説明

検出装置

【課題】合焦精度を向上させる。
【解決手段】高感度のラインセンサ16Bは、レーザ照明部11により照明された対象物2の光点像の光量から得られる高輝度の受光データを取得し、低感度のラインセンサ16Aは、対象物2の光点像の光量から得られる低輝度の受光データを取得し、データ処理部17は、正常時は、高感度のラインセンサ16Bからの高輝度の受光データを選択し、高輝度の受光データを得るときのレーザ光が飽和した場合、低輝度の受光データを選択する。そして、検出部18は、データ処理部17により選択された受光データに基づいて、対象物2の像の合焦状態を検出することで、対象物2の像の合焦状態が確実に検出されるので、合焦精度を向上させることができる。本発明は、例えば、対象物の断面形状を測定する測定装置に用いられる位置検出装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象物の断面形状を測定する測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の測定装置においては、受光デバイスが設けられた鏡筒の垂直方向の位置を、対象物の表面に対して常に合焦状態となるように駆動制御し、その垂直方向の変位量から対象物の表面の高さを検出する。そして、対象物表面を走査しながら、垂直方向の変位量をサンプリングすることにより、対象物の表面の断面形状を検出する。
【0004】
図8は、受光デバイスとしてラインセンサが設けられた場合の合焦時と非合焦時の受光の様子を示す図である。図8では、長方形の各マス目を1受光素子とする、複数の受光素子から構成されるラインセンサが模式的に表されている。
【0005】
図8Aに示すように、合焦時のレーザスポットSは、その径が、小面積で、かつ高密度となるため、1受光素子の受光量は大きくなる。一方、図8Bに示すように、非合焦時のレーザスポットSは、その径が、大面積で、かつ低密度となるため、1受光素子の受光量は非常に小さなものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−72311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、合焦時と非合焦時とでは、レーザスポットSの径の状態が変化するものであり、特に、1受光素子当たりの面積が小さい場合には、その変化による影響を顕著に受けやすくなる。
【0008】
そのため、合焦時の光量に合わせてセンサ感度を設定した場合、非合焦時の光量が非常に小さくなるために、その光量を検出することができない。逆に、非合焦時の光量に合わせてセンサ感度を設定した場合、合焦時の光量が非常に大きくなるために、その光量が飽和してしまう場合がある。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、合焦時と非合焦時における光量を確実に検出して、合焦精度を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の検出装置は、対象物を照明する照明手段と、前記対象物からの反射光を集光して、前記対象物の光点像を結像させる結像光学系と、前記結像光学系により集光された前記対象物の光点像の合焦状態を検出する光検出手段と、前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記対象物の面位置を検出する位置検出手段とを備え、前記光検出手段は、前記反射光の光量から得られる高輝度のデータを取得するための高輝度対応部と、前記反射光の光量から得られる低輝度のデータを取得するための低輝度対応部を有し、前記位置検出手段は、前記高輝度対応部により取得された前記高輝度のデータ、又は前記低輝度対応部により取得された前記低輝度のデータに基づいて、前記対象物の面位置を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、合焦精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した検出装置の一実施の形態の構成(第1の構成)を示す図である。
【図2】ラインセンサにおける合焦時の受光データの例を示す図である。
【図3】ラインセンサにおける非合焦時の受光データの例を示す図である。
【図4】本発明を適用した検出装置の一実施の形態の構成(第2の構成)を示す図である。
【図5】ラインセンサの露光時間の切り替え動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明を適用した検出装置の一実施の形態の構成(第3の構成)を示す図である。
