説明

樹脂成形品の成形方法及び成形装置

【課題】 発泡性樹脂に基づく発泡を促進しつつ、薄肉化を防止できる樹脂成形品の成形方法を提供する。
【解決手段】 成形型4内のブロー成形体41内に溶融発泡性樹脂70を供給し、その後、成形型4を型開き方向に所定量開いてキャビティ27を増大させる。これにより、溶融発泡性樹脂70を発泡させてブロー成形体41を膨張させる。一方、ブロー成形体41の膨張に基づいてブロー成形体41が延伸された部分44に対しては、成形型4の所定量の型開き動作終了後に、溶融非発泡性樹脂45を補給して、ブロー成形体41の延伸された部分44が他の部分に比して薄肉化することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形品の成形方法及び成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形品の成形方法には、特許文献1に示すように、予備成形体としてのチューブ状のパリソンを成形型のキャビティ内に取り込んでブロー成形を行うことにより中空のブロー成形体を形成し、そのブロー成形体内に、エア抜きしながら発泡性ビーズを充填すると共にスチームを供給して、発泡溶着するものが知られている。このものによれば、樹脂成形品の表層部がブロー成形体(膜)となり、樹脂成形品の表面性(平滑性)、強度等を安定して高めることができる。
【0003】
一方、樹脂成形品の成形方法として、発泡を促進すると共に樹脂成形品の体積を増大するべく、キャビティへの発泡性樹脂の充填後、成形型を型開き方向に所定量開き、キャビティを増大するもの(コアバック)が提案されている。この成形方法を前述の成形方法に適用すれば、表層部の表面性、強度等を高めると共に体積の増大(調整)を図ることができる樹脂成形品を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−284149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記成形方法においては、成形型が型開き方向に所定量開くことに伴って、キャビティが増大されることになり、その新たなキャビティ増大空間に向けて、ブロー成形体が、その内部の発泡等に基づき膨張され、その膨張されるブロー成形体は成形型によりいち早く冷却される。このため、ブロー成形体は、成形型のうち、キャビティ増大空間側の型に向けて延伸されることになり(引張強度が作用)、表層部が部分的に薄肉化して局部的に強度が低下する部分が形成されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第1の技術的課題は、発泡性樹脂に基づく発泡を促進しつつ、薄肉化を防止できる樹脂成形品の成形方法を提供することにある。
第2の技術的課題は、上記樹脂成形品の成形方法に使用される成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記第1の技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)においては、
溶融非発泡性樹脂を用いて形成された略均等肉厚のチューブ状の予備成形体を垂下させ、該予備成形体を成形型のキャビティ内に取り込んでブロー成形を行うことにより中空のブロー成形体を形成し、該成形型内のブロー成形体内に溶融発泡性樹脂を供給し、その後、前記成形型を型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させることにより、前記溶融発泡性樹脂を発泡させて前記ブロー成形体を膨張させる樹脂成形品の成形方法であって、
前記ブロー成形体の膨張に基づいて該ブロー成形体が延伸された部分に対して、前記成形型の所定量の型開き動作終了後において、溶融非発泡性樹脂を補給する構成としてある。
【0007】
上述の構成により、成形型を型開き方向に所定量開き、キャビティを増大することに基づき、ブロー成形体内に溶融発泡性樹脂の発泡を促進することができる一方、キャビティの増大(ブロー成形体の膨張)に基づいてブロー成形体が延伸されることに関しては、その延伸された部分に対して、成形型の型開き動作終了後において、溶融非発泡性樹脂を補給することから、ブロー成形体の延伸された部分が他の部分に比して薄肉化することを防止できる。
【0008】
請求項1の好ましい態様として、前記ブロー成形体に補給される溶融非発泡性樹脂として、前記予備成形体の形成に用いられる溶融非発泡性樹脂と同じものを用いる構成を採ることができる(請求項2対応)。この構成により、ブロー成形体と、それに補給される非発泡性樹脂との接着性、溶着性を向上させることができる。
【0009】
請求項1の好ましい態様として、前記所定量の型開き動作に伴って形成されるキャビティ増大空間側の型のキャビティ区画面に隣接するブロー成形体部分であって、該キャビティ区画面の周縁部に隣接する部分を、前記ブロー成形体が延伸された部分とし、前記ブロー成形体が延伸された部分に対して、前記キャビティ増大空間側の型に形成された非発泡性樹脂補給通路を通じて前記溶融非発泡性樹脂を補給する構成を採ることができる(請求項3対応)。この構成により、ブロー成形体が延伸された部分の位置を、型との関係で的確に捉え、型に形成された非発泡性樹脂補給通路を用いて、具体的に、ブロー成形体の延伸された部分が他の部分に比して薄肉化することを防止できる。
【0010】
請求項1の好ましい態様として、前記キャビティ増大空間側の型を固定型とする構成を採ることができる(請求項4対応)。この構成により、当該型を移動させる必要がなくなることから、溶融非発泡性樹脂を送り出すことになる非発泡性樹脂供給手段を非発泡性樹脂補給通路に接続する上で好ましいものとなる。
