説明

流体分注装置および方法

流体を基板に選択的に分注する装置および方法が記述される。装置は、非平面基板や回路基板などの基板(20;60;70;90;100)を保持するためのホルダー(18)を備える。接着剤(62;74)などの流体を分注するための流体ディスペンサー(12)や流体ディスペンサーを移動させるための位置決め装置(10)も備える。位置決め装置(10)および流体ディスペンサー(12)は、ホルダー(18)により保持された基板(20;60;70;90;100)に流体が分注されることを可能にするために設けられる。ホルダー(18)は、ホルダー(18)により保持された基板(20;60;70;90;100)を少なくとも1つの軸線回りに傾斜可能にする傾斜メカニズム(22、24)を備える。使用において、基板(20;60;70;90;100)は、流体ディスペンサー(12)により流体が分注されるべき基板の領域が少なくとも略水平であり、それにより、 重力の下での望まれない流体の流れを防止するように傾けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に流体を分注する装置および方法に関する。具体的には、本発明は、非平面基板上に、カプセルの材料、接着剤、はんだペースト等を選択的に分注する装置および方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第6,266,869号明細書
【特許文献2】独国特許第10055185号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板への部品の自動化された配置および接着のための装置が知られている。例えば、特許文献1は、コンピュータハードディスクドライブの様々な部品を組み立てる装置および関連する方法を記述する。具体的には、特許文献1は、3つの直交する軸線に沿って移動されるアームを備える組立装置またはロボットを記述する(X、Y、およびZ)。可動アームは、部品をピックアップする真空コレット、接着剤分注ノズルおよび堆積された接着剤を硬化処理するためのUV光源を運ぶ。装置の平坦なベッドに置かれたトレイは、組み立てられる必要がある複数の部品を運ぶ。使用において、接着剤は、最初に、接着剤ノズルを使って、第1の部品の選択された領域上に分注される。そして、第2の部品が真空コレットによりピックアップされ、要求された配向で第1の部品の上に置かれる。接着剤は、その時、UV光源からのUV放射線を使って硬化処理される。この方法において、ハードディスクの様々なサブ組立品は、自動的に組み立てられる。特許文献1において記述されたタイプの自動化された組立装置は、特定の部品の自動化された組立を可能にするけれども、そのような装置の複雑な構造を組み立てる能力は制限される。
【0004】
また、従来、ステュワートプラットフォームまたはヘキサポッドを使って部品配置を実行することが提案されている。例えば、特許文献2は、ヘキサポッドを使って回転可能なテーブルに設置された基板に部品を置く技術を記述している。しかし、特許文献1と同じように、そのような装置を使った、複雑な部品の自動化された製造を実行する能力は、限定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の面によれば、基板に流体を選択的に分注する装置が提供され、この装置は、基板を保持するためのホルダー、流体を分注するための流体ディスペンサー、および、流体ディスペンサーを移動させるための位置決め装置を備え、位置決め装置および流体ディスペンサーは、ホルダーにより保持された基板に流体が分注されることを可能にするように設けられ、ホルダーは、ホルダーに保持された基板を、少なくとも1つの軸線まわりに傾斜させることを可能にする傾斜メカニズムを備えることを特徴としている。
【0006】
本発明は、カプセルの材料、接着剤、はんだペーストなどの流体を基板に分注するための装置を提供する。位置決め装置は、流体ディスペンサーを、選択された一の領域又は複数の領域に流体が堆積される基板に対して作動可能な位置に移動させるために設けられる。さらに、本発明のホルダーは、基板(すなわち、グラウンドに対する基板のオリエンテーション)の絶対オリエンテーションが規定されることを可能にする傾斜メカニズムを備える。この方法において、装置は、流体ディスペンサーに対する基板の位置とオリエンテーションをコントロールし、基板の絶対オリエンテーションもコントロールする。
【0007】
本発明の装置は、流体ディスペンサーと基板との間の複数の自由度のコントロールを提供する。しかしながら、上述されたタイプの先行技術の装置と違って、基板を傾けることを可能にするホルダーの提供は、基板が、異なる絶対オリエンテーションに配置され、または、流体堆積動作の間にも移動されることを意味している。このことは、基板に分注される、流体、特に、低い粘度の流体の流れのコントロールを可能にする利点、および、特に、多面の自由形状または非平面基板を使用する時の利点が提供されることがわかる。有利には、装置は、流体が分注されるべき局部的な領域が少なくとも略水平であることを保証するためにホルダーにより保持された基板を適切に配向させるために設けることができる。特に、装置は、好適には、使用において、重力の作用の下で基板の表面の流体の流れを最小化する、または、実質的に防止するよう傾斜メカニズムがホルダーを配向させるように構成される。すなわち、基板を傾けることにより、好適には、その領域に堆積した流体のいかなる流れ(例えば重力のため)も防止される。さらに、以下でより詳細に説明されるように、絶対基板オリエンテーションをコントロールする能力は、分注された流体を使って基板に部品が取り付けられる場合にも有利である。例えば、基板の適切なオリエンテーションは、基板に堆積されたはんだペーストまたは接着剤に置かれた後であって、その接着剤またははんだペーストが硬化する前に、(例えば重力によって)部品の位置が変わらないことも保証できる。流体分注装置を移動させることに加えて、基板を傾けることは、流体分注装置を単独で移動させるのに比べて、基板の一定の領域または構造への改善されたアクセスを提供する。
【0008】
本発明は、自動化された流体堆積プロセスにおいて使用するための改良された装置を提供し、特に、基板上にカプセルの材料、接着剤、または、はんだペーストを堆積させることを伴うプロセスでの使用に適している。従って、本発明の装置は、様々な部品を非平面基板に設置することによって構成される三次元装置などのように、複雑な装置の自動化された生産を可能にする。従って、これが、流体および部品がそのような非平面の装置に手動で配置される必要があった公知の方法を越える重要な改良である。従って、本発明の装置は、スピード、精度、繰り返し性、低減されたコストなどの、自動化または半-自動化組立プロセスの様々な利点より複雑な製品のまったく新しい範囲へ伸張する。