【図7】レーザ照明部の発光パワーの切り替え動作を示すタイミングチャートである。
【図8】ラインセンサにおける合焦時と非合焦時の受光の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明を適用した検出装置の一実施の形態の構成(第1の構成)を示す図である。
【0015】
検出装置1は、レーザ照明部11、ビームスプリッタ12A、12B、レンズ13、ダイクロイックミラー14、対物レンズ15、ラインセンサ16A、16B、データ処理部17、検出部18、及び観察光学系19から構成される。
【0016】
レーザ照明部11は、例えば、所定の波長のレーザ光を出射するレーザダイオードから構成される。レーザ照明部11から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ12Aに入射される。
【0017】
ビームスプリッタ12Aは、レーザ照明部11からのレーザ光を透過し、透過したレーザ光は、レンズ13により平行光とされる。そして、レンズ13により集光されたレーザ光は、ダイクロイックミラー14に入射される。ダイクロイックミラー14は、レーザ照明部11から出射されるレーザ光の波長の周辺の光や、この波長よりも長波長の光を反射させる機能を有する。したがって、レンズ13からのレーザ光は、ダイクロイックミラー14により対物レンズ15側に反射され、対物レンズ15により対物レンズ15の焦点位置に集光されて、対象物2の表面に照射される。
【0018】
対象物2の表面に照射されて、反射したレーザ反射光は、対物レンズ15により集光され、そのレーザ反射光の一部が、ダイクロイックミラー14を透過して、観察光学系19に導かれる。観察光学系19は、ダイクロイックミラー14を透過したレーザ反射光を撮像素子(不図示)に結像させて、撮像素子によって対象物2の像に対応する観察画像が取得される。この観察画像は、モニタ(不図示)に表示される。
【0019】
一方、ダイクロイックミラー14によりレンズ13側に反射され、レンズ13を通過したレーザ反射光は、ビームスプリッタ12Aの偏向面で反射される。このレーザ反射光の光路には、ビームスプリッタ12Bが配置されており、ビームスプリッタ12Bは、入射光の一部を透過させ、一部を反射させる機能を有している。図1の例の場合、透過光と反射光の強さがほぼ、1:1であるので、ビームスプリッタ12Bは、ハーフミラーとして機能する。
【0020】
ビームスプリッタ12Bを透過したレーザ反射光の光路には、ラインセンサ16Aが配置され、ビームスプリッタ12Bにより反射されたレーザ反射光の光路には、ラインセンサ16Bが配置されている。ラインセンサ16A、16Bは、例えば、複数個のフォトダイオードによりそれぞれ構成され、各フォトダイオードは、受光量に比例した受光信号を出力する。なお、以下の説明では、ラインセンサ16A、16Bにより検出された受光信号を受光データと称して説明する。
【0021】
ラインセンサ16Aは、強いレーザ反射光を受光できるように、その受光感度が調整された低感度のラインセンサである。ラインセンサ16Aは、ビームスプリッタ12Bを透過したレーザ反射光を受光し、その光量に応じた受光データをデータ処理部17に供給する。つまり、ラインセンサ16Aから出力される受光データは、低輝度の受光データとなる。
【0022】
ラインセンサ16Bは、微弱なレーザ反射光を受光できるように、その受光感度が調整された高感度のラインセンサである。ラインセンサ16Bは、ビームスプリッタ12Bにより反射されたレーザ反射光を受光し、その光量に応じた受光データをデータ処理部17に供給する。つまり、ラインセンサ16Bから出力される受光データは、高輝度の受光データとなる。
【0023】
データ処理部17には、低感度のラインセンサ16Aからの低輝度の受光データと、高感度のラインセンサ16Bからの高輝度の受光データが、同期して入力される。データ処理部17は、受光感度の異なる2つのラインセンサからの同期した受光データのうちの一方の受光データを選択して、検出部18に供給する。
【0024】
ここで、図2及び図3を参照して、データ処理部17により行われる受光データの選択処理の詳細について説明する。なお、図2及び図3において、長方形の各マス目を1受光素子とするラインセンサ16A、16Bが模式的に示され、さらに、それらのラインセンサ16A、16Bを構成する各受光素子により受光される光量の波形が示されている。また、垂直方向の軸は図示されていないが、図中上にいくほど、受光素子により受光された光量、すなわち、受光データが大きくなるものとする。