【0011】
請求項1の好ましい態様として、前記成形型が、第1型、第2型、第3型を、その順に直列的に備えており、前記第1型が、前記キャビティを形成するための凹所を、その開口を前記第2,第3型側に向けた状態で有しており、前記第2型が、区画空間を区画する枠体とされて、前記第1型に連続して合わされるとき、該区画空間に基づき該第1型の凹所空間を拡張するように設定されており、前記第3型が、前記第2型の区画空間内に摺動可能に嵌合する突出部を有して、前記第1,第2型と共に型閉じ状態にあるとき、少なくとも該突出部の先端面と前記第1型の凹所内壁面とにより前記キャビティを形成するように設定されており、前記予備成形体を前記成形型のキャビティ内に取り込むに際しては、前記第2,第3型に対して前記第1型が相対的に離間動され、前記成形型を型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させるに際しては、前記第1,第2型が、互いに合わさった状態を維持しつつ、前記第3型に対して相対的に所定量離間動されて、該第2型の区画空間に対する該第3型の突出部の進入度合いが型閉じ状態の場合よりも少なくされる構成を採ることができる(請求項5対応)。この構成により、具体的な成形型を用いて、前記請求項1に係る作用を生じさせることができる。
【0012】
請求項1の好ましい態様として、前記溶融発泡性樹脂に補強繊維が含まれている構成を採ることができる(請求項6対応)。この構成により、型開き時に、補強繊維が立上がって、成形品が膨張(見かけ上の体積が増加)することになり(スプリングバック現象)、この現象により溶融発泡性樹脂の発泡を促進することができる。
【0013】
請求項1の好ましい態様として、前記溶融発泡性樹脂が、樹脂中に物理発泡剤が混ぜ合わされたものである構成を採ることができる(請求項7対応)。この構成により、成形品内部の発泡セル径を小さくすることができる。
【0014】
請求項1の好ましい態様として、前記物理発泡剤が超臨界流体である構成を採ることができる(請求項8対応)。この構成により、超臨界流体の性質を利用して、成形品内部の発泡セル径を、より小さくすることができる。
【0015】
前記第2の技術的課題を達成するために本発明(請求項9に係る発明)においては、
溶融非発泡性樹脂を用いて形成し略均等肉厚のチューブ状の予備成形体を垂下させる予備成形体成形機と、該予備成形体成形機により形成された予備成形体をキャビティ内に取り込んで該予備成形体を中空のブロー成形体として所定の形状に型付ける成形型と、該成形型内のブロー成形体内に溶融発泡性樹脂を供給する溶融発泡性樹脂供給手段と、を備え、前記成形型が、前記溶融発泡性樹脂供給手段が該成形型内のブロー成形体内に溶融発泡性樹脂を供給したとき、型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させるように設定されている成形装置において、
前記成形型内部に形成されて、一端開口が外部に開口されていると共に、他端開口が、該成形型の所定量の型開きに伴って延伸される前記ブロー成形体の延伸される部分に開口されている溶融非発泡性樹脂補給通路と、
前記溶融非発泡性樹脂補給通路の一端開口に接続され、前記成形型の所定量の型開き動作終了後において、溶融非発泡性樹脂を送り出す溶融非発泡性樹脂供給手段と、
を備えている構成としてある。この構成により、当該装置を用いることによって、ブロー成形体の延伸された部分が他の部分に比して薄肉化することを防止できる。
【0016】
請求項9の好ましい態様として、請求項10〜12に記載の構成を採ることができる。この構成により、前記請求項2、3、8と同様の作用効果を得ることができる。
【0017】
また、請求項9の好ましい態様として、前記非発泡性樹脂供給手段による非発泡性樹脂の送り出しを調整する調整手段と、前記成形型の所定量の型開き動作終了後のタイミングを検出するタイミング検出手段と、前記タイミング検出手段からの情報に基づき、前記調整手段を制御して、前記非発泡性樹脂供給手段による非発泡性樹脂の送り出しを前記成形型の所定量の型開き動作終了後に行わせる制御手段と、を備えている構成を採ることができる(請求項13対応)。この構成により、請求項9に係る成形装置を、より具体的に得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、発泡性樹脂に基づく発泡を促進しつつ、薄肉化を防止できる樹脂成形品の成形方法を提供できる。
【0019】
本発明(請求項9に係る発明)によれば、請求項1に係る樹脂成形品の成形方法に使用される成形装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
先ず、本実施形態に係る成形装置1について説明する。成形装置1は、図1に示すように、溶融非発泡性樹脂としての溶融ソリッド樹脂(例えばポリプロピレン)をチューブ状に予備成形して軟化状態の予備成形体(以下、パリソンと称す)2として下方に押し出すパリソン押出機3と、該パリソン押出機3から垂下したパリソン2を所定の形状に型付ける成形型4と、成形型4内部に形成されて溶融発泡性樹脂70を前記パリソン2内に導く第1樹脂供給構造5と、成形型4内部に形成されて溶融非発泡性樹脂としての溶融ソリッド樹脂(例えばポリプロピレン)を成形型4のキャビティ側に導く第2樹脂供給通路(溶融非発泡性樹脂補給通路)6と、前記第1樹脂供給構造5に溶融発泡性樹脂70を送り出す第1樹脂供給装置(溶融発泡性樹脂供給手段)7と、前記第2樹脂供給通路6に溶融非発泡性樹脂としての溶融ソリッド樹脂45を送り出す第2樹脂供給装置(溶融非発泡性樹脂供給手段)8と、を備えている。