【0009】
有利には、ホルダーは、基板が、傾斜可能なテーブルトップに解放可能に保持できる、テーブルベースおよび傾斜可能なテーブルトップを有する傾斜テーブルを備える。基板は、各種の手段でテーブルトップに保持できる;例えば、クリップ、クランプ、ねじ、真空チャック、真空ベッド、または他の保持手段は提供できる。有利には、保持手段は、自動化され、装置のコントロールの下で必要に応じて基板を保持および解放できる。
【0010】
ホルダーの傾斜メカニズムは、保持される基板の1つ以上の軸線回りの傾斜を可能にする。例えば、基板が保持されるテーブルトップは、水平から離れる方向に傾けられる。有利には、傾斜メカニズムは、基板が2つ以上の軸線回りに傾斜することを可能にする。基板は、水平から、10度以上、45度以上又は90度以上傾斜可能であってもよい。ホルダーは基板の追加の移動も提供できる。例えば、ホルダーは、1つ以上の軸線(例えば、「上下」に移動される)に沿って並進移動、または、基板が垂直の軸の回りに回転することを可能にすることができる。
【0011】
本発明の装置は、特に、流体を非平面基板に分注することに適している。有利には、ホルダーは非平面基板を保持してもよい。非平面基板という用語は、ここでは、平坦ではなく、ある種類の三次元形状を有するあらゆる基板を包含するものとして使用される。従って、この用語は、1つ以上の自由形状または曲面を有する対象物、または、異なる平面に配置されまたは異なる表面法線を有する複数の面またはファセットを有する、通常の3D形状(立方体、直平行六面体など)の対象物を含む。例えば、非平面基板は、立方体または直平行66面体{めんたい}の基板、または、湾曲したまたは曲がった1枚の材料から形成された基板を含んでいてもよい。便宜的には、非平面基板は、2つ以上の部品設置表面を有する基板を含む;2つ以上の部品設置表面のそれぞれは、異なる法線ベクトルを有する。有利には、非平面基板は、3つ以上の部品設置表面を有する基板を含む。非平面基板の例は、電子装置の成型プラスチックのケーシングまたはハウジングを含む。有利には、本発明の装置のホルダーは、そのような非平面基板を保持するために設けられる。そのようなホルダーは汎用ホルダーであってもよく、または、それは、特定のタイプまたは種類の非平面基板を保持するために必要に応じて製造してもよい。
【0012】
なお、本発明は、平面基板上に流体を分注する時に、様々な利点も提供する。例えば、基板を傾ける能力は、基板表面に対して斜角で形成された突出部分や穴などの特定の基板構造への改善されたアクセスを提供する。さらに、本発明の装置は、便宜的には、その後に折りたたまれる(平面または非平面)の基板上に流体を堆積させるのに使用できる(選択的には、本発明の装置を用いる)。
【0013】
上で説明したように、装置の位置決め装置が流体ディスペンサーを空間内で移動させ、特に、ホルダーにより保持された基板に対して流体ディスペンサーを作動可能または流体分注する位置に移動させる。従って、位置決め装置は、必要に応じて流体ディスペンサーを並進移動、および/または、回転できる。すなわち、位置決め装置は、流体ディスペンサーの6自由度の動きの1つ以上をコントロールできる。有利には、位置決め装置は複数の軸線に沿って流体ディスペンサーの並進移動を提供する。例えば、位置決め装置は、2つの相互に直交する(X、Y)軸線、または3つの相互に直交する(X、Y、Z)軸線に沿って流体ディスペンサーを並進移動させるように作動可能であってもよい。位置決め装置は、1つ以上の軸線の回りで流体ディスペンサーの回転移動も提供できる。例えば、位置決め装置は、流体ディスペンサーを1、2、または3つの軸線の回りに回転させるために設けることができる。
【0014】
なお、この時に、位置決め装置により移動される流体ディスペンサーは、一のノズル、複数のノズル、または、流体が吐出される同様のものを単に備えていてもよい。従って、流体ディスペンサーは、さらなる部分(例えば、流体リザーバ、ポンプ、供給管など)も含む流体分注システムの一部を構成していてもよい。流体分注システムのこれらの追加の部分は、必ずしもそれに設置されず、あるいは、位置決め装置により移動されない。例えば、位置決め装置は、3次元において、ある長さの柔軟な管により装置の固定部分に配置されたポンプおよびリザーバと接続される流体分注ノズルを移動させることができる。
【0015】
位置決め装置は、あらゆるタイプのロボットまたは位置決め機械を含む。位置決め機械は、固定ベース、および、流体ディスペンサーが設置される可動のマウントを有することができる。位置決め装置は、いわゆる直交座標構成を有する位置決め機械を含んでいてもよく、これは、可動のマウントが、ベースに対する移動のために、直列に設置され(すなわち、一の上に他方を設置)相互に直交する3つの直線案内路によって3つの並進移動の自由度をもつように支持される。有利には、位置決め装置は、複数の伸張可能な脚により可動のマウントがベースに取付られている、非直交座標系またはパラレル位置決め機械を含む。パラレル位置決め機械は、ベースを可動のマウントと連結する6つの伸張可能な脚を有し、それによりベースとマウントの間の6自由度をコントロールする、ヘキサポッドまたはステュワートプラットフォームを含む。便宜的には、パラレル位置決め機械は、ベースと可動のマウントとの間の自由度の少なくとも1つを拘束する拘束メカニズムを含む。好適な実施形態では、ベースと可動のマウントの間のすべての回転自由度およびが拘束されるパラレル位置決め機械が提供される。そのような構成において、3つの伸張可能な脚は、ベースおよび可動のマウントの相対的な位置のコントロールを提供し、複数の固定長の脚は、いずれの回転も防止する。そのような拘束されたパラレル位置決め機械の例は、欧州特許第1612506号および米国特許第7241070号に記述され、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。パラレル位置決め機械は、直列式の位置決め機械に比べて、移動速度、装置コストおよびアクセスについて様々な利点を有するので、好適であるが、決して必須ではない。
【0016】
