説明

洗浄装置

【課題】基板サイズ情報を自動的に入力することによって、基板サイズ情報の手入力ミスを防止するとともに、生産性を向上させることができる洗浄装置の提供を目的とする。
【解決手段】異なる複数のサイズのフォトマスク基板8に所望の洗浄処理を施すために、基板サイズに応じて可変する可変部位(三方弁293など)と、フォトマスク基板8とともに投入される基板保持部材81に付された基板サイズ情報を読み取るバーコードリーダー101と、バーコードリーダー101により読み取られた基板サイズ情報にもとづき、可変部位を可変させる制御部7とを備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関し、特に、基板保持部材から基板サイズ情報を読み取る基板情報読取手段と、読み取った基板サイズ情報にもとづいて、所定の制御対象を制御する制御部を備え、基板サイズ情報を自動的に入力することによって、基板サイズ情報の手入力ミスを防止するとともに、生産性を向上させることができる洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI用フォトマスクやLCD用大型フォトマスク等のフォトマスクは、製造プロセス中にさまざまな汚染にさらされるため、製造プロセス中又は最終製品において洗浄される。この洗浄方法としては、一般的に、ディップ式の洗浄方法が用いられていた。
ディップ式の洗浄方法は、並列に配置された洗浄液槽,リンス槽及び乾燥槽に、垂直方向に支持されたフォトマスク基板を順次浸漬させる方法である。なお、これらの槽において使用する薬液の種類やリンス、乾燥方法は、様々な組合せが用いられる。
【0003】
上記ディップ式の洗浄方法は、例えばLSI用フォトマスク等のマスクサイズが小さい基板に対しては、一度に複数枚の基板を処理することができるため、スループットも高く適しているが、LCD用大型フォトマスク等の大型基板に対しては、各槽が大型化し、薬液も大量に必要となるなどの問題があった。ましてや、近年、液晶表示パネル等の表示パネルやそれらを製造するためのフォトマスクの基板サイズは、さらに大型化する傾向にある。すなわち、例えば、液晶パネルの製造においては、多面取りや大画面化の傾向にあることから液晶パネル基板が大型化し、それにともない、液晶パネルを製造するためのフォトマスクも大型化している。このように基板が大型化し、また高精度化する傾向にあるなか、大型の薬液槽において清浄な洗浄液で洗浄しようとすると、多大な量の薬液が必要となるため、ディップ方式の洗浄を行うのが困難となってきたのが実状である。
【0004】
上記実情を解決する技術として、枚葉式スピン洗浄法が注目され開発されている。この枚葉式スピン洗浄法は、回転する基板保持部材にフォトマスク基板等を保持し、回転させながら、洗浄、リンス、乾燥を連続的に行う方法である。すなわち、まず処理室内において水平に保持した基板を回転させながら、該基板に対し、処理液として洗浄液を噴出するなどして洗浄する薬液洗浄、ブラシ等によるスクラブ洗浄(接触洗浄)、供給する処理液や超純水に超音波を与える超音波洗浄等の洗浄を行った後、超純水等でリンスを行い、次いで、基板を所定時間だけ高速回転させることにより乾燥を行う。この方法によれば、上記のディップ方式に比べ、同じ処理室内で一連の処理が可能となるため装置が小型化でき、洗浄液が少なくてすみ、かつ洗浄時間も短くてすむという利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、基板は、上述したように大型化するとともに、基板サイズ(一般的な矩形基板においては、縦寸法,横寸法及び厚さをいう。)が多様化しており、様々なサイズの基板が使用されている。そのため、洗浄装置は、様々なサイズの基板を効果的にあるいは効率よく洗浄するために、基板サイズに応じた洗浄を行うようになってきた。
たとえば、特許文献2に開示された基板洗浄装置は、処理対象である基板のサイズを入力する入力手段を備え、入力された基板のサイズに応じたデータと超音波の周波数とから決定される洗浄液の入射角で、洗浄液を基板に吹き付ける構成としてある。
【0006】
ところで、本発明者は、様々なサイズの大型基板を効率よくかつ優れた洗浄品質で洗浄することが可能な洗浄装置を開発した。この洗浄装置は、複数のスピン洗浄装置を連結することにより、大型基板に対して高品質な洗浄を行うとともに、生産効率を向上させることができる。また、各スピン洗浄装置は、ロールブラシと、裏面シャワー手段と、表面用の処理液噴出手段を備えている。