【0021】
前記パリソン押出機3は、図1に示すように、アキュムレータヘッド9を備えており、その下部にはダイ10が設けられている。このダイ10には、上下方向(肉厚方向)に貫通する中央孔11が形成されており、その中央孔11内にはコア12が配置されている。このコア12には、コアロッド13が連結されており、そのコアロッド13は、アキュムレータヘッド9内部を貫通して上方に延び、その上端部は、アキュムレータヘッド9上方のシリンダ装置(図外の固定部材に固定)14に連結されている。コア12外周面とダイ10の中央孔11内周面とは環状の押し出し孔15を形成しており、その押し出し孔15の環状幅は、前記シリンダ装置14の駆動調整により、調整、設定される。アキュムレータヘッド9内部には、前記環状の押し出し孔15に連なるようにして環状の材料貯留部16が形成されている。この材料貯留部16には、材料供給機17が接続されており、その材料供給機17により非発泡性樹脂としてのソリッド樹脂(例えばポリプロピレン)が材料貯留部16に供給されることになっている。また、アキュムレータヘッド9の内部には、材料貯留部16の上側において、環状通路18が形成されており、その環状通路18は材料貯留部16に連なっている。この環状通路18には、リングプランジャ19が摺動可能に嵌合されており、そのリングプランジャ19は、材料貯留部16内に供給されるソリッド樹脂を環状の押し出し孔15に向けて押し出すべく、アキュムレータヘッド9上方に配置されるシリンダ装置(図外の固定部材に固定)20により上下方向に駆動されることになっている。
【0022】
前記成形型4は、図1に示すように、固定型21(第3型)と、第1可動型22(第1型)と、第2可動型23(第2型)とを備えている。固定型21は、図1〜図3に示すように、本体部24と、その本体部24の内面から突出する突出部25とにより構成されている。本体部24は、正面視四角形状の板状体として形成されており、その内面は、水平方向に向けられている。突出部25は、本体部24の正面視形状(四角形状)と姿勢とを維持しつつ縮小された形状をもって本体部24内面から突出されており、その突出部25に基づき、本体部24内面には、その突出部25の全周囲において、略一定幅の段差面26が形成されている。この突出部25は、本体部24内面から第2可動型23の厚み程度、突出されており、その突出部25の先端面は、平坦に形成されている。
【0023】
前記第1可動型22は、図1に示すように、その平坦な内面を前記固定型21の内面に対向させた状態で配置されて、図示を略す駆動機構により、該固定型21に対して接近・離間動可能となっている。この第1可動型22には、その内面側において、固定型21の突出部25の先端面と協働してキャビティ27を構成するための凹所28が形成されており、その凹所28の開口は、その正面視において、突出部25先端面の形状、大きさ(面積)に略等しくされている。この第1可動型22には、ブローピン挿入孔29が形成されている。ブローピン挿入孔29は、第1可動型22の上部に上下方向に延びるようにして形成されており、そのブローピン挿入孔29により第1可動型22の凹所28と外部とが連通されている。このブローピン挿入孔29にはブローピン30(軸心方向に通路形成のもの)が摺動可能に挿入されており、そのブローピン30は、図示を略す駆動装置により、凹所28内に進入状態となる進入位置と、凹所28内から退出する退出位置とをとり得ることになっている。このブローピン30には、図示を略す圧縮エア源と大気とが切換装置(図示略)を介して連なっており、その切換装置の切換により、ブローピン30は、圧縮エアを供給する機能、エア抜き(自然排気)機能を選択的に発揮することになっている。この場合、自然排気に換えて強制排気を行うようにしてもよい。
【0024】
前記第2可動型23は、図1〜図3に示すように、板状の枠体として形成されており、その第2可動型23の区画空間(枠内空間)31は、前記固定型21の突出部25に対応して、四角形状に形成されている。この第2可動型23は、その板面を第1可動型22及び固定型21に向けつつ、その両者22,21間において、図示を略す駆動機構により、固定型21に対して接近、離間動できることになっており、成形型4の型開き時には、その第2可動型23内の区画空間31に固定型21の突出部25が嵌合されて、その突出部25先端面と第2可動型23とが、協働して、平坦面を形成することになっている(図1参照)。また、この第2可動型23は、前述のパリソン2を挟持しつつ、型開き状態に移行してキャビティ27を増大すべく、型閉じ状態から型開き方向に一定量だけ、第1可動型22と一体的に移動することになっている(コアバック)。その詳細については、本件成形方法の説明において行う。
【0025】
前記第1樹脂供給構造5は、図1,図4,図5に示すように、第1樹脂供給通路32と、シャッタ弁33と、プランジャ34とを備えている。第1樹脂供給通路32は、固定型21の略中心位置において、該固定型21の厚み方向に延びており、その第1樹脂供給通路32は、本体部24の外面と突出部25先端面との間を貫通している。具体的には、この第1樹脂供給通路32は、突出部25先端面から外面側に一定距離延びる大径部35と、その大径部35に段付き孔として連なる中径部36と、その中径部36の内周面に一端が開口し他端が本体部24外面に開口する小径部37と、を備えている。
【0026】