【0025】
図2に示すように、合焦時において、レーザ反射光によるレーザスポットS(光点像)が集光される場合、ラインセンサ16A、16Bにおける1受光素子当たりの受光量が大きくなるため、図2Aの低感度のラインセンサ16Aでは、蓄積された光量に対応する受光データを取得することができる。それに対し、図2Bの高感度のラインセンサ16Bでは、蓄積された光量が飽和(サチュレーション)して、飽和光量を超えた光量が、一定レベルになってしまう。
【0026】
一方、図3に示すように、非合焦時において、レーザ反射光によるレーザスポットS(光点像)が集光される場合、ラインセンサ16A、16Bにおける1受光素子当たりの受光量が非常に小さくなるため、図3Bの高感度のラインセンサ16Bでは、光量を蓄積して受光データを取得することができる。それに対し、図3Aの低感度のラインセンサ16Aでは、非合焦時のレーザスポットS(光点像)の光量が非常に小さく、蓄積される光量が少ないため、正確な受光データを取得することができない。
【0027】
そこで、データ処理部17は、ラインセンサ16A、16Bからの受光データのうち、通常は、高感度のラインセンサ16Bからの受光データを選択して、検出部18に供給する。また、データ処理部17は、高感度のラインセンサ16Bからの受光データが飽和した場合には、低感度のラインセンサ16Aからの受光データを選択して、検出部18に供給するようにする。
【0028】
これにより、非合焦時には、高感度のラインセンサ16Bにより検出された高輝度の受光データが出力され、合焦時などの高輝度の受光データを得るときの光量が飽和した場合には、高感度のラインセンサ16Bからの高輝度の受光データの替わりに、低感度のラインセンサ16Aにより検出された低輝度の受光データが出力される。
【0029】
図1に戻り、検出部18は、データ処理部17からの受光データに基づいて、対象物2の表面の位置(面位置)を検出する。例えば、検出装置1を有する測定装置においては、対物レンズ15と、対象物2の表面との距離を相対的に移動させるとともに、ラインセンサ16A、16Bにより対象物2の表面からのレーザ反射光の光量を検出し、低輝度の受光データに基づいて、その光量がピークになったときの対象物2の面位置をリニアエンコーダ等の面位置検出装置により検出することで、対象物2の面位置を検出することができる。
【0030】
以上のように、第1の構成では、高輝度対応部としての高感度のラインセンサ16Bにより得られる高輝度の受光データと、低輝度対応部としての低感度のラインセンサ16Aにより得られる低輝度の受光データが取得され、高輝度の受光データを得るとき光量が飽和したとき、低輝度の受光データに基づいて、対象物2の像の合焦状態が確実に検出されるので、合焦精度を向上させることができる。その結果、例えば、検出装置1を有する測定装置では、対象物2の測定精度を向上させることができる。
【0031】
なお、以上の説明では、ラインセンサ16A、16Bの受光感度を異ならせる場合を例に説明したが、ラインセンサ16A、16Bの受光感度を同一にして、ビームスプリッタ12Bにより入射光の光量を分割して、レーザ反射光の強度を変化させるようにして、ラインセンサ16A、16Bのそれぞれにより受光される光量を変化させるようにしてもよい。
【0032】
図4は、本発明を適用した検出装置の一実施の形態の構成(第2の構成)を示す図である。
【0033】
図4の検出装置1(第2の構成)では、図1の検出装置1(第1の構成)と同様の箇所には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0034】
図4の検出装置1では、図1の検出装置1と比べて、受光感度の異なる2つのラインセンサ16A、16Bの代わりに、1つのラインセンサ16が設けられており、さらに、光路を2つに分ける必要がないので、ビームスプリッタ12A、12Bの代わりに、1つのビームスプリッタ12が設けられ、さらに、レーザ照明部11とラインセンサ16を制御する制御部20が設けられている点が異なる。
【0035】
すなわち、図4の検出装置1においては、レーザ照明部11が、制御部20の制御にしたがって、レーザ光を出射し、そのレーザ光が、ビームスプリッタ12ないし対物レンズ15を経由して、対象物2の表面に照射される。そして、対象物2の表面で反射したレーザ反射光は、対物レンズ15ないしレンズ13を経由して、ビームスプリッタ12に入射される。ビームスプリッタ12により反射されたレーザ反射光は、ラインセンサ16により受光される。ラインセンサ16は、制御部20の制御にしたがって、ビームスプリッタ12により反射されたレーザ反射光を受光し、その光量に応じた受光データをデータ処理部17に供給する。