上記ロールブラシは、矩形基板の対角長の1/2より長いブラシを備えており、回転する基板の外周部から該基板の回転中心を越える部分にまで当接させて、基板表面を接触洗浄する。また、裏面シャワー手段は、基板の回転中心から異なる距離だけ離れた位置に設けられた複数の裏面用ノズルと、裏面用ノズルに処理液を供給する処理液供給手段と、複数の裏面用ノズルのうち、基板のサイズに応じた位置に設けられた裏面用ノズルに、処理液を供給する裏面シャワー制御手段を備えている。さらに、処理液噴出手段は、基板の中央部に処理液をスポット状に吹き付けるスポット用噴出孔及び基板の中央部より外周側に処理液をライン状に吹き付ける複数のライン用噴出孔を有している。
【特許文献1】特開2004−290934号公報
【特許文献2】特開平11−300301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2の基板洗浄装置は、基板サイズを入力するための入力手段を備えているものの、入力手段の具体的な構成については特に記載されていない。また、この基板洗浄装置は、基板の厚さに関する情報を入力すればよいので、基板サイズの入力に対して、特に課題が発生していなかった。
一方、本発明者は、様々なサイズの大型基板を効率よくかつ優れた洗浄品質で洗浄することを目的として、上述した洗浄装置を開発した。この洗浄装置は、基板サイズ情報にもとづいて、複数の制御を行うことから、基板サイズ情報を確実かつ容易に入力する必要があった。また、大型基板がフォトマスク基板である場合には、基板が非常に高額であるなどの理由から、作業者は大きなプレッシャーを受ける。このため、効率よくかつ優れた洗浄品質で洗浄を行うためには、不必要なプレッシャーから作業者を開放するとともに、基板サイズ情報の手入力ミスによるトラブルを未然に防止しなければならないといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、基板サイズ情報を自動的に入力することによって、基板サイズ情報の手入力ミスを防止するとともに、生産性を向上させることができる洗浄装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の洗浄装置は、異なる複数のサイズの基板に所定の洗浄処理を施す洗浄装置であって、前記基板を保持するとともに、前記基板のサイズ情報が付された基板保持部材と、前記基板サイズ情報を読み取る基板情報読取手段と、前記基板情報読取手段により読み取られた前記基板サイズ情報にもとづき、所定の制御対象を制御する制御部とを備えた構成としてある。
このように、基板サイズ情報の備えた基板保持部材を用いることにより、基板に基板サイズ情報を付与するといった処理を行わなくてもすみ、基板へダメージを与えたり、異物が付着するなどといった不具合の心配を排除することができる。特に、洗浄する基板がフォトマスク基板である場合には有効である。
【0010】
また、本発明の洗浄装置は、前記基板のサイズ情報がコード化された情報であり、前記基板情報読取手段がコードリーダーであり、さらに、前記コードリーダーが投入手段に設けられ、前記基板保持部材が前記投入手段に投入されると、前記コード化された情報を読み込む構成としてある。
このようにすると、基板保持部材が投入手段に投入された際、コードリーダーが、コード化された基板サイズ情報を自動的に読み込むので、手入力による入力ミスといった不具合を確実に排除することができる。
【0011】
また、本発明の洗浄装置は、前記制御部により制御される前記所定の制御対象を、前記基板保持部材を搬送するために、該基板保持部材を挟持するチャックの挟持位置、接触洗浄するためのロールブラシの高さ位置、処理液噴出手段の処理液を供給する供給経路に設けられた電磁バルブの開閉、裏面シャワー手段の三方弁の開閉、及び、前記基板を反転するための基板反転手段の挟持アームが前記基板を挟持する挟持位置の少なくとも一つとした構成としてある。
このようにすると、洗浄品質の低下や、基板の搬送エラーを防止することができる。
【0012】
また、本発明の洗浄装置は、前記基板が、表示パネル用のフォトマスク基板である。
このようにすると、様々なサイズの表示パネル用のフォトマスク基板に効果的に対応することができる。
なお、フォトマスク基板とは、フォトマスク用ガラス基板,フォトマスクブランク及びフォトマスクを含むものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄装置によれば、基板サイズ情報が自動的に入力されるので、基板サイズ情報の手入力ミスを防止するとともに、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[洗浄装置]