前記シャッタ弁33は、前記大径部35に対して進退動可能に設けられている。このシャッタ弁33は、中径部36との隣接位置において、駆動装置38により駆動されることになっており、シャッタ弁33が大径部35内に進入したときには、大径部35と中径部36との連通が遮断され、シャッタ弁33が大径部35から退出したときには、大径部35と中径部36とが連通することになっている。前記プランジャ34は、中径部36内に摺動可能に嵌合されている。プランジャ34は、駆動装置47(図4参照)により、大径部35に近い前進位置と、前進位置よりも本体部24外面側の後退位置とをとり得るようになっており、前進位置では、プランジャ34の側面により小径部37の一端開口が閉塞され、後退位置では、中径部36と小径部37とが連通されることになっている。
【0027】
前記第2樹脂供給通路6は、図1,図3に示すように、その一端開口6aが本体部24の外面から外方に臨み、その他端開口6bは、4つに分かれて、突出部25先端面の四隅から外方に開口することになっている(図3参照)。
【0028】
前記第1樹脂供給装置7(スクリュシリンダ式)は、図1に示すように、前記固定型21の第1樹脂供給通路32に接続されている。この第1樹脂供給装置7は、既存の機能(加温、加圧機能等)に基づき、溶融発泡性樹脂(熱可塑性樹脂)70を固定型21の第1樹脂供給通路32に供給(射出)することになっており、その溶融発泡性樹脂70を供給するために、第1樹脂供給装置7には、樹脂39と、成形時に気化する物理発泡剤とが供給されることになっている。樹脂39としては、ポリプロピレン等が用いられており、本実施形態においては、その樹脂中に、さらに補強繊維として長繊維が混入されている。物理発泡剤としては、超微細発泡成形を行うべく、超臨界流体が用いられており、その超臨界流体は、超臨界流体ユニット40から第1樹脂供給装置7に供給されることになっている。具体的には、その超臨界流体としては、超臨界状態(臨界圧力及び臨界温度を超えた状態)のCO2又はN2等が用いられており、その超臨界流体は、その性質(液体としての粘度と溶解力、気体としての激しい分子運動を併せ持つ性質)を利用すべく、第1樹脂供給装置7において上記樹脂39中に混ぜ合わされる。この第1樹脂供給装置7による溶融発泡性樹脂70の供給タイミングは、前記シャッタ弁33の駆動装置38及びプランジャ34の駆動装置47を制御することにより行われる。詳細は、本件成形方法の説明において行う。
【0029】
前記第2樹脂供給装置8(スクリュシリンダ式)は、図1に示すように、前記固定型21の第2樹脂供給通路6に接続されている。この第2樹脂供給装置8は、既存の機能(加温、加圧機能等)に基づき、非発泡性樹脂としての溶融ソリッド樹脂(熱可塑性樹脂)45を固定型21の第2樹脂供給通路6に供給することになっており、この溶融ソリッド樹脂42を第2樹脂供給通路6に供給すべく、前記パリソン2の基材と同じソリッド樹脂42が第2樹脂供給装置8に供給されることになっている。この第2樹脂供給装置8による樹脂の供給タイミングについては、本実施形態においては、第2樹脂供給通路6に設けられるシャッタ弁48の駆動装置49を制御ユニットUにより制御することにより行われており、その制御のために、各種部材の作動タイミング情報がセンサ類(代表符号として50を用いる)から制御ユニットUに入力されている。この場合、樹脂供給タイミングに関し、シャッタ弁48及びその駆動装置49を省き、第2樹脂供給装置8において樹脂供給を行う駆動装置を制御ユニットUにより制御してもよいし、シャッタ弁48、その駆動装置49、制御ユニットU及びセンサ類50の全てを省き、第2樹脂供給装置8側の制御機構のみにより制御してもよい。この樹脂供給タイミングの詳細については、本件成形方法の説明において行う。
【0030】
次に、本件成形方法について、前記成形装置1を用いつつ説明する。
【0031】
先ず、図1に示すように、パリソン2が型開き状態の成形型4間に垂下される。このとき、成形型4の型開き状態は、後工程のパリソン2の挟持を考慮して、固定型21の突出部25に第2可動型23が嵌合され、それらに対して、第1可動型22が、水平方向に一定長さだけ、離間された状態となる。また、パリソン2は、ソリッド樹脂をパリソン押出機3によりダイ10から下方に向けて円筒状にして押し出され、そのときのパリソン2の肉厚は略均等肉厚とされる。
【0032】
パリソン2が型開き状態の成形型4間に垂下されると、図6に示すように、第1可動型22が第2可動型23及び固定型21に向けて移動されて型閉じが行われ、その型閉じ状態で、ブロー成形が行われる。この型閉じにおいては、パリソン2の上下端部が第1可動型22と第2可動型23とに挟持され、これにより、そのパリソン2の上下端部が閉じられると共に、パリソン2の大部分がキャビティ27内に収納される。ブロー成形においては、上記型閉じ後、ブローピン30の先端部がキャビティ27内におけるパリソン2内に貫通することにより進入され、そのブローピン30を利用して圧縮エアがパリソン2内に供給される。この圧縮エアの供給により、パリソン2は、膨らまされて、型閉じ状態のキャビティ27内面に押し付けられ、これにより、ブロー成形体41が成形される(ブロー賦形)。
【0033】
このブロー成形に伴い、ブロー成形体41が略形成される時点を捉えて、シャッタ弁33が開かれる。ブロー成形に伴い、パリソン2の一部が薄肉化しつつ第1樹脂供給通路32の大径部35に入り込むことになるが、その大径部35内のパリソン2を、シャッタ弁33による支えをなくして、パリソン2内の圧縮エアの作用に基づき破断するためである。この場合、シャッタ弁33の開弁動作は、例えばブローピン30による圧縮エアの供給開始時点から所定時間が経過したことを捉える(計測する)等して行われる。