【0036】
ここで、図5のタイミングチャートを参照して、図4の制御部20により行われるレーザ照明部11とラインセンサ16の制御処理の詳細について説明する。
【0037】
なお、図5においては、図5Aから図5Cの順に、レーザ照明部11から出射されるレーザ光の発光パワーを調整するための制御信号のレベルを示す「レーザ発光パワー」、ラインセンサ16を構成する各受光素子のシャッタ開閉動作制御等により露光時間を調整するための制御信号のレベルを示す「シャッタ時間」、及びラインセンサ16からの出力のレベルを示す「受光データ」のタイミングチャートがそれぞれ記述されている。つまり、「レーザ発光パワー」は、制御部20からレーザ照明部11に入力される制御信号、「シャッタ時間」は、制御部20からラインセンサ16に入力される制御信号をそれぞれ示している。また、図5において、時間の方向は、図中左から右に向かう方向とされている。さらに、垂直方向の軸は、図示されていないが、図中上にいくほど、電圧のレベルが高くなるものとする。
【0038】
また、以下の説明では、レーザ照明部11によりレーザ光を出射させるための電圧のレベルを、Hレベルと称し、レーザ光を出射させない電圧のレベルを、Lレベルと称する。また、ラインセンサ16において、シャッタを開放させるための電圧のレベルを、Hレベルと称し、シャッタを閉じるための電圧のレベルを、Lレベルを称する。
【0039】
例えば、対象物2の面位置を検出が、時刻tないし時刻tの期間で行われるとき、その期間において、制御部20からレーザ照明部11に出力される電圧のレベルはHレベルとなり、レーザ照明部11から一定のパワーのレーザ光が出射され続けることとなる。
【0040】
このとき、ラインセンサ16では、所定のサンプリング周期で、受光された光量に応じた受光信号を読み出して、受光データを取得することになるが、ラインセンサ16は、制御部20からラインセンサ16に出力される電圧のレベルがHレベルとなるとき、受光データを取得することとなる。また、ここでは、1サンプリング周期(例えば、時刻tから時刻tまでの時間)内に、長時間露光を行う区間(例えば、時刻tから時刻tまでの時間)と、短時間露光を行う区間(例えば、時刻tから時刻tまでの時間)の異なる露光時間となる区間を設けて、長時間露光をしたときに得られる受光データと、短時間露光をしたときに得られる受光データの両方が取得されるようにする。
【0041】
具体的には、時刻tにおいて、「シャッタ時間」の電圧のレベルがHレベルとなり、長時間露光が開始されると、ラインセンサ16では、受光された光量の蓄積が開始される。その後、時刻tにおいて、長時間露光が終了し、「シャッタ時間」の電圧のレベルがLレベルとなり、長時間露光の受光データが取得される。続いて、時刻tにおいて、「シャッタ時間」の電圧のレベルがHレベルとなり、短時間露光が開始されてラインセンサ16では、受光された光量の蓄積が開始される。その後、時刻tにおいて、短時間露光が終了し、「シャッタ時間」の電圧のレベルがLレベルとなり、短時間露光の受光データが取得される。
【0042】
長時間露光の受光データと、短時間露光の受光データは、その露光時間が異なるため、「受光データ」のレベルで示すように、短時間露光の場合よりも長時間露光の場合のほうが、ラインセンサ16において蓄積される光量が多くなる。すなわち、露光時間(光量の蓄積時間)が制御されることにより、高輝度となる長時間露光の受光データと、低輝度となる短時間露光の受光データが得られる。
【0043】
そして、上述したサンプリング周期を繰り返すことで、時刻tないし時刻t、・・・、時刻tnー3ないし時刻tにおいても、時刻tないし時刻tと同様に、長時間露光と短時間露光が交互に繰り返し行われて、1サンプリング周期ごとの高輝度の受光データと低輝度の受光データとの組み合わせが得られる。
【0044】
図4に戻り、データ処理部17には、ラインセンサ16から、高輝度の受光データと低輝度の受光データとが、交互に繰り返し供給される(図5Cのタイミングチャートに示した、「長時間露光の受光データ」と「短時間露光の受光データ」)。データ処理部17は、1回のサンプリングで取得された1組の高輝度の受光データと低輝度の受光データのうちの一方の受光データを選択して、検出部18に供給する。
【0045】
