
【0088】
【化17】

【0089】
過剰の還元剤(LiAlHまたはNaBHのいずれか、0.5モル)のn−ブチルエーテル中室温撹拌懸濁液に、n−ブチルエーテル中に溶解させた(NMeGeCl(0.2241モル)を窒素雰囲気下、均圧滴下漏斗によって滴下添加する。発熱反応が起こり、灰白色の懸濁液が得られる。予想される粗生成物を真空下でn−ブチルエーテル溶媒とともにポット−ツウ−ポット蒸留する。分別蒸留により予想される最終生成物をn−ブチルエーテルから単離する。
【0090】
実施例9
ビス(ジメチルアミノ)シリコンジクロリドをビス(ジメチルアミノ)ゲルマニウムジクロリドの代わりに使用する以外は実施例8の手順を繰り返し、ビス(ジメチルアミノ)シランが得られると予想される。
【0091】
実施例10
ジメチルアミノエチルゲルマニウムジクロリドは下記式にしたがって合成されると予想される。
【0092】
【化18】

【0093】
(NMe)GeCl(50g、0.2241モル)のジエチルエーテル(100mL)中低温撹拌溶液に、ジエチルエーテル中EtMgBr(0.23モル)を均圧滴下漏斗によって窒素下で滴下添加する。発熱反応が予想され、懸濁液を得る。予想される粗生成物を混合物から充分な真空下で蒸留し、ジエチルエーテルと混合された生成物を得る。大量のジエチルエーテル溶媒の除去後、予想される最終生成物を大気圧での分別蒸留により得る。予想される生成物を次いでもう一度分別蒸留することによりさらに精製することができる。
【0094】
実施例11
ジメチルアミノシリコントリクロリドを使用する以外は実施例10の手順を繰り返し、ジメチルアミノエチルシリコンジクロリドが得られると予想される。
【0095】
実施例12
ジメチルアミノゲルマンは下記式にしたがって合成されると予想される。
【0096】
【化19】

【0097】
過剰の還元剤(LiAlHまたはNaBHのいずれか、0.5モル)のn−ブチルエーテル中室温撹拌懸濁液に、n−ブチルエーテル中に溶解させた実施例10からの(NMe)(Et)GeCl(50g、0.23モル)を窒素雰囲気下、均圧滴下漏斗によって滴下添加する。発熱反応が起こり、灰色懸濁液が得られる。予想される粗生成物を真空下で若干のn−ブチルエーテル溶媒とともにポット−ツウ−ポット蒸留する。分別蒸留により予想される最終生成物をn−ブチルエーテルから単離してもよい。
【0098】
実施例13
次の表の化合物は前記実施例の1以上にしたがって調製されると予想される。略号「Et」、「Me」および「i−Pr」はそれぞれ「エチル」、「メチル」および「イソプロピル」を意味する。略号「Ph」はフェニル基を意味する。
【0099】
【表1】

【0100】
実施例14
tert−ブチルメチルゲルマンを次式にしたがって合成した。
【0101】
【化20】

【0102】
40℃以下に維持されたメチルゲルマニウムトリクロリド(52g、0.24モル)のエチルジグリム(100mL)中撹拌溶液に、tert−ブチルマグネシウムクロリドのブチルジグリム中溶液(0.275モル、250mL)を均圧滴下漏斗によって滴下添加した。添加を180分間続けた。添加が完了したら、トランスファーラインを使用して反応混合物を水素化リチウム(12g)のエチルジグリム(200mL)中撹拌混合物に滴下した。32mtorrでの減圧蒸留により粗生成物(16g)を得、NMRにより、溶媒が混入した所望のゲルマンであることが確認された(NMRスペクトルは3.82ppmに四重線、1.00ppmに一重線および0.14ppmに三重線を含み、それぞれGeH、(CHCおよびCHに対応していた)。
【0103】
実施例15
トリメチルプロピルゲルマンを次式にしたがって合成した。
【0104】
【化21】

【0105】
40℃以下に維持されたトリメチルゲルマニウムクロリド(120g、0.78モル)のブチルジグリム(200mL)中撹拌溶液に、n−プロピルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル中溶液(0.780モル、390mL)を均圧滴下漏斗によって滴下添加した。添加を120分間続けた。添加が完了したら、反応混合物を加熱し、穏やかに2時間還流した。粗生成物を真空蒸留により得、NMRにより、所望のゲルマンであることが確認された。粗生成物を分別蒸留によりさらに精製した(80g、収率=70%)。
【0106】
実施例16
トリメチルイソプロピルゲルマンを次式にしたがって合成した。
【0107】
【化22】

【0108】
過剰のi−PrMgClのブチルジグリム中撹拌溶液(750mL、1.05モル)に、室温でそのままのMeGeCl(130g、0.848モル)を16ゲージステンレス鋼カニューレによって制御された方法で添加した。添加は3時間かかり、その間、温度は約50℃に上昇した。添加が完了し、混合物を室温に冷却させた後、ポットをゆっくりと85℃に加熱しながら粗生成物を完全真空トランスファーによりドライアイスで冷却された受器中に単離した。1.5フィートの真空ジャケット付充填カラムを用いて粗生成物を常圧蒸留し、93〜97℃の間で蒸留される主フラクションを得た(105g、収率=77%)。Hnmrスペクトルは、1.0ppmに二重線、0.94ppmに多重線、0.06に一重線を含み、それぞれCH、CHおよびGeCHに対応していた。
【0109】
実施例17
ジメチルアミノプロピルトリメチルゲルマンを次式にしたがって合成した。
【0110】
【化23】