【0034】
前記ブロー成形体41が成形されると(具体的にはシャッタ弁33の開弁時点)、図7に示すように、そのブロー成形体41内に前記第1樹脂供給装置7から溶融発泡性樹脂70が射出される。この溶融発泡性樹脂70の射出においては、それに先立ち、ブローピン30への圧縮エアの供給が停止されると共に、ブローピン30が成形型4内(キャビティ27内)から退出される。ブローピン30を成形型4内から退出させるのは、ブローピン30をエア抜き手段としても利用するためである。すなわち、ブロー成形体41を形成した後においては、溶融発泡性樹脂70の射出に伴いブロー成形体41内のエアを抜かなければ、ブロー成形体41内に溶融発泡性樹脂70を円滑に充填できないことから、ブローピン30をエア抜き手段として的確に利用すべく、射出される溶融発泡性樹脂70に埋め込まれないようにしているのである。このため、ブロー成形体41内への溶融発泡性樹脂70の射出に先立ち、ブローピン30の先端部が、ブロー成形体41内からブローピン挿入孔29内へと退出され、ブロー成形体41内への溶融発泡性樹脂70の射出の開始に伴い、ブロー成形体41の貫通孔(ブローピン30が貫通していた孔)、ブローピン挿入孔29内のブローピン30を利用して、ブロー成形体41内のエア抜きが行われる。また、ブロー成形体41内への溶融発泡性樹脂70の射出に際しては、第1樹脂供給通路32における中径部36内のプランジャ34が後退動され、小径部37と中径部36とが連通される。これにより、小径部37、中径部36及び大径部35が連通状態となり、それらを介して高い圧力の溶融発泡性樹脂70がブロー成形体41内に射出される。このとき、キャビティ27内の圧力が臨界圧力よりも低いことから、ブロー成形体41内に供給される発泡性樹脂は、その供給に伴い、その中に含まれる超臨界流体に基づき発泡される。
尚、ブロー成形体41内への第1樹脂供給装置7による溶融発泡性樹脂70の射出は、基本的には、型閉じ状態において、ブロー成形体41内が溶融発泡性樹脂70で充填されたことをもって停止される。この停止判断は、ブロー成形体41内の圧力状態等、各種情報を用いて判断される。
【0035】
前記ブロー成形体41内の発泡性樹脂が充填状態ないしはその充填前の所定状態(発泡性樹脂の射出開始時点を含む)に至ると、コアバックさせるべく、第1可動型22と第2可動型23とが、ブロー成形体41(パリソン2)の上下端部を挟持しつつ固定型21から離間され、キャビティ27容積が増大される。これにより、発泡性樹脂は、超臨界流体に基づき、キャビティ27の増大分がさらに発泡し、その体積が増大する。またこの場合、図9に示すように、コアバック前に樹脂流動に基づき該流動方向に略沿って強制的に配向された長繊維43の内部応力が、上記コアバックに伴って解放されることにより、長繊維43は、図10に示すように、その配向が緩和され立上がって、成形品が膨張(見かけ上の体積が増加)することになり(スプリングバック現象)、この現象が発泡性樹脂の発泡を促進することになる。
【0036】
また、本件成形方法においては、前記コアバックの動作終了後に、シャッタ弁48が開弁されて、第2樹脂供給装置8から溶融ソリッド樹脂が第2樹脂供給通路6の4つの他端開口6bに向けて供給される。これは、コアバックに伴って、ブロー成形体41の一部が延伸されて薄肉化することから、その延伸される部分にソリッド樹脂を補給しようとしているのである。具体的に説明すれば、ブロー成形体41がキャビティ27内面に押し付けられている状態において、コアバックのために第1,第2可動型22,23が固定型21から離間すると、キャビティ27が増大され、ブロー成形体41が、発泡性樹脂の発泡等に基づき、その新たなキャビティ増大空間(新たにキャビティ内壁面が表れてそれにより囲まれる空間、本実施形態においては、固定型21の突出部25から抜け出た第2可動型23の内周面により囲まれる空間)に向けて膨張し、その部分が、第2可動型23に接触して冷却される。このため、そのブロー成形体41のうち、第1,第2可動型22,23により挟持される部分を基準として固定型21(キャビティ増大空間側の型)側部分が、第2可動型23の上記内周面に沿って延伸されることになり、その延伸された部分は薄肉化する。このことから、コアバックに伴って薄肉化した部分(延伸された部分)に、コアバック後に、第2樹脂供給通路6における4つの他端開口6bから溶融ソリッド樹脂45を補給して、その部分(延伸された部分)が他の部分に比して薄肉化することを防止しようとしているのである。それを具体的に示したものが図11である。その図11に示すように、延伸された部分44は、コアバックにより他の部分に比して薄肉化することになるが、その薄肉化した部分に溶融ソリッド樹脂45が補給されることから、その延伸された部分44の肉厚は、他の部分と同じ肉厚となる。この場合、溶融ソリッド樹脂45として、パリソン2に用いられているソリッド樹脂と同じものが用いられていることから、ブロー成形体41に対するそのソリッド樹脂の接着性、溶着性は高い。
【0037】
この後、コアバックの動作が終了して、キャビティ27内における発泡性樹脂の発泡に基づくブロー成形体41の膨張、ソリッド樹脂の補給が終了すると、ブロー成形体41及びその内部の発泡性樹脂の硬化を待ち、成形型4から成形品が脱型される。
【0038】