すなわち、図2及び図3を参照して先に述べたように、合焦時のレーザスポットS(光点像)が集光される場合、ラインセンサ16において、短時間露光をしたときには正常に受光されるが、長時間露光したときには、飽和する場合がある。一方、非合焦時のレーザスポットS(光点像)が集光される場合、ラインセンサ16において、長時間露光をしたときには正常に検出されるが、短時間露光をしたときには、蓄積される光量が少ないため、正確な検出を行うことができない。
【0046】
そこで、データ処理部17は、ラインセンサ16による1回のサンプリングで取得された1組の受光データのうち、通常は、長時間露光で得られた高輝度の受光データを選択して、検出部18に供給する。また、データ処理部17は、高輝度の受光データが飽和した場合には、短時間露光で得られた低輝度の受光データを選択して、検出部18に供給するようにする。これにより、非合焦時には、高輝度の受光データが出力され、合焦時などの高輝度の受光データを得るときの光量が飽和した場合には、高輝度の受光データの替わりに、低輝度の受光データが出力される。
【0047】
以上のように、第2の構成では、ラインセンサ16を高輝度対応部として機能させるための長時間露光により得られる高輝度の受光データと、ラインセンサ16を低輝度対応部として機能させるための短時間露光により得られる低輝度の受光データが取得され、高輝度の受光データを得るときの光量が飽和したとき、低輝度の受光データに基づいて、対象物2の像の合焦状態が確実に検出されるので、合焦精度を向上させることができる。その結果、例えば、検出装置1を有する測定装置では、対象物2の測定精度を向上させることができる。
【0048】
また、第2の構成では、制御部20によって、ラインセンサ16における露光時間を制御するだけで、新たな光学部材や電子部品等を追加することなく、簡単な構成で、高輝度の受光データと低輝度の受光データの両方を取得することができる。
【0049】
なお、長時間露光の露光時間は、短時間露光の露光時間よりも長い時間となるが、その時間の関係は、例えば、次のように定めることができる。すなわち、例えば、反射率50%の対象物2に対してレーザ光を照射したときにおいて、長時間露光の露光時間は、短時間露光の露光時間の5倍の時間とすることができる。ただし、この関係は一例であり、長時間露光と短時間露光の露光時間の割合は、面位置の検出を行う対象物2などによって変化するものである。
【0050】
図6は、本発明を適用した検出装置の一実施の形態の構成(第3の構成)を示す図である。
【0051】
図6の検出装置1(第3の構成)では、図1及び図4の検出装置1(第1、第2の構成)と同様の箇所には、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
【0052】
図6の検出装置1では、図4の検出装置1と同様に、1つのラインセンサ16と、1つのビームスプリッタ12が設けられ、さらに、制御部20が設けられている。
【0053】
ここで、図7のタイミングチャートを参照して、図6の制御部20により行われるレーザ照明部11とラインセンサ16の制御処理について説明する。なお、図7の各タイミングチャートの軸は、図5と同様とされている。また、以下の説明では、発光パワー強のレーザ光を出射させるための電圧のレベルを、Hレベルと称し、発光パワー弱のレーザ光を出射させるための電圧のレベルを、Hレベルと称する。
【0054】
図7では、「レーザ発光パワー」に示すように、制御部20からレーザ照明部11に出力される電圧のレベルは一定とならず、1サンプリング周期(時刻tから時刻tまでの時間)内に、発光パワーを強とする区間(時刻tから時刻tまでの時間)と、発光パワーを弱とする区間(時刻tから時刻tまでの時間)の異なる発光パワーとなる区間を設けて、発光パワーを強としたときに得られる受光データと、発光パワーを弱にしたときに得られる受光データの両方が取得されるようにする。また、「シャッタ時間」に示すように、制御部20からラインセンサ16に出力される電圧のレベルは、1サンプリング周期において、同一の露光時間となる区間が繰り返されるようにされる。
【0055】
具体的には、「レーザ発光パワー」の電圧のレベルがHレベルとなり、発光パワー強のレーザ光の出射が開始された後、時刻tにおいて、「シャッタ時間」の電圧のレベルがHレベルになると、ラインセンサ16では、受光された光量の蓄積が開始される。その後、時刻tにおいて、「シャッタ時間」の電圧のレベルがLレベルになると、発光パワー強の受光データが取得される。続いて、「レーザ発光パワー」の電圧のレベルがHレベルとなり、発光パワー弱のレーザ光の出射が開始された後、時刻tにおいて、「シャッタ時間」の電圧のレベルがHレベルになると、ラインセンサ16では、受光された光量の蓄積が開始される。その後、時刻tにおいて、「シャッタ時間」の電圧のレベルがLレベルになると、発光パワー弱の受光データが取得される。