図1aは、本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の概略平面図を示している。
また、図1bは、本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の概略正面図を示している。
図1a,1bにおいて、洗浄装置1は、第一洗浄槽2,第二洗浄槽3,第一投入回収手段4,第二投入回収手段5,連結用搬送部6及び制御部7とからなっており、左から右に向かって、第一投入回収手段4,第一洗浄槽2,連結用搬送部6,第二洗浄槽3及び第二投入回収手段5が直線的に並設された構成としてある。また、洗浄装置1は、基板情報読取手段として、第一投入回収手段4及び第二投入回収手段5に、バーコードリーダー101を備えている。
【0015】
また、洗浄装置1は、被処理体を、表示パネル用のフォトマスク基板8としてある。近年、様々なサイズの表示パネルを有する表示装置が商品化されているが、洗浄装置1によれば、様々なサイズの表示パネル用のフォトマスク基板8に効果的に対応することができる。
なお、フォトマスク基板8は、一般的に、矩形状としてあるが、この形状に限定されるものではない。
【0016】
(第一投入回収手段)
第一投入回収手段4は、直方体状の筐体構造としてあり、洗浄装置1の左端に配置されている。この第一投入回収手段4は、第一洗浄槽2の第一搬送口21と隣接して設けられており、第一搬送口21に対して、被処理体であるフォトマスク基板8を搬送(すなわち、搬入及び/又は搬出)する。これにより、フォトマスク基板8を第一洗浄槽2に投入したり、第一洗浄槽2から回収する。
【0017】
基板保持部材81は、図2に示すように、円形の被載置板812と、この被載置板812に対して直交するように形成された四本のT字状の保持板813と、保持板813から上方に突設され、フォトマスク基板8を支持する支持部材816及びフォトマスク基板8を位置決めする規制部材817とからなっている。
なお、支持部材816及び規制部材817は、円筒状としてあるが、この形状に限定されるものではない。
【0018】
また、基板保持部材81は、被載置板812の対向する周縁部の裏面に、フォトマスク基板8の基板サイズ(縦寸法,横寸法及び厚さ)を記載したバーコードラベル818が貼り付けられている。すなわち、基板サイズ情報(基板のサイズ情報)として、フォトマスク基板8の縦寸法,横寸法及び厚さが、バーコードラベル818に記載されている。このように、基板サイズ情報の付された基板保持部材81を用いることにより、フォトマスク基板8に基板サイズ情報を付与するといった処理を行わなくてもすみ、フォトマスク基板へダメージを与えたり、異物が付着するなどといった不具合の心配を排除することができる。
また、本実施形態の基板保持部材81は、フォトマスク基板8のサイズにかかわらず、板状チャック815の大きさ及び形状を同じにしてあるので、基板保持部材81を挟持するチャック431,531が、基板保持部材81を挟持する位置は、変動しない。これに対し、たとえば、フォトマスク基板8のサイズに応じて、基板保持部材81の大きさ及び形状が異なる場合には、チャック(図示せず)が基板保持部材81を挟持する位置をバーコードラベル818に記載し、制御部7が、チャック駆動部(図示せず)を制御し、チャックが基板保持部材81を挟持する位置を制御する。
【0019】
また、第一投入回収手段4は、基板保持部材81が装着された際、上記バーコードラベル818の真下方向の位置に、バーコードリーダー101を備えている。なお、本実施形態では、被載置板812に点対象となるように二枚のバーコードラベル818を貼り付けてあるので、基板保持部材81の向きにかかわらず、バーコードリーダー101の上方にどちらかのバーコードラベル818が位置する。
上記バーコードリーダー101は、図3に示すように、制御部7と接続されており、制御部7によって制御され、基板保持部材81が装着されると、基板保持部材81に貼り付けられたバーコードラベル818を自動的に読み込み、基板情報を制御部7に出力する。
【0020】
第一投入回収手段4は、上部の正面側及び背面側に、左右方向に沿って対向する一対のレール24が設けられており、レール24の上部に、左右方向に移動自在にクレーン(図示せず)が掛けられている。第一投入回収手段4は、クレーンを移動させるための第一移動手段(図示せず)を備えており、この第一移動手段は、制御部7によって制御され、クレーンを第一投入回収手段4の搬入・搬出位置A,第一洗浄槽2の洗浄位置B,連結用搬送部6の受渡し位置C及び第二洗浄槽3の洗浄位置Dの間で移動する。