図12,図13は第2実施形態、図14〜図16は第3実施形態、図17〜図19は第4実施形態、図20は第5実施形態、図21は第6実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図12,図13に示す第2実施形態においては、ブロー成形に際しての圧縮エアの供給、発泡性樹脂の射出に際してのエア抜きの変形例を示す。この第2実施形態においては、ブローピン30に関して、前記第1実施形態と同様の構成となっているが、ブローピン30は、圧縮エアの供給にのみ用いられ、エア抜きには用いられず、エア抜きに際しては、ブローピン30は、ブローピン挿入孔29に退出するだけとされる(進退動に関しては第1実施形態と同じ)。一方、エア抜きのために、第1可動23の内部にエア排出機構51が設けられている。エア排出機構51は、作動室52と、作動室52内と大気とを連通するエア排出路53と、作動室52とキャビティ27内とを連通する複数の貫通孔54と、作動室52内に配設される穴あけ部材55とを備えている。穴あけ部材55は、図示を略す駆動機構により作動室52を摺動する摺動部56と、その摺動部56から突出する先細形状の複数の穴あけピン57とを備えており、ブロー成形のときには、図12に示すように、摺動部56がエア排出路53の開口を閉塞して、エアの排出を行わない一方、複数の穴あけピン57は、複数の貫通孔54及びブロー成形体41を貫通することになる。ブロー成形を終えて発泡性樹脂の射出が行われるときには、図13に示すように、穴あけ部材55は後退動することになり、摺動部56はエア排出路53の開口を開き、複数の穴あけピン57は、ブロー成形体41から退出する。これにより、ブロー成形体41内とエア排出路53とが連通することになり、発泡性樹脂の射出に伴い、ブロー成形体41内のエアはエア排出路53を介して外部に排出される。図13中、矢印は、エアの排出流れを示す。
【0040】
図14〜図16に示す第3実施形態は、エア抜き孔58を成形型4(第1,第2可動型22,23)に予め形成したものを示す。第1、第2可動型22,23の上部合わせ面に、断面半円状の凹所59a,59bがそれぞれ形成されており、両者22,23を突き合わせたとき、協動してエア抜き孔58が形成されることになっている。この成形型4を使用するに際しては、成形型4の型開き状態において、前記エア抜き孔58に嵌合可能なピン60を、その軸心方向を上下方向に向けて前述のパリソン押出機のダイ(図示略)に支持する(図14においては、ピンのみを示し、ダイ等との支持関係については、図示を略す)。その上で、パリソン2を押出し、ピン60がパリソン上部を貫通した状態にし、その状態で、第1可動型22を移動して、第1可動型22と第2可動型23とでパリソン2を挟持すると共に、ピン60を、第1、第2可動型22,23のエア抜き孔58に嵌合された状態とする。これにより、成形型4に予めエア抜き孔58が形成されていても、それがピン60により閉塞されるため、エア抜き孔58部分の成形を含めブロー成形が適切且つ確実に行われる(図15参照)。ブロー成形後、発泡性樹脂をブロー成形体41内に射出するに際しては、それに先立ち、ピン60がエア抜き孔58から抜かれる。これにより、発泡性樹脂の射出に伴い、ブロー成形体41内のエアは排出され、発泡性樹脂は円滑にブロー成形体41内に充填される(図16参照)。勿論、ピン60をブローピンとしても利用することができる。
【0041】
図17〜図19に示す第4実施形態も、エア抜き孔58を成形型4に予め形成したものを示す。成形型4に、エア抜き孔58として、キャビティ27に連なる第1の孔61と、その第1の孔61に連なってその第1の孔61を大気に連通させる複数の第2の孔62とが形成されており、複数の第2の孔62にはピン63がそれぞれ挿入されている。このような成形型4を使用する場合には、成形型4(第1,第2可動型22,23)でパリソン2を挟持した後、ピン63をさらに深く挿入してパリソン2を貫通させると共に、各第2の孔62を閉塞する。その上で、ブロー成形を行えば、各第2の孔62が閉塞されていることから、ブロー成形は適切に行われ、ブロー成形体41が得られる(図18参照)。ブロー成形後、発泡性樹脂をブロー成形体41内に射出するに際しては、それに先立ち、ピン63が各第2の孔62から抜かれる。これにより、発泡性樹脂の射出に伴い、ブロー成形体41内のエアは排出され、発泡性樹脂は円滑にブロー成形体41内に充填される(図19参照)。
【0042】
図20に示す第5実施形態は、ブロー成形体41内に発泡性樹脂を射出するための破断孔の形成方法を示す。この第5実施形態においては、第1樹脂供給通路32として、大径部35が省かれ、中径部36が固定型21の突出部25の先端面から外部に開口されており、その開口は、第1樹脂供給装置7からの発泡性樹脂の供給が行われない状態において、プランジャ34により閉塞されている。またこのとき、小径部37の開口もプランジャ34の側面により閉塞されている。一方、固定型21の突出部25の先端面には、筒部(円筒部)64が突出するようにして設けられており、その筒部64は、その内部に中径部36の開口が臨むように配置されている。これにより、パリソン2をキャビティ27内に収納後、パリソン2内に圧縮エアを供給すれば(ブロー成形)、パリソン2の一部が筒部64内に入り込むと共にその入り込んだ部分は薄肉化する。この後、プランジャ34を、図20中、矢印方向に後退させれば、筒部64内に入り込んだパリソン2は、支えられるものがなくなることから、パリソン2内の圧縮エアの圧力に基づき破断することになり、パリソン2、すなわち、ブロー成形体41に破断孔が形成されることになる。このとき同時に、プランジャ34は、小径部37の開口を開くことになり、発泡性樹脂が、中径部36、破断孔を経てブロー成形体41内に入り込む。このように、この実施形態においては、プランジャ34だけで、ブロー成形体41の破断孔の形成と、発泡性樹脂の供給、停止とを行えることになり、第1実施形態のようにシャッタ弁33を設ける必要がなくなる。