上で説明されるように、本発明の装置は、基板および流体ディスペンサーを移動させることによって、流体ディスペンサーとホルダーにより保持された基板の間の相対的な移動を提供する。有利には、装置は、ホルダーにより保持された基板と流体ディスペンサーとの間の少なくとも4つの軸線の相対的な移動を提供する。便宜的には、装置は、ホルダーにより保持された基板と流体ディスペンサーとの間の少なくとも5つの軸線の相対的な移動を提供できる。この手段において、装置は、6自由度のうち、少なくとも4、少なくとも5、または、全6の自由度で、ホルダーにより保持された基板と流体ディスペンサーとの間の移動のコントロールを提供する。例えば、位置決め装置は2または3つの軸線に沿って流体ディスペンサーを並進移動でき、ホルダーは、基板が1または2つの軸線の回りで傾斜することを可能にすることができる。
【0017】
流体ディスペンサーは、いずれの一タイプまたは複数タイプの流体でも分注するために設けることができる。流体ディスペンサーは、流体または液体を分注することの単一のノズルまたは出口を備えていてもよい。代替的には、流体ディスペンサーは、複数の異なる流体または液体を分注するための複数のノズルまたは出口を備えていてもよい。また、ここで、流体という用語は、流れる、または自由で動き回ることができる粒子により構成されているあらゆる非固体の材料でもあると当業者にとって周知の意味を取ることに注意すべきである。従って、流体という用語は、ペースト(例えば、はんだペースト)、コロイド状懸濁液、ゲル、液体、溶媒、インクなどを含む。有利には、流体ディスペンサーは、接着剤またはカプセル材料を分注するために設けられる。従って、流体ディスペンサーは接着剤または接着剤ディスペンサーであってもよい。接着剤ディスペンサーにより分注される接着剤は、分注される前に、硬化しない、または部分的にだけ硬化する。
【0018】
流体ディスペンサーにより分注される流体は、基板に配置される時に、受動的電気機能を提供してもよい。例えば、それは、はんだ接合、伝導性のトラック、または電気的絶縁領域が形成されることを許容できる。代わりに、流体は、能動的な電気機能を提供でき、それにより、基板に様々な電子部品が適切な流体の層または領域の堆積により組み込むことを可能にしている。例えば、液状の(例えば有機)半導体材料は、様々な電気的絶縁性および伝導性の流体とともに基板上に分注できる。この方法において、LED、光電検出器、トランジスタ、ダイオードなどの半導体装置が形成できる。すなわち、堆積された流体は、いわゆるプラスチックエレクトロニクス電子回路を提供できる。
【0019】
流体ディスペンサーは、便宜的には溶媒を分注できる。溶媒は、以前に分注された接着剤または他の材料を溶かすために使用でき、従って、部品を基板から取り外すプロセスにおいて有利に使用できる。従って、本発明の装置は、組立ておよび分解(再加工を含む)目的のために使われる。
【0020】
装置は、流体ディスペンサーにより堆積された流体を局所的に活性化するための、熱および/または放射線ソースなどの活性化ソースを備えていてもよい。活性化ソースは、好適には、基板の周辺のエリアに影響せずに、基板の選択された局所的なエリアだけが活性化されるように指向性を有する。活性化ソースのタイプは、便宜的には、流体ディスペンサーにより堆積される特定の流体を活性化するために選択される。活性化ソースは、流体および/または基板との接触に至る、加熱された先端などの接触熱源であってもよい。有利には、活性化ソースは、流体を活性化する(無接触)放射線ソースである。例えば、紫外線(UV)光源、レーザー、音響ソース、またはマイクロ波放射線ソースが提供される。有利には、放射線の集束ビームが活性化装置により放射される。従って、活性化ソースは、堆積された接着剤を硬化する、または堆積されたはんだペーストを融解することができる。なお、活性化ソースを用いた流体の活性化は、効果を提供または遮断することができる。例えば、いわゆるポジティブプロセスが用いられ、特定の機能を提供するために、(例えば、伝導性トラックを形成する、はんだ接続を提供するなど)流体が活性化される。代わりに、ネガティブなプロセスが用いられてもよく、この場合には、いずれの活性化された流体も機能を提供しない。例えば、活性化された流体は、未活性化であった流体への影響を有さないその後に続くプロセスステップの間に、容易に取り除かれる。
【0021】
活性化ソースは、有利には、位置決め装置により移動される。例えば、流体ディスペンサーおよび活性化ソースの両方は、位置決め装置の可動のマウント、プラットフォーム、またはヘッドとともに移動するように設置できる。なお、活性化ソースは、位置決め装置により移動されない他の部品(例えば、電源、コントローラなど)を含む活性化システムの一部を構成できる。例えば、位置決め装置は、光学式のファイバーの遠位端部を含む活性化ソースを移動させることができる。そのような例において、光学式のファイバーの近位端部は、固定のレーザーに結合してもよい。さらに、活性化ソースは、電気ケーブルを介して固定の電力制御システムに結合される加熱可能な先端を備えていてもよい。
【0022】
好適な実施形態には、活性化ソースは、開放端部をもつマイクロ波空洞を備える。例えば、周波数敏捷な開放端部を有するマイクロ波空洞。有利には、活性化ソースは、K.I.Sinclair et al, Proc、IEEEエレクトロニクスシステム統合テクノロジー会議2006、巻2、ページ1149-1157、および、T.Tilford, et al、国際マイクロ波電力学会の第41回アニュアルマイクロ波シンポジウム議事録、2007年8月1〜3日に記述されたタイプの頻度敏捷マイクロ波オーブン接合システム(FAMOBS)である。この内容は、参照により本明細書に組み込まれる。従って、FAMOBS熱源の使用は、(例えば、サブ表面硬化を提供するために)部品を通して流体を加熱するように調整でき、それにより、配置と硬化動作の間に必要な機械の移動量を減らすことができるので、特に有利である。
【0023】
有利には、装置は、真空ノズルや他の把持手段などの部品ピックアップ装置を備える。部品ピックアップ装置は、部品をピックアップし、それから、そのような部品を、ホルダーにより保持された基板に置くために設けることができる。なお、ここで記述されたような部品の配置は、部品を基板と直接的に接触させる、または、ギャップを横切って、必要な位置およびオリエンテーションにある基板に着地させるように部品を発射(例えば、発射(firing)/発射(launching))する部品ピックアップ装置に関係する。便宜的には、電気、光学、および、電気光学式の部品の少なくとも1つが、ピックアップ装置によりピックアップされる。部品ピックアップ装置は、好適には、位置決め装置により移動される。例えば、流体ディスペンサー、活性化ソースおよび部品ピックアップ装置のすべては、位置決め装置の可動のマウントとともに移動するように設置できる。以下により詳細に説明するように、そのような装置は、接着剤を基板に堆積し、部品を接着剤に配置し、部品を基板の適所に固定するために接着剤を硬化するために使用できる。部品ピックアップ装置は、分解プロセスの間に、ホルダーにより保持された基板から部品を取り外すために使用できる。有利には、ピックアップ装置は、部品と基板との間の必要なアラインメントを提供するために、部品が回転することを可能にする。例えば、ピックアップ装置は、基板に対して部品を適切に位置合わせするために、位置決め装置によって回転される。