また、図示してないが、クレーンは、正面側及び背面側に、対向する一対のチャックが、前後方向に移動自在に設けてある。このチャックは、制御部7によって制御され、チャックどうしが、基板保持部材81を挟持する。
【0021】
(第一洗浄槽)
第一洗浄槽2は、第一搬送口21,第二搬送口22及びレール24を備えた直方体状のスピン洗浄槽としてあり、洗浄装置1の左側に配置してある。第一洗浄槽2をスピン洗浄槽とすることにより、フォトマスク基板8が大型基板であっても、薬液などの処理液の使用量が低減される。また、第一洗浄槽2は、複数の洗浄処理(たとえば、薬液洗浄,純水洗浄,スクラブ洗浄,リンス,乾燥など)を実施する。
【0022】
第一洗浄槽2は、フォトマスク基板8を搬送する、第一搬送口21及び第二搬送口22がそれぞれ左側面上部及び右側面上部に設けられており、また、上部の正面側及び背面側に、左右方向に沿って対向する一対のレール24が設けられている。このレール24上を、上記クレーンが左右方向に自在に移動する。
【0023】
第一洗浄槽2は、通常、処理カップ25、処理液噴出手段26及びロールブラシ28などが設けられており、クレーンにて搬送されるフォトマスク基板8及び基板保持部材81を処理カップ内に収容した状態で、フォトマスク基板8をスピン洗浄する。処理液噴出手段26やロールブラシ28は、各種薬液や純水が供給され、洗浄条件に応じた洗浄(各種の薬液や純水などによる洗浄,スクラブ洗浄,リンスなど)を行う。
【0024】
(ロールブラシ)
図4は、本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の、洗浄槽のロールブラシが回動した状態を説明するための要部の概略平面図を示している。
ロールブラシ28は、図4に示すように、長手方向の長さが、矩形のフォトマスク基板8の対角長(対角線の長さ)の1/2より長く、かつ、回転板23によって回転されるフォトマスク基板8の外周部から、回転されるフォトマスク基板8の回転中心を越える部分にまで当接し、フォトマスク基板8の表面を接触洗浄する。すなわち、ロールブラシ28は、フォトマスク基板8の外周部から、回転されるフォトマスク基板8の回転中心を通り、フォトマスク基板8の回転中心を通りすぎた部分にまで当接する。このようにすると、フォトマスク基板8が一回転すると、フォトマスク基板8の全面を接触洗浄することができ、洗浄残りが発生するといった不具合を防止する。特に、フォトマスク基板8の中央部分(中心部分)に対しても、接触洗浄が行われるので、フォトマスク基板8の中央部に洗浄残りが発生するといった不具合を効果的に防止する。
【0025】
上記ロールブラシ28は、両端に設けられた長手軸(長手方向の軸)が軸受(図示せず)を介して、アーム281に回転自在に軸支されており、さらに、駆動手段(図示せず)によって回転される。この駆動手段は、回転方向及び回転速度が制御可能な構成としてあり、制御部7によって制御される。これにより、長手軸を回転中心として、ロールブラシ28を所定の一方向に回転させながら洗浄したり、前記回転方向と反対方向に回転させながら洗浄することができ、フォトマスク基板8上に形成された、異物が除去されにくい複雑なパターンに対して、接触洗浄性が大幅に向上する。
【0026】
アーム281は、ロールブラシ28の軸支された側と反対側の端部が、回動軸284と連結されており、昇降自在かつ回動自在に支持されている。この回動軸284は、図示してないが、下方端部が、アーム281を水平方向に回動させるための回動手段(図示せず)と連結されている。また、この回動手段は、図示してないが、アーム281を昇降させるための昇降用駆動部(図示せず)によって昇降される。
【0027】
上記昇降用駆動部は、制御部7によって制御され、フォトマスク基板8の板厚や指定されたロールブラシ28の押圧力などに応じて、ロールブラシ28をフォトマスク基板8に対する最適な当接高さに位置決めする。この際、バーコードリーダー101が読み込んだ基板サイズ情報(この場合は、フォトマスク基板8の厚さ)にもとづいて、制御部7が、制御部7と接続されたロールブラシ28の昇降用駆動部(図3参照)を制御し、ロールブラシ28をフォトマスク基板8に対する最適な当接高さに位置決めするので、生産性を向上させることができるとともに、手入力ミスによる洗浄品質の低下などといった不具合を回避することができる。
【0028】
(処理液噴出手段)