【0043】
図21に示す第6実施形態は、前記第5実施形態の変形例を示す。この第6実施形態においては、プランジャ34の先端面が尖った形状とされ、第1樹脂供給装置7からの発泡性樹脂の供給が行われない状態においては、筒部64よりも前方に突出している。これにより、プランジャ34の後退量(筒部64内に入り込むパリソン2部分の変位量)を長くして、パリソン2(ブロー成形体41)を破断し易くすることができる。この場合、第1樹脂供給装置7からの発泡性樹脂の供給は、プランジャ34の尖った部分が小径部37に臨んだとき開始される。
【0044】
各実施形態において成形される成形品は、自動車用、建築資材用、家電用、日用雑貨用等の広い用途に用いることができ、その各用途において、当該成形品は、補強を初めとして、断熱、遮音、防振、衝撃吸収等の機能を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1実施形態に係る全体構成図。
【図2】固定型と第2可動型との関係を示す説明図。
【図3】固定型及び第2可動型を内面側から見た図。
【図4】第1樹脂供給構造を説明する説明図。
【図5】第1樹脂供給構造におけるブロー成形体の一部破断工程を説明する説明図。
【図6】ブロー成形工程を説明する説明図。
【図7】ブロー成形体内への発泡性樹脂の射出工程、非発泡性樹脂の補給工程を示す説明図。
【図8】コアバックの状態を説明する説明図。
【図9】コアバック前のブロー成形体及びその内部の長繊維の状態を示す説明図。
【図10】コアバック後のブロー成形体及びその内部の長繊維の状態を示す説明図。
【図11】ブロー成形体の延伸された部分に、コアバック後に溶融ソリッド樹脂(溶融非発泡性樹脂)を補給した状態を示す説明図。
【図12】第2実施形態を示す説明図。
【図13】図12からの動作状態を示す図。
【図14】第3実施形態を示す説明図。
【図15】第3実施形態におけるブロー成形時の状態を示す説明図。
【図16】第3実施形態における発泡性樹脂の射出時の状態を示す説明図。
【図17】第4実施形態を示す説明図。
【図18】第4実施形態におけるブロー成形時の状態を示す説明図。
【図19】第4実施形態における発泡性樹脂の射出時の状態を示す説明図。
【図20】第5実施形態を示す説明図。
【図21】第6実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0046】
1 成形装置
2 パリソン(予備成形体)
3 パリソン押出機(予備成形体成形機)
4 成形型
5 第1樹脂供給構造
6 第2樹脂供給通路(溶融非発泡性樹脂補給通路)
7 第1樹脂供給装置(溶融発泡性樹脂供給手段)
8 第2樹脂供給装置(溶融非発泡性樹脂供給手段)
21 固定型(第3型)
22 第1可動型(第1型)
23 第2可動型(第2型)
25 突出部
27 キャビティ
28 凹所
29 ブローピン挿入孔
30 ブローピン
32 第1樹脂供給通路
41 ブロー成形体
43 長繊維
44 延伸された部分
45 溶融ソリッド樹脂(溶融非発泡性樹脂)
48 シャッタ弁
49 駆動装置(調整手段)
50 センサ類(タイミング検出手段)
70 溶融発泡性樹脂
U 制御ユニット(制御手段)





【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融非発泡性樹脂を用いて形成された略均等肉厚のチューブ状の予備成形体を垂下させ、該予備成形体を成形型のキャビティ内に取り込んでブロー成形を行うことにより中空のブロー成形体を形成し、該成形型内のブロー成形体内に溶融発泡性樹脂を供給し、その後、前記成形型を型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させることにより、前記溶融発泡性樹脂を発泡させて前記ブロー成形体を膨張させる樹脂成形品の成形方法であって、
前記ブロー成形体の膨張に基づいて該ブロー成形体が延伸された部分に対して、前記成形型の所定量の型開き動作終了後において、溶融非発泡性樹脂を補給する、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブロー成形体に補給される溶融非発泡性樹脂として、前記予備成形体の形成に用いられる溶融非発泡性樹脂と同じものを用いる、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記所定量の型開き動作に伴って形成されるキャビティ増大空間側の型のキャビティ区画面に隣接するブロー成形体部分であって、該キャビティ区画面の周縁部に隣接する部分を、前記ブロー成形体が延伸された部分とし、
前記ブロー成形体が延伸された部分に対して、前記キャビティ増大空間側の型に形成された非発泡性樹脂補給通路を通じて前記溶融非発泡性樹脂を補給する、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記キャビティ増大空間側の型を固定型とする、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項5】
請求項1において、
前記成形型が、第1型、第2型、第3型を、その順に直列的に備えており、
前記第1型が、前記キャビティを形成するための凹所を、その開口を前記第2,第3型側に向けた状態で有しており、