【0024】
好適には、装置はコンピュータのコントロールのもとで動作する。有利には、流体堆積プロセスの間に、流体ディスペンサーに対するホルダーにより保持された基板の位置を感知するために、位置フィードバックシステムが提供される。位置フィードバックシステムは、位置決め装置および/または傾斜メカニズムの一部を構成する、位置エンコーダ等を含み、それにより、適切な位置とオリエンテーション情報を提供できる。位置フィードバックシステムは、流体分注装置に対する基板の位置および/またはオリエンテーションを決定するための画像またはビデオ認識システム(例えば、一または複数のビデオカメラを含む)も含んでいてもよい。この方法において、基板において流体の必要なパターンが配置されることを保証するために、フィードバック制御ループが提供できる。このような画像認識システムは、部品配置のためにも使われる。例えば、ピックアップ装置によりピックアップされた部品の基板に対するオリエンテーションは、配置精度を保証するために決定できる。同様に、基板に対する活性化ソースの位置もまた同様な方法で決定できる。
【0025】
流体ディスペンサーは、使用において、恒久的に位置決め装置に取り付けられる。例えば、流体ディスペンサーはボルトで締結され、または、位置決め装置の可動のプラットフォームに溶接される。同様に、使用において、恒久的にいずれの活性化ソースおよび/または部品ピックアップ装置も、位置決め装置に取り付けられる。有利には、流体ディスペンサーは、使用の間に、位置決め装置に解放可能に取付け可能である。例えば、解放可能なコネクタ(例えば、磁化された運動学的マウント)またはクランプは、流体ディスペンサーを位置決め装置に取り付けるために使用できる。この方法において、流体ディスペンサーは、流体堆積が必要なときのみ、位置決め装置に取り付けられる。便宜的には、コンピュータ制御システムにより適切なコントロール指令が発行された時には、解放可能なコネクタは、流体ディスペンサーが、位置決め装置から(例えば、技術者がボルトを外す必要なしで)自動的に取り外されることを可能にする。流体堆積の間において、位置決め装置は活性化ソースやピックアップ装置などの他の手段を運搬することができる。便宜的には、位置決め装置に取り付けられない時に、流体ディスペンサー、および、いずれの活性化ソースまたはピックアップ装置を保管するために、ラックを提供できる。
【0026】
本発明の第2の面によれば、基板を保持するための可動の流体ディスペンサーとホルダーを有する装置を使って流体を基板に分注する方法が提供され、この方法は、(i)基板を前記ホルダーに設置するステップと、(ii)基板に対して作動可能な位置に前記流体ディスペンサーを移動し、前記基板に流体を分注するために流体ディスペンサーを使用するステップと、を有し、ステップ(ii)は、前記流体ディスペンサーを移動させるステップを有し、そして、そのステップにおいて、少なくとも1の軸線回りに前記基板を傾斜させることを特徴とする。上で説明したように、基板を傾けることにより、流体を堆積させる時に、様々な利点が提供される。
【0027】
ステップ(ii)は、流体が分注される基板の領域が少なくとも略水平となるように基板を傾斜させることを含む。便宜的には、基板は、ステップ(ii)の間、重力の作用の下で基板の表面の流体の流れを最小化する、または、実質的に防止するように、傾斜される。
【0028】
有利には、装置はピックアップ装置をさらに含み、本方法は、前記基板上に分注された流体に部品を配置するために前記ピックアップ装置を使用する追加のステップ(iii)を含む。ステップ(iii)は、部品と基板を積極的に位置合わせするステップも備えていてもよい。例えば、アラインメントシステムに基づくビデオが使われる。
【0029】
便宜的には、装置は、活性化ソースをさらに含み、本方法は、基板に分注された流体を活性化するために活性化ソースを使用する追加のステップ(iv)を含む。有利には、ステップ(ii)は、接着剤を前記基板に分注するために前記流体ディスペンサーを使用することを含み、ステップ(iv)は、前記接着剤を硬化処理するために活性化ソースを使用することを含む。ステップ(ii)は、代替的又は追加的に、はんだペーストを基板に分注するために流体ディスペンサーを使用することを含み、この場合、ステップ(iv)は、はんだペーストを融解するために活性化ソースを使用することを含む。
【0030】
有利には、活性化ソースは、マイクロ波ソースであり、ステップ(iv)は、マイクロ波放射線を前記流体に向けることを含む。従って、ステップ(iv)は、伝導性通路またはトラックまたは他のマークを形成するために、分注された流体を活性化することを含んでいてもよい。例えば、分散媒中に金属イオンを含むコロイドは、伝導性のトラックを形成するために、マイクロ波ソースによって加熱される。有利には、ステップ(iv)は、部品が配置された流体を硬化させることを含み、それにより、流体を活性化し(例えば、接着剤を硬化する、またははんだペーストを融解する)、適所に部品を固定する。有利には、活性化ソースは、基板の周辺の領域の加熱を最小化するために、高指向性、または、集束性である。好適には、活性化ソースは、上記したタイプのFAMOBS装置である。
【0031】
有利には、ステップ(ii)は、第1のオリエンテーションに基板を傾けることを含む。このとき、流体ディスペンサーは、基板の第1の領域に流体を分注するために移動させられる。そのとき、ステップ(ii)が1回以上繰り返される。便宜的には、ステップ(ii)の反復の各々の間、基板は、さらなるオリエンテーションに傾けられ、流体ディスペンサーは、流体を基板のさらなる領域に分注する。ステップ(ii)が複数回実行される場合には、上記のステップ(iii)および(iv)の一方又は両方が、ステップ(ii)の反復間に実行されてもよい。
【0032】