図4に示す処理液噴出手段26は、図示してないが、スポットノズル,中心側シャワーパイプ,外周側シャワーパイプ,取付けアーム及び回動軸を備えている。この処理液噴出手段26は、ロールブラシ28がフォトマスク基板8の上方から移動すると、フォトマスク基板8の上方に移動し、スポットノズル,中心側シャワーパイプ及び外周側シャワーパイプに、各種薬液や純水が供給され、洗浄条件に応じた洗浄(各種の薬液による洗浄,リンスなど)を行う。
【0029】
また、処理液噴出手段26は、上記スポットノズルがフォトマスク基板8の中央部を洗浄し、中心側シャワーパイプが中央部の外周側(円環部)を洗浄し、さらに、外周側シャワーパイプがさらに外周側(フォトマスク基板8の外周部)を洗浄する。すなわち、処理液噴出手段26は、フォトマスク基板8が一回転すると、フォトマスク基板8の中央部から外周部までの全表面に対して、処理液を吹きかけることができるので、効率よくフォトマスク基板8を洗浄する。
【0030】
また、スポットノズル,中心側シャワーパイプ及び外周側シャワーパイプは、それぞれ独立した配管を介して、処理液が供給される。このように、スポットノズル,中心側シャワーパイプ及び外周側シャワーパイプに処理液を供給する供給経路が、それぞれ独立していることによって、たとえば、フォトマスク基板8が小型の場合、スポットノズルだけに処理液を供給して洗浄することができ、フォトマスク基板8が中型の場合、スポットノズルと中心側シャワーパイプだけに処理液を供給して洗浄することができるので、処理液を有効利用することができる。
【0031】
本実施形態では、スポットノズル,中心側シャワーパイプ及び外周側シャワーパイプに処理液を供給する供給経路に設けられた各電磁バルブが、制御部7と接続されており(図3参照)、バーコードリーダー101が読み込んだ基板サイズ情報(この場合は、フォトマスク基板8の縦寸法及び横寸法)にもとづいて、制御部7が、各電磁バルブをオンオフすることにより、中心側シャワーパイプや外周側シャワーパイプに処理液を供給するか否かを制御する。これにより、基板サイズに応じて自動的に処理液が供給されるので、生産性を向上させることができるとともに、手入力ミスによる洗浄品質の低下などといった不具合を回避することができる。
【0032】
(裏面シャワー手段)
図5は、本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の、洗浄槽の裏面シャワー手段を説明するための要部の概略平面図を示している。
また、図6は、裏面シャワー手段の構成を説明するための概略ブロック図を示している。
図5,6において、裏面シャワー手段29は、裏面用ノズル群2910,一次超純水タンク294,ポンプ295及び超超純水製造装置296を備えている。
【0033】
裏面用ノズル群2910は、それぞれ四個の裏面用ノズル(第一列裏面用ノズル2911,第二列裏面用ノズル2912,第三列裏面用ノズル2913,第四列裏面用ノズル2914)が、処理カップ25の底面から突設してある。また、各裏面用ノズル(2911,2912,2913,2914)は、突設された位置の内側かつフォトマスク基板8の裏面方向に処理液(本実施形態では、超純水を使用する。)を噴出する。
【0034】
上記裏面用ノズル(合計4個のノズル)は、処理カップ2の中心(すなわち、フォトマスク基板8の回転中心)から任意の一つの半径方向に、順に配設されている。たとえば、第一列裏面用ノズル2911は処理カップ2の中心からr1だけ離れた位置に、第二列裏面用ノズル2912は同じくr2だけ離れた位置に、第三列裏面用ノズル2913は同じくr3だけ離れた位置に、第四列裏面用ノズル2914は同じくr4(本実施形態では、r4>r3>r2>r1)だけ離れた位置に配設されている。さらに、上記裏面用ノズルは、設置された位置の上方及び処理カップ25の中心側の斜め上方に向けて、処理液を噴出する。
【0035】
また、裏面シャワー手段29は、各裏面用ノズルに超純水を供給する処理液供給手段として、一次純水タンク294,ポンプ295及び超純水製造装置296を備えている。一次純水タンク294は、各回収管2933から未使用の超純水を回収するとともに、不足分として水が供給され、これらの水を貯蔵する。ポンプ295は、一次純水タンク294からの水を超純水製造装置296に供給するとともに、各裏面用ノズルからシャワー状に超純水を噴出されるための水圧を加圧する。
【0036】