前記第2型が、区画空間を区画する枠体とされて、前記第1型に連続して合わされるとき、該区画空間に基づき該第1型の凹所空間を拡張するように設定されており、
前記第3型が、前記第2型の区画空間内に摺動可能に嵌合する突出部を有して、前記第1,第2型と共に型閉じ状態にあるとき、少なくとも該突出部の先端面と前記第1型の凹所内壁面とにより前記キャビティを形成するように設定されており、
前記予備成形体を前記成形型のキャビティ内に取り込むに際しては、前記第2,第3型に対して前記第1型が相対的に離間動され、
前記成形型を型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させるに際しては、前記第1,第2型が、互いに合わさった状態を維持しつつ、前記第3型に対して相対的に所定量離間動されて、該第2型の区画空間に対する該第3型の突出部の進入度合いが型閉じ状態の場合よりも少なくされる、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
前記溶融発泡性樹脂に補強繊維が含まれている、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記溶融発泡性樹脂が、樹脂中に物理発泡剤が混ぜ合わされたものである、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記物理発泡剤が超臨界流体である、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項9】
溶融非発泡性樹脂を用いて形成し略均等肉厚のチューブ状の予備成形体を垂下させる予備成形体成形機と、該予備成形体成形機により形成された予備成形体をキャビティ内に取り込んで該予備成形体を中空のブロー成形体として所定の形状に型付ける成形型と、該成形型内のブロー成形体内に溶融発泡性樹脂を供給する溶融発泡性樹脂供給手段と、を備え、前記成形型が、前記溶融発泡性樹脂供給手段が該成形型内のブロー成形体内に溶融発泡性樹脂を供給したとき、型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させるように設定されている成形装置において、
前記成形型内部に形成されて、一端開口が外部に開口されていると共に、他端開口が、該成形型の所定量の型開きに伴って延伸される前記ブロー成形体の延伸される部分に開口されている溶融非発泡性樹脂補給通路と、
前記溶融非発泡性樹脂補給通路の一端開口に接続され、前記成形型の所定量の型開き動作終了後において、溶融非発泡性樹脂を送り出す溶融非発泡性樹脂供給手段と、
を備えている、
ことを特徴とする成形装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記非発泡性樹脂供給手段が送り出す溶融非発泡性樹脂が、前記予備成形体の形成に用いられる溶融非発泡性樹脂と同じものである、
ことを特徴とする成形装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記成形型の所定量の型開き動作に伴って形成されるキャビティ増大空間側の型のキャビティ区画面に隣接するブロー成形体部分であって、該キャビティ区画面の周縁部に隣接する部分に、前記非発泡性樹脂補給通路の他端開口が開口されている、
ことを特徴とする成形装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記成形型が、第1型、第2型、第3型を、その順に直列的に備えており、
前記第1型が、前記キャビティを形成するための凹所を、その開口を前記第2,第3型側に向けた状態で有しており、
前記第2型が、区画空間を区画する枠体とされて、前記第1型に連続して合わされるとき、該区画空間に基づき該第1型の凹所空間を拡張するように設定されており、
前記第3型が、前記第2型の区画空間内に摺動可能に嵌合する突出部を有して、前記第1,第2型と共に型閉じ状態にあるとき、少なくとも該突出部の先端面と前記第1型の凹所内壁面とにより前記キャビティを形成するように設定されており、
しかも、前記第1,第2,第3型は、前記予備成形体を前記キャビティ内に取り込むときには、該第2,第3型に対して該第1型が相対的に離間状態となるように設定されていると共に、型開き方向に所定量開いて前記キャビティを増大させるときには、前記第1,第2型が、互いに合わさった状態を維持しつつ、前記第3型に対して相対的に所定量離間された状態となって、該第2型の区画空間に対する該第3型の突出部の進入度合いが型閉じ状態の場合よりも少なくなるように設定されており、
前記溶融非発泡性樹脂補給通路が、前記第3型の内部に形成されている、
ことを特徴とする成形装置。
【請求項13】
請求項9において、
前記非発泡性樹脂供給手段による非発泡性樹脂の送り出しを調整する調整手段と、
前記成形型の所定量の型開き動作終了後のタイミングを検出するタイミング検出手段と、
前記タイミング検出手段からの情報に基づき、前記調整手段を制御して、前記非発泡性樹脂供給手段による非発泡性樹脂の送り出しを前記成形型の所定量の型開き動作終了後に行わせる制御手段と、
を備えている、
ことを特徴とする成形装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−62426(P2008−62426A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240311(P2006−240311)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】