好適な実施形態においては、ステップ(i)は、非平面基板を取ることを服でいてもよい。例えば、非平面回路モジュール基板である。そのとき、電子部品は、上記された方法を用いて、そのような基板の異なった配向の表面または面に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、添付図面を参照して、例示としてのみ記述される。
【図1】本発明の装置の一実施形態を示す。
【図2】図1の装置のパラレル位置決め装置をより詳細に示す。
【図3A】図1および図2に示されたタイプの装置を使って部品を基板に取り付けるための技術を示す。
【図3B】図1および図2に示されたタイプの装置を使って部品を基板に取り付けるための技術を示す。
【図3C】図1および図2に示されたタイプの装置を使って部品を基板に取り付けるための技術を示す。
【図4A】図1および図2に示されたタイプの装置を用いた、L字形の基板への部品配置を示す。
【図4B】図1および図2に示されたタイプの装置を用いた、L字形の基板への部品配置を示す。
【図4C】図1および図2に示されたタイプの装置を用いた、L字形の基板への部品配置を示す。
【図5】U字形の基板における部品配置を示す。
【図6】立図1および図2に示されたタイプの装置を用いた、方体状の基板における部品配置を示す。
【図7】本発明にかかる方法のステップを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照して、本発明の装置を説明する。
【0035】
装置は、複数の支持支柱6により上部またはベースプラットフォーム4に固定されたベッド2を備える。支持支柱6は、ベースプラットフォーム4が、ベッド2に対して固定された位置に保持されることを保証するために十分に堅い。ベースプラットフォーム4は、また、拘束されたパラレル運動学位置決めメカニズム10により可動のプラットフォーム8に取り付けられている。明瞭性のために、パラレル運動学位置決めメカニズム10についての詳細が、図1から省略され、メカニズムは図2において詳細に示される。従って、ベースプラットフォーム4、可動のプラットフォーム8およびパラレル運動学位置決めメカニズム10は、3つの軸線(X、Y、Z)に沿って可動のプラットフォーム8の並進移動をコントロールする拘束されたパラレル位置決め機械を構成する。可動のプラットフォーム8は、これに設置された、流体分注装置12、ピックアップ装置14(例えば、真空ベースピックアップ装置)、および、FAMOBS装置16を有する。流体分注装置12は、流体供給管を介して遠隔の流体ポンプおよびリザーバに接続される(図示しない)。この例において、流体分注装置12は、伝導性の接着剤ペーストを分注するために設けられるけれども、いずれのタイプの流体でも分注するために使用できる。
【0036】
図1に示す可動のプラットフォーム8は、すべてその上に設置された、流体分注装置12、ピックアップ装置14(例えば、真空ベースのピックアップ装置およびFAMOBS装置16を有する。しかし、これは必須ではない。また、可動のプラットフォーム8が、流体分注装置12、ピックアップ装置14(例えば、真空ベースのピックアップ装置)およびFAMOBS装置16のいずれか1つを受け入れるためのマウントを含むことも可能である。すなわち、適切な装置は、必要に応じて、可動のプラットフォーム8に設置できる。そのとき、残りの装置は、ラックに保管され、または、それらが必要とされるまで保管エリアに配置される。
【0037】
また、基板20を保持するためのホルダー18が装置のベッド2に設置される。ホルダー18は、2つの直交する回転軸線(θ1およびθ2)回りに、テーブルベース22に対して傾斜可能なテーブルベース22およびテーブルトップ24を備える。
【0038】
そのような回転移動は、2つの直列的に設置された回転ステージによって提供される。テーブルトップ24は、その上に置かれた基板20を保持するためのクランプ(図示しないも備える。従って、ホルダー18は、基板の絶対オリエンテーション(すなわち、グラウンドに対する、または、さらに重要には、重力に対する基板オリエンテーション)が設定されることを可能にする傾斜メカニズムを提供する。また、使用に先がけて、様々な部品28を保管するためにベッド2上に部品保管エリア26が提供される。
【0039】
装置の動作をコントロールするために、コンピュータ30が提供される。特にコンピュータ30は、可動のプラットフォーム8の動き、ホルダー18により規定される基板のオリエンテーション、流体分注ノズル12からの流体の分注、ピックアップ装置14の動作およびFAMOBS装置16の活性化をコントロールする。また、コンピュータ30後ろに画像を映す、1つ以上のビデオカメラ(図示しない)が提供され、これは、基板20に対する装置の位置についての情報を与える。このような装置を用いた方法を、以下で詳細に説明する。
【0040】
図2を参照して、図1の装置に使用される拘束パラレル位置決め機械がより詳細に説明される。なお、図2において与えられた拘束されたパラレル位置決め機械の図は、図1とは反転している(すなわち、上下が逆転している)。拘束されたパラレル位置決め機械は、複数の支柱により可動のプラットフォームまたはステージ8に設置されるベースプラットフォーム4を備える。特に、ベースおよび可動のプラットフォーム4および8は、3つの駆動式の伸縮自在の支柱40により接続され、支柱40の端部は、枢軸ジョイントによりプラットフォームと接続される。各々の駆動式の伸縮自在の支柱40は、その長さを増大させるか、または減少させるモーター42、および、その長さを測定するための位置エンコーダ(モータハウジング内に収容され、それゆえに図2では見えない)を有する。また、ベースプラットフォーム4および可動のプラットフォーム8の間の3つの回転自由度を拘束するために、3つの非回転装置44が提供される。非回転装置は受動的で、モーターまたはアクチュエーターの他のタイプを備えていない。従って、機械の駆動式伸縮自在の支柱40の伸張は、ベースプラットフォーム4と可動のプラットフォーム8の間で並進移動(回転ではない)だけを提供する。すなわち、可動のプラットフォーム8は、固定されたベースのプラットフォーム4に対して空間で並進移動でき、そのような並進移動は、X、YおよびZ軸線に沿た移動に関して記述される。
【0041】
図1および図2に示された装置は、拘束されたパラレル位置決め機械を備えるけれども、いずれのタイプの位置決め機械でも使用できることが理解されるべきである。位置決め機械は、上記したような直列的なまたはパラレルなメカニズムを含んでいてもよい。拘束されたパラレル位置決めメカニズムおよびホルダー18は、共に、可動のプラットフォーム8に対して基板を移動させるための位置決め装置を提供する。