また、制御部7は、裏面シャワー手段29を制御し、フォトマスク基板8のサイズに応じて、回転中のフォトマスク基板8の裏面に処理液を吹き付ける位置に設けられた裏面用ノズル(2911,2912,2913,2914など)に、処理液を供給する。すなわち、制御部7は、超純水製造装置296と裏面用ノズルとの間に設けられた複数の三方弁293と接続されており、バーコードリーダー101から入力した基板サイズ情報にもとづいて、各三方弁293をオンオフすることにより、各裏面用ノズル(2911,2912,2913,2914など)に、処理液を供給するか否かを制御する。このようにすると、制御部7が、基板サイズ情報にもとづいて、超純水を噴出する裏面用ノズルを自動的に選択し、たとえば、あらかじめ設定された裏面用ノズルの三方弁293に制御信号を出力し、超純水をフォトマスク基板8の裏面に吹き付ける。したがって、オペレータが超純水を噴出する裏面用ノズルを選択し直接的に制御(オンオフスイッチの操作など)を行わなくてもすむので、人為的ミスを防止するとともに、洗浄作業の作業性を向上させることができる。
【0037】
上記三方弁293は、供給管2931を介して超純水製造装置296と接続され、噴出管2932を介して裏面用ノズルと接続され、さらに、回収管2933を介して、未使用の処理液を回収するための一次純水タンク294と接続されている。したがって、各三方弁293は、供給管2931を介して超純水製造装置296と接続されており、超純水製造装置296から超純水が供給される。そして、たとえば、第一列裏面用ノズル2911の三方弁293が開かれた場合、噴出管2932及びバルブ292を介して超純水が第一列裏面用ノズル2911に供給され、第一列裏面用ノズル2911は、超純水をシャワー状に噴出し、フォトマスク基板8の裏面に吹き付ける。また、三方弁293が閉じられた場合、回収管2933を介して超純水が一次純水タンク294に回収される。
【0038】
(第二投入回収手段)
第二投入回収手段5は、直方体状の筐体構造としてあり、洗浄装置1の左端に配置されている。この第二投入回収手段5は、第二洗浄槽3の第一搬送口31と隣接して設けられており、第一搬送口31に対して、被処理体であるフォトマスク基板8を搬送(すなわち、搬入及び/又は搬出)する。これにより、フォトマスク基板8を第二洗浄槽3に投入したり、第二洗浄槽3から回収する。
また、第二投入回収手段5は、基板保持部材81が装着された際、上記バーコードラベル818の真下方向の位置に、バーコードリーダー101を備えている。
【0039】
第二投入回収手段5は、上部の正面側及び背面側に、左右方向に沿って対向する一対のレール24が設けられており、レール24の上部に、左右方向に移動自在にクレーン(図示せず)が掛けられている。第二投入回収手段5は、クレーンを移動させるための第二移動手段(図示せず)を備えており、この第二移動手段は、制御部7によって制御され、クレーンを第二投入回収手段5の搬入・搬出位置E,第二洗浄槽3の洗浄位置D,連結用搬送部6の受渡し位置C及び第一洗浄槽2の洗浄位置Bとの間で移動する。すなわち、洗浄装置1は、第一投入回収手段4と第二投入回収手段5が、それぞれクレーンを備えている。
また、図示してないが、クレーンは、正面側及び背面側に、対向する一対のチャックが、前後方向に移動自在に設けてある。このチャックは、制御部7によって制御され、チャックどうしが、基板保持部材81を挟持する。
なお、第二投入回収手段5のその他の構成は、第一投入回収手段4とほぼ同様としてある。
【0040】
(第二洗浄槽)
第二洗浄槽3は、フォトマスク基板8を搬送する、第一搬送口31及び第二搬送口32がそれぞれ左側面上部及び右側面上部に設けられており、また、上部の正面側及び背面側に、左右方向に沿って対向する一対のレール24が設けられている。このレール24上を、上記クレーンが左右方向に自在に移動する。
【0041】
第二洗浄槽3は、通常、処理カップ25、処理液噴出手段26及びロールブラシ28などが設けられており、クレーンにて搬送されるフォトマスク基板8及び基板保持部材81を処理カップ内に収容した状態で、フォトマスク基板8をスピン洗浄する。処理液噴出手段26やロールブラシ28は、各種薬液や純水が供給され、洗浄条件に応じた洗浄(各種の薬液や純水などによる洗浄,スクラブ洗浄,リンスなど)を行う。
なお、第二洗浄槽3のその他の構成は、第一洗浄槽2とほぼ同様としてある。
【0042】
(連結用搬送部)
連結用搬送部6は、レール24と基板反転手段63を備えた直方体状の筐体構造としてあり、第一洗浄槽2と第二洗浄槽3の間に配置されている。この連結用搬送部6は、レール24上を二つのクレーンが移動することにより、第一洗浄槽2の第二搬送口22及び第二洗浄槽3の第二搬送口32に対して、フォトマスク基板8が搬送される。
【0043】