【0056】
発光パワー強の受光データと、発光パワー弱の受光データは、その露光時間は同一であるが、照射されているレーザ光の強度が異なるため、「受光データ」のレベルで示すように、発光パワー弱のレーザ光を出射した場合よりも、発光パワー強のレーザ光を出射した場合のほうが、ラインセンサ16に蓄積される光量が多くなる。すなわち、レーザ光の強度が制御されることにより、高輝度となる発光パワー強の受光データと、低輝度となる発光パワー弱の受光データが得られる。
【0057】
そして、上述したサンプリング周期を繰り返すことで、時刻tないし時刻t、・・・、時刻tnー3ないし時刻tにおいても、時刻tないし時刻tと同様に、発光パワー強と発光パワー弱のレーザ光の出射が交互に繰り返し行われて、1サンプリング周期ごとの高輝度の受光データと低輝度の受光データとの組み合わせが得られる。
【0058】
図6に戻り、データ処理部17には、ラインセンサ16から、高輝度の受光データと低輝度の受光データとが、交互に繰り返し供給される(図7Cのタイミングチャートに示した、発光パワー強と発光パワー弱の受光データ)。データ処理部17は、1回のサンプリングで取得された1組の高輝度の受光データと低輝度の受光データのうちの一方の受光データを選択して、検出部18に供給する。
【0059】
すなわち、図2及び図3を参照して先に述べたように、合焦時のレーザスポットS(光点像)が集光される場合、ラインセンサ16において、発光パワー弱のレーザ光を出射したときには、正常に受光されるが、発光パワー強のレーザ光を出射したときには、飽和する場合がある。一方、非合焦時のレーザスポットS(光点像)が集光される場合、ラインセンサ16において、発光パワー強のレーザ光を出射したときには正常に検出されるが、発光パワー弱のレーザ光を出射したときには、蓄積される光量が少ないため、正確な検出を行うことができない。
【0060】
そこで、データ処理部17は、ラインセンサ16による1回のサンプリングで取得される1組の受光データのうち、通常は、発光パワー強のレーザ光を出射したときに得られた高輝度の受光データを選択して、検出部18に供給する。また、データ処理部17は、高輝度の受光データが飽和した場合には、発光パワー弱のレーザ光を出射したときに得られた低輝度の受光データを選択して、検出部18に供給するようにする。これにより、非合焦時には、高輝度の受光データが出力され、合焦時などの高輝度の受光データが飽和した場合には、高輝度の受光データの替わりに、低輝度の受光データが出力される。
【0061】
以上のように、第3の構成では、ラインセンサ16を高輝度対応部として機能させるための発光パワー強での照明光の出射により得られる高輝度の受光データと、ラインセンサ16を低輝度対応部として機能させるための発光パワー弱での照明光の出射により得られる低輝度の受光データが取得され、高輝度の受光データを得るときの光量が飽和したとき、低輝度の受光データに基づいて、対象物2の像の合焦状態が確実に検出されるので、合焦精度を向上させることができる。その結果、例えば、検出装置1を有する測定装置では、対象物2の測定精度を向上させることができる。
【0062】
また、第3の構成では、制御部20によって、レーザ照明部11による出射されるレーザ光の発光光量を制御するだけで、新たな光学部材や電子部品等を追加することなく、簡単な構成で、高輝度の受光データと低輝度の受光データの両方を取得することができる。
【0063】
なお、発光パワー強の光量は、発光パワー弱の光量よりも多くなるが、その光量の関係は、例えば、表面の反射率50%の対象物2に対してレーザ光を照射した場合において、発光パワー強の光量を、発光パワー弱の光量の5倍の光量とすることができる。ただし、この関係は一例であり、発光パワー強と発光パワー弱の光量の割合は、面位置の検出を行う対象物2などによって変化するものである。
【0064】
以上のようにして、本実施の形態では、高輝度の受光データと低輝度の受光データが取得され、飽和していないほうの受光データを採用することで、合焦時と非合焦時における光量を確実に検出して、合焦精度を向上させることができる。
【0065】