【0042】
図3A〜図3Cを参照することによって、図1と図2を参照して説明されたタイプの装置を使っている基板への部品の取り付けが記述される。
【0043】
図3Aは、流体分注装置12のノズル58が、ホルダー18のテーブルトップ24に設置された基板60に対する流体分注位置に移動されるプロセスにおける第1のステップを示す。流体分注装置12の必要な動きは、装置の可動のステージ8の移動によって提供される。そして、電気伝導性の接着剤62の必要なパターンが基板に堆積される。この第1のステップは、選択的に、接着剤の必要なパターンが提供されることを保証するために、基板60に対して(例えば、ビデオカメラ基づいた画像認識システムを用いて)ノズル58の位置を監視することを含んでいてもよい。明瞭性のために図3Aにおいては、単一の領域または単一の液滴の接着剤のみが示されるが、より複雑な接着剤のパターンが(例えば、電子チップなどと電気的に接続される要求されたポイントに対応して)流体分注装置12により配置される。接着剤の必要なパターンが堆積されると、流体分注装置12は基板から引き戻される。
【0044】
図3Bは、部品保管エリア26からピックアップ装置14によりピックアップされた部品28が電気伝導性の接着剤62に配置されるプロセスにおける第2のステップを示す。また、ピックアップ装置14の動作は、装置の可動のステージ8の移動によって提供される。この第2のステップは、選択的には、部品28のオリエンテーションおよび位置が(例えば、ビデオカメラ基づいた画像認識システムを用いて)監視され、それにより、正確な配置を保証する積極的なアラインメントステップを含んでいてもよい。いったん配置されると、ピックアップ装置14は部品28を解放し、引き戻されて、部品28を硬化されていない接着剤を介して基板60にルーズに取り付けられたままにしておく。
【0045】
図3Cは、可動のステージ8がFAMOBS装置16を基板60と近接する位置に移動する第3のステップを示す。この第3のステップは、選択的には、基板60に対してFAMOBS装置16の位置を(例えば、ビデオカメラ基づいた画像認識システムを用いて)監視することを含んでいてもよい。上で説明したように、FAMOBS装置は、周波数を変化させるマイクロ波放射線を放出し、他の材料(例えば、電子部品を形成するのに使用する半導体材料)にそれほどの加熱を引き起こさないで、特定の材料(例えば、接着剤またははんだペースト)の加熱を起こすように設けることができる。従って、FAMOBS装置を用いて、部品を通して接着剤の上に放射されたマイクロ波放射線を向けて接着剤を硬化させることが可能である。従って、FAMOBS装置16は、部品28を通して電気伝導性の接着剤62にマイクロ波放射線64を向けるように、可動のステージ8により配向される。接着剤は、部品28へいずれのダメージも及ぼすことなく、また、FAMOBS装置16と電気伝導性の接着剤62との間に直接的な見通し線を提供する必要なく硬化処理される。いったん電気伝導性の接着剤62が硬化処理されると、FAMOBS装置16は引き戻され、部品28は基板に確実に取り付けられる。
【0046】
上記の装置は、部品をプリント基板(PCB)などの平面基板に取り付けるために使用できるけれども、特に、非平面基板を用いる時に有利である。特に、上記の装置は、部品の非平面基板への取付けを容易にし、それにより、三次元のまたは非平面の回路モジュールが形成されることを可能にする。
【0047】
図4A〜図4Cを参照すると、上記の装置を用いて、部品72a、72bおよび72cをL字形状(非平面)の基板70の3つの設置面76a、76bおよび76cに取り付けるための方法が説明される。
【0048】
図4Aは、傾けられるホルダー18のテーブルトップに保持されたL字形状の基板70を第1のオリエンテーションに配置された傾斜可能なテーブルトップ24とともに示す。傾斜可能なテーブルトップ24の第1のオリエンテーションは、第1の設置面76aは実質的に水平であるように選択される。第1の電子部品72aは、図3を参照して上で説明されたステップを用いて、第1の設置面76aに電気伝導性の接着剤74aによって設置される。
【0049】
この時、設置面のオリエンテーションは、正確には水平である必要がないことに注意すべきである。水平から離れる向きの表面の一定の量の傾きは、一般的には、容認でき、傾きの量は、硬化されていない接着剤の粘度や部品の重量などの様々なファクターに依存する。
【0050】
第1の電子部品72aが第1の設置面76aに取り付けられた後に、傾斜可能なテーブルトップ24は、図4Bに示すように、第2の設置面76bが実質的に水平である第2のオリエンテーションに移動される。電気伝導性の接着剤74bによって、第2の電子部品72bは、図3を参照して上で説明されたステップを用いて第2の設置面76bに設置される。
【0051】
第2の電子部品72bが第2のマウンティング面76bに取り付けられた後に、図4Cに示すように、傾斜可能なテーブルトップ24は、第3の設置面76cが実質的に水平の第3のオリエンテーションに移動される。第3の電子部品72cは、また、図3を参照して上で説明されたステップを再び用いて、電気伝導性の接着剤74cによって第3のマウンティング面76cに設置される。
【0052】
このプロセスは、すべての必要な部品がL字形状の基板70に設置されるまで続けられ、それにより、必要な回路モジュールを形成する。なお、単一の部品の個々の設置面への取り付けが説明されたが、いずれの数の部品でも個々の設置面に取り付けることができる。同様に、部品は、もし必要ならば、L字形状の基板70のさらなる面に取り付けられうる。類似のプロセスは、また、部品を連側的に変化する表面に取り付けるためにも用いることができる(例えば、湾曲した基板)。例えば、基板オリエンテーションは、基板を再配向させる前に、部品のサブセットが基板の一部に取り付けられることを可能にするように選択される。さらに、より複雑な形状を有する基板を使う時に、(図4に示した一軸線の代わりに)2つの軸線回りの傾斜が実施される。
【0053】
図4に示したプロセスは、電子装置のケーシングの一部を形成できる非平面基板から三次元の電子回路モジュールを形成するので、特に有利であると分かる。
【0054】