図7は、本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の基板反転手段における要部の概略平面図を示している。
同図において、基板反転手段63は、載置板61と反転部630とからなっている。
載置板61は、連結用搬送部6のほぼ中央部に、昇降自在に設けられた基板保持部材81の載置される円板である。連結用搬送部6は、載置板61を昇降させるための昇降手段(図示せず)を備えている。この昇降手段は、制御部7によって制御され、左右方向に移動する反転部630の挟持アーム633がフォトマスク基板8を挟持すると、降下し、続いて、反転部630が反転し、フォトマスク基板8を反転させる。反転されたフォトマスク基板8は、上昇する基板保持部材81に、反転された状態で保持される。
上記反転アーム632は、挟持アーム633を中央方向や反中央方向に移動させるリニアモータやボールねじ付きステッピングモータなどの挟持アーム用駆動部(図示せず)を備えている。
【0044】
この挟持アーム用駆動部は、制御部7によって制御され、挟持アーム633を、フォトマスク基板8を挟持する方向(中央方向)とフォトマスク基板8を放す方向(反中央方向)に移動する。すなわち、図3に示すように、制御部7は、挟持アーム用駆動部と接続されており、バーコードリーダー101から入力した基板サイズ情報にもとづいて、挟持アーム用駆動部を制御し、フォトマスク基板8を挟持する位置まで、挟持アーム633を移動させる。このようにすると、制御部7が、基板サイズ情報にもとづいて、挟持アーム633の挟持位置を制御するので、挟持ミスによりフォトマスク基板8が落下するなどといった不具合を確実に防止することができる。
【0045】
(制御部)
洗浄装置1は、正面右端に制御部7が設けてある。この制御部7は、シーケンサやコンピュータなどの情報処理装置であり、洗浄装置1を制御し、複数の洗浄工程(たとえば、薬液洗浄,スクラブ洗浄,リンス,乾燥など)を自動的に実施する。また、制御部7は、上述したように、バーコードリーダー101,ロールブラシ28の昇降用駆動部,処理液噴出手段の処理液を供給する供給経路に設けられた電磁バルブ,裏面シャワー手段29の三方弁293,及び,基板反転手段63の挟持アーム用駆動部と接続されており、バーコードリーダー101から入力した基板サイズ情報にもとづいて、これらを制御する。
【0046】
また、制御部7は、フォトマスク基板8の洗浄処理に応じて、フォトマスク基板8の搬送経路を制御する。すなわち、制御部7は、第一投入回収手段4の回動駆動手段,昇降手段,第一移動手段及びチャック駆動部と、第二投入回収手段5の回動駆動手段,昇降手段,第二移動手段及びチャック駆動部と、連結用搬送部6の昇降手段,反転手段及び挟持アーム用駆動部を制御する。これにより、洗浄装置1は、フォトマスク基板8の搬送経路として、フォトマスク基板8が、投入回収手段4(5)から第一の搬送口21(31)を経由して洗浄槽2(3)に搬送され、洗浄処理が終了すると、第一の搬送口21(31)を経由して投入回収手段4(5)に搬送される経路と、被処理体が、投入回収手段4から第一の搬送口21を経由して洗浄槽2に搬送され、洗浄処理が終了すると、連結用搬送部6を経由して他の洗浄槽5に搬送され、他の洗浄槽5にて洗浄処理が終了すると、他の洗浄槽5における第一の搬送口31を経由して投入回収手段5に搬送される経路とを有することができる。すなわち、各洗浄槽2,3が独立した状態で洗浄したり、各洗浄槽2,3が連結された状態で洗浄することができるので、生産効率を向上させることができる。
【0047】
このように、本実施形態の洗浄装置1は、基板サイズ情報を自動的に入力することによって、基板サイズ情報の手入力ミスを防止するとともに、生産性を向上させることができる。また、洗浄基板が、大型基板のフォトマスク基板8である場合には、基板が非常に高額であるなどの理由から、作業者は大きなプレッシャーを受けるが、不必要なプレッシャーから作業者を開放するとともに、効率よくかつ優れた洗浄品質で洗浄を行うことができる。
【0048】
以上、本発明の洗浄装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る洗浄装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