【0111】
過剰のジメチルアミノプロピルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン中撹拌溶液(0.38モル)に、室温でそのままのMeGeCl(52g、0.34モル)を制御された方法で添加した。添加は1時間かかり、その間に温度が約44℃まで上昇した。添加が完了した後、混合物を75℃に1時間加熱した。反応混合物を次いで室温に冷却し、脱イオン水(150mL)を反応物に制御された方法で添加した。粗生成物を含有する有機層をサイフォンにより単離した。水性層をジエチルエーテル(100mL)で抽出し、抽出された溶液を生成物と合わせた。有機層をモレキュラシーブ(5Å)上で16時間にわたって乾燥した。溶媒(テトラヒドロフランおよびジエチルエーテル)を常圧蒸留により除去し、粗生成物(45g)を真空蒸留により得た。H nmrスペクトルにより、生成物が所望のジアルキルアミノプロピルトリメチルゲルマニウムであることが確認された。
【0112】
実施例18
ターシャリーブチルゲルマニウムトリクロリドを下記式にしたがって合成した。
【0113】
【化24】

【0114】
0℃に維持されたゲルマニウムテトラクロリド(95g、0.443モル)のブチルジグリム(150mL)中冷撹拌溶液に、t−ブチルマグネシウムクロリドのブチルジグリム中溶液(0.422モル、1.03Mを410mL)を均圧滴下漏斗によって滴下添加した。若干過剰のゲルマニウムテトラクロリドが維持された。この添加を120分間続けた。添加が完了したら、結果として得られる混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、その後、塩化マグネシウムの懸濁液が観察された。生成物、t−ブチルゲルマニウムトリクロリドを真空蒸留により塩化マグネシウムおよびブチルジグリムから単離した。減圧をゆっくりと下げて充分な真空にし、温度を50℃に上昇させて、最終生成物を得た。粗生成物はFTNMRにより証明されるように微量のブチルジグリムを混入していることが判明した。粗生成物を第二の真空蒸留によりさらに精製した。
【0115】
実施例19
ターシャリーブチルゲルマニウムトリクロリドを下記式にしたがって合成した。
【0116】
【化25】

【0117】
0℃に維持されたゲルマニウムテトラクロリド(100g、0.443モル)の直鎖アルキルベンゼン(200mL)中冷撹拌溶液に、t−ブチルマグネシウムクロリドのジエチルエーテル中溶液(0.466モル、2.0Mを233mL)に均圧滴下漏斗によって滴下添加した。若干過剰のゲルマニウムテトラクロリドが維持された。この添加を120分間続けた。添加が完了したら、結果として得られる混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、その後、塩化マグネシウムの懸濁液が観察された。生成物、t−ブチルゲルマニウムトリクロリドおよびジエチルエーテルを真空蒸留により反応混合物から単離した。結果として得られる物質を次いで常圧蒸留に付して、エーテルを除去した。エーテルを除去した後、真空昇華による粗生成物の精製により、純粋な生成物を得た(40g、収率=37%)。
【0118】
実施例20
SiGe1−xエピタキシャル構造の一群は、(001)サファイア基体上でMOCVDにより成長させられると予想される。MOCVDは、ビス(ジメチルアミノ)シランおよびビス(ジメチルアミノ)−ゲルマンを前駆体として使用し、Hおよび/またはNをキャリアガスとして使用して行われる。この層の群に関して、1〜2μmの厚さのSiGe層がまずシリコン基体上に成長すると予想される。続いての組成SiGe、SiGe、およびSiGeの次の層は、ゲルマニウム前駆体の質量流量を増大させることにより成長すると予想される。成長温度は350℃から450℃の間に維持される。Si1−xGe漸変層の堆積後、シリコン前駆体流れを継続させ、ゲルマニウム前駆体流れは完全にスイッチオフして、切形のインターフェースを得た。シリコン堆積は従って漸変SiGeを下層として使用して行い、エピタキシャル歪シリコン層がキャップ層として堆積すると予想される。
【0119】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIAまたはIIB:
【化1】

(式中、RおよびRは独立に、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;各Rは独立に、分岐および環状(C−C)アルキルから選択される;各Rは独立に、(C−C12)アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールから選択される;Xはハロゲンである;a’=0〜3;b’=0〜2;c’=1〜3;d’=0〜3;a’+b’+c’+d’=4;a”=0〜2;b”=0〜2;e”=1〜2;f”=0〜2;a”+b”+e”+f”=4であり;a”、b”およびf”のうちの少なくとも2つが0ではなく;ただしa”=1、e”=1、f”=2、およびRが(CH)Cである場合、R≠CHとする;ただし、c’+d’=4である場合、Rは分岐または環状(C−C)アルキルであるとする)
の化合物。
【請求項2】
が分岐または環状(C−C)アルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
e”=1〜2であり;f”=1〜2であり;およびb”=1〜2である請求項1記載の化合物。
【請求項4】
d’=1〜3であり、b’=1〜2である請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物がイソブチルゲルマン及び(NMe)GeCl から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項6】
基体上にゲルマニウムを含む金属フィルムを堆積させる方法であって、a)基体を含む堆積チャンバーに気相中の請求項1記載の有機金属化合物を輸送する工程;b)有機金属化合物を堆積チャンバー中で分解する工程;およびc)ゲルマニウムを含む金属フィルムを基体上に堆積させる工程を含む方法。

【公開番号】特開2010−235633(P2010−235633A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−158413(P2010−158413)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【分割の表示】特願2004−99110(P2004−99110)の分割
【原出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】