図5を参照すると、電子装置のプラスチックのケーシング90の一部分が示される。プラスチックのケーシング90は、4つの電子部品92a−92d(例えば、電子チップまたは他の部品)が設置される3つの内部のマウンティング表面92a−92cを有する。電子部品92a−92dは、設置表面92a−92cのそれぞれに、図4を参照して説明した方法で順次取り付けられる。特に、プラスチックのケーシング90は、各々の設置表面が、順に、部品を取り付けるために実質的に水平に保たれるように、組立ての間に配向される。様々な電気伝導性のトラック(図示しない)は、また、様々な電子部品を相互接続するために、プラスチックのケーシング90に堆積できる。これらはケーシングに一体的に形成される、または、装置の流体分注装置12を使って堆積される。
【0055】
従って、本発明は、プラスチックのケーシング90の様々な内部表面に電子回路が形成されることを許容することが分かる。そのような非平面の回路モジュールは以前から提案され、ケーシング内に配置された平面のまたはフレキシブルな電子回路基板から形成される従来の装置を越える様々な利点(例えば、頑丈さやコンパクトさ)を提供する。しかしながら、非平面の回路モジュールは、様々な部品を手で基板に取り付ける必要があるために、現在では幅広くは用いられていない。説明された装置は、ここに、全自動化された組立と取り付けプロセスを用いてそのような非平面の回路モジュールを形成する能力を初めて提供する。すなわち、本発明は、非平面の回路モジュールの組立てが自動化されて、そのような回路モジュールを組み立てるコストを大幅に低減することを可能にする。
【0056】
図6を参照すると、直平行六面体100の形態のさらなる非平面基板が示される。部品102および104は、上記された装置を使って順次直平行六面体100の面に取り付けられる。また、装置のホルダーは、接着剤を分注し、部品を取り付け、および、接着剤を硬化処理するプロセスの間に、必要な面(すなわち、部品が設置される必要がある面)が、実質的に水平に保たれるように組立の間に直平行六面体100を傾けるために使用される。分散媒質内に懸濁の金属イオンを含むコロイド状の流体は、また、部品102および104の間の複数のパス経路に沿って流体ディスペンサーを使って分注できる。そして、コロイド状の懸濁液は、FAMOBS装置により加熱され、コロイドの分散媒質
を蒸発させて、必要なパターンの金属トラック106を基板に堆積したままにしておき、それにより、部品102および104を電気的に接続する。この方法において、直平行六面体の面のすべて、または、いくつかにおいて回路が組み立てられ、そのような技術は、いずれの規則的なまたは不規則な三次元の対象物に部品を取り付けるために用いられうることが理解される。そのような対象物は、離散的な面を有し、および/または、湾曲したまたは曲げられた表面を備えていてもよい。
【0057】
図7を参照すると、図1および図2を参照して上で説明された装置を用いた方法のステップが示される。第1のステップ110において、基板はホルダー18により必要なオリエンテーションに配置される。接着剤(例えば、電気伝導性の接着剤)を分注する第2のステップ112が実行される。第2のステップ112は、そのような接着剤を基板の1つ以上の領域に分注することを伴っていていてもよい。その時、接着剤を硬化処理する第4のステップ116が実行される前に、1つ以上の部品を接着剤に配置する第3のステップ114が実行される。第2、第3および第4のステップが、流体分注装置12、ピックアップ装置14およびFAMOBS装置16をそれぞれ可動のプラットフォーム8を移動させることにより移動させることを包含していてもよく、選択的には、ホルダーはこれらのステップのいずれか又は全てにおいて基板の動きを提供するために用いてもよい。その時全体のプロセスが繰り返されてもよく、特に、第1のステップ110は、さらなる設置面へのアクセスを提供するために、基板の再配向(傾斜)を含んでいてもよい。
【0058】
図3から図7までを参照して説明された方法は、図1および図2において説明されたタイプの装置を使って実施される記述されている。すなわち、どのように、様々な方法が、流体ディスペンサー、部品ピックアップ装置、およびFAMOBSを運搬する装置の一つを用いてどのように実施できるかを上で詳細に説明した。しかしながら、そのような方法は、直列式の単一の機能の機械を用いても実施できることに注意すべきである。例えば、基板は、流体ディスペンサーを運ぶ第1の機械から、部品ピックアップ装置を運ぶ第2の機械を通って、FAMOBS装置を運ぶ第3の機械へ通過しうる。この方法において、流体堆積、部品配置、および、FAMOBS加熱は、種々の機械を使って順次実行してもよい。
【0059】
上記の例は、基板上に電気伝導性の接着剤を堆積することを記述した。しかしながら、いずれの流体または複数の種々の流体であっても、装置により分注できる。例えば、FAMOBS装置によって活性化(融解)された、はんだペーストは分注されうる。分注された流体は、また、部品を基板に取り付けるために使われなくてもよい。例えば、インク、半導体材料(例えば、有機の半導体)、または、電気伝導性の材料(例えば、コロイド状の形態)は堆積される。そして、堆積された流体は、電子回路の一部分を形成するなどのある必要な機能を実行できる。例えば、電気伝導性のトラックは、基板に配置され、または、半導体装置は基板に組み込まれる。
【0060】
さらに、上記の装置はFAMOBS装置を含むけれども、他のタイプの活性化装置も提供できる。例えば、UV硬化処理ソースまたは接触ヒーターが用いられる。しかしながら、活性化装置は、コントロールされ、または、局所的な作用を提供することがより望ましい。例えば、基板の広いエリアの加熱、あるいは、基板の大きいエリアの放射線への露出に関係するいずれの望まれない影響を克服するために、流体の特定の領域を対象とすることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に流体を選択的に分注するための装置であって、
基板を保持するためのホルダー
流体を分注するための流体ディスペンサーと、
前記流体ディスペンサーを移動させるための位置決め装置と、を備え、
前記位置決め装置および流体ディスペンサーは、前記ホルダーにより保持された基板に流体が分注されることを可能にするように配置され、