たとえば、基板サイズ情報をコード化したバーコードは、二次元バーコードでもよい。また、基板保持部材81にバーコードラベル818を貼り付ける代わりに、バーコードを切削加工やレーザ加工などによって直接的に基板保持部材81に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の洗浄装置は、フォトマスク基板を洗浄する構成に限定されるものではなく、セラミック板や、金属板などの洗浄装置及び洗浄方法に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1a】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の概略平面図を示している。
【図1b】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の概略正面図を示している。
【図2】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の、基板保持部材を説明するための概略拡大平面図を示している。
【図3】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の、基板サイズ情報による制御状態を説明するための、要部の概略ブロック図を示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の、洗浄槽のロールブラシが回動した状態を説明するための要部の概略平面図を示している。
【図5】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の、洗浄槽の裏面シャワー手段を説明するための要部の概略平面図を示している。
【図6】裏面シャワー手段の構成を説明するための概略ブロック図を示している。
【図7】本発明の一実施形態にかかる洗浄装置の基板反転手段における要部の概略平面図を示している。
【符号の説明】
【0051】
1 洗浄装置
2 第一洗浄槽
3 第二洗浄槽
4 第一投入回収手段
5 第二投入回収手段
6 連結用搬送部
7 制御部
8 フォトマスク基板
21 第一搬送口
22 第二搬送口
23 回転板
24 レール
25 処理カップ
26 処理液噴出手段
28 ロールブラシ
29 裏面シャワー手段
31 第一搬送口
32 第二搬送口
61 載置板
63 基板反転手段
81 基板保持部材
101 バーコードリーダー
281 アーム
292 バルブ
293 三方弁
294 一次超純水タンク
295 ポンプ
296 超超純水製造装置
633 挟持アーム
812 被載置板
813 保持板
816 支持部材
817 規制部材
818 バーコードラベル
2910 裏面用ノズル群
2911 第一列裏面用ノズル
2912 第二列裏面用ノズル
2913 第三列裏面用ノズル
2914 第四列裏面用ノズル
2931 供給管
2932 噴出管
2933 回収管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数のサイズの基板に所定の洗浄処理を施す洗浄装置であって、
前記基板を保持するとともに、前記基板のサイズ情報が付された基板保持部材と、
前記基板サイズ情報を読み取る基板情報読取手段と、
前記基板情報読取手段により読み取られた前記基板サイズ情報にもとづき、所定の制御対象を制御する制御部と
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記基板のサイズ情報がコード化された情報であり、前記基板情報読取手段がコードリーダーであり、さらに、前記コードリーダーが投入手段に設けられ、前記基板保持部材が前記投入手段に投入されると、前記コード化された情報を読み込むことを特徴とする請求項1記載のスピン洗浄装置。
【請求項3】
前記制御部により制御される前記所定の制御対象を、前記基板保持部材を搬送するために、該基板保持部材を挟持するチャックの挟持位置、接触洗浄するためのロールブラシの高さ位置、処理液噴出手段の処理液を供給する供給経路に設けられた電磁バルブの開閉、裏面シャワー手段の三方弁の開閉、及び、前記基板を反転するための基板反転手段の挟持アームが前記基板を挟持する挟持位置の少なくとも一つとしたことを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記基板が、表示パネル用のフォトマスク基板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−225811(P2007−225811A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45777(P2006−45777)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】