また、従来の測定装置であると、受光デバイスとして、ラインセンサやエリアセンサなどを用いた場合、レーザスポット径と光量密度の関係から、対象物表面が、平坦な表面であれば、なだらかな光量変化をするので、その変化を検出することができるが、その表面が平坦でない、表面凹凸が大きい対象物等の表面状態のよくない対象物の場合には、急激な光量変化をするので、その変化を検出することができないという問題があった。また、反射率の異なる材質からなる対象物の場合も、その材質の境界で受光光量が変化してしまうことがあるため、その変化を検出することができない場合がある。このような場合には、正確に信号を検出できない恐れがある。一方、本実施の形態では、高輝度の受光データと低輝度の受光データが取得され、飽和していないほうの受光データが採用されるため、表面状態のよくない対象物を正確に測定することができる。また、対象物表面で、反射率が急激に変化するような対象物を測定する場合であっても、正確に測定することができる。
【0066】
なお、以上の説明では、検出装置1を測定装置に適用した場合について説明したが、検出装置1は、顕微鏡や光学測定機等において、焦点位置の検出するために用いるようにしてもよい。また、検出装置1は、対物レンズ15若しくはダイクロイックミラー14等の光学系を収納した鏡筒(不図示)、又は対象物2を載置したステージを高さ方向に移動しながら焦点位置検出を行って、オートフォーカス動作をさせる機器に用いることもできる。
【0067】
また、第1の構成ないし第3の構成以外の構成であっても、ラインセンサ16(ラインセンサ16A、16B)を、高輝度対応部と低輝度対応部として機能させる構成であれば、他の構成を採用することができる。
【0068】
さらに、以上の説明では、受光デバイスとして、ラインセンサを一例に説明したが、ラインセンサの代わりに、エリアセンサを設けるようにしてもよい。
【0069】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 検出装置, 11 レーザ照明部, 12,12A,12B ビームスプリッタ, 13 レンズ, 14 ダイクロイックミラー, 15 対物レンズ, 16,16A,16B ラインセンサ, 17 データ処理部, 18 検出部, 19 観察光学系, 20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を照明する照明手段と、
前記対象物からの反射光を集光して、前記対象物の光点像を結像させる結像光学系と、
前記結像光学系により集光された前記対象物の光点像の合焦状態を検出する光検出手段と、
前記光検出手段の検出結果に基づいて、前記対象物の面位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記光検出手段は、前記光点像の光量から得られる高輝度のデータを取得するための高輝度対応部と、前記光点像の光量から得られる低輝度のデータを取得するための低輝度対応部を有し、
前記位置検出手段は、前記高輝度対応部により取得された前記高輝度のデータ、又は前記低輝度対応部により取得された前記低輝度のデータに基づいて、前記対象物の面位置を検出する
ことを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記高輝度対応部は、高感度のセンサであり、
前記低輝度対応部は、低感度のセンサである
ことを特徴とする請求項1の検出装置。
【請求項3】
前記光検出手段は、ラインセンサであり、
前記ラインセンサの露光時間を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ラインセンサを前記高輝度対応部として機能させるための第1の露光時間と、前記ラインセンサを前記低輝度対応部として機能させるための前記第1の露光時間よりも短い時間となる第2の露光時間とを切り替える
ことを特徴とする請求項1の検出装置。
【請求項4】
前記光検出手段は、ラインセンサであり、
前記照明手段から出射される照明光の光量を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記ラインセンサを前記高輝度対応部として機能させるための第1の光量と、前記ラインセンサを前記低輝度対応部として機能させるための前記第1の光量よりも光量を少なくした第2の光量とを切り替える
ことを特徴とする請求項1の検出装置。
【請求項5】
前記位置検出手段は、前記高輝度のデータを得るときの前記光点像の光量が飽和した場合、前記低輝度のデータに基づいて、前記対象物の面位置を検出する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−117870(P2012−117870A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266353(P2010−266353)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】