前記ホルダーは、当該ホルダーにより保持された基板を、少なくとも1つの軸線回りに傾斜可能にする傾斜メカニズムを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記流体ディスペンサーにより流体が分注される前記基板の領域が少なくとも略水平であるように、使用において、前記傾斜メカニズムにより、ホルダーにより保持された基板が配向される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記位置決め装置は、パラレル位置決め機械を含む、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記ホルダーにより保持された基板と前記流体ディスペンサーとの間の少なくとも5つの軸線に関する相対的な動きを提供する、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記ホルダーは、テーブルベースおよび傾斜可能なテーブルトップを有する傾斜テーブルを備え、基板が、前記傾斜可能なテーブルトップに解放可能に保持されうる、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記ホルダーの傾斜メカニズムは、基板が2以上の軸線回りに傾斜可能にする、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ホルダーは、非平面基板を保持するために設けられる、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記流体ディスペンサーは、接着剤、カプセルの材料、または、溶媒を分注するために設けられる、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記流体ディスペンサーにより堆積された流体を局所的に活性化するための活性化ソースをさらに含み、前記活性化ソースが熱および/または放射線のソースを備え、当該活性化ソースは、前記位置決め装置により移動される、先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記活性化ソースが、開放端部をもつマイクロ波空洞を備える請求項9に記載の装置。
【請求項11】
部品ピックアップ装置をさらに含み、当該部品ピックアップ装置は、部品をピックアップし、その部品を前記ホルダーにより保持された基板に置くために設けられ、前記部品ピックアップ装置は、位置決め装置により移動される、先行する請求項のいずれかに記載の装置部品。
【請求項12】
前記部品は、電気、光学および電気光学式の部品の少なくとも1つを含む請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記流体ディスペンサーが前記位置決め装置に解放可能に取付可能な先行する請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
可動の流体ディスペンサー、および、基板を保持するためのホルダーを有する装置を使って、流体を基板に分注する方法であって、
(i)基板を前記ホルダーに設置するステップと、
(ii)基板に対して作動可能な位置に前記流体ディスペンサーを移動し、前記基板に流体を分注するために流体ディスペンサーを使用するステップと、を有し、
ステップ(ii)は、前記流体ディスペンサーを移動させるステップを有し、そして、そのステップにおいて、少なくとも1の軸線回りに前記基板を傾斜させることを特徴とする、方法。
【請求項15】
ステップ(ii)は、流体が分注される基板の領域が少なくとも略水平となるように基板を傾斜させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記装置は、ピックアップ装置を備え、前記方法は、前記基板上に分注された流体に部品を配置するために前記ピックアップ装置を使用する追加のステップ(iii)を含む請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記装置は、活性化ソースをさらに含み、前記方法は、前記基板に分注された流体を活性化するために前記活性化ソースを使用する追加のステップ(iv)を含む、請求項14乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ステップ(ii)は、接着剤を前記基板に分注するために前記流体ディスペンサーを使用することを含み、ステップ(iv)は、前記接着剤を硬化処理するために活性化ソースを使用することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(ii)は、はんだペーストを基板に分注するために前記流体ディスペンサーを使用することを含み、ステップ(iv)は、はんだペーストを融解するために活性化ソースを使用することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記活性化ソースは、マイクロ波ソースであり、ステップ(iv)は、マイクロ波放射線を前記流体に向けることを含む、請求項17乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
ステップ(ii)が、第1のオリエンテーションに前記基板を傾け、それから、前記基板の第1の領域に流体を分注するために流体ディスペンサーを移動させることを含む請求項14乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
ステップ(ii)が1回以上繰り返され、ステップ(ii)の個々の反復のために、前記基板は、さらなるオリエンテーションに傾けられ、前記流体ディスペンサーは、流体を前記基板のさらなる領域に分注する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(iii)およびステップ(iv)の少なくとも1つは、ステップ(ii)の反復の間に実行され、
ステップ(iii)は、前記基板に分注された流体に部品を置くためにピックアップ装置を使用することを含み、
ステップ(iv)は、基板に分注された流体を活性化するために活性化ソースを使用することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ステップ(i)は、非平面基板を取ることを含む請求項15乃至23のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−528979(P2011−528979A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500287(P2011−500287)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000717
【国際公開番号】WO2009/115792
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】